1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十五日(金曜日)
午前十一時二十六分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
理事 今澄 勇君
今泉 貞雄君 小川 平二君
澁谷雄太郎君 中村 純一君
福田 一君 南 好雄君
金塚 孝君 佐伯 宗義君
加藤 鐐造君 風早八十二君
出席国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
出席政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
通商産業事務官
(通商振興局
長) 井上 尚一君
通商産業事務官
(通商化学局
長) 長村 貞一君
委員外の出席者
通商産業事務官
(資源庁炭政局
開発鉱害部長) 吉田半右衞門君
專 門 員 谷崎 明君
専 門 員 大石 主計君
専 門 員 越田 清七君
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五月二十四日
緊要物資の売払に関する法律案(内閣提出第一
七九号)
同月二十五日
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一五八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
緊急物資の売払に関する法律案(内閣提出第一
七九号)
高圧ガス取締法案(内閣提出第一三〇号)(参
議院送付)
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一五八号)(参議院送付)
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001・小金義照
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
まず昨日当委員会に付託せられました緊要物資の売払に関する法律案についてその提案理由の説明を求めます。通商産業大臣横尾龍君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/1
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002・横尾龍
○横尾国務大臣 ただいま上程せられました緊要物資の売払に関する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
緊要物資輸入基金特別会計は、本第十国会におきまして御賛同を得て設置せられた次第でありますが、同会計は御承知の通り、政府において特殊需要に応ずるため緊急に取得まることを必要とする外国で生産せられた物資で、民間貿易によつては輸入できないもの、ないしは輸入困難なものの取得及び売払いを行うことを目的とするものであります。
しかして御承知の通り、最近輸入されます稀少物資ないしは緊要物資の国内価格騰貴の結果、いわゆる特需の調達価格が高くなつて参りまして、そのため特需の提供が困難ないしは不可能となるようなありさまでありまして、一面には日米経済協力の障害となり、他面には少なからざる貿易外收入の減退を憂えねばならぬようになりましたので、この際、緊要物資輸入基金をもつて取得する物資については、必要に応じで輸入原価に諸掛を加えた価格で特需の受注者に払い下げることによつて、特需の受注を円滑にする必要があると考えるのであります。
しかしながら、物品の無償貸付及び讓與等に関する法律によりますと、国の物品を時価よりも安い価格で売り払うことは、法律によつて定める場合のほかは許されないことになつておりますので、緊要物資輸入基金で取得する物資を時価よりも低い価格で売り払うことができるようにするためには、同法律の特例を新たに法律をもつて設ける必要があるのであります。これが、この法律案を提案いたしました理由でございます。何とぞすみやかに御審議の上、御賛同をいただきたいと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/2
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003・小金義照
○小金委員長 ただいま説明を求めました緊要物資の売払に関する法律案の質疑は後刻これを許すことといたしまして、本日はまず高圧ガス取締法案を議題といたして審議を進めます。
本案につきまして昨日内閣提出原案に対する参議院修正点につき、政府当局より説明を聽取いたしましたが、修正点を含めた案を原案といたしましてこれより質疑に入ります。質疑は通告の順に従つてこれを許します。多武良哲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/3
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004・多武良哲三
○多武良委員 逐條的質問はあらためて行うことといたしまして、本日はまず大綱について御質問を申し上げます。第一は法案の名称についてでありますが、本法案は高圧ガス取締法案と相なつておりまして、單なる名称だけではなく、内容もまた多分にこの傾向を持つておるようであります。一体この種の法律は取締りを主とした監督行政ではなくて、真に高圧ガス工業の進歩発達に寄與し得るような助長行政を目的とすべきではないか、かように考えるわけであります。この観点から本法案の名称はこれを高圧ガス保安法案と改めまして、同時に第一條の「高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保する。」という目的の中に、もつて高圧ガス工業の合理的発達に寄與せしめるというような一句を追加すべきではないか、むしろこの種の積極的意図は本法案中にいかに織り込まれておるか、具体的に承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/4
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005・長村貞一
○長村政府委員 お答え申し上げます。この法律の名称は高圧ガス取締法案と相なつておりまして、その目的といたしますところは、一條にありまするように、災害の防止、公共の安全確保ということになるわけであります。しかしながらただいま御指摘がございましたように、結局私どもは高圧ガス工業の健全なる発達振興ということにあらゆる面から全力を注くべき立場にありまして、この法案運用にあたりましてもそれをねらいまして、取締りと申しましても決していわゆる消極的な取締りのみに堕することなく、常にこの点を念頭に置きながら法律の運営をいたしたい、かように存じているわけでございます。しかしながらこの法律の直接に目的といたしておりますところは、二條以下各條にございまするように、高圧ガスというような爆発その他の危険の発生のおそれあるものにつきまして、まずそれの災害防止、これをすることが結局高圧ガス工業の発達の第一歩であります。この点をまず遺憾なきようにいたしたいというのがこの直接のねらいであるわけであります。こういう観点から法律の目的またその名称は取締法といたしたのであります。この点第七国会に御審議御可決をいただきました火薬類取締法におきましても同様な観点に立つわけであります。しかし一面この法律におきましては、たとえば後の條文にもございますように、審議会という制度を設けまして、ここであるいは国家試験に関することその他本法の運用その他につきまして、高圧ガス工業の各種の重要問題についての審議、方針、建議という機能を持たせることにいたしたのであります。この審議会の運用によりまして常に業界の実情を行政、面にも反映し、業界の希望する、要望するところに沿いながら今申し上げましたような運用をして参りたいと思つておるわけであります。かような意味におきまして法案の名称はその第一段の直接の目的及びねらいどころをそのまま端的に現した名称を使つたのであります。決して私どもは單なる取締り、消極的な、取締りのための取締りということでなく、あくまでもその健全な進歩発達を頭に置きながら、その見地においての運用ということを考えているわけであります。さよう御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/5
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006・多武良哲三
○多武良委員 ただいま局長から御説明を承りましたが、大体本法案は同じく保安関係の法案ではありますが、その内容から考察して行きますと、局長がただいまお話しましたが、火薬類取締法によるよりもむしろ鉱山保安法に近いものと思うものであります。従いまして名称その他目的等につきましても、同じく通産省関係の鉱山保安法に準ずべきものではないかと思いますが、この点は大臣からその所見を承りたいのでありますが、大臣がおりませんので後に譲りまして、第二は近来発生した災害についてであります。
災害の発生を未然に予防するためには、実際に発生いたしました災害の原因を的確に突きとめまして、これに対する適切な防止策を講ずべきであることは申すまでもないのであります。ところで近年高圧ガスに関する二、三の大きな災害事故が発生いたしまして、大きなセンセーシヨンをまき起しておりますことは御承知通りであります。これらに関する原因の調査研究は盡されておるかどうか。もしも調査の結果、原因が判然としない、少くともさらに学術的検討を要するものが残つておるというようなことであれば、取締りの対象を的確に把握することができないと存じます。災害防止のためには取締り法規の制定よりも、この種の災害原因を突きとめるための科学技術的研究を推進することが先決問題ではないかと存じます。またもしも原因が判然としておるならば、この種の災害の續発を予防するためには本法案のごとき一片の、取締り法案によつてその目的を達成し得るとお考えになるが、これを承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/6
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007・長村貞一
○長村政府委員 高圧ガスに関しまする各種の事故は、今日なお遺憾ながらその跡を断つておらぬのでございます。事故関係の資料等お手元に差上げた通り年々なお若干の事故を起しているわけであります。私どもといたしましては事故が起きまするたびに、ただちにその原因を探求いたしまして、再びさような事故が繰返して起らぬように必要な処置をとつているのであります。最近相当大きな爆発事故が今お話のように起つているわけであります。これらにつきましてもただちに私どものほかいわゆる業界、学界その他の方方の御協力を得ましてその原因の探求に努めまして、各界各方面一致して得ました結論についてこれを広く業界にお示ししまして、ただちに所要の予防策を講じ、あるいはまたこの種の事故が繰返して起らぬような処置をとつているわけであります。もとより私ども一片の法令の施行によりましてあらゆる事故が完全に防止できるとも思つておらぬ。これとあわせまして、常に技術の進歩その他に努力しなければならぬと思つておるのであります。高圧ガス工業は逐年発達して参りまして、わが国にこの工業が興りましてから相当の年数がたつて、業界におきましても各方面の研究が進んでおるわけであります。われわれはこの法律の運用につきましても、十分に業界、学界の権威者と相談いたしまして、想像し得るような、あるいは考えられますような災害事故予防策を十分にとりたいと思つておりますとともに、この工業も逐年発達して参りますので、あわせて今後の業界の進歩発達に即応しながら、常に技術的な検討も進めまして、事故の発生防止に努力いたしたいと存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/7
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008・多武良哲三
○多武良委員 第三は、民間学識経験者の活用についでであります。本法の運用につきましては、民間の学識経験者をも積極的に活用するということが非常に必要なことであろうと存じます。ところで、この法案第六十七條の高圧ガス保安審議会のごときは、他の方面の審議会と同様な一般民間人の任命は不可能ではないかどうか、参議院でも非常に問題に相なつたようでありますが、この点、並びに一般学識経験者を遺憾なく活用することに関しまして、どんな御用意があるかどうか、これについて承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/8
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009・長村貞一
○長村政府委員 高圧ガス保安審議会につきましては、法案の六十九條第二項に、「会長及び委員は、関係行政機関の職員及び高圧ガスの保安に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。」こういうことに相なつておるわけでございます。会長一人、委員三十人以内の組織となつておりまして、ただいまの私どもの腹づもりでは、委員三十名のうち、三分の一の十人内外のものが、いわゆる関係行政機関の職員ということに予定しておるのであります。従いまして残り三分の二、つまり二十名内外のものが、ここにいわゆる学識経験者から任命する委員となるわけでございます。法律案には学識経験者とあるのでありまして、業界の代表という言葉は適当でないかもしれませんが、業界からという言葉はないわけでございますけれども、学識経験者の中には、当然いわゆる学界における権威者も入りますが、そのほかに、業界におきまして学識経験のある方もたくさんあられるわけであります。私どもはかような業界におられます学識経験者も、本法案にいわゆる学識経験者として多数その御参加を願いたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/9
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010・多武良哲三
○多武良委員 第四は、高圧ガスに関する保安を確保するためには、その複雑性と申しますか、多様性にかんがみまして、一般学識経験者を活用するとともに、政府自体におきましても、権威ある爆発予防調査所のごときものを設立いたしまして、もつてこの方面に関する科学、技術の研究はもちろん、取締り当局の指導訓練上万遺憾なきを期すべきではなかろうかと存じますが、この点は政府ではいかにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/10
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011・長村貞一
○長村政府委員 先ほどもお答え申しましたように、常にこの法案の運用につきましては、業界の進歩その他に即応しながら、技術上の面でも検討を進めて参らなければならぬと思うのでございます。実はただいまのところ、本年度予算におきましては、高圧ガスの研究機関というものは用意しておらぬのでありますが、お説のように、この問題は十分な検討をしなければならぬと思うのであります。この点につきましては、さらに当省関係の各研究機関、試験機関、あるいは技術庁ともはかりまして、愼重にお話のような方向に検討を進めるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/11
