1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十六日(水曜日)
午後一時五十五分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
小川 平二君 澁谷雄太郎君
中村 純一君 南 好雄君
早稻田柳右エ門君 佐伯 宗義君
加藤 鐐造君 風早八十二君
出席国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
出席政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(通商機械局
長) 玉置 敬三君
委員外の出席者
專 門 員 谷崎 明君
專 門 員 大石 主計君
專 門 員 越田 清七君
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五月十五日
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一五八号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
計量法案(内閣提出第一三七号)
計量法施行法案(内閣提出第一四〇号)
高圧ガス取締法案(内閣提出第一三〇号)(
予)
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一五八号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/0
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001・小金義照
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
審議に入ります前に、御報告かたがたお諮りいたしますことがございます。昨日委員河野金昇君が委員を辞任せられまして、その補欠として早稻田柳右エ門君が選任せられました。そこで中小企業に関する小委員及び繊維に関する小委員は、河野金昇君の補欠としてそれぞれ早稻田柳右エ門君を、選任いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/1
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002・小金義照
○小金委員長 御異議がございませんようでありますから、その通り決定いたします。
次に、先ほどの理事会におきまして各派の理事各位と御協議いたしました結果、ただいま当委員会に予備付託となつております高圧ガス取締法案につきましては、審議の必要上、来る二十二日関係方面より参考人をお招きいたしまして、御意見を聞くことに決定いたしましたが、このように決定いたしまして御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/2
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003・小金義照
○小金委員長 御異議がございませんようでありますから、そのように決定いたしました。なお参考人の選定等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/3
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004・小金義照
○小金委員長 御異議がございませんようでありますから、その通りにとりはからうことにいたします。
次に、昨日当委員会に予備付討となりました特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由の説明を求めます。横尾通商産業大臣。
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特別鉱害復旧臨時措置法の一部を
改正する法律案
特別鉱害復旧臨時措置法の一部
を改正する法律
特別鉱害復旧臨時措置法(昭和二十五年法律第百七十六号)の一部を次のように改正する。
第十一条第一項中「第五条第二項」を「他の法令の定又は第五条第二項」に改める。
第二十九条第二項後段を次のように改める。
この場合において、督促状によ
り指定すべき期限は、督促状を発
する日から起算して十日以上経過
した日でなければならない。
第三十二条中「第四条ノ七及び第四条ノ八」を「第四条ノ九及び第四条ノ十」に改める。
附 則1 この法律は、公布の日から施行
する。2 この法律の施行前にした督促に
係る督促手数料の徴収については、
第二十九条第二項の改正規定にか
かわらず、なお従前の例による。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/4
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005・横尾龍
○横尾国務大臣 ただいま議題となりました特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
特別鉱害復旧臨時措置法は、昨年十二月にその一部が改正され、完全な実施を見ているのでありますが、本年三月の国税徴収法の一部を改正する法律の制定に伴いまして、納付金等の強制徴収に関する規定について、今回若干の技術的改正を加える必要性が生れたのであります。
改正点の第一は、国税徴収法の書類送達に関する第四条ノ七及び第四条ノ八の規定が国税徴収法の一部を改正する法律によりまして、二条ずつ繰下げられましたので、これに伴う字句の修正を行つたことであります。
次に、督促手数料の十円を徴收することは、会計事務の煩雑を招くのみで、実益を伴いませんので、これを廃止いたしまして、かわりに督促状により通商産業大臣が指定すべき期限に関する規定を挿入することといたしました。
右の二つの改正点に附加いたしまして、従来解釈、運用によつて補つて参りましたところの自己復旧工事に関する第十一条第一項括弧書の規定を明確にいたしましたのが第三の改正点であります。
以上簡単な技術的改正でありますが、何とぞ慎重御審議の上、可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/5
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006・小金義照
○小金委員長 次は、昨日に引続きまして計量法案及び計量法施行法案に対する質疑を継続いたします。加藤鐐造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/6
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007・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は計量法案について重要な点のみを選んで数点質問してみたいと思いまするが、何分厖大な法案ですから、十分熟読しておりませんので、もしそのために的のはずれたような質問をいたしましたら、その盲を開いていただくだけの御親切な御答弁をお願いいたしたいと思います。
私はまず第一に、この画期的な計量法の改正にあたりまして、諸外国の実例を参考にいたしたいと思いまするので、米、英、仏、ソ等の実例について、本法案と比較して、必要であると思われるような要点を御説明願いたいと思います。要点だけでよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/7
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008・玉置敬三
○玉置政府委員 いろいろございましようが、一つの点は、メートル法その他基本法をどうしておるかという点が一つの点であろうと思います。イギリス、アメリカ等におきましては、これはその個有のヤードポンド法とメートル法を併用しておるというのが一点、それからフランス、ソビエトにおきましてはメートル法を実施しております。それから次に、本法におきましても、製造事業等におきましては許可制度をとつておるのがこの計量法案の一つの点でございますが、こういう業界に対しまして、どういう法令的な考え方を持つておるかという点があるだろうと思います。大体この点につきましては、三つの考え方がありまして、一つは形式承認主義といいますか、一つの度量衡器なら度量衡器に対して、形式を個々にその物体に応じて承認制度をとつて行こうというのが一つのやり方でありまして、これが大体イギリス等においてとられておる方式であります。その次の方法としましては、許可制度の問題でありまして、この製造業者に対する許可主義というのは本案が採用しておるところであります。それからもう一つの考え方は、いわゆる自由主義的な考え方でありますが、これはアメリカにおきましてとつておる制度であります。大体その程度でありますが、その他の点がありましたら、御質問に応じまして、またお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/8
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009・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 大体わかりましたが、もう一つお伺いしたいことは、本法のような検定制度の上において、強制検定制度をとつておるところがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/9
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010・玉置敬三
○玉置政府委員 本案と同じように、取引、証明に使う計量器につきましては、大陸、イギリス等におきましては、その取引、証明用の機器につきましては、強制検定の制度をとつております。アメリカにおきましても、取引、証明のものにつきましては、それぞれ州法に基きまして検定制度を実施しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/10
