1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年五月二十二日(火曜日)
午前十時五十三分開会
—————————————
本日の会議に付した事件
○証券投資信託法案(山本米治君外八
名発議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/0
-
001・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。証券投資信託法案を議題に供します。昨日提案者から説明がありましたが、なおこの内容について詳しく御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/1
-
002・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 昨日提案理由を御説明申上げましたが、なおこれを若干補足いたします。証券投資信託というのは、要するに個々の投資家が直接株式その他の有価証券を買わないで、それらの投資家の零細資金を集めて証券業者を通じて合同運用する、こういうことによりまして、個々の投資家の立場から見ますと、專門家たる証券業者に投資の運用管理ということを任せることによつて、安全且つ有利に投資を行うことができる、且つ一方これを国民経済的に見ますと、こういうふうにする結果、零細投資が比較的容易に集まつて、そして相当まとまつた長期産業資金ができる。こういうような建前でありまして、この証券投資の起源と申しますか、歴史を極く一口に申しますと、古くこれはイギリスの産業革命当時に起つたものでありまして、その当時イギリスの大衆は相当富裕になりましたが、そうしてこれを投資しようと思いましても、国内においては金利が非常に安かつた、そのために海外投資というものに一般大衆が向くようになりましたが、海外投資というものはなかなか御承知の通り海外の事情もわからず、危險が多いのでありまして、そうしてこれをやはり投資組合というようなものを作つて、合同運用するという組織ができたのでありまして、初めはこの投資組合員と、これを運用する者との間には信託関係もなかつたのでありますが、後に英国本来の投資信託という観念を入れて、トラステイという受託者ができてこれを運用するようになつたのでありますが、一八六二年でありましたか、コーポレーシヨン・アクトというものができまして、その委託者というものが会社でなくちやならん、有限責任公社でなくちやならんということになりまして、ここにいわゆる英国型の投資信託若しくは会社型という、コーポレーシヨン・タイプというものができたわけであります。そうしてそれが十九世紀の終り頃までに相当発展したのであります。第一次大戰後に、アメリカにおいてもこのイギリス型の証券投資信託が相当起つたのでありますが、その投資会社というものが、自由にその証券投資をやるということは、非常に大衆の利益を危険化する虞れがありましたので、その投資する対象というものをだんだん固定化するようになつた。こうこうこういう証券に投資するというようなふうになつたのでありまして、そのいわゆるフイツクスト・トラストというものが発展したのでありましたが、このフイツクスト・トラストの型が一九三一年にイギリスへ逆輸入されました。そして信託会社との信託法上の信託契約に基く、いわゆるユニツト・トラストというものがイギリスに発展したわけであります。現在イギリスを初めとする各国の投資信託の基本的な型は、大体このイギリスに発展しましたところのユニツト・トラストでありまして、この構成を極く簡單に申しますと、証券会社というものが委託者になる、そして信託会社を受託者とする、一定財産の信託契約が締結されまして、委託者は当初の受益者となり、その受益権を均等に分割して、一般投資者に譲渡する。譲受けた投資家は、信託の収益を受託者より直接受取る。会社の運用方針は委託者の自由ではなくて、信託契約に定められておる、そして受託者は右の運用方法によつて、信託財産の善良なる保管者として信託事務を行うと、こういう構成であります。最近アメリカではミユーチユアル・インヴエストメント・フアンドというものが発達しておりました。投資会社法に基く投資会社が開設するミユーチユアル・インヴエストメント・フアンド、このフアンドを開設するには、投資会社法に基いて登録するのでありますが、そのフアンドの種類はフアンドの募集に当つて公表される、例えば投機性を主とするものとか、安全性を主とするものとか、根がさ株だとか、一流だとか二流だとか、三流だとかというように、投資者の好みに応じて選択できるようにいろいろな組合せができておるのであります。我が国では昭和十六年、戰争の直前に初めて有価証券投資信託というものが行われたのでありますが、このときには投資信託法という有価証券投資信託という單独立法はなかつたのでありまして、信託法というものに準拠しまして足りないところは民法で補足して、この制度を実施したのであります。そしてこのときには、特定金銭信託の形をとりましたものでありますから、元本についても二割の保証が約款に謳われておつたわけであります。今度この投資信託法を単独立法として、最近資本蓄積というようなことが叫ばれておりますので、この制度により資本蓄積の一助にしようとするものであるのでありますが、今度の法案によりますところの構成は、やはりイギリスのユニツト・トラストに範をとつたものでありまして、一般大衆から金を集める委託者というものは、資本金五千万円以上の会社でなくちやならんということになつております。そして受託者というものは信託会社若しくは信託業務を営む銀行ということになつておりまして、構成要素は即ち大衆投資家、委託者、委託会社と受託会社の三つであります。委託会社がこのうち主役というようなものを務めることになつておりますけれども、併し委託会社が、受託者たる信託会社若しくは信託銀行に預けました信託財産について勝手な投資指図をしますということは非常に危險でありますので、これには約款その他法律によつていろいろな制限ができておりまして、投資家が安心して投資できるように投資家の保護ということを最大の目的としております。差当りこの程度のことであとは御質疑によりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/2
-
003・松永義雄
○松永義雄君 英米にこれに似たような法律があるかと思いますが、こういう法律がありましたら御提出願えれば結構だと思います。全然独創的なものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/3
-
004・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 先ほど申しましたアメリカには投資会社法というのがあります。イギリスでは信託法でやつておるそうでありますが、その資料は後ほどお手許に差上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/4
-
005・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この証券投資信託式のものは戰前にも確かに日本にあつたはずですが、あの当時はどういうふうな法律によつて行われたのでありますか。あの当時のことがおわかりでしたら御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/5
-
006・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 先ほどちよつと申上げましたごとく、我が国で投資信託が初めて行われたのは昭和十六年十一月でありまして、即ち太平洋戰争の始まる前月であります。そのときには信託法に準拠してやつたのでありまして、足りないところは民法で補足しまして單独法というものがなかつたのであります。当時非常に戰争準備のために慌てて急いでおりましたために、単独立法を行うの余裕がなかつたのであります。ですから法律的にも疑義のある点が多かつたのであります。これによりましてともかく終戰の昭和二十年八月までにユニツトの価値が百二十九、そうして結成総額が五億二、三千万円出たのでありまして、これが日本の投資信託の歴史でありまして、なお補足して申しますと、この戰時中に行われました我が国の投資信託は敗戰ということによりまして非常な不幸な経過であつたのでありまして、その投資信託によつて投資せられた証券というものは、外地のものを相当持つておつた、満鉄株とか、台湾製糖とか、そういうものが非常に多かつたのであります。外地の公社債株式が多かつたということ、国内においても軍需株に相当投資されたが、それらのものが無価値、僅かな価値になつてしまいまして、且つ又終戰後におきましては国債利払いの停止というようなこともありましたし、株券の自由に讓渡することができないような制限もありましたし、それで昭和二十二年三月でありましたか、株式取引が再開されました当時には、大体サブユニツトが五百円でありましたが、それが大体半分くらい、二百四十円くらい、半分くらいの価値まで下つてしまいました。そうして期限が三年、五年でありましたが、大体昭和二十三年頃期限が来たのでありますが、その二年ぐらい延ばしましてすつかり清算ができたのが昭和二十五年三月でありまして、そのときの最終清算は株価も若干よくなりましたために五百円の投資に対します受益証券に対しまして加重平均では五百四十二円ぐらいと思いましたが、それくらいの払戻しになつております。でありますから結果におきましては元本を割らずに元本以上のものが配当できたと、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/6
-
007・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今の元本を割らずに配当できたということを証券会社あたりで宣伝するのでありますけれども、貨幣価値がまるで違つておるのであります。私から言わせますならばただになつたというような実情です。将来そういうようなときスライデイングして何か方策をこの新らしい法案によつてはやる御意思があるかどうか、できるかどうかという点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/7
-
