1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十二日(火曜日)
午前十一時五十五分開議
出席委員
委員長 田中伊三次君
理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君
理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君
理事 松澤 兼人君
加藤隆太郎君 塩田賀四郎君
西村 久之君 小林 信一君
成田 知巳君 八百板 正君
岡田 春夫君
出席政府委員
人事院事務官
(事務総局給与
局長) 瀧本 忠男君
人事院事務官
(事務総局給与
局次長) 慶徳 庄意君
人事院事務官
(事務総局法
制局長) 岡部 史郎君
委員外の出席者
專 門 員 安倍 三郎君
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本日の会議に付した事件
国家公務員災害補償法案(内閣提出第六八号)
(参議院送付)
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001・田中伊三次
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。
ただいまより国家公務員災害補償法案、内閣提出第六八号、参議院送付を議題といたしまして、質疑を継続いたします。成田知巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/1
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002・成田知巳
○成田委員 国家公務員災害補償法案につきまして、最初概括的な問題で二、三質問いたしまして、あと逐条的にお尋ねいたして行きたいと思います。
まず最初にお尋ねしたいのでありますが、この法案を通覧いたしますと、従来の補償規定であります労働基準法に基く補償を一歩も出ていないという感じを受けるのであります。何のためにわざわざこういう法律をおつくりになつたか、了解に苦しむところがあるのでありますが、労働基準法による補償よりも、この法案で長所の点があるといたしましたならば、それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/2
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003・慶徳庄意
○慶徳政府委員 冒頭の説明のときに申し上げたのでありますが、この法律の基本的考え方が損害賠償責任制の確立ということにありますので、損害賠償責任制の確立という観点におきましては、国たる使用主と民間の事業主たる使用主との間において、原則的には同じであるべきであろうという観点に立つて、考えておるわけであります。ただ公務員の場合におきましては、給与制度その他の点につきまして、幾多違つております点がありまするので、この法律も内容的には部分的に違つているところがございます。さらにまた一般的な問題といたしましては、従来の制度自身と実質的にかわつていないというような御質問でございまするけれども、昔の制度のままにとり残されておりまする関係上、あるいは扶助とか、給与とかというような観念のもとに立法されておるのでありまして、先ほど申し上げました事業主の損害賠償制度の確立という観点なり、あるいはまたそれから参りますところの職員の当然の権利であるというような観点に立つて、現行制度それ自体が立法されておらないのでございます。従いまして、一つには今申し上げました損害賠償制度を確立いたしますと同時に、当然公務員の権利として明確に定めて行こうというのが根本の一つの考え方でございます。
さらにまた内容について申し上げますると、たとえば療養補償等につきましては、労働基準法と大体において同じような形において立法はいたしておりまするけれども、実際の運用面におきましては、療養補償はなおるまで補償を続けて行こう、従いまして原則としまして打切補償の制度がありまするが、打切補償の制度は、まつたくのよくよくの例外の場合以外は、実際の心構えとして運用しないというような点は、やはりまさつている点の一つであろうかと存じます。
さらにもう一つの点としましては、平均給与額算定の基礎でございます。御承知の通り労働基準法におきましては、災害発生の日以前の三月間の平均という制度をとつているのでありまして、たとえばその後におきまして、ベース改訂等のことがありましたような場合においても、依然として災害発生の日三月前というやり方をとつておるのであります。この法律におきましては、形式的には同じ形をとつておりまするが、第四条の第四項に、著しく公正を欠く場合は人事院規則で定めるという一本の条項がございますので、ベース改訂等が行われましたような場合においては、現実に給付事由の発生しましたとき、言いかえれば障害補償の例をとりますと、長い人は二年ないし三年というような方もございますので、症状が固定いたしまして、現実に補償をもらいますときの給与ベースによりまして、補償額を計算して行こうという考え方をとつております。
なおまたただいま申し上げましたのは、具体的な問題の二、三の例でありますが、従来単に扶助とかあるいは給与という観点で立法されておりましたばかりでなく、各庁がきわめてばらばらに運用されて参つておるわけであります。これに対する総合調整の機関も全然ないのが、現在の制度であります。また補償の裏打ちとなるところの予算につきましても、きわめて軽微な予算しか計上しておらないというようなことに相なつておりますので、補償自身の公正な運営の問題、あるいはまた予算上の不足からいたしますところのいろいろの弊害があつたのでありますが、この制度におきましては、人事院がその総合調整の機関といたしまして、さらにまたこの三十三条にも特に他に例のない立法をしているのでありますが、予算の計上自身につきましても、総合調整の権限を持つところの人事院における調査研究の結果に基いて予算を計上するというような特殊な条項を設けまして、補償の完全な裏打ち及び実施の公正を期しているというようなやり方をとつておるわけであります。従いまして、いかにも形式的には現在とほとんどかわりがないのではないか、あるいは労働基準法とほとんど同じであるのではないかというような御質問でありますが、以上代表的な点を二、三申し上げましただけでも、観念的に立法の精神が根本的にかわつておりますばかりでなく、実質的内容におきましても、相当の進歩を見せておるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/3
