1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月三十日(金曜日)
午後二時十七分開会
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本日の会議に付した事件
○港湾運送事業法案(鈴木恭一君外四
名発議)
○一般運輸事情に関する調査の件
(航空事業に関する件)
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001・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは運輸委員会を開会いたします。本日の公報には載つておりませんけれども、港湾運送事業法案が参議院の議長により運輸委員会に付託されましたので、皆様の御異議がおありにならなければ、これを第一に御審議願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/1
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002・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) さよう決定いたします。それでは港湾運送事業法案につきまして、提案者鈴木恭一議員から、提案理由の御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/2
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003・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 私鈴木でございますが、港湾運送事業法案の提案理由について御説明いたします。
港湾運送事業はいわゆる大運送に対する小運送或いは基本運輸に対する附帶運輸の事業でありまして、海上運送に先行し、又は後続して貨物の海陸連絡運送をなすものでありますが、なお海上運送と陸上運送とを連絡中継し、又事業経営上長も良好な立地條件を備える港湾地帯に集中いたしておりまする各種の重要産業に対しみずから集貨配達をも行なつているのでありまして、社会的、経済的に極めて重要な役割を担つているのであります。
然るに我が国における港湾運送事業の現状を見まするに、この事業に特有の波動性により常に零細化し、後進化する内在的傾向を有することとも関連いたしまして、極めて不健全、不安定、脆弱且つ後進的でありまして、度荷動きが減少すれば、直ちに激甚なる不当競争を展開し、この事業の重要な施設でありまするはしけや荷役機械の維持修理すら放擲し、混乱と無秩序の中に共倒れの危機に陥るに反し、一方輸送力の増強が強く要請されるときは輸送上運輸の大きなネックとなりまして、多くの問題がこの事業にしわ出せされて来るのであります。
このような現状は、この事業本来の社会的、公共的使命並びに交通事業入体の調和ある発達という点に鑑み、の点を速かに改善いたさなければなないのであります。殊に御承知のように、我が国の船腹拡充は現下の国際情勢におきまして、喫緊の課題でありまして、これがため政府におきましては数次にわたる新船の建造又は外国船の傭船購入等によりまして、船腹の積極的拡充を図りつつありますことは、皆様の御承知の通りでありまするが、これらの施策も港湾運送事業の健全な発達を伴わないことには、その効果は半減すると申しても過言でないのでありまして、荷役能力増進のため早急にこの事業を安定させ、且つ健全ならしめ、更にその合理的発達を促がす必要があるのであります。これが港湾運送事業法案の提出を必要とするゆえんであります。
次に、この法律案の主な内容について簡単に御説明いたします。第一は、営業自由の基本原則の下において事情者の健全性と適格性とを確保し、事業の秩序を回復維持するため、事業の種類を明確に規定した上、事業につき登録制を実施することとしたことであります。即ち登録については、要件充足主義に基き、一定の要件を具備する出は必ずこれを行うものとし、半面一定基準に対する不適格業者につきましりは、その登録を拒否し、無登録営業はこれを禁止いたしますと共に、登録も受けた事業者につきましても、この法律に違反した場合等におきましては、事業の停止を命じ、又は登録を取消すことがあるものといたしました。
第二は、公正な競争を確保し、事業の健全な発達を図り、その近代化を促進すると共に、利用者の利益を保護するような合理的運賃料金制を実施することとしたことであります。即ち運賃料金制につきましては、各事業者が実施しようとする運賃料金を定めて、実施予定日の三十日前までに運輸大臣に届け出で、且つ一般に公示するものとし、この実施猶予期間内に利害関係人に対して異議申立を認め、異議申立があつたときは、運輸大臣は運輸審議会の開催する公聴会において十分意見ら述べる機会を与えると共に、不当と認めるものにつきましては、その変更も命ずることがあるものといたしまして、その合理化を図り、かくして実施し得ることとなつた運賃料金については、厳格にこれを遵守しなければならないものといたしました。
第三は、設備資金の円滑な融資が、動産の多いこの事業において担保の問題により著しく阻害されている事実鑑みまして、施設の拡充合理化を可的ならしめ、且つこれを促進するため、この事業に財団抵当制度を確立することとしたことであります。即ち港湾海送事業に関し、同一の事業者に属する上屋、倉庫、はしけ、荷役機械等、不動産及び動産の全部又は一部を以て工場抵当法の手続に準じまして、財団を組成いたしますと、この財団は一個の不動産とみなされまして、これに抵当権を設定することができるのでありまして、これにより施設の拡充合理化に大きな劾果が期待されるのであります。
以上がこの法律案の内容の主な点であります。右に述べました理由によりましてこの法律案を早急に制定する必要があるのでありますので、どうぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/3
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004・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 次について提案者から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/4
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005・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) それで本法案の重要な点につきまして、逐條的にその概要を御説明いたします。
