1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月十六日(水曜日)
午後一時三十四分開会
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本日の会議に付した事件
○信用金庫法案(衆議院提出)
○信用金庫法施行法案(衆議院提出)
○重要輸入物資に対する国内金融問題
に関する件
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001・小串清一
○委員長(小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。
信用金庫法案並びに信用金庫法施行法案についての質疑を開始いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/1
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002・松永義雄
○松永義雄君 先ず衆議院の法制局のかたにお尋ねいたしたいのですが、信用金庫は法人とするという点ですが、これは民法の法人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/2
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003・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) これはこの法律によりまして特別にきめました法人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/3
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004・松永義雄
○松永義雄君 そういたしますと、金庫に対する準用規定が相当あるのですけれども、一体これは営利を目的としておるのですか、そうでないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/4
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005・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、大体実質におきましては普通の銀行なんかと同じに、いわゆる信用機関でございますので、公益的な目的を持つておりまするが、同時に又営利の面が全然ないというようには言えないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/5
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006・松永義雄
○松永義雄君 そこで第一条の協同組織によるという、その協同組織というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/6
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007・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) これは御承知の通り現在でも中小企業等協同組合法によりまする信用組合というのがございまして、これが大体協同組織によつておりまするが、信用金庫は現在ありまするところの信用組合の中から、特別にこの条件に合致するものを信用金庫というようなことにいたしまして法的措置を講ずる。そうして制度的にそれを確立して行く、こういうことで信用金庫が生れたわけでございまして、やはりその精神は受継いでおりまするので、信用金庫におきましても会員組織になつておりまするので、そういう会員相互の協同組織によつて信用金庫を設立するというようなことで、つまり精神的には協同組合法によりまするところの信用組合の精神を受継いで来ておるということを一条で明らかにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/7
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008・松永義雄
○松永義雄君 協同という意味は、営利とはどういう関係になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/8
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009・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 協同組織と申しますると、お互いの会員なり組合員なりが、相互に自分らの利益なり、自分らの組織しようとしておる組合なりの目的を達するために相集まりまして、そうして協同の力によつてそれを推進して行くということが協同ということであろうと思つておりますが。協同組織によりまするからといいまして、営利とは全然離れまして、そういうことはやらないというふうには出て来ないと思つておりまして、協同組織によるからということで営利を排除するという、こういう強い意味は持つていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/9
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010・松永義雄
○松永義雄君 協同組合は曾つて物価統制令の問題でしばしば刑法上の問題になつて来て、協同組織は営利を目的としない、だから物価統制令の適用はないのだというようなことで進んで来たと思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/10
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011・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私が申上げましたのは少し言葉が足りないかも知れませんが、現在協同組合法につきましてもございまするように、相互扶助の精神に基きまして協同して事業を行う、こういうことが根本精神であるということを申上げましたのでございまして、営利と申しまするか、それが主たる目的ではない。又そういう営利に関しますることを全然排除しておるというほど強い意味はないというようなことでございまして、まあ本質的に申上げれば相互扶助の精神に基きまして協同して事業を行うということが中心眼目であることは勿論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/11
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012・松永義雄
○松永義雄君 そうしますと、第一条の規定の信用金庫の性格は、主として営利を目的としたものではない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/12
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013・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さように一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/13
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014・松永義雄
○松永義雄君 そこでこれはもう恐らく前に議論になつたと思うのでありますが、会員以外の者も預金をして、会員以外の者にも貸付をするという規定になつておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/14
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015・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/15
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016・松永義雄
○松永義雄君 それからその持分に対しては決算期には配当してよろしいのですか、悪いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/16
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017・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それはいいことになつております。事業年度の末の資金の状況によりまして、持分の額に応じてきめることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/17
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018・松永義雄
○松永義雄君 そうしますとこの金庫は、内部的にも会員が金を借りて利息を払つて、そうして金庫に剰余金を生ずるということもあり得るのですが、そのほかに会員外から預金をして、そうしてこれを貸付けるということになると、その方法如何によつては非常に利益が挙るということも考えられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/18
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019・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) そういう場合もあり得ると思つておりますが、併しながら建前は会員を大体中心とすることになつておりますので、御承知のこの五十三条、五十四条で金庫及び連合会の事業が書いてございまするが、規定してございまするが、会員以外の者に対しましては一定の条件を加味しておりまして、その預金とか定期積金を担保とした場合に限るということで、その点は制約しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/19
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020・松永義雄
○松永義雄君 この積立金を担保にするということは、会員以外の者は、会員のものを担保にする、こういう意味になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/20
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021・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは五十三条の第一項の第一号におきまして「預金又は定期積金の受入」、こういうことになつておりまして、会員と非会員とを問わず一応預金の受入れは自由にする。そうして二号におきまして「資金の貸付」におきましては、会員以外の者に対するあれを制約いたしております。その貸付に関しては、その預金と申しまするのはその会員外の者の預金、これに限定されることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/21
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022・松永義雄
○松永義雄君 今の説明でわかつたのですが、その預金というのは会員の預金でなくてもよろしいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/22
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023・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 一号で預金とか或いは定期積金の受入ということは、会員の預金、或いは非会員の預金等の受入れをするということで、広汎に受入事業は認めておるのでございます。それから二号におきまして資金の貸付の場合については、原則といたしまして会員についての資金の貸付を建前といたしまして、括弧して書いてございまするように、会員以外の者に対しましてはその会員以外の者が預け入れました預金とか或いは定期積金を担保とする限度においてのみ貸付をする。かようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/23
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024・松永義雄
○松永義雄君 そういたしますと、会員以外の者で預金がたくさんになつて来れば、それによつて見返りにしてそうして会員以外の者にも貸すということがある。こういうことに聞いておいてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/24
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025・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 一応法律上の建前はそういうことになつております。併しそれが会員、非会員の場合全体が、この信用金庫の運用の問題といたしまして考えました場合に適切であるかどうかということは、又多少別個の問題であろうかと考えております。まあ大蔵省の側におきましては、非会員の預金が非常に多くなつた場合において、その限度においてむやみやたらに貸付けるということになりますると、会員のほうを圧迫することになりまするので、そういう運用の面は指導の面においてしないように私は聞き及んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/25
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026・松永義雄
○松永義雄君 そうするとその量に対する制限的規定はこの法文にはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/26
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027・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては実はいろいろ意見もございましたのですが、法律上は一応規定してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/27
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028・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 大蔵省側から補足いたしますが、今問題になつておる規定は、昔から信用組合的には認められておる規定で、員外から預金を受入れる。併しそれは貸付けるほうは組合員にのみ限られる。員外者には貸出さんという原則であるのでありますが、ただその員外者である本人が、自分の預金を担保として貸付けを受けたい。いわば実質上は払戻しといえるものでありますが、ただ払戻しというのは資金が出てしまう。一時的な利用方法として預金担保の貸出しを認める。こういうことになつておるのでありまして、その面から見ますると、その預金の範囲というところでおのずから最高限は抑えられるわけでございます。決して員外者の預金を超えて、組合員の預金にまで貸付けが及んで来るということはあり得ないことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/28
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029・大矢半次郎
○大矢半次郎君 今のことについて念のために伺つておきますが、会員外の者に対する貸付けについては「(会員以外の者に対する貸付については、その預金又は定期積金を担保とする場合に限る。)」これは貸付けを受ける本人が預金しておる場合のみを指すと思うのでありまするが、先ほどの説明によりますると、何か員外者の預金全体を見て、そうしてその範囲内であれば員外の者に資金を貸付けるというような御説明であつたように思いますが、その点をはつきりして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/29
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030・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は私初めから本人のつもりに考えておりました。説明が多少足りなかつたかも知れません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/30