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011・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは諸外国との対比はまた必要に応じてお伺いするといたしまして、次にお伺いしたいことは、大体この計量行政事務が、国家事務と地方事務にわかれておりまするが、これは昨日他の委員から御質問がありまして、大体わかりましたが、一体これは将来いつまでもこういうやり方を続けて行かれる方針であるか、あるいは地方事務に全面的に移すというねらいを持つておられるのか、またもしそうであるといたしまするならば、その理由をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/11
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012・玉置敬三
○玉置政府委員 計量行政の根本は国家事務であるというように私ども解釈し、またその運営に基いておるわけであります。しかしながらこれは全部国家の手で何から何までやるという考え方ではないのでありまして、たとえば検定取締り等につきましては、地方において実施されることが全般のためにきわめて好都合であると考えております。製造許可の面につきましては、通産大臣において許可をするということに法案もなつておりますが、この通産大臣にしました理由は、いわゆる製造上高度の技術を要するもの、あるいはいろいろな点から全般的に判断する必要があるのでございます。製造許可をやります場合には、試作命令をいたしまして、その試作品の耐久力その他を考える必要があるのでありまして、こういう面におきまして中央でやることが絶対に必要だろうと思うのであります。しかしながらその中でも、たとえば竹製の長さ計というようなものは比較的その判断が容易でありますし、また地方的にお考え願つてもさしつかえないと思いますので、地方長官に委任をいたしたいと考えております。修理事業、販売の登録等につきましては、これは地方的に考えてさしつかえないことと、また技術面におきましても、何らそれに障害を與えるものがありませんので、地方の府県においてやつていただくことにしております。
あとはもう一つ取締りの問題が大きな問題でありますが、これは従来におきましても、地方の府県、また特定の市町村ということにおいてやつております。
それから次に検定の問題でございます。検定の問題につきましては、これは計量器の普及等を考えますと、でき得る限り検定をする機関の多いことが望ましいのであります。従いまして、従来相当の面を中央で受持つて来たわけでありまするが、今回は相当大幅に地方に委任して来ております。将来におきましても、地方の府県におきましていろいろ受入れ態勢ができました場合には、中央で現在実施しているものも逐次地方に移したいと考えております。どういうものを移すかということでありますが、大体におきまして、検定を要する場合に非常に厖大な設備がいるもの、あるいは非常に高度の技術を要するもの等、つまり地方におきましてそれらの設備をすることが非常に困難である、人的要素も整えにくいというようなものに限りまして中央でやり、その他のものはでき得る限り地方にやつていただきたいという方針をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/12
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013・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 中央国家事務と地方事務とのわけ方につきましては、いろいろお尋ねしたい点がありまするが、こまかいことになりまするので、別の機会に譲りまして、次にお伺いしたいことは、きのうも御質問がありましたが、電気関係の諸単位は電気測定法があるから、本法に統一しなかつたという説明でしたが、これは統一すべきではないか。
〔委員長退席、中村委員長代理着席〕
きのうの御説明を聞いておりまして、統一が不可能ではないが、こういうものがあるから、一応別にしてあるのだ、こういうことですが、しかし電気関係の問題につきましては、やはり相当産業上重要な問題ですから、この際統一した方がよくはないかと思うわけですが、その点もう一応明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/13
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014・玉置敬三
○玉置政府委員 お話の通り計量単位を統一するというような点から考えますならば、理論的にも一つの法律にすることが望ましいと私ども考えております。しかしながらこの計量関係の行政は、国民経済、あるいは社会生活に非常に浸透しておる面もありますし、また関係の製造業者の、いろいろ検定に対するやり方におきましても、取締り等におきましても、相当準備がいることと、過去のやり方を相当重要観して考える必要があろうと思つております。ところがこの従来の度量衡法と電気関係のものとは、非常に扱い方が違つておるのであります。一つは、大きな点は、先ほど諸外国の例で申し上げましたように、業界に対する方針は、電気測定法におきましては、大体形式承認主義をとつておりまして、先ほどの例で申し上げますれば、イギリスが度量衡にとつておるのと同じような方針を、電気関係のものにはとつておるのであります。
それから検定それ自体の問題に今度はなりますと、従来の度量衡法の対象になつておるものにつきましては、これは中央、つまり通産省と府県がそれぞれ分担をしてやつておるのでありまするが、電気測定法の関係におきましては、地方は一切使つてないのであります。逆に言いますれば、地方にはそれぞれの準備も経験も、実は今ないのであります。また取締りにおきましても、度量衡関係におきましては、都道府県、市町村が行うことになつておるのでありまするが、電気測定法は両者を何ら使つてないというのが現状なのであります。
以上申し上げましたように、その根本の扱い、また運用におきまして、非常に隔たりがあつたのでありまして、これを本法案の中に一緒に包含することは、きわめていろいろ実施上におきましても困難が伴うということになりましたので、これをこの法案からははずしたということになつております。
一方電気測定法におきましても、近く新しい情勢に対応して、でき得る限り、もし計量法案が通過決定することになりますれば、それを引用いたしまして、改正その他の手続きも近く進むようになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/14
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015・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 次に許可取消しあるいは停止等の処置が、通産大臣によつて行われることになつておりますが、実際はおそらくその実務は、通産大臣がやるのではなくして、どこかの局がやるのであろうと思いまするが、この点が明らかになつておりませんが、」体これはどこでやるのか、実務はどこが扱うのか。機械局長が今説明しておられるから、機械局でお扱いになるのか。あるいは工業技術庁がこれを扱うのか。私は大体こういう法律をつくる、ことに技術に関する法律をつくるときには、その実務を扱う所管局を明示しておくべきではないかと思うのです。たとえば工業関係法規の場合のように、明示しておくべきではないかと思うのですが、その点は一体どういうふうになつておりますか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/15
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016・玉置敬三
○玉置政府委員 通産大臣の権限に属しておるのにつきましては、通産省、通産大臣の責任において実施することになり、今お話の、実務をどこで担当するかということでございますが、これは機械局において実施することに相なります。機械局と工業技術庁とどういう関係があるのか、あるいはどちらがやるかわからぬじやないかというような御質問だつたかと思いますが、これは組織法に基きまして、これらのものにつきましては、機械局でやるということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/16
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017・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それからこの法文の中に、政令、省令できめるという条項が非常に多いようです。たとえば第十九条とかあるいは百七条その他に大体見られるようですが、この省令、政令等については、すでに準備ができておりますか、もしできておれば資料として御提出願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/17
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018・玉置敬三
○玉置政府委員 政令、省令等に委任されているものが相当あることは、お話の通りであります。この内容は主としてまつたく技術的なもの、それから手続的なものということが、大体の内容になつております。これを制定するにつきましては公聴会を開きまして、一々それにかけて十分なる意見を拝聴するということになつております。従いまして施行法の関係におきましても、この公聴会に関する規定だけは、公布と同時に、一番最初に適用するということに、施行法第一条に掲げた次第であります。内容の点につきましては、お手元の関係資料一という中に、それぞれの法案に盛り込む大体の内容につきまして、条文別に一応掲げておきましたが、その点の内容につきましては、御質問に応じて、またお答えを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/18