第一條は、この法律の目的でありまして、「この法律は、港湾運送に関する秩序の確立及び港湾運送事業における公正な競争の確保を図るとともに、港湾運送の施設の改善に資することを目的とする。」ものであります。只今提案の理由に説明いたしました通り、秩序の確立は登録制により、公正な競争の確保のために運賃料金を定めまして、港湾運送の施設の改善に資するために財団抵当制度を決定いたしておりますが、只今申したような目的をこの法律は持つておるのでございます。次は定義でございます。この法律におきまして港湾運送とは、他人の需要に応じて、港湾におきまして海上運送に直接に接続して行う行為であります。次に、一、二、三、四と区別をいたすのでありまするが、他人の需要に応ずるのでありまして、自家運送の場合は除いております。又港湾においてでありまして、港湾とは次の三項に規定しておりまするが、関税法に規定いたしておりまする開港でありまして、政会で指定するものであります。現在関税法で開港となつておりますものは、数が五十大ぐらいあるのでありますが、大体政令におきましては、四十四、五になるのではないかと考えられます。申しますのは、この法律が考えておりまする開港は、国家的、経済的に見まして、重大なものを拾い上げたい。即ち言葉を換えて申しますると、地方的なものは外して行こう、こういう考えでございます。海上運送に直接に接続して行う行為でございまして、これはこの据孤にもございます通り、日本国有鉄道の経営する航路の船舶による海上運送を除いております。これは通運事業法におきまして、これは通運事業になつておりますので、この場合からは除いております。そこでどういう行為を指すかと申しますると、「自己の名をもつてする船舶により運送された貨物の船舶からの受取又は船舶により運送されるべき貨物の船舶への引渡」、これは自己の名を以てするのでありまして、委託或いは代理という形をとりまして、自分の名を以ていたすことを要件といたしております。これは陸から船に、船から陸に、一つの一貫いたしました連絡の仕事を考えられるわけでございます。その次は「船舶への貨物の積込又は船舶からの貨物の取卸」、これはいわゆる船内の荷役事業と申します仕事でございます。その次には「船舶により輸送された貨物又は船舶により運透されるべき貨物のはしけによる運ぱん」、一般にはしけ運送と言われておるのでありまして、その次は「船舶により運送された貨物の上屋その他の荷さばき場へのはん入若しくははしけからの取卸、船舶により連送されるべき貨物の荷さばき場からのはん出若しくははしけへの積込又はこれらの貨物の荷さばき場における保管」、いわゆるこれは転換荷役と称せられるものでございます。次は港湾運送事業とは、「港湾運送を行う事業をいう。」、これは只今申上げました船内荷役事業、はしけ運送事業、沿岸荷役事業、前に申しました一号から四号までの全部をやりますものに対しまして、一般港湾運送事業、こう申すのであります。そこで次は登録でございますが、海湾運送事業を営もうとするものは、これは第四條でございます。港湾ごとに事業の種別について運輸大臣の登録を受けなければならないことといたしました。これは港湾ごとにいたすのであらまして、なおその四つの事業の種別について、おのおの登録を受けなければならないのであります。次は第七條でございまするが、悪質又は不適格な事業者を排斥いたしまするために、運輸大臣は登録の申請者が港湾運送のために必要な労働者及び仕事を有しないで、ブローカー的な、いわゆる労働ボス的なもの、これを排除いたします。それからこの法律又は職業安定法第四十四條、即ち職業安定法におきまする労働者の供給事業は、御承知のように公共職業安定所か、許可を受けた労働組合ということになつておるのでありまするが、それに関して反したものがありまする場合におきましては、その登録を拒否しなければならない、ここに登録の制限があるわけでございます。次に、運賃料金の問題でございまするが、これは九條以下にあるわけでございます。合理的な運賃料金制度を確立いたしまして、公正な競争と利用者の利益を保護いたしますために、一つの運賃料金制度を考えておるであります。それはいわゆる認可制度ではないのでございまして、各車業者は運賃料金融自分で立てまして、これを実施しようといたしまする日の三十日前までに運輸大臣に届出で、且つ営業所において一般に見やすいように掲示いたします。そこで利害関係人は、これは荷主であるとか、同業者であるとか、或いは船会社であるとか、こういうものを指すのでありますが、その運賃及び料金を不当と認めた場合におきましては、この三十日間に運輸大臣に対して異議の申立をすることができる。そこで運輸大臣が異議の申立てがありましたときには、その運賃及び料金の実施の変更を命ずることができます。この場合におきまして、運輸大臣は当該港湾で運輸審議会の開催する公聴会におきまして、関係人に十分の陳述の機会を与えた後に、その運賃料を変更すべきであると決定いたしました場合においては、又運賃料金が不当であると認めた場合には、その変更を命ずることができることといたしております。そこでこういう手続で実施することができるようになりました運賃及び料金というものは、これを厳格に遵守しなければならないということになつております。即ち運賃の定額制の遵守ということを規定したのでございます。次は港湾運送の約款でありますがが、この事業は、はしけや或いは船内荷役というふうな仕事は非常に単純な一つの請負でございまするが、一般港湾運送事業になりますると、相当にその入手その他輸送計画等にも影響がございまするので、ここに利者用の正当な利益を保護し、港湾運送の公正且つ円滑な遂行に資するために、今料金で申上げましたと同じような手続によりまして、港湾運送約款制度を実施することにいたしたのでございます。これは通運約款或いは自動車約款或いは倉庫業者の倉庫営業規則というものと同様と御了解願つて然るべきかと存じます。その次は十三條におきまして、引渡不能貨物の寄託でございます。勿論商法にも荷受人のはつきりしないときには、供託する規定があるのであります。併しながら御承知のように、港湾荷役の上屋或いは荷さばき場は常に荷動きがあるのでありまして、常にこれをクリーアにして置かなければならないという理由もございまして、商法上の供託ということでなく、もつと簡単な制度といたしまして、一般運送事業者は、その責に帰すべからざる事由によつて貨物の引渡しをすることができないときは、荷受人の費用でこれを倉庫業者に寄託することができることといたしたのであります。その次は名義貸の禁止でございます。これは第十四條、港湾運送事業者の名義貸、これはこの登録制度を実施いたしまする以上、名義貸ができるということは、その意味をなしませんので、これを禁止いたしております。又十六條では、全部下請を禁止いたしております。これも何にも仕事をしないで下請するということは、全くブローカーを認めるということ、併しこの四つの中のどれかをすればよろしいのであります、何か一つをやればいいということになつております。次は十五條の差別的取扱いを禁止する。これは御免明までもないと存をます。その次は事業の相続、合併及び譲渡の問題でございますが、これは十八條、十九條、事業の相続、合併、譲渡がある場合におきましては、その登録は継承されることといたしました。
その次は、港湾運送事業財団の問題でございまするが、御承知のように、民法におきましての不動産の抵当制度でございまするが、港湾運送事業は非常にたくさんの動産を持つております。殊にはしけであるとか、或いは引船等におきましては、船舶法上の、いわゆる登録されておらないものに属しまする関係上、今日まで非常に金融面におきまして、この事業が阻害されておつたのであります。一つの事業といたしまして、これを把握するという意味もありまして、すでに従来鉄道の抵当法、軌道抵当法或いは工場抵当法であるとか、或いは漁業抵当法、そういうものの抵当を認められておりますと同様の意味におきまして、港湾抵当財団をここに設定しようとするのでありまするが、これは大体工場抵当法に準じておるのでございます。その事業施設の全部又は一部を以て財団を設定することができることといたしたのであります。手続は工場財団に関する規定を準用いたしております。