008・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それは御説の通りでありまして、殊に預金その他確定利附証券においては、五百四、五十円にさえならないわけでありますから、インフレーシヨンによる価値の低下ということは御説の通りでありますけれども、これは株価が只今申上げましたように、株価が終戰後混乱して非常に落ちてしまつたこと、中に非常に投資の対象になつた株価が無価値になつたものが多いので、そういうことになりましたために、あのときとしては止むを得なかつたのではないかと思います。なおスライデイング・システムで投資家を保護する方法はないかということでありますが、投資信託の本質に鑑みまして、証券投資をして、そしてそれを主として株式でありますが、株式に投資するのでありますから、その株式の相場の上下というものによつて損失することもあり、得することもあり、これをスライデイングスケールで投資家を保護することは投資信託の本質に反するのではないか。この前のときには日本において大体確定利附投資に大衆が慣れておりました関係上、元本に対して二割ぐらいの……、ただ約款がついておりましたけれども、これは信託の本質と違うのであります。今度は元本保証は大体ないことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/8
-
009・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今の、昨年大体できたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/9
-
010・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 最終清算が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/10
-
011・木村禧八郎
○木村禧八郎君 昨年三月に最終清算が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/11
-
012・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そのときに五百円であるものが大体元本通りというような、加重平均で五百四十一円九十八銭という配当になつております。四社の総平均、而も加重平均です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/12
-
013・木村禧八郎
○木村禧八郎君 昭和十六年には五百円であつたものが五百四十一円九十八銭ということになつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/13
-
014・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 二年前ぐらいのときに投資証券の評価をしますと、先ほど申しましたように五百円のものが五百四十円ぐらいになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/14
-
015・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、只今油井さんが言われたように昭和十六年には五百円であるが、昨年で五百四十何円になつたということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/15
-
016・山本米治
○委員外議員(山本米治君) その間に配当があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/16
-
017・木村禧八郎
○木村禧八郎君 配当がありますけれども、併しそれは非常にそれだから堅実であつたということは、非常にその間に激動期がありましたから投資者のみの責任ではないでしようけれども、そうも言えないと思うのであります。それからこの証券投資信託法案を出された提案理由としてせいぜい二つのことが御説明になつたのでありますが、一つは投資家保護ということ、もう一つは国民経済的観点から見て零細な資金を株式のほうに集めて、そうしてこれを資本蓄積のほうに役立てしめる、そういう趣旨から本案が提出されたということなんですが、この趣旨について何ら異存はないわけですが、ただ私はここでこの法案を具体的に審議する前に伺つて置きたいことは、資本蓄積の非常にこれに対して証券投資とも非常に関連があるのでありますが、証券対策としてもつと基本的にやらなければならない問題がたくさんあるのじやないかと思うのであります。あとでも政府側にも御質問したいのでありますが、例えば今度その一つとしてレギユラー・ウエイでやるようになつたと言われますが、このレギユラー・ウエイについてもやること自体にいてはそう反対ではないのでありますけれども、そのやり方自体について又果してこれが本当に投資者の保護になるかどうかということについてもいろいろ問題があるわけです。そういう長期資金の調達の計画性ですか、そういうものに対して我々まだ非常に不満があり、やらなければならん点がたくさんあるのでありますが、そういうものを放つて置いてそうしてこういう法案が出て来る、これは議員提出法案ですから政府の政策の貧困とか、怠慢ということと直接関係はないのでありますけれども、私はこういう法案を、法案自体は悪くないとしても、それを通す前にもつと根本的にやるべきことがたくさんあると思うのですが、提案者はそういう点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/17
-
018・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 日本の証券市場は非常に終戰後特に問題が多いということはお説の通りでありまして、一時は取引所が閉鎖されておりましたし、取引所再開後も昔やつた精算取引というものは認められませず、証券市価そのものも冴えないのでありますが、それにつきましては、まあ政府も関係当局と折衝して、いろいろやつておられるようでありまして、最近この六月一日からレギユラー・ウエイが始まるということもその一つであります。いろいろ問題がありますが、それとこれとは一応関係ないわけじやありませんが、ちよつと別個の問題でありまして、並行的にはやつて差支えないのであります。のそ点市場関係のいろいろな施策を施すということは、当然今後政府が進めて行くべきであり、それと並んでこの証券投資信託を始めるということは、別に矛盾するものではなく、むしろ並行さして行くべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/18
-
019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 このあとでレギユラー・ウエイのことについて、政府側からもちよつとお伺いしたいのですが、この証券投資信託法を通して、どの程度に先ほど言われました国民経済的観点から言つて資本蓄積に役立つとお考えか。我々まあそう言つては失礼ですが、大したことはないのじやないか……、而もその証券投資信託法によつてそのほうに投資を集めるについての法案の内容、これはいろいろ餌があるわけですが、そういうものによつて資金を調達しなければならないということになると、これはもつと根本の問題があるのではないか。例えばあとでも御質問したいのですが、無記名証券であるというとこれは税の関係も出て来ると思うのです。いわゆる前の東銀債の問題とも関連して来るのですから、そういうような形で投資を誘わなければならないというようなことでは、これは本格的な資本蓄積に役立たないのではないか、こう思うのです。それから過去の経験から言つてもこれは成功だつたと言いますけれども、昭和十六年からやつたときには、あれが一応成功した原因があるのでありまして、そういう條件が果して今日においてもあるかどうかということも又問題と思うのです。どの程度にその資本蓄積に効果があるか、この点についてお伺いして見たいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/19
-
020・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 経済的に見ますれば、只今御質問の点が一番問題になるところでありまして、これは見込という以外にないのでありますが、而もその見込というものは、この受益証券にどのくらいの配当が可能であろうかというような見通し等にもかかつて来るわけであります。只今の一応の推算では受益証券、この投資信託の期限にもよりますが、八分乃至九分くらいの配当ができるのではないかという推算ができておるのでありますが、そうしてどのくらい金が集まるかということも、これは又ほんの見込に過ぎない。いろいろな投資方がありましようが、例えば戰時中に五億二、三千万円集まつたということから見まして、その貨幣価値が百倍と見れば五十億とか、或いは二百倍と見れば百億という一応の数字もありましようし、又昭和十七年即ちこの投資信託を始めたときの一カ年間の個人の金融債とか社債、それから株式の個人の消化分が大体三億八千九百万円あつた。昨年昭和二十五年の一カ年間の個人の消化分が百七億あつた。この関係は大体二十七倍になるわけです。二十七倍になるわけですから、昭和十七年の一カ年間の投資信託が一億二千二百万円でありますから、それを只今の二十七倍にしますと三十三億という数字が一応出るわけなのです。こういうのは非常な仮定でありまして、無論本当の参考に過ぎませんが、昭和十七年の一カ年間の証券の個人消化分と、昨年昭和二十五年の消化分との比例を昭和十七年の投資信託の結成額にかけますと、三十三億という数字が一応出るわけであります。その三十三億という数字が、それでは資本蓄積上どれくらいの意味を持つかと申しますと、昭和二十六年度の産業資金の供給見込が大体九千三百七十億、一兆に近い数字でありますが、そのうち会社等の自己資本の蓄積が二千三百億と見ますと、残り七千億ばかりが外部資金ということになりますが、外部資金と言いましても、銀行借入等が相当多いのですから、そのうち株式及び社債を見ますと、九百五十億であります。その株式社債等の九百五十億のうち個人消化分を大体見込みますと、百二十八億となつております。昭和二十六年度の株式及び社債の個人消化分が百二十八億、その百二十八億という数字と只今申しました三十三億という数字の割合を見ますと大体二五%、即ち株式社債の個人消化分の四分の一くらいが、この証券投資信託によつて吸収されるだろうということが見込まれるわけでありますけれども、併し、これはもとより従来ならば個人が直接株式を買つたであろうものがこの投資信託のほうへ来る分がありますから、それだけこの三十三億というものが新規にこの証券取引によつて余計集まるという意味ではないわけでありまして、ほかから横這いして来る分があるわけですから、大体そういうような数字も出ておりまするし、その他証券会社、今度の証券投資信託において委託者になるものと考えられておりますところの証券会社方面の意見を総合して見ますと、やはり二、三十億くらいは年間集まるだろうと、こういうふうに見ているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/20