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004・成田知巳
○成田委員 本法案が非常に進んでおるということをるる御説明があつたのですが、拝聴いたしておりまして、私正直に申してあまりぴんと来ないのです。具体的な例もおあげになつておりますが、慶徳さんみずから冒頭にお認めになつたことでありますが、損害暗償責任制度の確立という趣旨からいつて、民間と官公吏と同じ取扱いにしておるのである、こういうことを御説明になつたのでありますが、そこに私問題があると思うのです。と申しますのは、民間の労働者といいますと、これは何と申しましても罷業権なりあるいは団体交渉権を持つております。事実上相当の会社におきましては、労働基準法を上まわるところの補償規定というものを、労働協約で獲得しているのです。現に国鉄においても——民間企業と申すよりは、公共企業体であります国鉄においても、労働基準法以上の内容のものを獲得しております。また官公吏は、これはもう私から申し上げるまでもなく、国家公務員法の九十六条であつたと思いますが、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を上げて職務に専念する、一身を捧げて専念するのです。民間の労働者のいわゆる労働を売買するという建前と全然違つておるのです。特に労働基準法はあらゆる大小の企業、町工場まで入れまして、この補償を規定しておるのでありまして、こういう労働立法の性質上、当然最低限度のものがその標準に置かれておると思うのです。こういうふうに性質も違つておる。しかも労働基準法は、民間の最小限度のものを基準にしておるという点から考えますと、損害賠償責任制確立という美しい名前ではありますが、そういうものを持つて来まして労働基準法と同じような内容にするということは、本末を転倒している、こう私は考えるのでありますが、これについてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/4
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005・慶徳庄意
○慶徳政府委員 まさしく労働基準法は最低基準の規定であります。さらにまた公務員につきまして、いろいろの制約されておるところの事項、いわば公務員の特殊性ということも十分承知しておりますし、同時にまたそれに対しまして、国たる使用主は、あくまでも模範的な使用主として考えて行かなければならないという基本観念も十分承知いたしておるのであります。しかし先ほど申し上げましたごとく、あくまでもこの制度は損害賠償という観点に立つておりますので、少くとも損害賠償という観点に関する限りにおいては、官も民も原則として同じという考え方に立脚することが適当であろうという基本的な考えでございます。但し国家公務員に対するただいま御質問のいろいろな特殊性という問題につきましては、国家公務員法にも規定されております通り、新しい恩給制度も人事院においても目下検討を加えておるのでありますが、新しい恩給制度等におきまして十分考慮いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/5
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006・成田知巳
○成田委員 後ほど逐条の質問のときにお尋ねしたいと思つたのですが、今本法案の長所だということで御説明になつた二、三の点について疑問をお伺いしたいのであります。その一つは、今までの療養補償というものは途中で打切つておつた。今度は完全になおるまで療養補償をやるので、打切補償はやらない、こういうような点が非常な長所だと御説明があつたのでありますが、私たちの承知しておる限りでは、工場法では労働者災害補償法でも、この療養の補償、療養の給付というものは、傷害がなおるまで行われておつたのです。決してこれを途中で打切つたというようなことはないと思うのでありますが、事実従来は、療養補償がまだ完全に病気がなおらないのに打切られたということがあるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/6
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007・慶徳庄意
○慶徳政府委員 労働基準法及び労災法の運用は、私どももいろいろ伺つておるのでありますが、ただいま御質問のように、原則としてはなおるまで補償する、ただその例外といたしまして打切補償をするという建前になつておりますることは、先ほど申し上げた通りでございます。労災保険におきましては、この打切補償を運用いたしました件数は、件数そのものとしては比較的少うございますが、しかしそれにいたしましても、打切補償の条項を相当活用しておるという面も実際面においてございます。
〔田中委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
ただ国家公務員の場合におきまして、従来の制度が何分にもばらばらになつておりまして、たとえば官吏に対しましては、巡査看守療治料という勅令が従来ございます。これは勅令をごらんになるとわかりまするが、いわゆる傷痍についてのみ療養費を支給するという建前になつておりまして、疾病については何ら言及していないのであります。ところが昭和二十二年法律第二八七号という暫定的な法律を制定いたしまして、労働基準法に相当する補償をするというような制度が設けられたのでありますが、何分にもこの法律自体が三くだり半のような法律になつておりまするし、総合調整の機関もうまく行つておりませんし、これが実施面におけるところの予算上の裏切ちというような点においても、遺憾なきを期していないというような面等がございまして、なかなか思うように運営されていなかつたのがほんとうの事実でございます。私は療養補償の分について、少し有利であるという意味のことを申し上げたわけでありますが、それは全体のうちの一部分として申し上げたのでございまして、それのみが有利であるというふうに申し上げたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/7
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008・成田知巳