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031・大矢半次郎
○大矢半次郎君 もう一遍それではその点をはつきり説明とて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/31
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032・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 五十三条第一項第二号の資金の貸付けが会員以外の者に対しまして行われまする場合におきましては、第二号の括弧書きの中に書いてございますように、会員以外の者の、その本人個人の預金又は定期積金を担保とする限度において行われる。かようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/32
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033・松永義雄
○松永義雄君 そうすると先ほどからのお話によると、会員の者の預金及び定期積金を担保とする貸付けというものができる、その量については制限がないということになると、この金庫の本質が変つて来るということは、これは予想し得るのですね。そういうことを禁止するわけではないんですね。資金量の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/33
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034・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 員外貸付けと申しますのは、先ほど来御説明があつたように、そり本人の預金を担保とする貸付けでありまして、具体的な例を以て申上げまするならば、ここに一万円の定期預金を持つておる員外者がおる場合に、一万円の範囲内において貸付けをなすわけなんでありまして、その意味において一万円を出るということはあり得ない。従いまして、画然たる限度があるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/34
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035・松永義雄
○松永義雄君 その程度の限度があるということはわかりますけれども、信用金庫がそういつた方面に力を入れて、営利に走りはしないかということを私は聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/35
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036・飯田良一
○説明員(飯田良一君) この制度が認められておりまする趣旨は、これは金庫のみならず、一般の信用組合について同然なのでありますが、若し貸出すどいうことをこれはとらない場合には、預金の払い戻しということ、解約或いは払戻しということになりまして、その金融機関の健全性を維持する上から、そういうふうなことに追込むよりも、むしろその預金を担保として必要のある場合に貸付けるという途を開いたに過ぎないのでありまして、そういう場合が非常に行われるということは現実にあり得ない現状でございます。新法、この法律におきましても同様と存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/36
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037・松永義雄
○松永義雄君 両建ということがよくあるわけですが、預金しておいて金を借りるということは幾らもある。つまりそうすることによつて営利のほうへこの金庫が走つて行つて、その性格が変つて来やしないか。実質的におきましてそれを禁止した規定がここにあるのかないのかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/37
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038・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほど申上げましたように、長い間信用組合につきまして同じような業務を認めておるわけでありますが、両建と申しますのは、資金の貸付けを受けて、それをむしろ一部預金という形で更に受入れるという場合が起るのでありますが、信用組合的な意味で見ておりますのは、むしろ定期預金なら定期預金がありまして、それを何らかの理由によつて資金化したいという場合にのみ……、これは非常に不利になるわけでありますから、その代りに一部所要の資金を貸付けるという意味でありまして、営利の財源としての再建にはならないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/38
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039・松永義雄
○松永義雄君 幾ら質問しても切りがないのですが、定期預金があつて、それを下げだほうが得なんでありますけれども、それでも定期預金を担保にして金を借りる場合がしばしばあるのでありまして、そういうことはその程度にしておいて、結局そういうことが信用金庫をして営利に走らしめる途が開かれて行くということは否定できないと思うのです。法文上できないと思うのです。如何ですか、それを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/39
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040・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用金庫、或いは一般的に申しまして信用組合が資金を成るべく多額に集めまして、それを有利に運用するということは、金融機関として当然考えられることでありますが、その場合の有利といいますのは、いわゆる営利目的による、株主が配当を多くもらうという意味の営利という意味ではないのでございまして、むしろその組合の本旨である預金者保護、或いは中小金融のために信用の基礎を築くという意味の、いわば当然伴つて来る意味……これを有利と先ほど三浦部長が言われておるのでありまして、出資者或いは株式会社の株主が配当を多く取るという意味の営利ではない、こういうふうに考えます。これを現わす意味の規定が法律の五十七条に現われておると思うのでありますが、広く一般の協同組合的なものは、農業協同組合を含めまして、いわゆる出資配当に先立つて利用配当という制度が認められておりまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/40
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041・松永義雄
○松永義雄君 そうしますとこの法文から見ると、会員内で金を預つたり金を貸しておるということは、持分を有しておる会員の利益になるということであつても、会員内の者に対しては利益になつて来ない。こういうふうに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/41
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042・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 今途中で切れましたのですが、その五十七条にあります利用配当と申しますのは、出資者に対する配当ではありませんで、仮に信用金庫、或いは一般の例としまして信用組合が非常に剰余金を生じたという場合に、それをどこに還元するかといいますと、出資者に対して配当をするのはむしろ二の次であつて、むしろ利用分量に応じて配当をする。その利用分量というのは何かといいますと、会員、非会員を問わず、預金を預けた利用度、或いは貸出しを受けた利用度によつて還元する。これがこの協同組合的な一つの本質的な特徴であろうと思つております。ですから仮に非常に剰余金がある場合には、会員のみに配当されるということではないのであつて、一般に均霑するというふうに御理解願つて差支えないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/42
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043・松永義雄
○松永義雄君 それでは飛びまして第五十八条の、金庫は銀行に譲り渡すことができる。こういうことが書いてありますが、ちよつと見ると金庫も銀行も似たところがあるというふうな、殆んど似ておるという感じを受けますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/43
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044・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十八条に銀行への事業譲渡の規定がございます。これは従来信用協同組合においても考えられておりました制度でありまして、趣旨から申しまして、営利機関である銀行と非営利の出資組織による協同組合、或いは本法によります信用金庫といいますものは、目的からいつて画然たる差異があるのでございますが、五十八条の今の規定が従来からあります意味は、むしろ預金者保護の考えが非常に強いのでありまして、一般的には例がありませんのですが、万一割合に小規模である、かような機関が、特に庶民大衆の金を預る機関が破綻或いは破綻に近いような状態に立至つた場合に、それを救済する意味におきまして、他の金融機関、銀行或いは組合、それから他の信用金庫に譲渡いたしまして、貯金者保護を図るということは極めて必要なことであるわけでありまして、従来の組合にもその例をまま見ておるのでありまして、それと同趣旨を以て五十八条が置いてあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/44
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045・松永義雄
○松永義雄君 これは私の意見であるのですけれども、商法の規定が非常にたくさん準用されているのでありまして、どうも信用金庫というものは協同組合の精神を離れて、何だか一般の営利的の株式会社といつたような感じを持たれるのですが、ここは意見の相違でしようから……。こういうようなことは、若し協同組合組織を主眼とするというなら、民法の法人の規定を準用するとか、或いはもつと法文にこれをはつきりさして行くほうが、条文として妥当じやないかという感じがするのです。如何でしよう。それに御意見……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/45
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046・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 商法の規定の準用につきましては、三十九条にいろいろ準用してございまするが、これは大体この役員等の責任の問題につきまして準用してございまして、いわゆるこの金庫の運用その他の点につきまして普通の商法の規定を準用さしておるのではないわけでございます。それから現在又中小企業等の協同組合法によりましても、先ほどの合併等の問題につきましては規定がございまするので、そういう協同組合でさえもございますのでありますから、信用金庫におきます場合におきましてもやはり万が一の場合、今飯田課長から説明がありましたような点も考慮いたしまして、規定としては一応置くことにいたしましたのでございます。滅多にそれが運用されるというようなことはまあないのではなかろうか、特別の場合にのみそういう規定が働き得る余地を残して置いたほうがよくはなかろうが、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/46
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047・松永義雄
○松永義雄君 この「定款その他の書類の備付及び閲覧」ということですが、これは会員及び預金者の保護のためになると思うのですけれども、これも最近問題になつたようですけれども、一々の帳簿は見る権限というものは認められておるですか、法文の上で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/47
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048・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 会員名簿等につきましては三十六条、それからその他の帳簿につきましては三十七条に規定がございます。それからなおこの機会に併せて附加えておきたいと思いまするが、先ほど松永さんからお話がございました点で、今の三十五条の金庫が理事と契約する場合に監事がやるとか、或いはそれから三十八条の二項等におきまして解任の請求につきましては理事の全員等についてやるというような点等につきましては、役員等のいわゆる共同責任、こういう点はやはり強く押し出しておるわけでございまして、そういう点は協同組合的な精神の流れを酌んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/48
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049・松永義雄
○松永義雄君 第三十七条に記載してある書類というものは、これはお座なりな書類なんですが、とれだけでは実質はよくわからないのが普通なんでおりまして、更に一歩進んで帳簿自体を調査する権限が与えられておらなければ、真に預金者、会員の利益を守れないと思いますが、これに対する御意見。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/49
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050・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、これは見方によりまているいとの御意見があり得るかと思いまするが、現在第三十七条において書いてございまするようなことは、この金庫運用の重要なる書類でございまするので、あとでそれに伴います細かい附属書類等いろいろあると思いまするが、そういうことにまで広汎に閲覧権等を与えますることは、却つて又トラブルを起すもとになるかとも考えます。大体主なことについて書いてあるわけでありまして、現在の中小企業等協同組合法等についても同様だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/50
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051・松永義雄
○松永義雄君 理事の権限についてはどこに規定してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/51
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052・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 理事につきましては先ほど挙げました三十九条のところで商法の規定を準用してございまして、例えば商法の二百五十四条の第項等はその一例であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/52
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053・松永義雄
○松永義雄君 そうすると、今の答弁によつて、商法の規定によつて理事の権限を認め、取締役と同視しておる、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/53
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054・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) それは私先ほど申上げましたように理事とか、監事等の役員につきましての責任につきましては、商法の規定等を準用いたしまして差支えなかろうかと思つております。又それが適当であろうと思つておりますが、金庫自体の運用の問題は、いわゆる商事的なものではありませんから、いれゆる会社の事業経営その他におきまする商法において規律しておりまする、会社の実態の内容に対する取締り等についてはこの信用金庫法で行く、こういうことにこの建前はなつておるわけであります。責任の点につきましては、別に商法に規定してありまする取締役と会社との関係等の規定を理事と信用金庫の間に持つて来ても一向差支えなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/54
