1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月二十四日(木曜日)
午後一時五十四分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
今泉 貞雄君 小川 平二君
中村 純一君 福田 一君
南 好雄君 河野 金昇君
加藤 鐐造君 風早八十二君
出席国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
出席政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(資源庁鉱山局
長 徳永 久次君
委員外の出席者
通商産業事務官
(資源庁鉱山局
鉱政課長) 永野 量君
通商産業技官 平岡 廣助君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 大石 主計君
専 門 員 越田 清七君
―――――――――――――
五月二十三日
高圧ガス取締法案(内閣提出第一三〇号)(参
議院送付)
同日
けい肺法の単独立法化に関する請願(中村又一
君紹介)(第二三八五号)
の審査を本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
高圧ガス取締法案(内閣提出第一三〇号)(参
議院送付)
ニツケル製錬事業助成臨時措置法案(内閣提出
第一七七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/0
-
001・小金義照
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
昨日参議院送付議案高圧ガス取締法案が本委員会に正式に付託せられましたので、本日はまずこの高圧ガス取締法案を一応議題といたします。
この際念のため申し上げておきますが、ただいま議題となつております高圧ガス取締法案は、お手元に配付してございます通り、政府原案を参議院において修正いたしたものであります。この修正せられました議案が本委員会において審議いたします原案でございます。この修正点につき政府当局より発言を求められております。これを許します。首藤政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/1
-
002・首藤新八
○首藤政府委員 本案の第七十條の中に審議員の任期の問題で、原案では六箇月、一回だけ再任を認める、それ以上は認めないということに相なつておつたのでありますが、参議院の方でいろいろ愼重に審議されました結果、一回だけの再任では運用にいろいろの支障を来すであろうという御意見が非常に強く出まして、その結果「一回に限り、」という五字を削除いたしまして、何回でも再任ができるということに修正いたしたのでありまして、それぞれ適当な手續をふみまして、参議院の本会議を通過いたしたのでありますので、さよう御了承を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/2
-
003・小金義照
○小金委員長 それでは政府は本修正案に同意であります。本法律案に対する質疑は明日これを許すことといたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/3
-
004・小金義照
○小金委員長 次にニツケル製錬事業助成臨時措置法案を議題として、質疑を継續いたします。河野金昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/4
-
005・河野金昇
○河野(金)委員 まず第一にお伺いしたいと思いますことは、本法案の施行によつて国家の負担はどれくらいになるかということなのでありますが、設備資金あるいは運転資金の総額を幾らくらいに押えておられるかという問題、あるいは販売益金を積み立てて行つてどれだけくらいカバーできるかという問題、事業はいつまで存續できるか、結局総合してこの損失補償はどのくらいになるか、大体鉱山局としては見通しを持つておられることであろうと思いますが、その点をまず承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/5
-
006・徳永久次
○徳永政府委員 一昨日同様の御趣旨のお尋ねがございまして、お答えしたわけでありますが、ただいま申し上げますことは、まだ若干暫定的だというふうにお聞き取りを願いたいと思います。ただいま私どもが大体の見当をつけております数字を申し上げますと、約一トンの地金を生産するのに要する輸入鉱石代が約八十万円、それに製錬費がほぼ同額のものと見まして百六十万くらいになるわけであります。それに対しまして損失補償の対象になるべき金額はどの程度かということであります。設備の建設費がどれくらいかということになるのですが、建設費が三億ないし四億でございまして、その中にこの法の七條の一号なり二号によりまして残存価格を控除する分もございますので、それを控除して考えますと、この危険の対象に考える金額は、設備建設費としては三億か三億以下であろうというふうに見ておるわけであります。それが一つ、それから鉱石代がこの七條の三号にございますが、これは三月分に見ますか、四月分に見ますかによりますけれども、トン当り八十万円のものが、かりに月百トンと考えて参りました場合に、それの三月分としますれば二億四千万円ということになるわけです。先ほどの三億と、二億四千万と見まして考えてみますれば、五億四千万というのが危険の対象になる投資額ということに相なるかと思うわけですが、それに対しまして、月々どの程度の積立金ができて参るかということでございます。これは販売価格のきめようにもよることでございますが、かりにトン当り五十万円を見るといたしますれば一月分として五千万円ということになるのであります。それから七十万円見るといたしますれば、月に七千万円と相なるかと思います。そういたしますと五十万円の場合に考えてみまして、投資額五億か五億四千万円とすれば、十箇月か十一箇月ということになります。それから七千万円というふうに計算いたしますれば、七箇月か八箇月というようなことに相なるかと思うわけでございます。でお尋ねの国の損失補償を、どう予想しておるかということでございますが、これは実は私ども提案理由の説明にも、大臣から御説明申し上げましたごとく、ただいまのような国際情勢が、先ほど計算いたしましたような月の数、十箇月とかあるいは七箇月とか續きました場合には、国の補償というようなものはなしで済むというふうに考えておるわけでございます。ただ最近のような国際情勢が、どの程度継續するものであるかということにつきましては、何人もちよつと見込みがつけ得ないというところに悩みがございますので、その意味で、万一の場合に、積立金が十分たまらない間に、国際情勢の変化守によりまして、事業が継續不可能になつたというときに、積立額の足らない分を国が補償するという積立て方に相なつておるわけであります。さような次第でございますので、ただいまのところ、国の補償が幾らになると予想しておるかというふうに言われましても、ちよつと予測がつかないというお答えしかできない。ただ私どもの希望といたしましては、なしで済むことを希望しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/6
-
007・河野金昇
○河野(金)委員 いずれまたあとでお伺いしますが、續いてこの法律によつて、おそらくいずれかの会社と申しますか、工場等を指定の対象にしておられると思いますが、そういう指定の対象となつておる会社等に対して、行政的にどんなような助成をされる考えかということを承りたいと思う。たとえば鉱石輸入の外貨資金の許可などを、優先的に扱われる意思があるかどうか、あるいは設備資金、運転資金等についてあつせんをされるかどうか、まあこれは今後のことでわかりませんが、電力は、出発にあたつてすぐ値上げをしようとしておるようでありまするけれども、この電力の割当なんかについて便宜を与える用意があるかどうか、あるいはこういう国家の助成を得て生産したところのニツケルは、当然ひもつきでなければならぬと思うのでありますが、生産したニツケルの自家用の消費などを、多少お認めになる意思があるかどうか、こういうような問題について承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/7
-
008・徳永久次
○徳永政府委員 私ども、この国内におけるニツケルの製錬事業場を何とかしてつくりまして、国内のニツケルの供給不足という問題を解決いたしたいというふうに考えておるわけであります。そのような次第で、事業の建設をインカレジする意味におきましてこの法案を立案いたしたような次第でございますので、今お話のございましたことは、幸いにしてこの法案が通過いたしまして、この法案に従つて建設計画を提出し、それに承認に値するものがありましたあかつきにおきまして、この生産に必要とする原料、資材等の獲得につきましては、できるだけのお手伝いはしたい、またすべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
終りの方にございました自家使用を認めるか認めないかということでございますが、ニツケルは品物の性質から考えまして、自家使用の必要は、そうないのじやなかろうかというふうに考えております。それから念のためでございますが、ニツケルはただいまも割当物資になつておりまして、切符制で割当統制をいたしておるわけでございます。この同じ事業者が、何らかニツケルを必要とする事業を営んでおりまして、それに他の用途の緊要度と比べまして、必要のある限りは割当せざるを得ないかと考えますが、特にさような必要のないものにつきまして、自家使用という形式で認める必要はないのじやなかろうかというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/8
-
009・河野金昇
○河野(金)委員 国際情勢がこういうような状態でありますから、今後日米の経済協力の問題が具体化されて来たとき、当然こういうニツケルというようなものは、アメリカの下請的な軍需生産的な方面に多く使われるということになつて来はしないかと思うのであります。たださえ少いところの国内の需要がなお一層圧迫されて来はしないかと思うのでありまするが、そういう今後起きるであろう日米経済協力の問題を考慮に入れて、国内消費の面をどういうふうに考えておられるか、アメリカの方が要求さえして来れば、国内の消費は圧迫を受けてもやはりそれに従わなければならないのか、それとも、ある程度の国内消費のわくというものは、どの線かで押えておられるか、この問題を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/9
-
010・首藤新八
○首藤政府委員 この法案によつて生産を確保いたしまする量は、大体日米済協力の線を除外した、一応内地の供給に充てたいということを目的といたしておるのであります。しからばこの日米経済協力の線に必要とするところのニツケルをどうするかということになるのでありまするが、これはできるだけ別途にアメリカ政府のあつせんによつてこの方面から必要な量を輸入いたしたい、かように考えておるのでありまして、現在すでにその用途用として大体三百数十トンが近く輸入されることになつておるのであります。同時に御承知のごとく日米経済協力の線によつて生産されるものは、特に価格は国際価格にマツチしなければならぬということが最も大きい條件になつておるのでありまして、この法案によつて生産いたしましても、原価がかなり高くつきまして、とうてい国際価格にマツチできない、かような不安も残つておるのであります。そういう面からもアメリカ政府のあつせんによつてアメリカから輸入いたしますれば、大体トン当り五十万円前後で輸入ができるわけであります。そういうものをそういう特需の方の供給に使いたい、こういうふうな見解を持つておるのであります。但し将来内地の供給が十二分に需要とマツチする、そうして価格が非常に安くなるということになりますか、あるいはまたどうしても特需用としての輸入が困難になるというような事態になりますれば、その事態に即応するような方策を立てることはいうまでもないことでありまして、一応現在のところは、ただいま申し上げたような方針で進みたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/10
-
011・河野金昇
○河野(金)委員 これはどうも通産当局にとつてはお気に召さない質問かもしれませんが、この法案を立案するにあたつて、何か別子鉱業との間に特殊の交渉があつたように巻間伝えられておるのであります。また通産省の中の、局長じやないかもしれませんが、一部の担当官では、これは別子鉱業を指定の対象として立案したものだというようなことをどこかにおいて言つておられるのであります。新聞等にもそういうことが出ていたようなこともあるのでありまして、何だかりつぱな法文を掲げながら、実際においては、内面においては、別子鉱業を助成するんだ、こういうふうに巻間伝えられて、われわれ非常にこれを審議するにあたつて不愉快な気持が一部分に実際はあるのであります。これはたといそういうことがあつても、当局としては一応ないとおつしやるだろうと思われるのでありますけれども、念のために伺つておきたいと存じます。それからこの法案は前の国会に出すべきものを見合せられて今国会にも出ないであろうと思つておつたのに、突如として――というと大げさかもしれませんが、急に出て来たようでありますが、何かこの間に事情があるのではなかろうかと思うのであります。鉱山局長なり、あるいは首藤政務次官なりからざつくばらんにおつしやつていただいた方がいいのじやないか、何かくさいものにふたをしたようなものの言い方をされると、これの決定にあたつて、われわれも相当考慮しなければならぬ問題が出て来るだろうと思うのであります。別子鉱業なら別子鉱業を特別に助成しなければならぬなら、そのならぬという理由をざつくばらんにおつしやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/11
-
012・首藤新八
○首藤政府委員 河野委員の意見を拝聴して実は非常に驚いたのであります。いまだわれわれはそういうお説を何ら耳にいたしていないのでありますとともに、まつたく根拠のない宣伝だと解しておるのであります。われわれはどこが適当であるかということに重点を置いて調査をいたしておるのでありまして、ひとり別子に限つてはおりません。他に適当なところがありますれば、よりよい設備を持つておりますれば、むろんこの方をとるということに一向やぶさかでないのであります。ただ方々の製錬所を調査いたしました結果、大体別子あるいは三菱のどこでありましたか、適当でないかというふうに考えておるのであります。従つて他により以上にりつぱなところがありますれば、当然これをとることにやぶさかでないということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/12
-
013・河野金昇
○河野(金)委員 やはり首藤さんの御説明でますますあやしくなつて来たのであります。おそらくよそは調べていない。別子だけ調べて、あとは三菱のどこやらということで、全然考慮の対象に置いていないのでありまして、別子鉱業を特別に援助するという自由党一流のおみやげ的の法案であるということを遺憾なく首藤政務次官は暴露されたと思います。鉱山局長も政務次官にまかせておけぬと思う。こういうばかな説明をしておつてはいけないと思うが、鉱山局長からもう少し責任ある御答弁ができたらひとつしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/13
-
014・徳永久次
○徳永政府委員 ただいま政務次官からお話がございましたように、私どもとしては法案をつくります際に、かつてニツケル製錬の経験を持つております別子鉱業といろいろ連絡したことは事実でございます。しかしながらこれはひとり別子鉱業に限つたわけではございません。ニツケルの供給不足に悩みましましたのは、去年の夏ごろ以降であります。過去における製錬の実績を持つておりまする各社につきましては、ほとんど各社に、あなたの方でやつてくれないかということを言つて当つてみたのであります。大体その意思がないというのが大半であつたわけであります。私ども考えてみました場合に、なぜ技術と経験を持つておる人がこの事業に着手しないかというと、先ほどもお尋ねがございましたのにお答えしましたように、数億円の投資を必要とする事業であります。しかもこの国際情勢が續きますならば、それが十分カバーされるだろうということは言えますが、しかし最近の国際情勢がいつどのようなことで変化するかもしれませんから、そういうようなことに相なりました場合には、投資がすべてゼロに帰すかもしれないという危険をはらんだ事業であるわけであります。これが事業者が技術を持つておりながら乗り出そうとしない原因であるわけです。このことは日本だけに限るわけではございませんで、アメリカにおきましても、この種の危険な事業につきましては、実はRFC、つまり日本の昔の産業設備営団と復興金融金庫とかね合せたような機関があるわけでありますが、それが国の事業としてやつておるわけであります。日本におきましても、私企業が危険を担当してやるにはあまりに危険の大きい仕事であるという場合に、それを国の責任においてやるというのも一つの方式でございまして、もし産業設備営団がありますならば、そこが設備をつくつてこういう仕事をやるというのも考え得る方式であつたかと思われます。御承知のように産業設備営団もこの四月をもつて実質的に清算に入つたわけであります。実はその以前から活動を制約されておつたような事情でございまして、この方式を選び得なかつたわけでございます。しかし国、家的に考えますならば、何らか国のギヤランティーを必要とする事業であるということが言えると思います。この法案はこの一つの方式をとつただけのものであります。たまたまそれがある一、二の企業体が適用を受けるということになるとしましても、企業体自身がみずからの責任においてやるべき仕事ではないので、何らか円滑にする仕組みというものを国として当然考えてしかるべき事業であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/14
-
015・河野金昇
○河野(金)委員 今御説明のように、よそは危険が大きいから、ひよつとすると投資がゼロになるかもわからぬ、それが別子がやるというから別子にやらせる。これは一つの言い訳としてはそうかもわかりませんが、その結果、結局別子鉱業が日本のニツケル生産のまるで独占事業というようなことになつてしまうのではないかと思うので、そういうことが独占禁止法の精神と照し合せて、今の段階においてとるべき態度であるかどうか。独占禁止法との関連においての御見解が承りたいのであります。それから結局これは別子鉱業の独占になるとは思いませんけれども、政府が今対象としておられるのは別子鉱業だけのようでありますが、一体政府はこの生産量をどのくらいに押えておられるか。それから別子だけを今の段階において御指定になるようでありまするが、そうすると、よその方のニツケルをつくつておるところの会社、工場、こういうものの生産は結局過剰になつて来るんじやないか。政府として別子の指定生産をひとつ半分くらいにして、ほかの会社も指定に加えられるところの意思があるのかないのか、危険があるからやらぬとあるいはおつしやるかもしれませんが、やるというのが出て来た場合に、別子だけにやらせないで、ほかにもまわしてやられる意思があるかどうか、こういうことを承りたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/15
-
016・徳永久次
