1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月三十一日(土曜日)
午後四時七分開会
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本日の会議に付した事件
○船舶職員法案(内閣提出)
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001・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) これより運輸委員会を開会いたします。船舶職員法案の御審議を願います。前回におきまして質疑が中途で打切られておりまするので質疑を続行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/1
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002・小泉秀吉
○小泉秀吉君 この前質問が殆んど済んだのですが、二、三の事項で重要な点を質問したい点がありますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/2
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003・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) どうぞ御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/3
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004・小泉秀吉
○小泉秀吉君 第一の質問は、法案の九條の三項に、「海上保安庁長官は、前項の申請があつた場合には、運輸省令で定めるところにより、免許の更新のために必要な範囲において試験を行う。」こういうようにありますが、私はこれは本来からいうと、やはり法律に規定するほど重要なものであると思いませんので、運輸省令できめるその必要の範囲における試験というものを少し具体的にお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/4
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005・松平直一
○説明員(松平直一君) この問題につきましてはお手許に差上げました資料の十五頁に掲げてございますが、念のためここで御説明申上げます。免許の更新のための試験の内容は体格検査及び学術試験でございますが、これは一般の試験と異なりまして、免許の更新のために必要な範囲の最小限度にとどめておるわけでございます。で身体検査は精神又は身体に著しい欠陷があるものであつて、船舶職員の職務を行うに不適当なものであるかどうかを審査いたします。その審査に当りましても具体的な事例に即応し、諸種事情を考慮いたしまして、決定し、まあ一定の規準によつて合否を決定するような方法にはよらず、相当幅のある処置をいたしたいと思つております。それから学術試験のほうは五年の有効期間の間に航海技術その他一般の技術が進歩いたしまして、新らしい知識を必要とする場合、これらの新らしい條約とか、法規とか、技術の進歩に即応した知識を保有しておるかどうかを判定するために行うものでございまして、普通資格を取るときの試験とは全くその意味を異にしておるわけでございます。でなお免許の更新の申請は、申請前三年間に船舶に乗組んだ経歴を有しておるものはこういう新らしい知識を当然持つておると認められますし、又こういう知識を当然保有しておると認められる職にあるものには、この学術試験を免除をいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/5
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006・小泉秀吉
○小泉秀吉君 只今の御説明で当然そういう知識を保有すると認められる者というものは、例えばこの関係業務の船会社で勤めておるとか、或いは審判官をやつておるとか、保安庁のそうした方面の船に乗つておつたというような人、或いは陸上でそういう仕事をしておつたというような人も含むものと了解してよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/6
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007・松平直一
○説明員(松平直一君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/7
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008・小泉秀吉
○小泉秀吉君 次にこの附則に関係するのですが、商船大学その他いわゆる認定学校の卒業者の乗船履歴というものがどういうふうな計算になるのか、その点についてはつきりしたお見通しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/8
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009・松平直一
○説明員(松平直一君) 現行法におきましては第五條三項の規定によつて認定される学校の卒業者に対して、一定の乗船履歴を持つておりますれば、学術試験を免除をしてその資格を與えておつたわけでございますが、今度の法律で全部学術試験をいたすことになりましたので、学校の卒業者に対しましては、まあ特別の措置を講じたいとこう思つております。即ち商船大学卒業者に対しましては、甲種二等航海士、甲種二等機関士の資格について試験を受ける場合は、一般乗船履歴四年に対しまして、この商船大学卒業者のほうの乗船期間は四倍に計上しております。それから商船高等学校卒業者に対しましては、同じく甲の場合でございますが、二倍に計算をいたしております。それからなお甲より下級の乙種一等航海士或いは機関士についての受験をつける道を開き、この受験の場合に対しましては、商船大学卒業者に対しましては、一般乗船履歴四年に対し八倍に計算をいたし、商船高等学校卒業者に対しましては、今の乙一の場合でございますが、四倍に計算をいたしたいとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/9
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010・小泉秀吉
○小泉秀吉君 その他いろいろやはり今仰せになつたような学校以外にもそれと同様の、例えば水産大学とかというようなところもありますが、そういうようなものは今の仰せになつたような大体の基準でおきめになるという意向と了承してよろしゆうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/10
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011・松平直一
○説明員(松平直一君) そういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/11
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012・小泉秀吉