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055・松永義雄
○松永義雄君 そこで疑義を抱くのは、この金庫が営利的に走りはしないかという虞れがある。「公共性にかんがみ」、或いは「協同組織による」という規定が第一条にあるなら、民法の理事に関する規定をなぜここに準用されなかつたか。こういう点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/55
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056・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今の点につきましては、見かたによりましては確かにおつしやいますような御意見もあるかと思つておりますが、現在すでに中小企業等協同組合法によりまして民法の準用をいたしませんで、商法の準用をいたしておりますので、それは営利的というような面を非常に強く取上げるというよりも、その準用しておる規定の内容が、そういうものを準用することのほうが、内容的に見ても細かい点も規定してありますし、適当であろうということから準用してあると思つております。従いまして例えば商法の規定等におきまして二百五十四条の二項等でございますが、三十九条で準用いたしております点につきまして、「会計ト取締役トノ間ノ関係ハ委任ニ関スル規定二従フ」というような規定がございますが、こういう点は理事についても準用してある。こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/56
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057・松永義雄
○松永義雄君 先ほど大蔵省の御説明で、従来の協同組合は会員内のものは預金又は貸付を受けることができるが、会員外のものは金を貸してくれないということで、協同精神を徹底せしめるということにいたしておるということでありますが、それに照してこの信用金庫に関する法律は、会員外にも金を貸付ける。そこに利益勘定を生ずる。そうして商法の条文の準用その他から考えますと、協同組合の性質から逸脱して行くのではないかという虞れが多分にあるような気がしますが、立法の趣旨はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/57
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058・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 立法の趣旨につきましては、むしろ法制局のほうからお答え頂いたほうが或いはいいかと思いますが、今の御質問中に、信用金庫が、従来の信用協同組合と業務の範囲が変るというふうにむしろ御解釈になつておるようでございますが、私が先ほど申上げましたのは、従来の信用協会が今の信用金庫の業務と同じで、これによつて拡張したわけではないのでありまして、従来の信用協同組合も会員外の預金を扱い、それから貸付のほうは預金担保の貸付のみを認めておるのでございまして、特別に信用金庫法によつて拡張されておるわけではないのであります。
それからついでに先ほど利用配当のところで、組合員外に対しても利用配当の還元をすると申上げたかも知れませんが、これは会員のみについてでありましたから訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/58
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059・松永義雄
○松永義雄君 それから第七条の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律なんですが、これは最近新聞でしばしば拝見しておりますが、預金利子の問題についていろいろ法律の関係を考慮されておるようですが、金庫に対してその利息なんかはやはり大蔵省とか政策委員会とかいうものと何か関係を持つて来るのですか、全然関係はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/59
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060・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 預金金利につきまして現行法上の扱いは、銀行のみならず、預金の受入をなす金融機関の預金の金利は、すべて金利調整法に基きまして調整が行なわれる。従いましてそれに基く告示によりまして最高限度がきめられておるのでありまして、信用金庫につきましても現行法の下におきましては同様の取扱いがなされるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/60
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061・松永義雄
○松永義雄君 従来の信用組合の会員に対する貸付の利息はどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/61
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062・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほどのお話にちよつと関連いたしますが、貸付の金利については、現在の信用組合についても金利調整法は適用はいたしておりませんので、別扱いになつております。専ら大蔵省におきます監督上の運用方針によつて規律いたしておりますが、最高限度は日歩五銭まで認めることにいたしております。併しながら、実際におきましては、内容の堅実な組合においてはできる限りこれを下げておりますので、先ず四銭から三銭五厘程度になつております。銀行よりはやや高いというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/62
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063・松永義雄
○松永義雄君 大体これで終りですが、相互銀行というものは今度無尽業者が出世したものらしいのですが、ああした相互銀行なり信用金庫なりがこうした金利の高い日歩を従来通り取つて行くということに認められておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/63
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064・飯田良一
○説明員(飯田良一君) これはいわゆる中小金融機関に対しまして一般銀行よりもやや高目の貸付金利を、先ほど申上げましたように認めておるのでありますが、一つには中小金融機関が行う中小金融というものが特別のコストがかかり、或る意味においてリスクが多いというような点を加味いたしまして、或る程度の高目ということは当然考えて行かなければならないと思つております。但し、今御指摘がございましたように、従来の無尽会社、或いは従来の信用組合がその規模が未だ小さくて、従つて内容において充実せないというものもあつた。従いましてそういう意味合いからやや高目の金利というものを考えざるを得なかつたという立場にあつたのであります。今度相互銀行或いは信用金庫というものができまして、中小金融の専門機関として内容が充実する暁におきましては、先ほど申上げましたような中小金融のために特別に見てやらなければならない点、こういうものを加味した程度の金利、即ち銀行よりも相当低目の、お客に対するサーヴイスということを十分考えた貸出金利まで下げなければならないし、下げ得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/64
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065・松永義雄
○松永義雄君 この間大蔵省の御説明によりますと、闇金融の話があつたのですが、御承知の通り信用組合、県信連ですか、相当闇金融というかいひどい貸出をして高い利息を取つているようですけれども、一体そういうものに対する監督はどこでやつておつたのです。大蔵省ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/65
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066・飯田良一
○説明員(飯田良一君) いわゆる闇金融業者という意味でお話があつたのでございましようか、正規の金融機関の闇金融でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/66
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067・松永義雄
○松永義雄君 信用組合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/67
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068・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用組合の場合には、事務当局といたしまして貸出金利につきまして認可を受けることになつておりまして、厳重な監督をいたしておりますので、信用組合につきまして、一般的に申しましてそういうふうな金利違反の行為はないものと考えております。先般申上げましたのは一般の、いわゆる違法の闇金融業者が信用組合を設立いたしまして、いわばその違法行為を合法化する手段に使われる虞れがあるということを中心に申上げたつもりでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/68
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069・松永義雄
○松永義雄君 私の質問しているのは、貸出が会員外の者に、而も大量の貸付をいたしておる点がままあるのですが、そういうものの監督はどこがしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/69
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070・飯田良一
○説明員(飯田良一君) それは信用組合に関しましても大蔵省系統、即ち具一体的には本省、財務局等において取締つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/70
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071・松永義雄
○松永義雄君 そこで大蔵省にお尋ねしたいのですが、昔から大蔵省に銀行検査官というものがあつて、盛んに銀行を調査し、そうして調べられているはずであつたのです。はずであつたけれども、ああした金融恐慌を生じて、そうして銀行検査官というものは殆んど意味をなさなくなつた。この場合県庁に任せるか大蔵省が検査するか争つているのですけれども、問題の実質は従来大蔵省の検査官というものは殆んど意味をなさなかつた。若しあれをまじめにやつておつたとすれば、こんな金融恐慌なんか起らないで済んだかも知れない。それと同じく最近信用組合において不当貸付が相当行われておる信用組合がぼろを出して、多少ここでインフレ気味になつて来たので、整理の要因になつて来たということも考えられるのですが、こうして広汎な取扱いを許すようになつておるというと相当これは危険性が出て来る。逆に法律の体裁の上にはちやんとできておつても、実際の運用の上において、預金者というか、持分所有者に対して非常な危険性が生ずる。そういうことをお考えになつているのでございましようか。なを且つ「経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律」が適用になつておる。これはもう殆んど理事者という者はどういうことをやつているかということは周知の事実です。ところが「経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律」の適用が殆んど空文にも等しい結果がある。要するに行政的に大蔵省の検査が十分でなかつたということを考えられるのですが、監督権が大蔵省が持つて行くとか、持つて行かないということは大蔵省側でいろいろ御意見があると思いまするが、実質を伴わない監督権を持つていたつて意味をなさない。どうですか、そういう御経験はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/71
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072・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 今の御指摘の点、監督権を大蔵省に持つて行くか行かんかというお話でありますが、従来から信用協同組合は大蔵省の監督にあるのでございます。そう申上げると、然らば現状はどうかということで、直ちにお叱りをこうむることになろうかと思いますが、できる限り監督は十分にいたしてやつておるのであります。たまたまお耳に入る事例があることは誠に恐縮でございますが、一層法規を整備いたしまして、特に自己資本の充実を図り、特に中心になります役員について、適切な、適当な役員が選ばれてこれに当るということになりますれば、御心配の点は先ず以て解消して頂けるのではなかろうか、かように考えているのでございまして、御指摘の点はこの法律の如何ということではなく、て、金融関係の取締当局である大蔵省が、もう少しこの監督面について努力を払うべきであるという意味の御鞭撻というふうに存ずるのでございまして、その線に沿いましてなお一層努める以外に万全の策はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/72
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073・松永義雄
○松永義雄君 最後に一点なんですが、大蔵省の監督というのは検察庁の監督とは違うのです。悪いところを突つき出すということでなく、御承知の通り協同組合の指導者教育ということが最近非常にやかましくなつております。監督々々ということは、消極的に悪い点を突くということでなくして、協同組合の指導者が終戦後修養が足りないためか、非常に過ちを犯している例があるのであります。そういう点を一つ積極的に心掛けて、協同組合の指導者に対して適当な指導をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/73
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074・森八三一
○森八三一君 第一にお伺いしたいのは、中小企業の特に疎通の円滑を図りますことは非常に大切な問題であつて、いろいろ施策をやつておりますが、特に金庫につきまして将来格別に政府としましても保護、助成、発達を講じて行かなければならんと思いますが、その場合に、御説明によりますと、この金庫は営利をも目的としているというような御説明であつたのでありまするが、農業協同組合等の例に見まするごとく、特別に政府がこの制度の発達を図ります場合に、明確に営利をこの観念のうちに包蔵しておらないというような規定をすることが妥当のように思うのでありまするが、その点に関しまして特に営利をこの観念のうちに含めさせなければならんという理由がどこにございまするか、御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/74
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075・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほど三浦部長並びに私のお答えのうちに、営利ということも否定はしないというふうに申上げたかと思いまするが、それが営利を目的とする機関であるかのごとくに御理解を願つた向きがあるかと思いますが、決してそうではないのでありまして、この場合の営利と申上げましたのは、農業協同組合とか或いはそのほかの協同組合が物を売買したり何かして、そこに利益を生む、こういうような意味におきまして営利と申上げたので、その機関自身は営利を目的としない。即ち非営利であるということは、協同組合を通じての通則と存じております。その通則はこの信用金庫に関しても全く同様になつておると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/75
