1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月二十四日(木曜
日)
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本日の会議に付した事件
○特別鉱害復旧臨時措置法案(内閣送
付)
○外国為替及び外国貿易管理法案に関
する件
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午後一時五十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/0
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001・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) では只今より委員会を開きます。速記を止めて。
午後一時五十三分速記中止
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午後三時四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/1
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002・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それでは速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/2
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003・結城安次
○結城安次君 私は、この間の御説明では、鉱害ということは、濫掘という言葉は如何か知らんが、濫掘しろという差図を受けてやつた鉱区に限るように私は思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/3
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004・田口良明
○政府委員(田口良明君) それに限るということに前回も申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/4
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005・結城安次
○結城安次君 そうすると、第三條の第一項には、昭和十六年十二月である。先程御指摘の十二月八日というのは、必要なことだと私は思う。それで第二号の「国の右炭増産の要請に基いて」という。この要請というのは、少くとも第一回は、昭和二十年三月二十四日の軍需省燃料局長の通達が第一回だと思うが如何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/5
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006・田口良明
○政府委員(田口良明君) この提出いたしました二つの通牒及び項目は、先程申上げましたように、この通牒が、全部を網羅しているのではなくて当時の資料が燒失したりなんかして、これが今回の参考資料として不十分であるということを申上げました。それででき得ればこの前のやつについても、十分そのときの資料を系統的に集めました資料を提出いたせばよいのでありますが、それが今手許にございませんから、そういうことをお断り申上げて置きました。
それからもう一つの点の、昭和十六年の十二月からというふうに規定しておりまするのは、一応大東亜戰争と申しまするか、米英に対して宣戰布告の日が昭和十六年十二月八日であつたと思いますが、これから終戰までというふうに大事を踏みまして、この期間を、十六年の十二月からというふうにいたしておりまするが、恐らくこの当時においては、余りそういうふうな通牒なり指示なりは出ていなかつたろうと思うのです。従いまして、この殆んど政府の強硬な指示によつてなされたということによる被害のみを、特別鉱害といたしておりますわけであります。この期間は私共もただ大事を取つての期間に過ぎないというふうに御了解願えれば結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/6
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007・結城安次
○結城安次君 只今の御説明ではどうも私一向分らんのだが、戰が始つた場合、国を挙げてこれに協力するのは当り前で、そのために損害を受けたのは各企業者の損として負担すべきもので、国家が要請して、前もそのために損害があればこれを補償しようというのは、昭和二十年三月二十四日の軍需省燃料局長の通達が第一回じやないかと思うが、この中にこういうのがある。「本件ニ関シテハ当局ニ於テ予テ法制局及大蔵省ト鋭意打合ヲ進メタル結果国家総動員法ニ基ク土地工作物管理使用収用令ニ依リ鉱業権者ヲシテ土地及地上施設ヲ収用セシメ之ガ為鉱業権者ノ蒙ルベキ損失ハ防空法ニ基ク強制疎開ノ例ニ準ジ国家ヨリ之ヲ補償スル」、これだけじやなかつたかと思うが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/7
