1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十一日(月曜日)
午前十一時四十六分開会
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本日の会議に付した事件
○高圧ガス取締法案(内閣提出)
○ニッケル製錬事業助成臨時措置法案
(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/0
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001・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) これより通産委員会を開会いたします。
高圧ガス取締法案を議題に供します。質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/1
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002・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見のおありの方はこの際にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/2
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003・栗山良夫
○栗山良夫君 私は高圧ガス取締法案の原案に対しまして、一部次のように修正をいたすことの提案をいたしたいと思います。
第七十條の中で「一回に限り、」という字句を削除をいたしたいと存じます。右提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/3
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004・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/4
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005・栗山良夫
○栗山良夫君 それでは、只今の修正並びにこの法案に対しまして意見を申述べたいと存じます。
先ず最初に、第七十條の修正に関する意見を申上げます。この法律案が如何なる目的を以て成案をしようとしていますかは、すでに政府において提案趣旨の説明の中において詳しく述べられておるのでありまして、私はかような意味におきましては、この法律案が一刻も早く可決になりまして、そして、我が国の高圧ガスの進歩発達に寄與いたしまして、産業経済のために大いに貢献せられんことを期待してやまないものであります。ただ第七十條におきましては、原案に「学識経験のある者のうちから任命された会長及び委員の任期は、六箇月とする。但し、一回に限り、再任を妨げない。」とあるのであります。第六十九條によりますると審議会の委員は三十名を限度にいたしておりまして、而も政府の御説明によりますると関係行政機関の職員はこの三十名のうち約十名を予定せられておりまして、残余の二十名は学識経験者の中から選ばれることになつておるようであります。そういたしますると、こういうような学識経験者の委員会に占めまする発言力或いは審議会の審議を効果あらしめますためには、当然任期というものは非常に重要を帯びて参るのであります。私が修正案を提案いたしました第一の理由は、高圧ガスの保安に関する問題につきましては御案内の通りに有機化学の分野に主としてあるのでありますが、非常な勢を以て只今進歩いたしつつあるのであります。そうしてこういうような最も斬新、科学の粋を集めて行われますところの問題につきましては、最も権威ある学識経験者がこの委員に参加せられることが望ましいと思うのであります。然るに原案のごとくにその任期を六ヵ月といたしまして、而も一回に限り再任を妨げないということになりますと、ぜいぜい一ヵ年を限つて再任できないことになるわけでありまして、こういうような工合にいたしますると、一ヵ年ごとに委員の更新をして参るということになりまするというと、恐らく日本の国内におきまして学識経験者として権威ある人はそんなに多数あられるわけではないと思いますので、遂にはこの審議会の権威を保ち、そうして高圧ガスの保安に関する十分なる効果を挙げまするような委員会の構成にも非常に差支えを生じて来るというようなことが懸念されるわけであります。従つてこれを極言いたしまするならば権威をだんだん失墜いたしまして、形式的な機関に堕する虞れなしとしないのであります。こういう観点からいたしまして、私どもは必要とありまするならば権威ある学識経験者につきましては何回でもこの審議会に席を持たれまして、そうして十二分に本法案の目的の達成のために協力を願う、こういう意味におきまして私は一回限りという再任刷限の規定を削除すべきであると考えたのであります。
それから第二の理由といたしましては、こういう高度の技術を検討いたしまする委員会におきましては、その問題は必ずしも短期間を以てその全部を盡すことはできないのでありまして、六ヵ月、一年或いは二年というような長期に亘りまして同一の方が專心これに協力願いまして、初めてその完全なる結論を把握することができるのではないかと思うのであります。従いまして一つの案件を與えましてそれを数人の人が交替をいたしまして取上げるというようなことになります。るというと、徒らに時日を遷延するのみでなく、その結論も又完全なものを得られかたくなるのではないかと考えるのであります。従いまして私は、学識経験者として権利者の方が一つの重要な問題に取組まれまして、飽くまでも責任を以てその完全なる結論を出して頂く必要があろうかと存ずるのであります。これも私が修正案を提案いたしました重要なる理由になるわけであります。
以上二点を以ちまして私の修正案提出に対する理由といたすわけでありますが、この七十條の修正事項を除きまして、そのほかの残余の全部につきましては私は賛成をいたすものであります。以上意見を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/5
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006・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) ほかに御方言はございませんか……ほかに御意見もないようでございまするから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/6
