1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年三月六日(火曜日)
議事日程 第十七号
午後一時開議
第一 放送法第三十七條第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件、
第二 公団等の予算及び決算の暫定措置に際する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案(内閣提出)
第四 商品券取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案(内閣提出)
第七 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第八 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第九 海事代理士法案(内閣提出)
第十 海難審判法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第十一 港域法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
—————————————
●本日の会議に付した事件
首都建設委員会委員の指名
首都建設委員会委員任命につき同意の件
緊急輸入確保に関する決議案(益谷秀次君外二十五名提出)
日程第一 放送法第三十七條第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件
日程第二 公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案(内閣提出)
日程第四 商品券取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出)
日程第六 国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案(内閣提出)
日程第七 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第八 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第九 海事代理士法案(内閣提出)
日程第十 海難審判法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
午後一時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/0
-
001・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/1
-
002・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 首都建設法第五條第一項第二号に基き首都建設委員会委員の指名を行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/2
-
003・福永健司
○福永健司君 首都建設委員会委員の指名については、その手続を省略して議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/3
-
004・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/4
-
005・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は首都建設委員会委員に事鈴木仙八君を指名いたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/5
-
006・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。内閣から、首都建設委員会委員に阿部美樹志君、小林中君、高野直治君、次田大三郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。本件につき採決いたします。
まず阿部美樹志君及び次田大三郎君の任命につき同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/6
-
007・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。(拍手)
次に小林中君及び高野直治君の任命につき同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/7
-
008・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/8
-
009・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、益谷秀次君外二十五名提出、緊急輸入確保に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/9
-
010・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/10
-
011・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
緊急輸入確保に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。今澄勇君。
〔今澄勇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/11
-
012・今澄勇
○今澄勇君 ただいま上程いたされました緊急輸入確保に関する決議案に対しまして私は提案者を代表いたしまして趣旨弁明を行いたいと思います。
まず緊急輸入確保の関する決議案の案文を朗読いたします。
緊急輸入確保に興する決議案
国際政局の緊迫化と物価高騰のすう勢に伴い、わが国の輸入貿易の見通しは楽観を許さないものがある。
疎に昨年夏以来の朝鮮事変を契機とする特需の増大と輸出の飛躍的伸長の結果へ、速やかに適切な措置を講じないと内需用物資の需給を不均衡ならしめるのみならず、ひいては輸出をも阻害し、ために自立経済の目的達成に著しい支障を與えることはまことに憂慮に堪えないところである。
ここにおいて、国民生活の安定を図り、産業活動に支障なからしめるために、政府は輸送力の増強、貿易金融の円滑化そのほか凡ゆる手段を盡し、全力を挙げて食糧並びに原料資材の輸入を緊急に確保すべきである。右決議する。