○徳永政府委員 私どもはただいまのところ、近い将来における需要がどの程度になるか、従つて国内生産によりましてどの程度のものを確保するということは検討しておるわけでございますが、この法律は御承知のごとく第二條をごらんいただきますれば、一定の要件を備えた人は何人でも申請し得るということになつておりまして、それを拒否いたしました場合には、それを公聴会にもかけまして、その拒否の理由を明確にしなければならないという意味合いになつておるわけです。現実にこの事業の対象としては、正式には本案が通れば業者からいろいろな案が出されるわけであります。私ども内々事業法ができたらという場合のお話を聞いておるのは、ただいま御指摘がございました別子鉱業と、それから日本アルミ――これは大平鉱業の技術の裏づけでやろうとしておられるのですが、日本アルミ、それからもう一つ日本冶金、これがメタルまでやるというようないろいろな段取りをお進めになつておる、こういうふうにお聞きしておるわけです。私どもはこの法案の第二條の要件に従いまして、具体的に出ました案を十分検討して考えたいというように思つております。
なお御指摘ございました全体の数量を、別子なら別子の分を半分くらいにして、ほかのところにまわすというようなことを考えたらどうかというようなお話でありましたが、ただいまのところまだそれを審議する段階ではないんじやないかというふうに私ども思つておるわけであります。具体的な計画が出ましてのことでございます。ただ日本が考えておる全体の数字は、メタルとしてそうたくさんのものがいるわけじやないんだということは、ただいま申しました計画をお立てになろうとしている方々には、それを申し上げておるというような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/16
-
017・河野金昇
○河野(金)委員 局長さんは別子の生産能力がどのくらいであるかわかりませんか。それから計画書を出しておるのは別子だけでありますか。何かの計画がなければ、この法案もできぬと思いますが、計画書を出しておるところ、あるいは別子だけなら別子だけももけつこうでありますが、それの一体生産能力はどのくらいあるか。それから鉱石はニユーカレドニアあたりからお入れになるのではなかろうかと思うのですが、そういうものの見通しがついておるかどうか、こういうことがわかつておつたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/17
-
018・徳永久次
○徳永政府委員 別子鉱業なり日本アルミなり、非公式に書類の形でこんなことを考えておるのだということをお出しいただいておるわけです。それは一昨日も申し上げたのでありますが、別子鉱業は月百トンくらいの能力のもので考えたい。それから日本アルミは五十五トンぐらいのもので考えたいというようなお話を承つております。その鉱石につきましては、日本アルミのはフイリピンの鉱石でございます。製法の異なつた湿式製錬のやり方です。別子の方は乾式製錬のやり方です。これはセレベス、ニユーカレドニアの鉱石につきまして、有力な外国の貿易商社から四口くらいの引合いが来ておりまして、そのいずれの一つをとりましても必要な数量を十分満たし得るというような状況に進行しておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/18
-
019・河野金昇
○河野(金)委員 この法案ができて指定を受ける会社とか、あるいは工場以外で、すでに鉱石の輸入等を計画し、または契約のできておるところもあるやに承つておるわけなんでありまするが、今度は国家の助成があるからというようなことで、安い値段で契約しているのを――せつかく安く入れられるものなら安く入れて、国家の助成なしにやつた方がいいと思うのでありますが、国家の助成があるというと、すぐ甘えると申しますが、依存する気持が起きるのであります。一体今まで契約しているのを、外貨資金のわくとか何かで、圧迫すると言うと語弊があるかもしれませんが、そういう意地わるをしないで、せつかく契約のできておるものは入れてやつた方がいいのじやないだろうか。せつかく安く入るものを、国家の助成があるからといつて、高くつり上げるようなことは、これは具体的にお知りにならなければあとでお教え申し上げますが、そういうことは国家の損でありますから、そういうことのないようにひとつ手配をしていただきたいと思います。そういう御用意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/19
-
020・徳永久次
○徳永政府委員 ただいまお話の、安い鉱石がどこかから入ることになつているが、それを政府が安いのをとめようとしている……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/20
-
021・河野金昇
○河野(金)委員 いや、政府ではない。ほかの業者です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/21
-
022・徳永久次
○徳永政府委員 それは私どもとしてはおよそ考えられないことでございます。鉱石は少しでも安いものを選ぶという方向でやるべきが当然でありますし、またそれに疑念を持たれるようなことは、私どもとしてははなはだ遺憾に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/22
-
023・河野金昇
○河野(金)委員 ただ遺憾というだけでは困るので、私の方こそ遺憾でありまして、そういう事実があるのであります。いずれ局長や次官にあとで具体的にお教えしますから、そんなことを言われるのは遺憾だなんてことを言われないで、そういう事実があることの方がなお遺憾でありますから、これはあとで御調査くださるなり、あるいは手配をしていただきたい問題だと思います。
それから私この間中しばらく委員をかわつておりまして、あるいは説明の中にあつたかもしれませんので、あるいは重複したりして、ほかの同僚の諸君に御迷惑をかけるかもしれませんが、本法の適用は、この見出しにもある通り、ニツケルの助成でありまして、実際は日本の需要の三分の二ぐらいは、純粋のニツケルというよりも、フエロニツケルあるいはニツケルマツトというようなものがこれをまかなつておるというように聞いておるので、特に今後の日本の合成繊維の将来なんかを考えると、純粋のものでなしに、こういうものが必要だと思うのであります。こういうものを本法で適用なさる御意思が――法案の上ではないようでありますが、一体日本の現状からして広く解釈して、これを適用なさる御意思がないかどうかということを承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/23
-
024・徳永久次
○徳永政府委員 ニツケルの需要の内容とその用途別、またどういう形で必要とされるかということは、参考資料としてお配り申し上げております「ニツケル最低限度年間必要量」という表でお知り願いたいと思います。その中に、フエロニツケルの形においてニツケルが使用されるというものは、相当部分あるわけであります。しかしながらただいま御指摘のございましたような、三分の二にもなるということではございませんで、三分の一か二分の一ぐらいというところであろうかと思うのであります。それにしましても、そのフエロニツケルの仕事というものを本法の適用の対象にどうして考えないかというお尋ねかと思うのであります。これは私どもとしていろいろ検討を加えたのでありますが、フエロニツケルにつきましては、輸入鉱石を原料とするフエロニツケルの製造設備というものは、日本に戰時中もその仕事が行われておつたわけでありますが、それが全然傷つかずにそのまますぐ利用できる形のものが温存されておるわけであります。従いまして新たに事業を開始するとしましても、何ら新規の投資を必要としないのではないかというふうに私どもは考えておるわけであります。従いまして本法はメタルニツケルの製錬を考えました場合に、巨額の設備投資を必要とし、それが継續期間がいつまで續くかわからぬという不安があることを考えましてへその趣旨から考えました場合に、フエロニツケルと全然事情が異なるというふうに判断してしかるべきじやないかということで、この適用の対象から除外いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/24
-
025・河野金昇
○河野(金)委員 まだいろいろこまかい点でたくさん承りたいところがありますけれども、同僚諸君に譲りまして、いずれまた他の機会にもう少しこまかい事務的な点やら何やら承りたいと存じます。私の質問はこれをもつて一応打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/25
-
026・小金義照
○小金委員長 次は加藤鐐造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/26
-
027・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 大臣は来られますか。実は先に大臣に伺いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/27
-
028・小金義照
○小金委員長 今参議院に行つております。呼びにやらせますから、それまで順序を変更されて、政府委員の方からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/28
-
029・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 実は私は、提出されたニツケル精錬法案のこうした行き方につきましては、ここに疑問を持つておりますので、特に吉田内閣の政策の根幹をなしておりまする自由主義経済という点から考えましても、こうした一種の国家管理の行き方については、どうしてそういう行き方をしなければならないかという根本の問題につきまして、まず大臣に伺つてみたいと思つておつたのであります。首藤政務次官がおられますから、首藤政務次官でけつこうでございますが、しかし私はこうした根本の問題はやはり常に一応責任ある大臣から答弁してもらわなければならない問題であると思う。首藤政務次官は大臣以上の識見を持つておられるから、首藤政務次官でよいではないかということにもなりますが、私は特にこの問題についてはそういうわけには参りませんので、決して首藤政務次官の識見を軽視したわけではないので、その点御了解願つて、こうした問題については大臣から責任をもつて御答弁を願うことにいたします。
それでは局長にお伺いいたしますが、まず第一に、この法案の有効期間は何年であるかという点であります。事業計画は一応三年を限度としておりますし、また指定の期間は四年となつており、また補償の期間も従つて四年となつておるのでありますが、法律の有効期間は何年であるかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/29
-
030・徳永久次
○徳永政府委員 この法律は臨時のもので、恒久法ではございません。何年間というふうに実は切つてはないわけでありますが、しかし実質的にこの法律を適用します期間というものは、先ほど御指摘のございましたように、指定業者の地位を持ちますのは四年間ということに相なつておりますので、四年たてば、実質的にこの法律の効果はなくなるという性質のもりと了解していただいてけつこうだと思います。ただその四年のうち、一年足らずの間というものは建設の期間で、実際に働くのは正味三年間、さような見当に相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/30
-
031・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 こうした稀少金属は、單にニツケルばかりでないことは、すでに過日の御質問にもあつたようでございます。他の金属コバルト、錫、水銀というような金属もやはり必要であり、いわゆる国内資源というものはきわめて乏しい。そういうものに対しては、今何らの手を考えておられないようでありますが、しかし近い将来に、これについて何らかの方法を考えられるかどうか、その点をもう一応詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/31
-
032・徳永久次
○徳永政府委員 鉱山局の所管いたしております、国内で供給の十分確保できなさそうな品物について申し上げます。ニツケルでかような精錬助成法を御提案申し上げておるわけでありますが、これにほぼ似た扱いをせざるを得なかろうかと考えておりますのは、コバルトでございます。これは先般も申し上げましたように、ただその企業家の内容、その生産費の内容等を検討いたしておりますが、その点から、これと同じ方式で目的を達し得るかどうかということに、非常な疑問を持つておりますので、まだ結論に到達していないというのが、率直なただいままでの現状であります。そのほかの物質といたしましては、タングステン、モリブデン等もございますが、これはメタルとしての要求も、これは国内の資源の探査、開発ということに主眼がございますので、これに対する方法論といたしましては、若干ニツケル、コバルトに、永續性のない事業であるという点は、類似の性格を持つておるわけであります。それに対しましては、一まず私どもとしましては、新たな設備投資に対する免税措置ということと、それから必要な資金のあつせん確保ということ、あるいは技術的な援助ということで、目的を達するのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。御指摘のございました錫等につきましては、事情は異なるのでございます。国内には確かに国内の必要量の一部を充足できるだけの資源しかないのございますけれども、メタルそのものとしての輸入の確保ということには、十分の可能性が残つておると考えておるわけであります。ただいまのところ、まだ輸入しましたストツクがございますので、それによつて大部分まかなつておるということでございますけれども、日本の必要量はそのストツクがなくなりました場合には、新たに輸入し得るという見込みのもとに準備を進め、またそれぞれの向きに対しまして、かけ合つておるという状況でございます。この種の助成措置は必要でないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/32
-
033・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 金属コバルトは、こういう方法でなくてもいいというお話一ですが、それではどういう方法でやつたらいいとお考えになりますか。金属コバルトの年間必要量、あるいはその価格またさらにどういう方法でやつたらいいとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/33
-
034・徳永久次
○徳永政府委員 金属コバルトの年間の必要量といたしましては、少く見て百二十トンくらい、若干大目に見まして二百トンという数字を、需要方面から得ておりますけれども、百二十トンくらいあれば、大したことなしに済むというふうに考えておるわけであります。これに対する方法につきましては、まだ私ども結論を得ていないと申しましたが、外国におきまするコバルトは、これまたニツケルとほぼ似た條件でありまして、ベルギー・コンゴがほとんど独占的な供給をしておるわけであります。国際価格はトン当り四、五十万円のものでございます。
〔委員長退席、多武良委員長代理着席〕
コバルトにつきましては、ニツケルと同様に輸入鉱石を対象に仕事をするとしましても、鉱石そのものも実は世界にどこにもあるというわけではございませんので、その入手の目途がないわけであります。ただ国内にきわめて低品位のものでありますが、コバルトを含有している鉱石がございますので、それから製錬するという方法が考え得るわけであります。技術は日本にないわけではございません。ただそれを企業化しようといたしまして、一応の計画を立てて見たわけでございますが、ただいま到達いたしておりまする結論は、トン当り約六百万円というような非常に巨額の価格になるわけでございます。ただその数字につきましては、なお精錬技術の新しい方法というものの検討が熱心に進められておりますので、それの成り行き次第によりましては、もつと値段が下り得るかもしれないというような状況にあるわけでございます。ただその六百万円といたしました場合に、その六百万円の條件というものは、二年間需要が續くという前提で、六百万円ということに相なつておるわけでありまして、この二ツケルの場合は先ほど申しましたように、七箇月か十箇月で済むかもしれないというのと比べまして、危険度がさらに高いわけでございます。従いましてこれと同じ方式をとりました場合に、国の負担になる可能性というものが、ニツケルよりはるかに大きいと見なければならぬというところに、私どものふみ切りのつかない一つの難点があるわけでございます。さようなところで別途供給国に対しまして、他の日本の物資とのバーターというような方法による取得の可能性はないものか、これは最初に私申し上げましたように、数量そのものが非常に少い数字でございまして、さような道でもし済むなら、これに越したことはないというような点もございますし、そこらの再折衝を開始しておるわけであります。なお先ほど申しました技術の研究の進みぐあいもありますので、その様子をしばらく見たいというような状況でございまして、万一その点がほぼ似たような状況になれば、今度の法案と似たようなことになるかもしれないということで、まだ結論を出し得ない段階になつておるというような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/34
-
035・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうするとコバルトのストツクは今どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/35
-
036・徳永久次
○徳永政府委員 実は正確なお答えをし得るデーターは私ども持ち合していないわけでありますが、ニツケル、コバルトの消費者から数箇月でなくなるという話は聞いておりますが、私どもとしては責任を持つてお答えし得る数字はまだ実は把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/36
-
037・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 どうもコバルトのような重要金属のストツクがわからないというような御答弁は、はなはだどうも了解に苦しむわけであります。私はもし今局長の言われたようにコバルトのような重要金属が数箇月でなくなるという事態に至つておるといたしまするならば、先ほど来御答弁になつたようなのんきな考え方で、あるいはすぐ結論が出るかもしれないが、今の御説明では具体的な困難を解消するという方法は立つておらないようであります。そういたしますると、ニツケルに限つて急速にこういう処置をとられる一方、コバルト等についてはまだ何ら具体的な対策も立つておらないということは、先ほど河野君の指摘されたような事実が伏在しておるということも一応考えられると思う。その予算の上でニツケルよりも多額の金額を要するからと、その一つの理由を最大の理由として言われましたけれども、しかしながら必要なものであり、数箇月にしてストツクが枯渇するという事態にありまするならば、私は予算の額というものが今の御説明によつてそれほどニツケルに比較いたしまして著しく多額を要するとも思われません。そういう点で私は今の局長の御答弁は了解に苦しむのであります。まずその点はあとで局長にさらに御答弁願うといたしまして、大臣が来られましたから初めにもどりましてこの法案を提出しなければならなかつた理由を御質問したいと思う。
このやり方はドツジ方式に反しております。また吉田内閣の大方針でありまするいわゆる自由主義経済方式にも対蹠的なものである、そうして一種の国家管理の行き方であると思いますが、常にできるだけ自由主義経済でやる、そうして国家管理も片つぱしから廃止せられた吉田内閣が、こうしたやり方をとらなければならなかつた理由というものを大臣から承りたい。先ほど来の局長の御答弁によりますと、大体この二ツケルの製錬に要する新たな費用、そうしてその危険が予想せらるる費用というものは五億四千万円だという御説明でしたが、そのくらいのものは私は融資によつて行われ得るじやないか。また續いて御質問いたしまするが、今日ニツケル鉱石の入る道というものは相当明るいものがあると思う。そういう状態において大体このまま順調に進めば十箇月で危険は解消されるという御説明から考えまして、特にこうした補償の形をとり、しかもその製品が非常に高く市場に出て参るという、こうした国家管理の方式をとられるということは、私は吉田内閣の大方針にまつたく反するものであると思いますが、その点についての大臣の御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/37
