1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月二十四日(土曜日)
午後二時十五分開会
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本日の会議に付した事件
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○教育職員免許法施行法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
○宗教法人法案(内閣提出・衆議院送
付)
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001・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。日程第一、教育職員免許法の一部を改正する法律案、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案これを上程いたします。質疑のおありのかたは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/1
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002・若木勝藏
○若木勝藏君 この関係なんですが、教育職員免許法の一部を改正する法律案のほうの第四條第六項中「及び宗教に改める。」とこの科目にこれは宗教をいれることになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/2
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003・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 現行主要科目のうちに宗教を新たに加えるわけでありますが、ただ適用しますのは私立学校関係だけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/3
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004・若木勝藏
○若木勝藏君 そうしますというと、これは教育基本法の宗教教育というところには牴触しないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/4
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005・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 教育基本法に抵触しないように私立学校だけに限つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/5
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006・若木勝藏
○若木勝藏君 それでわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/6
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007・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこの二法案の質疑は次回で終了する予定にいたしまして、次に日程に追加して宗教法人法を上程いたします。前回は逐條審議、第四章第三十一條まで済んでおりまするが、今日は第五章第三十三條から逐條審議を始めます。大臣に対する総括質問はまだ残つておりまするが、これは火曜日に一括して行いたいと思います。今日は逐條審議三十二條から始めます。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第五章合併
(合併)
第三十二條 二以上の宗教法人は、合併して一の宗教法人となることができる。
(合併の手続)
第三十三條 宗教法人は、合併しようとするときは、第三十四條から第三十七條までの規定による手続をした後、その合併について所轄庁の認証を受けなければならない。
第三十四條 宗教法人は、合併しようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九條の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。
2 合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から二週間以内に、財産目録及び第六條の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない。
3 合併しようとする宗教法人は、前項の期間内に、その債権者に対し合併に異議があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には各別に催告しなければならない。
4 合併しようとする宗教法人は、債権者が前項の期間内に異議を申し述べたときは、これに弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
第三十五條 合併に因つて一の宗教法人が存続し他の宗教法人が解散しようとする場合において、当該合併に伴い規則の変更を必要とするときは、その合併後存続しようとする宗教法人は、規則で定めるところにより、その変更のための手続をしなければならない。
2 合併に因つて宗教法人を設立しようとする場合におやては、その合併しようとする各宗教法人が選任した者は、共同して第十二條第一項及び第二項の規定に準じ規則を作成しなければならない。
3 前項に規定する各宗教法人が選任した者は、第三十八條第一項の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、前項の規定により作成した規則の案の要旨を示して合併に因つて宗教法人を設立しようとする旨を第十二條第二項に規定する方法により公告しなければならない。
第三十六條 第二十六條第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、合併しようとする宗教法人が当該合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合に準用する。この場合において、左の各号に掲げる同條各項中の字句は、当該各号に掲げる字句に読み替えるものとする。
一 第一項後段中「当該関係の廃止に係る規則の変更」とあるのは「当該関係の廃止に係る規則の変更その他当該関係の廃止」
二 第二項中「第二十七條」とあるのは「第三十八條第一項」、「当該規則の変更の案」とあるのは「被包括関係の設定又は廃止に関する事項」
三 第三項中「第二十七條」とあるのは「第三十八條第二項」、「前項」とあるのは「第三十四條第一項」
四 第四項中「被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続」とあるのは「被包括関係の廃止を伴う合併の手続」、「前三項」とあるのは「第三十四條から第三十七條まで」
第三十七條 合併に伴い第三十五條第三項又は前條において準用する第二十六條第二項の規定による公告をしなければならない場合においては、当該公告は、第三十四條第一項の規定による公告とあわせてすることを妨げない。この場合において、第三十五條第三項の規定による公告を他の公告とあわせてするときは、合併しようとする宗教法人と同項に規定する各宗教法人が選任した者とが共同して当該公告をするものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/7
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008・高橋道男
○高橋道男君 三十五條の第一項でありますが、これは存続する法人が、規則を作つて、その手続をすることになると思うのでありまするが、その場合解散する法人のほうについては、規則の面にどういうふうに現わすのであるか、それを伺いたい。或いは規則の上か、或いは手続の面について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/8
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009・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 三十五條一項の場合の合併につきましては、規則の変更を伴うようなもののみの規定でございまして、二つの宗教法人が合併して存続する場合のほうの規定の上に変更を生ずる場合を予想しての規定でございまして、解散をするほうの宗教法人の規則上に何らの変更を生じない場合には、そのままここでは何らの手続を必要としないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/9
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010・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、この一つの項だけについて申すと、解散する側の法人が全然手続を何もしないということに考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/10
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011・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通り、この項だけにつきましてはしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/11
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012・高橋道男
○高橋道男君 次に第三項でありますが、合併によつて宗教法人を設立するという文句から考えましても、二つ或いはそれ以上の宗教法人が合併によるということには、形式上からいうと中断する時期ができることは考えられるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/12
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013・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 合併しようとする二つ以上の宗教法人が、実質上一つの法人になる場合における手続といたしまして法人的な手続といたしまして合併という形を利用するわけでございます。従つて形式上只今の空間、間隙があるかという点は、観念上の問題としてはあり得るわけでございますが、実質上には財産の継承等の規定がのちに出て参ります。従つて観念的にはあつても実質的にはない、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/13
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014・高橋道男
○高橋道男君 その点二項のところも、「その合併しようとする各宗教法人が選任した者」というのは、これはそれぞれの宗教法人の代表役員とか、責任役員というものは別なわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/14
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015・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 或いはその代表役員、責任役員がなる場合もございましようし、或いは別な場合もあり得ようと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/15
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016・高橋道男
○高橋道男君 少し前へ帰るようですけれども、関連がありますのでお伺いしますが、三十四條の第一項に現われておりまする合併契約の案というものと、それから第三十五條の改めて作る場合の規則というものとは、勿論合併契約のほうが時間的にいえば先でありましようけれども、合併契約即規則というようなことも考えられるように思うのですけれども、その点は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/16
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017・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 第三十四條の合併契約と申しますのと、三十五條の三項等に規定しております規則の案、この相互関係についての御質問でございますが、実体的には契約が成立いたしますと、その契約の内容が規則の中に盛られるという意味合の下に相互関係はあろうかと思います。併し契約の案と、それから規則の案とはその性質が違うのでありまして、いわゆる二つの法人格が一つになろうという場合の、いわば法律的な新らしい宗教法人を作ろうとする契約関係と、新らしい宗教法人が持つであろうところの規則というものとは、将来その規則で以て宗教法人の存立を基礎ずける規則でございますから、性質が違つたものと考えておりますが、契約の内容が重要な部面については、規則の中に表現されて来るという限りにおきまして関連があろうかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/17
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018・高橋道男
○高橋道男君 私の言葉を補足いたしたいと思いますが、このような規則で合併するのだということに対して、その点については一致するのじやなかろうかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/18
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019・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 実質的にはお論の通りと思いますが、例えば合併契約の場合におきましては、主体が二以上の宗教法人が合併する場合、今度規則のほうは、新らしく生まれるだろうところの宗教法人の母体である宗教法人間の債権、債務もございます。或いは相互関係の債務関係とか、或いは履行関係とか、そういう関係が合併契約に盛られるだろう。併しその後にできますところの新らしい宗教法人の規則には、そういつた実体関係を抜きにしたその後における宗教法人の運営或いは財産管理、こういう面における規則がそこに定められると予想される次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/19
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020・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは三十八條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(合併の認証の申請)
第三十八條 宗教法人は、第三十三條の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及び第三十五條第一項の規定に該当する場合にはその変更しようとする事項を示す書類三通に、同條第二項の規定に該当する場合にはその規則二通に、左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 合併の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九條の規定による手続)を経たことを証する書類
二 第三十四條第一項の規定による公告をしたことを証する書類
三 第三十四條第二項から第四項までの規定による手続を経たことを証する書類
四 第三十五條第一項又は第二項の規定に該当する場合には、同條第一項又は第二項の規定による手続を経たことを証する書類
五 第三十五條第二項の規定に該当する場合には、合併後成立する団体が宗教団体であることを証する書類
六 第三十五條第三項又は第三十六條において準用する第二十六條第二項の規定による公告をしなければならない場合には、当該公告をしたことを証する書類
七 合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合には、第二十六條において準用する第二十六條第三項の規定による承認を受け、又は同項の規定による通知をしたことを証する書類
2 前項の規定による認証の申請は、合併しようとする各宗教法人の連名でするものとし、これらの宗教法人の所轄庁が異なる場合には、合併後存続しようとする宗教法人又は合併に因つて設立しようとする宗教法人の所轄庁をもつて当該認証を申請すべき所轄庁とする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/20
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021・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 三十九條から四十二條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(合併の認証)
第三十九條 所轄庁は、前條第一項の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四條第一項の規定に準じ当該合併の認証に関する決定をしなければならない。
一 当該合併の手続が第三十四條から第三十七條までの規定に従つてなされていること。
二 当該合併が第三十五條第一項又は第二項の規定に該当する場合には、それぞれその変更しようとする事項又は規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
三 当該合併が第三十五條第二項の規定に該当する場合には、当該合併後成立する団体が宗教団体であること。
2 第十四條第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同條第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「当該合併が第三十五條第一項又は第二項の規定に該当する場合には認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類又は規則」と読み替えるものとする。
3 第一項又は前項において準用する第十四條第四項の規定による宗教法人に対する所轄庁の通知及び認証書等の交付は、当該認証を申請した宗教法人のうちの一に対してすれば足りる。(合併の認証に関する再審査及び訴願)
第四十條 第十六條の規定は、前條第一項の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十六條第二項第二号及び第三号中「第十四條第一項」とあるのは「第三十九條第一項」と、「当該規則」とあるのは「当該合併」と、同項第三号中「その受理した規則」とあるのは「その受理した変更しようとする事項を示す書類又は規則」と読み替えるものとする。
2 第十七條の規定は、前項において準用する第十六條第二項第三号の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十七條第五項中「当該訴願に係る規則」とあるのは「当該訴願に係る合併」と、「認証した旨を附記した規則」とあるのは「当該合併が第三十五條第一項又は第二項の規定に該当する場合には認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類又は規則」と読み替えるものとする。
(合併の時期)
第四十一條 宗教法人の合併は、合併後存続する宗教法人又は合併に因つて設立する宗教法人がその主たる時務所の所在地において第五十七條の規定による登記をすることに因つてその効力を生ずる。
(合併の効果)
第四十二條 合併後存続する宗教法人又は合併に因つて設立した宗教法人は、合併に因つて解散した宗教法人の権利義務(当該宗教法人が第六條の規定により行う事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/21
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022・高橋道男
○高橋道男君 三十九條の第三項でありますが、所轄庁の通知及び認証書の交付につきましては、第三十八條の第二項を見ますと、合併しようとする宗教法人の連名で認証の申請をするわけでありますから、これは解散するものと存続するものがある場合においては、解散するものも連名すると思うのでありますが、その点が一点と、それからその場合に通知、交付を受けるのはその解散する法人であつてもよろしいのか。その点が十分実情に沿わない、何か変な感じがしますので、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/22
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023・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 初めのほうの御意見はその通りでございます。後段の御質問につきましては、これは認証を申請する場合においては、恐らく、解散をする場合の多くの場合につきましては、規則その他の関係は変更がないのが普通じやないかと思います。それから、ありましてもその場合につきましては当該両者に交付するのが当然と思いますが、例えば地理的に非常に遠く離れておるとか、そういつた関係も考慮しまして、そのうちの一に対してやればよろしいということにしておるわけであります。この実益は登記等の関係がありまして、時日を遷延するような慮れもあります。或いは地理的に距離を隔てておる場合におきましては、その到達の関係等も考慮しまして、成るべく合併の効果を早からしめるという意味合いの下に、それを「一に対して」するということに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/23
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024・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと第三項の適用は、これは方針としては連名したそれぞれに交付をするのだけれども、たまたまそれが一であつてもそれが無効にならない、そういう意味に解釈していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/24
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025・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/25
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026・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第六章解散、第四十三條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第六章 解散
(解散の事由)
第四十三條 宗教法人は、任意に解散することができる。
2 宗教法人は、前項の場合の外、左に掲げる事由に因つて解散する。
一 規則で定める解散事由の発生
二 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く。)
三 破産
四 第八十條第一項の規定による所轄庁の認証の取消
五 第八十一條第一項の規定による裁判所の解散命令
六 宗教団体を包括する宗教法人にあつては、その包括する宗教団体の欠亡
3 宗教法人は、前項第三号に掲げる事由に因つて解散したときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/26
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027・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 次に四十四條、四十五條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(任意解散の手続)
