1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十二日(火曜日)
午後二時二十九分開議
出席委員
委員長 安部 俊吾君
理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君
理事 猪俣 浩三君 鍛冶 良作君
佐瀬 昌三君 古島 義英君
牧野 寛索君 松木 弘君
山口 好一君 大西 正男君
田万 廣文君 上村 進君
梨木作次郎君 佐竹 晴記君
委員外の出席者
專 門 員 村 教三君
專 門 員 小木 貞一君
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五月二十二日
委員眞鍋勝君辞任につき、その補欠として村上
勇君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
公述人選定に関する件
商法の一部を改正する法律施行法案(内閣提出
第四二号)
非訟事件手続法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六七号)
有限会社法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇〇号)
商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法
律の整理等に関する法律案(内閣提出第一六
五)
商法の一部を改正する法律改正に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/0
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001・安部俊吾
○安部委員長 これより会議を開きます。
本日はまず商法の一部を改正する法律改正に関する件を議題といたします。本件につきましては、去る十九日の委員会におきまして、商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律の一応の成案を決定し、諸般の手続をいたしておつたのでありまするが、今日所要の手続を完了いたしました。この際本案に対しまして、御質疑または御意見はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/1
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002・上村進
○上村委員 ちよつと提案者に質疑をしておきたいのですが、この五十九条の一項に「相当ノ担保ヲ供スベキコトヲ命ズ生トヲ得」とあるのですが、相当の担保という意味は、特別の意味はないのか。それとも今まで通りのような法律常識でいいのかどうかということを確めておきたいと思います。
それから第二項の「悪意ニ出デタルモノ」というのがありますが、これは法律常識でわかつておりますが、特に別段の意味がないのか、どういう意味か、その点ちよつと明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/2
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003・押谷富三
○押谷委員 上村委員の御質問にお答えをいたします。ここにある「相当ノ担保」とは、今日まで相当の担保という言葉は使われており、それに基いて裁判所が扱つておられました。いわゆる法律常識に基いて御解釈をしていただくという程度のものであります。別にかわつた意味は持つておりません。
それから悪意という意味でありますが、これも請求の原因がないであろうことを知つてかような請求をする場合という意味で、具体的に申し上ぐるならば、会社荒しというような、そういう善意にあらざる場合、これを悪意と申し上げておるのでありまして、法律常識で悪意、善意をきめてもらうへこういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/3
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004・上村進
○上村委員 大体わかりましたが、「相当ノ担保」という相当という文字は、実際においては株式会社の資本金の額によろというようなことになると、たとえば百万円の会社に対して起すときに、裁判所が百万円の三分の一を積めということになつても相当ということにもなるし、相当というのがきわめて穏当であるが、またきわめて不当なことがあつて株主、債権者もしくは利害関係人の権利行使に非常に困難なことがありますが、これらの点をここではつきりしておくお考えはないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/4
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005・押谷富三
○押谷委員 ここに相当の担保の数額を算定するのに、資本金の三分の一とか、半額とかいうのは、資本金を基本にするのではなくて、そのことによつて生ずるであろう損害を基準として、その相当の担保額を決定すべきものである、こう解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/5
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006・上村進
○上村委員 そうすると、そのことによつて生ずるであろう損害ということが、どういう基準になるか、それがまたあいまいです。何かもう少しここにはつきりした基準はないのですか。裁判所から見ると、とにかくこれは相当だから五十万円積めとか、百万円積めとか言う。請求者の方はそんなには積めないということになると、今押谷委員の言つたように、そのことによつて生ずるであろう損害ということは、これは損害賠償の訴えならばわかりますが、会社の場合においては、そのことによつて生ずるであろうところの損害がはつきり計算できないと思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/6
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007・押谷富三
○押谷委員 それぞれの場合によりまして、損害額は必ずしも一定はいたしませんが、その事件の内容によつて裁判所において良識をもつて相当な担保を決定せられる、これであやまちがないものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/7
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008・鍛冶良作
○鍛冶委員 ここにある悪意という意味は、民法に言われる善意、悪意だけでは範囲が狭いのではないかと心得られます。そこでこういう場合が入るかどうかをひとつ提案者にお聞きいたしたいのです。請求自身を貫くことによつて達成する目的ではなく、それをやることにおいて、ほかの何らかのねらいをやろうという目的でやつた場合も入れなければならないと思いますが、入るかどうか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/8
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009・押谷富三
○押谷委員 請求者の請求原因が不当である、あるいは有無を知る知らぬという関係外に、なお請求によつて達せんとする目的が敵本主義であり、敵は本能寺にありといつたような場合におきましても、ここにいわゆる悪意という意味に入るものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/9
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010・安部俊吾
○安部委員長 ほかに御発議はございませんか。——なければこの際お諮りいたします。本案を本委員会の成案と決定し、これを本委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/10
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011・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本案を本委員会の成案と決定し、これを本委員会提出の法律案とするに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/11
