1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十一日(金曜日)
午前十時四十五分開議
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議事日程 第四十一号
昭和二十五年四月二十一日
午前十時開議
第一 常任委員長辞任の件
第二 参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件
第三 ユニセフに対する感謝並びに兒童福祉増進に関する決議案(山下義信君外三十六名発議)(委員会審査省略要求事件)
第四 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案(木下辰雄君外一名発議)(委員長報告)
第五 臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第六 首都建設法案(衆議院提出)(委員長報告)
第七 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第八 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第九 教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 通商産業省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一一 経済安定本部設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一二 更生緊急保護法案(内閣提出)(委員長報告)
第一三 保護司法案(内閣提出)(委員長報告)
第一四 造船法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一五 船員職業安定法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第一六 植物防疫法案(内閣提出)(委員長報告)
第一七 農林物資規格法案(内閣提出)(委員長報告)
第一八 肥料取締法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求める件(委員長報告)
第二〇 接收家屋の処置に関する請願(委員長報告)
第二一 砂川町、新十津川村間の石狩川架橋に関する請願(委員長報告)
第二二 生駒山地すべり防止工事施行に関する請願(委員長報告)
第二三 中村駅、飯田村瀬の本間道路改修および一部路線変更に関する請願(委員長報告)
第二四 東北六県道路整備に要する費用増額等に関する請願(委員長報告)
第二五 愛知川改修工事促進に関する請願(委員長報告)
第二六 胆沢川改良工事継続施行に関する請願(委員長報告)
第二七 長岡戰災復興事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)
第二八 北海道豊頃村内十勝川架設木橋を恒久橋に架替の請願(委員長報告)
第二九 十勝川治水工事促進に関する請願(委員長報告)
第三〇 淀川堤防補強護岸工事施行に関する請願(委員長報告)
第三一 七北田川改修工事促進に関する請願(委員長報告)
第三二 名取川改修工事継続施行に関する請願(委員長報告)
第三三 岩手県下の中小河川改良工事費国庫補助に関する請願(委員長報告)
第三四 岩手県下の諸河川支流砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第三五 津軽石川外諸河川の災害防除施設工事費国庫補助に関する請請(委員長報告)
第三六 稗貫川外三河川の災害工事費国庫補助に関する請願(委員長報告)
第三七 東京都中央卸売市場築地本場の接收箇所返還に関する請願(委員長報告)
第三八 旅来、愛牛間の十勝川に橋りよう架設の請願(委員長報告)
第三九 木屋川利水事業に関する請願(委員長報告)
第四〇 安倍川改修工事促進に関する請願(委員長報告)
第四一 天竜川改修工事促進に関する請願(委員長報告)
第四二 三重県野登村、滋賀県山内村間道路改修工事施行に関する請願(委員長報告)
第四三 新潟県下の地すべり防止および砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第四四 戰災復興事業予算ならびに起債わく増額に関する請願(委員長報告)
第四五 富山県奈古の浦護岸改修工事施行に関する請願(委員長報告)
第四六 徳山市地区内国道第二号線改修工事施行に関する請願(委員長報告)
第四七 戰災都市復興事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)
第四八 宮谷川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第四九 佐治見川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五〇 瀬戸川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五一 青山川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五二 大路川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五三 中谷川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五四 石井川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五五 寺谷川砂防工事継続施行に関する請願(委員長報告)
第五六 矢坂川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第五七 宮ノ谷川砂防工事継続施行に関する請願(委員長報告)
第五八 兵庫県粟賀村根宇谷口外二箇所に砂防ダム築設の請願(委員長報告)
第五九 横谷川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六〇 小仁川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六一 曲り谷砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六二 白口川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六三 三草山砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六四 板仕野川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六五 矢田川支流ハブ川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六六 照来川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六七 ブチン谷川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六八 結川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)
第六九 接收土地家屋の借上料改訂等に関する陳情(委員長報告)
第七〇 東京都中央卸売市場築地本場の接收箇所返還に関する陳情(委員長報告)
第七一 接收土地の賃貸料支拂に関する陳情(委員長報告)
第七二 戰災復興事業費国庫補助率復活に関する陳情(委員長報告)
第七三 多々良大川砂防工事促進に関する陳情(委員長報告)
第七四 大谷川砂防工事継続施行に関する陳情(委員長報告)
第七五 桜谷川砂防工事継続施行に関する陳情(委員長報告)
第七六 小又川砂防工事施行に関する陳情(委員長報告)
第七七 国道第四号線中一部改修工事等促進に関する陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りして決定いたしたいことがございます。水産委員長より、瀬戸内海における紀伊水道の漁業関係を調査して漁業法の一部を改正する法律案の審査に資するために、兵庫県及び和歌山県に青山正一君を、香川県及び徳島県に田中信義君を本月三十日までの間において五日間、建設委員長より、熱海市の火災後における都市計画並びに建築法規の適用に関して、現地の実情を調査し、併せて都市計画に関する諸問題の審議に資するために、熱海市に北條秀一君、大隅憲二君及び赤木正雄君を四月二十三日及び二十四日の二日間、厚生委員長より、全国社会事業大会に出席、各方面の意見を聽取し、生活保護法案の審査に資するために、金沢市に山下義信君及び石原幹市郎君を四月二十一日より四日間の日程を以てそれぞれ派遣したい旨の要求がございました。これら七名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/3
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、常任委員長辞任の件。労働委員長山田節男君及び厚生委員長塚本重藏君から委員長を辞任いたしたい旨の申出ございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/4
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005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、欠員となりました労働委員長及び厚生委員長の選挙を行いたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/7
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008・鈴木直人
○鈴木直人君 只今議題となりました労働委員長及び厚生委員長の選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/8
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009・大隈信幸
○大隈信幸君 只今の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/9
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 鈴木君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、労働委員長に原虎一君を、厚生委員長に山下義信君を指名いたします。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/11
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012・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件。本件につきまして、議長は参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を立案いたしまして、予め議院運営委員会に付議いたしましたところ、同委員会においては異議がない旨の決定がございました。これより参事をして改正規程案を朗読いたさせます。
〔佐藤参事朗読〕
参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案
参議院事務局職員定員規程の一部を次のように改正する。
第一條第一号「参事専任八十九人」を「参事専任百三十一人」に、同條第二号「主事専任三百七十七人」を「主事専任三百三十六人」に、同條第四号「常任委員会調査員専任三十六人」を「常任委員会調査員専任三十八人」に、同條第五号「常任委員会調査主事専任三十六人」を「常任委員会調査主事専任三十八人」に改める。
附 則
この規程は、昭和二十五年四月二十一日から施行する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/12
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013・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 只今朗読いたしました改正規程案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/13
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014・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/14
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015・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第三、ユニセフに対する感謝並びに兒童福祉増進に関する決議案、山下義信君外三十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題いたします。本決議案につきましては山下義信君外三十六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/15
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016・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山下義信君。
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〔山下義信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/16
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017・山下義信
○山下義信君 只今上程せられましたユニセフに対する感謝並びに兒童福祉増進に関する決議案につきまして、簡單に提案の理由を説明いたします。
案文はお手許に配付してありますから、朗読を省略いたします。前段はユニセフに対する感謝でございます。これは先年当院におきまして決議になりましたララに対する感謝と同様のものでありまして、昨年末以来数次に亘り、ミルク、粉乳、脂肪、肝油、衣類等、莫大なる物資が我が国の不幸なる兒童に対して贈與せられたのでありまして、ここに諸君の御賛同の下に深甚なる感謝の意を表せんとするものでございます。(拍手)