第四十四條 宗教法人は、前條第一項の規定による解散をしようとするときは、第二項及び第三項の規定による手続をした後、その解散について所轄庁の認証を受けなければならない。
2 宗教法人は、前條第一項の規定による解散をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九條の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告しなければならない。
3 宗教法人は、信者その他の利害
関係人が前項の期間内にその意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しなければならない。(任意解散の認証の申請)
第四十五條 宗教法人は、前條第一の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九條の規定による手続)を経たことを証する審類
二 品別條第二項の規定による公告をしたことを証する書類発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/27
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028・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 四十六條から四十八條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(任意解散の認証)
第四十六條 所轄庁は、前條の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る解散の年続が第四十四條の規定に従つてなされているかどうかを審査し、第十四條第一項の規定に準じ当該解散の認証に関する決定をしなければならない。
2 第十四條第二項から第四項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同條第四項中「認証書及び認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証書」と読み替えるものとする。(任意解散の認証に関する再審査及び訴願)
第四十七條 第十六條の規定は、前條第一項の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十六條第二項第二号及び第三号中「第十四條第一項とあるのは「第四十六條第一項」と、「同項各号に掲げる要件」とあるのは「同項の規定による認証の要件」と、「当該規則」とあるのは「当該解散」と、同項第三号中「その受理した規則及びその添附書類」とあるのは「その受理した添附書類」と、「これらの要件」とあるのは「当該要件」と読み替えるものとする。
2 第十七條の規定は、前項において準用する第十六條第二項第三号の規定による認証することができない旨の決定に対して異議がある場合に準用する。この場合において、第十七條第五項中、「当該訴願に係る規則」とあるのは「当該訴願に係る解散」と、「認証書及び認証した旨を附記した規則」とあるのは「認証書」と読み替えるものとする。
(任意解散の時期)
第四十八條 宗教法人の第四十三條第一項の規定による解散は、当該解散に関する認証書の交付に因つてその効力を生ずる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/28
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029・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 四十九條から五十一條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(清算人)
第四十九條 宗教法人が解散(合併及び破産に因る解散を除く。)したときは、規則に別段の定がある場合及び解散に際し代表役員又はその代務者以外の者を清算人に選任した場合を除く外、代表役員又はその代務者が清算人となる。
2 宗教法人が第四十三條第二項第四号又は第五号に掲げる事由に因つて解散したときは、裁判所は、前項の規定にかかわらず、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任する。
3 第二十二條の規定は、宗教法人の清算人に準用する。
4 宗教法人の責任役員及びその代務者は、規則に別段の定がなければ、宗教法人の解散に因つて退任するものとする。宗教法人の代表役員又はその代務者で清算人とならなかつたものについても、また同様とする。
5 第二項の規定に該当するときは、宗教法人の代表役員、責任役員及び代務者は、前項の規定にかかわらず、当該解散に因つて退任するものとする。
(残余財産の処分)
第五十條 解散した宗教法人の残余財産の処分は、合併及び破産の場合を除く外、規則で定めるところによる。
2 前項の場合において、規則にその定がないときは、他の宗教団体又は公益事業のためにその財産を処分することができる。
3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
(民法及び非訟事件手続法の準用)
第五十一條 民法(明治二十九年法律第八十九号)第七十條、第七十三條、第七十五條、第七十六條及び第七十八條から第八十二條まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條ノ二、第百三十六條から第百三十七條まで及び第百三十八條の規定(法人の解散及び清算)は、宗教法人の解散及び清算に準用する。この場合において、民法第七十條中「理事」とあるのは「代表役員又ハ其代務者」と、同法第七十五條中「前條」とあるのは「宗教法人法第四十九條第一項」と読み替えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/29
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030・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この五十條の第二項の場合に、この財産を処分するのは誰が処分するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/30
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031・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 二の場合におきましては、解散いたしましたところの宗教法人がする、その清算人として。或いは役員、或いはその他規則で定めるところの清算人、こういつた人たちがこの残余財産の処分をする、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/31
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032・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ございませんか。第七章第五十二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第七章登記
第一節 宗教法人の登記
(設立の登記)
第五十二條宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。
一 目的(第六條の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。)
二 名称
三 事務所
四 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
五 基本財産がある場合には、その総額
六 代表役員及び責任役員の氏名及び住所
七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三條第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項
八 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
九 公告の方法
3 宗教法人は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において前項各号に掲げる事項を登記しなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/32
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033・高橋道男
○高橋道男君 第一項でありまするが、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に登記をするとありまするが、その期間が遅れた場合には、その認証の効果というものはどうなりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/33
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034・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで交付を受けた日とは、いわゆる到達主義をとつております。その宗教法人がその認証書を現実に受け取つた日と解釈しております。実質的にはその受取つた日から二週間以内、従つて受取つた以上は登記する義務が生ずるわけであります。その後の登記義務の申請、登記申請の義務につきましては登記の手続きは後ほど出て参ります。従つてここでは受取つた日ですから、未到達の場合においては義務が発生しない、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/34
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035・高橋道男
○高橋道男君 問題が少し違うかも知れませんが、或る宗教法人が無論その目的のための財産などを保護運営するものでございましようが、全然何にもそういう物質的なものがなしに、無論人間がおりますから事務所や名称などはありましようが、そういう程度で以てこういう法人の設立ということが可能でありますかどうか。これを念のために伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/35
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036・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その問題につきましては、この項では第二條で宗教団体の定義を掲げております。従つて包括的教団にありましては、事務所等があれば結構でございます。いわゆる單一団体であります神社、教会等につきましては礼拝の施設、この礼拝の施設を備えるという要件の下に、映る程度の実質的ないわゆる物的基礎というものを予想しております。それで土地、建物それから所有名義の如何にかかわらずあることを予想するので、それに関する規則につきましては管理運営の規則、或いはそれを管理運営するばかりでなく、物的な面といたしましては動産等も予定しておるのでございまして、従つて資産等につきまして、動産等単なる不動産のみを対象とせず動産等についてもあろうかと存じます。これらの物的な内容が或る程度実質をなすことを予想している関係で、従つて全然皆無の場合の單一団体の宗教法人ということは我々のほうでは予想しないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/36
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037・梅原眞隆
○梅原眞隆君 規則で解散事由を定めた場合、解散の事由を定めるというのはどういう例がありましようか。例を挙げて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/37
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038・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の例といたしましてはないようでございますが、一般の法人の例にならいまして、又或る程度の事由を予想しまして、例えば一つの宗教法人が例えば地域的限界を持つておる場合、即ち或る程度まで年限を切りまして、そうしてその年限を切つて次の大きな宗教法人と合同しよう、そういう場合があり得るだろうと思います。或いは移転するとかいう場合を予想しまして、或る期間内における関係も考えられます。併しこれは一つの想像の例でございまして、そういう事実が発生するまでは宗教法人として存続しよう、そういう意思が仮にございますならば、その事由に定める。従つて現実の問題としましては実例はないのでございます。そういう予想の下に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/38
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039・梅原眞隆
○梅原眞隆君 ほかにこのような例が出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/39
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040・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 現序の法人令の規則の中にはあれは書けという規定がございますが、事実上の問題としてはないようであります。予想して書いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/40
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041・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 次に五十三條から五十四條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(従たる事務所の新設の登記)
第五十三條宗教法人の成立後新たに従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前條第二項各号に掲げる事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 宗教法人の成立後主たる事務所又は従たる事務所の所在地の登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すれば足りる。(事務所の移転の登記)
第五十四條 宗教法人が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第五十二條第二項各号に掲げる事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすれば足りる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/41
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042・高橋道男
○高橋道男君 第一項の「主たる事務所を移転したとき」というときは、認証書の交付を受けたとき、こういうふうに解されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/42
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043・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 規則の変更を伴いますので、その規則の認証を受けたときというのが、普通でございます。併しながらこれは当然事実の発生が伴いますので、中には事実に副わない場合があります関係上、規則と事実の関係を合致せしめるために、一般の例におきましては事実を中心に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/43
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044・高橋道男
○高橋道男君 その場合に認証を受けてから後、事実の移転が行われる場合は、問題は少いかも知れませんが、認証を受けない以前に、殊に現在の状況であますれば、借家に適当なものが見付かつたから直ちに移転したというようなことのために、認証のほうが事実よりずつと遅れるということもあり得ると思います。そういう場合には、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/44
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045・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) すべて法人の規則というものは、その所在地、目的すべて記載事事につきましては、いわゆる権利義務をその規則において定めるという関係で、只今のような事例の場合におきましては先ず事実が発生いたしましても、いわゆる規則上における権利義務の関係の効力は発生しておりませんので、従つてその場合におきましては認証があつた後において初めてその効力を発生する。こう考えるのが至当だろうとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/45
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046・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 他に御意見なければ、五十五條から五十七條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(変更の登記)
第五十五條 第五十二條第二項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。(代務者の登記)
第五十六條 代務者が就任したときは、その就任の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、代務者の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前條の規定は、前項の規定により登記した事項に変更を生じた場合に準用する。(合併の登記)
第五十七條 宗教法人が合併するときは、当該合併に関する認証書の交付を受けた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する宗教法人については変更の登記を、合併に因つで解散する宗教法人については解散の登記を、合併に因つて設立する宗教法人については第五十二條第二項各号に掲げる事項の登記をしなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/46
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047・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 次に五十八條から六十條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(解散の登記)
第五十八條 宗教法人が解散したときは、合併及び破産の場合を除く外、第四十三條第一項の規定による解散の場合には当該解散に関する認証書の交付を受けた日から、同條第二項各号に掲げる事由に因る解散の場合には当該解散の事由が生じた日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、解散の登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第五十九條 清算人が就任したときは、その就任の日から、主たる事所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算人の氏及び住所を登記しなければならない。
2 第五十五條の規定は、前項の規定により登記した事事に変更を生じた場合に準用する。
(清算結了の登記)
第六十條 宗教法人の清算が結了したときは、清算終了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/47
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048・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 六十一條。
〔説明員荻野勉君朗読)
(管轄登記所及び登記簿)
第六十一條 宗教法人の登記に関する事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が管轄登記所としてつかさどる。
2 各登記所に宗教法人登記簿を備える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/48
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049・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 六十二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(登記の申請人)
第六十二條 第五十二條から第五十七條までの規定による登記は、代表役員又はその代務者の申請により、第五十八條から第六十條までの規定による登記は、清算人の申請によつてする。但し、宗教法人が第四十三條第二項第四号又は第五号に掲げる事由に因つて解散した場合における解散の登記は、当該所轄庁又は裁判所の嘱託によつてする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/49
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050・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 六十三條から六五條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(登記申請書の添附書類)
第六十三條 設立の登記の申請書には、所轄庁の証明がある認証を受けた規則の謄本並びに代表役員及び責任役員の資格を証する書類を添えなければならない。
2 従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更の登記の申請書には、その登記の事由を証する書類を添えなければならない。但し、代表役員、責任役員、代務者又は清算人の氏、名文は住所の変更の登記については、この限りでない。
3 解散の登記の申請書には、解散の事由を証する書類を添えなければならない。
4 合併に因る設立、変更又は解散の登記の申請書には、前三項に掲げる書類の外、第三十四條第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類を添えなければならない。
5 代務者の就任の登記の申請書には、代務者の資格を証する書類を添えなければならない。
6 清算人の就任の登記の申請書には、代表役員又はその代務者が清算人でない場合には、清算人の資格を証する書類を添えなければならない。
7 この法律の規定による所轄庁の認証を要する事項に係る登記の申請書には、前各項に掲げる書類の外、所轄庁の証明がある認証書の謄本を添えなければならない。(登記事項の公告)
第六十四條 登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。(非訟事件手続法の準用)
第六十五條 非訟事件手続法第百三十九條ノニ、第百四十二條から第百五十一條ノ六まで及び第百五十四條から第百五十七條までの規定(商業登記に関する通則)は、この章の規定による登記に準用する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/50
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051・高橋道男
