1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十日(火曜日)
議事日程 第二十一号
午後一時開議
第一 農業委員会法案(内閣提出)
第二 農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出)
第三 臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案(内閣提出)
第五 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した事件
公正取引委員会委員任命につき同意の件
内閣からの申出にかかる、地方税法の一部を改正する法律案中修正の件
日程第一 農業委員会法案(内閣提出)
日程第二 農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出)
日程第三 臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案(内閣提出)
日程第五 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後一時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/0
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001・林讓治
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/1
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002・林讓治
○議長(林讓治君) お諮りいたします。内閣から、公正取引委員会委員島本融君が退職したので、その後任として北澤新次郎君を、また同委員倉井敏麿君が退職したので、その後任として湯地謹爾郎君をそれぞれ任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/2
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003・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/3
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004・林讓治
○議長(林讓治君) 内閣から、地方税法の一部を改正する法律案中修正したいとの申出があります。この申出を承諾するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/4
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005・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて承諾するに決しました。
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第一 農業委員会法案(内閣提出)
第二 農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/5
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006・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第一、農業委員会法案、日程第二、農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長千賀康治君。
〔千賀康治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/6
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007・千賀康治
○千賀康治君 内閣提出、農業委員会法案及び農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案について、両案の委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
わが国農政史上画期的意義を有しておりまする農地改革は、輝かしき成果をあげ、ほぼ所期の目標を達成し、今後はその成果を恒久的に保持するとともに、農業生産力の発展、農地の地位の向上のため経営並びに技術の改良発達に格段の努力をいたすべき段階に立ち至つておるのでございます。また国民生活の根源たる食糧の需給状況も、特に農民の異常なる努力と、連合国の絶大なる好意とによりまして、悪夢のごとき、かつての食糧不安から、ようやく正常の姿に立ち返り、食糧供出につきましても、今日までの束縛的な統制を今後久しく持続する必要を、こうまつも感じない状態となりました。食糧確保臨時措置法が来る三月末をもつて失効するのを機会といたしまして、事前割当制度や、麦の強制割当制度をも廃止できる見通しを持つに至つたのでございます。事態の、かようなまことに喜ばしい発展に伴いまして、従来法制上の機関として、農地調整、自作農創設、食糧供出割当等の業務に国とその責任をわかち、重要な働きを示して参つた農地委員会並びに農業調整委員会は、かなりの程度にその負担が軽減され、当然事業内容及び事業分量に大きな変化を生じて来ているのであります。しかもなお他面におきましては、農業改良普及事業に対して創意に満ちた積極的な活動を行わしめ、よつてもつて総合的な農業政策の樹立をはかる要が痛切に思せられるところてございます。
以上の新しい事態に即応し、新政策の展開に備えまするために、この際前述の二つの委員会と、従来次官通牒をもつて設置されておりました農業改良委員会とを統合いたしまして、これを農業委員会一本の線にとりまとめ、組織の簡素化と機能の統一をはかりたいというのが、農業委員会法案を提出された主要なる理由でございます。
そこで、この法律案の主要なる内容について歳月を加えますると、まず第一に、農業委員会の選挙方法は、従来の農地委員会の地主、自作、小作の三層区分を改正いたしまして、一号委員及び二号委員の二階層区分を設定しております。一号委員とは、耕作の業務を営む小作地の面積が自作地の面積を越える者、並びに二反歩を越える面積の小作地について耕作の業務を営み、その耕作の業務を営む農地の面積が北海道では四町歩、都府県ではおおむね一町歩を越えない者であつて、その数は五名、二号委員は一号委員以外の者であつて、その数は十名ということになつており、別に市町村では選任委員五名以内を学識経験者中より選任できることと相なつております。いわば一号委員は小作、小自作及び小農的な自小作の代表であり、二号委員は自作代表、選任委員、は中立的立場を代表するものということができましよう。
次に農業委員会の所掌事務の範囲はどうなつておるかと申しますと、これは当然従来の三つの委員会の業務権限を統合することとなつておりまして、すなわち一、執行機関といたしましては、自作農創設特別措置法、農地調整法、小作調停法、土地改良法その他の法令によつてその権限に属せしめられた自作農の創設維持、農地等の利用関係の調整、土地改良、交換分合小作調停等の業務を処理し、二、権能的な機関として、農地の開発、改良、保全その他土地の生産條件の整備及び土地利用の高度化、農業技術の改良等、農畜産物の加工、流通その他農業振興のために必要な事項に関して総合計画を樹立し、その実施について地方公共団体の長に対し建議し、または諮問に答申し、三、また諮問機関として、食糧供出割当について地方公共団体の長の諮問に応ずることとなつておりますが、本件については別途提案中の食糧の政府買入数量の指示に関する法律案中に規定されております。
次に農業委員会に要しまする経費は国の負担といたしまして、委員手当、書記給與、旅費、事務費、退職手当等を中心とし、約二十三億円が二十六年度予算案中に計上されておるのでございます。但し、市町村農業委員会は七月に、都道府県農業委員会は八月に成立が予想されておりますので、それまでは農地委員会、農業調整委員会がそれぞれ存続することとなつております。なお食糧確保臨時措置法は失効いたしますが、経過規定によりまして、農業調整委員会の書記は引続き農業委員会の書記となることとなつております。但し農業委員会の書記の数は、都道府県は六名より三名に、市町村農業委員会は二名より一・二人に減少し、全体として約八千人の書記が退職することとなつておるのであります。
次に農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案は、農業委員会法の施行と同時に農地調整法、自作農創設特別措置法、土地改良法その他法令中の農地委員会に関する規定はこれを農業委員会に関する規定に切りかえる必要がありますので、関係條項の整理を行つたものであります。