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019・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この資料の中にあるのは、内容が示されているとおつしやいますが、きわめて簡単なもので、おそらくこれがやはり一つのいろいろな条文の内容となつて、つくり上げられるのだろうと思いますが、そういうものができておつたらさらに見せていただきたいという意味でございましたが、その点わからなければしようがありません。
それから強制検定の問題ですが、あるものは強制検定とし、またあるものは、先ほどの御説明にもありましたが、私はこの強制検定の中に規定せられているものでも、抜取り検定にしてさしつかえないものがあるのではないかと思います。私の注文の見誤りでありましたら、御訂正願いたいが、また抜取り検定にしなければ、髪際上やつかいで煩雑で、また何らの益もない、こういうものが相当あるのではないかと思います。たとえば時計のようなものは顕著な例であると思いますが、ああいうものは、私は元来検定を必要としない、製造会社のマークの信用によつて販売されている、またそれが社会通念となつておりますので、ああいうものはむしろはずした方がよくはないかと思いますが、少くともこういうものは、きわめて代表的な品物を抜取り検定するというだけで十分ではないかと思いますが、その点所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/19
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020・玉置敬三
○玉置政府委員 一般的な方針とすれば、実は強制検定ということは、理想とすれば任意検定の方に持つて行くべき筋合いのものじやないかと、私どもも考えております。しかしながら現在の日本の度量衡業界の実態を考えますと、いろいろな面がありまして、原則として強制検定を採用することが——計量器は取引の中心部門をなすわけでありますから、強制検定の方針をとつたわけでございますが、本法案におきましては、たとえば原型において検査して、写真原板を複製するというような、原型検査をしたものについては、あとのものは検定する必要ない。あるいは部品検査をやつた場合には、その部品の分に関しては完成品の場合には検査をしないというふうに、なるべく手数、また検定を受けられる方の立場から、その趣旨を実現するように、一部のものについては織り込んで行つたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/20
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021・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 九十四条の検定すべき期限の問題ですが、きのうも御質問があつたのですが、二十日以内に検定できなかつた場合の責任というものは明記されておりません。私は最近ちよいちよいこういう規定が法律の上に現われて参りますことは、非常にけつこうであると思うわけですが、しかしこの責任が明らかになつておらなければ、これは往々にして死文に帰することがあると思う。そこで私は、これはやはり責任を明らかにしておく、ときには罰則も設けて置く。業者にのみ罰則を課して、検定すべき役所側が何らのそうした制裁を加えられないということは、これはまことにおかしな話なので、こういう規定を設ける以上、そこにやはり責任を負うという点を明らかに規定しておくべきではないかと思うわけですが、その点についての御見解と、それから二十日というその次に、括弧してありますその中の、「政令で定める場合」というように書いてありますが、その「政令で定める場合」とはどういうことをさしておられるのか、その点御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/21
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022・玉置敬三
○玉置政府委員 お話の点、法律に二十日以内というふうにきめてあるわけであります。これを実施する者は当然その責任の重大なことを考えなければいかぬのでございます。これはひとりこの問題に限らず、いろいろな届出その他の問題におきましても、当然その当該官は責任をもつて処理しなければいけませんし、また通商産業大臣は、その責任をのがれるというようなことがないように、当然区署され、それに正当な理由なくして合わない場合には、どうしてもしかるべく処分もでき得ることに相なると思うのであります。その他の問題におきまして、たとえばその関係官の故意または過失等におきまして、検定を受けられる方に損害を與えたというような場合には、本法案には規定しませんが、これは当然国家賠償法の中に同じような規定がございまして、その損害を與えたものにつきましては、国家が補償すべきであるという規定がありましたので、本法案にはそれを入れることを控えたわけでございます。
第二の御質問の政令の内容でございますが、これはいろいろ検定の長期を要するもの、あるいは簡単に行くようなものがございます。そういう意味合いにおきまして、一般的に二十日ということをきめましたので、その長短いろいろのものもあるわけでございます。たとえば地中秤の検定をするには、これは事実問題として五十日ぐらいはかかるのでございます。それを一々その検定をすべき度量衡器によつて区分をすることが非常に困難でございますので、二十日というところで一応線を切つたわけでございます。しかし中には二十日も要しないもの、たとえば竹製長さ計のようなものは二十日もかからないので、これを短縮するということも考えておるのでございますが、その他災害等のために検定ができなかつたというような場合、そういう不可抗力の災害にあつたという場合には、その政令で、二十日ということを延長して考えることができるということを、内容に規定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/22
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023・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 国家賠償法の規定が適用されるとおつしやいますが、それは破損等の場合はそういう損害ということが明らかにわかるのでございますが、検定の期限が遅れたためにどれだけの損害をこうむつたというようなことは、これはなかなか判定しがたいのではないか。もちろん明らかに判断できる場合も相当ありますが、しかし私はそういうことが実際問題としては判定しがたい、また業者側も検定が遅れたからすぐどれだけの損害があつたというようなことは、実際は言い得ないので、私はこれはやはり国が責任をもつて、こういう問題についての損害が起らないように、こういう規定を設けた以上は、やはりそれについての責任を明らかにするということが必要ではないか、その点はひとつ御考慮を願いたいと思います。
それから今申し上げました破損の場合ですが、いろいろ故意の破損とかあるいは故意でなく破損した場合もあるでありましよう。しかしその場合の責任は、国家賠償法の規定に基いて賠償するということになつておりますが、しかし私はこれはいろいろ業者の意見を聞いてみましても、こういう場合に賠償を請求するということは、実際はあり得ないので、私は当然これは賠償する、そうした事実が発生した場合には、当然これは賠償する、また一歩進んでそれを隠蔽した者も罰するというくらいの規定をしておかなければ、やはり実際に効力がないではないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/23
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024・玉置敬三
○玉置政府委員 お話の通り、非常に謙譲の美徳を発揮した業界の方もおられるかと思いますが、これからはそういうことのないようにどしどしやつていただく必要があろうかと思います。もちろんそういう事態が起らないように、われわれとすれば当然行政官として注意をすべきでありますし、またそれを怠つたというような場合には、これは官吏としての服務に反するわけでございますから、当然一般の行政的な処分ということが考えられるわけでございます。賠償法におきましても、国家が補償して、それがさらに当該の者に、求償し得るというような規定にもなつておるのでございますから、そういう金銭的な問題等の損害の場合には、これを発動することにいたしますれば相当な制裁規定が設けられておるということも考えられると思うのでございます。いずれにいたしましても、この条文を、従来はなかつたのでありますが、いろいろ御指摘のように弊害も考えられましたので法案に挿入いたしまして、今御指摘のような点につきましては、十分遺憾のないように善処して行こうと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/24
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025・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私はこの問題は、実際は重大な問題だと思う。いろいろ検定の上にも手心が加えられるというようなこともありますし、またそうした検定官の態度の問題等にもいろいろと関係して来る問題でございまして、私はこれはひとつ大臣からもお聞きしたいと思いますが、おられませんから、あとで御答弁願うということにいたしまして、次にお伺いしたいことは、検定の統一、あるいは取締りの統一という問題です。実際一々計量器を検定するのですから、検定官の手心というものが、実際にはあるのでありまして、また府県によつて、それが違うというようなことも、この法律によつては起り得る、それは当然統一すべきものではないかというふうに思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/25
