1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月十七日(月曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
地方行政委員会
委員長 前尾繁三郎君
理事 生田 和平君 理事 川本 末治君
理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君
理事 門司 亮君
池見 茂隆君 大泉 寛三君
門脇勝太郎君 河原伊三郎君
清水 逸平君 橋本登美三郎君
龍野喜一郎君 床次 徳二君
受田 新吉君 久保田鶴松君
立花 敏男君 米原 昶君
松本六太郎君
大蔵委員会
委員長 夏堀源三郎君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 田中織之進君
鹿野 彦吉君 川野 芳滿君
佐久間 徹君 高間 松吉君
西村 直己君 宮腰 喜助君
中崎 敏君 高田 富之君
農林委員会
委員長 千賀 康治君
理事 松浦 東介君 理事 井上 良二君
宇野秀次郎君 越智 茂君
河野 謙三君 中馬 辰猪君
幡谷仙次郎君 原田 雪松君
平野 三郎君 八木 一郎君
坂口 主税君 石井 繁丸君
木村 榮君
通商産業委員会
理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 今澄 勇君
今泉 貞雄君 江田斗米吉君
小川 平二君 田中 彰治君
永井 要造君 金塚 孝君
高橋清治郎君 田代 文久君
小平 忠君
出席国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
地方財政委員会
事務局長 荻田 保君
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
農林政務次官 島村 軍次君
委員外の出席者
地方行政委員会
專門員 有松 昇君
地方行政委員会
専門員 長橋 茂男君
大蔵委員会專門
員 椎木 文也君
大蔵委員会專門
員 黒田 久太君
農林委員会專門
員 岩隈 博君
農林委員会專門
員 藤井 信君
通商産業委員会
專門員 谷崎 明君
通商産業委員会
專門員 大石 主計君
通商産業委員会
專門員 越田 清七君
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本日の会議に付した事件
地方税法案(内閣提出第一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/0
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001・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより地方行政委員会、大蔵委員会、農林委員会、通商産業委員会の連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、はなはだ不敏でありますが、地方行政委員長をいたしております私が委員長の職務を行いますので、その点御了承願いますとともに、ぜひ御協力願いたいと思います。
本日の議題は地方税法案でありますが、質疑は通告順によつてやつていただきたいと思います。四委員会の連合審査会でありますので、質疑者も多いことと思いますから、できるだけ簡潔にお願いいたしたいと存じます。
それではこれより地方税法案を議題といたしますが、それにつきまして今回の修正点について、その理由と説明を政府から求めます。小野政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/1
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002・小野哲
○小野政府委員 御指名によりまして私から今回提案いたしました地方税法案のうちで、政府として訂正を加えました点の概要について御説明を申し上げたいと存じます。なお資料につきましては、ただいまさつそく取寄せまして、お手元に差上げることにいたしておりますので、御了承願つておきたいと思います。
まず第一は、附加価値税の問題でございまして、附加価値税の実施を一年間延期いたして明年一月一日からとし、それまではおおむね現行の事業税及び特別所得税を課するものといたした点でございます。これは元来負担を転嫁することを予想いたしておりまする税でございまするので、半年以上も経過いたしました今日におきまして、さかのぼつて実施いたしますことは不穏当でございますのと、税制の実施には法案が成立後も準備に万全を期して参りたいという考え方から、この訂正をいたしたような次第でございます。しかして附加価値税にかわりまして存置される事業税及び特別所得税につきましては、法案中に第六章として特に一章を設けまして、詳細に規定することといたしたのでございます。すなわちその課税客体につきましては、おおむね現行の事業税及び特別所得税のそれと同一にしているのでありますが、ただ農業、林業については、固定資産税との関連がございますので、これを非課税とし、また原始産業の中で主として自家労力を用いて行うものにつきましても、附加価値税の場合と全く同様に課税しないこととしておるのでございます。税率についても附加価値税について予定した四百二十億円の収入を得ることを目途として、現行事業税の法人及び個人の第一種事業に対するもの、本税、附加税及び都市計画税割を合せまして一八%となつておりますものを一二%に、特別法人及び個人の第二種事業に対するもの、同じく一二%を八%に、特別所得税中第一種事業に対するもの、九・六%を六・四%に、第二種業務に対するもの、一二%を八%に、それぞれ三割三分余りずつ引下げるとともに、免税点を現行の四千八百円から二万五千円に引上げ、もつて事業税負担の合理化をはかつた次第であります。しかしてこの事業税及び特別所得税は、全額を道府県税とするとともに、納付の方法は、現行通り徴税令書を交付いたしまして徴収するところのいわゆる普通徴収の方法によるものとしているのであります。
第二に、市町村民税につきましては、法案成立の遅延に伴い、昭和二十五年度分に限り、その賦課期日を八月一日とし、かつ固定資産税の修正との関連から、その納期を昭和二十五年度においては九月、十一月及び一月の三期とし、また昭和二十六年度においては七月、九月、十一月及び一月の四期としたのであります。