ユニセフとは御承知のごとく、UNICEF、即ち国際連合に属する国際兒童緊急基金でございます。その財源は、各国政府からの寄附、個人的寄附及びアンラの剩余財産から成つておりまして、救済せんとする国の兒童並びに妊産婦に対しまして毎日五百乃至六百カロリーの補給食を與えようとするものでございまして、学校、保育所、兒童施設等を通じまして集団給食をいたすものであります。又衣類をも供給いたし、更にBCGワククン注射を以ちまして兒童の結核予防運動に従事し、或いは又保健福祉事業等に従事いたしまする職員の養成等に対しましても援助を與えんとするものであります。従来はヨーロツパの十二ケ国に対してのみ行われておつたのでございますが、最近国際連合の理事会の決定によりまして、我が国にもこれが実施せられることに相成つたのであります。即ちその第一回は、昨年末、生活困難なる世帶の三歳から八歳までの子供二十四万八千名に対しまして、男兒服、女兒服並びに肌着類等が贈られたのであります。引続いて同様生活困難なる世帶の八歳から十歳までの兒童十三万六千名に対しましても同様の衣類が贈與せられたのであります。第二回は、本年の初め、小学校の兒童五万五千名、保育所の幼兒五千名、計六万名に対しまして七十三万ポンドの脱脂粉乳が供給せられまして、尚これは今年中継続せられることになつております。第三回は、全国の保健所を通じまして、誕生未満の赤ん坊に対しまして八万六千ポンドの全粉乳が供給せられました。尚、近く全国孤児院におりまする子供達五万七千名に対しまして粉ミルクの供給が開始せられる予定になつておるのであります。誠に感謝に堪えない次第でございます。我々はユニセフのこの好意に対しまして、單に物資の援助を喜ぶというばかりでなく、この事業が、崇高なる人類愛の原理に基き、文明国の当然の義務として又誇りとして行われまするその偉大なる愛の精神に対しまして、心からなる敬意を俸げんとするものでございます。(拍手)
尚、この際、関係方面を初め米国官民の多くの人々が我が国の不幸なる兒童に対しまして限りない愛情を注がれましたる幾多の事実に対しましても、深く感謝の意をいたすものであります。一例を挙げて申しますと、世界連邦主義者として有名なるニユーヨークの土曜文芸評論誌主筆ノーマン・カズン氏は、日本の戰災孤兒に対しまして、これを精神的な養子とする運動を提唱せられ、全米に多大のセンセーシヨンを巻き起し、日本の兒童に対しての救済熱を高められたことなどは、感銘に堪えないものの一つでございます。(拍手)かくのごとく各方面より温かい援助を受けながら、肝腎の日本政府及び我々が傍観いたしまして、無関心でありまして果してよろしいものでございましようか。
今我が国の兒童問題の現状を見ますと、先ず両親のない趣兒が約五十万おります。父親のないいわゆる母子家庭の子供達は百二十万を下りません。小学校の就学のできない子供が八万五千と数えられております。環境が悪いために不良少年に陷り易い要保護兒童が五十万おります。栄養不良のため結核その他健康の気遣われまする子供達は百五十万と言われております。これら緊急保護を要する兒童は合計三百七十八万に及ぶのであります。この数は全国兒童の一一%強に当つておるのでありまして、兒童福祉の手はその僅か五%にも達していない有様でございます。又国の予算に徴して見ましても、兒童関係の予算は厚生省におきまして僅かに二十数億に過ぎないのであります。当局の努力で昨年度よりは若干の増額を見ましたことは、率直にこれを多といたしまするけれども、尚これは九牛の一毛に過ぎないのでございまして、これを全予算に比べますると、僅かにその〇・三%即ち千分の三という僅少の額に過ぎないのであります。このことは、例えて申しますと、年收十万円で三人の子供を持つておりまする家庭について申しますと、一ケ年にその子供の費用を僅か三百円しか使わない家計と同じでございまして、如何に国の兒童政行が貧弱極まるものであるかということは御想像に余りあると存じます。而も我々が目下憂慮いたしまする問題は、平衡交付金によりましてこの兒童福祉の仕事が地方に委讓されまする結果、ますますこれが弱体化し消極化するのではないかという点でありまして、若しさようのことに相成りまするならば、我が国の兒童の将来は果して如何相成るでありましようか。兒童問題は実に重大なる問題でございまして、可憐なるこれら兒童に対しまして国家は保護の責任を果さねばなりません。よりまして、私共はこの機会に政府に対しまして次の諸点を要望せんとするものでございます。
第一は、国民に対する兒童福祉思想の普及徹底につきまして強力なる措置を講ずることであります。今日までこのことが更に行われておりません。兒童福祉法のごときはすでに二ケ年に相成りますけれども、尚一向に知る者が少い有様でございます。「こどもの日」も極めて冷淡低調であります。兒童福祉思想の高揚につきまして政府は一段の努力を拂わねばなりません。
第二は各種兒童福祉施設の増設整備を図ることであります。例えて申しますと、精神薄弱兒について申しますれば、一県下平均五千名の精神薄弱兒があると申されておりますが、これらの精神薄弱兒に対する施設は全国で僅かに十八でございまして、收容いたしております者は僅かに千二百名に過ぎないのであります。又保育所のごときも、全国で少くとも一万の保育所は必要とせられておりますが、只今のところでは二千四百ケ所前後でございまして、本年度の予算におきましても僅かに百ケ所の保育所を増設する計画に過ぎないのでございます。兒童の療養施設、即ち療育施設のごときは全然ない有様でございまして、かかる必要なる施設が足りないばかりでなく、その内容は貧弱極まる有様でございまして、速かに整備充実を図らねばなりません。
第三は、国及び地方公共団体は兒童福祉行政の確立強化につきまして必要なる措置を講ずることであります。中央におきましては我々の宿望でありまする兒童行政の一元的強化を図り、地方におきましては兒童專任の機構を整備いたしまして、更に兒童相談所、兒童福祉司、兒童委員等の積極的活動を展開するよう、強力に措置いたさなければなりません。
第四は、兒童福祉関係予算増額の積極化を図ると共に、適正な兒童保護費支出の確保につきまして必要なる措置を講ずることであります。特に政府に要望いたしまする点は、平衡平付金中、如何にして兒童福祉費の確保につきまして必要な措置を講ずるか、実行せしむるかということでございます。この点は、先に申述べました通り全国兒童関係者が非常に憂慮いたしておりまするので、政府は的確なる措置をとりまして速かに不安を一掃するよう要望してやみません。
第五は、兒童の健康増進、環境改善等につきまして必要なる施策を講ずることであります。特に兒童の厚生施設につきまして適切なる方策を講じ、結核兒童の保護に格段に努力を拂い、兒童の酷使虐待の防止、家出少年の保護指導、街頭兒の措置等につきまして、尚一層の考慮を拂い、特に適当なる監護のない不幸なる兒童につきましては、国及び地方関係者は一段の熱意を以ちまして福祉の責任を果さんことを望んでやまないものであります。(拍手)
以上は本決議案の大体の趣旨でございますが、政府は誠意を以てこの決議の実行に努力いたし、その結果につきましては次期国会の劈頭におきまして本院に報告せられんことを要求いたします。
終りに傍聽席に見えておりまする国際連合関係者並びにユニセフ関係者に、この席より感謝の意を表します。(拍手)諸君の御賛成を賜わらんことを望んでやみません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/17
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018・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。発言を許します。井上なつゑ君。
〔井上なつゑ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/18
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019・井上なつゑ
○井上なつゑ君 私は只今上程になりましたユニセフ感謝並びに兒童福祉増進決議案に賛成をいたすものでございます。
只今説明にございましたように、昨年の秋以来、最高司令部の御斡旋によりまして、国際連合に属する兒童妊産婦救済機関であるところのユニセフから、我が国の兒童に対しまして、補給食用として多量の脱脂粉乳並びに全粉乳と、兒童服に加工配給するための原綿とを贈られましたことは、誠に感謝に堪えないところでございます。政府においては、ユニセフ基本計画に従つて、それら特殊保護食糧中の脱脂粉乳は、政府特配物資を加味いたしまして、五十五のモデル・スクール学童五万五千名と保育所の幼兒五千名に対し、昨年の十一月から約一ケ年を目標として配給中でございます。又全粉乳の配給は、東京都外十七道府県のモデル保健所を選定いたしまして、その管下の一歳未満乳兒中の人工栄養兒二〇%、混合栄養兒五%の割で、三千名に十ケ月の予定で配給されております。以上の配給を受けております乳幼兒の発育並びに健康状態は全般的に良好になつて参りましたことは、誠に有難いことでございまして、感謝に堪えない次第でございます。更に追加して贈られました脱脂粉乳は、これら補給食の絶対的に必要と認められます小兒結核療養所、公私立結核療養所その他の兒童收容施設中の十八歳以下の者にも配給されることになりました。特に有難いことは、各都道府県のモデル保健所の指導を受けている在宅結核兒童にまで、この温かい手が伸ばされることになつたことでございます。一方、原綿の過半量は、すでに申されましたように、昨年来満三歳より八歳までの幼兒服に製品化されて贈られておりまして、お蔭様で冬の寒さを凌ぎ得たことも誠に有難いことと存ずる次第でございます。以上のように、ユニセフが人種、信條、国籍、身分或いは政治的信念の如何を問わず、必要に基いて兒童救護を行われますことは、取りも直さず我が国の恒久的な兒童保健福祉計画樹立の援助に外ならないと存ずるのでございます。
この機会におきまして、兒童福祉施設の拡充整備と共に、育兒知識、兒童福祉思想の普及徹底を図り、ユニセフの好意ら応えるよう、全兒童の健全な心身の育成に万全を期すべきだと存ずるのでございます。この目的達成のためには広く社会一般の協力を必要とするのでございますが、相当の訓練を受け保健婦、看護婦、助産婦の活動に待つところ極めて大きいものがございまして、目下審議中の生活保護法案に新らしく出て参つております社会福祉主事即ちケース・ワーカーの重要性も申すに及ばぬところでございます。凡そすべての場合に、組織にも優つて人がその事業の生命でありますように、ユニセフの好意も、その仕事に携わる人々によりまして、その成果に大きな差異を生ずることは明らかに予見できるのでございます。このような見地から我が国の現状を見まするときに、保健婦も看護婦も質量共に十分とは申されないのでございます。殊に保健所の保健婦は、人員の関係上、その重要任務の一つであります在宅患者の療養指導には殆んど時間を割き得ない状態にあるのでございます。結核療養所も看護婦の不足を来たしております。これは病院、療養所においての施設の不備と相待ちまして、患者の療養にも非常に影響を及ぼす結果となつているのでございます。尤も、新らしく制定されました保護婦助産婦看護婦法は各職業分野に最も適した有能な人材の養成を期してはおりますが、十分の数を得るには相当の日子を必要とするのでありまして、ユニセフにおかれましても、この教育、養成部面に御援助下されば誠に有難い次第と存ずるのでございます。このことは新らしく制定せられようとしておりますケース・ワーカーの場合にも同様な次第でございます。有能な人々が各專門分野に能率的に活動することによつて、心身共に健全な人々によつて成り立つた真に平和的な民主的な社会が出現して、初めてユニセフ精神がうるわしい実を結ぶことになると存じます。
以上の理由によりまして私は本決議案に賛成いたすものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/19
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020・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/20
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021・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)
只今の決議に対し厚生大臣より発言を求められました。林厚生大臣。
〔国務大臣林讓治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/21
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022・林讓治
○国務大臣(林讓治君) ユニセフから我が国に寄贈されました衣料、脱脂粉乳等の救援物資が我が国の兒童の心身に及ぼしました好影響につきましては、私共も常に深く感謝をいたしておるところでありますが、只今特に院議を以ちましてユニセフ及び連合軍最高司令官に対しまして感謝の意を表せられましたことは、誠に御同慶の至りに堪えません。
併しながら、国際連合に加盟の諸国の兒童福祉に対する人類愛よりの好意に応ずるには、日本政府更に広く日本国民諸君が、兒童の福祉を図るということが文化国家の重要な目的であることを銘記いたしまして、更に一段の努力を重ねなければならないと考える次第であります。ユニセフの物資その他の恩惠を受けることの條件といたしまして、その国がユニセフの趣旨に協力する義務が課せられておりますることから考えましても、この点は更に強調せられなければならないものと考えます。昭和二十三年兒童福祉法の施行以来、政府といたしましても、兒童福祉各般の分野に亘りましてその施策を推し進め、その成果の実現を期している次第でありますが、兒童の福祉のための施策というもののその真の成果は、他の施策のように早急のうちに現われるものではありません。只今行います施策は遠い将来への慮りとも申し得られることと考えるのであります。そのような施策のうち、只今の御決議によつて政府に対し速かに実施を要望せられましたものにつきまして、政府の考えるところを聊か述べまして、併せて国際連合加入の諸国に対し、我が国の兒童の福祉に関する決意とも申すべきものを披瀝いたしたいと考えるわけであります。
第一は国民に対する兒童福祉思想の普及徹底につき強力な措置を講ずることであります。この点につきましては、兒童福祉法の理念を国民の一人一人が深く心に銘ずるよう、あらゆる機会を利用いたしまして啓蒙普及に努めておるのでありますが、本年度におきましては、兒童福祉週間の行事及び全国兒童福祉大会におきましても十分この点を強調せられることになつておるわけであります。
第二は、各種兒童福祉施設の増設整備を図ることについてであります。この点につきましては従来も努力をいたして参りましたが、現にある数は要保護兒童を入所させるには今尚十分とは申されませんし、施設自体につきましてもその設備が完全でないものも相当存在いたしておる現状でありますので、今年度におきましては、母子寮、保育所等の各種福祉施設の増設を図りますと共に、来年度以降におきましても引続いて計画的に整備拡充を怠らないというつもりであるわけであります。又施設に必要な職員の配置、教養、待遇につきましても考慮いたしたいと存ずるわけであります。