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026・玉置敬三
○玉置政府委員 お話の通り、検定は構造、公差というものを決定いたしまして、これを実施するのでありますから、その関係者の考え方によつて、あるいは右になつたり、左になつたりするということは、絶対に避けねばならないことであります。事実問題としまして、いろいろそういう非難の声も業界からとなえられ、われわれにもそれを匡正すべく、実はいろいろお話も承つておるのでありますが、今回この法案におきましては、その現われの一つといたしまして、かりに合格であるべきものが不合格になつたというようなこともございましよう。あるいは合格になつたためにかえつて不利な事態を招く場合もあろうかと思うのでありますが、いずれにいたしましてもそれが違つた判定をされた場合には、本法案におきましては再検査の制度を設けました。また一般の行政処分に対しましては異議の申立てができるということにいたしまして、具体的なケースにのつとりまして、通産大臣がそれをさらに再決定をするという方法を講じたのであります。しかしそのためにまた特別の調査官を置きまして、今のお話のように府県別にアンバランスが出るとかいうことのないように、常時特定の調査官があらかじめ調査をいたしまして、先ほど申し上げましたような再検査あるいは異議の申立てに対して、そういう事務を直接担当せしめますとともに、それらの調査官は、そういう事態が起らないように、十分平素から意を配るということが必要かと存ずるのであります。
それからこれは従来からもやつておつたのでありますが、今回の法案におきましては、これらの地方の関係する職員の教育ということがきわめて必要でありまするので、教習所のようなものを設置いたしまして、それらの取締り、あるいは検定に従事する者は一定の資格を得た者でなければこれに従事することができないというふうにしまして、お話のような事態が起らないように、実はあらゆる面からくふうをこらして法案に織り込んだ次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/26
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027・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 調査官制度というものが設けられておりまするが、これが実際どの程度まで活用されるか。たとえば「再検査及び異議の申立に関する事務に従事する」とありまするが、この調査官の活用程度ということが相当重大な問題になつて参ると思うのでありますが、その点はいろいろ後ほど私どもの意見を申し上げることといたします。
次に計量士という制度を設けられた理由と、計量士の権限と義務というような点について、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/27
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028・玉置敬三
○玉置政府委員 度量衡関係の行政、あるいは度量衡の事業界における重要性というものが非常に拡大いたしましてまたそれらの関係がきわめて複雑になつて参りましたので、何から何まで行政官庁でやるということがきわめて困難なことに相なると思うのであります。つきましては、もし専門的な方が事業場あるいは店舗等におられますならば、それらの事務が省略できて、自分の責任において実施し得るということに相なるわけであります。そこで本法案におきましては、計量士というものを設けたような次第でありますが、これは実は従前から施行手続というようなものに基きまして、度量衡取締官吏というようなもので実際には取締りを行つて来たのであります。その成績もきわめて良好でありましたので、今般法案に規定をすることに相なつたのでありまして、計量士を置きましたところは、特定の事業場の指定をすることになつております。これらの指定工場が、計量士があります場合には、普通の場合でありますと、いわゆる定期検査というものを受けなければならぬのでありますが、計量士の責任におきまして実施した場合には、定期の検査を省略するということも、先ほど申し上げたような精神から、事務の簡略化をはかつたわけであります。また検定を経なくして修理ができ得るということも、それぞれ計量士を置いた法上の特典に考えたわけであります。こういう計量がきわめて重要であるということを認識して計量士を置いたところにつきましては、先ほど申し上げましたような責任を課しまして、いわゆる官民相一致して計量行政の運営また実際の実施をはかつて行くという制度を講じた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/28
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029・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 ただいまのお話でも、計量士の任務というものが非常に重要であるわけですが、そこでもしこの計量士が自分の職務を怠つた場合にはいかなる罰則を受けることになるか。そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/29
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030・玉置敬三
○玉置政府委員 そういう場合には登録を抹消いたしまして、事実上先ほど申し上げましたような計量士としての職務ができないようにいたすことにいたしております。百六十六条でございますが、計量士が左の各号に該当するということで、いろいろな違反あるいは不正の手段をとつたという場合には、登録の取消し、計量士の名称を使用することができないということで、相応の制裁を加えることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/30
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031・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 次に二百二十二条ですが、手数料は全部国庫の收入になりますか。もしそうだとすれば、地方自治団体の計量事務に要する経費は、平衡交付金より支出するようになるというお話ですが、それだけで地方の計量事務が完璧を期し得られるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/31
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032・玉置敬三
○玉置政府委員 御承知の通り、手数料は国家の収入になつております。従いまして現在は平衡交付金から所要の度量衡行政に要する金は出ておるわけであります。本年度は大体六千万円近くをこれに出すことにしておりまして、実は昨年度よりも約五割増になつておるわけであります。しかしながら、お話の通りこの点は非常に問題が多いのでありまして、製造業者とか、各府県の実情が非常に違うのであります。あるいは手数料収入でまかない得る大きな府県もございまするが、実際取締りの面からやつているところと手数料とは、きわめてアンバランスなのでありまして、地方府県におきましても、手数料收入を地方府県の収入にすることがいいか、あるいは国家収入にして平衡交付金制度でやるのがいいのか。これは府県によつて非常に実情が違いまして、いろいろと意見がわかれておるわけであります。この点につきましては非常な根本問題になりまするので、この平衡交付金の問題、收入の問題等は、私ども今後十分研究をして行きまして、円満に一致するところをとりたいと考えておりますが、この法案におきましては、従来通りの制度を採用して参つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/32
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033・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 最後に一言お伺いしたいことは、昭和三十三年限り、ヤードポンド法、尺貫法が公式に禁止になるという規定がありますが、なぜ禁止しなければならぬか。禁止までする必要はないのではないか。昨日の御説明のように、三十四、五歳以下の者はすでにメートルしか知らないというような実情において、実際問題としては、ヤードポンド、特に尺貫法というものがだんだんと消えてなくなつて行きつつある実情において、ことさらに禁止する必要はないのではないか。これを使用すると弊害があるのかどうか。この点をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/33
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034・玉置敬三