農業委員会法案は二月二十六日、農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案は三月二日、それぞれ政府より提案理由の説明を聽取いたしました後、十数回にわたつて審議を重ねたのでありますが、質疑応答中の代表的なものを御紹介いたしますと、農地改革が一段落した今日、依然階層選挙を行わねばならぬ理由はどこにあるのかという質問に対しまして、政府の答弁は、小作農の立場は今日でもなお全般的には弱いと考えられるので、現在の段階ではこの程度の階層選挙はやむを得ないと思う、但し一号選挙権者の数が七十五人以下の市町村では階層によらない選挙を行うから、全市町村の一七・五%程度が全村選挙になるということでありました。また、従来の各委員会を農業委員会に統合しても、総合的計画の樹立等重要問題を控えて委員会の任務はいささかも軽減されないのに、予算のみが削減されたのははなはだ遺憾であると思うが、政府の所見いかんという質問に対しましては、事務の調整ができるので減額もやむを得ないという答弁でありました。また総合計画の樹立の過程において農業協同組合と摩擦を生ずるおそれはないかという質問に対しましては、農業協同組合長その他組合の幹部を選任委員に選任する等の方法てうまく運用することができると思うという答弁でございました。
また、農地改革は一段落したというが、未墾地の解放はほとんど済んでいない、農地委員会の行つて来た業務が今後は従属的となつて、農地改革の成果が動揺するおそれはないかという質問に対しましては、未墾地の急速な取得を目的として来たが、開拓適地調査の基準に適合しない未墾地も相当生じたので、これらは元の所有者に返還すべく研究中であるという答弁が行われました。また、二号委員を一号委員の二倍にすることにより反動分子の進出を助け、農村の民主化をはばみ、農業改革の前途に暗影を投ずることにならぬかという質問に対しましては、一号委員の選挙権者は全農家戸数の一七・二%にすぎないのに対して十五人中の五人を與えたのは、むしろ小作層を優遇している証拠であると思う、という答弁がなされました。
かくて三月十七日に至り、自由党の野原委員の動議が成立いたしまして質問を打切ることとし、これより先自由党より提出されてありました農業委員会法案並びに農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の二法案に対する修正案に関し、宇野委員より趣旨弁明が行われました。その要旨といたしますところは、本法律案の根本目的には賛成であるが、従来の農地委員会の階層選挙の考え方を継承している点について、階級鬪争を激化するものとして原理的に不賛成であるのみならず、この制度の内容には幾多の不合理な要素が認められる。すなわち一、総農家戸数中、小作農家は二%、小作兼自作農は四・二%であつて、小作農の代表を特別に選出する要ありとは思われない。かりに階層別を実施するも、右の比率を基礎とすれば委員数の一割以下でよいにもかかわらず、本法律案では選挙委員十五名中三省を占め、三割以上となり、その比率は過大である。二、原案の区分をもつてすると、区分の目標が不明瞭である。すなわち、二反歩以上の小作地を耕作するが、大部分の土地が自作地である農民も一号階層に区分されている。三、農地改革の結果、不耕作地主と称されるものはほとんどなくなり、本法案においても不耕作地主には選挙権も被選挙権も與えられていないにもかかわらず、一方では小作階層なるものが設けられている。七〇%以上の農家が自作となり、九〇%以上が自作を主とする農家となつた現在の農村では、地主、自作、小作を問わず、平等に自由に選挙権、被選挙権を持つことが民主的であると思う。四、特別に階層選挙を行わずとも、小作層もまた立候補の機会は均等に與えられるのであり、また適任者かおれば選任委員として選任されることも可能であつて、小作層の意見を反映させる道は残されている。
以上の理由によつて、第八條並びに第二十六條の規定による二階層別の区分の選挙を廃止し、全層選挙を行うように改めることとし、それに伴う両法律案の関係條項の略理を行いたいというのであります。
この修正案の提出がありましたので、修正案並びに政府提出原案を一括して討論に付したのでありまするが、まず社会党の八百板委員より、農地委員会、農業調整委員会、農業改良委員会の任務はそれぞれ本質的に相違するものであつて、統合には適しない、二兎を追う者は一兎をも得ずというが、政府與党は三匹の兎を追おうとしている、しかも予算の裏づけが貧弱で、法律案にうたつてある目的の達成は不可能である、加うるに與党は階層区分を廃止しようとする反動的な修正案を提出し、農業政策を逆行せしめようとているという理由によつて修正案並びに両案に対して反対をせられ、次いで自由党を代表して野原委員より、三百万戸の自作農家を創設したことは日本農政の輝かしい勝利であり、農地委員会の仕事の大きな部分は終了した、また食糧事情も大幅に緩和され、農業調整委員会の役目も軽減される、今後は農業協同組合等を中心に農村再建の方途に向つて再出発しなければならない、農業委員会の設置はこの新使命にマッチするものである、但し階層区分はむしろ廃止して、農村を打つて一丸とする態勢とすべきである、農業委員会のすみやかなる成立を希望するが、予算の点では少からず不満であつて、増額措置を急速に望むものである、という意見を付して賛成せられたのであります。次に日本共産党を代表して木村委員より反対意見が述べられましたが、その要旨は、農地改革はきわめて不徹底なものであつて、山林・原野を掌握する地主勢力は温存され、半封建的な基盤は強化されつつあるが、この法律案はかような趨勢を助長するものであるというのであります。次に民主党の金子委員は、二、三の要望を付して賛成するという前置きで次の意見を述べられました。すなわち、農業委員会の事務量は決して減少はしない、農地改革は一段落したかもしれぬが、不況が進むとやみ小作等が増加し、麦の統制解除も自給度の低いわが国では無理であつて、再統制は必至である、農業改良業務に至つては今後ますますなすべきことが多いにもかかわらず、予算が大幅に削減されたることは残念で、すみやかに是正されれはならない、また選任委員に農業協同組合長等を入れることが必要である、階層別選挙の問題は小作の意見を尊重すべきことは当然だが、村内に派閥抗争をもたらすことはよくない、この点は自由党の修正意見に賛成であるということであります。
以上四委員の発言をもちまして討論を終局し、ただちに採決を行い、修正案並びに修正部分を除く政府原案はいずれも多数をもつて可決、よつて両案はそれぞれ修正案のごとく修正すべきものと議決した次第であります。
なお両案の採決直後、自由党遠藤委員より特に発言を求められ、自由党及び民主党を代表して、農業委員会の経費並びに運営に関する件についてきわめて重要な決議案が提出されました。その要旨は、今後におけるわが国農村の使命達成上農業委員会の果す役割の重大な事実にかんがみて、二十六年度予算案における市町村農業委員会書記の給與に対する国庫補助一・二人分を二人分とし、必要経費平年額約九億円の増額について、法律成立後すみやかに善処すること、並びに農業改良事業については部会制度により運営するよう措置すること、以上の二点でございました。この決議文は多数委員の賛成を得て可決されましたので、ただちに農林大臣及び大蔵大臣へ参考送付の手続をとつた次第であります。
以上をもつて報告を終ることといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/7
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008・林讓治
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。八百板正君。
〔八百板正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/8
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009・八百板正
○八百板正君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となつております農業委員会法案及び同法施行に伴う関係法令の整理法案並びに修正案に対しまして反対いたすものであります。
本法は、従来行われて参りましたところの農地調整法に基く農地改革のための農地委員会、それから食糧確保、供出、割当のための食糧管理法、食糧確保臨時措置法に基く農業調整委員会並びに農業の技術面など農業改良事業を行うための知事に対する諮問、助言機関としての、農林次官通牒に基いて設けられた農業改良委員会、この三つの機関をやめて、それぞれ統合いたしまして農業委員会の一本とするものであります。
三つのそれぞれの委員会の性格を見るに、一つは、すなわち農地委員会は、日本歴史上最大の農業改革ともいうべき地主制度の廃止を内容とした農地改革の議決執行機関である農地委員会であり、これはアメリカの日本占領政策の根幹をなした日本農民解放令に基くものであることは、財閥の解体とあわせて戦後最大の改革として万人の知るところであります。また一つは、国内最大の課題となつた食糧の生産確保、このための農民に対する事前割当、供出の仕事をやつて参りました食確法に基く農業調整委員会であります。もう一つは、農業改良事業のための專門技術員、改良普及員その他試験研究に従事する主要技術員の任命から異動及び解任など、さらには農業改良事業についての計画の設定並びに予算及びその施行に関することなどまでも取扱う農業改良委員会であります。
