1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十五年七月二十日(木曜日)
午後一時四十五分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 阿左美廣治君 理事 中村 幸八君
理事 今澄 勇君
江田斗米吉君 小川 平二君
神田 博君 澁谷雄太郎君
高木吉之助君 永井 要造君
福田 一君 南 好雄君
河本 敏夫君 高橋清治郎君
加藤 鐐造君 田代 文久君
小平 忠君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 河野 一之君
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(通商鉄鋼局
長) 中村辰五郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計局共済課
長) 磯田 好祐君
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
—————————————
本日の会議に付した事件
日本製鉄株式会社法廃止法案(内閣提出第三
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/0
-
001・小金義照
○小金委員長 これより通商産業委員会を開会いたします。
前会に引続きまして、日本製鉄株式会社法廃止法案を議題として質疑を継続いたしますが、その前に昨日の通産省政府委員に対する質問に関連いたしまして、大蔵省主計局長より発言を求められましたから、これを許します。河野主計局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/1
-
002・河野一之
○河野政府委員長 昨日中村委員から御質問がありました八幡共済組合の問題でありますが、この問題は陸海軍の共済組合等にも関係いたし、法律問題あるいは社会公平の問題、その他いろいろデリケートな問題がございますが、私どもといたしましては、事柄の実態を見きわめまして、できるだけ御趣旨に沿うように実現に努力いたしたいと考えておる次第であります。一言大蔵当局の考え方を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/2
-
003・中村幸八
○中村(幸)委員 私は昨月八幡製鉄共済組合の年金の問題について、政府当局に御質問申し上げ、これに対して御答弁がありました。一応質問を打切つたのでありまするが、ただいま河野主計局長から御発言がありましたので、一言補充的に発言させていただきたいと思います。昨日のこの委員会におきまして、首藤通産政務次官から、この問題についてはでき得る限りの努力をして、期待に沿うようにする、こういうまことに誠意ある御答弁がありました。私もたいへん満足したのであります。一方大蔵省の共済課長からは、いろいろこの問題については法律的にも問題があり、陸海軍の共済組合、こういうような問題にも関連しておることであり、目下研究中である。しかしなるべくそういうような御趣旨に沿うような線によつて研究をする、こういう御答弁がありました。すでに前国会におきまして、いろいろ論議をされて今日まで相当月日もたつておりますので、もうすでに結論も出ておると思つたのでございますが、まだこれから研究をするというような、なまぬるい御答弁でありました。私といたしましては、まことに大蔵省は誠意がないのだ、こういうように考えまして、不満の意を抱いた次第でありまするが、ただいま河野主計局長から、この問題についてはでき得る限り期待に沿うように努力する、こういう御言明がありまして、たいへん私も満足したのであります。この問題につきましては、昨日もるる私から御説明申し上げましたように、官営製鉄所が日本製鉄株式会社に移管いたしました際の沿革、あるいは当時の国会におきまする中島商工大臣の言明その他によりまして、どうしてもこれは政府において適当な処置をとらなければならない、かように考えておるのであります。ことに一般公務員の共済組合年金については、去る第七国会におきまして国家公務員共済組合法の改正により、六千三百七円ベースによつて年金を支給するということになりまして、一人平均一万数千円の年金を支給されておるのであります。ところが一方官営八幡製鉄所に在職いたしておりました共済組合員は、年わずかに二百七十七円、さらに民営になりました後に、年金受給資格の発生した者は三百六十円、こういうようにすずめの涙ほどの年金でありまして、タバコの二、三日も吸えば、それでもうなくなつてしまうというような、まことにうそのようなわずかな金額であります。こういう金額ではとうてい年金として——長年国家事業に携わり、老齢廃疾によつて労働能力も喪失し、わずかに年金によつて余生を保とうという趣旨でできておりまするこの年金制度の趣旨から申しまして、かようなわずかな金額では、はなはだ不合理であり、矛盾もはなはだしいものである、かように考えるのであります。従いまして、この問題につきまてしは、速急に政府におかれましては解決をせられますよう、特に希望いたします。でき得ますならば、次の臨時国会には、国家公務員法の改正法案を提出するなり、あるいは別個の法案を提出いたしまして、解決せられることを特に強く希望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/3
-
004・小金義照
○小金委員長 次に今澄勇君の大蔵省方面に対する質疑が残つておりますので、これを許します。今澄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/4
-
005・今澄勇
○今澄委員 ただいま中村委員から、きのうの共済組合の年金について意見の開陳がございました。私どもも、もつともであると思います。昨日の大蔵省の課長の答弁は不遜きわまるものであつて、きよう局長が見えたならば、私はその責任を追究しようかと思つておりましたところが、局長の方より努力するという意見が述べられましたので、一応了といたします。ただ少くともきのう通産政務次官が絶対に確信をもつて、これはやるからという話があつたにもかかわらず、これに対する解釈の問題が、通産省側の係官の詳細な説明——「その他」という文字に関する通産省側の説明と、それから大蔵省側の意見とが、昨日のところでは非常に大きな食い違いがあつたわけでございます。
〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕
そこで少くともこの問題については、日鉄の方で引受ける分が幾ら幾らであるとかいうことを大蔵省の方は強く主張するであろうし、政府が責任を持つ分がこの程度ということで、いろいろ末端において意見の対立があつて、それが調整を見てほんとうのものになるということの段階であるというならば、これはやむを得ぬと私は思う。しかしながらこの際やはり聞いておきたいことは、根本的な意見の対立を蔵したまま善処するということでは私は意味がないと思う。だからひとつこれに関して、大蔵省としては一体御趣旨に沿うべく善処するというような抽象的な答えでなくて、この「その他」という文字その他から考えて、大体この年金の問題も、この法律案で退職資金とともに一緒にやるべき性質のものであるが、いろいろ研究するのにも時間がかかるし、この際まとめられなかつた、大体性質としてはそういうものであるということを、あなたひとつそこではつきり虚心坦懷に見解を述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/5
-
006・河野一之
○河野政府委員 日鉄法の十六条の、退職の場合における手当その他、この「その他」の中には、ただいまの共済合組の給付金の問題等も入ると私どもは退職しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/6
-
007・今澄勇
○今澄委員 一応私が考えておりました見解に大体近い答弁でございましたので、まず意見は一致しておるものとして、私の質問を打切ります。どうか主計局長は、きようの答弁が速記録に載つておるのでありますから、その点一言つけ加えておきます。
それでは私は今の共済組合の問題については一応この答弁を銘記して、できればこの法律の中に修正案として別の法律をもつてやるからというような文字も入れたいと思いますが、これはひとつ議員側の各党の理事の方々に相談をしてみたいと思います。