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012・多武良哲三
○多武良委員 次は、取締りの適正についてであります。保安管理員その他取締りに当る者が、法規の消極的面だけを特に峻巖に考え過ぎるために、かえつて事業の運営発達を阻害する事例が従来少くないのであります。さらにはなはだしきに至りましては、不良取締当局者が故意に業者を圧迫せんがために、法規を悪用する者もあります。これらを決定的に防止するためには、人選に細心の注意を払い、思想、人格、学識経験等、あらゆる角度から適格者を選定するはもちろん、法案自体の制定にあたつては、特に愼重入念を期すべきであると思います。本法案中たとえば第三十五條の保安検査のごときは、一歩誤れば業者に重大なる打撃を與えることとなる危險性が十分あるのであります。政府はこれらの点に関しまして、本法案が完璧なりとお考えになつておるかどうか。また完成検査や定期検査が操業上著しい支障とならぬようにするために、どんな具体的御対策を持つておるか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/12
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013・長村貞一
○長村政府委員 ただいまその点は、私どもといたしましても、最も重要な問題と考えておる次第でございます。この法案の性質上、その運用面におきまして、特にいわゆる末端の運用面におきまして、運用のよろしきを誤りますと、そのために法案自身の企図しております目的を達しないのみならず、業界、経済界にも非常な不利不便を與えるおそれもあるのであります。ただいま御指摘、御注意の数々は、最も大切なことと考えておるわけであります。私どもといたしましては、かような点につきましては、本法の施行運用の面に当りますいわゆる担当官、こういうものにつきまして、十分に法案の企図するところ——第一に御指摘になりました、本法案は取締法案ではありますが、結局はこれによつて高圧ガス工業の進歩発達に資するように、この点を十分に留意いたしまして、單なる消極的な取締りだけでなく、その点を十分に頭に入れながら運用する点につきまして格段の注意を払いたいと思つておるのであります。この運用に当りますのは、本省の官吏及び各都道府県における官吏多数に相なりますので、機会を設けて法律の趣旨内容についての十分な理解を得せしめるとともに、その運用につきましては、常に注意を怠らずに、いわゆる行き過ぎのないように、かえつて嚴に失して業界に非常な不利不便を来すことがないように、十分の上にも十分に指導をいたしたいと思つておるわけであります。従いまして、かような見地から、ただいまの保安検査、完成検査等につきましても、さような心組みでその基準等も考えたいと思つておるのであります。すなわち、たとえば保安検査の問題にいたしましても、これは業態によりまして、いろいろと事情も違うのでありますので、従いまして保安検査のやり方、基準等については、それぞれのガス別に応じました、実情に即した基準なり方法なりを考えたいと思つておるわけでございます。これらは保安審議会を通し、あるいは法律にいわゆる公聽会を通し、十分に業界の実情を反映しながら、その基準をつくり、これによつて実施し、またわれわれ運用に当りますものの基準といたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/13
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014・多武良哲三
○多武良委員 第六に、省令委任事項についてお伺いいたしたいと思います。本法案中には、技術上の基準その他省令委任事項がすこぶる多いように考えられます。取締られる側からいえば、本法案自体よりも、むしろこの省令の方が運用上のかぎを握る関係上、重大な関心事と相なるわけであります。これらの点に関しまして、政府はどのように考えておられるか。ただいま局長からその一部分をお伺いいたしましたが、技術上の基準に関する構想がすでにまとまつておりますならば、その内容の一端でもよろしゆうございますから、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/14
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015・長村貞一
○長村政府委員 お話のように技術上の基準につきましては、現行法にはその詳細を規定しておらないのでございます。ただいま提案してございます新法は條文の数におきましても、非常に詳しくなりまして、現行法に比べれば非常に多数のこまかいことが法律自身に書かれておるのでございまするけれども、技術上の基準自身は、その性質上これをことごとく法律案につまびらかにすることはできませんので、やむを得ずこれを省令等に讓つてあるわけでございます。ただ実際の運用面から見ますならば、この技術上の基準がどうきまるかということが実際の運用の指針でありまして、業界に最も大きな影響を與えることになるのでございます。その意味で技術上の基準を定めますときには、いわゆる公聽会を開きまして、そこで各方面の御意見を伺うという道を法律上設けておりますほか、高圧ガス保安審議会におきましても、十分にその意見を聞くつもりでおるのであります。技術上の基準に盛らるべき事項と申しますか、それにつきましては、その大体の事柄を資料といたしまして、お手元に差上げた通りでございます。なおその具体的の数字、計数等につきましては、御承知の通り現在圧縮ガス、液ガス取締り法というものが、長年施行されておりまして、あの法律に基きまして、勅令、省令等で、こまかい数字が出ておるのであります。これらの数字は、長年これによりまして取締りを行い、業界もまたこれによつて各種の保安的な事項を行つている数字でございまして、これを元にしまして、ただいま申しましたような方法によりまして、業界の実情を聞き、業界の進歩をたどりながら、この数字を直して行きたいと思うのであります。大体の傾向、数字あるいは規定いたすべき事項等は、現在の省令、及びお手元に差上げました要旨によりまして、御了承いただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/15
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016・多武良哲三
○多武良委員 次は認許可事項についてであります。法案中には、第五條、第十四條等認許可事項がすこぶる多いのでありますが、もちろん性質上当然許可を要するものもあると思いますが、認許可のために手續の煩雑、特に時間の空費によります操業上の支障が少くないものがたくさんあります。認許可事項を努めて簡素化いたしまして、届出、あるいは報告の形式に改める余地がないかどうか承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/16
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017・長村貞一
○長村政府委員 御質問の点につきましては、前々から運用しております。現行法の運用の経過等にもかんがみまして、新法を制定いたしますときに、十分に考慮をいたしたのであります。新法におきましては、いわゆる災害防止の取締り的見地から、必要と考えます最小限度の認許可にとどめまして、その許可基準等につきましても、はつきりこれを法律に明記いたしたわけでございます。具体的の現実の許可処分のスピードというようなことにつきましても、これをお話のように遅れますると、非常に迷惑をかけまするので、でき得る限りこれを右から左にすみやかに、許可すべきものは許可し、やむを得ず許可すべきでないものは不許可にする。それにしても処分を早く決定するという方針で、運用を徹底いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/17
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018・多武良哲三
○多武良委員 最後に、作業主任者が法的義務を負わされまして、罰則の対象と相なつておりますが、同時に一方技術経験を尊重いたしまして、その人たちに相当の権威を一方でもつて與える。こういう点について何か御用意があるかどうか、全然ないようでありますが、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/18
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019・長村貞一
○長村政府委員 作業主任者はこの法律の運用、ことに現実の各作業場、工場におきまする保安関係の仕事の責任者といたしまして、非常に重要なものでございますので、その資格につきましても、法律にいろいろと規定をいたしまして、その処分につきましても、法律ではつきりとその処分を明記いたしまして、十分に権威をつけたつもりでございます。いわゆる作業主任者の義務違反につきましては、刑罰規定はこの法律からは落してございますが、しかしながらお話のように作業主任者の地位というものは、非常に重要なものでございますので、作業主任者の責任と申しますか、あるいは地位と申しますか、そういうことはこの法律ではつきりと規定いたしまして、その事業場における立場も明らかにしてある次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/19
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020・小金義照
○小金委員長 次は今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/20
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021・今澄勇
○今澄委員 この法律については、詳細に質問を申し上げる予定でございましたが、時間の関係もありますので、重要なところだけ、五、六点お伺いをいたします。
まず第一点としては、この高圧ガスの定義につきましてお伺いをしたいと同時に、その高圧ガスの定義に含まれる高圧ガスの事業の概略をひとつ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/21
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022・長村貞一
○長村政府委員 高圧ガスの定義は、この法案の第二條に明記してありますような、一定の圧力を持つたガスになるわけであります。ただ二條に規定してありますところに一応入りますけれども、適用を除外してしかるべきものは、三條で除外してあるわけでございます。この規定の書き方、つまり高圧ガスの定義は、技術的な定義の仕方でございまするので、かように法案では現わしておるわけでございまするが、用途の方面から申しますると、大体次に申しますようなガスがこれに入るわけでございます。数も非常に多いのでございますので、全部を盡しますことも煩瑣だと思いますけれども、主要なるものを申し上げますると、たとえば圧縮素酸ガスであります。これは御承知のように例の熔接、切断用に用います。あるいは化学工業用には各種の用途に使われるのであります。医療用に吸入用として用いられることも御承知であろうと思います。また圧縮水素ガスがこの中に入ります。これはアンモニヤ合成の原料として使われますのは御承知の通りと思うのであります。そのほか例の石炭、石油、油脂の水素点火用にも使われるわけでございます。そのほか塩酸の合成原料、あるいは熔接用に使い、また電燈用のフイラメントの製造、金属の熔触というように多方面に使われておるわけであります。
次に圧縮メタンガスというものがこれに入ります。これはメタノールの合成原料としてCOの製造、あるいはアセチレンの製造原料として化学工業用に使われます。そのほか御承知の通りメタンガスは燃料として使われるものも相当あるわけであります。
圧縮窒素ガスがあります。これは先ほどの水素とともにアンモニヤ合成に使われます。そのほかに硝酸合成、石炭窒素の原料にも使われるわけでございます。そのほかに圧縮アセチレンガス、これは切断用に使われますほかに、化学工業用といたしましても、例の塩化ビニールのレジンの原料、あるいはアルデヒド及び醋酸合成、ヒタチエンの合成、こういうものにも使われるわけでございます。このほかに圧縮一酸化炭素液化塩素、液化亜硫酸ガス、あるいは液化炭酸ガス、プロパン・ガスその他多数のものがこれに属しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/22
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023・今澄勇
○今澄委員 ただいまいろいろ御親切に御答弁がありましたが、そのような多種多様な事業をこの法律で画一的に取締ることになるのでありますが、産業経済の上における影響というものを十分考えなければならぬということが考えられます。すなわち小はアイスキヤンデー屋から、大はアンモニヤ合成の大工場に至るまでこれらのわく内に入れて画一的にやるということは法案提出者としてもいろいろ困難なことをお考えになつておられるであろうと思うが、私どもはそれらの多種多様なものがこの法律で画一的にやられるかどうかというところに危惧の念を持つております。提案者の見通しその他についてお伺いできれば仕合せであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/23
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024・長村貞一
○長村政府委員 御指摘のように多種多様なガスが圧縮ガス、高圧ガスとして包含されるのであります。業態につきましてもきわめて小規模なものからきわめて大規模なものまで入つて来るわけでございます。しかしながらガスの種類も違い、あるいは業態も違うのでございまするけれども、いわゆる高圧ガスによりまする災害の防止という見地から申しまするならば、そこに多分に共通なものが含まれておるわけであります。現にかような関係にありますので、現行法が大正十一年に制定されましてから今日まで、おおむね支障なく運用されておるわけであります。これをそれぞれの業界に当てはめつつ運用されて今日に至つておるわけであります。新法はこれらの経験を基礎にいたしまして、さらにもう一歩の改善をいたしたいというところにねらいがあるわけでございます。しかしながらお話のように、業態も違いますので、これを全部画一的に一本の基準等によりまして動かすことは、はなはだしく実情に適さぬものができるのであります。かような点から、現実に運用いたします場合の技術的の基準等につきましては、ガス別にそれぞれのガスの特性、業界の特性に応じて基準を異にいたしまして、まだその他の建設、運用面におきましても、それぞれの業界の現実の操作運用に支障のないような考慮を払いつ省令を定め、また法律に基く運用も行つて参りたい、かように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/24