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012・安部俊吾
○安部委員長 次に商法の一部を改正する法律施行法案を議題といたします。御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ委員長の手元に修正案が提出されておりますので、提出者より趣旨弁明を求めます。押谷富三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/12
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013・押谷富三
○押谷委員 商法の一部を改正する法律施行法案に対する修正案の修正動議の趣旨弁明をいたします。修正案はお手元に配られてありますから、この朗読を省略いたします。
まず修正案の要点でありますが、商法の一部を改正する法律、昭和二十五年法律第百六十七号が本年七月一日から実施されるに伴い、実施上の便宜のため二、三の点を修正し、ある程度新法の実施を延期すると同じ結果となつたのであります。第に第十七条の修正において、総会の決議の要件につきましては、一定の期日までに新法施行後もなお旧法を適用しようとするものであります。しかし新法二百六十四条第二項、取締役の競業の認許及び第二百六十六条第五項取締役と会社間の取引を承認せる場合の取締役の会社に対する責任免除については、これを適用しないことにし、なお総会の招集の通知及び公告につきましては経過規定を置いたのであります。
第二点、第二十条の修正においては、二人以上の取締役を選任する場合についても、新法施行後なお一定の期間は新法の累積投票に関する規定を適用しないことにしたのであります。
第三点、第三十八条の修正においては総会の要件に関する第十七条の修正に伴い、社債権者集会の決議には準用することは適当でありませんので、社債権者集会の決議については、修正前の第十七条第一項と同趣旨の規定を置くことにいたしたのであります。
以上修正案の要旨でありますが、何とぞすみやかに御審議の上可決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/13
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014・安部俊吾
○安部委員長 これにて提出者の説明は終了いたしました。
これより討論を省略しただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/14
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015・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければこれより採決に入ります。まず修正案についてお諮りいたします。本修正案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/15
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016・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除いた原案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/16
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017・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本案はただいまの修正案の通り修正議決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/17
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018・安部俊吾
○安部委員長 次に非訟事件手続法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はございませんか。——御質疑がなければ委員長の手元に修正案が提出されておりますので、提出者より趣旨説明をお願いいたします。押谷富三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/18
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019・押谷富三
○押谷委員 非訟事件手続法の一部改正に対する修正案の趣旨弁明をいたします。修正案につきましてはすでにお手元に配られてありますから、朗読を省略いたします。
修正の理由の概要でありますが、商法の一部を改正する法律の一部改正に伴う規定の整理をするために、かような修正を必要といたす次第であります。右すみやかに御審議の上、可決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/19
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020・安部俊吾
○安部委員長 これより討論を省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/20
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021・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければこれより採決に入ります。ただいまの修正案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/21
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022・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつてただいまの修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除く原案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/22
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023・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本案はただいまの修正案の通り修正議決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/23
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024・安部俊吾
○安部委員長 次に有限会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ委員長の手元に修正案が提出されておりますので、提案者より趣旨説明をお願いいたします。押谷富三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/24
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025・押谷富三
○押谷委員 有限会社法の一部を改正する法律案に対する修正案の修正動議を提出いたします。修正案の朗読はすでにお手元に修正案が配付されておりますからこれを省略いたします。修正の理由は商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に伴う規定の整理といたしまして、かような修正をする必要が生じたのであります。すみやかに御審議の上可決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/25
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026・安部俊吾
○安部委員長 これより討論を省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/26