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008・田口良明
○政府委員(田口良明君) この文章で読みますると、防空法に基く強制疎開の例に倣つてというようなことがありますが、石炭の不足によつて、当時戰力の増強に非常に支障を来たしたのは、戰争がますます苛烈になつて参りました終戰の末期になればなる程多かつたことは事実でありますが、ただ然らば昭和十六年の頃においてはどうであつたかと申しますると、この当時におきましても依然として足りなかつたのは事実でありまして、何故そういうことを申しまするかと申しますると、昭和十四年の暮におきまして、これはまだ十六年には達しておりませんでしたが、例の日発事件というものがございまして、石炭が足りないために、日発の石炭を十分焚いて電力の給供をすることが十分できないというようなことがありましたが、これは一つの一時的な問題ではありまするが、その後においても、当時石炭の増産の要望はますます高く、昭和十六年から七年のあたりにかけましても、国内において各省共同現地調査会というものを組織いたしまして、石炭の増産には非常に強硬な努力を拂つておつたわけであります。ただここに、例えば昭和十九年の上半期なら上半期において、どういうふうな政府の指示がなされたかという、一つのここに資料があるとよろしいのでありますけれども、それがただ本日は間に合いかねたわけでありまするけれども、私は大体において刻々と戰争が苛烈になり、特に強行されたいということが、政府の方から指示、命令が出されたのは、主としてではありまするが、昭和十九年頃からと考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/8
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009・結城安次
○結城安次君 只今の御説明どうも納得行かんのですが、我々がここで国民の税金から取つたものを一企業者に支給しようという、この大事の金を使う場合、何ら根拠ない。ただ戰時中こういう命令をしたからこれに補償する。戰時中特に努力さしたからやるのだということは成り立たんと思いますが、何らかの根拠があつて、その根拠に基いて行くべきものと思う。それが昭和二十年の三月二十四日、これが一つの根拠だと思う。方々寄つて、すべてのものを調査した結果、これによつて国家からこれを補償するという指示を出して、これを復旧させる。若しこの前に更にこのような指令が出ておりますならば、それはよろしいのでございます。それはないという場合に、ないけれども、無理に掘らしたのだからこれには補償するものだということは、私はどうも納得行かない。ただ必要だからやらした、無理にやらしたということでは、どうもここで軽々に断定して、補償すべきものだという根拠にならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/9
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010・田口良明
○政府委員(田口良明君) この第三條の第一項第一号から第三号までこの特別鉱害の認定を規定しておりますが、この今の時間の問題につきましては、若干巾広というような御意見もないわけではございませんが、ただその期間内であるから必ずしも特別鉱害であるというようには断定しないのでありまして、むしろこの期間は大体においてどこを、どういう点を狙つているかと申しますると、戰後において又相当増産の要望によつと増産したというような事実が考えられるのであります。そういう点をはつきりせんがために、ここに終戰までということに区切つたのでありまして、それを更に第二号において、これが範囲を絞り上げておるわけであります。それは採掘箇所、或いは採掘方法というようなことによつて、更に具体的にここにおいて絞り上げるという方針になつておるわけであります。尚第三号におきましては、それによつて、今第一号分及び第二号において、大体この特別鉱害に認定される資格に入り得ましても、更に第三号におきましては、それが復旧可能であるかどうかという適格性と、それから緊急性をここで審査いたしまして、それによつて初めて特別鉱害ということにここで認定される仕組になつておりまするので、むしろ私共はこの期間は若干巾広にして、段々第一号、第二号、第三号の順に嚴選されて行くというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/10
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011・結城安次
○結城安次君 どうも今の政府委員私の質問に答えてくれないのです。私は特別鉱害、これを受くる核体、主体は何らかの法の根拠がなければできない筈だ。特別に国家から金を、補償を受けるというのは、これは一昨日あなたのおつしやつた特に国家から指令を出して、濫掘しろ、何らかの場合には補償しようという特別通牒が行つた鉱区に限るというふうに私は了解している。而もその通知は我々の受けた資料による昭和二十年三月二十四日が最初のように思われるが、これはどうですか。その前にないとするならばこれは簡單で、ただあつたのだけれども止めたというだけでは承服できないというのだが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/11