この三つは、それぞれ重要な、しかも性格の違う独立の機関であつたと申さなければなりません。ところが政府は、予算が足りないからという理由で、三つをまとめて一つの農業委員会とし、書記も平均して一・二人と申しまして、つまりたつた一人の書記で、あれもこれもというふうなことにし、実は何もできない、身動きのできない、形ばかりのものにまつり上げてしまおうというところにこの法律案のねらいがあるといわなければならないのであります。(拍手)もちろん政府の言い分には、農地改革はあらかた済んだとか、食糧は安定したから麦も統制をやめて自由にする、食糧割当事務も従つて少くなるなどということを申しているようでありまするが、これはとんでもない間違つた前提でありまして、危險千万と申さなければならないのであります。すなわち農地改革のごときは、その趣旨を生かす仕事は終つたどころか、これからが本物の仕事と申さなければならないのであります。
たとえば登記事務も、うんと残つておる。かんじんな交換分合なども一向進んでおらないのであります。また二百万町歩の自作をつくつたと申しまするが、もちろんこれだけの土地を地主の所有から耕作人の所有に移したことは農民解放の大業績でありまするが、しかし二百万町歩の田畑は、だれが持つていても二百万町歩にかわりはないのでありまして、もつと大事なことは、山林、未墾地の解放、開拓の仕事だと考えるのであります。(拍手)これはときには、不毛の山野が、山は田となり野は畑となり、こがねの実がなるのである。ところが、この未墾地の売渡し登記のごときは、まだ買収面積の一五%しか進んでおらないというていたらくであります。われわれは、山林の解放、全小作地の徹底的解放を含む第三次の農地改革ということも主張いたしておりますが、それはしばらくおくといたしましても、現行法による改革も、旧地主や山地主の反撃のために、完了どころか、あともどりの実情であります。
このような残されたる多くの困難な仕事は、食糧割当の事務と一緒に同一委員会で、しかも一人の專任書記でやれるような仕事の分量でも性質でもないのであります。(拍手)食糧割当事務のごときも、不安定なる食糧事情のまま、国内の自給策も立たず、海外食糧の見通しも五里霧中の中で、かの低劣なる自由販売の公約にこだわつて、ここに麦の統制をはずして、粉屋など米穀加工業者にもうけさせ、自由党の選挙対策を物心両面からかせごうとするのでありますから、あとで一層食糧需給事情の惡化と混乱の中で再び統制割当をやらなければならないということも予想せられるのでありまして、困難な仕事がたくさん残つておるのであります。
さらに改良委員会の仕事に至つては、質的にももつと違うものでありまして、農業改良局の定めましたところの委員会設置要綱を見ますならば、機構、任務という中で、こう書いてある。すなわち、農業改良事業に従事する職員は供出、割当、配給などの行政事務を担当してはならないと規定しておるのであります。これは供出、割当の仕事はもちろんのこと、農地改革の事務なども両立しないことを政府みずからが言明したものということができるのであります。
さて、この法律案の目的を見まするに、第一條には「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄與するため」とあるのでありますが、一体本気なのでありましようか。そもそも農業生産力の発展とか農業の合理化というようなものは農業立法の一大基本目標であり、このような重要題目を、お天気のあいさつのように心やすく使うところにわが国農業立法の貧困ありといわなければならないのであります。十億や十八億のはした金で、こんなことをいうところに、法の権威の失墜がある。一体、合せて一本にして強くしようとするのか、弱くしようとするのか、やる気か、やらぬ気か、われわれはこれ尋ねたいのであります。
私は、目的が悪いとは申さない。やれるなら大いにけつこう。問題はやれないということにあるのであります。自由党の野原正勝君は、農林委員会の賛成討論の中で、はつきりと、この法律案は羊頭を掲げて狗肉を売るものであると言つたのでありますが、まさに一片良心のひらめきありというべきであります。これでは満足な仕事はできないのであります。政府の真意は、やる気はないのであります。この整理統合に名をかりて、農業調整委員会の従来與えられた議決権を剥奪し、もつて食糧割当の民主的取扱いを、問答無用の天くだり割当にすりかえ、さらに三機関の統合に藉口して農地改革の打切りを目ざし、反動的地主勢力の復活をはかるものと断ぜざるを得ないのであります。
現に政府の原案は、その同調者の修正によつて真意が暴露されておるのであります。農業委員会の中から小作層代表の進出を阻止するために、階層別の委員の選挙を拒否する修正をやつております。この反動的修正こそ、これ語るに落つるものといわなければなりません。この理由の一つに、今日小作層は二%しかないとかいうのでありまするが、これまた統計を欺き用いるもはなはだしいと申さなければなりません。目的、方法の異なる統計を、あつちこつちからつまみ食い的に取上げて、これをつぎはぎして使うということは、およそ責任ある政治のとらざるところであります。自作、小作の面積を知るためには、その実態を知ることを目的として、特に農地委員会の專任書記により一筆ことに調査せられましたところの、昭和二十四年二月一日の農地センサスの数字によるべきであります。この調査は、自作五割、小作二割となつて現われておる。これを政府原案の一号属小作側、二号層自作側とわけるなら、その分野は三割五分対六割五分とならなければならないのであります。すなわち五対十の割合となり、小作側五人の階層別選挙は維持せられ、この発言を保護する民主的階層別選挙が当然とられなければならないものであります。この小作側の代表進出と発言の機会を、あえて多数党の力をもつて圧殺せんとするところに、農村民主化の逆行をほからんとする反動の要因ありと、われわれは考えざるを得ないのであります。村の円満ということは、弱い者を押えて強い者の下敷きにするということをさしておるのでありましようか。
予算について見まするに、たつた十八億で、一、二の書記で何ができますか。農地改革や、食糧割当や、この困雑なる今日までの仕事の中で訓練された書記こそは、将来の新農村建設の有力なるにない手でなければならないのであります。この有能なる書記を将来の農業生産の拡大と農業改革に優遇活用して初めて所期の目的は達成されるのであります。しかるに、これらの人人を弊履のごとく捨てて、單なる機関の形骸のみを残すことは、まさに日本再建の後退を招くものと断ぜざるを得ないのであります。しかるに、このわずかの予算に、農林委員会の附帶決議をもつて九億円の追加支出を農林大臣、大蔵大臣あてに要望してお茶を濁しておる。一体何たる醜態でありましようか。国権の最高機関たる立法機関が、法的効力のまつたくない大臣あての陳情書を決議して糊塗するとは、何たるさもしいしわざでありますか。(拍手)予算の支出は国会の権限ではないか。ほんとにやる気なら、なぜ予算をはつきり組まないのか。一方、農地改革の反動化をねらつて階層別選挙を削り、小作側の進出を押えるためには、堂々と多数党に物を言わせて法の修正を押し切り、かんじんの本法実施の裏づけたる予算の方は、法的根拠のない附帶決議としてごまかしたところに、ここにもわれわれは自由党と吉田内閣の反動的正体を見るのであります。(拍手)
以上、両法案に対する反対の意を表明する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/9
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010・林讓治
○議長(林讓治君) 野原正勝君。
〔野原正勝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/10
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011・野原正勝
○野原正勝君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま上程されました農業委員会法案並びに同法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の、わが党及び民主党共同の修正案に対しまして賛成の意見を述べんとするものであります。
敗戦の悲痛な現実の中から、わが国農村の直面した課題は、まず第一に、過去数千年の長い伝統と慣習の中から生れ、そして守られ来つた地主制度のからを破つて、新たなる民主主義の理想のため、すべての耕作農民に対して土地を與え、それぞれ健全なる自作農家を創設せんとする、いわゆる農地改平の断行であつたのであります。第二には、窮乏のどん底に追い込まれ、食うに食なき八千万の同胞に対しまして、いかにして食糧を供給するかという食糧問題、この二つの問題が最も大きな問題であつたのであります。
