1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月二十三日(木曜日)
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本日の会議に付した事件
○公職選挙法案(衆議院提出)
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午前十一時三十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/0
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001・小串清一
○委員長(小串清一君) それではこれより委員会を開会いたします。いろいろの修正意見が出ておりますから、順次これを御審議願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/1
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002・岡本愛祐
○岡本愛祐君 私の修正したいという点は大体三つあるのです。それは第一は、第八十七条に関するものでありまして、それはこの百十九条第一項、又は第二項の規定によつて同時選挙を行う場合において、一つの選挙における公職の候補者となつた場合は、同時に同時選挙をやつている他の方の選挙における公職の候補者となることができないという規定を附加えたい。これは何故かと申しますと、一番早い例が東京都の例を取ります。東京都議会議員の選挙と、それから区会議員の選挙と同時に選挙を行うことが従来から行われております。そのときにこの区会議員だけを実は本人は目指すわけでありますが、作戦上都議会議員の方にも候補者となつて置かなければ非常な不利があるのです。それで今までは少数の人しかそれに気付いていなかつたのですが、どうしても区会議員になるには、同時選挙において都議会議員の方の候補者に立つている方が非常に有効なんです。それはどういう理由かと言いますと、選挙費が二重に使える。つまり都会議員の選挙費と区会議員の選挙費とこう二重に使いまして、実はそれを区会議員の方に内実では使つて行く、そうすれば人よりか二倍以上の選挙費が使える。それから人情というものは妙でありまして、都会議員には選挙しないけれども、区会議員の方にはせめて入れてやろうというふうになりまして、その結果従来の成績を見ますと、都会議員と区会議員とどちらにも立つて、而も都会議員の方に力を入れなかつた人がもう断然高位になつているのです。それで近頃はそれが気付かれて、区会議員に立つには、同時選挙の場合には都会議員の選挙にも立つて置かなければならないという傾向になつている。これは是正して欲しいという声が現在の区会議員の連中にももう通説になつている。だからこの修正を出して、従来の弊害を除きたい、将来にそういう弊害の出ることを防ぎたいという理由です。
それから第二点は、百八十七条の第一項の問題である、これは今度の公職選挙法案によりまして候補者の選挙費用は制限されるのです。ところがこの公職選挙法案によりますと、これまで衆議院側に質問して確めたのでありますが、第三者が候補者と意見を通じないで選挙運動をいたします場合に、その第三者は幾ら選挙費用を使つてもいいという規定にこの公職選挙法案はなるわけなのであります。それでは誠に候補者の選挙費用を制限したのは意味をなしませんので、それでこの百八十七条を少し修正をして、その弊害を除きたいと思うのであります。どういうふうに直すかというと、この百八十七条の原案は、「立候補準備のために要する支出及び公職の候補者又は出納責任者と意見を通じないでする支出を除く外、選挙運動に関する支出は、出納責任者でなければすることができない。但し、出納責任者の文書による承諾を得た者は、この限りでない。」こういうふうにあるのでありますが、その「公職の候補者又は出納責任者と意思を通じないでする支出」ということを除きまして、そこに「電話による選挙運動に要する支出」と改めるのです。そうしますと、「立候補準備のために要する支出及び電話による選挙運動に要する支出を除くの外、選挙運動に関する支出は、出納責任者でなければすることができない。」とこうして置いて、「但し、出納責任者の文書による承諾を得た者は、この限りでない。」とこういうふうになるわけである。それでここに法制局でアレンヂして貰いました修正案として出ておりますのには、実は「文書による承諾」という、この「文書による」を削つてしまいたい。「但し、出納責任者の承諾を得た者は、この限りでない。」このくらいにして置かないと、余り窮屈になりますから「文書による」を削りたい。これを附加えて頂きたいのですが、この原案で行きますと、第百八十七条第一項中、「公職の候補者又は出納責任者と意思を通じないでする支出」を「電話による選挙運動に要する支出」に改める。但し書中、「文書による」を削ること、こうして頂きます。
それから第三番目は、これはもうしばしばこの委員会で申しましたが、少し前に戻つて恐縮でありますが、百三十一条に関するものでありまして、これは衆議院側の公職選挙法案の原案によりますと、全国区選出議員の選挙におきまする選挙事務所は、一つの都道府県においては五箇所まで設けることができることになつておる。これは甚だ不思議なんでありまして、地方区選出の場合は、交通困難の状況でないところは二箇所までしか作れない。例えば滋賀県なんかは二箇所、地方区選出の場合は二箇所しか選挙事務所が作れない。ところが全国区の方は滋賀県に五箇所作れるという規定になつておる。これは甚だおかしいのでありますから、これを改めまして、第二項の但書を次のように改める。「但し、一の都道府県においては、その都道府県において設置できる参議院(地方選出)議員の選挙における選挙事務所の数を超えることができない。」つまり地方区選出の場合と同様なふうにしか選挙事務所は設けられないと、こういうふうに「五箇所」というのを削るわけになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/2
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003・小串清一
○委員長(小串清一君) 「五箇所まで設置することができる。」という文句は削つて……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/3
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004・岡本愛祐
○岡本愛祐君 但書をすべて削りまして、そうして「但し、一の都道府県においては、その都道府県において設置できる参議院(地方選出)議員の選挙における選挙事務所の数を超えることができない。」とこういうふうに改める。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/4
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005・小川友三
○小川友三君 それはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/5
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006・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それはこの前羽仁君も賛成して呉れましたが、そうしないと選挙の建前がおかしい。地方区よりも全国区の方がその県において選挙事務所が多くできるなんというような建前はおかしい。こういうわけです。この三点について御賛成が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/6
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007・小川友三
○小川友三君 今の岡本先生のお話で第一の方ですが、同時選挙の中に岡本先生の引用された例で、つまり区会とか都会とか一緒にすることはいけないというようにして貰いたいのですが、岡本先生の御提案の場合はそれも含まれるように思いますけれども、岡本先生の御高話を拝聴したいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/7
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008・岡本愛祐
○岡本愛祐君 要旨をもう少し……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/8
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009・小川友三
○小川友三君 都会議員と区会議員と一緒に出るという場合は……地方参議院と全国参議院と両方今の法では立候補できるのですけれども、これもいけないということになると思いますけれども、それはどうでございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/9
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010・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それはもうできなくなるのです。現行法でもそれはできなくなつておりましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/10
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011・木内四郎
○木内四郎君 それはできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/11
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012・小串清一
○委員長(小串清一君) 今の岡本委員の修正意見は、昨日大体皆さんも御同意のようでありましたが、これはかように修正することについて、皆さんの態度を一先ず先刻申上ゲたようなふうに大体を決めたいと思うのですが、異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/12
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013・小串清一
○委員長(小串清一君) じやさように決定して岡本さんの案を決めます。
それから昨日私が提出しました修正案について、ここに皆さんの手許にあるこの案は、つまり文章はいろいろになつておりますが、これは法制局の第二部の方で研究をして拵えて貰つたのですが、要するに衆議院議員、参議院議員は、他の同時に他の議員を兼ねることを得ずということになつておる地方自治法を更に地方公共団体の議会の議員まで加えることになるわけで、更にそれをはつきり申しますと、公職選挙法の第八十九条第三項を削つて、そしてこの第四項を三項とすることになるわけであります。これはちよつと説明をして貰いましよう。菊井君より説明して貰います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/13