第三には、国及び地方公共団体が兒童福祉行政の確立強化につきまして必要な措置を講ずることが要望せられております。兒童福祉行政が兒童福祉法という兒童に関する総合的な立法の下に推し進められて未だ日浅く、将来ますます発展拡充せねばならないことは十分承知をいたしておるところであります。この点につきましては、兒童福祉法を施行するため中央及び地方に設けられております行政機関の内部機構並びに專門職員の整備充実につきまして、一段の努力をいたしたいと考えておるわけであります。
〔議長退席、副議長着席〕
第四の要望は、兒童福祉関係予算増額の積極化を図ると共に、適正な兒童保護費支出の確保について必要にして的確な措置を講ずることであります。兒童福祉行政を進展せしめる前提の一つといたしまして、それに要する予算を確保するということは誠に当然のことでありまして、政府といたしましても十分努力は盡しておるのでありますが、昭和二十五年度におきましては、兒童福祉のため総額約二十二億円を予算に計上いたしておりますが、そのうち兒童保護費約十四億円を初め、地方公共団体職員費、兒童委員指導費が地方財政平衡交付金として地方公共団体に交付せられることになつております。地方財政平衡交付金として交付されることになりましたこれらの費目は、平衡交付金制度の運用に当りまして適正な兒童保護費の支出を確保できるよう一段の努力をいたしたいと存ずる次第であります。
第五の要望事項は、兒童の健康増進、還境改善等につき必要な施策を講ずることであります。兒童の健康増進のためには、昭和二十三年九月、母子衛生対策要綱を作成いたしまして、妊産婦、乳幼兒の保健指導に努めて参りました結果、その死亡率は毎年低下して参つております。ユニセフの好意によりまして贈られました粉乳による給食は、配給範囲は限られておりますけれども、健康増進に役立つておるわけであります。兒童の環境改善につきましては、兒童の不良化の原因として環境の及ぼす影響が極めて大きいことを考えまして、その改善に努めまして、優良な兒童文化財の助長等を指導いたしておる次第であります。
以上兒童福祉行政につきまして政府の施策を御説明いたしましたが、政府といたしましては、今後とも只今の御決議の趣旨を十二分に尊重いたしまして、兒童福祉行政の万全を期するようにこの上とも努力をいたしたいと考えるわけであります。(拍手)
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〔中平常太郎君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/22
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023・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 中平常太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/23
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024・中平常太郎
○中平常太郎君 本員はこの際、四国地方の地盤沈下に対する対策といたしまして、緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/24
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025・門屋盛一
○門屋盛一君 只今の中平君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/25
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026・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 中平君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/26
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027・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。中平常太郎君。
〔中平常太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/27
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028・中平常太郎
○中平常太郎君 昭和二十一年十二月の南海震災被害に対する復旧の工事は、二十三年、二十四年におきまして、土木関係、耕地関係、林務、水産関係におきまして国庫の補助と地元民の努力によりまして幾分進行したのでありますが、当初見積要求額が三十五億円であつたのでありますが、二十五年度におきましては、四国四県、岡山、和歌山、三重、愛知、福井共九県に対しまして、七億円の予算になつておるのであります。中にも高知県のごときは一度に沈下したために、二十三年度までに相当の除害工事も進んだのであるが、愛媛県のごときは、当時左程でなかつたのが徐々に沈下して参りまして、今日では二尺から、甚だしい所は一メートルも沈下した所が出て来たので、思いもよらなかつた海岸寄りの井戸水に鹹水の浸入という衛生上重大なる問題を惹き起すに至つた次第でございます。然るに政府の予算には、この飲料水の除害処置に対します費用には一銭も大体計上いたしてありません。ただ二十四年度において單独地方債七百万円を交付したに過ぎないのでございます。井戸水が塩辛くなるのは、地盤沈下のために海面が上昇いたしましたので、今日まで真水であつた海岸寄りの井戸水が塩辛くなつて来たのであります。その被害状況を簡單に申しますると、愛媛県が一番大きいのでありますが、飲料水の被害区域は六十六市町村九十五ケ所に及び、戸数にいたしまして一万七千五百二十八戸、人口におきまして八万五千二百四十八人がその被害を受けておるのでございます。県の調査によりますと、簡易水道布設費としまして二億三千二百万円を要するという調査になつております。この排水事業費におきましては七千二百八十万円を要するということになつております。香川県におきましては、被害区域は二十九ケ町村でございまして、これは人口におきまして四万九千百九十八人が被害者になつておるのでございます。徳島県におきましては、耕地の塩害が甚だしい地区では、飲料水、排水の被害を蒙むつた者も相当沢山にあるのであります。高知県におきましても、上水道施設などの破損等が甚だしい所は佐喜浜町、室戸町、高知市、多郷村、須崎町、清水町、下水道におきましては高知市、須崎町などが大変に傷んでおるのでございます。先ず四国地方の分だけを申上げて置きますのでありますが、御承知の通り、四国地方は殆んど山地でございまして、僅かに海岸沿いに少しばかり平地があつて、その平地に農漁民が密集いたしておるので、裏山は大抵の所は段々畑になつておるのでございます。この飲料水の悪化をどうすればいいかと言うなれば、海岸から離れた谷水を取るか、或いは高い土地の井戸からの簡易水道を布設するより外には方法がないと思われるのでございます。一例を申上げますと、北條町のごときは海岸五百五十三戸の中で二百四十九の井戸が塩辛くなつて参りまして、住民二千七百二十七名が遠方の所まで飲水を貰いに毎日苦労いたしておるような状態であります。元来、水道の国からの補助と申しますものは水口一万以上が最低の要件になつておりますから、三百、五百の所は簡易水道で県でやらなければならぬ。県においても一つや二つならよろしいが、とにかく何十ケ所となれば県はとても財政上処理ができないのでございます。政府は二十四年度におきまして漸く七百万円の地方起債を許しただけでは、到底これでは除害工事が一般に行われるわけはないのであります。事人命にも及ぶ広汎にして多数の被害であるが、政府はこの井戸水の変化に対してどう考えておられるかということをお伺いいたしたい。これは普通の水道費の要求とは違いまして、全く地盤沈下という天災である。政府は公共事業費中の災害復旧費に取上げねば相成らぬ問題であるが、余りにこの水道問題を厚生省としても閑却いたしておられはしないかと思われるのであります。政府はこの二十五年度において、本年中に発生予想の予備金として公共事業費百億を予定計上しておりまするが、この井戸水の変化による被害は、二十四年度までは待つことができたが、もはや辛抱ができないのであるからして、二十五年度の災害復旧費としてこの百億の予算の中に取上げられる考えがあるかどうか。この点は厚生大臣及び資金操作の上におきまして又認証の立場にあるところの安本長官に具体的な御答弁をお伺いする次第であります。
又建設大臣にお尋ねしたいのでありますが、四国地方の地盤沈下による被害は、道路、橋梁、河川、海岸或いは港湾等、被害個所が約三千五百三十ケ所に及ぶのでありますが、この地盤沈下のごとき天災に対しては、その対策も又根本的なものでなくてはならないと思うのであります。僅かばかりの予算を以て、道路の補修や堤防の蒿上げ、或いは水門の築造、破損の修理のごとき応急処置に終始しておられる分が相当多いようであるが、果してこのようなことでよいのかどうか。例えば旧参謀本部発行の地図の山々の頂きの三角点の標高の変化、四国は大体高松を中心として、海岸の形態、山岳の標高等の調査をされておるようでありますが、高松自体がすでに変化をしておると思われるのであるが、その変化をどう調査されるかまだまだ現在沈下しつつあるのか。停止しておるのか。一番動かない所と見られておる日本の中部の山岳からの調査が必要でありはしないか。又地質学その他から根本的に計画等を見直す必要があると思うが、建設大臣は如何なるお考えであるか。この地盤沈下の問題に対しましてお尋ねいたしたい。
又農林大臣にお伺いしたいのでありますが、鹹水いわゆる塩辛い水ですね、鹹水その他の被害耕地は四国四県だけでも九千七百町歩に及んでおると言われておりますが、水田等について、復旧の程度並びに根本的な対策について本年度の実施計画、又耕地の転換等について将来の方針等をお伺いいたしたいのでございます。
右簡單でございますが四大臣に御質問を申上げます。(拍手)
〔国務大臣林讓治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/28
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029・林讓治
○国務大臣(林讓治君) 中平議員にお答えをいたします。
昭和二十一年の南海震災に起因いたしまして、四国四県及び和歌山県の海岸寄り地帶は緩慢な地盤沈下をいたしまして、昨年末頃におきましては、沈下の著しい地域におきましては約一メートルにも達したわけであります。このために井戸に海水が浸入いたしまして、その著しいものは塩分率が海水の約二分の一にも及びまして、住民の飲料水に対する困窮は誠に著しいのであります。又排水状態不良地域が発生いたしまして、衛生状態も非常に悪化をいたして参つたわけであります。現在判明いたしておりまする被害は百五十一市町村に及びまして、これに要する費用は約十億円程度にも推定されておるような実情に立至つております。政府といたしましても十分なる関心を有しておりまするがため、極めて僅少ではありましたけれども、昭和二十四年度末におきまして災害地方債を計上いたしまして、一部の緊急対策を実施いたしたわけでありますが、本年度は根本的対策を確立する必要があるものと考えまして、目下詳細なる調査を実行いたしておる次第であります。以上申上げた通りでありまして、政府といたしましても、この地盤沈下対策につきましては十分なる関心を持ちまして、本年度におきて必要なる対策を実施いたす方針でおるわけでありまするから、さよう御了承をお願いいたしたいと考えるわけであります。
〔国務大臣益谷秀次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/29
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030・益谷秀次
○国務大臣(益谷秀次君) お答えを申上げます。
二十一年度の南海震災、又二十三年度の福井地方の震災、そのために御承知の通り四国、福井或いは和歌山その他最近におきましてこの地震の影響を受けて地盤に変動を来たしたのであります。殊に海岸寄りにおきましては、地盤沈下のために潮の満干のたびに日日浸水をいたして非常に困難をいたしておるわけであります。被害も又大きいのでありまして、これは速かに適当の処置を講じて参らなければならぬことは当然でありまして、又私といたしましても、一日も速かに被害を除去するように努めたいという考えを持つております。建設省といたしましては、御承知の通り公共土木施設に対する助成をいたして参つておるのであります。即ち海岸、河川の堤防或いは橋梁、道路、これの災害の復旧をいたす立場にあるのでありまして、従つて二十三年度、二十四年度までにおきましては、この両震災に対する助成金は八億三千五百万円出しております。これは御承知の通り三分の二の補助でありまするから、事業費といたしましては十二億五千余万円になるのであります。建設省の調査の結果、この地盤変動による公共土木施設の国庫が助成すべき事業費は大体四十数億に認定をいたしておるのであります。本年は即ち只今申しました通り、二十四年度までには、その四十数億のうち十二億五千万の事業は完成したのであります。残りまする部分につきましては、只今御指摘のごとく、本年は七億の予算を国会において承認をして頂いたのでありまするから、これがやはり公共土木施設に対する助成金になるのでありまして、而して尚残額が事業費といたしまして二十数億残ることになります。これは一日も速かに、国の財政の許す限り速かに助成をいたして復旧をいたしたいと努める考えであります。尚、愛媛県のお話でありましたが、南海震災による四国における被害は、御承知の通り私共の査定から見ますると高知県が第一でありまして、第二は愛媛県になつておりまするが、今度の七億の予算の助成金の配付につきましても、特にこの第二位の被害を受けておられる愛媛県に対しては十分に考慮いたしたいという所存でございます。
以上は公共土木施設に対する建設省の今までとつて参りました措置でありますが、只今も御質問のありましたように、今日各地に地盤沈下、或いは四国或いは和歌山等に地盤沈下があり、地盤変動がある。これは原因を十分に研究をいたさなければならないという考えから、即ちこれは單に二十一年或いは二十三年の地震のために、地震の結果のみによつて地盤変動を生ずるのか、或いはもう一歩突き進んで、潮位の変化と申しますか、天体の変化と申しますか、そういうことが原因になつておるんじやないかという考えから、建設省の地理調査所、或いは中国、四国の建設局におきまして、十分に今日まで研究をいたしておるのでありますが、まだ遺憾ながら結論に到達いたしておりません。結論を得次第に根本的に対策を講じて、これに助成したいという所存でございます。
〔国務大臣森幸太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/30
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031・森幸太郎
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。