○高橋道男君 六十四條の登記した事項を登記所において公告するということは現行法にもありますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/51
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052・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 現行にもございますし、一般の法人の登記に関連いたしまして、通則的に全部の例がこういうふうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/52
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053・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ございませんか。
大十六條から六十八條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第二節 礼拝用建物及び敷地の登記
(登記)
第六十六條 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地については、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をすることができる。
2 敷地に関する前項の規定による登記は、その上に存する建物について同項の規定による登記がある場合に限りすることができる。(登記の申請)
第六十七條 前條第一項の規定による登記は、当該宗教法人の申請によつてする。
2 登記の申請書には、礼拝の用に供する建物又はその敷地である旨を証する書類を添えなければならない。(登記事項)
第六十八條 登記官吏は、前條第一項の規定による申請があつたときは、その建物又は土地の登記用紙中甲区事項欄に、建物については当該宗教法人において礼拝の用に供するものである旨を、土地については当該宗教法人において礼拝の用に供する建物の敷地である旨を記載しなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/53
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054・高橋道男
○高橋道男君 「礼拝の用に供する建物又はその敷地」というものと、それから第三條における境内建物、境内地との関係なり差別、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/54
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055・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで礼拝の用に供する建物及び土地に関連いたしまするが、土地のほうはいわゆる建物の敷地でございますとか、專らその建物を中心として考えて参りますと、法案の第三條に規定してありますところの境内建物中特に例を申上げますならば、本殿、拝殿とか本堂、会堂等、專ら何と申しますか、奉齋建物、或いは信仰の対象を奉齋してある、或いは祀つてあるところの施設というのは、いわゆる礼拝の用に供する建物というふうに考えられるのでございまして、勿論その場合におきましても、例えば宝蔵であるとか或いは経蔵であるとか、仏教で申しますれば、そういうものは礼拝の対象との関係におきまして非常に密接不可分な関係がございます。そういう意味合のもとに第三條との関係におきます比較につきましては、第三條の境内建物は、いわゆる宗教法人がその目的といたしますところの教義の宣布、儀式の執行等に関連する目的達成のための施設が境内建物、こういうふうに概念されるのに比しまして、その中心をなすところの建物というのがここでいう礼拝の建物、こういうふうに観念しております。従つて第三條との関係におきましては、この礼拝用建物につきましては範囲が狭いということに相成ろうと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/55
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056・高橋道男
○高橋道男君 そうするとこの「礼拝の用に供する建物及びその敷地」というものは、境内建物、境内地以外にはないということに考えられますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/56
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057・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その通り我我は解釈しております。例えば礼拝の建物が総括的な一体化されております境内地以外にある場合、それが飛地境内というような関係も生じて来ますので、いわゆる境内地、境内建物との関連におきましてはお説の通りと理解しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/57
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058・高橋道男
○高橋道男君 その建物及び敷地を登記することができるとありますので、これは任意の規則でございましようが、これを登記することと登記しないことによる差別というものはどういうことになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/58
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059・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これは專ら宗教活動をなす中心の施設というような関係から規定したのでございまして、この申請した場合におきまする効果といたしまして、差押え禁止の効果が生ずる。こういう点に大きな差異があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/59
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060・高橋道男
○高橋道男君 次にこの第二項の「敷地に関する前項の規定による登記は、その上に存する建物」ということと関係がございますが、これは建物がない敷地は礼拝の用に供する敷地と考えられないこと、これはまあ一応それでいいと思うのでありまするけれども、ただ現在の場合戦災等によつて建物が繞失しておるというようなものがまた相当にあるのじやないかと思うのですが、そういう場合に現状において、これが判断されるものでしようかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/60
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061・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この問題は非常に重要な且つ又困難な問題でございますが、建物並びに土地の保存登記につきましては、いわゆる不動産登記に附記して登記するという関係でございますが、而して不動産登記で建物、土地が登記されている場合に、そのものについての登記に関係が生ずるものであります。従つてこれは一括的に只今のような実例の場合におきましては不動産登記法上におきましてはどういう取扱いになつておりますか。恐らくその建物は敷地、何と申しますか、範囲等につきまして、或いは坪数なり、或いは建物の階層その他の関係から、新らしくできるところのものとは又違つたものができるのじやないか、従つてそういう種類のことを考えますときには、不動産の場合におきましても名称等の関係におきましては抹消登記がされるのではないか。従つてその場合その建物が抹消された場合においては、おのずから礼拝の施設用の建物としても抹消されるということになりますので、その前提を不動産登記の関係から、その問題は結論づけられるのじやないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/61
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062・高橋道男
○高橋道男君 今の場合の取扱いについて、これはまあ実際の問題にならんと、少々この法において論ずることは困難なようでありますので、これ以上の質問はやめますが、もう一つ現行の法人令においては、宝物を確か登記することになつていると思うのですが、これにはその條項がないように思うのですが、それはどういう理由でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/62
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063・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通り現行法人令におきましては、重要財産或いは宝物等を登記することによりまして、先ほど申しました差押えの禁止といつた法律上の効果を生ぜしめておりましたが、この法案におきましてはその点抹消しております。制度を廃止しております。これはやはり宝物その他の重要財産につきましては、登記制度というものがありまして、一定の手続をしまして登記いたしまして、そのことによつて第三者との関係におきまするその存在を明確ならしめるという登記制度の利用から差押えの禁止というような効果を生ぜしめておつたわけであります。その重要財産の登記制度を利用するものが殆んど皆無に近いものであります。従つてかかる制度は実用ないものと認めまして廃止いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/63
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064・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 六十九條、七十條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(礼拝の用途廃場止に因る登記の抹消)
第六十九條 宗教法人は、前條の規定による登記をした建物が礼拝の用に供せられないこととなつたときは、遅滞なく同條の規定による登記の抹消を申請しなければならない。前條の規定による登記をした土地が礼拝の用に供する建物の敷地でなくなつたときも、また同様とする。
2 登記官吏は、前項前段の規定による申請に基き登記の抹消をした場合において、当該建物の敷地について前條の規定による登記があるときは、あわせてその登記を抹消しなければならない。(所有権の移転に因る登記の抹消)
第七十條 登記官吏は、第六十八條の規定による登記をした建物又は土地について所有権移転の登記をしたときは、これとともに当該建物又は土地に係る同條の規定による登記を抹消しなければならない。
前條第二項の規定は、前項の規定により建物について登記の抹消をした場合に準用する。
前二項の規定は、宗教法人の合併の場合には適用しない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/64
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065・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ございませんが。……ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/65
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066・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは速記を始めて下さい。第七十一條から第七十七條まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕、
第八章 宗教法人審議会
(設置及び所掌事務)
第七十一條 文部省に宗教法人審議会を置く。
2 宗教法人審議会は、文部大臣の諮問に応じて宗教法人に関する認証その他この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項について調査審議し、及びこれに関連する事項について文部大臣に建議する。
3 宗教法人審議会は、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項について、いかなる形においても調停し、又は干渉してはならない。
(委員)
第七十三條 宗教法人審議会は、十人以上十五人以内の委員で組織する。
2 委員は、宗教家及び宗教に関し学識経験がある者のうちから、文部大臣が任命する。
(任期)
第七十三條 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
(会長)
第七十四條 宗教法人審議会に会長を置く。
2 会長は、委員が互選した者について、文部大臣が任命する。
3 会長は、宗教法人審議会の会務を総理する。
(委員の費用弁償)
第七十五條 委員は、非常勤とする。
2 委員は、その職務に対して報酬を受けない。但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。
2 費用弁償の額及びその支給方法は、文部大臣が大蔵大臣に協議して定める。
(庶務)
第七十六條 宗教法人審議会の庶務は、文部大臣官房において処理する。
(運営の細目)
第七十七條 この章に規定するものを除く外、宗教法人審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、文部大臣の承認を受けて、宗教法人審議会が定める。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/66
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067・梅原眞隆
○梅原眞隆君 第七十一條の三項の「いかなる形においても調停し、」という、この「調停」ということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/67
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068・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 例えば紛争事件等がございます場合において、一定の案を示したり、そうしてその案の妥協案と申しますか、そういうものにまで二つの宗教法人の意思をまとめる、いわゆる両者の紛争当事者を一つの解決点にまでもたらせるというような、政府としての意見をそこに挿入しまして結び付け合せる、こういつたことを調停と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/68
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069・梅原眞隆
○梅原眞隆君 三里に書いてある「信仰、規律、慣習等」、こういうものに対してこれはいうのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/69
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070・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/70
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071・梅原眞隆
○梅原眞隆君 そういう場合に「干渉してはならない。」というのはこれはよくわかりますが、つまり「調停」という字はどういう紛争が起つた場合に使うのでしようか。紛争が二つの法人で起つたというような場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/71
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072・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 例えば規律の解釈なり、或いは慣習、行事等の解釈、そういうことの問題のために疑義を生ずる。両者の意見は、何と申しますか、合わないというような場合においても、そういう場合に調停ということが予想されますので、ここで「信仰、規律、慣習等」と割合に幅広く規定したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/72
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073・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この審議会の取扱い、その対象になる事項というものは、一体「この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項」というのは何ですか。多少列挙して挙げてもらいた
い。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/73
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074・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで「この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項」というのは、具体的に申しますれば、例えば訴願とか、或いは都道府県知事の再申請、そういつたものを規定しておりまして、それらの認証以外の事項につきまして考えられるそういう手続き等の関係を考慮しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/74
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075・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この審議をするという場合に、仮に認証を許可しなかつた、恐らくはそういう場合にやはり一番問題になるのは、ここに書いてある宗教団体として証明せられておるものとか、目的というものに私はなると思います。それをこの審議会に移して来る、面倒になつたからこういう話まで来たと、こうします。そういう場合にはつまり宗教団体における信仰とか、規律とか、規則とか、慣習とかに関しては、調停干渉してはならないが、審議はするんでしよう、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/75
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076・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) いわゆる当該団体が宗教団体たりや否やという判定の関係から審議はなされ得ると解釈します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/76
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077・梅原眞隆
○梅原眞隆君 審議、調査はできる。併しながらそれに対して干渉してはならないというのは、この調停というのはちよつと私はこだわり過ぎるけれども、ちよつと具体的に言うとどういうことです。いわば調停をするということは困つた手段なんです。これは向うに私は突込んだのですが、「調停」という字はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/77
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078・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 例えばこの場合我々が予想いたしますのは、これは例に当つているか当つていないかちよつと疑問でありますが、一例を申しますと、日蓮宗の曼陀羅の関係であります。これは専ら宗教上の問題であります。これに対しまして、互いの意見を、例えば宗教法人審議会の委員あたり、そういうふうな紛争をなお続けて行くのは好ましくないだろうというような関係から、こういうふうな理解の仕方もある、こういうふうな理解の角度もある。そういうふうなことでその間の斡旋をするというようなことも予想されるのではないか、こう考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/78
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079・梅原眞隆
○梅原眞隆君 調停という字を向うの翻訳官ですから聞違つたんじやないかという心配がある。調整というような意味ならですけれども、調停という字はちよつと字が間違つておるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/79
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080・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) なお具体的事例につきまして、或いは我々のほうの研究が足りないかも知れませんので、例えば翻訳その他の関係もまく研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/80
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081・梅原眞隆
○梅原眞隆君 調整か、調停か一遍よく調べて頂きたいと思います。今の場合にあなたのおつしやるようなこともあると思いますが、それは併し殆んど審議会にかかつて来る性質のようなものではなくて、何かそれをもう少し、つまり穏当にやつてはどうかというような、干渉とかはいかんけれども、好意を以てこうなさつたらどうだというふうに、多少社会的の調和を図るというようなこともしてはならん。その上の調査審議というものに、下手をすると宗教としての内容に副わないようなことになつて来る。調査、審議をするということを入れて置かないと、調査、審議するその調査、審議が行過ぎになつて自由を妨げるかも知れないというところにあとの第三項がついたものだと思いますが、その辺についてよく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/81
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082・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここでは第三項は専ら対外的活動として審議会の名において考えれば、例えば審議会の議事とか、職務内容といたしましては調査、審議はいたしますけれども、その名において各宗教団体との関係におきまして、宗教上の事柄について只今申しましたような例から調停するということは避けたい、こういう趣旨と解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/82
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083・高橋道男
○高橋道男君 私も梅原委員と同様の意見を持つのであります。こういうようななところが、私はこの法案自体が宗教敬遠主義をとつておるように考えてしようがない。余り敬遠に過ぎて、勿論干渉とか抑圧とかというようなことはいけませんけれども、今梅原委員のおつしやつたような審議などということは、現在の状況からすれば当然必要なことじやないか。避けねばならんということよりも、むしろ必要じやないかというようなことがあると思います。勿論それはやり方が非常にむずかしいとは思いますけれども、そういう紛争という言葉が当るかどうか、問題のあるときの解決の斡旋とか、或いは議案に対する手與とかというようなことは、大臣の立場としてはとにかくといたしまして、審議会の立場としてはあつても差支えないんじやなかろうか。でないと全然宗教団体は放つぽり出しで、それこそ俺たちは何もかまつて欲しくないんだ、勝手にするんだというようなことになつてしまつて、却つて行政上の観点から面白くないことが憂慮されるように思うのですが、その更に立入るようなことがなければ、この間も大臣に私お尋ね申したように、この新興宗教というものは、とにかく幅があるのでありますから、それが活かせられるように、又現在の国の状況に応じて信者を教化育成できるように、勿論これは必ずしもその国家の方針と全部が一致して宗教活動がなされるということは、これはないかも知れませんけれども、大体の傾向としてはそういう方向に行くのが国民生活をも安定せしめる一つの方法だと私は思うのですけれども、そういう意味合いの上から、或る程度のこの干與というようなことなどはあつていいんじやなかろうか。こういうように思うのですが、審議会の機能としてそんなことは全然お考えになつていないかどうか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/83