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014・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 小串委員長の修正案は、第八十九条の第三項を削りまして、地方公共団体の議会の議員が他の地方公共団体の議会の議員を兼ねるということができないようにするという趣旨であります。従いまして「地方公共団体の議会の議員は、第一項本又の規定にかかわらず、在職中、他の地方公共団体の議会の議員の候補者となることができる。」という規定を削りまして、尚地方自治法の第九十二条の第一項には「普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。」このような規定が第一項にあるのでありますが、ここに「又は地方公共団体の議会の議員」さいう規定を入れまして、地方公共団体の議会の議員は、国会議員並びに他の地方公共団体の議会の議員を兼ねることができないというようにいたすという趣旨であります。従いまして地方自治法を一部改めまして、尚且つ公職選挙法の施行法案をいじりまして、その第三十二条に経過規定といたしまして「本法施行の際現に二以上の地方公共団体の議会の議員を兼ねている者に対しては、その任期中、この法律第三条(8)の改正規定を適用しない。」このような経過規定を設けまして、この法律施行の際に議員を兼ねておる者に対しては除外例を設けて行こう、こういうような趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/14
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015・小串清一
○委員長(小串清一君) これは御意見は……
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/15
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016・小串清一
○委員長(小串清一君) それじやこれもそう仮に決めて置いて頂きます。
それから羽仁委員から御提出になつた……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/16
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017・木内四郎
○木内四郎君 ちよつと、これに関連して伺つて置きたいのですが、地方の公共団体の議員は兼ねられないけれども、理事者、市長、そういうものは兼ねることができるというのですか。どうですか。現行法ては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/17
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018・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) それは現在の地方自治法の第百四十一条に「普通地方公共団体の長は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。」という規定がありまして、第二項に「普通地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会の議員及び有給の職員と兼ねることができない。」こういうように現在規定があります。従いまして公共団体の長は、議会の議員は兼ねられないというように現在なつておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/18
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019・木内四郎
○木内四郎君 併し現に兼ねておる人があるけれども、それは経過規定でもあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/19
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020・小串清一
○委員長(小串清一君) 速記をちよつと止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/20
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021・小串清一
○委員長(小串清一君) 速記を始めて……只今木内君より御質問の問題を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/21
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022・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 地方自治法の附則第一条第二項に「この法律施行の際現に地方公共団体の議会の議員と当該地方公共団体以外の地方公共団体の長、副知事若しくは助役又は出納長というような職を兼ねる者については、これらの職を兼ねている間に限つて、今の改正規定を適用しないということによりまして、許されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/22
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023・小串清一
○委員長(小串清一君) それでは次に羽仁委員から公職選挙法案に対する修正案が出ておりますので、羽仁委員に御説明も求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/23
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024・羽仁五郎
○羽仁五郎君 昨日お手許に配付されました委員長の修正案の後と、それから本日お手許に配付されました鈴木委員御提出の修正案のうしろと、両方御覧頂きたいのであります。
第一は、先日の本委員会の討議の間に大島委員から御発言もありました警察に留置されている人の投票は、これはその刑務所にいる人が不在投票ができ、警察に留置されている人が投票ができないというような非常に不公平な取計らいでは、今できる公職選挙法の建前上如何であろうかというので、技術的に多少の困難もあろうと思うのですが、公職選挙法の四十八条第二項、四十八条は、「身体の故障又は文盲に因り、」と代理投票のところで、不在投票の一つ前のなるのですが、不在投票としてではなく、四十八条の第二項に、第一項と第二項との間に、「選挙人で、選挙の当日、政令で定める区域内において、法令の規定により抑留された者は、その請求により当該警察官又は警察吏員の監視の下に、投票所に行き、自から投票することができる。」という規定を置いて頂くことができますれば非常に有難いのじやないかと思つているのであります。
第二の点は、公職選挙法の二百六十三条に、これは先日来選挙管理委員会の方から委員長その他大勢の方々がお見えになつて本委員会に陳情或いは御要求がありましたので、選挙委員会にいろいろと御厄介になつておるのに、その御希望を無視するということはできないと思いますので、それを採り容れましたので、二百六十三条、即ち衆議院議員及び参議院議員の選挙管理費用の国庫負担、その次に、十二号にもありますが、その十二号のあとに十三号を加えて、「第六条(選挙事項の周知及び棄権坊防止)の規定による啓蒙宣伝に要する費用」というものも国庫負担にせられるように法律を以てお定めを願いたいという趣旨であります。
それから最後は、公職選挙法の二百七十条でありまして、参議院の方ではそういうことをしておらなかつたのですが、衆議院の方では、それに二項と三項とを設けられて、二項において、療養所で療養しておる人は、そこに住所があるものと推定してはならないというふうにしてしまつて、三項では、但しこれは選挙権の行使を妨げるものではないというふうにやつておられるのですが、この二項で住所がないというふうにしてしまうと、三項で折角選挙権の行使を妨げないと言つても、事実上において選挙権の行使が非常に困難になつて来る、現に従来の選挙においては、療養所に投票所をお作り下さつて、そこで療養しておる人が便宜に投票ができたのです。今までそういう便宜を与えたのに、今度は却つて非常に不便にするということは、選挙の自由を実現する法律として逆行するものではないか、そういう意味でこの二項と三項とを削除して頂きたい。参議院の原案の方には、この二項、三項のようなものはなかつたのですが、衆議院はこれをお入れになりましたが、一つ二項、三項も削つて頂きたい。そうして療養所で療養しておる人々の投票の規定については、他の一般の場合に準じた平等の取扱にして頂きたい。で投票所で現に米穀通帳といいますか、そういう何といいますか、そこに住所がある場合には、問題なくそこに住所があると考えられ便宜の方法を講ぜられて、できれば前回の選挙のときと同じように、療養所に投票所を設けるというふうな措置をとられる方がいいのじやないか、その意味から二項、三項は却つていろいろな誤解を生じ、選挙権の行使が妨げられる虞れがあるから削つて頂きたい。
以上三つが私の修正案でありますが、どうか委員会の皆さんの御賛成を得てそういうふうにして頂ければ、多くの人の喜びはこれに過ぎないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/24
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025・小串清一
○委員長(小串清一君) 只今羽仁君の御提案に対しての説明の何が、その趣旨で長期入院療養者に対する選挙法改正というような請願を細川嘉六、兼岩傳一両君から紹介されてここに出ておるのです。又その意味において二百七十条二項、三項を削除されたいという請願は、塚本議員の紹介で小田原の慈善療養所の数名の者からやはり議長にそのことを通じておりまして、まだ付託にはなつておりませんが、御参考にそれだけの御報告を申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/25
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026・小川友三
○小川友三君 今羽仁先生の御意見御尤もですが、特にこの警察署に留置されておるのを、お巡りがついて行つて投票所に行くということは、これはもうちよつと技術的に羽仁先生御研究できないかと思いますが、留置場に臨時投票箱を持つて行つて投票させてやる。お巡りさんがくつついて繩を付けて引張つて行つた恰好は、今まで発表されていないのですから、内緒で引張つて行つたら恥をかいちやいますから、警察に例えば何人か入つておる場合に箱を持つて行つて投票させるという方法に改めて頂けるように、羽仁先生の御高見如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/26