-
021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 非常に詳細な御説明を承わりましたが、併しこれはまあ見込ですからわかりませんが、過去において例えば昭和十七年にどのくらいあつたから、大体それから推定していろいろ計算されたのですけれども、過去において一応これが成功した原因には御承知のように、戰時中国民貯蓄組合というものがあつて、まあ半分強制的に積立てをさせられたのです。そういう金が投資信託のほうに振向けられたという関係、そういうような有利な條件もあつたのです。又税金がただであつたというような、こういう有利な條件があつたから、一応あれで伸びたと思うのです。ですからそれだけで果してうまく行くかどうかということも疑問だと思うのです。それからもう一つは資本蓄積、資本蓄積と言いますけれども、ここで投資する株式というのは必ずしも新規債ばかりじやないと思うのです。最も有利な、安全と言えば結局既発債でいい安全を求めるようなことになれば、どの程度にそれが資本蓄積に役立つかは、私は疑問じやないかと思うのです。わざわざこういう法律を作つてまでやらなければならない問題じやないのではないかと、若しそういうこの証券方面からの、株式方面からの資本蓄積が重要であるならば、まだまだこのほかに根本的にやらなければならない問題があつて、それが解決つけばこの証券投資信託によらなくてももつと証券、株式を通じての資本蓄債が可能ではないのじやないかと、こういうふうに考えられますので、基本的にこれが、私は何でもかでも反対するために質問しているのではないのですが、そんないろいろな疑問の点がありますので、この二つの点を先ずお伺いいたしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/21
-
022・山本米治
○委員外議員(山本米治君) この証券投資信託によつて集めた資金が新規発行の株式のみに向うということは無論ありません。既発の株式を買うということがむしろ多いかも知れませんが、先ほど、今度この制度によつて集まるだろう金の経済的意味を、いろいろな方面から御参考に数字を申上げましたが、そのときに申落しました数字をもう一つ申上げますと、今年二月末の全国証券業者の所有有価証券が大体七十五億であります。この七十五億のうち株式が七十一億、即ち大部分が株式でありますが、七十五億証券会社が持つておる。そこで投資信託の結成見込額が先ほどの一応の推算による数字によりますと三十三億、こういう金が証券会社に新規に入るとしますと、この証券会社の手が非常に軽くなるわけであります。証券会社の株がそれだけ手持が消化されると見ますから、そういたしますと、証券会社の手許に余裕ができて、新規の株式の引受にも或いは買入にも向うだろう、こういうことが考えられるのでありまして、この点が発行市場その他有価証券市場に相当好影響をもたらすのではないか、こういうように考えるのであります。それから又こういう制度を設けなくてもできるものならできるんじやないか、こういうお話でありますけれども、終戰後証券民主化ということが非常に声を大にして叫ばれて、そうして一時は裏長屋のおかみさんも札を掴んで株屋へ行つたということはありましたが、そのときに煽り立てられて買つたものが、一昨年の五月あたりが株式の価格としては峠でありましたが、その後非常に株価が暴落して、大抵のものが損をした。これは証券投資信託によつてもこういう株式の大勢というものはどうにもしようがないのですが、個々に買いますと、やはりたちのよくない証券業者から詰らん株を持たされて非常に損をする、こういうことがあるのですが、この新らしい証券投資信託の制度によりますれば、大体どういう銘柄を買うということもあらかじめわかつておりますし、又專門家が投資をすることになつておるので、そういう個々の人が株式を買う場合に比しては安全である、こういうことが言えるので、やはりこういう制度があつたほうがより投資を刺激し促進するのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/22
-
023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 丁度私が御質問して見たかつた点について御答弁がありましたのでちよつと都合がよかつたのですが、証券業者の株式所有、これは株式だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/23
-
024・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 証券全部で七十五億、そのうち株式が七十一億、国債、社債も多少持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/24
-
025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 差当りは証券業者の株式が肩替りになる、肩替りというと変ですが、それがまあそつちへ投資になる、こういうように考えられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/25
-
026・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/26
-
027・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この法案によると委託者は証券会社でなくてはならないということはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/27
-
028・山本米治
○委員外議員(山本米治君) ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/28
-
029・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは株式市場ということになつておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/29
-
030・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/30
-
031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 五千万円以上ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/31
-
032・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/32
-
033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 で、聞くところによると、これは大体実際にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/33
-
034・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 五千万円以上の株式会社であれば委託者となることができますが、実際問題としては証券会社の兼業が考えられておるのであります。法律上から言えば五千万円以上の会社であればどういう種類の業務を行なつておる会社でも差支えないわけでありますけれども、この投資信託によつて信託報酬というものを取られるわけですが、その信託報酬というものを非常に高くすれば自然配当が減つて来ます。つまり大衆の分前が減つて来るものですから、信託報酬はできるだけ少いことが望ましいわけです。若し他の普通の、つまり証券会社以外の会社の兼業を認めますときにはその株式の売買手数料というものがその委託会社に入らないわけです。逆に言えば証券会社が兼業する場合には委託者となつてその信託会社に委託した株式を売買する場合にはどうしても自分の全社を通すことになりましよう。自分の会社を通す必要はありませんけれども、自然そうなる。そうすると、その株式の売買手数料というものが入つて来るので、そのほうの利益があるために、信託報酬というものは比較的少くてもやれるのではないか。若しこれが單独の專業会社というようなことになりますれば、相当の信託報酬が殆んど唯一の収入になるわけですから、相当高率の信託報酬を取らなければ会社というものが成立たない。そうすると自然大衆に対する受益証券の配当が少くなるわけですから、現在のところ資本金五千万円以上の株式会社とありますが、証券会社の兼業を考えております。單独会社でも無論法律上いいわけですけれども、單独会社では先ほど申上げましたような意味から経営が成立たないので、実際問題として問題にならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/34
-
035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 聞くところによると、最初GHQあたりではむしろ証券会社でないものにそれをやらせるべきであるというような意見があつたように聞えておるのですが、それが実際には今お話を承わりますと、証券業者が兼業でやるということが予定されておるようですが、それはどういうふうにそうなつたか、その間の事情おわかりだつたらお伺いして置きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/35