そもそも覇鮮事変勃発以来ここに十箇月、昭和二十六年も三月の声を聞くこのごろになつて、かかる決議案を上程いたさなければならないということは、現在のわが国の輸入貿易の見通し、わが国自立経済の達成、ひいては、将来の輸出の進展ということが未曽有の重大時期に遭遇しておるということを與野党の諸君とともに素直に認めるがゆえにほかならないからでございます。御承知のごとく、隣国の不幸なる事態は、一衣帶水のわが国の政治経済に重大なる影響をもたらしました。従つて、わが国として、今後とるべき種々の施策がどのように変化して行くべきであるかということについては、責任ある時の政府といたしまして、当然急速かつ強力にその対策を決定し、これを実行に移して行かなければならない事柄であろうと存ずるのであります。国際情勢の急変転多き現下の世界の現状とはいいながら、政府には政府としての確固たる見通しに基く信念と、従つてそれに対応すべき根本的な方策が当然確立されなければならない筋合いのものでございまして、いたずらに他国の生命や観測に左顧右眄し、荏苒むなしく用意を怠つて参りましたことは、まことにゆゆじい事柄と申さなければならないのでございます。
わが国における国民生活の安定という観点からいたしましても、はたまた加工貿易という日本貿易の宿命からいたしまして、列国、なかんずくわが国にとつて最も経済的な因縁の深いアメリカ及び中華民国における戰時経済態勢への突入は、いやおうなしに輸入原料資材の量的制約、価格の高騰を招来いたすものでございまして、自国産業の防衛上、輸入対策にすみやかに見通しをつけて、これが具体的な方途を確定しておかなければならなかつたことは、言をまたないことであります。欧米各国におけるインフレは日に月に急激と相なりつつありますときに、ひとり輸出の伸張を無條件に手放しで羅歌し、手持ち外貨をいたずらに蓄積して、重大なる退会数箇月という時間、遊休資金としてこれを放置し、みすみす商機を逸し、あまつさえわが国の輸出の引合いは、たたかれるだけたたかれて売り応じましたことは、まことに反省すべき事柄と申さなければならないのでございます、
かくて工場のストックは枯渇し、金だけは金庫にあるが、仕入れ原料はすつかり暴騰し、手持金の価値は半分に減じたというのが悲しむべき、現在の実情であります。これがもし個人企業であつたならば、まさか税金を取立てて、これをまかなうわけには参らなかつたであろうと思うのであります。幸いにして二十五年度輸入計画は、本年一—三月の実績の向上によりまして大略計画量に近づいて参りましたが、来る四—六月、一。四半期の見通しとにらみ合せて、決して楽観を許すものではございません。ことに主要基礎原料であるところの鉄鉱石、塩、粘結炭、大豆あるいはニツケル、コバルト、錫、アンチモニー等の非鉄金属などの輸入は予定計画のせいぜい六五%程度、物によむましては、本年の一月—三月の第四・四期の見込みを合算いたしましても五〇%程度のものもございます。かかる基礎原料の逼迫は、あらゆる他産業の根底を貫いて波及し、全産業の総合生産力の減退を生起いたすことは、産業構造の相関関係における必然の現象でございます。
軽工業用の原料についてこれを見るならば、二十六年度計画の綿花買付は大体百七十万俵と相なつておりまするが、これも主たる買付先であるアメリカにおいて緊急非常事態の宣言でも起るという状態になるならば、容赦なくキヤンセルされる運命にあるものと観測しなければなりません。政府がしばしば宣言する楽観論にもかかわらず、大紡績会社においてすら増錘、増員の見合せ、原料の繰延べ操業も行いかねないありさまでございす。次に羊毛たつきましても、二十六年度三十五万俵の買付計画は、産地相場が低きも三〇%、高きは六五%、平均して五〇%という値上りにまりまして、本年並の輸入確保すら、かなりあぶないと見なければならないと思います。
一方パルプについても、昭和二十六年度の輸入計画の十万トンは、これまた相当の困難性が予想せられるのでございまして、用紙、人絹、スフ等の見合い生産の増大は、とうてい所期の数量にはほど遠いと思わなければならぬ、のでございます。調味料の主要原料たる大豆に至りましては、これまた昨年十二月末の貿易管理令の一部改正によりまして、これを対中共地区から対米輸入に振りかえなければならぬ事態に立ち至りましたことは御承知の通りでございますが、おそらく鉄鉱石と同様、価格につきましては、般運賃、距離等を勘案いたしまして、裸積みといたしましても、採算は満州大豆をはるかに凌駕するものと思われるのでございます。一方工業塩につきましても、事情はほとんど同様でございまして、中国塩の輸入杜絶以来、所要量の六〇%前後しか充足せられません。昭和二十六年度における工業用苛性ソーダの増産計画もまた今や危殆に瀕しておるような状態でございます。さらに鉄鉱石はその七〇%、粘結炭はその九〇%をそれぞれ米国及びその地のドル地域に期待せざるを得ない現状でございまして、その成否いかんは雲に今後のわが国の鉄鉱亀産の動向を決するものと断じてはばからない次第でございます。以上申し述べましたことは数量面についてのみの観察でございまして、さらに輸入価格についてその値上りを勘案いたしまするならば、明二十六年度貿易計画に驚ける輸入貿易の尾通し、わが国の自立経済の前途は、まことに楽観を許さないものがあると存ずる次第でございます。
最後に輸送船舶についてこれを見ますと、昨年末、わが国の保有船腹量は、漁船を除いて千九隻、外航船腹が九十六隻と、それぞれ戰前の最高の三〇%及び一五%にすぎません。輸出入合計いたしまして、外国船依存の率は八〇%から八五%を占めておるありさまでございます。生産宙原材料の大半を海外に仰ぐわが国にとりまして、外航適格船の保有量の不足はまさに一大痛事であつて、これに対する政府の緊急なる処置を要望いたさなければなりません。国際情勢の緊迫化に伴う各国の買付競争と相まつて、食糧輸入の確保には一段の努力が必要と存するのでございます。
結論として、内においては貿易金融の梗塞、その根底に横たわる生活水準の低位、国民所得の減少、資本蓄積の貧困、勤労大衆の生活難と投機業者の狂奔、外には、ただいままでに申し上げた他国依存度の高い諸原料、輸送手段の貧弱等をあわせて考えますならば、輸入の確保はこの際緊急の重大事でございまして、実に国内民生安定の基礎であり、産業活動の根源であり、ひいては将来の輸出伸張による自立経済達成への根幹となる方策でありまして政府は全幅の努力を傾倒して万遺憾なきを期するよう要望する次第でございます。以上をもちまして、私の本決議案上程の趣旨弁明といたす次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/12
-
013・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。風早八十二君。