そこで政務次官にひとつきのうの残りをお尋ねしますが、去る六月二十五日に突如起つた朝鮮の問題です。この朝鮮の問題が非常に大きな影響をわが国に及ぼしたということは、株式市場の九百万株に近い最近の殷賑ぶりから見ても、わが国が決してこの影響下にはずれておるものでないということはわかります。これらの重大な影響を及ぼしておる株式相場その他から見ても、わが国産業界にたいへんな大きい変化を示しはしないかというおそれがありますが、特に鉄鋼業は軍需物資である。こういう軍需物資の鉄鋼業が、これらの朝鮮事変に関連してどのように動くか、特にこれが長期化するというおそれがある場合においては、日本の鉄鋼業にどういう影響を及ぼすか。しかもそれらに対して政府はどういうふうな考えを持つておるかということは、時局的な問題ですが、非常に国民の聞かんとするところでありまするので、政務次官からひとつ虚心坦懷に見解を御披瀝願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/7
-
008・首藤新八
○首藤政府委員 御回答いたします。お説の問題はまつたくわれわれも同感でありまして、朝鮮問題の進展いかんによつては、日本の経済に重大な影響をもたらして来る、かように考えておるのであります。そこで今御質問の鉄鋼の部でありまするが、この鉄鋼に対しましても、当然需要が相当ふえて参るであろう。すでに現実の問題として、ここ一週間以内にも相当ふえて参つたのであります。そこでどういう事態が起りましても、供給にさしつかえのないような態勢をとることが、この際通産省の緊急な措置だというふうに考えておるのであります。そこでそれがためには、まず石炭、いわゆる内地でできませんところの超粘結炭の輸入並びに鉄鉱石の輸入をできるだけ早く手当いたしたい。そこでこれは従来一・四半期ごとに、許可になつておりまする正常の輸入だけでなく、この際相当量のランニング・ストツクをつくつておく必要ありと考えまして、省内の主管局においてそれぞれ作業を進めておるのでありまして、すでに関係筋とも折衝を始めておりまして、できるだけ速かにこれが手当を完了いたしたいというふうに考えておるのであります。その他事変が今後進展いたした場合、その他の問題にもいろいろかわつた状態が展開して来ると思いますので、万遺憾なきを期したい、かように考えて、所管局では相当あらゆる方面の対策を現在考究中でありますので、以上御了承願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/8
-
009・今澄勇
○今澄委員 大体わが国の鉄工業に関して政府が朝鮮事変を中心にどういうふうな手を打つかという国民の質問に対して、おもに外炭の輸入の問題を答えられましたが、おわかり願えれば、日本の産業の前途に対する見通しと、軍需産業の基幹である鉄鋼業について朝鮮事変とにらみ合せて政府は一体どういう考えをもつて対処するかという点を聞きたかつたわけであります。それについてはもし申し述べられなければやむを得ませんが、これは通産省のみならず、全体の立場から私は聞いておるのでありますが、そういつた大きな問題についてもし政府がこうするのだということを明らかにしていただければこれに越したことはありません。さらにその中で私がお願いいたしたいのは、きのう鉄鋼局長が答弁された日本の鉄鋼生産の大体の目標数字は、この朝鮮事変を中心に変更されることがあるのか、あれはあくまでも今までの大体の計画をそのままやつて行かれようとするのかという点を局長にお聞きしたいと思います。
それからもう一点は、外炭の輸入について、ランニング・ストツクその他のものをふやせば、これに関しては当然資金がついてまわるわけでありますが、今でさえ設備資金その他に相当な需要があるのに、こういうものの資金の点につきましては、関係局としてのあなたの方では大体十分行かれるという自信があるのか、それともその資金の点は不安であるか、それらの点についても御答弁願いたい。政務次官からは、この朝鮮事変に関連しては、日本は占領下に置かれておるのであるから、自分の意思のいかんにかかわらず占領軍の命令によつて産業がなされなければならないという点については、これは強制的にされるであろう。しかしながら政府はさきに積極的に国連を応援するなどというような発表を総理大臣がいたしておるのであるから、少くとも通商産業省としてはこれらの鉄鋼事業について朝鮮事変とからんでどのような見解を持つておるか、見解がないということであるならばそれでもけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/9
-
010・首藤新八
○首藤政府委員 朝鮮問題に対する今後の鉄鋼業をどうするかというお尋ねでありますが、これは今澄委員の言われた通りに、総理のあくまでも国連に協力するという線に沿いまして、通産省も関係筋の要求に対してはできるだけその需要要求に応ずるという態勢をとつて行きたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/10
-
011・中村辰五郎
○中村政府委員 ただいまの鉄鋼業の生産目標に対しまして、朝鮮事変を契機としてさらにこれを修正する意思はないかどうかという御質問でありますが、これにつきましては目下日本政府の関係部局と協議検討中でございます。私の感じますところを申し上げますならば、大体日本の鉄鋼業は国際商品の産業として伸ばして参らねばならぬという観点から、主として輸出状況がどうなるであろうかという点を愼重調査検討を今いたしております。並びに機械工業あるいはそういつた方面の需要の動きもあわせて考えねばなりませんので、こういつた方面の見通しを検討いたしております。これらの要素がはつきりいたしましてまとめられますならば、その上で今日考えております生産目標の程度でよろしいかどうかということについての最終の決定をいたしたい、こういう段階でざいます。
〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/11
-
012・今澄勇
○今澄委員 今の政務次官の御答弁でございますが、吉田総理の国連に積極的に協力するという言葉は最初の言葉で、しばらくするとそれが訂正されて、政府は国連に積極的に協力するつもりはない、国連に対してできる限りの精神的な援助をしたいというふうに訂正されておるのでありますが、政務次官の答弁は、少しそれらのものから考えてみると、やや抽象的にして、しかもひよつとすると的をはずれておりはしないかと思う次第であります。私どもは、鉄鋼業はやはり平和産業の基幹産業であり、将来これは伸ばすべきものであつて、これらの点についていろいろ追究したい問題もありますが、あと同僚委員の質問も控えておりますから、一応その点を御警告申し上げてこの程度にいたします。局長の今の数字の答弁については、これもはつきりしませんが、この程度にしておいて、いま一点だけ質問を行つて終ります。
それは、政府はひところ国内炭の活用政策を非常に奬励しました。そうして輸入炭の使用を非常に少くして、たとえば高炭価の問題や、補給金の撤廃による価格の統制、生産統制の解除等、いろいろ公約しましたが、それらの公約も今は全然忘れたような状態になつておる。昨日の、輸入はあまりやらないで日本の国内炭でなるべくやるという政務次官の答弁は、今日時局にからんで朝鮮問題を上にくつつけて聞いてみると、一日違いで大いに輸入して、そうして輸入炭を非常に仕入れてやらなければならぬというふうにかわるような状態でありまして、実例をあげれば、輪西製作所で行つておるコーライト法、これらのものはひところは政府の発明のごとくもてはやされて、そうして技術者初め首脳者は真劍にこれに取組んだ。そうして今日はどうかというと、政務次官はどうかしらぬが、局長は御承知の通りである。かように資源の少いわが国においては、鉄鋼業というようなものは、その時々の動きに左右されないで、恒久的な立場を政府は常に持つて、そうしてこれは戰争のあるなしにかかわらず、平和産業の基幹産業として日本の鉄鋼業はあくまでも守るという恒久的な対策がないから、かようにかわるわけであります。だからまじめな鉄鋼技術者、あるいは首脳部は、おそらく政府のこういつた豹変する、朝令暮改の態度では、政府を信頼して日本の大きな鉄鋼国策について協力することは不可能だと思います。これらの問題について、政務次官は認識しておるかどうか、そうしてこのような一つの方針について、鉄鋼技術者が心魂を注いでやつたものについては、あくまでも政府はこれを奬励援助し守つてやつて、しかもそれらの者の功績をよみするというような態度に出る気持があるかどうか。結論として鉄鋼業は、どうしてもそれらの問題を含めて、やはり国家の指導と助成、できれば国家の管理形態においてこれを推進して行くという建前でなければならぬと思いますが、これは見解の相違であるからやめます。今の一貫した鉄鋼政策、いわゆる内地のそれらの問題と、外炭の問題とに関連して、次官の御答弁を承つて私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/12
