1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年三月十九日(月曜日)
午後一時五十八分開議
出席委員
委員長 松永 佛骨君
理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
理事 亘 四郎君
大西 禎夫君 寺島隆太郎君
中川 俊思君 堀川 恭平君
松井 豊吉君 山村新治郎君
清藤 唯七君 苅田アサノ君
松谷天光光君
出席政府委員
大藏事務官
(銀行局長) 舟山 正吉君
大藏事務官
(銀行局預金部
資金課長) 高橋 俊英君
厚生事務官
(保険局長) 安田 嚴君
厚 生 技 官
(公衆衞生局
長) 山口 正義君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(公衆衞生局結
核予防課長) 小川 朝吉君
專 門 員 川井 章知君
專 門 員 引地亮太郎君
專 門 員 山本 正世君
—————————————
三月十七日
委員中川俊思君辞任につき、その補欠として平
野三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員平野三郎君辞任につき、その補欠として中
川俊思君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
小委員及び小委員長選任に関する件結核予防法
案(内閣提出第一一五号)
厚生年金保険に関する件
天然痘の発生問題に関する説明聽取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/0
-
001・松永佛骨
○松永委員長 これより会議を開きます。
まず厚生年金保険に関する件を議題といたします。本件に関し資金運用部資金法案についての質疑を求められておりますのでこれを許します。青柳委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/1
-
002・青柳一郎
○青柳委員 本厚生委員会におきましては、毎国会ごとにいつも論議される問題がたくさんありまするが、そのうちの一つといたしまして、厚生年金の積立金、これは三百数十億に上ることになつておりまするが、この積立金を保険料を支払つておる事業主、または被保険者のために使い得る道を開いてくれろという熱望が絶えず起るのであります。ことに今国会におきましては、最近当委員会におきましても厚生年金の改正法案を審議したのであります。その際もまた強くその論議が行われたわけであります。大体現在の法制から見ますると、厚生年金の積立金は、法律または勅令、省令などによりますると、健康保険組合、あるいは同連合会、あるいは社会事業団体、または事業主などに還元いたしまして使わす道はあるのでありまするが、二十一年マーカツト局長の指令によりましてそれがとめられておるのでありまして、何らかの機会にこれを復活して、現実にそれら被保険者のために還元をしていただくことを絶えず熱望しておつたのであります。ところが今回政府の御提案になりました資金運用部資金法案によりますと、この点がなおも強くとざされるというふうに考えられますので、この問題に関しまして、舟山銀行局長にお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。この法案の第七條には、資金運用部資金を運用し得る道を掲げてあるのでございますが、その七号に「特別の法律により設立された法人で国、第三号に規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものの発行する債券」、こうありまして、第八号は「前号に規定する法人に対する貸付」、こう相なつておるのであります。この法律の読み方によりましては、ただいまもあげましたところの健康保険組合、同連合会または社会事業団体には貸し付ける道があるように思えるのでございますが、その点につきましての御所見をまず承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/2
-
003・舟山正吉
○舟山政府委員 厚生年金保険の積立金の運用につきましては、戦前におきましては大蔵大臣と厚生大臣と協定いたしまして、これを労働者の福祉の方面に使うということについて御了解を得ておつたわけでございます。しかるに戦後預金部資金等の政府資金につきましては、インフレ対策等もありまして、その運用が極度に制限せられ、国債、地方債のほかは原則としてこれを運用してはならないということになつておりましてそのために厚生大臣との協定も実行されずに来ておりますことは、申し上げるまでもないところでございます。しかし別途当委員会でも始終問題になつておりまして、また厚生当局からの申入れもありまして、大蔵省といたしましては、ぜひ積立金の一部につきましては、労働者の福祉のために使いたい、使つてさしつかえないものであるとという見解を持つておりまして、再三その具体案を立てまして、関係方面にも陳情したのでございますが、遺憾ながら今日までのところ認められておらないのでございます。さて今度預金部を改組いたしまして、資金運用部といたします。そこでただいまお尋ねになりました第七條第七号の読み方でございますが、健康保険組合につきましては、実は法律の規定によつて債券を発行し得るようになつておらないのでございます。法律によりまして授権されまして、政令によりまして債券を発行し得るということになつておるので、これについては法律解釈上いろいろ疑義がございますし、また直接に第七條の第七号の解釈にはこれを含めることはできないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/3
-
004・青柳一郎
○青柳委員 御見解がさようなものであるといたしますれば、あるいは健康保険法を改正いたしまして、現在政令に讓られているものを法律に掲げることによつて、この問題を解決する道があるように思うのでございますが、いろいろな御事情がありましよう、その御事情につきまして、局長の御意向を承らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/4
-
005・舟山正吉
○舟山政府委員 健康保険組合の方の法律を改正しまして、債券を発行でき得ることにいたしまれば、この七号の適用を受ける法人になつて参ると存ずるのでございます。しかし債券発行につきましては、現在のところ法律改正について関係方面の了解を得なければならぬという大きな制約のあことは御承知の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/5
-
006・青柳一郎
