1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十一日(月曜日)
午前十時七分開会
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○産業教育法案(衆議院提出)
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001・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではこれから文部委員会を開きます。本委員会に提出になつておりまする産業教育法案に関して地方行政委員会から連合委員会開催の要望が参つておりますが、地方財政との関係も深いのでありますから本委員会としてもこの要望を容れて、地方行政委員会と連合委員会をいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/1
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002・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それではさように取計らうことにいたします。それではこれを以て暫時休憩いたしまして、午後一時より再開することにいたします。
午前十時八分休憩
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午後零時二十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/2
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003・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) それでは休憩前に引続きまして文部委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/3
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004・矢嶋三義
○矢嶋三義君 予算関係の問題が出ておりますので、丁度地財委当局がおいでになつておりますから承わりたいと思いますが、昭和二十六年度の六・三建築の起債はどの程度に許される予定でございますか、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/4
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005・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 只今のお話は新制中学の建築の起債の問題でありますが、これにつきましては本年度も引続きまして相当の国庫補助が出ておりますので、可能な範囲にそれと同額の起債を承認するようにいたしたいと考えるわけでありますけれども、他の面の起債の所要額が非常に大きいものでありまして、これと照し合せて見ませんとどの程度になるか、まだ正確な数字は出て参らないわけであります。併しこの委員会が続いておりますうちに成るたけ正確な数字をお答えするように打合せをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/5
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006・矢嶋三義
○矢嶋三義君 結局この法案がやはり地方財政の圧迫というその関連性において確かめて置かなければならんと思いまして更にお伺いしますが、この同額起債を六五%程度に減額をするらしいということを聞くわけなんですが、それでなくても資材、工賃の値上りで、現在六・三建築が非常に延びているわけなんでありますが、その六五%に減額するというような数字というのはこれはでたらめでございます。それともそのあたりに落ち着きそうなんでありますか。これは相当地方財政にとつては重大な問題だと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/6
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007・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 只今お話のような経済界の事情もございますし、或いは又地方財政におきまするところの起債所要額から考えて参りますと、相当起債の枠が少いというような問題もございますので、現実に所要額だけは全部起債で賄えというふうな状態にはなつていないわけであります。従いましておのずから中学の起債の部分につきましても或る程度の圧縮は余儀なくされる、そのパーセンテージが何%になるかということはなお内部で打合せをいたしましてから成るたけ近い機会にお答えさせて頂くようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/7
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008・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それに関連してお伺いするのでありますが、発議者の一人である岡議員が衆議院においてこういうことを言われておるのでございますね。「二十七年度から、今の法律で行きますと、六・三制の予算が非常に減るようになつておる。そこで我々は、教育の分野にできるだけ金を確保したい。そこで二十七年度に六・三制の予算が減るのだから、その代りというわけでもないが、そういつたような含みを持つて、ここに橋頭堡を作つて置きたい。」こういう言葉があります。更に「文部省が一応計画している現在の段階からいうと、二十七年度は相当減るようなかつこうになつているように仄聞する。そこで一応減るようになつておつても、我々與党としては、御承知の通り文教予算をできる限り二十七年度にも更に多く要求し、獲得したい。」