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027・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それは技術的にどうなるんでしようか。今小川委員の御質問は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/27
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028・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 羽仁委員のこの問題でありますが、大体勾留状が発布されました場合におきましては、勾留期間が可なり長期でありますので、不在投票その他の便宜の方法があり得ると思うのでありますが、拘引状或いは逮捕状によつて身柄を抑留されておるというような場合におきましては、逮捕状の場合には、地方警察吏員が逮捕いたしまして四十八時間中しか抑留できない、それでその被疑者を検察官に引渡した場合には、検察官は初めの逮捕を通じて七十二時間しか抑留できない、こういうように現在の制度はなつております。それから検察官が地方警察吏員を通じないで逮捕いたしました場合におきましても、四十八時間しか身柄が置けない、こういうような実情でありまして、その時間の範囲内において犯罪の捜査をやめなければならんというように現在の刑訴がなつておるのであります。それで若しこのような選挙の投票という行為をその間に行わせるといたしますと、非常に時間の関係においては窮屈な問題が出て来るのではないかと考えられるわけであります。尚実際問題といたしまして、警察に留置しておるというような場合におきましても、これは警察官が連れて投票場へ行くというようなことになりまして、その場合におきましても本人の属する投票区のところへ行つて投票しなければならない、例えば身柄を抑留されておる所と投票区が非常に離れておる場合には、技術的に困難な問題が出て来る、こんなふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/28
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029・羽仁五郎
○羽仁五郎君 今の御説明は、そういう御説明を伺いたいと思つて発言を求めたのじやないので、それ等についての議論は、この前委員会で十分お尽し下さつたので皆さん御承知のことですが、併しそれにしても何かの方法を講ずることが公平の立場から要求されるのじやないか。それで私の仮りの案をここに出したのです。今小川委員が留置場に投票場を作るということを言われておるのですが、それは技術的にどうだろうか、その点についての御意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/29
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030・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) 私の方から申上げますが、投票場を別に作りますと投票管理者並びに投票立会人それから投票函も作らなければなりませんし、ちよつと技術的になかなか困難じやないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/30
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031・羽仁五郎
○羽仁五郎君 不可能ではない……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/31
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032・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) 不可能ではありませんけれども、大変な数になりますし、不可能に近いと申上げた方がいいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/32
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033・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうすると、私の修正案と今小川委員の御発言の案とは、いづれが技術的に多少可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/33
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034・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) 技術的に申しますと、やはり連れて行つて貰つた方が可能なんですが、ただ犯人によるのですが、非常に兇悪な犯人のような者を連れて行く場合に、結局入口で放しますから、その間に逃げられないとも限りませんし、又その本人の属する選挙区が方々へ散らばつておる場合に非常に沢山の警察官が要るということになつて困るの質やないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/34
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035・羽仁五郎
○羽仁五郎君 私の修正案では政令で定める区域内においてということがあるのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/35
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036・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつとこの問題については大分衆議院でも議論があつて、実行不可能であろうというようなことからこの法律ができたというように聞いております。一応衆議院の法制局の部長からその事情を少し説明をして貰いましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/36
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037・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今羽仁さんからお話がありました点は、一応私共も御尤もな御意見だと思つておりまして、この前不在者投票のところで御説明を申上げました通り、監獄に収容中である者を特に今度新らしく入れましたけれども、この場合においてこの問題を当然考えなければならん問題でありまして、一応の考究がされたのでありまするが、先程来お話がありました通り、非常に技術上困難である点と、それから犯人を投票場に連れて参りまする場合におきまして、それの又社会的影響というような点も考慮しなければなりませんので、それらを勘案いたしまして、事実上現在の状態においてはむずかしいのではないかという結論で、特にこの点を入れなかつたわけでございます。尚この点につきましては、法務府当局の意見も徴しましたが、やはり同意見でありましたので、原案には入らないと、こういうことになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/37
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038・羽仁五郎
○羽仁五郎君 もう十分御討議を尽したことですから、くどく申上げるのは遠慮申上げなければならんと思うのですが、ただ一点だけ申上げて、皆さんに訴えたいと思うのです。やはり我々は嫌疑を受けて警察に留置されておる人に対しても、その人の人権を尊重し、その人の貴重な選挙権の行使ということを尊重することが、その方も人間でありますから、自分はこのような重大な嫌疑を受けて留置されておるが、併し自分の選挙権の行使については国家はこのように慎重な考慮を払つて呉れるということが、その人が人間として目覚めるという上にも非常に大きい力があると思うのです。人を低く取扱えばますます低くなるし、人を高く取扱えば次第にその人も高くなつて行くということもある。それが又民主主義の重大な点でもあると思うので、若干の技術上の不便はありましても、犯罪の嫌疑を受けた人も人間としてその選挙権が尊重されるというような方向に進んで頂くことが、新らしい公職選挙法の名誉ではないかと考えるので、どうか皆さんの御賛成を得たいと思うのであります。(「同感、同感。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/38
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039・小川友三
○小川友三君 今羽仁先生が切々たる人間愛の精神から投票権を活かすという御提案がございまして、自分も同感であります。そこで技術面の改善という点がここにあると思いますので、そこで管理委員会の方がいらつしやつておりますので、甚だ恐縮な言い分ですが、全国四十七ヶ所か五十ヶ所しか刑務所はないのですから、警察に留置された者を近い刑務所を投票所にしまして、そこに行つて便宜な方法で技術的にやつて貰うということの御尽力を賜るということが、一番安全な、犯人が逃亡できない、刑務所ですから逃亡できませんから、そこで投票して貰うと、そこで又警察なりに留置するというような方法をとりましたならば、私は非常に正しい人間を作る、人間らしい文化的な人間を作つて行くという羽仁先生の御精神が最も顕著に出て、ミスター・ウイリヤムも選挙法典を作れという言葉を打合会で言いましたが、法典という意味から申しましても、非常に立派なものができるんじやないかと思いますですが、そういうことについては技術的に可能であると思いますけれども、この点について多少の費用はかかりましても、善良な人間を作つて行く、或る人間を善良にして行くということは、その費用の幾十倍の効果があると、かように思いますですが、一つ委員長さんから管理委員会の方にいろいろ技術的な面についてお尋ね願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/39
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040・小串清一