-
036・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 証券会社が兼業する場合にはやり方にもよりますが、相当弊害があり得るわけで、又現にアメリカでは相当弊害があつたようであります。それで証券会社の兼業というものを余り好まなかつたということを聞いておるのでありますが、それは証券会社が信託会社の指図をするに当つて、勝手な指図をするということをしますと、詰らない自分の手持の株をそれのユニツトに背負わしてしまうということになつて、大衆が損をしてしまうということになるのですから、そのために先ほどちよつと申上げましたように、アメリカではフイツクスト・トラスト、つまり初めからこうこうこういう証券にしか投資しないということを約束してしまうわけです。そうすると証券会社が自分の抱込んだ証券をその中にはめ込むということができないわけです。でフイツクスト・トラストなれば全然誰がやろうと、極端に言えば、誰がやろうと大衆のほうに損失を與えるというようなことはないわけです。併しこの投書信託の本質から言えば有利な証券、有利な証券と買換えて成るべく大衆に利益を與えるようにするのが本旨でありますので、如何なる株でも買換えるというのは……つまりフレクシブル・タイプとフイツクスト・タイプの中間を考えておるわけでありまして、初めから大体約款でこの銘柄の株を買うということをきちんときめてかかれば大衆に損を與えるようなことはないのではないか。そうして証券業者の投資の指図等について十分の制限規定を置いておけば、証券業者が兼業であつても大衆に損を與えることはないのではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/36
-
037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど本年二月末における証券業者の株式保有が大体七十一億、これは四大証券ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/37
-
038・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 全国証券業者です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/38
-
039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この主なる証券業者のこの保有別の数字かなんかございますか。四大証券くらいでもいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/39
-
040・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 三月末で一月違つておりますが、三月末の四大証券会社の有価証券は四十六億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/40
-
041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 会社別ではどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/41
-
042・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それでは申上げますが、野村が十三億、山一が十億、日興が十三億、大和が九億、大ざつぱな数字はそんなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/42
-
043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この株式の民主化というのが一頃非常に叫ばれまして、大衆が株を買つたのでありますが、その後この株が暴落して、その証券民主化運動自体にも無責任なところがあつたと思うのですけれども、それがやはり証券投資の不振を招いた一つの原因になつておると思うのですが、当時御承知のように証券民主化、証券民主化で、あの増資をどんどんやつて、そうして大きな会社が今までの借入金を増資の形でこれを金を集めて、銀行に返した。それで銀行の貸付は、増資という形で大衆株に移つて、大衆がその株を持つて、非常に損をして、銀行の、仮に不良貸とか言うのですか、不良貸ばかりじやないでしようが、銀行の貸付が大衆の株式保有によつてカバーされて、それで大衆が非常に損してしまつた。こういう経緯があるわけですが、当時又証券会社も株式を保有して非常に困つたわけです。一体この整理をどうするのかということが非常に重大な問題だつたわけです。それで、証券業者の保有株を、どうこれを処理するかということもこれはまあ重要な問題だと思うのですが、或いは又、持株会社整理委員会ですか、あそこで……整理委員会じやないですか、あれは……あそこでたくさん株を持つて、大分まあ荷もたれになつている。そういうことも市場を圧迫していると言われるのですが、私はそれを懸念することは、そうじやないかも知れませんが、その前のああいう経過がありまして、証券業者が株をたくさん背負い込んでしまつて、この背負い込み株をどう整理したらいいか、実に悩んでいたわけだと思うのです。この証券投資信託法によつて、これが通ればこれによつて、大衆から投資証券という形でこれを売出して、そして保有株を肩替りする、実際にはそういうことになると思うのですよ。それでうまく行けばいいのですけれども、若しかそれがうまく行かないと、そういう証券業者が背負い込んでしまつた株の肩替りを投資証舞を通じて大衆に転嫁してしまう。それがうまく行かなければ、この前に銀行の貸付を増資という形で大衆株式に振替えて、それで株が暴落して、大衆が非常に損してしまつた、こういうふうなかつこうになることを恐れるのです。そうなると、長期資金の調達について証券市場を通じての資本の蓄積ということに非常に支障を来たす。非常にあれが投機的になりまして、堅実なインヴエストメント市場を、投資市場を育成することに役立たない、こういうことを私は心配するわけです。そして私は先ずこの証券投資信託法を見たときに、これが出て来たときに直感したのはその点だつたのです。それでそういう点についてよほどこれは考慮を払わないと、却つて大衆に迷惑をかける危險があるのじやないか。この点十分、私は必ずしもこの案に反対するものじやないのですけれども、よく確めて、そうしてそういう弊害がないように十分に我々はこれを審議して置かなければならない、その義務があると思うのですよ。こういう点についてはどうなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/43
-
044・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 株価のトレンドがどうなるかということは、これは日本経済全体に関連した非常に大きな問題であつて、終戰後、株価が安い、物価は百倍、二百倍になつたのに、株価はほんの二、三倍程度にしかならん。安いものは株価と金利だという工合に言われておるのですが、これは先ほども言われましたように、終戰後財閥解体で、大体SCLCが二百億ほども財閥解体の株式その他を背負い込んでおる。そういう圧迫がある上に、再建整備等の関係がある会社が、次々と増資をやるというような市場の圧迫で、株式市場というものが冴えないでいるわけですが、只今の言われた証券会社の手持を肩替りして大衆に転嫁されると言われるのですが、これは大体証券投資信託を募集する場合に、大体目論見書というものを出して、そしてこういう株式を買う、こういう銘柄を買うという範囲を大体示して、大衆がこれならよかろうということで、大衆が納得づくの上で買うのですから、大衆に押付けるということになる……、その銘柄が気に入らなければ、その受益証券は買わなければいい。それから一般的に申しますと、むしろこの株価の低い現在こそこの証券投資信託をやる時期でありまして、非常に高いときにやれば利廻りも悪いし、それからそれ以上上る、つまり元本の、元本と言いますか、株価の差額による利益というものも余り見込めないわけでありますけれども、今のようなときにやればむしろ今後大勢としては少しでも上るのじやないか。今の安いときに大衆の金を集めて買つて置けば、将来上るという楽しみがあるわけでありまして、そうかといつてこれは決して押付けるものではなく、こうこうこういうものを買いますぞと言つて示して置いて、そういうものなら、一流株ばかりなら一つ買つて見よう、こういうことになるわけでありまして、大衆転嫁ということは結果として万一やれないでもないかも知れませんが、そういうことにはこの制度自身としてはならないと考えておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/44
-
045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはまあ株の将来の見通しについては、これは神様でなければわからないのですから、我々予測するのも危険かと思いますけれども、併し今様が売れないということについては、その政府のいろいろな政策にもあると思うのですよ。非常に根本的な大きな原因もあると思うのです。而も今後いわゆる第二次ドツジ・ラインと言われるようなマーカツト声明が出て来ますと、必ずしもそのインフレ的に上るというふうにも楽観はできないですが、そういう状態で今株がうまく売れないのを、こういう制度ができたから、これを通じてそういうふうに金が集まつて、資本蓄積ができると、こういうふうに私はどうも考えるのは本筋ではないと思うのですよ。ですからこういう制度をやること自体悪くないかも知れませんが、これと同時に政府に対してもつと根本的な対策を要求しなければいけないのじやないかと思うのです。私は恐らく提案者もそうこれに対して自信がないのじやないかと思うのです。ですからこれに対してはいろいろな問題になる、相当国民経済的観点から見て問題になる一つの特権を、特権と言うのは変ですけれども、大衆がこれに食い付いて来る一つのあれをここに入れて置かなければならなかつたということが一つの問題になると思うのですよ。それは無記名証券であるということですね。従つて前にシヤウプ勧告によつて無記名預金が禁止されることになつたのですが、そして一種の合法的な脱税というものをこれによつて認めるという形でなければ、これに魅力がない。こういうようなことでは甚だ頼りないので、もつと本格的に、積極的に、この投資証券が資本蓄積にプラスになるという面がなければならないと思うのですが、これはそういうような無記名式なことにしなければうまく行かないのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/45