こういうふうに述べられておるのですが、これははつきりした、六・三制建築の予算が減るからこれをこちらのほうに廻す、教育の予算の全体は減らしたくないという意欲を、意思をここで発表されておるわけなんでございますが、ここで私は大臣にお伺いしたい。大臣が六・三制建築について非常に努力されて来られたわけでございますが、三十五年度四十五億で、約五十万坪の建築をスタートしたわけでありますが、木材が一万六千円、鉄筋が三万八千円、これで計算して非常に資材の値上りと、工賃の値上りで現在二十五年度の建設計画はどの程度に進んでおるか。更に果して来年度、二十六年度は予算できまつたわけですが、二十七年度はここに文部省の計画で、仄聞するわけですが、六・三制建築のほうは少くなるのかならないのか、どういうふうに計画を打立てられるのですか、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/8
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009・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 久保田局長がおりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/9
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010・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) 只今のお話の点は二点だと伺いますが、第一の点は二十六年度の事業計画がどの程度進んでおるかということであつたと思いますが、これは今のところ一番問題にされております点は單価の問題であります。今先生の御質問もその点を衝いておるのだろうと思いますが、單価の問題は今暫らく物価の関係を睨んだところで一般問題として扱うより方法がございますまいから、一応従来の單価で取りあえずの配分をいたしまして、起債の関係などの調節をできるだけ早く安定させまして、それを進めたいというところで、現在はまだ漸く設計なり又設計に伴つた準備が一応終了したという段階でございまして、この夏を狙つて工事にかかるわけでありますので、目下のところはそのところにあるのであります。御承知頂きないと思います。第二の六・三の予算が来年というふうにたるかという見通しについで申せというお尋ねでありますが、私どもとしましては御承知の通り〇・七坪の完成を少くとも本年度中に図りたいということで、補正予算の時期を狙つてでも〇・七の完成を一日も早く完了したい。〇・七の完了いたしますについて一応只今まで私どもが持つております資料から申せば元の單価で申しまして二十三億ばかり、これが〇・七の完成のために必要な金になつております。それから〇・七を、普通ペース・アップと申しておりますが、〇・八にし、〇・九にして行く関係の金がこのまま今の單価で計算いたしましたものが私どもの一応理想案といたしております一人一坪という線におきます分が四百三十億ばかりになつております。これを、この産業教育法が成立いたしましたたらば職業課程とかといつたような部面を中心において、この六・三予算のべース・アップをどう睨んで行くかという、政策的な見通しの問題が出て来るわけでありまして、決して予算をそのまま小さくするとか大きくするとかという問題でなくて、〇・七の完成の分に二十三億という問題はこれは確定的なもの、動くべからざるものと私は考えております。あと四百三十億ばかりの私どもの六・三に対する不足があるわけですが、これをそれぞれの中学校についてどんなふうに置いて行くか。要するに四百三十億を〇・七、〇・八にし、〇・九にして行くという単純な行き方で行くか、或いはこの産業教育法が成立したら、特別教育の振興という意味で、どんなふうにとつて行くかという政策的な決定の問題があと残つて来るわけでありまして、四百三十億をどんなふうに充足させて行くか、これは政策決定の問題として残ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちよつと端的に先ず二十五年度の事業量は何%ぐらい完遂しているとつかんでいらつしやいますか。物価が値上つたために事業が遅延しているでしよう。やらないでいるでしよう。それを大体ざつと言つてどのくらい減るか、つかんでいらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/11
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012・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) 二十五年度の分では、都会地に非常に土地購入のことで、特に大阪のような土地では土地購入の問題のために非常に遅れておるのがあつて、或る程度の繰越をいたしておりますが、それ以外のものは一応完了いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に、では来年度も地財のほうで起債の総額、起債を今度は恐らく抑えるような方向に行くのじやないかと思うのですが、そうなりますと来年度、二十六年度ですね、この前予算を組んだあれから言つて、そちらのほうは大丈夫ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/13
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014・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) 只今のお話の、地財のほうで六五%平均の起債の扱いをいたしたいということを申しておる。それについての御質問だと伺うのですが、昨年度の実績から申して、大体八〇%ぐらいのところが一応決定線になつております。例えば、三十坪以下のところでは、大体起債をつけないとか、或いは又三十万円程度の事業については起債をつけないとか