○成田委員 ほかにも有利な点を二、三あげられたのでありますが、療養補償で今まではなおつていないのにもかかわらず打切つて、打切補償をやつておつた、しかしながらこの法案が出ますとなおるまでは完全にやるのだというつとで、いかにも今までの取扱いに不備があつたような御説明があつたのでありますが、私たちの知つている範囲内では、たとえば指を一本飛ばした、これ以上は完全に治癒ができないというときに打切補償を出すのは当然なのです。慶徳さんの御説明を聞いていますと、何だか根がはえて指がもとになるまでしてやるという印象を受けるのでありまして、そういうことはとても考えられないのであります。その点で本法案が有利であるということはとてもいえないと私たち感ずるのであります。それから今一部あげたと言われて、あとまだたくさんあつたそうでありますが、そのうちベース改訂の場合を言つていらつしやつて、たとえばべース改訂があつても、災害発生前三箇月間の平均給与額を計算して支給されるというのでありますが、私はこれは逆だと思うのであります。ほんとうに有利な取扱いをなさるとすれば、最近の情勢から行きまして、物価というのはどんどん数月において高くなるのが当然なのであります。災害発生前の三箇月間の平均給与額をおとりになることは、むしろ公務員にとつては不利なのです。たとえば補償でも補償を打切る三箇月前をとるというのが公務員にとつてむしろ不利な取扱いではないかと思うのであります。むしろ逆の御説明をなさつておるように感ずるのでありますが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/8
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009・慶徳庄意
○慶徳政府委員 申すまでもなく、この法律は恒久的立法を前提とした法律でございます。従いまして経済界が安定いたしますれば、過去の先例に徴しましても明らかであると思うのでありますが、現在見るがごときひんぴんとしたベース改訂というものがないことはお話申し上げるまでもないことと存じます。従いまして恒久的立法という前提に立ちまするならば、原則として、この法律の建前としては災害発生の前の三月間の総額を平均給与額算定の基礎にするということが理論的に正しいことであろうかと考えます。ただこの前提のみで律しまするには、少くとも現在の段階としては適当でないという面がございますので、先ほど申し上げましたように、第四条第四項の規定によりまして、ベース改訂等が起りました場合においては、その新しいベースによりまして平均給与額を計算して行こう、こういう考えをとつておつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/9
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010・成田知巳
○成田委員 それから従来は大体予備金支出でその都度々々やつておつたが、今度予算に計上されたというのですが、幾ばくほど計上されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/10
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011・慶徳庄意
○慶徳政府委員 実は人事院といたしましては、昭和二十五年度からこの法律を実施するようにいたしたいという考えをもちまして、大蔵省と相当交渉をいたしまして、予算の増額をはかつております。今年度の予算といたしましては、補償費は一般会計、特別会計を通じまして二億七千万円計上いたしております。ところがその前におきましては一般会計、特別会計を通じましてわずかに三千万円というような貧弱な予算でございました。なおまた二億七千万円の予算を計上いたしましても、これは当然予備費から自由に支出し得る建前をとつておりますので、二億七千万円でなお足らない場合におきましては、いつでも予備金から支出し得るという態勢をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/11
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012・成田知巳
○成田委員 今の御答弁で補償費として二億七千万円を計上したというのでありますが、法案を見ますと、二十二条に「人事院及び実施機関は、公務上の災害を受けた職員の福祉に関して必要な左の施設をするように努めなければならない。」と四項ばかりあげておりますが、この福祉施設の項は人事院でも非常に進歩的な条項だというようにお考えになつておると思いますが、これに対してはたして幾ばくの予算を計上されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/12
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013・慶徳庄意
○慶徳政府委員 これはまことに申訳ないのでありますが、本年度の予算といたしましては、福祉施設費というものを摘出いたしまして、別に予算化しておらないという現実でございます。これは私どもも非常に不満と思う点でございまして、従来から公務災害に対する福祉施設をなすべきだという積極的な、法律的な基礎あるいはその他の条項がございませんでしたために、いわゆる一般的な厚生施設とごつちやになつておるわけであります。ところが一般的な福祉施設とこちらの福祉施設とは本質が違いますし、私どもこれからこの条文ができました場合におきましては、これを土台にいたしまして、今後懸命の努力をいたしまして、福祉施設におきましても、理想郷に達し得ますように最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/13
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014・成田知巳
○成田委員 慶徳さんの御答弁を承るまでもなく、第二十二条に「努めなければならない。」と書いてあるのでありますから、これは当然だろうと思うのでありますが、要は成果をあげていただくというふうにひとつ御努力願いたいと思います。
それから次にお尋ねしたいのは、公傷病の定義なのですが、公務に起因するところの病気あるいは災害、この公務に起因するというのはどういう御解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/14
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015・慶徳庄意