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076・森八三一
○森八三一君 只今のような御意見であるといたしますれば、むしろそういう意味をどこかに明確に規定するというようなことが妥当のように思うのでありまするが、それに対する御意見を伺いましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/76
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077・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 他の協同組合の法律等も全部対照して見なければ、はつきりとお答えはできないかと存じまするけれども、第一条にあります「協同組織による」という言葉が即ちそれに当るというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/77
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078・森八三一
○森八三一君 五十三条の「預金又は定期積金の受入」という事業と、それから定款規定事項、第何条でありましたか、二十三条でありましたか、定款には地区を規定するという定款規定の必須事項とこの関連がどうなりますか、非組合員の場合には、地区外居住者でありましても五十三条の第一項一号の事業は適用が受けられるか、員外者に対しましては、非組合員については地区内の者でなければならんという制限が考えられますが、その辺は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/78
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079・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 定款記載事項におきまする地区というのが掲げてありますのは、金庫或いは一般的に信用協同組合その他もそうでありますが、人的な組織であり、一定の地域の居住者或いは関係者がその基盤となるという意味で、絶対必要条件であることは御指摘の通りであります。従いましてその地区内の居住者、或いは事業所を有する者というふうな関係者のみがその会員或いは組合員になれるということになつておるのでございます。併しながらそれはその組合の基礎を示すものではありますが、事業の範囲を示すものではないのでありまして、員外者という意味で預金を預ける場合におきましては、必ずしもその地区内の関係者ということにはなつて参りませんのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/79
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080・松永義雄
○松永義雄君 もう一つ、甚だ済みませんけれども、五十四条の第二号に「会員に対する資金の貸付及び手形の割引」ということがあるのですが、この資金の貸付及び手形の割引というのは、やはり担保を供与することですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/80
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081・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十四条は信用金庫の連合会の事業を規定してございますが、信用金庫連合会と申しますのは、御承知のように個々の信用金庫をメンバーとしてその上に立つ中央機関というふうな実質を傭えるものであります。従いましてここにあります会員というのは、即ちこの信用金庫を指すのでございます。相手が金融機関でありますので、必ずしも担保の請求その他について法律的に規定する必要はないのでありますが、必要に応じまして担保を取る場合もあり、或いは額の如何、その他の状況によりまして無担保という場合もあり得ることと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/81
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082・松永義雄
○松永義雄君 そうすると一般の信用金庫については手形の割引ということはないのですか。業務内容になつていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/82
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083・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十三条第三号におきまして、「会員のためにする手形の割引」というのがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/83
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084・松永義雄
○松永義雄君 手形の割引は貸付とは違うことは御承知の通りですが、この手形の割引に対しては担保があるのですか、無制限なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/84
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085・飯田良一
○説明員(飯田良一君) この規定も従来信用協同組合がやはりやつておつたものをそのまま取入れておるのでございまして、手形の性質によりまして担保もあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/85
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086・松永義雄
○松永義雄君 従来やつておつたからいいというような御説つ明のように聞えるのですが、貸付については預金又は定期積金を担保とする場合に限りということが書いてあつて、手形の割引についてはそれが記載しておらないのですが、それはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/86
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087・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十三条第三号は会員のためにする手形の割引となつておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/87
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088・松永義雄
○松永義雄君 貸付については、会員以外の者についてはその預金又は定期積金を担保とするということが規定してあつて、手形の割引についてはその法律の性質上担保を取らないという意味なんですか。それとも担保を取るべきであるけれども規定がないと、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/88
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089・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十三条の第二号にございます資金の貸付、これは二つに分れるわけでありまして、一つは会員のためにする資金の貸付け、これは第三号におきます会員のためにする手形の割引と同様に制限はありません。第二号はそれ以外の会員以外のものもあり得るわけでありまして、それに対しましては括弧内で以て「その預金又は定期積金を担保とする場合に限る」と縛つたわけであります。括弧内のものを合せてお考え頂けば、第三号の会員のためにする手形の割引と対立するわけであります。それからもう一つの事柄を申しますと、第二号については会員以外の者に対する貸付けがございますが、第三号の割引に対しましては会員以外に対する手形の割引はないと、かようになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/89
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090・松永義雄
○松永義雄君 そうすると、会員に対する貸付並びに割引に対しては担保を坂らないでもよろしいと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/90
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091・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 法律上担保を取らなければならないというようにはなつておりません。場合によりましては、信用確実と見た場合に無担保で貸すという場合もあり得ることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/91
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092・松永義雄
○松永義雄君 それは持分を超えてでも貸付けられる、割引ができると、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/92
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093・飯田良一
○説明員(飯田良一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/93
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094・大矢半次郎
○大矢半次郎君 員外預金についてちよつと伺いたいのですが、農業協同組合等においては員外預金には受入れに制限がある。然るに中小企業等の協同組合には現在は……、もとの市街地信用組合等にはあつたかに記憶しておりますが、あれをどうして制限を外したかというのと、それからその後現在のように無制限に受入れるというようなふうになつてからの実際の状況はどういうふうになつておるか、将来はこのままでやつていいのか、それともやはり或る一定の制限を設ける必要があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/94
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095・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 只今御指摘の員外預金の沿革でございますが、市街地信用組合の更に前身である産業組合時代におきましては、御承知のように員外預金というものは原則として扱えなかつたのでございますが、特に戦時中と記憶いたしますが、国民の零細な資金を極力吸収するという考え方からいたしまして、広くあらゆる金融機関の門戸をこれに開放するという見地から、市街地信用組合に員外預金を認めるということに相成つたのであります。その規定が受け継がれまして、中小企業等協同組合法に基く信用協同組合にも受け継がれて来ておるわけであります。現在の状況でございますが、広く国民大衆に親しまれるいわゆる一種の貯蓄機関といたしまして、信用協同組合は非常な発展を遂げておるのでありますが、組合員の預金というものが中心にはなりますものの、特に都市におきましては一般大衆が広くこれを信用して預金を預けるという場合が非常に多くなつて参りましたので、最近におきましては、特に都市におきまして員外預金というのは極めて盛んになつて来ておるのでございます。それからそういうふうな現状で参つておりますが、今回の法律、特に施行法によりまして、信用協同組合が府県知事に監督権を委ねられるということになりました暁におきましては、昨日も申上げましたように非常に濫立或いは混乱を招くことになりまして、或いは一般預金者に迷惑をかける事態が生じはしないかということを心配しておるということを申上げましたが、その非常な疑問が生じて参ると、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/95
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096・大矢半次郎
○大矢半次郎君 第五十七条の二項によりますというと、「剰余金の配当は、定款の定めるところにより、会員の金庫の事業の利用分量又は出資額に応じてしなければならない。」この点からいたしますと、預金に対する剰余金の配当は会員外にはなし得ないようになつておる。こういうふうにして、この金庫の扱う預金のうち、会員の分と会員外の分についてはおのずから差等が起つて来ると、こういう点を考えると、或いは員外預金がそう入つて来ないのではないかというような気がいたしますけれども、先ほどお話がありました通り、金利調整も普通銀行等との間の調整ということを考えられていない。従つてこの金庫の預金は他の普通銀行の預金よりも幾分かレートが高いという関係で、相当都市方面の大規模の金庫に対しては員外預金が又たくさん集つて来るということも考えられるのであります。それは実際はどちらなんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/96
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097・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほどの金利の問題は、預金利子に関しましては銀行並みにこれに準じて適用されておりますので、必ずしも銀行預金より高いということには参らないのでございます。併しながら員外預金というのは、金利の如何を問わず、極めて信用組合に集まつておりますが、それは信用組合の特徴である、いわゆる国民大衆に親しみある金融機関という意味と、それから又特に集金によつて零細な資金を集める、定期積立的な貯蓄預金に重きをおいておりますために、銀行と金利の差はないにかかわらず、非常に貯蓄預金の集積を見ているというのが現状であろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/97
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098・大矢半次郎
○大矢半次郎君 もう一つ、資金運用の方面でありますが、第五十四条の二項の末段に「大蔵大臣の認可を受けて会員以外の者に対して貸付をすることができる。」とありますが、これはどういう方面に対して認めるつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/98
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099・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 五十四条の第二項、御指摘の条文につきましては、「大蔵大臣の認可を受けて」とありますので、御推察願えると思いますが、先ず私どもは例外的に考えているのでありますが、この条文全体は、いわゆる中央機関である信用金庫連合会の余裕金運用の規定も併せて規定したつもりでありまして、或いは銀行に対する貸付、法律上そうなりますが、俗にいうコールローンというものを含ませるというような考え方でありまして、いわゆる余裕金運用に当るというふうに御理解願つて差支えないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/99
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100・大矢半次郎
○大矢半次郎君 そうしますというと、貸付以外の有価証券等に対する余裕金の運用というものも認める必要があるのじやなかろうかと思いますが、これはひとり連合会ばかりでなく、単位のというか、金庫の方にも必要であるのではなかろうかと思われますが、それが私の見そこないでありましようか、出てないようでありますが、これで、うまく運用できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/100