○青柳委員 法律改正がむずかしいといたしますれば、われわれとして一応道がとざされて行くように考えるのでありますが、局長もただいま漏らされましたように、大蔵省御当局も、厚生年金の積立金を被保険者に流そうというお考えを持つておられることは、従前通りだと思うのであります。現在提案されております資金運用部資金法案によりまして、そういう道は全然ないのでありますか、その点につきまして重ねて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/6
-
007・舟山正吉
○舟山政府委員 このたびの法律改正によりまして、預金部資金の運用のあり方というものが、一応改正せられるわけでございまして、従つて厚生年金保険積立金の運用についても、従来の大蔵大臣と厚生大臣との協定というものは一応とりやめになる、新しいスタートをしなければならぬことになるのでございますが、御趣旨につきましは、従来も私ども骨折つて参りましたし、今後も同様の趣旨によつて運んで参りたいと思いますが、現在のところ、この法律改正では、直接にはそちらに資金を運用する道は一応ない。しかし今後あらゆる機会を見つけてそちらの方に金が流れ出るように研究もし、勧誘もしたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/7
-
008・青柳一郎
○青柳委員 ただいまの御所見によりますと、この法案は法案として、他にそういう方法を何か考える道があるようなふうにも聞えたのでありますが、その点について重ねて承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/8
-
009・舟山正吉
○舟山政府委員 この第七條第七号の法人に健康保険組合が合致いたしますように、そちらの法律改正を骨折ることも一つの行き方かとも思います。また今度の資金運用部資金法の制定によりまして、預金部では従来金融債の引受を認められておらなかつたのでありますが、今度はそれが認められるようになりますので、たとえば金融機関に金融債の引受によつて流します金を、御趣旨のような方向に極力使うようにといつたようなことも、今ただちには金利の問題その他がございまして、いろいろ解決しなければならぬ前提問題があると思いますが、そういうことにも研究もし、骨折つても参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/9
-
010・青柳一郎
○青柳委員 ただいま舟山局長のお話によりますと、この原案のままにしておいて、そういう道を今後も努力しよう、こういう御意図のお話があつたのでありまして、その方向に十分なる御努力を切にお願いいたします。以上をもつて私の質問を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/10
-
011・松永佛骨
○松永委員長 次に小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。現在非常に重要な問題であります厚生住宅の諸問題に関する調査のため、当委員会に厚生住宅に関する小委員会を設置されたいとの要望が委員の方から申出られておるのでありますが、いかがとりはからいますか。——それでは当委員会に小委員十名よりなる厚生住宅に関する小委員会を設置し、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/11
-
012・松永佛骨
○松永委員長 御異議なしと認め、該小委員会設置することに決し、小委員には
高橋 等君 中川 俊思君
堀川 恭平君 松井 豊吉君
亘 四郎君 清藤 唯七君
堤 ツルヨ君 苅田アサノ君
松本六太郎君 松谷天光光君の十名を、小委員長には亘四郎君を、それぞれ指名いたします。
次に結核予防法案を議題とし、前会に引続き質疑を通告順に許可いたします。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/12
-
013・丸山直友
○丸山委員 前会に概括的のことはちよつとお伺いしたのでございますが、さらにもう少し詳細に承りたい。第四條の一項についてお伺いいたします。労働基準法に該当する対象人員、それから学校に関する対象人員、それから矯正保護施設に関する対象人員を個々別々にその数をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/13
-
014・山口正義
○山口(正)政府委員 お手元に差上げてございます資料の中にもございますが、健康診断が第一にございまして、政令で定める事業または事務所の使用者は、国家公務員が百二十三万四千人ございまして、その他の使用者が九百五十九万一千人になつております。それから政令で定める学校につきましては、国立学校が二十三万七千人、公立学校が一千七百六十九万二千人、私立学校が八十万人、そういうふうになつてございます。それから社会福祉施設、児童福祉施設等、政令で定める施設に収容されております者が三十七万人、それが四條第一項の該当者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/14
-
015・丸山直友
○丸山委員 労働基準法に定める者の場合は、これは使用者がその費用を負担することになつておると思います。その場合使用者が今までもやつておつた部門があると考えまするが、今度のこの改正の法律によりますると、第四條の四項で第十二條の規定に基いて政令で定める技術的基準に適合するということが必要になつて来るわけでありますが、今までやつておりましたことは、大体この技術的基準に適合するようなことをやつておりましたでしようか。あるいはこの法律ができました場合に、新しくいろいろな施設をするとか、あるいはレントゲンを購入するとか、技術者を雇い入れるとか、いろいろな相当に改善して行かなくちやならぬことが多いかと思いますが、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/15
-
016・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいままで労働基準法に基いてやつておりました健康診断は、本法の第十二條の規定に基く省令で定める技術的基準と、大体一致しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/16
-
017・丸山直友
○丸山委員 技術的基準が一致しておるというお答えでありますが、その数は大体において今まで完全に行われるだけの——質はわかりましたが、量が満たされておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/17
-
018・山口正義