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012・田口良明
○政府委員(田口良明君) この資料について、非常にそういうふうな疑惑を持たれているということについては誠に遺憾に思うのでありますが、この資料はただここに只今手許にある資料を参考の一端に差上げたいというのでございまして、この資料だけによつて、特別鉱害の濫掘の命令はただこの二つの資料のみによつてなされたのだということを、私は申上げようとしたのではなくして、ただ沢山のいろいろな命令指示その他の方法によつて、当時の政府から現地に強行されたその一つの事例として、ここに資料を提出したわけであります。でありまするから、これを見て直ちにこの二つの資料の命令に基いたものだけを特別鉱害であるというふうに御了解して頂きますると、今度のこの考え方と可なり違つておりまするので、その点誤解のないようにお含み置き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/12
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013・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) そこで結城委員のお話は、結局鉱害を認定するその基準の一号期間の問題を、もう少し確たる資料を全部集めて、その上でここを検討すべきじやないか、こういうことになると思うのであります。従つて政府の方においては、その資料をできるだけ一つ整えて御提出願いたいということにして、まあこのことについては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/13
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014・結城安次
○結城安次君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/14
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015・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) こちらの資料について御説明願いましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/15
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016・田口良明
○政府委員(田口良明君) 只今お手許にお配りいたしました配炭公団廃止に至るまでの、特別の鉱害賠償プール資金の炭鉱別配分表、これは昨年の閣議決定に基きまして、特別鉱害の復旧に関する経費の問題をどうするかということになりましたときに、これを鉱業権者の炭価に織込みまして、例の十六円十一銭を取り立てるこことにいたしたのが、昨年の六月の二十三日の炭価改正のときに指示されたわけであります。それからすでに一年有予を経過したのでありまするが、この配炭公団の廃止が本年の九月十五日になつておりまするので、この間に配炭公団のプール資金の中から、それぞれ特別鉱害の復旧の計画に従つて、復旧工事をいたしましたその費用を各炭鉱に割振つてあるわけであります。それが九州及び山口を通じまして、合計七億二千二百八十万円。これが去る九月の十五日までの実績でございます。これはこの前に多分お手許に差上げてあるかと思いまするが、例の二十三年及び二十四年度の特別鉱害の復旧計画、これによりますと、二十三年度が全体で七億二千九百万円の予算であつたわけであります。それから二十四年度が九億二千八百万円。この中で国庫負担分及び公共団体負担分がありまするが、鉱業権者負担分は二十三年度におきましては五億三千五百万円、二十四年度は配炭公団の廃止までの間に二億六千三万円円。合計いたしますると約七億九千万円になるわけでありまするが、この七億九千万円の鉱業権者負担分に大体見合つておるわけであります。ただ七億九千万円に対して、本日のこの資料は七億二千万円程度ではないかという御疑念につきましては、一応只今申しました二十三年及び二十四年度はその計画でやつておりまするが、負担分の方がまだ若干公団の方からの分が若干残つておるように考えられますのは、恐らく五、六千万円というものは約半月分に当りますので、この九月十五日の後の九月末日までの工事の実施分について不足になつておるように考えられます。
以上本日お配りいたしました資料の一応の御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/16
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017・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) お諮りいたします。特別鉱害復旧臨時措置法案の質疑は次回に続行することにいたしまして、明日外国為替及び外国貿易管理法案に対する安本と大蔵と、通産の合同委員会を開きますについて、この法案に対する通産省側の意見なり、御希望なりを通商局の方にお聽きしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/17