○玉置政府委員 この問題は実は大きな問題でありますが、メートル法と尺貫法とのいろいろな優劣等につきましては、従来から非常に研究されまして、御承知のように大正十年にメートル法を基本とするということに決定に相なつたわけであります。尺貫法の点を申し上げますと、これは一つの尺貫法の不利な点といいますか、非常に採用の困難な点といたしまして、いろいろ理由はあろうと思いますが、一つは原器がないということが大きな理由であります。それから尺貫法はいろいろな面におきましてきわめて複雑でありまして、十進法のようなものにはなつていない。それからまた尺貫法の中でも、日本のような小さな島国の中でも、国内によつていろいろはかり方が違う。また学術の進歩という点から考えましても、尺貫法というものはきわめて不便であるというようないろいろな点が従来となえられ、研究されて、さつき申し上げましたようなメートル法一本にするということになりました。これは日本が国際的になればなるほど、その主張もさらに高まるものと思うのであります。三十三年以後の問題につきましては、この法案に書きましたように、従来の方針に基きまして、日本全体の大きな力というものはその方向にあらゆる努力が傾倒されて行くことと私は信じておるのであります。しかしながらお話のように、ヤードポンド法、尺貫法につきましては、使われておる面も事実ございます。最も典型的なものは、同じ取引、証明の中でも一番はつきりしておるのは貿易関係であります。これらのものにつきましては、当然ヤード、ポンドを使つてもさしつかえないということで、最初から除外しております。その他学術上の問題につきましても、これは政令等によつて除外ができることに相なつておけるわけでありまして、これらのものは除外し得ると考えております。その他の取引、証明以外のものにつきましては、これはもちろん尺貫法を用いていただいてもけつこうなのでありまして、もちろん家庭で用いられることは自由であろうと思います。また尺貫法そのものの研究その他におきましても、これは何ら拘束するものではないと思います。一つの商取引あるいは証明というものにつきましては、一定の線を引きまして、その目標に向つてやるということが大事業の転換のときの一つの方策であろうというように私ども現在も考えておりまして、その面におきまして、猶予期間の間に十分理解と協力を得まして、そちらの方向に進みたいと考えておるわけであります。従来は、現在の度量衡法によりますと、検定対象以外は検定を実施しないということになつておつたのでありますが、先ほど申し上げましたように、尺貫、ヤードポンド法の残る部面があるわけでありまして、この面につきましては、もちろん検定も三十三年以後は実施をするということになります。また土地、建物の問題が何十年来研究されて来た問題であると思いますが、その当時におきましても、土地、建物につきましては例外措置が講ぜられておりますので、今回におきましても、三十三年以降のいろいろ準備が完成する日まで用い得るということに、従来の法律をさらに明らかにいたしまして定めた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/34
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035・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 大体私の質問はこれで終りますが、なお法文の中で見落しておる点もあると想いますし、こまかい点でお尋ねいたしたい点もありますが、これはなお公聴会以後の別の機会に譲りたいと思います。
先ほど一つ保留しておきました計量調査官の制度の問題ですが、大臣にお伺いしようと思いましたが、幸いに大臣以上の識見を持つておられる政務次官がおられますので、首藤政務次官から伺いたいのですが、計量調査官の制度の運用、すなわちその人の心がけないし態度というものによつて、この計量法の精神というものはまつたく死文に帰するし、また非常に弊害のあるものになり、いたずらに業者を苦しめたり、また国民生活あるいは産業上にもいろいろ悪難を及ぼすというようなことにもなる重大な問題が含まれておると思う。これはただうまく運営するとか、その人の心がけをよくするということでは、なかなかうまく行くものではないと思います。すなわち検査される者に臨む強い立場にある者が往々にして陷る弊害というものは、単にその人の心がけ等によつてうまく行くものではないと思うのですが、その点何かいいお考えをお持ちになつておられるか。首藤政務次官の明敏なる御判断によつて御考慮願いたい。この点御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/35
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036・首藤新八
○首藤政府委員 非常にごもつともな御質問でありまするが、また非常にむずかしい問題でありまして、この計量調査官その人の個性によつてお説のような悪い面も出て来はせぬがという不安もあるのであります。しかしながら、これはひとりこの計量に関する問題でないのでありまして、その他の問題につきましても、こういうことは当然つきものになつておると存じます。従つてその採用いたします場合、あるいはまた採用後におきましても、その人格という点に特に重点を置いて終始監督を厳重にする。そしてできる限り公正な検定をさせるという、まつたく常識的なお答えにすぎないのでありまするが、特にこれに関して異なつた対策を講ずるというようないい案は、遺憾ながら現在は持合せていないのであります。できる限りこの公正な検定をさせるという面に重点を置きまして、それらに対する平素の取締りを厳重にして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/36
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037・中村幸八
○中村委員長代理 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/37
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038・風早八十二
○風早委員 この計量法案の提案理由の中にも、これは経済の発展と文化の向上に資するというようにうたつてありますが、私も、これはあくまで日本の技術水準ないしは産業の水準というものの向上に役立たせ、またその意味におきまして業者の利益になるというものでなければならないという立場から、二、三の質問を試みてみたいと思います。
まず第一に、これは強制的な検定の制度になつておるようでありますが、そのことの可否は別といたしまして、この検定の能力といいますか、その水準でありますが、これについては、先般も皆さん方の御案内でわれわれ議員がこの計量器のメーカーの方を視察したわけでありますが、そのときにも、たとえば東京一のメーカーといわれる佐藤計量器の社長なども、今の検査員では、検査員の検査したものをもう一ぺん工場で検査しなければならないということを言つております。そのときは機械局長は——ちよつと忘れましたが、同席されておらなかつたようです。とにかくこれが一つの常識ではなかろうかと思うのであります。そこで私は、検査々々といわれますが、その検査をする人の能力、資格というものは、一体これをどういうふうに考えておられるか。むろんこれについてはいろいろ規定もあるわけですが、一体現状でよろしいものかという点についてはどういうふうにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/38
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039・玉置敬三
○玉置政府委員 今御質問の中に、検定したものが逆にまたもう一度やらなければならぬことが常識になつておるということは、少し遺憾な点でありまして、あるいはそういうケースもあつたかと思いますが、そういうことのないように努力をいたしたいと思つております。お話の通り、この検定に携わる者がきわめて重要であることは承知しております。今般この法案におきましても、検定に従事する者は、少くとも計量教習所の課程を終了した者でなければいかぬということで——補助者は別でございますが、計量教習所の設置とともに、この検定事務というものを非常に重要視して考えておるわけでございます。先ほども私が申し上げましたように、いろいろな現在の日本の製造事業の水準その他から考えまして検定制度をとつております。また強制検定の制度を原則としてとつておるのでありますが、将来のあり方としましては、もし製造業者の方におきまして、優秀なものが大量に、しかもそれが規格に合つたものがそろつてできるという時期が来ますならば、強制検定というものは、将来におきましては大いに反省を考慮されるものかと私は考えておるのであります。その過程におきましては、お話の通り検定の事務に従事するものにつきましては、十分訓練をすることにしておるわけであります。現在中央検定所には約三百十四人ほどの人間がおります。地方関係におきましては六百二十人からの人がおりまして、合計九百三十数名というのが現状でございます。もちろんいろいろ検定をすべき度量衡器が逐年ふえて参りますので、この人員は今後相当大幅に増員されて行くことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/39
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040・風早八十二
○風早委員 大体三箇月ばかりの教習で、実際多年それを専門にやつておるメーカーのやつた成果を検定するというのですが、今佐藤社長の言を引いたのですが、実際問題としてはそれは非常に迷惑しておるような印象を私どもは深く受けておるわけであります。その点はなおあとまわしにいたしまして、今お話の九百三十数名の検査員がおり、またそれを大幅に増員しなければならぬといつておられますが、私の第一に伺いたいのは、その予算的な裏づけ、これは先ほど加藤委員からも御質問がありましたが、中央の検定と地方の検定を、いろいろその範囲や、また実際の振りわけというものがなかなかめんどうな事態もあると思うのですが、それはとにかくとして、両方合せて非常に煩雑なこの検定の仕事に対してどいう予算の裏づけがあるか、これは政府部内関係の御意見によりましても、少くとも十億円はかかるというようなことも聞いておるのでありますが、これに対してどういうお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/40
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041・玉置敬三