第一の問題たる農地改革でありますが、これはポツダム宣言を忠実に受諾したわが国として当然に履行しなければならなかつた、いわゆる至上命令であつたことは、諸君よく御承知の通りであります。これは社会党や共産党のお力でできたものでは断じてございません。(拍手)しかるに、まことに不可思議千万にも、事情のよくわからない農村などに行つて、あたかもこの農地改革はおれたちの力でやつた、あるいは耕作農民はこの際団結して大いにやれというようなわけで、いわゆる階級政党の諸君はそれに便乗いたし、農村のボス的な連中と結んで、大きな顔をしてのさばり、いたずらに対立や闘争をけしかけたのであります。(拍手)
由来、日本のよさというものは、向う三軒両隣、五人組、七人組というよのが、お互い同士常に理解と協力をもつて互いの義理人情を盡すところにあるのであります。ましてや、五反百姓といわれるような零細な農家の集まりである日本農村の生きる道、健全な姿は、お互いの協力一致以外の何ものもありません。お互いの零細な力を出し合つて助け合う頼母子講であるとか、あるいは無盡であるとか、そういつた機関が生れたそのこと自体が日本農村の特異性であり、そうしてまた日本農村の美しき伝統といわざるを得ないのであります。かかる健全な、平和な農村に対して、いわゆる民主主義の時代だからと称して、りくつのないことを触れまわつたり、お互いをけしかけて、けんかをさせる、こういうような、ふしぎな商売が現われたのでありますから、私どもは、いささかあきれざるを得なかつたのであります。(拍手)しかし、いかにお人のよい農村の方でありましても、いつまでもそんな子供だましに乗つているわけではないのでありまして、一応の農地改革が済んだ今日におきましては、すでにもうすつかり平静にもどり、元の健全な姿に返つております。でありますから、お気の毒ながら、もうその手はききません。(拍手)今度の地方議会や首長選挙におきまして、もし万一にも農民組合のお力などを御計算に入れておきますと、とんだ計算違いができると思いますから、一言老婆心ながら御注意を申し上げる次第であります。(拍手)
農地改革は、わずか五箇年で、すでに三百万戸以上の自作農家を創設し得たのであります。農地面積において約百九十六万町歩、牧野において三十八万町歩、未墾地において百二十六万町歩、合せて三百六十万町歩というその大きな面積の買収が済み、そうしてその大部分がすでに売り渡すということになりました。この画期的な成果を収めたのでありまして、農地改革は、おおむねその目的を達することを得ました。そのことは、わが国農政の、まさに輝かしい勝利であつたのであります。(拍手)その間にあつて終始困難なる業務を担当された農地委員会の諸君の御苦労に対しまして、あらためてここに感謝の意を表する次第であります。
食糧問題についてでありますが、国内における自給体制も漸次強化を見るに至りましたのと、連合国、特に米国より多額の輸入食糧の援助を與えられました結果、終戰直後に見たような、あの深刻な、あのさんたんたる状態は、すでにまつたく一掃されまして、いも類の統制の撤廃に引続いて雑穀、大豆、麦類等の供出制度を漸次廃止いたし、わずかに米についてのみ事後割当制によるところの、きわめて合理的な供出だけが残る段階となりましたことは、まことに御同慶にたえぬのであります。食糧供出及びこれに伴う農業計画等の重要なる業務に当られた農業調整委員会の過去における業績は、長くわれわれの銘記すべきところでありまして、その御労苦に対しましても、この機会に深甚なる敬意を表する次第であります。
農地制度及び食糧問題等、それぞれ一応の段階に達したとは申しながら、なお幾多の困難なる重要問題が山積しておることは、諸君御承知の通りであります。農地買取の仕事もまだ相当に残つておりまするし、ましてや経営の合理化のために理想とするところの農地の交換分合というような仕事は、まだ実は緒についたばかりと申してもよい。食糧の問題にいたしましても、ここ当分の間は外国からの輸入食糧にたよらなければやつて行けないという、まことに情ない実情であります。従つてわれわれが今後に期待するところは、形の上の農村民主化というものは一応済んだといたしましても、真に日本の農民が望んでおるところの、いかにして農村を振興せしめ、食糧の国内自給作制を達成するか、農業経営の合理化と科学化、農業技術の改良とその普及化をどのようにして促進するか、しかして究極の理想とすることろの農民の地位の向上、すなわちその勤勉と努力にふさわしいところの生活と文化の向上が考えられなければならぬ段階であると思うのであります。すなわち、このことこそ農地改革の真の目的であり、そしてまたその有終の美を飾るゆえんでありまして、私は、六百万耕作農民が、おそらくそのことを心から望んでおると思うのであります。
政府提案にかかるところの農業委員会法案の目的とするところは、これらの点を十分考慮し、農地委員会及び農業調整委員会並びに農業改良委員会のそれぞれを発展的に解消し、農業全般にわたつてこれが向上発展をはかるべき代表機関として設けられることになりましたことは衷心より慶賀にたえないところでありまして、農地改革の途上における多少のトラブルなどは一切水に流し、すべての農民が、共同の使命と、そしてまた共同の目的に向つて協力一致、他のあらゆる産業に伍して堂々の発展を切にこいねがう次第であります。(拍手)
政府案には、委員の選任にあたり特に小作階層の立場を公平に主張せしめるような配慮のもとに、階層別選挙によつて小作層から三分の一を選ぶことになつておつたのでありますが、現在の小作も数的に見るならば、先ほどの委員長の報告にもありましたことく、わずかに六・二%にすぎない。しかも農地改革はすでに一応所期の目的を果し得たのでありまするがゆえに、あえて今日におきましては、小作制度というもの、小作階層というものにこだわる必要はないと思うのであります。むしろ健全なる農村の姿という点から申しますならば、農民全体が手をとり、お互いが助け合つて行く、その大乗的立場からものを考えなければならぬ段階であると思うであります。この点におきまして、むしろ小作階層を残すということは、かえつて全体の調和をそこなうおそれすらある、私どもはさように考えておるのであります。よつてわが党は、民主党と種々御相談の上、階層別の選挙方法を除いたのであります。すなわち、農業委員会は決して農地委員会の延長的存在ではないのでありまして、過渡的業務として農地に関する諸問題も当然に関係は持ちまするが、そのあるべき姿、ほんとうの主体性というものは、むしろ農業経営の合理化、農業技術の向上等の、真に建設的な委員会たらしめなければならぬ、かように考えておるのであります。われわれは、この委員会にきわめて重大なる関心と、かつ期待を持つておるのでありまして、日本農業の進歩と発展を心から望んでおる次第でありますが、遺憾ながら予算的措置におきましては少しく貧弱であります。今日計上されておる予算だけから見ますれば、どうも思うように仕事のできないことは、先ほど八百板君の言つた、羊頭を掲げて狗肉を売るという言葉も、あえてうそではないのでありますが、その点は、きわめて近い機会において政府は予算の増額に対して善処するであろうことを、私は政府與党といたしましてこれを確信し、ここにこの問題に関して賛意を表する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/11
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012・林讓治
○議長(林讓治君) 横田甚太郎君。
〔横田甚太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/12
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013・横田甚太郎
○横田甚太郎君 政府の本案提案理由に盛られた内容のごとき日本農村の実態である奮ば、われわれは、日本農村にいかようの政府お手盛り委員がつくられようとも、一向に苦情は言わぬ。しかし日本農村の実態は、農民とその一家と、日本の繁栄のために農業を営んでいるのではない。戰時政権が残して行つた供出政策のつじつまを合せるために、どろの中にたたき込まれ、前世紀的な懲役労働のもと、乏しいやりくりのために人生を消耗しているのであります。地球上で最もよく働く日本の農民が、一家をあげての労働と、政府が指示する農産物の処理だけでは生活できない。安い賃金を求めて娘やむすこを工場に出かせぎに出すか、はなはだしいところでは身売りをさせる。暗黒街の特殊飲食店への身売り子女の人的供給源は農村である。やつてはならないことをやることによつて農家経営の赤字が補われているのであります。これが政府御自慢の三百万戸の自作農家創設の実態なのであります。
配給と統制の時代に、政府には届けられない、やみのやりくりのための農産物を残すことにおいて、農業再生産がやつと持続されている。ここに農村ボスが残り、農民の名による各種委員会は農民のために働けず、収奪の中に自己を保身するための世渡り上手な手合いが多くのさばり、日本の農業生産力向上阻害の根源がここに残つておるのであります。平和と自由な正常経済のもとには成り立たず、動乱と混乱、原子兵器の生産異常で世界が不安におののき、主食消費者が低賃金に拘束され、強権のもと、食を求めて配給と統制下にリユツクサックを背負つてあがき、町の人々が困る。人間としては好ましくない世相のもとでしか経営の成り立たないように仕組まれているのが日本の農業政策であります。最もよく働き、耕しつくる者が、勤労の喜びの中に、実るもののよりよき成果のためのくふうと努力と研究に精進できない。やみ屋のおつさんにならない限り一家の経営は背負つて行けない農業事情のもとに、日本の農村の民主化なんかできるわけがない。