○山口(正)政府委員 事業場によりまして、非常に大きな規模の事業場におきましては、質、数ともにこの技術的基準に適合いたしますような実施ができるような状態になつたのでございますが、ごく小規模のところでは必ずしも十分に行われるというふうな状態にはなつていなかつたのでございます。今後は保健所の施設あるいはその他の施設を活用いたしまして、できるだけ数の上においてもその基準に合うようにやつて行きたい、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/18
-
019・丸山直友
○丸山委員 やつて行きたいという御希望はわかるのでございますが、事実これが可能であるというお見通しであるかどうか、どのくらいの月数でできるであろうか、そういうふうなお見通しがあつたら承りたいのと、なおあわせて小学校等におきましては、山間僻地の小さいものもあると考えますが、そういうふうなところまで完全にこの法律が適用できるだけの用意があるかどうか、そのお見通しを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/19
-
020・山口正義
○山口(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、この健康診断の対象者の数は相当大きな数に上りますので、その実施につきましては、非常な努力がいると思うのでございますが、ただいま申し上げましたように、保健所だけでなく、国立の医療施設その他の医療機関の協力を求めて実施して行くつもりでおります。またなお非常に山間僻地などでレントゲンなどの応用の困難なところにおきましては、当分の間一部を省略するというような措置も講じなければならないのではないかと考えておりますが、何箇月ぐらいの間にこれをやつて行く見通しかというお話でございますが、その数字を今ここでちよつとはつきり申し上げかねますが、ただいま申し上げましたような線によりまして、一部完全に実施するということが困難な面もございますので、できるだけ広い範囲の面でやつて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/20
-
021・丸山直友
○丸山委員 どうも法律の方が先行して実施に関する御準備が、行われなければならないというような規定が、ある除外を設けなければならないというようなことになると考えますので、その点に関しては十分な御努力が願いたいと思うのであります。
それから三の厚生大臣が指定する区域と申しますのは、これはもちろん殷賑地区を意味するものと考ますが、殷賑地区というものはやはり現在やられておりますような死亡率、万対二〇以上というようなものを基準とせられるのでございますか、何らか数字が違つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/21
-
022・山口正義
○山口(正)政府委員 殷賑地区の標準でございますが、ただいままでは、今丸山委員のお説のように、大体万対二〇を標準にして参つたのでございますが、先般も御説明申し上げましたごとく、最近結核による死亡率が順次下つて参つておりまして、二十五年度におきましては、大体集計がお手元に差上げてございますが、万対一四・七になりますので、今後この殷賑地区は、大体万対一五ないし一六を境目にして考えてやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/22
-
023・丸山直友
○丸山委員 第五條の二の「結核まん延のおそれがある場所」、場所はわかるのでありますが、「地域」という言葉が使つてあります。この「地域」という言葉は第四條三項の「区域」とどういうふうな区別があるんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/23
-
024・山口正義
○山口(正)政府委員 特に区別した意味はないのでございます。大体そういう地域に存在する学校あるいは職場というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/24
-
025・丸山直友
○丸山委員 そうしますと、四條三項の「指定する区域」と申しまするものは、県が単位になるのですか、小さな市が単位となりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/25
-
026・山口正義
○山口(正)政府委員 市町村であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/26
-
027・丸山直友
○丸山委員 そうすると、この「地域」というものも、それと同様であると解釈してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/27
-
028・山口正義
○山口(正)政府委員 地域の方は、も少し狭い意味を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/28
-
029・丸山直友
○丸山委員 同じく第五條の四項に「結核患者と同居する者又は同居していた者」こういうのがあるわけですが、同居する者の数は、大体どのくらいあるというお見通しであるかということが一つ、もう一つは、ここに書いてありまする「結核患者」という言葉であります。結核患者という定義はなかなかむずかしいのであります。現行の結核予防法におきましては、感染のおそれある結核患者というものがおもに対象になつておりますが、今度の改正法では、単に結核患者という言葉で表わされておりまして、他に感染するとか危険であるということが対象になつておらぬ。そうすると、いやしくも結核患者であれば、それと同居した者は全部この法の対象となるわけであります。従つて結核患者というものの定義をはつきりしておきませんと、かなりむずかしい問題を生ずるおそれがある。どういう者を結核患者というか。たとえばひとたび結核にかかつておつても、現在はその病気が休息の状態にあつて、菌の排出もなく、何らの危険もなく仕事もできておる。けれども結核の病素は持つておるという者は、この結核患者の対象になるのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/29
-
030・山口正義
○山口(正)政府委員 結核患者の定義は、先ほど丸山委員のおつしやいましたように、本法におきましては広い意味にとつておりますが、ただ第五條におきましては「結核予防上特に必要があると認めるときは」というところで、狭い意味に、他に伝染のおそれがあるような結核患者というふうに縛つているのでございます。その患者の家族該当者を約三百万人というふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/30
-
031・丸山直友
○丸山委員 この條項の結核患者という意味は、そういう意味だということはわかつたのであります。しからば第四章の二十二條に使われておる「結核患者」という言葉は、その言葉と同一の意義に解釈するものでございますか、あるいは先ほど私が申し上げました後者の意味に解する方がよろしいのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/31