第三に、固定資産税につきましては、前国会においても、この税の負担り急激なる増加については、とかくの論議のあつたところにかんがみまして、標準税率を原案の百分の一・七五から一・七に引下げるとともに、昭和二十五年度においては、百分の一・七の一定税率を用いまするが、同年度分の固定資産税の収入見込額が五百二十億円を相当に上まわり、または下まわると認めるときは、おおむね五百二十億となるように、昭和二十六年一月中において地方財政委員会がその税率を変更するものとすることといたしまして、その負担の合理化をはかることとしたのであります。また、昭和二十五年度及び昭和二十六年度の納付については特に次のような特例を設けることといたしたのであります。すなわち昭和二十五年度分の個定資産税を課すべき償却資産に限り、その価格をおおむね帳簿価格、資産再評価法の規定による現実の再評価額、再評価を行わないものにありましてはその見積価額、再評価額の限度の七〇%の額のいずれをも下らない範囲で仮決定いたしまして、これを基礎としてかりに算定した税額を徴収し、昭和二十六年度において固定資産評価員の評価の実績に基きまして本税額を決定し、同年十二月中にかりに算定した税額との差額を追徴または還付するものとしたのであります。
次に、昭和二十六年度分の固定資産税は、最終納期前の各納期においては、農地以外の土地、家屋及び償却資産については、昭和二十五年度の固定資産税のかりの課税標準の算出方式によつて算出いたしましたかりの課税標準額並びに農地については、農地の公定価格を基礎とした昭和二十六年度の課税標準額の合計額を基礎としてかりに算定した税額を納期数で除して得た額を徴収し、最終納期において、現実の評価の結果による課税標準額を基礎として税額を決定し、すでに徴収せられた仮算定税額を追徴または還付することとしたのであります。
なお、固定資産税の納期は、法案成立の遅延及び右の仮算定税額徴収の制度の採用に伴い、昭和二十五年度は土地、家屋にかかる固定資産税の納期を八月、十二月及び二月、償却資産にかかる固定資産税の納期を十二月及び二月とし、昭和二十六年度の納期は、四月、六月、八月及び十二月としておるのでございます。
免税点につきましても、課税標準額の仮決定制度の採用に伴い徴収の便宜上本年度分及び明年度分に限り、土地、家屋及び償却資産の各別に計算いたしまして、その額を一万円とすることとしたのであります。
以上の諸点が前国会提案の法案について修正を加えたおもな点でありますが、新税法制度の趣旨にも照らし、地方財政法に次のような改正を加えることといたしておるのでございます。すなわちその一は、地方団体は、寄附金を割当て、強制的に徴収するようなことをしてはならないこと。その二は、公共事業費の財源を起債に求める場合は、従来少くとも二割の増税をしていなければならなかつたのでありますが、少くとも標準税率で課税している場合であればよいものとしたことであります。
はなはだ概要簡單でございますが、以上今回の修正点を御説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/2
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003・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより質疑に入ります。田中織之進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/3
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004・田中織之進
○田中(織)委員 私質問を申し上げる前に、この連合審査会のすみやかなる進行について、われわれ先ほど理事として協力を求められたのでありますが、大蔵大臣、安本長官、その他農林大臣、通産大臣等の関係大臣の委員会への御出席を要求いたしますとともに、ただいまの小野政務次官の御説明並びにわれわれが手元にいただいておりまする岡野国務大臣の提案説明書を拝見いたしましても、この税法案によりまして徴税いたしまするところの税の見込額等については、全然数字的なものが出ておらないのであります。私こういうような提案説明を伺うことを非常に遺憾に思うのであります。当然われわれの質問がそういう具体的な数字の点に触れまするので、この点は地方行政委員会から資料の要求があると思うのでありますが、すみやかに資料の提出を願わないことには、一々この点について数字的な御答弁を願つておりますると、勢いわれわれが質問を申し上げる時間も長くなり、また発言が多分に残ることになりまするので、この際委員長において右の二点、特に課税対象についての算定の基準、及び各税目ごとの徴税の見込額と申しますか、そういう数字的な資料をすみやかに提出されるように、委員長を通じてこの際要求しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/4
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005・前尾繁三郎
○前尾委員長 承知いたしました。配付するそうであります。
田中君、質疑の順番ですから、質疑をやつてください。—それでは都合により井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/5
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006・井上良二
○井上(良)委員 私は大臣が出て来るまでちよつとできません。大蔵大臣と農林大臣に先に来てもらわぬと、質問の方針が立たぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/6
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007・前尾繁三郎
○前尾委員長 農林政務次官は来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/7
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008・井上良二
○井上(良)委員 農林政務次官ではいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/8
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009・前尾繁三郎
○前尾委員長 通産大臣は都合つき次第すぐ来るということでありますから、岡野国務大臣に対する質疑の方にまわつてもよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/9
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010・井上良二
