1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月八日(土曜日)
午前十時四十二分開会
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委員の異動
四月七日委員谷口弥三郎君辞任につ
き、その補欠として竹中七郎君を議長
において指名した。
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本日の会議に付した事件
○都道府県の所有に属する警察用財産
等の処理に関する法律の一部を改正
する法律案(岡本愛祐君外十四名発
議)
○地方行政の改革に関する調査の件
(首都建設法案及び小型自動車競走
法案に関する件)
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。
本日は都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案はすでに御承知の通り、本委員会の委員の各位全員の発議にかかるものでございまして、昨日その筋のオーケーのあつたものであります。今更提案理由の説明をするのも不要と存じますが、一応提案理由を申上げて置きます。
先に第五国会において制定されました都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律は、第一に、警察法施行の際、警察の用に供されていた都道府県所有の財産及び物品で、国家地方警察に必要なものは都道府県が無償で国に譲渡することとし、第二に、警察法施行後、昭和二十三年六月三十日までに国家地方警察の用に供するため、都道府県が取得した財産及び物品についても同様とする旨を規定いたしております。又警察法の附則第九条におきましては、警察法施行の際又はその施行後新たに市町村が警察の責に任ずることになつた場合において、現に警察の用に供する国有財産及び都道府県財産又は国及び都道府県の所有に属する物品で国家地方警察に不必要なものは、市町村警察に必要な場合は、無償でこれを当該市町村に譲与するものとする旨を規定しております。ところがその後の情勢の変化によりまして、国又は市町村相互間において、現在その一方の所有する警察用財産が、不必要となり、且つ他方がこれを必要とする場合において、これを無償で地方に譲渡する途を開く必要を生じて参りましたのでありまして、殊にこれまで国有財産として国家地方警察の用に供されております警察庁舍を地元の市町村警察へ譲渡するを適当とし、政府側においてもこれを認めておる場合がすでに生じておるのであります。そこでかような事情に鑑みまして、国家地方警察と自治体警察との間に、警察用財産及び物品の所有関係を、実際の必要に応じて国から市町村へ、又は逆に市町村から国へ円滑に移転し得る途を開こうとするのが本法律案の趣旨でございます。
これにつきまして御質疑、ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/1
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002・岡田喜久治
○岡田喜久治君 本件はいろいろかねて当委員会におきまして種々検討を加え、審議を行いまして、結局我々委員が各派拳つて提案の下に本立法案を提議したような次第でもあり、十分これには研究をなされているのではないかと思いますので、当面の必要は必要であろうと思いますが、大体において若し何ならば相当な進行を図られまして、討論採決等の手続にお入り願いたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/2
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003・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 別に御発言もございませんようでありますから、御異議がないものと認めて差支ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/3
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004・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。これより討論に移ります。御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/4
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005・鈴木直人
○鈴木直人君 この改正法案の内容とするところのものは、国の所有に属するものを市町村に無償譲渡したり、或いは市町村の所有に属するものを国に無償で譲渡したりという、所有権の移転に関することであるわけでありますが、従つてこの法律の改正によつてその適用を受けるものは国であり、市町村で占めるわけであります。従つて国及び市町村の所有権の関することになる関係からして、先般もそれを所管する大蔵省当局の意見を先ず聽いて見ますというと、大蔵省においても異議がないということでありましたし、又国家地方警察本部長官の意見を聽きましても、むしろこのように改正されることが時宜に適したことであるという意見もあつた次第であります。勿論全国の市町村に、これを市町村側の意見として聽くということはなかつたと思いますが、それを管轄する地方自治庁の意見は聽いたかどうか記憶はありませんけれども、市町村側においても異議はないのであると考えまするので、この法律はそういう所有権を持つておる面においても、そういう意向でありますから、私はこの法案の改正案に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/5
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006・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 外にご発言ございませんか……、外に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/6
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007・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。この法案を原案通り可決することに賛成の方は挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/7
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008・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。尚本会議における委員長の口頭報告については、委員長より予め結果を報告することといたし、御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/8
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009・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署者
岡田喜久治 三木 治朗
竹中 七郎 西郷吉之助
島村 軍次 柏木 庫治
鈴木 直人 太田 敏兄
岩木 哲夫発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/9
