1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十三日(金曜日)
午後一時四十九分開議
出席委員
委員長 圖司 安正君
理事 多田 勇君 理事 竹山祐太郎君
理事 勝間田清一君 理事 奈良 治二君
岩川 與助君 金光 義邦君
福井 勇君 渕通 義君
細田 榮藏君 宮原幸三郎君
有田 喜一君 森山 欽司君
出席政府委員
経済安定政務次
官 小峯 柳多君
委員外の出席者
経済安定事務官 吉岡 茂君
專 門 員 圓地與四松君
專 門 員 菅田清治郎君
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三月二十二日
砂糖の輸入並びにかし用割当増加の請願(木村
公平君紹介)(第一五二四号)
労務用物資割当に関する請願(柄澤登志子君外
一名紹介)(第一五二五号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
物資物価統制に関する陳情書
(第四三
六号)
労務用物資配給に関する陳情書
(第四五二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員の追加選任
国土調査法案(内閣提出第九二号)
小委員会の経過報告聴取
請願
一 地代、家賃の改訂に関する請願(淺沼稻次
郎君外一名紹介)(第八号)
二 資源調査費国庫負担の請願(志田義信君紹
介)(第六四号)
三 鉄くずの公定価格撤廃に関する請願(玉置
實君紹介)(第一一五号)
四 資源調査費国庫負担の請願(柄澤登志子君
紹介)(第三〇三号)
五 労務用物資割当に関する請願(坂田英一君
紹介)(第三八三号)
六 飲食営業臨時規整法廃止に関する請願(中
島守利君外三名紹介)(第七〇〇号)
七 事業者団体法等の改正に関する請願(田口
長治郎君紹介)(第九一一号)
八 労務用物資割当制度強化に関する請願(野
村專太郎君紹介)(第一二六〇号)
日程追加
一 砂糖の輸入並びにかし用割当増加の請願(
木村公平君紹介)(第一五二四号)
二 労務用物資割当に関する請願(柄澤登志子
君外一名紹介)(第一五二五号)
陳情書
一 ガソリン類の価格引上反対に関する陳情書
(第五号)
二 石油製品配給に対する統制撤廃の陳情書
(第六号)
三 労務用物資対策に関する陳情書
(第一六七号)
四 労務用物資配給に関する陳情書
(第三一五号)
五 労務者用物資配給に関する陳情書
(第三六六号)
六 労務用物資配給に関する陳情書
(第四〇六号)
七 事業者団体法改正に関する陳情書
(第四一二号)
日程追加
一 物資物価統制に関する陳情書
(第四三六号)
二 労務用物資配給に関する陳情書
(第四五二号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/0
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001・圖司安正
○圖司委員長 ただいまより開会いたします。
これより本委員会に付託されました請願の審査に入りたいと存じます。
まず日程第五、第八を議題に供し、紹介議員の紹介説明を求めます。紹介議員の代理者多田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/1
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002・多田勇
○多田委員 紹介議員の代理で請願の要旨を御説明いたします。
労務者用物資割当に関する請願、坂田英一君紹介の金沢市金沢商工会議所内石川県労務用物資協議会長の請願であります。
本請願の要旨は、労務用物資の特配については、昭和二十四年度からその施行が非常に消極化されため、一般労働者の生活は、一層困窮し、労働生産性の昂揚を阻害している現状である。ついては、現行配給機構を統一し、給配要請手続を簡素化し、労務加配主食は低廉な丸労価格の設定並びに米麦のみの配給とする等を実施されたいというのであります。
請願第八の労務用物資割当制度強化に関する請願は、野村專太郎君紹介の、東京都港区高島新吉君外四千七百六十二名の請願でございまして、本請願の要旨は、現下内外の諸状勢と、わが国労働事情とにかんがみ、労務用物資政策の意義及び効果を再検討し、労働保護の積極的新政策として、労務用主食、衣料、酒類、たばこ等に関する施策を強化充実し、もつて労働生産性の向上並びに産業平和の確立に資するよう、すみやかに適切な措置を講ぜられたいというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/2
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003・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願について政府より意見を聴取いたします。小峯政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/3
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004・小峯柳多
○小峯政府委員 政府といたしましては、物資の割当配給に関する制度は、だんだんこれを縮小して参ることにいたしておりますが、その経済政策とは別個に、社会政策的な観点から、ただいま御指摘になりましたようなことに関しましては、できるだけ考慮をいたしたいつもりでおります。ことに最近物価が上りぎみでありますし、それに対する賃金騰貴の時間的食い違いを、何らかの方法によつて調整したいと念願して、せつかく検討中であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/4
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005・圖司安正