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007・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それでは高圧ガス取締法案について採決をいたします。
先ず討論中にありました栗山君の修正案を議題に供します。栗山君提出の修正案に賛成の方の御挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/7
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008・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 全会一致でございます。よつて栗山君提出の修正案は可決されました。
次に只今採決されました修正にかかる部分を除いて内閣提出にかかる高圧ガス取締法案全部を議題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の御挙手をお願いいたします。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/8
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009・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて高圧ガス取締法案は全会一致を以て修正議決されました。
なお本会議における委員長の口頭報告百の内容は本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容並びに本委員会における質疑応答の要旨、討論修正の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願いたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/9
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010・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので本案と可とされる方は順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
境野 清雄 廣瀬與兵衞
西田 隆男 上原 正吉
島 清 小松 正雄
栗山 良夫 山川 良一
小野 義夫 加藤 正人
結城 安次 古池 信三
駒井 藤平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/10
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011・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 次にニツケル製錬事業助成臨時措置法案を議題に供します。同法案に対する提案趣旨の説明を通産大臣からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/11
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012・横尾龍
○国務大臣(横尾龍君) ニツケル製錬事業助成臨時措置法案の提案理由を御説明いたします。
申すまでもなくニツケルは特殊鋼、電気通信機械、造船、輸出製品のメツキ用その他各種の重要な用途に可欠の基礎物資でございますが、遺憾ながら我が国の国内資源には見るべきものがなく輸入に待つ以外用途がない状況でありますところ、重要な戰時物資として現に米国はじめ各国で輸出統制が嚴格に実施されておりまして、十分な輸入は極めて困難であり、昨年下期以後需給の甚だしい逼迫を示しておりますることはすでに御承知の通りでございます。ただ幸いに我が国は戰時中セレベス、ニユーカレドニア等のニツケル鉱石を国内におきまして処理いたしました経験と技術を有しております。当時の設備も尚残存いたしておりますし、原料鉱石の輸入につきましても現にこれらの地区をはじめ相当な引合が参つておるような次第でございます。併しながら、我が国において輸入鉱石による国内製錬を実施いたしまする場合には、世界の総生産量の八割以上を占めまするカナダの場合等に比較いたしまして、生産量におきましても、生産原価におきましても格段の相違がございますため、将来情勢の変化により低廉なこれらの外国産ニツケルが十分に輸入されますようになりました曉には、たとえ我が国の製錬業者が如何に努力いたしましても到底立ち行かないという競争上の不利と大きな危険があるのでございます。今日ニツケルの国内市価は非常な高値を呼んでおりまするにもかかわらず、新規の企業は申すに及ばず過去において十分の経験と技術を有する製錬業者といえどもあえて事業を再開し得ない最も根本的な理由は実にここに存するのでございます。以上のような事情に鑑みまして、政府といたしましてはこの際臨時にニツケル製錬事業に対する助成措置を講じまして緊急にニツケルの増産を図り、以て国民経済の発展に寄與するために本法案を提案いたしました次第でございます。
以下本法案の骨子につきまして、簡單に御説明申上げます。先ず通商産業大臣は、本法に定める一定の基準に従いまして、申請のあつた業者のうちから助成の対象となるべき製錬業者を指定することにいたしておるのでございます。この指定をうけました業者に対しましては、その生産したニツケルを政令で定める価格を超えない価格で販売し、その一トンごとに政令で定める金額を特別に積み立てるべき義務を課しておるのでございます。この積立金が製錬設備の復旧及び必要な原料鉱石の買付のために投下しました資金の額に達するまで積立てられましたならば、企業の危険は完全にカバーされ得たわけでありますが、積立の中途におきまして国際情勢が一変し、低廉な外国産ニツケルが十分に輸入されるようになるか、若しくは鉱石の輸入が、杜絶するか、その他これに類するような事態が発生しまして止むを得ず事業を廃止いたさねばならんことになりました場合には、廃業による損失額、即ち製錬設備、附帯設備及び手持鉱石につきまして、本法に定める方法により評価損を算定いたしました上で、これを先ず業者みずからの積立金で補充させ、不足する部分を国家が補償金として交付するということにいたしましたわけでございます。従つて補償の條項は万一の場合にのみ必要なものなのでありまして、積立金が投資額で積立てられました後は勿論補償の要はないわけであります。もとより政府といたしましては、国の負担を軽減し又は補償の必要が現実に起らないようにするた め建設費の節減を措置するほか、積立の早期完了等の措置について充分考慮する方針でございます。