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101・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 従来の規定によりますと、余裕金運用を会員以外の特殊の機関に対しましては、余裕金は左の方法で運用しなくちやいかんというふうに列挙的に、即ち制限的に掲げているのが通例でございましたのでありますが、信用金庫につきましてはそういう形になつておりませんのでありまして、普通の一般の法人の能力といたしましてこれはできる。従いまして第二項におきましても貸付もできることになりますが、特に貸付というものは信用事業に関するものでありまして、積極的に謳わなければならない、而も無条件ではいけないので、大蔵大臣の認可というふうに特に規定を置いたのであります。従いまして有価証券の保有ということはここに現われておりませんが、当然できるという考え方ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/101
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102・大矢半次郎
○大矢半次郎君 そういうふうに解釈できますでしようか。事業として一々列挙していて、有価証券の保有ということが掲げてない、これは法人の性格上当然できるのだといいながら、その法人というのは一体どういうことであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/102
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103・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 先ほど言葉が幾らか足りなかつたかと思いますが、第五十四条の本文にあります「左の業務及びこれに附随する業務」、附随する業務に当るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/103
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104・大矢半次郎
○大矢半次郎君 「附随する業務」と、どの号に附随するものでございましようか。「左の業務及びこれに附随する」というものの、一号から四号までのものに附随するものでなければならんと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/104
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105・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 例えば有価証券の保有がどれに附随するかということになりますと、特に何号ということは申上げにくいかと思いますが、強いて各号のどれかということになりますと、「預金の受入」というのがございますが、当然それは預金の受入金の保管を伴うのでございまして、その有力な運用方法として二に掲げております「手形の割引」というふうにございますが、それ以外に現金として持つている、或いは預け金として他の金融機関に預ける分、或いは有価証券として持つ分、いろいろあろうか思いますが、そういう意味で当然附随する業務というふうになるというように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/105
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106・小林政夫
○小林政夫君 施行法の第三条第二項の二行目の終り、「又はこれに基く命令の規定に反するときは、」と語つてありますが、これに基く命令の規定というこの内容が大体どういうことを予想しているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/106
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107・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) 施行法の三条第二項の「これに基く命令の規定に反するときは、」というお尋ねだろうと思いますが、本法のほうの八十六条にこの信用金庫法全体に関しますところの実施規定をきめ得ることになつておりますが、これによりまして届出、或いは業務報告書その他の書類の提出等に関しましていろいろの手続的なことを定めてありますが、そういう場合も引括めまして施行法の三条の二項では「命令の規定に反するとき」、こういうふうにいつているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/107
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108・小林政夫
○小林政夫君 その内容がただ組織の問題ではないと思うのですが、大分この点について業界で危惧の念を持つているものがあるようですから、わかつている範囲において、これはむしろ大蔵省当局として予想されるところはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/108
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109・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 只今のお尋ねは、恐らく信用金庫法又はこれに基く命令という、命令に信用金庫の免許の基準というふうなものを規定する予定ではなかろうか、さようであるとすればそれについて発表をしてというお話だろうと存じておりますが、ここにあります命令は、全く手続的な規定を指すものでございまして、その免許と申しますのが本法の八十六条、実施規定、「大蔵大臣は、この法律による免許又は認可に関する申請、届出、業務報告書その他の書類の提出その他に関しこの法律を実施するため必要な手続を定めることができる。」ということ以外にはないのでございます。従いまして実質的には免許の方針的なものを織込む趣旨の命令ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/109
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110・小林政夫
○小林政夫君 ついでに余り重要な問題ではありませんが、金庫法の第八十四条、次の八十五条において非訟事件手続法の準用がなされておるのですが、手続法の第百四十四条とダブる、強いていえば八十四条にある「遅滞なく、公告しなければならない。」という点が違うだけですが、これはなくてもいい条文ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/110
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111・三浦義男
○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、現在中小企業等協同組合法におきまして準用いたしておりましたので、そのままこちらに移しましたのでありまして、特別の意味はございませんから、従来通りに考えております。多少今御指摘になりましたような点等細かく申上げますれば違うところもありますが、こつちにあつても害はないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/111
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112・黒田英雄
○黒田英雄君 地域を定めることになつているんですが、この一つの地域といえば、大体小さいところだろうと思つております。市町村とかいうことだろうと思いますが、同じ地域内に二つ以上の金庫の申請があれば許される方針ですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/112
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113・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 同一地域、これも地域が県であるか或いは市町村であるかによつて、その同一地域というのが違つて参りますが、仮にそれを同一市町村というふうにいたしました場合、その地区内において複数の信用金庫が認められるかどうかというお尋ねだろうと存ずるのであります。信用金庫は申上げるまでもなく金融機関でありますので、信用金庫が健全な経営ができるかどうかという見通しの下に認可をいたすのであります。従いましてその地区内における経済力その他を十分勘案いたしました上で、特に不当な競合が起るかどうかという点に十分に気を付けて審査をいたしたいと思つております。大体の目安といたしまして、人口が十万以上くらいであります地域内におきましては二以上の信用金庫の健全なる存立も可能であると存じまするし、又それ以下の場合でも状況によりましてはあるのであります。かような工合にいたしまして、原則的に二つ或いは三つの信用金庫が同一基盤の上に立つて成り立つかどうかということを十分審査いたしました上で免許を決定いたすのであります。従いまして場合によつては複数の場合もあり得るというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/113
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114・黒田英雄
○黒田英雄君 それは大きい府県を一つというようなものに、或いは数県を一にするということもあり得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/114
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115・飯田良一
○説明員(飯田良一君) 信用金庫なるものは、一定の地区を基盤といたしまして、その地区内における住民或いは事業所を有する者の出資を受けて協同組織に基いて運営が行われるのであります。従いまして何と申しますか、卑近な意味における顔見知りというような者がそもそも存立の根拠にならうかと考えておるのであります。ただ顔見知りと申しましても、必ずしも狭い意味ではないのでありますが、要するに人的な結合ということを妨たげない限度における地域が望ましいのであります。数府県ということは実質的にそういう要素を欠くのではなかろうか、かように存じております。先ず以て一市或いは一郡という程度を以て普通の場合の根拠になるのではないかというふうに思つております。但し場合によりましては地区の状況等によりまして、それを一市を中心として数郡に亘るものという程度でありまして、数府県に亘るというようなことは考えられないと思つております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/115
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116・小串清一
○委員長(小串清一君) ちよつとお諮りいたしますが、実は今日重要輸入物資に対する国内金融問題の御説明についてここに日本銀行から来ておられるのでありまして、この案はまだ当分研究するつもりですから、如何ですか、それを聞いて頂くわけには行きませんか。わざわざさつきか持つていられるので恐縮なんです。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/116
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117・小串清一
○委員長(小串清一君) それではお願いいたします。
今日は誠に御苦労様でございました。若し御説明の都合によつて速記をとらないことにするというほうがいいという場合でしたらおつしやつて頂きたい。いつでもそういたしますから。どうか機微に触れたことでもお話し下さるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/117
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118・油井賢太郎
○油井賢太郎君 日銀から五十嵐理事が見えられましたので、ちよつと五十嵐理事にお聞きしたいことがあるのでありますが、お許し願いたいと思います。
最近の貿易状況を見ますと、大分昨年暮あたりから輸入に重点がおかれまして、一—三の、いわゆる自由に輸入することができるというふうになつてからの状況というものが、昨年より大分変つて参つております。それにつきましてユーザンス関係になるのでありますけれども、ユーザンスの期限というのは、大体一—三月の決済が五月或いは六月、七月というふうになつて参るのであります。ところが御承知のように世界的の物価趨勢が、多少予期に反したと申しますか、一般に取り沙汰されていた方向と反対に、中だるみに行く方向に向つておるというような関係からいたしまして、我が日本の国内におきましても輸入物資の引取り、或いはその決済ということについてかなり各方面に問題を起すような状況になつております。例えばゴムであるとか油脂の原料であるとか、そういつたような点につきましては殊にその問題が大きいようなことになつておる次第であります。それについて日銀当局のお考えになつておりますいわゆるユーザンス決済のあとの始末というものを、金融面においてどういうふうに処理されるかということが、国内経済界に大きな話題となつているのでありますが、専門の五十嵐理事からこの点について詳細な一つお話を我々承わりまして、そのお話によりまして又更に我々疑問といたしまする点について多少質問さして頂きたい、かように思うのでありまするが、よろしくお願いいたしたいと思います。更に又それに附加えまして、昨今インフレを阻止するためにとかく金融面において操作をするということが、何か一番強いやりかたであるというふうな工合に世間に取り沙汰されているのでありますが、その金融面におけるところの引締め、或いは緩和ということについては、日本銀行当局が中心となつてやつておられる、その将来のお見通しなり、或いは方策なりということも併せて一つ五十嵐理事さんから御説明を願えれば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/118
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119・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) それでは僣越でございますが御説明いたします。
重要物資の輸入引取金融が昨今問題になつておりますが、これがいろいろ問題になつております原因といいますか、これは三つほどあるのではないかと思います。その第一は、御承知の通り輸入量が非常に多いといいますか、オーバー・インポートという問題であります。これは御承知の通り昨年の上半期の輸入の許可額が二億ドルでありました。それから七—九の三カ月間が四億ドル、それから十—十二月間の三カ月が四億ドル、次に今年の一月—三月の許可額が八億ドルと、一挙に倍額になりまして、その輸入物資がぼつぼつ内地に入ります。或いはドキユメントも附きまして、このユーザンスの期限もだんだん参つて参りました。そのユーザンスの期限が参りますと、ユーザンスを決済するために円資金が必要である。その円資金の調達が昨今の金融情勢から非常にむずかしい。こういう問題が一つあるわけであります。
第二の点は、先ほど油井さんからお話がありましたが、内外の諸情勢からしまして輸入物資の値下りでございます。これは相当下がつているものもあるわけであります。その結果金融機関としてもなかなか簡単に融資ができない、こういう面があるのであります。一例をとりますとゴムでありますが、一月下旬頃はポンド当り三百円、それが今日百七十円というような相場に下落しているわけであります。大体ゴムの輸入……まあ私ども専門ではありませんが、承わりますと、大体二百四、五十円で輸入しておつたという話であります。平均二百四、五十円で輸入しておりましたものが、現在百七十円に暴落しているわけでありますから、この金融はなかなかむずかしい。それから先ほどお話の油脂原料の問題でありますけれども、大豆など非常にたくさん入つておりまして、これも今年の一月あたりはトン六万三千円、現在五万九千円程度に下がつているわけでありますから、なかなかこの決済資金は銀行も警戒しておりますからむずかしいという問題があると思います。