この議会で農業経営合理化のために農家の有畜化が論議されているとき、皮肉にも関東方面で農耕馬が不足し、やつとの思いで秋田で大きくなつた農馬が、金詰まりの農家は背に腹はかえられません、五月の青草季節まで飼い切れませんと、二才駒で一万円から二万円の安値でたたき売られておるのであります。農家経営の足しにならず、負担になつている。米軍占領下の議会での農村論議が、農民にそつぽを向かれておるのであります。農家へ飼料をの声も、飼料の暴騰で、卵を産む前の若鶏は売られ、農民の豚は太らずに犬のようにやせ、持ち切れぬ農家の売る肉はどんどん投げ売りされて、値下げされているにもかかわらず、町では重税のため一向に安くならずに、町の働く人の口には入らないのであります。
農村の生産物を正常に操作させず、不当に中間搾取を許し、日本農業の弱体化をはかつて行くやつは一体だれなんだ。農村に対し必要以上の強権的支配を重ねている占領下の政権ではないか。農業政策への行き詰まりは日を追つて深まつて行きます。供米の頭打ち、農協の行き詰まり、解放農地の差押えや、やみ売り、農家にのみ必要な肥料が糸へん、金へんの金もうけの対象になつて、一袋百六十円の石炭窒素が伊藤忠に買われて、四百円で農家に売り拂われ、強欲な伊藤忠の金庫を太らせておるのであつて、農業生産の阻害になつておるのであります。
日本天皇制政権下、当時の侵略の物的、人的根源は農村の窮乏にありといわれたその農村は再び窮乏の中に沈み、その帯しみの中に、これを運用する支配者の意のままに、—————戰争兵器、戰略物資生産のための加工貿易を仰せつかり、英国にさえ非難される低賃金労働者と、武器持つ警察予備隊の人的給源地になつておるのであります。
自由党は申します。廣川農相で予算がふえた、今後三箇年かかつて開墾十五万一千町歩といばつておりますが、その口の下で、昭和二十一年から二十三年まで平均して、田畑を合して約四万町歩が壊廃に帰しているのが事実であります。興農て一割増産、食糧自給度向上をいう日本の農地委員会のあるところの農村では、金をかけた開墾地が、やつと米麦が実るようになつたと思うころ、外国の飛行機がおりて来るのであります。田畑は米麦をつくるものであつて、飛行機を実らせるところではない。一方で荒れ地開墾の名のもとに国民の重税を浪費しつつ、一方で四分の一の、よく実る美田、良田をつぶして行く。そうして人力と全力とを浪費して行く。むだな戰争準備のための、米国人好みの政治支配をやめてしまへ。今までも政府は、食確法第八條を、日本の農民のために法として運用しなかつた。———の利得のために運用して来た。ジープによつて供米が集められるとき、食糧法第八條は無力であつたのだ。日本人によつて選挙された、日本人の構成する心議会でつくつた伝が、日本権益の保護にならぬ。いつまでわれわれを占領下の二重政権のもとに——するのか。
戰後政権は、農地改革をやれといわれてやつただけで、その実相は、紙の上で地主の名を小作人の名に書きかえただけだ。民主主義下の農村のあり方なんて考える能力を持つていないのが自由党だ。小作料のかわりに重い公租公課、農家への工業製品の高い価格での売込み、安い値段での農産物の収奪、家計費の圧迫等、都市失業者の農村への押しつけ、依然として農村は搾取の対象だけにしかなつておらないのであります。農地解放の結果としての、ゆたかな経済力の裏づけによる農業経営の合理化も、生産の飛躍的増強もありはしない。逆に国内水田の荒廃は、無計画な土地の酷使がたたつて、老朽化水田、秋落ち、あるいは低位生産地等、全国水田面積三百万町歩の三〇%以上に上つているのであります。
政府の説明、答弁中に、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を促進し、農民の地位の向上を云々、制度上の自主性が重視され、上からの農業政策を下からの農業政策に切りかえるのだ、農民の意欲や希望と一致さすのだ、民主的な組織を農村につくるのだ、こういうようなことを言つておりますが、こんなことは、もつともらしいうそであつて、これらはみな、廣川農相が唱え続けて来た、から念仏の値打以外の何ものでもないのであります。(拍手)共産党の非合法化だなんて、日本の難解な農業問題を真剣に考え、これと真正面から取組む気力を失つた廣川農相の、でたらめな覆言であります。農業問題へのふまじめさは、やがて世界の現状、日本の地理的政治経済のあり方よりして、廣川農相が共産党非合法化問題でなめた苦杯よりもつとひどいしうちを、保守政治家廣川氏と、その率いる政治勢力に與えるでありましよう。
日本の政治家は、日本の国富を軍艦長門や武蔵につぎこみ、太平洋のまつただ中にたたき込んでしまつた。このむだな、ど根性が、まだ残つておるのであります。こういうような根性を捨てて、農村にうんと金を出せ。つくつて、飼つて損にならぬところの農業に切りかえよ。そうでない限り、生涯意欲は起りはしない。その農業こそが、日本国民のために、町と村に、よき米と麦と肉と乳と卵を保証するのであります。農民の利害得失のはつきり表明できる、日本経済の一環を背負う農民の委員会が生れるのであります。
政治は、この逆を行つている。池田蔵相は、所得の多い者は米を食え、肉を食え、所得の少い者は麦を食え、いわしを食え、と言つておる。廣川農相は、農家労賃は安くなつたと言つておる。政府の農政担当者は、農民のふところぐあいがよくなれば百姓が米を食い、農民が貧乏すれば、米を出して、麦やいもや大根を食うのだ、こう言つておるのであります。これでは、まるで米つくる農民に、政治の作用で、労働に報いず、逆に貧乏させて、農民に、おいしい米を出して、まずい麦を食らえと言つているのと同じことであり、池田蔵相の、所得の少い者麦を食えの内容の具体化は、日本農民に與えた回答であり侮辱であります。こんな心構えの政権であるがゆえに、月に十数回、二合七勺の配給を求める町の人々に対しまして、米の不足分を石を食わすのだ。責任を感じて、まず石はよつて、自由党、食糧庁の役人がまつ先に食うべきなんだ。そうして外米の宣伝をしたまへ。こんな政治家の集まりであるなればこそ、日本の国土と人民に自信が持てず、いつまでたつても長く自立を妨げ、日本を植民地化するようなアメリカの援助が必要なんだ。
アメリカが援助物資だというものは、日本でぜいたくな暮しをしているだれかを利得せしめたであろうが、個個の農民も労働者も、びた一文も借り貸しはない。援助だ援助だと、いつまでも—————にされ、————られては、ありがた迷惑だ。ついでに言つておくが、米国の対日援助は二十億五千万ドルと言つておるけれども、外国軍隊のために日本国民が負担した終戰処理費は、われわれの計算よると三十億ドル以上になつている。
自由党の大臣諸公、もつと日本の政治のあり方に内省を深めよ。安い賃金と低米価で働く人々に十分な支拂いをしないから国内市場は太らず、従つて貿易の自主性は確立されないのだ。日本の地理的環境や国情を無視した、米国資本主義本位の日本資本主義の再建のあがきをやつているから、日本の政治的、経済的自主性を失い、援助の中に戦争を招くのだ。小麦の自給国であつた—————が、小麦の輸入を仰がねばならない国になつてしまつた。
—————が—————でやつた農業改革の結果を、われわれは忘れることはできない。
戰時戰後を通じまして、日本農業への非常な無理は、供出の重圧であります。日本農民がつくつた良質の米は一石五千五百二十九円で供出させられ、そうしてこれが一キロ五百十五円で配給されている。ところが、一石八千円から一万円で買付された、石のまじつた高い外米が値打がないから、十キロ四百六十五円の、内地米より約一割安い値段で配給されているのが実態なんです。外国人のもうけを、本年は二百二十五億の補給金を出して日本国民が負担している。この無理を隠すために戰後の供出制度の持続があるのだ。この間違つた政府の農村收奪のお手伝いをさせられるための下請機関が農業委員会なんだ。こんな間違つた考えの人々がつくつた法案並びに関連法案には、日本共産党は絶対に賛成できません。反対であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/13
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014・林讓治
○議長(林讓治君) 金子與重郎君。
〔金子與重郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/14
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015・金子與重郎
○金子與重郎君 私は、ここ二上程されました農業委員会法案、農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案並びに農業委員会法案修正案に対しまして、国民民主党を代表して、強い要望を付して賛成いたすものであります。(拍手)