○慶徳政府委員 公務災害に対する基本的な定義といたしましては、公務に起因する場合、公務と相当因果関係がありまして、災害が発生した場合ということに一般的にいえばなろうかと存じます。御承知の通り公務上の問題につきましては、従来とても恩給法の制度なり、あるいは雇員扶助令傭人扶助令その他の各種の立法におきまして、公務上の負傷もしくは疾病という条文によりまして定められておるわけでございます。従いまして、先ほど申しました基本的考え方によりまして、さらにまた長い間労働基準法なり、あるいは労働者災害補償保険法なり、あるいは政府なりの場合における雇員扶助令、傭人扶助令という面を通じまして、相当たくさんの前例がすでにでき上つております。これらの前例も十分参酌いたしまして、きわめて公平に考えて行きたいと考えております。なお公務上の疾病につきましては、この法律にはうたつておりません。人事院規則において、労働基準法の施行規則に定めておりますものとまつたく同様のものを定めて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/15
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016・成田知巳
○成田委員 公務と疾病、または傷害との間に相当因果関係があつた場合に、これを公傷病として扱うという御説明でありましたが、その前に伺つておきたいのは、使用者側の無過失責任の場合でありますが、使用者側の無過失において傷害が発生し、病気が生じたという場合にも、やはり公傷病としてお取扱いになる御趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/16
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017・慶徳庄意
○慶徳政府委員 事業主の方の無過失という言葉が、少し中身が理解しかねたのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/17
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018・成田知巳
○成田委員 たとえば工作物に瑕疵があつた場合、これは普通の注意力をもつてしてもわからない。使用者側に過失があつたとは言えないという場合、災害が発生します。こういう場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/18
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019・慶徳庄意
○慶徳政府委員 たとえば作業場の建築物そのものは、事業主の当然の責任として災害の起らないようにしなければならないのに、事業主が怠つておつたために災害が発生したというような場合等、幾多実例もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/19
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020・成田知巳
○成田委員 いや、そういう場合ではないのです。十分注意をしておつたにかかわらず、不可抗力で発生したという場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/20
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021・慶徳庄意
○慶徳政府委員 たいへん抽象的な問題でなかなかお答えしにくいのでありますが、大体基本的な建前としては、この制度自身が無過失損害賠償責任という原則をとつておりまするので、当然その精神によりまして解決をはかるべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/21
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022・成田知巳
○成田委員 そこで因果関係の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、特にこれは病気の場合問題になると思うのです。さらに特には結核病者であります。これは非常に日本に多い病気でありますが、結核の場合、自由党内閣は今低賃金をとつておりますので、低賃金で栄養失調にもなつておる。オーバー労働をやつておる。こういう場合に、潜在結核であつて、低賃金とオーバー労働のためにその結核が発生して来た、こういう場合に公傷病としてお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/22
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023・慶徳庄意
○慶徳政府委員 仰せのごとく結核の問題は非常にデリケートでありまして、むずかしい問題と考えております。ただ人事院といたしましては、国家公務員全体につきまして、健康管理の面から、採用時はもちろんのこと、定期的に健康診断をやる仕組みをとつております。従いまして、この健康管理の面を通じまして、その記録の点等から考えてみました場合に、公務と相当因果関係をもつて発病したものであるかどうかというような判定が、従前のごとくただ漠然としたものではなくして、完全な健康管理上の記録が残されて参りまするので、その観点から、少くとも公務と因果関係のあると認められますものにつきましては、たとい結核につきましても、当然公務上の災害として救うべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/23
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024・成田知巳
○成田委員 そこで確かめておきたいのでありますが、政府並びに人事院の御見解として、その公務と結核の間に相当因果関係があるかどうかという一つの判定基準といたしまして、国立療養所に勤めておる医者とか看護婦とか、こういう人々が結核にかかつた場合、これは当然公病として取扱う。しかしながらそれ以外の者については、公病としてのお取扱いをなさらないやに聞いておるのでありますが、その点はいががでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/24
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025・慶徳庄意