いつたように、いろいろな個々の小さい問題をあまり大袈裟に扱わないといつた意味合いで抑えて行つて整理し上げたという数字が全体に対する八〇%ぐらいになつておるというのが実績です。去年までの起債と補助金との関係がそこで平均六十五見当を持つておれば、今年あたりの事業量から行けば或いはその辺でおさまるのではないかと
いう、これはまあ地財のほうの見当でございますが、そこで私どものほうとしましてはその非常に小さい補助金、又今申しましたように、三十万円程度のものに起債をつけるかつけないかというところに問題があるわけでして、そういう小さいものは私どもの予算の配分から申してもできるだけ避けたい。一つの単位に三十万持つて行くよりも、大きいところで、実際に苦心しているところを救済して行く形のほうが、当面の問題として急だという意味合いがあるので、あまり小さいところに補助金を持つて行くことは避けた。補助金が仮にあるとしても、起債をつけたいといつたようなところが三十万円程度であれば補助金だけで解決してもらい、五十万円くらいのものは補助金だけで整理して行くというふうにいたしまして、大体八〇%近いところで安定するようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/14
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015・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 大臣がお急ぎですからお帰りになつて頂いてよろしうございますか。後で又大臣が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/15
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣がいらつしやるならお伺いしますが、今年中に〇・七にするには二十三億と申されましたね。そこでお伺いしたいのは老朽校舎を考えているのかいないのか。生徒の自然増加を考えているのかどうか。更には又二十六年度の予算には木造坪一万六千円、鉄筋にして三万八千円と組んでいるのですが、二十五年度と同じ單価で組んでいるのですが、それで果して二十六年度狙つている事業童ができるのかできないのか。そういうところから、それに起債関係が出て参りますと、さつき大臣が予算関係を心配されたのですか、六・三の建築を推進して必要なだけをとつて而もこの予算が取れるかどうか、その点に私は非常に問題点があると思います。それで私は大臣にお伺いいたしたい点は、やはりこの産業教育振興に要する費用というのは奬励的な補助というその立場から、地方財政と無関係に国の補助一点張りで奬励的補助としてとるという形で立法するほうが地方財政を圧迫しない意味からいつても、それから今の六・三計画というものをとる意味からいつてもいいのじやないか。こういうふうに考えるわけですが、そういうことに対して大臣はどういうようにお考えになつているか。又その見通しに対してどういうふうに考えておりますか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/16
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017・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) それはむしろ長野委員長にお聞き頂いたほうが私はいいのじやないかと思います。併し私の意見を求められましたから申しますが、私はこの財政については非常に心配いたしております。これを本当にやり、又六・三建築も十分やつて行く、六・三建築は〇・七坪を完成するのでございますが、今言うようになかなかむずかしい。殊に私は〇・七坪に満足するものではなくして、少くも〇・九坪にしなければならないという考えを持つておるのでありますから、これは非常に困難ではあります。その点は私は非常に心配いたしておりますが、併し長野さんもその点については十分確信を持つてやろうということでございますから、私どももできるだけの努力をいたします。殊に六・三建築がこのために行詰るというようなことがあつては困ると自分は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/17
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018・高良とみ
○高良とみ君 大臣が御苦心の、職業教育の振興を図りたいという御気持はよくわかるのでございますが、実態から見ますと、農業、水産、工業、商業、その他の方面では、教育に属すると思われる面まで随分近来発展して来ておるのであります。その点から言いまして、予算をお取りになりまする場合にも、農業教育の完成のために、農林省の予算の枠内から、というと語弊がありますが、農林省或いは通産省その他の方面からも、十分な協力をお得になる御努力を今までなさつたと思いますが、今後は特に職業教育に関しては、それなくしては非常に困難が多いと思うのであります。而も国の要請におきましては、食糧の増産も、水産の振興も、工業の発展も、勿論必要ではございますが、その過半数の仕事をいたしまする人材の養成について、特段な御努力をなさいます御内意があり、又御決意があるかどうか、その点を伺わないと、今回の職業教育を援護いたしまするについても、何だか少しその方面からの声を少しも今は聞いておらない、局間人のみでなく、予算を取られるときの御努力を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/18
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019・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 御尤もなことでございまして、どういう方面でも人材がなければやれないので、その点については、すべての人が、内閣の大臣は皆国務大臣なんですから、当然私どもの考えに皆同感して下さつておるのですけれども、やはりそれぞれの所管にそれぞれ予算を要求する点があるものですから、直ちに私たちのこの案を支持して下さるかどうかは、私もよくわかりませんけれども、予算折衝ということになつて参りますれば、自分は併しよくそれぞれの関係の大臣に御了解を求めたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/19
