1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月五日(水曜日)
午後一時四十九分開議
出席委員
委員長代理理事 松永 佛骨君
理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君
理事 岡 良一君 理事 金塚 孝君
理事 金子與重郎君
幡谷仙次郎君 丸山 直友君
亘 四郎君 堤 ツルヨ君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 林 讓治君
出席政府委員
厚生事務次官
(医務局次長) 久下 勝次君
厚生事務官
(保険局長) 安田 巖君
委員外の出席者
参議院議員 中山 壽彦君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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四月四日
委員伊藤憲一君辞任につき、その補欠として渡
部義通君が議長の指名で委員に選任された。
四月四日
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一五三号)(予)の審査を本委員会に付託
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された。
本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任に関する件
精神衛生法案(中山壽彦君外十四名提出、参法
第三号)(予)
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一五三号)(予)
医療法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
四八号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/0
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001・松永佛骨
○松永委員長代理 これより会議を開きます。
まず小委員補欠の選任の件についてお諮りいたします。去る四月一日医療制度に関する小委員及び社会事業振興に関する小委員の渡部義通君が委員を辞任されたに伴い、医療制度に関する小委員会及び社会事業振興に関する小委員会において、おのおの小委員が一名欠員になつておりますので、この際その補欠の選任をいたしたいと存じますが、この選任の手続に関しましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/1
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002・松永佛骨
○松永委員長代理 御異議なしと認め、再び委員に選任された渡部義通君を医療制度に関する小委員及び社会事業振興に関する小委員に指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/2
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003・松永佛骨
○松永委員長代理 次に健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし審査に入ります。まず政府の提案理由の説明を求めます。林厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/3
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004・中山壽彦
○中山参議院議員 提案理由の御説明を申し上げます。
現在精神衛生に関する法律といたしましては、精神病者監護法と精神病院法の二つがございます。精神病者監護法は明治三十三年の制定にかかるものであり、また精神病院法は大正六年につくられたものであります。前者につきましては制定されましてから五十一年間、後者につきましては制定後三十三年間、その間いまだ一回も改正を見ずして今日に至つているのであります。当時の精神病者の推定数は十万ないし二十万と言われておりましたが、今日においてはその数六十四万人に及び、なお今回の法案で精神障害者として対象といたしました精神薄弱者及び精神病質者を加えますと、実に三百二四万人ないし四百万人の多きに及ぶことになるのであります。かく精神衛生の面における治療及び保護対象が増加いたし、また精神医学もその間に急速の進歩をいたして来たにもかかわらず、これを規律する法律はいまだに明治年間の衣を着たままであります。
精神病者監護法はもつぱら精神病者の不法監禁を防止することを主たる内容とするものでありまして、題名は監護法でありますが、実質は精神病者の監置法ともいうべきものであります。すなわち精神病者を監置できる者を保護義務者に限つたことがそのねらいでありましていわゆる座敷牢の制度を特定の者について合法化したものとも言えるのであります。しかし座敷牢制度の制限だけでは精神病者は救われないことも明らかであり、それから十七年後に制定された精神病院法は、精神病院を府県に設置し、犯罪傾向のある精神病者、身寄りのない精神病者をまず収容することにいたしたのであります。
この二つの法律によつてまかなわれて来た精神衛生行政の現状を見まするに、現在全国における公立及びこれに代用される精神病院のベット数は二万床を持つにすぎません。欧米における施設は人口二百人ないし五百今に対して一つの率でベットを整備いたしております。わが国の現状は人口四千人に対して一つの率でありますから、これを国際水準に比べますと、いまだその十分の一を満たすにすぎないのであります。このペット数の不足から、現在病院に収容することができず、座敷牢にある者の数は二千六百七十一人に達しておる実情であります。健全な社会の発展のためには、身体に対する衛生と並んで、精神衛生が不可欠であることは申すまでもございません。それは車の両輪ともいうべきものでございます。
ここに提案しようといたしまする精神衛生法案は、この立遅れ、取残されて来た精神衛生行政の車を一刻も早く前進させまして、心身ともに健康なバランスのとれた国民社会が達成されることを願つたものであります。
法案の大要について申し上げますと、第一に、この法案は、いやしくも正常な社会生活を破壊する危険のある精神障害者全般をその対象としてつかむことといたしました。従来の狭義の精神病者だけでなく、精神薄弱者及び精神病質者をも加えたのであります。第二に、従来の座敷牢による私宅監置の制度を廃止して、長期にわたつて自由を拘束する必要のある精神障害者は、精神病院または精神病室に収容することを原則といたしました。これがために精神病院の設置を都道府県の責任とし、また入院を要する者で経済的能力のない者については、都道府県において入院措置を講ずることとし、国家はこれらの費用の二分の一を補助することといたしました。
第三に、医療及び保護の必要な精神障害者については、警察官、検察官、刑務所その他の矯正保護施設の長のように、職務上精神障害者を取扱うことの多い者には通報義務を負わせるほか、一般人はたれでも知事に医療保護の申請ができることにして、その医療保護が必要であるにかかわらず与えられざる者なきを期して、国民のすべて協力する態勢をつくりたいと考えたのであります。
第四に、人権蹂躙の措置を防止するため、精神病院への収容にあたつては、真の病気域外の理由が介入しないように注意いたしました。すなわち精神衛生鑑定医の制度を新たに設け、その二人以上の鑑定の一致あることを病院収容の条件といたしたのであります。
第五に、自宅において療養する精神障害者に対して巡回指導の方法を講ずるほか、精神衛生相談所を設けまして、誤つた療養による弊害を防止するとともに、さらに進んで精神衛生に関する知識の普及に一般の努力を払うことといたしました。
第六に、精神衛生行政の推進と一層の改善をはかるため、精神衛生審議会を厚生省の付属機関として設置し、関係行政庁及び専門家の協力によつてこの法律の施行の万全を期することといたしました。
以上が精神衛生法案に盛られた内容の大要でございます。何とぞ慎重御書議の上御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/4
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005・松永佛骨
○松永委員長代理 本案に対しまして御質疑はございませんか。別に御質疑もないようでありますから、次に医療法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
御質疑はありませんか。御質疑もないようでありますから本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。
午後二時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X02219500405/5
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