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010・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/10
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011・岡本愛祐
○委止長(岡本愛祐君) 次に御報告をし御審議を願いたいと思いますのは、かねてお諮りいたしてございますように、首都建設法案を建設委員会と当委員会の連合委員会を開きまして、両三回に互りまして、審議をいたしました。このときに各委員からいろいろ御意見が出たのでありますが、その中で法文上疑義が起りましたので、今日法制局長に出て頂きまして御意見を承りたいと思つたのであります。それはこの首都建設法案と北海道開発法案等を対比して見ますと、北海道開発法案の方も、北海道という地方公共団体に対しまして、各地方公共団体だけに適用する法律でありまして、この首都建設法が東京の首都だけに適用する法律案というのとまあ同様の形式に見えるのであります。ところが立法の建前といたしまして、首都建設法案の方は、その附則の第二項に「この法律は、日本国憲法第九十五条の規定により、東京都の住民の投票に付するものとする。」という規定がある、ところが北海道開発法案の方におきましては、そういう規定を設けておりません。従つて政府の方では、北海道開発法案の方は、憲法第九十五条の規定による住民投票に付する必要がないものと認めておるのであります。併し内容を検討しますと、いずれも片一方は官庁の設置法案であり、こちらも官庁たる委員会の設置法案である。ただその間に異りますのは、首都建設法の方は第十条、十二条、十三条の規定があるだけに過ぎませんので、その十条、十二条、十三条と申しますのは、住民の権利義務に影響ある、特別な影響のある条文でもなさそうに見える。若し北海道開発法案の方が住民投票が要らないとしますれば、首都建設法案の方も住民投票は要らないのじやないかという疑問が地方行政委員の方々に起つて来たわけでありますが、この点について法制局長の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/11
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012・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 先ず首都建設法案に対する関係から申しますと、この法律案は、丁度広島及び長崎、或いは今回の旧軍港市の転換法案と大体同じようなものでありまして、ただそれに加えて委員会に関する規定が加わつておるという関係になりますので、殊にこの法案の十三条でありますとか、そういう条文を見てみますと、やはりこれは東京都という自治体に関して、他の自治体と違つたこの取扱をいたしているということになりますので、一般自治体に関する法規と違つて、この東京都だけに適用される特別法という関係になり、特に普通財産の譲与を受けることができるような新しい権利義務の発生を規定しておりますから、これはやはり住民投票の必要があるんではないかというふうに考えます。
北海道の開発法案につきましては、これは專ら問題になると考えますのは、この法案の第二条でありまして「国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業」云々というこの条文が專ら問題になるのではないかと考えるのでありますが、この条文はいろいろ考え方があると考えますが、北海道という地域を押さえて、別に北海道という自治体を押さえないで、その地域の開発、而もその開発は国民経済の復興、人口問題の解決という国家全体の見地から行う事業であるというふうに取りますと、これは自治体に関する自治行政の特例というのではないということになりますと、憲法九十五条の関係はないんではないかというふうな一応考えが成立つのではないかと考えます。ただ実質的に考えまして、反射的に、こういうふうに国が北海道の開発計画事業を行なつて行くということになると、北海道の自治行政がそれだけ影響されて行くわけでありますから、実質的に申しますと、反射的には非常に影響がありますから、その特別な北海道という自治体の権利義務に影響を及ぼすということも言い得ると思いますが、その点は非常に微妙な問題であると思いますが、まあこの二条の書き方と考えまして、地域を單に押さえて、国がそういう開発計画を樹立して行くというふうに取つて、この方はまあ九十五条に該当しないというふうに解した方が妥当ではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/12
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013・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 法制局長の全般の首都建設法案に関する御議論に私は疑問があるのですが、それは第十三条に、「国は、首都建設計画に基く都市計画事業の用に供するため、必要と認めるときは、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。」こうあるのですが、これは譲与することができるというものではないのです。その「譲渡することができる」という意味はどういう意味だということを大蔵省の当局に質問したのであります。これは譲与じやないのだから、勿論無償譲渡はできない。尚、その割引もできない。普通の規定によるのだということであるならば、この法律による特別の権利義務の関係でない。それから十条、十一条、十二条についても、これはそれ程の権利義務の得喪という関係の行為ではないだろうと思います。だからどうも地方公共団体に対して住民投票に問う程の必要もないんじやないかという疑問が起るのです。それじやもう一度御研究願いましよう。それで又月曜日にお答えを願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/13
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014・鈴木直人
○鈴木直人君 それに関連いたしまして、私も必要はないのではないかという見解を発表したのであります。先般の連合委員会において発表したのであります。併しながら、それは強い確信の下に発表しておるわけじやない。ただ十三条がやや一般投票によらなければならんということを含むような条項になつておるけれども、これは非常に軽いものであり、今委員長が言われたと同じような意味であつて、そのために東京都民全体の一般投票を要求するという程度のことを強いる必要がないんじやないか、こういうことを実は考えておるわけなのであります。その内容を見ますと、首都建設委員会というものを総理庁の外局として置くということが、その内容の殆んど全部になつておる。そうしてその委員会の構成なり、委員会の機能なり、組織なりというようなものが書かれて、あつて、そうしてその内容が今法制局長が言われたように、東京都に関することを取扱う委員会ではある。