○慶徳政府委員 前段の国立結核療養所というような場合におきましては、その職務の性質それ自体が当然結核に感染し得ることが予見されまするので、これはもう言うまでもなく、一般的に申し上げることができる点であろうかと思います。しかしながらわれわれとしましては、それのみに限定するというような意思はごうまつも持つておりません。先ほど申し上げましたごとく、健康管理の面からいたしまして、各人ごとにカードをつくる計画になつております。その病状の推移等から判断いたしまして、少くとも公務と相当因果関係がある、その結果において発病したものであるということを認められる者につきましては、単に結核病棟勤務者のみではなくして、全部補償するというふうに運用したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/25
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026・成田知巳
○成田委員 もう一つは警察職員の問題でありますが、これがこの法案ができますと、また地方公務員についても同じ問題が起きまして、たとえば消防吏員なんかも同じことだと思うのです。警察職員だとか消防吏員は、みずから危険におもむいて、そうして自分の職務を遂行しなければいかぬ、積極的に危険な状況に自分の身を投ずるわけです。こういう人々に対する補償というものは、他の一般官公吏とは別な特別な取扱いが必要だと思うのでありますが、この法案を見ますると一向そういう点には触れていないのでありますが、その理由をひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/26
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027・慶徳庄意
○慶徳政府委員 まつたく仰せの通りであります。この法案の場合におきましても、ただいまの点はいろいろ検討を加えたのでありますが、現在の制度といたしましては、現行恩給制度とのうらはらの関係について考えなければならないというふうに考えておるわけであります。御承知の通り現在の恩給制度におきましては、公務傷病につきましては、増加恩給あるいは公務遺族扶助料という制度がございます。その場合における公務の内容を二つにわけまして特殊公務と普通公務にわけております。特殊公務というのは昔の戰鬪公務でございます。従いまして警察官、消防官吏等は官吏でありますので、皆押しなべて恩給法の適用を受けております。その恩給法におきまして、ただいま御質問のような危険を顧みずして凶賊を逮捕した、それがために傷害を受けた、あるいは不幸にしてなくなられたというような場合におきましては、特殊公務といたしまして、普通公務よりは一段高い恩給を与える仕組みが現在とられております。従いまして私どもの考えといたしましては、先ほど申し上げましたように、新しい公務員制度にふさわしいところの恩給制度を別途考えておるのでありますが、その新しい恩給制度のできぐあいと関連をとりまして、その問題も十分検討いたしたいと考えておりますが、現在の制度としては、とにかく恩給においてその面が見られておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/27
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028・成田知巳
○成田委員 ではこれから逐条的にお尋ねしたいと思います。
第三条でございますが、第三条に「人事院及び人事院が指定する国の機関は、この法律及び人事院規則で定めるところにより、この法律に定める補償の実施の責に任ずる。」いわゆる実施機関の規定があるのでありますが、具体的に「人事院が指定する国の機関」というのは大体どういうものを予定しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/28
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029・慶徳庄意
○慶徳政府委員 大体におきまして給与法におきまして、やはりそれぞれの実施機関がございます。従いましてその庁における人事管理の一環として適正な運営をはかるということがきわめて大事でありますので、給与法における実施機関と同じような実施機関、言葉をかえて言いますと、各省各庁、さらにまた大きなところの外局というようなところを実施機関として指定して参りたい。基本的な考え方は、給与法における実施機関とまつたく同じような実施機関として指定して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/29
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030・成田知巳
○成田委員 この実施機関が、法律に定めるところに違反した場合、罰則の規定がないように拝見するのでありますが、いかがでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/30
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031・慶徳庄意
○慶徳政府委員 仰せのごとく、ただいま御質問の点につきましては罰則の規定はございません。問題は実施機関と一口に申し上げますけれども、実際問題としては、実施の事務に携わつた職員自体を具体的には意味することになるであろうと考えます。ところがこの補償事務を実施いたしますところの実際の職員というものは、別途国家公務員法におきまして、それぞれ懲戒処分、いわゆる停職あるいは免職、減俸というようなそれぞれの制度があるわけでございます。従いましてこの制度において罰則を科し、さらにまた国家公務員制度におけるところの罰則も科するということは、管理者側に二重の負担をかけまして、また事務執行者に対して重複した罰則を科するというようなことになることもありますので、この条文からは除いてあるわけでございます。しかしながら依然としてこの制度の運用は金銭給与の問題に相なりますので、会計法上の罰則の適用を受ける場合もあるということは当然と考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/31
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032・成田知巳
