1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十五日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
四月二十四日委員会小杉イ子君辞任に
つき、その補欠とて川上嘉市君を議長
において指名した。
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本日の会議に付した事件
○生活保護法案(内閣提出・衆議院送
付
○派遣議員の報告発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/0
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001・山下義信
○委員長(山下義信君) これより委員会を開会いたします。日程に入るに先だちまして御報告いたますことがございます。当厚生常任委員会の専門員であります木村盛君が昨日遂に死去されました。誠に哀悼の至りに堪えません。明日午後一時から一時三十分の間自宅において告別式が行われますので、皆様のお許しを得まして厚生委員長が葬儀委員長になることにいたしたいと存じます。御了承を願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/1
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002・山下義信
○委員長(山下義信君) 成るべお繰合せ下さいまして、明日は御会葬をお願いしたいと存じます。以上御報告いたして置きます。日程に従つて生活保護法案の審議を続行いたします。本日は衆議院から修正案が回付せられまして、当委員会におきまする本付託に相成りましたので、衆議院の修正案につきまして、便宜上政府当局者からその要点について御説明を願いまして、然る後厚生大臣に対しまする一般質疑に入りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/2
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003・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 衆議院におきまするところの修正案につきまして、御説明申上げます
修正案の第一は、第五十一条の第二項の次に、第三項としまして新しい項目を設けることにいたしておるのでございます。これは指定医療機関に対しまして違反がありました場合に「その指定を取り消すことができる。」という規定が第五十一条の第二項にあるのでございますが、この指定の取消をいたしまする場合に、医療機関の側に対しまして、弁明の機会を与え、及びその弁明につきまして、弁明の日時、場所及び処分をなすべき理由を通告しなければならんという規定を設けまして、この取消を慎重にするという規定を第三項に設けたのであります。
それから第二の点は、第五十三条でございまして、第五十三条の第二項の次にやはり第三項を設けたのでございますが、これは指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を審査することを都道府県知事の権限として認めておるのでございますが、これに対しまして、この審査について一定の審査機関というものの意見を聴いた上で決定をすることが適当であるというので、審査の際に一定の審査機関の意見を聴くという規定を第三項に設けたわけでございまして、その機関といたしまして、社会保険診療報酬支払基金法に定めてありますところの社会保険診療報酬につきましての審査の委員会、或いはその他の適当な審査機関というもの、どちらでも適当なものを決めまして、そのものの意見を聴くというのが適当であるということで、審査機関に関する規定を第三項として設けたものでございます。
これに関連いたしまして、附則の第七項の次に第八項を作りまして、これで社会保険診療報酬支払基金法の一部の改正をするようにいたしたのでございます。これは只今申しましたように、社会保険診療報酬支払基金法による審査委員会に生活保護法にありますところの診療報酬の請求の審査をいたすことにいたしますれば、社会保険診療報酬支払基金法の審査委員会につきまして、若干の修正を加えませんと、そういうことができないことになりますので、当然五十三条の三項を新しく設けたのに伴いまして、支払基金法の十三条の二項の改正、それから十三条の二項を三項にしまして、その内容を改めまして、第十三条の第一項の次に又一項を新たに設けました。これはそれぞれ支払基金法がそれぞれの、何と申しますか、生活保護法によりますところの審査をすることになりますれば、その審査を決定いたしますところの都道府県知事との間に、保険者と同じように契約をするということ、及び生活保護法によりまするところの診療報酬の決定につきまして意見を求められたときに意見を述べることができるという権限の規定を明かに設けたわけであります。それから次に保険法の第十四条のところは条文整理でございます。それから十四条の三の第二項の次に設けましたものも、これもやはりそれと同じような条文整理でございます。十九条も同様でございまして、大体支払基金法によります審査委員会が、この生活保護によるところの審査機関になりますことができるということにいたしました関係から来ましたところの条文の整理でございます。次に第七十二条の第一項の中の改正でございますが、これは第七十二条の第一項におきましては、或る市町村の区域の中にありますところの保護施設、或いは指定医療機関に他の市町村から保護を委託いたしておりまする場合に、その他の市町村が委託いたしまして支払わなければならないところの保護者並びに保護施設の事務費を、その当該所在の場所の市町村に繰替支弁をさせることができるという規定が設けられておるのでありますが、それができるものが保護施設又は指定医療機関に、第七十二条の第一項におきましては限定いたしておるのでありまするが、保護施設或いは指定医療機関でないものにおきましても、要援護者、要保護者が委託されておるものにつきまして、これと同じように繰替支弁ができることを設ける必要があると認められるものがあるので、そのものにつきましてもできるようにいたしますための改正でありまして、「その区域内に所在する保護施設又は指定医療機関」という所を「その区域内に所在する保護施設、指定医療機関、その他これらに準ずる施設で厚生大臣の指定するもの」といたまして、その範囲を拡張いたしたものでございます。
次の第八十四条の第二項を新たに設けましたものは、法人が違反行為をした場合、或いは第二に法人の代表者或いは代理人、使用人、その他の従業者が違反行為をした場合におきまして、行為者を罰する外に法人或いは人に対しましても更に刑を科することができるという規定を設けませんと適当でないというところで、普通いう両罰規定をここに設けた次第であります。これは実は、普通こういう規定を入れなければならないのでありますけれども、その内容について従来の書き方というものが今日においては適当でありませんので、どういうふうに明かにするかということが、この法案を出しまするときまでは決まらなかつたのでありますが、大体法案を出しました以後におきまして一応の形式が一定いたしましたので、それに従つてこの改正が加えられたと思われるのであります。
次に附則におきまして、法の施行期日が四月一日になつておりますのを、法案の審議提出の遅れましたことによりまして、この施行期日を一ケ月延長するということにいたしたものでございます。
大体以上が改正案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/3
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004・山下義信
○委員長(山下義信君) 只今の衆議院の修正点についての説明につきまして、御質疑がございませんか……私からちよつと伺いますが、第七十二条の衆議院の修正点ですが、「その他これらに準ずる施設」というのは、どういうものがあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/4