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027・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければこれより採決に入力ます。まずただいまの修正案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/27
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028・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつてただいまの修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除いた原案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/28
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029・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本案はただいまの修正案の通り修正議決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/29
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030・安部俊吾
○安部委員長 次に商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ本案に関する修正案が委員長の手元に提出されておりますので、提出者より趣旨説明を願います。押谷富三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/30
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031・押谷富三
○押谷委員 商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する修正案の説明を申し上げます。
修正案につきましてはすでにお手元に配付されてありますから朗読を省略いたします。
修正の理由の概要は、商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に伴う規定の整理をいたした次第であります。すみやかに御審議の上可決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/31
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032・安部俊吾
○安部委員長 これより討論を省略し、採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/32
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033・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければこれより採決に入ります。まず修正案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/33
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034・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除いた原案に賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/34
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035・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつて本案はただいまの修正案の通り修正議決いたしました。
この際お諮りいたします。本日議決いたしました四案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/35
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036・安部俊吾
○安部委員長 御異議なければさようとりはからいいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/36
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037・安部俊吾
○安部委員長 次に公述人選定に関する件を議題といたします。去る十五日本委員会において裁判所侮辱制裁法案について公聴会を開きたい旨議長に承認要求を提出いたしたのでありますが、十七日議長の承認を得たのであります。
本案に関する公聴会は、明後二十四日午前十時より開会いたす予定でありますが、本日公述人の選定を行いたいと存じます。
この際お諮りいたします。公述人といたしましては、早稲田大学教授戒能通孝君、最高裁判所事務次長石田和外君、東京地方裁判所判事小林健治君、法務府検務局総務課長宮下明義君、日本弁護士会連合会事務総長江川六兵衛君、弁護士毛受信雄君、総評常任幹事監谷信雄君、産別議長吉田資治君公立学校教員熊田正夫君の以上九名といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/37
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038・梨木作次郎
○梨木委員 私の方から弁護士の布施辰治氏を推薦してあつたのでありますが、これはどうして除外されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/38
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039・安部俊吾
○安部委員長 ただいまの梨木君のお尋ねにつきましては、これは理事会において…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/39
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040・梨木作次郎
○梨木委員 こういう裁判所侮辱制裁法については、この種の事件について最も多くの経験を持つている布施辰治氏を入れないということがありますか。そういう人選の上において、たれが見ても納得できない人選はわれわれは反対です。こういう裁判所侮辱制裁法はわれわれは参議院における提案者の説明を聞くと、大体共産党の法廷闘争を抑圧するためであるということを聞いている。特に布施さんはこの種の事件については最も多く関与している。こういう人の意見を聞かないで、この種の事件については、大体出廷した経験を持たない弁護士を幾ら呼んで聞いても、さような人の意見は何ら傾聴に値しないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/40
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041・安部俊吾
○安部委員長 梨木君にお答え申し上げます。大分ほかの方面からもいろいろ公述人の要求があつたのでありますが、全部それらの要求を取入れることはできなかつたのであります。従いまして理事会において適当な人数を制限いたしました。そういうようなわけでありまして、これは適当妥当な人数に——もつともあるいは反対、賛成いろいろな意見もありましようが、きわめて公正妥当と認めてこれを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/41
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042・猪俣浩三
○猪俣委員 裁判所側から何名出ているわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/42
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043・安部俊吾
○安部委員長 裁判所からは二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/43
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044・猪俣浩三