四国地方の高潮は昭和二十三年十月のリリー台風の以後の現象でありますが、南海火災に伴いまして地盤沈下と密接不可分の関係にありますので、農林省におきましては、二十三年度以降の災害の高潮災害として区分して取扱をいたしておるのであります。地盤沈下は年々少しずつこれが沈下して参りますので、或る程度の落付きを見なければ、その地盤沈下の局部の対策も根本的に考えられないのでありますが、大体一応落付いたようなふうに考えられますので、地盤沈下は二十三年度より復旧事業を始めまして、二十六年度には現在の状況に対しまして完成の見込を持つておるのであります。高潮の災害は二十四年度より始めまして、二十七年度に一応完成の見込を立てております。これらの所要復旧費の総額は、地盤沈下、高潮を加えまして十一億六千五百余万円と推定いたしておるのであります。二十四年度におきましては、これらの事業に対しまして一億九千二百余万円を用いまして、今後の施設に対しましては、地盤沈下は高潮災害の性質に鑑みまして一応この高潮を防ぐ、いわゆる耕地の復旧によりも高潮に対する施設を行うということを考えたのでありますが、二十五年度以後は耕地の復旧に著手いたしたいと考えておるのであります。二十五年度の予算の見込は、地盤沈下が残つておりますものの四〇%、高潮災害に対しましては耕地の残余の約三〇%を予定いたしておるのであります、まだ細かい金額の査定の段階に入つておりませんが、大体二十五年度の事業費といたしては以上申しましたような程度の施設をいたしたいと、かように考えておるわけであります。
〔国務大臣青木孝義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/31
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032・青木孝義
○国務大臣(青木孝義君) 中平議員にお答え申上げます。
地盤沈下対策の問題は、昨年の十一月頃から問題化したのでございまして、この件に関しましては、終局的には厚生省が調査して、そうしてその結果を見ましてこれに対処いたしたいということでございます。従いまして、厚生省の調査が一応その結果を見次第、我々としては速急に認証もいたしまして、善処いたしたいと存じております。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/32
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033・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第四、漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案(木下辰雄君外一名発議)、日程第五、臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/33
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034・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。
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〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/34
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035・木下辰雄
○木下辰雄君 只今上程されました漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案並びに臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びにその結果について御報告いたします。
先ず漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案の改正の理由を申上げます。福岡県、長崎県、熊本県並びに佐賀県の四県に囲まれた有明海は瀬戸内海に次ぐ漁業権の複雑した海であります。この海面の漁業調整をするために、瀬戸内海と同様に常置の有明海連合海区漁業調整委員会並びに有明海漁業調整事務局を置いて、この海の漁業調整を円滑にし、漁業生産の増強を図るものであります。而して本法の改正については、前国会で漁業法が審議された当時修正することに相成つておりましたが、何分にも漁業法は七十余ケ所に亘る修正でありましたので、この点の修正は次の国会即ちこの第七国会まで延ばした次第であります。それで今回水産委員全員が協議いたしまして提案いたしました次第であります。
又水産庁設置法の一部改正の法律案は、この漁業法の一部改正に伴う当然の改正であります。
次に改正の内容を簡單に申上げます。漁業法の第八十二條、第百九條、第百十條、第百十一條を改正いたしまして、有明海に有明海連合海区漁業調整委員会を設置し、その委員は、有明海の区域内に設置された海区漁業調整委員会の委員が県ごとに互選した者各一人と、学識経験者の中から主務大臣が任命した者二人、即ち都合六人を以て組織するものであります。又、有明海の区域は、長崎県口之津町瀬詰崎から熊本県湯島村中央三角点を経て三角町柴尾山西南に至る直線及び陸岸によつて囲まれた海面であります。
次は水産官設置法の一部改正でありまするが、これは有明海連合海区漁業調整委員会を加えることと、有明海漁業調整事務局を設置し、その事務所の所在地を大牟田市とする改正であります。
水産委員会におきましては本国会の初めから調査して参りましたが、四月十九日の委員会で愼重審議いたし、討論に入りましたところ、矢野、青山、田中の各委員から賛成討論があり、採決の結果、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容について申上げます。「らつこ」「おつとせい」に関しましては、明治四十四年七月に、日本、アメリカ、イギリス及びロシアの四ケ国間において膃肭獸保護條約が締結されたのであります。我が国といたしましては、この條約を忠実に守るために、その翌年即ち明治四十五年の四月に臘虎膃肭獸猟獲取締法を制定いたしたのであります。保護條約では海上における猟獲を禁じまして、米国はプリビロフ群島、ロシアはコマンドルスキー群島、日本は海豹島において猟獲をいたしておつたのであります。然るに條約を締結した当時十四五万頭程度に激減しておつた「おつとせい」が昭和十五年頃は二百万頭以上に増加いたしまして、我が近海における魚族に非常な害を及ぼすようになりましたので、我が国といたしましては保護條約の改訂を提議しておりましたが、遂に昭和十五年十月にこの條約の廃棄を三国に通告いたし、その一年後からこの條約は効力を失つたのであります。それで昭和十七年三月の我が政府は取締法の一部を改正いたしまして、海上の猟獲を許可いたしたのであります。然るに終戰後は連合軍最高司令部の命によつて許可を中止してしまつたのであります。然るに密猟が行われて年々相当数の毛皮が密売されているために、我が漁業の将来性に鑑みまして、この密猟及び密売を嚴重に取締る必要がありまするために、この取締法を改正することと相成つたのあでります。改正の内容は極めて簡單でありまして、現行法では、政府は命令の定むるところにより、「らつこ」又は「おつとせい」と猟獲を禁止又は制限することができることになつておりますが、それを更にその獸皮の製造も、加工も、販売も、又その獸皮又は製品を所持することも禁止又は制限することができるように改正せられることになつたのであります。
委員会におきましては会を開くこと七回に及びまして、愼重に審議をいたしまして、全委員の発議によりましてお手許に配付いたしましたような修正をいたしたのであります。
質疑の主なもの一二を申上げます。千田委員から、一般人がこの獸皮で加工した首巻やチヨツキを所在しているようなものまで取締る必要があるのか、又従前から所持しておつたものはどうするのかという質問に対しまして、政府から、省令を以て取締るものは、猟業者、製造業者又は販売業者であつて、一般人には及ぼさない方針であるという答弁がありました。又委員外の議員で丹羽議員から「おつとせい」は魚類のために非常な害獸である、最近「おつとせい」は四百万頭以上に繁殖して、我が近海、殊に銚子から三陸方面に盛んに遊泳して非常な害を我が国の漁業に與えている、その対策は一体どうするのかという質問に対しまして、政府は、目下米国と共同してその状況を調査しているが、その結果によつて対策を講じたい、こういう答弁がありました。
かくて質疑を終了いたしまして討論に入りましたところ、青山委員、矢野委員、田中委員等から修正議決することに賛成がありました。採決に入りましたところ、修正個所の採決は満場一致を以て可決し、又修正を除いた部分の原案に対しましては、これ又全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/35
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036・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 別の御発言もなければ、これより採決をいたします。
先ず漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します、本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/36
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037・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/37
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038・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 次に臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/38
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039・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/39
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040・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第六を後に廻し、日程第七、教育職員免許法の一部を改正する法律案、日程第八、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)、日程第九、教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、以下三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/40
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041・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事藤田芳雄君。
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〔藤田英雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/41
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042・藤田芳雄
○藤田芳雄君 只今上程せられました教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案は、連関しておりますので、両法案をまとめてその審議の経過及び結果を御報告いたします。
政府の提案理由の説明によりますと、両法案が昨年五月制定され、九月一日から施行されましたが、今日までその実施の結果、教育職員の利益を擁護し併せてその地位の安定を図る必要上、両法案施行につき不明瞭な点を明確にすると共に、教職員相互の不均衡の点を是正するため、一応最少限度の改正を行い、尚不備の点等については将来十分研究を重ねた上改正の途を講じたいというのであります。両法案の主な改正点を申上げますと、大要次のような事項であります。第一点は、教育職員免許法施行法第二條の改正でありますが、これは第二條の従前の規定による学校の卒業者に対する新免許状の授與について、不均衡の点がありましたものを是正するものであります。第二点は同法第八條の改正であります。これは現行法によりますと、校長免許状又は園長免許状を有しなくても旧規定による資格を以て校長になり得る期間を、昭和二十六年三月三十一日とあるのを延長して昭和三十年三月十一日としたのであります。第三点は同法第七條に関連した附則の改正であります。即ち同法第一條及び第二條の規定により上級免許状授與に関する優遇の特典を経過的に認めてありましたものを、昭和二十八年三月三十一日までと、その期間を明確にしたものであります。第四点は、右によりましてその有効期間が制限されますと、その適用を受ける者と、受けることができなくなり免許法の本則によつてのみ上級の免許状を得られる者との間に不均衡を生じて参りますので、その不均衡を是正すめため教育職員免許法の改正を行うのであります。
次に文部委員会における主な質疑並びに政府の答弁の大略を申上げます。教育職員の資格認定講習に関連した政府の予算が極めて少額であるため、講習を十分に実施することが困難であり、従つて昭和二十八年三月三十一日までに終了できないかも知れない、そうした懸念があるのみならず、受講者の負担が重過ぎる実情にあるが、これに対して政府は如何なる対策を有するかとの質問に対し、政府は将来十分対策を講ずることとするとの答弁でありました。自発的研修を資格認定講習の受講單位とする考えはないかとの質問に対して、單位に換算する技術的標準を定めることが容易でないので、今直ちに具体化することは困難であるから、将来研究するとの答弁でありました。経歴検定及び試験検定の制度を設け、勤務成績及び独学者の自発的研修を尊重することにしてはどうかとの質問に対し、従来のこの種の制度について種々の欠陷があつたのに鑑みこの制度を廃止したのであるが、その長所とする点については免許法制度の根本改正の際に考慮したいとの答弁でありました。学芸大学及び学芸学部の在学者に比して、他学部在学者は教員免許状を受けるのに多大の不便があるが、これを改正してさようなことのないようにする考えはないかとの質問に対し、大学当局は学生の希望を参酌して学内の取扱で單位を取り得るような措置をするであろうし、又さような助言をしたいとの答弁でありました。校長、園長のみは仮免許状で昭和三十年三月三十一日までは教職に就くことができることになつているにも拘わらず、その他の教職員については昭和二十六年三月三十一日までとしたのは不公平である、いずれも三十年三月三十一日にするか、又は講習実施の現状に鑑みて更に延期する考えはないかとの質問に対して、校長及び園長とその他の者との受講單位数の開きの点等を考慮して、延期の時期に差があるのは止むを得ないし、又無期延期することは受講者及び主催者の期間的目標がなくなり、予算の編成その他に不都合を生ずる結果となるから、現段階においてはこれを適当と考えるとの答弁でありました。
