1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十五日(金曜日)
午後一時五十三分開会
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本日の会議に付した事件
○商法の一部を改正する法律の一部を
改正する法律案(衆議院提出)
○弁護士法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○商法の一部を改正する法律の施行に
伴う関係法律の整理等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○有限会社法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○非訟事件手続法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 只今より委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/1
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002・須藤五郎
○須藤五郎君 私は今朝の法務と地方行政との連合委員会で住民登録法案について質問してみたいと思つておりましたが、早く切上げられたので質問できなかつたのですが、この委員会で住民登録法案に対する質疑がまだ今後なされるのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/2
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003・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) することになつております。そのとき御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/3
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004・須藤五郎
○須藤五郎君 では、そのときに質問をさして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/4
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005・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。提案者の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/5
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006・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) 只今議題となりました商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について提案理由を御説明申上げます。
御承知の通り、昨年第七国会において制定いたしました商法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第百六十七号)は、来る七月一日から施行されることとなるのでありますがその施行は、日本経済にとり極めて重大な意義を持つものであります。ところが、これに伴う施行法が未だ公布せられないため、現存株式会社にとつて改正商法に適応する定款の変更、及び新設条項に対する準備、訓練の期間が殆んどないことを認めまして衆議院法務委員会におきましては、去る三月二十日全会一致を以てこれが施行期日を「十二月一日一と改める仮案を定めまして、関係方面と十数回に亘つて折衝し、且つ、我が国経済界及び関係機関から実情、意見を十分に聽取し、慎重に検討いたしました結果、(一)商法の一部を改正する法律は、原則として既定の通り、七月一日から施行する。
(二)但し、同法律中、我が国経済の実情に則しない点は改正するとの結論に達しました。
さて、同法の改正内容でありますが、この点につき、経済界の意見を聽取いたしましたところ、いわゆる少数株主権たる(イ)帳簿書類閲覧権等、(ロ)差止請求権、(ハ)株式買取請求権、
(ニ)代表訟訴の権限のうち、(ハ)(ニ)の権利につき改正の要求がありましたので、更に関係方面と折衝の結果、(ニ)の代表訴訟その他会社編に規定する訴、請求につきいわゆる会社荒し等に対する手当をいたすことに確定いたしたのであります。
以下改正の要点につき若干の御説明をいたします。第一点は、新法において削除いたしました旧法第五十九条め趣旨を復活し、株主その他の利害関係人が会社に対し解散命令の請求をした場合には、裁判所は会社の請求により、相当の担保を供すべきことを命ずることができるようにいたしました。但し、この場合、会社は株主等の請求が悪意に出たものであることを疏明しなければならないことといたしました。第二点は、代表訴訟(第二六七条)の場合は勿論、その他、合併無効の訴(一〇六条)、決議取消の訴(二四九条)等についても、第五十九条の改正(第一点)と同趣旨により、担保提供の義務を規定いたしました。第三点は、第一点及び第二点の改正に伴いまして、八カ条について、条文の字句を整理いたしました。
以上が商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨の大要の説明であります。何とぞ御審議の上、御可決あらんことを御願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/6
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007・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 本案に対する質疑は次回にいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/7
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008・中山福藏
○中山福藏君 この「相当の担保」というのは、あなたがたの見込ではどのくらいの見込になるということで、どういうところに基礎を置いていたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/8
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009・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) 裁判所が損害に対する担保をそのそれぞれの事情によつて裁判所が良識によつてきめるよりほかに方法がないので、抽象的に今ここで何ぼくらいであるとか、どういう基準によるかということはちよつと申上げにくいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/9
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010・中山福藏
