1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月二十八日(月曜日)
午後三時五十分開議
出席委員
委員長代理 理事 西村 直己君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 内藤 友明君 理事 田中織之進君
佐久間 徹君 清水 逸平君
高間 松吉君 苫米地英俊君
三宅 則義君 宮幡 靖君
宮腰 喜助君 松尾トシ子君
竹村奈良一君
出席政府委員
大蔵事務官
(主税局調査課
長) 泉 美之松君
国税庁長官 高橋 衞君
委員外の出席者
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
—————————————
五月二十七日
委員苫米地英俊君辞任につき、その補欠として
大内一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員大内一郎君辞任につき、その補欠として苫
米地英俊君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した事件
税理士法案(川野芳滿君外四名提出、衆法第三
八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/0
-
001・西村直己
○西村(直)委員長代理 これより会議を開きます。
税理士法案を議題といたします。本案につきましては、修正案が提出せられておりますので、まず修定案の提出者より提案の趣旨弁明を求めます。修正案提出者小山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/1
-
002・小山長規
○小山委員 税理士法に対する修正案の趣旨を申し上げます。
修正案はお手元に配つてある通りでありますが、この修正案の趣旨は第五十一条でありまして、第五十一条に、「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。2前項の規定により、税理士業務を行う弁護士は、税理士業務を行う範囲において、第一条、第三十条、第三十一条、第三十二条から第三十九条まで、第四十一条第四十三条前段、第四十四条(第三号を除く。)第四十五条(第一項中登録の取消の処分に関する部分を除く。)から第四十八条まで、第五十四条及び第五十五条の規定の適用については、税理士とみなす。」これがこの修正案の骨子であります。第五十一条を挿入しました関係上、条文の整理をいたしておるのでありますが、以上が税理士法案に対する修正案の内容でありまして、この趣旨は、従来弁護士は、弁護士法によりまして、当然に税務代理士を営むことができるということの規定がありましたのが、税理士法が通過いたしますと、税理士というものが新たにできまして、税務代理士がなくなりますので、その関係をいかに調整するかということから出て来ましたところの修正案であります。
以上をもつて趣旨の弁明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/2
-
003・西村直己
○西村(直)委員長代理 趣旨の弁明は終りました。これより修正案に対する質疑を行います。原案に関しましては質疑打切りになつております。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/3
-
004・宮幡靖
○宮幡委員 原案については質疑がすでに打切りになつておるようでありますが、新たに修正案が出ましたので、この税理士法の実際の運用につきまして相当の疑義がありますから、その点をこの際明らかにしておきたいと思うのであります。それで修正案の範囲においてお尋ねをいたすことにいたします。五十一条の改正によりまして「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。」となつております。この通知の方法については、いずれ国税庁なり主税局におきまして、細目お考えのことと思いますが、どういうふうな方法で通知のことをお取扱とになるのか。またこの通知の効力というものは、税理士法の原案に示す登録手続によつて登録せられたるものとみなすのか。あるいは準ずるのか。そういう点について、当局としてのお考えをお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/4
-
005・西村直己
○西村(直)委員長代理 政府側からは、主税局調査課長泉美之松君が見えしおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/5
-
006・泉美之松
○泉政府委員 お答えいたします。修正案によりまして、弁護士が所属弁護山会を経まして国税局長に通知いたしますと、その国税局の管轄区域内におきましては、随時税理士の業務ができるということに相なりますと、一般の場合におきましては、御承知のように税理士が税理士業務を行います場合には、税務官公署の職員と面接する際に、税理士の証票を提示するということに相なつておるのでございます。それによりまして、また同時に代理権限を示す書類を提出することによりまして、真正なる税理士であり、真正の代理権を有しておるということが明らかになりまして、税務官公署といたしましては、税理士の業務を受けられる方と面接する場合に、非常に事態がはつきりして参るのでありますが、單純に通知することだけによりましては、普通の場合の登録と同じような効果を生ずることを得ませんし、また通知をもつて登録とみなすというわけに参らないのであります。従いまして税務官公署といたしましては、はたして税理士業務を行うことのできる人であるかどうかということの判定に苦しむような場合が、生じようかと思うのでございます。従いましてこの通知を受けました場合には、それに対しまして、国税局長から何らかのその通知を受領したという証明書を、その弁護士で税理士業務を行う方にお渡しいたし、その弁護士で税理士業務を営まれる方におかれましては、その国税局長から出しました証明書を提示していただくことによりまして、円滑に税理士の業務をやつていただくことにしてはどうかと考えておるのであります。これは省令において規定してはいかがかと思つておるのでございます。これにつきましては、国税庁長官と弁護士会の会長の方とよく相談いたしまして、その趣旨におきまして、事態が円滑に進むようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/6