従つてその委員会が東京都のことを取扱う委員会であるからといつて、これは東京都民の権利義務に直接的の効果を齬らすものではないので、考え方によりますというと、総理庁が行政するという方面の外局を設置するのだという、一つの官庁機構を殖やすのだという法案に過ぎないように思われるのですが、そういうふうな外局を作るために、そういうような委員会を総理庁の外局として作るために、それがいいか悪いかというようなことを東京都民に一億円もかけて、そうして一日を費して投票させるだけの内容があるだろうかという実際論からも考えて、そういう意見を述べて置いたわけでありますが、その後実は立案者に聽いて見ますと、この都市建設法案というものは、最初においては、相当その東京都民の権利義務に関係するような内容があつて、それが主たる目的であつたという、丁度昨日本会議を通りました、別府観光温泉都市建設法案、あれを同じように、ずつとこの直接的に住民の権利義務に関係するところの、利害関係のある要素を持つた法案がその内容の重点であつて、そうしてそれを目的としてつまり立案して、やはり憲法の条項も適用されるという観点から規定して置いた。ところがそれを立案して、段々関係方面と打合せたり、いろいろやつてみる間に、その条項というものは、殆んどそれはいけないというふうにされてしまつて、そうして実質的にはもう委員会設置法案のような出内容になり終つてしまつてただ十三条にちよつとそういうものが残つておるという程度になつてしまつたのだという過程を開いておる。そうすれば、立案当時はそういう規定は必要だつたのだが、今の段階では要らなくなつたのじやないか。併しながらその当時必要な条文がそのまま残つておるというような経過になつておるのじやないかどいうことも想像して見たりしたわけなのであります。併しながら、これは憲法の解釈に関係するのでありますからして、これは慎重に今研究をされるべきものだと思いますので、ただ私はちよつとした感じというものを、強い意見ではありませんが、八割程度の強い意見ではあるけれども、そういう疑問があるために、一応その程度の私の見解を発表いたして置きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/14
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015・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 今鈴木さんの言われましたように、私もその国家行政組織の中に、この特別の外局のような委員会及び審議会を設けて、或る特別な都市に関する事柄を審議するというふうに、行政機構を殖やすということだけの場合は、勿論これは憲法の九十五条には該当しないというふうに考えております。要するに憲法九十五条の場合は、特殊な一の地方団体だけについて、特別の負担を与えるとか、或いは特別な権利義務を生ぜしむるというような内容の法律の場合だけを考えているというふうに考えておりますので、その観点から、尚一応よく研究いたしまして、この次お答え申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/15
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016・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 外にこの問題について御質疑はございませんか。それでは法制局長から法務府並びに衆議院の法制局長とよく相談されまして、この問題は形式的、実質的に非常に大きな問題であります。東京都の住民の一般投票を煩わすということになりますし、そのために費用が五千万円乃至一億円という住民に負担を煩わすということになりますが、よく調査を願いたいと思います。それから建設委員会の方でこの法律案を審議しておりますから、その方とも連絡して下さいまして、あちらに軽卒な可決がないようにして頂きたいと思います。
尚ついでに申上げておきますが、別府国際観光温泉文化都市建設法案について、この委員会と連合審査をいたしましたときに、附則に、憲法九十五条によつて住民投票に附するという規定を欠いているのです。その点を質しましたところが、それはなくてもいいのだ、当然なんだという話でありましたけれども、そうも言い切れないというふうな私は気がする。だから気が付いたときには改めたらどうだということを連合委員会の席上で委員として発言をして置いたのであります。併しそれもやらなかつた。それはとにかくとして、第七条において、特別都市計画法の、戰災を受けた都市にのみ適用のあるべき法律が、戰災を受けない、戰災都市でない別府市に適用があるというようなおかしな規定がありまして、これも実は私共は気が付いておつた。併し誤つて別府市が戰災都市のように思つておつた。調べて見ますと戰災都市じやないのであります。大分の方は戰災都市であるけれども、別府はちよつとも戰災を受けない。そういうようなわけで明らかにそれは法案の不備である。而も本会議前にその誤りが気が付いておつた。それが修正されないで昨日本会議で議決を見ることになつたわけですから、この点は法制局でも将来よく気を付けて頂きたい。将来においてそういう法案が通るようなことのないように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/16
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017・鈴木直人
○鈴木直人君 只今委員長から法制局長に対して、関係方面と言いますか、衆議院の法制局とか或いは法務庁方面の見解を聽くようにとい、お話もありましたが、その際についでに聽いて頂きたいと思う一点を申上げてお願いしたいと思います。それは憲法の九十五条というものと、その法律との関係なんです。即ち例えば別府の法律、昨日通りました法律を例に取つて見ますれば、別府の法律の中には住民投票によるという規定が、今委員長の言う通りない。そういう際にそういう法律の条項がなくても、案質的にいわゆる一つの地方公共団体のみに適用される特別法である九十五条の適用のある内容の法律であるというふうに解釈される場合においては、この憲法の九十五条によつて、別府の法律の中にはそういう規定はないけれども、憲法九十五条によつて一般投票によらなければならないものであるかどうか、又逆に言えば、常に九十五条の適用があるという条文がその法律の中に規定されておらなかつた限りにおいては一般投票をやらなくてもよろしい。例えば例を別府に取れば、別府にはそういう規定がないから或いは憲法九十五条を適用しなければならない内容であるかも知らんけれども、別府の法律の中にないから一般投票はやらずによろしいのだというふうな解釈になるか。常に法律に規定しておかなければ九十五条というのは効果がないのであるかどうか。或いは法律に規定してあろうが、なかろうが、実質的に九十五条に該当するというものならば一般投票をやらなければならんというものであるか。その点は今どうお考えになるか、或いはもつと研究されるならばそれからでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/17
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018・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) その点につきましては、私は苟も九十五条に該当する以上は法律にそういう住民投票をやるという規定がなくても、当然やらなければならないものであるというふうに考えまして、その点は広島及び長崎のときにはそういう規定は置いておりませんけれども、当然そういうことになるものとして取扱われたのであります。ただ旧軍港転換法の場合に初めて九十五条の住民投票をやるということを特に規定いたしたのでありますが、それは四都市が全部過半数の同意がなければいけないのか、そのうちに一つだけが過半数で得られなかつた場合に、あの法律全体が駄目になるのか、残りの三軍港だけにはやはり適用があるのかということが問題になりまして、その点を明らかにするような意味で、全部が過半数のあれがなくても、過半数を得た軍港都市だけにはあの法律の適用があるということを明確にする必要上、その前提として先ず九十五条の投票をやるのだということを一項に書いたのでありまして、案は当然書かなくてもいいのを書いたということになるのでありますが、それに倣つて、九十五条の住民投票をやるのだということを書く例が段々出て来たように思いますが、これは当然なことを明かにするという意味で書いておるものであつて、それがなくても九十五条に該当することが明確である以上は、当然住民投票をやらなければならないものであるというふうに考えておりますが、それを明確にしたものが、そういう規定がなくても当然九十五条に該当する場合は住民投票が必要であると考えます。