○成田委員 こういう重大な補償に関する取扱いをしている人々がこれに違反した場合に、三十四条の罰則の規定から見ましても、他の軽微な者に対してさえも「六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」という規定を設けてあるのでありますから、当然その実施の責に任じておる——今慶徳さんは個々の官吏と言われましたが、やはり機関として、その監督の地位にある人として、これに対しては厳重な罰則の規定を設けるのが当然ではないか、でなければ三十四条の罰則の規定というものはあまりに行き過ぎだ、どうも権衡を失していると感ずるのでありますが、どうでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/32
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033・慶徳庄意
○慶徳政府委員 私が先ほど事務担当者と申し上げたのでありますが、事務担当者と申し上げましたことは、単なる下の事務屋ばかりでなくいたしまして、実施機関の長そのものも、当然私の申し上げました事務担当者の中に入る意味で申し上げたわけでございます。従いまして実施機関の長でありましても、国家公務員法の適用を受けることにつきましては、いささかも疑問はございませんので、管理者側についてのみ重複した一種の罰則規定を設けるということ自体があまり適当でないであろうという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/33
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034・成田知巳
○成田委員 それから第三条に「人事院及び人事院が指定する国の機関」とありますが、人事院も実施機関でございましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/34
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035・慶徳庄意
○慶徳政府委員 人事院も、人事院の職員自身につきまして当然実施しなければなりませんので、かように規定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/35
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036・成田知巳
○成田委員 そういたしますとこの四項に「実施機関が第一項の規定により行うべき責務を怠り、」云々、その場合に「人事院は、その是正のため必要な指示を行うことができる。」こうあるのでありますが、もし人事院がこれに違反した場合にどうなるのか、みずから被告でありながら、みずから指示することはできないと思うのですが、だれがこれに対して是正するのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/36
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037・慶徳庄意
○慶徳政府委員 ただいま御指摘になりました規定は、あにひとり今回の法律がまつたく新例を開いたのではありませんので、現在の給与法におきましても、第二十条だつたかと記憶いたしまするが、人事院に更正決定の権限を与えております。精神におきましては、給与法における更正決定の考え方とまつたく同様の趣旨でございまして、あとう限り一般公務員の権利を公正に運営して行こうというのが精神でございます。ただいま人事院がみずからきめたものをまた人事院が是正するのはおかしいじやないかというような御質問でございましたが、別のものにたとえて申しますと、大蔵大臣は大蔵省の長としての権限と、国務大臣としての権限と、いわば二重的な人格を持つております。かつての地方長官は官吏としての権限と、さらにまた地方庁の長としての権限と、これまた二重人格を持つておつたわけでありまして、この法律の執行の場合におきまして、あるいは現存の給与法の執行等におきまして、人事院は今引例をいたしましたのと同じような二重的な人格が当然付与されるものということになろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/37
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038・成田知巳
○成田委員 それは問題の性質が違うと思うのですが、水かけ論になりますので、次に移りたいと思います。
第五条に「国は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において国家賠償法又は民法による損害賠償の責を免かれる。」とありますが、この規定は工場法なんかにもあつたと思いますが、よく問題を起した規定で、もし逆に民法によつて損害賠償の請求が先に行われまして、この損害賠償が決定した場合に、まだ国の方で補償をやつてなかつたという場合には、国としてやはり賠償をやらなければいけない結果になると思うのでありますが、この条文の解釈というものはどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/38
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039・慶徳庄意
○慶徳政府委員 ただいま御質問の点は、おそらく示談等によりまして、民法による損害賠償を先に受取つて、その後においてこちらの補償を支給するというような場合が大体適例として当るのじやないかと思うのでありますが、もうすでにこの点につきましては先例と申しますか、きまつておりまして、その場合におきましても重複しては支給しないという解釈をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/39
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040・成田知巳
○成田委員 それから第十条でございますが、療養と療養費の支給を選択的に行うことができるようになつておりますが、療養費の支給をやる場合はどういう場合でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/40
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041・慶徳庄意
○慶徳政府委員 実際の運営といたしましては、医療機関を指定いたしまして、指定しました医療機関から医療を受けますときには、いわゆる現物補償をやつて行きたいと考えております。ところが何分にも国家公務員は全国に散在しておりますし、辺鄙なところにもおりますので、必ずしもただいま申し上げました指定医療機関をまんべんなく設けることが困難であろうと考えます。そういうような場合におきましてはやむを得ませんので、普通のいわば町医者か何かにかかつていただきまして、その金を補償する、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/41