○井上(良)委員 そういう進め方は困りますね。あなた御存じの通り、連合審査でございますから、今田中君も申しました通り、資料も出ていないということならば、当然所管大臣が出て、関係について具体的な説明を願わなければ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/10
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011・前尾繁三郎
○前尾委員長 岡野国務大臣に対する質疑を願います。ほかの大臣も、本会議なり参議院の関係もございますから、この委員会につきつきりに出るというわけに行きませんので、その点を御承知おき願つて、ぜひ出ておる大臣に対して先に御質問を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/11
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012・井上良二
○井上(良)委員 それではあとから関係大臣が来ると思いますし、特に私午後の本会議の関係もありますから、岡野国務大臣を中心にして質問をしたいと思います。
われわれ衆議院農林委員会は、わが国当面の農業の窮乏、恐慌という実情から、特にこの農業課税の問題について、真剣な討議を長い間重ねて来たのであります。これが農民負担の軽減について、たびたび委員会としても、また議院としても、政府に対してそれぞれ要請をいたして来たのであります。幸い農林委員会のこの主張の一部を政府は入れまして、農業所得税に関しまして、昭和二十五年度より大幅の軽減をされたことは御存じの通りであります。そこでわれわれはまだこの減税に満足するものではありませんが、農業所得税四百九十億のうち、約二百億余りを減税するという大々的な宣伝に、農民はほつとした気持でおつたのであります。ところがこれに遅れて出ました地方税の課税の内容を詳細に検討してみますと、農業所得税で軽減されましたものが、そのまま地方課税、特に固定資産税、住民税あるいは附加価値税においてかけられようとしております。これはまつたく農民を欺瞞するもはなはだしい政府の税制整理でございまして、われわれこの点に対して、たびたび委員会で税制問題について討議をし、政府に申入れをいたして参りました者としては、何としても納得できないのであります。この点に対して、一体国務大臣はどう考えておられますか、まずこの点から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/12
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013・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま井上委員からの御質問は、しごくごもつともな次第でございます。その点におきまして、詳しい数字は事務官の方から申し上げますが、とにかく今度の地方税法案におきましては、農村に対してはできるだけの減税をしたことになつております。ただ問題は、ただいま仰せになりましたように、住民税並びに固定資産税の点において幾分増徴の形になつておりますけれども、税は、御承知の通りに、国税と地方税とが合算して、そして同じ一人のふところから出るわけでありますから、総額において幾分とも軽減をする。ことにほかの事業をしている方面よりは、非課税の点を多くしてございますから、私は、御希望の点までは行かなかつたかと存じますけれども、農村に対する減税には、相当の努力をして来たつもりでございまして、現段階におきましては、これ以上のことは望めないという情勢にありますことを、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/13
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014・井上良二
○井上(良)委員 私の質問の前提になつておりますのは、政府が農業所得税について、大幅の減税をする、また農民はされるものと、こういう一つの期待と信頼を持つておつたのであります。ところが、もしこの地方税が通過いたしますと、この期待はまつたく裏切られるのであります。従つて政府はこの際、農業所得税の軽減の割合、それと今度改正します地方税のうち、特に農業に関係のあります、農家に直接負担となる固定資産税、住民税、同時にその他雑品税がございますが、これに附加価値税等を総計いたしまして、どれだけの具体的た割合になつておるか、その数字的根拠を明らかにされたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/14
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015・鈴木俊一
○鈴木政府委員 お答えいたします。後刻こまかい数字は資料としてお手元に差上げたいと存じますが、その資料の中に書いてあります点を簡単に申し上げますと、たとえば所得十万、二十万、三十万というような典型的なところをとりまして、農業者の場合の負担のことを具体的に申し上げてみます。所得税、附加価値税、固定資産税、市町村民税、この四者の総体負担がどういうことになつておるかという結論だけを申し上げますと、十万の所得の農業者で、扶養家族が四人、田が六反、畑が二反というような場合におきましては、五千九百四十六円の減になつております。これは二十五年度初年度の推計であります。それから二十万の所得のものにつきましては、これも扶養家族五人、田一町、畑三反という基準をとつて考えてみますと、一万七千五百二十五円の減税に相なつております。それからまた三十万の所得のもので、扶養家族六人、田一町七反、畑三反という場合におきましては、二万一千三百三十三円の減ということに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/15
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016・井上良二
○井上(良)委員 私はそういうこまかいものを言うておるのではないのです。さきに申しました通り、農業所得税総額四百九十億のうち、約二百億を減税するというのですから、この場合に地方税として農民に直接かかります固定資産税及び住民税その他の税を合計して農家負担はどのくらいになるか。今までこれこれで、今度こうなる。政府の改正案では大幅な値上げになつておりますが、その説明を願いたい。と同時に、今あなたの説明を聞いておると、これは昭和二十五年の推定と言う。現在わが国の農業の所得収入は一体どうなつておるのですか。主要食糧の問題から、あるいは蔬菜、果実その他の農業生産物の価格は一体どういう状態にあるとお思いですか。また農業以外の所得収入を調べてみましても、今日農家は、農林省統計局の発表によりましても、年間約一万円からの赤字になつておる。この事実から割出して、あなたの今申します点は、われわれとしてはどうしても納得が行かないのです。そういうように農家が赤字の状態で、経営がまつたく行き詰まつておる中において、こういう大幅な値上げを農民に課して農業の生産が維持されると地方自治庁は考えていますか、この点について説明を願いたい。これは岡野大臣に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/16