○小泉秀吉君 それから只今のこのいわゆる乗船履歴というものについて、この船舶職員法改正に伴う参考資料という政府から御提出になつたもののなかに、乗船履歴新旧対照表というものがありますが、この対照表にあるいわゆる改正法というところに規定してある、随分これは広汎に数字だけを並べてありますが、いわゆる履歴の規定というものは、この対照表そのままが省令できめられるものだと私は思うんだが、そういうように了解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/12
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013・松平直一
○説明員(松平直一君) このお手許に差上げました資料の通りにやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/13
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014・小泉秀吉
○小泉秀吉君 最後にもう一つ伺いたいのですが、それは第十九條の関連事項になるのじやないかと思うのですが、遠洋漁船もそうですが、その他将来起り得ることも考えられるが、船団航行する場合ですね、そういう場合に船舶職員の資格及び員数を軽減してもよいように船団の性質と形態では考えておりますのですが、そういう場合には政府はそういう船団航行の場合どういうふうな乗組員その他の資格をおきめになるおつもりか。この法案だけで見ると、ちよつとその点がはつきりしてないようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/14
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015・松平直一
○説明員(松平直一君) お説の通り船団航行の場合も実は考えております。それで船団航行の場合は、母船に続いて航行いたしますので、母船に十分な船舶職員が乗組んでおりますれば、母船とそれに附随する船舶との間に十分緊密な連絡が保たれる限りは、その随行して行くほうの船には船舶職員の資格及び定員を或る程度軽減しても差支えないとこう考えております。それで十九條とおつしやいましたけれども、私どものほうでも十九條の三号というものでこれを賄つて行きたいと、こう考えております。即ち母船と他の船舶との間に十分指揮その他連絡を保つことができるような通信装置とか、或いはその他の装置を備えておるかどうかということで、この問題をきめて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/15
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016・小泉秀吉
○小泉秀吉君 私の質問はこれで全部終了しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/16
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017・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/17
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018・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 速記を開始して下さい。
これにて質問は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/18
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019・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) さよう決定いたしました。
それでは討論に入ります。賛否をあらかじめ明らかにした上で討論を願います。又修正の御意見もあるようでありますから併せてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/19
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020・小泉秀吉
○小泉秀吉君 私はこの法文は大体今までの船舶職員法というものが非常に古いものをときどきその都度訂正、或いは変更してそのまま継続しておる。今回船舶の航行安全を目的としてこの法案が提案されたその経緯に鑑みて誠に結構である。又全面的に賛成をしたいと思うのですが、私どもの考えから言うと、これは相当法文等に上ぼすべきものが運輸省令に譲つておるという点が余りに多いので、そういう見解についてもう少しはつきりすべきであるというので、特にいろいろな質問などを申したわけでありますけれども、大体私の申上げたことは今までの質問で、ほぼ政府の法律に規定すべきものを省令に讓つたというようなことの御苦心もあるようでありますから、現在はそれでよいといたしまして、更にこの條文の改正その他においてでも、相当このまま鵜呑みにできないというようなこともありますので相当大きな修正を要しておりまするし、この修正を一つ動議として提出したいと思います。
で修正案に対しては私と、同僚仁田委員との共同提案ということで私が御説明を申上げたいと思います。これを御諮り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/20
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021・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 只今小泉委員から修正のお話がありましたのですが、配布せられました修正案は非常に字数の多い部厚なものでありますがために、配布したこの修正案を朗読を省略いたしまして、これをこのまま速記に掲載することにして議事を進めては如何でありましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/21
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022・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ではさよう決定いたします。
それで朗読は省きますのですが、この修正案につきまして更に小泉委員から御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/22
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023・小泉秀吉
○小泉秀吉君 修正を提案する理由をできるだけ簡潔にまとめて開陳して是非御賛同を得たいと思います。
第一はこの免許についてであります。原案の第五條の第二項の規定によりますると、船舶の機関の種類につきまして免許を限定する必要がある場合に、国家試験に合格したものに対して、その免許の効力を行政処分によつて一方的に制限をすることとなつておりまするが、これが私どもは適当でないと存じます。こういう場合に限定せられた資格について試験を行うそれ相当の免許をなすべきであると信じますがゆえに、これを明らかにするために実施に関する第十二條及び試験資格に関する第十四條を修正する必要があると思います。さように取計らつて頂きたいと思います。
それから第二は、免許の取消し等船員に対する行政処分につきまして、原案の第十條によりますると、単に行政官庁のみの判断によつて行なわれることとなつておりまするが、行政処分はできるだけ愼重な手続によるべきであります。海上保安審議会の制度が幸いにあるのでありますから、その意見を聞き、その意見を尊重してなすべきものと信じますので、よつてその旨を同條に第二項を加えて明確にしたわけでございます。