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018・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) ではさように決定して通商局の方に一つ御説明を願うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/18
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019・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) では通商局次長松尾君からお話を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/19
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020・松尾泰一郎
○説明員(松尾泰一郎君) 外国為替及び外国貿易管理法案の内容につきまして簡單に御説明申上げます。この法律はお手許にお配りしてありますこの法案でお分りの通りに、第一章から第九章までに分れております、それに附則も付いておりまして、條文の数にいたしまして七十三條と、それに附則が付くと相当厖大な法律になつております。通産省の部分、主として第六章の外国貿易、第四十七條から第五十五條に規定されておるところでございます。尚第四章の外国為替の集中の中におきましても、一部輸出為替の集中なり、或いはその輸出為替に伴いまする代金の吸收等につきましては、第四章の外国為替の集中というところにも関連はいたしておりまするが、主として第六章の外国貿易というところが通産省に最も関係する部分でございます。そこで主として第三章関係につきまして御説明申上げます。
それでは二十三ページをお開き願いまして、第六章外国貿易以下のところを簡單に御説明申上げます。先ず第四十七條におきましては輸出の原則を謳つておりまして、輸出貿易というものは元来自由であるべきのが原則ではなかろうかという意味合を以ちまして、「貨物の輸出は、この法律の目的に合致する限り、最少限度の制限の下に、許容されるものとする。」即ち規制を加えるのは最少限度の制限にしか過ぎないのであつて、原則は自由なんだという意味で、第四十七條というものが規定されております。それから第四十八條は特定の商品を輸出する場合、或いは特殊の支拂條件になるような場合におきましては、政令の定むるところによりまして通産大臣の承認を受ける義務を課することができるということになつておるのであります。この通産大臣の承認で第二項に規定しておりまするように、「国際收支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲をこえてはならない。」ということでありまして、非常にこの目的の範囲内においてのみ、通産大臣の承認を課するという制限を附するという意味合でございます。現在のところこの通産大臣の承認にならんとしておりますのは、いずれこの本法案を正式に御審議を願いますときに、政令案の概要を御配付して、御説明することになつておるのではございまするが、現在のところ予想されておりまする承認品目といたしましては、需給関係の特に逼迫しておるような商品と、それから日本が現在特殊な占領下にありまする関係上、諸外国への輸出につきまして、特殊の配慮をしなければならない商品にだけ限定されておりまして、例えば主食糧、石油類、或いはカロリーの高い石炭類、或いは鉄鉱石なり、銑鉄類、その他非鉄金属鉱石、或いは非鉄金属の地金の一部、それから機械類のうちの特殊なもの、次は車輌類のうちの重要なもの、又は船舶類、次は化学製品のうちの基礎資材的なもの、次は油脂類、次は肥料類、次は電柱、枕木、坑木等の木材関係のもの、それから一定期間だけは生糸、絹織物も承認品目にする建前になつております。その他のものは、例えば贋造通貨であるとか、贋造紙幣であるとか、或いは風俗を害するような書籍類、書画類、麻薬類とか、或いは武器、火薬その他の爆発物とか、或いは国宝なり重要美術品とかいう種類の、現在特殊の法規によつて許可を要することとなつておるものも、合せて許可品目に掲げられております。従いましてその他のものは原則としまして、現在のような許可制から外されて自由になるわけであります。ところが自由になると申しましても、国際收支の関係上、それらの貨物の代金を確保する観点からいたしまして、第四十九條におきまして、通商産業大臣は命令で定めるところによりまして、輸出者に対しまして、貨物の代金の支拂が政令で定める方法によつて行われておるという旨を十分に証明を求められることになつておるのであります。これもその実態は政令の方に譲られておるのでございますが、大体その手続を簡單に申上げますと、先ず輸出しようといたす者は輸出申告書を為替銀行に持込みまして、為替銀行の確認を求めるわけであります。為替銀行といたしましては輸出申告書を確認する場合には、例えば外国の買手先からインボカブル・L・Cが来ておるとか、或いはオープン・アカウントの国に対しては向うからレート・オブ・オーソリテイーが来ておるとかね或いは輸出の前にもうすでに代金を受取つておるか、おらんかというようなことを、関係書類を見て確認をするわけであります。そして銀行がその輸出申告書を見まして、それらの代金の決済方法が確保されておるということを証明されました場合におきましては、税関での輸出通貨は自由になるというふうな事柄を、この命令なり、この政令の定める方法によつて規定をせんとしておるような次第であります。言換えてみますると、輸出は、第四十九條に言うような支拂手段が確保されておるという為替銀行の証明さへあれば、自由に輸出ができることになりまして、第四十八條で申しました特定の商品なり、又今第四十九條で御説明しました以外の支拂方法で輸出をするという場合にのみ、承認を受けなければならんということになるわけであります。