尚先程委員長がお触れになりました別府国際温泉都市に関する法律の中に、特別都市計画法の適用があるものとするというふうになつておりますについては、参議院の法制局といたしましても特別都市計画法というのは戦災都市だけに関する規定なのだから、おかしいから一応除いて貰いたいというので、或る議員にお願いいたしまして、修正案を提出することになつて、この点についてはGHQのオーケーも参つたのでありますが、修正動議のためには二十人の署行者が必要といたしますので、その二十名の署名者を取ることができなかつた関係上、本会議で修正して頂くことができなかつたような結果になつたことを御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/18
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019・鈴木直人
○鈴木直人君 そうしますと、法制局長の見解によれば、別府……名前がむずかしいのでただ別府と略して言いますけれども、別府に関する特別法については、そういう条項がなくても法律上は差支ない、こういう見解になるわけですが、そこで又お聴きしたいのは、九十五条の適用がある法律であるということを誰が一体認定することになるか。いわゆるそれぞれの、別府なら別府、広島なら広島が独自的にそれを認定して行くのかという点がはつきりしていない。従つて私は立法としては、法律の中にこれは九十五条の適用ある特別法であるということを具体的に、その都度その都度立法の中に入れて置くということが一番いい立法方法じやないか。それに入つてないのに、この法律は特別法が適用される、この法律は特別法が適用されないという見解を以て、行くということになると、誰がそれを決定するかということがはつきりしないという点があるので、できるならばその法律の中に入れるべきであると、こう考えております。そこで認定する主体は誰か、それを一応お聴きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/19
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020・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) お答えいたします。地方自治法第二百六十一条によりまして、「一の普通地方公共団体のみに適用される特別法が国会において議決されたときは、衆議院議長は、当該法律を添えて、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。」その通知に基いて住民投票の手続が行われますので、結局衆議院議長がそれを必要とするということを認定することになると考えます。
尚鈴木さんのお話のように、法律で明かに住民投票が要る旨を規定することは非常に結構なことで、そういう場合は、もう法律で有権的にそれを闡明しておるわけでありますから、成るべくこれからはそういうふうにはつきり法律で規定する方がいいと考えます。そこで先程問題になりました別府国際温泉郡都市に関する法律の修正をお願いしようといたしましたときに、やはりその点を住民投票が要るという附則をも附けましてオーケーを得たのでありましたが、先程の経過のようにその修正ができなかつたことを合せて御報告する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/20
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021・鈴木直人
○鈴木直人君 ちよつともう一つ、二百六十一条によつてそういうようになるということは了承いたしました。そこで或いは、衆議院提案になつておりますが、その際衆議院としては、この二百六十一条によつて処置されるべき内容のものであるという見解の下にあれを通したのか、或いはあれは必要ないものであるという見解で通して来たのか、その点をお聴きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/21
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022・中野純夫
○法制局参事(中野純夫君) ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/22
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023・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/23
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024・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/24
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025・鈴木直人
○鈴木直人君 今のところは大体了承しました。
次にもう一つお聴きしたいのですが、今委員長から話されました戦災都市にのみ適用あるところの法律、いわゆる特別都市計画法ですね、それが別府市にも適用あるものとするという条文だつたと思いますけれども、そういうようないわゆる法律があつた場合、事実上戦災都市でなかつたという事実があつた場合には、そういう規定があるにも拘らず、それが適用するとなつていて、準用するとなつていないのですが、本当に法律の効果として適用が出て来るかどうか、或いはそういう規定はあるけれども、戦災都市でない、事実に基いて戦災都市というものでないのだから、実はその法律の規定いうのは死文になるのだ、こういう解釈ですか、その解釈をお聴きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/25
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026・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) その点は実は非常にむずかしいのでございまして、まあ戦災都市じやないから当然適用がない、無用のことを規定したのじやないかという議論も一応考えられますけれども、苟くも法律を以て特別都市計画法の適用があるものとするとやつてしまつた以上は、その法律で、戦災都市でなくても、特別都市計画法が適用されるということになると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/26
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027・鈴木直人