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005・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在考えられますものは国立の光明寮、或いは国立の身体障害者更生指導所、その他身体障害者福祉法に基ぐ福祉の施設というようなものがこれに該当するものがあると考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/5
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006・山下義信
○政府委員(山下義信君) 一般質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/6
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007・中平常太郎
○中平常太郎君 本員は前回質疑をいたしておつたのでありますが、時間の都合上約半分程残してありますので、これから逐次質疑をいたしたいと思うのでありますが、どうか連続質疑の形態をお許しを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/7
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008・山下義信
○委員長(山下義信君) よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/8
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009・中平常太郎
○中平常太郎君 第二十四条第四項は私はどうも了解ができないのでありまするが、不必要なように思われるのがあるのでお伺いするのでありますが、如何なる場合でも通知の要がある筈なのに、三十日を経過したなればへ申請を却下したものとみなすことができる、こうなつております。却下をそう急ぐ必要はない。調査というものは、場合によつては遠方にいるところの親族の保護者の調査することがあるし、調査の方法によつては、三十日を経過する場合があり得るのであります、するのでありますから、三十日経過した、補助が発動しなかつたからというて、大旱の雲霓を待つがごとき状態にいる要保護者が、三十日経過して通知がなかつたら却下されたものとみなされて、それはたまるもんですかと私は思うのですが、それなれば、少くともこれは通知しなければならん、どういうわけで……何も通知せずと抛つておいて、ひとりでに申請が却下されたものとみなすということは、如何にも不親切であると思うのです。これは三十日かかろうが、四十日かかろうが、暇が要も場合には、却つて中間報告を保護者に向つて、あなたの保護については、調査中であるから遅れるということを公文書で以つて市町村が本人に通知するのが義務であると私は思う。この点をどういうわけで、そういう冷酷な第四項を設けられたか、その点を先ずお伺いいいします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/9
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010・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) この点は、私の方の気持を申上げますると、第三項にありまする通りに、決定は十四日以内にしなければならないのが原則でありまして、調査等に日時を要する場合におきましても、三十日までしか延ばすことができないようになつているわけであります。而も三十日まで延ばす場合におきましては、その理由を明示いたしまして、これを延ばすということの通知をしなければならないことになつております。そういうことにいたしておりまして、三十日経ちまするまでの間に、保護を開始するか、しないか、或いはその保護の内容はどういうことにするかということを決定しなければならんことになつておりまして、三十日を越すということは、どうしても許さないというのが建前であります。ただ、市町村長が怠慢でありまして、これを三十日間何も言わずに抛つておくということになりますると、保護の開始の決定もありませんし、又保護をするとか、しないとか、何とも言われないで、何らの処分がないということにつきまして、これに対する救際の道がどこにも出て来ないということに相成るのであります。保護の内容につきまして、或いは保護を拒否したことにつきまして、これに対する救済の手段は、後の方に設けられておるのでありますが、そういう何らの処分をいたしませんと、救済の手続を発動することができません。従いまして市町村長が怠けておりまするときに、これに対しまする救済の発動ができないということは適当でありませんので、申請者の側におきまして、そういう場合においては、申請却下されていないが、これは却下されたものであるということにいたしまして、直ちに救済の手続を発動することができるという規定を置いて置かなければねらない。そういうようなことから、この場合におきましては、申請者が申請を却下されたものとみなすことができるということにしてありまして、申請者の意思で申請は却下されたものとみなして、救済の手段を発動することができるというようにいたすために、この規定を特に設けた次第であります。従いまして、若しこの規定がございませんと、そういう場合には、申請者は何ら救済の手段を持つことができないということになりまするので、どうしてもこういう規定がなければららんというように考えております。ただ我々といたしましては、市町村長の側におきまして、三十日の間何ら手続をしないということは、これは市町村長といたしましては、一つの義務違反というものが、責任の欠如というものが、そこにあるということによりまして、これに対しまする監督は厳重にいたさなければならんというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/10
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011・中平常太郎
○中平常太郎君 一応の道理が伏在いたしておりまするように思います。ただ義務違反が極めて明瞭になつて、そうして第二に発動し得る権利に移るということについて明確に御答弁を得ましたのでありますが、こういうことは、得てして、そのままになつてしまつて、第二の申請権利、救済権利というものが大抵抛棄されてしもう、普通の場合はそれでおじやんです。三百代言みたいなものが被保護者であるならば、それはなんのかんのと理窟を付けましようが、厚生大臣にまで及ぶでありましようが、大抵の場合、泣き寝入りになつてしもう。だから法で生きるものは百人に一人くらいしかない。九十九人まではこの法で殺される。私はこの点が親切がないと言う。だから三十日になつたなれば、どうしていけないかということの理由を、義務違反があるとか、調査のために遅れておるということの理由を保護者に通告する必要がある。それで第二の発動をする、こうしなすつたらいいということまで、そこに注意を与える必要がある。そういふことが何もなしで、ぽかんと首を切つたように捨ててしまつた形で、後は第二に発動する救済手段を、お前はしたければしなさいというような、弱い者に権利の、むずかしい権利をお前の方で選択して、第二の手段を採れよと言わんばかりの方法は、親切が足りないと私は思うておるのであります。それは議論の分れるところでありますからあれですが、その場合に、市町村長は、保護の要否を誰に審査せしめるのでありましようか。民主的な方法、或いは機関というものは、どういうようなものを使うようになるのでありますか。決定の要否、やる、やらんということの要否は書面調査、実地調査もして、調査したものの報告を聴いて、市町村長は決めるのでありますが、何か決めるまでの、要否を審議する機関があるのですか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/11