-
013・首藤新八
○首藤政府委員 現在政府におきましても、今、今澄委員の言われた通り、できる限り国内で生産する適正炭を供給いたしまして、外国炭の輸入は抑制いたしたい、かような考え方は一つもかわつておりません。ただ国内でできない特殊炭だけはやむを得ないので、今後もこれは輸入せざるを得ないと思うておるのであります。なお先ほど外炭も相当多量に輸入するということから、朝令暮改に近いというお説がありましたが、しかしこれは適正炭は国内にはないので、適正炭は外炭に求める。しかも朝鮮問題、あるいは正常の需要の増加によつて、今後相当等需要量がふえますので、それらを対象として万遺憾なき措置を講じたいという考え方から、この際できる限り多量の輸入をしておきたいという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/13
-
014・中村辰五郎
○中村政府委員 今、今澄委員からコーライト問題について御質問がございましたので、政務次官の御方針の内容を、さらに事務的に敷衍して誤解のないようにこの際われわれの考えております線を明らかにいたしたいと考えます。コーライト問題につきましての助成の方案については、いろいろの角度から検討し得る余地のある問題でございますが、單に補助金政策というようなことでこれを助成して参るのはおもしろくないというような有力な意見もございますので、それならばどういう方式でコーライトを活用して参るのが今日の製鉄の事情から申して適当であるかという点を詳細検討いたしまして、先般の七月一日の価格改訂を契機といたしまして、われわれの立場として、コーライについては現在及び将来にわたつて、少くともこの使用量をできるだけ増して参るという方策をとりたい、そういう方針に従いまして、輪西のコーライトはコーライト限りでやりますと、コストも非常に高くつくというような観点がございますので、開らん炭を一部配給いたしまして、輸入炭とコーライトと国内の無粘結炭とを三本寄せまして、最も能率的に考えて採算上一つの目途をつくりまして、その線でコーライトを活用して参るという思想で指導しております。従いまして輪西におきますコーライトの採用につきましても、現状以下に落ちるとは私は考えられない。それから八幡製鉄のコーライト活用の問題でありますが、これは第一化学でつくりますコーライトを八幡製鉄所が買い取つて、超粘結炭の代用をある程度させる、こういう方式で検討して参りまして、四月、五月ごろになりまして大体技術的に完成したと申し上げてよいかと思います。それで試験的に五月、月四千トンのコーライトを使用いたしまして、そのあとの結果もわれわれの見るところでは相当効果がありましたので、七月以降月四千トンのコーライト使用を政府が勧奬いたしまして、日鉄はこれを常時使つて参るという態勢にいたしました。なお第一化学のコーライト生産量は、今日の月四千トンの状況をさらにもう倍ぐらいにいたしまして、そのコーライトを他のプラントに使わせたい、今こういうぐあいに考えておりまして、その線でコーライトの利用をできるだけ量もふやし、技術的な面からの改善もさせるというぐあいに指導しておりまして、今澄委員のおつしやつたような方向とは違うことを率直に申し上げたいと思います。同時にコーライトの実際の価格の面から申しますと、やはり輸入炭あるいは国内の北海道の超粘結炭との関係を見ますと、メリツトから申しますと、採算上はある程度不利かと考えるのでありますが、これを多量にこなすということ、また多量にコーライトを生産することになりますと、それ自体のコストも下り、またそれを供給いたします石炭業者の方も安く石炭を供給し得るというようなことが考えられますので、そういう角度からできるだけ製鉄業者にコーライトの活用をやらせて参るという気持でおります。八幡製鉄がコーライトを購入いたします価格をどうするかという問題につきまして、第一化学の方でも、また第一化学に石炭を供給しております日本炭鉱も、非常に好意的に、できるだけ安いコーライトを供給するという建前の御協力を得まして、最初に所期したような価格よりも非常に割安に手に入れられるような段階になつております。こういう点で、コーライトにつきましては御質問のような線と違つた方向に走つておるということを申し上げ、なおかつわれわれの方針としては、できるだけ技術的改善をはかるとともに、量的にもふやして参りたい。日本鋼管では試験をサンプルとして取扱つておりますが、これについてもできるだけ十分試験をやらせまして、適当な機会にはコーライトの活用ができる段階に持つて行きたい、こういうぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/14
-
015・今澄勇
○今澄委員 今の答弁でやや私もその詳細をうかがうことができました。私は少くともこの前自由党の通産委員であつた前田君が提唱しておる、全般的な化学工業に関する技術についての技術資金の投與という形で、二百億ぐらいの金をそういうものに使うという提案をする話もあつた。それから工業技術庁においても、それらの工業技術の向上のために、コーライトその他日本の国内資源をもつてやろうとするものについての大いなる助成と、工業技術庁からそれらの金を配分してやろうというような計画もあるやに説明を聞いた。でありますから、われわれはこういうことに対して助成金をあながち打切つたからといつて、政府がそれに対する指導、助成ができないわけはない。私どもは国家管理というような公共的な企業形態をとらないからといつても、自由党の諸君が前に唱えているような、そういつた問題について、もしそういう方針に大体の方向がかわつて来るならば、どうか事務当局においては、これらのコーライト法のごとき優秀な技術について、十分これが伸びて行くような方法を講ぜられるとともに、あわせてこのようなコーライトを使つておるものが原価高その他によつてマイナスを受けるというような——努力して、新しい技術のために新分野を開拓して行くものがマイナスになるようなことがないように、今の局長の言葉にさらに敷衍して、私はこれらの業者が大いにプラスになるような政策を行うことが事務当局としても当然であることを申し添えて、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/15
-
016・田代文久
○田代委員 第六国会に御説のように日鉄法の一部改正案が上程されまして、そのときにわれわれとしましては製鉄産業は日本の中心産業であり、日本の国とともに歩む産業であり、また日本の製鉄産業は国民の税金によつて保護育成され、現化まで来ている決定的な重要産業であつて、この際これを一部改正することによつて、政府の持つている持株を全部出してしまつて、これを民間に移してしまうということになれば、その間外国の資本がどんどん入つて来るという危險もあるし、また事実非常に製鉄産業が困つているときに、これを野放しにするということになつた場合、こういう重要産業が日本的な立場から育つかどうかという点を非常に危惧しまして、なお政府も育成あるいは助成というような立場からいつて、日鉄法を一部改正するということははなはだよろしくないのではないかということを主張し、またそういう質問をいたしましたときに、政府側としては、宮幡政府委員はこういうことを言われたのであります。すなわちこれを一部改正するということはあつても、なお保護育成ということは残つているし、今日ただいま日鉄法を廃止するという意思はありませんと言われたのであります。ところが現在まだ半年たつかたたないうちにこれを廃止することになつたのでありますが、そういたしますと、その間日本の製鉄産業が非常に大変化を来しているということが言われなけばなりませんし、なお言いますと、廃止するということは、政府の保護育成することは必要でなくて、もう一本立でやつて行けるのだという根拠があつて、初めてこれは廃止することになるのでありますが、事実そういう事態になつているかどうかという点をまず御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/16
-
017・首藤新八