○委員長(小串清一君) 先刻来、今日は大体を決めるというのですから……皆さんがどうしても衆議院の方へそれを問題として交渉するようにということなら、そのように取扱います。ただこれはあらゆる角度から法務府で研究され、絶対にできないということで、衆議院は可なり強く、その人の名も分つておりますが、議員さんの殊に法律家や何かの関係でも、又実際の問題で、経費やらいろんな手数がかかることと、実行は不可能であるからということで、そう決まつたということを聞いておりますから……併し一応皆さんがそれでも参議院はこうだという御意見であれば、お取次申上げますから大体決めて貰いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/40
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041・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 今小川君の御発言には刑務所と仰しやつたが、刑務所に投票所は設けられないことになるので、あなたは誤解なさつておられませんか。刑務所でなく、今のは留置所のことです。留置所は五十やそこらのことではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/41
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042・小川友三
○小川友三君 留置所の人を刑務所に投票に行つて貰うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/42
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043・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 それだからあなたの言う五十や百や二百じやないですから、留置所は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/43
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044・小川友三
○小川友三君 五十七ヶ所しかないです、刑務所は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/44
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045・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 留置所はそんなことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/45
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046・小川友三
○小川友三君 そんなものでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/46
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047・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 それは警察のある留置所のところですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/47
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048・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 誤解があつては何ですから……今小川さんからお話がございましたが、お話のありました大体の趣旨は、言葉は別問題といたしまして、法律用語といたしましては、監獄という言葉が使われておりますから、四十九条の三号で、監獄に収容中であるべきこと。ということで、刑務所に入つておる方は、今度はこれは新らしくできるということにいたしましたので、今ここに問題となつておりまするのは、只今佐々木さんからお話のありましたいわゆる警察に留置されておる……これは日本全国の警察ですから相当の数になります。その問題で、而も留置期間が四十八時間とかいう限定された範囲内で、而もその選挙の各選挙権者の選挙区は方々にある、そういういろいろな問題がこの中に含まれておることを申上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/48
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049・小川友三
○小川友三君 羽仁先生の御高見を承らなければ、先生が提案者章すから…発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/49
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050・小串清一
○委員長(小串清一君) これはどうでございますか、皆さんの御意見は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/50
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051・大畠農夫雄
○大畠農夫雄君 私は羽仁さんの修正案でいいと思うのです。今これを読みますと、その請求によりやるのであつて、本人が請求しない場合は選挙権を放棄しておるのですから構わない。ただ問題は請求した場合に、監視ができない立場にある犯人には困るからと……併し監視ができないという立場に置かれるとするならば、それは監視ができないから選挙権が行使できない立場に置かれる、これでいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/51
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052・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつとお尋ねしますが、仮に大阪の者がどこか、静岡かどつかで捕つて警察に留置された場合、本人が請求すれば、やはりその選挙区へ行つて投票させなければならん、こういうことにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/52
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053・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それは修正案を読んで頂きたい。政令で定める区域内においてと書いてあります。これは大体本人の属する投票区内において捕えられておる場合を指しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/53
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054・小串清一
○委員長(小串清一君) 委員外の議員の御質問を許してよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/54
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055・小串清一
○委員長(小串清一君) 御異議ないと認めます。では深川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/55
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056・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 警察に拘置中の人は、選挙権をまだ剥奪されるに該当するような犯罪者であるというような判決が下つていないので、その人に選挙させないということは重大な落度になると思いますので、技術的に困難であるということは何としても考えなければならないと思うのでございます。もう一つ、病院の患者さんなんか選挙させておりますが、不在者の投票という方法もあるのですから、そういうことも考えなければならないと思います。こういう考えですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/56
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057・木内四郎
○木内四郎君 私は羽仁さんの根本の考え方は結構だと思いますが、警察官吏が監視して行つて投票するというようなことは私は賛成いたしかねます。むしろ不在の投票というような方法があればいいけれども、一々何人もいるのに警察官が選挙区の投票所へ行つて投票するというようなことは私は賛成いたしません。外の方法でするならこれは別問題です。何か外に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/57
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058・羽仁五郎
○羽仁五郎君 不在投票では十分御討議になつて、不在投票でも尚技術的に困難だ、予め準備ができないのだから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/58
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059・大畠農夫雄
○大畠農夫雄君 今木内委員の言われること私達も賛成なんですが、どの方法でも構わない、要するに参政権の行使ができればいいということなのです。ただ羽仁委員の書いたことは、こういうふうな方法でなければできにくいのだからということを例示されたのだと思う。従つてこの方法が悪いとするならば、誰でも認められておる参政権の行使というものについてし何かできる方法によつてやるべきだ、こういうふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/59
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060・小串清一
○委員長(小串清一君) 皆さんの御意見をどつちか決めて頂きたい。採決ということはしたくないのですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/60
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061・木内四郎
○木内四郎君 衆議院の意向を聞くなら一応話をして見たらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/61
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062・小串清一
○委員長(小串清一君) それでは羽仁さんの修正意見も一応衆議院の意見を聞くことにして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/62