○玉置政府委員 先ほど申し上げましたように、機械局関係で——これは一般国の予算でありますが、約六百七万六千円、それから中央検定所の関係が五千七百八十四万一千円というのが本年度の予算に計上されている分でございます。それから地方の平衡交付金の方は、約六千万円と申し上げましたが、五千九百四十八万円というものが地方平衡交付金から出されるものでありまして、計一億二千三百三十九万円ということに相なると思います。施行法でごらん願いますとわかりますように、この法案がもし通過いたすことになれば、来年の三月一日から実施をするということに相なつておりまして、これに基く予算はさらに来年度において増額をするといいますか、しかるべくこれに対応する予算が計上されて来ると思うのであります。しかしいろいろ取締りその他の面が非常に広くなつておりますので、地方平衡交付金におきましては、昨年度分よりも約五割程度の増額を認められておるというのが現在の予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/41
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042・風早八十二
○風早委員 この予算で大体十分やつて行かれると考えておられるのか、あるいはまたこれが足りない場合にはどういう方法を講じられるのか、そういう点はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/42
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043・玉置敬三
○玉置政府委員 本年度につきましてはこの予算において最善を盡して行こうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/43
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044・風早八十二
○風早委員 次にこの検定の手数料でありますが、先ほどちよつと聞き漏らしましたが、この手数料は国庫に入る。これはこの予算の中に、あるいはかりに赤字が出るといたしまして、それに繰り入れられて来るような関係になつておるのでありますか、全然これは別で手が触れられないものであるか、そういう点はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/44
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045・玉置敬三
○玉置政府委員 これは一般收入に入りまして、収入として数えられる。また先ほど申し上げました支出は、一般支出という中に計上されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/45
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046・風早八十二
○風早委員 そうしますと、予算的な裏づけの問題の、過不足という問題と、この手数料の問題とは一応別だというお話で、それははつきりいたしましたが、あらためてこの手数料の問題についてお尋ねしたいと思いますが、今業界では、今度の新法で手数料は上るものと懸念を一般に持つておるように聞いておりますが、私どもも非常に専門的な知識が足りませんのでよくわかりませんが、その点はざつくばらんに言つて実際どうなるのか、大体昨日あたりからのお答えでは、総体として下るというような結論だつたと思うのですが、しかし業界ではそう受取つておらないし、いろいろそういつたような関係の資料も出しておられるように思われるが、そういう点で一応今までのいきさつは別として、実際問題としていくら今言つて見ても、事実それはうそであれば、業者は実際に支拂う立場からすぐわかるわけですから、そういう点は率直にどういう見通しになるかということをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/46
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047・玉置敬三
○玉置政府委員 お話の通り、この法案にくつつけました別表というものが、最高価格を書きましたことと、それから計量器個々に掲上することが非常に困難でありますから、同一区分に属するものにつきましては、大のものも小さいものも一緒に掲げました。従つて最高価格でありますから、そういう場合には一番大きなもので、あるいはもし移動するような場合には、その移動の手数料というものが最大距離をとつてあるというのが非常に業界から誤解を招いておると申しますか、心配をされておる面だろうと思います。これはどうしても多数のものを一つの区分でまとめるときには、その最高価格をとることになりますので、やむを得ない措置だろうと思います。しからばはたしてその実際面はどうかというお話でございますが、現在の検定手数料が必ずしも私どもは合理的なものじやないと考えておるのであります。相対的に考えますと、非常に不合理に高いものも実はあるわけであります。従いましてこの最高価格に基きまして、その範囲の中で今後決定せらるべき手数料は、大体従来と同額のもの、あるいは中には引下げるもの、引上げるものというようなものがありまして、全部を一律に上げるというような方針はとらないことにしております。従いまして全体の手数料総額から見ますと、私はこれによつてそう大きな増額を期待することはできないものと考えております。しかし個々のいろいろな計量器については多少上るものもあります。また同額のものもある、あるいは以下になるものもあるということだけは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/47
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048・風早八十二
○風早委員 今までのマル公その他で見ましても、最高価格というものは、大体その価格でやる。これは業者が商売をするときには、必ずそういうことになるのですが、政府の場合には、その点はもつと具体的にやられるということであれば、その点は例外であるかもしれませんが、やはり今度の計量法が出ることによつて、今でも実は、検定料というものは税金だ、これはもうしようがないのだというので、一応このレッテルを張つてもらうためにやるのであつて実際その品物がほんとうに通用する品物であるかどうかということとは別で、とにかくこれにレッテルを張つてもらつて検定が済まなければ売れないという意味で、税金のつもりで拂つておるというような観念もある。また実際免許制の場合におきましては明らかにそうであつたと思う。明らかに封建的な制度であつた。そういう意味で今度新しく許可制にされる。もちろん現在でも実情は許可制的なものになつておると思いますが、それをただ法文に直されたまでといえばそれまででありますが、実際は免許制の観念というものは、やはり許可でありまして、自由営業ではないのでありまして、同様に検定の問題につきましても、強制検定という制度が依然としてしかれるということは、検定料を抜きにして考えられないことです。そういう意味で、検定料の問題について、国家がほんとうに日本の産業の発展あるいは文化の向上に資するというのであれば、これはある程度の——今お伺いいたしますと一億何千万でどうにかやつて行けるということであるが、そういう予算をこれに投じて、全然検定料なしででもやつてしかるべきものである。もし国家がほんとうに検定の必要があるというならば、検定料なしでやつてもしかるべきものではなかろうかと思う。アメリカなどでは、国家がみずから乗り出してやつているというのは標準器の検定ぐらいなもので、免許制もなければ、強制検定も制度としてはないと聞いておりますが、それをダイヤルゲージから、ストップウオッチから、あるいは写真機のタイマー、何でもかんでも一切合財検定の対象にされて検定しなければならない、実に莫大な手数をわざわざかけて、一々また検定料をとるということになりますと、みずからいらない仕事をこしらえて金をかける。結局国家も金をかけるし、相手も手数料をとられるという二重の負担をしているのではないか。つまり国家の負担というものは、お互い税金の負担になるわけでありますが、そういつたむだなことをしているのではないかというような感を持たざるを得ないわけでありますが、そういうふうに、何でもかんでも一切合財検定の対象にしなければならないのは、どういうお考えからそうされたのか。目ぼしいもの、一目で適当であるというものがおのずから選択されないものであるかどうか。そういう点は立案当局としてはどういうふうに考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/48
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049・玉置敬三
○玉置政府委員 製造あるいは関係業者の関係の方で、検定は非常に不必要なものであるというお話のように聞いたのでありますが、度量衡器というものは、御承知のように、関係業者だけが使うものじやなくて、取引、証明という、広く全体で使うものであります。これがもし精度が狂つておるというようなものがあるとすれば、非常に重大なる影響を與えることは御承知の通りであります。従いまして、単に製造業者が、今の御指摘のように、めんどうであるとか、不便であるとかいう感覚だけからは判断できない問題だろうと思うのであります。広く大衆の内部に食い入るものでありまして、経済、文化の向上止きわめて重要な役割を演じておるものであります。しかしながら、その精度が確保されて、実際にレベル・アップされて、検定に合格すべき内容のものが続々とできるという場合には、強制検定というものが再考慮される時期であろうと思うのでありますが、現状におきましては、いろいろごらん願いましたように、手作業的なものも相当あるのでありまして、規格統一がきわめて不十分だという意味合いや、あらゆる面から判断をいたしまして、検定をやらざるを得ないと思うのであります。しかしながら本法案にも掲げましたように、取引、証明に関係ないというようなもの、あるいは検定する必要がきわめてない、特定のものに限られるというものは、最初から検定を受ける義務をはずしておる次第であります。将来この検定制度が任意希望によつて検定するというような時期が来ることを私は大いに期待し、またそれを希望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/49