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020・高良とみ
○高良とみ君 同じ線でありまするが、アメリカにおける職業教育万両の状態などを見ますと、その方面が非常に和やかに各官庁の縄張りでなくして、むしろほかの方面の農業や工業の方面から教育に対して多額の援助を申出て来ておるように見えるのであります。又最近オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、ああいうような官立でない大学に対しましても、英国の国会などは挙げて、今まで人材を養成したことに対して、貧しいと言われる困難の中からも非常な多額なものを無理にもらつてもらうというような形になつて来ておりますが、こういうふうに行くことが理想でございまするけれども、今までここまで至らなかつたことは、各産業や、内閣の各部門の大臣初め官庁におきまして、もう少し御努力願うように今後御盡力願いたい。こういうふうに考えて、要望を申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 長野委員長に対する質問は……もう少し監理局長からお伺いいたしたい。監理局長に重ねてお伺いしますが、前文部大臣は、二十五年度で六・三建築は終了するというようなことを閣議で申されたことがあるのですが、そういうことを言つたために、二十六年度の六・三建築予算の獲得に非常に支障を来たしたことは、天野文部大臣から承わつておりますが、そういう二の舞をしないように重ねてお伺いするのですが、局長の御意見では、二十五年度の事業量も予定通りに行つておる、あと二十三億あれば〇・七坪は確保できる、こう言われるのですね。老朽校舍のほうはこれに入つておりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/21
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022・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) お説の通り老朽校舍の問題は、〇・七坪の問題と全然別な計算になつておりますから、全然含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どのくらい含んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/23
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024・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) 含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 老朽校舍について、現在予算化しなくてはならんと考えられる坪数なり費用というものは、どのくらいになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/25
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026・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) 老朽校舍の一部を危險校舎と称しておりますもので、いわば使用禁止に当る類型のもの、坪数四十四万坪、現在の單価で大体四十億というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/26
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027・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現在の六・三建築予算というのは、都道府県によりますと、自然増さへ賄えない。私は先般神奈川県に出張してひどい例を承わつたのですが、この生徒の自然増加さえ賄えない。こういうことを視察して参つたのですが、この局長の言われる二十三億の中には、生徒の自然増は織込んでおりますか、織込んでおりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/27
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028・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) いわゆる自然増をそのまま入れるか入れんかという問題は、これは義務教育関係の経費に対する補助金の基本線になる問題でありまして、〇・七坪の基準線を作りますときに、あれで一応の時期を切つて、自然増を含めた生徒数というものを押えたわけであります。それ以後の自然増をどう扱うかということは、先ほど申しましたようにその義務教育の根底における経費の押え方の基本問題でありますので、今後この自然増をどう見るかという問題は、又別な感覚から見て行かなければなりませんので、二十三億と申します〇・七の基礎坪数については、この問題についてはその当時、今から申して一昨年の四月三十日現在、その次に補正になりましたのは九月三十日現在となつておりますが、その当時の自然増を計算に入れておるだけでありまして、その後の自然増というものは入れるわけにはいかないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは続いてお尋ねしますが、衆議院の文部委員会で岡委員が言われておる二十七年度は六・三建築予算は相当減るように文部省の通達を仄聞しているということをお認めになりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/29