○中山福藏君 これは「相当の担保」というものは裁判所の調査費を含むところの「相当の担保」という意味ですか。これはどういう担保なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/10
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011・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) この訴訟請求が立たない場合において会社が受くる損害がありますから、その場合における損害の担保だ、こう解釈をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/11
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012・中山福藏
○中山福藏君 確たる基準というものはない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/12
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013・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) 確たる基準はありません。衆議院のほうでもその質問がありまして、いろいろ意見は戦わされたのでありますが、結局裁判所の良識に基いて決定を願うよりほかに途がなかろう、こういつておるのです。ここに悪意の疏明という、悪意がちよつと問題だつたのですが、この場合の悪意も、民法のいわゆる善意、悪意という意味ではなくして、それも入りましようが、そのほかに会社に損害をかけるという行動を起して他の目的を達しようとするような、いわゆる会社荒しの意図を持つてこういう裁判を起す、請求をするというような場合においてはそのことが即ち悪意だ、ここまで解釈して、疏明もそういう方面の疏明だつたらそれで事足りる、こういうように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/13
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014・中山福藏
○中山福藏君 その会社荒しの標準というのはあなたがたどういうふうにとつておるか、そこが一番大事でしよう。会社荒しというのを単に主観的な見方で会社荒しと断定してかかられては堪つたものじやない。そこでその標準をどこに置くかということが一番大事なところでいような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/14
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015・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) これも一概にそういう判断を下しにくい場合もあると思いますが、例えば他の会社でたびたび同種の行為を繰返しておつた前歴を持つておる者とか、或いはその繰返しておつた内容についてのところまで触れて入る場合もありましようが、そういうことを総合的に考えて、そして会社荒しであるかないかというようなことを一応判断するよりほかにない、こう思つておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/15
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016・中山福藏
○中山福藏君 それは極めて漠然たるものですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/16
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017・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) 漠然たるものです。その会社荒しという言葉が先に与えられた権利を濫用してそして自分の不当な経済目的を達しようと企てることが会社荒しと仮にするならば、そういう目的の行動が他にあればそれでその人は会社荒しの常習者であるとか、或いはこの請求は会社荒しの目的を持つてやつておるのであるというような判断を裁判所に良識を以てしてもらう、裁判所にしてもらう、こういうよりほかに途がないのじやないかと考えておるのですが、実際の問題になればこれは疏明の方法もあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/17
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018・中山福藏
○中山福藏君 それは何ですか。その掌審官の独断的な認定で構わんという意味かね、あなたの意味は……。裁判所の………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/18
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019・押谷富三
○衆議院議員(押谷富三君) いや、これは独断ではいけないのです。そこでこの担保請求をする会社側においてこの訴の当事者、請求の当事者が悪意であることを疏明をしなければならん、その疏明に対する心証は勿論裁判所のこれは自由心証になりましようが、併し全部は独断ではなくて担保請求者は悪意の疏明をしなければならん、疏明に対しこの心証は裁判所の自由である。こういうような考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/19
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020・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 本案に対する質疑は更に続行いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/20
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021・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 次に弁護士法の一部を改正する法律案を議題に供します。提案者の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/21
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022・山口好一
○衆議院議員(山口好一君) 只今議題と相成りました弁護士法の一部を改正する法律案につき提案理由の説明を申上げます。
現行弁護士法は、第五国会において制定されたのでおりますが、その実施の結果、弁護士が公職につく場合に不便なところが生ずることが判明いたしました。と申しますのは、弁護士が県知事、市長その他公選による行政職につく場合に、現行法はその兼職を禁止しております。併し終戦後行政の民主化の方針に従い、民間代表の意見として弁護士会の意見を徴したり、或いは弁護士の資格ある者が行政職につくことを要望されました。