-
046・山本米治
○委員外議員(山本米治君) うまく行かないだろう、自信がないだろうとおつしやいますが、まあやつて見なくちやわからんですな。それで証券界の人に聞いて見れば或る程度行くだろう、こういうように見込んでおるわけですし、まあ行かなければこの制度の成績が悪いということで、それ自身有害ではないと思うのですが、合法的脱税の飯を以て釣らなければという言葉がありましたが、少し行き過ぎじやないかと思いまして、これは受益証券に対しては源泉において二割取るのです、株式配当ならば……、これは大体株式配当の性質を持つておるわけですが、株式配当なら無税のやつを二割取つております。それで無記名ですから、総合で申告する人は少いと思いますけれども、それはもう源泉で二割取られておる。総合の場合には一五%の控除をして、そうして総合になるわけですが、その総合のほうに行つた場合でも、これは所得階級にもよりますが、大体二割くらいの税金で行くのじやないか、こういう趣旨から源泉でむしろ二割引いちやつておるわけです。ですから脱税でなくて源泉で二割取られてしまつておる。そうこれは脱税的な措置だとは思われないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/46
-
047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはまあ見解の相違になりますから……。例えば東銀債がよく売れておるということもそういううま味があるからであつて、これによつて利益を得たときこれは譲渡所得になるのですか。讓渡所得みたいになると思うのですよ、株式の場合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/47
-
048・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 普通は配当所得ですね。最後になつてユニツトを解散する場合に、そのときに株が上つておれば何と言いますか、讓渡所得になるかも知れません。それでそれらを総合して今の課税になつておる、配当所得というふうになつて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/48
-
049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうなると讓渡所得税もかけなければいけないのじやないですか、本当は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/49
-
050・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 何か政府のほうからその点で御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/50
-
051・亀徳正之
○説明員(亀徳正之君) 只今の点についてお答え申上げます。受益証券の配当につきましては、一応配当所得であるか、或いはどうかという点が相当問題になるのですが、一応投資の対象の内容が主として株式に当てられておるということで、一応まあ配当所得にしよう、こう考えたわけであります。ただ併し今お話がありましたように、この投資の対象の中には純然たる株式の配当の分と、投資されました株が売買されまして売買による益があるわけです。いわゆるその分は当然ならばこれは讓渡所得として課税さるべきものである。ところがこれらの収益を受ける権利は受益証券という一つの証券に取りまとめられておりますので、その間を分割して課税することが非常に困難であります。実は配当所得でありますならば、御存じのようにシヤウプ勧告の線で配当所得の百分の二十五を総合しました総税額から引くことにいたしておりますわけですが、この投資の対象の中には、今申上げました配当に当る分と、それから売買益の讓渡所得に当る分と両方ございますので、百分の二十五の控除率ではございませんで、百分の十五の控除率にしました。そこで併せて今の問題も同時に解決したい。それで何故この百分の二十五を十五にしたかというこの根拠でございますが、これは実は今後の投資信託の内容がどういうふうなもので、又その収益のうちの何パーセントが一体売買の讓渡益から出て来るものであるか、配当によるものであるかということが、実はなかなか今後の問題でよくわからないわけです。それで終戰前までに実際行われました例をいろいろとつて見たのでありますが、非常にその例もまちまちでございますが、大体六〇%くらいがその配当である例が相当あるのでございます。従いまして非常にラフな算定でございましたが、百分の二十五に六〇%をかけますと百分の十五になるわけでございますが、大体收益のうちに配当に当るものが六〇%程度あるだろうという推定の下に、一応控除率を百分の十五ということにいたしたわけであります。従いまして受益証券に対して配当がありましたときには、当然先ほど御説明がありましたように、百分の二十の率で源泉徴收いたしますと共に、最後に全所得を総合しますときその総税額から配当所得の十五パーセントを控除すると共に百分の二十の率で源泉徴收した税額を控除することになるのであります。これは無記名ならば脱税の機会があるだろうとまあ通俗的には言われるのでありますが、少くとも税法を執行する我々といたしましては、一応総合するという建前で議論せざるを得ないのであります。その際には今言つた措置で操作しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/51
-
052・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは御説明は非常に理論的でわかるのですが、やはり東銀債がよく売れるというのは、そこに無記名であるといううま味があると思うのでありますが、ですからそこが、無記名であるというところが、この証券投資信託の一つの狙いだと思うわけです。で、まあ原則としてそういう形のものが多くなるということは、我々国民経済の観点から言つて好ましくないものだと思うのです。決していいことじやないと思うのですよ。ただ今度は資本蓄積の場合のプラスと比べてどつちがいいか、その場合には弊害があるけれども、資本蓄積にプラスするものがより大きいのならば、これは公平の観念は多少是正しても、抑制してもいたしかたないかと思うのですが、そこで私はいろいろなあれを勘案しましてどれだけプラスになるものかをはつきりしたいと思うのですが、そこで私は無記名といううま味があるだけではまだうまく行かないので、これの市場性ですか、マーケツタビリテイーですね、この点が非常に重要なんじやないかと思うのです。この市場性についてはどういう考慮が払われておるかお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/52
-
053・山本米治
○委員外議員(山本米治君) アメリカやイギリスなどでは非常に金額も多いし、市場性が十分あるようですが、日本で今始めようとすると、受益証券が取引所に上場されてどんどん売買されるということなかなか望めないと思うのです。それでこの市場性と言えば結局その委託会社がこれを買取る、又大衆投資家が受益証券が要らなくなつた場合には買取つてくれるということが、こういうことが一つの市場性だと思います。或いはこの受益証券を担保にして金融してくれる、こういうようなことが市場性であるわけですけれども、それは信託約款で買取りの制度を規定する場合もありましようし、規定しないかも知れませんが、我々としては買戻しを規定してくれることのほうが市場性から見て望ましいのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/53
-
054・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その場合解約したいという場合ですね、これはどうなんですか。まあ解約というのは、一部期限が来ないうちに解約したいというような場合、自由にできるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/54
-
055・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 個人が、或る一人が解約したいというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/55
-
056・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/56
-
057・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それはできないだろうと思うのです。そこで今解約したい、金がほしいというような場合には、今のように委託会社に買取つてもらうということか、或いは個人売買ができれば無論甲から乙へ売つてもいいわけですし、或いは担保に金を借りるという方法があればそれもまあ実質は得られると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/57
-
058・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると個人でなく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/58
-
059・松永義雄