○圖司委員長 次に日程第二、第四を議題に供し、紹介議員の紹介説明を求めます。多田議員に代理を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/5
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006・多田勇
○多田委員 本請願は志田義信君紹介、青森県会議長櫻田清芽君外七名及び柄澤登志子君紹介、北海道議会議長坂東秀太郎君外七名からなる請願でございます。本請願の要旨は、国土開発法が発布され、地方は、それぞれ計画を樹立しているが、開発すべき資源が判然としない結果、とかく公共事業の拡充に細る傾向が多い。全国に秘蔵されている資源を国家が指定し、調査させ、短期間に終了させるために、資源調査費を国庫負担で交付されたいというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/6
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007・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願に対して政府より意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/7
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008・小峯柳多
○小峯政府委員 新しい行政の部面として、国土総合開発が非常に大きく取上げられて参つておりますことは御承知の通りであります。しかしこれが地方に対する負担の面で、地方財政困難な折柄、御指摘のようなこともあるのだと考えます。なおただいま本国会で御審議願つております国土調査法なども、多少問題は違いましても、これは国費による調査を考えておるわけでありまして、同じ精神を援用いたしまして、御指摘のようなことも研究するつもりでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/8
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009・圖司安正
○圖司委員長 次に日程第一について紹介議員の紹介説明を求めます。多田議員に代理を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/9
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010・多田勇
○多田委員 地代、家賃の改訂に関する請願でございまして、この請願は淺沼稻次郎君、武藤運十郎君の紹介になるもので、長野県下諏訪町鳥羽豊君外十一名からなる請願でございます。本請願の要旨は、地代、家賃は、現在地代家賃統制令で統制されているが、地代、家賃の統制価格の改訂は、物価庁告示で行われている。しかし一方において国家公務員に対しては、法律で賃金ベースが設定されており、公務員の現行賃金ベースでは、住居費はわづかに百七十一円しか見込まれていない。国民生活にとつてきわめて大きな影響を持つ地代家賃の問題を一方的に改訂することは危険であるから、地代家賃の改訂は、国会の審議を経て、賃金ペースとの関係を考慮してきめられたいというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/10
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011・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願について政府側の意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/11
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012・小峯柳多
○小峯政府委員 地代、家賃が、諸物価に比べまして不当に低かつたために、この改訂を先般来行つて来ております。また御指摘のように物価庁がこれを指定してやつたことも事実であります。それが公務員の給与ベースとの関係というふうな問題でありますが、単に地代、家賃の問題だけでなしに、実際の消費者物価指数ともにらみ合せまして、公務員の給与はできるだけ十分考慮して参るつもりであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/12
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013・圖司安正
○圖司委員長 日程第三、鉄くずの公定価格撤廃に関する請願について紹介議員の説明を求めます。多田議員に代理願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/13
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014・多田勇
○多田委員 紹介議員玉置實君にかわりまして請願の要旨を申し上げます。鉄くずの公定価格撤廃に関する請願で、本請願は東京都金属興業ビル内鉄くず諸団体代表の請願でございます。本請願の要旨は、鉄鋼関係のうち価格統制の現存しているのは、鉄くず及び銑鉄のみで、このうち銑鉄は補給金の撤廃とともに早晩廃止されなくてはならないので、問題となるのは鉄くずの価格統制である。鉄くずの需要は、鉄鍋業の回復とともに増加するに反し、供給は不足を告げ、価格はますます騰貴して、公定価格と市場価格の間に著しい差を生じている。しかしながら、鉄くずを原料として生産される鋼材には、国際価格がある以上、無限に鉄くずの市場価格を上昇させるということはあり得ない。また鉄くずに公定価格があるために、かえつて市場価格を値上りさせる原因となることも考えられる。すなわち低物価政策的意義のない公定価格は、無意味であつて、いたずらにきびしい取締りが集荷を減退させるだけである。ついては、鉄くずに対する公定価格を撤廃されたいというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/14