-
038・横尾龍
○横尾国務大臣 ニツケルのことに関しましては、加藤委員もよく御存じかと思います。われわれは自由経済に持つて行く、統制時代のようなことをやりたくはない。しかし絶対にやらないとは申し上げなかつたと存じます。ニツケルは御存じの通り生産地も少いし、入つて来るルートもほとんどきまつております。現に本年の末までいかにしてこのニツケルを保持して行くかということに対しては、ほとんどわれわれは窮しておるのであります。これはただいまにおいて始まつたことではないのであります。昨年末からの問題でありますので、三月以前にこの法案を出したいためにいろいろと討議いたしましたけれども、多少難点があつたのがどうも解決できなくて、ようやく最近にオーケーも来たような次第でありますので、急速に出した次第であります。これだけをなぜやるか、われわれも商業ベースで買い得るものならばかようなものはやりたくないのであります。やらないのがわれわれの主張でございます。しかしないものをいくら自分らの主張だからといつてこれを拒否するということは私はいかがかと考える。それで申し上げますように、絶対やらぬということは言つておらない。必要なものはやるということは申し上げてあるのでありますから、この点は御了承を願いたいと思います。そしてニツケルの鉱石が盛んに入つて来るから、もはやそういうものはいらぬじやないか、そうして十箇月もしたならば、それがすべてを償つてしまうものであるというようなお話でありますけれども、現在の値段においてそうであります。しかし一朝にして現在の情勢がかわりまして入つて来ることになりますと、多額の費用をかけて設備したものが、またそして多額の金額をもつて輸入した鉱石がある企業会社のみでは私はこれは負担し得ないと思う。それを何かの方法をもつて助成することが現在の段階において最も必要ではないか、かように考えたのであります。もちろんこれは先刻ちようど私が出る前に河野議員から何かお話があつたようでありますが、われわれはさような考えは絶対に持たないのであります。また一、二のところにも話してみましたけれども、どうもわれわれの案に同調してくれるのはなかつたのであります。かつまた技術的に、また設備のある程度持つておられる、最も安くできるというところが、まず別子が最も必要だと思つて、現在はそれを対象にしているのであります。いろいろ世評もあるかと思いますけれども、断じてわれわれはそういうことのためにやつているのではないので、最も困難しておるところのニツケルを早く生産し得られるところを選んだのであります。またその他のところがありますならば計画をお出し願つて、その上で審議して参りたいと思います。
それからコバルトの話であります。これについては私は係りの者に対して、これもニツケル以上に必要であるから何とかならぬかということを申し上げましたけれども、コバルトに対してはやつてみようという希望者もなかつたのであります。それはもしも今後問題が起つて来るならば、私はこれに準じてやつてみたいという考えを持つておるのであります。要するにわが国において得られない物は、そうしてその物がなければならぬというものならば、あらゆる手段を講じて獲得することに努力するこそ産業に尽すもとじやなかろうかと、私はこう考えるのでありますから、さように御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/38
-
039・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 通産大臣の御信念を承りまして、大いに心強く思うわけでありますが、そうしますと刻下日本の国に必要な物の生産であつて、いわゆる個人的に自発的に企業心を持ち得ないものに対しては、すべてこういう方法をやる、こういうことになると思いまするが、私は日米経済協力が実施されまして、さらにいろいろな、いわゆる新特需と言われておるような発注が行われると思います。それにはやはりこうした将来の危険性が相当に予想される、特に特需というものは大体将来長きにわたつて発注のあるものではございません。ことに日米経済協力という形の上から考えますると、アメリカのいわゆる経済動員計画は一九五三年を限度としておるようでありまするからして、私は日米経済協力というもののみを考えますときに、やはり将来の特需に対しましても相当な危険性が予想されると思うのであります。そういう場合にやはりそうしたものに対しましてはこういう方法をとれるかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/39
-
040・横尾龍
○横尾国務大臣 私の知り得ておりまする範囲における特需は、必ずしも兵器と限つたものじやないと思つております。あの訳文を見ましても、消費資材も考えられておる。ことに東南アジアの消費資材に対しては、重く考えられておるように考えます。それらのものがはつきりいたしませんと、これは何とも申し上げかねますが、しかし兵器と申しましても、軍需と申しましても、私はかねてから申し上げますように、わが国に対して完全なる兵器をつくらせるということはあり得ない。部分品でありますが、これは量が多いか少いかの問題でありまするので、これによつて余つたからといつて、そのやつておる工場を閉鎖しなければならないような状態には私はならないと思います。またならないように初めから注文の分配をしなければならぬのじやないか。現在におきましてもまたそれに対処いたしまして、もしもこういうものが来たらば、こういうふうにするという企画をつくつておきますならば、ちようど欧州大戰後のあの造船業者が没落したような轍はふまないように考えることが私は工業人の行く道じやないか、かように考えると、ちよつとただいまのところは、そういうものに対してどういうようなことをやろうという意思はまだ持つてないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/40
-
041・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は特需が必ずしも兵器であるとは申しておりません。おそらく兵器関係におきましても、第一義的な兵器とでも申しまするか、そうしたものではなくて、第二義的あるいは補助的な兵器とでも申すものが、日本の特需として注文せられるのではないかと思うのであります。もちろん今申された民需品も注文があるようであります。またそれがアメリカ以外の他の市場にも販売されることが、いわゆる市場を見つけることができるように、マーカツト経済科学局長の声明によりましてもわかるのであります。しかし私はアメリカが日本と経済協力を結ぶという考えのもとには、今私が申しましたような日本の生産設備と技術とが許す限り、そうした第二義的でありましても、あるいは補助的な兵器でありましても、要するに兵器に類する発注が行われておる。それは私は、今大臣は危険なものは注文を受けないとおつしやいましたけれども、それではおそらく日米経済協力というものは、日本が滝つぼのような一方的なものになるのであつて、おそらくそうしたあくまで将来安全が保障されるもののみに限つて注文を受けるというような日本の都合のいいわけには参らぬと思うのであります。大臣は今そういうことをかりにりくつでおつしやいましても、事実はそうならぬということは、大臣は腹の中で御承知のことと思う。私はそういう場合において、将来危険のはなはなだしいと思われるものはすべてこういう方式をとれるかどうかということをお伺いしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/41
-
042・横尾龍
○横尾国務大臣 私は危険なものは注文をとらぬと言うたのじやないのであります。そういう危険を来さないように初めから考案をしておきたい。たとえて申しますと、特需がたくさん来るのだというようなことで、そういうことを期待して、工場を拡張してみたり人員を増してみたりするようなことは、これは愼んで行く。そうして能率を上げて、今持つておるものに多少の設備を改良してみたり、多少の人を増してみたりしてやることはあり得ると思います。ただ一箇所に固まつてやるということは先刻申し上げましたように、多数の人員を増して行つたらおしまいに困るということになりますから、そういうのは何とかあんばいをして、広くこれを製作するような形式に持つて行くのが私は必要じやなかろうかと、こう申し上げた次第であります。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/42
-
043・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今の大臣の御説明によりますと、特需の発注を受けるのは、設備の余剰能力のある範囲においてこれを受けるというふうに解釈せられるのであります。しかし私はおそらく事実はそういうわけに行かぬと思う。現在の日本の余剰能力というものは、きわめてわずかなものであります。それだけでは私は今日の国際情勢の発展に沿つていわゆる日米経済協力というものが遂行できないと思うのであります。私はそういう点で、大臣がどういう考えでおられるかということをお聞きしておるのであります。大臣は今私が、のつけから吉田内閣の大方針、自由主義経済方式の崩懐であるというようなことを申し上げたので、あまりその点触れたくないためにそういうことをおつしやるのではないかと思いまするが、私は別に吉田内閣が情勢に即応して方針をかえられても、別に吉田内閣は責任を負つて退陣しなさいということをただちに言うものではないので、今後この日米経済の発展は必ずそういう事態を予想しなければならないということを考えてお聞きしたわけであります。しかしその点理解されれば、その点を追究することはやめますが、それでは将来のニツケル鉱石の輸入の見通しでありまするが、今非常な危機が予想せられるということをおつしやいました。ところが今日の新聞を見ますると、通産大臣はマーケツト経済科学局長を昨日九時半から約一時間にわたつて訪問されて、南方開発の問題特にコバルト、ニツケル、マンガン、タングステン、それからさらにボーキサイトというようなものの開発について、具体的な打合せをやられたと報道せられております。これはマーカツト声明によりましても、いわゆる東南アジアに生産財消費財を輸出することができるであろうというようなことを声明しておりまするので、私ども当然こういうことになるであろうと予想しておつたのでありまするが、すでにこれが具体化の第一歩に入つたものであると思うのであります。この点もどういう内容であつたか御説明願いたいと思いまするが、私はおそらくこれによつて将来相当のニツケル鉱石等の輸人が保証せられるのではないか、保証とまでは行かなくとも、確実性が見通されるのではないかと思うわけであります。その点について一応御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/43
-
044・横尾龍
○横尾国務大臣 昨日の会見では、ニツケルその他のものは出なかつた。ボーキサイトの問題を出したのでありますパラオのボーキサイトを日本に渡してもらいたいということをお願いに行つたのであります。しかしちようど今向うの管理機構がかわりつつあるから――七月一日以後にかわるというお話で、多分輸入ができるだろうということでありました。そのほかは燐鉱石の問題であります。燐鉱石はなかなか困難であるというようなことでありました。その他は石炭の増産のごときものを雑談的に話したのであります。ニツケルのことに関しては、マーケツト少将からも、またケネデイ氏もマクダモツト氏も、古く何べんも何べんも話しておりますので、あらためて昨日は話さなかつたのであります。しかし鉱石の輸入に関しましては、商社なんかからも聞いて、セレベスの品位が二・五か三・五くらいのもの、低品位の、向うで使つておるような、あまり上等のものでないけれども、入る目途は大体ついております。先刻から申し上げますように、御存じのように、電話機のごときも非常に窮迫しております。またメツキ等についても非常に困つておりますので、これはぜひ入れてもらいたいというので、急いでやりつつあるのであります。その他のものに対しましても、南方の資源の開発ということまでは話はなかつたのであります。ただしかしわれわれは南方の開発と申しますか、現在ありまするものの拡張の促進等に寄与することが、わが国に原料を持つて来ることの第一歩ではなかろうかということは、常に申しておりますし、さようすることが、原料確保の近道ではないかというふうに考えておるのであります。地下資源の開発ということは、私そうなかなか簡單に行かぬのでないかと思う。それよりも、まず今さしあたりの問題は、現在開発されておるものの拡充の方向に協力することが必要ではないか、こういうふうに考えておるのであります。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/44
-
045・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 さしあたつて、日本の力で資源の開発というところまで行かないということも、当然でございます。しかしマーケツト経済科学局長の声明は、單なるマーケツト少将の声明ではなくして、アメリカ本国と十分打合せの上の声明でありますから、これは一つの日米経済協力、さらにそれに伴う大方針であろうと思います。従つて資金の日本單独で及ばないところは、日米合弁で行われることもありましよう。私は今大臣がさしあたつては行かないとおつしやつても、見通しとしては私は行くべきものである。またおそらく大臣もそう考えておられるだろうと思うのであります。しかもなおマーケツト局長の声明の中には、先ほど大臣も触れられた日本は米国に消費財を供給することができるというふうなところまで、親切に声明しておられる。従つて私は、消費財は、必要なるニツケルの原鉱石の供給ということも、確保できるということが予想できるのです。
さらにもう一つの問題は、世界の全産額の八割を占めておるカナダにおけるニツケル鉱石の問題でありますが、日米経済協力が具体化しますときに、このカナダの鉱石というものが、国際原料割当会議において日本に取得できるかどうか、できるのではないかというふうにも思うのでありますが、その点とにらみ合せて、私は大臣がこの見通しにつきまして、今私にしつぽをとられるというようなことから、なるべく将来の見通しを言わないというようなことではなくして、将来の見通しを、正直なところをおつしやつていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/45
-
046・横尾龍
○横尾国務大臣 私はあなたからしつぽをとられるから申し上げぬのじやないのであります。さように考えていないのでございますから、その点はあしからず御了承願います。さしあたつてと申しましたことは、あの資源開発という問題が、まだいかなる形式で、日米経済協力が現われて来るかということが現在わかりませんので、それが詳細にわかりましたならばその方向に向つて邁進しなければならぬ。しかし現在の段階においては、今われわれがやり得る方法は、そういうものが考えられるということを申し上げたのであります。またカナダのニツケル鉱石というお話でありますが、これは私はおそらくはモノポリーしておりますから、わけてくれればこの主ないことであります。しかしほとんど望み得ないことではなかろうかと思いまするので、むしろセレベスあたりの輸入し得る貧鉱であるといえども、これを輸入することが最も確実な、但じやないか、もちろんあなたの今のお話の通り私も同感に考えます。カナダからくれるならもらいたい、それにまた何かの機会においてそのことの要望をすることも、われわれとしては努めなければならぬ事柄ではなかろうかということは考えますけれども、先刻から申します通り、ほとんど望みないことではないかというような気持もするのであります。ニツケルの問題は、この法案によつてわれわれは補償することが、かつ生産することができるということになれば、現在の市価は私は幾らか下つて来はせぬか、またわれわれはこの補償ができたならば、当然下げた値段で供給するように努力しなければならぬ。こういうように考えます。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/46
-
047・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは一応そういうお見通しを承認するといたしましても、日米経済協力の具体化に伴つて、もしニツケル鉱石の輸入の見通しが将来明るくなつた場合は、この法律は四年を待たずして廃止して補償の方法をやめられるかどうか、あるいはあくまでこの期間中はやられるのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/47
-
048・横尾龍
○横尾国務大臣 法案をごらん願いますと書てありますが、これは三年をまず切つておるのであります。それまでにそういうようなことが必要なくなる、そして補償の額が足りるならばけつこうでありますが、足りないときにおいてのみ国家が補償するという案にしておりますので、なるたけ早くそういう国家の負担にならぬようにというので、現在の市価からは幾らか下げてでも相当の利潤をもつて販売する、こういうような法案であるのであります。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/48
-
049・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは大臣に対する基礎的な質問を一応これでやめまして、事務当局に順次伺つて行きたいと思います。しかしその中でやはり大臣に伺わなければならない問題もあろうと思いますので、そのつもりでお答え願いたいと思います。
それではお伺いいたしますが、まず第一に、二條の三項の二号ですが「当該事業のため必要な設備の工事に要する費用の額が通商産業省で定める額をこえないこと」とありますが、一体その省令というものの内容、あるいはその設備費の総括的な説明は局長からありましたが、その設備費の額を定める基準というものについて詳細に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/49
-
050・平岡廣助
○平岡説明員 実は今局長が不在でございますから、私は局長の代理でこまかいことを御説明いたしかねますけれども、この内容は大体現在までニツケルの生産をやつたことがあるところ、今後やり得る可能性があるところ、そういう設備あるいは技術に関しまして調査の上、大体大づかみな目安で、現在では一応四億円程度に押えられますけれども、これをさらに検討いたしまして、大体ニツケルの月産数量に対してこのくらいというところを検討した上、きめられることになると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/50
-
051・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは局長がおられないで答弁できないことがあるようでありますから、一応一わたりお聞きいたしまして、なおわからない点はあとで局長から承ることにいたします。
この資料の中の第一にありますニツケルの最低限度の年間必要量というものは、これは昭和二十五年度ですか、二十六年度ですか、二十五年度といたしますと、二十六年度は大体どのくらいいるお見込みであるかということを、ニツケルのみでなく、フエロニツケルについてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/51
-
052・平岡廣助