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063・小串清一
○委員長(小串清一君) それではさよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/63
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064・羽仁五郎
○羽仁五郎君 今のは私の案の第一ですが、第二、第三についてもお諮りを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/64
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065・小川友三
○小川友三君 全部同感。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/65
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066・小串清一
○委員長(小串清一君) これは全部のつもりで申上げたのですが、これはまだ本当の採決ではないのですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/66
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067・木内四郎
○木内四郎君 羽仁委員の修正案の一番最後の点ですが、病院に入つておる者、これなどは地方自治の運営上非常に支障を来すような場合があるというようなことをこの間伺つたのでありますが、そういう点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/67
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068・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今問題になつております二百七十条の病院に入院加療中の者の問題でありますが、これは私共の方の委員会におきましても、相当いろいろ議論のありました問題でありまして、最後までやはり羽仁さんのような御意見が展開されたことも承知しております。併しながらこの規定が置かれました趣旨は、相当多数の方が入つておられる病院等につきましては、そこで選挙権を行使するということになりますと、結局その人達だけでその村政を支配するというような実情が方々にあるそうでございます。そういう実情がありますことと、もう一つは、理論上の根拠から申しまして、病院の入院中である人達につきまして、そこに生活の本拠があるということは一応原則的には考えられないと思うわけでありまして、その意味からそういう人達が入院加療中の場所にその住所があるものと推定してはならないということを表現いたしまして、その人は本来その人の生活本拠のある所に住所があると認めまして、そこで選挙権を行使させるということになつたわけであります。従いましてこの規定は別に選挙権を行使を妨げる意味を持つておりませんので、或る人が入院しておれば、その家族がいる所、或いは本人が今まで住所を持つていた所を居住地として選挙権を行使させる、こういうような趣旨でございましたので、衆議院においてはさような点から特にこの点が強調されまして、非常に強い意見でこれが入れられましたことを御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/68
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069・羽仁五郎
○羽仁五郎君 只今の木内委員の御質問誠に御尤もなんですが、地方自治の関係上、多少の支障があるということ、私はその点についても、療養所に療養しておられる方がそういう意味において十分自己反省をされることを確信するものでありますが、多少それは支障なり、妥当でないようなことが起るといたしましても、療養所に療養しておられる人の選挙権を軽々しく制限することは、これは実に重大な問題である、今衆議院の方からのお話がありましたように、衆議院の方でも両方の説がおありになつて、結局最後は官僚的な簡単な御法でこういうふうに処理をされたのではないかというふうに、これは臆測でありますけれども、事実そこに住所がないというふうに……今までそういうふうにしてそこに投票所を作られてそうしてやられる、或いはその不在投票としてそこの院長が投票管理者となつてやられるというようなことが実際上には行われて来るわけであります。そうしますとこれは勿論院長が不在投票の管理者としてやるわけですが、併しその病人が非常に心細い状態であつて、院長が不在投票を管理されてやるということは、なかなか意思の自由ということが発揮できない。これは甚だ残念な例ですが、日本学術会議の選挙などの場合にも病院その他で院長がその投票をまとめられたという実際の事実がある、而もその場合に封筒の封をしないで集められたというような事実があつたということも聞いておりますが、そういうふうでは折角与えられておる選挙権の自由というものが実現できません。このことはそうでなくても肉体的に、精神的に不健全な状態にあつて療養しておられる諸君に対する精神的な影響も余程考えなければならん。それで療養所で療養しておられる人達が健全に民主主義的な方向に進んで行くということを助ける意味からも、法の建前としてできるだけ便宜を図るという堂々たる態度を以て臨んで頂きたい。そうでないと療養所で療養しておる人達の選挙権を制限するということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/69
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070・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつと、これは決まつたのですから、それはあとでやはり衆議院と論戦になつたときにお譲りを願いたい、甚だ失礼ですが…それからまだ、昨日本院から、すでに皆さんが決められて修正しようとしたのが……大体やはり衆議院と協議するつもりですが、大きな問題は昨日留保して置きました例の乗車券の問題であります。これは段々研究し尽されていろいろ意見が出ておりますので、尚本日それで鈴木委員から御提出になりました修正案と、それから昨日大体お話になつた案と二つあるわけです。皆さんのお手許に参つておるわけです。公職選挙法案修正案として昨日皆さんの御意見を伺つて大体決めたのが一つ、それから鈴木委員より修正の御意見が出ておりまして本日おいでになつておりませんから……この両案を一つ御相談することにしまして、法制局の方から説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/70
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071・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 交通機関の利用に関しましていろいろな修正意見が昨日ございましたが、その一つは鈴木委員の御提案の修正案であります。それはお手許に配付してありますものの(3)のところに書かれてあるものであります。これは百七十六条の第一項中「(参議院全国選出議員の選挙においては、都道府県を単位として通用するものに限る。)」というのを、「(参議院全国選出議員の選挙においては、全国を単位として通用するもの二枚、都道府県を単位として通用するもの十三枚)」に改めようという御趣旨であります。これはこの通りでありまして、結局全国のものが二枚、都道府県を単位しとて通用するものが十三枚、こういうように折衷的な御意見であります。それから今一つの案は、お手許に配付してございますように、第百七十六条第一項中に多少の字句の修正をいたしまして、「(参議院全国選出議員の選挙においては、都道府県を単位として通用するものに限る。」)というのを削りまして、そのあとに、参議院全国選出議員の選挙においては、その候補者の希望する都道府県を単位として通用する特殊乗車券十五枚と全国通用の日本国有鉄道の回数券十五枚或いは又日本国有鉄道の特殊乗者券、これはパスでありますが、六枚のうちいずれかについて無料で交付ができる、こういうようにこれは選択的にしようという案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/71
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072・羽仁五郎
○羽仁五郎君 この鈴木委員御提出の案の方はさて置きまして、後に御説明がありました、公職選挙法修正案の一部を次のように修正する、即た候補者の希望する都道府県を単位とする十五枚のパスと、全国通用の回数券十五枚というものを取るか、或いは全国通用の国有鉄道の特殊乗車券六枚を取るかそれは候補者の希望でいずれを選択してもよろしいというこの修正案は、今御説明になつた以外に運輸省との了解があるようなふうにさつき聞いておりましたが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/72
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073・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 特殊乗車券の枚数の問題につきまして、昨日運輸省といろいろ向うの事情を聞きましたところが、予算の枠の中からいたしますと、特殊乗車券大体六枚か七枚くらいが相当だろう、こういうようなお話でありました。今全国選挙管理委員会でいろいろ尚研究して頂きましたところが、全国区の場合に、地方区に十五枚というのはそのまま残して置きまして、十五枚の回数券というのを、回数券の代りにパスにこれを置換えますと、大体三枚くらいならば置換えることができるであろう、こういうような只今のお話であります。従いまして若しこの案をとりますれば、希望する都道府県について十五枚貰えて尚全国通用が三枚、パスがある、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/73
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074・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうするとここに三つの案があるわけですね、鈴木委員の御提出の案、それは全国議員は全国を通ずるパスが二枚と、それから希望する都道府県が十三枚、こういうのが第一案、それから第二案は、ここに出ておりますようにいずれかを選択するというので、都道府県十五枚か全国六枚、このいずれかを選ぶというのが第二案、それから第三案は、今御説明になりましたような、希望する府県を十五枚とそれから全国を通ずるものを三枚という案、この三つの案があるわけですね。このうち最もよい案を採つて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/74