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030・久保田藤麿
○政府委員(久保田藤麿君) その話のことについて、私は一応どういうことかよく内容はわかりませんが、私のほうから六・三予算の経費が減るはずだということを申している事実はございませんし、岡先生のおつしやるのは、一つの段階が来るということをおつしやつておるのかと思いますけれども、私のほうとしましては、先ほど大臣もお話になりましたように、少くとも〇・九の観点から狙つておりますので、又先ほど御指摘の老朽校舎、そのうちの危険校舎の分を是非完成いたしたいということを考えておりますので、金額の大小のことは今問題でないと思いますけれども、六・三予算が不必要とか、又非常に小さい金になるとかいうような意味合いではないことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今お尋ねした点ではつきりしていると思うのですね。少くともいわゆる義務教育実施のための六・三建築予算というものは、今の予算よりは少くしてはならない。それ以上取らなければいわゆる六・三建築の完成ができないということは数的にもはつきりしていると思うのです。そういう事情がここにあるわけでございます。
次は地方財政委員会のほうの奥野さんに承わりたいのでございますが、ここに提案されているように、表面には数字は出ておりませんが、二分の一国庫で、あと二分の一を地方財政のほうで賄う。それで国家財政の見地から起債もだんだん縮小するかも知れない。こういう状況下では、私非常にこのままでは地方財政を圧迫し、義務教育の
ほうにしわ寄せを来たして来るのじやないか。こういうふうに考えるのでございますが、地方財政を指導されている当局としてどうお考えになりますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/31
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032・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 地方財政の計画が今年度と同じような形において強行されるといたしましたら、到底新たなるこの程度の負担をすることは不可能である。こう申上げなければならないだろうと思うのであります。併しながら合理的な財源の配分が行われるものとするのなら、先ほども申上げましたように、国費で出します場合には当然地方負担というものも考慮に入れまして計画されなければなりませんし、その際において当然地方の所要の財源というものも地方で得られまするように、税制なり或いは平衡交付金なりが按配されるというふうに考えているわけであります。なお更に申上げますれば、この二百億円と予定される経費というものは、これは恐らく臨時的な経費であろうと思うのであります。これを一体税金で賄つて行くか、或いは借金で賄つて行くか、或いは地方税は増税しないで国税で徴収したものを平衡交付金として地方に與えて行くかというふうな問題もあるだろうと思うのであります。産業教育に関しまするところの施設の基準を或る程度高めました場合に、仮に二百億円要るのなら平年度におきましてはそれの何分の一か、建設費の耐用年数等を考えて行く必要があるだろうと思つているのであります。そこで地方財政では相当の負担になることは事実でありますけれども、これはやはり国の財政と地方の財政とを総合して考えて行かなければならない性質の問題であろうと、地方債を現在よりも、五十億を絶対に殖やしてはならない、百億を絶対に殖やしてはならないような問題もございませんでしようし、或いは又減税をどの程度にしなければならないかというふうな問題ともからみ合つて来る問題でありますので、国庫財政はいいが、地方財政だけでは困るという問題はない。国庫財政、地方財政を通じてこの負担に堪えられるかどうか、新制中学の問題とどうからみ合つて行くかというふうに御検討願わなければならないというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点奥野さんにお伺いいたしますが、平衡交付金の外でこれをやるということを、蔵相もそれからGHQも了解したとさつき承わつたのでありますが、これに対してあなたさまのほうでは異議ございませんでしようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/33
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034・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) この法律の中には補助すると書いてございますので、当然平衡交付金にして相当の国からの奨励的な補助金として支出されることと思つております。もとよりこういうふうな臨時的な財源につきましては、奬励を兼ねまして補助金の形で寺出されることが好ましいだろうというふうに考えておるわけであります。残りの二分の一、地方債で負担して行くか、或いは税金で負担して行くかというような性質の問題は、別に残つておるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 奥野さんはもうよろしうございます。発議者の長野さんにお伺いいたしますが、先ほど財政関係をずつとお伺いしたわけでございますが、今職業教育の第一線の場において、教育が実施できないほど惨怛たる施設状況であるということは、もう長野委員長が申される通りで、実に惨怛たるものだと思えのです。この職業教育の振興というとは、我が国の自立経済の根基になるということもこれははつきりしておると思うのですが、地方財政、特に地方財政の中で非常に大きなウエイトを持つておる六・三制の実施というものを併せ考えるときに、長野委員長は丁度與党に所属されて、而も吉田総理の見解では、十五年くらい吉田内閣が続くということも言われておるわけですが、而も教育を非常に重視するというのですが、それだけの熱意がありましたら、地財当局としては国家財政と地方財政と両方睨み合してやらなければならないということを建前上は申されるのでありますが、この補助財政的な面を地方財政に二分の一云々というような、そういうけちな考えを起さないで、我が国の官立経済とも関連のある職業教育の振興であれば、奬励的な補助として、思い切つて国費を主としてこれを解決することが至当ではないかと、長野委員長の熱意を以てすればそれができるのじやないかと思うのでございますが、それに対する長野さんの見解なり或いは決意を私は承わりたいと思います。そうでないと、このままではどうしても所銓地方財政を圧迫し、又義務教育を今の六・三制の推進をどうしても支障を来たすやに懸念されるので、あえてそういう見解なり決意を承わらんとするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/35