〔風早八十二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/13
-
014・風早八十二
○風早八十二君 ただいま上程せられました、益谷秀次君外二十五名提出にかかる緊急輸入確保に関する決議案に対し、私は日本共産党を代表して反対の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
この決議案は、現在及び将来においてますます不足を告げんとする食料並びに原料資材の輸入を確保すべきだといつておりますが、現実にどこに輸入確保の見通しがありますか。お先はまづ暗ではありませんか。(「ノーノー」)まず食糧について申しますならば、政府並びに自由党は、最近麦の統制撤廃ということを言い始めております。これは国内から麦を買上げなくとも、小麦をうんと輸入して政府が手持ちすることによつて国内の需給のコントロールをすることができるという建前であります。だが、小麦の必要量が入つて来る見通しがありますか。内外独占資本の戰車の下敷になつているところの現在のままの半封建的な農業経営のもとにおきまして、二十六年度においても三百万トンの主食を輸入しなければならないということは、政府自身が言つておるのであります。ところが、その大部分を占める小麦の入る見通しがあると、だれが一体保証できますか。
国際原料割当会議にも現われましたように、今や帝国主義国の軍備拡張と戰時経済化によりまして各国とも輸出割当の制限をますます強化しておるではありませんか。ことに食糧割当については、米英両国のさしがねによりまして、インドと西ドイツに対しては最優先的に食糧を割当てながら、日本のごときは、ずうつと下の方であります。日本にどれだけ入るがは保証の限りではないというのが実情ではありませんか。現に総司令部も、吉田内閣並びに自由党のいわゆる麦の統制撤廃は今後の世界の食糧事情に対して見当はずれだということを指摘し、但し政府や自由党は来るべき地方選挙にこれを看板としたいのであろうから、その含みで当分は許しておくけれどもへ選挙が終つたち、すみやかにこの看板はおろしてしまえという趣旨の指示があつたといわれておることは、けだし当らずといえども遠からずではありませんか。(拍手)
次に原料資材の輸入確保の問題であります。一体、原料資材が不足であると言いますが、その原料資材はだれのための、また何のための原料資材であるか。もし高い値段で買わされた原料資材が、日本の中和産業の再建に用いられるかわりに、日本を一まわりして、—————の軍備拡張のために持ち去られるとしたら、これは手品ではありませんか。ところが、すでに過去一年に、このような手品が白晝公然と行われて参りました。(拍手)一昨年に対して昨年の輸出の量を見ますと、たとえばアルミ製品は、わずか四万四千トンから三百九十四万四千トンヘと八十三倍に、タングステンは四万一千トンから三十九万六千トンへと十倍に、鉛及び鉛製品は五十二万九千トンから二百七十九万一千トンヘと五倍に、製錬銅は三十二万六千トンから七百七十四万トンヘと二十四倍に、それぞれ飛躍的にふえております。外為特別会計その他あらゆる機関の金融の特権を独占して、最優先的に輸入を確保される緊急輸入物資が、日本の平和産業の金融逼迫と原料資材難をしり目に、どんどんと——————————
—————
にばけるとい手品は明らかではありませんか(拍手)これでも政府の貿易政策が、日本の平和産業発展のためでなく、—————の軍備拡張と、第三次世界戰争の——に奉仕していないと言えるでありましようか。(拍手)
三月二日の朝日新聞その他各紙の報ずるところによりますと、目下サンチヤゴで開かれておる国連の経済社会理事会において、二月二十八日に、エクアドルのペドロ・サード代表は、日本におけるマツカーサー司令部の労働政策を非難するとともに、日本ば侵略の基地となるために再び軍国主義に復帰しており、また財閥の復活を許していると攻撃しておるのであります。そうしてこの理事会において、日本とスペインとイランとを特にやり玉に上げておる労働組合の権利侵害に関する決議案は、十四対三で可決されておるのであります。(拍手)日本の当局は、いまやスペインのフアツシヨ、フランコ将軍と同じ俎上に載せられておるのであります。(拍手)
さらに、最近ベルリンで開かれました世界平和擁護大会評議会の第一回会議におきまして、中国代表郭沫若氏は次のように述べております。西ドイツと日本は、米国は戰争の車の両輪となつておる、米国は気違いのようになつて自国の軍拡に努めているが、それにしても、この戰争の車が動くようになるには、ぜひともこの二つの輪が必要なのだ、こう述べております。一体郭沫若氏は、日本の早稻田大学に学ばれ、親日中国人であり、終始一貫無党無派の人であります。その言うところが間違つているかどうかは、皆さん方の御判断に一任したいと思います。
政府は、昨年十二月六日、対中共輸出禁止を強行することによりまして全日本国民の利一益を———————つつ單独講和路線の仕上げ品を始めたのであります。この誤れる貿易の針路を、全国民の利益に合致する正しい針路に立て直さぬ限りは、日本の前途が—————導かれることは、もはや明々しろ々であります。台所を預かる家庭婦人たちに聞いてもごらんなさい中日貿易禁止前は百匁十五円であつたみそが、今では二十五円から、所によつては三十円にもなりました。しようゆも百五十円になりまし。中日貿易の再開なき限り、われわれに一日もなくてはならない食料塩につきましても、お互いに戰時中になめた苦い経験を再びなめねばなりますまい。それだけではありません。さらにおかしなことには、政府がこれによつて帝国主義者の軍需品をつくろうとする鉄鉱石、粘結炭工業塩にしてからが、これを中国に仰がなくてどこから一体入れることができますか。
なるほど世界は広い。資源は無盡蔵である。カナダ、アラスカ、エジプト、アフリカ、どこにでもあるかもしれません。しかし、がりに入れるとしても、一体運賃はどうです。ぞの値段はどうです。中国から入れる場合に比べまして三倍から十倍です。それを承知で入れるという人間は、国民の税金の強奪者であり、———————でなければならないのであります。(拍手)だからこそ、北京人民日報はいつております。單独講和は日本にとつては死への道である日本人民は中国や朝鮮などアジア諸国の人民と仲よくすることなくしては生きることはできないのである。しかるに、本決議案の提案者は、国民のすべてにとつて利益で、しかもやろうとすれば必ずすぐにもできる中日貿易の復活を主張することなて、やれ輸送力の増強である、やれ金融の円滑化であるということによりまして、あたかも政府の誤れる貿易針路のわくの中でも事態が改善されるがごとき幻態を国民に植えつけ、これによつて日本の進むべき正しい針路を国民の目からそらそうとしておるのであります。諸君は、一体何で、だれにはばかつて全面講和と中日貿易の促進ということを、大きな声を出して主張することができないのでありますか。(拍手)