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042・成田知巳
○成田委員 十三条の三項の一号の場合はわかるのでありますが、「第十三級以上に該当する身体障害が二以上ある場合には、前項の規定による等級の一級上位の等級」これはわかるような気がするのでありますが、次の二号、三号を見ますと、前項というのを「同項の規定による」云々となつておりますが、これはミス・プリントでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/42
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043・慶徳庄意
○慶徳政府委員 これは書き方だけのことでございまして、同じ項の中に入つておりますときは同項といいますことは、前項ということと同じ意味でございまして、ただこれは書きつぷりだけの問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/43
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044・成田知巳
○成田委員 ちよつとわからないのですが、同じ項の中へ入れておると申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/44
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045・慶徳庄意
○慶徳政府委員 項と申しますと第三項です。この第三項の中にある条文のことでございます。そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/45
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046・成田知巳
○成田委員 そうですか。それから第十四条の「職員が重大な過失によつて公務上負傷し、又は疾病にかかつたとき」免責の規定があるのですが、この挙証責任はどちらにあるのですか。政府側にあるのか、それとも職員側にあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/46
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047・慶徳庄意
○慶徳政府委員 これは率直に申し上げまして、この運用につきましては相当慎重な態度をもつて考えなければならない問題であると思います。はたして重大な過失であるかどうかということにつきましては、もちろん本人も立証——立証ということは語弊がありますが、御意見があるのでありましようし、実施機関自身が立証することにもちろんなると考えます。ただこの場合決定その他につきまして相当問題がありまして、実施機関における決定に異議がある場合には、もちろんあとで規定してありますところの苦情処理に訴えるという問題も当然あろうかと考えます。しかしいずれにいたしましても、ここの条項はきわめて重要な条項でありますので、はたして重過失であつたかどうかという点につきましては、きわめて慎重な態度で運用し、また総合調整機関であるところの人事院といたしましても、個々別々に点検をする慎重さをもつて臨みたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/47
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048・成田知巳
○成田委員 慎重におやりになることは当然なのですが、私がお聞きしているのは、重大過失があつたという挙証責任はどちらにあるのですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/48
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049・慶徳庄意
○慶徳政府委員 御質問の挙証責任そのものは、当然国にあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/49
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050・松澤兼人
○松澤委員 重大なる過失によつて免責するということになつているのでありますが、現実に傷害を受けた場合、一定の療養の機関に収容しなければならないというような場合が起つて来ると思うのです。そういう現実の問題についてはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/50
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051・慶徳庄意
○慶徳政府委員 ちよつと今現実の問題というお話がよく了解しかねるのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/51
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052・松澤兼人
○松澤委員 けがをした——これは病気の場合よりもむしろ負傷の場合と思いますが、負傷した。官側ではこれは職員の重大な過失によつたものだという認定をしようと思う、またしつつある。しかし負傷はもう現実に起つた。その場合において、一体そういう負傷に対して療養の給付を与えるか与えないかというような問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/52
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053・慶徳庄意
○慶徳政府委員 もちろん災害補償の場合においては、大体におきまして職場におきますところの事故でありますので、とにもかくにも一ぺん病院等にかつぎ込みまして最善の手当をするということが、第一次的に当然なさなければならない問題であると思います。しかしかりにその案件が国の認定によりまして、重過失というふうになりました場合においては、もちろんこの法律によるところの補償は行われないということになりますが、別途共済組合の制度がありますので、共済組合の方におけるところの療養給付、あるいは療養費の支給を受けるということは当然であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/53