本法案の第一條には、「この法律は、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄與するため、都道府県及び市町村に農民の代表機関として農業委員会を設け、その所掌事務の範囲及び組織を定めることを目的とする。」、こういうふうに書いてあるのでありまして、農業委員会に関する組織法であります。わが国の農業の生産力の発展及び農業経営の合理化を促進して農民の地位の向上をはかることは、単に農民のためのみでなく、敗戰後の国家再建のために緊急の計と信ずるのであります。そのためには、政府は常にしわ寄せされつつある農政について強力な施策を講ずべきことはもちろんでありまするが、農民ないし農村におきましても、これを受入れ、自主的に活動し得る態勢を構えなければ、その目的を達成することは至難であると信ずるのであります。その意味におきまして、本法案は、農村の現況に照して時宜に適した法律と思うのであります。
しかして、この見地から第七條の所掌事務の点々見ますると、執行機関として自作農の創設維持、農地の利用関係の調整、土地の改良、交換分合に関する勧解等を処理するほかに、食糧管理の仕事、すなわち食糧供出の事務にも携わり、その上諮問機関として農地の開発、改良、保全その他土地の生産條件の整備、農業技術の改良、その地農業生産に関する事項、農産物の加工処理、こうした盛りだくさんの、すなわち従来の農地委員会、農業調整委員会、農業改良委員会、この三委員会の全部の仕事の分量以上の仕事を期待しおるのであります。これに引きかえて、その予算を見ますると、前年度における農地、農調両委員会の経費よりもはかるに少く、十八億円にすぎないのであります。この予算を一市町村農業委員会に当てはめてみまするというと、委員手当が三万二千四百円、書記手当が十万五千四百十二円、旅費四千三百二十円、事務費が九千円という、きわめて微々たるものであるのであります。政府は、農地委員会の仕事である農地改革、自作農創設の事業がほとんど完成をみた、従つてこの事業分量が減少せるため減額したのであると説明しておるのでありますが、この点は、私はまつたく納得しかねるところなのであります。なぜなれば、なるほど三百万を越える自作農家が創設されたことは事実でありまするが、いまだ地方によつては相当残されたものもありますのみならず、農地管理をおろそかにいたしますならば、最近各地にめざしつつありますところの農地のやみ売買、ないしは貸付地のやみ小作料等が行われまして歴史的な農地解放が再び逆行することも注意しなければならないのであります。また今後農業経営の合理化、ことに耕作方法の改善のためには、土地の交換分合は喫緊の重要課題であります。これらを考慮するとき、その仕事、事業分量は決して減少するものではないのであります。
次に食糧供出の事務について、政府は、今後供出は米のみであり、その方式が事前割当をかえて事後割当になるために非常に減少するというのでありますが、食管法改正法案の内容を見ると、麦類を除外すると言いながら、第三條に、政府は国民食糧を確保するため必要のある場合には政令をもつてこれを買上げるということをここに法文化してありますのを見ましても、食糧問題がそんな安易に考えられるわが国の情勢でもなく、世界の情勢でもないのでありまして、食糧供出を軽視してはならないということを私どもは深く考える次第であります。
以上、農地委員会、農業調整委員会の事業だけを見ましても、本予算額では不足なのでありまして、この予算をもつて本法律案を施行いたすならば、農地解放の残務整理と供出事務で終始してしまつて、本法案の目的とはおよそ遠い結果となることは明らかであります。わが国の農村は、終戰後において食糧の稀少なることが農民の現金收入を増加し、農地解放により高額小作料が解決し、インフレによつて宿年の負債が返済され、一時は農村インフレの声さえ聞いたのでありますが、現在においては、農産物価と農業必需物資のシエーレがはなはだしく増大いたしまして、預金は借金にかわり、高い小作料は間もなく高額な税金にかわり、再び負債にあえぎ、しかも土地制度の変革によりまして、農民唯一の財産であるところの土地は担保価値を失いまして、その上過大な潜在失業者を加え、このまま放置するならば、昭和初年代の農業恐慌時代、あるいはそれ以上の惡い状態に落ち込むことを予測されるのであります。この際政府は、強力に農業の振興策を実行するとと日もに、一方農村は自主的自立態勢を強化しなければならないと信ずるものでありますがゆえに、この意味において私は、政党政派的な立場からではなく、ほんとうに農村の立場から真剣に考えましたときに、この農業委員会のようなものを育成する必要がある。それには農業技術の改良はもちろん、農村の総合計画を立てるため、どうしてもこれが專門の要員を各市町村に一名ずつ置く必要がありますので、この点を強く主張いたしましたところ、幸いにして自由党の委員諸君も熱心に協力されまして、政府と折衝の結果、これが見通しを得られましたため、この際農業委員会が発足することが農村振興のために好結果をもたらすことを信じまして、本案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
次に本案の修正、すなわち階層別選挙を廃して全層選挙に変更いたしました点について賛成する理由を申し上げます。本案に反対する意見といたしまして、階層別をなくすることが、小作者階級の発言を封じて、旧地主階級の温存と、非民主的な封建制の復活をめざすと言い、また地主階級の搾取云々と言われるのでありますが、自作農創設特別措置法、農地調整法、小作調停法その他の法令によつて、そう簡単に旧地主が復活するなどとは考えられないのであります。
一体、内地において最大限三町歩くらいの土地所有の地主が、現行小作料と、これに対する税金を差引いた場合に、これが搾取的階級の存在だというようなことがいえるかどうか。(拍手)かりに最大限三町歩を持つておつたといたしましても、これらの百姓は、営営として四六時中家族が働き通さなければ食つて行かれないのであります。これを資本家呼ばわりして、そうして農村に軋轢を起すことは、決して村づくりのゆえんではないと私は信じます。(拍手)戰後の解放が——法令の施行の際にあたりまして、耕作面積の大きかつた者が大きな自作農になり、地主または小作者ともに、当時出征その他やむを得ない事情があつたといたしましても、その時期に耕作面積の少かつた者は自作農になれず、個々の農家の努力のいかんや、そうした個人の力によつて現在の自作農の形がとられたのではなくて、この点等におきましても相当多くの矛盾を持つのであります。しかしながら、これらの点はさておきまして、ただその農地面積を均一化するということだけで、一体農村が救われるか。かりに現在の全国の農村に、平均七反歩何がしの土地を均等に割つたと仮定するならば、全国の農民が農業を主体として経営はできなくなるのであります。
もう一つの問題の点は、森林所有地主の問題であります。なるほど今度の土地解放におきまして、森林所有者は依然としてその資力を継続されておるということがいわれるのでありますが、しかしながら山林解放につきましては、農業の適地は別といたしまして、ただ分配の意識だけで強く行き過ぎますというと、せつかくの解放地が再び開墾いたしました後に荒地にかわるというふうな行き過ぎを嚴に戒めなければならないのであります。農業、ことに水田耕作・工業的に水力電気の問題を考えても、日本の山林が治水上いかに重要な立場にあるかということを考えるならば、私はこの問題は、單に山をよこせというような立場でなく、むしろこの山林については今後森林法等の法令を強化いたしまして、個人の所有権によつて自己本位に山林の題営をなした者を制約いたしまして、そうして山の公的な性格を強めて、国家百年の計をあやまたない計画を立てるべきだと信ずるのであります。(拍手)
私は必ずしも階府別選挙に対して、まつたく有害無益だとは申しませんが、ここに愼重な考慮を拂わなければならないことは、階層意識を強く持つことが、はたして町村の振興計画を樹立する上にどれだけ役立つか、ことに農地委員会の選挙が政党と結びついたがごとき事実は、何人でも否定できないと思うのであります。私は、農村自治あるいは農村団体において、政党的な派閥、階級的な派閥が強力に活発で、そのためによい村ができたというような事例は、かつて一つも見たことがないのであります。(拍手)あるいはそう言いますと、やれ封建的だ、やれ非民主的だというふうに、りくつをこねる人があるといたしましても、私は、あくまでも現段階における日本の農業の振興は村づくりであり、村づくりは村の人たちの総協力であらねばならないものと、かたく信ずるのであります。
以上、階層別の利害両者を考慮に入れて、結論として修正案に賛成したものであります。(拍手)
最後に政府は、本法案第一條の目的達成のために予算的処置に完璧を期するとともに、法律施行上細心の考慮を拂つて、農村振興に役立たせられんことを強く要望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/15
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016・林讓治
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/16