-
032・山口正義
○山口(正)政府委員 二十二條に示してございます結核患者は、先ほど私の申し上げました広い意味の結核患者すべてを含むというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/32
-
033・丸山直友
○丸山委員 なおもう一回お伺いいたします。結核性の関節炎を二十年、三十年前にやつておつて、現在はその疑気は治癒しておる、しかし関節の強直は残つておる、関節が曲らない、つまり健康な人とは違つておる。しかし結核の病気としては一応終熄しておる、こういう者は、この結核患者の定義の中に入るものであるかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/33
-
034・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま御指摘になりましたような、結核の後遺症と考えられるものは、一応この中に含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/34
-
035・丸山直友
○丸山委員 この前お示しになりました要綱の第三にある、第一、第二以外の三十才以下の者、この條項は第何條に取上げられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/35
-
036・山口正義
○山口(正)政府委員 第四條の第三項であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/36
-
037・丸山直友
○丸山委員 なお質問もあるようでございますけれども、資料が厖大で通読しておりませんから、次会にまた引続いていたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/37
-
038・松永佛骨
○松永委員長 それでは松谷委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/38
-
039・松谷天光光
○松谷委員 結核予防についてお尋ねしたいのですが、すでに丸山委員がお尋ねになつておられる分があると思いますので、重複する点があるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。初めにお伺いしておきたいのは、先ほど丸山委員の御質問の中にも出て参りましたし、かねがね問題になつております法律の対象になります患者でございますが、医療施設また予算等の問題でも、その基礎になつて来るものは、どの程度のものをもつて患者とするかというところに、やはり一つの限界があると思います。先ほどの局長のお話では、伝染をするものをもつて、大体本條で扱うところの結核患者とみなすというお話でありましたが、その伝染をするという場合にも、——私事門的なことは十分わかりませんが、通常よくいわれております一期、二期、三期、そういうようなもの、あるいは一期、二期もつけられないようなごく軽症者、そういうようないろいろの段階があると思います。先ほど三百万人と御指摘になりましたが、どの程度のものから本條に該当する患者とみなされておるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/39
-
040・山口正義
○山口(正)政府委員 本法におきまして結核患者と申しますのは、ただいま松谷議員の言われました、いわゆる一期、二期、三期はもちろんのこと、ごく軽症の者まですべてを含むものでございますが、先ほど丸山委員に私御説明申し上げましたのは、第五條定期外の健康診断の場合、第四項に書いてございます結核患者は、本法で定義いたします結核患者すべてを含むものでございますが、第五條の最初の「結核予防上特に必要があると認める」という字句のほかに、他に結核を感染させるおそれのある結核患者、端的に申しますれば、菌を排出するものは特にその中に入るのでございますが、そういうふうな患者を意味するのでございます。この法律全体といたしましては、結核患者と申しますのは、すべての結核患者を含むのでございます。ただ先ほど申し上げましたように、後潰症は含みませんが、結核と診断される患者は、全部この中に含むのでございます。なお系統調査などいたします必要がございます場合にはすべての結核患者を含む、そういうふうにしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/40
-
041・松谷天光光
○松谷委員 ただいま局長が御説明くださいましたような、相当広範囲の場合をとりましても、その数は三百万人というのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/41
-
042・山口正義
○山口(正)政府委員 先ほど三百万人と申し上げましたはの、狭い意味の、他に結核を感染させる患者の家族、それが三百万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/42
-
043・松谷天光光
○松谷委員 広義にとりました場合の本條の見込みは現在どの程度でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/43
-
044・山口正義
○山口(正)政府委員 広義にとると申しますか、大体結核患者の数を正確につかみますことは、現在の届出制度がまだ十分に完全に行われておりませんので、なかなか困難なわけではございますが、大体年間死亡者の十倍を一応結核患者と考えております。さらにそれにごく軽いものを合せますと、全体で約二百万人くらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/44
-
045・松谷天光光
○松谷委員 なおただいまお話もございましたように、登録が十分でない、これは従来もそうでございましたが、今後だんだんと社会的な一般の考え方もかわつて参りまして、その登録も今後はこうした法律その他によつていろいろな裏づけができ、相当完備して来るとは思いますけれども、しかしやはり登録というものが、今後もなかなか完全にわ行われないと思うのであります。そういうものについて当局の特別なる一つの対策というようなもの、もちろん保健所を中心にいたしまして家庭訪問なり、申告その他の方法をおとりになるとは思いますが、おそなく保健所が家庭訪問をいたす場合には、申告のあつた家庭をまわるのが、保健所所員の実情から見まして、それさえもできかねる実情でございますが、そういう登録について特に何かお考えはございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/45