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012・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 保護の要否を決めまするにつきましては、市町村長が補助機関といたしまして、第二十一条にありまするところの社会福祉主事というものによりまして、実際にその世帯の家庭の状況がどうであるとか、収入の状況がどうであるとかいうことを実地に調査されまして、その調査ができましたならば、当然現在ではその基準と両方から見まして調査の、保護が必要であるかどうかということが決まつてくるということに相成るのでありまして、従いましてその間その調査が正しいか、間違つているかということだけが問題になるのであります。従いまして、ここにおきましては、社会福祉主事という、そういう調査をいたしまするに必要な知識を持つておりまする者を置きまして、この者をして調査をさせる。それによりまして決定するということに相成るかと思います。従いましてこの場合に、調査しました事実があるにも拘らず、これに対しまするところのその事実に反して、自分の、市町村長の任意で保護をするしないということはできないわけで、若しそういうことがありました場合には、それは違法な処置ということになりまして、やはり救済の対象と相成るわけでございます。
尚先程お話がございました、三十日を過ぎてまで延ばすというこは、我々の方では認めたくないのでありまして、ここにあります通りに三十日までしか特別の場合にも延ばすことができないのでありまして、三十日が経ちましたならば、経つてまでやらないというのは、市町村長の怠慢ということになると思う。それ以上延ばす、やたらに理屈をつけて延ばすということを認めるいうことは、我々はいたしたくないと思います。我々は最高三十日ということを採つております。その場合において、救済の手渡を発動する時期を作つて置かなければならんのでありまして、この場合に、この規定を設けまて、救済の時期を作る、これは申請者が却下したものとみなすが、法律上当然却下されたものとみなすのではないのでありまして、三十日が三十一日、三十二日になりまして、処分がありました場合には、それは別に却下したものとみなさずに済むということもあり得るのであります。市町村長が怠慢でありましても二、三日延びたという、こういう場合には、その申請者の方におきましては、三十日経つたからといつて申請を却下したとみなすということはできない。そういう趣旨によりまして、大体こういうような規定の方が我々としましては穏当ではないかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/12
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013・山下義信
○委員長(山下義信君) ちよつと私今の問題に関連して私から伺つて置きたいと思うのですが、市町村長がこの保護の決定をするにつきまして、いろいろ思案に余り社会福祉主事の、いろいろ報告、調査を見て、目分り職務としまして、市町村長がそれを決定するのでありますが、どうも思案に余るというような場合におきましては、今中平委員の質問は、それについて何か相談をするような機関を市町村長が持つようなことに指導するかという質問であつたのでありますが、そういう場合は、市町村長が決定するについて迷いましたようなときには、第二十二条のように、いわゆる民生委員に協力を求めるという建前で、個人の民生委員に相談する場合もありましようし、意見を聴くこともありましよう。或いは民生委員の地区的な、現在で申しますと民生委員協議会というものがありますが、そういうふうな数人の民生委員のグループに相談するような場合があるか、或いは又、今中平委員の質問しましたような、そういうふうな決定についてできるだけ民主的な方法でやろうという考えから、市町村長が、それぞれ市町村条例等を作りまして、これらの保護の決定に、本法に基きましてその市町村長が決定するについて、市町村長がおのおの何か審議会、市町村長の諮問機関のようなものを市町村条例等で作るというような場合がありましたならば、これは都道府県知事の監督権限もありましようが、本法の運用等につきまして、そういう場合等に対しましては、本省の指導方針はどういうふうなお考を持つておられますか、関連して伺つて置きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/13
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014・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 大体只今委員長から御質問がありました点につきましては、一応我々としましては、個々の問題についていろいろ生活事情の問題等もありまする関係上、なかなかいろいろ問題があろうかと思うのであります。そういうような場合におきましては、御指摘の通り、第二十二条によりまして、民生委員或いは民生委員協議会というものに対しまして協力を求めるという必要があろうと思つてありまするし、又そうしなければならんものであるというふうに考えております。尚我々の方の考えといたしましては、その外に都道府県の社会福祉主事というものの中に、そういう指導を特別にする有給専門職員の中の、特別な専門課というものを設けまして、それによりましてそういうふうな場合に、ここに相談に行けばなかなか専門的なむずかしい問題についても、技術的な面については、そちらで以て悩みを解くようにする、何と申しますか、又社会的な、一般的な社会環境的なものであつて、民生委員に相談するが適当であるというものにつきましては、民生委員に相談するというような各種の方法を講じまして、そういう悩みを解決するようにいたしたいというふうに考えております。そういうふうな意味におきまして、社会福祉につきましては、都道府県知事のところにこれを置きまして、十分に指導をさせるようにいたしたい。これもなかなか適当なる人を養成することが今後の大きな問題であろうと思います。この点につきましては、十分慎重に処置をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/14
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015・中平常太郎
○中平常太郎君 その問題につきまして、私質問したいと思いましたところが、委員長が大変詳しくされましたので、その点は大変よろしい御返答を受けまして、それでよろしいのですが、ただここに社会福祉主事というものが、全国に三千名と言われておりますから、先ず一県には七、八十名となりますが、一県で七、八十名と言いますと、百万平均でありましても十万に七名、そうすると一万に一人いない。そうするとまあ普通一箇村に一名はない。市でも、五、六万の市なら一名の乃至二名ぐらいじやないかと思うのでありますが、それは立派な人が選ばれはいたしましようけれどもが、その人が対象者を調査する場合におきまして、どうしてを手落もあるし、又感情の加わる場合もありましようし、そういう人の一人、二人の調査したことで直ちに市町村が決定するとうことは、これは極めて危険なように思われるので、民生委員という問題を必ずくつ付けて、民生委員の常任委員会あたりへ出して貰つて十分に審議しなければ、決定というものは人の生活に及ぼすのでありますから、極あて慎重に、人の生活の決定はない、自分の生活を決定すると同じくらいに一生懸命にやつて貰わなければいかん問題でありますが、これは大事なポイントでありますが、尚県においてもそういう達識の者を置いて協力せしめるというお話がありましたので、相当その辺の注意を払つておられる只今の答弁でありまますから、その点はそのくらいにして置きまして、私はできる限り一つの案例、市町村条例なり何かによつて、ただ一人の人の主事の意見で以て直ちに市町村が決することなく、覆審制にして置いて頂きたい、こう思うておる点をお伺いしたのであります。
次に第二十六条でありますが、「市町村長は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、すみやかに、保護の停止又は廃止を決定し、」とあるのですが、二十六条の、こういうことは必要がなくなつたというのは、どの程度健康にして文化的な生活に行つたとの実証を確認して後を言うのか、保護する必要がなくなつたというのは、健康にして文化的な生活水準になつたということを実証されて、確認されておつての意味を含んであるかどうか。例えば人間並みの着物を着て子女の養育から家庭の衛生方面から、これは大体において一般生活者と大して変わらない状態にあるのを、いわゆる自立更生しておると認めておるのを、その状態を指して必要がなくなつたと言われておるのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/15