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015・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願について政府の意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/15
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016・小峯柳多
○小峯政府委員 銑鉄、鉄くずの統制の問題は、ただいま政府において検討中でありまして、おそらく近い機会にその結論を得るものと思います。特に鉄くずそのものの鉄鋼生産が、平炉業者による面が相当重いという観点からいたしまして、御指摘のような点で難点のあることも承知いたしております。銑鉄、鉄くずのマル公を撤廃するかどうかも、まだ結論を得ておりません。かりに御指摘のように、銑鉄のマル公がはずれるというふうなことになりますれば、鉄くずもあわせてマル公を撤廃したい所存で、目下研究中でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/16
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017・圖司安正
○圖司委員長 次に日程第六について紹介議員の紹介説明を求めます。多田議員に代理願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/17
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018・多田勇
○多田委員 紹介議員中島守利君、河原伊三郎君、野村專太郎君、龍野喜一郎君にかわりまして請願の要旨を申し上げます。飲食営業臨時規整法廃止に関する請願で、東京都全国料理飲食喫茶業組合連盟会長野本源治郎君の請願でございます。現在の食糧統制は、二箇年前の飲食営業臨時規整法制定当時とは大いにその趣を異にし、指定主食と砂糖以外はことごとく自由販売に復帰し、外食者の食生活を確保するために規定された外食券食堂については、指定主食以外は何一つ外食券に対する裏づけ配給を必要としないなど、各般の情勢はすでに本法廃止の時期的段階に立ち至つている。ついては、すみやかに本法を廃止されたいというのが本請願の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/18
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019・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願について政府の意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/19
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020・小峯柳多
○小峯政府委員 食糧の統制問題は、ただいま研究中でありまして、特に七月から麦類の統制を撤廃するつもりで諸般の準備を進めております。従つてそのことから当然御指摘のものにつきましても改廃があるはずでありますが、ただ米に関しましては、依然としてなおしばらく現行の方法を維持する考えでありますので、その点に関します限り、全部なくすというふうなことはできないかと存じます。しかし内容はよほど緩和されてしかるべきものと考えます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/20
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021・圖司安正
○圖司委員長 次に日程第七ついて、紹介議員の紹介説明を求めます。
多田委員に代理を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/21
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022・多田勇
○多田委員 紹介議員田口長治郎君にかわりまして、請願の趣旨を御説明申し上げます。事業者団体法等の改正に関する請願でありまして、本請願は水産煉製品協会内全国加工水産団体連盟理事長外三名の請願でございます。水産業は近代組合制度ないし団体制度の中において、同業組合の線に沿つて発展して来たものであるから、水産業の向上発展は、団体指導にまつところ大なるものがありますが、終戦後における政治的、経済的諸情勢の急激な大変革に対処しまして制定されました事業者団体法等によりまして、団体活動は著しく制限されました結果、団体活動は漸次低調を余儀なくされ、水産零細業者の復興安定に寄与するはおろか、団体自身の運営すら困難になつておるのであります。ついては事業者団体法の禁止事項を妥当に解除するとともに、これに関連する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する等の措置を講ぜられたいというのが、本請願の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/22
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023・圖司安正
○圖司委員長 これについて政府の意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/23
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024・小峯柳多