次の第五十條も輸出に関連する規定でございますが、貨物を輸出する者は、当該貨物の最終仕向国におきます不公正競争の禁止に関する法令を十分考慮した上でなければ輸出をしてはならないということ、これはいわば道徳的な規定であるわけでございますが、戰前から日本品が諸外国にダンピングをするということで、いろいろ非難のありましたことは御存じの通りでありますが、戰後の民間取引におきましてはフロアー・プライス制、つまり最低輸出価格制を採用いたしまして、ダンピングを防いで参つたのでありますが、その制度が海外の諸事情の変転に即応しない。却つてそれは輸出の阻碍になるというふうなことに相成りまして、去る十月の二十六日以降最低輸出価格制を廃止して現在に至つておるのでありますが、その廃止に伴いまして又諸外国から日本品のダビングを危惧する批判も出ておるのでありますが、それらの諸外国の危惧に対応いたしまして、日本側といたしましては、輸出をする者が十分その当該国のダンピング防止法の法令を十分考慮して、輸出をしておるのだという態勢を整え、又示す必要があります関係上、こういう條項を設けたような次第であります。
次に第五十一條は船積に対しまして、緊急の必要がありました場合に船積を差止める規定でございますが、これはここに書かれておりますように、特に緊急の必要があると認められる場合に限られるわけでありまして、例えば或る国が為替をリバリユーしたというふうな場合、先般スターリング地域が為替の切下げをいたしましたときも、数日間船積を差止めたのでありますが、その他各国との決済協定を一定の時期に整理する必要上、極く短時日の間、船積を差し止める必要が起るのであります。先般香港との支拂協定を整備するためにも、そういうことが行われたのでありますが、そういうふうな特殊の場合におきまして、一月以内の期間を限つて貨物の船積を差止めるということでありまして、非常事態に対応する規定でございます。
第五十一條までは輸出に関連する規定でありますが、次の第五十二條は輸入に関する規定でございます。輸入につきましては輸出と若干趣が違うのではございますが、輸入につきましてもできるだけ民間の創意、工夫でやつて頂くという関係から、統制も止むを得ずやるにいたしましても、そのやり方についていろいろ工夫を加えなければなりません関係上、外国為替予算の範囲内で最も有利且つ有効な貨物の輸入を図りますために、輸入者に対しまして政令で定むるところによりまして、輸入の承認を受ける義務を課することができるということにいたしたのでございまして、外国為替予算につきましては、本法の第三章第十六條から、第二十條に規定をいたしておりますので、そこをちよつと振り返つて頂きたいのでございますが、十一頁の第三章外国為替予算というこの項でありますが、従来、戰前におきましても輸入貨物につきまして、輸入許可なり、或いは輸入為替の許可制が布かれておつた場合に、こういう外貨予算を作りまして、或る程度それを公表して、その公表された数量の限度内においては、或る程度自由に取引をして貰うというふうな方法は採られなかつたのでありますが、今回のこの輸入に関する統制の方法といたしましては、先ず輸出の関係、或いは各国との通商協定の関係、その他を勘案しまして、外国為替予算というものが決定をされるのであります。外国為替予算の決定機関といたしましては、この総則の第三條に書かれておりまする閣僚審議会というものが内閣に設置をせられまして、そこでこの外国為替予算というものが作られるのであります。その外国為替予算の範囲内におきまして、最も有利な、且つ最も有効な貨物を輸入をして貰うということになるわけでありますが、そのやり方といたしまして現在考えられておりますところは、政令で主なることは規定されるのでございますが、これもいずれ法案を御審議願いますときに、政令案の要網を御説明申上げることに相成ろうと思うのでありますが、
〔委員長退席、理事玉置吉之丞君委員長席に着く〕
先ず閣僚審議会が作成をいたしました外国為替予算というもののうち……、これを全部公表するわけではございませんが、その場合々々に応じまして、許可なり承認の申請を認めるであろう商品につきまして、部分的な外貨予算というものを通産省が先ず公表することに相成るわけであります。貨物を輸入しようとする者は、この公表の範囲内におきまして、為替銀行に輸入許可申請書を出しまして、その承認を受けることになるわけであります。外国為替銀行は果してその輸入に必要な外貨資金があるか否かということにつきましては、外国為替委員会に照会いたしまして、その承認を受けました後に、為替銀行が輸入承認書を発行することに相成るわけであります。外国為替委員会がこの為替銀行から参ります照会に対しまして承認を與えますのは、照会の順序に従つてやるというふうな考え方をしておるのでありまして、これらの点を政令で定める予定になつております。一口で申上げますと、そういう種類のものにつきましては、いわゆる早い者勝の輸入が認められることに相成るわけであります。それが輸入のまあ原則に相成るわけであります。