私は以上の理由にまりまして本決議案に反対するものでありますが、最後に社会党の諸君に一言申し上げたいのであります。社会党が、あらしに抗して全面講和再軍備反対を唱えていることは、われわれも、いたく敬意を表しておるものでありますが、その社会党が、口に全面講和を唱えながら、現実にこの貿易問題におきまして、かくのごとき—————決議案に賛成されることに対しては、あえて猛省を促してやまないものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/14
-
015・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 小川平二君。
〔小川平二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/15
-
016・小川平二
○小川平二君 ただいま提案になりました緊急輸入確保に関する決議案に対し、私は自由党を代表して賛成の意を表します。
輸入の促進はわが国にとつて、当面の、同時にまた今後の喫緊の課題でございます。朝鮮動乱の発生に伴つて、世界は急速に全面的な軍拡態勢に移行しております。これに必然的に伴うところのインフレと、戰略物資の獲得競争とが、貿易に依存する度合いのきわめて高い日本経済に最も深刻な影響を與えることは申すまでもございません。このような国際的環境のもとにおきまして、インフレの再発を防止し、あるいはまた縮小再生産を回避するために、万難を排して輸入を確保する必要のあることは、ここに縷設を要しないところであると思うのでございます。実に日本経済の運命そのものが、このことの成否いかんにかかると申しても過言でないと存ずるのでございます。
輸出の好調によつてドル手持ちが増大しておるにもかかわらず、もしも輸入に適切の措置が講ぜられないならば、これが民生、物価、生産、労働と各般に影響を及ぼして、インフレの再発は、ドツジ構想によつてようやく安定の基盤を確立したところのわが国の経済に根本的な影響を與えるに違いないのであります。最近において、輸出は顕著な増大を示しております。これに伴つて手持ち外貨も増大しておりますが、反面において適時適切な輸入がこれに伴わなかつたうらみがあつたのでございます。もとより、このことを達成いたしますには多くの悪條件が累積しており、困難が山積いたしております。しかしながら、困難が存在するがゆえにこそ声を大にして輸入の必要を叫ばなければならないことは申すまでもございません。
政府は今日までに、あるいは日銀ユーザンス・ビルの制度を創設し、あるいは一般外貨予算とは別に長期の外貨予算を作成する等記入面の措置を講じ、あるいはまた、いわゆる自動承認制の範囲を拡大するとか、あるいはまた、いわゆるバーター制を事実上廃止をするとか、最近の実情に即したところの制度上の政変を行う等、鋭意努力をいたされました結果として、きわめて最近においては、輸入の実績が顕著に増大し、手持ちの外貨も急激な減少を示しております。二十五年度の輸入実績は、先刻提案者も指摘されましたごとくに、特殊の品目を除きますれば、全体としてはほぼ計画量に近い、品目によつては計画量を上まわる成績をあげておることは意を強くするに足ることであると存ずるのでございますが、先刻提案者においては、今日まで政府が荏苒手をこまねいて貴重なる時間を徒過したごときお言葉がございましたが、今日この成績をあげ得たことは、ほかならぬ政府の努力の結果であると私は確信をしておるのでございます。(拍手)
ここに個々の問題に立ち入つて詳論する余裕はないのでございますが、もとより今後にも解決すべきさまざまの問題があり、克服すべきさまざまの困難がございます。一個の例を引きますならば、たとえば輸入物資の引取り資金に閥する金融の問題がございます。いわゆるユーザンスの期限が満了した後の段階に対応するところの金融の問題が、これが大きな問題となつております。この問題が強く叫ばれ出しましてから相当の時間が経過しておるのでありますが、いまだに積極的な措置が講ぜらておりません。輸出の面においては輸出銀行が創設されまして、本来の狭い意味の貿易金融から、さらに一歩足を生産の段階に踏み込んだところの金融が行われておる。こういうことであるならば、輸入の面においても、本来の貿易金融からさらに一歩進んで、メーカーの輸入物資引取り資金に対する金融に対して十分な措置を講じなければならないと思うのであります。
その他船腹増強の画におきましても、あるいはまた外省をいかにして効率的に使用するか、手持ち外貨の効率的使用という問題をとりましても、解決を要するさまざまの問題があることは繰返して申すまでもないのでございます。私は、政府が今後とも可能なるあるらゆる手段を動員して、敏速果断な措置によつて、この日本経済の運命がこのことにかかつておるところの最も重要な、喫緊の課題の解決に十分の努力を継続されんことを強く要望いたして本決議案に賛成するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/16
-
017・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/17
-
018・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
この際通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。通商産業大臣横尾龍君。
〔国務大臣横尾龍君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/18
-
019・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) ただいま上程、議決をいただきましたる決議案に対しまして、政府の所信を述べたいと思うのであります。
政府といたしましても、天興の資源の少いわが国におきましては、原料の輸入の確保につきましては従来も今日も努力をしておりまするけれども、なお今日の決議案の趣意に沿うように、そうしてまた賛成議員の方々の御意見をよく体して一層の努力をいたしまして決議案の趣意に沿いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/19
-
020・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 先ほどの風早君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の措置をとることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/20