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025・今澄勇
○今澄委員 そこで私は、この法律の骨子ともいうべき高圧ガスというものに対する認識をお聞きしたいのでありますが、大体この立案者としては、高圧ガスが危険物であるという前提のもとに取扱われておるかどうか、またこの取締りという字句は非常に広汎に解釈ができるが、取締りということについてはどういうような御見解を持つておられるか、ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/25
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026・長村貞一
○長村政府委員 いわゆる高圧ガスと申しまするものは、私ども今までの法律運用の経験その他から申しまして、これに一定の基準を置いて必要なる措置、必要なる注意をいたさなければ、危險発生のおそれがあるものである、かように考えておるわけであります。この見地から、この法案おきにましても製造あるいは構造等につきましても、最小限度の必要な措置をとつていただきたいということを規定してあるわけであります。取締りと申しまするのは、かような意味において必要な措置を講ずる意味であります。先ほども御質問のございましたように、取締りという言葉自身ははなはだ消極的な、何か萎縮するような感じを與える語感があるかもしれないのでございますけれども、ねらいは決していたずらにあそこをやめろ、ここるやめろというような消極的な萎縮的な運用というところにあるのではないのであります。まず高圧ガスの災害の発生をとどめる、それがこの種の高圧ガス工業の発達の基礎であるという点にかんがみまして、あくまでもその究極の目的は、もとよりこれは一本の法律だけで徹底するわけではないかもしれませんけれども、日本におきまする高圧ガス工業の究極的な発達という見地から第一に取締りに踏み出す、災害の防除に踏み出す、こういう見地から取締りを行うのであります。従いまして積極的な取締りの内容等も、この見地に立ちまして、製造その他各段階におきまして必要な措置を講じて規定しておる、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/26
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027・今澄勇
○今澄委員 そこで多武良議員からも御質問がありましたが、私はこの法案の真のねらいは、これを突きとめて行くならば、高圧ガスの保安に主体を置くのか、それとも取締りに重点を置くのかという法案運用上の大きな問題が起つて来ると思います。本法案の目的の條項の中には、高圧ガス事業の健全な発展をはかるという意味が積極的に含まれておると私は解釈しておるが、それらの言葉をもつと明確な字句で表現をしてほしかつたのであります。しかしながら今これを修正するというような期間もございませんが、私どもはこのきわめて重大な、保安に主体を置くか、取締りに主体を置くかという点を明確にしておかないと、法案の解釈が著しくかわつて来ると思います。私は高圧ガスの保安を確保し、あわせて高圧ガス事業の育成助長に寄與することがこの法律の最終目的であるというように考えたいと思いますが、御答弁が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/27
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028・長村貞一
○長村政府委員 御説の通りでございまして、私ども特に産業官庁の者がこの法案を運用いたしまする点から見ましても、究極の目的は高圧ガス工業の振興発達にあることは申すまでもないのでございます。この法律自身としてはその広汎なしかもその究極の目的を達成しまする上から、まずこの取締りなり保安なりを行う、これをまず第一段として表わしたのでありまして、結局のねらいどころ、従いましてこの法律を運用いたしまする根本の基礎といたしましては、高圧ガス工業の発達ということにあるのは御指摘の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/28
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029・今澄勇
○今澄委員 私は大臣の出席を求めて、今の問題について明確な御答弁が聞きたいと思つておりましたが、局長から確固たる御答弁をいただきましたので、一応了承いたします。
わが国におけるこの資源の乏しい現状においては、産業を発達せしめ、大いに高圧ガス工業を助長して、日常茶飯事に高圧ガスその他の取扱いができるようにならなければ、日本の産業の再建はできない。わが国産業再建三箇年計画の中においても、重化学工業重点主義ということが言われるならば、私どもは單に高圧ガスを危險物として取締るというような思想で、この法律が運用されるならば、わが国の経済自立の上に大きな影響を與えるものである。この点については何とぞ末端下僚取締り責任者の端に至るまで十分ひとつ徹底していただくように、重ねて意見を申し添えておきます。
次に私は本法案第五條製造許可の申請及び第十四條設備変更の申請等については、先ほどより多武良委員からも質問がありましたが、なるべく許可事項を最小限度に簡素化し、爾余は作業主任者の技術に信頼して、その報告を求めるというような便宜的な措置をやられないと、各種各様多数のこれらの事業に非常な不便を與えると考えられるが、御答弁が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/29
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030・長村貞一
○長村政府委員 この点につきましては、先ほども御答弁を申し上げましたが、私どもとしましても決していたずらに煩瑣な手續を設けまして、これを運用するということを本旨といたしてはおらぬのでございます。真に必要にして最小限度の事柄だけを許可の対象といたしたいと思つておるわけであります。従いまして許可事項の内容等につきましても、この法律の目的から見まして、ぜひともこれだけ見なければならぬというところにとどめたいというように運用いたしたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/30
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031・今澄勇
○今澄委員 この高圧ガスの製造者が自分の施設をより合理化し、安全化するということは当然でございまして、これはまた本法律案の目的たる災害の防止をするための自主的な努力であると思います。しかるに法案第七十三條には各種手数料、本施設の改造、変更の許可を受ける際にも手数料をとるということになつております。せつかく事業者の積極的な計画も、許可申請の煩瑣とこの手續料によつて、かえつて本法案の目的とは逆な方向に行くおそれもあると考えられるが、施設の改造、変更等はむしろこれを奬励して、一々手数料をとるというようなことは考えものであると思いますが、いかがでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/31
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032・長村貞一
○長村政府委員 お話のように危害防止のために常に施設をよりよく改善して参る努力を業界としてもいたしておるわけであります。私どももこれを奬励しなければならぬと思うのであります。問題は設備の変更というものをどういうふうに考えるかというところに帰すると思うのであります。これは具体者な内容によりまして、いろいろなケースがあり得ると思いますけれども、私どもの考えておりますのは、製造施設の中で、技術上の基準の定められておる部分だけについて変更許可の対象といたしたいと思うのであります。言葉をかえて簡單に申しますれば、たとえば補修、とりかえというようなことは、これは工業の性質上間々起り得ることだと思うのであります。かような補修とかとりかえなどは、われわれ変更とは考えておりません。従いまして、これは変更の許可も必要なく、また許可の申請による手数料も必要でないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/32
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033・今澄勇
○今澄委員 それらの点についての見解が明確になつたことはたいへんけつこうであります。さらに私は作業主任者の制度というものは、本法律案の中ではきわめて重大な立場にあると思います。事実各企業ともに技術的に最高の人をこれに充てておるのであつて、作業主任者には法律によつてその義務を負わしめております。その資格を得るにもなかなか努力しなければならぬ。事実作業主任者は高圧ガスの製造作業にかかる保安を監督するものであるが、この場合の監督の権限というものはどの程度のものであるか。先般当委員会にかかつた計量法案の中に示される計量士制度のごとく、何か事業所に特点があるかどうか。また計量士がおれば定期検査を免除するという特点が載つておつたが、こういつたものの考え方は、この高圧ガス取締法の中ではどのように考えておるかということについてひとつ御答弁をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/33
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034・長村貞一
○長村政府委員 作業主任者はお話のようにこの法案の運用、工場の実際の災害取締りの上から非常に重い責任を持つておりますので、三十二條にその義務を負うということになつております。この作業主任者は工場、ことに府県の工場におきましては常に置かなければならぬことになつておるわけであります。私どもは作業主任者の資格を法律ではつきりと定め、あるいは国家試験というような道を設け、またその義務自身も法律によつて直接に規定することによつて、おのずから作業主任者のその工場におきます地位というものは、非常に重いことになるだろうということを期待しておるわけであります。これを置きましたことによりまして、特に検査を免除するというような特点はございませんけれども、運用の実際にあたりましては、おのずからそのような資格を持ち、そのような義務を持つておる作業主任者が、常に誠実にその義務を履行しております工場につきましては、その意見あるいはその現実の管理状況というものは検査の実施等にあたりまして、十分これを尊重することになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/34
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035・今澄勇
○今澄委員 そこで私は本法律案は参議院で修正したことでもあり、一応これを成立せしめてこれが施行をするということが必要なことであると思うが、本法律案の運営のいかんによつてはこれは改められなければならぬことが出て来はしないかと私は考えます。少くともこの法律の審議にあたつて、作業主任者の制度を定めている以上は、彼らに義務のみを負わしめて、そこに何一つ権利を付與しないということは、これはまことに片手落のものであると申さなければなりません。作業主任者には計量法案における計量士にまさるとも劣らぬ責任を負わされておる。これは私の考えですが、しかしてその権限がまことに弱い。計量士には義務の條項を法案に規定しておらぬ。しかるに作業主任者の方ははつきりとこれを規定しておる。もう少し立案者は従来の知識というものを信頼し、その技術的判断には国家もまたその権威を認めるということでないと、作業主任者の立場というものが、何ら考慮されておらないということになつて来る。そこで私は作業主任者には單に義務を負わすだけでなく、その知識を活用して、少くとも第二十條の完成検査、第三十五條の保安検査等の技術的な事項は、すべてこれら作業主任者に——一定の基準と範囲はあるであろうが、まかして、監督当局はその検査の結果の報告を受けて、これらの保安の目的は十分達せられる。アメリカあたりにおける高圧ガスに対するそれらの取締りのあり方と比べて、ひとつ化学局長の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/35
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036・長村貞一
○長村政府委員 作業主任者の地位については先ほど申しました通りであります。私どももこの法案を実施する運びになりますならば、各作業場、工場におきまして、その作業主任者の仕事を十分に尊重し、作業主任者各位の力というものを十分に認めていただきまして、作業場、工場の運営の上にも現わしたいと思つておるわけであります。従つて検査等におきましても、私どもはりつぱな作業主任者の工場の管理の行われておりますところにつきましては、でき得る限りその経験、その知識に信頼いたしまして、運用をいたして参りたいと思つておるわけであります。将来十分にこの作業主任者制度の本来の目的が現実に現われまして、私どもとしましても作業主任者が一日々々とその力によりまして、それ自身が保安の全部を達し得るようになることを希望いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/36
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037・今澄勇
○今澄委員 大分時間もたちましたが、あと一、二点大事なことをただしておきたいと思います。
第三十五條の保安検査については、都道府県の未熟な職員が法規をたてにとつていろいろと不自由な、あるいは産業の上に影響を與えるようなおそれを私は抱きます。そこで先ほどの作業主任者の権限とにらみ合せて、保安検査あるいは定期検査等の具体的な、この條文についての化学局長の方針をひとつ説明してもらいたいと思います。なお但書あるいは政令等とにらみ合せて、これらのガスの業種の中でも最も高圧を使用する三百気圧から千気圧に及ぼうというアンモニアのガス等についてはどのような態度とお考えを持つておられるかということを、この際念のために聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/37
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038・長村貞一