○小峯政府委員 事業者団体法の改正は、ただいまの請願の御趣旨からだけではなしに、一般の問題といたしましても、日本経済の正常な再建のために支障になつておるような面も少くないと思います。本委員会でもこの問題を御研究くださつているように承つておりますが、私どももなるべく国の実情に合うように、この問題の改正に関しましては、研究を続けるつもりであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/24
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025・圖司安正
○圖司委員長 次に日程を追加いたしまして、昨二十二日本委員会に付託されました砂糖の輸入並びに製菓業者に割当増加の請願について、紹介議員の紹介説明を求めます。多田委員にかわつて説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/25
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026・多田勇
○多田委員 本請願は、木村公平君紹介になる、名古屋市山本宗次郎君の請願でありまして、砂糖の輸入増加並びに製菓業者に割当増加の請願でございます。日本経済の自立政策が強力に促進されるにあたり、対外貿易もまた促進されなければなりません。砂糖の輸入は逐年増加され、昨年度の輸入計画四十一万トンに対し、本年度は六十万トンを計画されておると承ります。国際商品である砂糖は、日本商品の輸出増加に関連して、見返り物資として輸入されておりますが、計画以上に増進をはかり、これが国内消化は、中小企業の重要な地位にある製菓業に、戦前以上の消費率七割を割当てられ、国内産業の発展と国民の栄養食品たる菓子の品質向上に資せられたいというのが、本請願の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/26
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027・圖司安正
○圖司委員長 ただいまの請願に対し、政府側の意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/27
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028・小峯柳多
○小峯政府委員 御指摘のように、砂糖の輸入につきましては、本年度は相当増加の見込みであります。また肥料その他これと交換し得るような物資の増産とまちまして、砂糖の輸入は、実績においても増加できる見込みであります。しかるところ、砂糖の消費量がふえました割合に対しまして、お菓子の業者に対する割当が非常に低いことも事実であります。政府は輸入の実績を押えまして、新年度におきましては、製菓業者に対する砂糖の割当も増加して参るつもりであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/28
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029・圖司安正
○圖司委員長 次に同じく日程を追加いたしまして、昨二十二日本委員会に付託されました労務者用物資割当に関する請願を審査いたしますが、本請願は本日の日程第五、第八と同一でありますので、紹介説明を省略いたします。ただいまの請願について政府の意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/29
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030・小峯柳多
○小峯政府委員 さきにお答えしました趣旨と同様であります。御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/30
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031・圖司安正
○圖司委員長 この際お諮りいたします。本日の各請願は、いずれもその趣旨において至当と認められ、政府において適当にその措置を講ずべきであると思われますから、いずれも議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/31
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032・圖司安正
○圖司委員長 御異議なしと認めます。さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/32
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033・圖司安正
○圖司委員長 なお陳情書の取扱いにつきましては、昨二十二日本委員会に送付になりました物資物価統制に関する陳情書、労務用物資配給に関する陳情書二件を含み、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/33
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034・圖司安正
○圖司委員長 御異議なしと認めます。それでは陳情書は、全部委員会において了承ということに決定いたします。
なお本日追加されました砂糖に関する請願に関連いたしまして、多田委員より発言を求められております。これを許します。多田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/34
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035・多田勇