その原則に対しまして一つの例外があるわけでありますが、それは需給の不拘衡な物資につきましては、早い者勝にやるということも許されませんので、それらの需給の不拘衡な物資につきましては、閣僚審議会におきまして、早い者勝でやらない、いわゆる外貨資金の割当制をやるべきであるという、割当制をやるべしと決めた商品につきましては、通商産業大臣が物資の主務大臣といろいろ協議の上、需要者なり又は輸入業者又は販売業者に対しまして、外貨資金の割当ということを行うのであります。その外貨資金の割当を行います場合は、割当証明書を交付いたしますので、輸入者はその割当証明書を添附して為替銀行に輸入の許可申請をいたしますれば、原則といたしましては、為替銀行は為替委員会に一々照会をするのでありますが、この場合におきましては、照会をする必要がなしに、外貨資金の割当証明書が添付されておれば、直ぐ輸入の承認をすることに相成るわけであります。これは一つの例外に相成ろうかと思います。次に又原則が早い者勝の輸入に相成ります関係上、一人の業者が投機的に非常に多くの量のものを輸入許可申請する場合も考えられますので、品目毎に一人の者が一定定期間内に輸入し得る限度というものを決めるわけであります。例えば或る商品については二〇%とか、或る商品については三〇%とかいうふうな限度を決めることになります。尚公表された以外の地域から、特殊の必要があつて輸入をしなければならんというふうな場合には、これも承認を受ければそういうことが可能になる。
尚輸入貨物の代金の決済方法は、為替委員会の規則で決めることに相成るのでありますが、標準的な決済方法でなく特殊の決済方法で以て、輸入貨物の代金を決算するような場合におきましても、特別な承認を得るということになろうと思うのであります。尚その早い物勝の輸入を防ぎます。……。早い者勝の商品につきまして輸入申請の殺到を防ぎますために、
〔理事玉置吉之丞君退席、委員長着席〕
それと輸入申請をした者が輸入の実行を保証するという意味合からいたしまして、輸入申請をする者については一定限度の担保を国家に提供をして頂くことに相成るわけであります。
條項が飛びますが、第五十五條におきまして、担保の提供に関することを規定いたしておりますが、貨物を輸入しようと思う者は、政令の定めるところによりまして、当該輸入の実行を保証するために保証金云々を提供する義務を課されることがある、二項といたしましてその者が当該貨物を輸入しなかつたときには、その担保物を国庫に帰属させることができるというふうな規定をしておるのでありますが、今申しますように、早い者勝の場合の輸入申請の殺到を防ぐと共に、輸入の実行を確保するために、そういう保証制度と言いますか、担保の提供をさせるというふうな仕組を考えておりまして、それらのことは何れも政令で以て規定する予定に相成つております。
尚第五十三條は、若しも輸出入業者がこの法律に基きます命令なり、或いは処分に違反した場合に、一年以内の期間を限りまして、輸出入を禁止することができるというふうなことを規定しております。
尚第五十四條は税関長に対する一部権限の委任と、その税関長を指揮監督することの規定でございまして、別段御説明申上げる必要もなかろうかと思います。
大体御説明申上げる点はその程度でございますが、要するに輸出につきましては、できるだけ自由な方法を採らんとしておりますし、輸入につきましても、外貨資金の関係上、一応輸入の承認ということが必要でありますが、それもできるだけ為替銀行の窓口で、自動的に事柄が運ぶように規定をせんといたしておるのでございます。
法案に規定いたしますところは、非常に漠然として多くのものを政令に讓つておりますが、大体以上で以て説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/20
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021・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 尚質疑もあるだろうかと思いますが、何れ明日から合同審査にかかりますので、その時に讓りまして、本日尚後で請願、陳情の小委員会をお聞き願おうと思いますので、一応当委員会はこれにて散会したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/21
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022・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それではこれにて散会いたします。
午後三時五十六分散会
出席者は左の通り。
委員長 小畑 哲夫君
理事
島 清君
廣瀬與兵衞君
玉置吉之丞君
委員
栗山 良夫君
小杉 繁安君
境野 清雄君
阿竹齋次郎君
宇都宮 登君
鎌田 逸郎君
宿谷 榮一君
結城 安次君
政府委員
通商産業技官
(資源庁生産局
長) 田口 良明君
説明員
通商産業事務官
(通商局次長) 松尾泰一郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00719491124/22
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