-
046・山口正義
○山口(正)政府委員 患者の届出につきましては、お手元に差上げましたとじた大きな資料の三にございますが、昭和二十二年、二十三年、二十四年、二十五年と比較してみますと、順次患者の届出は増加して参つております。しかしなおそこに現われております数字をごらんいただきましても、先ほど申し上げました数字に比較いたしまして、非常な隔たりがございます。今後この患者の届出につきましては、一層努力を払つて行かなければならないと存じますが、さきに丸山議員から御指摘のございましたように、栄養物資あるいは主食の特配をするというような恩惠を与えることによつても、やはり患者の届出が増加して参ります。また今松谷議員から御指摘のございました保健所員の訪問指導、これも旅費の増額等をいたしまして訪問指導を徹底させて参りたいと存じております。なお根本的には医師会に働きかけまして、医師の協力を得て、届出ができるだけ多く完全に行われるように努力して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/46
-
047・松谷天光光
○松谷委員 ただいまの登録にも関連いたしますが、その場合に、直接の局長の御所官ではないかもしれませんが、保健所の点でございます。これはやはり登録その他を完全にさすために、ただいまお話のような、保健所が相当に活躍をしなければならないと思うのでありますが、その保健所に対する——私きよう予算の資料を持ちませんでしたので、適当な数字をあげての質問はできませんが、大体保健所の所員、あるいはまたその他の保健所の完備の点についての、少くともごの結核予防法案に備えた保健所対策というものが、今年度においてどの程度にできようとしているか、局長の方でおわかりになりましたらこの際伺つておきたいと思います。それからまた局長の方からも特に保健所関係等の、この法案を出されるについて折衝がおありであつたろうと思うのでございますが、少くとも局長から御要求になられたその増員なり、あるいはその他の拡充について伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/47
-
048・山口正義
○山口(正)政府委員 本案を実施して行きますために、保健所の整備拡充をはかつて行かなければならないという松谷議員の御指摘、その通りでございます。私どもといたしましても、二十六年度におきましては、二十五年度に比較いたしまして、保健所の拡充増設を予算上お願いいたしまして、衆議院では御可決いただきまして、ただいま参議院で御審議中でございますが、二十五年度には保健所がAクラスとCクラス二通りございまして、Aクラスが百五十箇所、それからCクラスが五百五十四箇所ございます。Aクラスは保健所の定員といたしまして五十二人、Cクラスが二十七人でございます。それを昭和二十六年度におきましては、Aクラス三十箇所増加いたしまして、百八十箇所に、そのほかに従来ございませんでしたBクラス、これは定員四十三人でございますが、それを六十箇所つくる。従いましてCクラスがそれだけ数が減るわけでございますが、なおCクラスを十一箇所新設いたします。それから先ほどBクラス六十箇所と申上しげましたが、そのうち従来のCクラスからBクラスに上りますものが五十一箇所、Bクラスの新設が九箇所、従いまして、従来は保健所が全部で七百四箇所あつたのでございますが、二十六年度は七百二十四箇所に、二十箇所の増設をお願いしております、その増設のほかに、先ほども申し上げましたように、CクラスからAクラスに昇格いたしますものが三十箇一所、CクラスからBクラスに昇格いたしますものが五十一箇所、それに従いまして定員も増加いたします。なおそのほかに診査協議会その他の事務のために各保健所に二名ずつ、結核予防のために定員を増加しております。それから保健婦の旅費も増額いたしております。それから市町村の保健婦に対しても旅費を出したい、そういうふうに考えております。以上保健所に関しまして、本法施行に伴います保健所の整備拡充につきましての予算上の数字を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/48
-
049・松谷天光光
○松谷委員 ただいまちよつと開き漏らしましたが、結核予防のために二名ずつ増員とおつしやいましたが、その通りでございますか、これは各保健所と考えてよろしいのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/49
-
050・山口正義
○山口(正)政府委員 各保健所に事務職員を二名ずつ増加いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/50
-
051・松谷天光光
○松谷委員 重ねてお尋ねいたします。事務職員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/51
-
052・山口正義
○山口(正)政府委員 事務職員です。先ほど申し上げました定員のほかに事務職員を二名ずつ増加いたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/52
-
053・松谷天光光
○松谷委員 ただいま御説明を伺いまして、結核予防のための増員その他増設、これだけで完全な登録その他の結核予防法の完全な実施というものは、なかなか困難であろうと推測されるのでございますが、しかし幾らかでもそこに従来よりはよくなつて来る、完全ではないにしても一歩の進歩であるということは、考えられると思いますが、それにいたしましても具体的にBクラス保健所が建設され、そうしてその運営がなされる時期をいつごろと考えてよろしゆうございますか。またそのお見込みでございましようか、具体的に活動を始めて実績をあげる時期でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/53
-
054・山口正義
○山口(正)政府委員 予算上は建物その他の関係がございますので、新設の方は年度当初からというわけには参りませんが、増員の方は年度当初から予算をお願いしております。ただいま松谷議員のお尋ねの、具体的にいつからどういうふうに整備できる見込みであるかという点につきましては、ただいま正確な資料を持ち合せておりませんので、この次の機会に御答弁申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/54
-
055・松谷天光光
○松谷委員 そういたしますと、それは次の機会において伺わせていただきたいと思います。