○多田委員 業務用の砂糖の取扱いについて現在安本あるいは食糧庁等で、一般の家庭消費と別個に価格の操作等について考えられておるようでありますが、現在の考え方を仄聞いたしますと、砂糖の業務用の価格につきましては、現在のマル公とやみ価格とり中間程度の価格をもつて、特別価格を設定するというような考え方のように承つております。しかもそれによりまして得られましたところの財源を、食管特別会計の中に包含して、あるいは主食の価格操作の面に使うというような考え方も一部にはあるようでございますが、この際特にお願いしておきたい点は、砂糖の業務用の価格を特別に値上げしまして生れました財源につきましては、砂糖の価格を調整し、あるいは現在計算されております、近く改正になりますマル公の計算の面で価格の操作をするような措置をとつていただいて、砂糖で得られました財源について、他の物資の価格の操作に使わないような、特別の措置を講じていただくように、この際安本当局にお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/35
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036・小峯柳多
○小峯政府委員 砂糖の、特に業務用砂糖の扱いに関しまして、今政府で検討を続けておりますことは御指摘の通りでありますが、しかしまだ結論が出ておりませんで、御指摘のような幾つかの線を含みましたものが、研究の中心になつておりますことも事実であります。お話のありましたような趣旨も十分考慮いたしまして、結論を出しますための参考にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/36
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037・圖司安正
○圖司委員 この際暫時休憩いたします。
午後二時十一分休憩
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午後二時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/37
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038・圖司安正
○圖司委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
これより国土調査法案の審査に入りたいと思いますが、ただいま吉岡説明員より、法案の正誤について発言を求められております。これを許します。吉岡説明員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/38
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039・吉岡茂
○吉岡説明員 正誤を申し上げます。五ページの四行目の「作業規定」とありますのを「作業規程」と直します。五ベージの九行目の「基本調査を行う場合」とありますのを「基本調査を行おうとする場合」と訂正いたします。十八ページの八行から九行目にあります「国土調査と同一の効果」とありますのは「国土調査の成果と同一の効果」と訂正いたします。十九ページの二行目にあります「前項第二項」は「前條第二項」と訂正いたします。二十八ページの十一行目「窃用した者。」とありますのは、丸をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/39
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040・圖司安正
○圖司委員長 了承いたしました。
この際お諮りいたします。本法案に対する質疑も大体終了いたしたものと思われますので、これにて質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/40
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041・圖司安正
○圖司委員長 御異議なしと認めます。
それではこれより本法案に対する採決をいたします。本法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/41
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042・圖司安正
○圖司委員長 起立総員。よつて本法案は原案の通り可決いたしました。
なお本法案の委員会報告書その他の取扱いについては、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。
この際小峯政務次官より発言を求められております。これを許します。小峯政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/42
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043・小峯柳多
○小峯政府委員 非常に画期的な法案を、しかも短時間に御審議いただきましたが、政府側の意のあるところも御了察願いまして、早急に結論づけていただきましたことは、お礼の言葉もありません。この上は御審議いただきました趣旨に即しまして、画期的な法案の運用について、十全の努力をするつもりでありますから、つけ加えましてお礼の言葉といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/43
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044・圖司安正
○圖司委員長 引続き、森山委員より、外資とタバコ民営に関する小委員会における審議の経過並びに結果に関する報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/44
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045・森山欽司
○森山委員 外資とタバコ民営に関する小委員会の経過につきまして、小委員長、永井英修君にかわりまして御報告申し上げます。