○平岡説明員 第一表の内容はこれはお話の通り、昨年の秋作成いたしたものでございまして、これはフエロニツケルとか電解ニツケルの区別なしに、いわゆるニツケルの純分がどのくらいいるかということを算定いたした資料でございます。内容をごく簡單に申し上げますと、各産業で使いますニツケルの必要量を調査いたしましたときは、年間三千八百トンでありました。他をもつて代替し得るもの、その他を検討いたしました結果、一応千四百五十九トン、こういうことではなかろうかと考えております。先ほどおつしやつたように、確かにこれは二十五年、約半年前の数字でございますので、今日になりますとその後の産業の状況の変化、その他によりまして増額するかとも思つておりますが、これは三千八百トンに対しまして千五百トンと考えました数量でございますから、多少出入りはありますけれども、現在の想定では大体一〇%内外の違いしかないのではなかろうか、大体これに近い数字であろうと考えております。
それからもう一つ、あとで質問がありましたフエロニツケルとニツケルの関係でございますが、これは最初申し上げましたように、純ニツケル分でいつておりますので、当然この中にはフエロニツケルで代替し得るものもございます。これはフエロニツケルでどのくらい行けるか、ル・ニツケルでどのくらいで済むかということは、スクラツプをも使用するという関係で、いろいろな差地金としている場合もあり、一概には申し上げられませんので、先ほど局長が答弁いたしましたように、われわれの方では大体半量程度がフエロニツケルで済むのではなかろうかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/52
-
053・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それではまた法案にもどりまして、今の第二條の三項の五号ですが、「当該申請をした者が事業を適確に遂行するに足りる能力を有する法人であること。」ということになつておりますが「事業を適確に遂行するに足りる能力」というものの基準はどこにあるかという点を詳しくお聞きかせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/53
-
054・平岡廣助
○平岡説明員 第二條第三項第五号の御質問にお答えいたします。この能力と申しますのは、これは企業能力一般をさしておるのでありまして、技術設備、また企業を遂行する経営能力と申しますか、そういつた一般的な能力をさしておるのであります。特にここにはつきり書いてありますように、従来のほかの非鉄金属の製造業、その他と多少かわつております点、一般の企業に対して考えております能力以外にかわつておる点だけを申し上げますと、ニツケルの製錬事業と申しますのは、非常に技術的にむずかしい事業でありまして、御承知の通り世界には目下のところ四社しかございません。一つはカナダの国際ニツケル会社、それからニューヨークのフアルコンブリツジ・カンパニー、一つはロンドンにありますモンドニツケル会社、その次がフランスに本社を置きますル・ニツケル、この四社しかございません。この四社は過去半世紀間継續した会社でございまして、他にこれに対抗して出た会社も、大体その後つぶれたり何かしておるような状況でありまして、根本問題は技術的に非常にむずかしい点でございます。その意味でこれは技術的に十分これを遂行し得るに足るだけの能力を持つておるかどうかということは、ほかの一般通念の企業能力以外に、重要な因子となるのであろうとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/54
-
055・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 どうも今の御説明だけでは不十分ですが、たとえば先ほど来河野委員の質問に対して、予定しておるのは乾式製錬の別子を予定しておるという話でしたが、湿式製錬と乾式製錬とは能力の点においてはなはだしい違いがあるかどうかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/55
-
056・平岡廣助
○平岡説明員 今の御質問の趣旨が私にはどうもわかりかねますが、別子鉱業が戰時中年間約千六百トンのニツケルをつくりましたが、これは乾式ではなくて、乾式と湿式と両方併用したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/56
-
057・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そういたしますると、乾式製錬と湿式製錬の間には別に能力の差はないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/57
-
058・平岡廣助
○平岡説明員 どうもその御質問の御趣旨がよくわからないのでありますが、ニツケルの製錬をいたしますときには、これはアメリカでもどこでもそうですが、一応最初に鉱石を乾式製錬でざつと処理しまして、それから湿式で電解で処理いたしております。ですから、別子鉱業の場合でもどこでも能力はバランスしておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/58
-
059・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それではその次にその事業者の指定の場合ですが、一定の基準に適合するものが多数あつた場合には、どういう方法できめられるか。その能力に応じてということですが、同じような能力のものが多数希望があつた場合には、どういうふうにして占められるかということについて伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/59
-
060・平岡廣助
○平岡説明員 これは法律が公布されまして、それに基いて政令省令が出まして、それによつて初めてどういう手續によつてきめるかということがきまると思いますので、ちよつと申し上げかねると思いますけれども、多分そのようなケースはあまりあるまいかと存じております。実際問題といたしまして、各社まつたく同一の資本投入によりまして、まつたく同一の設備をし、まつたく同一の技術者を擁し、まつたく同一の技術能力を持つというケースは、まず常識では考えられませんので、おそらくその間に甲乙があり、また一方ニツケルの需要量の万も一定の限度があるわけでございますので、おのずからそこに差がつき、おのずから指定されて来るのではなかろうかと私は考えております。但し省令、政令がきまらないと、もちろん法律もそうでありますが、各般の法律、政令がきまらないと、どういう手續によつて、どういう基準でやるかということは申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/60
-
061・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうしますと、資本の力、技術、設備の最高のものをとる、こういう御説明のようですが、そういうふうですか。私はそうした点で多少の能率あるいは規模の違いがあつても、将来のある数社をとられる、ニツケル製錬の発展のために、そういう方法をとられるものというふうに思つておりましたが、今の説明員の説明であると、厳密に調査をして、最高のもののみをとる、こういうふうに聞かれるのです。そういうふうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/61
-
062・平岡廣助
○平岡説明員 これはただいま私申し上げましたのは、最高のもの一人だけをとるということを申し上げたつもりはございませんので、そういうことは、これに續きまして各種の法律によつてきまつて来ると思いますが、これは今お伺いされました点でございますけれども、ニツケル製錬事業をこれによつて助成したいというふうに考えられております最大の根拠は、比較的短期間に、比較的十分なといいますか、必要な量を何とかして早く調達するというところに根本の目的があると考えられますし、またそのために相当額の国家補償がこれによつて行われることになりますので、当然これはもつと早く、もつと安い單価で、しかも最も少い国家補償によつてニツケルの製造を期待するのが当然でございますので、これはその必要最小限度の数量を、いかにして安い資金投入で、安い価格で出すかというところに問題がありまして、それをやるがためには、場合によりましては、一社になるかもしれませんし、もし一社では経済能力あるいは設備能力が不十分であれば、三社になることもありますし、また場合によりましては、三社になることもあり得ると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/62
-
063・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうしますると、本法のずつと後段にありまする聴聞会の問題ですが、指定の取消しをしようとするときは、公開による聴聞を行わなければならないとしてありますが、私は指定する場合にもやはり公開の聴聞会を行つて、できるだけ公正に行わなければならないのではないかと思います。われわれ国会といたしましても、そういう場合には、やはり国政調査の上から十分視察して、われわれは適正な国会の意見をも出さなければならないと思いまするが、この指定の場合に聴聞会を開かれない理由はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/63
-
064・平岡廣助
○平岡説明員 今の御質問は相当重要な御質問で、私から御説明はいたしかねるのでありますが、先ほどの指定の場合に通産大臣が指定し、取消しの場合に聴聞会を開くという差異を申し上げますと、指定を受けますと、この法律に基きまして損失の起つた場合に国家に補償を請求できる請求権が成立いたします。これを取得いたしますが、これを取消すことにいたしますと、すでに法律によつて取得した権利を失うことになります。これは相当重要な問題でありますので、指定解除の場合には特に通商産業大臣單独の意見で指定を取消すのではなくして、一旦聴聞会を開いて十分に各方面の意見を聞いた上で、一旦法律によつて取得した権利を取消すという手續をとるものと考えます。そういう意味で、指定取消しの場合には特に聴聞会を開く、指定の場合には、今申し上げましたように非常に錯雑した技術問題あるいは需給関係の問題、その他主として技術的な問題によつて機械的に指定されることになると考えられましたので、通商産業大臣が決定することになつたと考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/64
-
065・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 説明員から十分な御説明ができなければ、局長からあとで御説明願いたいと思います。指定の場合は純技術的な問題であるとおつしやいまするが、技術の認定というものは、おそらくものさし、はかりではかるようなわけにも参らないと思います。そういう場合に、やはり聴聞会あるいはそれに類する方法を考えることが必要ではないか。一つの工場を指定し、他の工場を指定しないというようなことで、ある一つの業者に特権を与えるために他の業者を圧迫するというようなことも起りまするので、私はそういう必要がありわしないかと存じますが、大臣からの御答弁がありますれば、承りたい。
それから指定の期間を四年と大体きめておられるようでありますが、その理由を承りたいと思います。要するに、四年間に大体この七條に規定されてあるような積立てをするわけですが、この期間に完全に固定設備の償却を終ることになるわけですが、四年間に完全なる償却を終るというようなことは、一般の場合には、少くとも表面に現われた経理の問題としてはあり得ないと思うわけであります。実際には非常に事業量の高いところにおいてはあるかもしれませんが、実際にそういう経理を行うところはないようであります。私は将来の危険が非常に多いから、一応この期間に償却を終つてしまうことが適当であるというふうにお考えになつたものと思うのでありますが、しかしそういうことになりますと、さらにこの事業が四年を経過しても順調に継續される場合には、この会社の受ける利益というものは非常なものになる。完全な固定設備の償却を終つてしまうというのでありますから、会社にとつては非常にボロいわけだ従つて四年間たつてなお事業が順調に継續される場合に、積み立ててある利益金の処分――処分と申しますか、新たにこれをどうするということについても一応政府は考えておられるのではないかと思いますが、この点について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/65
-
066・横尾龍
○横尾国務大臣 四年間で減価償却するということは、ほかの事業に比べてはなはだ短かいじやないかというお話でございます。ごもつともな説であります。しかしこの事業は非常に危険があります。もしも世界情勢が平穏になつて来たということになりますと、急に事業量が減つて来ますし、また外国からの輸入もでき得るようになる。そういうときになりますと、事業が危険になりまするので、早くこれの施設を償却しておいて、その後は安い値段で売らせる。第六條に書いてあります「指定業者は、政令で定める額をこえる価格でその生産したニツケルを販売してはならない」という一條がありますから、これによつて価格を低廉にさして行きたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/66
-
067・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 価格を低廉にするということは、将来のいわゆる積立て期間が終つた後ということでありまして、私が今お聞きしたのは積立て期間、補償期間中に完全なる償却を終ることによつて非常な利益を得るわけでありますが、実際その得た利益金がそのまま会社の利益となつて現われて来ると思う。それで価格を非常に低廉にするとおつしやいますが、それでは一般の、この補償を受けなかつた業者――現在はないわけでありますが、四年後にはあるかもしれません。そうした業者の販売価格との間に、今大臣がおつしやつたような方法を厳密にとられるといたしまするならば、大きな開きが出て来るわけであります。そうすると一般の業者を非常に圧迫するということになるわけでありますが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/67
-
068・平岡廣助
○平岡説明員 この補償が一応積立金で償却ができるようになつて、しかももうかるのじやないか、利益率が高いのじやないかという御質問でございますが、政令その他で定めまする販売価格は各社の原価計算その他によりまして、一応価格を押えるわけでありまして、この間に相当大きな利益率があることはわれわれは予想いたしておりません。またこれを実行いたしますために、第十條以下報告及びその他立入り検査によりまして、十分会社の経理検査をいたしながら値段を通産大臣がきめて行くことになるわけでございます。それから次の、これによつて指定を受けました以外の会社との値段の開きができるではないかという御質問でございますが、これに関しましては、将来のことになりますとわかりかねますが、現在ニツケルの製錬を二、三の工場で、これはスクラツプの製錬でございますが、それをやつております。これはアメリカから入つて来ますスクラツプを原料としておりますが、入つて来ました原料自体がすでに一トン約百万円ないし百五十万円の原料でございまして、それに製錬費その他を加えると相当の値段になつて参ります。それでこれとの関係では一応指定業者のみが値段の指定を受けまして、その他は自由価格で売ることに一応なつておりますの石、今お話があつたような問題は起るまいかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/68
-
069・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 どうも今の説明員のお話は私の申し上げるのと逆になると思いますが、もちろん私は将来の一つの過程を言つておるわけですが、かりに指定以外の業者で製錬をやる者ができて参りまして、コストが非常に高いという場合に、今大臣がおつしやつたように、この会社は極端に設備の完全償却を終つているから、あとは非常に輸入率が高くなるので、値段を安くして不当な輸入のないようにするとおつしやつた説明からすると、指定以外の業者との間に値段の開きができて来るということになるわけです。それを結果においてそういうことにならないとおつしやるのはわからない。私は時間の関係であまり一つのことにこだわつて問いたくありませんが、その点もう一応御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/69
-
070・平岡廣助
○平岡説明員 この製錬事業助成法が立案されました一番大きな目的は、ニツケルを獲得することと、安く供給しまして産業に不当の圧迫を加えないというのが目的でございますから、大量のニツケルがそういう時期になりまして安く手に入ることになりますと、これはその方がいいわけでありまして、この法律によつて生産いたします数量に対しまして、ごく微量の高価なニツケルはこれは一応やむを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/70
-
071・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この問題は、なお私の申し上げることが不備であつたかもしれませんが、あとにまわしまして、次にお伺いしますことは、この事業が中途で遂行不能になつた場合の国の補償、これは事業者に対して行われるわけであります。その場合に従業員が失業する問題が起つて参りますが、その従業員に対する補償の方法は全然法文の上に現われておりません。この点はどうなりますか。これは捨てて顧みない、捨てておいてもかまわないということになりますか。大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/71
-
072・横尾龍
○横尾国務大臣 従業員をそのままほつておくかというお話でございますが、私はこれもある程度までは業者が補償の金額に入れて来るものではないかと思つております。なお労働基準法解雇手当の規定がありますから、それに準じて事業者が支払う、その支払つた損失は補償する、こうなるものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/72
-
073・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 業者は当然従業員の補償をするものなりという前提は、少しおかしいと思う。横尾さんのようなものわかりのいい、資本家ばかりならよろしいのですけれども、もう事業をやらなくなつたから、従業者に対しては十分なる補償もできないという資本家が多いわけであります。そういう場合が起り得るのであるから、この法文の上にも、そういう点を明記しておく必要があるのではないか。事業者がこうした完全な、至れり尽せりの親切な補償を受ける規定になつております以上、従業員に対しましても、業者が補償するものなりというような甘い前提でお考えにならないで、もう少し従業員に親切な補償の規定を法文の上に明記するということは、決して私は違法でもなければ、不都合なことでもないと思いますが、もう一応お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/73
-
074・横尾龍
○横尾国務大臣 労働基準法できめられております解傭手当その他がございます。それは遂行されるものなり、つまり遂行しなければならぬ事業者の義務があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/74
-