○首藤政府委員 第六国会において日鉄法を廃止するということは考えていないという宮幡政務次官の御答弁があつたそうでありまするが、しかしこれは企業再建整備法によりまして、どうしても廃止しなければならないという情勢に立ち至りましたから、これを四つの会社に分割した次第であります。そこでしからばこの日鉄を分割してもさしつかえのないような状態になつているかという御質問でありまするが、これは政府の考えるところによりますれば、十分に分割いたしましてもやつて行けるというように考えておるのであります。なおこれを廃止分割したから保護育成ができないというようなことはあり得ないのでありまして、別の面でもしこうという業が非常な苦境に陷る、あるいはまた行き詰まるというような事態に直面いたしますれば、別の方面において十分に指導育成いたしたい、またできるものであるというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/17
-
018・田代文久
○田代委員 ただいまの御答弁によりますと、一本立で十分やつて行けるところまで来ている、またやつて行けるのだということでありますが、これは私たちには納得できないのでありまして、あるいは資金の面からいいましても、あるいは技術の面からいいましても、その他あらゆる面からいいまして、はたして日本の鉄鋼産業が野放しで、日本の資本と中心として、これが一本立できるかどうかという点はなおわかりませんので、その具体的な、こうこうなつておるからやつて行けるのだという点を御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/18
-
019・首藤新八
○首藤政府委員 昨日もこの問題にちよつと触れたのでありますが、助成金を一応打切りましたけれども、しかもその後において幸か不幸か、現在の場合朝鮮問題を契機として需要が非常にふえて参つた。そこで製鉄会社におきましては三割ないしそれ以上の値上げをし、しかも値上げをした新価格で十分に売れて行くという状態になつておりますので、経済上ではあえて現在行き詰まつていないというふうに考えておるのであります。同時に現在八幡製鉄並びに広畑製鉄、この両方とも現在の資本金ではとうてい設備の改善あるいは増設ということは困難でありまして、これらの問題はあげて今後にまたなければならぬのであります。大体現在両者で今後必要とする資金は三十数億を予想されているのでありますが、この三十数億の資金に対しましては、政府はできるだけ容易に調達できるような方法を講じたい、かように考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/19
-
020・田代文久
○田代委員 ただいまの御答弁は一本立できていないという裏書を答弁になつておるように私は理解いたします。すなわち一本立になつたという具体的な内容は、朝鮮問題ということが決定的な要因になつておるように答弁されましたが、朝鮮問題が起らなかつた場合にどうであるか。つまり朝鮮事件というような、こういうわれわれにとりましては実にゆゆしき事件が突発して、それに便乗して、そうして一本立になつたということになりますと、これは鉄鋼政策に対する確固たる日本の国家の経済計画という立場からではなく、そういう外部から現われた條件が幸いに起つたために一本立できるようになつたということで、これは危險きわまるものであると言わざるを得ないのであります。従いまして、これが一本立になつてやつて行けるようになつたということは、結局これは政府としては何らの策がないということにもなりますし、また別の意味から申しますと、政府はこの朝鮮事変というものを鉄鋼政策の面からいつても心から歓迎されているというふうに受取れるのでありますが、事実そうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/20
-
021・首藤新八
○首藤政府委員 私の回答の表現が悪かつたかもしれませんが、ただ現在のところ朝鮮問題が相当影響して値上げができておるということを申し上げたのでありましたが、根本的に、たとい朝鮮問題が勃発しなくとも、製鉄所はそれぞれ採算の合う値段まで値上げをしなければならぬのであります。従つて朝鮮問題が起らなくても今日の値上げは当然実現しておつたと思うのであります。同時にまた、その新しい値段でこれまた十分に年産数量だけは消化して行くというふうに考えられますので、経営面から見まして、これを分割したからといつて、これがために経営が非常に苦境に陷るというようなことは考えられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/21
-
022・田代文久
○田代委員 はなはだ納得できない。そうしてまた奇怪な気がするのでありますが、朝鮮問題が起らなくても、補給金の撤廃によりましてこれが値上りすることは当然でありますけれども、朝鮮問題が起らず、撤廃することによつて値上げになつても十分コストの切下げもできるし、国際的な鉄鋼価格に比べて十分やつて行けます。なお言いますと、そういう立場で生産される日本の鉄鋼というものは、国際市場にも太刀打できて、どんどんさばけて行けるのだ。従つて一本立しておるのだということでありますが、これは事実そのように考えておられるでしようか。私は現在の日本が、戰争が起らずして、そうして昨日の答弁によりますと、大体一万八千円見当のものが二万四千幾らかに値上げされたということでありました。そういう値上げになつた場合に、もしも朝鮮問題が起つていない場合に、そういう事態のもとに国際的な——ドイツとか、あるいはその他ベルギーあたりにいたしましても、そういう国々との太刀打ができるかどうか、その点をはつきり御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/22
-
023・首藤新八
○首藤政府委員 私は分割して、分割前よりも非常に経営が苦しくなりはせぬか、要するに一本立ができるかできぬかという当面の問題としての御質問だと考えましたので、先ほど申したような御返答をいたしたのであります。そこで恒久的に一本立ができるかできぬか、いわゆる国際水準にマツチするかせぬかという御質問に対しましては、これは昨日も相当論議されましたように、企業審議委員会におきましても、少くとも鉄鋼に対しましては四百二十億くらいの金をもつて設備の改善、あるいはその他の企業合理化をやるべきであるという、実は審議会の答申が出されておるのであります。政府といたしましてはこれも一つの重要なフアクターでありますけれども、その他におきましても、できるだけ原価を安く、またよい製品をつくるという面に極力指導して行きたい。かくすることによつて、近い将来国際水準にマツチするであろうということを考えておるのであります。そこでしからば分割したから一本立できるのか、また情勢が国際水準に達せぬじやないかという御質問はどうかと思うのでありまして、かりに一本でありましても、現在の情勢と何らかわるところはないのでありまして、一向分割したから特殊な事情は発生しておらないのであります。客観情勢は何らかわつておりませんので、この点は御了解を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/23
-
024・田代文久
○田代委員 依然として理解できないのでありますが、なお申し上げますと、これは一本立か四分割かという問題ではなくて、実際において日本の置かれておる生産条件のもとで、今までやつたようなやり方によつて、実際に国際的なそういう鉄鋼製品等、コストの面、そういう価格の面で十分太刀打できるかどうかという問題を言つておるのでありまして、もし太刀打できるとすれば、またそれをでかさんとすれば、どういう政策を具体的にとられることによつてこれが可能であるかという見通しをはつきり教えていただきたいというわけでありまして、事実現在この補給金がないという場合における日本の、たとえば棒鋼なんかは九十九ドルもしているのに、イギリスなんかは六十二ドル、あるいはドイツなんかは五十三ドル余りというようなことになつておるのでありまして、こういう広い、大きな幅のある生産条件の悪いものでこれに太刀打できるという、そういう態勢にまで持つて行きますためにはよほど確固たる対策、方策がとられない限りは、これは不可能であります。そういう方策をはつきり示していただきたい。昨日もそれはいろいろ技術を入れるとか、あるいは合理化されるとかいうようなことを一部言われましたが、とてもああいうことによつてこういう国際品との太刀打はできないというふうに私は考える次第であります。それをなおはつきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/24
-
025・首藤新八