かくて両案についてそれぞれ討論採決に入りました。
先ず施行法につき河野委員外六名の委員から修正案を提出いたしました。その第一点は、同法第二條第一項の表の改正規定中、旧国民学校令による国民学校專科教員免許状を有する者で專門学校に準ずる各種学校を卒業した者は、新制度の中学校教員の二級免許状を授與される資格があることの事項を挿入しました。第二点は、学校教育法施行規則第百三條の四各号の規定により、高等学校教諭仮免許状を有するものとみなされた者は、高等学校教員二級免許状のみを授與される資格があることになつていたものを、中学校教員についても同様の免許状を授與される資格あるものとしたことであります。これは教職員相互間の均衡上当然の措置と考えられるからであるとの提出委員の説明であります。右修正案は、採決の結果全員一致を以て可決されました。
次に修正案を除いた原案につき討論を行いましたが、河野委員から、本法案は他日根本的に修正することを政府で研究するというのであるから、委員提出の修正案及び原案には賛成するが、政府は本案施行につき十分周到な親切と善意を以てすると共に、政府の予算措置を能う限り全きを期し、地方負担及び教職員個人の負担の軽減を図るよう考慮せられたいとの希望を付するものであるとの発言がありました。かくて修正個所を除いた原案につき採決の結果、全会一致を以て可決に決定いたしました。
次に教育職員免許法の一部を改正する法律案の討論採決の結果全会一致を以て原案を可決いたしました。
以上教育職員免許法の一部を改正する法律案及び同施行法の一部を改正する法律案の審議の経過並びにその結果を御報告いたしました次第であります。
次に上程されました教育委員会法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びにその結果を御報告いたします。
政府の提案理由並びに改正の要点について申上げます。第一は、現行法では市町村の教育委員会ですでに設けられているもの以外は、昭和二十五年度又は昭和二十七年度に設置することになつているのでありますが、中央、地方の財政状態その他の事情を考慮して、市に設けられるものは昭和二十五年度又は昭和二十七年度に、町村に設けられるものは昭和二十七年度とすることとしたのであります。第二は、委員の選挙に関する規定の改正でありますが、これは衆議院におきまして公職選挙法の改正に伴い政府提出の原案を修正し、公職選挙法に基いて行うこととしたのであります。第三は委員の他の職務との兼務及び服務等についての改正であります。委員の本務に支障のない程度にこれを緩和し、又服務などについては現行法に規定がないので、その職責の重大性及び特殊性に鑑み新らしく規定を設けたのであります。第四は、教育委員会の職務権限で従来不明確であつた点を明確にすると共に、実質上現在その職務権限として行われていることを明文化したのであります。第五は教育委員会と教育長との関係についてでありますが、これは現行法上必ずしも明確ではない点もありますので、教育長が委員会の專門的助言者であり、且つ事務執行上の特殊性に鑑み、両者の本来の機能を明確にしたのであります。
審議に当り主なる質問並びに政府の答弁の大略を申上げます。教育委員会制度の本旨を真に発揮するためには、委員会に財政権を保持することが何より肝要であるが、政府はこの点について現在何らの措置を講じていない、将来如何なる対策を有するかとの質問に対し、政府としては、標準教育費の確保に関する法律案を作成し、近く提案することにしてあるので、それでその欠陷の一部を補うようにしたいとの答弁でありました。教育長の権限がややもすれば拡張されるかの印象を與えるから、教育長の活動は飽くまで專門的助言者としての立場を忘れないようにする必要があるが、政府の所見は如何との質問に対して、政府は、勧告等の方法により十分善処するとの答弁でありました。通学区域の設置等についての教育委員会での活動に関し、文部省の助言や勧告はやや行き過ぎるか又はその趣旨の不徹底のために、教育上悪影響を與えている点があるがどうかとの質問に対して、政府は、将来教育委員会の運営が極めて合理的に且つ民主的に行われるように万全の注意をするとの答弁でありました。地方公務員たる教職員の退隠料制度について地方により不均衡を生ずることはないかとの質問に対して、地方公共団体は国の恩給法に準じて右の制度を定めるであろうから、さような懸念はないであろうし、文部省としても十分この点関心を持つて対処しようとの答弁でありました。土木建築の部課を置くこととしてあつた前国会の修正案を本案については除いてあるが、その理由如何との質問に対して、土木建築の部課を置くことを希望するが、諸種の関連もあるので、漸進的に職務権限の改善を期することとしたいとの答弁でありました。委員会の運営、区域等については、将来十分考究すべきであると思うがとの質問に対して、将来期待に副うよう十分考究するとの答弁でありました。
かくて愼重審議の後、討論に入りましたが、河野委員より、財政的の裏付けをすること、委員会制度の根本的改正案の研究をすること、運営については地方の特殊性を尊重し、民主的な教育行政の実施につき、文部省は適切な考慮と自戒をすること等を希望するとの発言がありました。討論を打切り、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付の原案通り決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/42
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043・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
先ず教育職員免許法の一部を改正する法律案、教育委員会法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/43
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044・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/44
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045・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 次に教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/45
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046・松嶋喜作
○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
これにて午後一時まで休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後一時四十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/46
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047・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
この際お諮りいたしたいことがございます。栗栖赳夫君より病気のため今月中請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/47
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048・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/48
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049・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十、通商産業省設置法等の一部を改正する法律案、日程第十一、経済安定本部設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/49
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050・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
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〔河井彌八君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/50
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051・河井彌八
○河井彌八君 只今上程になりました二案、即ち通商産業省設置法等の一部を改正する法律案及び経済安定本部設置法の一部を改正する法律案、この二案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を順次御報告いたします。
先ず通商産業省設置法等の一部を改正する法律案でありますが、本案につきましては委員会を開くこと予備審査と共に二回、一昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。
本案の提案の理由及びその法律の内容につきまして詳しい説明をいたすことは省きまするけれども、改正点の主なるものを概略申上げます。その改正点は大きく分けまして三点であります。
その第一点は、通商産業省設置法の一部改正の問題であります。これを細かく申しますと四つの事項となります。その一つは、従来貿易公団で行なつておりましたところの輸入事業のうちで、米国の対日援助物資に関しましては行政機関で処理すべき要請がなされておりますので、これを臨時通商業務局を新設いたしまして、この局において対日援助物資の輸入事業を実施させることにしたということが一つ。次には企業合理化の問題であります。この問題は現在の経済事情の下におきまして最も緊要な事柄であることに鑑みまして、その強力な推進を図ることを明らかにすると共に、主としてこの事務に当らしめるために通商企業局に次長を設けることにいたしたこと、同時に行政簡素化の趣旨によりまして通商企業局内の調達賠償部を廃止すると共に、資源庁関係におきましても、石炭監理局、石炭生産局の二局をば炭政局といたしまして統合するなど、所要の整理改廃を実行したことであります。次にもう一つは、従来部門別の生産動態統計調査は調査統計部の各課で行なつて参りましたが、これをば本省の各生産原局に移しまして、調査統計部では基本的な調査統計と各生産原局及び外局の行う部門別統計調査の総合調整を行うこととしたのであります。尚もう一点は、昨年の十一月一日から通商産業局の分室に代つて都道府県に置かれました商工資材事務所の職員の身分をば、現在の国家公務員より都道府県の吏員に切替えることといたしました。以上が第一点の主なるものであります。
次に第二点は工業技術庁設置法の一部改正の問題でありまして、従来工業技術庁の人事、会計等、庶務に関する事柄は調整部で所掌しておりましたのが、人事院規則の実施並びに財政法及び会計法の改正に伴いまして、これらの人事、会計行政の事務は大幅に増加して、加えて来年度においては相当数の増員が予定されておりまする関係から、新たに長官官房を設けまして、人事、会計行政を專管させることにしたのであります。
第三の要点は、中小企業行政の強力化を図るために、中小企業を育成及び発展を図るべき基本方策の設定、商工組合中央金庫に対する監督等につき、その権限を明確にすると共に、私的独占禁止法又は事業者団体法の適用について公正取引委員会との関係を整備することといたしたこと、この三つの点が主なるもので、あります。
尚これに対しまして衆議院において修正が加えられてあるのであります。その修正案の要点を申上げますると、これも三つに分けることができるのであります。その第一点は臨時通商業務局の所掌事務に関するものでありまして、政府原案におきましては、輸入業務を二つに区分して、米国対日援助物資に関するものは新設の臨時通商業務局において処理し、その他は従来通り通商局において行うこととしておりますが、今後は貿易公団の全面的の縮小が予想されますので、輸入業務全体をば臨時通商業務局が併せて実施することといたしたのであります。これが第一点。次の第二点は、現行法のままでは、輸出信用保險特別会計の経理は大臣官房で行い、輸出信用保險に関する事務は通商振興局の経理部以外の機関で行うことになりまするが、保險に関する行政事務と会計事務は同一部局で行うことが運営の円滑を期する上において必要であるということ、及び事務の性質上、現在経理部で行なつておる通商金融と別個に行うことは好ましくないこと等の理由から、経理部において統一的に処理できるようにしたことであります。衆議院の修正の第三点は、工業技術協議会の委員の任命権者に関する事柄でありまして、この協議会の委員の任命が内閣に委ねられてありまする現在の制度をば、任命手続等について、この協議会というものは長官の單なる諮問機関に過ぎないのでありますから、無用の煩瑣を避けますために、この際、工業技術庁長官に委ねることに変更したのであります。衆議院の修正点はこの三つが主であります。尚最後に、本法の施行期日につきましては四月一日という日が書いてありますのは、これはもう時も経過しておりまして不可能でありますので、これをば本案が成立後速かに公布され、そうして即日施行されるという趣意に修正せられたのであります。
この案につきましていろいろ政府から詳しい説明がありましたが、委員会において明らかになつた事項を申しますと、現在通商産業省の職員の総数は二万一千二百五十九名であつて、大蔵省は本年度の予算で以て四百六十八名を整理する案になつております。これに対して行政管理庁においては約二千人を削減しよう、そうして最低一万八千八百三十九名を保持すべきものとしておるのであります。この削減される人員はどこから出るかと申しますれば、通商産業局、纖維局等、統制事務を所掌しておる部局のものであるのであります。又工業技術庁の人員は五百五十名増員される予定であるという状況であります。
本案につきまして委員との間に熱心な質疑応答がありましたけれども、主たるもの以外はこれを省略させて頂きます。先ず梅津委員から、商工資材事務所の職員が千八万名あるうち、千百名だけをば地方吏員に切替えるということに当つて、残りの七百名の措置をどうするかということについて非常に同情のある質疑が行われたのであります。これに対しまして政府においても合理的な配置転換を考慮するということを申したのであります。尚、三好委員から、この案を見ますと、設置法に基いておらない審議会、法律に根拠を有せざる審議会が沢山ある、そういうものは今回整理すべき筈になつておるのに、通商産業省内においてすでに八十の審議会があつて、そのうち法律に基礎を持つていないものをそのまま存続せしむる結果になつておるのであるが、この法律の中に全然その点に触れていないのは穏当でないという意味の強い質問があつたのであります。政府はこれに対しましていろいろ事情を述べまして、止むを得ない点があるということを申し、そうしてこれは今後において必ず整理するであろうということをはつきり答えたのであります。