○猪俣委員 私はできるならば末弘厳太郎氏をひとつお呼びを願いたい。末弘厳太郎氏が「法律時報」の四月号か五月号にこの法案についての意見を発表されておるが、それはアメリカの裁判の事情と日本の裁判の事情とは異なつているということを指摘されまして、適切なる批評をしていると思う。ただどういうふうになつているかということについての具体的の説明がないのでありましてこれは法律時報に発表されました意見であつて法曹界に相当の影響力を持つていると思うのでありますが、そこで末弘氏をお呼びいただき、そのつり合い上あるいは裁判所側からもう一名何ならばお呼びいただいて末弘先生の意見をどうしても聞きたいと思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/44
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045・安部俊吾
○安部委員長 ただいま猪俣君から御発言がありましたが、なお公述人につきましては多少の異動があります際には、委員長に御一任を願いたいと考えるのでありますが、その際猪俣君の御希望を取入れるようにいたしましてはいかがでありましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/45
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046・安部俊吾
○安部委員長 さように決したいと思います。これはきわめて公正なものでありまして、これは御希望があればあるでいいのでありますが、単にそのことをいまだ決定しない前に、あるいはそれを批判し、あるいはそれをよろしいとか悪いとか判断を下すことははなはだ間違つている。これは諸君によろしいか、あるいはさらに御希望があるかということをお諮りしているのでありますから、その際においてはいろいろ言葉を慎んでもらわなければならぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/46
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047・上村進
○上村委員 意見を述べますが、法廷侮辱制裁法という法律は、きわめて人民の権利、特に弁護権について非常に重大なる影響を及ぼす法律であります。裁判所がややともすると弾圧的な態度をとる。こういうことは今までたくさんあつた事実でございます。そうして民主憲法においては、裁判所がきわめて民主的に人民の主張あるいは弁護を聞くということが建前であるわけで、それにもかかわらずこの法律が逆行的な効果をもたらすことは明らかなんであります。そういう場合に、公聴会を開くということもまた必要で、これは許されることが当然なんであります。しかし日本の在野法曹で、最も裁判所と闘争し、人民の権利弁護を熱心にやつたところの、この法廷闘争の弁護士は布施辰治君をおいては日本にはないのです。布施辰治君が第一人者です。ですからそういう人を入れないということは、だれが見ても——そういう主張をはねのけてそうして無理にこの侮辱制裁法を通そうという意図が現われておるものと見なければならない。そういうことを立法府がやるということは、私はきわめて立法府の権威のために悲しむものであります。でありますから、ぜひ布施君を入れるように、そうしてまたほかに入れるなら入れてもよろしゆうございますが、できるだけ多く聞くことがいい。しかも在野の法廷闘争の経験深い布施君を除くということはきわめてへんぱであります。でありますから、ぜひこれを御考慮願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/47
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048・安部俊吾
○安部委員長 上村委員にお答えいたします。もとより国家の最高権威であるこの国会の、しかも法務委員会におきましてこれは決定するのでありまするが、参考人としていろいろなその参考資料になるところの意見を聞くのであります。たくさんの人を呼ぶことは不可能であります。なぜならば会期も一週間の間に切迫しておるのであります。できるだけ各方面の人々より、きわめてフリーな立場にある意見を聴取したいと思うのであります。そういう点から申しましても、すでに梨木作次郎君より推薦され、要請されましたところの三名のうち早稲田大学教授戒能通孝君及び吉田資治君の二人が入つておるのであります。そういうようなわけでありまして、ほかにもたくさんの要求があるのであります。それをあらゆる方面から考えまして、これが妥当であると考えたのでありまして、決して不公平な、特に梨木君の要請を拒絶したというようなことはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/48
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049・梨木作次郎
○梨木委員 それでは今言われた公述人の中で、弁護士はだれとだれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/49
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050・安部俊吾
○安部委員長 弁護士は毛受信雄君、江川六兵衛君であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/50
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051・梨木作次郎
○梨木委員 だからそれは弁護士としての資格で来るのかどうか。江川六兵衛君とも受信雄君、私はこの人たちをどうこう言うわけではありませんが、最高裁判所から今裁判所侮辱制裁法の資料として、法廷闘争記というものを出しておる。この種の、いわゆる最高裁判所が法廷闘争と称しておるようなこういう資料となつておる裁判事件に、一体これらの弁護士諸君は関与しているのかどうか、全然関与しておりません。従つて今対象となろうとしておるところの法廷事件におきまして、これらの事件に具体的に関与したような弁護士をこの事件の公述人として呼ぶということが、最も適切なことであり、そうでなければ、その人たちの供述から、何らわれわれの審議の資料になるようなものを引出すことはできません。これが一番かんじんなことなんです。だから、ただ抽象的に弁護士だからということだけでは、決してその人たちの供述の中にわれわれの審議の資料になるようなものはないと思うのです。特にいわゆる法廷侮辱罪に該当するような、提案者において心配しておるようなその種の事件に一番多く関与しておる弁護士諸君、これらの人たちの意見を聞くことが一番重要なことなんだ。一体こういう人はその種の事件に関与しているということが言えますか。われわれの知る範囲においては全然関与しておりません。さようなことでは、弁護士諸君の意見を聞いたということにならないのです。私の方から推薦いたしました三人のうちの二人まで入れていただいたことは大いに多といたします。しかしながら在野法曹から法廷侮辱制裁法についての意見を聞くといたしましては、この二人は私は適任じやないと思う。適任じやないということが言葉が過ぎるとすれば、もう一名加えるべきであるということを言いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/51
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052・安部俊吾
○安部委員長 梨木君にお答えいたします。信用してはならぬという理由がない以上は、私は信用して可なりと思うのでありまして、十分に在野法曹としての意見は聴取ができると思うのであります。
なお念のためにあらためて申し上げます。公述人の選定につきましては、ただいま申し上げたように多少の異動につきましては委員長に御一任を願いまして、その際猪俣浩三君等よりの御意見を考慮いたすことに賛成の方の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/52
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053・安部俊吾
○安部委員長 起立多数。よつてさようとりはからいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005206X02919510522/53
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