外資とタバコ民営に関する小委員会は、昭和二十五年十二月十一日設立せられまして、永井英修委員を小委員長として岩川與助、小野瀬忠兵衞、志田義信、多田勇、森山欽司、松尾トシ子の各委員を小委員とし、関係当局より資料を求め検討中でありましたが、本年二月九日本委員会において審議の結果、タバコ事業民営移管につき、可否いずれかの明確な結論に到達するには、各党の意見の一致を見ず、またこの民営移管によつて外資の導入が必ずしも多きを望みがたい状況でありましたので、小委員会といたしましては、この際各党の意見の調整をはかるため一致の申合せをすることに努力を尽したのでありますが、遂にその一致を見ることを得ず、本委員会におきましては各党から次の三案が提出されたのであります。
自由党案は、わが国財政経済の現状にかんがみ、外資とタバコ民営は時期尚早と考えるというのであります。国民民主党はタバコ事業に関し、民営及び多資導入は、国家財政並びに外貨費消上はもとより、特に全国六十万の耕作農家の生活を脅かすものであり、これには絶対反対するというのであります。社会党は、わが国の自立経済と財政及び経済の基礎を危殆ならしめ、かつ全国六十万のタバコ耕作農民の生存を脅かし、タバコ事業に対する外資と民営に絶対反対するというのであります。右三案を討論採決の結果、申合せ案は自由党案に決定いたしました。
右簡単でありますが、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/45
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046・圖司安正
○圖司委員長 次に協同組合制度に関する小委員長細田榮藏君より、同委員会の審査報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/46
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047・細田榮藏
○細田委員 協同組合制度に関する小委員会の審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
本小委員会は前回国会において昭和二十五年七月二十五日設立せられまして、中小企業等協同組合、農業協同組合、水産業協同組合、消費生活協同組合の四協同組合制度の現状を調査しつつありましたが、今国会においても引続き本小委員会を設置することとなり、細田榮藏を小委員長として、寺本齋、渕通義、笹山茂太郎、松尾トシ子の諸君を各委員とし、協同組合制度の調査をいたすこととなつたのであります。
すでに前国会において関係当局の説明を求め、各組合代表者の意見を聴取し、また委員派遣による国政調査を行つたのでありますが、引続き本国会において、さらに各方面に対する問合せによる調査を行い、これらの資料調査をまとめることといたしたのであります。
本小委員会の目的は、国民経済の総合施策の立場から、各協同組合の現状を調査し、法制上及び運営上、適正なる発展と育成に資するため、改正を要するものについては、勧告その他適当なる措置を講ずるにあるのであります。
各協同組合は戦時以来の統制機関たる組合とは異り、中小企業者等が相互扶助の精神に基く協同組織により、自主的な経済活動を促し、業者の経済的社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展を期するものとなつたのでありますが、其の現状は必ずしも期待のごとくではなくして、おおむね組合活動は不振状態に陥つているのであります。その不振の原因及び理由は、次のごとくであります。
中小企業者が、従来の物資割当配給の統制団体たる組合観念より脱却できず、新組合に対する理解が足らず、協同精神の徹底を欠き、円滑適正なる運営ができなかつたことであります。
我国経済界共通の悩みである資本不足は、各協同組合において最もはなはだしく、組合経営の不振と相まつて金融機関に対する信用度がすこぶる低く、見返り資金の貸付、商工中金及び信用組合の融資等が拡張せられたにもかかわらず、予期の効果をあげ得ないことであります。これに対しては特定の信用金庫または中小企業専門の小口金融機関等の設定が要望されているのであります。
各協同組合には制度上の欠陷が少くないことであります。先づ組合設立が届出制であるために、組合の実態把握が困難なのを初めとして、組合員の資格、役員及びその任期並びに事業その他について、中小企業の公正にして自主的なる経済活動に適正でないものが少くないのであります。これには全面的改正はともかくとしても、一部改正を要するものがあるのであります。
各協同組合が独占禁止法及び事業者団体法から全面的に除外されていないために、組合活動を阻害される点が少くないことであります。もちろん農業協同組合は独占禁止法より除外されておりますが、中小企業等協同組合にはこまかい制限規定があるのであつて、独占禁止法及び事業者団体法の廃止が要望されているのであります。
各協同組合に対する課税及び財務規定等については一部の改善を見ましたけれども、依然として税金問題は、組合運営の重大なる障害をなしていることであります。
各協同組合の監督及び指導について、制度上からもこれを強化する必要があることであります。
以上はその主要なる問題点でありますが、これについては本国会にすでに内閣提出の中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案及び議員提出の農業協同組合法の一部を改正する法律案があるのであり、また事業者団体法については、本委員会に設置されました同小委員会において改正案の提出を見、目下審議中でありますから、協同組合制度改善の実現が早急に行われるものと存じます。本小委員会においては、この協同組合に関する調査をまとめまして、別に詳細なる報告を文書をもつて提出いたすことにいたしましたのでごらんをいただくこととし、その審議の経過及び結果について、ここにその概要を御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/47
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048・圖司安正