大体只今申上げましたような事柄で以て質疑応答を終りまして、最後に討論に入りまして、三好委員から、改正案は大体においてこれは当然の規定の整理であり、又他の法律との関連において生じた改正であつて、これは適当と認める、但し審議会の問題については、次の機会において是非整理すべきものは整理いたし、又存続の必要あるものであつて今日法律に基いていないものは、正式に設置法によつて法律的にこれを存続せしめるよう強い要望がありまして、本案に賛成いたしたのであります。そこで採決は、衆議院のいたしました修正案、それを含めまして採決をいたしましたとろが、全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。
次に経済安定本部設置法の一部を改正する法律案について報告をいたします。
経済安定本部は国家行政組織法第二十四條の規定に基きまして臨時に置かれてある官庁であります。内閣総理大臣を総裁とし、国務大臣を以て長官とする特別の官庁でありまして、これは経済安定の基本的施策の企画立案を初めとして、各行政機関の事務の総合調整及び推進、物価の統制、経済統制等を掌る機関であるのであります。今般我が国の経済情勢の推移に鑑みまして、その組織を整理する必要が生じましたので、政府からこの法律案を提出することになつたものであります。本法案における改正の要点を申上げますると、その第一点は、内部部局をば簡素化いたしまして、一官房六局という現在の制度をば一官房五局に縮小するのであります。即ち現在の生産局、動力局を統合いたしまして産業局といたします。又生活物資局の名称を改めまして民生局とするものであります。第二点は、経済安定本部の地方機構を簡素化いたしまして、従来、本部、物価庁、経済調査庁のおのおのの地方機関としてそれぞれ地方経済安定局、地方物価局、管区経済調査庁が置かれてありまして、三本建の組織となつておるのでありまするが、今回はこれを一本建に統合いたしまして、管区経済局を八局設けることにいたしたのであります。尚その下部組織といたしまして地方経済調査局を設置いたしまして、それは都道府県に各一局、北海道に四局以内ということになるのであります。尚、第三の点といたしましては、経済安定本部の存続期間を、従来は御承知のごとく一年ごとに更新する規定になつておりまするが、今度はこれを削除いたしまして、当分の間存続するということに改めたことであります。これが改正の要点であります。委員会は前後二回に亘りまして愼重審議をいたしました結果、この改正の趣旨は概ね妥当であると認めまして、全会一致を以てこれを可決すべきものと議決いたした次第であります。
尚この委員会の審議中には経済安定常任委員長佐々木君も特に出席せられまして熱心な質疑応答を行われたのであります。而うして論議の中心となつた点を申上げれば、経済安定本部の性格と機能が今後如何にあるべきかという点であります。最近経済事情の変遷に伴いまして物資の統制は逐次廃止せられました今日、單に物資の統制や配給を主たる目的とする臨時機関であるならば、この経済安定本部なるものはもはや存続を必要としないのではないかということになるのであります。従いまして、経済安定本部の性格はどうであるか、尚これを存続せしむべきものであるかという点であります。この問題につきまして各委員から極めて熱心な発言があつたのでありますが、大体総括して申しますれば、日本の今日の経済事情の推移と国際情勢の変化とに考えてみましても、国の経済施策に関する総合的な企画機関は必要である、安定本部はよろしくこの機能を十分に盡すべきものである、而してその企画は飽くまでも国家的見地に立つて健全な拔本的なものを要求するのだというような、そういう意見が委員諸君の意見と見て差支ないと思うのであります。尚、総合企画に基く施策の実施面の監査とこれの推進とは、両々不可分の関係において是非必要であるという見解であつたのであります。尚、存続期限の規定はこれは削除せられるのでありますけれども、併し国家行政組織法の根本から見まして、これは臨時に置かれているところの機関であるという点においては変らないのであるということであります。そこで、これにつきまして人員の増減等を調べてみますと、総員五千八百二十五名、そうしてこれから一千百七十七名を減らしまして四千六百四十八名が残るということになります。それから予算におきましては、昭和二十五年度におきまして一千八百八十二億円、その中から五百四十二億余万円を減ずるということになることが明らかになつたのであります。
本案の討論に入りまして梅津委員から、この経済安定本部をば強力に生かして行くように、そうして日本の経済再建のために十分効果を挙げるようにという希望を述べられました。又町村委員からは、国家的な見地からはつきりした拔本的な企画をなして、強い力を以て国の必要に応ずるようにいたすべしという意味の御意見があつたのであります。かくいたしまして全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/51
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052・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/52
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053・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/53
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054・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十二、更生緊急保護法案、日程第十三、保護司法案、(いずれも内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/54
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055・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。
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〔宮城タマヨ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/55
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056・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 只今上程になりました更生緊急保護法案の委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
先ず本法案の内容を簡單に御説明申上げます。本法案は、体刑の言渡を受けてその執行を終つた者、その執行の免除を得た者、十八歳以上で懲役又は禁錮につき刑の執行猶予中の者及び不起訴処分に付された者、それらが親族縁故者若しくは公共の諸施設から援助又は保護を受けることができない場合に、その更生に必要な限度で国の責任においてこれらの者に一時保護又は継続保護を行うことによつて、その更生を図り、その再犯を防止し、更生保護の健全な育成発達を図ることを目的といたしますと共に、犯罪者予防更生法第四十條の規定による保護観察中の者に対する応急の救護を円滑に実施しようとする趣旨の下に立案せられましたものでございます。而うして更生保護の実施機関といたしましては、中央更生保護委員会及び地方少年又は成人保護委員会の監督の下に、少年又は成人保護観察所がこれに当ることになつており、その方法は、本人の申出によりまして少年又は成人保護観察所長がその必要を認めましたときに限り、保護観察所みずからこれを行い、又は地方公共団体若しくは中央更生保護委員会の認可を受けた更生保護会に委託してこれを行わしめるものでございます。更生保護の期間は本人が刑事手続による身体の拘束を解かれた後六ケ月以内ということになつております。国は一定の基準によりこれら委託によつて生ずる費用を支弁しますと共に、更生保護会に対しては補助金を交付することができることになつております。更に中央更生保護委員会の附属機関といたしまして更生保護事業審議会を設け、更生保護事業の向上に関する重要事項を審議させる建前になつております。尚、犯罪者予防更生法第四十條の応急救護については、更生保護会はこれが委託を受け得ることにして同法の応急救護の円滑を期しているのでございます。更生保護事業の育成発達につきましては、一定の基準を定めて、これが事業を営む者を更生保護会として認可を與え、中央委員会の適切なる監督指導の下に置きますると同時に、前述のように事業の発展のため国において更生保護会に委託したものの費用を支併し補助金を交付する等いたしまして、その財政的基礎を強固にせんことを意図しております。その他、直ちに本法案に定める更生保護会の認可基準に該当しない一般個人経営の更生保護事業は、それがその目的を逸脱しない限り有益なものでもありますので、事業育成の観点からして本法案においても一応その存在を認め、ただこれに対する嚴重な監督権を中央更生保護委員会に與えたのでございます。以上が本法案の要旨でございます。
委員会におきましては愼重審議いたしましたが、その質疑応答につきましては速記録によつて御了承願うことにいたします。討論に入りまして、遠山委員より一部修正案が提出せられましたが、その要旨は、本案の施行期日は本年四月一日となつておりますが、審議中すでに四月一日は経過いたしておりますので、これを公布の日から施行することに定め、又現行地方税法によれば司法保護事業法による司法保護事業は地方税を免除することになつているので、これに代るべき本法案による更正保護事業も当然免税とすべきものなので、この点を改めるものでございます。委員会におきましては、右修正案及び修正部分を除くその余の原案全部につきまして採決いたしましたところ、いずれも全会一致を以ちまして可決すべきものと決定いたした次第でございます。
次に保護司法案の委員会におきます審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
先ず本法案の要旨を簡單に申上げますと、従来司法保護事業法に基いて司法保護委員制度が設けられ、これらの委員は民間の有識者中より選ばれて刑余者等のよい相談相手として献身的な働きをし、犯罪者の更生、防犯の上に大きな足跡を残しておるのでございます。然るに今回更生緊急保護法名によりまして司法保護事業法は廃止せられることになりました。そこで司法保護委員も廃止されることになるのでございますが、犯罪者予防更生法による保護観察その他犯罪前歴者の更生改善、防犯等の分野におきまして、このような民間有識者の協力援助は不可欠でございますので、本法案によつてこれに代るべきものを設けることにし、その名称も保護司と改めて、その組織、権限等に関しても詳細に規定することとしたのでございます。保護司はこれを少年保護司及び成人保護司の二種とし、全国を通じまして五万二千五百人以内とし、一定の條件を具備する一般民間人中より選考委嘱するものとし、その委嘱、解嘱につきましては、中央更生保護委員長が各地方裁判所所在地に中央更生保護委員会の附属機関として設ける保護司選考会の答申によつて、これを行うこととし、又その任期も二年とすることになつております。その職務執行区域は原則といたしまして中央更生保護委員会が定めた区域内に限るものとし、給與は支給しないが、職務を行うために要する費用の全部又は一部は支給することができることになつております。尚、保護司の監督は、中央更生保護委員会の地方出先機関たる地方少年保護委員会又は地方成人保護委員会が行うことになつております。次に保護司の身分につきまして、本法案には別段の規定はございませんけれども、解釈上、民生委員等と同じように国家公務員法の適用は除外されますが、刑法上は公務員として取扱われる建前になつております。委員会におきましては愼重審議をいたし、各委員より熱心な質疑が行われましたが、これらは速記録を御参照願うことにいたしまして、ここでは省略させて頂きます。討論は略しまして直ちに本法案の採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/56
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057・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
先ず更生緊急保護法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/57
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058・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/58
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059・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に保護司法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/59
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060・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/60
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061・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十四、造船法案(内閣提出、衆議院送付)、日程第十五、船員職業安定法の一部を改正する法律案(内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/61
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062・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事小泉秀吉君。
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〔小泉秀吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/62
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063・小泉秀吉
○小泉秀吉君 只今議題となりました造船法案について運輸委員会における審議の経過及び結果につきまして御報告申上げます。