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050・風早八十二
○風早委員 今の仰せのような検定の意味であれば、これはまつたく国家が自分の負担で無理やりにやらなければならぬものです。それがほんとうの意味の強制検定だろうと思う。われわれが種痘をするのは自分自身の問題でなくて、やはり日本の社会衛生上、日本の保健上必要である。これはどうしても強制種痘という問題が起つて来ます。そういう場合には、その費用も当然国家が負担しなければならぬし、また負担しておる。そういうふうに、やはりあなたの言われるような意味で検定ということがあるのならば、検定料というものが問題になると思う。
〔中村委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点は大体それでわかりましたが、なお私どもの十分に首肯できない点がある。事実政府部内でも、この法案の免許ないし許可という制度をとることに対しては、非常に有力な、相当強い反対もあると聞いておるわけです。その反対理由の特に大きな一つとしては、これは結局役所というものの仕事をこれでうんとふやして、官庁のなわ張りを広げて行くための制度ではないか、こういうふうなことを政府の部内でも言つておる人があるわけです。そういう点で、この点は立案当局も十分に冷静に考慮願いたいと思います。
今一般業界の水準が、ことに技術水準が非常に低いというふうなお話でしたが、やはりこれもこの間の佐藤社長ばかりを引合いにして、あとでぐあいが悪いかもしれませんが、いろいろみんなで聞いたんです。ところがそれは、実際自由競争で、お互いに悪い品物は淘汰されて行くんだから、そういうものは実際問題ですぐ解決するんだ、りつぱな品物をつくつているものは、そういう心配は少しも持たないというような意見であつたと記憶しておるのです。そういう意味で、まずこの立案の根本の精神について、いささか疑問を持つ次第です。
次に、この法案を出すことによりまして、今まで與えられておつた資格が制限されるというふうなことになつては、業者に対しても非常に大きな打撃だろうと思うのであります。一例をあげますと、度量衡法の施行令、これは現行法でありますが、その施行令の第六条第二項に「度量衡器ノ販売ノ免許ヲ受ケタル者ハ取緒、皿紐、鉤紐及錘糸二付稈秤ノ修覆ノ業ヲ営ムコトヲ得」という規定があるわけです。ところが今度の施行法を見ましても、確かにそれに該当するものだと思われるものがあるわけですが、施行法の第六十四条を見ますと、ここに五年以内というような制限がつけられているようです。これはなぜこういう制限をつけるのか、今までの既得権といつても、このくらいのことはあたりまえのことだと思いますが、ここに簡易な修覆の業を営ませるという権利といいますか、そういうものはやはり今まで通り無期限に認めてしかるべきではないかと思う。そういう点はどういうことになつておりますか、どういうお考えであるか、一応明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/50
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051・玉置敬三
○玉置政府委員 これは先ほどのお話のように、従来いろいろやつておりました仕事と関連して五年間と限つたわけでありますが、従来も販売業者というものは、従来の度量衡法で行けば十五年ということに規定されておるわけであります。それから今回におきましては、販売の登録というものは五年ということにきめたわけであります。そういういろいろな点から、先ほどお話のような点もございまして、一応従来の業者については五年間ということに、販売業者それ自体の登録——今度は登録ということになつて従来とは少し違うのでありますが、十五年が五年になつたというような点、それから先ほど御指摘のような点もございまして、従来のものに対しては五年間ということをそのまま続行いたしてこういうふうにしている。製造業者その他におきましても、先ほど御心配になりましたような点につきましては、経過措置を講じた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/51
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052・風早八十二
○風早委員 そうしますと、一般の販売業者に対する登録の有効期限が五年になつている、だからその限りでの制限であつて、従つてその場合に販売業者が五年を経過して、おそらく一般の場合には、そのまま新しく登録を許されるということになるわけですね。その場合には、やはりそれは続いて行く、こういうふうに理解していいわけですか。その辺が、どうも条文の立て方が、元きめられておつたそういうふうな資格が消えてしまつておつて、あとの方にこういう形で出ておりますから、これは非常にわかりにくいのですが、それで一応内容はわかりました。そこで、先ほどお答えはないのでありますが、ダイヤルゲージであるとか、その他いろいろな、とうてい煩にたえない、またそういうものはまつたく必要のないようなものまで検査対象になつておるのでありますが、それにもかかわらず機械製品と最も密接不可分の関係にある電気であるとか、エックス線であるとかあるいはガンマー線であるとか、こういうものは計量単位がここでは全然触れられておらない、除外されておる。こういうことは大計量法案としてどういうわけであるか。昨日私は出られなかつたので、あるいは他の方の質問があつたかと思いますが、しかしこの点は非常に大きな欠陥ではなかろうかと考えるので、お考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/52
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053・玉置敬三
○玉置政府委員 先ほども申し上げたのでありますが、電気関係のものがこの法案に含まれてないという点はどういう理由か、こういうお話だろうと思うのであります。理論的に考えますれば、一つの計量法という中に電気もあらゆる面が入つておるということがきわめて望ましい形態であろうと思うのでありますが、従来の電気測定法というもので、別個の法体系をなしておつたわけであります。しかもその内容の扱い方が、一般の度量衡関係と非常に違うのであります。一つの点を申し上げますれば、本法案におきましては、許可正義をとつておるのに対して、電気測定法では形式承認主義をとつておる。それから検定におきましては、従来の度量衡では中央と地方と両方において実施しておつたのでありますが、その点は電気測定の関係においては、地方は関係していないのであります。また取締りにおきましても、従来地方庁は電気に関しましてはやつてないということで、業界に対する扱い方、それから検定その他の行い方におきまして、非常に違つた系統で来ております関係上、いろいろ研究いたしました結果、別個で行くことが準備に対しても一番便利であるということから別にしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/53
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054・風早八十二
○風早委員 それはお役所からいえば、ことに機械局として機械だけを一本にまとめるということは便利かもしれませんが、実際業者からいえば、ガスメーターも電気メーターも別にそういうふうなかわりはない。ところが一方は他の法律で、しかも制度も違つた制度で縛られる、一方はまた一方でやるということになると、非常に不便だと思う。これはやはりあなた方と電気庁との関係、その他そういつたような官庁間の関係、違つた二つの法案、そういうふうなものは、ただそれぞれ自分のなわ張りを守るというようなところから来ておる大きな弊害の一つじやないか。こういうところに官庁のセクト主義といいますか、なわ張りが出ているのじやないかとわれわれは非常に遺憾に思います。いやしくもこれだけの大きな計量法を出される場合においては、やはり電気の計量法も一本にして、堂々と大きなものを出されるのが、業者にとつても非常に便利であり、法の体系としてもすつきりするのじやないかと考えます。また実際政府の部内でもそういう意見はあるのじやないですか。そういう点は十分に検討されたのでしようか。やつぱりなわ張りが一番痼疾になつていはしないか、私はその点を非常に遺憾に考える次第です。
全体として、この計画法案に対して、先ほど申しましたように、ほんとうにこれが日本の技術水準、産業水準の向上に役立つ、またその意味において業者の利益になるという、この大きな二つの点を考慮して、その見地からこの計量法案というものを見ますと、今日の実態に対して、ただいろいろめんどうな煩瑣な状態を新しく生み出すという弊害は非常に表面に見えますが、これを今やらないからといつて、特別に業界で非常な不便を感ずるというようなことはわれわれ考えられないのです。むしろマイナスではなかろうかという感を持つのでありますが、私はあらためて総括として通産次官にお尋ねしたいと思います。
自由党は、他の面では自由経済あるいは自由主義ということを非常に強調され、またいろいろな統制機構の廃止を断行されつつあるわけでありますが、こういう計量法のようなものについて、この自由主義、つまり自由な計量制度を断行されるというようなお考えは一体あるのかないのか。そういう見通しを持つておられるのかどうか。この法案に関して、根本的にその見地からどういうお考えであるか、これをひとつ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/54
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055・首藤新八