それから、質問があちこち飛びまして、たいへん恐縮でございますが、この前の委員会でも問題になつておりました本法案の実施期日でありますが、局長のこの前の御説明によりますと、学年の切りかえその他の関係から、四月一日ということに、本省ではなるべくしたい、こういうようなお話でございましたが、すでに三月も終ろうといたしておりますのに、やはりまだ十分なる法案の審議も進められないようなこの状態でございまして、四月一日からの実施ということは、非常に困難に近くなつて来るのではないかとも考えられますし、また一面から参りまして、少くともこの予防法を実施して参ります一面の重要なポストを握つております保健所その他の増員あるいは増設、新築、そういう面も、まだここに相当の期間を要すると見られる場合に、それでもやはり局長は、今のところのお考えは四月一日に実施したいという御希望でございましようか、あるいはそういう諸種の状況をかみ合せながら考慮したいというお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/55
-
056・山口正義
○山口(正)政府委員 本法案を御審議願います提出の時間が遅れましたために、非常に時間が切迫して参つておりますのに、私どもといたしまして、なるべく早く御審議を願つて、御可決いただいて、四月一日から実施できるようにお願い申し上げたい、前回もおわび申し上げ、お願いを申し上げたわけでございますが、ただいま準備が——法案の審議でなしに、実施上の準備も十分整つていないから、四月一日からは無理ではないかというお話でございますが、先般も申し上げましたように、患者に対する医療費の給付の事務は、十月一日から実施して参りたいと存じております。ただ健康診断、予防接種その他の事務を、四月一日からなるべく実施して行きたい。学校の関係もございますので、できるだけ早く御審議をお願いしたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/56
-
057・松谷天光光
○松谷委員 局長のお気持はよくわかるのですが、この期日というものは、衆議院の方、あるいは参議院の方の意見を中心にしなければなりませんので、これはお尋ねする方が無理でございまして、私どもの方で決定して行かなければなりません。学期の切りかえがあるので早くしたいというお気持はよくわかります。それで医療費の実施は十月一日で、健康診断その他の実施を四月一日から、こういうお話なのですが、そういうことになりますと、この保健所の完備ということが、相当大きなポストを占めて来るのではないかと思います。ことに健康診断等が入つて参りますと、ほとんどその仕事は保健所になつて参ります。そういう場合に、あるいはまた健康診断のあり方その他でもいろいろ問題が出て来ておりますが、そういうような点からいつて、一刻も早く多くの子供たちに予防接種しなければならないことは、あるいは健康診断しなければならないことは、これはだれもそう考えるところでございますけれども、しかし今までのいろいろな経験からいつて、法律は出てしまつた、そして実施は始まつてしまつた、しかし実際に健康診断を受けようとしても、その保健所が完備していない、あるいは登録したいにも、その事務の方が滯つておる、あるいは入院その他の問題も出て来ようかと思うのでありますが、やはりそういうときに、非常に事実と法案のふぞろいという点が出て来る向きがあると思いますが、実施された場合に、保健所の完備が遅延しても、健康診断その他の業務にはさしさわりを来さないで行けるということを、局長はお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/57
-
058・山口正義
○山口(正)政府委員 保健所が、この健康診断あるいは予防接種に、重要な役割を示しますことは、御指摘の通りでございますが、学校あるいは工場、事業場におきましては、従来も健康診断の業務をやつておりましたので、相当なれておりますし、先ほども申し上げましたように、保健所だけでなく、国立の医療機関その他を活用いたしまして、この健康診断並びに予防接種の業務をやつて行きたいと存じておりますので、見通しとしては、四月一日から実施ということになりましても、大体支障なくやつて行ける、そういう見通しを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/58
-
059・松谷天光光
○松谷委員 ただいまの点は、なお私の方でももう少し研究させていただきまして、それからまた質問させていただきたいと思います。
次にお尋ねしておきたいのは、この法案が実施されるようになりますと、入院命令を受ける患者が、従来以上に出て来ると私は思うのです。その場合に、先日も部分的に伺つたのでございますが、これは医療法その他の問題もからんでは参りますが、各委員が問題にしております受入れ態勢が、やはり相当問題になると思います。その受入れ態勢のことについては、また次の機会に、これは医務局もお出ましいただいて、両局から私は十分伺いたいと思うのでありますが、その場合に、どうしても事実として入院できない患者が相当出て参りまして、結局家庭療法をしなければならない。入院しなければならない患者としての有資格者であるにかかわらず、やはり家庭にとどまらざるを得ないというような状態になりました場合に、その入院できない者に対して、優先的に入院させるというふうなお話を、先日本委員会で承つたのでありますが、優先的にさすと申しましても、ベットには限りがございますし、そういたしますと、先ごろ問題にもなつておりました、各病院が新陳代謝をしなければならない。そのためにまだ菌を有しておる伝染性のある患者、あるいはまたもういつとき療養すれば回復がより近くなる、退院してから後の健康状態を維持することができるのに、いつとき早く退院させたために、またぶり返したというような状態も相当出て来ると思います。今この法案がこうして審議されておるというだけでも、強制退院とはき違えた病院では、すでに強制退院をやつておるというところが具体的に出て来ておりますので、そうした一部の新しい患者を保護せんがために、なおりつつある患者を犠牲にするという状態も出るおそれがあると思います。そういう弊害をなくして行こうとするならば、他の病気と違つて、結核は新陳代謝ということが一番困難な病種だろうと、しろうとの私でさえ考えるのですが、その場合に、当局とされては、ただ優先的にそれを扱うというだけのことでなく、その家庭にとどめておく患者に対する対策というものが、私はこの法案では欠けておる点があるのではないかと思うのでありますが、そういう点、局長の方ではどういうふうにお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/59
-
060・山口正義
○山口(正)政府委員 新しい患者を入所させますために、まだ退院の期に至つていない者を強制退所させるというふうなことではならないと存じます。国立療養所につきましては、医務局の所管ともなりますので、医務局の方ともよく連絡いたしまして、先般も御注意がございましたし、重ねての御注意でございますので、そういうことのないようにして行きたいと存じております。