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084・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この宗教法人審議会のいわゆる性格が、文部大臣の諮問機関としての性格であるとともに、且つ又行政面と申しますか、そういう対外的な関係にタツチするといううことは、往々にして行過ぎも考えられましようし、従つて宗教法人審議会としては、会の名においてはやはりいわゆる干興という形も或いは行過ぎではないか、いわゆる本来の職務権限といたしまして、案件である宗教団体の当否につきましてこれを調査審議するという部内的な関係におきましては、結構かと考えられるのであります。それが内部の職務権限の遂行上の関係ならば格別、それが委員会の各において、宗教団体との関係において起るでありましよう調停干渉は、やはり我々といたしましても、その事柄の性質から考えまして行過ぎではないかというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/84
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085・高橋道男
○高橋道男君 あと先になりますが、この審議会の機構とか、或いはこの予算の額とか、そういうようなことについての構想を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/85
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086・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 機構につきましては、ここで大まかな形が予定されておりまして、従つて委員が十五名以内とされておりますが、その選任等につきましても、宗教団体各位の要望に副うように十分な人選をして参りたい、こういうふうに考えております。
それからこの宗教法人審議会の通常につきます財的の措置につきましても、二十六年度の予算におきまして軽少ながら予算を取つておりまして、従つてこの審議会の運営につきまして支障のない程度の財的措置は遂げておりますので、この点お含み願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/86
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087・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第九章補則第七十八條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第九章補則
(被包括関係の廃止に係る不利益処分の禁止等)
第七十八條 宗教団体は、その包括する宗教法人と当該宗教団体との被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、又はこれを企てたことを理由として、第二十六條第三項(第三十六條において準用する場合を含む。)の規定による通知前に又はその通知後二年間においては、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の役員又は規則で定めるその他の機関の地位にある者を解任し、これらの者の権限に制限を加え、その他これらの者に対し不利益の取扱をしてはならない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
3 宗教法人は、他の宗教団体との被包括関係を廃止した場合においても、その関係の廃止前に原因を生じた当該宗教団体に対する債務の履行を免かれることができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/87
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088・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 第七十九條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(公益事業以外の事業の停止命令)
第七十九條 所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六條第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、一年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる。
2 前項の規定による事業の停止の命令は、その理由及び事業の停止を命ずる期間を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。
3 第十四條第二項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、同條第二項中「当該申請者」とあるのは、「当該宗教法人」と読み替えるものとする。
4 第一項の規定により事業の停止を命じようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
5 第一項の規定による事業の停止の命令に対して異議がある者は、訴願法の規定により文部大臣に訴願をすることができる。
6 文部大臣は、前項の規定による訴願の裁決をしようとするときは、当該事案の却下の裁決をする場合を除く外、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/88
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089・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この「第六條第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、」というのは、つまり目的に反しない限り公益事業を行うことができると書いてあるのですね、第六條第二項には……。そうすると、つまりそれに反したという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/89
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090・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その点もございますし、それから、その事業に伴つて上りましたところの牧益を、第六條第二項で規定するような使用方法にしない場合もあるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/90
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091・梅原眞隆
○梅原眞隆君 一年以内というのはどういうわけなんですか。こういうふうに期限を切つたのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/91
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092・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この点につきましては、宗教活動をいたします宗教法人が、主目的以外の公益事業或いはその他の事業をやります場合、その事業がたまやまかかる関係にありますときに、長くこれをされる場合においては、非常にその事業の関係から申しまして、例えばこの事業が複雑な関係を生じて来る場合もありましよう。そういう関係から、一応一年以内に停止さして、その期間にその状況を見た上で、仮に又それを停止に違反して続いてやつたというような場合には、改めて又そういうことも考えられましよう。従つて、收益事業等の関係につきましては、宗教法人といたしましても非常に大事な収益財源となる虞れもあります。併しこれが善用される場合においては非常によろしいのでございまして、停止期間が一年といいますと、相当その事業の運営につきまして、或いはその続行につきましても、相当こたえるはずでございますので、この程度を以て結構ではないかというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/92
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093・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これが趣旨に反してやつた場合には一年以内ということになつて、これはどうせ又禁止しなければならない。今の収益という問題になつたときには、まあ一年以内ということが或る意味において反省の材料になろうが、宗教団体として違反しておるという事実となつて来れば、そういう場合には当然これは何遍もやることですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/93
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094・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 例えばその場合においては、かかる目的違反というような場合につきまして、反省の機会を與えると共に、それがやめて頂ければそれでいい場合もあり、或いはそれを事業の組織変更というので、変更の組織替も考えられます。それがたびたび考慮しても、それを継続するというような場合には、何回かやはり停正命令等が予想される次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/94
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095・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは何かそのほかにこういう一年以内でなくちやならんという民法とか何とかいう関係があるのですか、そういうことはないのですか、法文か何かの上では……。ほかの法人にはこういう例もあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/95
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096・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この事業の停止に関連しての規定は私立学校法についてもございますが、ただ一定の期間を限るという点につきましては、むしろ我々の気持といたしましては、宗教団体の無期限な停止命令ということは行過ぎではないか。而も所轄庁の関係から申しましても、成るべく行過ぎでない、是正の意味と申しますか、そういう面を強調して一年以内ということを規定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/96
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097・梅原眞隆
○梅原眞隆君 まあそれでよろしいのですが、つまり不当にその宗教法人という目的に反していると決定せねばこれは禁止されない。それから又その収益をほかに利用しているということがはつきりわかつたという場合には、それは或る期間を限つてやるのですか。これは期間を切るのはどうか。新らしい事業を経営すればいいのですか。或る期間だけ停止して置くというのは私にはわからない。別個の事業を何ぼでもやれるわけですか。ただ一年間で切るということは、それが一年たつたならばそれが効力を持つて来るとか、どうかなるという性質のものではないのであつて、これは永久に悪いのだから、利益を目的以外に使うとか、若しくは宗教の規定に反したものをやるのだから、これを一年に限るという論拠が、今反省して頂くというようなことでなくて、当然いかんのであつて、別個に出直さなければならん。他の公益事業をやるという自由権を奪うものじやなく、どうかと思うので、そこがどうも私にはすつと頭に入りにくいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/97
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098・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 例えば御承知のように目的を逸脱した場合におきましては御説の通りの点が考えられるのであります。收益の場合においては、収益を予想しているような収益の使用方法を講ずるならば、その場合におきましてはその事業を停止する必要もないわけであります。いわゆる目的を逸脱する場合、こういう場合につきましては往々にして他の併存の規定が働きまして、この事業の停止と共に急速なる所轄庁の停止をすると共に、或いは一年以内に認証法人と変りました、一年以内のことでございますれば多くの場合行過ぎがある場合につきましては、或いは認証手続をとる場合におきましては、目的を逸脱するという慮れのあるような場合におきましては、解散、こういつたことまでも予想しておりまして、事業を営む場合におきましては、その事業の収益というものが主たる目的になつて害悪を及ぼす虞れがあるので、所轄庁の急速なる処置方をここで保障しようという趣旨の下にこの規定ができておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/98
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099・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御質問ありませんか……。八十條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(認証の取消)
第八十條 所轄庁は第十四條第一項又は第三十九條第一項の規定による認証をした場合において、当該認証に係る事案が第十四條第一項第一号又は第三十九條第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したときは、当該認証に関する認証書を交付した日から一年以内に限り、当該認証を取消すことができる。
2 前項の規定による認証の取消は、その理由を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。
3 宗教法人について第一項の規定に該当する事由があることを知つた者は、証拠を添えて、所轄庁に対し、その旨を通知することができる。
4 第十四條第二項及び前條第四項から第六項までの規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第十四條第二項中「当該申請者」とあるのは、「当該宗教法人」と読み替えるものとする。
5 所轄庁は、第一項の規定による認証の取消をしたときは、当該宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/99
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100・高橋道男
○高橋道男君 その第一項でありますが、認証の取消が「一年以内に限り、」ということがありますが、五十二條の登記の場合のときにお尋ねいたしましたが、認証書の有効期限というものが一年であるということに結局なるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/100
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101・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この場合の効果といたしましては、法律上におきましては登記事務との関連というよりも、むしろ認証書の効力というよりも法人格との関係が出て来ます。これは先ほど審議いたしました法定解散の中に当然解散を法定されております。従いまして効果と考えられる場合の法律上の問題といたしましては、解散を予想する、その一年間というものは、何かほかの法人格との関係において法理上何ら支障ないのでございます。同様の関係でございます。登記との関係においては、この問題は法律上関係ないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/101
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102・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと、認証書の効果というものが、この認証の取消と別だということになりますと、その認証書の効果というものがいつまで存続するのかちよつとはつきりしないと考えられるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/102
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103・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 認証書自体の法律的性質、或いは効果というような単なる認証の通知によつて効果が発生する、その認証するという事実、従つてその認証した事実において公の書類として認証書の効果が出て来るわけであります。そして登記という関係が、そこから登記事務が二週間以内に効果が発生することが先の点であります。この公布した日から一年以内に解散を押えるという意味合いで、公布した日というのを押えておる次第であります。認証を取消すという限りにおいては解散との問題が出て来る。法律上の関係としてはそれだけじやないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/103
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104・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと私五十二條のほうに拘泥するようでありますが、二週間を公布の日から過ぎても別の罰則を承知しさえすればなお認証書は有効で、結局二週間たつた後でも、三週間たつても、四週間たつても登記はできるというように解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/104
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105・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 罰則の適用を十分考慮した上でかかる処置を以てしても、或るものについては制裁規定がないと考えております。ここで言うのはこの八十條では認証の取消の権能を所轄庁に附興する。併しその権能も認証書の交付の日から一年間であるという関係が、ここで言う権能を附與するというだけの規定かと解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/105
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106・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 私からもお尋ねいたしますけれども、今の八十條の第一項ですが「一年以内に限り、当該認証を取り消すことができる。」一年たつてしまえば時効にかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/106
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107・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) かかる実質の場合における取扱いにつきましては、どういうふうにしたらばよいかというので研究いたしました。それで、認証ということは行政庁の行為でございます。従つて一年を限つては所轄庁のほうに認証取消の権能を保留して置くのが望ましいであろう。それ以上に亘りましては、同じような実態がございます場合においては、これは第三者の利益或いは一般社会の利益という角度から、裁判所のほうに請求権を持たせる。要するにかかるものの解散を予想しますところの実質がある場合においては、その解散或いは解散命令或いは認証取消、こういつたことについての塩梅をどの程度にして配分したらよろしいかという観点で、一応行政庁のほうには一年間、それ以上に亘つた場合においては裁判所、こういうふうな配分の仕方をとつておる次第でございまして、二年以上の場合におきましては、これは裁判所のほうの解散命令のほうに規定を讓つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/107
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108・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 更にお尋ねしますが、裁判所にその権限を移した場合、第三者が告発しなくても、裁判所自体が自発的にそれは発動するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/108
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109・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その場合には自発的にと申しますか、検察官の請求によつて当然発生する次第であります……。申し落しましたが、検察官は職権で以て発動できるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/109
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110・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 八十一條に移ります。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第八十一條 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
二 第二條に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
三 当該宗教法人が第二條第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
四 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
五 第十四條第一項又は第三十九條第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四條第一項第一号又は第三十九條第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。
2 前項に規定する事件は、当該宗教法人の主たる事務の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
3 第一項の規定による裁判は、理由を附した決定をもつてする。
4 裁判所は、第一項の規定による裁判をするときは、あらかじめ当該宗教法人の代表役員若しくはその代務者又は当該宗教法人の代理人及び同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人又は検察官の陳述を求めなければならない。