○長村政府委員 法律の実施の任に当ります各都道府県の第一線の職員の知識、技能、経験につきましては従来もその教育と申しますか、その充実に努力はしておりますが、なおこの法案が施行されるようになりますならば、さらに一層この方面につきましては十分な努力をいたしまして、いやしくも法案の目的を誤解しないように、同時にまた業界の発達に遅れをとらぬように注意を加えたいと思つておるのでありますが、検査自身につきましても特に三十五條の保安検査につきましても、第一に御質問のございましたように、ガスの種類も多いことでございますので、すべてのガスにすべて同じような方法による保安検査ということもいかがかと思うのであります。一例としてアンモニア合成の例も出たわけでございますが、これらの例について申しますならば、これまた工場の裝置、設備の現実の面からいたしまして、他の業種あるいはガスと同一に保安検査、定期検査は支障が多々あろうと思うのであります。これらの詳細はあるいは公聽会なり、あるいは審議会におきまする業界その他の経験者の御意見を開きまして、はつきりした具体的な方針も立てなければならないと思つておりますが、ただいまのところ、たとえば毎年一回定期検査を行うということになつておりまして、これには但書でもつて、ある場合には例外もできるということになつております。かような点につきましても、たとえば御指摘のアンモニア、ガス等につきましては、すべての裝置、すべての設備にわたりまして、毎年定期にいつ幾日ということをきめまして検査を行うことは、実情に沿わぬ点もあるかと私みずからも考えるわけであります。たとえば工場で行いますいわゆる定期修理というようなものは、必ずあるわけであります。かような場合を利用いたしまして、この保安の検査を行う、あるいは一連の裝置のうちのある部分につきましては、必ずしも一年でなく、何年かに一ぺん適当の方法を講じまして検査を行うというような方法をとりまして、工場の現実の運営と検査というものを調和させて参りたい、かように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/38
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039・今澄勇
○今澄委員 最後に本法案の各所にいろいろ技術上の基準その他省令の範囲が非常に多いが、それらのものをできれば資料として、これはできたあとでけつこうでございますが、当委員会に御提出を願いたい。なお今の御答弁で方針としては了承いたしますが、問題になるのは、一応相当高度な技術を要するこれらの合成工業の検査をするのに、定期修理その他のことをにらみ合せて、二、三年まとめてやられるというような、いろいろな但書による処置をとられるということはまことにけつこうであるが、でき得べくんばこれらの工場に対しては水圧検査であるとか、あるいは工場の作業をとめてやるというようなことではなく、作業主任者を信頼した報告を重視する外観検査程度の方向で行かれることが、これらの特殊なる高圧工業についてのこの法律の運用としては正しいものであろうと思うが、これに対する御見解を承つて私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/39
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040・長村貞一
○長村政府委員 省令の内容等につきましては、まだ確定しておらぬのでございますが、大体の構想は、たとえば技術基準についてはお手元に差上げておるような事項について、現行法をもとにして所要の改正を加えたいと思つておるわけであります。お言葉のように、できましたあかつきには、遅滯なくこれを報告いたしたいと思つております。検査の実際の運用の面は、大体の方針は先ほど申し上げた通りでありますが、現実の問題といたしましては、私どもも作業主任者はもちろんのこと、大工場におきまする実際の技術者を十分に尊重いたしまして、その力を借りながら運用をいたしたいと思つております。従いまして、法律の施行の実際の面にあたりましても、作業主任者その他の工場の現場の技術者の方方の知識、報告というようなものが基礎になつて検査が行われる。いたずらに不必要と申しますが、煩雑な検査は極力これを避けまして、現実と調和した検査の方法をとつて参りたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/40
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041・小金義照
○小金委員長 次は風早八十二君。
〔委員長退席、中村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/41
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042・風早八十二
○風早委員 まずこの法案の趣旨を伺いましたが、大体災害の防止ということが主眼となつております。しかしこの実体が非常に專門的なものでありまして、なかなか外から見ておつたのではこの事情がよくわからない。やはりこういう問題につきましては、虚心坦懐に、その実際に扱つておる業者、技術者、さらにまたもつと具体的にその機械、裝置を扱つております労働者、こういう人たちの御意見を十分にわれわれはしんしやくして、そうして万全を期する必要があると思うのであります。そういう立場からは先般も参考人をお招きしていろいろ伺つたと思いますが、ただ遺憾なことには、参考人の方は主として学者と、それぞれの会社側の重役、社長というような方々だけでありまして、労働者側から公述人は出ておらない。こういう点でわれわれのこの問題に対する具体的な知識が非常に乏しいということを、まず反省しておかなければならぬと思います。いずれにしましても、それらすべての利害関係者の立場なり、要求なりを十分にしんしやくするということ、並びに災害発生となりますれば、一般の公共の安全性に対する危害にもなるのでありまして、そうなれば一般人の利害関係事項でありまして、非常に重大な法案であると思うのでありますが、そのいずれの立場をも漏らさないように、この法案を練り上げて行かなければならないと考えておる次第であります。まず業者側がこの法案に対して最も懸念しておられるところは、この前いろいろ公述人、参考人等から伺いましたところからしても、われわれが実地に見学しましたところからしても、毎年の定期検査という問題であろうと考えます。もちろん今まで現行法というものは、中小の町工場に主として適用されたのが、今度は大きな装置を持つた大経営にも及ぶというところから、主として大経営者側の意見がいろいろ出て来ておつたと思うのであります。ところが検査々々と言うけれども、実際にたとえばこの法案にうたつてあるいろいろな検査、こういうものか前提となつて、つまり安全の確保が前提となつて初めてできる仕事なのであつて、それはもとよりやつているんだ。そこへ持つて来て、この定期検査ということになると、これはその装置が非常に巨大なものであり、複雑なものであり、それをボイラーまで一々はずされて中を検査されるとなれば、その回復に二箇月も必要とするというようなものもあるということであります。従つてまた経営としては莫大な損害といいますか、ロスを招かなければならぬ。それは大体二〇%くらいにもなる場合がしばしばあるということなんでありまして、そういう点についてどういう考慮を払つておられますか。これはひとつ関係当局に十分にただしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/42
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043・長村貞一
○長村政府委員 現行法でございますが、これは大正十一年から施行されまして、必ずしもいわゆる中小規模の企業だけでなく、大企業にも現行法が適用されまして、今日に至つておるわけであります。その適用関係としましては、あまり大きな違いはないのでありますが、しかし御指摘の問題、つまり定期検査をどうやるか、そのやり方によつては企業の運営に大きなロスを来すのではないかという御懸念の御質問はまことにごもつともと存ずるのであります。この点につきましては、先ほども御答弁申し上げたのでありますが、ガスの違いによりまして、検査の方法は決して一定することはできないと思うのであります。これは詳細に技術基準を定めますときに、それぞれの手續によりまして業界の御意見を聞きまして、成案を得たいと思つておりまするけれども、私どもの考えといたしましては、たとえば先般御視察になりましたような大規模の裝置につきまして、あのすみからすみまでを、毎年日をきめて、裝置をとめて検査をするというような考えは毛頭持つておらぬのでございまして、結局それぞれの業態に即しまして、必要最小限度の検査をする、しかもそれは工場の運営をとめないように、それと調和しながら行うということに、はなはだ抽象的でございまするが、帰するところなろうと思うのでございます。従つて具体的な方法としては、先ほど申しましたように、あるいは定期修理によつてたまたま裝置がとまつているときにあわせて行うこともありまするし、また部分的にこれをわけまして、その検査方法等も工場の運営に支障のないような方法を十分学識経験者の意見をいれてきめまして、そうして必要な部分だけ適当な方法で行つて参るということにいたしたいと思うのであります。要は工場の運営自身を阻害するような検査方法というものは絶対に避けたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/43
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044・風早八十二
○風早委員 第三十五條にその問題が出ておるわけであります。そこに都道府県知事が毎年定期保安検査とありますが、但し省令で定める場合はこの限りでないとあります。つまり今言われるような趣旨は、この省令で定められる意味合いであろうと考えられるのでありますが、どこまでそれは具体的にきめられるつもりであるか。その点はどこまであなたの方で保証せられるのか、これについてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/44
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045・長村貞一
○長村政府委員 この但書は本文の方の例外規定でございまするので、原則として本文に掲げてございまする都道府県知事が毎年定期に行う保安検査の例外といたしまして、必ずしも毎年行わないでもよい場合、あるいは検査のやり方、その他検査の対象から除外するような装置も局部的には出て来ると思います。そういうような点をこの省令できめたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/45
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046・風早八十二
○風早委員 そうなりますと、ちよつと問題が出て来ると思うのです。この省令で定める場合はというのは、相当官庁の手心が入り得るわけでありまして、やはり検査をしなければならないというのは、必ずこれはしなければならないわけです。そういうほんとうの、災害防止の技術上の立場からそれが正しく規定せられ、かつ運営せられますならば、これは別に問題はないと思います。しかし省令で定められるという場合において、当然検査をしなければならぬというようなものでも、会社の利害関係と結びついて、しいて検査をやらない、いいかげんに見のがしておく、こういうふうな場合も他面において考えられるわけです。そういうことがあるとかないとかいうことよりも、そういう点はどこまで考えておられるわけですか。官庁としての責任の問題としてひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/46
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047・長村貞一
○長村政府委員 但書で例外といたしますのは、決して一社一工場の利害関係というようなことによつて、適用の除外とかあるいは検査の除外をいたす趣旨では毛頭ないことは、御了解願えると思うのでございます。これは技術的の見地に立ちまして、保安検査を受けなくてもいい場合、あるいは毎年行うことが適当でない場合には、これをはずす。客観的、技術的な基準でこれが定まることになるわけでございます。これは省令でございまするので、通産省だけできめる規則ではございまするけれども、この制定までには法律自身にございまするように、あとは技術の問題になりまするので、あるいは公聽会で意見を聞くことになるでありましようし、また審議会で意見を聞くことになるでありましよう。省令とはいえ、決して官庁だけの考えでほしいままにきめるということではありません。また性質上その内容もおのずから技術的に、客観的に確定し得るものと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/47
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048・風早八十二
○風早委員 大体その技術的、客観的な基準としては、検査基準というものがあらかじめ定められるわけだと思うのです。その場合に、その基準に従つてやるというのが本則なんですが、それを例外的にその限りでないという場合が出て来る、その場合についてお聞きしておるわけです。そこには技術以外の何らかの手心が加わる、つまり先ほど申しました、はつきりいえば要するに会社の利害関係と結びついて、これは今やられちやたいへんだからという、ただ会社の利害関係からだけの立場から見のがしておく、こういうふうなことになる場合があり得ると考えられるのです。その点についてお尋ねしたわけです。それはないと言われるにきまつておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/48
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049・長村貞一
○長村政府委員 おつしやる通りに、そういうことは絶対にないつもりです。技術的の問題になりますが、一、二保安検査を受けなくてもいい場合を申し上げますと、たとえば水圧試というものを行います。こういう試験は保安検査の一種でありますが、極度に水分の混入を避ける設備があります。たとえば冷凍設備があります。こういう設備でありまして、特に圧力につきまして一定値以上の安全率を持つておる、こういうものにつきましては、前に行つた水圧試験を一定年を経過してないものは水圧試験を行わない、こういうような場合とか、あるいは常用圧力に一定倍率を加えて行う検査が、まだ必ずしも理論的に確定していない、アンモニアの反応等、こういうものにつきましては圧力試験を行わない、こういうような技術的にだれが見てももつともだという場合にだけ保安検査を受けなくてもいい、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/49
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050・風早八十二
○風早委員 そうしますと、先般も日東化学の和田常務の参考人としての公述がありましたが、その中で、毎年定期検査に対しては、硫安及びメタノールについては除外規定を設けてもらいたい、こういうような具体的な要求があつたわけです。それについては具体的にどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/50
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051・長村貞一