-
021・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、放送法第三十七條第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長關内正一君。
〔關内正一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/21
-
022・關内正一
○關内正一君 ただいま議題となりました、放送法第三十七條第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知の通り、昨年五月制定公布されました放送法第三十七條の規定によれば、日本放送協会の毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画は、同協会がこれを作成して電波監理委員会に提出し、電波監理委員会は、これを検討して意見を付し、内閣を経て国会に提携し、その承認を受けなければならないことと相なつておるのでありまして、すなわち本議案は、この規定に基き、昭和二十六年度における日本放送協会の収支予算、事業計画及び資金計画につき国会の承認を求めるため、去る二月二十三日内閣より提出されたものであります。
次に、議案の内容につきその大網を御説明いたします。本議案は、ただいま申し述べました通り、来年度における日本放送協会の収支予算、事業計画及び資金計画の三つからなつておりますが、そのうち収支予算は、予算総額、協会が受信契約者から微収する受信料の額、予算経理の基本準則等を定める予算総則と、収入支出の科目別区分事及び予算額を定める収支予算書にわかれておるのであります。
その大略を数字について申し上げれば、昭和二十六年度予算総額は、収入支出おのおの六十三億七千四百四十七万円でありまして、これを前年同期間の収支と対比すれば、收入において十六億五千万円、支出において十七億七千八百万円をそれぞれ増加しております。収入のうち、資本収入は八億七千九百万円でありまして、このうちには放送再建発行額五億円、減価償却引当金二億九千三百万円、長期借入金五千万円等が含まれており、事業収入は五十四億九千五百四十七万円、そのほとんどが受信料収入でありまして、年度当初の有料受信契約者数を九百五万、年度内純増加数四十五万、受信料月額五十円を基礎として算定されております支出のうち、資本支出は十一億九千二百七十万円でありますが、そのおもなるものは、放送設備の拡完整備費八億六千六百万円であり、その他は放送債券償還積立金及び諸返還金であります。次に、事業支出は五十億三千百七十七万円、前年同期に比しまして十四億八千百万円の増加であります。この増額の理由は、放送施設、放送時間の増加、物価の値上り等によるもののほか、放送番組の刷新充実、受信契約者の維持増加、受信機の改善等のために要する経費の増加等も見込まれておりますが、職員の給與については前年度のべース一万二千円を踏襲しております。なお予見しがたい予算の不足に充てるため予備金一億五千万円が計上されております。
収支予算に関連して、ここに受信料の改訂につき一言いたしたいと存じます。日本放送協会が受信契約者から徴収する受信料は、現在放送法附則の規定によりまして、暫定的に月額三十五円となつておりまするが、本年は、放送法第三十七條第四項の規定によりまして、国会が協会の収支予算を承認することによつてこれを定めるべきもの事でありましてすなわち月額五十円を基礎として、算定された本牧支予算の承認は、同時に来年度の受信料の額を決定することと相なる次第であります。
次に事業計画は、事業運営方針、放送番組編集方針、受信契約者数、放送設備建設改修計画概要、事業運営計画概要の五項目にわかたれ、放送、施設、普及、管理、研究等各部面の運営計画を定めておるのでありますが、特に部外学識経験者の参加する番組審議機関の設置、番組世論調査の強化、出演料の適正化、ローカル放送時間の増加等、放送番組の充実刷新に最重点を置き、その他施設の拡充整備、事業管理の合理化、能率化を企図しておりますが、職員の増加につきましては極力抑制の方針をとつております。
また資金計画は、収支予算及び事業計画に基く資金の出入に関する計画であります。
以上をもつて本議案の内容の御説明を終つたのでありますが、さきに引用いたしました放送法の規定に基き、電波監理委員会においては、この収支予算、事業計画及び資金計画は、日本放送協会の経営委員会が、社会情勢に対処して公共の福祉に適合する放送を行い得るように、公衆の要望と国民の立場とを考慮して決定したものと認め、かつ電波監理委員会としても、その内容を妥当なものであると判定する旨の意見を付しておるのであります。
電気通信委員会においては、去る二月二十三日、本案の付託を受け、同月の二十七日及び三月一日の二回にわたり、長時間にわたる会議を開き、政府側より提案理由及び議案内容の説明を受け、質疑を行いましたほか、特に参考人として日本放送協会々長の出席を求め、協会の事業経営状況に関する説明をも聽取して愼重審議を重ねたのであります。
質疑の内容といたしましては、日本放送協会の行う放送事業の公共的性格、文化的機能、国際的使命、学校放送、時事解説、国会ニユース、候補者放送、娯楽放送、スポツト・アナウンス等番組面の問題、聽取地域の拡大、受信状態の改善等技術面の問題、調査研究機関の拡充、受信機の改良、出演料の引上げ、給與水準の適否等、きわめて多岐にわたつたのであります。特に受信料の月額現行三十五円を五十円に改訂することに関しましては、必要やむを得ざるに、出た措置であるかどうか、引上げによる増収はいかなる費途に充てられるか等の点をめぐり質疑が重ねられたのでありますが、政府はこれに対し、受信料のこの程度の引上げほ、協会事業の改善整備の必要からいつても、また現行料金を実施した昭和二十三年当時と現在との経済情勢の推移に照してもやむを得ないものと認める旨の答弁をいたしております。
かくして委員会は、三月一日質疑を打切り、ただちに討論に入つたのでありまするが、討論に際し、自由党を代表して橋本登美三郎君は、放送技術の研究に力を用いて、わが国の放送を国際水準に向上せしめること、国際放送の再開を促進すること等の希望意見を、また国民民主党を代表して長谷川四郎君は、日本放送協会が放送法に規定する使命の達成に一層努力することの希望意見を付して、いずれも本件に賛成の意を表され、日本社会党を代表して松井政吉君は、協会の公共的、文化的職能を十分に発揮すること、受信料の改訂による増収は業務の改善に十分反映せしめること、職員の待遇改善をはかることの希望を付して同じく賛成の意見を述べられ、次いで日本共産党を代表して田島ひで君は、受信料の前拂制、職員給與水準のすえ置き、番組編集方針等に不満の意を表して、本案に反対の意見を述べられたのであります