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017・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
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第三 臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/17
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018・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第三、臨時物資需給調整法の一部を改正する法律出を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長圖司安正君。
〔圖司安正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/18
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019・圖司安正
○圖司安正君 ただいま議題になりました臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、現下の内外経済情勢の推移に対処するために臨時物資需給調整法の一部を改正せんとするものでありまして、第一に、本法の有効期間をさらに一年間延長せんとするものであります。最近まで多くの物資について逐次統制が緩和されましたが、なお現在本法に基いて生産資材二十五品目、消費物資八項目の配給統制が残存しておるのでありまして、これらの物資には、今にわかに統制の廃止を行うことの困難なものも相当あるのみならず、刻下の変転する国際情勢から見まして、今後の物資の需給事情に変化を生ずることも予想せざるを得ないので、この際経済の安定確保のため、今年四月一日に失効する本法の効力をなお一年間延長しようというのであります。第二は、物資需給調整審議会を設置せんとするものであります。これは本法運用の従来の経験にかんがみまして広く民間の学識経験者の意見を求める必要がありますので、経済安定本部の諮問機関として物資需給調整審議会を設置し、本法の民主的な運営に資しようというのであります。
第三は、本法に基く主務大脈の権限を縮小せんとするものであります。すなわち、産業の振興回復に伴い不必要となつた主務大臣の命令権限の範囲を可及的に縮小いたしまして、本法の円滑なる運用をはかろうというのであります。
次に本法の内容について申し上げますれば、まず第一條第一項第一号中「物資」とあるを「供給の特に不足する物資」に改めて、主務大臣の命令権を法文上明確に限定したのであります。同項第二号の「出荷」という概念は法律上明確を欠くので、これを「譲渡若しくは引渡」と改めて、同号の「出荷若上くは輸送若しくは工事の施行又は物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行の制限若しくは禁止」とあるを「譲渡若しくは引渡又はこれらの行為の制限若しくは禁止」と改め、同項第四号を削除いたしたのであります。
第二條は、これを改めて、本法運用の基本的方策に関する経済安定本部総裁の諮問機関たる物資需給調整審議会の設置規定としたのであります。この審議会は、経済安定本部総裁が前條の規定により定める方策、すなわち物資需給調整の基本方針、その方法、態様等の一般事項に関して審議報告するとともに、特に必要がある場合には経済安定本部総裁に建議することができることといたしたのであります。
第三條第一項の「第一條の規定の適用に関して」という規定は狭きに失するおそれがありますので、この規定を削除し、新たに「経済安定本部総裁の定める方策に基き」という規定を加えたのであります。
第七條は、第一條及び第三條の改正に伴い條文整理を行いまして、第一條第一項第四号の遊休設備に関する主務大臣の命令権の制除に伴い、設備の没收及びその価額の追徴の規定を除いたのであります。
最後に、附則第二項中「昭和二十六年四月一日」とあるを「昭和二十七年四月一日」に改めまして、本法の有効期間を一年間延長いたしたのであります。
本案につきましては、去る十五日提案理由の説明を聽取し、引続き十七日及び十九日に審議をいたしました。委員会においては、物資の統制が重要問題でありますので特に審議の愼重を期し、資料の要求をいたし、熱心なる質疑が行われました。ことに今後の国際情勢に伴う統制の可否について詳細なる質疑応答がありましたが、その二、三を申し上げますれば、独占禁止法及び事業者団体法のために自主的統制が実施しがたいのではないかとの質問に対して、政府は、そのために、やむなく従来の官庁統制を一応残すとしても、これを最小限度にとどめて、内容的に自主的統制を実施する考えであり、たとえば運賃プール制のごときも、全国は政府において特別会計でこれを行い、地方は各組合で行うことにいたしたことくであるとの答弁がありました。また登録制については廃止したい旨の答弁がありました。
さらに物資需給調整審議会については、諮問機関であるために民間意見の徹底になお足りない点があり、委員の人選とその運用に適正を欠くならば、かえつて弊害のおそれがないかとの質問に対して、政府は、人選等については弊害を生じないよう、きわめて愼重に行い、民間意見を尊重して本法の民主的運営に資するよう十分に注意する旨の答弁がありました。
かくて、昨十九日討論に入りましたが、寺本委員は自由党を代表して、また森山委員は国民民主党を代表してそれぞれ賛成の意見を述べられました。次に採決に入りましたが、全員一致、原案通り可決されました。
右御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/19
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020・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/20
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021・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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第四 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案(内閣提出)
第五 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案(内提出)
第六 企業再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/21
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022・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第四、在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案、日程第五、保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案、日程第六、企業再建整備法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。
〔夏堀源三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/22
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023・夏堀源三郎
○夏堀源三郎君 ただいま議題となりました在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案外二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案におきましては、政府は在外公館等借入金の返済を昭和二十六年度中に開始することといたしまして、返済に関して必要な事項を定める法律案を、この法律施行後最初に召集される国会に提出し、返済に必要な諸般の措置を講ずることとするとともに、右の返済に関する法律案に織り込むべき事項のうち最も重要であり、また困難な問題であるところの借入金を表示する現地通貨の評価について、特に諮問機関を設置して評価に関する事項を調査審議させることといたそうとするものであります。
この法案は、三月九日、本委員会に付託され、同十二日政府委員より提案理由の説明を聽取し、同日より同十四日及び十五日の三日間にわたつて質疑を行つたのであります。