○長村政府委員 この問題につきましては、さらに保安審議会等の意見を聞かなければ、終局的にはつきりしたことを申し上げるのはいかがかと存ずるのでございまするが、この硫安あるいはメタノールの設備全部について、すみからすみまで保安検査がいかぬという趣旨では、この間の公述はなかつたと私ども考えております。毎年全部について行うことは困る、あるいはまた他の裝置と同じような方法で行うことは困るということでございまして、先ほど申し上げましたように、検査の時期、方法につきまして、あの裝置自身に適し、しかもあの裝置の運営を阻害しないような時期及び方法をとりながら、必要な限度において行つて行きたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/51
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052・風早八十二
○風早委員 そこでこの検査の問題は、つまりその程度なり何なりが行き過ぎになりますと、営業の方の側には非常に支障を来すということはもとよりでありまして、その点から十分な考慮を払わなければなりませんが、同時に問題はやはり災害防止でありまして、しかもその災害の被害を直接受けるのは大体において労働者であることは言うまでもないわけです。そこでただ單に会社側の生産の面からだけの観点からこの問題をきめて行くわけには行かない。労働者側の非常な要求があるわけであります。つまりそういう検査をかりにサボられたとしまして、サボられたがために思わぬ事故が起つたということになれば、すべてとつばちりは労働者の側が受けるのであります。それで私は災害統計を非常に重視するわけであります。幸い今日はこの災害統計も配付されたのでありますが、この統計を見ましてはなはだわからないことは、災害の原因として「取扱不良」それから「その他」とこういう非常に大ざつぱな分類になつております。これでは私どもしろうとでありますからまつたくわからないのです「その他」というのは主としてどういう性格のものであるか。また「取扱不良」にしましても、これは労働者自身の取扱いが非常に不備であつた、つまり不注意であつたという意味であるか、あるいは、社側の問題なのか、あるいはその両方を含んでおるのか、それらについて若干説明を加えていただきたい。その上でまた質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/52
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053・長村貞一
○長村政府委員 一つ一つの事故原因はそれぞれによつてまたこまかくわかれるのでありますけれども、大ざつぱにここに「取扱不良」、「その他」と大別しておりますが、その「取扱不良」の内容は大体こういうことです。「容器」と「製造施設」というように両方わけてございますが、容器と製造施設ではおのずから内容が違つて参ります。容器、ボンベの方の取扱い不良は結局運搬、包裝業者、こういう者のボンベの取扱いが荒つぽかつた、粗暴であつた、こういうことが一番大きな原因であります。これが施設の関係になりますと、たとえば施設の点検が十分でなかつたような場合、あるいは現場におきます操作方法が不注意であつたような場合、あるいはまた火気を近づけたような場合、こういつたような例が多いようでございます。それから「その他」と総括してございます内容でございますが、これは容器関係、つまりボンベでございますと一定の厚さがあるわけございます。これが腐蝕によりまして肉厚がある部分薄くなつて来た。そのためにそれが弱くなつて爆発した。それから製造方法自身に不十分の点があつたという場合、あるいは規格に十分合つていないものが誤つて使われたというような場合にもあるわけであります。施設関係について「その他」と総括してございますが、これは施設の内部に爆発條件、これの長時間にわたつて少しずつ欝積しておつたのが何らかの機会に爆発したというような場合、あるいは装置あるいは施設の一部の腐触とか、また運転の場合の震動によりまして強度が減つて参つて、そのためにそこから事故が起きたとか、高圧部分からガスが漏れまして、そこに発火して爆発した、こういう例が多いようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/53
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054・風早八十二
○風早委員 そうしますと、これをもう少し今の関係当事者にわけて考えてみまして、広い意味でやはり会社側で当然もつと注意を払わなければならぬ、あるいはまたあらかじめその設備について、つまり注意でありますが、腐蝕であるとかそういうようなことを早く発見し、かつそれに対してちやんと手当をしておくということをサボつたがために出て来るというようなものと、それから労働者自身が、過失といいますか、取扱い方が不注意で起つたその場合にも、やはり会社側で十分なる指導を與えなかつたというような場合もありますが、それを除いてどこまでも不注意であつたというようなものとわけて考えてみますと、大体全体の割合はどのくらいになりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/54
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055・長村貞一
○長村政府委員 事故原因はただいま申し上げましたようなことでございまして、これが会社側と申しまするか、工場運営者側の不注意によるものか、あるいはそれが、十分に注意しておりましたが、労働者の方の不注意であつたか、不注意の問題を中心にしてこれをわけますと、これはどちらがどのくらいの割合いということはちよつとただいま申し上げかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/55
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056・風早八十二
○風早委員 そういう観点からもひとつ統計をつくつてもらいたいと思います。と申しますのは、われわれ実は化学産業の災害についてはまつたく知りませんけれども、鉱山でありますとかあるいは製鉄工場については今まで現場に入つて多少調べたことがあるわけです。また統計も整理したことがあるわけです。その経験からしまして、結局大別して、会社側が資本の節約といいますか、その中でも広い意味での固定設備の節約、それを十分にやらないために起つたものがやはり大部分であつて、そのほかとしては、もちろん労働者が不注意であつたというものもあるわけです。しかし労働者が不注意だという場合は、よく調べてみますと、その過失は、非常な激労のために過労しておりまして、その疲労のために当然予知し得べき災害も予知し得なかつたというふうな場合が多いのです。特に落盤やなんかの場合には、十分な注意を払つておれば少くも五分ぐらい前には予測せられるというふうに言われておるのですが、無我夢中で掘り出さなければ一日の基準量に達しない、あるいはそれを凌駕できないということでむちやくちやにやつて、非常に疲れていて頭もそこに働いておらないというようなことから来ることがあるので、やはりほんとうにこの災害を防止するということを考える場合には、ただそういう形式的なことをやつてもなかなか防止できない。やはり会社側に対して、そういう資本の不当な節約がなされておるというふうなことであれば、いくらやかましく言つてみても、また労働者がいくら注意してみても、災害が起ることになるわけです。他方において、また労働者の労働條件があまりに劣悪でありますと、これはかりに設備が完全であつたとしても、やはり取扱いが不十分になりますので、つい投げ出してしまうということにもなるわけであります。そういう両面からやはり総合的にこの災害防止ということを考えて行かれる必要があると思うのです。そういう面から、この災害の統計にしましても、これをどうして除ぐかということをもう少しこまかくやつていただかぬと、ほんとうにおざなりの統計になつて、その原因を除去するという目的にはあまり役立たないではないか。これを労働者に持つて行きましても、実際注意のしようがありません。そういうふうなわけでありますから、これは今後ともひとつ希望しておきたいと思います。そういう統計の出し方では——大体どういうようなことを考えておられるかということは、われわれとしてもわかるのですが、何も考えておられないということになるわけです。では問題を次に移します。
次に立入検査の問題であります。これについては、前に火薬取締法案をわれわれが審議いたしました際に非常に問題になつたわけです。そのときには火薬労連からも熱心な協力がありまして、相当の修正がなされたわけであります。今回の法案を見ますと、相当その点についての考慮が払われておる節は見受けられるわけでありまして、われわれはその点ではこの法案の立案者に対して非常に敬意を表するわけです。しかしまだやはりその点で十分ではないという点につきまして、一、二お尋ねしてみたいと思います。
方々にありますが、主として問題になるのは、この第五章の六十二條に、通産大臣または都道府県知事が、その職員をして立入検査をやらせるという場合が規定してあります。その点でまずお尋ねしたいのは、中央官庁と地方官庁、つまり通産大臣とそれから都道府県知事、さらに公安委員、この三者の権限、これが非常にここでぶつかつておると思うのです。その点については大体どういうふうな権限の区分で、具体的にはどういう点に問題があるというふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/56
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057・長村貞一
○長村政府委員 第六十二條の立入検査の規定は、本法によりまする取締りの目的を達しまするために必要最小限度にきめてあるのでございます。本法各條によりまして、通産大臣あるいは府県知事はそれぞれ具体的な権限を持つているわけでございます。その具体的な権限を行うために、必要な場合に、六十二條の立入検査を行うということでございまするので、権限の錯綜という問題はあまり起らぬのではないかと私は思つております。公安委員は六十二條には何ら関係がないのでありまして、つまり六十二條によりまして、公安委員会等が立入検査を行わせるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/57
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058・風早八十二
○風早委員 六十二條に直接公安委員が出て来ないかもしれませんが、やはり警察官はただちに公安委員に通告しなければならない義務があるわけです。警察官としては、自分の職務の監督をしておる終局の機関は公安委員会であると考える。むろんこの中にも、七十四條に公安委員会というのが出ておつた。いずれにしても、立入検査については実際にやつて来る者が警察である場合、あるいは職員である場合、それぞれまちまちであると思うのです。ことに地方官庁がその職員を派遣するという場合におきましては、その職員は実は警察官であるという場合が今まではほとんどであつたと思うのです。戰前におきましては、工場の場合でも鉱山の場合でも、監督官があり、監督官補があるのに、実際にその工場監督、鉱山監督に参ります場合には、警察が来るというのが通例であつたわけです。従つて現在もやつぱりそういうことが事実行われておるのじやないかと私は想像するのですが、最近のことはよく知りません。現に警官に通報すれば、警官は公安委員の方からまた命令を受けてそこに入つて来るという場合があるわけです。そういう場合もどこかに規定があつたと思います。そういうわけで、実際に災害防止という技術的な面からの必要上やはり立入りをさせる、これが本来の趣旨であると思うのです。しかしながらそれに便乘して、立入検査がその他の犯罪捜査の目的のために認められたものと解釈してはならないという一項が入つたことは、これは大きな進歩であると思います。前の取締法にはこういうものがなかつた。これが火薬類取締法案のとき問題になつて、こういうふうなものが特に出て来たということは、非常な進歩だと思いますが、しかしそれにしても、なお労働者側としてはこの点について非常な危惧を持つておる。つまりほんとうに通報があつた場合——通報というよりも、事故が発生した場合に限らず、そういうことが習慣になりまして、何どきでも警官が立ち入る。しかも立ち入つて別に用もないのであります。また技術上の面ではまつたくのしろうとというか、関係のない人間でありますから、いくら注意しようと思つてもできない。勢いよけいなお世話をその現場へ入つてするということになると、これは精神上からいつても、また実際仕事の進行上からいつても、はたはだおもしろくないというのが、労働者の偽らざる声なんです。そういう点でもう少しこの点に念を入れた規定の仕方をする必要があるじやないかと思うのですが、そういう点はどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/58
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059・長村貞一
○長村政府委員 この六十二條の立入検査は、御説のようにこの法律の運用のために必要がある場合だけ立ち入るのでありまして、通産省の職員はもちろん、府県の職員は警察官ではないのでございます。府県にありましてこの高圧ガス取締法の運用の衡に当つておる職員、これが府県の職員として府県知事の命を受けてその権限を行使する、これが第一項の府県の職員でございます。これは私は法律的にもその職員ということで支障がないものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/59
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060・風早八十二
○風早委員 そうすると第一項の職員の場合は、これは職員の代行として警察官が入つて来るということは絶対ないということですね。そういたしますと問題は第二項です。警察官または警察吏員、これもやはり公安上の必要から主として入つて来るというわけでありますが、つまりこれと第一項との相互の間にもいろいろ具体的に問題が起り得ると思います。主とし第二項の警察官と現場の労働者あるいは労働組合、さらには労働運動、こういうものとの関係であります。とにかく警察官というものは、通常の状態では工場に入る必要は全然ないし、また入つてはならなかつたわけです。それがこういう規定が一つの拔け道になりまして、絶えず入つて来るというふうなおそれがないかということです。これは取越苦労ではないのであつて、こういう規定がなくても非常に入りたがつているわけです。とにかくいろいろなことを知りたがり、また取締りをしたがるというのが、おそらく平素の警察官の行動だろうと思います。そういうふうな意味において、これがちようど入口になつて来るというようなおそれがないかということです。そういう点では、私は本案の趣旨が技術上の面から安全を保持するというところにあるのだと第一項ではつきり出ておる限り、第二項がはたしているのかどうか、もし第二項の内容を持つて来るとなれば、みだりに警察官が入る必要はないという面から規定をする必要があるのではないかという積極的な意見を持つておるわけです。そういう点の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/60