次いで採決の結果、日本共産党所属委員を除く全出席委員の賛成により、大多数をもつて本案はこれを承認すべきものと議決した次第であります。
以上をもつて御報告といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/22
-
023・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/23
-
024・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よもて本件は委員長の報告の通り承認を與えるに決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/24
-
025・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに、関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。
〔夏堀源三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/25
-
026・夏堀源三郎
○夏堀源三郎君 ただいま議題となりました公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案及び農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
まず公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案におきましては、今回予備費及び予算の繰越しに関する規定を新たに設けて公団等の予算の執行を適正円滑ならしめようとするものであり、なお予算の繰越しにつきましては昭和二十五年分の予算から適用しようとするものであります。
次に農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案におきましては、自作農創設特別措置法に基いて政府が発行した農地証券は、その特殊な性格にかんがみまして、償還財源の許す限り、できるだけすみやかにこれが償還をはかる方針のもとに、昭和二十四年度におきましては、自作農創設特別措置特別会計の余裕資金をもつて、とりおえず一世帶に対して一定金額を限度として買入れの措置を講じ、昭和二十五年度におきましては、金額償還を急速に実行するため、同会計の余裕資金のほか、一般会計の債務償還費の一部をも買入れに充てて参りましたところ、一般会計の債務償還費をもつてする償還につきましては、会計上の措置として同証券の負担を同会計から一般会計に移すことが必要でありますので、この際これがための必要な規定を設けることとし、なおその結果一般会計の負担となる金額につきましては、将来自作農創設時別措置特別会計から、毎年度予算の定めるところにより一般会計に繰入れることにしようとするものであります。
以上は両法案提出の趣旨でありますが、このうち公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案は、二月十七日、本委員会に付託され、同十九日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、また農地証券の償還金の一部を一般会計の負担とすることに関する法律案は、二月二十日、本委員会に付託され、同二十四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、それぞれ質疑に入りましたが、質疑応答の詳細に関しては速記録に譲ることにいたします。
次いで質疑を打切り、三月三日、両法案を一括して、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/26
-
027・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両法案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/27
-
028・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/28
-
029・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、商品券取締法の一部を改正する法律案、日程第事五、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、日程第六、国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。
〔奧村又十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/29
-
030・奧村又十郎
○奧村又十郎君 ただいま議題となりました商品券取締法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。まず商品券取締法一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、国債の市中手持高が不足して入手困難な現状にかんがみまして商品券発行に関して必要な供託物の範囲を拡張いたしまして、国債のほかに金銭、地方債、または主務大臣の確実と認める社債等を供託物として認めることとするほか、検査官吏の証票携帶に関する規定を設ける等の改正をいたそうとするものでありまして、二月二十六日、本委員会に付託され、同二十八日政府委員より提案理由の説明を聽取し、質疑に入つたのであります。この法案は、三月五日質疑を打切り、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
次に国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案は、二月二十八日、本委員会に付託され、三月一日、政府委員より提案理由の説明を聽取したのでありますが、現行法実施後の状況その他諸殿の事情を勘案いたしまして、旅行命令等に関する制度を簡素化し、また日額旅費の支給を受ける旅行の性質を明確にすることにより日額旅費制度の統一をはかるとともに、各庁の長に付與されておりまする旅費の調整権限に彈力性を與えることとする等、所要の改正を行おうとするものであります。