075・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 労働基準法のあることくらいは私も承知しておりますが、しかし現在の労働基準法というものの補償と、この法律による事業家の補償というものは大きな開きがある。従つて事業者に対すると同じに、労働者にもいわゆる補償をすることが適当ではないかというふうに考えて申し上げたわけであります。なおこの点はまた後ほどあらためて意見を申し上げるといたしまして、時間を急ぎますので、次に移ります。
第八條の補償金の規定ですが、「予算に定める金額の範囲内」というものがございますが、どれほどの金額を予算の上に計上されるつもりであるか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/75
-
076・永野量
○永野説明員 御説明いたします。八條の補償金は、その危険が起つた場合に、確定した数字をもつて予算に組むという建前になつておりまして、先ほど政府委員からも説明があつたように、情勢の変化がいつ起るかということと、積み立てた額が幾らになるかということによつて基準額からの差額を生ずることになりますので、あらかじめはつきりしない。その危険が起つたときに、予算にその額を組むという建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/76
-
077・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうしますと、八條の三項の規定と、今説明員のおつしやつた点とは、どうも違うことになりはしませんか。三項は「第一項の規定による補償金の交付を受けるべき者が二以上ある場合において、交付すべき額が予算に定める金額をこえるときは、各人に交付すべき額は、同項の規定に上り交付すべき額に応じて予算に定める金額をあん分して得た額とする。」こういうふうになつておりますが、この点と矛盾して来はしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/77
-
078・永野量
○永野説明員 第三項の問題は、交付を受けるべきものが二以上ある場合ということになつておりまして、この場合に二つのうちの特定の者に、片一方の方に先に交付することになりますと、先後の関係が起きますので、その場合には按分するということにしておるわけであります。つまり交付を受けるべきものが二以上ある場合に、予算に定めてあります額がそれでまかなえないという場合には、両者で交付を受くべき額に按分して交付するということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/78
-
079・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 どうもわからないのだが、予算は今おつしやつたように、補償すべき金額が確定してから予算に組むという御説明ですが、そうですか。予算という建前からいつても、それは違うのではないかと思うのでありますが、もう一ぺん念を押して伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/79
-
080・永野量
○永野説明員 ちよつと説明が足りなかつたかと思いますが、これは年度をまたがつてやる場合、たとえば財源の計画等もあつて、二年にまたがつてやるというような場合に、今年度の分に組んだ額が全体の補償すべき額に達しないで、来年度にその残りをやるというような場合に、交付を受けるべきものが二以上ある場合に、按分するという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/80
-
081・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それではどうもこの法文がはなはだ言葉が足りないか、あるいは不親切のようであります。この法文だけを見ますと、足りない分は二年度でやるというようなことは書いてありません。結局これで見ると、足りないのは足りないで打切りになるというように解せられるのですが、この点はどうですか、今おつしやつたのがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/81
-
082・永野量
○永野説明員 これは実はもう少し説明を補足いたしますと、補償すべき金額は打切りになるということは考えておりません。ただ財源の関係等がありまして、必ずしも一年で全部交付できるかどうかという心配もありますので、年度をまたがつて予算に組むということもあり得ますので、そういうことを考えておるわけであります。従つて予算に定める金額の範囲内でということは、一応ある事故が起りますと、補償義務が発生いたしますが、現実に補償金の交付をいたしますのは、手續的に次の予算に組むということになります結果、こういう手續的な規定が入つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/82
-
083・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは大体意味がわかつたのですが、法文の言葉が足りないように思います。それはあとの問題といたしまして、今の八條の中にある問題ですが、もし事業が不能になつて廃止した場合に、その設備を処分して得た金額の差額を補償するということになりますが、この処分はいかなる方法によつて処分してもいいのかという問題であります。もしこれをいかなる方法によつて処分してもいいというように、業者の自主性にまかしておきますと、補償は国家が足りないだけはしてくれるのであるからというので、かつてな処分、あるいは場合によつては不正な処分が行われるということも予想されるわけであります。その場合はどういうふうにお考えになりますか。これは一項の一号と二号の場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/83
-
084・永野量
○永野説明員 ただいま御質問の、八條の一号、二号の、設備を処分することにより取得すべき額は、これは二号も同様でございますが、必ずしも現実に処分をした額というのではありませんで、いわゆる評価損額に相当するものでありまして、認定を要する額であります。従つてその設備が幾らに売れかということは当然役所の方で認定をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/84
-
085・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 認定で一応額をきめるということは従来やつておるところですが、認定ということにもいろいろあつて、なかなか実際に売れる市場価格と違う場合が多いのですが、その場合そういうようなことをこまかく政令できめられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/85
-
086・永野量
○永野説明員 これは政令できめる予定になつておりませんで、そのときの時価その他を考えまして役所の方で決定するのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/86
-
087・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 これは私はやはり政令等の中に規定しておいた方がよくはないかと思うわけですが、一応あとの問題といたします。
それでは、なおいろいろありまするが、局長がおいでになりませんから、大臣にお伺いしたいことは、電力の割当の問題であります。先ほど河野委員からも御質問がありましたが、これは優先的に確保するものであるかどうか。そういう点についての見通しを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/87
-
088・横尾龍
○横尾国務大臣 電力を優先的にやるかということはごもつともなことであります。しかしこれに使います電力は四国の電力の二%以下くらいになると思います。それで優先するということは、ことに力をつけるものでありますから、事業の重要性にかんがみまして、考慮して割当をしてもらうということはいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/88
-
089・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それでは最後にもう一つ大臣に承りたいことは、ニツケルの国内資源の開発の問題零あります。日本のニツケル鉱は非常に貧鉱である。従つてコストが高くついて問題にならぬという御説明でしたが、しかし日本の地下資源、鉱物資源というものは大体貧鉱が多いので、従来あらゆる場合に貧鉱処理の研究をし、あるいは奨励をし、そうしてやつて来ておるものが非常に多いわけであります。先ほど来御答弁のように、ニツケル鉱の将来の見通し、今後鉱石の入荷の見通しが非常に不安定であるといたしましたならば、そうした国内の貧鉱を処理する資源の開発についても、何か特定な方法を考慮される必要がありはしないか。できるだけ奨励して一応貧鉱処理ができ、国内の最低必要量とまでは行かなくても、いつでもある程度急の場合に応じられるような方法を考えておく必要がありはしないかと思うわけでありますが、その点は技術的に絶対不可能なものであるかどうか。不可能でなければそういう方法を講ぜられる必要がありはしないかと思いますが、技術的な点は説明員から御説明願つて、大臣のその点についてのお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/89
-
090・横尾龍
○横尾国務大臣 ごもつともな御質問であります。御存じの通り、戰時中大江山であるとか、その他非常に努力をしてニツケルの生産に努めて来たのであります。しかしとうとう生産の目的を達し得なかつた。また私の聞きまする範囲においては、現在日本のニツケル鉱というものはほんのわずかなものであり、また品位が至つて貧弱である。それだから地下資源の開発に努力せぬでよいかということでありますが、できるだけ探鉱をやるということが私は望ましいことと思います。しかし物事には限度がありますのであまりにも貧鉱でありますと、やつてみましても技術的に追いつかないのじやないか。しかし科学は進歩がありますから、絶対に不可能だということは私は申し上げませんが、現在の段階においてははなはだ困難である。しかしこれはいろいろのメタロジアルに頼みまして研究することは必要であると思います。しかし現在においてはほとんど目当はないのでありますけれども、将来まつたくできないか、あるいはまた努力しないかというお話に対しましては、私は日本の地下資源の開発には十分なる努力をし、ことにその稀少性について現在においては格段にわれわれは注意を払い、その資源の獲得に努めることに対し、貧鉱の処理も研究すべき問題である、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/90
-
091・平岡廣助
○平岡説明員 実は戰時中の五、六年間の実績を見てみますと、当時フエロニツケル及びニツケルを製錬しましたのは、すべてセレベス及びニユーカレドニアの鉱石でございました。最後にセレベス、ビルマの鉱石あたりが入らなくなつて、やむを得ず日本の国内二ツケル鉱石を帝国鉱発の手によつて開発したのであります。当時の別子、古河鉱業等純ニツケルの製錬――日本鉱業の佐賀関にありましたフエロニツケルの鉱石については、何ら政府の助成金は出ておりませんでしたけれども、国内のニツケル鉱石を掘つてつくつた場合には多額の補助金がたくさん出されておりまして、こういう経緯で終戰になりましたが、国内の鉱石は輸入鉱石に比べて非常にコストが、当時数年間の経験では高くつくという状況でありますので、今後もまず大体現状におきましては、極度の冶金学なり採鉱学の進歩を見ない限りは、当分の間戰時中の状況とあまりかわらないような事態ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/91
-
092・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 ではなお一、二点お伺いしてみたいと思います。
価格を先ほど来一応二百五、六十万円にするというお話ですが、それも何かはなはだ不確実な御説明で、はたしてそういうふうにきめられるかどうか、今のところそういうふうな見込みであるということでしたが、こういう点は私は相当重要な点でありますからなお承つておきたい。そして経済情勢の変化に応じて時々刻々かえて行かれるのかどうか、こういう点承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/92
-
093・徳永久次
○徳永政府委員 販売価格は暫定的な説明としてお聞きとり願いたいと申し上げました趣旨は、われわれ計画を立てます参考資料として、別子鉱業なり日本アルミなりの資料を検討して申し上げておるわけでございます。それから昔の、戰争中につくりました原材料の原單位、それを今の物価から引伸ばしてみた場合の計算とかいろいろなことをやつてみておるわけであります。一番大きな要素になります鉱石代は幾らになるという問題は、大体八十万円というふうに申し上げておるわけであります。これは実は確定的な契約はまだできていないわけであります。それぞれの取引の接触を保つておりまする各商社との間に、来月の中ごろには最終的な数字が折衝がかたまるであろうということも実は聞いております。一番大きくはそれによつて値段ががらつとかわるわけであります。それから輸入鉱石代は別といたしまして、製錬費そのものの価格という点につきましても、この法律によりまして問題になるのは、鉱山ができ上つて動き出すというときに正確なものが問題になるのでありまして、もちろんこの法律の施行までに生産費はこれくらいでなければならぬとかいうような、ある種のこの法律適用の要件としてのものをわれわれはつくらなければいけませんので、それはつくりますけれども、法第六條にあります販売価格そのものは、建設費が最終的にどの程度につくか、それから原材料価格というものは、石炭、コークス代とか電気料金とかいうものが、この暮までの間にどの程度にセツトルするかというような状況を見まして、最終的にきめるべき事項ではないかというふうに考えておるわけでありますが、ただいまの概算で申しますると、五百二、三十万円見当だということで御了承いただきたいということを申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/93
-
094・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 それで価格の関係する問題ですが、適正なる利潤を確保することを認めるということで、適正なる配当をしてもいい、この積立て期間中に適正な配当をしてもいいというような昨日からの御説明であつたと思うのでありますが、一方にこうした将来非常な利潤となるものを積立て、それからいわゆる固定資産の償却を四年間にやつてしまうというような積立てが行われ、そして一方に適正な配当を行うということは、これは少し会社に対してあまりにも利潤を認め過ぎるというふうにも考えられますが、その点をもう一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/94
-
095・徳永久次
○徳永政府委員 直接私は一昨日配当をすべきであるというふうには申し上げたわけではございませんで、この仕事をすることに伴う適正な利潤というものは積立金を計算し、販売価格をきめる際に原材料価格が幾らになる、あるいは管理費が幾らになるということのほかに、適正な利潤を織り込んで、それに上積みのものとして特別積立金が幾らになり販売価格が幾らになるというようにきめるべきであろうというふうに申し上げた気持であつたのでございますが、それが適正利潤を計算上見ることは妥当であるかどうか、見る必要はないのではないかという趣旨のお尋ねかと思うわけでありますが、これを逆に申しますと、かようなことに相なろうかと思うわけであります。非常に割切つた議論かと思うわけでございますが、私企業の危険においてやるに不適当な一つの事業だというふうに私どもこの事業というものを見ておるわけでございます。その際にかりに産業設備営団なら産業設備営団というようなものの仕組で国がやるといたしまして、その際に実際の設備の運営をたれかに頼んだという場合にどうなるであろうかというようなことを考えました場合に、仕事が續く間ただ働きをしてくれというふうに言うべき性質のものでないのではなかろうかと考えるわけでございます。この仕掛によりまして、お話のごとく積立金が基準額に達しないで、達しない間に事業継續不可能になつた場合に、達しなかつた差額は国から補償が行くということも事実でありますが、その際に適正利潤を計算に織り込んでいないといたしまするならば、その期間中は企業者は一文の利得にもならないで、お国にサービスをさせられるという形に結果として相なるわけであります。それで要求することがはたして條理として適当かどうかというふうな、むしろ不適当であるというふうな疑問が持たるべきでなかろうか、それをたとえて最初に申しましたように、国が設備を持つてそれの運営をどこかに頼んだという場合に、運営を引受けた人に何がしかの口銭といいますか運営費といいますか、そういうようなものを与える仕組の方が普通の常識ではなかろうかというふうに考えます。その適正利潤をどういう数字によつて求めるかということには疑問もあろうかと思いまするし、また過当に認むべきものでないとも思いまするが、認めるという考え方は、その方が條理に沿つた考え方ではないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/95
-
096・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 この問題は私が最所に大臣にお尋ねしたいろいろ将来の見通しの問題から第七條のいわゆる積立の問題一切に関連した問題で、一応局長の言われるように危険ということだけを考えて言えば、今おつしやつたようにもなるわけですが、しかし先ほども私が大臣にお伺いした第七條の積立金というものが、大体四箇年間に固定設備の全部を償却するという形になるわけであります。従つてこの四箇年間に固定資産を完全に償却するというようなこうしたやり方は、相当この会社に利益を与えるわけなんです。私はそういう点とにらみ合せて、やはり配当の制限ということは当然設けなければならない。しかもその制限ということは、私は無配当でもいいとさえ思うのであつて、きわめて厳重なる制限を設けるべきではないかというように思うわけです。それでたとえば第七條の一号、二号いわゆる積立金の問題ですが、附帶設備というものはどういうものか御説明を願いたいが、この工事に要した費用の額の百分の九十という第一項をとつてみましても、私はこうしたいわゆる製錬設備というものが、事業不能になつた場合は、これをまつたくスクラツプとして見るというようなふうにもお答えになつたように思いまするが、私はそういう見方自体があまりに会社を保護するということになる、保護し過ぎる、会社の利益だけを考え過ぎると思うわけであります。それから附帶設備というのはどういうものか、なお一応説明を願いたいと思いますけれども、何か家屋その他のそうしたものであるというようなふうに御説明があつたのですが、それらのものにつきましても、半額、百分の五十という金額を積立てることも私ははなはだ不当であるというように思うわけであります。従つて、こういう機械設備を完全にスクラツプと見るというような考え方があるとすれば、それは間違いではないか。私は製錬用の機械その他の設備等のそうした精巧な機械が完全なるスクラツプとなるというようなことは考えられないのですが、その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/96
-
097・徳永久次