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075・小串清一
○委員長(小串清一君) これは如何にしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/75
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076・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 これは鈴木君の修正案より、三枚を貰えるとすれば一枚多くなるので、鈴木君の意思と反しないと私は思う。でありますから苟くも全国に立候補なさる候補者が県単位のパスを取るのは、不見識であり不便であるからというので、鈴木君は一枚でもいいということを私語の中に話されたのでありますが、それは二枚、交渉のし方によれば三枚であるということなら無論鈴木君は異議はないと思います。私もそのようにすることが一番便利であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/76
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077・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうすると鈴木君の御提案は今の最初の第三案に包括されますから、選択を許すか、それとも十五枚と三枚というものに決めるかという、この二つの案がここにあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/77
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078・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 私のは都道府県の使用のものが十五枚と、希望によつて全国に通ずるものを三枚か、或いは回数券十五枚は本人の希望によつていいじやないかということに修正をしたらどうか、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/78
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079・小串清一
○委員長(小串清一君) 大体今の案で、一番問題になつておりました交通機関利用の問題はどう決めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/79
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080・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうすると今の二つの案、即ち全国通用のパスを六枚にするか、それとも希望する都道府県のものを十五枚と、それから全国のパスを三枚にするかという二つの案、そのうち、今佐々木委員からは希望する都道府県のものを十五枚と全国のものを三枚、或いはその三枚を回数券に置換えてもよいという御案に賛成の御発言があつたのですが、私は本日お配り下きいましたこの選択を許す方法ですね、つまり都道府県を単位として通用する特殊乗車券十五枚と、全国通用の日本国有鉄道の回数券十五枚、或いは全国通用のバス三枚、これを取るか、それでなければ全国通用の日本国有鉄道の特殊乗車券六枚を取るか、この選択が許して頂ければ、佐々木君の御希望も実現でき、我々の希望も実現できると思いますので、大体今日配つて下さつたこの修正案で決めて頂けば一番いいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/80
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081・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 その通り。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/81
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082・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつとこの二色あつて、選択するといいますが、交通当局や何とかの間がどうなるであろうか。どちらか一つになつてなくちや予想が付かないので、困るんじやないかと思いますがね。とにかく議論は抜いて、どちらでも皆さんで決めて頂きましよう。これは選択の自由が許されん場合はですね、両方の方が無論いいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/82
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083・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 選択の自由が許されん場合ではなくて、これはできるのではないか。これだけで計算をいたしてやるのですから、候補者の自由にして差支えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/83
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084・小串清一
○委員長(小串清一君) それじや大体そういうことで案を作ります。
それでは昨日各派から御提出になりました選挙区制の修正案、丁度本日深川議員もここに出席しておられますがこれを如何にするかということをお決め願いたいと思いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/84
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085・羽仁五郎
○羽仁五郎君 昨日深川議員、帆足議員等から熱心な御説明を伺つた結果、私も慎重に考えたのですが、その結果こういう結果に到達したのですが、いろいろな理由がありますが、つまりこの前の参議院の定員を決めるときに、東京都が異常な状態にあつたということは十分考慮されていなかつたのである。従つて今回に限りですね、これを修正せられるということが妥当であろうと思うのです。従つて参議院の定員数というものを非常に殖やすとか、今後必要に応じて参議院の定員をいつでも殖やすというようなことを、我々は勿論よろしいとは思わない。併しながらただ一回だけ、つまり前回二百五十名と定めたのは、東京都が当時人口的に異常な状態にあつたということを十分考慮せられなかつたのではないか。或いは考慮せられたけれども、これだけ変化が生ずるとは予想されなかつた。だから我々は、飽くまで飽議院定員二百五十名の立法の精神を尊重すると共に、その際十分考慮せられていなかつた東京都の異常な激変の状態ということを考慮して、修正するということはなさなければならんし、又なし得ることである。従つてそういう意味において、東京都の定員を四名増加して、そうして参議院の定員が二百五十四名ということに相成る。昨日の各派共同の御提案の趣旨をそういう意味において私は賛成したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/85
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086・木内四郎
○木内四郎君 定員は殖やさないね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/86
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087・羽仁五郎
○羽仁五郎君 定員は殖やす。四名だけ殖やす。その四名を殖やすというのは、今申上げたような意味で、今後そういうようなことがいろいろな所から出たら、幾らでも殖やすというのではない。我々は飽くまで二百五十名を守るが、その二百五十名が部分的にいけないところがあるから、その点だけ殖やす。即ち二百五十名を二百五十四名に改める。これは事実この前二百五十名をお定めになる時に、東京都が左程異常な状態にあつたということが十分考慮せられていなかつた結果、前述のようなことになつたのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/87
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088・城義臣
○城義臣君 羽仁君の御議論によると、今後人口の増減があつた場合に、例えば著しく変更があつた場合に、減があつた場合に、それを減ずるという御意見ですか。それでないと、私は先生の御議論は片手落だと思います。そうすると将来に悪例を残すので、東京都だけは人口に比例して定員を増減するということなら筋は通るのであるが、東京都が一時殖えたということは分るが、それだけを取上げて、全体の定員の枠をそこだけはみ出すという考え方は、私は将来問題が起きると思いますので、その点慎重に考慮する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/88
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089・木内四郎
○木内四郎君 ちよつと深川さんに伺いたいのでありますが、参議院の方の地方区の議員の定員を増すという場合には、奇数ではいけないので、偶数で増加されなけばならん。そうすると百万ぐらい殖えたと見なければならんと思いますが、深川さんのは、東京都だけのことを考えておられるか。それとも人口の激変によつて、定員二人ぐらい殖える所は他にもあるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/89
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090・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 他の県もずつと調ベて見ましたところが、人口百万以上の変化のあつたのは東京都だけであります。而も東京は二百万もございますが、ついでだから申しますが、城さんのお話でありましたけれども、勿論将来人口が或一県において極端に減つたという場合は、やはりそこは特別に改正する必要は勿論あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/90
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091・木内四郎
○木内四郎君 そうすると、結論としては、今度問題になるのは、東京都だけということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/91