以上極く簡単にこの法案の内容を御説明いたしました。あとは罰則でございまして、従来同程度の問題につきましては、刑罰の裁量を考慮いたして決定いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/5
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006・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは專門員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/6
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007・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) この法案は、実は本月の二日頃から案を拝見しておりまして、OKがひどく遅れたために今日に至つておるのでございますけれども、不審査は十分に遂げて参つておつたのでございます。従いまして、その結論を申上げますと、この法律そのものは極めてよくできておると考えられます。非常に世界にも珍らしい港湾の規律を定めた法案でございますが、よくできておると考えられますが、政策的な方面からいろいろ判断いたしまして、通運事業法と比較すると非常にわかりやすく考えられるのでありますが、従来この通運と港運との間にひどい格差がございまして、港運が……通運が自由放任されておりましたために、通運を相手としていろいろな請願なり、陳情なりが国会にも参つておりましたし、又一方的に悲鳴を至るところであげておるというような状況もございましたが、今回この法律の制定によりまして、通運は免許であり、港津は登録でありまするけれども、通運のほうは免許基準を定めて運輸大臣が免許することになつておりまするし、港運のほうも一定の欠格條件を挙げまして、登録ができることになつておりまして、実質的の方面から見ると、大体余り違いはないような制度と考えられます。但し飽くまで建前としましては、通運のほうは免許事業であり、この港運のほうは営業自由の原則を貫いておるものと考えられます。従いまして、公益性に対する考え方も通運と違い、余ほどこのほうが稀薄になつておりますから、財団等の関係におきましても、そういう点が多少……抵当財団につきましても、多少そいう点を反映しておるように考えられます。又運賃料金及び通運約款につきましても、陸運と比較しまして殆んど似たり寄つたりの手続を経まして定めることになつておりまして、従来通運と陸運との間において著しく違つた立場がここに顯著に改善せられるということ、又港湾業者間の不当な競争が、ここに秩序が立つことによつて調整されて行くと、こういう港湾業者間及び陸運等との関係におきまして、相当合理的な競争が行われるということになりまするので、利用者側から考えましても、むしろ相当改善されて行くものだろうと考えられます。
次に抵当財団につきましては、これはこの抵当財団につきましては、古谷専門員が最もその道の権威者でありまするから、御質問がありますならば、後刻にお願いすることにいたしまして、私の見ますところでは、何分海上のはしけ等が対象になりますために、多少担保力の薄弱なところがございますが、工場財産におきましては、機械の極めて簡単に稼動できるものもありまするが、本質的には動産である以上、余り違わないというように考えますが、併しその運用に当りましては、極力抵当財団制度の劾果を発揮するために、政府の指導が親切に行わるべきであろうと考えられます。そうしてこの担保力の確保増大について、本法第一條に基くところの目的を達成するように、運用上十分政府は考えるべきであるということを痛感しておるのであります。
最後に、この港湾運送事業に対する行政監督等につきまして、従来いろいろの問題がときどき、起つておりますが、本法は第三十三條におきまして、運輸大臣が港湾管理者に対し、必要なる事項について通知せしめることにいたしております。通知の義務を負わしております。この條項によりまして、管理者方面、主として市町村が主体になりまするが、そういう方面に必要なる材料は、この運輸大臣に対する通知義務によつて規定することによつて解決するものと、一応私は判断いたした次第でございます。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/7
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008・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/8
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009・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて……。次に質問に移りたいと思います。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/9
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010・小泉秀吉
○小泉秀吉君 第九條の第二項でございますね、これは今までこの何で見ると、ちよつと利害関係人は前項の規定によつて云々ということが書いてありますが、この利害関係人というのは主観的に利害関係人なんですか、客観的に利害関係人というものがきまり得るのですか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/10
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011・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) これはまあ客観的な利害関係人というものがきまるというふうに我々考えております。最初は考えぬ方としましては、実はこの利害関係人の範囲を運輸大臣がきめようというふうなことも我々考えたのでありまするが、そういうことでなく、いやしくもこれに利害関係を有すると認められるものにつきましては、そうした異議の申立をできる機会を与えるほうがよろしいのではないかというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/11
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012・小泉秀吉
○小泉秀吉君 そうしますと、結局各個人或いは各企業者がみずから自分が利害関係人だと認識すれば、そのものはこの第九條によつて、この問題に容壊する権利が自然に発生すると了解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/12