○首藤政府委員 自由党が自由経済を推進しておりますることは御説の通りであります。むろんそれを基礎といたしまして、できる限り自由にいたしたいという気持は持つておりまするけれども、これも程度問題でありまして、この計量法も、利害得失をよく検討いたしました結果、この程度にいたすことが国家のために利益であると、かような考え方からこういう方法をとつたのであります。
なお電気関係を計量法に入れることがいいのではないかという御意見でありますが、これはわれわれもそういう気持を持つております。しかしながら現在のところでは、業界の実態も異なつておりまするし、この場合今ただちに計量法に入れるということは、いろいろな面で困難な点がありまするので、一応別個にしております。しかし先ほど局長から申し上げましたことく、この測定法もできる限り早い機会に、修正する必要のあるところは修正いたしまして、この計量法との矛盾撞着のないような態勢をとつて行きたい。そうしてこの法の精神をできる限り完全に実施いたしたいと、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/55
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056・風早八十二
○風早委員 どうもいつもと違つて、大分お答えが要領を得ないのですがね。ただ、今までの機械局長の答弁に合わされたという感を深くせざるを得ないのです。私も法体系だけを言つているのではないのですけれども、やつぱりもう少し実際上の——業者の実態が異なつておるからと言われますが、たとえば同じメーカーで、ガス計量器も電気計量器も両方つくる場合に、自分の方の品物が二つの法体系に縛られて、別々に登録をやり、手続をやらなければならない。まことに不便きわまるわけです。そういうふうな実際上の問題から考えてみても、これはおかしな話だと思うのです。何も急いで今出される必要はないのであつて、これをひとつ十分に検討して、りつぱなものを出していただきたいと希望したい。われわれもその計量法を整備して、技術水準、産業水準を向上して行くということは、もうまつたく同感なんでありますから、そういう点は、ひとつもう少しりつぱなものにしてもらいたいということを申し上げておきます。
なおやはり首藤さんにお尋ねしますが、こういうふうな例があるのです。これは輸出業者の場合ですが、最近巻尺の注文がブラジルからあつたわけです。ところが向うでは口革をつけないで送つてくれという注文です。しかし日本の規格では口革をつけるということになつている。これはいろいろな注文があるわけですから、業者としてはその注文に応じて、どうにでもそれに都合のいいようにしてやりさえすればいいのですが、日本では規格がきまつておつて、口革をつけないとA級品がB級になる、こういうことであります。でありますから、向うもB級としてこれを取扱わされて、非常な不利を招いたというような実例があるということを聞いておるのであります。そういうふうに、あまり検定——何とかかんとかということを、やかましくただしやくし定規にやると、それこそまつたく検定倒れで、かえつて業者は非常な迷惑をするということになるのであります。まあよく御相談くださいまして、御返事願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/56
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057・首藤新八
○首藤政府委員 ただいまの御質問の事項ですが、そういう事項があつたかどうか、まだ耳にしておりません。事実そういうことがありまするならば、今後は適当な方法を講じて、さような不測の損害のないような対策をとつて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/57
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058・風早八十二
○風早委員 それは一例であつて、そういつたような、まことにこつけいな非常な不便がたくさんあるのです。ひとつよくお調べを願いたいと思うのです。
最後に一つ、お尋ねしたいことは、これは首藤政務次官にお願いしますが、度量衡器にいたしましても、やはり中小のメーカーが多いというか、大体中小メーカーだけだと言つていいわけです。またその輸出先が今まで中国であり、将来もまた中国を市場とすることが非常に有利であることは、これはもう言うまでもないのです。それが今度はだめになつたということで、これは機械工業の中でも特に比較的精密に近い工業だと思われますが、こういつたような人たちに非常な不便を與えておると考えておるわけです。これからこういう法案を出し、またその趣旨をするところは、それらのメーカーの向上、日本の技術の水準の向上——せつかく技術水準を向上さして、その市場が十分にないということであれば、検定であるとか、ただ役所として検定をする仕事というだけを考えれば、これはたくさん検定の対象を広げて行つて検定すればよろしい。それで問題は終ることになるかもしれませんが、いやしくも通産省として、通産行政としては、やはり同時にこの輸出の振興の問題をあわせて考えて行かれる必要があるのではないかと思います。それでそういう点が一つと、それからなおその場合におきまして、もう一つ非常な低賃金という問題がある。この間、実はやはり皆さん方の御案内で出かけました仁丹検温器、あそこでは、これは日本でも——日本というよりも世界的に一級品だそうですが、りつぱな体温計、これを一本二十三セントで出しているわけです。おそらくこれはもちろん国内価格と大体見合つているだろうと思います。しかしこれがアメリカでは一ドル半で売られている。あまりにもうけ過ぎておると思うのです。もつとこれを高くしてもやつて行けるのじやないかと思うのです。ところが二十三セントでもやはり相当もうかるというのですね。なぜかと思つて私どもはさつそくあそこでもつて聞いてみたのですが、とにかくひどい低賃金で、中学生であると思われるような——年齢を一々聞きはしませんでしたが、非常に年少者です。中学生の帽子をかぶつた小さい子供が、ほどんど女の子でありますが、どう見てもまだ十五、六歳にしか見えないような子供で、ずらりと並んでやつているのです。これは非常なガスをもやして、そこでやつている。全部こまかい、手の作業であつて、非常に目を痛める作業ですが、もちろんめがねもかけておらなければ、あの厚いガラスを持つておつても手袋もはめておらぬ。そういうふうでありまして、賃金は幾らかというと、それらの子供については大体税込みの三千五百円だというのです。そういう安い賃金でああいうふうに——あのときも時間外であつたと思いますが、働かしておるのです。それで二十三セン干であがるのであつて、これはもう少しその方面を、大体賃金が全体の生産費の三分の一だそうです。ですから、かりにこれを倍にしても、二十三セントが三十セントになるだけの話であつて、それでもりつばに外に出すことができるようなものなんです。そういう点もひとつ考えて、ただ検定の面からだけ技術の向上があるのではなくて、やはりそういう全体の労働条件、職場の条件、どうしてこのコストが出て来たかというその根源もよくつかまれまして、ほんとうの意味で立派な技術をみがかせるようにやつていただきたい。そういう点は、全体をつかんでおられる通産大臣、次官としてよくお考え願いたいと思うのです。それらの点をあわせて希望して私の質問はこれで終りますが、どうもこれらは体系上からいつても、あまりに不備だし、また根本の精神がまだどうも封建的なにおいが残つておる、こういうような点で非常に疑問を持つということを最後につけ加えて質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/58
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059・首藤新八
○首藤政府委員 輸出の振興の問題でありますが、これは政府といたしましては、できる限り輸出振興の積極指導策を講じておるのであります。しかしながら御指摘の中共の方は、現在いろいろの事情からほとんど中絶の状態になつております。しかし幸いなことに、自由党の自由経済の推進から、過去久しい間、統制経済の間には必要としなかつたところの計量器が、自由経済に移行しました関係上、非常に厖大な数量の消費が起つて参つたのであります。従つて各計量器のメーカ1は、現在のところ、他の産業に比較して、むしろ殿賑産業と申しても過言でない程度の活況を呈しておると考えておるのであります。また中国の方は、輸出は中絶いたしておりますが、アメリカあるいは南米その他、従来あまり出ていなかつた新しい方面に相当輸出が出ております。従つて国内の需要増進と相まつて、メーカーは非常な活況を呈しておると見ております。
ただ、その次の低賃金の問題、同時にまた年少工を使用しておるという御指摘でありますが、これらも労働基準法におよそ許された範囲内においてやつておるのではないか。もししかりとするならば、通産省がこれに対してとかく干渉するということは、実際上困難でありまして、もしそういう面に違反行為がありといたしますならば、労働省の方でしかるべく取締りを強化いたしまして、御趣旨に沿うような措置を講ずるであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/59
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060・小金義照
○小金委員長 ここでちよつと御報告を申し上げます。先ほど高圧ガス取締法案につきまして、関係方面から参考人をお招きして御意見を聞くこと及び工場の見学ということをきめました。それを二十二日といたしましたが、いろいろな都合から二十三日に変更いたしましたから、これを訂正いたしておきます。
本日はこの程度にて散会いたします。明日は午後一時から開会をいたします。
午後三時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X02719510516/60
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