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016・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 先程の問題につきまして一言申上げて置きますが、社会福祉主事を三千人に限つておるつもりではないのでありまして、都道府県及び厚生大臣の指定する市町村におきましては、一定の基準で以て必らず社会福祉主事を置かなければならんことになりますので、指定を受けた限りはそれだけに相当する職員を置かなければならんことになるわけであります。大体三千人という人数はこれを社会福祉主事とは関係ないというふうに御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/16
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017・中平常太郎
○中平常太郎君 三千人と前に聞いたのですが、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/17
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018・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 三千人は来年度地方職員の増員の数が二千名、従来千人ばかり補助職員を出しております。これをつまり補助職員の数です。補助なしに社会福祉主事を置かなければならんということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/18
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019・中平常太郎
○中平常太郎君 社会福祉主事ではありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/19
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020・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) そうではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/20
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021・中平常太郎
○中平常太郎君 社会福祉主事は全国に何人ぐらいできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/21
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022・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 市町村を指定いたさなければなりませんので、その市町村を指定いたしまして基準を決めますれば、基準以内で以て各市町村に置きますところの人数が決まりますので、一若し全国の市町村が決まりますれば、とにかて少くとも一万以上のものが指定しなければならんことになろうかと考えております。現在ではこの法律によりますれば、一応全部を指定するということには相成つておりませんので……
それから次は第二十六条におきましてては「被保護者が保護を必要としなくなつたとき、」と申しますのは、その者が、この法律に言われる保護が必要でないということでありまして、従いまして、この法律によつて考えられておりまするところの、最低限度の生活がみずから営むことができるように相成りました場合におきましては、生活保護の必要がなくなることに相成ろうかと思います。その場合におきましては、他の保護は或いは必要であり場合もあり得るかと思います。それから医療保護をいたしております者につきましては、その病気の治りました者につきましては、その必要がなくなるということになるかと思います。大体ここに書いてありますのは、この法律によりまする保護が必要なくなる、こういうふうにお考えになつて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/22
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023・山下義信
○委員長(山下義信君) 中平委員にちよつと伺いますが、大臣に対する御質疑がございましたら、先にして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/23
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024・中平常太郎
○中平常太郎君 今日は主に項目になつておりますので、局長の答弁で十分と思いますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/24
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025・山下義信
○委員長(山下義信君) よろしうござ心ます。続行して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/25
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026・中平常太郎
○中平常太郎君 次に第二十八条でありますが、二十八条から始つておりまする条文の中に、「立ち入り」という文字があります。この文字はそれから後にも沢山使われておりまして、極めて不快な文字と私は思うのでございますが、立入調査の条文があるが、立入とは、余りに刑事犯人などの人を扱うように聞える虞れがある。苟くもこの憲法によつて定められた基本権利であるところのものが、いわゆる敗戦後の、特に最近政府の政策の影響が大きく響いて、自分の所為でないところの悲惨な運命に突き落されているような被害者、一種の被害者ではありませんか、それを救い出すということは、それは国家の責任ではないかと思うのです。政治の要諦は、一方に強力なる国運の伸展を図り、他方においては、その政策から来るところの落伍者を、健康にして文化的な最低限度の生活を保障しなければならんのであります。国の義務であると同時に、保護者受ける者かち言つたならば、国民の権利である。その義務行使の場合においては、政府の調査事項が起るのは当然でありますが、今少し穏やかな文句を使われたらどうか。この法案の第五十四条には、医療機関に対しまして適当な文字が使われてあるようであります。例えて申しますれば、実地調査という文字が使われておつて、「立入」という文字は使つてないのでございます。内容調査とか、そういうような書き方で結構だと思う。居住の場所に立ち入るという文字を使わないでも、場所において実地に調査を行うというとか、こうやればよいので、こんな耳障りな文字は排すべきではないかと私は思うのですが、こういう文字をわざわざ使われたというのは、どういうわけか。余りに保護者に対して屈辱的な、侮辱的なものではないかと私は思うのですが、その点御答弁願たい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/26
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027・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 立入という言葉は、それ程強い意味は持つておらないと考えておるのでありまして、ただその場所に入るということだけでございます。つまりその場所に入れるかということだけでございまして、実際に刑事犯人とか、そういうような場合だけに使われておるのではないのでありまして、行政上いろいろな場所に入るという場合には、従来立入という言葉が使われておりますので、その言葉を使つただけでございます。別にこれで以て、それ程相手が悪いことをしておるという観念は全然持つておりません。又ここに書いてありますのも、ただその場所に入つてという言葉を、ただ入りというのでは、言葉が少し生温るいと言いますか、少し法律用語らしくないというので、立入りという言葉を使つたというだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/27