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017・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方自治庁長官として申し上げますが、新税法案においては、地方はこれで立つて行くという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/17
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018・勝間田清一
○勝間田委員 今の政府委員の答弁によりますと、十万円、二十万円、それぞれの段階で幾ら減税になるかということを説明されておりますが、その場合に聞かしてほしいと思いますのは、旧税法で本年とつたならば幾らとれるであろうかということに対しての減税であるか、あるいは去年実際にとつた金額に対して幾らの減税になるというのか、どちらを説明されておるのか、その点をはつきりさしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/18
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019・鈴木俊一
○鈴木政府委員 お答えいたします。先ほどの井上さんからのお尋ねと、ただいまのお尋ねとに対しまして申し上げますが、市町村民税の増税の点は、やはり国税の所得税の減税というものとにらみ合せて考えなければならぬのではないかと思うのであります。国税でそれだけ減税いたしましたということは、市町村民税、ことに所得割を中心にいたします市町村民税につきましては、それだけの税源を委譲いたした、かように私どもは考えておるのでございまして、この所得税と市町村民税とを通じて考えますと、所得税では二割の減税でございまして、市町村民税の方では約二・八倍くらいになりますが、総体といたしましては、やはりこれは旧税制に対しまして九割くらいの負担の程度になるように私どもは計算いたしておるのであります。また附加価値税でございますが、これは私どもといたしましては、取引高税と事業税というものとの両者の負担と、附加価値税を比較いたして見るようにいたしております。これは今度の税制改正の方針が、全体の総合負担を考える、こういう建前から当然であろうと思うのであります。そういう見地から参りますと、取引高税及び事業税を合せまして、新しい四百十九億という事業税として考えてみましても、約九百億円のものでございますが、それが附加価値税になりますと、四百十九億円になるわけでありまして、これもやはり総体的に非常に減つて来ておるわけであります。固定資産税につきましては、これは大体従来の賃貸価格、昭和十五年あるいは昭和十七年の賃貸価格設定当時のことから考えてみますと、大体米価等は二百倍近いものになつておりますし、一般物価も百五十倍くらいのものになつておると思いますが、賃貸価格につきまして、従来の旧地租、家屋税の税制をとつてみますと、大体これは賃貸価格の一〇%くらいであつたと思うのであります。そういうものが新しい固定資産税で参りますならば、これは一五七五%くらいの数になると思います。しかし昨年度は賃貸価格の六百倍ということでございますから、都市計画割を考えますと六百倍くらいでございますから、大体二・五五倍くらいの負担の増になる。しかしながらこれら全体を通じて考えますならば、国税、地方税、総体的に計算いたしますと、これも後刻お手元に差上げたいと思いますが、大体三百億の減税になる。寄付金の点を考えますと、六百億になるというふうに私どもは考えております。
それから先ほど申しました数字でございますが、この数字は農林省の調査課の方の統計の資料を基礎にいたしまして、十万円、二十万円、三十万円というところで、家族数でございますとか、所有の田畑等につきましての典型的なものをとりまして、それで申し上げた数でございます。先ほど具体的にお話いたしましたこれの数字の増減は、二十四年度に比較して、同じ所得の、同じベースのものがどういうふうに新税制でかわるかということを算定いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/19
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020・井上良二
○井上(良)委員 岡野国務大臣は、現在の農業状況において、かくのごとき高率の税を農民にぶつかけても、徴収される自信もあれば、また農業経営もなり立つという認定の上で答弁をされていると思いますが、この際、農林大臣がおりませんから、農林政務次官は、かくのごとき大幅な地方税の値上げをされて一体農業経営はなり立ち、税は十分納められるお考えでございますか。特にこれからわが国農業が非常に重大な危機に立つて行きますから、政府の責任ある答弁を伺つておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/20
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021・島村軍次
○島村政府委員 お答えを申し上げます。農林省におきましても、農家の負一担状況については各種の角度から検討を加えておるのでありますが、全体を通じましては、農業者自身は昨年度に比較してある程度の減税になることを予定いたしております。ただ個々について考えますと多少の増減はあり、かつ税種によりましては相当負担の増加を来すものもあります。また農業協同組合等におきましては、確かに増税になることを予定いたしておるのでありまして、いろいろの角度から農林省として自治庁当局に申し入れておる点は相当あるのでありますが、十分の成果を上げていないことは、まことに遺憾に存じておるところであります。以上大要お答え申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/21
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022・井上良二