5 宗教法人又は第一項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人若しくは検察官は、同項の規定による裁判に対し、即時抗告をすることができる。抗告は、執行停止の効力を生ずる。
6 裁判所は、第一項の規定による裁判が確定したときは、その解散した宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。
7 前五項に規定するものを除く外、第一項の規定による裁判に関する手続については、非訟事件手続法の定めるところによる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/110
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111・高橋道男
○高橋道男君 認証の取消ということと解散の命令ということとにおいて、八十條第一項とそれから八十一條の第一項第五号とは関連があると思うのですが、そうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/111
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112・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/112
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113・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと、認証の取消が行われた上に更に解散命令というものがあり得るのでしようか。認証の取消というものがなくて解散命令だけがあるということになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/113
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114・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この事案につきまして、例えば例をとりますと、八十一條の解散命令の第五号の場合との関係についてみますと、法規的に申しますればこの解散の命令をなし得る場合といたしましては、「一年を経過している場合において、」という限定がございます。従つて前の認証取消の場合は「一年以内に限り、」と、そういう限定をしております。従つてかかる場合における問題は、お説のような場合におきましては、並行するということはあり得ないかと思います。
それからこの第一号の、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害する」云々という場合の関係は、これが広義に解釈しまして、或る場合に当該宗教法人が宗教団体でないといつたような関係から、それとの関係に実質を合せられる場合におきましては、両者ともに考えられようかと思いますが、併し少くとも認証の取消の場合には、その宗教法人の実態が宗教団体であるかどうかということと、この八十一條の一号の場合そのものが法令に違反するという行為との関連において、たまたま宗教団体でないものが該当する場合においては、それは認証取消の問題、而もその宗教法人が法令違反というような関係から両者が出て来る場合もあろうかと思います。その限りにおいて両者の規定が競合するということも考えられますが、判定の実質につきましては違つた性質のもの、種類のものではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/114
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115・高橋道男
○高橋道男君 御説明でよくわかりましたが、八十一條のほうの第一項第五号によつて裁判所が発動する場合は、結局一年以上経つておる場合、ところが八十條のほうの所轄庁の認証取消は、一年以内ということになつておりますから、場合によつては一年以内に認証取消の事態が起つておつても、その処置が行われないというようなことによつて、所轄庁の処置の、言葉が足らんかも知れませんが、怠慢というようなことが考えられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/115
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116・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 往々にして宗教団体の実態に対して所轄庁は調査権能とかその他の権能を附與されておらない関係から、認証取消の場合には何人といえども証拠を添えて取消しかたの請求を法で以て授権しております。その関係からいろいろな資料において、その後に発生した事実或いはその以前の事実を知つた上において認証取消ということは考えられるのであります。従つて所轄庁が認証の取消をする、その取消された場合におきましては、当然法上の解散取消の通知が交付されますと、直ちに法上解散という形が出ます。従つて効果としてその解散の清算事務とか、清算法人による清算事務というものは残ります。解散という事実については、すでに発生するということを考えております。従つて一年以内に認証の取消ということがなされたかなされないかということだけが残つて来るのじやないか。後の問題につきましては解散命令とか、その後の問題として発生するので、期間的にもダブることは恐らく事実上はあり得ないのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/116
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117・高橋道男
○高橋道男君 そうすると認証の取消ということたけで解散を意味することにはならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/117
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118・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 認証の取消によつて、法はかかる取消のあつた場合においては直ちに解散するということを規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/118
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119・梅原眞隆
○梅原眞隆君 この八十一條の第一項の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」とありますが、この法令というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/119
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120・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これはいわゆる法律、命令すべてを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/120
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121・梅原眞隆
○梅原眞隆君 一般のものを含めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/121
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122・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/122
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123・梅原眞隆
○梅原眞隆君 ところでこれはどうですか。その法令に違反しておるということと、それから著しく公共の福祉を害するということとは、これは一つの線にあることですか、どうですか。又はということも一つなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/123
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124・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここは一つと解釈して頂きたいと思います。法令に違反し、且つ又この法令に違反した行為が著しく公共の福祉を害するという、この両者を一本にした解釈をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/124
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125・梅原眞隆
○梅原眞隆君 法令に違反した場合にはそれぞれの罰則がついておるわけですね。それはまあ法令違反ということによつてはそれぞれの罰がついておる。そこで著しく公共の福祉という字はこれは実にむづかしい字だが、まあこれは余ほど裁判官は考えなければ困るのですがね。同時に逃げることは非常にひようたんなまずみたいなもので、著しく公共の福祉というのは、これはこの前の憲法に国家の安寧秩序を妨げないというような字を出している以上に、或る意味においては信教の自由を束縛しておるかも知れない、この公共の福祉という字がですね。それでこれは今まで公共の福祉を害するという、概念としては、成立する概念ですが、著しくというのは一体どの程度を著しくというのか、又公共の福祉というものはどういう線を引くか、その点はどうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/125
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126・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 非常に御質問の点むづかしい問題でございますので、ただ立案の精神といたしましては、法令に違反する行為等があれば、解散を命ずるというのは、現行の宗教法人令ではそうなつております。これではその法令には非常に種類も多かろうと、單なる行政取締りで、軽いものもあれば或いは重い法律命令もある。従つて軽い法令等に違反した場合にも、直ちに解散にまで持つて来るのは行過ぎではないか。従つて多くの場合におきましては、公共の福祉と法令とはその内容において殆んど同じじやないか。例えば法令は公共の福祉を目的とする。従つて公共の福祉が保全されるということは、法令が確保されるということにもなりましよう。従つて法令に違反するだけでは、細かい手続規定等について違反した場合をも慮れるということ、それから公共の福祉の関係につきましても、お説のように非常にこれはおのおの解釈の関係からむつかしい問題でございますが、宗教法人を解散させるというほどの場合におきますその基準といたしましては、單なる軽い法令の違反があつた、それから幅広いところの公共の福祉だけでは、解釈の問題として非常に広くなる慮れがある。従つて、ここで著しくという修飾をつけて、相当その性質を重くさせた意味合の下にこの法文を立案した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/126
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127・梅原眞隆
○梅原眞隆君 その法文を制定された意図はよくわかりますが、今の場合に、法令というものはもとよりその一要素としまして、公共の福祉を内容としていることは事実です。けれども法令と無関係に公共の福祉が存在しておるということは事実なんです。そういう場合には、法令に違反しない場合で、法令に規定されていない社会の公共の福祉を著しく阻害するという場合もあり得るのです。今あなたがた立案された意味のところでそういう意味は一応私わかる。わかるけれども、まあお尋ねしたいのは、法令というものは、客観的な表現であるべきだ。それはつまりそういう場合もあり得るでしようが、そうでない公共の福祉もあり得るのだ、結局言えば……。法律なんかになると一国内のものですから、国際関係を持つて来ると公共の福祉というものは反映しない。だからこの公共の福祉を、行為をと言われるが、公共の福祉となつてみると、法律の対象とならない行為以前の世界も入つて来るわけです。従つて、法令に違反しなかつたり……さつきお尋ねした且つということの意味になるのですが、法令に違反しない場合は、著しく公共の福祉を妨げて差支えない、こういうことになるかどうかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/127
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128・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通り、非常に判定がむづかしいのでございまして、法令とそれから公共の福祉との関係につきましては、勿論両者おのおのその領域があろうかと存じます。併しながら公共の福祉ということだけで、宗教法人を解散させる、それに関連する場合において解散させるということは、これが公共の福祉自体を脅す、或いは害するという客観的な行為であるべきであります。單なる何と申しますか、その行為が広く解釈されて、直ちに解散させるということは行過ぎだと、まあ考えられまして、往々にして宗教団体の通性としましては、かなりのものが法令を知らないというような関係もございまして、直ちに解散にまで持つて行くのはどうかというので、先ほど来申上げましたような角度から指摘した次第でございますが、お説のように判定の基準というものは非常にむずかしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/128
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129・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは裁判所あたりの人の意見をつまりお聞きになつたのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/129
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130・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) これは法務府の検察関係のかたの意見も十分聞いた上でしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/130
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131・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは私は非常な尺度の持ちにくい、著しく公共の福祉を害する、公共の福祉は害しておるが著しくない、こういう問題はすべて主観性を持つておる。一体法律にそういう主観の余地が非常に働くことは危険なんです。寛大になり、苛酷になり過ぎるということは、当然起つて来る。これはつまりかなり面倒な問題でありまして、ここへ漠然とした言葉でやられるということは、一面からいえばこれは宗教の保護のためにやられたという意図はよくわかるが、宗教の保護のためにやられるという意図はわかるけれども、これは一面から言うと宗教を利用するという連中はここに便乗し、非常に悪辣な非違をなし遂げ得る余地を與えておるという危険もある、とにかくこの言葉はむずかしいですね。実際はおれが裁判官になつてもちよつとこれは判断が下しかねる。公共の福祉に反しているわ、法令には違反しているわ、それはわかつておる。ところが「著しく」ではない。こう判断して来ると、これはなかなか解散命令ということができんというようなことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/131
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132・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の御疑問の点、我々も非常に同感の点が多いのでございますが、その宗教団体が本来公共の福祉に反するということまでの自由はないのでございます。従つて後ほど参りますように八十六條にも「宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用させることを妨げるものと解釈してはならない。」という、こういう用意もしておる次第でございます。従つて何が公共の福祉であるか、これは非常にむずかしい問題でございますが、少くとも宗教法人においてかかる公共の福祉を害するようなことがあつてはならない。如何なる行為もそれについては保障していない。他の法令、ここの宗教法人法においても用意します法規との関連におきましても、この單なる公共の福祉ということで処理されるには、余りにも幅の広い解釈が成り立つので、そこで「著しく」という形容評をつける、且つ現在の宗教法人令では「法令二違反シ若ハ公益ヲ害スベキ行為」ということで規定いたしておりますから、公益を害する、いわば公共の福祉を害するということの対概念でございますが、それが非常に幅広く解釈される慮れも予感するのでございまして、従つてここで一応この「公益ヲ害スベキ」という言葉に置換えた「公共の福祉」につきまして「著しく」と一応、何と申しますか、その重い場合を予想して規定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/132
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133・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) お諮りいたしますが、石丸専門員からこの点について発言を求めておられるのですが許可してよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/133
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134・石丸敬次
○専門員(石丸敬次君) 二、三の点について、これに関連してお伺いしたいのでありますが、先に高橋委員からの御質問の内容に連関しておりますが、政府の方針は信教の自由というものを触つてはいけない。ちよつとでも触つてはいけない。或いは又成るべく寛大に扱わなければいけない。こういうふうな観点に立つておられるのではないかというふうに法律の全文を通じて感じるのであります。これについての御所見を第一点に承わりたいと思います。
それから第三点としては、今までの宗教法人令には「法令二違反シ若ハ公益ノ」云々、法令に違反するということだけで以て或る措置ができる。或いは又公共の福祉に反するというだけで以て或る措置ができる。どつちか一つあればそれでよかつた。それが、では今まで問題になつておるかと申しますと、そんなことで問題にはなつていない。いないのにもかかわらず、今度の場合においては法令に違反するということが第一條件で、それに、別なものとさつきおつしやつたのでありますけれども、法令に違反するということはもうその條件に当てはまる。法令に間違つたことをやつておるのみならず、今度は「公共の福祉を害する」ということがそれにもう一つ加わる。それから「著しく」公共の福祉を害するというのが加わつて、非常な害を及ぼすというふうな場合がある。これを以て條件が三つある上に、更に「明らかに認められる」と四つの條件があります。こんなにしてまで宗教というものは触つてはいけないということは、これはどうかと思う。そこで第二点にお伺いいたしますのは、第一点に連関いたしまして、宗教行為であるならば、これはもうよくよくの場合でなければ触らないというようなことは、第一点に御質問申上げましたそれと結びつけて、こういう例が出ておりますので、一例としてその点をお伺いするわけでありますが、そこで第二点を要約いたしますると、第八十一條の一号はよくよくの場合でなければ解散を命じないということになるわけでありますが、これについてもう少しはつきりしたことをお示し願いたいと思います。これにつきまして、例えば憲法におきましても公共の福祉というのは十三條にありまするし、それから十二條にもあります。これらには別に「署しく」とも伺とも書いてない。そういうことを書かない。必ず書くというような場合には、多くの場合に行政官庁が独断で以て命令をし、独断で以て権利を剥奪するというような場合には、非常に事細かくやらなければこれは行過ぎがある。併し裁判は公開をして、而も弁論もできて、而もそれに不服であれば又上級の裁判所に控訴する。更に又最高裁判所に控訴する。こういう手続をとる。その裁判にかけるのによくよくの場合までも書くというのは理由がよく納得できない。この点をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/134
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135・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 第一問でございますが、勿論信教の自由の行過ぎまでもこの法においては保障しようという趣旨でないことは、先ほど一言触れましたように、法律の八十六條に規定しておるような次第であります。そこまでも信教の自由を保障するためにこの法ができておる、こういう趣旨ではございません。なお只今の八十一條における解散命令の場合の御意見でございますが、尤もと我々も考える次第であります。併しながら具体的な場合を考慮いたしますと、この公共の福祉を害する行為というものは、おのずから法令に違反するということが殆んど多くの場合においてダブつて来るのが普通じやないか。従つて単なる法令違反のみでなく、先ほど法令違反という関係につきましては軽い法令違反の場合を恐れたということと、それから公共の福祉につきましては、多くの場合これの対概念であります法令違反といつたことをその実質において同じにさせたい。即ち軽い法令違反ということで解散にまで持つて来るのは少し行過ぎだということは、当然公共の福祉についても考えられる。それでその関係から「著しく」ということを附加したわけであります。それは実質的には公共の福祉と法令に違反するということを、同じく形に結び付けて、ここで両者形式的に法令の関係と実質的な公共の福祉と結び付けて明らかにするということを、ここでは予想しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/135
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136・梅原眞隆
○梅原眞隆君 これは、まあこれから先は議論になりますが、ただここで私ついでに申上げて置きたいのは、信教の自由をつまり守るということの見方が、宗教に寛大であるとか、それから余り手を触れないとかというようなことによつて自由が守られるのでなくて、この禁止項目は宗教を擬装する非宗教の跳梁に対するものなんです、元来は……。従つて信教の自由を守るということには、擬装宗教の跳梁を防ぐだけのことが信教の自由を守ることになる。この点に関しては、なかなかこれを防ぐということも面倒だと思うが、これはよほどこの法令を布かれると同時に、啓蒙運動とかいろいろなこれは処置をなさらないと、今の場合でもこの中に、これによつてインチキな宗教を擬装したものを取りのけるだけの何か一つの線を持つて来なくちやならん。ところがこの場合ですと、なかなかひようたんなまずのようなことで、どつちかというと、抑えにくい。で私はもう一遍露骨に言うと、検察官に来てもらうて参考に聞かんというと……。併しこれは諸般の事情があつて、どうしますかね。私はよほどこれは気を付けんと、今石丸さんが言われましたように、余り外国流の自由というようなことに陷り過ぎて、とんでもない放悉な混乱を許すような傾向が、この項目には実は非常に多い。実はこの点のところはこれはこれでお出しになつたから、私どもよくあなたがたにお願いして置きたいと思うが、これはよほどどうかなさらんと、これではどうもひようたんなまずで、なまずを抑え得ないと思う。こういう点もなお一つ一遍お考え願つた上で、こちらも相談して見んならんですがね、これを無難で通すのも困るから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/136