○鈴木直人君 私は準用するということであればその法律は準用されるから当然準用できるけれども、適用するということになりますと、戦災都市でないものが戦災都市にだけ施行されるところの法律の適用ということはどうもあり得ないように思う。準用するなら分るのだが、適用はあり得ないように思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/27
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028・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 実は広島とか、長崎の場合は、もう当然特別都市計画法の適用が前からあつたわけなんですが、ああいう特別法が作られました結果、そういう特別都市計画法の適用がなくなるのではないかというちよつと疑問がある関係上、依然として適用があるものだという意味で注意的に規定したので、実は余り意味のある規定ではなかつたのであります。その意味で特別都市計画法の適用があるものとすると、妨げないというような意味で当然あるのだということを、新しく適用する趣旨じやなく、もう従来あるものだという意味で書いたので、非常にその点は軽く考えておつたのですが、今度のように戦災都市でもない所に「適用があるものとする。」とやつてしまえば、改正法律を以て適用してしまうということになりはしないかと実はその点は心配しているのですが、いろいろ、議論があり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/28
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029・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんですか……法制局長に私の意見を申上げますが、「適用があるものとする。」という言葉の用い方は、これは書かなくても適用があるのだけれども、念のために書くのだという言葉の用い方だと私は思います。別府の場合は、この第七条で特別都市計画法の適用があるものとするとしたのは、これは明かに間違いだということを私は言えると思うのです。つまり、だから間違いであつて無効であろうと私は思うのですが、その間違いを気が付いておつてやつたことがいかんと私は思います。
それからもう一つ、首都建設法の場合におきまして、今御意見を拜聽したけれども、若しそれが仮に首都建設法の附則の第二項がなかつたらどうするか。この法律は憲法の規定によつて住民の投票に付するものとする規定がなかつたと仮定すると、そうするとこの第二項があつてさえ、これはなくていいのじやないかという議論がこの通り出ておるのですが、なかつたとすれば、それは適用するのか適用しないのかつまり住民投票にするのかしないのか、さつぱりわけが分らない。それを法律では決めてないものを、衆議院議長が二百六十一条によつて独断に決めてしまうということも非常におかしな話だと思う。だからこの二百六十一条の規定というものは、そういう衆議院議長が有権的解釈をするという規定でなくして、これは法律に住民投票の規定があるものを、そういうものを通したからということを念のために通知するものではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/29
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030・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) お答えいたしますが、地方自治法の二百六十一条は結局手続的な規定だろうと思います。ですから若し憲法九十五条に該当しないものを、衆議院議長が仮に間違えて住民投票を必要とするというように考えて、そういう手続を仮にしたとしまして、その結果過半数の投票が得られなかつたというふうな場合を考えて見ますと、その場合は住民投票をやらなくても、元来九十五条に該当しない本質を持つておる法律であれば、法律の効力が生ずるということになりますし、それから又逆に、要る場合であるにも拘わらず、衆議院議長が要らないものと考えて住民投票をやらなければ、それはやはり実質上要るものであれば、住民投票がなければ法律の効力を生じない。そうなると結局その法律を適用する問題が起きた場合に、結局最高裁判所がその法律が有効であるかどうかということを決定するということになると思うのでありまして、一応は手続上は衆議院議長が認定して住民投票の手続を内閣に採らしむるという、いわば本質ではないのでありますが、手続的なものではありますが、一応衆議院議長がそれを判定するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/30
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031・鈴木直人
○鈴木直人君 そうしますと、私に対する答弁とちよつと違つておるのですが、私は一つの地方公共団体の上に適用される特別法であるかないかということの判定は、誰がするかという質問に対して、二百六十一条によつて衆議院議長がそれを決めて、そうして通知するのだという罰でしたが、今はそうじやなくて、本質的にそういう特別法であるかどうかということは別であつて、これは手続に過ぎないということでありますので、これが特別法であるかどうかということの決定は衆議院議長にないわけになるわけです。そうなりますと、憲法には法律の定めるところによりと書いてあるのですが、その法律の定めるところによりというのは、二百六十一条を指すものであると思うのです。これは手続の問題になるわけですが、依然として一の地方公共団体の上に適用される特別法であるかどうかということの判定を誰がするかということが、まだ解決がつかなくなつておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/31
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032・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 一応衆議院議長が決定して住民投票を行なつたりなんかするということになりますが、間違えて、その九十五条にいわゆる一の地方公共団体のみに適用する特別法でないのに、あると考えたり、特別法であるのに、ないと考えたような場合には、結局その法律が効力があるかないかという問題の起きた場合においては、最高裁判所が認定するということにならざるを得ないと思うのでありますが、その前において第一次的に、衆議院議長が一応これに該当すると思つて住民投票をやるということになるので、衆議院議長が一応そう考えて住民投票の手続を進めて行くという意味で衆議院議長が特別法かどうかということを認定するのだということをお話いたしたのでありまして、それが最終的なもので、たとえ九十五条の特別法に該当しなくても、衆議院議長が特別法だと思えば、それが九十五条の特別法になるかというと、それはならない。本質的なもので、衆議院議長がそう思つたからといつて、特別法に変つて来るわけじやないので、本質はやはり九十五条の解釈の問題と言いますか、その法律の問題になつた場合に最高裁判所の認定ということになるのでありますが、その段階において一応その特別法かどうかという決定権は衆議院議長が持つというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/32