○井上(良)委員 私の聞いておるのは、そういう政府同士の内部的な折衝の問題ではございません。現在のドツジ・ラインの影響を受けました農家が、一体現在の収入をもつて現在政府がきめようとする地方税の負担に耐えられるかどうか、農村経営の裏面から耐えられるかどうかという点を聞いておるのであります。同時にこの点は特に大事でありますから伺つておきますが、政府はしきりに減税々々、また非常に税を安くした、こう言いますけれども、問題は農業所得がどうなつておるかということが、基本的な問題でございます。御承知の通りこれはあなた方毎日経験されておるからわかりますが、昨年の今ごろの米の自由価格は何ぼであつたか、今米の自由価格は何ぼしておるか、昨年の今ごろの野菜、果物の価格は一体何ぼであつたか、畜産品の価格は何ぼであつたか。現在の野菜、果物、畜産加工品は一体どういう状態にあるのですか、税をここで少々負けてもろうたくらいでは農業経営は追いつかない。そこをあなた方はちつとも考えないで、ただ去年これこれとつて、これこれ負けてやつた。負けてやつたといつてもかけるものがない、ふけられぬような農業経営に追い込まれておる。この事実をあなた方はどう見るかということを言わなければ、さつぱり答弁になりませんよ。それをやつてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/22
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023・島村軍次
○島村政府委員 井上さんは農業関係で、よく内容を御存じのことでありますし、私も農業者としてただいまの御指摘の点はまことにごもつともと存じております。そこで所得が減る場合においては、所得税においては減税になるのが当然だと思いますが、ただ地方税におきましては、問題になつております住民税のうち、前年度の所得を基準とするということが国会においても問題になりまして、本年度の所得を基準にして住民税をかけるべきだということについては、相当議論の余地のあつたところだと思います。お話の通りに、この点については、確かに所得は減じております。そこでそれらの調整については、地方当局において相当考慮をし、かつ税法においてもこの点は問題になることを予想いたしておるのでありますが、御質問の点につきましても、十分関係当局と打合せまして、農林省の主張の点は皆さんの御意見によつて考慮をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/23
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024・井上良二
○井上(良)委員 どうもまだ政務次官になつて間がないですから、あまりやいやい言うて質問するのもどうかと思いますが、しかしこれはそういう人情的な問題ではないのであります。また岡野さんはこの税の絶対の責任者でございますから、岡野さんに伺うのですが、今農林省の政府委員の申された通り、今日のわが国の農業経営の実態は、まつたくどうにもならぬ状態にあるということはおわかりになつたと思います。そういうようなものに対して、莫大な負担となります地方税である固定資産税、住民税等の賦課が、はたして完全に予定通り徴収され得る自信があるかどうかということが一つ。それから農業所得が減れば、それだけ所得がないのでありますから、所得税がそれだけ減額されることは当然でありますが、しかしそれは所得税の場合なり住民税の所得を対象とする賦課の場合のみに限つているのでありまして、固定資産税のうちの家屋税あるいは地租、あるいはその他の雑品税は少しもそういうことが考慮されないのであります。たとえて申しますと、電気税というのがございますが、御存じの通り農家が今日農業用に電力を使つているのは、扇風機をまわしたり、あるいは冷凍設備をやるための電力じやないのです。これはわが国の息詰まるような食糧を確保するために、やむにやまれぬ非常手段として農業用の灌漑排水用の電力が使われている。この灌漑排水用の電力だけでも、その使用面積は全国に六十万町歩に及んでおる。その電力料金だけでも七億という巨額に達しておる。しかるにこれが少しも米価の算定に計算に入れられておらないのです。一方政府は、大工場の電力使用料金等について地方税を課税していない。ところがこの税もろくろく納められるか納められぬかわからぬ苦しい生活の中におつて、この国内の食糧不足に対して身をもつて増産をしておる農民が使う電力料金を対象にして電気税をとるというのは、もつてのほかです。そういう考え方は根本的に直してもらわなければ、何ぼ私がりくつをここで言うてもいかぬです。まずそれに対するあなたの考え方を一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/24
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025・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。先ほども申し上げました通り、農山漁村に対しましては、ほかの方面に対するよりは非常に負担を軽くした今度の地方税法案でございまして、ただいまの点におきまして、徴収の可能性があるかないかという御質問でございますが、私は徴収できると確信しております。
それから、井上さんは農村に対してたいへんな御同情を持つておられますが、われわれも御趣旨の通り、われわれの食糧をつくつてくれる農村でございますから、それに対しては自治庁といたしましても、十分考慮を拂つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/25
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026・井上良二
○井上(良)委員 それなら伺いますが、われわれ農林委員会は、先般農林委員会として決議をいたしまして、政府に地方税法改正に伴う申入れをやつておる。これは国会の意思として申入れをやつておるのです。これに対して、今度の政府が提出した案を見ると、ほとんどその意思は採用されてない。これは国務大臣はどうお考えですか、これをひとつ伺いましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/26
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027・岡野清豪
○岡野国務大臣 御趣旨はよく尊重いたしまして、そうしてその尊重いたしました結果、でき上つた新地方税法案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/27
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028・井上良二