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092・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 百万以上も変つているのは東京都だけだと思います。私申上げて見ましようか。この前の国勢調査の変動を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/92
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093・小串清一
○委員長(小串清一君) 全国選挙管理委員会の方でこのことを調ベてありますから、そこの関係について吉岡君の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/93
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094・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) これは私の方で調ベました人口で、官報に公示された最近の人口は、昭和二十三年八月一日の人口が最近でございます。それを仮に百五十名として、定員が殖えない計算で一応計算をいたしました。そういたしますと、東京が一三、一〇四〇になります。これを十名にするか、十二名にするか、十四名にするか、いろいろあるのでありますが、大体二名単位に分けて見まして、例えば三・一ぐらいは四に上げると、そういうようなつもりで計算をしております。大体この下から二段目の配当議員数という数字になると、これは東京だけがこれはサイクルをしてありまして、第一案においては十名、第二案においては十二名、第三案においては十四名とすると仮定しますと、減つて来る県が、第一案では、栃木県だけが減り、第二案の場合は栃木と群馬が減り、第三案の十四名にすると、栃木、群馬の外に岡山が二人に減る計算になる割合です。この細かい切上、切下の関係は書いてございますが、これを御覧頂けば、凡そ見当が付くと思います。一番最後の昭和二十四年七月一日、昨年の七月一日の人口は、厚生省で毎月統計をとつておりますが、あれによつて推計をした人口であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/94
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095・羽仁五郎
○羽仁五郎君 只今の御説明で、若し参議院の定員二百五十名を動かさないとすれば、東京を現在より二名殖やして、十名にすると、栃木県は、栃木県選出の地方参議院議員一名も出し得ないということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/95
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096・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) 栃木二名、四名が二名に落ちるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/96
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097・羽仁五郎
○羽仁五郎君 ああ、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/97
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098・木内四郎
○木内四郎君 ちよつと伺いますが、選挙管理委員会の方にお伺いしたいのですが、二百五十名というものは一体動かし得ない数かどうか。一応は二百五十名と決めたけれども、必ずしも動かし得ないというものでもないですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/98
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099・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) それはまあ仮定をして計算しただけの話ですから、それは私の方が動かさんでやるということを申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/99
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100・木内四郎
○木内四郎君 私は二百五十名という数がきりもいいし、動かさなくて済めばそれはそれに越したことはないと思うのですけれども、これに必ずしも動かし得ない数でもないようだし、而して一方において東京都が非常に人口の激変があつたのに、それだけこのままにしておく十人或いは十四人になつてもよいという案さえもあるのに、八名だけにするというのは如何にも選挙民に対して、東京都の選挙民に対して不公平だ、これはこの際二名なり四名なりや殖すということにしたらどうかと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/100
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101・小串清一
○委員長(小串清一君) それではさように、参議院の意見として衆議院へ交渉します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/101
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102・羽仁五郎
○羽仁五郎君 御決定下すつて大変仕合せなんですが、念のため申上げて置きたいと思うのですが、この参議院の全国乃至地方選出議員というものは、必ずしも人口のみによつて増減するものではないと思うのです。で、昨日もどなたか御発言がありましたように、アメリカの上院の場合には州単位にそれは定められているのである、だから私はさつき城委員から御発言がありましたが、建前としては各選挙区において、地方選出の場合各選挙区において人口の増減があつても、それによつて変るという建前をとる必要はないと思う。ただつまり前回に二百五十名が決定されたときに、東京都がこれだけの激変をするだろうということは予想されていなかつたのであります。それだけを修正する意味で二百五十名に対して四名なり何なりの増員をするのである、そういう意味であれば、衆議院も御了解があるのじやないか、参議院の定員を非常に殖やすということになると、衆参両院の制度というものの使命を失うようなことになると思うのです。今回だけというのはそういう意味でですね、御了解が願えやしないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/102
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103・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 この表で見ますると、二十一年の調査によると東京が四百十八万三千三百五十一人、それが五百五十五万一千八百人になつておるというのならば、百四十万殖えておるということであるが、この数字が違うのかどうか。そうすると大阪の場合は、二百九十七万六千百四十が三百六十万二千百と、こういうことになると、東京が四名殖えるならば大阪も二名ぐらい殖えて可なりじやないかということも言い得るのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/103
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104・岡本愛祐
○岡本愛祐君 私中座して失礼いたしましたが、この昭和二十四年七月一日現在推計人口数というのは、どういう根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/104
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105・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) それは厚生省で毎月統計をとつたおりますね、それによつて推計をした人口であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/105
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106・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それは非常に権威が持てる統計表ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/106
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107・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それはそうだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/107
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108・吉岡惠一
○政府委員(吉岡惠一君) 今のお話相当な、推定としてはいいと思うのですが、やはりこういうものを法律の基礎にするのはむずかしいことだと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/108
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109・岡本愛祐
○岡本愛祐君 なぜそういう質問をするかと申しますと、私の地方行政委員会の方におきまして、例えば自治体警察の警察吏員の定員なんかを変えて呉れという請願が方々からありまして、人口も非常に殖えておるから、前の八百人に一人というようなのではとてももういけなくなつた。千人に一人ぐらいになつておる所もあるから早く変えて貰いたいというような請願があるのです。そういうときに、それでは根拠のある人口の統計はどうなつておるかということを政府の統計局と言いますか、あの方へ尋ねますと、根拠のあるものは、昭和二十三年の八月一日現在というのが根拠のあるもので、それ以後のは根拠は余り確かでないというふうな答がありまして、いつもそこど頓挫するのでありますが、こういう大事な議員の定員の増減というようなことは、今度の国勢調査ができて施行してはつきりしたときに初めてやることが至当じやないかというふうに私は考える。誠に利害関係者の方々にはお気の毒ではあるけれども、そういう意味で選挙法においても、五年間は改正しないていうふうになつておるのじやないかと思う。