○徳永政府委員 ただいまのお尋ねの点は、実は私ども第七條で議論をしていただくのが適当ではないかと思います。と申しますのは、補償金を計算いたします場合には、第八條がものをいうわけであります。と申しますのは、八條の一号なり二号をごらんいただきますと、これは廃業時において当該指定業者が有する設備を処分することによつて幾らになつたかというその損金だけを損失補償の対象に考えているわけであります。この七條というのは、これはある程度大ざつぱといつたら語弊がございますが、七條と八條とは大筋においては見合うものではありますけれども、現実の損失補償の計算は、一割なら一割がスクラツプ価格というように見るのではございませんので、もしその設備の中に、たとえば電気炉があるとしますと、その電気炉はほかの製鋼用に使えるような電気炉なんで、それを売れば買つた値段の八割くらいで売れるのだということになれば、損金は二割である。そういうふうにしか計算はしないつもりでございます。そこで現実に正確なものを八條によつて計算するつもりでございます。1この八條の担保になる積立てをしておこうという、その目標額を計算するのに七條を設けているわけでございます。製鋼所の一般的な基本設備については、非常に大ざつぱに申しますと、ニツケル製造の基本設備というものは他に流用の道がないものである、附帶設備はある程度あるだろうというふうに見れますので、大体において転用の可能性の乏しい設備につきまして償却の基準といたしております。税法上のやり方は一割を残存価格というふうにとつておりますので、その例にならつて、便宜目標額の計算上の数字として、基本設備は百分の九十とし、附帶設備は百分の五十とする、さような意味をもつていたしたわけでございます。従つて八條についてごらんいただきますれば、今のような御疑問はなくなるのだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/97
-
098・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 時間も大分遅くなりましたから私はこの辺で一応打切りますが、その点はわかつているわけです。それで私は鉱石入手の将来の見通し等とにらみ合せてということも申し上げているので、これは議論をすれば際限のない話ですが、四箇年間に固定設備の完全なる償却が行い得るようなやり方をしておいて、なお他の会社と同じような適当な利潤を見込む、配当をするということがあまりに会社の利益を擁護し過ぎやしないか。ただ将来の危険といえば――局長は危険ということだけを中心にして考えられるので、そういうことになるが、一体そうしなければ別子にしても、日本アルミにしてもやらないのかどうか。つつ込んでお伺いすれば、そういう点まで考えてひとつ御答弁をしていただきたい。そこまで補償しなければ一体別子も日本アルミもやらないのですか。四箇年間に完全に償却が行われ、利潤も十分に見られるし、配当もしてよろしい、あと事業さえ續けられればその積立てしたものは君の方の会社のまるもうけになるのだ、早い話がそういうやり方でなければ別子もやらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/98
-
099・徳永久次
○徳永政府委員 私どもはこの法案をつくります際に、こういうことならやるか、こういうことならやらないかということを、別子なりあるいは日本アルミと相談したわけでは全然ございません。ただ何らか国の補償がなければ自分たちだけで、これだけ大きな投資をするということではたまりませんということで、自分たちとしては立ち上るわけには参りませんというお話を聞いているだけでありまして、方法論は何もこの方法に限るわけではございません。いろいろな実は考えられる方法を考えてみたわけです。まあ考えますれば十種類くらいいろいろな方法はあろうかと思いますが、ただ事業の危険というものを国が見る。私企業が負担すべき危険、私企業の責任においてやるべき性質の危険としてはあまりに大き過ぎる危険であるというように考えまして、それを担保するという仕組をつくることが事業の建設そのものを円滑にすることになると考えまして、その中身としまして、私どもはきわめて常識的にどういう内容にすることが公正妥当であろうかというように考えたわけであります。今御指摘になつております点は、條文上は明確に出ていない事項でありますが、マル公をつくります際にもある程度標準というものをそういうふうに計上するのが筋道でもございますし、損をしてただ働きということを要求することはいささか妥当ではないのじやなかろうかというふうに、私どもとしては考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/99
-
100・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 別子がそういうことを要求したわけでもなければ、そういう條件でなければならないと言つたわけでもないとおつしやるが、そうしたならばこれはあまりに危険ということに重点を置き過ぎた考え方ではないかということを私は申している。同じことを何べん繰返しても同じことですが、五箇年間に固定設備の完全なる償却ということが一応行われるにかかわらず、なお利潤は十分見てもよい、配当してもよいということは少し甘過ぎはしないか。そういう点は私はどうも納得行かない。将来の危険とか、大体その鉱石は入らないものだということを予定しなければ、私企業の危険において行うものはないとおつしやる。私はニツケル鉱石の輸入の見通しは、大体先ほどの大臣のお話を聞いても、はつきりはおつしやらないけれども、見通しはついておると思う。またそれが行われなければ、日米経済協力というものは成り立たないわけです。日米経済協力がすでに大体行われるという見通しがついております以上、そこまでしなくともやれるのではないか。そこまで恩惠を与えなくてもやれるのではないかと思う。そこで私は別子がそういうことでなければやらないと言つたのかということをお聞きしたわけです。その点私はどうも当局の考え方が甘過ぎる、もし別子との取引においてそういうことが考えられたのでなければ甘過ぎると思う。私は国の補償とか、あるいはまた高い販売価格というものが需要者にかかつて来、ひいては日本のある物価にも影響して来ることを考えまするならば、そこまで資本家を甘く育てなければならないのかどうかという点に疑問を持つ。御答弁が同じことならばよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/100
-
101・徳永久次
○徳永政府委員 私一つけ加えて御説明申し上げたいと思いますが、ニツケル鉱石の輸入の可能性があるということと、事業の継續の可能性とは、実は関連はありますが、今問題になつている意味におきまして実は関連ないわけであります。と申しますのは、鉱石が入らなければこの仕事はできないわけでありますから、できませんが、しかしながら鉱石は入るといたしましても、経済的に成り立たないどいう事情がもう一つあるわけであります。と申しますのは、インターナシヨナル・ニツケルあたりのニツケルが、今はアメリカその他の軍需にとられておりますが、これが日本へ昔通り幾らでも入つて来るということになりますならば、鉱石は入つても、鉱石の値段自体がその地金の倍もするということで、その事業継續の経済的な基礎というものが全然なくなるわけであります。その点では鉱石の入るということと、事業の継續性があるということとは、無関係だと思うわけであります。
第二に私お答え申し上げたいと思いますのは、私どもこの製錬事業助成法によつて指定を受けました指定業者に対しまして、先ほど御指摘がございましたような点につきましての適正利潤を認めるか認めないかということにつきまして、認むべきものであるというふうには思いますが、しかしそれは私どもとしてはよほど注意いたしまして、それは業者を甘やかすということにならないだけの限度で辛くきめなければならぬということは、私どもとして十分感じておることでもありまするし、またさらにこの積立金がたまりましたあとにおける製錬業者の販売価格についても、これは物価庁と相談いたしまして、ある程度販売価格をチエツクして行くようにやるのが私どもとしての責任ではないかというふうに考えて、内々その相談をいたしておるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/101
-
102・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 大体局長の御答弁が私の考えに一歩近づいて具体的になつて参りましたので、私はこの辺できようは一応満足いたしておきますが、ただ、今局長が申された鉱石の価格が上るからその点まで補償するというような話は、ちよつと私受け取りかねる。石のコストが上れば販売価格を上げればいいわけで、ほかに国内にない以上、それもやむを得ないことで、だから鉱石の高いものが入つて来る場合も予想するから利潤を認めなければならぬということは、話の筋が合わぬと思いますが、私の聞き間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/102
-
103・徳永久次
○徳永政府委員 私の説明が少し不十分だつたと思いますが、輸入鉱石の値段が上るからということではございませんで、今八十万円と予想しておるわけですが、八十万円の鉱石を使つての製錬事業というものは、地金四十万円、六十万円のものが入つたら、ただちにだめになるのだという意味でございまして、買えば南方から買えるかもしれませんが、経済的には事業が成り立たなくなる、鉱石の入るという條件は残つておつても、安い地金が入るという條件が実現しますれば、つぶれてしまう事業だというふうに私は申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/103
-
104・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうすると、これ以上の高い鉱石が入ると、採算上不可能になつて物が売れなくなる、こういう結論になると思いますが、私は今の事態はそういうことではないと思うのですが、そういう意味じやないですか。その点どうもよくわからぬですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/104
-
105・徳永久次
○徳永政府委員 少し話が混線ぎみでございますが、第八條に事業の杜絶する事由を二、三例示してあげておりますが、一つは「低廉且つ豊富なニツケルの輸入の見込」ということをあげておるわけで、これは先ほど申しますように、四、五十万円の地金が買いたいだけ買えるという国際状況の変化があれば、八十万円もするような石を原料にする製錬事業は日本には成り立たなくなるというのが一つの例でございます。それから「ニツケル鉱石の取得価格の高騰」というものをあげておりますが、これは私どもこの法案の生命と申しますか許される妥当性と申しますか、ニツケルの国内市価が三百万円なり四百万円なりしておつて、業者が値段が非常に高いのみならず物がなくて困つておる、しかしこれをやることによりまして、今の市価よりもはるかに安いもので、量を十分に供給し得るというところに、こういう制度をやつて国内製錬を実現する意味合いがあるものと私は思つております。このニツケル鉱石の取得価格がべらぼうに上りまして、五百万円にも六百万円にもなるというようなことを考えました場合に、はたしてそれに国内の有効需要がついて行くか行かないかというような問題もありますし、その面から事業が継續不可能になるということもあり得るのではなかろうかということを実は例にあげておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/105
-
106・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今のお話は、どうも最後には、あり得るというような、ほんの仮定の話に辛くも逃げられたような感がいたします。この点はなお後日他の鉱石の原価か、いろいろ具体的な問題についてお伺いしたいので、私はきようは一応これで打切りまして保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/106
-
107・多武良哲三
○多武良委員長代理 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/107
-
108・風早八十二
○風早委員 時間も経過いたしましたし、また加藤委員からの質問で論点がほぼ尽されておりますので、私はこれをもう少し具体的な面からお尋ねしてみたいと思います。通産大臣もたいへん御苦労ですけれども、最後に、通産大臣からお答え願いたいと思いますから、しばらくお願いいたします。まず大体この政府助成の対象として指定業者というものを考えられておりますが、具体的に第二條第五に該当する指定業者というのはどこどこと考えておられるか、これは主として徳永鉱山局長にお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/108
-
109・徳永久次
○徳永政府委員 けさほどもお答え申し上げましたように、ただいま私ども製錬事業を対象として申請のありそうだと聞いておりますものは、一つは別子鉱業、一つは日本アルミ、一つは日本冶金、その三つぐらいしか出て来ないのではないかと見ております。但しそれはそういう話をお聞きしておるわけでありまして、若干まだ技術的その他の問題もあるわけでありまして、どこを許すかということは何もきめておるわけではございません。ただ他の事業と違いまして、銅や鉛の製錬のように、技術の普遍性が若干乏しい点もございますので、申請者が今申しました三つくらいしか予想されませんのは、その点に原因するわけであります。何でもかんでもたくさん出て来ぬという理由はそこにあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/109
-
110・風早八十二
○風早委員 その点で、日本アルミ、日本冶金は今までニツケル生産の実績はあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/110
-
111・徳永久次
○徳永政府委員 日本アルミは御承知のごとく戰時中内地でアルミナをつくり、台湾でアルミ製錬をやつておつた会社でありまして、ニツケルの製錬の実績は持つていないわけであります。ただそれと昔資本的なつながりのありました太平鉱業がニツケル製錬の技術というものを研究所におきまして研究して、ある程度の成果を得ておりますので、それを適用してみたい、そうしてアルミナ製錬の際の遊休施設を使いたいというのが大体計画の内容をなしておるわけであります。それから日本冶金そのものは、御承知のごとく戰争中大江山におきましてニツケルの硫鉄をコンマ八くらいの鉱石――これは国内鉱石でありますが、それから三%くらいのニツケル分の入つた硫鉄を、製鋼用の原料になるものをつくつておつたわけでありますが、終戰まぎわにそれを原料にしてマツトまでつくつたということは聞いております。それ以前に純ニツケルをつくつた経験はないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/111
-
112・風早八十二
○風早委員 大体そうしますと、政府としては今申請が一応出ておるのは三社、そのあとのものについては住友、別子、新居浜というようなものを除いては、指定業者に指定されるつもりは別にないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/112
-
113・徳永久次
○徳永政府委員 先ほど申しましたように、内々そういう計画を持つておるという話を聞いておるのでございますが、この法律によりまして正式に出ますか出ませんかということも、実は私どもわからないわけであります。出ました上で検討すべき問題であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/113
-
114・風早八十二
○風早委員 そのお話はどうも空漠としていて、これだけの條文をつくり、われわれがここで審議し、そうして実態がはつきりしないで、申請があるかどうかわからないという、そういうような空漠たるものを対象にして、これだけのものをつくり上げられるということは、はなはだわれわれとしてはけげんにたえない。やはり具体的にこうである、これだけやつて、これだけの要求があるぞ、これをやればこれだけできるというちやんとした、はつきりした目途があつて、初めてこれだけのものができるのでしよう。もちろんあなたの方では、この三社なら三社、あるいはその中で別子なら別子だけを考えておられるということは、これははつきりしておると思うのでありますが、ひとつその辺は具体的な実態に即して御答弁願いたいと思います。今までのあれで見ますと、大体別子が中心的というよりも、ほとんど唯一の資格に値する指定業者になると予想されるわけでありまして、われわれその面から一応お尋ねをしてみたい。次にお尋ねしたいのは、年間の需要ですね。これはいただきました統計によれば、千四百五十九トンとありますが、今年度の確たる見通しとして年間需要はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/114
-
115・徳永久次
○徳永政府委員 需要の見通しの判断というものは、非常にむずかしいわけであります。この千四百五十何トンという数字をつくりますには、私の方がつくつたわけではございませんので、経済安定本部か関係の――通産省も一番大きな関係を持つのでありますが、需要方面をとりまとめて出ました要求数字では、三千トンぐらいのものが出たということを実は聞いておりますが、しかし戰時中における使用の実績、戰後における使用の実績、その後における経済活動の変化等を見て、この数字は司令部へ懇請しますぎりぎり、これだけなければかようなことになりますからということでつくりました数字でございまして、需要はこれより大きいことは確かでございます。最少資料として出されました――三千トンもあるとは思つておりませんが、非常に客観的に見まして、千五百トン、二千トン見当ぐらいあれば、相当潤沢な供給になるものというふうに判断していいのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/115
-
116・風早八十二
○風早委員 次に、別子の生産能力の大体の推定ですが、これは過去において大体千六百トンの実績を示したときもあるというお話ですが、現在別子については、新居浜なら新居浜につきましては、月産どのくらい見込んでおられるのか。最近の実績ではまことに心細いものでございますが、しかし実際どれくらい見込んでおられるのか、可能なものとしてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/116
-
117・徳永久次
○徳永政府委員 現在の別子鉱業の生産と申しますが、これは実は原料としてスクラツプをおもに対象にして、それの電気分解をやつておるという現状であります。数トンというきわめて微々たるものでございますが、過去におきまして使つておりました遊休施設の整備という形で、少くとも月百トンぐらいのものはでき得るのではないか。あまり大きいのは好ましくもございません。それとて復旧でございまするので、全然新設ではないわけであります。ある程度過去の姿に制約を受ける点もあり、まあ百トン見当くらいの計画になるのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/117
-
118・風早八十二
○風早委員 かりに百トンとしまして、別子が新しく百トンを月々つくるということになりますと、その設備資金であるとか、そのほか鉱石の輸入等に要する大体の費用、そういうものは相当莫大に上ると思うのですが、これは鉱石輸入の値段いかんにもよりますが、大体八、九億万円と考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/118
-
119・徳永久次
○徳永政府委員 先ほど他の委員からお尋ねがございまして、お答え申し上げたのですが、百トンくらいの設備のものといたしまして、建設費が三億ないし四億、それから運転用として持たなければならない鉱石がかりに三月分程度といたしまして一億四千万、事業運営にいります資金としてはその程度のものではないか、鉱石につきましては、輸入手形による処理の関係もございますし、全部現金を用意しなければならぬということにもならぬかと思いますが、資金としてはそんな見当でいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/119