なお在宅患者に対して、どういうふうな対策を立てて行くかというお尋ねでございますが、本法にございます特定の医療につきましては、人工気胸を除きましては、一応原則として、入院患者に対して医療費の負担をやつて行くということになつておりますが、必要がある場合には、在宅患者につきましても、医療費の負担ということを講じて参りたいと存じておりますし、なおそのほか在宅患者につきましては、先ほどからお話の出ております保健婦の訪問指導、あるいは療養指導書の配付、あるいは主食その他の栄養食の特別配給というようなことをいたしまして、在宅患者についても、できるだけ十分療養できるように努力して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/60
-
061・松谷天光光
○松谷委員 特にそういう点について、この法案の上に明示されなかつたのは、何か理由がおありになるのですか。ただ入院ということに重きを置かれたために、別にそれにまで触れなかつたという程度でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/61
-
062・山口正義
○山口(正)政府委員 本法案の趣旨は、できるだけ早く患者を見つけまして、必要のある者につきましては療養所に入所させ、そこにおいて特定の療養をさせて行きたいというのでございまして、決して在宅患者を特に看過したという趣旨ではございません。その点御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/62
-
063・松谷天光光
○松谷委員 それでは在宅患者に対しても十二分の処置を考慮するというふうに解釈し、そしてまたそうした具体的な問題のあつた場合には、おそらくこれは委員会になりましようか、協議会になりましようか、そこと本省が連絡をとつていただいて、そうして在宅患者の完全な療養に全力をあげるにやぶさかでないということに解釈してさしつかえございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/63
-
064・山口正義
○山口(正)政府委員 在宅患者につきましても、でき得る限りの努力をして参るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/64
-
065・松谷天光光
○松谷委員 患者側では非常にそれを不安に思つております。そしてこの法案を読みました一患者の感想でございますが、これは確かに一つの保護法であり、そしてまた自分たちの病気をよりよくするということに主眼を置いているとは思うけれども、しかし患者の立場になつてみると非常に不安だということを一これは私どものような健康な者が読むのと患者が読むのと、そこに相当の開きがあろうとは思いますけれども、何でもいいから患者をなくして病種を断つということに主眼を置かれていて、入院できない者は家庭にほうり出される。そして結局十分な対策もできず、またその一面入院をしいられてみても、今日の結核病院が示しておりますような、あの不十分な内容等の中に放置されている。どちらにしても何かより不安のような気がするというような、これは病人なるがゆえにそういう危惧を持つのだろうと思いますが、そういう点について、これは希望でございますが、本省の方でも法案の再度御研究をいただきたいと思いますし、私どもの方でもそういう点に立つて、法文上の一つ一つを研究して参りたいと思います。
それからなお質問が飛びますが、法案によりますと、その伝染のおそれある患者に対しては、従業の禁止ができることになつております。従業の禁止ということになりますと、これはその病人だけの問題ではございませんで、病人をかかえる家族一切の生活の問題になつて参りますが、こういう点について、従業の禁止を法律をもつてすれば、今度はそれだけの保護対策を立てなければならないと思いますが、この従業禁止をいたします場合の程度、それはどのように当局はお考えになつておるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/65
-
066・山口正義
○山口(正)政府委員 従業の禁止、この処分は憲法で保障されております勤労の権利を公共の福祉のために制限するのでございますので、非常に重要な事項で、特に愼重を期さなければなりませんのでただ知事の判断にまかせるだけでなくて、必ず本法の第二章に規定してございます健康診断によつて、その結果、その職場の関係上他人に結核を伝染させるおそれがあるという場合にだけ従業禁止をさせる、そういうふうに規定いたしておるのでございます。
なお生活保障の問題でございますが、この生活保障が必要であるということも考えられるのでございますが、本法におきまして、現在のところでは、生活につきましては生活保護法の関係に讓りまして、将来この点については十分研究して行きたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/66
-
067・松谷天光光
○松谷委員 その場合に大体保健所の健康診断を受ける、保健所の決定をまつてという御説明でございましたが、その従業禁止を命令する病状の決定というものは、本省で一つの基準というものをおつくりにならずに、個々の保健所にそれは委任なさり、責任をお持たせになるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/67
-
068・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま申し上げましたように、たとえば菌を排出しておりますもので、特に他人に感染させるおそれのある業務については、というような場合に従業の禁止をさせるのでございまして、その業務につきましては省令でそれを定めて行きたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/68
-
069・松谷天光光
○松谷委員 ただいまの御説明ですと、業務に対しては省令でそれをきめられる、その患者の病状の程度、従業禁止を命じられなければならない限度、これが今後場合によりましては、正しく運営されるということは絶対必要で、公共の福祉のためにも、また本人の健康のためにも絶対必要でございます。非常に推測をするようでございますが、今後何らかの場合にいろいろの点でこれが悪用される。保健所の医師とその他との結托によりまして、こういうことのないことを望むのでございますが、しかしそこまで考えるならば、悪用されて正当に与えられておるそうした——ただいまもお話のような勤労者に対する一つの権利というものが侵害されて行かないとも限らないと思うのでございます。業種に対する御決定も省令で決定なさることは、当然必要だと思いますが、それと同時に、病状の程度の一つの基準というものを私はおきめになつておく必要があると思うのでございますけれども、そういう点はいかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/69