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028・中平常太郎
○中平常太郎君 この点に議論のあるところでございますが、私はそれで打切つて置きます。次に、ちよつと後に返りますが、十一条にあります教育扶助でありますが、教育扶助は、あれは義務教育費として解してよろしいか、高等学校あたりに入つておる子供を持つておるところは、扶助が打切られていつもおるのでありますが、そういうところにも、やはり相当英才が出て来ることもありますので、これはまあ育英の方面で救済ができると思われておるのか。高等学校へ入れようと思つたならば、扶助が打切られて、家計が行き詰つてしまうというような状態が、いつも起つて来るのでありますが、この点はどういうふに打開するおつもりか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/28
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029・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 教育扶助という言葉ですと別に義務教育に限るわけではないのですが、この項におきまして、義務教育に一応限りましたのは、現在の段階におきましては、法律といたしましては、最低限度の教育と申しますと、義務教育に限られるというふうになろうかと思います。そういうところから、第十三条におきまして教育扶助の範囲を決めまして、義務教育ということにいたしておるのでございます。高等教育以上になりますればその方面の教育扶助をいたしますることは、まあ現在の段階といたしましては、まだ最低生活よりは高いということになるのではなかろうかというふうに考える次第であわりす。ただお説の通りに、高等教育を受けております者が、途中におきまして教育を受けられなくなるといつたような場合に、どちらが扶助として得策であるか、得策というとおかしいのでありますが、適当であるかということになると、いろいろ問題になると思いますが、それらの点も考えたのでありますが、現在におきましては、やはり義務教育以上の扶助をするということはまだ行き過ぎではなかろうかというところで、こういうような規定をいたしたのであります。御指摘のありました、高等教育を受けておりました家庭の補助を打切るかどうかという点でございまするが、これにつきましては、十分考究いたして参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/29
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030・中平常太郎
○中平常太郎君 第三十五条にあります出産の扶助は、産院の利用の場合などは大変費用が増大いたしますが、費困者は多く裏店のようなところで、子沢山で、一室に皆うずくまつておるというところで、出産をすることが大変困難であり、又不潔であります、予後が産褥熱などが出て大変本人も苦しむことが多いのでありますが、そういう出産扶助というのは、自宅を意味しておるようにも聞えるのでありますが産院などを利用するという場合には看護人を付けて行かなければいけません、その他物を移動せしめるための費用とか、或いは附添とかいうて、相当費用が嵩みますが、この出産扶助というものは、そういうことに対して、その費用はどういうことになるのか、これをちよつとお伺いりたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/30
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031・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 出産扶助につきましては、児童福祉法によりまするところの産院に入りまする場合には、これは児童福祉法に規定するところの産院の処置の方で行くわけでございます。その他のものにつきましては、出産扶助といたしましては、現在では居宅で出産するというのを建前にいたしております。従つて、金銭給付を多くやるという建前を採つておるけでございます。従つて、そり内容につきましても、第十六条にありまする通りに、分娩の介助、分娩前及び分娩後の処置、脱脂綿、ガーゼその他の衛生材料というようなことになつておるわけでございます。ただ医療出産の場合におきましては、これは自宅ではできませんので、その場合におきましては、これは医療扶助といたしまして、医療の方で処置するということに相成るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/31
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032・中平常太郎
○中平常太郎君 この第十六条の二ですが、「前項但書に規定する現物給付のうち就労のために必要な施設の供用及び生業に必要な技能の授与は、授産施設若しくは訓練を目的とするその他の施設を利用させ、」と、こうありますが、こういう場合におきましては、一括生業扶助というような、現物給付というような問題は、その委託をしておるところの授産場の施設へ委託費として交付するというような途があるのでありますか、その点。
それからもう一つ続いて申上げますが第三十八条で、要保護者とあるのは、養老施設などで保護施設もありますが、できない…用を弁ずることができないとあります。独立して日常生活の用を弁ずることができない、できないということがあるのが、要保護者でありますが、これは誰ができないと断定するのか、やはり社会福祉主事というものなり、或いは今の先程申上げました補助機関なりが決めてできないとするのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/32
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033・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 第三十六条におきまするところの利用させる場合におきましては、その市町村、つまり保護をいたしまするものがみずから施設を持つております場合には、その施設を利用させて、施設の経費は市町村が持つておりますので、施設を利用させるという方針を採るし、持つてない場合におきましては、他の施設を持つておりますものに委託をするというふうな方法につきましては、経費は、これは前段のものにおきましては市町村等が自分で経費を持つておりまするし、それから後段のものにおきましては委託をさせるということに相成るわけであります。
それから日常生活の用を弁ずることができないかどうかということの認定でございますが、一応これは市町村長が認定することに相成ります。従いましてその認定に必要な資料は社会福祉主事がこれを集めるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/33
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034・中平常太郎
○中平常太郎君 次に第六の方の、同じ条項でありますが、第六の、授産施設とありますが、授産施設には能力の限られたるものになつておるのでありますが、失業者で、職業安定所へ行つても職がない。補導所へ行つても入れてくれない。規在の補導所というものは大体大工の手間が旋盤工を養成するくらいのもので、職種が限られておる。万人が入ることができない。それも一県下に大体二ヶ所か三ヶ所くらいで、平均一ヶ所に二三十人くらい入れたら一杯になつた、そういうふうなことで、現在失業者の救済をすることはとてもできないのであります。適当な職のあるまで差向き授産場へ行つて五十円でも取りたいという切なる希望を持つて授産場へ来るものが沢山ある。これらにも、お前はここへ来てはいけない、失業者だから安定所へ行けと言うべきか、行つても職がないので安定所も困りぬき、その上本人に職がなければやがて餓死するか、或いは悪に陥るか以外にはないのであります。こういう場合に、安定所の証明書を持つて臨時に授産場へ働きに来るものがあつた場合に、就業さしてよろしいかどうか、又いけなければその人をどう取扱えばよろしいか。ただ生活保護法にかけて、家の中で仕事もせずに寝て遊ばして置くのかどうか。授産場へお前は来られんと言えば、どこへ行くか。生活保護の金を貰つて寝ているより仕方がない。これに対してどういう打開策がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/34