○松永義雄君 ちよつと関連して……。今日御答弁願わなくてもいいのですが、解約の話が出たからお伺いします。受益者と委託者と受託者、これは三角関係ですが、この民法上の法律関係を次回までに一つ明確に願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/59
-
060・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 法制局のほうから一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/60
-
061・松永義雄
○松永義雄君 次回で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/61
-
062・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 今お答えになるところですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/62
-
063・松永義雄
○松永義雄君 次回でいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/63
-
064・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) これは法律上の関係は、いわゆる信託法に基いているわけでございまして、従いまして信託法の第一條にございまするように、財産権の移転その他の処分を委託者が受託者に対していたしまして、そうして受託者が一定の目的に従つて財産の管理処分を行う、こういうわけでございます。その場合に受託者は信託契約の定めるところに従いまして信託財産の管理或いは処分をすると、こういうことになるわけでございまするし、又その場合には受託者といたしましては信託の本旨に従いまして善良なる管理者の注意を以て信託事務を遂行しなければならないと、こういう義務を負うわけでございます。そうして信託が終了いたしました場合には、信託契約の定めるところに従いましてその信託財産は受益者或いは受益者がない場合には委託者或いはその相続人に帰属をするというような関係になるわけでございます。今の投資信託はこれは委託者が特定金銭信託として金銭を受託者たる信託会社に信託をいたしまして、そうして委託者が受託会社に対しまして指図をいたしまして、それを信託財産を証券投資に運用する。その得ました收益を受益者に対しまして帰属せしめる、こういつたような関係に相成るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/64
-
065・松永義雄
○松永義雄君 そう詳しく答弁して頂こうとは予想していなかつたのですが、委託者と受託者との関係は信託の中に含まれておると思うのですが、委任関係であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/65
-
066・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 委託者と受託者との関係でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/66
-
067・松永義雄
○松永義雄君 ええ、そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/67
-
068・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) これは直接の委任関係はございませんので、信託契約から出て参りまするところの受益権をいわば対価を払いまして受益者が買つておる、取得しておる、こういう形であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/68
-
069・松永義雄
○松永義雄君 委託会社は受託会社に対して第三者の受益者の利益のために関係を結んでいると、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/69
-
070・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) お話のように、第三者の利益のためにする契約を委託者と受託者との間において締結していると、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/70
-
071・松永義雄
○松永義雄君 時間がお晝ですから、木村さん御質問なすつているところを邪魔しては悪いと思うので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/71
-
072・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/72
-
073・松永義雄
○松永義雄君 次回にもう少し詳しく簡單率直に御答弁願いたいのですが、受益者と受託会社との関係、受益者とそれから委託者との関係、それから委託者と委託者の関係、その民法上の関係を或いはその他の法律関係を簡單に一つ。そこで解約とか兼業に対する委託会社の責任とか、いろいろな問題が発生して来る。その原則的のことから、條文に対して投資者の保護をすると、こういう趣旨は徹底されるかどうかということが確かめられて行く。その意味で前提をお聞きしているわけです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/73
-
074・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 今のお話はそういたしますと、受益者を中心にいたしまして、受益者が委託者或いは受託者とどのような法律関係に立つているかという点をお答え申上げればいいわけですか……承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/74
-
075・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほどの解約の問題ですが、部分解約というのはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/75
-
076・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 約款に当初からそういうことを規定して置けば或いはいけないこともないかと思いますが、今のところ部分解約はしない建前でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/76
-
077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから先ほどこれは換金性とか市場性の問題と結び付けて、銀行が受益証券を、これを担保として金融してくれるかどうか、これはどうなんですか。その可能性はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/77
-
078・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 銀行がそれをやつてくれれば結構ですが、むしろその委託会社が金融してくれるという場合が考えられるのじやないか。併しそれは約款に謳わなければ義務はないわけです。約款に謳えばそういうことをやることは差支えないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/78
-
079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは委託会社がやればいいでしようけれども、もつと銀行がやればなお市場性が出て来る。併し銀行がそういうところへ貸していいのですか。その点はどうですか。これは初めてでしようけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/79
-
080・山本米治
○委員外議員(山本米治君) これは銀行は貸すつもりになれば無担保信用貸でもできるわけですから、無論差支えないと思います。ただやつてくれるかくれないかは事実問題であつて、銀行が受益証無担保に貸そうというなら、これは一向禁止する法律はないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/80
-
081・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういうように定款に謳えば部分解約ができることになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/81
-
082・山本米治
○委員外議員(山本米治君) これは証券取引委員会のまあ内部規定の問題になりまして、今それをそういう型を承認する方針かどうかまだ伺つておりませんが、無論可能ではあると思います。併しそれはなかなかいろいろ複雑面倒ですから、やらない方針じやないかと思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/82
-
083・吉田晴二
○政府委員(吉田晴二君) 只今のところは、部分解約と申しますか、一部分の委託会社から受益者に対して買戻しをやるというような途によつて、そういう部分解約のような煩雑なことをしないでも、大体同じような効果を挙げられるわけでございますから、その部分解約までの規定を置いた信託約款というものを特に認める必要はないじやないか、又現在考えておる証券業者の意見を聞きましても、又信託会社の意見を聞きましても、まあそこまでの必要はないというようなことを聞いておりますので、我々としても大体まあ今のところ必要はないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/83
-
084・木村禧八郎
○木村禧八郎君 外国の例はどうなつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/84
-
085・吉田晴二