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137・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 梅原委員に申上げますが、法務総裁に、この次に来てもらうように連絡をとつておりますから、その次にもう一遍……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/137
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138・石丸敬次
○専門員(石丸敬次君) 大体お考えになつておらるるところがわかりましたが、非常に苦しそうに御答弁になつておるように拜見しますから、これ以上申上げるのはどうかと思うのですが、ただ信教の自由を害しないために、その法人については成るべくひどいところまで持つて行かないということはよくわかりますけれども、併しこの法人は、境内地からいろんな面に至る、まで、免税という非常な恩典を與えておるのです。恩典も何も與えないという私立学校と違うので、非常な恩典を與えておる以上は、法令に違反するだけですぐ解散を命ずるということはこれはよくない。併しながら法令に違反して、それが違反したのみならず、その上に公共の福祉を害するというところまで行つたものでは、まだそこに行かないので、「著しく」まで行かない程度ならば、やはり免税をして保護して行くということは、どういう理由なのか、そこの点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/138
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139・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の御質問も、我々といたしましては重々同意見の点が多いのでございます。ただここで信教の自由等の行過ぎについて、法の行過ぎまでは予想しておりませんので、「著しく」という、まあいわば認定の非常にむずかしい言葉を使用した意味合いは、ただ公共の福祉を非常に幅広く解釈される場合を恐れて、むしろ客観的に、はつきりした場合というほどの意味に解したい、こういうふうに考えておる次第でありまして、單に主観的な強い、弱いの度合いの問題でなく、むしろ主観性の概念と申しますか、そういつたものを排除して、誰しも考えられる程度における、いわゆる客観的な公共の福祉を害すると、こういうふうな意味合いに持つて行きたいための用意として、ここに規定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/139
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140・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 私からも一点お伺いして置きます。第一項の第三号
「やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えない」というときには解散を命ずるということになつていますが、法令では火災などで滅失してから後五年経つても復旧しないものは解散させるということであつたように思いますが、この法案によりますると、非常に厳格になつております。五年が二年に短縮されていて、非常に過酷になつているように思われるのであります。どうしてこういうふうに短縮されたか。その御意図のほどを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/140
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141・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この点につきましては法案の第二條との関係から出て参りますので、単位団体でありますところの神社、寺院、教会につきましては、礼拝の施設、広義に解釈されます礼拝の施設を備えるということが一つの要件となつておる関係で、宗教法人としてかかる物的な基礎を持つということを、一応法のとり上げかたの一つの基調とした関係上、ここでかかる宗教法人の物的な基礎につきまして、五年間もその基礎を持たないということでは、他の宗教団体の関係からも余りに長い期間ではないか。要するに物的基礎の確保という考え方から、二年に短縮した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/141
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142・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それからもう一つ「やむを得ない事由」というのは、具体的にどういうふうなことをお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/142
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143・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 「やむを得ない事由」の一例といたしましては、まあ火災であるとか、或は広義の意味では天災地変といつたものまでも予想しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/143
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144・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 「やむを得ない事由」というのは、滅失したというのが「やむを得ない」のじやなくして、滅失した後に「やむを得ない事由がないのに」ということになつているんじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/144
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145・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通りでございまして、その滅失がかかる火災等とか、そういつた天災地変等において建てられないとか、或はその後の事情において、例えば実質的に、一例をとつて申上げますならば、本堂とか拝殿とかそういう施設を造るためには、一年ではできない事情がある。或は建築様式とかそういう関係から相当長期を要する。そういう場合に他の教会なり、或は寺院なりに、その活動母体である神社その他の関係をお任せして自主的に継続するというような場合は、これは該当しないのでございます。ここでいう事由がないのにというのは、かかる意味合の下にこれを正当づけるところの実質的な理由というものを見出し得ないということに解釈しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/145
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146・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこの認定は裁判所がするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/146
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147・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/147
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148・梅原眞隆
○梅原眞隆君 今の「やむを得ない」というのは、著しいとか明らかと同じように、非常に幅のある字でありましてね。礼拝の用に供するものに、或る法令が、四間以上なければならんとか、五間なければならんとか言つていれば、それはいろいろな事情があろうけれども、これは大小を問わない。寺であれば、焼けてもあばら屋建でもいい。あばら屋を建てて置いても、あばら屋の中でも寺ができる。神社にしたつて……。止むを得ない事情がないのに二年おいてもできないというのは、礼拝の施設というものは、簡單に言いますと、そこにバラツクを建ててもできるわけなんです。法令が礼拝の道場としてはこれだけなくちやならんという規定でもしてあればなんだが……。そうしてやむを得ないということも、金がないということも止むを得ないことになる。大抵建たるのはそれぞれ必然性があるのであつて、金がないから建つておらないにきまつておる。実際にそういう場合に止むを得ないと言つたら、結局非常に変になる。これは余り遠慮し過ぎて、何やら痛いものに触れるのを恐れるような臆病な立法のように私は思う。こんな場合には止むを得ない事情があろうが、なかろうが、消滅後二年以上に亘たつて施設をしないということでいいと思う。一年ぐらいでもいいと思う。お寺であつて二年間も仏様が参らんというようなぼんさんおつたら、やめさしていい。神主にしたつて……。何間以上の御堂を持たなければならんというように書いてあるならともかく、畳一枚あつても礼拝施設はできる。そういう性質のものに、私に言わせれば二年どころの騒ぎじやない、一年も待つておるというのは甚だ以てけしからん話であつて、いわんや「やむを得ない」というようなことづけるのは、余りにあまやかしたふうに私は考えるのですがね。「やむを得ない」というと、大抵のことは止むを得ないことになる。それはみんな止むを得ないからやつておる。それをこの法律によつて裁判官がこれをやるということになると、裁判官がとてもこの頃のようなむずかしい娑婆にできやしない。実を言うと、私がひつかまえられても、大抵逃げますよ。悪意を以てひつかまえられても……。余り宗教というものを恐れ過ぎて、痛いものにはさわらないような立法のように思うが、どうだろうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/148
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149・高良とみ
○高良とみ君 私はこの規定の内容、趣旨等に多少疑問もあるのですけれども、礼拝の施設というものを特に持たない宗派がありますね。そういうものは普通の場所でも礼拝をしているのですね。例えば附属の学校があつて、その附属の体操場が礼拝堂になつているというところもあります。別になんにもない。そこが都合が悪ければほかの教室へ行つてする、或いは森の中……。そういう場合でもやはり礼拝の施設を要求なさるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/149
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150・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その点でございますが、礼拝の施設を我々は非常に広く解釈しております。従つて特定の場所がある、或いは特定の地域或いは建物等がある場合を予想しております。併しながら例えば転々として説教をする、そういう場合にはいわゆる宗教法人としての法人格を與えるに果して適当かどうか。単なる活動としては御自由でございます。これは何も宗教団体としての活動を我々は予想しておりません。十分活動して頂くということは自由でございます。併しながらそれに一定の法人格を取得せしめて、以て財産活動なり法律上の活動をするためには、やはり客観的な一定の場所、しつらいが必要ではなかろうか、こういう角度から礼拝の施設というものを予想して、広義の意味においてこれを使用している次第であります。従つて全然ないような場合、転々として歩く、こういう場合は、これは法人格の固定性と申しますか、対社会的活動の一体性と申しますか、そういうものが考えられないので、これでは法人格を與えるにはふさわしくないだろう、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/150
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151・高良とみ
○高良とみ君 もう少し、例えば具状的に申上げれば、宗教活動としての範囲はいろいろあると思うのでありますが、例としてはメノナイト或いはクエーカーのような非常な単純な礼拝力むしろ特によしとしている団体がありましてね。それは一定の場所はある、けれどもそれは同時に礼拝の施設ではなくて、どういう廊下でもできる、どういうほかの建物の中でもできる。但し宗教団体としては非常に強いもので、一面伝道、社会事業その他において世界的な宗教団体がありますがね。こういうものは宗教法人としての資格に欠けるところがあると思うのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/151
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152・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 宗教団体としての資格につきましては、何ら我々のほうでは特別に制限するということはありません。御自由でございますし、又結構な宗教と我々も承知しております。併しながらそれがいわゆる宗教法人といたしまして、対外的な法律活動をするとか、社会活動をするためには、一定の人格を必要とする、果して教会或いは宗派としてかくのごとき組織的一体としての人格を付與する必要があるかどうかという場合に、当該の今設例のような宗教団体が宗教法人になりたいという場合には、この法規によつてなつて頂く。その場合には、先ほど申されましたような教会等につきましては、それにふさわしい物的基礎と申しますか、タンジブルな拠りどころを持ちたい、こういうふうな趣旨の下に礼拝の施設という書案を使つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/152
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153・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 何か御意見ございませんか。それでは第八十一條はよろしうございますか。八十一條の先ほどの三の問題、第一項三号の問題ですね。先ほど政府委員が滅失して他に、例えばその上級のところなどに移転してささやかな復活を行なつて礼拝施設を持つていればそれでもいいという御答弁であつたのですが、それでもよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/153
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154・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/154
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155・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは第八十二條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(随伴者に対する意見を述べる機会の供與)
第八十二條 文部大臣及び都道府県知事は、この法律の規定による認証その他の事項に関し宗教法人の代表者若しくは代理人又は第十二條第一項の規定による認証を受けようとする者若しくはその代理人の意見を聞く場合においては、これらの者の外、助言者、弁護人等としてこれらの者に随伴した者に対し、意見を述べる機会を與えなければならない。但し、必要があると認めたときは、その意見を述べる機会を與える随伴者の数を三人までに制限することができる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/155
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156・高橋道男
○高橋道男君 八十二條の二行目の「宗教法人の代表者若しくは代理人」というのは代表役員との関連はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/156
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157・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここで「事項に関し宗教法人の代表者」、この代表者の中には代表役員、或いは代理者、或いは清算人が場合によりましてはあります。いわゆる代表能力を持つもの、こういうわけであります。次の「若しくは代理人」とございますのは、宗教法人が一つの人格者としてその代理人を選定する、こういう場合の代理人を予想しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/157
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158・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、民法の特別代理人という意味とは又違うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/158
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159・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その特別代理人とは違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/159
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160・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 八十三條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(礼拝建物等の差押禁止)
第八十三條 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権又は質権の奥行のためにする場合及び破産の場合を除く外、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押えることができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/160
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161・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 八十四條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(宗教上の特性及び慣習の尊重)
第八十四條 国及び公共団体の機関は、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴收に関し境内建物、境内地その他の宗教法人の財産の範囲を決定し、若しくは宋教法人について調査をする場合その他宗教法人に関して法令の規定による正当の権限に基く調査、検査その他の行為をする場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/161
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162・高橋道男
○高橋道男君 その場合の「正当の権限に基く調査、検査」というようなものの対象の範囲を明確にする必要があろうと思うのでありますが、これは何らかの方法をとることができるものでございましようか、一例を申しますると、法隆寺の仏舎利の問題が先年起りまして、これはもう御承知の通りでありまするが、学者或いは報道関係の人たちと、それから寺院側とに相当態度の上で問題が起つたことがございまして、そういう場合に、学問上の調査研究という点からいたしますれば、相当立入つて中まで拝見するというようなことが望ましいことでございましようけれども、信仰の立場から申せば、そういう神聖なところには触れてもらいたくないというような感情が必ずあると思うのであります。これは学問上の場合でも然りでありまするから、その他の何らかの場合に立入つて調査をしなければならないというようなことも、これは事件によつてはあり得ることだと思うのであります。宗教法人自体のことで或いはないかも知れませんけれども、役員その他人事の関係からそういうことが起り得ることが予想されるのでありまするが、そういう関係についての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/162
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163・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) ここでは、その調査、検査その他の行為が常に法今の根拠に基いて権限行使としてなされる場合を予想しておるのでございまして、事実上の問題はこれは当然拒否して然るべきで、拒否されない場合についても、例えば立入る場合、或いは聖なるものを点検する、こういう権能を法令が賦興している場合についてさえも、その場合についてはその特性なり、慣習を尊重して欲しい、法律的権限を以てなさるその場合の用意としてここに規定したのでございます。それ以外の場合につきましては本人の、或いは宗教法人の同意の下に、或いは諸般の協議の下においてなされるならば格別、然らざる限りにおきましては法においては授権していないのでありますから、この我々の八十四條で予想しておりますのは、法の授権行為があつた場合においても、かかる行為は当然一種の宗教尊重という角度から行使して欲しいという意味合いの下に規定した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/163
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164・高橋道男
○高橋道男君 これも文部当局においては、殊に立案当事者においてはこの御趣旨はよくわかるのでありますが、何かの事件が起つた場合における当局というものは、これは恐らく文部当局ではなしに、裁判所、検察局その他のものがこれに当ることになると思うのであります。従つて只今の立案の趣旨というものが不徹底になる慮れが……、もう慮れどころでなしにそういう事実が今まで何回となく起つておるのでありまするから、その点については関係の官庁ともよく御連絡を願うことを希望いたしたいのであります。これは小さいことでありますけれども、税関係などにおきましても、やはり宗教関係の用品につきまして調査を求められることがあつたのであります。これも宗教関係の大事なものであるということの説明だけではこと足りないことがあつたのでありまするが、そういうような機関に対しましても宗教尊重の趣旨がこの八十四條の規定によつて徹底するような措置を是非講じて頂きたい。これは希望になるようでありまするが、御所見を伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/164
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165・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 我々も具体的なケースにおきましてそういう実例が往々にしてあることを承知しております。従つてその関係からこの規定も生れておる次第でございます。この法案が成立いたしましたならば、関係の各庁とも十分連絡したい、且つは地方の関係におきましても都道府県知事が多くの場合、かかる向の件につきまして、十分なる連絡の上にこの法案の趣旨に副うよう我々といたしましても、連絡或いは伝達その他の行為によりまして、御趣旨に副うように努めて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/165