-
007・宮幡靖
○宮幡委員 当局にもそれぞれのお考えがあるようでありまして、その方向にはわれわれ異議はないようであります。ただ泉課長のお答えの中に、弁護士から通知をもらいましても、はたして税理士の業務を行うのに適当であるかどうか、こういう言葉が述べられておりますが、これは私の考えでは、この法案が難航いたしました内容にも触れることでありますので、この際重ねてただしておきたいのであります。立法の経過におきまして、弁護士が当然かつてに税務代理士の業務を行えるということにしましたのは、これは決してよい結果とは私どもは信じておらない。これは適当の時期において改正されることを、少くともわれわれは待望しておるわけでありますが、現状は一応弁護士であれば、税務代理士の事務はとれるということになつております。なお新しい原案の税理士法におきましても、弁護士は登録さえすれば税理士の資格が得られるということになつております。従つて、通知をして来た者が適格であるか不適格であるかということを認めなければならぬという行政的な考え方はいかがであろうか。結局弁護士が通知したことは、登録にかわる簡易な代行手続である。従つてこれをもつて登録があつたものとみなして行くのかどうかというところに重点がある。さもなければ、この修正案というものは、われわれ原案をつくりました立場から見ますると、相当の矛盾があるわけであります。一方では税務代理士の業務は行えるのだ、これを税理士と呼びかえさえするならば、税理士の業務が行えるのだとなつているのに、それを通知することによつて行えるのだということになると、法律的なりくつを言うわけではありませんが、何かおかしい。結局弁護士というものは税理士になれる資格はあるのだけれども、その登録手続について、常時行わない者について一々登録することも煩瑣であるので、ときどき行うという者に対しては簡易な手続を設けた。弁護士の業務分野の一つでありまするたまたまの税務代理状あるいは税務の委任状、こういうことにつきましての便宜的取扱いができる救済規定のようなものだと思うのでありますが、この点については、身分を示しまする証票とまでは行かなくても、通知書を受領いたした場合においては、その受領書をぜひとも提示する。でき得べくんば期間等も明示せられまして、およそ税務に関することでありますから見通しもつきましようが、随時という言葉があります以上、この随時に合うような一つの期間を、あるいは弁護士会長とお話くださつてもけつこうでありますが、行政庁とお話をしまして、了解の上適当の期間、あるいはその件名等も表示することができましたならば表示しまして、税務官吏の方も、正常なる税理士としての資格を持ち、納税者の代理ができるんだということで、安んじて交渉に応ぜられるようにいたしたいと思う。と同時に出先税務署におきまして、弁護士の方が一応名刺を出しまして、おれは弁護士で税務代理士の業務が当然行えるんだから、やつて来たと言いましても、税務署の方では一応お断りするであろう。おれは弁護士だから当然なれる、こういうふうに追究しましても、いや、税務署の取扱いとしましては、さようなわけに参りません。通知を受けたかどうか知りません。こういうようなことになりますと、りくつの多い方々でありますから、出先の税務署あたりで相当うるさいことも起るではなかろうか。ぜひともこの点を明確にしていただきたい。要は登録手続を省略したいという一つの修正案の含みだろうと思いますので、その省略することだけに重点を置かずして、むしろ税理士業が公正に明朗に行われる、こういう方法になるようにいたしていただきたいのでありますが、この点について、将来疑問のないように、はつきりと当局のお考えをお示しいただきたい。あるいは現在完全なる成案がなかつたならば、適当の時期においてこれをもつと具体化しまして、委員会を通じましての御表明をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/7
-
008・泉美之松
○泉政府委員 言葉が少し足りませんで、誤解をなされたかと思うのでございますが、弁護士が当然税理士業務ができるということは、規定の上から、修正されますと当然そうなるのでありますが、それを申し上げたのではないのでございます。後ほどおつしやいましたように、税務官公署へおいでになりまして、おれは弁護士だ、だから当然税理士業務ができるんだというのでお話くださいましても、税務官公署の方におきましては、通知をいただいておりませんと、はたしてその人が通知によつて税理士業務を営む人であるかどうかということが判明いたしませんので、その点でやはり通知をいただきましたならば、これに対しまして国税局長から証明書というものを交付いたしまして、登録にかわるものといたしまして——もちろん登録と同じ効果は生じないのでありますけれども、登録にかわる手続といたしまして、税務の円滑な執行に資して行きたい、かように考えておるわけでございます。弁護士の方が当然税理士業務ができるということを、否定いたす考えは毛頭ございません。そこでただいま仰せの随時とありますものを三箇月にするか、六箇月にするか、一箇年にするかといつた点につきましては、われわれといたしましては、まあ随時というからには、そう長い期間でない方がいいだろうと思つておるのでございますが、いずれ国税庁長官と弁護士会長さんの方とお打合せいたしまして、成案を得ましたならば、また委員会にお示しいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/8