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013・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 全く路傍の者が利害関係人ということはどうかと思うのでありますが、いやしくも取引関係にあるものならば、或いは仕事の面におきまして、同業の間といつたようなものは利害関係人と認められると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/13
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014・小泉秀吉
○小泉秀吉君 いやしくも路傍の人、そういう人は来ないだろうと思います。けれども、これがいわゆる利害関係人だということの認定をする基準もどこにもなければ、やはり利害関係人と心得ている者はその中に包含するように思うのです。何か政令なり、省令なりでそういうようなものをきめるというなら、そのきめる基準は法律のどこにあることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/14
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015・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 全くお説の通りなんであります。ただ本法につきましては、利害関係人というものの定義をいたしておりません。従いまして、ときに故意に運賃料金、いわゆる運賃料金破りというようなものも予想されるわけでございます。そうした場合には運輸大臣は異議の申立があつても、それを取上げる必要はないのでありまして、まあそういう面で制約をして行くより仕方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/15
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016・村上義一
○村上義一君 只今提案者なり、専門員からの御説明を伺いまして、大体了承いたしたのでありますが、二、三質問をいたしたいと思うのであります。
先ず第一点は、四條におきまして、登録制を認めておられ、認可制と観念的には異なると思うのであります。実質は殆んど同一だと思うのであります。勿論この認可制と登録制の間には、専門員の説明せられたごとく、自由主義の香りが相当強いということはわかるのでありますが、ちよつと本法において他の同様な法律と趣きを異にして、認可制を排除して登録制を採用せられた理由を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/16
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017・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 仰せの通り実質におきましては、いわゆる許可制と認可制と結果は同じになると思うのでございまするが、御案内のように一定の要件を特つておりますれば、必らず登録される従来のいわゆる自由裁量の余地が相当ありまする免許制度と趣きを異にいたしておるのでございます。まあ言葉を換えて申しますれば、行政官庁といたしまして、この法規にありまする範囲、即ち法規裁量をさせようといたしておるのでありまして、実はこれにつきましては、海上運送の検収入であるとか、或いは検定人、建築業法の建築業は同じように登録制をやつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/17
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018・岡本忠雄
○専門員(岡本忠雄君) 只今の御説明にもう少し加え、私どもの見ましたところで判断しますと、この港湾運送のほうは公益性がそう強くない、こういう思想的な現われだろうと、こう判断しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/18
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019・村上義一
○村上義一君 登録制によりますと、今お説の通り、條件に当てはまれば登録を運輸大臣はせんければならんということになると、今一つの港と荷扱いはしけがあればいいとか、或いは現在の荷扱いの人的要素或いは機械的要素が成る一定の限度で大体いいという場合でも、ここに更に第三者が條件を備えて登録を届出をして来れば、登録をせんければならん、これは全くその自由に一任すると、こういう思想であるのじやないかと思うのでありますが、立法者の御意見はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/19
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020・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) お説の通り考えておるのでございます。実はこの制度にアメリカのICCの制度もこれをとつておつて、大体業界はこれによりまして、或る程度の秩序を保たれておるのでございます。実はこういうふうな大きな面におきましての登録制を採用するということに対しましては、我々も或る点までは了解されるのでありますが、なかなかそこまでの決心もつきかねておつたのでございまするが、関係方面等と打合せました結果、この制度でやつて行こう、又アメリカにおいても前例があるということで確信を得たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/20
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021・村上義一
○村上義一君 次にお伺いしたいのは運賃の問題でありますが、第九條で定額制をとることになつております。第九條だけ見ましても、運賃は確定額に一定しておるということは明瞭であると思います。更に十五條におきまして、その半面を規制して、貨物の高その他これは一切の理由によつて差別的な取扱いをしてはいかん、いわゆる差別取扱禁止條文がここに設けられております。この九條と十五條と両々相待つて、非常に厳格にこれは規制をするということになるように考えるのであります。例えば船舶或いは荷主から申込の順位に従つて荷役をするというようなことも、この十五條の規定の精神上定められておるのじやないかと思うのでありますが、果してそういうことでありますると、特殊なサービスを荷主なり、船舶に要望することはできないということに相成ると思うのであります。つまり緊急荷役の必要性が如何にあつても、又船のデマレージ関係等、いろいろなそこに理由が起こつてるのじやないかとも思うのでありますが、如何なる場合においても、どうもこれをそういう荷主なり、船舶の要望があつても、これは十五條に書いてありますいわゆる「不当な差別的取扱」ということになるように解釈できるのでありますが、起案者の精神はやはりそういう点にあるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/21