○首藤政府委員 これは見解の相違かもしれませんけれども、少くとも政府といたしましては、先ほど来申し述べたごとく、企業合理化、あらゆる要素を含んだ対策を講じますと、ここ三年くらいたちますれば必ず国際水準に達するものというような考え方をいたしております。同時にまた今日までのごとく一本でありますれば、まつたくこれは独占であります。要するに独占と、それから競争会社を生じた場合の結果がどうであるか、これは今日のあらゆる産業の結果を検討すれば、そこには議論の余地のない事実がはつきりすると思うのでありまして、ここで四会社に分割いたしますれば、少くとも四会社のうち二会社は競争状態に陷ることになりまするので、その結果は必ず創意があり、くふうがあり、熱意があり、そこに初めて進歩、発展があるとわれわれはかように解釈しておるのでありまして、さような創意くふうというものが一方いわゆる独占企業の場合にはありましても、その度は非常に低い。競争会社があることによつて非常に高くなる。従つてただいま田代委員の言われたごとく、国際水準にマツチしますには、時間的にもこの方途をとることが、はるかに早いというような考え方を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/25
-
026・田代文久
○田代委員 ただいまの御答弁はあまりに楽観的で、三年後になると国際水準に達して十分やつて行けるという確信でありますが、来年のことをいうと鬼が笑うのでありまして、三年後にはどれくらい鬼が笑うかわからないのであります。私は断じて三年後に、そういうふうに現在の行き方で達するようなことは問題外でありまして、むしろこれはとんでもないことになると危惧いたしますが、これは見解の相違かもしれませんので、一応その点は保留したと思うのであります。
昨日来政府の、大臣あるいは次官の御答弁によりますと、つまりこの重要な日本の生命線であります鉄鋼産業に対する鉄鋼政策というものが、なおまだはつきりつかめないのであります。それでただ朝鮮戰争が起つたということが、この問題に非常にからんで来て、それによつて大体の明るい見通しが持てるのじやなかろうかというようなことを印象づけられるようなお話ぶりでありますけれども、日本の国家百年の大計としての鉄鋼産業としては、そういう非常時のフアクターによりましてこの政策が立てられるわけではないのでありまして、これはむしろ日本といたしましては、そのいかんに関せず確固たる鉄鋼政策がなくてはならないのであります。これは当然なことのように思うのでありますが、私たちはこういう日本の憲法から申しましても、あるいはまた世界の平和という立場から申しましても、あらゆる産業は平和のために存在し、またそのために発展しなければならないのであります。そしてまた前国会におきましても、政府としましては当然日本のあらゆる産業、鉄鋼産業は平和産業にのみこれは使うのだ。また平和産業の発展という立場から、政策として鉄鋼政策を考えるのだということを言われましたし、またそういう日本の生命線である基幹産業でありますこういう重要産業は、外国の資本なんかによつて左右されるというようなことは非常に危險であり、当然これは日本の自主性を十分持つた産業として育成され、またそれが自立するという立場に置かねばならないというのが基本政策であるかのように私は理解するのでありますが、政府の考えておられる鉄鋼政策につきまして、あらためて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/26
-
027・首藤新八
○首藤政府委員 まつたくお説の通りでありまして、政府といたしましても平和産業として、しかもそのあらゆる産業のうちで最も重要性を持つ基本産業だ。そこでこの基本産業に対しましてはあらゆる指導育成をしまして、恒久的に堅実な発展をするように心がけておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/27
-
028・田代文久
○田代委員 これらはちよつとわき道にそれるようでありますが、やはり鉄鋼政策であります。一部聞くところによりますると、鉄鋼政策の行き方として、ブロツク政策をとつたらどうか。北海道、東北、関東、関西、九州というふうにわけてとつたらどうかというようなことも聞くのでありますが、何かこういう政策を将来とられるような見通しであるかどうか。もしそれをおとりになるとすれば、大体それはどういう役割と、どういう意味を持つているかということについて御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/28
-
029・首藤新八
○首藤政府委員 田代委員はどこからお聞きになつたか存じませんが、政府としてはさようなことは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/29
-
030・田代文久
○田代委員 ではその点はそれくらいにいたしまして、先に進みます。朝鮮事変と鉄鋼産業の関係ですが、先ほどの御説明によりましても、朝鮮事変によつて先行き明るいというような御説明でありますが、実際に朝鮮事変によりまして、造船産業にいたしましても、その他が非常に活気を呈するというようなことは、大体日本の産業、また日本の国民経済からいつて非常に喜ぶベきことであるかどうか、そこに何らの不安はないかどうか。また今日新聞によりますと、大戰争にぽこつと発展するのは困るけれども、とにかくこういう事件は長くちよくちよく続くのがいいのだというようなことも若干伝えているような新聞もあるのでありますが、これに対する御見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/30
-
031・首藤新八
○首藤政府委員 これは各人の考え方がそれぞれ違うと思いますから、ここで私はこれに対する回答は控えた方がいいのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/31
-
032・田代文久
○田代委員 各人の考え方は違うと致しましても、私は政府といたしまして、やはりはつきりした態度がおありだと思います。またなくてはならぬと思うのでありますが、実際に製鉄産業に参加して、その産業をやつておりまする八幡の某課長なんかは、特需の注文が盛んに来る。これは外面的には非常にけつこうなように見えるけれども、全部これを引受けて、大体将来どうなるかというような点で非常に不安な気持もある。実際にその製鉄産業にタツチしておる業者自身がそういうことを言つておられると思いますが、こういう考え方に対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/32
-
033・首藤新八
○首藤政府委員 朝鮮問題の推移が喜んでいいか、悲しむべきか、これは先ほど申した通り、各人の考え方は全部異なつておりまするから、これを統一して政府の意向として申し上げることは控えなければならぬと思うのであります。ただ申し上げておきたいと思いまするのは、どういう事態になりましても、それに即応するような態勢をとつて行きたい、これが当面政府のとるべき対策である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/33
-
034・田代文久
○田代委員 話を基本的な線にもどしますが、日本の鉄鋼政策としては、あくまで平和産業の発展であり、外国の資本から影響を受けない。それにリードされずして、一本立に自立する。自主性を確立して持つというのが基本政策であるということを明言されました。私はそれに対しては双手をあげて賛成するのでありますが、事実は現在の鉄鋼産業の発展の進み方、また現在来ておりまする現実というものは、政府のそういう確約、再認識にもかかわらず、反対の方向に行つておると思うのであります。つまり平和産業を育成し、発展せしめるという線とまつたく反対の方に現実に進みつつある。また進められつつあるというふうに考えられるのでありますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/34
-
035・首藤新八
○首藤政府委員 田代委員は朝鮮問題に関連して非常にこれを重くお考えになつているようでありますが、これはさように重く考える必要があるかどうか。ただ会社といたしましてはできるだけ利潤をたくさん收めたい。従つてそれには販売量をふやしたいというのが営利会社の目的であります。ただ偶然に朝鮮問題というものが起りましたので、需要が案外急速にふえたという状態が現在の段階であります。ただかような特殊な需用に応ずることが平和産業としての目的に反しはせぬかという御質問でありまするけれども、政府が全面的にそういう場合に対処して、どういう方針で行くかということを決定いたしますれば、その線に沿うべきでありまして、現在の段階では、朝鮮問題に限らず、あらゆる面からの需要がふえるということは、わが製鉄業の発達のために非常にいいことだというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/35