-
120・風早八十二
○風早委員 そこでこの法文にもいろいろ出ておりますところの減価償却の問題ですが、この国家補償とも関連させて、大体減価償却の方法といいますが、そういうものは具体的に言つてどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/120
-
121・徳永久次
○徳永政府委員 この法文にございまする特別積立金制度があるわけでありますが、この積立金の目標を、今の建設費を基準にして考えますと、非常に大ざつぱな議論で申しまして、五億なら五億ということにいたしまして、その五億の金を月々その生産販売いたしました数量に応じてためて行くということでございまして、それが完了しまするならば、この事業の危険というものはそれによつてカバーされるわけであります。生じます損失というのは、設備がだめになるとか、手持ちをしておる鉱石がだめになるということでございますので、それをためるようなことをもくろんだのであります。実質的にはそれが償却の方法になろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/121
-
122・風早八十二
○風早委員 なるべく実態に即して、問題がもうこれは何のかんのといつても、考えられておる年間需要のほとんど全部に近いものを別子一社でまかなうことになるわけでありますから、別子なら別子について具体的にこの法文を生かしてひとつ御説明をお願いしたいと思うのです。
そういう積立金の制度ということは、よくわかりましたが、そこでその積立金の場合、この政令で定める値段というものと、それから販売値段というものとは非常に違うらしい。これが非常にわからない点なのですが、これはことさらに積立てをするために、その販売価格を、政令で定める価格よりずつと上まわつてきめ、これで売るというわけで、その積立金というのはつまり普通の市場価格たり得たものにプラス何がしというものが、実際市場価格というか、販売価格になるわけです。そうしますと、その差額というものは、かりに政令できめる値段を百七十万円なら百七十万円にし、販売価格を二百万円とすれば、トン当り三十万円なら三十万円という差額ができるわけです。そういうものはなるべく値段を安くすると言われますが、実際値段を高くして、他のこれを購入する側へ転嫁するという形をとられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/122
-
123・徳永久次
○徳永政府委員 政令で定める額というのが実は販売価格でございます。これをきめます場合に償却費を除いた生産費、鉱石代なり、コークス代、電力代、労務費なりというものから割り出されまする生産費というものが出ますが、それにプラス先ほど加藤さんの御質問にお答えしておきましたある程度の適正利潤というものを見まして、それがいわば原価みたいな形になるわけです。それに特別積立金と申しますのは短期償却をやるための償却引当金であるというような性質を持つたものになるわけです。これがトン当り三十万とか、五十万とかいうようなことになるわけです。それを積み上げまして販売価格というものが二百万円とか二百二、三十万円とかいうふうにきめられるということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/123
-
124・風早八十二
○風早委員 それはいずれの場合にも結局政令で定めるということになるでしようが、提案の理由書を見まして非常にわからないのは、提案理由書の三ページの三行目に「政令で定める価格をこえる価格で販売し」、こうあるわけです。ですからその前に政令で定める価格がきまつておるわけです。その政令で定める価格というのは、減価償却を除いてわざわざそういう価格をきめるというのは妙な話だと思うのですが、大体販売価格にしても、価格というのはそういうものが必ず入つておるはずだと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/124
-
125・横尾龍
○横尾国務大臣 今の価格のきめ方はこちらに書いてあるのと、そちらに書いてあるのが言い現し方が反対になつております。そちらに書いてあるのは、「指定業者は、政令で定める額をこえる価格でその生産したニツケルを販売してはならない。」私が申しました説明書には、指定業者は指定価格より以下で販売しろというような言い現し方だつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/125
-
126・風早八十二
○風早委員 そういうくだらないミス・プリントを配付されては困るですが、価格の上にも明らかに積立金というものを二重に積み立てるのか、いずれにしましても私が今お尋ねしました点、すなわち通常に売れる値段、売つてやはり会社としては相当な利潤があるというその値段に対して、特別な積立金をやるという制度だと考えていいわけですね。その場合にはやはり販売価格というものは普通の場合の考え方で行つている販売価格にプラス何がしか特別な減価償却費、これは結局二重になるのじやないかと思うのですが、そういうものを織り込んだということになるのですか。具体的に言いますと、たとえば百七十万円というものがトン当り出て来るという場合に、それは何と何を含んでいるか、減価償却費を含んでないものが出て来るのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/126
-
127・横尾龍
○横尾国務大臣 今の価格の問題は非常にデリケートなものでありますから、よく御了解願いたいと思います。現在のニツケルの販売価格は相当に高いのでありまして、二百三十万円とかあるいは三百万円と称せられておる。ところが今鉱山局長が説明いたしましたように、ほんとうの生産原価――いわゆる製錬費用、それに鉱石代、これがほんとうの生産価格であります。それに幾らかの利潤は当然つけなければならない。つけてもなおかつ二百何十万円というような価格にならない。それでほんとうに市価がこれだからそれで売つていいわけなのです。それよりも幾らか安い値段で、その差額だけは積み立てさせる、こういうことなのです。その差額はお前たち全部とつてはいけない。それはお前たちが危険でやれない。私企業ではこの危険の分担が負いきれないというようなことだから、現在の販売価格が高いからそれよりも以下で、そして減価償却でき得る金額を加えたもので売らそう、こういうことなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/127
-
128・風早八十二
○風早委員 そうなりますと、少し食い違つて来るのですが、確かに国内市価というものは現在めちやくちやに上つて来ています。しかしこれは去年の暮ごろからの話で、昨年十一月は大体百四十万円、十月は八十七万円、これはほとんど倍くらい、幾何級数的に上つて来ております。結局昨年の十二月から二百万円台になつて、現在は二百五十万円とか出ておりますが、この問題をほんとうに考えて、今言つておられるようになれば、それでまた私はお尋ねの仕方がかわつて来ます。今百七十万円とか二百万円とかいつたのは、この法案をつくられます過程で皆様方が考えられた一つの計算の基礎だろうと思いますが、それでは現在二百五十万円が大体市価だという場合に、具体的に二百五十万円の中から数十万円を積立金にするおつもりであるのか、それとも二百五十万円に何かの積立金に当るものをつけ加えたもので売り出そう、こういうことになるのか、その点がはつきりすればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/128
-
129・横尾龍
○横尾国務大臣 御存じのように物価は物がないときに高くなることは当然であります。そのゆえに今二百四、五十万円も三百万円もしているのであります。それは何を現わしているかといえば、物がないということを、物が入らないということを物語つているものと私は考えます。だからこういう法案でもつくつて、ニツケルを生産しなければいかぬというのでございます。従つて二百五十万円しておるのに、それよりも安い値で売つて行こう、だから現在の市価にある程度加えるという意味ではないのであります。先刻申し上げます生産コスト、それにある程度の利潤を加えたものが、なおかつそれが現在の市価よりも非常に安いのだから、その現在の市価よりも高くして売ろうという考えは一つもないのであります。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/129
-
130・風早八十二
○風早委員 一般に今まで伝えられているところではその逆で、その差額、つまり積立金に充てるものはこれは超過利潤と考えられておつたと思うのです。従つてその上にはみ出るものだというふうに考えておつたと思うのです。そのうちどんどん市価が上りますから、今あなたの言われるようなりくつにさも合うように考えられますが、実際は一般にそういうふうに理解されておつたと思うのです。今大臣のお話だと、これはむしろ損失ですね。ちやんと一般の販売市価があつて、その中から特に一トン当り何十万円か積立てて行く、こういうことになるわけですね。損失になるわけですが、――必ずしも損失とも言えないのですが、言えないけれども、損失になつてもそれは政令できめる額をやはり積立てなければならぬのか、こういうことであるのですが、もしそうだとすれば、大体どのくらいをトン当りの額として積立てようと考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/130
-
131・徳永久次
○徳永政府委員 仮の数字でありますけれども、今見当をつけております数字で申し上げますれば、償却費を拔きました生産費が鉱石代八十万円入れましても、百七十万円ならできるであろうというふうに大ざつぱに見ておるわけです。それにかりに五十万円の特別償却金といいますか、その意味合いを持つておりまする本法にいわゆる特別積立金というものを加算いたしまして、二百二十万円になるわけです。二百二十万円ということは現在の市価よりもはるかに低いものである。われわれはこの製錬業を国内で起して需要を充足するのみならず、今の市価よりも安いものを供給し得るというところに本案のみそがあるというふうに見ていただいていいのじやなかろうかと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/131
-
132・風早八十二
○風早委員 一応わかりました。そうするとそのいわゆる生産費と言われるのは、百七十万円にしましても、それはまつたくあらゆる意味で償却費というものは拔いてあるというわけですね。但しその償却費は非常に年限を縮めて短期間に償却させるという意味で特別に多額を政府では考えている。こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/132
-
133・横尾龍
○横尾国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/133
-
134・風早八十二
○風早委員 わかりました。しかしそれにしても今の国際価格も若干は上つておりますが、国内価格というのはこれはとてもお話にならない開きがあるのじやないかと思うのです。ですからこれは正常に輸入がなされるということであれば、正常でなくともある程度輸入がなされるということであれば非常にこの点は違つて来ると思うのです。今非常に短期間に各国とも売りどめをし買いあさりをした。ちようどその過程に当つておるということです。そのために非常にきゆうくつでにわかに値段が上つたという事情があるかもしれませんが、国際価格と見合つて国内が高いものだからあまりに幅があるように思う。これは古い統計になつておりますが、四、五十万円になつております。これはあまりひどいと思うのですが、その間の関係についてはどういう見通しを持つておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/134
-
135・徳永久次
○徳永政府委員 この四、五十万円の国際価格を決定いたしておりまするインターナシヨナル・ニツケルの生産條件といいますか、これは鉱石の性質も全然違うものでございますし、製錬所も山元に持つておる。大規模の露天掘及び坑内掘による硫化鉱を原料にしておる。しかも設備は十分償却済みの設備であろうと思います。従いましてこのインターナシヨナル・ニツケルは最近になつて若干値段を上げておりますけれども、昔の四十セントか五十セントに当つたくらいの二割か二割五分上りました程度で済ませておる。また済ませておるだけの実力を持つておるものと思つております。従いましてその価格は将来もそう上らないというふうに私どもは見ておるわけであります。それに対して日本では量が足りないから、何とかしてこういうことをもくろんでおりますけれども、石代そのものが向うの地金になつたものの倍もするものを契約せざるを得ないということは、はなはだ残念なことではございまするが、しかしなければ供給は確保できないということで、万やむを得ずやつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/135
-
136・風早八十二
○風早委員 そこでたとえば特需の場合ですが、この製品を輸出して、アメリカならアメリカで買い上げるという場合に、実際これだけの原料高で引合う見通しはあるのですか。大体向うは安いニツケルでやつておるわけです。それに対してやはり見合うような安い製品価格で売らなければならないというふうな場合、こういう高い原料でやつて、その原料高の負担はみんな国内の業者が負うわけですが、それによつて引合うかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/136
-
137・徳永久次
○徳永政府委員 いわゆる特需に対しますものにつきましては、実は別途輸入がもくろまれておるわけです。その数量は限られておりまするけれども、三百数十トンのものが予定されておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/137
-
138・風早八十二
○風早委員 それは鉱石ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/138
-
139・徳永久次
○徳永政府委員 いや、メタルです。これは安い四、五十万円のものが入つて来る。それが引当てられるというふうに見ておるわけです。なお高いニツケルを使いましての問題でございますが、たとえば輸出用の自転車というものを考えました場合に、ニツケルメツキをしない自転車というものが輸出できなくなるであろうことはわかりやすい道理だと思いますが、ニツケルの国際価格に比べて五倍もするという非常に高い価格ではございまするが、それが自転車の生産費に及ぼす影響というものは非常に微々たるものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/139
-
140・風早八十二
○風早委員 特需用のほかに民需用として入つて来るニツケルは、大体どのくらいと見通されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/140
-
141・徳永久次
○徳永政府委員 これは私ども最近のいろいろな折衝の経緯等から見まして、メタルの地金の形ではほとんど入らないのではないかというふうに観測いたしているわけであります。ただスクラツプとかマツトとかいうような形ではある程度アメリカで輸出を許してくれておりまするので、それによつて買付が行われておるわけであります。これは非常に大ざつぱに見まして、買入れニツケル分は一・四半期につきまして百トンくらいあるではなかろうかというふうに見ております。但しただいままでわかつておりまする買付済みのものは、いずれも値段は二百万円なりあるいはそれ以上のものとしてしか入つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/141
-
142・風早八十二
○風早委員 そうするとマツトの形では三、四百トンくらいは入る。その値段はもちろん国際価格で非常に安く入つて来るわけでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/142
-
143・徳永久次
○徳永政府委員 ただいま申しましたように、地金で入りますと、いわゆるしつかりした会社の分が入つて来るわけでございますから、四十万円とか五十万円で入つて来るわけですが、スクラツプになりますと、アメリカの市場にあるものを買いあさつて来るものですから、その価格はべらぼうに高い。ですから日本の買付済みのものもやはり二百万円なり三百万円というように相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/143
-
144・風早八十二
○風早委員 そうしますと、特需で二ツケルのちやんとメタルになつて入つて来るものが五十万円なり六十万円であつて、スクラツプが二百万円で入つて来る。これは民需と特需と手当の仕方が違うという意味でそういうことになるわけですね。そうしますと、民需の場合にはそれを国内で売つてもうけるという余地はないわけですね。特需の場合にそれを特別に売つてもうけるという余地もまたないわけですね。これはまた返さなければならないものになる。そういうところから全然余分な金は出て来ないと見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/144
-
145・徳永久次
○徳永政府委員 御承知のように、私ども今回提案いたします前の案ではそういうものがありそうだということで、そういうものを当てにしたような法案を実は用意しておつたわけであります。その後の状況はただいま申し上げましたごとく、ただいまのところでは、安い地金は全部特需向けのものしか入らないことが予想される。それからスクラツプ類は買付ができる、向うの輸出許可をもらえるという目途はありますが、将来はわかりませんが、今まで入りましたものは――まだ現物は入つておりませんが、買付済みのものはいずれも値段が高い。かりにこれによりまして二百万円、二百五十万円の売値にきめたといたしました場合に、それと同等かそれより高いものしか輸入されようとしていないというふうな現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/145
-
146・風早八十二
○風早委員 次々に情勢がかわつて来て、ますます不利になつて来おるのでそういうことになると思うのですが、実は大体が根本に相当無理があると思う。これはあとでまたいろいろ具体的にただしてみたいと思います。この別子の新居浜なら新居浜に月百トンもつくらせるということになつて、ほんとうにこれを確保して行くということになりますと、莫大な減価償却費がいるわけです。それはただ積立金を三十万円なり五十万円なり積んだだけでやつて行かれるということは、つまり短期間の償却ということは困難です。いろいろ民需用で入つて来るニツケルなりマツトなり、そういうものを国内で普通の国内市価で売却して、その差額を減価償却に充てて行くというようなことは、方針としては考えておられるのですか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/146
-
147・徳永久次
○徳永政府委員 国内の市価をどうつかむかということにもなろうかと思いますが、先ほど大臣からお話もございましたように、今新規の輸入がほとんど行われていないために、二百五十万円とか三百万円とか四百万円というような値段が国内に形成されておるわけでありますが、月百トンなりのものが供給できるという際に、二百五十万円であるか三百万円であるか、それを国内価格にしたらいいじやないかというのは少し行き過ぎではなかろうか。当然量がふえれば値段は下るべきものであるという、その辺から最高の限界というものは考えた方がいいのじやないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/147