-
009・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの説明できわめて明瞭になりました。その程度の運用でありましたならば、税理士法の改正の趣旨にそむく結果にはなるまいと考えます。そこでさらにこの点をもう一つ明らかにしておきますと、従いまして、ただいまの御説明を基礎にして考えると、第五十一条の改正規定というものは、原案の第十八条に対しまする除外例的な、特別法的な考え方をもつてできておると考えるのでありまするが、そういうふうに認めてよろしいのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/9
-
010・泉美之松
○泉政府委員 御質問の通りに、弁護士の方は弁護士法におきまして、当然税理士業務を行うことができることになつておるのでございますが、ただ普通の税理士が登録を行わなければできないということとの調整をはかる意味におきまして、十八条の大きな例外といたしまして、国税局長への通知ということにかえた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/10
-
011・宮幡靖
○宮幡委員 この点もそれではつきりしたわけであります。
ところで、もう一つは根本的な問題でありますが、今まで弁護士は当然税務代理士の業務ができる、こういうことは、弁護士業務の中において、たまたま現われて参りました税務に関する事務を行うことができるというのであつて、ただちに弁護士が税理士ということにはならないと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/11
-
012・泉美之松
○泉政府委員 この点はやや複雑な関係になつておるようでございますが、弁護士の方が税理士として登録いたしますれば、当然税理士といたしまして税理士業務ができることになるように思うのでございますが、税理士として登録しないで、弁護士として税理士業務を営むという場合は、実際問題といたしましては、やはり税金に関しまする訴訟に関連いたしまして、税理士の業務を行う場合が多いのであろうというふうに考えられておるのであります。現在までにおきましても、御承知の通り、弁護士は税務代理士の業務を行うことができることになつておりますが、現在までの実情を見ますと、やはり税金に関しまする訴訟に関連して、税務代理士の業務を営んでおられるという場合が、圧倒的に多いと思われますので、この点は従来とさほどかわりがないものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/12
-
013・宮幡靖
○宮幡委員 その点も了承いたしました。
次にお尋ねいたしますのは、この通知をした場合において、税理士及び通知により随時税理士の資格を得たと申しますか、その方々に対しまする大蔵省ごとに国税庁といたしましての取締り、これは同様に行われるものでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/13
-
014・泉美之松
○泉政府委員 税理士の業務を公正にやつていただくという必要からいたしますと、やはり国税庁といたしましては、その弁護士の方が公正に税理士の業務をやつておられるかどうかということを、見ておる必要があろうかと思いますが、登録をいたしませんので、国税庁長官の懲戒権をもし発動するといたしましても、登録の取消し、そういつたことはできないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/14
-
015・宮幡靖
○宮幡委員 この改正条文の一つ一つを申し上げなくても、趣旨から行きますと、弁護士の方に対しまする国税庁の監督上の懲戒処分というものは、税理士の業務を行うことにおいての範囲について行われて、弁護士それ自身の資格には及ばぬような配慮が、この規定にはあるのでありますが、それと同時に、弁護士の通知によりまして仕事を随時行おうという方々と税理士会との関係は、どういうふうに御処理なさつて行こうと思われるのか。その考えをちよつとお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/15
-
016・泉美之松
○泉政府委員 この点につきましては、弁護士で税理士業務を行われる方は、税理士会あるいは税理士連合会に入るというふうな規定になつておりませんので、これにつきましてはやはり所属の弁護士会を通じまして、適当に考えて行くほかはないというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/16
-
017・宮幡靖