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033・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それではこの住民投票の問題は、先程法制局長に調査を依頼した首都建設法案なるものを、住民投票に付する必要があるかどうかの研究と、それから今問題になつた若し憲法九十五条の規定によつて住民投票に付するものという規定がない場合に、付すべきかどうかの有権的解釈は、最後の決定はあなたの説明の通りでいいのかどうか。衆議院議長の地位は手続に止まるかどうか、そういう御研究を一つして頂きたいと思います。これは急ぎますから、成るべく早くお願いします。それからついでに、別府で規定された特別都市計画の問題ですが、この条文があるためにどういう実質的の効果を及ぼすか、そういうことも衆議院の方と御相談願いたいと思います。これは衆議院の発案ですから。
それからもう一つ、首都建設法案についてついでに地方自治庁の方にお尋ねして置きたいと思います。附則第三項で「前項の投票に関する費用であつて公の機関が負担することが相当と認められるものは、東京都の負担とする」という規定があるのです。これは初めてこういう住民投票とかという制度におけるその費用を地方公共団体に負担をさせる法律なんですから、これについての意見を一つお聴きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/33
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034・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) 只今委員長から御指摘になりました点につきまして、意見を申上げさして頂きます。
御承知のようにこの住民投票の場合の費用は、地方自治法の現行規定によりますると、直接に規定してございまするのは施工令の百八十五条でございまするが、国費の負担ということになつておるわけでございます。これは立法の体裁といたしましては、衆議院議員選挙法施行令の第七十三条を、只今問題になつておりまする地方自治法第二百六十一条第三項の賛否の投票にこれを準用するということになつておりまして、衆議院議員選挙法施行令第七十三条の規定によりまして、普通では国庫の負担とされているわけでございます。それがこの規定によりますると、東京都の負担とするということになつておるわけでございまするが、これがなぜ東京都の特別な負担になることになつておりまするか、事情はよく分らないのでございまするが、この特別法につきまして、こういう先例ができることにつきましては、ちよつとどういうものであるかというような感じを持つている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/34
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035・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) この問題について御質問ございませんか……じやそういうような問題があるということを御承知を願います。これは法律の体裁としては、施行令という政令を法律で似て、その部分を改めたと、この場合に限つて特例を設けたと、こういうふうに解釈していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/35
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036・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) 只今おつしやいましたように、この法律が特別に、普通の場合と違つた建前を採つたというふうに解せざるを得ないと思います。ただちよつと気にかかりますのは、これがやはり今後の先例として何か将来の立法を拘束するようなことになりはしないかという懸念を持つている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/36
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037・鈴木直人
○鈴木直人君 それに関連してお聴きしたいと思います。私は国の予算の関係で、そういう予算がないということもあつて、而も東京都がそれを熱望するという、こういう法案であるから、東京都においてはこれは出してもいいという考え方ができて、それじや法律の中に特例を認めようということになつたんではないかと、こう想像するんですけれども、前の広島、長崎の場合の一般投票の場合には、それは国で負担することに、この地方自治法の施行令においてはなつておるから、当然これは国費で負担するものであろうし、反別府等において、そういうことが行われるようなことがあるとするならば、現在の別府の関係の法律には、その規定がない。又旧軍港都市法案の中にもその規定が現れていないということになりまするというと、結局昨日通りましたそれらの法律の一般投票は、全部国が負担するということになると思うのですが、そういう費用はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/37
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038・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) お説のように外の方に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/38
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039・鈴木直人
○鈴木直人君 前の先例から……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/39
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040・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) 先例の点につきましては、特別にこういう規定がありません以上は、只今申上げたように国費の負担となるのでございますが、その国費の負担として予算に若し計上がございませんければ、これはやはり特別の措置を講じて何か予算上の措置を必要とするのではなかろうかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/40
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041・鈴木直人
○鈴木直人君 広島、長崎においてはどこが負担したかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/41
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042・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) その場合には勿論国が負担するということになつております。予備費から出したそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/42