次に国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案は、三月二日、本委員会に付託され、同三日、政府委員より提案理由の説明を聽取したのでありますが、提案の趣旨といたしましては、事昭和二十六年一月以降における公務員の給與改訂に伴いまして、昭和二十五年以前に退職した共済組合の年金受給者の年金額を新給與の基準に引直して計算することとするとともに、これにより増加する費用は、国、地方公共団体または会社がそれぞれ負担することにいたそうとするものであります。
以上の二法案につきましては、三月五日質疑を打切り、一括して討論を省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/30
-
031・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) まず日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員事長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/31
-
032・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
次に、日程第五及び第六の両案を一活して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/32
-
033・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/33
-
034・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第七あ、ん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事亘四郎君。
〔亘四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/34
-
035・亘四郎
○亘四郎君 ただいま議題となりました、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一部を改正する法律事案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本改正案のおもなる内容を申し上げますれば、第一に、内地以外の地で、その他の法令によつてあん摩術、はり術、きゆう術、または柔道整復術の免許鑑札を得た者であつて、昭和二十年八月十五日以後内地に引揚げた者に対しましては、免許の特例として、昭和二十三年末日までにその履歴を審査して、それぞれその免許を與えることができたのでありますが、御承知のように外地よりの引揚げは完了せず、いまだに未帰還者のある現状でありますので、その間の事情を考慮し、当分の間免許の特例を引続き與え得るようにしたことであります。
第二は、あん摩業、はり業、きゆう業または柔道整復業に関する広告については、医業に関する広告取締りの例にならい、一定の事項以外について伝告をなし得ないように規定の整備をしたことであります。
第三は、あん摩、はり、きゆう、柔道整復営業審議会のうち、中央審議会と地方審議会の権限、所管事務を明確ならしめ、その組織については、それぞれ政令または都道府県の規則により定めることにしたことであります。
第四は、これら施術者の身分法たることを明確にするため、題名を、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法に改めたこと等であります。
本改正案は、一月二十五日、予備審査のため本委員会に付託せられ、二月七日、厚生大臣より提案理由の説明を聽取したのであります。二月二十三日、本付託となり、三月一日の委員会において審議に入りましたところ、特に審議会の組織中に施術者を入れること、各都道府県において施行せられる試験内容の統制、あん摩師、はり師、柔道整復師学校または養成所の入学または入所資格及び修業年限等に関して熱心なる質疑応答が行われたのであります。
かくて質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、本改正案は全員一致もつて政府原案通り可決すべきものと決した次第でございます。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/35
-
036・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/36
-
037・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/37
-
038・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八、港則法の一部を改正する法律案、日程第九、海事代理士法案、日程第十、海難審判法の一部を改正する法律案、日程第十一、港域法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事坪内八郎君。
〔坪内八郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/38
-
039・坪内八郎
○坪内八郎君 ただいま議題となりました港則法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、去る二月十五日、本委員会に付託され、二月十九日、政府より提案理由の説明を聽取し、これを愼重に審議いたしたのであります。
本法案の趣旨並びに内容を簡單に申し上げます。まず第一点といたしましては、特定港内において碇泊中の船舶が火災を起した場合に、火災による損害を最小限度にどどめるために、当該艦船に対しまして警報を発することを義務づけようとするものであります。次に第二点といたしましては、海上保安庁法の改正に伴いまして関係條文を整備しようとするものであります。
本法案に対する質疑は、従来碇泊中の船舶が火災を起した場合の取扱い方、また火災発生の原因等につきまして、政府委員と委員との間に熱心なる質疑応答がとりかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることにいたします。
次に討論を省略いたしまして採決の結果、起立全員をもつて政府原案通り可決した次第であります。