○宮幡委員 通知によつて随時税務代理士の業務を行う弁護士の方は、これは常識からいつても、税理士会もしくはその連合会に加入しないでもよいだろう、こう私も思うのでありますが、ただその場合におきまして、そういうふうに会にも入らず、国税庁の監督を受けるとは申しながら、それは名目に流れまして、実質は監督外に置かれる。ことにはなはだしきは、あるいは反税運動等を起すような場合がありましても、なかなか直接会を通じての規正もできない。そういう性格のものであります以上は、私は弁護士の立場を心配いたしまして強硬な意見を申すのではありませんが、会へも入らず、常時会を通ずる監督に服しないという以上は、随時という範囲は、私はおそらく一年以上という長いものではなかろうと思う。更新するまでも、せめて二箇月とかあるいは三箇月とかに限定をいたしまして、さらに事件が続いておる場合にはこれを更新して参る。これが私は随時の性質であろうと思います。この点については先刻からのお話にありますように、国税庁の長官と弁護士会の連合会長との間で話合いをするということでありますが、会へ入らないということを認めて行くならば、その随時の期間というものはおのずから短縮される、あくまで随時の期間である、こう私は考える。こういうふうなお話合いをぜひ進めていただきたい。別に弁護士会との摩擦を大きくしようという意味ではありませんが、事税務に関します以上、大蔵大臣及び国税庁長官の監督に服しないという代理業はないはずです。この点はいろいろ意見の対立がございましようが、結局最後は妥協でありますので、妥協はありますけれども、その精神というものは貫いておかなければならない。そうなりますと、随時というものを一年にしようなどということを、大蔵省や国税庁がお考えになつているということには、私どもは賛成できない。少くとも一箇月か二箇月、せいぜいがまんしてでも三箇月、そして必要があつた場合にはさらに延長する、こういうことはいいのでありますが、一年などという期間は除外せられまして、ほんとうに監督上遺憾のない随時の期間をお定めくださることを希望すると同時に、幸い一国税庁の長官も見えられましたので、途中からでありますが、この点について一言御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/17
-
018・泉美之松
○泉政府委員 お話はいろいろございましたが、随時の期間をどのようにするかにつきましては、先ほど申し上げました通り、後ほど国税庁長官から弁護士連合会と御相談いたしましてきめて参りたい。かように思つておるのでございます。先ほどもお話の通り、随時の精神からいたしまして、あまり長い期間にならぬようにするのが適当であろうと考えるのでございます。できるだけ短かい期間におきまして相談してきめて参りたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/18
-
019・宮幡靖
○宮幡委員 もう一点、これは将来争いのないために伺つておきますが、いわゆる随時の税理士の業務を行おうとする者は、国税庁の立場から、ほんとうに忌憚なく申し述べることの自由を許されたとするならば、そういう方はぜひ登録してやつてもらいたい、こういうことを言うことが私は適当だろうと思うのです。従つて六月以上でなければいかぬ、一年以上でなければいかぬという随時の期間の問題が出ました場合に、大蔵省なり国税庁は、ぜひともこういう方には登録を受けてやつてほしい、こういうことを慫慂していただくことが、この税理士業界の将来のためによい影響をもたらすと思うのでありますが、この点についての御決意はどんなものでございますか。お話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/19
-
020・高橋衞
○高橋(衞)政府委員 先般来御説明を申し上げておいたと存ずるのでありますが、税理士法の立法の根本の趣旨が、現在政府と納税者との間に介在して、それらのいろいろな世話をしていただく、また手続その他について、いわば納税者の補助的な実際の効果をあげていただく仕事につきまして、納税者側からも十分に信頼され、また政府もその職業にある人について全幅的な信頼をもつて、税務行政の円滑な運営を促進して行きたいというところに重点がありまするので、従つて今回修正案の通り法律が変更になりましても、でき得る限り税理士会にも入会していただくように、またできれば税理士として登録していただく、そういうふうな方向によつて税務官庁と連絡を緊密にし、また納税者の信頼もそれによつて十分得られることになりはしないかと考えますので、そういうふうな考え方をもつて、いろいろ弁護士会とも話合いをし、また今後仕事をやる上におきましても、そういうふうな心持をもつて対処して行きたいと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/20
-
021・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまのような御説明で、大体修正案の運用にも遺憾がなかろうとは思うのでありますが、弁護士の方々と、私途中からでありましたがいろいろ話合いをしてみますと、この修正を余儀なくせられまする根本的な理由が一つある。それは税理士の登録をいたしますると、弁護士の業務の所得と税理士の業務の所得というものを二つに考えられる。それを合算されたものを課税される。しかし税務ということは弁護士の業務の総合的な仕事の一つである。これを一まとめにして課税してもらうようにしたい。それを税理士の登録をすると、税理士の収入が幾ら、弁護士においては一級から五級まであるとか言つておりましたが、その段階へはめ込まれるならば、はなはだ迷惑をする。こういうことが非常な根本的な理由であつたことがはつきりいたしました。こういうような便法を開いて、弁護士の仕事と税理士の業務が公正に行われる道を開いたのでありますが、その奥に考えられた登録回避の精神の中には、所得が重複する、こういう考え方を持つておるのであります。私は弁護士の各位からもこの点についていろいろ実情を訴えられまして、あるいはそうかなというような感じも出ておりますので、この機会において、本法案の成立について同調していただきました同僚各位に対しまする信義上からも、この点についての国税庁長官のお考えをひとつお示し願いたい。弁護士として幾ら、税理士として幾ら、これではやり切れぬ、当然できるのだからそれでやる、こういうふうな考え方が実に多かつたのでありますが、その点について、どうか適正な課税のできますよう、この機会に御所信をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/21