よつて衆議院法務委員会は、この問題を取上げまして弁護士法改正の小委員会を設けて立法すべきや否やを審議しました。小委員会においては弁護士が在職のまま報酬ある公職を兼職することができるとすることは、国家公務員法や地方公務員法の精神に反し、且つ弁護士道にも反するとの意見がありました。これがため慎重審議の結果、弁護士が報酬ある公職を兼職することを禁止いたす建前はこれを崩さないで、ただ例外を設けまして、特別職の若干を明記してその範囲内で兼職できることといたし、且つ常時勤務を要する公職をも兼職できるが、その兼職期間中は、弁護士の職務を行うことができないようにしようとするのであります。これによつて弁護士の行政進出の道を開き、而も国家公務員法や地方公務員法の規定と弁護士道との調整を図つたのでございます。
なおこの際弁護士の資格に関する条文中衆参両議院の法制局参事は法務府事務官と同じように取扱い、又他の法律の条文との比較上、修正すべき点が二、三ございましたので、これを挿入いたした次第でございます。
以上大要説明をいたしましたが、何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/22
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023・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御質疑がありましたら御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/23
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024・伊藤修
○伊藤修君 弁護士法の改正を今日この会期末に提案されて参つたのでありますが、一体弁護士法は根本的に相当範囲において改正の必要があると思うのですが、その点に対して御考慮になつたのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/24
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025・山口好一
○衆議院議員(山口好一君) お答えをいたします。弁護士法の全面的の改正ということにつきましても委員会でも御質疑がございました。まだ施行後二年ほどでありますので、なおその他の問題につきましても今後検討をいたしまして、大きな改正を必要とする場合には、後刻においてこれを行うというような御意見のようでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/25
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026・伊藤修
○伊藤修君 法律を必要のときに差迫つて一部ずつ改正して行くという行き方よりは、そういう御意見もあるならばこの際根本的になぜなさらなかつたか、なさるべきことがいいのではないかと思いますが……。殊に税務代理士法においては弁護士法を改正して、一つの弁護士法を各部所で以て任意に改正して行くということに対して御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/26
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027・山口好一
○衆議院議員(山口好一君) 伊藤さんの御意見御尤もと思うのでございますが、全面的に亘りまする改正は、やはり相当慎重にこれを行わなければならないというような委員会の御意見のように承わつておるのでございます。不肖私どももこの問題につきまして検討いたしました小委員会におきましては、実は弁護士会のほうから第三十条の改正については、近時弁護士が行政方面に進出いたしまする、例えば市長になるとか知事に出るとかいうような場合が非常に多く相成りましたので、これは又一面結構なことと存ずるのでありますが、こうした行政面の進出の状況が非常に盛んに相成つて参りましたにつきまして、さような場合に一々弁護士の登録を取消すということが、例えば選挙に出ます場合にも非常に煩いに相成ります。又実際知事になり市長になりましてもその登録を取消す実際上の必要もないのではないかと考えられます。これは取急ぎ改正をいたすべきものではないか、こういうような弁護士会のほうの御意見も強くございまして、更に一番あとにございます第九十一条の弁護士試補は司法修習生と読替えるという改正が提案されておりますが、これなどは現在非常に困つております問題なんであります。さようなこの際といたしましては、是非至急に改正をいたしたいという部分だけを取上げまして、ここに提案をいたしたような次第でございます。右御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/27
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028・伊藤修
○伊藤修君 私の質問していることは、内容をしているのではなく、この改正するところの条項に対しましては曾つて弁護士法を制定する場合におきまして、参議院においてこれを主張し、参議院が強く主張いたしまして、その点を衆議院において否決されたのです。又この三十条の場合においては打合会のときに承認されなかつた。これは前のほうの第五条ですか、前のほうはこちらが主張しても当時反対をされております。今日出されることは結構でありますが、先ほどの御説明によりますれば、取りあえずとおつしやいますからそれを申上げるので、すでに参議院はかくあるべきだと想像いたしまして、当時この制定のときに強く主張しておる。その際に是認されずに今日出されることは遅蒔きではあるが、結構であります。今の御説明によりますと、要望があつたから取りあえず一部改正するのだ。こういうお考え方が私には解せない。でありますから根本的に一体弁護士法に対してあなたがたのお考えはどことあるのかということを伺つておるのです。又この一部を改正する必要が迫られたならば、弁護士法に対して皆様が取組んでいらつしやるのですから、他の委員会におきまして税務代理士法において改正されるということを看過してよろしいかどうか、そういうことは、よつて以てここに現われてこそ私は本案の真剣な取組み方でないかと思います。ただ言うて来たから一部をそのまま鵜呑みにして改正する。そういうような信念のないやり方では私たちは不本意である。かくあるべきだと私どもはすでにもう前にこのことを主張しておる。法案の内容に対しては決して反対ではない、賛成ですが、立法に対するところの考え方を私は承わつておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/28
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029・山口好一
○衆議院議員(山口好一君) お答えいたします。この第五条、三十条などにつきましては、この前の参議院のほうから御提案がなされたことは承わつております。さようなことも実は我々といたしましては非常に考慮いたしまして、先ほど取りあえずという言葉を使いまして伊藤さんから御異議が出たのでございますが、実は参議院のほうでこの前じつくりとお考え下さつて、こういう御提案もありましたことも、我我といたしましては深く考慮いたしまして、今回のこの提案となつたわけでございまして、決して一部ずつ間に合せ的に改正をいたそうというような考えの下に作つたものではございません。現在の段階といたしましては、この程度の改正が必要であり、又大体十分であると考えまして、かような改正案を提案いたした次第でございます。なおこの法案の出ました経過などにつきましては、法制局のほうから説明をいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/29