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035・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) ここの第六項の規定におきまして、「身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、」云々、こう書いてありますのが、それを対象にいたすことがこの施設の目的ということになつておるわけでございます。それを阻害しない限りにおきまして、それ以外のものを收容するということは、これで禁止するものではありません。ただ主たる目的がその方にあるわけでございますから、その目的の障害にならない限りにおきましてやりますることにおきましては、何らこの法においては制限するという趣旨はないのであります。ただ御承知の通りにそういうふうな目的があります限りは、その目的の方の邪魔になるようなふうにまで他の者をこれに入れるということになりますと、これは当然目的に反するということになるかと思います。それから現在考えられております授産施設の整理に関連いたしまして、只今お話のような一般失業者をこれに入れるという点でございますけれども、これは過渡的の段階といたしまして、従来の授産事業というものをこの際一応整頓しようという機会でございますので、若干只今申しましたことよりも厳格に取扱うことになるかと思います。或る程度の整理が終りました上で、実情に即した運営をするようにいたして参りたいと考えております。一応整理の終りますまでは、只今申しましたよりは厳重な措置をとるということは、これは御了承願いたいというふうに思つているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/35
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036・中平常太郎
○中平常太郎君 つきましては私も、只今は授産場の整理期てありますから、厳重になさるのが当然でありますし、又そうなければならんのでありますが、ただ気遣うところは、職がなくて安定所へ行つても使つてくれるところがないという人が、働きたいという余りに授産場へ来て、一時でも、五十円でも百円でも取りたいというのを止める必要はどこにもない。だからそういう場合であつたら、安定所の方から証明書でも貰つて、何ヶ月の間とか、或いは適当な職があつたら通知するからそれまで授産場へ行つておれというような証明書を貰うとかしたならば、授産場は公然とこれを入れて仕事をさせていいのかどうか。そういうのは全員の一割二割程度のものなら差支ないというのかどうか。固より身体に障害のある限られた人を入れることにおいては、それは積極的にやらなければならないことも、私設社会事業と雖もそれは認識しておりますからよろしいが、困るものが日常訪ねて来て仕事さしてくれというのにさせないということは、なかなか授産場してはやりにくい。だからして安定所の証明書を持つて来い、こう言つて安定所から、適当な職がないから、補導所も満員だから、この人を一時使うてくれんかというようなことがあつた場合に、私は使つてやつていいかということをお伺いするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/36
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037・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 先程申上げましたように原則といたしまし、この法律の書き方からいたしますれば、今お話になりましたようなものを入れてはならないということにはならないのであります。ただ先程申上げましたように、現在整理の段階にありまするからそのものについて、これを入れてよろしいということを、その整理が終りますまでの間申上げることはできなかろうという実情でございます。但し先程申しましたものは保護施設でありますところの授産施設でございますから、保護施設以外の、いわゆる社会事業法によりまする授産施設につきましては、必ずしもそこまで厳重に限られる必要はなかろうというふうに考えております。ただ全体として考えておりますことは、授産施設の中で保護授産施設というものを今後できるだけ充実して参りたいというふうに我々は考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/37
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038・山下義信
○委員長(山下義信君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/38
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039・山下義信
○委員長(山下義信君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/39
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040・中平常太郎
○中平常太郎君 授産場が仕事をしまして、そういう限られた人によつてできたところの品物が、これは一方から売つて行かなければその資本の循環ができない。事業が円滑に年中行うことができないのでありますからして、できたものはどんどん市販へ出て売つて行かなければならない。そういう場合において、社会事業法によれる授産場であつた場合に、附加価値税が入るか入らんかという問題です。地方税法を読んでみますと、固定資産税などというものは社会事業の分野におきましては入らないことになつておりますが、ただここに出て来る品物を売つて行く場合には一つの市販へ出て売る、或いは原料を買うというようなことをしてやつて行くところの私設社会事業、いわゆる社会事業法によれる社会事業の授産場であつての売買行為、これに附加価値税が入るか入らんか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/40
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041・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 現在の地方税法におきまては、すべて全般的に税が免除されるようになつていないと思います。外の施行令におきまして、特別の措置ができる場合が一応規定されているのでありますが、これは社会施設全般には相成つておらないと思います。将来社会事業基本法を作ります場合に、その点につきましてはできるだけ財務当局とも折衝いたしまして、基本法によりましてしつかりしたものになつたものについては、できるだけ有利な条件をつけたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/41
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042・中平常太郎
○中平常太郎君 それなら社会事業法によれる社会事業でやつている授産場は附加価値税を取られるわけですね、今度の地方税法で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/42
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043・木村忠二郎