なお指定業者に対しましては、本法によつて最悪の場合の危険負担を国家が保証するわけでありますから、政府といたしましては、事業計画の内容の重要な部分の変更を認可制といたしますほか、違反の場合の指定の取扱、必要な報告の徴収等、十分な監督をなしうるための規定を設けますと共に、政府の処分に不服のある場合の不服申立の機会をも與えまして、本法を公正に施行するため万全を期しておる次第でございます。
以上本法案の提案理由及び内容の骨子につき概略御説明申し上げた次第でございますが、何とぞ以上の趣旨をお汲みとり頂きまして、慎重御審議の上速かに本法案を可決せられますようお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/12
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013・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) なお輸入ニツケル対策につきまして通産省振興局長より発言を求められておりますからこれを許可いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/13
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014・井上尚一
○政府委員(井上尚一君) 只今の法律案に関連いたしまして一言お願いを申上げたいのであります。先週の金曜日に司令部のほうからヌモラソンダムが参りまして、その内容は、米国より特需用原料といたしまして金属ニツケルを日本の援助物資特別会計を通じて日本に輸入をする、そうしてこの金属ニツケルを援助物資特別会計よりすぐに緊
要物資輸入基金特別会計にこれを譲渡する、そうしてこの緊要物資輸入基金特別会計に入りました金属ニツケルを、日本政府の方から特需の発注証明書を有する業者に限つてこれを譲渡する。この譲渡の値段は輸入のコトスに適当にリーゾナブル・チャージを加えたものとするという大体骨子のメモランダムでございますが、この点につきまして一つ問題があるのであります。と申しますのは輸入金属ニツケルの値段は今日の状況といたしましては、運賃保険料を加えましたいわゆるCIFジヤパンで以てトン当り四十万円程度でご さいます。これにチヤージを加えたといたしましても結局四十五万円程度の金額にたるわけでありますが、これに対しましてニツケルの国内市場相場は今日トン当り三百万円以上になつておるような状況であります。結局政府といたしましては緊急物資特別会計に入りました米国の金属ニツケルを、国内相場に比べまして遙かに安い値段で以てこれを事業者に提供するということに相成りますので、これは国の有する物資については適正なる値段でこれを売らなければならないということを原則といたしまする財政法第九條の、明瞭なる例外ということに相成ります。この財政法の第九條の例外につきましては従来は、物品の無償貸付及び譲與等に関する法律というのがございまして、この法律の第三條におきまして、「物品を国以外のものに譲與又は時価よりも低い対価で譲渡することができるは、他の法律に定める場合の外左に掲げる場合に限る」という條項がありまする関係上、どうしてもこの際新律法律案を必要とするということに相成る次第でございます。こういうふうに、今後日米経済協力の一環となります特需の原料について米国からの日本への供給という問題で、このニツケルが第一番目の物資になりますわけでありますが、今後いろいろ追加しまして司令部当局の方ではこれ以外の品目につきましても逐次追加して行く意向のようであります。こういう関係上援助物資特別会計を以ちまして、金属会計の方に入つて参ります物資を特需の発注証明書を要します業者にこれを市よりも安い値段で以て供給するケースが、逐次生じて参る可能性があります関係上、この際その受入態勢としましてこういう法律、即ち件名としましは一応緊要物資の売払等に関する法律案というようなものを今政府の方では準備中でございますので、近い機会にこの委員会の方に提案して、この委員会等で御審議をお願いするように相成ろうかと存じますが、一応この機会を拝借しましてお願いを兼ねまして御報告申上げましたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/14
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015・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) 他に御発言ございませんか……。それでは本日はこの程度で閉会いたしたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/15
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016・栗山良夫
○栗山良夫君 このニツケル製錬事業 助成臨時措置法案は三月のときにも一応問題になつておつて、当時私どもも 資料の整備をお願いしておいてそのままになつておると思います。今度正式に提案になつたわけでありますが、その点はこの前と同じように一つお願いしたいと思います。それからあといろいろありますが次回に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/16
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017・深川榮左エ門
○委員長(深川榮左エ門君) それではこれで散会いたしまして、午後は一時から公聴会になつておりますのでどうぞお含み置きをお願いいたします。
午後零時十一分散会
通商産業委員会
委員長 深川榮左エ門君
理事
廣瀬與兵衞君
古池 信三君
栗山 良夫君
結城 安次君
委員
小野 義夫君
上原 正吉君
小松 正雄君
島 清君
加藤 正人君
山川 良一君
駒井 藤平君
西田 隆男君
境野 清雄君
国務大臣
通商産業大臣 横尾 龍君
政府委員
通商産業省通商
振興局長 井上 尚一君
通商産業省通商
化学局長 長村 貞一君
資源庁長官 始関 伊平君
事務局側
常任委員会專門
員 山本友太郎君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014793X03119510521/17
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