○政府委員(吉田晴二君) 只今アメリカの例でも、或いは英国の例でも最初に出発しておりますときは、大体只今申上げましたような部分解約を認めないというあれで進んで来ておりますが、だんだんこれが進歩して参りますというと、特にそういう一種の部分解約的なことがあるのでありますが、これもやつぱり結局はその会社が買戻すと、こういう形態をとつておるようであります。特にアメリカの先ほど山本先生が御説明になりましたミユーチユアル・フアンドの例で見て参りますと、これは大体皆その会社が買戻す、それによつて非常に市場性がついて出て来ておるということでありまして実際問題としても今の会社が買戻すということとが一番市場性の上においては有効な手段になつておるということになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/85
-
086・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今の実情では、まあ証券業者が買戻したんでは、そういうことになれば実際意味がなくなるわけですね、たくさんにそういうことが出て来ればですね。この市場性という点から見ますと、まあこれはやつて見なきやわからないでしようけれども、非常にまあ今までのお話ではそう普通の有価証券以上にこれが市場性が出て来るということはないわけですな。却つて取引所に上場されてもいないし、ですから、市場性という点からいうと、却つて限定されるかも知れませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/86
-
087・山本米治
○委員外議員(山本米治君) これは今後の見通しですから、やはりわかりませんが、非常にまあ解約者が多い、解約というか、金に換えたいという人が多いかどうかは、今後の問題ですが、前回戰時中にやつた経験を聞いて見ますと、非常にそういう種類の人は少かつた、極く数人あつたけれども、これは無論会社が買取つてそれで事は済んだと、こういうことですから、その買戻しの価格にもよりましようが、その点をそう心配する必要はないんじやないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/87
-
088・木村禧八郎
○木村禧八郎君 信託会社とのほうの関係は今後どうなりますか。現在の信託法では特定金銭信託は証券投資信託のような、委託者が大衆のために信託財産を運用するという場合も予定して作られていると、こういうふうに言われていますが、従つて将来は証券投資信託としての新らしい信託法概念の下に法律構成をしなければならないのじやないかと思うのですが、今の信託法との関係はどういうようになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/88
-
089・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 先ほどちよつと申上げましたように、信託契約におきましては、受託者は委託者のまあ要求と申しますか、要請に従つて信託財産を管理するということになつておりまするからして、従つてその管理の仕方につきましては信託契約によつて定めることができるわけでございます。従いまして只今の投資信託の場合には、その信託財産の投資の仕方につきまして委託者が指図をする、こういう内容のことを信託契約において謳うことは差支えない、こういうふうに考えております。従いまして特に信託法の改正というようなことを要せずして。現行の信託法のままで、投資信託、今考えておりまするような投資信託契約ができ得るものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/89
-
090・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その場合、信託会社の特定金銭信託をやる人の利益が害されるようなことはないですかね、そういう場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/90
-
091・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それは併立するので、差支えない。その或る個人又は数人の者がこうこういう有価証券を買つてくれという信託は、従来通りできるわけであります。ただこれを不特定多数の者にその受益権を分配するという形になると、これは投資信託になるわけであります。併立するわけだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/91
-
092・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですか。どうも委託者と受託者の、さつきの松永さんの御質問ですが、委託者と受託者との信託関係はそれはどういうことになるのですかね。特定金銭信託で信託会社が資金を運用するという場合に、投資信託によつて、例えば特定の証券会社が信託会社とその特定金銭信託の運用ですが、契約しますね、そのときに他の特定金銭信託に影響がないかどうかという問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/92
-
093・堀合道三
○法制局参事(堀合道三君) 信託契約は信託契約ごとに信託財産の管理を受託会社はいたしますから、従つてこの投資信託契約が他の金銭信託の財産と混同されるとか、或いはそつちのほうの利益を害するというような心配はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/93
-
094・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/94
-
095・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 私からもちよつと伺いますが、受益証券の発行者は委託者ですか、受託者ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/95
-
096・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それにいろいろな場合があるのでありまして、普通の場合に委託者と考えられる。つまり委託者が一億なら一億のユニツトを信託会社へ信託する、そうして委託会社が当初受益者となつて、その受益権を分配する、五千円なら五千円の單位で分配するという形の場合には、委託者が発行する。こういうことになりますし、又いきなり信託会社と大衆と信託契約を結ぶという形にする場合には、その信託会社が受益証券を発行する、こういうことになります。両方の場合があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/96
-
097・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 先のほうの場合は、普通信託関係を考えられますが、あとのほうの受託会社が直接受益証券を発行するというのは、法律上どういうふうに解釈するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/97
-
098・亀岡康夫
○説明員(亀岡康夫君) 只今の御質問にお答えいたしますが、第二の受託者が受益証券を発行する場合、これは信託契約に基きまして委託者が信託財産を受託者は設定する、そういたしますと、その信託契約に基いて当然受益権というものが発生するので、その受益権の発生した場合に、これを委託者に帰属させるか、それとも信託契約によつて一般大衆に直ちに帰属せしめるか、この信託契約の結び方によりまして、後者の一般大衆に直ちに受益権を発生させる、こういう方法をとつた場合には受託者が受益証券を発行する。こういうふうになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/98
-
099・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) そうすると、受益証券の発行は、信託契約を結ぶ前に募集をやるのですか、それとも信託契約がちやんとできた後に受益証券を発行して売り出すというようなことをなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/99
-
100・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それも両方の場合がありまして、あらかじめ、つまり予約のような形をとつて置くという場合と、いきなりから受益証券を買うという形の場合と、両方あると思います。予約の形で先ず五千万円なり一億なりというユニツトを集めて、そうしてで委託会社が信託会社と信託契約を結ぶという場合もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/100
-
101・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) そうすると、初めから受益証券を発行してやるという場合にも、やつぱり受託者がこの証券を発行し得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/101
-
102・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 初めからというと、どういう場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/102
-
103・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 信託契約が成立して、そして受益証券を発行する場合には、受託者が受益証券を直接発行し得ると思うのでありまするが、そうでなくて、信託契約も結ばない先に受益証券を発行するという場合に、将来受託者になるべきものが受益証券を発行し得るかどうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/103
-
104・山本米治