先ず本法案の提案理由について申上げますと、その一つは造船技術の向上を図る必要のあることであります。即ち我が国の造船技術は、戰時中における劣性能の標準型船舶の大量建造に禍いされまして、今日におきましては世界の水準に及ばないことは勿論、我が国戰前の水準にさえ達していない状態であります。造船技術の向上につきましては、去る昭和二十三年六月、第二国会におきまして、参議院が満場一致で採択いたしました輸送力増強に関する決議におきまして、重点施策の一つとして造船技術の向上を掲げ、政府に対しこれが施策を要望いたしましたことは諸君御承知の通りであります。第二は、現在船舶の造修施設が有効需要に比し余裕能力を持つておるに拘わらず、近代化の遅れておる事情に鑑みまして、その施設の新設等は事前指導を行う必要があることであります。その三は、造船関係事業が重要産業でありまするので、事業の現状を把握し、随時適切な指導を行う必要があることであります。以上の趣旨によりまして、本法律案は、船舶の造修施設の新設、拡張、移転などの事前届出、船舶及び船舶用機関の性能試験、造船技術に関する勧告、情報の提供、造船関係事業の開始、休止、廃止の届出、施設、生産などについての勧告、業務運営の改善についての勧告などを規定したものであります。当委員会におきましては審議の結果、本法律案は、適当な立法と認め、原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定した次第でございます。
以上御報告申上げます。
更に船員職業安定法の一部を改正する法律案について申上げます。
本法案の運輸委員会における審議の経過並びに結果の御報告を申上げまするが、極めて簡單でございます。船員職業安定法の施行に関する重要事項を審議させますために、中央に中央船員職業安定審議会、地方においては地方海運局ごとに地方船員職業安定審議会が設けられておるのでありまするが、これらの審議会の外に、運輸大臣は二つ以上の海運局の管轄区域に亘る地域又は海運局の管轄区域の一部につきまして、特別地区船員職業安定審議会を置き得ることになつておりましたが、この特別地区船員職業安定審議会は現在までのところ、その必要を認められませんので、先般決定されました審議会等整理の政府の方針に従いまして、これを廃止するために本法律案が提出されたという次第でございます。本委員会におきましては、討論を省略しまして原案通り可決することに全会一致を以て審議の結果決定したような次第でございます。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/63
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064・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/64
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065・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/65
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066・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第十六、植物防疫法案、日程第十七、農林物資規格法案、以上いずれも(内閣提出)、日程第十八、肥料取締法案(内閣提出、衆議院送付)、日程第十九、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/66
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067・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
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〔楠見義男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/67
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068・楠見義男
○楠見義男君 只今議題になりました四つの案件につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果を逐次御報告申上げます。
最初に植物防疫法案につきまして御報告申上げます。
この法律案は、植物の防疫につきまして従来の法制を改廃統一し、新事態に即応して国際的及び国内的に植物の防疫に関する一貫した新立法を試みておるものでございまして、その内容としては、国際的な植物検疫並びに国内的な植物検疫及び緊急防疫を骨子といたしているのであります。即ち国際植物検疫につきましては、先に第二国会において成立を見ました輸出入植物検疫法の趣旨を概ね本法案中に取入れ、ただ一部の改正、例えば輸出入植物についてその容器包裝についても同様今後は検疫を行うとか、輸入禁止品を農林大臣が決定する場合には公聽会を開くこと、或いは輸入検査方法の一つとして隔離栽培の方法を設くる等の外は、概ね現行制度そのままを取入れておるのであります。国内植物検疫につきましては、現行法の害虫駆除予防法が古く明治二十九年の制定にかかるもので、法律制定当時の病害虫防除に関する知識水準を基礎としての法律内容は凡そ今日の実態に即せず、従つて特殊な病害虫を絶滅し又はその蔓延を防止する特別の措置をとるというがごときは全く予想されず、その結果、その後新らしく国内に侵入した幾多の病害虫が蔓延土着して農産物に重大な損害を與えておる実情でありますので、今回のこの法案におきましては、従前の害虫駆除予防法を全面的に改廃し、国内植物検疫としては、新たに国内に侵入し又はすでに国内の一部に存在している有害動植物、例えば馬鈴薯輪腐病、蜜柑蠅、馬鈴薯凋萎病のごときものの蔓延を防止し、以て優良な種苗を保全するため、その種苗の栽培地において栽培中に検査を行う等、強力な検疫を行い得ることといたしておるのであります。又緊急防除対策としては、右に申述べましたごとき新たに国内に侵入し若しくはすでに国内の一部に存在している有害動植物が蔓延して有用植物に重大な損害を與える虞れがある場合、又は有害動植物により植物の輸出が阻害せられる虞れがある場合におきまして、その病害を駆除し或いはその蔓延を防止する必要上、農林大臣はその病源存在地区内で絶滅するため、栽培の制限又は禁止、讓渡又は移動の制限、禁止、消毒、除去、廃棄等、それぞれの場合に応じて強力な防除措置を講じ得るように、これに伴う手続、協力命令、損失の補償等の規定を設けているのであります。
委員会は本案の審議につきましては前後三回に亘り愼重審議いたしたのでありますが、質疑の内容は概ね技術的事項が中心でありましたので、ここではそのすべてを省略し、詳細は速記録によつて御覽願うことにいたします。審議の結果、委員会は本案に所要の修正を加えることといたしました。即ち修正の主なる点は、先ず第一に施行期日の点でありますが、原案におきましては、この法律は本年四月一日より施行することとなつておりましたが、政府からの提案時期が遅れましたため、当初予定の施行期日前に本案を審議することは真実上不可能でありましたので、施行期日はこの法律公布の日から施行することと改めました。修正の第二点は、原案においては先程も申上げましたように、本案に現行輸出入植物検疫法を吸收統一しておるのでありますが、その経過規定において不完全なところがありましたので、これを補正いたしたのであります。第三点は、農林省の所掌事項中、国内植物検疫に関する明文が漏れておりましたので、その点を明確にするため本法附則において農林省設置法の一部に修正を加えることといたしたのであります。而して以上の修正案は各委員共同提案の形を以て提案することといたしました。
以上の経過を経て、植物防疫法案は委員会におきましては質疑終了後討論採決の結果、全会一致を以て修正議決することと決定した次第であります。
尚、討論におきまして藤野委員から、本案においては、いもち病、黒斑病、或いは螟虫のごとき一般病害虫は、すでに国内に伝播しておる理由により、その防除は地方自治体又は団体等を主とし、国は必要な補助をなすにとどめ、従つて本法の対象外に置いておるけれども、これらの被害による損失は毎年二百億を超えるものと推定せられるので、一般病害虫の異常発生に対処するよう国家的防疫体制を整備すること、特に国家施設としての農薬の予備貯蔵並びに必要なる融資及び防疫用農機具の整備につき善処すること、防疫行政機構の確立を図ること等の政府に対する要請が希望意見として附せられましたことを、ここに附加えて置きます。
次に農林物資規格法案について御報告申上げます。
この法律の目的は、第一條に規定せられておりますように、適正且つ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによつて、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の單純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、併せて公共の福祉の増進に寄與することを目的といたしておるのでありまして、御承知のように重要農林畜水産物、例えば藁工品、特殊農作物、木材、加工水産物等につきましては、古くからその規格統一と検査の制度が存在し、昭和二十三年以降は現行の指定農林物資検査法に受け継がれて今日に至つておるのであります。而して現行法による強制検査は、同時に又臨時物資需給調整法或いは物価統制令等の統制手段の裏打ちにもなつておるのでありますが、御強制検査は各種統制の逐次撤廃せられつつある現在の事態に適合しない点がありますので、現行の指定農林物資検査法はこの際これを廃止し、これに代るものとして、本法律案においては規格の統一と都道府県の格付を中心といたしまして、即ち第一に、農林大臣が主要な農林畜水産物についてみずから或いは都道府県又は利害関係人の申出によつて、日本農林規格を定めようとするときは、農林物資規格調査会の議を経てこれを行い、調査会の審議には必要に応じ公聽会の制度をも取入れること、第二に、都道府県が日本農林規格に基く格付を行うかどうかということは都道府県の自由でありますが、若し行う場合は條例により、且つその品質を保証するため日本農林規格に該当する旨の証票を附することができると、その他、規格の統一、証票制度運用上の細則的規定を内容といたしておるのであります。
委員会は本案審議に当りましては、農林物資検査制度に関する従来の実情、種類、品目についての再検討をも併せ行い、愼重審議の結果、原案に一部修正を加えましたる上、全会一致を以て本案は修正議決することに決定いたしたのでありまして、修正は各委員共同提案にかかるものでございますが、その修正点は、第一に、罰則規定中、法人罰及び代理人、使用人等の行為についての本人罰におきまして、最近の立法例に倣い、必要なる免責規定を附加えたこと、第二に、本法律の施行に伴いその権限規定を明らかにいたしますため、附則において農林省設置法に所要の改正を加えましたこと、以上二点であります。
次に肥料取締法案について御報告申上げます。
現行の肥料取締法は、古く明治三十二年の制定にかかり、その後明治四十一年に改正せられたまま今日に及んでおるものでありまして、時勢の推移に照し、現在の実情に副わないものがありまするので、この際、現行法の全面的改廃を行いますると共に、肥料取締のもう一つの法規でありますところの間接肥料販売制限規則が臨時物資需給調整法に基く不安定なものであり、且つその内容においても、かねて再検討を必要とせられた点もありましたので、これを新法に統一し、以て新事態に即応した肥料取締法をここに制定せんとするのが本法律案提案の趣旨であります。而してその内容の主要なる点は、現行法では、直接肥料については、その製造、輸入及び販売の各営業は知事の免許制度とし、又間接肥料の販売は農林大臣の許可を必要といたしておるのでありますが、新法におきましては、これらの免許又は許可制度はすべてこれを廃止し、別に肥料そのものについて、種類に応じ農林大臣或いは知事に対する登録又は仮登録制度を採用いたしまして、魚肥、米糖、堆肥、油粕等の特殊肥料を除く一般の普通肥料について、別途農林大臣の定める公定規格に合致したものについては登録、公定規格の定めなきいわゆる新肥料につきましては仮登録を認め、登録、仮登録をいたしましたとき、又はその取消のあつたときは、農林大臣又は知事はそれぞれ登録番号、仮登録番号、肥料の名称、保証成分量、業者の住所氏名等を公表するの措置を講じまする外、肥料の生産業者、輸入業者及び販売業者にそれぞれ保証票を附けさせ、或いは又従来の法規にはなかつたことで、例えば業者の虚僞の宣伝等を禁止し、その他必要に応じ肥料の施用上の注意を表示せしむる規定を設ける等の措置により、農民の保護に遺憾なきを期しておるのであります。
委員会における本案審査に際しまして問題となりました事項は、概ね先般審議いたしました肥料公団令の一部を改正する法律の場合と大同小異であります。又今後特に憂慮せられまする肥料資金の問題に関しましては、討論の際、岡村委員から、これが確保につき政府の善処方を強く要望せられ、更に肥料検査の嚴格適正につきましては、同じく討論に際し池田宇右衞門委員から、農民保護の見地より特に希望意見が述べられたのであります。かくて委員会は前後二回に亘る審議の結果、本案は全会一致、衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
最後に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件につき御報告を申上げます。
本件は、只今御報告申上げました植物防疫法案にも関連いたしておるのでありますが、輸出入植物の検疫業務の施行を円滑にし、検疫の万全を期するため、最近輸出入植物が激増をいたしておりまするところの清水、四日市、横須賀、舞鶴、広島、下関、佐世保、以上の七港及び羽田飛行場に動植物検疫所の出張所を増設せんとするものでありまして、その業務分量の実情及びかねて地元事者の要望切なるものがある等の事情から見ましても、その趣旨妥当なりと認められますので、委員会は全会一致を以て本件はこれを承認すべきものと決定いたした次第であります。
以上四件の御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/68
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069・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
先ず植物防疫法案、農林物資規格法案全部を問題に供します。両案とも委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/69
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070・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て委員会修正通り議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/70