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022・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 十五條にございます通り、この「差別的取扱」と申しましても、これは不当な差別的待遇でありまして、なおこの十五條には別に罰則はないのであります。ほかの法律にも例はありまして、或る意味におきましては、訓示規定とでも申しましようか、不当な差別取扱はやめて行こうというふうにすらりとお考えになつてよろしいのではないかと思います。勿論料金の定額制は厳守いたさなければならないのでございますが、料金と申しましても、非常に複雑と申しますと、ちよつと語弊がありまするが、相当細かく料金というものが決定される思いまして、いろいろな場合におきまして、賦課料金ということも考えて行くようにしないと、実際の運用は困難だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/22
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023・村上義一
○村上義一君 登録の届出に際しまして、成る條件を、サービスの條件を、明示して、こういう條件を要望されてそれに応ずるという場合にはこういう割増を受ける、或いは又こういう港湾業者の條件を荷主がよろしいと応諾した場合には、こういうリベートをする、或いは割引をするとか、こういつたような届出があつた場合に、言換えれば相当幅広い運賃制度を属出た場合に運輸大臣は登録をする、いわゆる登録をするというこれは趣旨でありまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/23
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024・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) お説の通りに、実は私立案者としては考えているのでありまして、どこまでもそれが不当な料金制度であつてはならないと考えまするが、一般に行われておりまする割増賃金であるとか、或いはサービスの内容によつてその料金の額を変えるということはあり得ることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/24
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025・村上義一
○村上義一君 只今十五條の差別取扱禁止の條文が一種の訓示的の條文だという御説明がありましたので、内容は頗る明瞭になると思うのであります。ただ私質問した趣旨は、全く画一的な賃率をきめて、その通り実行するということは現実に即しないということを憂えて実はお尋ねした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/25
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026・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 私訓令的な規定だと申しましたが、勿論この二十二條によりまして、非常に不当ならば、まはり事業の停止とか、登録の取消処分というものは、これでもできないことはない、これだけ申添えて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/26
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027・村上義一
○村上義一君 この財団抵当関係のところでありますが、財団を構成しておる動産はここにはしけとか、引船とか、或いは荷役機械の中にも多分にあると思います。そういつたような動産にもやはり財団を構成するのであります。この場合に民法の即時取得の規定の適用は妨げないのかどうか、つまり言換えますと、財団を構成しております動産につきまして、第三者が平穏且つ公然に善意過失の取得をした、占有した場合に、それは有效であるのかどうか、少しその点に疑義があるように思うのであります。この点についての御見解を向いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/27
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028・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) この場合の民法百九十二條の適用は何ら妨げないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/28
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029・村上義一
○村上義一君 何かそれにつきまして、よりどころがあるのでございましようか。詳しく案を見ておりませんので伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/29
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030・鈴木恭一
○委員外議院(鈴木恭一君) 政府の事務官に御説明いたさせたいと思いますが、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/30
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031・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 政府の説明員のほうから御説明を願いたいという申出であります。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/31
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032・川上親人
○説明員(川上親人君) 只今の御質問にお答えいたします。只今の御質問の点につきましては、工場抵当法或いは漁業抵当法、それから鉱業抵当法、こういつたものについても、実は同じような問題が起るのでございまして、工場抵当法にもその他の財団抵当法についても、民法百九十二條の即時取得の規定が当然に適用になるかどうかについて実は根拠がないのでございます。ただ従来の解釈といたしまして、その点については適用があるということに解釈されているように思われます。で、その場合に、それでは財団の内容と食い違つて来たらどうするかというような問題につきましては、現実の財団設定の契約におきまして、銀行から増し担保或いは代り担保を要求するというふうなシステムにいたしております。その点で現実の問題としては十分に解決が付けられるように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/32
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033・岡田信次