-
036・田代文久
○田代委員 これは私は納得できないのであります。つまり営利、もうけるという立場に立てば、需要があれば、それに対してどんどんつくつて、それを大勢の人に売ればいいというお考えでありますが、それだつたら政策も何もないのであります。いわゆる外的なそういう条件が来れば、それによつてアミーバーのように自由自在に応じて行けばいいということになりますと、これはもう政策も何もないのです。また国家がそういう経済政策に対してタツチしているということも全然なくなるわけでありまして、戰争というような人類にとりまして破壞的な事件に対して、これはわれわれは防止しなければならない、あくまでこれを粉碎しなければならない、そういう立場に立ちます限り、戰争を助長する、あるいはそれを発展させるというようなものをどんどんつくるということがあります場合には、人類の幸福のために、また日本の幸福のためにも、これを抑制する、あるいはこれをストツプするということになるのが、大政治家のやる政策であるし、またこれが政策になつて来なければならぬのであります。ところがそういうふうに政府は理解しておられるか。また事実、朝鮮事件の発展によつて需要がどんどんふえるとおつしやいますけれども、それは軍需品としてはふえましよう。事実ふえておることも私は知つております。これは衆目の見るところでありますけれども、では平和産業においてはどうであるか。平和産業品としての点は、紡績機械とか、あるいはミシン、あるいは充電機械、こういうようなものは、それによつて値も大して上らずに、どんどん国際的にさばけて行つておるかどうか、また国内的に需要がふえておるかということになつて来るのですが、この点いかがですか。ミシンとか、あるいは紡績機械とか、あるいは充電機械というようなものがどんどんさばけるという事態になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/36
-
037・首藤新八
○首藤政府委員 戰争という殺伐な方面の需要に応ずることはどうかという御意見でありまするが、これは田代君のような高遠な理想を実現するというお考えのもとでは、あるいはそういう御意見が出るかもしれませんが、日本の産業の現在置かれた段階では、そういうことを言うておられないのであります。もつとも先ほど申しましたごとく、国家の意思がそういう方面に販売しないということを決定いたしますれば、これは別問題でありまするが、さもない限り、やはり営利会社として、その事情のいかんにかかわらず、需要がありますればその方面に販売する、これはやむを得ないと存じておるのであります。また平和産業に対するところの供給はどうか、また需要の状態はどうかというのでありまするが、少くとも現在の状態では、国内の平和産業の需要に対しましては、十二分に充足しておると存ずるものであります。同時にまた、紡績あるいはミシンその他の方面の需要も、だんだんふえて参りつつあるのが現在の状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/37
-
038・田代文久
○田代委員 繊維機械とか、あるいはミシンとか、充電機、こういうものの需要がふえておるとおつしやいましたが、事実この充電機械なんかは、需要な輸出目標になり、またプラント輸出というような点で、前々国会からも盛んにこれが言われまして、希望も持たれておりますが、現存これがほとんどストツプしておる。プラント輸出なんかはもうだめじやないかとはつきり言われております。そういう点私どものつかんでおります実際の材料と御見解とは非常に開きがあるのですが、この点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/38
-
039・首藤新八
○首藤政府委員 プラント輸出は、なるほどお説のごとく一応現在行き悩んでおりまするが、しかしこれは製品価格の問題よりも、長期にわたるところの輸出資金をどうするかということの方が、現在行き詰まつておる大きな原因でありまして、この問題が解決いたしますれば、プラント輸出も相当活気を呈するであろうというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/39
-
040・田代文久
○田代委員 結局政府の基本的な産業政策、それから鉄鋼政策は、売れさえすればいいというのが政策である、あとはもう何もないということになつたのでありますが、結局そういうことになりますと、爆彈をどんどんつくつて売つてくれというようなことを外国から言われるかもしれません。また事実そういうことがあつたのじやないかと思いますが、そういう場合でも、どんどん売れさえすればいいという立場から、それを売つてもうけるならばいいんだからという立場から、どんどん爆彈をつくられるかどうか。こういう点を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/40
-
041・首藤新八
○首藤政府委員 御質問の点は、閣議で決定されるべき問題でありまして、私個人としてこれに対してとかくの見解を申し上げることは控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/41
-
042・田代文久
○田代委員 私は、こういう重要な問題に対しまして、政府の次官が一定の見解をお持ちにならない、それは閣議でなければとにかくお答えできないというようなことは、実に危險きわるものと思うのでありますが、これはこの前の国会におきましても、火薬取締り法案が上程されました場合に、日本にはカーリツトみたいな火薬がどんどん増産されつつあるのだが、これは戰争用に使うのではないのでしようねということを質問いたしましたら、そういうことは絶対にない、火薬産業というものは、あくまでも平和産業にのみ使うので、そういう戰争に使わぬということはわれわれは保障いたしますということを政府は答弁されたのであります。またそれは当然そうだと思います。憲法で戰争を放棄した日本が、戰争に巻き込まれてはならないし、またそういう戰争用具というものを交戰国のある一国に送るというようなことになりますと、いかに戰争放棄をしていましても、その面から当然戰争に巻き込まれますし、またその反対の民主的な国家からは、戰争放棄をしたという立場にある日本は、実はそうではないじやないか、どんどん戰争を発展させるように軍需産業を復活させ、軍需品をどんどんつくつて、爆彈も鉄砲もタンクもつくつて、どんどん送つているじやないかということになりまして、これは平和を愛好する諸国民からうらみを買うことだけは当然であります。うらみを買うだけでなくて、当然日本はそういう面からいやおうなしに戰争の中に引込まれることになるのであります。こういう点にわれわれは非常に危險を感ずる。従つてわれわれは、平和産業を発展させる道があるし、また日本の自立経済のもとにそこに持つて行かなければならぬ、ここに大政策があり、またこの政策を堅持する以外には、政策というものはないと思うのであります。ところが今の次官の御答弁では、それは自分じやわからぬ、閣議の決定とおつしやいますけれども、すでにこういう事態に当面しております。すでにこういう事態に当面しておる場合に、いつそういう閣議を開いて態度を決定されるのであるか。朝鮮事変というものは、もうすでに約一箇月前に起つておる問題であります。私は当然そういうものはきまつておると思うのでありますけれども、そういうふうに答弁をお逃げになるということは、実はわれわれ平和を愛する国民の気持と政府当局の気持というものは、非常に開きがあるということを物語つておると思うのでありますが、先ほどはゆゆしい答弁をされたと私は思うのであります。今澄君が質問されましたときに、つまり朝鮮問題と鉄鋼関係でございますが、こういう事変が起つたので、価格の面。あるいは需要の面から非常に道が開けて来ている。つまり戰争に使うための需要がふえたということになるのでありますが、そういう軍需品がどんどんいるという注文が来て、それに対して応ずるというような態勢に持つて行く。ここに政府としては緊急の措置がある。