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043・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 首都建設法案につきまして別に御質問ございませんか……それでは首都建設法案の問題は一応この程度に今日はいたして置きます。尚もう一つお諮りをいたしたいことがございます。それは通産委員会と連合審査を二回いたしました小型自動車競走法案に関してでございます。この法案につきまして御出席の本委員会の委員の方々からいろいろな意見が出たのでありますが、その中で同法案を修正したらどうかと思われるような御意見が出ました。その一つは小型自動車競走を施行するのは、衆議院の方の原案によりますると、都道府県か、又は五大都市であります。ところが五大都市以外の地域で競走場が設けられて競走をいたすことになりますと、その地方公共団体がいろいろな負担もすることが起つて参りましようし、又競走の開始日におきまして、その自治体警察が多大の人員を出して、そうしてその何と申しますか、場内の取締とか、川崎なんかで起りました騒動なんかが起らないような措置を講じなきやならん事情が起つて参ります。そういう場合の費用をこの競走から出ます利益の一部を以て支弁するようにやつた方がいいのじやないか、そういう御意見が島村君、それから西郷君から出たのであります。それから又この自動車競走は非常に危険が多いものであるように見受けられますし、又競輪とは多少程度が違いましようが、八百長なんかもできそうだ、そういうことにならないように、中央に学識経験者等から成る自治的の組織を設けしめまして、そうしてこの競走の健全な発達に資する必要がありはしないか。これは法案の中に盛込むかどうか、その点は必ずしもそういう御意見ではなかつたように思いますが、そういう組織ができた方がいいのじやないかという御意見も出たのであります。それでこの委員会において御研究を願うことにいたしておりたのですが、丁度昨日提案者である栗山衆議院議員が私のところへ参りまして、修正は願わないで、附帯の決議の案として次のようにして頂いたらどうだろうかという申入がございました。それは「本法案第十九条の規定により、施行者が負担する経費中には、競走場所在地の市町村が当該競走の実施に関し、秩序維持等につき負担する行政費を含むものとし、これに対する相当額として施行者はその收入とすべき金額の中から勝車投票券の売上金類の百分の二を下らない金額を当該市町村に交付すべきものとする。」右決議の実施方法として、「競走の監督者たる通商産業大臣は模範経費支出例中に本附帯決議の内容を含むものを作成し、あらかじめ施行者に周知せしめることにより決議の実施を期する。」これを附帯決議としてお附け願うことにして、これを必ず守らせるということにして、この法案を通して頂きたいという申入れがございました。そこで先程お手許に廻しました附帯決議の案というものを立てて見ましたが……これを朗読させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/43
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044・法貴三郎
○調査員(法貴三郎君) 朗読いたします。
「一、小型自動車競走を施行する都道府県が、競走場所在地の市町村に対して、当該競走の実施に関連してその市町村が必要とする施設費、秩序維持費等に充てるため、適当な方法により勝車投票券の売上金額の百分の二以上の金額を交付するよう措置すること。
二、小型自動車競走は本邦において最初のものであり、競走の安全と公正を期することが極めて重要である。よつて政府はその指導により、中央に学識経験者を加えた一の適当な自治組織を設けしめ、これにより、小形自動車競走の健全なる発達に資せしむるよう措置すべきものとする。
三、通商産業大臣は本法の施行に関する省令等の中に、本附帯決議の趣旨を実現するような所要の規定を置くと共に、施行者その他の関係者に対する指導に努むべきものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/44
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045・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) そういうような附帯決議をすることにしまして、修正までには及ばないじやないかという考で立案して見たのでございますが、御意見如何でございましようか。
尚私は一昨日国警方面から、この自転車競走の方の競技について八百長が非常に多い。ところがその八百長があつても、それが収賄をしない以上はなかなかその八百長選手を処罰するわけに行かん。殊に収賄したかどうかという点は、非常に立証が困難であつて、八百長を根絶することはなかなかできない。それで困つておるという話がありました。それも採入れまして、この今の原案に三とありますのを四にして、その前に競技について八百長等の不正を行なつた選手その他については罰則の規定の適用を免れる者と雖も、登録を禁止する等厳重な処置をすること、というようなことを附帯決議したらどうだろうという案もございます。御意見如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/45
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046・鈴木直人
○鈴木直人君 その決議は法律に基くものではないのですから、その決議に基いて、それだけの金を交付することになるのですが、それは地方財政法上どういうふうな性質のものになるんですか。法律で当然やるならいいんですが、決議案で実質的にやる場合には…発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/46
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047・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 寄附金じやないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/47
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048・鈴木直人
○鈴木直人君 そういう寄附金というのは、どういう手続でやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/48
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049・玉置敬三
○政府委員(玉置敬三君) 只今ここで拜見いたしまして、まだ提案者の私共打合せも実は受けておらないような次第でございますので、十分研究してから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/49
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050・鈴木直人
○鈴木直人君 私のお聴きする要点は、この法律の心に規定するならば当然これは交付しなければならんということになる。ところが決議案ということになると、これは交付しなくてもいいようなことになるんですが、通産省当局としては、今後運営する上において決議案を尊重するということであるかどうか、この点が一つ。もう一つはそういう交付する金の性質は、地方財政法上、どういう性質のものであるが、いわゆる補助金とか、交付金とか、寄付金、分担金、いろいろ性質がありますが、どの条項に基くところの金であるか、その性質です。地方財政のそれを一応研究して置いて頂きたいと思うのです。
第一点だけは答弁できると思いますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/50
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051・玉置敬三