○岡田信次君 今日頂いた資料を見ますと、大体現在港湾運送業を営んでおる者は千九百五十三軒あるわけですが、この法律が実施されたあとに、これより殖えるお見込が、或いは減るお見込かちよつとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/33
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034・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) お話のように、実は戦争中港湾運送業等統制令の頃には百二十五しかなかつたのです。これがこの戦争後野放しの状態になりましたために、まあ千五百、千五百以上にもなつておるような状態で、非常にその基礎も薄弱になりまして、殆んど政府で考えておるいわゆる適正な業者というものは、横浜のごときは三〇%もないというふうなのでございまして、この法律が動き出すことによつて相当数、この数よりも減ずるであろうという見方でございます。相当整理しなければならないのではないか、或いは整理ということが実は多少語弊があるのでありまするが、或いは合併するとか、組合を作るとかというふうな形になつて現われて来ると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/34
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035・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、現在の港湾運送業者の中には、今度の登録資格に欠けているものも相当あるのですか、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/35
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036・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) この本法におきまして規定しております通り、ブローカー的なものは是非排除しなければならん、相当今ブローカー的なものがあるのであります。電話一本、机一つで港湾運送事業をやつている者があります。これは当然排除されます。その他小さいものは恐らく組合とか、共同してやるとかいうような形になるのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/36
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037・岡田信次
○岡田信次君 もう一つお尋ねいたしたいのですが、大体登録制というようなものは、何と言いますか、自由制度ですね、根本が自由制度であるにもかかわらず、料金運賃に関しては、これを或る程度届出制にして、届出をしなければ認可しないというふうにきめているのは、どういうわけなんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/37
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038・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 先ほども申上げました通り、登録制は自由営業というものを基礎に置いておりますが、実質は許可免許的な効果を発揮しております。と申しますのは、ここにこの三種の要件がございますが、この要件に脱落したものは入つて来ないわけでございまするので、そういうふうな意味においては、むしろ免許制に近い結果が出て来るのではないか、そうしてその料金等につきましても、単なる免許制ではないのでありまして、認可制ではないのでありまして、これはその市場におきまする一般の公定相場と申しまするか、利害関係人によつて、ときに公聴会を開いて公正なものと認めたものが行く、こういう建前を実は登録制という言葉で言い現しております。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/38
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039・村上義一
○村上義一君 もう一点、もう一遍伺いたいのですが、第九條の運賃の規定ですが、この第一項には運賃料金を定めて実施せんとする日の少くとも三十日前までに届出て掲示する、こういうことになつて、二項で利害関係人が不当であると認めたときには、この変更を運送業者に命ずることを請求することができる、この請求を受けたとき、又運輸大臣みずから基準に適合しないと認めたときは、その運賃料金の実施を延期すべきことを命ずる、こういうことに相成つております。で、第四項におきまして、この運賃、料金を変更すべきことを運輸大臣は命じ得る。「但し、第一項の規定による実施の予定の日から三十日を経過したときは、この限りでない。」というこの但し書があるんです。そこでこれはどういうことになりますか。三十日経てば普通の場合はいいんですが、異議があつた場合又は不当と運輸大臣みずから認めた場合は延期を命ずるということと、四項において自体食い違いが生じて来るようにも思えるのですが、一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/39
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040・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) これは一項、二項、三項、四項は、三十日という期限は全部その範囲の仕事になつておるのでございまして、結局最後の但し書で、予定の日から三十日をもう経過してしまつたという場合には、そのまま最初きめました運賃料金が確定されるという意味でございまして、結局この三十日の間にこれだけのことをしなければならない。いわゆる行政官庁を縛つた規定なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/40
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041・村上義一
○村上義一君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/41
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042・岡田信次
○岡田信次君 第一條に目的が書いてありますが、そのおしまいのほうに「港湾運送の施設の改善に資することを目的とする。」とありますが、これは第三章の港湾運送事業抵当に関連しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/42
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043・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) それを一応予定いたしております、主なるものは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/43