つまりそういう戰争に使うための、朝鮮事変に対して使われるための鉄鋼の注文がどんどん来るという場合に対しては、とにかくこれに負けないようにどんどんつくつて、これを差上げなければならないというような答弁をされたのでありますし、それからまた首相が、国連に協力するというような答弁をされました。これは非常に問題になつたのでありますが、参議院その他の答弁によりますと、日本がこの朝鮮の問題に介入し、あるいは国連に協力するという意味は、物質的にかれこれ言うのではなくて、精神的に協力するのであるということを明示されました。精神的に協力するといいましても、これにはわれわれといたしましては大反対でありますけれども、少くともそのように言われておる。ところが現在の次官の御説明によりますと、これはもうそれをはるかに越えておる。物質的に実際上の裏づけをもつてこれに協力するということを嚴然と明言されたのでありまして、結局吉田総理が言われた国連に協力するというのは、日本の一切の産業を戰時体制に切りかえて、そうして戰争に必要な用具をどんどん生産して、これをどんどん送る、これが協力であるというはつきりした答弁になつたわけでありまして、私は現在の政府のとつておりますところの鉄鋼政策、産業政策というものが何であるかを示していると思う。いやおうなしに日本を戰争に巻き込む政策というものを、精神的な面ではなく、物質的な裏づけを持つてまで今や協力することになつたということがはつきりいたしたのでありまして、これは私は、いかなる犠牲を拂つても、こういう政府の行き方に対しては反対しなければなりません。また一大国民運動を起さなければ、日本の国民にとりましては危險きわまることであるということがはつきり言えるのであります。私はこれはいまさら答弁を要求しませんけれども、重大なる警告をここに発しておく次第であります。
それから次にお尋ねしたいことは、この前の議会でもずいぶん問題になりました鉄鋼政策の問題であります。つまりこういう重要なる基幹産業を自立させて行く、すなわち外国の資本に握られずに一本立にして行くという政策が危機に瀕している。その点に対しまして非常に危惧を感ずる次第でありますが、日本の鉄鋼産業が外国の大資本によつてリードされる危險がないかどうか、外国の資本のリードなくして、一本立で十分やつて行けるような態勢、そういう政策をおとりになりつつあるかどうかという点につきまして、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/42
-
043・首藤新八
○首藤政府委員 日鉄の資本金は御承知の通り八億でありますが、そのうち過半数は政府が持つておるのであります。そこでその政府の持株をどうするかということは、現在検討中でありまして、まだ最終的な結論に到達いたしておりません。従つて今外資が入つてそれをリードするというようなことは、おそらく考えられないのでありまして、今後政府は、処分いたすといたしましても、お説のような方向には進まぬであろうということを確信しておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/43
-
044・田代文久
○田代委員 今の御答弁はちよつと理解できにくいのであります。御承知のように、第六国会におきまして、日鉄法の一部改正法案が上程され、これは私たちの反対にもかかわらず通過いたしました。すなわち政府の持つている過半数の持株というものは、全部民間に拂い下げてしまうということになつておつたのであります。私たちは、そういうことになると、当然そういう基幹産業に対する外国の資本の手が伸びて来て、日本の鉄鋼産業は外国資本のためにいやおうなしにリードされるのではないか、だからわれわれの税金によつて、創業以来育成して来た日本の鉄鋼産業というものは、これは野放しに外に出してしまうべきものではないということを主張したのでありますが、事実はもう法文の上では、野放しにするような態勢がきまつてしまつている。おそらく政府手持ちの株というものは、現在だんだん消化されつつあると思うのでありまして、これはあとからもその消化事情につきまして質問申し上げたいのでありますが、つまり歴史的にアメリカあたりの鉄鋼産業とは違いまして、日本の鉄鋼産業の発展過程、成長過程というものは、国民の血によつて育成されて来ているのでありますが、そういう重要なものが野放しにされるという形になつて来ていることは、もうすでに外国資本にリードされる道を第一番に開いていると思う。ところが今やこの日鉄法が廃止されるということになりますと、これはもうはつきりしているように、日鉄株式会社法の第三条で、今までは外国人は日鉄の株を持つことはできなかつたのでありますが、今後は当然外国人といえども日本人と同様に自由にこの株式を持つことができることになつて来るのでありまして、そういう点から、私が今申しますように、はつきりこれは外国人が握ろうと思えば自由に握れることになる。單にこれは製鉄産業の面だけではなくて、すでに前国会において通過いたしました商法の改正、その他ありとあらゆる面からこういう道が開かれつつあるように思われますので、これを私は非常に心配しておつたのであります。ところが政府はそういう心配はないというような答弁でありまして、はなはだこれは奇怪に感ずる次第でありますが、なおあらためて御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/44
-
045・首藤新八
○首藤政府委員 先ほど申し述べましたように、政府が過半数の株を持つておるのでありまして、現在それは大蔵省の管財局の方に手持ちされております。ただいま田代委員は、すでに政府の持株が処分されておるというふうなお説でありましたけれども、現在までのところまだ一つも処分されておりません。なお外資が入るということは、将来非常な不安をかもしはしないかという御質問でありますが、これは見方の相違でありまして、外資が入つたからといつて、必ずしも前途を悲観する必要はないと私は思うのであります。同時にまた、日鉄に対して外資が入つておるということは、今まで聞いておりません。ただお説のごとく、株は自由に持てるということだけはつきりしておりますけれども、それが自由になつたからというて、過半数を占めるというようなことは、今考えるのは早いのじやないかという気持を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/45
-
046・田代文久
○田代委員 これは私はなはだ不勉強で失礼しました。というのは、つまり政府の手持ち株がまだ一株も処分されていないというお話でございますが、事実そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/46
-
047・首藤新八
○首藤政府委員 私の承知しておる範囲内におきましては、まだ処分は決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/47
-
048・田代文久
○田代委員 しかしこれはいずれにせよ、政策の大勢としましては、処分するということはもう法案でも決定しております。ただこれが処分されていないということは、買手がまだついていないという意味にすぎないと思いますが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/48
-
049・首藤新八
○首藤政府委員 この問題はあげて大蔵省の責任によつて処分することになつておりますから、大蔵省がどういうお考えをしているか、その点までは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/49
-
050・田代文久
○田代委員 大蔵省関係の政府委員がおられましたら、その点ひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/50
-
051・小金義照
○小金委員長 管財局の政府委員はきようは来ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/51
-
052・田代文久