○圖司委員長 この際お諮りいたします。経済緊急政策に関する小委員に、多田勇君を追加選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/48
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049・圖司安正
○圖司委員長 御異議なしと認めます。それでは多田勇君を同小委員会の小委員に追加選任いたします。
次に同君より経済緊急政策に関する小委員会の審査報告を聴取いたします。多田勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/49
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050・多田勇
○多田委員 本小委員会は、日本経済の安定に関する総合的緊急基本施策に関する事項を調査するため、昨年七月二十五日に設置されまして、小委員長に志田義信君、小委員に多田勇君、永井英修君、竹山祐太郎君、勝間田清一君がそれぞれ選任されました。小委員会においては、関係官庁、民間団体より随時資料を収集し、意見を聴取するとともに、各地に委員を派遣して産業経済状況の実地調査をいたしました。また昨年九月二十六日及び十月二十日に小委員会を開き、関係官庁並びに民間団体代表者を招き、日本経済の現状の説明、意見を聴取いたしました。
本国会においても引続き本問題を調査研究することとして、小委員会を設置いたしまして、金光義邦君、福井勇君、羽田野次郎君が小委員に追加選任されまして、前回の調査を基礎に、熱心な検討を続けて参りました。調査結果の詳細は、別途報告書によつてごらん願うことといたしまして、ここではその概要を簡単に御報告申し上げます。
朝鮮動乱後世界各国は、戦時経済体制への編成を急速に進めつつありまして、重要資材、食糧等の国際封鎖、管理、あるいは割当を強化し、経済の国際的流通を著しく阻害しつつある現状でありますが、日本経済は欧亜、ことにアメリカ経済に著しく依存し、その再建は主として米国の各方面にわたる対日援助によるところが多いだけに、この影響は深刻でありまして、事変前は輸出不振に悩んでいたのが、一転して輸入不振となり、重要資材、食料等の輸入確保の問題が重要性を帯びて参つたのであります。他面、世界政治経済の非常事態に備えるため、自給度の向上と国内資源の開発、すなわち日本経済の国際的依存度と、その自立自給の問題、並びに変動に応ずる重点の置き方、準備等に対する要請に応じなければならないのであります。換言すれば日本経済の国際的連関性を重視するとともに、他面において現下の世界情勢の次の展開を感得して、最悪の場合には自力による需給計画の最大限度の実現を十分に検討し、準備しておかねばならないと思うのであります。諸物資の輸入促進と自給度の向上によつて獲得された資材、食糧等を合理的、能率的、経営的な生産体制に乗ぜるために、戦争によつて消耗し、あるいは消失した生産諸施設の再整備及びその近代化による生産力の飛躍的増強が要望され、他面総合国土開発計画と関連して、資本の蓄積の必要が一段と強調されるのであります。国民生活水準は、昭和二十五年度においては、昭和九—十年平均の約八〇%にとどまつているのでありますが、わが国国民経済は彈力性に乏しいので、国際経済の変動が生活水準に大きく影響を及ぼすのでありますから、これが向上のためにも前述の諸事情は深く勘案されなければならないと思うのであります。
かかる観点から、当面の経済緊急対策の焦点をとらえれば、次の諸点となるものと思われます。
一、物資の輸入確保の問題、二、船舶不足対策の問題、三、資本蓄積対策の問題、四、電力資源開発の問題、五、食糧等増産対策の問題、六、統制法規と経済統制の問題、需給対策の六点であります。
これらの諸問題に対する具体的施策については、政府においても、その解決のために全力をあげて国民の要望にこたえるように、それぞれの対策を進めているようでありますが、いずれもその実効が具体的に、しかも一日もすみやかに現われるよう、さらに一層の努力を傾注されるよう要望してやまないのであります。また、これら施策の遂行にあたつては、同時に国民経済水準の合理的な維持上昇が、計画的になし遂げられるように、政府においても特に努力を尽されたいのであります。
次に、日米経済協力について一言申し上げます。日米経済協力の構想が、アメリカの物資動員計画と密接に結びつき、アメリカは日本に対し原料を供給するかわりに、日本の工業力と労働力をフルに活用するものとすれば、日米協力の問題が日本に与える政治上、経済上の影響は、きわめて重大なものといわねばならないのであります。この日米経済協力を実施するためにも、国際経済力の積極的な対日援助が当然必要となり、日本の経済総力がさらに上昇され、生産力の増強に一段の努力を要することもまた言うまでもないことであります。そのためにも、前述の諸問題点の強力、急速な遂行に結実が望まれるわけであります。ことに日米経済協力に基く生産力の大規模な拡充の要請に伴つて、国内遊休未稼働施設の活用更新と、新施設の建設が強く求められる結果、それに対応する電力供給力増強のための水火力両面にわたる緊急電源開発計画の実施、並びにそのための外資その他の新資金の獲得、生産増強に伴う所要物資に対する輸入促進と国内需給に対する制約の実施、並びに国際割当物資の獲得のための努力、たとえば割当機構への参加等と割当物資の国内使用の制限、生産増大に伴うインフレ傾向の増大に処する賃金、物価、生活水準、財政金融など、各方面にわたる措置などが、新たな必要をになつて取上げられねばならないものと予見されるのであります。しかも日米経済協力の要請と、それに伴い現に予見される措置については、すでに一部業界に対して、日本の産業構造に、重工業偏重の懸念を与えていることも事実であります。これらの懸念に対しては、政府においても、過去の貴重な経験にかんがみて、あらかじめ万全の見通しと、総合的な計画に基いた対策を用意しつつ、国民経済に跛行状態を来さないよう、特に注意を喚起しておきたいのであります。いずれにしても国際的な情勢は重要さを加えつつある折からでありますから、施策に彈力性と国民経済的見地からする総合性を十分に発揮して、経済の発展と安定に特別の努力を希望してやまないのであります。