○政府委員(木村忠三郎君) 一応現在では取られることになつているように記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/43
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044・中平常太郎
○中平常太郎君 それから固定資産税は取られんようですね、読んで見ますと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/44
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045・木村忠二郎
○政府委員木村忠二郎君 これは取らとられないことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/45
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046・中平常太郎
○中平常太郎君 私はこの法案に大変期待しておつた、施設の増加をする方面に、どうもしつかりとしたあれが出ていないのでありますけれども、朦朧としておるのでありますが、第四十条の第四項に、支障のない限り廃止、縮少、休止を認めておりますが、現段階におきまて、而も失業より来るところの各種の悲劇が日常起きている今日、施設を増加せしめる積極的な条項がどうも各章を通じて発見できないのであります。「都道府県は、保護施設を設置することができる。」とこうある。今日の世相を政府は何と見ておられるであろうか。施設はあつてもなくてもいいものであれば「都道府県は、保護施設を設置することができる」という工合でもよかろうけれども、なくてはならならんものであるなれば、何故に都道府県は保護施設を設置しなければならんという必須条件にしなかつたのか。それでも施設はまだまだ全国で足りない。足りないならば法の上において十分に謳つてこそ設備の完備ができ、拡張ができるものであろうと思う。而も政府がそんな考を持たずに「都道府県は保護施設を設置することができる。」というような、そんな、やつてもやらなくでもいい、やれる金があればやれというような情けない考で政府は保護施設が殖えると思われますかどうか。世相から見て要保護者というものは増加の一方でありますが、従つて施設の不足は一層甚だしい。かかる現状であるが故に是非ともこれは都道府県では必須条件にしなければならんのでありますが、そういう方面は謳わずして、ただ廃止じや休止じやということばかり、直ちに廃止せい、直ちに休止せいといような、廃めることばかりこの法案には明かに謳つているが、廃める方の側というのは何も抛ておいてもひとりでに潰れて行くので、何も心配して法にまでそんなことを謳つておく必要はない。拵える方こそ法に謳つておかなければならん。この点政府の方針を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/46
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047・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 保護施設が現段階におきまして足りないということは申される通りでありまして、それで都道府県は保護施設を設置しなければならないというふうに書くということにつきましては、設置しなければならないということになりますれば、全部を收容しなければならないということなるのでありまして、直ちにこれを都道府県に申しましても実際には不可能であります。従いましてこれをやらせますために必要なる補助を行いまして、その補助の限度におきまして作らせるというような方法を採らなければならないだろうと思います。従いましてこの保護施設の設置の奨励につきましては、予算的措置を講じましてできるだけ補助予算を多くいたしまして、これによりまして奨励をいたして行くことが適当ではないかと思います。従いまして法案といたしましては、やはり設置することができるという程度でなければ適当でないのでありまして、設置しなければならないと書いておいて、実際には設置きないものがあるという状態ではよくない。一応設置することができるということにして、今後他の方法を以て奨励いたすということで、現在各種の補助の規定もありまするし、これに対しまして補助の予算を十分……十分と申しますか、できるだけいたしまして、そうして設置の奨励をいたしたいど考えております。
尚体止する場合におきまして、休止をしなければならないということは言つてないのでありまして、やはり休止ずることができる、縮少することができるということでありまして、この場合にこの規定がございませんと、只今申上げましたように要らなくなつた場合には自然にそれがなくなつてしまうていうことでございますが、要らなくなつても、黙つているおいつまでもこの保護施設というものを置いておかなければならないということになるのでこの通りに廃休止になる保護施設は、保護に支障のない限りはできるのでありまして、この場合に支障のある場合はできないという規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/47
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048・中平常太郎
○中平常太郎君 私の質問はもう少しございますが、又機会を得て……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/48
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049・山下義信
○委員長(山下義信君) この機会に、今回院議を以ちまして、たまたま金沢市に開かれております民生委員全国大会に調査派遣を命ぜられましたので、その報告をさせて頂きたいと存じます。
私の出席いたしましたのは、総会と翌日の部会とでございましたが、部会の中では、第三特別委員会と第一特別委員会とに出席いたしまして、生活保護法の審議に関連いたしまする大会参会者の意見を聴取いたしましたのでございます。第三特別委員会におきまして、社会保障制度と生活保護法との関係につきまして社会保障制度の促進要望がございました。又授産場の整備通牒の真意が不徹底でありまして、十分に理解いたしかねるような声がごさいました。又結核病患者の保護対策につきまして確固たる施策の強い要望がございました。第一特別委員会におきましては第二十二条の求められて協力する条文にりきまして、強い不満の声がございました。又民生委員協議会の存置方を非常に要望いたしておりました。又今回の生活保護法の改正によりまして市町村長が保護の決定するように相成れば、市町村長は公選であるから、これが市町村長の選挙に悪用されるようになるであろうというようなことを論じておりました。更に社会福祉主事の設置につきまして種々批判の声が出ておりました。尚要保護者の状態調査につきましては民生委員諸君は年来の経験者であり、事情通でございますので、その調査につきましては飽くまで自信がありまして、その民生委員の能力につきまして十分利用されるように考慮せられたいという意見が依然として強いものがございました。以上は大体の民生委員の声として私が聴取した点でございますが、具体的にそれらの意見を総合いたしまして、この際政府に伺つておきたいと思いますることが一、二ありますので、この点を質疑いたしておきます。
尚只今申上げましたような大会におきますところの参会者の意見につきまして、私共の意見を尋ねられましたにつきましては、一応適宜答弁をいたしておいたのでございます。
私の伺いたいと思いまするのは、第二十二条の協力につきまして、尚詳細に協力の方式をもつと明確に規定したらばどうであろうかという意見であります。どういうふうに協力をするのであるか、協力の範囲とか方法とかいうようなことが明確でないという非難でございます。これは起案者、政府におきましては、どういうふうに考えられたのでありましようか。これが第一点。
それから第二点は、社会福祉主事についても協力をする、市町村長及び社会福祉主事の求めによつて協力するということでございます。社会福祉主事にも協力せにやならん。その社会福祉主事の職務権限交本法に明確でない、社会福祉主事の職務権限が明確でないから協力のしようが夢一、どういう職務権限を持つておるかということを、何故この法律で明らかにしておかなかつたか、こういうのであります。