○田代委員 それではこの次にいたしましよう。今の御答弁でございますが、政治というものは、結果が出てからばたばたするのでは、これは政治でもなければ、政治家でもないのでありまして、そういう危險があるとか、そういう萠芽があるとかいうときに、はつきり先を見通して手を打つというのが政治の要諦であり、またそれでなければ政治の意味もないのでありますが、政府は依然として楽観論をとつておられる。ところが私たち国民としましては、今申しますように、すでに外国人にはこういう重要な産業の株は持たしてはならぬといつて、外国資本の入ることを警戒して、法律を以前つくつておつたのを、今度はそれをがらりとかえて、外国人が持つてもいいということにしてしまうし、またその過半数を政府が持つて、そうして日本人的な秩序を維持しようとする立場も捨ててしまうということにするし、法案の面からそのようにもう道を開いてしまつておる。それからまた実際上の問題としまして、この製鉄産業を発展させるというためには、当然それは大量生産をどんどんやつて、平和産業のためになる基礎材として、これを国際的にも国内的にもどんどんさばくという以外には手がないと思うのでありますが、そういう大量生産をやるという場合に、実際に日本の一本立で、——まごまごしますと、外国の資本家にリードされる。ということは、うまい汁を吸われるということでありますが、こういうことなくして、そういう大量生産の方向へ持つて行く一本立の方向がとられつつあるかどうか、この点につきましてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/52
-
053・首藤新八
○首藤政府委員 外国資本が入らなくても、大量生産を実現して、そうして国際水準に一日も早くマツチさせたい、これが現在の政府の念願でありまして、昨日来しばしば申し上げました通り、これに対するところのあらゆる対策を、今後三年間のうちに継続的に打つて行きたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/53
-
054・田代文久
○田代委員 これも非常に素朴な楽観論のように思うのであります。たとえばストリツプ・ミールの事情なんかを見ましても、当然そういうためでの、正しい意味での合理化のために、優秀な外国の技術が入つてくるということは、別に私たち反対するのでなくして、それが日本の産業の自主性を持つ限りにおきましては、大いに歓迎すべきことでありますけれども、そういう技術の導入とかいう場合におきましても、それはちやんとひもがついて入つて来る。つまりそれは一種の外資という形で入つて来るという場合になりまして、それにつきましてはいろいろ日本に不利な条件がついて来ることになりますと、これはわれわれは当然考慮しなければなりません。私が申しますのはそういう意味である。たとえばまた見返り資金なんかにいたしましても、この見返り資金というのは、私たちが自由に使い得る資本ではないのであります。非常にきゆうくつな向うからのひもがついておるということは、そういう技術を導入するにいたしましても、あるいは見返り資金の問題にいたしましても、あるいは外国資本が入つて来る場合におきましても、日本をがんじがらめにして利潤を上げ、その利潤を自分の国に持つて行くという関係から、当然これは外国の資本家としては考慮されるのであります。当然そういう方向へ行きつつあることを心配するのでありまして、この点につきましていろいろ申し上げますけれども、御答弁が非常に楽観論で、これは議論倒れになると思いますが、私はこの点も非常に危險である。法律上においてもそういう道を開いたし、実際上においてもそういうことになつて来ておる。こういう形が進められると、單に鉄鋼産業といわず、石炭産業といわず、あらゆる日本の産業というものは、そういう国際的な大資本に隷属してしまう。單に隷属するばかりではなくて、これは当然そういう戰争産業のために、戰争ためにどんどん総動員される。ひいては日本が戰争に巻き込まれて、そうして徹底的に破壞せられてしまうということになるという見通しを私たちは持つていますので、そういうことになつた場合には、当然これは現在の政府の政策の責任である、現在の政治家の責任であるということを、私ははつきりだめを押しまして、この点は一応打切ります。
それで先ほどの株の消化事情でありますが、これは先ほども申し上げましたように、現在の政府手持ちの株の問題とか、その他の問題に関しまして、たとえば鉱工品公団なんかの不正事件というのが新聞をにぎわしております。公団全部がこういう腐敗墮落した形を出しておりますが、特に鉄鋼関係、鉱工品公団などにおきまして、この資料をお願いしたいのであります。鉱工品公団の鉱山部門で、大体四億見当の不正——赤字といいますか、そういう事件が起りつつあるということを新聞でも書いておるようであります。この点私たちは、日本国民の重要なる代表といたしまして、こういう点をはつきりさせ、そうしてそれがすでに間違つておれば是正する必要があるし、正しければ正しいということを国民の前にはつきりさせる必要があると考えますので、要求するのでありますが、この鉱山部門における不正事件に対しまして、現在わかつておれば、その内容を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/54
-
055・首藤新八
○首藤政府委員 まださような報告を受けておりませんので、一応調査をいたしまして、日をあらためて御返答申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/55
-
056・田代文久
○田代委員 そういたしますと、私たちも研究いたしたいと思いますから、公団から通産省に出しました鉱工品部門の被害報告書、それから経済調査庁の報告書——これは本年三月にたしか出たと思うのであります。それから行政管理庁の報告書、こういうものをひとつ材料としてぜひ渡していいだきたいのですが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/56
-
057・首藤新八
○首藤政府委員 委員長と協議しまして、なるべく御趣旨に沿うような措置をとることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/57
-
058・田代文久
○田代委員 それからこれは先ほどの平和産業との関係でありますが、結局原料の問題にいたしましても、あるいは製品の問題にいたしましても、日本の平和的な立場からのこの鉄鋼産業の発展ということは、どうしてもこれは東洋、特に中国との貿易が決定的な意味を持つのでありますが、この貿易は今日非常に行き詰まつておるようであります。がしかし、超粘結炭の開らん炭が大体百万トン入つて来るというようなことが報ぜられておりますが、これはアメリカの石炭に比べて非常に安い。開らん炭は十一ドルであるのにアメリカ炭は十八ドルというような、非常に開きがあります。その開らん炭が百万トン入つて来るということになれば、それだけコストの切下げもできるというようなことで、私どもは非常に期待を持つておつたのでありますが、何でもこれが中止になつた。そうして非常に高いアメリカ炭が入つて来るようになつたというように聞いておりますが、その事情はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/58
-
059・首藤新八
○首藤政府委員 その問題に対しまして、まだ最終的な決定はいたしておりません。ただ今片一方は十一ドルで、片一方は十八ドルで、値段に相当開きがある、開らん炭の方がはるかに安いではないかというようなお尋ねでありますが、なるほど価格としては安いのでありますけれども、高品位、要するに品質の上におきましては、はるかに米炭の方が高いのでありまして、採算的にどちらが有利かということは、容易に判定できないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/59
-
060・田代文久
○田代委員 その点につきましても、いろいろこれは議論をしなくちやなりませんけれども、これは議論になりますので、これで一応質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/60
-
061・小金義照
○小金委員長 これにて通告のありました質疑は全部終りました。なおほかに御質疑はございませんでしようか——別に御発言もありませんので、質疑がないものと認めます。本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。討論及び採決は次会にこれを行います。本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十一日午後一時より開会いたしますが、さきの第七国会において可決、なお現在施行せられておりまする特別鉱害復旧臨時措置法の施行の状況につきまして、調査をいたす予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100804793X00419500720/61
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。