次に海事代理士法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案の趣旨を簡單に御説明申し上げます。従来、海事関係その他行政機関に対しまして、申請者の依頼により、海事関係法規に基いて諸種の申請、届出あるいは登記などの手続を行う業務につきましては、海事代理人取締規則という省令がありまして、この規則により管海官庁の許可を得たものに限りその業務を行うことを得たのでありまするが、新憲法のもとにおける、いわゆる法律をもつて規定すべき事項を規定している命令として、昭和二十三年一月一日以降その効力を失いまして、その業務は法律しまつたく自由な営業として今日に及んだのであります。しかるに、これが失効後は、しばしば不適者の開業があり、一方依頼者は、もつぱら海上で活動する者が多いため、適当な代理人を選択することが困難なために、事案の処理または報酬の額などにつき依頼者に迷惑をかける場合も生じている実情であります。そこで、的確なる事案の処理を期するため適当なる監督を加えようとするのが、本案の趣旨であります。
次に、その内容のおもなる点を申し上げます。まず第一点は、海事代理士となる者の資格を規定しようどするものであります。第二点は、海事代理士でなければ、他の法令に別段の定めがある場合を除いて、本法案に規定されている業務を営んではならないことにしようとするものであります。第三点は、海事代理士は適正な報酬の額を定め、所轄の海運局長に届け出なければならないことにしようとするものであります。第四点は、旧海事代願人取締規則で海事代願人の許可を受けた者は、單に登録をすることにより海事代理士となることができることにしようとするものであります。本濃案は、二月十五日、本委員会に付託され、二月十九日、政府より提案理由の説明を聽取し、委員会を開くこと四回、政府委員と委員との間に熱心な質疑応答がとりかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることにいたします。
次に自由党の私より、海事代理士に関する事務は、新たに運輸省の所掌事務となるものであるから、本法案の附則をもつて、運輸省設置法案第二十三條第一項第一号の次に一の二として第四十條第一項第二十五号の次に二十五の二として、それぞれ海事代理士に関することを加えるように改正すべきであるとの修正案の提出をいたしたのであります。
次に、討論を省略して修正案について採決いたしましたところ起立総員をもつて可決、続いて原案について採決の結果、これまた起立総員をもつて可決いたしました。よつて本法案は修正議決すべきものと決した次第であります。
次に海難審判法の一部を改正する法律案つきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案の趣旨を簡單に申し上げます。海難審判は海難事件の発生原因を探究することを主とし、関係者の懲戒処分を従とするものでありまして、刑事裁判とは本来の目的を異にするものであります。従いまして、海難審判に刑事訴訟法の複雑な証拠規定をそのまま準用いたしますことは“事件の審判に多大の時日を要し、事件の迅速な処理に支障を来すばかりでなく、その審理が証拠関係の手続上はなはだしく制約を受けまして、海難審判法の本来の目的に沿い得ない結果を招来することになるのであります。ここにおきまして、事件の処理の円滑化をはかり、かつ海難審判法の目的達成のために最も合理的な証拠規定を独立して設けんとするのが、本法案のおもなる趣旨であります。
次に本法案の内容のおもなる点をあげますと、まず第一点は、海難審判庁審判官の任命権者を運輸大臣から高等海難審判庁長官へ移すことであります。第二点は、海難審判における証拠規定を、従前の刑事訴訟法準用制度を廃止して海難審判証拠法を独立して規定することであります。第三点は、高等海難審判庁への第二審の請求期間に民訴と同様の猶予期間を認めるようにすることであります。第四点は、海難審判に召喚する鑑定人、通訳入等に対する報酬を明文化せんとするものであります。
本法案は、予備審査として、二月二十一日、本委員会に付託され、二月二十六日、政府より提案理由の説明を聽取し、三月五日、正式に本委員会に付託になり、ただちに質疑に入りまして、政府委員と委員との間に熱心に質疑応答がとりかわされたのでありますが、その詳細は、これまた会議録に譲ることといたします。
次に、討論を省略いたしまして採決の結果、起立総員をもつて政府原案通り可決した次第であります。
最後に港域法の一部を改正する法律案につきまして運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法律案の趣旨並びに内容を簡單に御説明申し上げます。まず第一点は、最近における船舶交通の観点から、主要港と認められる港について新たに港域を定めようとするもりであります。第二点は、現在の港域が現地の実情に合致していないものについて、これを改めようとするのであります。第三点は、隣接している港で、それぞれ、の港域が明確でないものにつきまして、照係地方公共団体の希望を参酌して、当該両港を統合の上、單一の港といたしまして、港域の統一をはかううとするものであります。
本法案は、予備審査として、二月二十一日、本委員会に付託され、二十六日、政府より提案理由の説明を聽取し、三月五日、正式に本委員会に付託され、政府委員と委員との間に熱心に質疑応答がとりかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることにいたします。
次に、討論を省略いたしまして、ただちに採決の結果、起立総員をもつて本法案は政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。
以上御報申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/39
-
040・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) まず日程第八につき採決いたします。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/40
-
041・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、日程第九、第十及び第十一の三案を一括して採決いたします。日程第九の委員長の報告は修正でありまして、日程第十及び第十一の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/41
-
042・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り決しました。
これにて議事日程は議了いたしました。本日これにて散会いたします。
午後二時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01819510306/42
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。