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071・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に肥料取締法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/71
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072・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/72
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073・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。委員長報告の通り本件に承認を與えることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/73
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074・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/74
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075・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。
〔海保参事朗読〕
本日議員から左の修正案を提出した。
首都建設法案に対する修正案、城義臣君外一名発議)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/75
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076・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第六、首都建設法案(衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。
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〔中川幸平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/76
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077・中川幸平
○中川幸平君 只今議題となりました首都建設法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
本法案は、東京都を我が平和国家の首都として、政治、経済、文化その他あらゆる部面において、その機能を十分発揮し得るよう建設することにあります。これがためには、都の区域内に施行せられる重要施設の基本的計画を設定し、その実施の推進を図る機関として首都建設委員会を設置し、これに事務局を置き、又本建設に対する国を初め関係地方団体等の協力援助が規定されておるのであります。本法案に対しましては、建設委員会はその重要性に鑑み十分質疑応答を重ね、一面、都の建設事業の現状を実地について調査して、審議の愼重を期したのであります。委員会及び地方行政委員会との連合委員会における審議の詳細については速記録によつて御承知を願い、ここには主要なる点を御報告いたします。
本案に対しまして最も多く論議検討されました点は、一、今日東京都の建設について特別法を必要とする具体的な理由、二、首都建設と全国戰災都市復興との関連、三、本法案は地方自治の拡充、地方分権の建前に背馳するものでないか等の諸点でありました。以下これを要約いたしますれば、東京都は首都として国の各種中央機関と国際関係諸機関が集中しておること、都の建設事業については、計画の決定、その執行について関係各機関との協議を必要とするため、多大の困難を有する実情にあること、従つて首都としての施設の総合的計画の樹立実施のためには、より国家的な機構と機想を必要とするというのであります。これにつきましては、首都建設計画として今後具体的な課題となるべき、都内における官庁地区、文教地区、観興地区、高速度鉄道、地下鉄等による交通網、港湾、国際空港、緑地計画等について東京都当局の説明を聽取いたしたのであります。又東京都における経済その他各種のものの過度の集中、これと相表裏する政治上の過大な中央集権、農村対都市、中小都市対大都市の対立、又地方自治、地方分権の建前から見る本法案のごとき特別法制定については、本案は一面においては経済、人口その他の過度の集中調整にも役立ち得るところであり、委員会制度として権力集中の弊を避け、委員会における都の代表もあり、地方自治自重を阻害するものでないとの答弁でありました。この外、事業助成のための国の普通財産の讓與の問題、住民投票についても質疑応答を重ねたのであります。
次いで討論に入りましたところ、赤木委員からは、本案に対しては国の現状に照らして十分に論議したものであり、建設事業の完成に年限を切ることが適切である、従つて本案の運用に当つては、この点に関する修正があつたと同樣に十分に善処されたいとの強い希望を附して賛意が表され、石坂委員からは、首都の建設が遅れておることは東京都に各種の機関が錯綜しておる関係によるものであるから、国際的立場から首都の建設事業を推進する必要があり、本案に賛成する旨の発言があり、採決の結果、全員一致原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。右御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/77
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078・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 本案に対し、城義臣君外一名より成規の賛成者を得て修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨説明を求めます。團伊能君。
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〔團伊能君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/78
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079・團伊能
○團伊能君 私は只今議題となつております首都建設法案に対しまして修正案を提出するものでございます。先ず修正案を朗読いたします。
附則第六項を次のように改める。
6 特別職の職員の給與に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。
第一條第二十一号の次に次の一号を加える。
二十一の二 首都建設委員会委員
原案におきましては、首都建設委員の給與に関しまする規定を特別職の職員の給與に関する法律第一條第二十二号の二として設けたのでありまするが、先に本院より提出され、すでに両院を通過いたしました旧軍港市転換法におきまして、旧軍港市国有財産処理審議会委員の給與に関する規定として同條第二十二号の二がすでに規定されておりますため、原案のままでは、この二十二号の二が二つある事態となるわけであります。従いまして、この二十二号の二を二十一号の二といたしまして、法文の混乱を避けたいというのがこの修正案を提出いたしました理由であります。
以上極めて法律的技術上の修正でございますので、諸君の御賛成をお願い申上げます次第であります(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/79
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080・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。城義臣君外一名提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/80
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081・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本修正案は全会一致を以て可決せられました。
次に只今可決せられました修正の部分を除く残り全部を問題に供します。残り全部に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/81
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082・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて残り全部は全会一致を以て可決せられました。従つて本案は修正議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/82
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083・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程第二十より第六十八までの請願及び日程第六十九より第七十七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/83
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084・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。
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〔中川幸平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/84
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085・中川幸平
○中川幸平君 只今議題となりました請願陳情について建設委員会の審議の結果を報告いたします。
治水工事の促進に関するものは北海道十勝川であります。河川の改修工事の施行若しくはその国庫補助に関するものは、滋賀県愛知川改修工事、岩手県胆沢川改良工事、淀川堤防補強護岸工事、宮城県七北田事及び名取川改修工事、安倍川改修工事、天龍川改修工事の施行若しくはその促進と、岩手県下の中小河川改良工事及び同県津軽石川の外、諸河川、稗貫川の外三河川の災害防除工事費国庫補助に関するものの外、山口県木屋川の利水事業に対する地方民の要望に関するものであり、又海岸堤防は富山県奈古浦護岸改修工事であります。砂防に関するものは、奈良県生駒山地辷り防止工事、岩手県下の諸河川支流の砂防工事、新潟県下の地辷り防止及び砂防工事の施行の外、兵庫県下各地方に亘つて宮谷川、佐治見川、瀬戸川、青山川、大路川、中谷川、石井川、寺谷川、矢坂川、宮ノ谷川、粟賀村根宇谷口外二ケ所、横谷川、小仁川、曲リ谷川、白口川、三草山、板仕野川、矢田川支流ハブ川、照来川、プチン川、結川、多々良木川、大谷川、桜谷川、小又川の諸河川の砂防工事の施行に関するものであります。
道路に関するものは、大分県中村駅—飯田村瀬の本間道路改修及び一部路線の変更、三重県野登村—滋賀県山内村間道路改修、徳山市地区内国道第二号線改修、宮城県国道第四号線中一部改修工事の促進及び北海道砂川町—新十津川村間石狩川架橋、豊頃村十勝川架橋の恒久橋に架換、旅来—愛牛間の十勝川に橋梁架設に関するものの外、東北六県道路整備に要する費用増額に関するものであります。
戰災復興事業については、長岡市の事業費に対するものの外、国庫補助の増額、補助率の復活及び起債の枠増額による事業促進に関するものであります。
次に接收土地家屋に関するものは、いわゆる接收の取扱、借上料額、支拂方法その他接收解除の際の原状回復費用負担等についての要請であります。
これらの諸件はいずれも現下の重要施策たる建設事業の推進に関するものとして、これを採択すべきものと決定しました外、接收土地家屋に関するものについては、願意の大体は実情としてはこれを斟酌すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/85
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086・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/86
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087・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました、次会は明二十二日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時七分散会
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○本日の会議に付した事件
一、実地調査のため議員派遣の件
一、日程第一 常任委員長辞任に件
一、常任委員長の選挙
一、日程第二 参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件
一、日程第三 ユニセフに対する感謝並びに兒童福祉増進に関する決議案
一、四国の地盤沈下対策に関する緊急質問
一、日程第四 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案
一、日程第五 臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案
一、日程第七 教育職員免許法の一部を改正する法律案
一、日程第八 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案
一、日程第九 教育委員会法の一部を改正する法律案
一、議員の請暇
一、日程第十 通商産業省設置法等の一部を改正する法律案
一、日程第十一 経済安定本部設置法の一部を改正する法律案
一、日程第十二 更生緊急保護法案
一、日程第十三 保護司法案
一、日程第十四 造船法案
一、日程第十五 船員職業安定法の一部を改正する法律案
一、日程第十六 植物防疫法案
一、日程第十七 農林物資規格法案
一、日程第十八 肥料取締法案
一、日程第十九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件
一、日程第六 首都建設法案
一、日程第二十乃至第六十八の請願
一、日程第六十九乃至第七十七の陳情発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715254X04319500421/87
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