○井上(良)委員 何が何やらさつぱりわかりませんが、委員会として成規の決定をいたして政府に申し込んだ以上、政府としてはその決定に対していろいろ検討を加えられて多少考慮した、そうしてその結果がこうなつたということを具体的に説明されてこそ、われわれは政府の努力に対して敬意を表するのであります。ところが実際この案にはわれわれの申入れはほとんど盛られていないのです。そうなると政府は国会の意思に対して、何ら関心を持つてないということになりますが、そう考えていいですか、それをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/28
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029・岡野清豪
○岡野国務大臣 固定資産税はそういうことも考慮しまして、一・七五を一・七にしまして、減税をいたしております。御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/29
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030・井上良二
○井上(良)委員 なお大蔵大臣に質問したいのですけれども、時間が迫つて参りますから、具体的な内容について二、三質問を申し上げます。
第一に、さきに私が申しました電気税に対して、一体どうお考えですか。私が今申します通り、農業灌漑排水用の電力は、これはやむにやまれず使つておる電力であつて、扇風機を使うとか、あるいは冷凍設備をするための電気であるとか、そういうものじやないのです。これに対して地方税としての課税をするというのは、何としてもわれわれは納得が行かない。もちろんこれは県単位でとる税でございますから、農民の声が非常にやかましいところは、免税になつておるところもあります。しかし、これははつきり免除するという規定を設けるべきであろう、こう考えますが、これに対して政府はどう考えておりますか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/30
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031・小野哲
○小野政府委員 電気ガス税の問題についての御質問でございますが、農村電化が進むにつれまして、非常にその需要量がふえて参つており、またその消費が多くなつて参つておるということは、十分に承知いたしておる次第でございます。問題はこの地方税法案のうちで、電気ガス税について、どれを非課税にするかということについての規定が入つておることも御承知のことと存じますが、なお将来において全体といたしまして、電気ガス税の問題につきましては、相当検討を要する点があると存じております。のみならず、電気ガス税が市町村の関係等からそれぞれの団体において、農民の生活の実態に応じて判断をいたすべき筋合いのものでもございますので、これらの点につきましては、今後の税法の施行に伴うて、これが運用にあたつて種々考慮されるものと期待されておる次第でございます。なおまた電気ガス税全体につきましては、先ほど申しましたように、さらに研究を続けて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/31
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032・井上良二
○井上(良)委員 次に附加価値税の問題でございますが、これは政府の説明によりますと、来年の一月一日まで延期する、そのかわり本年度は本税にかわつて、事業税を賦課するということにかわつて来ました。ところがこの附加価値税が実は農業面において免税されておるかと申しますと、そうではないのでありまして、農協、土地改良区のごとき営利機関でない機関が課税の対象にされておる。それから畜産業、こういうものも当然今日わが国農村の農業形態の上から考えますならば、非課税の対象にすべきであると考えますのに、これをも課税対象としておる。この場合、政府は一体どう考えられるか。それから農協等の営む第二種事業者も自家労力による場合は免税にしなければならぬという意見が農民側に起つておりますが、これらに対する政府の御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/32
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033・小野哲
○小野政府委員 附加価値税の点につきましては、御承知のごとく農業はこれを非課税にすることといたしておりますが、畜産業の点につきましても土地とつながりが非常に密接でございますので、さようなものにつきましては、やはり非課税の措置を講じたいと考えておる次第でございます。なお改良区の問題であるとか、あるいはその他の点についての御質疑でございますが、当該事業を経営することのないようなものに対しましては、特別な考慮を拂つて参ることにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/33
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034・井上良二
○井上(良)委員 畜産業はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/34
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035・小野哲
○小野政府委員 重ねて御答弁申し上げますが、畜産業にもいろいろあると存じます。どうしても土地と不可分の関係において行わなければならないようなものにつきましては、固定資産税との関係もございますので、非課税といたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/35
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036・原田雪松