第三は、国家試験及びその試験資格の基準等は法律に明記すべき性質であると存じまするが、その点が法律に記載してない。尤もそれは実に複雑でありまするから、技術上は法文の中に成案とすることはやや困難であるかとも存じますが、でこれを省令に讓つた場合に、少くとも試験の実施に関しましても、これらの重要事項につきましては、海上保安審議会の意見を聞くのが妥当であるというのが、私どもの見解でありまして、それで原案第十二條以下、この点に関して明文を欠いておりまするから、第十四條の中にこれに関しまして新たな條項を加えましたのがやはり第十五條と改めましたようなわけでございます。
第四には、船舶職員として船舶に乗込ますべきものの資格についての原案第十七條、船舶職員の業務を行ない得るものを規定する原案第二十條は、いずれも船舶の機関の種類を限定した場合の規定を欠いております。それぞれ第三項といたしまして追加明記する必要がある。又これに関連しまして罰則についても原案第三十條に所要の修正を要するという見地でさように取計つたわけでございます。
更に第五に、原案の第二十三條は船舶所有者に対して船内に船舶職員名簿の掲示を命じ、その違反者を第三十二條によりまして処罰をするように案がなつておりまするが、これと同様なことが船員法においては船長に対し船員名簿の備え付けを命じておりまするので、更に同様の名簿の備え付けば不必要であり、又いろいろ思わない故障の起きることも予想されますので、第二十三條はむしろ削除すべきであるという信念に基いて、これを削除した次第でございます。
第六に、本法適用の特例につきまして、原案の附則第二項は本法制定の要点の一つである新らしい資格定員の制度の実施でありまするが、ここに約三年の準備期間を限定しておるのであります。準備期間の処置は、飽くまで経過的処置の性質を持つものでありまするから、普通の立法の例のごとくに修正するのがむしろ妥当であると認めまして、本項及び関係別表の修正をする必要が考えられまして、お手許に差上げたような順序を変えたわけでございます。
第七には、以上六点の修正に関連いたしまして罰則の整理、字句の整理、條文の整理などを要すると共に、附則第六項の水先法の改正中に今申上げました修正に関する事項につきまして修正を要する次第でございまして、お手許に差上げたようなことになつておるのであります。
更に第八には、附則中の経過規定につきましてでありますが、その第一は原案では小型船舶に対する船舶職員制度の採用につきまして、総トン数二十トン未満の帆船、漁船などにつきましても適用をすることとして、国家試験を課するようになつておりまするが、船員の素質向上を企図することは誠に適切なことでありまするが、資格試験につきまして全面的に適用いたしますことは、必ずしも現状に即しない憾みがあり、即ちなお相当の準備期間を要するものと信ずるばかりでなく、この点に関しましては特に水産委員会から漁船に関するこの種の規定に対しての申入れもございましたので、その点を尊重いたしまして一定の條件の下に試験を免除する特例を設ける必要があるといたしまして、第九條の次に新たに特例の規定を加えるべきであるとしたのでございます。
更に経過規定の第二は、原案の第十項によりますと、海事関係の学校の卒業者の試験につきまして、学術試験を免除する場合が狭きに失するものと考える。即ち現在の船員の需給状態等をも十分考慮いたしまして、現状に適応するように原案を修正する必要があると信じまして、かように修正案を作成した次第であります。
簡単でございますが、この修正案に対する私どもの理由を申述べた次第でございます。是非御賛成を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/23
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024・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 他に討論の御発言はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/24
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025・高田寛
○高田寛君 私は只今小泉委員から提案されましたこの修正案に賛成いたします。これは小泉委員が専門的見地からいろいろ御検討された修正案であり、又実情に即した修正であると思いますので、賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/25
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026・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それでは討論を終了したことに認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/26
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027・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) ではさように認めます。
ついては採決に入ります。先ず小泉委員から提出になりました修正案について賛成のかたは挙手をお願いいたします。
〔総長挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/27
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028・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 全会一致であります。それではその残りの部分、本法案全部を問題に供します。本法案の残りの部分全部に対しまして、御賛成のかたは挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/28
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029・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) 全会一致であります。よつて本法案は修正の上全会一致を以て可決せられたことを認めます。
それでは例によりまして事後の手続は委員長にお任せ願いまして、多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
岡田 信次 小泉 秀吉
高田 寛 仁田 竹一
山縣 勝見 村上 義一
前田 穰 松浦 定義
鈴木 清一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/29
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030・植竹春彦
○委員長(植竹春彦君) それではこれを以て散会いたします。
午後四時三十八分散会
出席者は左の通り。
委員長 植竹 春彦君
理事
岡田 信次君
小泉 秀吉君
高田 寛君
委員
仁田 竹一君
山縣 勝見君
内村 清次君
村上 義一君
前田 穰君
松浦 定義君
鈴木 清一君
政府委員
海上保安庁海事
検査部長 松平 直一君
事務局側
常任委員会專門
委員 古谷 善亮君
常任委員会專門
員 岡本 忠雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101013830X01519510331/30
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