第三は、これは甚だ言い過ぎかも知れませんが、輸入業者が戦前のように一流の粒選りばかりじやないわけでありますから、非常に信用が区々であります。殊にゴム関係の輸入デーラーという者は相当細かい者もありますが、こんな小さい者にこんなたくさんというような、自分の資力に対して比較にならんほど多額な扱いをしているといことでありまして、自然金融難、まあこういうことが考えられるのじやないかと思うのであります。大体輸入業者が輸入信用状の発行を為替銀行に願い出る場合におきましては、為替銀行はその輸入業者がメーカー、製造業者に売り繋いでいるかどうかということを確かめるわけであります。輸入業者がメーカーに売り繋いでいなければ、相場の如何によつてはなかなか危いわけでありますから、メーカーに売り繋いでおる契約書の写しなり何なりを徴して輸入信用状を発行するというわけであります。ところがこれは非常に特殊な例かも知れませんが、そのメーカーへの売り繋ぎの契約書が嘘であつたり、或は馴れ合いであつたという事例も聞きます。又こういうゴム、油脂のように値下がりをしますと、売り繁いでおりましてもメーカーが引取らない。キヤンセルするということも出て参りましよう。或は又為替銀行は、円資金の金繰り上、ユーザンス決済資金の面倒を見る自信のない見通しの場合には、如何に業者が依頼しても、輸入信用状の発行を躊躇いたしますのが常道ではありますが、業者のほうで、引取資金については何とか自力で調達して、銀行には面倒をかけないから、是非とも輸入信用状を発行してもらいたいと強く要望して参りますと、銀行のほうでもむげに断り切れずに、それでは円資金の面倒は見ないという固い約束の下に信用状を発行する場合もあると思うのでありますが、そういう輸入業者中には初めから確信なくして輸入したものもありましようから、昨今のような情勢になりますと、やはり円資金に困ることになるんじやないかと思います。
まあいろいろの錯綜した事情があるわけでありますが、非常に信用が乏しくて、為替銀行が相手にしないものは、日本銀行としても如何ともできないわけであります。
如何に日本銀行が金を出しても、日本銀行が直接業者に金を貸すわけではなく、為替銀行が金を貸すわけでありますから、信用薄弱の者や、輸入物資の値下りで為替銀行が危険だと思つて貸さない者についてはこれは如何ともいたし方がないと思います。勿論筋の通つたものについてはできるだけ、疏通の途を講じたいとは考えております。まあ思惑があるとかないとか、誰がいいとか悪いとか今更かれこれ言つても、問題はちよつとも進展しないわけでありますから、そういうことを申上げておるわけではございませんけれども、要するに困難な事態がデーラーの信用程度ということと輸入物資の値下りということに基本的にあります関係上、相当むずかしいんじやないか、併しながらこのゴムとか油脂とかいうものは、国民生活に非常に関係のある重要な物資でありますから、私どもとしてはできるだけはこの金融が疏通するようには心掛けるつもりであります。
次に金融政策の根本といたしましては、講和を前にして日本の経済界が成るべくがたがたしないで行きますことが、国際信用上最も必要ではないかと思いますので、その限度ではできるだけのことはいたしたいと思つておるわけであります。併しながら又一面日本の経済でも、或いはアメリカの経済でも必ずしもインフレーシヨンの懸念なしというわけに行かないのでありますから、その面からの心配もありますので、それぞれの業界において、ユーザンス決済資金は全部面倒を見てもらえるものというようなお考えがあるとすれば、私どもはそれはなかなかできがたいんじやないかと、こういうように考えておるわけであります。甚だ簡単でありますけれども、一応これで終らして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/119
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120・油井賢太郎
○油井賢太郎君 只今の御説明、誠に御尤もだと思うのでありますけれども、二、三お伺いいたしたいと思います。為替銀行がメーカに対して売り繋ぎしてあるか否かという点のお話があつたようですが、大抵融資するときにはLC発行の前に、恐らく正当の業者であればメーカに売り繋ぎをしているものを以て対象としていると思うのです。でありますから最近になつて若し物価の値下り等が生じて、銀行で以ていろいろ資金的の操作、或いは世間一般にいわれる枠というようなことで以て、売り繋ぎしてある分までも、あとの分まで面倒を見てもらわないというようなことになりますと、勢い濫売するというか、投げ売りするというようなことが起きて、正常ルートの商品界への影響というものはそこから湧き起るというようなことも考えられるのですが、そういう点についてやはり日銀御当局として、市中銀行を通じてそういう方面の処理を、できるだけ面倒見て頂くほうがよろしいのではないかと思うのですが、その間の事情はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/120
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121・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 金融は具体的でありますから、本当にお困りのかたは具体的のケースをお示し願いまして、私どもの融資斡旋部で、できるだけの御斡旋はいたしたいと思つておりますが、融資斡旋でできないものは、これはいたしかたがないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/121
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122・油井賢太郎
○油井賢太郎君 それで例えば鉄鋼関係等におきましても、設備資金のほうにどうしても力を入れておつたようなところがあつて、大きなところといいますと、日本鋼管とか或いは八幡製鉄あたりのああいう日本の代表的な工場でさえ、輸入業者から折角品物が入ることになつておつても、その分に対して輸入業者自体の信用で以て金融の面は操作しろというようなことになつて、輸入業者が非常に困難を感じておるというような点まである。そういつたような状況になりますとどうしても日銀のほうで金融操作というものをもう少し緩めるというか、実情に応じて緩和してもらうという手はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/122
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123・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 私ども非常に締めてばかりいるように世間から批評されておるのでありますが、これは実際の数字を少し申上げますと、昭和二十四年でございますね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/123
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124・油井賢太郎
○油井賢太郎君 若し速記録にとどめておかないほうがよろしければ、速記をとめるなり何なり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/124
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125・小串清一
○委員長(小串清一君) この程度ならいいでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/125
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126・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 昭和二十四年度は、日本銀行は八百二十六億という民間に対する資金の供給をやつておるわけで、決して締めておるわけではないのであります。二十五年度には五百十四億の追加資金を出しておるわけであります。それから二十六年度、四月から二十六年度の第一四半期でありますが、これは相当やはり私どもとしては、日本銀行から三百億くらいの追加信用を出さなければ、経済が円滑に循環しないのじないかというような一応の見込でやつておるわけであります。それから今政府におかれましては通貨発行審議会というものがあつて、先般開かれましたときに、日本銀行の通貨の発行限度というものを三千九百億に据置きということになつたわけです。これはもう少し四千億に引上げてもいいじやないかという一部の説がありましたけれども、やはり内外の情勢から見て、インフレーシヨンの潜在力があるから、三千九百億の限度に据置くことが妥当であるという通貨発行審議会の結論がそうきまつたわけです。でありますからその線に沿つて私どもは資金の供給をやらなければならない、その責任を負つておるわけです。勿論三千九百億を絶対に超えてはいかぬというわけではありません。一カ月以上を続けて限度を超過いたしますと、御当局の許可を得るわけでございますけれども、要するに一応通貨発行審議会においてこういう枠を嵌められておるわけであります。その御趣旨に副うような運営は私どもやつて行かなければならんわけです。それでも前に申上げましたように第一四半期は三百億円くらいの追加信用の供与は止むを得ないだろうというような考え方で運営いたしておるわけであります。
それから昨今またまた司令部からドツジ・ラインの経済九原則はまだ生きているのだということを日本側はリマインドされている有様です。それはやはりインフレーシヨンというものに対する警戒です。そういうことをもう一度言われておるのです。そういう関係からしまして、印刷機械さえあれば幾らでも金を出す、こういうわけには行かんわけでありますから、その点御了承願います。
それから個々のケースにつきましては、金融は飽くまで具体的なものとして取扱うべきでありますから、本当にお困りのかたは日本銀行の融資斡旋の窓口にいうつしやれば、筋の通つたものである限りこれは一々御親切にお世話申上げます。ただ今日は飽くまで自由経済でありますから、物価の如何によつて損することもあれば得することもあります。これが商売の妙味でありましよう。損をしたときだけ救済救済ということは私どもとしてはちよつと……、それは具体的には窓口で親切にお取扱いいたしますけれども、金融政策の対象としては個々のケースは、それが大局に重大な影響を持つものである場合のほかは政策問題として取上げることはなかなかむずかしいのじやないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/126
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127・油井賢太郎
○油井賢太郎君 それで、又前に遡りますけれども、ユーザンスが切れたあとをもう少し面倒見てやれば立ち直るであろうというような事業も相当あると思うのです。それから又その輸入のコントラクトなんかも大分調整されていて、二カ月なり三カ月なり、ここのところを面倒見れば相当の効果があるというようなものもあると思うのです。それに対して現在やつていますスタンプ手形のいわゆる適用枠ですか、七品目というようなことになつていますが、承わりますと三品目は最近において追加するというようなことも言つておりますが、その間の経緯はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/127
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128・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 日銀の資金供給のルートといいますか、これは国内商業につきましては商業手形、それから国際貿易につきましては貿易手形、農業の肥料を買う金、そういうものは農業手形、それから製造工業の原料を仕入れます資金は工業手形、こういうそれぞれの手形制度で資金を出しておるわけであります。そのほかに特に緊急産業の運転資金或は重要な輸入物資の引取資金等につきましては、スタンプ手形を認めています。これは単名手形であつて、異例のものであります。便宜的のものであります。この輸入引取資金については、現在原綿、原毛、原油、鉄鋼原料へ原皮、それから脱脂綿の原料、麻の原料、これだけ認めておるわけであります。で昨今問題になつておりますのはゴムの輸入引取資金、それから油脂原料、大豆とかコプラ、落花生、亜麻仁とかそういうもの、それから燐鉱石です。この三品目の追加ということが商工御当局から、又それぞれの業界から陳情があるわけです。このスタンプ手形は今朝の新聞にも出ておりましたが、総裁は西下の車中談で、スタンプ手形は整理する、品目は逐次狭めて行く、追加はしない。こういうことをおつしやられております。それはこのスタンプ手形と申しますのは、飽くまでも単名手形で、中央銀行としてとるべき本当の姿ではないわけであります。ほんの異例的な臨機の処置であります。併しながら日本経済の病気のためにそういうものもやらざるを得ない。どこの中央銀行もこういうふうな形式の手形などやつていないわけでありますけれども、まあ日本の経済は病気でありますから、止むを得ざる便宜の処置として設けたわけであります。止むを得ざる処置でありますから、日本の経済がだんだん回復して、経済秩序もできて来ますれば、逐次その範囲を狭め、整理して行かなければならない本来的の性質のものなのであります。これを一挙にやめるということは、日本の経済の現状からむずかしいので、逐次狭めて行く。その方向といたしまして、鉄鉱の運転資金のスタンプ手形と、紡績の加工賃のスタンプ手形は現在これを停止しております。これは紡績など漸次自己資金の蓄積が増加して参りましたので、そういうものをいつまでも便々と続けることはよくないということでやめております。それから繭スタンプ手形、これは期間八カ月でありましたが、本年から七カ月に一カ月短縮いたしましたほかに従来釜入値段の八五%を手形金額といたしていましたものを、今年から釜入諸掛を差引いた純繭代金の八五%を手形金額とすることに改正しまして、逐次繭スタンプ手形の範囲も狭めて来ておるのであります。即ちスタンプ手形というものは逐次範囲を狭めて、金融方式をだんだん正常に戻して行こう、一挙にではありません、日本の復興の段階に応じて逐次整理して行く、こういう方針でございますので、更にここに新たに油脂とかゴムとかそういうものを追加するということは困難じやないかと思つております。併しながらスタンプ手形にしなければ金融がつかん、スタンプ手形にすれば、金融がつくかというと私どもはそう簡単には行かないと思つております。油脂なりゴムなりの輸入引取資金が困難とすれば、これはやはり物価の値下り、国際的に高いときに買付けて、物が入つて来たときに暴落した、こういう物価関係、それからゴムとか或いは油脂は割合にデーラーが小さいわけであります。小さいといいますのは、大小というわけではありません。小さくても信用があれば金融がつくわけであります。大小じやなくて信用の……、信用のないというのは甚だどうも業者のかたがおられると抗議を受けるかも知れませんけれども、公平に見まして綿花のデーラとか羊毛のデーラー、などに比べると、どうしても信用が薄いために金融がつかんということではないかと思います。スタンプ手形にすれば自動的に札束がついて廻るような誤解が一部にあるようですが、スタンプ手形にしても信用のない業者は全然スタンプ手形を利用できないことは、一般の手形と同様であります。業界の陳情書にも、スタンプ手形では大手筋しか利用できないから、むしろユーザンスの期限延長のほうが望ましいとあるくらいです。ですから実質的に見れば、スタンプ手形にするしないにかかわりないと私どもは思つておるわけであります。或いは工業手形でも金融がつきます。或いは本当につかないなら、私ども融資斡旋をいたします。そうして私どもの斡旋部が如何に努力してもつかなければ、業者の信用が本当にないのでありますから、その業者のかたには諦らめてもらうより仕方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/128
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129・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今度のユーザンスの期限が切れたあとの問題は、最近騒がれておるのは、やはり国策的に輸入増進しなければならないという、そういう方針の下において輸入業者も相当張り切つていわゆる協力したわけなんですね。たまたま世界の情勢が多少変化して来たというために、日本においても金融関係のほうもそういう点で引締めなくちやなうんということが起きたとしても、国策に応じた、而もルートのはつきりしたようなものにまで不安を与えるということはどういうものかと我々思われる点と、もう一つは先ほど申上げましたように、ここでうつかりするとインフレを阻止しようとするのとは反対に、経済界に起さなくてもいい混乱を惹起するというような危険がありはしないかと思うのです。これは私は繊維関係のほうで昨年の二月、三月に織物消費税撤廃後に生じた…
…、これも一つの国策上織物消費税というものを撤廃したのですが、それが非常な混乱を捲き起して、繊維界を目茶目茶にしたことがあるのですが、そういつたようなことを今度又ゴムの業界であるとか油脂の業界に起すということは、国策的にも余り芳ばしくないという点が第二。第三点は、そのために折角日本で輸入するというような品物がキヤンセルされてしまつて、今後の輸入について、日本に対してはどうも危つかしくて仕方がないというように国際的信用が低下する。そういう点から鑑みて、その対策は相当講じて頂かなくちやならないと思うのですが、その三点について、どうでしよう、もう少し一つ御考慮願えないものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/129