-
148・風早八十二
○風早委員 この千五百トンなら千五百トンの年間需要の中で、特需としての割合はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/148
-
149・徳永久次
○徳永政府委員 お配りしております資料の中に、千四百五十九トンと推定いたしました場合の特需としての数字も、実は上げているつもりでございますが、二百二十四トンという数字を上げてあります。もちろんこれも、推定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/149
-
150・風早八十二
○風早委員 次に国家補償の問題ですが、先ほどの説明員の御答弁の中に、これは予算に計上しているように言われたのですが、そこでいろいろ疑問が起つておつたようですが、今年度の予算には少くともそれが計上してないわけですか。その点ちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/150
-
151・徳永久次
○徳永政府委員 本年度の予算には、この分の補償金という形では全然計上いたしてないわけであります。予算の技術上の問題といたしましては、事故が起りまして、この法律の適用によりまして、補償金をやらなければならぬということになりました場合に、その金額が確定し、その当然会計年度において、もし予備金等の流用という形で補償が実現できれば、その方で参りますし、それで不足するという場合には、翌年度の分に不足分を予算に織り込むという手續によるというように予定いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/151
-
152・風早八十二
○風早委員 むろん損失の出るということは将来の問題ですから、これを今からどうこうということは言えないのでありますが、そうしますと、予算に全然なくて、いよいよとなればどこからかひねり出すというには、あまりに損失額というものは多額であろうと思います。設備資金また原鉱輸入の費用その他を合せると、相当莫大なものになる。特に設備資金は何億というような、相当莫大なものになるわけですが、そういつたような莫大な費用を、全然予算に計上しないというそのこと自身が、この法案の根底を疑わせるのですが、しかしその場合には、追加予算を要求するというふうな御答弁もあると思つていたのですが、何とか予算の中でやりくりして参ろうというような、そういうきわめて安易なお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/152
-
153・徳永久次
○徳永政府委員 私が申し上げましたのは、追加予算なりあるいは補正予算なり、あるいはちようど新年度予算の編成時期でありますならば、新年度予算という形に現われるということであります。いずれにいたしましても、事故が起りまして法律上の義務が固まつてから、その直後の時期に予算の形で現われて参るというふうに予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/153
-
154・風早八十二
○風早委員 その点は非常に法案がルーズじやないかと私は思いますが、それはそれくらいにしておきます。
大体この減価償却の年限は、今の見通しでは何年ぐらいと見ておりますか。先ほど四箇年というような話が出ておりましたが、大体四箇年ぐらいと見通しておられるのか。あるいはもつと短期間の償却を考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/154
-
155・徳永久次
○徳永政府委員 この法律自身は、まともに償却期間についての特例を開くというような組み方に、実はなつていないわけでございます。従いまして業者としては、償却の特例というものは他に持つておるのであります。この法律によれば、第八條の補償金をもらいました場合に、第九條によりまして、補償金に相当する金額は、帳簿価額を減額してよろしいという特典を持つているわけであります。そのほかには償却上の特典は持つているわけではございません。ただ積立金に対しましては、法人税法第何條かにあります重要物産の指定をいたしまして、本法によります指定業者のみならず、ほかにニツケルの生産者というものがございますが、そういう人たちと共通に、三年間法人税の免税を受けるという特典を考えているわけであります。従いましてこの積立金が、償却を要すべき資産相当額を目標にし、それを積立てるという仕組をとつているわけであります。積立てができましたならば、償却は、普通の償却によつて、その設備の内容によりまして、あるいは十年あるいは十五年をかけて償却する、その償却する元金がここに課税の対象外のものとして与えられているというように組立ててあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/155
-
156・風早八十二
○風早委員 もう一点だけ数字をお尋ねしておきたいのですが、このニツケルの年間需要の推移ですが、大体二十六年度の一応の予想は千四百五十九トンということですが、その戰後の推移はどうなつておりますか。統計が出ていないので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/156
-
157・徳永久次
○徳永政府委員 昭和二十一年が九百五十六トン、二十二年が千二百十トン、二十三年が千六百五十七トン二十四年が千八百四十二トン、二十五年が千六百九十八トンという消費実績を推定いたしております。これは全部推定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/157
-
158・風早八十二
○風早委員 そうしますと、必ずしも年間需要というものが特別に増大したというわけでもないのですが、今突然こういうふうな法案を出されるというその趣旨、趣旨を総括して局長からお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/158
-
159・徳永久次
○徳永政府委員 こういう国内生産を考えました趣旨は、昨年の夏以来輸入が、つまり朝鮮事変の勃発以来、世界の軍備拡張の趨勢に伴いまして、ニツケルの需要が厖大にふえて参つておりまして、その結果としまして、日本の必要とするものが獲得できる見込みがなくなつた。ゼロではございませんが、先ほど来申し上げましたようなことで、十分なものが確保できないというようなことが、根本の動機になつておるわけであります。何とかして供給確保のことを考えたいと思いまして、いろいろと研究いたしておつたわけでありますが、産業設備営団等で事業をやるのも一つの方法かと思うのでありまして、それがいかなる成行きを示すかということも注意深く見守つておつたのであります。ところが三月末日で事業廃止ということになつた。さようなことで、その他爾余のことをいろいろ考えて案をつくり、大蔵省なりその他と折衝をいたし、また関係方面とも折衝いたしました結果、この案がいわば唯一最も適当な案であろうということになりまして、この案をとりまとめまして提案いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/159
-
160・風早八十二
○風早委員 最後に横尾通産大臣にお聞きしたい。こういう厖大な需要が新しく起つたが、これは決して日本だけの問題ではなくて、むしろアメリカ自身の問題だと思います。アメリカが非常な軍拡をやり、ニツケルというようなものは、言うまでもなくアメリカとしては貴重な品目として相当買いあさりもやり、また生産も大いに増強するというようなことで需要が非常に起つたのだと思いますが、そのとばつちりとして、あるいはまたそのアメリカ自身からも、日本の可能な限り、あるいは可能な限度をこえても日本の生産能力を同じ目的に奉仕させる、こういう点からその問題が起つて来たのだと思われますが、政府としては、また通産大臣としては、このニツケル生産の根本の意義、そういうものは主としてどういうところにあると考えるか。と申しますのは、これによつて、今度は国家補償をして国内増産をはかるということであるわけですが、その場合の負担というのは、これは言うまでもなく国民負担になるわけであります。その国民負担をも覚悟してやはりこのニツケル増産をやらなければならないという、その根本の意義、それについて大臣の抱負を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/160
-
161・横尾龍
○横尾国務大臣 ニツケルが何に使われるか、そしてまた国民生活の何に使われるかということは私が申すまでもなく御存じの通りであります。しかるにわが国は資源がほとんどない、皆無だというときには、外国からこれを仰がなければならぬ。その外国の供給源がもはや断ち切られつある。そういうときには、国民負担となるというお話でありますけれども、私はむしろ国民負担を軽くするものである。こういう考えのもとにニツケルの生産を始めようとするのであります。これがなければ国民が困るような事態が発生することは御存じの通り。よく電話の故障だということになるとニツケルがないから困るのだという話を聞きます。またその他のニツケルを含む鉄合金のごときも非常に窮乏しているということは、もはや風早委員も御存じの通りであります。かかる際に国民の負担になるとか、あるいは何がためにこれを放置するということは、私はむしろ国民の負担を重くするものなりという考えでありますので、この法案を出しまして、これによつてニツケルの生産を――増産ではありません、生産であります。生産をやつて行きたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/161
-
162・風早八十二
○風早委員 大臣の言われる国民負担を軽くするという場合の国民ですが、これは私の考えておる国民とはちよつと違うと思うのです。この国家補償というのは、これは莫大な、少くも数億円を要する相当まとまつた費用でありまして、やはりそれだけ国民の税金負担になるということは言うまでもありません。そういう意味で私は国民負担ということを言つているのです。あなたの言われる国民負担を軽くするという意味は、つまりその場合生産業者と言つても、これは指定業者であり、具体的に言えば住友の新居浜である。この新居浜の経営負担を軽くする。それならばお話はわかるのです。そのために国家補償、すなわち国民の税金負担でこれを補償するということになるわけです。それで必要というのか。また今日厖大な需要が起つたということを言われておりましたが、この需要というのは、言うまでもなくこれは軍拡の需要なのです。特に朝鮮問題以来起つた需要もうそれ以外の何ものでもないわけです。むしろそのとばつちりを何とか解決しなければならぬというので、結局国民の税金、つまり税金でありますが、それでこれをまかなうことによつて一部の、一部といつてもたつた一軒の住友新居浜工場の経営の採算を補償する。あなたのお話を総合して見るとこういうことになると思うのであります。結局、これまた現在政府がとつておられる、いわゆる日米経済協力といいますか、その根本の理念に沿つた皆様方のサービスである、こういうことになると思うのですが、最後に大臣の弁解なり何なりお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/162
-
163・横尾龍
○横尾国務大臣 特需のためにはこれはほかに入つておりますから、これのために民需を圧迫するという意味ではないのであります。民需用としてはほとんど入つて来ないのであります。その足りないのを補うのは私は必要であると思う。国民負担と申しますが、税金という意味はないのであります。国民はこれがなければ至つて困る。日常の用具にも困るということの負担であります。あなたの税金の負担とおつしやることとは多少違うのであります。それゆえに、われわれは税金で取立てた金をなるたけ使わないように、そうして時価よりも安いもので、生産費と時価との差額を積立てて、それをもつて早く償却させようというのがこの案の趣旨であります。重ねて申し上げますが、朝鮮事変とか、軍需用とか、特需とか、そういうものに使うのはこの中から行かないのであります。これは民需に使つてなおかつ足りないくらいであります。たとえば輸出の自転車のごとき、メツキをしなければ輸出ができないことになりまして、ニツケルがなかつたならばだれがその輸出できない負担を補うか。これが私の申し上げる国民負担だ、かように考えております。あるいは医療機械のメツキのごときもしかりであります。医療機械のメツキができないならば、だれがその負担を負うか。これが私の申します国民負担であります。單なる国民の税金負担という意味ではないのでありますから、さよう御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/163
-
164・風早八十二
○風早委員 あなたの言われる国民負担の軽減というのは、つまり国民の需要の不足を補う、こういう意味だと言われるのですね。それはそれとしておきまして、それにも問題はありまするが、そのことと私が言つている国民の税金負担でこれを補償しているということとは、これはまつたく別ものなんです。私の言つていることを一つもあなたは否定することにならないわけです。国民の税金負担でなければ国庫の補償ということはできない、そのことを言つているわけです。さらに今言われました負担を軽減すると言われる意味で、国民の需要がそれでは満たないじやないか、だからこれを満たすためにやるのだ、つまりその意味で国民負担の軽減なんだ、こういうお話ですが、一体何にこのニツケルというものをわれわれが使い、また使わなければならぬか。これこそ先ほどのお言葉を返すわけじやないが、横尾通産大臣が一番よく御存じだと思います。今日軍需的な用途が新しく出て来て、これに日本もやはり協力しなければならぬということを拔きにしたら、実際のわれわれの日常生活にニツケルをどこで使うかということはたかが知れているのです。そういう点は何も新しい問題じやないので、新しく出て来たといえば、やはり特需と名をつけようとつけまいと、実際の新しい需要という問題はそれがなければ実際の軍需品がつくれない。だから軍需品を遺憾なくつくらせるために、日本も一はだ脱がなければならぬ。但し一はだ脱ぐためには、やはり国民の負担がそこに加重せられる、こういう問題でしかないと思うのです。その点で今の御答弁では、これはつまり顧みて他を言つておられるのだと言わざるを得ないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/164
-
165・横尾龍
○横尾国務大臣 今お話の、何に使うかという問題でありますが、差上げてあります第一表をごらん願いますればわかるのであります。船舶、機械その他に使うもので、ステンレスのために三百六十トン使う、特殊鋼に百三十トン、ニクロム線に五十トン、通信機械に二百七十六トン、鑄鍛鋼に二百二トン、それからロールに百十五トン、それから自動車に五十九トン、自転車に三十トン、電気機械に六十三トン、かくのごとく、これは特需があつてもなくてもいるものであります。だからあなたは何に使うかとおつしやいますが、これがなかつたらわれわれ国民にどれだけの不便が生じ、負担が生ずるかということはごらんの通りであります。
もう一つの、あなたの補償ということが、あなたのお言葉で申しますと、国民の血税を使うのじやないかというお言葉でありますが、しかしこれを少くするために補償金で時価よりも幾らか安くして、そうしてある程度のものを積み立てようというであります。すべてを国民の血税に持つて行こうというのではないのであります。それからまたこれを生産したからといつて、何も軍需に使うということは申し上げていない、特需に使うということは申し上げていない。だからその点は誤解のないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/165
-
166・風早八十二
○風早委員 通産大臣からそういうことをお聞きすると、はなはだこちらはとまどうのですが、特殊鋼にしても電気通信機械にしても、また造船にしても、輸出製品のめつき用と言いますか、この輸出製品とは何であるかということを考えれば、これらは全部今日戰争に使われる軍需品なのです。それ以外の何ものでもない。私はここに書いてあるこの品物を言つているのです。特別にニツケルがすぐ飛行機なにつて飛び立つと言つているわけでもない。軍需品というものは今日きわめて広汎で、多岐で、いずれもこれらは新しい、今企図せられている戰争目的に使われる品物であるということを言つておきます。
それからなおどうしてもこれはおわかりにならぬようですが、これはおわかりにならなくてもいいのですが、この国庫補償が税金負担であるということは、だれも否定することはできないということを言つておきます。さらに市価よりも安く売るというお話ですが、今後実際にコストが下つて来れば別問題でありますが、そうでない限りそんなことはまつたく考えられない、でたらめだと私は考えます。どうしたつてこの積立てというものは、やはり経済的な採算の範囲で行われているものと考えざるを得ないわけです。しかもそれでまだ足りなくて、いろいろ新しく安く輸入せられる品物を国内で高く売りつけて、その差額をこの減価償却費の中へ繰込んで行く、こういう企図をあなた方は持つておられるわけであります。結局国際価格あるいはそれに準ずるもので安く買えるはずのものが、業者自身にとつては高く売りつけられる、こういう点もあわせて考えますと、これはただ税金の負担というだけでなくて、いろいろな面で他のニツケル消費者、これらの負担によりまして、その負担を一部かけることによりまして、そうして一指定業者をどこまでも、最後の最後までめんどうを見て行く、こういう法案であるとわれわれは考えざるを得ないわけであります。しかしこの日米経済協力の根本観念について、またこれに対する態度について、大臣と私と大分見解が根本的に違いますから、またこの議論はここからだけしたつてしようがないので、大体このくらいにして私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/166
-
167・横尾龍
○横尾国務大臣 風早さんにひとつお願いしておきます。何かのときは常にすべてそれが軍需、特需に直結あるいは世界戰争に直結したようなお話を承りますが、表に示してあるように日常にいるものをやつているのでありますから、この点は聰明な風早さんの御了解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/167
-
168・風早八十二
○風早委員 やめようと思いましたけれども、たとえば計量法案が昨日すでに通りました。こういうものに対して私どもは決してこれが軍需であるとか、あるいはアメリカの指図であるとか、そういうことを言つておるわけではない。それはわれわれの討論、質疑の過程で十分に御承知だと思います。しかしこのニツケルに関する限りにおいて、ことにニツケル事業の助成法案ということになりますと、これはもうあなたが何と強弁されても、この第一ページのしよつぱなにあがつておるこれらの特殊鋼、その他のこういうふうな用途そのものを見ましても、徹頭徹尾これは軍需的な用途、またそのために特にこの新しい生産を確保しなければならぬという問題が提起せられ、あなた方の方でそれを解決するためにこういう方法をとられることになるのだと思いますので、これは最後にさらにひとつだめを押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/168
-
169・多武良哲三
○多武良委員長代理 ほかに御発言がないようでありますので、本案に対する質疑は終了いたしました。
本日はこの程度にて散会いたします。次会は明二十五日午前十一時より開会いたします。
午後五時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03219510524/169
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。