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061・長村貞一
○長村政府委員 第二項の方は、「警察官又は警察吏員は、人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要がある」場合に限つて立入るわけであります。「人の生命、身体又は財産に対する危害を予防するため特に必要があるとき」に、警察官または警察吏員が入る、これは私は当然のことではないかと思うのであります。具体的の場合に、それに藉口して御心配のようなことが起らぬようにという御注意であろうと思うのであります。もとより健全な労働運動その他正当な業務にこれが少しも影響を及ぼすべきことでないことは当然でありまして、そういうことには全然これはタツチさせない建前であることは申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/61
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062・風早八十二
○風早委員 まだ大分残しておるところもありますが、一応政府当局としての御説明は十分承つたので、これで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/62
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063・中村幸八
○中村委員長代理 ほかに御質疑はございませんか——それでは本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。
午後は二時から再開いたします。
午後一時一分休憩
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午後二時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/63
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064・小金義照
○小金委員長 これより休憩前に引續いて通商産業委員会を開会いたします。
休憩前に引續いて高圧ガズ取締法案を議題といたします。本案につきましては休憩前に質疑は終了いたしましたので、引續いて討論に付します。討論は通告順にこれを許します。多武良哲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/64
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065・多武良哲三
○多武良委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。
近年高圧ガスに関する二、三の大きな事故が発生したことから考えましても、この種の災害を予防することによつて、公共の安全を確保するとともに、高圧ガス工業自体の保安並びに合理的発展を期するために、高圧ガスの製造その他の取扱い、及び消費並びに容器の製造及び取扱いを、法によつて規正することはまことに当然のことと思うのであります。本法案中には省令に委任せられておる重要事項の少くないこと、あるいは許認可事項の多いことなどの点から、もしも運用よろしきを得ないような場合には、産業経済の発展上憂慮すべき事態の発生するおそれが多分にあるのであります。しかしながらこれらに対しては、それぞれ政府におきまして運用上万全を期する用意があることが、質疑応答によりまして明白と相なつたのであります。この政府の答弁に信頼いたしまして本案に賛成の意を表したいと思います。以上をもつて私の賛成討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/65
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066・小金義照
○小金委員長 次は高橋清治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/66
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067・高橋清治郎
○高橋(清)委員 私は国民民主党を代表して、希望事項を付して本法案に賛成するものであります。
高圧ガス取締法案に、わが国憲法の施行に伴つて新たなる法体系整備の線に即応し、また内務省解体による担当行政機関の変更に伴う国と地方公共団体の関係、及び最近の高圧ガス工業の急速な進歩に件う技術的基準に再検討を加える必要から、現行圧縮ガス及び液化ガス取締法を全面的に改正し、もつて高圧ガスの製造、流通、消費及びその容器の製造等を規正したものであります。しかしいかにりつぱな法案を作成しても、要はその運用においてそのよろしきを得ない場合は、かえつて弊害を生むものであります。よつて次の三点につき政府に特に留意して実施されんことを強く要望いたします。
一、法案の名称は取締法となつており、本法案の内容もまた多分にこの傾向を有しておりますが、真に高圧ガス工業の進歩発達に寄與できるような助長行政を行うこと。
二、本法案第六十七條の高圧ガス保安上審議会の運用には特に考慮してほしいこと。
三、本法案の真の価値は、本法の施行よりむしろ施行令にあるのであるから、省令、政令をきめる場合には、十分保安審議会を活用するとともに、民間学識経験者の意見をも十分に取入れること。
以上の希望條項を付しまして私の討論を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/67
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068・小金義照
○小金委員長 次は今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/68
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069・今澄勇
○今澄委員 私は日本社全党を代表して本法案に対し賛成をいたします。しかしながら以下附帶條件を付して強くこれが実現を要望するものであります。
高圧ガス取締法案は、わが国産業の大部分にその影響を與え、これが内容及び運用のいかんはわが国重要産業の将来に重大なる関係を有するものであつて、きわめて重要なる法案といわなければなりません。本法案は圧縮ガス及び液化ガス取締法について、わが国憲法の施行に伴う法体系の整備、第二としては高圧ガス工業の著しい進歩発達に伴う技術上の基準の再検討、行政組織の変革に基く取締り当局機関の明確化という、以上三つの観点から、全面的な改正を加えたものと存ずるのでありますが、本法案の内容につきましては、いささか不分明なる点もありますので、次の諾條件をつけて本法案に賛意を表します。
第一は、本法律案におきましては、高圧ガスを危險物として取扱つておられるが、この思想はすみやかに改め、わが国における高圧ガス工業の発達こそが日本の産業構造の中におけるところの、わが国自立経済の大きなる主流をなすものであるということを強調したい。
第二としては、本法案を貫く思想は、高圧ガスを取締るということであるが、むしろ高圧ガスの安全をはかり、もつて高圧ガス工業の育成発展に資するがごとく、今後の活用については一段と留意をする必要がある。
第三は、作業主任者の規定を十分に生かし、高圧ガスの製造及び保安に関しては、大幅に権限をゆだねること。
第四、保安審議会の運用には万全を期し、民間関係者及び学識経験者の意見を十分取入れること。
第五、省令で定める技術上の基準をきめる場合には、保安審議会の活用はもちろん、広く関係者、特に労働者の意見をもこれを取入れる。
以上五つの附帶條件を付し、本法運用の上に、末端監督者並びに試験官その他において、これらの産業に重大なる弊害の認められる場合においては、われらは断じてこれが監督を怠らず、本法案の目的が本法案の意味する通りに運用されるべきことを監視いたし、もし大きな誤りである場合において、は、再びこれが修正をいたす意向のあることを付しまして本案に賛成の意見を表明する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/69
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070・小金義照
○小金委員長 次は風早八十二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/70
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071・風早八十二
○風早委員 私は日本共産党を代表して本法案に反対の意見を表明いたします。
この法案の目的とするところは、高圧ガス関係の災害防止にあたるのでありますが、その方法として取締りという点にこれを求められたことは、われわれとしてこれを非常に遺憾に考える次第でありまして、この点は社会党の意見とまつたく同様であります。問題は取締りによつてこの目的が達せられるものではなくして、真にその設備の発展向上に役立つ助成をするというようか点にあるのであります。
第一に、この災害防止は、労働者の労働條件を改善して、労働者の取扱いその他につきまして、過労から来る不始末というようなことがないように、あらかじめこの会社側も政府も十分な措置を講ずることによつて、初めて達せられるものであると考えるのであります。その点から見まして、この法案でやられておるような方法は決してこの目的を十分に果すものではない。第一のこの設備、裝備その他重要な高圧ガス関係の生産発達の面につきましては、むしろこの取締りの仕方がそのまま行われる場合におきましては、非常な障害をさえ與える。このことはすでに定時検査に対して業界からもいろいろ異口同音に非常な疑義が提出せられておつたことによつても明らかであると考えるのであります。次にこの労働者の問題でありますが、今日各産業において、特に軍需的な産業において、またその中でも化学産業におきましては、非常な労働強化が現に行われておるわけであります。非常な危險の中で労働強化が行われ、かつその賃金状態なり、また休息、慰安の條件なりが非常に不備でありますために、非常な過労状態で仕事をしなければならない。そういうところから裝備の方をかりに充実しましても、なお不注意が起つて来るというような危険があるのであります。今までの災害統計を原因別に見ましても、やはりこれらの労働者の過失によるものというような項目の数字が非常に多いわけです。ところがそれを実際に調べてみると、過失とはいいながら、ほんとうは過失じやない、やむを得ず生理的な原因から、もう注意が届かないというようなことになつておるのでありまして、そういう点については、さらにこの法案には何らの考慮が払われておらないということは、はたはだしい不備であると考えるのであります。
第三に、特に災害防止の問題に関連しまして、第六十二條でありますが、警察官または警察吏員が公安上の理由をもつてその場所に立ち入るということが許されておるわけであります。またかつてに関係者に質問することができるともなつておるのであります。これは一応警察官は警察官の立場から、この会社の技術上の問題とは別個に入つて来るのだという説明があつたのでありますが、しかしながらそれでやるならば、なおさら警察官がその事故に当つて特別に入る必要はない、警察官がその固有の犯罪捜査の任務以外に、その産業の場所なり労働の場所なりに入つて来る必要はない、というのは、警察官はその出入りに便乘し、結局はこの法案の目的とする以外の行動に出るという危險が事実今まであつたし、今後も当然にそういうことはあり得るわけであります。これは私どもが現在の警察の実際の運営の仕方、こういうものを見た場合に、なおさらその感を深くするのでありまして、その点で私どもはこの第六十二條の第二項、三項、四項というものは不要であると思う。そしてこれにかわつて警察官や警察吏員はみだりに立ち入ることを禁ずるというような規定がむしろあつてしかるべきである。すでに六十二條の第一項に、通産大臣なりあるいは地方長官がその職員をして指定の検査所に入らせるということになつておるのでありまして、それ以外にこれらの警察官を立ち入らせる理由は何ら成り立たない。だからこれを排除して、そしてむしろそれが入れないというような規定を設けるべきであるという私の問題提起に対しましても、そういうふうな意思は立案当局としては見られない。そういうところから、結局私どもの危惧する危険は、本法案に残つておるということを指摘せざるを得ないのであります。
私どもは真の災害防止は、まず第一に会社をして、特に固定設備に関する資本を不当に節約させることなく、十分な保安設備、安全裝置、こういうものをやらせる。定時検査をもつと会社自身をしてやらせることが第一である。第二には労働者の労働條件を徹底的に改善するということ、この二つの目的に合致しない、さらにこれらの災害防止に便乘して警察官が不当に立ち入つて、かつ不当にその任務の範囲を逸脱する危險が蔵せられておる。以上の理由によりまして私は本法案に反対の意思を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/71
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072・小金義照
○小金委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。引續いて採決いたします。高圧ガス取締法案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/72
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073・小金義照
○小金委員長 起立多数。よつて本案は原案、すなわち参議院修正の通り可決いたしました。
この際委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/73
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074・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは御一任いただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/74
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075・小金義照
○小金委員長 次に特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際お諮りいたしますが、特別鉱害復旧臨時措置法の今日までの施行状態について、資源庁炭政局の開発鉱害部長吉田半右衞門君を説明員として一応説明を聽取いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/75