以上をもつて、経済緊急政策に関する小委員会の報告を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/50
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051・圖司安正
○圖司委員長 なおこの際お諮りいたします。電力に関する小委員会の小委員に奈良治二君を追加選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/51
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052・圖司安正
○圖司委員長 御異議なしと認めます。それでは奈良治二君を同委員会の小委員に追加選任いたします。引続き同君より電力に関する小委員会の審査報告を聴取いたします。奈良治二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/52
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053・奈良治二
○奈良委員 私は電力に関する小委員会の委員として、本問題に関する小委員会の経過と、その調査によつて得た本委員会の要望事項を簡単に申し述べたいと思います。
電力に関する小委員会が森曉、岩川與助、宮原幸三郎、有田喜一、勝間田清一、後に奈良治二の諸委員を委員として設けられましたのは、昭和二十五年七月二十五日でありましたが、以来本委員会は主として電力再編成問題の経過、電源開発計画と開発資金、電力の需要と供給電力料金の諸点を中心に、政府の説明、資料の提出を要求し、また同年八月国土総合開発計画の実地調査並びに事業者団体法、協同組合制度、経済緊急政策、電力に関する各小委員会の連合による実地調査の一環として、各地に委員を派遣し、電力問題の実地調査に当つて来たのであります右に述べました各項目についての詳しい報告は、別に提出いたしました報告書に譲ることにいたしまして、ここでは要望事項の要点だけを申し述べます。
申すまでもなく、電気事業はあらゆる産業の基盤をなすものであり、しかも日本の水力電気は唯一の天恵として、その開発は国民経済復興の基本をつちかうに足るものであります。それだけに電力問題の国民経済的観点からする解決は、自主を目ざす日本経済の再建、発展と国民経済の内容充実の面から取上げられなければならないと思います。こうした点から考えまして、電力事業の構成問題は、日本の産業構造と地方的産業立地の條件に、十分マツチして取扱われなければならないし、従つて電源の開発、電力需給の具体的処置、電気料金の地域差などの問題は、十分、一般の納得の行くよう、さらにまた国民経済の見地からその合理的な解決が要望されるわけであります。
要望事項の第一は電源開発の問題についてでありますが、言うまでもなく電源の開発は、全国的立場から、わが国の当面する経済自立という点を考慮して、当然総合的な国土開発計画とにらみ合せて、治山、治水と関連して行われるべきであります。電源開発の中心は、水力発電の開発にあるのでありますが、自然條件に極度に左右されるわが国の現状においては、水力を補うための火力の増強もきわめて重要なのであります。ただここで注意されなければならないことは、電源の開発が地域のいかんによつて、その工事費に多大の相違があり、その結果、電力料金に相当の地域差が生ずるおそれがあることであります。この点は一面、電力再編成の影響からも考えられることでありますが、現在のごとく、各地の地元産業の盛衰が、一に原料源並びに熱源としての電力問題にかかつておる点からいたしましても、十分考慮されなければならないと思います。
次に要望事項の第二として、電力需給の問題でありますが、本問題も、要は発電総量のいかんにかかるもので、年間を通じ、一割以上もの不足を生じている現状におきましては、その需給計画において、正確な発電量の査定と、適切なる割当がまず必要であります。特に冬季においては、水力発電の発電量と、これを補う火力発電との関係が明確にされなければなりません。これが適正を欠くときには、単に電力の超過使用の範囲を越えて、全面的配電停止となり、それが産業界に及ぼす影響には重大なものがあります。この点に関し十分の対策が払われることを要望するものであります。
第三には、電力再編後の電気料金の問題でありますが、これは今後の問題で今ただちに何とも申し上げることはできませんが、現状から推して考えると、電気料金の地域差が、現在よりも大なり小なり拡大されるであろうこと、及び諸般の事情からして、料金の基準が、現在よりも場合によつては、はるかに高騰するであろうということが想像されるのであります。もしそのような現象が現われた場合、それが日本の産業に対して多大の影響を及ぼし、現在の産業構成に望ましからぬ変革を余儀なくさせるようなことのないように、万全の処置が講ぜられるべきであります。
これを要するに、電力問題の根本的解決は、安い電力を豊富に供給するという一語に尽きるのでありますが、今日の日本におきましては、特に国民経済の再建、発展という立場を忘れることなく、本問題の解決のために、施策の遂行に全力をあげられんことを要望してやみません。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/53
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054・圖司安正
○圖司委員長 以上の審査報告について、御質疑があればこれを許します。——御質疑がなければこの程度にいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004073X01819510323/54
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