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054・成田知巳
○成田委員 最後にひとつお尋ねいたしますが、第二十一条でございます。二十一条に「補装具を支給することができる。」というような、いかにも恩恵的な規定になつておりますが、なぜしなければならないという規定にしないのですか。私たちの解釈では当然これは政府が支給しなければならないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/54
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055・慶徳庄意
○慶徳政府委員 補装具、の支給につきましては、この中身の認定その他の問題、取扱い問題等がございまするし、一方において労災保険法等におきましては、福祉施設の観点に立つて運営しているのであります。ただ私どもの考えといたしましては、補装具の支給等につきましては、福祉施設というような観点において運用することは少くも適正を欠くであろう。従いまして私どもの方としましては、福祉施設からとつぱなしまして、正々堂々と補装具の支給という一本の条項をとつたのであります。率直に申し上げまして、当初の計画としましては、福祉施設という観点の気分が相当あつたのでありまするので、予算関係等がまだ思うように行つていない点がございます。しかしながら労災保険でいいますところの福祉施設の観点でやることは、ますます将来解決する道を遅くいたしまするので、福祉施設から一ぺんとつぱなしまして、堂々と二十一条の規定をつくりまして、スタートはできるといたしましても、今後、福祉施設についてお答え申し上げましたように、懸命の努力をいたしまして、できるだけやつて行く、これは率直にそういう考えをもつてつくつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/55
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056・成田知巳
○成田委員 二十二条で「義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設」としまして、特に二十一条で「補装具を支給することができる。」と堂々とおやりになつたという御意見でありますが一大体今までの統計で、この義肢、義眼、補聴器等に必要な金額はおわかりだろうと思いますが、先ほどの御説明によりますと、従来三千万円が二億七千万円までふえているのでありますから、この義肢、義眼、補聴器ぐらいの予算がとれないことはないと思うのですが、せつかく堂々とおやりになつたのですから、この点も堂々と、支給しなければならない、こういうように御訂正なさる御意思があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/56
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057・慶徳庄意
○慶徳政府委員 ただいまの段階といたしましては、にわかに御質問のように持つて行くことが困難であると思いまするので、今後できるだけそういう趣旨に持つて行きたいという精神なり熱意におきましては、成田委員と少しも落ちるものではないと、お答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/57
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058・成田知巳
○成田委員 現任の状況でできないと言われるのですが、大体義肢、義眼、補聴器等、今までの統計からいつて、どのくらいの件数で、どのくらいの金額ということはおわかりだろうと思いますが、大した金額ではないと思うのですが、大体どのくらいの数字ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/58
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059・慶徳庄意
○慶徳政府委員 どうもまことに申訳ないのでありますが、何分にも災害補償制度は各庁ばらばらにやつておりまして、中央の官庁のみに紹介をいたしましても思うような資料すら満足に収集し得ないという実情でありますので、この補装具の支給等につきまして、具体的な件数がどのくらいであるかという件数自身の統計を持ち合せていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/59
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060・成田知巳
○成田委員 これは従来の工場法だとか、労働基準法では、補装具を支給しなければならなかつたのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/60
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061・慶徳庄意
○慶徳政府委員 労働基準法におきましては、補装具の支給は、福祉施設につきましては一言半句言及いたしておりません。ただ規定しておりまするのは、労働者災害補償保険法でございます。これもきわめて観念的に規定しておるのみでございまして、いわゆる補装具の支給につきましては、ちようどこの二十二条の第四号と同じような条文があるのみでありまして、この条文の類推解釈運用によりまして、労災保険では運用している現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/61
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062・藤枝泉介
○藤枝委員長代理 それでは、本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時半より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004548X01019510522/62
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