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130・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 第一点は、国策に協力して輸入したのだから、円資金の尻まで当然見なければいかんというのが第一点でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/130
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131・油井賢太郎
○油井賢太郎君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/131
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132・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) これは今更是非の論をいたしますことは何ですけれども、御質問でありますから、少し理屈めいて恐縮ですが、率直に申上げます。輸入促進のため関係御当局が円資金の尻まで見るとおつしやつたかどうか、これはわかりませんのですけれども、自動承認制というものは、飽くまでも業者の自由競争を尊重し、輸入希望者に外貨を許可してやるという制度でありまして、その裏として円資金を自動的に最後の決済までも見てやるという制度ではないわけなんです。若し業者のかたがたの誤解があるとすれば、その点に誤解があるのじやないかと思うのです。それから国策に協力するという問題ですが、勿論これもあつたと思いますけれども、併し如何に国策に協力せよといつても、若し物価が下がるという見込であつたら業者は絶対に輸入しません。自動承認制というものは、これだけの輸入をせよという命令ではない、業者の自由意思というか、自由競争に任せて、輸入したいものは輸入しなさいというわけです。だから相場が下落するという見込だつたら、如何に国家が業者に輸入せよといつても絶対にしません。ですから国策に協力するということも、これは勿論あつたと思いますけれども、やはり儲かる見込だつたからこそ輸入したものと思います。ですからそれはコンマーシヤル・ベーシスと考うべきでしよう。儲かると思つて輸入したものが、たまたま国際情勢の変化によつて損をした、その尻をコンマーシヤル・ベーシスに立つ銀行が、更に日本銀行が自動的に見なければならんということは…
…、商売であるから儲かるときもあれば損するときもある。それが商売の妙味であつて、儲かるときは黙つておつて、損するときだけ救済せよと言われても……。併し国の金融政策としては、そういう業界の打撃の程度がよほど大きく、経済界全体に悪影響を与えるような虞れがあれば、これは中央銀行として放つて置くわけに行きません。これは金融政策上国家として考えなければならん問題だと思います。ただ引取資金に困るからということで、輸入は政府が奨励したのだから自動的にユーザンス金融をつけよというような考えかたには、どうも賛成しかねますということなのでございます。又お困りの方に対して斡旋すると申しますのは、具体的のケースとして、金融政策でなく、具体的の個々のケースといたしまして、具体的にその会社のお話を聞きまして、御面倒を見たいと思います。それから第二点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/132
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133・油井賢太郎
○油井賢太郎君 無用の混乱を惹起する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/133
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134・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) それは先ほど申上げました通り講和を控えて経済界が無用の混乱を惹起することは、国際信用上からも、避けねばならないと思います。金融政策としても十分その点は留意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/134
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135・油井賢太郎
○油井賢太郎君 最後の第三番目の対外信用の問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/135
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136・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 要するに対外信用は円の問題じやなく、外貨の問題です。外貨を払つて、その物が内地に入つて来てから二、三カ月経つとユーザンスの期限が来る。その円資金をどうするかというのが我々の問題でございまして、外国の商社と輸入契約ができ、これに対し為替銀行がLCを発行した場合は、これは日本の為替銀行が必ず外貨を払いますから、そういう信用を害することはないと思います。為替銀行がLC発行前の段階では、成談のできることも、破るることもありましようが、これは交渉乃至折衝段階とも見られましようから、いろいろのことがありますでしよう。要するに輸入業者のモラルに関係する問題でもあります。為替銀行としてはLCを発行した以上、LCの条件に従つて振出された手形を買取つた外国の銀行に対しては外貨を払わざるを得ないわけです。これは銀行の当然信用問題ですから払うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/136
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137・油井賢太郎
○油井賢太郎君 その点はもうちよつと附加えて申上げたいのです。LCを発行したものはそれでいいのです。ただユーザンスの期限が来たので、どうしても払わなくてはならないのだから、もう少し待つていれば相当価格の維持ができるのを、もう銀行から投げ売りでも何でもさせられてしまつて、そうして次のまだLCを発行してない分の、いわゆるコントラクトしたのまで、それまでキヤンセルするということがそのあとで出て来るのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/137
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138・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) そんなことがありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/138
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139・油井賢太郎
○油井賢太郎君 そういつたようなことを防止するのが、やはり国策的に必要だと思うのですが、日銀の当局としてはその点をどんな工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/139
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140・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) LC発行前のことは、これは契約の交渉の段階でしよう。それにはいろいろの問題が、キヤンセルの問題もあるし……。併し日本の一流の商社なら、契約したものは破棄することはないと思いますけれども、それはモラルの問題ですから、私の領分のちよつと外になるものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/140
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141・油井賢太郎
○油井賢太郎君 結論としましては、ここにやはり市中銀行で以て解決のできないものは日本銀行の当局のかたがたへ話を持ち込んで行けば、それを検討されて、相当御考慮が願えるということに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/141
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142・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 個々に具体的に、抽象論じやなくて個々の業者の懐工合なり信用の程度なりいろいろ検討いたしまして、そうして斡旋すべきものは斡旋いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/142
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143・油井賢太郎
○油井賢太郎君 では希望だけちよつと。その点はよく業者の状況も御検査なり御検討下さつて、徒らに経済界に混乱を起さないように御指導なり或いは御配慮を願いたいということをお願いいたしまして、一応私は終ります。有難うございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/143
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144・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつと簡単にお伺いしたいのですが、ユーザンスの期限が来るものですね、五月にどのくらいありますか。ちよつと金額がわかりましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/144
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145・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) これは四月に四百四十六億、五月に五百六十三億、六月に五百八十償、七月に六百三十九償、それはユーザンスの手形の期限が来る金額であります。その商品別の内訳はわかつておりませんが、四—六の枠ですとわかつておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/145
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146・木村禧八郎
○木村禧八郎君 四—六ではどのくらいになりますか、商品別で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/146
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147・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 大体四—六ですと、ユーザンスの期限が来るものが全部で千六百億と見ているのです。四—六で、月別にいたしませんで、四月、六月の間に千六百億、そのうち食糧関係、これは政府輸入でありますから、市中金融の対象にならないものが二百億、市中金融の対象になるものが千四百億、こう見ております。この市中金融の対象になります千四百億のうち、御承知の通りユーザンスはこのドキユメントがついてから三カ月乃至四カ月でありますから、品物がついてから二カ月乃至三カ月の余裕があるわけなんです。ですからその期間はむしろメーカー金融をやつているようなもので、非常に甘いものなんです。本当の貿易の輸入金融じやなくて、もう二ヵ月ぐらいはメーカーの段階に入つている金融をユーザンスでやつているということなんです。ですからその間にメーカが物を作つて売つて、その代金でユーザンスを決済することもできるわけなんです。ですから従来の実績からいいますと、製品の販売代金とか何とか、かとかで、自力で決済するのが半分くらいあるわけです。ですから千四百億という市中金融機関の対象になる額の半分、七百億は、本当に金融機関から金を借りなければユーザンスの期限が落せない、こういうものと推定しておるわけです。その商法別の内訳になりますと、七百億のうち、綿花が三百四十億、原毛は百五十億、それから原料炭が二十億、鉄鋼が二十億、生ゴムが三十億、石油が二十億、油脂が三十億、その他九十億、まあ大体これくらいを推定いたしておるわけであります。ユーザンスの期限が来るものはもつとたくさんあるわけですが、今のようにいろいろ工夫して、自己資金で決済しますものを差引きますと、そうなるわけであります。
ついででありますが、今のユーザンスの決済が四—六で七百億、それに購繭資金が、今季節的に六月から出ます。これは春繭だけで百六十億あるわけでありますが、それは四—六では七十億と見ています。五月下旬から始まつて七月に入りますから、全体では百六十億ですが、四—六では七十億、それからいろいろ公団が廃止になりまして、今まで政府が見ておりました金融が市中銀行に移りますが、それが四—六では百億くらいになります。ですから四—六では資金需要が非常に多いわけでありますから、私どもも日本銀行から三百億程度の追加信用が出るのも止むを得なかろう、こういう見通しになるわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/147
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148・木村禧八郎
○木村禧八郎君 四—六で三百億くらいというわけですか。日銀の追加信用ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/148
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149・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) ええ、これはまあ一応の推定ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/149
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150・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと通貨発行高は三千九百億と抑えられておりますが、それを超えた場合は金利を払うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/150
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151・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) はあ、発行税を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/151
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152・木村禧八郎
○木村禧八郎君 発行税を……。そうしますと四千二百億くらい、そのくらい膨脹するという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/152
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153・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) いや、六月末は私ども四千百億台、大体四千百五十億くらいのものになるのじやないかと思います。場合によつたらそれよりも多くなるかも知れません。これは物価の動向如何でございます。それから私ども、先ほど油井さんがおつしやいましたように、締め過ぎるとかおつしやいますけれども、これには生産の状況を御覧下さい。一昨日は通産委員会で角を矯めて牛を殺すような金融政策だと言つて叱られましたが、三月の生産のごときは戦後最高の鉱工業生産を挙げていますからね。だから日本銀行は……、生産を挙げることが第一ですが……、この生産を阻害してまで引締めているわけじや決してありません。生産はむしろインフレになつたら挙がらんのですからね。それは或る人によれば、もつと締めてもいいという人さへあるくらいですけれども、まあそんなこともできませんでしようが……、それからもう一つは私ども物価を見ている、日本の物価水準、国際物価水準を見ていると、まだ何といつても日本の物価水準は国際物価水準よりも高い。これは新聞にもよく出ておりますが、朝鮮事変以来アメリカは一六%、イギリスは一九%、日本は四三%平均して上つています。日本の物価の騰貴率のほうがずつと大きいわけです。ですから日本の物価水準が国際物価水準よりも非常に高いものが多い。それから生産は阻碍してない。むしろ生産は上つている状況でありますから、私どもまあ手前味噌かも知れませんが、引締め過ぎているとも思いません。この程度のことでまあ講和まで行つたらいいのじやないかとも思うのですけれども、それはいろいろ又木村さんにも御見解がおありだろうとは思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/153