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166・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 私からお伺いしますが、この八十四條について昨日参考人の陳述を承わつたのでありまするが、宗教の自由を妨げることのないように特に留意しなければならないのでありますが、この際宗教団体は一様に取扱いを公平にしてもらいたいというような希望意見が出ていたのでありますが、何か特に過去において取扱いに不公平なことがあつたのであるか。又現在そういう事実があるのかどうか。信教の自由を妨げないというこの法文の中に、そういう心配は取消されるというお考えがあるかどうか。こういう点も伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/166
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167・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 現実の問題といたしまして平等或いは公平の適用がないということは一般的にはないのであります。事実上の問題としても恐らく宗教別的な、公平を害するようなことはしておらないと存じております。なお一般的問題としましてかかる調査権能、或いは租税の徴收賦課につきまして、各宗各派の共通問題として、或いは行過ぎ、或いは無理解のために住々にしてそういうことが起つておりますかも知れませんが、これは例えば或る一つの宗教団体から見ますと、自分だけがこういうふうな蒙り方をしているというふうな感じを非常に強くするのではないか。現実の問題といたしましてはそういう事実は全然ございません。一般的に申しましてかかるいわば行過ぎた取扱いを受けている実情にあるということを申しましても、不公平な取扱いをしているということはないと思います。なお信教自由の内容といたしまして、平等、公平ということも信教の自由の中に包含されているという解釈を我々はとつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/167
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168・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは八十五條、八十六條、八十七條。
〔説明員荻野勉君朗読〕
(解釈規定)
第八十五條 この法律のいかなる規定も、文部大臣、都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等、宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を與え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を與えるものと解釈してはならない。
第八十六條 この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。
第八十七條 この法律のいかなる規定も、この法律に基いて文部大臣又は都道府県知事がした処分を違法として裁判所に出訴する権利を妨げるものと解釈してはならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/168
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169・高橋道男
○高橋道男君 八十五條には宗教法人審議会というものが含まれておりませんが、これは第八章において規定されているからここに省かれているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/169
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170・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その意味もございましようが、專ら内容的には先ほどの規定がございますのと、一面宗教法人審議会が單なる諮問機関と申しますか、形式的には諮問機関であるので、ここでは專ら対外的な法律行為をする、処分をする、こういう再度から考えられて宗教法人審議会が規定されておらないのであります。両者の意味から外しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/170
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171・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ございませんか……それでは罰則全部。
〔説明員荻野勉君朗読〕
第十章 罰則
第八十八條 左の各号の一に該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 所轄庁に対し不実の記載をした書類を添えてこの法律の規定による認証(第十二條第一項の規定による認証を除く。)の申請をしたとき。
二 第九條又は第四十三條第三項の規定による届出を怠り、又は不実の届出をしたとき。
三 第二十三條の規定に違反して同條の規定による公告をしないで同條各号に掲げる行為をしたとき。
四 第二十五條の規定に違反して同條に規定する書類若しくは張簿の作成若しくは備附を怠り、又は同條第二項各号に掲げる書類若しくは帳簿に不実の記載をしたとき。
五 第五十一條において準用する民法第七十條第二項文は第八十一條第一項の規定による破産宣告の請求をも怠つたとき。
六 第五十一條において準用する民法第七十九條第一壇又は第八十一條第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
七 第五十一條において準用する民法第八十二條第二項の規定による裁判所の検査を妨げたとき。
八 第七章第一節の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
九 第七十九條第一項の規定による事業の停止の命令に違反して事業を行つたとき。
第八十九條 宗教法人を設立しようとする者が所轄庁に対し不実の記載をした書類を添えて第十二條第一項の規定による認証の申請をしたときは、当該申請に係る団体の代表者は、一万円以下の過料に処する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/171
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172・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは附則第五号まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
附 則
1 この法律は公布の日から施行する。
2 宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)及び宗教法人令施行規則(昭和二十年司法、文部省令第一号)は、廃止する。
3 この法律施行の際現に存する宗教法人令の規定による宗教法人は、この法律施行後も、同令の規定による宗教法人として存続することができる。
4 第二項に掲げる命令の規定は、前項の宗教法人(以下「旧宗教法人」という。)については、この法律施行後も、なおその効力を有する。
5 旧宗教法人は、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、この法律の規定による宗教法人(以下「新宗教法人」という。)となることかできる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/172
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173・高橋道男
○高橋道男君 この附則第一の「公布の日から施行する。」とありますが、幸いにしてこの法案が成立いたしますれば、以後何日ぐらいを経て公布され得るか、およその予定をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/173
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174・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この法律は所轄庁が都道府県知事になる関係で、それの伝達に要する期間、準備の期間を予想しているので、従つて一週間乃至十日の日時が必要ではないか。事実上そういう必要があるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/174
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175・高橋道男
○高橋道男君 三号と四号とに亘ると思いますが、この法律施行後も旧宗教法人が存続するわけでありますが、その宗教法人が規則を変更するということもあると思うのであります。そういう場合のこの認証の手続、これは新宗教法人にならなければできないものであるかどうか。この第四号によりますれば旧法人令も存続するようになつておりますけれども、その点如何か、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/175
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176・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この附則の規定におきまして、宗教法人が存続いたしますが、規則の変更等のことにつきましては、宗教法人令がなお生きて効力を有しておる関係で、脱退等離脱を伴うような規則の変更の場合も、これはのちほどの規定に出て参ります変更ならば、現行の宗教法人令の下に変更することを可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/176
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177・高橋道男
○高橋道男君 今の言われた例のうちになかつたのでありますが、事務所の変更ですね。そういうようなことはどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/177
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178・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 旧宗教法人令、現行の宗教法人令でそのまま適用になる、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/178
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179・高橋道男
○高橋道男君 これはまだあとのことにも関連があるのでありますが、所轄庁が県知事になるわけですが、現在教育委員会において地方は扱われておるというような関係は、宗教法人令が別に存続するとした場合にはどういうことになりますか。その関係は県知事に移されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/179
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180・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/180
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181・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは附則十まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
6 二以上の旧宗教法人は、共同して、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、一の新宗教法人となることができる。
7 第三十四條第二項から第四項までの規定は、前項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする場合に準用する。この場合において、同條第二項中「前項の規定による公告」とあるのは「附則第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする決定」と、「第六條の規定による事業」とあるのは「公益事業その他の事業」と読み替えるものとする。
8 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、旧宗教法人のうち、教派、宗派及び教団にあつてはその主たる事務所の所在地の登記所において、神社、寺院及び教会にあつてはその所在地の登記所において、当該設立の登記をする場合を除く外、旧宗教法人の登記簿の謄本を添えなければならない。
9 第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、第七項において準用する第三十四條第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類を添えなければならない。
10 第六項の規定により一の新宗教法人となろうとする旧宗教法人が第七項において準用する第三十四條第二項から第四項までの規定による手続を経ないで、所轄庁に対し規則の認証の申請をしたときは、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、一万円以下の過料に処する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/181
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182・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ありましようか……。十一から十六まで
〔説明員荻野勉君朗読〕
11 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとする旨の決定及び当該新宗教法人に係る規則に関する決定は、当該旧宗教法人における規則の変更に関する手続に従つてするものとする。
12 旧宗教法人のうち神社、寺院又は教会で、だん徒会、信徒会等当該旧宗教法人における規則の変更に関し議決の権限を有する機関を有しないものにあつては、前項に規定する決定をするに当つて、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、信者その他の利害関係人の意向を反映させるため必要があると認めたときは、当該旧宗教法人の規則にかかわらず、特に現任の総代と同数の総代を選任して、当該決定に参與させることができる。
13 旧宗教法人と当該旧宗教法人を包括する宗教団体との被包括関係の廃止は、当該関係の廃止が当該旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となることに伴う場合に限りすることができるものとする。
14 前項の規定により旧宗教法人が被包括関係を廃止しようとする場合の手続に関しては、第十一項の規定にかかわらず、左の各号の定めるところによる。
一 旧宗教法人令第六條後段の規定による手続を経ることを要しないこと。
二 当該被包括関係の廃止に関し当該旧宗教法人の規則中に当該旧宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合においても、その権限に関する規則の規定によることを要しないこと。
三 第十二條第三項の規定による公告と同時に、当該旧宗教法人を包括する宗教団体に対し当該被包括関係を廃止しようとする旨を通知しなければならないこと。
15 旧宗教法人は、第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとするときは、この法律施行の日から一年六月以内に、第十三條の規定による認証の申請をしなければならない。
16 前項の規定による申請があつた場合における認証については、第十四條第四項中「三月」とあるのは、「一年六月」と読み替えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/182
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183・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 十六までの間で御意見ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/183
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184・高橋道男
○高橋道男君 質問で落したことがありますので、補足して伺つて置きますのは、信者という本のを、檀徒、信徒、教徒というような言葉に限つて私質問をいたしましたので、氏子、崇敬者というようなものは含まれておるかどうかということを念を押しておりませんで、これも含まれておると私は思い込んでおつたので、念を押さなかつたのでありますが、その通りでよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/184
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185・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見の通り我々は、お述べになりました各宗各派の信者のすべてを包含しておると解釈しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/185
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186・高橋道男
○高橋道男君 それから包括団体があつて、その包括団体が新法律によつていずれ新宗教法人になると思うのでありますが、それの認証のために相当の日数がかかる、一年なら一年かかる間に、その包括団体に属すべき新宗教法人が設立されるということがあると思うのであります。そういう場合には、包括団体はまだ新らしい法人になつていないというような場合に、その部内の法人を設立できるかどうか。その手続などはどうすべきものかということについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/186
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187・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の設例のような新らしい宗教法人を設立することは、その根拠といたしましては、この宗教法人令に基きまして設立して頂く。そうしてまだ包括教団がこの法案によりまするところの宗教法人とならない場合におきましても、その規則の内容であるとか、登記事項につきましても、従前の、或いは現在の宗教法人を名称、その他を記載して頂いて結構だと、こういうふうな取扱になつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/187
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188・高橋道男
○高橋道男君 そうすると包括団体も、新らしい一教を設立されるものも、両方とも現行の法人令に従うというわけですか。新らしいほうは、この法律に従う、内容は、この法律に従うということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/188
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189・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 新らしく生れますところの宗教法人のみが、この宗教法人令によります。従つてその包括団体が、まだ宗教法人としての規則の認証を受けない場合でも、その所属下にあろうとする神社、寺院、教会につきましては、おのおの巻この宗教法人令に基きまして、規則を作成して、本法による宗教法人になる。一応形式的には、現行の宗教法人令がこの公布と共に廃止になる。従つてこの現行宗教法人令が妥当とする領域が、旧宗教法人にのみしか考えられませんので、従つて新らしく生れようとするものにつきましては、全部この新らしい宗教法人において設立して頂く、こういうことになる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/189
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190・高橋道男
○高橋道男君 そうしますると、新らしく設立すべき法人は、これは包括団体に含まれる場合においては、やはりその新らしい法人に要する規則というものができないと、手続ができないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/190
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191・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) その教団の特性に応じまして、かかる必要性がございますならば、現在の教義、宗派、教団、規則上許され得るものならば、そしてその規則の内容が当然教団の規則として認め得られる内容であるならば、これは新らしく宗教法人法に基きまして、規則を作成しても矛盾するような恐れがないかと存ずるのでありまして、かかる実態関係の上から御判断願つて、然るべきとされる向きの宗教団体につきましては、当然宗教法人法は道をあけておる次第であります。この法の下に、新らしく宗教法人として生まれることを予想される、又は可能であると、こういうように了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/191
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192・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 附則第十七。
〔説明員荻野勉君朗読〕
17 旧宗教法人は、第十五項の期間内に認証の申請をしなかつた場合又は当該認証の申請をしたがその認証を受けることができなかつた場合においては、当該認証の申請をすることができる期間の満了の日又は当該認証を受けることのできないことが確定した日(その日が当該認証の申請をすることができる期間の満了の日前である場合には、当該期間の満了の日)において、これらの日前において解散したものを除いて、解散する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/192
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193・高橋道男
○高橋道男君 技術上止むを得ないかも知れませんが、我々ども法文に馴れないものからいたしますと、十七号が四号の次あたりに持つていつてやると、考え方の恰好がつき易いのですが、そういうふうにはならんものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/193
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194・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通り、理解の仕方から申しますと、非常に近いほうがはつきりいたします。併しこの項までに至るすべての項は、御承知のいわゆる残存するところのものに関する規定でございまして、いわば解散前の旧宗教法人に関連する規定であります。こういうのが最後に至つて、解散ということで終末を告げるという意味合いから、この十七項になつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/194
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195・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 十八から二十一まで。
〔説明員荻野勉君朗読〕