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044・村上義一
○村上義一君 なお今の第九條の四項について今一応伺いたいのですが、三十日前までに出す、そうして四項の但し書では「実施の予定の日から三十日を経過したときは、」云々と、こうあるのですが、そうすると、この本文の趣旨は、運賃料金が実施予定の日から三十日経過すれば、もうそれで届出できまるということになると解釈しますが、この三十日の間は、予定の日から三十日という三十日の間は仕事ができないように解釈されるのでございますが、その点如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/44
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045・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 先ほどちよつと私の説明が悪かつたと存じますが、最初その利害関係人が異議の申立をする日から三十日、そうしてその予定日から三十日を経過した後になれば無効になる、都合六十日ということでございます、その間はですね、従前の料金をやつておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/45
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046・村上義一
○村上義一君 現在事業をやつている人の経過規定は、このあとに書いてありますが、新規に営業を開始せんとする場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/46
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047・鈴木恭一
○委員外議員(鈴木恭一君) 新規の人はそのきまるまでですね、三十日間は当然これは予定日でございますから、そうすると、その三十日間の中で十日できまりますか、十五日できまりますか、その間はできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/47
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048・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは質問終了いたしたと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/48
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049・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) さよう決定いたします。
それでは討論に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/49
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050・小泉秀吉
○小泉秀吉君 私は本案に賛成するものであります。第一は、特に目下の日本の海運状勢は非常に逼迫しておりまして、外航船腹の増強というような問題が、本国会においても非常に重大な問題として取上げられておる一方、この船と陸の間を繋ぐ海上小運送に対しては、殆んど只今のところいわゆる自由放任であつて、国家としても何らそれに対しての施設の改善或いはその荷役力の増強というようなことに対して手が出なかつたような現状でありますが、若しこの本案が実施されることになりますると、港湾運送事業の抵当権というようなものが設定され、従つて港湾事業者のさまざまの施設或いははしけというようなものが抵当物の対象になる関係から、そういう港湾荷役の増強をするのに、資金の留用というようなものにも相当大きなプラスの面が働いて来るということが予想されますので、非常にその点においても私は結構であろう。それからもう一つは、この第一條の第一に、不当競争を排撃して、そうしてこうした事業の秩序を確立した公正な競争というようなものが予想されておりまするので、これはやはりこういう事業において相当施設を持ち、資産を持ち、又その能力のあるという信用のでき得るような事業家を保護し、又優遇する意味においても、非常に本法案の制定によつて海運産業に対する増強の補助になるというようなことが考えられますので、そういう意味において、又特にこういう事業に従事しておるいわゆる労働者、この労働者がまだ現在のような余りに放任された競争の間にあつては、絶えず生活の安定が脅かされるというのが実情でございますので、港湾荷役の経営者の面において相当秩序が確立して、そして信用のある事業ができるというようなことになれば、それに応じた労働者の生活或いは事業というものに対しての意慾も発揮され、又安定もするというような見地において、私は本案に賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/50
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051・高木正夫
○高木正夫君 私も本案には賛成の一人であります。御承知の通りに、陸上においては相当早くから規制されておりましたが、海運の運送におきましては、戦時中の統制から一遍に自由放任主義にやつておつたように思うのであります。併しながら一方は公衆の利便という立場からと、同時に又考えなければならんことは、企業の健全性ということだろうと思うのでありまして、どうしても先ほど小泉委員の言われました通り、保護助成をする上におきましては、相当のやはり規制が必要になつて来ると思うのでありまするが、先ほど申上げました通りに、海の上におきましては、長い間自由放任主義でありましたものを、一時に陸上のような厳格な規制をするということは、あまりかんばしくないようにも思うわけでありまして、本案全体を考えて見ますると、その趣旨がよく含まれているように思うのであります。この点において、本案の趣旨は大変結構であると思うのであります。ただ希望條件といたしまして申上げて置きたいと思いまするのは、現在の業者の人をできるだけ一つ運用の方面におきまして生かして頂きたい、例えば欠格の場合におきましても、或る程度、あらかじめ設備なり、従事員なりの充実を計るように示唆を与えて頂きまして、できるだけ既存業着を保護するというような運営の仕方をやつて頂きたい。希望條件を申上げて本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/51
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052・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 討論は終了したものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/52