○原田委員 ただいま畜産の課税の問題が出ましたので関連してお尋ねしておきたいと思います。農業が甲種農業と畜産と有機的につながりを持つて行かなければならぬことは事実でありますが、ただいまのお話の模様を聞きますと、畜産業にも、ある部面においてはかける、こういうお話のようであります。しかしながら、シヤウプ勧告によりますと、農業と同様に取扱えというような勧告をしておるにもかかわらず、過般の新聞紙を見ますと、中島修正案のごときは、水産が非課税で、畜産がとり残された、そういうところに非常な矛盾があると私は考えております。この後の日本の畜産のあり方は、少くとも農業とタイ・アップして、いろいろな土地改良等をやつて農業の経営に当らなければならぬ。その際に畜産業のみが課税の対象になるということは、非常にへんぱな考え方である、私はさように考えるのであります。どうかこの点は労力を持つものと同様に考えていただきたい。むしろ附加価値税がなくなりますと、事業税になりますが、事業税は畜産と水産のみが残されておるのであります。そうなると、中央においてはわずかのような考えを持つておられるかもしれませんが、地方における税の打撃というものはきわめて大きい。この点について明確な見通しをお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/36
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037・小野哲
○小野政府委員 畜産業につきましては、たとえば放牧等によつて経営いたしますようなものは、どうしても土地がなければならない。また農家においていわゆる有畜農業の方式をとりておるようなものも、まつたくいわゆる農業とは切り離しがたい事業だと考えております。そういうふうな意味合いにおきまして、畜産業につきましても、できるだけ非常税の取扱いをいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/37
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038・井上良二
○井上(良)委員 そこが非常にあいまいで、対象にいたしたいと言うたところで、具体的にどうなるか、もつとこまかい説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/38
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039・小野哲
○小野政府委員 いたしたいと申しましたのは、目下法律案を御審議中でございますので、政府の考え方としてはそういう方向で立案いたしておりますことを申し上げた次第でございます。ただもう少しこれを具体的に申し上げますと、ただいま例を上げて御説明、いたしたのでありますが、もう少し理論的に申しますと、企業的にこれを経営するものについては、課税の対象にしなければならないのではないか。それ以外のものについては非課税の扱いをいたして参りたいという考え方で、立案をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/39
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040・原田雪松
○原田委員 それでは重ねてお尋ねしますが、農協等に課税するようになつておりますが、これは島村さんもおいでになりますが、農協が営利的の事業をやつていないことは事実であります。これがはたして課税されるということになりますと、今でさえ非常な経営困難に陥つておりますものが、まつたく足腰も立たぬことになりますが、これに対しても課税なさるのかどうか、この点を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/40
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041・小野哲
○小野政府委員 農業協同組合につきましては、この地方税法案の次に特別な規定を設けまして、あるいは割戻し金であるとか、その他公益事業、啓蒙等のために支出いたしました経費は、これを支出経費といたしまして、附加価値の中から除くようなとりはからいをいたしておるのであります。従いましてその部分については、附加価値の算定にあたつて緩和される、こういうことに相なりますので、特例な措置を考えておるということを御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/41
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042・井上良二
○井上(良)委員 あなたの方は税をとる法律をつくる方、ところが片一方大蔵省の国税庁その他は税をとり上げる方なんです。そこであなたの方の法律をつくる心構えなり、また考え方なりというものが、税を徴收いたします大蔵税務員に趣旨が徹底しておればいいですよ。ところが実際はそうじやない。あなたの今の御答弁で、農業に対してまことに寛大にして、きわめて同情的な税の立案の心構えはわれわれも了といたしますが、末端においては、たとえば一軒の農家で豚を飼うておる。その豚をただちに課税対象にする。あるいは豚に子供ができた場合、子供ができたということでただちに課税対象にするのですよ。あるいは牛でも馬でもそれと一緒です。これはやはり相当長時日養わなければ役に立たぬですよ。役に立たぬにかかわらず税金だけは先にとつて来る。こういうむちやくちやなことが行われておる。だから少くともあなたがおつしやるように、たとえば牛や豚や鶏を営業として飼うておるものというのならばいいのです。しかし実際の農業経営やあるいは農家が農業所得でまかなえないということから、そこに三頭や五頭の牛を飼い、あるいは鶏の十羽や二十羽飼うておるのを課税対象にするのはけしからぬ話である。そういう点をあなた方はもつと大蔵当局と話合いをして、税徴収に対する政府の基本的な方針をきめてかかりませんと、ここに非常な問題が起つて来るのです。この点に対してどうお考えになりますか。それと同時にあなたの今おつしやいました所得の対象にするという一つの基準といいますか、どういうところをあなた方は押えて行こうとするのか。この点を明確にされて、できれば法案もそういうふうに整理されて、この際政府としては修正するというわけに行きませんか。これが施行されるということがかりにあつた場合、施行令においてでもそういうことを明確にされる必要があろうと存じまするが、これに対するところのお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/42
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043・小野哲
○小野政府委員 井上さんの御質問はまことにごもつともだと思います。たとえば今の例のように豚を飼つたり、豚が子供を生んだというような場合に、地方税としてはどう扱うかということを申し上げますと、これはわれわれとしては課税対象にすべきものでない、かように考えております。と同時に、地方税は御承知のように地方住民との関連において密接なつながりを持つて運営されなければなりません。おそらく各地方団体の地方議会において、これらの運用については調整をはかつて行くことができることに相なつておりますので、一般地方住民の生活の実態あるいは仕事の内容等に触れました施策が行えるのではないかということを期待するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/43