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076・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは開発鉱害部長吉田君より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/76
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077・吉田半右衞門
○吉田説明員 特別鉱害復旧臨時措置法の一部改正につきまして、従来特別鉱害復旧臨時措置法がどういうふうに運営されて来たかということについて概略御説明申し上げたいと思います。
御承知のように、特別鉱害復旧臨時措置法の運用、この仕事の内容というものは、これまでは特別鉱害復旧公社というものが主体となりまして、その事業を運営して参つたのであります。ところが御承知のように、昨年末の第九臨時国会におきまして、その一部を改正する法律案が通過を見まして、この仕事を政府自体が継承するということに相なつたような次第であります。昨年十二月十六日からこの仕事を政府自体でやつております。従つて私はここで特に政府自体がこの仕事を直轄してすることになりました以降の経過についてその概要を御説明しておきたいと思います。改正法律の施行を見ましたのは昨年の十二月十六日であります。それと同時に政府の機構を新しく拡充いたしました。これは中央には開発鉱害部というものをつくりまして、鉱害の仕事をそこで一括してやつて行く、そしてあわせていわゆる鉱害復旧に必要な特別会計の仕事をやつて行くということになり、地方では福岡の通産局に鉱害部を設置いたしまして、現地の鉱害の仕事をやつております。なお宇部地区に鉱害課を設置いたしましてその仕事をやるということで、大体機構は中央の開発鉱害部、地方では福岡の鉱害部、宇部地区では宇部の石炭事務所に鉱害課を設置しましてその仕事を管掌させております。それに対する人員を申し上げますと、中央では大体三十五、六人の人間がそれに当つております。福岡では約五十人、宇部では十人くらいの人が仕事をやつております。これと同時に特別鉱害復旧臨時措置法の定めるところに従いまして、特別鉱害の該当鉱害がどういうものであるかということを認定することがまず第一に起るわけであります。これはあらかじめ準備しておりましたところに従いまして、従来の調査の結果によつて、その認定の報告をいたしました。これが十二月十六日であります。
次に特別鉱害復旧臨時措置法に定める、いわゆる納付金の義務というものがあるのでありますが、納付金の義務につきましては、トン当り二十円以内、いわゆる石炭の生産量に対してトン当り二十円以内の一定の額を通産大臣が徴收するということになつておるのでありますが、これについていわゆる関係炭鉱、非関係炭鉱というふうに二つにわけまして、関係炭鉱については二十円、非関係炭鉱については十円というように認定をいたしました。それと同時に従来のいわゆる特別鉱害復旧公社の解散、事務継承というものを完了したわけであります。それから以後の概略を申し上げますと、まず鉱害法に基くところの納付金の徴收という問題があるわけであります。これは前年の二十四年九月十六日から二十五年十二月三十一日に至るまでの出炭量を対象といたしまして、ただいま申し上げましたような、決定いたしました金額、いわゆる関係炭鉱につきましてはトン当り二十円、非関係炭鉱につきましてはトン当り十円の納付金の徴收を始めて参りました。大体の予算の状況を見ますと、予算では大体四億三千八百万円くらいの收入を得て、特別鉱害復旧臨時措置法によるところの運用に必要な特別会計の方にこれを入れる予定でおりました。実際の收入は、実際の石炭の生産量がその年想定いたしましたものよりも若干上まわつて参りましたために、若干増加いたしておりまして、これは四億六千二百万円くらいの收入に相なつております。従つて予定よりは約二千四百万円の收入増を見ておるような次第であります。それからただいまの納付金の状況でありますが、これは非常に順調に参つておりまして、全予定納付金額に対してほぼ九七%の納付を見ております。現在までに九七%、従つて約三%が滯納ということになつております。これが督促その他についてはせつかく努力中でありまして、これについては十分な解決を見るものと期待しております。若干のものについて、二、三の問題が残るかと思いますが、ただいまこれら納付について督励をいたしております。
次にこの法律に基きますところのいわゆる脱落炭鉱というのがあるのでありますが、この脱落炭鉱の認可は、三月の初旬に大体認可を終りました。今度は復旧費の支払いという段取りでありますが、復旧費の支払いの状況は、一、二、三月を通計いたしまして、約一億七千万円くらいの支払いをいたしておりまして、結局收入の四億六千万円と、そこに約二億九千七百万円という差額が出て参つておりまして、この金額も二十五年度の特別会計から二十六年度にふりかえることにいたしました。今度の支払いにこれは充当できる予定であります。なお現在残つておるところの二億九千七百万円、この金額は第一・四半期の支払いに充てるわけでありますが、その今度の仕事といたしましては、昭和二十六年度の一、二、三月に該当するところの納付金の納入がこれから始まることになつております。今のところこうした支払い状況でありまして、概算といたしまして十分やつて行けるという見込みでありますので、この点は別にむずかしい点はないと思つております。なお現在やつておりますのは事業費の認証の仕事を進めております。なお通産省といたしましては、非公共事業の復旧工事に対する認可の件を現在進捗中であります。
大体の状況はそういうことになつておりまして、特別鉱害復旧臨時措置法の関係は一応順調のすべり出しを見まして、第一・四半期を終つて第二・四半期に入つておるというような状況であります。特別鉱害復旧臨時措置法の運用について非常に困難を見たということは別にないわけであります。今度法律案の一部を改正するのでありますが、これに伴うところの事務の改正があつたわけでありまして、別段大きな問題ではなかつたのであります。特別鉱害の復旧はすべり出し順調に進んでおる、こういうふうに御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/77
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078・風早八十二
○風早委員 今いろいろ提案理由の説明がありまして、完全実施ということがうたわれておる。予算でも手續上そういう点では大体遺漏なく行われたことはよくわかりましたが、かんじんの目的とする鉱害の復旧そのものがどういう状況であるかということについて、全然御説明がなかつたわけです。私どもは何のためにやつておるかということを第一に考えておつた。加害炭鉱なり被害炭鉱なり、またその周辺におきましてどういう復旧状況であるかということをひとつ知りたいわけであります。今日は皆さん方の都合もあつて、今ただちに御説明はあるいは困難かと思いますから、その点については後刻でよろしいから、資料をもつて御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/78
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079・小金義照
○小金委員長 委員長からそのことを命じます。
では質疑、討論を省略いたしまして、ただちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/79
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080・小金義照
○小金委員長 それではただちに採決いたします。特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案について、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/80
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081・小金義照
○小金委員長 異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り全会一致をもつて可決いたしました。
この際委員会報告書の作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/81
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082・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。それでは御一任いただいたものと決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/82
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083・小金義照
○小金委員長 この際委員長から本委員会の決議に関する政府の措置について、通産大臣が来られませんので、首藤政務次官にお尋ねいたします。本委員会においては昨年の十二月すなわち第九国会において鉱業法案等を審議いたしました際に、一般鉱害の賠償に関する決議案を全員一致をもつて可決いたしておるのであります。その要旨は、鉱害地の原状回復に対する被害者の熱望にこたえると同時に、食糧その他重要物資の生産を確保するためにも、原状を回復する、少くともその効用を復活せしめることが必要である。しかしながらこの費用を鉱業権者に負担せしめることは、鉱業を懐滅に導くこととなり、さりとてこれを被害者に課することも断じて許されないことであり、結局国庫の負担においてこれを遂行するほかないのであるから、政府はすみやかにこれを実現するため、ただちにその準備委員会を設置して必要な法律を立案すべきであるというのでありました。
なおこれよりさき、昨年五月二日、第七国会の最終日において特別鉱害復旧臨時措置法を成立せしめた際にも、これまた全会一致のもとに鉱害に関する決議をいたしておるのでありまして、その際、鉱害発生の原因にかんがみ、既存鉱害の復旧を促進するため、あらゆる手段を講ずるはもちろん、国土計画の観点からも対策を立て、今後の鉱害発生を最小限度に食いとめるため、拔本塞源的な措置について万遺憾なきを期すべきであるというような趣旨を政府に強く要望いたしたことは、すでに御承知の通りであります。ついてはこれらの決議に対して、政府はその後いかなる措置をしておられますか、御答弁を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/83
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084・首藤新八
○首藤政府委員 第七国会並びに第九国会におきまして、本委員会において一般鉱害の復旧に対しまして強硬な決議をされたことは、政府といたしましてもこれはよく了承し、かつこれを尊重いたしまして、できる限りすみやかに御期待に沿いたいという考えのもとに、本年一月以来もつぱらこれが推進に当つておるのでありまするが、今日までの経過につきまして大体の状態を御報告申し上げたいと存ずるのであります。この通産委員会の御意向を尊重いたしまして、政府は本年一月通産、安本、農林、建設、大蔵、これらの各省の担当官をもつてこれが復旧のための幹事会を結成いたしました。当初この責任官庁をいずれに置くかということで、あるいは安本あるいは総理外局にというような御意見がありまして、これが最終的決定に若干の日にちを要したのでありますが、結局本年二月におきまして、通産省が責任官庁ということに相なつたのであります。同時にその後幹事会の正式な結成をやりまして、この幹事会の会合は数回開催いたしまして、調査の方法等について、愼重に検討いたしたのであります。續いて本年三月第一回の調査をいたし、さらに四月第二回の調査をいたしまして、大体の被害の程度その他がわかつたのでありますが、なお大蔵省の御意向も尊重いたしまして、予算措置に万全を期さなければならぬという建前から、もう一同近く全部の調査をいたしまして、もつてこれを最終といたしまして予算措置の計画を進めることに相なつておるのであります。今日までの状態から考えますれば、大体順調な経過をもつて進んでおるというふうに御了承願つてもさしつかえないのではないかというふうに考えておりますが、今後も一層これが達成のためには万全を期して御期待に沿いたい、かように考えておるのであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/84
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085・小金義照
○小金委員長 次に本日午前中提案理由の説明を聽取いたしました緊要物資の売払いに関する法律案を議題といたします。質疑に入ります。質疑は通告の順によつてこれを許します。小川平二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/85
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086・小川平二
○小川(平)委員 最初に立法技術の点でお尋ねをいたしたいのであります。提案理由の最後の箇所に「新たに法律をもつて設ける必要がある」云々とございますが、これは財政法の方を修正することによつて同様の効果を上げ得たのではないかと考えられるのでありますが、その辺の御説明を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/86
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087・首藤新八
○首藤政府委員 御指摘の通り、政府におきましても、この点を当初考慮いたしまして、そういう方法で打開できるのではないかというふうに考えたのでありますが、その後いろいろ他の方面を考慮いたしました結果、やはりそれだけでは不十分であるということからこの單行法を作成したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/87
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088・小川平二
○小川(平)委員 この法律案は、さしあたつてはニツケルを対象としておられるものと了解しておりますが、将来さらに品目を追加されるお考えがおありかどうか。おありならばいかなる品目を考えておられるか、この点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/88
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089・首藤新八
○首藤政府委員 現在ニツケルと同様の寡少物資になつておりますのが他にも相当あるのであります。特にコバルトは現在のところ最も獲得が困難でありまして、何とかこれに似た対策を講じなければならぬのではないかという点も考慮いたしておりますが、ニツケル等はいろいろ各面において異なつた点もありまして、これと同一の対策もとりにくいということから、目下どういう方法をもつて対策を講ずるか検討いたしておるのであります。その他のものは、大体こういう方法をもちまして、おそらくそれが獲得が困難ではないかというところから、別の面の方法を講ずる、これも現在検討いたしておるのでありますが、まだ成案を得ていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/89