○委員外議員(山本米治君) まだ信託契約が結ばれない先に発行するということはできないでしようね。そういうときには仮証券とか何とか、こういうことなら考えられますが、信託契約をしなければ受益権が発生しない。従つて本当の受益証券というものはあり得ないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/104
-
105・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 私どうも受託会社が直接受益証券を発行するというのはちよつと解しにくい。又どうしてもそうしなければならん理由がどこにあるか、ちよつとわかりかねますが、どうしてそういうことを認めるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/105
-
106・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それは先ほども申しましたように、実際の場合は委託者が受益証券を発行するのは大部分の場合だと思う。この法律構成としては、その受益権を当初の委託者に……、一遍当初の受益者としないで、信託契約においていきなり一般大衆を受益権者とするという信託契約を結ぶということは法律上可能だと思うのです。そういう場合には受託者が受益証券を発行する、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/106
-
107・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 私ちよつと法律関係はわかりかねますが、その必要が実際上そういう方法をとる便宜は何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/107
-
108・亀岡康夫
○説明員(亀岡康夫君) 只今の御質問でございますが、これは戰時中の例を申上げますと、委託会社が受益証券を発行した例が非常に多かつたようなことになつております。この理由は証券会社が発行したほうがいいか、信託会社が発行したほうがいいか、これは信用の問題でありまして、信託銀行が発行したほうがその受益証券に信用力を持たせられるというようになりますと信託銀行で発行する。そうでなしに非常にこれが普及して参りまして、証券会社のほうに発行させたほうが一般大衆の魅力があるということになりますと証券会社が発行する。こういうふうに実際問題で解決されるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/108
-
109・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 私は戰時中の制度はよく知りませんけれども、この場合には今度のような、委託者を限定して非常に信用度強固な者にやらせるという制度がなかつたからして、受託者にそういうことをやらせる、こういうのが今度はむしろ委託者を非常に限定して資本金も五千万円以上なければならんというようにした場合は、むしろ委託者のみに発行を認めるというほうが適切でなかろうかと思われますが、如何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/109
-
110・山本米治
○委員外議員(山本米治君) その通りだと思いますが、ただ法律上は受託者が発行する場合何もその途を塞ぐという必要もなかろうと思います。ですから両方でできることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/110
-
111・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこのところですね。最後の損失が生じたときの責任の帰属ですね。信託会社が受益証券を発行すれば信託会社が最後の責任者になるわけですね。委託会社が発行する場合は委託会社がなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/111
-
112・山本米治
○委員外議員(山本米治君) 責任の所在と言われると……これはもう株の値段が下れば下つた……、それはその投資の指図の方法が悪かつたというようなこともあるかも知れませんけれども、それは仕方のないことであつて、責任というのは損失をカバーするという意味ならば誰もカバーするものはない。結局大衆が損するということになるだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/112
-
113・木村禧八郎
○木村禧八郎君 併し実際には委託者が信託会社を受託者として、そうしてその運用は委託者が信託会社に指図する。そうしますと、それは指図をするということは、結局委託者が運用するということ、実質においてはそういうことになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/113
-
114・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/114
-
115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると手続上の問題ですか。信託契約をするということは、実質は証券業者がやることになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/115
-
116・山本米治
○委員外議員(山本米治君) そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/116
-
117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこに信託契約というものが一つ入つて来るのですね、その信託契約が入つて来るということは実質的にどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/117
-
118・山本米治
○委員外議員(山本米治君) それは有価証券の一億なり何なりというものは相当厖大なものであつて、それを嚴重に保管管理しなければならんわけです。ですから信託会社というものはカストーデイアンとして役目を務める、受身で、信託会社の役目というものは受身であつて、委託者は証券会社にあれを買え、これを売れという指図をし、証券会社が、それを忠実に守る、その証券の一部現金の場合もありますが、それを忠実に確実に保管するという役目を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/118
-
119・木村禧八郎
○木村禧八郎君 保管というだけですか、何か法律的にそういう行為は信託契約をやらないとできないというところがあるのではないですか。実質的に委託会社が、証券業者がやるのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/119
-
120・山本米治
○委員外議員(山本米治君) これは信託法上においては受託者となるが、信託公社以外には法律上できなことになつております。法律上委託者が受託者になることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/120
-
121・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この問題は今日は打切りにして、実は提案があるのですが、先般五月十七日にマーケツトの日米経済協力の声明がありますね。これについて今我が大蔵委員でも相当検討すべき点が多々あると思います。それで安本、大蔵、外務等の、殊にこれは大蔵委員会としての関係するような事項についてこの際検討を加える必要があると思うのですが、そういう方面から委員会に出席を求めて審議する時間を與えて頂きたい。こう思うのですが、お諮り願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/121
-
122・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 油井君の御意見如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/122
-
123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その前にちよつと、この法律案の審議に関連しまして、レギユラー・ウエイの問題ですね。これについて当局から実情を伺いたいのですが、この会合を與えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/123
-
124・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) それではちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/124
-
125・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて。
本日はこれを以て散会いたします。
午後零時二十二分散会
出席者は左の通り。
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
木内 四郎君
委員
黒田 英雄君
吉田 法晴君
佐多 忠隆君
松永 義雄君
小林 政夫君
高橋龍太郎君
油井賢太郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
委員外議員
山本 米治君
政府委員
証券取引委員会
事務局長 吉田 晴二君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
法制局側
参 事
(第一部第二課
長) 堀合 道三君
説明員
大蔵事務官
(大蔵省主税局
税制課勤務) 亀徳 正之君
証券取引委員会
事務局総務課長 亀岡 康夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014629X03919510522/125
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。