-
070・山口正義
○山口(正)政府委員 本法第二十八條に「結核を伝染させるおそれが著しいと認められる患者」ということになつておりますので、当然これは結核菌を排出しておる者に限定される、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/70
-
071・松谷天光光
○松谷委員 なお推測の質問で恐れ入りますけれども、かりに一つの保健所について悪用された場合、そういう場合に対する処置というものは、どういう方法をもつてその侵害を擁護するのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/71
-
072・山口正義
○山口(正)政府委員 都道府県知事の処置に対しまして、これは不適当であると考えられました場合には、本人が訴願ををすることができるようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/72
-
073・松谷天光光
○松谷委員 たいへん恐れ入りますが、その訴願の條項は、はつきり明示されておりますでしようか。私ちよつと見落しておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/73
-
074・山口正義
○山口(正)政府委員 お手元に差上げました法案の二十枚目をごらんいただきますと、第六十七「條第二十八條から第三十一條までの規定による都道府県知事の命令に不服がある者は、厚生大臣に訴願することができる。」そういう條文があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/74
-
075・松谷天光光
○松谷委員 他にいろいろ質問いたしたいのでございますが、たいへんまちまちになりますので、きようの質問はこれで一応打切らせていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/75
-
076・松永佛骨
○松永委員長 次に江東地区に発生した天然痘の状況並びに経過及び対策等につきまして丸山委会より発言を求められておりますので、これを許します。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/76
-
077・丸山直友
○丸山委員 本日の新聞を見ますると江東地区に悪性の紫斑性の天然痘が発生したと出ております。しかもその患者は相当にその辺を歩きまわつたというようなことが書いてあるのですが、その実情、予防対策等につきまして一応御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/77
-
078・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま丸山委員からお尋ねの痘瘡患者につきましてお答え申し上げます。患者は江東区北砂町九の五三、桜田機械工業寮内の工員斎藤浅一、十八才になる者でございます。発病が十三日でございますが、十八日の正午ごろ医師から発疹チフスの疑いとして届け出られまして、同十八日の午後四時半に駒込病院長が診察いたしまして、真性紫斑性痘瘡と決定いたしまして、同五時半死亡いたしました。系統を調査いたしておりますが、今のところまだはつきりいたしません。ただ潜伏期から考えてみますれば、先般横浜に発生いたしました痘瘡患者、これは芝浦に上陸して、東京の中央区、港区あたりを歩いたのでございますが、それからの系統ではないかというふうに一応考えられるのでありますが、その横浜の患者も今回の江東区の患者も死亡しておりますために、現在系統がはつきりつかめない状況でございます。それで今回の患者につきましての汚染地区として一応考えられますのは、自宅が江東区の北砂町でございまして、勤め先がやはり同じ場所の桜田機械工業でございます。それから寮も先ほど申しました同じ場所でございます。ただこの者は学校に通つておりまして、その学校が江東区大島町江東工業高等機械科の三年でございますので、その場所を往復いたしております。そのほかどこべ参りましたかということにつきましては、あの患者が死亡いたしておりますので足取りがはつきりいたしません。現在その親族の者から事情をいろいろ調査いたしおるのでございます。これに対しまして防疫の措置といたしましては、先般横浜に発生いたしましたただいま申しました患者が、港区、中央区などを歩いておりますので、港区、中央区、品川区の三区の住民に対しまして、種痘を実施いたしております。さらに今回の江東区の患者の発生によりまして、江東区の区民に対しましても種痘を実施いたしております。現在東京都の手持ちいたしております痘苗は七十五リットルございまして、切皮式ならば七十五万人分ございますし、乱刺式ならば百五十万人分ございます。現在まで実施いたしておりますのは、ただいま申し上げました限られた地区に対する種痘の実施でございますが、必要に応じて広い範囲に種痘を実施して行したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/78
-
079・丸山直友
○丸山委員 痘苗のお手持ちの量は、完全にただいまの強制接種をすべき対象にいたすだけのものがあるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/79
-
080・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいま申しました地区に対する種痘実施に対しましては、十分の量を手持ちいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/80
-
081・丸山直友
○丸山委員 なおまた続発しないとも限らないと思うのですが、それに対する御準備、痘苗の製造等の見通しについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/81
-
082・山口正義
○山口(正)政府委員 ただいままでに九百五十万人分の痘苗を全国に出しておりますが、なお四月一日までに一千万人分でき上る予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/82
-
083・松永佛骨
○松永委員長 それでは次会は明日午後一時より本委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004237X01319510319/83
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。