〔「同感」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/109
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110・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 御尤もなようでもございますが、私達が最初立てました統計、その基礎になつた国勢調査は二十一年の四月二十六日でございます。ところがその後今日までの間にすでに一回国勢調査が行われております。それは二十三年の八月一日でございます。そのときの表は、先生のおつしやるやうに考えますと極めて根拠のあるものでございますが、その根拠の確実なものによりましても、尚且つ東京都におきましては、百何十万という人口の増加になつておりますので、他と比較いたしましたときに非常に不公平になつております。何か衆議院の方の例によりますと、五年目ごとの国勢調査によつて、間近に行われた国勢調査に基いて人員変更をするというようなことを書いておいでになりますが、それをこちらも勿論解釈いたしますならば、やはりその二回目に行われておる二十三年八月一日の国勢調査によるべきかと思います。それでもまだ改正しなくちやいけないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/110
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111・岡本愛祐
○岡本愛祐君 その昭和二十三年八月一日現在の人口数によつて改正しなくちやならんという御議論には賛成いたします。ここに書いてございます二十四年七月一日現在推計人口表によつてやるべきじやない。(「そうじやない」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/111
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112・小串清一
○委員長(小串清一君) これは私意見を述べるわけじやありませんが、衆議院の方もやはり人が殖えておるのですから、そうすると衆議院も直さないと公平でないことになる。併し本院としては、衆議院は構わないから何でもそうやるということにお決めになるのなら、とにかく私はその通り衆議院に取次ぎまして、衆議院の方の意向を取ります。併し結論を申して甚だ恐縮ですが、衆議院の方を直さないで、こつちだけ直すことは余程困難だろうと思つておりますから、それだけ申して置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/112
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113・大畠農夫雄
○大畠農夫雄君 この参議院地方選出議員配当案によりますると、栃木県は四名が二名になりますが、これはこの案で今度選挙するようになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/113
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114・羽仁五郎
○羽仁五郎君 定員を殖やすのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/114
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115・大畠農夫雄
○大畠農夫雄君 栃木県だよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/115
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116・羽仁五郎
○羽仁五郎君 二百五十名を二百五十四名なり、六名に殖やすのですからね。減らない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/116
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117・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 衆議院を殖やさなければ参議院は殖やせないという根拠は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/117
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118・小串清一
○委員長(小串清一君) そんな根拠はありません。ただ衆議院ではそう言うだろう、参議院の方は人数によつてやるけれども、衆議院は人数は構つちやいけないということは衆議院は言わないだろうという私のただ想像を申上げたのです。だからつまり私の言うのは、可能性のあることを成るべくやりたい。不幸にして向うで非常な勢で拒絶されることになれば、甚だこつちも面目を失うことになりますから、それ故に申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/118
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119・佐々木鹿藏
○佐々木鹿藏君 私は重ねて申上げて置きます。東京を四名殖やす場合には、公平なる見地から大阪も二名を殖やすことが妥当だと考えますから、東京のみ殖やすことは反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/119
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120・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 佐々木さんの御議論は、この参議院地方選出議員配当案で証明されておりますように、大阪乃至兵庫も入口の増大は相当でありますけれども、併し割当てとしては六・五或いは五・九であつて、それで現在の定員数六に対してそう不公平にならない。ですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/120
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121・小串清一
○委員長(小串清一君) もう如何でしようか。時間も経ちましたから皆さんでとにかく参議院はこれでやるのだということにお決めになりまして、その通り私は交渉します。それから又参議院でもこれはデイフイカルトのものを無理の押して行つてもどうだろうかというお考えであるならば、その通りお考えになつたら宜しいと思います。と申しますのは、今回の法律案が初め衆議院ではそう余計直らんつもりでおりましたが、十五、六点修正になりました、これは両院協議会なり何なりで決めることでありますけれども、相当すでに時日は切迫しておるし、一方では問題を多くすれば多くする程衆議院との交渉は面倒になると私は思うのです。それで今日までにお決めになつたものは、これは参議院の確定ではございません。衆議院の方に、こういう空気であるから衆議院も是非同調をして呉れということを、私は皆さんを代表して、或いは御一緒にどなたが行つて頂いても結構であります。そうして向うの委員長と交渉しますが、今日中にはこの案の整理ができませんと思いますから、明朝には法制局の方で整理をして貰いまして、明朝衆議院の委員長だけ旅行するのです。それで明日の午前中の衆議院と交渉をして、そうして衆議院の相当のものに諮つて貰う。これは実は理解の上からいえば修正案を出して参ればいいのでけれども、それは非常に面倒だと思いますのと、もう一つ、この議案を決めないうちに一応GSの方で必ず委員長に来て呉れ、こういう命令を受けておりますから、そこで今日決められたものを持つて直ぐGSに行くと、今度は衆議院とごたごたしていたのでは非常に面目を失いますから、大体衆議院はこの辺までは同意するだろうという点を決めましてから、法律案を決めないうちにGSの方へ顔を出せというのですから、私は明日交渉をして、明日にはできませんが、明後日か月曜日までには私もGSと折衝を遂げまして、ここに改めて諸君の総意を附して修正点を確定いたして、そうして本会議に出す、こういうことに願いたい。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/121
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122・深川タマヱ
○委員外議員(深川タマヱ君) 最後に一言だけ、佐々木先生のおつしやつたことは御尤もだと思います。それと岡本先生のおつしやつたことですか、最後に二十三年度の国勢調査に基くことがどうやらいいらしくここの空気が既決いたしましたが、それに基きましたときは、大阪の人口の増加というのは僅かに五十三万でございます。そういたしますと、この際二名殖やすということは不当でございまして、その代り東京都も四名は殖やせないので二名殖やすということになるかと思います。国勢調査に基きまして二名殖やすということになりますと、只今八名でございますから十名になります。今回その半数五名改選いたします。そうして十名のうち五名改選いたしますと、あと四人残つているので一人が足りないので最後の一人は三年議員になる、こういう恰好になると思いますが、一つ御批判頂きたいと思うのが一つ。
もう一つ、衆議院の方においでになりますときに、委員長さんのお許しを頂ければ、関係地区から出ている議員も一つ同伴させて頂きたいと思います。それと関係方面においでになりますときも、若し何でございましたらお許し頂きたいと思いますけれども、これは僭越でなければ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/122
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123・小串清一
○委員長(小串清一君) 甚だ失礼ですが、これは私ら委員のうちの理事か何かに御同行願いたいと思います。これは委員として御同行願いたいのですから委員外の方が交渉することは少し如何かと思います。
以上によりまして本日はこれにて散会いたします。どうも有難うございました。
午後零時五十五分散会
出席者は左の通り。
委員長 小串 清一君
理事
城 義臣君
木内 四郎君
羽仁 五郎君
委員
大畠農夫雄君
北村 一男君
佐々木鹿藏君
藤井 新一君
岡本 愛祐君
柏木 庫治君
西郷吉之助君
宿谷 榮一君
太田 敏兄君
小川 友三君
委員外議員
深川タマヱ君
政府委員
全国選挙管理委
員会事務局長 吉岡 惠一君
法制局側
参 事
(第二部第一課
長) 菊井 三郎君
衆議院法制局側
参 事
(第一部長) 三浦 義男君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714598X01219500323/123
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