-
022・高橋衞
○高橋(衞)政府委員 弁護士の方で税理士の登録をなされた場合におきましても、一人の能力は、別に登録をせられたことによつて能力が増加するということはないのでございますから、従つてその人の所得がいかにあるかという算定をいたします際にも、そういうふうな、ただ税理士の登録をしたということのみをもつて、そこにつけ加えられるところの新たな所得があるというような考え方は、いたしたくないというふうに考えております。本来こういうふうな公的な仕事をしておられる方々の所得の算定につきましては、最も正確であるべきはずなのでありますが、遺憾ながら現在の状況におきましては、なかなか帳簿書類その他が十分整つていないのが実情であります。従いまして、外部的ないろいろな資料によりまして、所得を推定せざるを得ない遺憾な点もあるのでありまして、それらの点につきましても、さらに税務行政のやり方を研究いたしまして、何とかしてその人の所得の真相を把握し得るようにいたしたい。一般納税者の方にも正しい申告をしていただくことを期待しておるのでありますが、もちろん税理士をおやりになるような方方は、どこまでも正確な申告をしていただけるものと、期待を申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/22
-
023・三宅則義
○三宅(則)委員 私は原案の提案者でありますから、長く質問する必要もございませんが、一言このことについて言及させていただきます。原案の提案のときには、今同僚宮幡君もいろいろお話になつておられましたが、川野芳滿君、不肖私、宮腰喜助君、松尾トシ子君等それぞれ各党から出ておるのでありまして、これは三月三十日に提案の理由を説明、さらに三月三十一日には採決ということになつておつたわけでありますが、その後事情によりまして、四月一ぱい自然休会となりました。ところが五月になりまして、法務委員会の方から申入れがありまして、これにつきまして安部法務委員長並びに鍛冶良作君、あるいは押谷富三君、あるいは角田幸吉君等の御折衝もございまして、本大蔵委員会からも私並びに宮幡君、あるいは宮腰君、あるいは川野芳滿君等と折衝を重ねられました。それから国税庁長官高橋衛君も、忠査察部長もお出ましになりまして、十分検討をしたのであります。この立法の精神というものは、今宮幡君が詳細に述べられまして、明らかになつたのでありますが、ただ一番最後に残りました点は、弁護士でもやはり弁護士会を通じて国税局に通知することによつて随時できる。この随時ということが問題になつたのであります。先ほど宮幡君が言われました通り、随時ということは時折というふうに実は解釈しておりますから、なるべく短かい期間にしてもらいたい。また領収書に類するようなものも出していただいて、弁護士もこれに協力するという態勢で進むことが、ほんとうの立法の精神であると考えておるわけでありまして、幸い国税庁長官もおいでになりますから、今申しましたことに補足するようでありますが、なお一段と決意を固められまして、弁護士会と連絡の上なるべく早い機会に政令なりその他を発せられまして、円満なる遂行のもとに税務代理業、いわゆる税理士の業務が発展いたしまするように、特段の御協力を賜わらんことをこの際願いまして、私はぜひ通過させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/23
-
024・高橋衞
○高橋(衞)政府委員 ただいま三宅委員からお話のありましたような趣旨におきまして、弁護士には弁護士としてのお立場もあると思いますから、その双方の実情と適当な度合いを十分にお話合いいたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/24
-
025・小山長規
○小山委員 ただいま議題となつております税理士法及び税理士法案に対する修正案の両案につきましては、質疑も終りましたし、本案につきましては先ほど来すでに質疑が打切つてあるのでありますから、この際討論を省略し、ただちに採決に人られんことを、動議として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/25
-
026・西村直己
○西村(直)委員長代理 ただいまの小山君の動議のごとく決定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/26
-
027・西村直己
○西村(直)委員長代理 御異議がないようでありますから、これからただちに採決に入ります。まず奥村君提出にかかる自由党の修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/27
-
028・西村直己
○西村(直)委員長代理 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。
次に本修正案の修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/28
-
029・西村直己
○西村(直)委員長代理 起立総員。よつて本案は奥村君提出のごとく修正議決せられました。
なお報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。暫時休憩いたします。
午後四時二十九分休憩
————◇—————
〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004629X05719510528/29
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。