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053・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 御異議ないものと認めます。
それでは採決に入ります。本案に賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/53
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054・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 全会一致と認めます。
爾後の手続きは慣例によりまして、委員長に御一任願いたいと思います。例により多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
岡田 信次 小泉 秀吉
高田 寛 山縣 勝見
内村 清次 高木 正夫
前田 穰 村上 義一
鈴木 清一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/54
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055・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/55
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056・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて……。次に、航空事業に関する件を議題に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/56
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057・高田寛
○高田寛君 我が国の民間航空が再開されようとしておる際に、これに必要な飛行場の施設の進行模様については、数回に亘つて当委員会で、運輸大臣初め次官や航空長長官からいろいろ御説明を伺つたのですが、それによりますと、民間航空を開くための施設の費用は大体十四億要る。併しできるだけ現在の軍用のものを使わせてもらうとしても、差当り最小限度約三億円要るという御説明を伺つたのですが、併しこれの予算的措置としては、二十六年度予算にも何ら計上されていない、このままでは折角国民が待望する民間航空も、いつ再開されるかわからない状態にあることは誠に遺憾に思つております。一面又民間においても航空関係の会社の設立の機運も高まつておるのでありますが、要はこの飛行場の航空のための施設ができなければ、全然これは実現を見ないので、国民の待望に副うために、是非ともできるだけ早く飛行場なり、或いは航空保安の関係の施設を充実するように、政府に予算的措置をとるようなことを、当委員会として決議を以て要望いたしたいと思うのであります。それで私はこういう決議を本委員会においてして頂きたいということを提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/57
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058・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと議事の進行について申上げますが、あと十分いたしますると、採決があるので、直ぐ本会議場に入つて欲しいということでありました。そこで只今の高田委員のほうからの決議を作る動議が出ましたのですが、それに対しまして賛否の御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/58
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059・前田穰
○前田穰君 今の高田君の提案に賛成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/59
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060・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではさように取計らいたいと思いますが、原案の準備ができておられますのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/60
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061・高田寛
○高田寛君 今趣旨は私説明いたしたのでありますが、その決議の案文はまだ用意しておりません。その趣旨だけを御決定置き願つて、案文のほうは一つ委員長に御一任いたしたいと思います。それで私の希望といたしましては、決議が若し御賛成を願えたならば、委員長が一つこの決議を携えて政府当局に早急に御交渉願いたいと、そういう希望を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/61
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062・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) さように取計らいましてよろしいでありましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/62
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063・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではさように決定いたします。これにつきましては、専門員のほうに案文の早案が……、早案の程度でありますが、できておりますが、なお各理事のかたと一緒によく練りたいと思います。なおこれは委員長に御一任願います。それでは速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/63
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064・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて……。それでは本日はこれに散会いたします。
午後三時四十一分散会
出席者は左の通り。
委員長 植竹 春彦君
理事
岡田 信次君
小泉 秀吉君
高田 寛君
委員
山縣 勝見君
内村 清次君
高木 正夫君
前田 穰君
村上 義一君
鈴木 清一君
委員外議員
鈴木 恭一君
政府委員
運輸省港湾局長 黒田 靜夫君
運輸省海運局長 岡田 修一君
航空庁長官 松雄 靜磨君
事務局側
常任委員会專門
員 岡本 忠雄君
常任委員会專門
員 古谷 善亮君
説明員
運輸省港湾局港
政課勤務 川上 親人君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01419510330/64
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