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154・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、その御意見は大体わかるのです。我々もインフレ要因はたくさんあると思うのですけれども、ただ問題は、具体的に聞きたいのですが、この七百億くらいが結局銀行で金融をつけなきやならない。このうちに日銀が大体三百億くらい面倒を見られるだろう。すると残る四百億ですね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/154
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155・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) いや、私どもはこの輸入引取資金の金融だけを見ておるわけじやないのです。いろいろ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/155
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156・木村禧八郎
○木村禧八郎君 全体としてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/156
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157・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 電源開発もありましようし、造船もありましようし、繭資金もありましようし、いろいろあります。又市中銀行も全部右から左へ言うて来るわけじやありません。預金の増加も相当あります。これは多ければ一四半期に千億円以上も伸びることもありますし、いろいろのフアクターがあるわけです。そのいろいろのフアクターの総合の尻として、日本銀行に引掛つて来るのがそれくらいのものであろうというのでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/157
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158・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、これは日銀が追加信用をむやみに殖やすことは反対ですが、それは意見となりますからあとの問題にして……。併しこれでユーザンスの尻が拭えないということになりますと、この数字を見ますと相当私は大きな問題が起ると思います。相当重大な問題だと思うのですが
……。そこで若しかそういう今お話を聞いたような程度ですと、この金融がつかないで相当な重大な結果が私は現れると思うのですが、その点はどういうお見込ですか。何とかデイスターバンスを起さないでやつて行けると、こういうふうに見通されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/158
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159・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 勿論そういう見込でなければ我々の計画ができませんですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/159
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160・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大体やつて行けるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/160
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161・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) これは例えば油脂でもゴムでもスタンプ手形に載つけてもらいたいという陳情が非常にあるのです。スタンプ手形に載つけても金融がつかんものはつかない、つくものはスダンプ手形に載つけなくてもつくわけです。これは同じことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/161
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162・木村禧八郎
○木村禧八郎君 七月以降、六月は仮に相当問題があるとしても、今お話のような形でユーザンスの決済がつくとして、七月以後はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/162
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163・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) それはわかりませんが、ひどいことにはならんと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/163
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164・木村禧八郎
○木村禧八郎君 やはり相当問題が残ると思うのですが、七月は三十九億…
…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/164
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165・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) それは併し……。例えばですね、銀行がLCを発行して輸入さしておるわけでしよう。だからユーザンスの期限が切れますれば、銀行として日銀に金を入れなければいかんわけですから、為替銀行は必ず日銀に金を入れます。その金を業者から取るか取らんかが決済の問題です。銀行としてはとにかく業者から金が入ろうが入るまいと、日銀にそのユーザンスの決済の手形の金を入れなければならない。それで業者から入らなければ立替払いということになる。業者はその場合に、銀行に金を入れなければ今後借りる場合に困る。これが一番痛いでしよう。又銀行が無理に取立を強行すれば、損をしても、ゴムならゴムを売らなければならん。これは要するに銀行側の情勢判断の如何、或は業者の信用如何という問題にもかかるのですが、銀行もそこまでやれば損をしますから、為替銀行としましてどういう態度に出ますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/165
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166・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最後にもう一つ聞いておきたいのですが、とにかくこういうことは大分前からわかつておつたのですね、こういうことになることはすでにわかりておつたのですね。随分前から騒がれておつたのです。この事態は今後の問題として、こういう金融の仕方、ユーザンスの問題を日銀ではどういうお考えですか、ユーザンスの問題についてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/166
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167・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 私どもこれはもう去年の暮……、前から為替銀行に対してメーカーに売り繋いでいないような輸入業者にLCを発行することは慎んでもらいたいということはしばしば警告しておるわけなんです。私どもは銀行が相手ですから……。少くとも私ども日銀に関する限りは為替銀行に対してはインポーターで思惑輸入をする者に対してLCを発行してもらつては困る。インポーターは必ずメーカーに売り繋いでもらう。それに対してLCを発行してもらわなければ困るという態度で来ているわけです。これは真偽のほどはわかりませんが、神戸あたりのゴムの半分ぐらいは売り繋いでいない。売繋いでいれば儲けは少いわけですね。自分の思惑でやれば、上れば儲かるかも知れませんが、下がれば損をする。それは初めからわかり切つたことです。国策に協力するということは、おつしやればおつしやれるかも知れませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/167
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168・木村禧八郎
○木村禧八郎君 このユーザンスは一つの銀行に相当集中しておるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/168
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169・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 相当集中しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/169
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170・木村禧八郎
○木村禧八郎君 聞くところによると、関西あたりのメーカーのほうで手形を切らない、手形を出さないというような問題が起きているのですが、手形を出さないというと、あれは二、三日前に出すのですか、そういう問題が起きておるように聞いていますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/170
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171・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) メーカーがインポーターから引き取れないということですか。それは買予約しておかなければ引き取らない。併し買予約しておいて引き取らないということは我々の関知したことじやない、それはメーカーのモラルの問題ですから……、商業道徳の問題で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/171
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172・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、それは別に五十嵐さんをどうこうという問題じやないのですけれども、問題はそういうことに、単に重要物資の引取金融という問題だけじやないと思うのですよ。非常に大きな問題だと思いますのでね。非常にいろいろな問題が起つて来ると思いますのでお聞きしているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/172
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173・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 例えばゴムの場合に六万五千トンの輸入計画があるでしよう。二十六年度の、それに現在もう四万トンもあるという、六月までに四万九千トンですか、輸入見込があるという。ゴムは一カ月五千トンか六千トンあればいいのでしよう、内需では……。それにすでにもう今年の上期だけで五万九千トンかそれくらい入るのですからね。けれどもそれを業者として手持ちしなきやならんですから、それは大変だろうと思うのです。それから紡績なんかですと、メーカーが力がありますからね、皆引取りますけれども、ゴムはやはり当座買いにぼちぼち原料を買つては加工するのが神戸あたりに相当たくさんおりますから、やはりインポーターの手持ちになるのが多くなると思う。併しできるだけ金融のつくものは斡旋して行かなければならないと思います。併しこれは根本に……、これ又議論になりますけれども、本当にそんなに緊急なら、政府が予算に計上して……、アメリカでは、御承知の通り朝鮮事変前は戦略物資の備蓄目標が四十億ドル、それが朝鮮事変が始まると、ぱつと八十八億ドル、二倍に引上げられ、最近では九十七億ドルとされ、それで買つております。ところが日本ではそうではなくして業者におつかぶせておるわけですね。おつかぶせておるかどうか知りませんが、まあ商業ベースでやる。そこに根本の問題がある。又業者も国策に協力したといいながら、儲け仕事でやつておる面もありますから。今いい、悪いの問題を議論しても始らないのですが、それは振返ればいろいろあると思いますが、我々は金融政策の大本としては、今の政策で続けて行きまして、それで困るかたは個々に具体的に御面倒を見ましよう、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/173
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174・油井賢太郎
○油井賢太郎君 たつた一点だけ追加して聞きたいのですが、日本銀行でいろいろ総裁談や何かで御発表になるときに、大抵滞貨融資は絶対しないということを繰返し繰返し発表されるのですが、併し滞貨融資でもいろいろ内容はあると思うのですが、例えばランニング・ストツクとか、或いは物価が急に上騰しで三割、五割と上つた場合において、数量は変らないが、金額においては相当殖えて来る。そういう場合もやはり同じように滞貨融資で片付けられてはちよつと困ると思うのですが、その点は十分に考慮されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/174
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175・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) ランニング・ストツクとして、メーカーが一月も二月も手持ちのストツクを持つのは当然ですから、思惑的な滞貨のことを言つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/175
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176・油井賢太郎
○油井賢太郎君 それは物価の変動に従つて自動的に変動して行くのは仕方がないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/176
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177・五十嵐虎雄
○参考人(五十嵐虎雄君) 金額の変動は仕方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/177
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178・小串清一
○委員長(小串清一君) それでは大体この辺でよろしうございますか。五十嵐さん御苦労様でございました。
それでは本日はこの程度で散会いた
します。
午後三時四十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 小串 清一君
理事
大矢半次郎君
杉山 昌作君
木内 四郎君
委員
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
吉田 法晴君
松永 義雄君
小宮山常吉君
小林 政夫君
高橋龍太郎君
油井賢太郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
衆議院法制局側
参 事
(第一部長) 三浦 義男君
説明員
大蔵省銀行局特
殊金融課長 飯田 良一君
参考人
日本銀行理事 五十嵐虎雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03519510516/178
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