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044・井上良二
○井上(良)委員 農協の問題ですが、先ほど御質問がございましたように、ちようどここに農協に元関係しておられました島村政務次官がおられますから伺いたいのですが、一体こういう附加価値税を現在の農協にかけて、農協はなり立つとお考えでありますか、農林省の立場をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/44
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045・島村軍次
○島村政府委員 お答え申し上げます。附加価値税の賦課に対しましては、農協は特に最近赤字の際でありまして、なかなか困難だと存じております。就任後日が浅いので、その点も内部的に大いに研究を進めまして主張いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/45
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046・井上良二
○井上(良)委員 研究を進めるうちに農協がつぶれてしまうということにもなりますので—特にまた島村さんは参議院議員として、かつて参議院の農林委員会でこの問題を執拗に取上げられて、かくのごとき課税は農協をまつたく危機に導く課税だということで、猛烈に政府に反省を促されて来たのでありますから、島村さんの今後の大きな努力をわれわれは期待するのであります。同時に、森林組合と同連合会に対しても、この附加価値税をかけようといたしておりますが、一体森林組合の事業というものはどういう事業であり、また実際の農家にあるいは山村にどういう影響を持つかということについて考えられておりますか。一体山は、切つてから何年経てばもとにもどるとお思いになりますか。都会で機械や電気でものをつくつておるようなわけには行かないのです。そういうことをちよつともあなた方は考慮されておらない。一ぺん山を伐採したら、次に更新するまでには少くとも二十年、三十年、遅いところでは五十年かかりますよ。そういう非常に長い年月を必要とするにかかわらず、何ら税金の上では考慮されていない。それで、山が荒れる荒れると言つておる。そして山が荒れて、災害費だけをどんどん出しておる。そういうめちやくちやな話はありませんよ。そういうばかな税を国民は出せませんよ。もつとあなた考えてやりなさい。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/46
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047・岡野清豪
○岡野国務大臣 林業にはかからないことになつております。もし組合が売つたりなんかして、いろいろ商売上もうかつて行くようになれば、それはかかることになると思いますが、森業にはかからないことになつておることを御承知おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/47
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048・井上良二
○井上(良)委員 林業自体にはかからぬにしても、林産物にはかかりますよ。第二種行為として当然かかる。そこをあなたは考えなければいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/48
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049・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。それが問題でございまして、御承知の通り附加価値税と申しますものは、取引をしたものにかけるのでありまして、それは性質上、取引があれば然かかるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/49
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050・井上良二
○井上(良)委員 一方主要食糧の取引に対しては、課税をしないのであります。しかるに、山の取引についてはこれを課税するというのは、りくつに合わぬ。そういうむちやな話はない。そのりくつを一ぺん説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/50
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051・小野哲
○小野政府委員 私から御説明申し上げますが、ただいま大臣から申しましたように、林業は附加価値税の対象にはいたしておりません。ただ問題は林業と申しましても、あるいはこれに対して加工したり、あるいはまた農業と申しましても、精米をやつたりというふうな事業があることは当然でございまして、それらの場合においては、やはり国民の経済の上にそれだけ価値をふやしたということに考えなければなりませんので、従つて附加価値の税の対象になる。りくつを申せばそういうことになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/51
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052・井上良二
○井上(良)委員 まだ私の質問は大分長く続きますので、ここらで暫時休憩を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/52
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053・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは暫時休憩いたしまして、正一時から再会いたすことにいたします。
午後零時六分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804745X00119500717/53
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