○政府委員(玉置敬三君) 通産省といたしますれば、国会で御決議願いました附帯決議その他につきましては、十分尊重して私はやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/51
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052・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 鈴木委員にお諮りしますが、今日は地方自治庁の財政の方から参つておりませんから、これは向うへ通知しましてこの次の機会に答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/52
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053・岩木哲夫
○岩木哲夫君 この間僕が要求して置きました各都道府県、或いは重要都市等の二十五年度予算案をお取寄せ願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/53
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054・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 一昨日もこういう答がありました。都道府県の予算そのものを急に揃えるわけにはなかなか行かん、だからその集計を提出したい、こういうことでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/54
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055・岩木哲夫
○岩木哲夫君 これは各府県の予算案を集計したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/55
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056・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 各府県から出したものを集計したものです。で、各府県から出したものは一部はありますけれども、全部委員に差上げる程今揃わないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/56
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057・鈴木直人
○鈴木直人君 私はもう一つのために申上げて置きたいと思うのは、この決議案によつて、その町村に交付するようになるわけなんですが、案はこれが寄附金のような性質で、そうして警察が取締るためにこれは使われるものであるというような性質がはつきりしてしまいますと、自動車を施行する人は都道府県乃至五大都市でありますけれども、いわゆる委託を受けて実施するのは一つの団体になるわけです。ところが往々にして民間の団体というものは寄附をしたり、金を出したりしますと、警察を自分が使つているんだという感じになり易い。従つて自分は金を出して、そうして取締つて貰つておるのである。こういう考え方を持つことになりますと、この警察取締官に対する精神的な影響というものは非常に大きい。警察も、自分達が取締つているところの費用の相当部分というものは、この自動車競技実施者がここでやつて行くそのためにその利純から寄附金を貰つているのだと、こういうふうに、何と言いますか取締と金との関係が直接的に結び付けられるというようなことになりまして、却つてそれが取締の厳正、公平、本当に自治体のために治安を維持するのだという正しい気持に非常に僻んだ影響を与える憂いがある。私はそういう競技を開くために取締上必要なものは、より多く取締の経費が掛かるわけですから、そういう負担はするということは、これはいいと思いますけれども、今のような直接的な関係を持たれないように一つ配慮して頂きたいということを私は念のために申上げて置きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/57
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058・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 御尤もです。それで私が仮に作成しました附帯決議案におきましては、この維持費のみでなく、施設費等も入れまして、そうして市町村に対してと、こういうようにして、警察面接の寄附金ではないつもりであります。尚これについて提案者の一人であられる衆議院議員の栗山さんから発言の要求があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/58
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059・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 只今鈴木委員から御指摘になりました点については、十分警戒を要する点でありますが、その金の動きます経路は、決議案の中にございます通りに、都道府県及び大都市方面では施行と申しますか、施行者の収入となるべき金額の中から当該市町村に交付するのでありますから、民間の団体の手は一切経由いたしませんで、いわば上級の自治体から、そういうことがあるかどうか知れませんが、下級の自治体の方に直接交付されるのでありますから、そこには情実関係が入らないで済むであろうと想定いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/59
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060・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) この問題につきまして、外に御質疑がございませんでしたらこの程度にしておいて、提案者側と通産省側とよく相談をして貰つて、今までの御質疑のことをお諮りしたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/60
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061・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) ではそういうふうに取計らいます。それでは本日はこの程度で散会をいたします。
午後零時二分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事 岡田喜久治君
委員
三木 治朗君
岩木 哲夫君
竹中 七郎君
柏木 庫治君
西郷吉之助君
島村 軍次君
鈴木 直人君
太田 敏兄君
衆議院議員
栗山長次郎君
政府委員
総理府事務官兼
法務府事務官
(地方自治庁連
絡行政部長法制
意見総務室主
幹) 高辻 正己君
通商産業事務官
(通商機械局
長) 玉置 敬三君
事務局側
常任委員会調査
員 法貴 三郎君
法制局側
法 制 局 長 奧野 健一君
参 事
(第三部長) 中野 純夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714720X02819500408/61
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