それから第三点は、不服申立の制度につきましてそれらの決定に対しましてはでき得る限り民生委員の今後の活用を、そういう点に、何と申しますか、都道府県知事の決定にり」ての諮問と言いますか等々、先程も質疑に出ておつたのでございますが、できるだけ民生委員の意見を聽くようにする御意思があるかどうかという点であります。
以上の三点につきまして政府の所見を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/49
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050・木村忠二郎
○政府委員(木村忠二郎君) 民生委員が市町村長及び社会福祉主事の行う職務の執行について協力するというのは、市町村長及び社会福祉主事が行う保護事務の執行につきましては、如何なる面におきましてもこれは協力することができる。それだけの能力を与孝てあるわけでございます。従いまして、保護事務の執行に伴うどの部分かと言えば、全部に亘るということに相成るわけであります。それから社会福祉主事につきましては、市町村長の事務の執行の補助でございますからして、この生活保護法に規定レでありますところの各種の事務は、すべて社会福祉主事がこれをやらなければならないということになつておりますし、又やる権限も持つておるわけであります。ただ最後の決定はこれは市町村長がなさなければならんのでありますけれども、その決定に至るまでの各種の事務及びその決定せられた事柄の執行につきましては、社会福祉主事が全面的にやらなければならないということになつております。ただ社会福祉主事というものの置かれておる数及び能力というものによりまして、その限度が現在の所におきましてはあるわけでありまして、又将来におきましても、これはあるものと考えなければなりません。従いましてこの法律の協力機関としてはそれぞれの画全部についてできますし、文社会福止主事の能力に応じまして、この協力の範囲というものは、異つて来ると考えなければならんものと思つておるわけであります。尚民生委員はその本来の立場からいたしますれば、この法律の執行という意味でなしに、要援護者というものの援護と、うものにおきましては、あらゆる方臓におきまして“それに対しまして隣人、としての活動というものかあるべきでありますし、なければならないのであります。それは生活保護の面においてやることもありますし、兒童福祉法の面においてやる面もありますと、又職業安定のような問題、それからその他各種のその生活に関連いたしまするあらゆる問題につきまして、何と申しますか、公の機関との間の橋渡しというものは当然しなければならないことである。それが民生委員の置かれた理由であると考えるのでありまして、従いまして、法の執行の面におきましては單なる協力機関でありますけれども、その法の執行がうまく行くようにする民間側の組織といたしましては、全面的に大きな活動をしなければならん分野があろうかと考えております。救護法が施行されます前におきますところの、昔の方面委員の活動、又生活保護法のできます前におきます方面委員の活動というような面におきましては、非常に広汎な分野におきまして方面委員が活動しておつたわけでありまして、その面が生活保護法という非常に複雑な法律の執行のために極めてその活動が制約されておりましたのが、この際払充されるわけであります。その活動が十分行われておる場合におきましては、社会福祉主事並びに市町村長の仕事を行う、画におきまして、極めて大きな便益が与えられると考えるのであります。そういうような面から、外からこれに対しまして働きかけるというふうな立場と、従いまして不服の申立におきましても、要援護者の側に立ちましてできるだけ不服の申立をするように民生委員が十分援助するとい与必要があります。又そうしなければならんものである、又それを期待しております。つまり市町村長並びに社会福止主事の仕事につきまして、まだ十分自信を持つて我々としては完全にできるとは考えておらんのであります。ただこれに対する外部の批判者としての民生委員の立場というものは、どこに我々は重きを置かなければならんか一考えておるのでありまして、そういうふうに生活保護法とか兒童福祉法という自由な立場に立つた一つの機関として活動を期待するというのが、我々の今後の民生委員に対する態度であると申して差支ないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/50
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051・山下義信
○委員長(山下義信君) 結論といたしまして、民生委員が民間特志奉仕者としての新たな方向への切替につきましては、社会福祉のために大いに働くという熱意を依然として持つておりながら、その熱意を如何なる方式によつて具現化するかという新たなる道への覆み方につきまして、何と申しますか、生れ出する苦悶とでも申しますか、というようなものが相当漂うておるように私は見たのでございます。従いまして折角の民生委員のこれらの熱意シ新制度の上におきましても十二分に発揮し得るように、今後民生委員の新たなる指導方針、新たなる指導対策というものが、而も強力なる指導対策というものが、ここに具体的に政府当局において樹立されなければならないのではあるまいかと考えられます。即ち換言いたしますれば、全国民生委員はこの新しい生活保護法に即応する具体的指導方策を望んでおるもののように考えられたのでございます。政府当局者は然るべく一考せられまして、適当な対策を樹立せられたいことを希望いたします。
尚参会者一同の熱望といたしましては、生活保護法は衆議院の手を離れまして今や参議院に審議が移つておりまするので、民生委員一同の希望いたしまする諸点について十分御審議を仰ぎたいという強い要望がございましたので、この点申添えまして、私の報告といたします。
以上出張議員の報告につきまして御了承願いますることに、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/51
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052・山下義信
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めまして、出張報告は終ります。それではこれを以て休憩いたします。
す午前十一時五十一分休憩
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午後一時五十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/52
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053・山下義信
○委員長(山下義信君) 休憩前に引続いて開会いたします。請願及び陳情を審査いたします。速記を止めて下さい。
午後一時五十一分速記中止
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午後三時四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/53
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054・山下義信
○委員長(山下義信君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれで散会いたします。
午後三時五分散会
出席者は左の通り。
委員長 山下 義信君
理事
今泉 政喜君
藤森 眞治君
委員
中平常太郎君
草葉 隆圓君
井上なつゑ君
穗積眞六郎君
国務大臣
厚 生 大 臣 林 讓治君
政府委員
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部長) 飯島 稔君
厚生事務官
(社会局長) 木村忠二郎君
厚生事務官
(社会局保護課
長) 小山進二郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714237X03219500425/54
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