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036・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 我が国の産業振興並びに自立経済関係からして必須の條件である産業教育のためには、地方財政等の影響にも鑑みて、全額国庫負担くらいでやつたらどうかというふうな御質疑であつたように思いますが、勿論国費でやつても私は原則的に言うと差支えないほど重大な問題であるとは思います。併しながら御承知の通りそうやることは実質上においては我が国の財政がこれを許さんのでありまして、かたがたそれは地方の財政へもやはり影響いたします。それだけ大変なことでありますから、我が国の現状からしますとこの二分の一さえなかなか容易ならないと思いましたけれども、漸く財政当局も大体この線に沿うて了承を得た次第であります。これはもう私の全力を盡して努力しました結果、そうなつております。併し先日も申上げましたように、非常にこの貧弱な困窮した財政状態にある自治体等が計画する場合には、二分の一とはしてありますけれども、場合によつては三分の二も考慮して、そこら辺に多少融通はきかし得ると思います。かような点で参り得ると思いまするし、御趣旨の、御質問の点につきましては万万了承いたしますけれども、まあ実際の状況がそうはさせない。但しその点も緩和するために二分の一に釘付けされるものではない。必要性のある、又放置すべからざるところなどは幾らか率をよくするということは、文部当局から考えて頂きたいと、かように考えております。それからなおこの際いろいろ今までの御質問の中で、私からもお答えをして置く必要があると思うことを二、三申添えて置きますが、この大体六・三建築との関係如何という問題でございますが、実は少し手前味噌にもなりますが、実際を申述べることから一応ここに申上げなければなりませんが、昨年、つまり二十六年度の予算編成に当りまして、六・三制建築の経費が四十三四億になつておりますが、それが二十三億に実は削られました、最初。で、文部当局からも、委員長も当然行つて、一つ鞭撻されなければならないということで、それは大変だというので私参りまして、漸く、勿論私どもは縁の下の力持ちでありましたけれども、四十数億をかち得たのであります。その際にも我々が教育計画を立てて、皆さんに要求するゆえんのものは、最も重要なる基礎教育である、まあ昔で言えば国民教育、今日で言えば義務教育に事を欠かないだけの施設をすることを前提として、その上に我々は要求したのである。従つてこの二十三億なんということは、これは非常な間違いであるということを私は力説をいたした次第であります。幸いにして幾らか、我々は満足しませんけれども、四十数億になつたということだけでも結構だと思います。まあそういう気持でやつておることを御了承願いたい。
それから次に老朽校舍の問題にしましても、我々地方を廻りまして実に憂うべきものが多いのでありますから、これは今後若し六・三制建築ということに力を入れる上において、老朽校舎を改善するいとまなしということがあつたら大変なんで、これは絶対に地方の実情を十分調べて、そうして危險な状態にあるものは勿論、教育上差支えが生ずるようなものについては速かに改築若しくは修築を加えるようにする必要があるということは絶えず我々は主張いたしておる次第であります。それから次に農林省の予算の枠内から多少考えるべきじやないか、こういう御意見もございましたが、勿論その通りであります。故に私はこの産業教育法の策定につきましては、特に農林省の農業改良局長に対しましては、十分なる交渉をいたしました。そうしてこういうものを自分のほうでやる考えである。今後は一つ御協力願いたいと申しましたが、前改良局長もそれから現改良局長もこれには絶対賛成であります。というのは、或る点においては両者に相当相互融通されるものがあると思います。十何億かの農地改良、農民運動的なものがありまするが、ああいう経費の中に、その経費は勿論農林省として必要なものでありますけれども、その運動そのものの中には、農村の青年などもこれに加わるわけでありますから、そこら辺は按配を加えまして、相提携してこれを行なつて行くということになりますと、一面においでは農業教育の上に非常に奥深い有効な指導ができる。又教育も教授もできるものじやないかと、かように考えております。大体こんな気持でございますから、只今の御質疑等につきましては、御趣旨においては勿論それは賛成でありますけれども、財政上の関係上、我我としては以上の方法でやつて行くということに努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長もう一点、これで終りますから……。重ねてお伺いしますが、老朽校舎とか六・三建築については今委員長が申された通りでございます。それほど大事な問題でございますから、これでこの解決に地方当局を専念させ、まあ百億は何とか了解がついたとなれば、その百億を地方財政と切り離して国から出るところの金だけを地方財政と切り離してこの問題をやつて行くというようなお考えをされたことはなかつたか。又そういう点について交渉されたかどうか、その点が一点と、それからもう一つはさつきからこれは産業経済の発展に非常に寄與するのだから、例えば今長野委員長から申されたような農林省関係の予算がこれと関連があるというのですが、そういう農政とか商工行政、そういう方面の躍進を図つて産業の発展に寄與するような予算に匹敵するものを、そういう予算をそういう省から臨時的に職業教育振興を貫徹するまで文部省にその予算を廻すというようなことはお考えにならなかつたか。その二点について最後にお伺いします。老朽校舎と九六・三を地方当局に専念さして、そうして国から百億出るとすればこの百億を地方財政との関係をくつつけないで地財方政と切り離して国から出るだけの費用で、百億だけでこの問題を解決して行くというような、要するに受入態勢がなくてもやるというようなことをお考えにならなかつたか。それから又、財政当局とそういう点について交渉されたならばどういう御意向であつたかという点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/37