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090・小川平二
○小川(平)委員 この法案を拜見いたしますと非常に簡單であります。法三章ということを申しますが、これはただ一條だけの非常に簡單な法律でありまして、細目の点はあげて省令に讓つておられるそうであります。本法の対象となる品目を新たに追加するということは、場合によつては相当重大な経済的影響を生じ得ると思うのであります。さような場合には十分に愼重に決定をされることとは存じますが、さような場合に国会に連絡をなさるおつもりかどうか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/90
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091・首藤新八
○首藤政府委員 できる限り国会の御審議を願いたい、さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/91
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092・小川平二
○小川(平)委員 それから提案理由を拜見いたしますと、他面には少からざる貿易外收入の減退を憂えねばならぬ云々ということが本法制定の理由の一つにあげられておるのでありますが、本法に盛られておる構想は、いわば保税工場あるいは保税加工工場式に近い様式でありまして、率直に申しまして大したうまみがある話ではないというような感じがいたすのであります。実際の問題といたしましても、発注は競争入札で行われることが当然に想像されるのでありまして、日本の業者がこれによつて、いわば共食い的な入札をするような事態を生ずるのではないかと考えられるのであります。そうなりますと、日米経済協力体制を推進する上において、こういう制度の果し得る役割というものはさまで大きな評価を與えることはできないのではないか、こういう議論が一応成り立ち得るかと思いますが、この点いかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/92
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093・首藤新八
○首藤政府委員 日米経済協力問題はいまだ内容的に具体的な発表がありませんので、ここで詳細に申し上げ得る段階に到達していないのであります。しかし今日までアメリカの方におきましても、発注の調整機関をつくつて発注の整備をするということに相なつておりますので、政府におきましてもこれに即応する受注の調整機関を設置いたしまして、そしてただいま御指摘のような非常に無謀な競争のないように、行政的の指導等、万全を期して行いたい、こういう方法を考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/93
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094・小川平二
○小川(平)委員 了承いたしました。
それでは振興局長がお見えになつたようですから、先刻お尋ねしておつたのでありますが、この立法技術的な問題について伺います。財政法の方を修正することによつて、ほぼ同様の効果をあげ得たのではないかと考えているわけであります。いかなる事情でありましたか、詳しく御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/94
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095・井上尚一
○井上(尚)政府委員 今回の緊要物資の売払に関する法律案は、通産大臣の提案理由の説明にもございました通り、財政上の原則の例外としまして、すなわち昭和二十二年法律第二百二十九号というものがございますが、物品の無償貸付及び讓與等に関する法律、これの第三條におきまして「物品を国以外のものに讓與又は時価よりも低い対価で讓渡することができるのは、他の法律に定める場合の外、左に掲げる場合に限る。」とありまして、ここに一号から八号までと、同じく第四條に一項、二項に限定的の列挙になつているのでございますが、小川委員の御質問は、この物品の無償貸付及び讓與等に関する法律の第三條ないしは第四條の具体的列挙に、今度の場合もこれに追加することでもつて十分ではないか、あえて別に新たなる法律を必要としないのではないかという御質問のように拜承したのでありますが、今日までの、今申しました法律に具体的に列挙になつております場合は、例をあげて申しますと、伝染病予防上必要な医薬品を国が讓渡するような場合であるとか、あるいは教育、試験、あるいは調査上必要な印刷物、写真その他これに準ずる物品、見本、標本用品等を讓渡する場合とか、あるいは農林水産物の改良あるいは増殖をはかる必要上種苗、稚魚等を讓渡する場合というぐあいに、大体例外としては国内の産此、衞生関係の行政の必要上生ずる場合をここに列挙しているのでありますが、今般の場合は純然たる国内産業上、国内の衞生保健上あるいはというようなケースとは性質が異なりまして、軍の特別の需要に充足するという目的をもちましてニツケルとか、あるいはその他の特殊の原料を米国から輸入する、そういう特需の充足というふうに、従来の純然たる国内行政問題とは多少異なる性質の事項でもございます関係上、従来のような列挙に今度の場合を一枚加えるということは、多少性質を異にするものが一緒になると考えましたので、むしろ別の法律案の方がいいであろう、そういう考えが第一でございますが、なお進んで申しますれば、今後の問題としまして、当面は国の緊要物資特別会計から払下げるという、その払下げた場合に、これは非常に重要な物資でございます関係上、これの流用禁止、ことにニツケルについて申し上げますと、輸入の場合のCIF・ジヤパンがトン当り四十万円程度でありますが、国内の相場が三百万円を突破しておるというふうに非常な値開きがそこにあります関係上、特需と申しまして軍の発注官で発行いたします発注証明書と引きかえにこれを得るという建前ではありますが、これの流用禁止の方法につきましては、あるいは将来担保を供するとか、あるいは追徴金の問題とかいう事柄につきまして、さしあたつての問題といたしましては、契約ベースでそういう條項をきめて参りたいつもりであります。今後運用の経験に徴しまして、場合によつてはそういうような事柄をも法律事項として加える必要もあろうかという考えをもちまして、今度は一応繰返して申しますが、物品の無償貸付及び讓與等に関する法律の限定的列挙に一項目を加えるというのではなしに、新規に別の法律案をここに提案した。以上がこの理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/95
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096・小川平二
○小川(平)委員 次にこの法案にニツケル製錬事業助成臨時措置法案との関係についてお尋ねをいたしたいと思います。今の御説明にもありましたことですが、ニツケルの国内価格と、それからCIF価格と非常に開いている。従つて本法案によつて、ニツケルが横流しをされるということが当然に予想されなくてはならない。それらに対する対策も将来お考えにならなければならないような場合が出て来るというお話でありましたが、これは将来の問題ではなしに、本法の制定と同時に、ただちに具体的な取締りの方法を立案されて行く必要があるのではないかと考えるのでありますが、この点取締りに自信を持つておいでになるか、どういうふうな構想を持つておいでになりますか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/96
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097・井上尚一
○井上(尚)政府委員 今般の法律の適用品目がどういう品目になるかは、今後の特需の内容によつていろいろかわつて参るかと存じまするが、当面の問題といたしまして、確定を見て参る物資はニツケルでございます。ニツケルにつきましては、ただいま申しましたようなこちらへの輸入の原価と、現在の国内相場との間に非常な開きがございます。この点につきまして一定の手續、すなわち軍の発注証明書等の引きかえによつて、この緊要物資特別会計を通じて売払うその当該原料、すなわちニツケルがほかの方面に流用になることを防止する措置についてどういう用意があるかという御質問でございますが、ニツケルにつきましては、実は今日まだ臨時物資需給調整法の適用品目でございます関係上、この流用につきましては物調法の違反を構成することに相なります。こういう関係上、ただいま申し上げましたこれを売払います場合の手續といたしましては、実は軍の発注証明書だけは必ずしも十分ではないのではないか、すなわち物調法の適用品目であります関係上、物調法に基きまする割当証明書が同時に重ねているのではないかと考えて、この実施の方法につきましては今日研究中でございまするが、ニツケルにつきましては、契約ベースによりまして、売払いの條件としまして、その流用を適当に阻止する方法、すなわち具体的に申しますれば、追徴金を徴するとかいうようなことを契約ベースでやりますと同時に、これが物調法の統制品目である関係上、当該ニツケルの流用は物調法によりまする統制に関する規定の違反になる。そういう両面の方法をもちまして、この原料の適正なる使用について十分なる措置を講じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/97
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098・小川平二
○小川(平)委員 それではさらに関連をしてお尋ねいたしますが、これはニツケルだけでなしに、今後追加されると予想されるいろいろな品目についても言い得ることだと思うのでありますが、本法によつて民需の需給計画等が大きな影響をこうむることがあるのではないかと存じますが、さしあたつてはニツケルについて、具体的に承らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/98
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099・井上尚一
○井上(尚)政府委員 この緊要物資特別会計を通じまして米国より輸入をします物資、これは緊要物資輸入基金特別会計法にもございます通りに、用途が特殊需要に限られておることになつております関係上、緊特会計を通じて入つて来るその原料の供給によつて、日本国内におきまする当該物資の需給には直接関係はないと考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/99
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100・小川平二
○小川(平)委員 この法律案によりますと、いわば保税工場制度式の仕組みであるという感じがするのであります。そうなりますと、この法律によつての適用の対象になる貨物はいわばスルーアウト・カーゴというふうなものになると思うのでありますが、さような場合、ニツケルの問題などの場合は、関税は問題にならないといたしましても、入港税その他の課税上の特典が與えられるのでありますか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/100
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101・井上尚一
○井上(尚)政府委員 従来の例によりましても、進駐軍用の物資につきましては免税という取扱いに相なつております関係上、この緊要物資輸入基金特別会計を通して今後入つて参りまする特需用の原料につきましても、同様の取扱いに相なろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/101
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102・小川平二
○小川(平)委員 輸入代金については通常の為替決済によるのか、あるいは何か特殊な方法をおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/102
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103・井上尚一
○井上(尚)政府委員 今度のニツケルにつきましては、援特を通じて緊特の方へ来る、そういうルートに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/103
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104・小川平二
○小川(平)委員 それから罰則追徴金についてお尋ねしたいのですが、どうもこれが相当重いのではないか、特に苛酷に失するのではないかという感じを受けるのであります。他の諸法令との振合いから、どういうふうにこの点をお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/104
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105・井上尚一
○井上(尚)政府委員 お答え申し上げます。この法律案自体におきましては、罰則と申しますか、これは別段規定がないのでありますが、実際上は契約ベースをもちまして、追徴金に関する條項を契約の内容としまして入れて行こうという考えでありますが、当該物資の現在の時価と当該物資の輸入原価に一定のチヤージを加えました金額との差額を基準としまして、追徴金の金額を具体的にきめて参りたいと考えております。結局違反と申しますか、流用防止の方法である関係上、以上申し上げましたような基準での追徴金の程度では決して苛酷ではないとわれわれの方では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/105
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106・小川平二
○小川(平)委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/106
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107・小金義照
○小金委員長 それでは爾余の質疑は明日に讓ります。
本日はこの程度にて散会いたします。
午後三時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101004793X03319510525/107
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