18 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたときは、その設立の登記をした日において、当該旧宗教法人は解散し、その権利義務(当該旧宗教法人が行う公益事業その他の事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)は、新宗教法人が承継する。この場合においては、法人の解散及び清算に関する民法及び非訟事件手続法の規定は適用しない。
19 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記がなされたときは、登記官吏は、職権で、当該旧宗教法人の登記用紙を閉鎖しなければならない。
20 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつた場合においては、当該宗教法人が所有する旧宗教法人令第十五條に規定する建物又はその敷地について同條の規定による登記をした事項(当該建物又はその敷地について旧宗教法人令の規定による登記をしたものとみなされた事項を含む。)は、当該宗教法人が新宗教法人となつた日において、第六十八條の規定による登記をしたものとみなす。
21 前項の建物及びその敷地については、第八十三條中「その登記後」とあるのは、「旧宗教法人令又は旧宗教団体法(昭和十四年法律第七十七号)の規定による登記後」と読み替えるものとする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/195
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196・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 二十二。
〔説明員荻野勉君朗読〕
22 旧宗教法人のうち教派、宗派又は教団で第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたものの所轄庁は、第五條第一項の規定にかかわらず、文部大臣とする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/196
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197・高橋道男
○高橋道男君 質問が繰返えされるような点もございますが、昨日も参考人の陳述の場合に包括団体であるものは、同一都道府県内だけにその教化の範囲が限られておるものでも、文部大臣にしたほうがいいというような意見のかたがございましたが、二十二号の分は旧宗教法人だけに限つておるわけであります。私も昨日の参考人の意見に同調する意見を持つておるのでありまするが、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/197
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198・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この所轄庁の関係でございますが、現在届出ますところの旧宗教団体、こういうものはたとえ第五條におきます規定に或いは第五條の規定の予想しまする事実に相反する場合がございましても、すでに一定の届出をした、いわば既得権といつた建前、それからそれについての諸般の事務といつたような建前から、所管外の事務輻輳を避けるために、この通りに規定したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/198
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199・高橋道男
○高橋道男君 その点なお論議の余地はあると思いますが、次のことをお尋ねいたします。従来この包括団体であつたものは依然として包括団体であらねばならんのか、或いは包括団体であつたものも、單立団体になることもあり得るのか。若しその場合には、解散の形式によつて單位団体、單位法人になるのか、そういう点について御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/199
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200・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) すでに現行の宗教法人令で届出の受理をした関係で、一応受理権者であるところの大臣の関係から申しますと、それを実態的にそれに反するような事実がありました場合につきまして、いろいろ文部省のほうから注意或いは助言をいたしまして、実態に副うような方向に進ませて来たのであります。ところが非常に多い宗教法人の現状から考えまして、中には事実單一宗教団体であるものが包括的な団体として届出があつた、そういうものも必ずしもないわけではございません。併しそれは一、二の例外の場合でございますので、旧宗教法人につきましては、この二十二項を働かして、実態が單に單一団体である、或いは都道府県に存立する教宗派、教団でありましては、二十二項で一応処理して行くことが附則といたしまして適当ではないかというので、こういうような規定を設けた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/200
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201・高橋道男
○高橋道男君 私の質問の趣旨が明らかでなかつたようでございますが、私の申上げたのは、現在包括団体であるものは、この新宗教法人になる場合には、やはり包括団体でなければならないのか、こういう点が一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/201
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202・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) この第二十二項は、この法においてはそれを強制する趣旨ではありません。従つて実質が変更し、宗教団体側におきまして実質が教宗派、教団でなくなつて、或いはそういうものでない組織を持つておる、こういう実質がありますならば、本法の言うほかの所轄庁においても可能であろうかと考えておりますが、その場合についても教宗本派、教団で届出済であつたものも、これは実質が單一団体と仮に予想されますものも、そういう場合でも文部大臣のほうに届出になつたものは、文部大臣に認証を申請する、こういう趣旨に我々は解釈する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/202
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203・高橋道男
○高橋道男君 もう一つお伺いしたいのは、従来文部大臣を今度のこの法律で言う所轄庁としておつたものは、形が変つてもやはり文部大臣のほうを所轄庁とするということはわかりましたが、この包括団体が文部大臣を所轄庁とすることの如何にかかわらず、現在包括団体であるものは今後も包括団体でなければならんのか。つまり包括団体が單一の宗教法人になるということは考えられないのか、こういう意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/203
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204・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 非常に困難な難向と考えられるのでありますが、我々のほうでは教宗派、教団の包括的の実質と、その形式が一応二つ以上の單一団体を包括しておるという実質を持つておる場合には、教宗派、教団の包括団体だと考えますので、お話のような実例と申しますか、具体的な関係はちよつと想像しにくいのでございますが、かかる教宗派、教団で届出があつたが、併しながらこの宗教法人法の場合においては、その教団的色彩をなくしまして單位的の団体で相互の各所属の或いは教会とかお寺とか規則の上で定めた包括的関係を、そういう規則の上の実質において変更せしめる。こういう場合と考えますならば、その場合におきましては、その寺院とか教会は恐らく所轄庁は都道府県知事になるのではないかとも思われますが、併しそれが教宗派、教団的実質を持つておる場合におきましては、これはやはり文部大臣が所轄庁となるのではないか、この点の実際的な実情、実質、規則の制限と申しますか、内容と申しますか、そういう点で決定し得るのではないかと思いますので、実は御質問の内容に副うように御返答できなかつたかも知れませんが、具体的実情をちよつと把握しにくいものですから、大まかな線において、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/204
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205・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 次に二十三、二十四。
〔説明員荻野勉君朗読〕
23 教育委員会法(昭和二十三年法律第百七十号)の一部を次のように改正する。
第五十條第七号中「私立学校を設置する法人」の下に「及び宗教法人」を加える。
24 文部省設置法(昭和二十四年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。
第七條第二項中第四号を第五号とし、第五号を第六号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 宗教法人法(昭和二十六年法律第 号)に基き宗教法人に関する認証その他文部省に属せしめられた事務を処理すること。
「教職員適格審査会
第二十四條第一項中
教職員の除去、就職禁止等に関する政令(昭和二十二年政令第六十二号)に基づき文部大臣の定める範囲の教育職員及び教育関係公務員等の適格審査を行うこと。」を
「宗教法人審議会 文部大臣の諮問に応じて宗教法人に関する認証その他宗教法人法に基きその権限に属せしめられた事項について調査審議し、及びこれに関連する事項について文部大臣に建議すること。
教職員適格審査会 教職員の除去、就職禁止等に関する政令(昭和二十二年政令第六十二号)に基き文部大臣の定める範囲の教育職員及び教育関係公務員等の適格審査を行うこと。」
に改める。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/205
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206・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 次に二十五。
〔説明員荻野勉君朗読〕
25 民法施行法(明治三十一年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
第二十八條を次のように改める。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/206
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207・梅原眞隆
○梅原眞隆君 民法施行法第二十八條というのはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/207
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208・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 民法施行法第二十八條は「民法中法人ニ関スル規定ハ当分ノ内神社、寺院、祠宇及ヒ仏堂二八之ヲ適用セス」こういう規定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/208
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209・高良とみ
○高良とみ君 今お読みになつたのはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/209
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210・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 民法中には法人に関する規定というのがありまして、そこに財団法人社団法人或いは公益法人の規定が規定されておるのであります。それにつきましては、この民法施行法二十八條におきまして神社であるとか寺院、祠宇、仏堂は財団法人或いは社団法人として公益法人とするにはその性格が違うが故にその規定は適用しない。簡單に申しますならば神社とか、寺院、祠宇、仏堂は財団法人と社団法人の性格がないと、或いは両者の性格を持ち、或いはその上のもつと違つた意味における立場からそういう両面の性格を持つているかも知らんけれども、少くとも財団法人なり、或いは社団法人となるにはこの規定としては社寺等には適用するのが不適当だと、こういう趣旨の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/210
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211・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではお伺いします。従前の維持財団のようなものはどういう取扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/211
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212・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 維持財団等の規定はそのまま何らその規定と関係ございません。そのまま存続し得るものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/212
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213・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは二十六、二十七、二十八一括して……。
〔説明員荻野勉君朗読〕
26 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九條第二号ノ四を次のように改める。
二ノ四 宗教法人が專ラ其ノ本来ノ用ニ供スル宗教法人法第三條ニ規定スル境内建物及境内地(旧宗教法人令ノ規定に依ル宗教法人ノ之ニ相当スル建物、工作物及土地ヲ含ム)ニ関スル登記
27 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百四十八條第二項第二号を次のように改める。
二 宗教法人がもつぱらその本来の用に供する宗教法人法(昭和二十六年法律第 号)第三條に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)
28 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第七條第十一号ノ二中「法人タル神社、寺院若ハ教会」を「宗教法人」に改める。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/213
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214・高橋道男
○高橋道男君 私の持つておるこの六法全書によると、去年の二十五年度版の岩波の本かと思いますが、この二十三年における教育委員会法の第五十條第七号というようなもの、それから第二十六号の登録税法の第十九條第二号ノ四というようなものが号数が違うのですが、これは私からお伺いするのはおかしいのですけれどもこれはいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/214
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215・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 教育委員会法並びに登録税法等はその後の法律で以て改正になつております。従つてこの規定の條並びに号数は十分検討の上、なお法制局とも打合せ済みの規定になつておりますから間違いはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/215
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216・石丸敬次
○専門員(石丸敬次君) これは立法技術上の問題で、私ももう少し研究しないとどうかと思いますのでございますけれども、旧宗教法人という名称がたくさん出ております。それから旧宗教法人令第六條後段の云々というようなことも出ております。ところが旧法人令は廃止になつて法律の正面には出てはおらない、出ておらんのは法律のその関係総覧等にも廃止されてしまつておれば、参考のためにたまたま集録されておる場合には結構ですけれども、廃止されてしまつておればもう全然消えてしまつてなくなつた恰好で、表に出て来ないというようなことになれば、この法律を読む人は非常に不便じやないかと思うのです。そこで言葉が非常に長いとどうかと思いますが、言葉が余り長くないようでしたならば、その文句をそのままここに持つて行つて旧宗教法人令第六條後段ということでなしにそのままの番葉を入れたほうが法律を見る人のために便利じやないかとこういうふうに考えます。
それから二十六條の登録税法の改正で「宗教法人が專ラソノ本来ノ用ニ供スル」という言葉を税のほうでは入れて、本法では「固有の建物及び工作物」こういうようになつておるのでございますが、それは同じ意味でございますかどうか。その点と、それから「専ラ」という意味をどの程度に解釈されるように税務当局と御連絡がついておりますか。この点をお伺い申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/216
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217・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 只今の前段の御質問でございますが、ここで特に宗教法人という場合に旧宗教法人は附則第四項によつていわゆる(以下「旧宗教法人」という)ということになつておりますが、法令につきましては宗教法人令がこの項の二項によつて「廃止する」といつた関係からこの三項以下につきましてはいわゆる廃止された意味における表現をはつきりする意味において旧宗教法人令と、こういうふうに唱えた次第でございます。ほかの法令等もかかる関係があろうかと思います。三項以下には、旧宗教法人令、二項で廃止したという関係からこういう技術的な用語を使つた次第でございます。
それから登録税その他税法との関係でございますが、これは三條との関係につきましても「宗教法人が專ラ」云々という言葉でございますが、ここで宗教法人法三條に規定する境内建物境内地とこういうふうに規定しておる関係から考えまして、我々はそれが宗教法人が使用している場合については大体内容的には同一だろうと思います。又そういうふうな話合いも続けて参りましたが、たまたま宗教法人でありましても、かかる建物或いは土地に使用しないものも中にはあるわけでございます。従つて本来は両者相一致するという予想の下に考えておりますけれども、それが宗教法人の目的並びにその遂行という面から外れているような場合は、特に税法との関係におきましては厳重に考えなくてはならないという趣旨から、「專ラ」という言葉が使用されておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/217
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218・石丸敬次
○専門員(石丸敬次君) 第一点のほうはちよつと私の申上げようが悪かつたのでお答えが私の求めていることと違つているのであります。それは附則の十四項での一号に「旧宗教法人令第六條後段の規定による手続」とこう書いてあります。そこで旧宗教法人令第六條後段というのは、どういうものかという場合に、旧宗教法人令はもう廃止になつてしまつて、従つて法令集も何も出ておらんというときには、旧宗教法人令の第六條後段とは何であるかということを探すのに非常に困難である。そこでそういうことを一般の便宜のためにそういうのは後段の規定を、言葉を直して書かれるようにしたらどうだろうか、こういうように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/218
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219・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) 御意見のところ我々も同感でございまするが、これが三年、五年、十年後に至りましても或いはこの旧宗教法人令の解釈適用につきましてその他裁判とか或いは行政庁等の判断に非常に迷う場合があり得る、疑義を生ずる場合があり得る、従つて事項的に内容を掲げることが宗教団体については非常に便利でありまして、往々にして御承知のように、これは離脱、或いは転宗、転派の内容を規定しているものでありまして、今後裁判上の問題になるとかというような場合に、その根拠法として生まれたところのものをはつきりさせようという趣旨から、疑義を生ぜしめないで、明確にするという点でこういうふうに規定した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/219
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220・高橋道男
○高橋道男君 今石丸専門員から御質問があつたので、それに関連して私の見ているところを申上げて御見解を求めるのでありますが、国税なり、地方税法における改正條文が、これは法律ができるために、言葉を変えられただけであつて、内容的に申せば変つていないというふうに私は存ずるのでありますが、その他の免税の種目についても、現在と変らないというように承知していいものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/220
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221・篠原義雄
○政府委員(篠原義雄君) お説の通り、そういう専らその目的のために、附則として改正した技術的な面でございますので、他の税法関係等の法令につきましては、改正の要ないものは、改正しないのでありまして、実質的には変化は伴わないものと解釈します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/221
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222・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 御意見ございませんか……。それではこれを以て逐條審議は一応終了したものと認めます。次回は関係大臣の出席を求めて、総括質問、及び保留された質問を行うことにいたします。
本日はこれを以て散会いたします。
午後五時四十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 堀越 儀郎君
理事
成瀬 幡治君
若木 勝藏君
木内キヤウ君
委員
木村 守江君
工藤 鐵男君
高田なほ子君
梅原 眞隆君
高良 とみ君
高橋 道男君
矢嶋 三義君
政府委員
文部大臣官房宗
務課長 篠原 義雄君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
文部省大学学術
局教職員養成課
長 玖村 敏夫君
事務局側
常任委員会專門
員 石丸 敬次君
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
説明員
文部大臣官房宗
務課勤務 荻野 勉君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X02619510324/222
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