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038・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) 私から、若し足らんところがありましたら専門員からお答えいたします。
そういうことは先ほどもお話がありましたが、全部国庫負担にするかというお話がありましたが、何事でも国庫負担でか弱い町村を助けるということは誠に結構なことでありますけれども、それは事実できないからそうやるので、同じように、只今の御質問に対しましても全部が国が持つて、地方はまあ地方財政には影響なしに云々ということも、これも前のお答えしたと同じ意味でありまして、やはり地方のために、地方自体のやることへ国が援助するということで初めて結構であります。いわんや全国地方それぞれ画一的にはならないのでありまして、やはり実態がそれぞれ違うので、これに対して画一補助とか或いは全額ということは考えられないということは、これはただに私どもがそういうふうに考えるのみならず、又これに関係する立場の、立場々々の強く主張せられて来たわけであります。まあ漸く二分の一を大体標準にして、そうしてより以上やつてやる必要のあるところには或いは三分の二行くということで調和すると
いうことで立案したわけであります。立案にかかる前にはいろいろ考えておりましたが、我々はいよいよ立案にかかつたときは只今申上げた通り地方との独自性に基いて、地方の実情に基いて国がこれに援助するということが一番妥当であるということの見解からとりかかつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 要するに二点は一口に申しますと、産業再建費みたいのを臨時的にこちらに廻すことはどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/39
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040・長野長廣
○衆議院議員(長野長廣君) その点につきましては、これはちよつと考えると、誠にそういうことも考えられべきように思います。又いろいろと各区分区分について考えるとさような見解も出て来るのではないかと思います。併しながら一体農政にしましても、通産行政にしましても、御承知の通り、つまり教育ということとは離れたところの産業乃至経済の立場に立脚して行くべきものでありまして、これを直ちに無條件に教育のほうへ流通するということになりまするというと、これこそ我々が常に心配をしますところの教育を單なる技術的なものにしてしまう。いわゆる精神教育との関連においてこそ我々は職業教育というものの価値を認める。又よりよき精神教育を行い、人格教育を確立する意味において我々は産業教育を取扱つて行く考えでございますから、これがややもすると事業本位に、今言われたような農業政策、商工業政策の立場が強くなると由々しい問題を生ずるわけでありまして、その点は十分考えて、若しその間に職業教育或いは地方の国の農業のために盡すと共に精神面に非常に有利な、他の弊害を伴わん場合がありましたらそれはとつて以て教育いたすということにしなければならんと考えてます。もう一つ学校で教育を行う教育、実習教育というものがその当時の国又は地方の方針に逆行するようなことがないとも限りません。そういうことになつたらこれ又おかしなことになりますから、両者相関連して、これならばもつとこちらに手伝わしていいということがありましたら、その学校独自の考えで、国なり地方の産業政策の中の或る事項を実習せしめるということはあり得ると思いますが、併しそれさえ危險なんでありますから、容易にそういうことに流れんようにしてもらいたいという見解を持つておりますが、文部当局の立場もありましようから、我々としてはそういう意味で立案いたしておる次第であります。併し極めて密接な関係においてこの農政或いは商工業政策との関係は考慮して参つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/40
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041・堀越儀郎
○委員長(堀越儀郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時十三分散会
出席者は左の通り。
委員長 堀越 儀郎君
理事
加納 金助君
成瀬 幡治君
若木 勝藏君
木内キヤウ君
委員
木村 守江君
高田なほ子君
波多野 鼎君
梅原 眞隆君
高良 とみ君
高橋 道男君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
衆議院議員
文部委員長 長野 長廣君
国務大臣
文 部 大 臣 天野 貞祐君
政府委員
地方自治庁財政
課長 奧野 誠亮君
文部省初等中等
教育局長 辻田 力君
文部省管理局長 久保田藤麿君
事務局側
常任委員会専門
員 石丸 敬次君
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015115X03719510521/41
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