次に保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案におきましては、近時の保税倉庫及び保税工場の運用の状況にかんがみまして、これらの正規の利用を助長し、わが国貿易の発展に資せしめることを目的として、第一に、私設保税倉庫の保管貨物の輸入税について、災害によつて滅失した貨物または税関長の承認を経て滅却せられた貨物に関しては保税倉庫業者の責任を免除するとともに、保税倉庫業者が供託する保管貨物の輸入税の担保の種類を、従来の金銭または国債証券のほか、税関長の確実と認める社債にまで拡張することといたし、第二に、保税倉庫及び保税工場の特許手数料の徴收に関する根拠を法律に規定するとともに、加工貿易振興のため特に必要があるときは特許手数料を低減または免除できることといたし、第三に、罰則の一規定を整備して、これらの制度に伴う違反行為の取締りの確実をはかることといたそうとするものであります。
この法案は、三月十三日、本委員会に付託され、同十四日政府委員より提案理由の説明を聽取し、同十七日質疑を行つたのであります。
以上の二法律案につきましては、三月十九日、これらを一括して討論採決に入りましたところ、竹村委員は共産党を代表して、在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案に対して反対の旨討論せられました。次いで採決の結果、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
次に、企業再建整備法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法案は、特別経理会社の再建整備計画の認可後における経済事情の変化等によりまして、資本の増加、第二会社株式の処分、資産の処分等が予定通り行えないため、いまだ整備計画の実行が完了していないものが少くない状態にかんがみまして、この際特別経理会社の解除の條件を緩和し、整備計画のすみやかな実行完了を期するとともに、商法の一部改正法施行に伴う規定の整備を行うため、第一に資本の増加に関しましては、今回商法の改正によつて授権資本制度が採用されることになりますのに伴い、授権資本の増加をもつて整備計画の増資と認めることといたし、第二に第二会社株式の処分に関しましては、整備計画中の他の事項の実行が完了すれば、第二会社株式の処分が終つていないでも特別経理会社から解除することといたすのでありますが、解除後におきましても第二会社株式を処分することは従来通りとするとともに、旧会社の第二会社に対する独占的支配を防止するため、旧会社の第二会社の株式について有する議決権の行使については主務大臣の監督を受けることといたし、第三に旧勘定等の資産の処分に関しましては、解散した特別経理会社については、特別管理人の全員の同意があれば、資産の処分が未済でありましても、整備計画中他の事項の実行が完了すれば、整備計画の実行は完了いたしたものとして特別経理会社から解除することといたし、最後に、商法の改正に伴いまして関係條文の整備を行う等、所要の改正を行おうとするものであります。
この法案は、三月十二日、本委員会に予備付託せられ、同十四日政府委員より提案理由の説明を聽取し、同十五日質疑を行つたのでありますが、その詳細に関しては速記録に譲ることといたします。
次いで同十六日、本付託となり、同十九日、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/23
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024・林讓治
○議長(林讓治君) 三案を一括して採決いたします。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/24
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025・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/25
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026・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/26
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027・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/27
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028・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事高塩三郎君。
〔高塩三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/28
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029・高塩三郎
○高塩三郎君 ただいま議題となりました電信電話料金法の一部を改正する法律案につきまして、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げ上ます。
この法律案は、電信電話料金法の別表第二の電話に関する料金の一部に改正を加えようとするものでありまして、加入電話に関する料金と專門電話に関する料金の両類にわたつて、改訂しようとする料金の種別は二十数箇目に及んでいるのであります。
改正点について、その主要なものを申し上げれば、第一は、加入電話の装置料及びこれと同性質の料金の引上げであります。ナなわち、加入申込受理、電話機の構外移転、加入の所属変更、災害電話の復旧等の場合の装置料等を現行の千五百円から四千円に、電話機の構内移転等の場合については同じく七百円を千五百円に、増設電鈴、付属物品の構内移転等の場合については同じく四百円を五百円に引上げる等の改訂を一加えるものであります。その第二は、市外專用電請の專用料に関するものであります。すなわち市外線專用料は、現在新聞社、通信社及び日本放送協会等については、一般の專用料金に比べて、長期專用料では約七割四分方、短期專用料では約三割三分方それぞれ低額となつているのでありますが、この低額料金の適用範囲に新たに民間放送事業者の專用をも加えることであります。なおこれに関連して、一般的に市外專用電話の時間專用の場合の端末設備料を廃止することとし、端末維持料の年額制を日額制に改めることとしております。
電気通信委員会におきましては、三月五日、本内閣提出法律案の付託を受けまして、三月十三日、三月十九日及び本日の三回にわたつて委員会を開き、審議をいたしたのであります。政府の説明によりますると、まず装置料等は、電話の新設または移転に要する労務費及び消耗品費等資産として固定されないものに見合される料金であつて、工事の都度一時金として実費を回收すべきものであるが、現在の料金額は最近の実費に比べてはなはだしく低いので、これを実費まで引上げる必要があり、また市外專用電話の專用料については、近く業務開始を予想される民間放送事業を日本放送協会の事業と同様に取扱うこととして、適用する料金を同額にするというのであります。
委員会において各委員から行われした質疑のおもなるものといたしましては、一、装置料と見合すべき所要経費について、最近の実費額及びその労務費と消耗品費との内訳並びにその調査の時期、二、資産再評価による減価償却費の増加と、この改訂による増收額との関係、三、この料金改訂と電話需給の不均衡改善との関係、四、電話料金について現在の未收額、その種別内訳及び未回収の原因等、多岐にわたつたのでありますが、質疑応答の詳細は会議録に讓ることといたします。
かくいたしまして、委員会は三月十九日質疑を打切り、本日討論を行い、討論の際、日本社会党を代表して松井政吉君は、本議案のうち料金引上げに関するものは経済情勢の推移に照しやむを得ないものと認めるが、これに伴つてできる限り加入希望者の便益をはかること及び電話サービスの改善に一層の力を注ぐことの希望を付して賛成の意見を述べられたのであります。
次いで採決の結果、大多数をもつて、本案はこれを可決すべきものと議決した次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/29
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030・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/30
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031・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の遜り可決いたしました。(拍手)
これにて議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
午後三時十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X02219510320/31
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