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030・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 私から只今の伊藤先生の御言葉の中の一点について補足的に説明さして頂きたいと思います。このたびの改正案の内容の中には先に弁護士法が新たに全面的に改正することになつた際に参議院側から修正意見として出したものがある、これを先には衆議院において否決されたにかかわらず、このたび又出て来ておるではないかというお話なのでございますが、この点は伊藤先生も十分御存じだと思いますが、当時現行弁護士法の全面改正をいたします際に参議院からの修正案は五カ所ございまして、その中の四カ所については殆んど衆議院もこれと同調していたのでございますが、他の一点、つまり弁護士に証拠收集権を認めるという点について最後まで衆議院において当時の委員会でその点についての了承を得るに至らず、従いまして回付案の性質上止むを得ず他の四点がそれぞれ否定的な立場で決定を見たと、こういうような事情にございますので、決して当時もこれを反対したというような事情はないことをどうぞ御了承頂きまして、当時関係しておりました一人といたしまして御説明申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/30
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031・伊藤修
○伊藤修君 私は税理士法案についていきさつを伺つておるのですが、それに対するお答えがちつともないのですが、どういうお考え方で本法案の改正に手をお着けになつたか、そのほうを何故考慮に入れなかつたのか、又考慮に入れてお忘れになつているうちによそで以て、とんびが拾つて行つたというようなことをやつたのか、この点を御釈明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/31
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032・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の税理士法案につきましては、税理士法案の附則第三十一項にある、弁護士は、当然“弁理士及び税務代理士の事務を行うことができるといううちの、税務代理士の分を税理士という制度に改めるに際して、これを削るということを衆議院大蔵委員会において御提案になつたことを存じております。併しながらこれに対しましては、未だ結論的なことを申上げるのは如何かと思いますが、現に衆議院法務委員会におきまして、これに対する厳重な申入をいたしまして、その点についての何らかの妥結を見ることかと、こう考えております。そうしてその税理士法が通過いたしますとするならば、税務代理士という制度がなくなりますので、それに当然の結果として弁護士法の、税務代理士という表現を税理士という表現に直さなければならないのでございますが、それは税理士法案が通過いたしましたあとの問題でございますので、それを先に出して、このたびの改正案で繰入れるということは立法上も如何かと思いまして、その点に触れなかつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/32
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033・伊藤修
○伊藤修君 私の申上げておる点は御承知の通り憲法附属法規にも類した重要な根本法である。その根本法を他の部類の委員会において自己の職務の権限内において自由に改廃して行くという行き方については我々は是認できない。併し今日の制度の上において可能でありますから、現になされておるのですが、それに対してこの法律に手を着けられた皆様方が、いわゆる黙つて傍観しておるものかどうかという点を私は指摘したいのであります。私の言いたいことは、かような法律に手をお着け下さるならば、そういう法規上可能でなされておる改廃行為に対しまして、皆様方から強く指摘して頂いて、そういう方向へ行かないように、今説明員の説明のごとき立場で先行されないように一つお願いいたしたい。そういうような御考慮を煩わさなければならんのではないかということを私は指摘しているのであります。幸いにしてその点も考慮されまして、その法律の通過があり得ないという方向に持つて行くように承わつたのでありますが、そうあれば結構だと思います。我我はあの点に対しましては、弁護士の基本的な立場として重要な事項であつて、あれ一つを除かれるということは、延いては弁護士の全般に対するところの法律行為に対する一つの制約になるということは、香しくない立て方だと思うのですが、その点はこの上とも御努力賜わつて、そういうような間違いのないように御監視あらんことを、御努力を願いたい、こう思います。それからなおこの五条中に、法務府事務官とあります。これは広く事務官と言つておりますから相当広範囲なものであるということは、我々は先に立法するときにおいても考えられたことでありますが、法務府の事務官、而も広い範囲の事務官、これは五年在職しますれば結局司法修習をしなくてもいいということになるのでございますが、この釣合いから申しまして、今度両院の法制局の参事を加えるということになさるということでありますが、私は法制局の参事を加えられることに対しては異議ありません。賛成でありますが、それならば両院には専門調査員室があるのですから、その専門調査員室においてはこれとほぼ同等か、多少は低いかも存じません。併し前段にあるところの法務府事務官というものから比較いたしますれば、参議院におけるところの調査員、二級官に相当する調査員も、同じ待遇を与えて然るべしだとこう考えるのですが、この点に対するところの御意見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/33
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034・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の伊藤先生のお説は、我々といたしましても誠に同僚その他に関します問題でございまして、極めて有難いお言葉だと考えております。従いまして、この原案作成の際幇助いたしました立場といたしましては、勿論そこまで考えたのでございますが、何分にもかような弁護士の資格というものを徐々に拡げるということについても、多少の難点を示されたこともございますし、かたがたこれは、各委員会の専門員のかたは勿論これは論外でございますが、調査員制度というものも未だ形の上でそういう長い歴史がないものでございますので、五年を云々ということでございますので、一応従来の法制局参事という程度だけにとどめ、而も法務府事務官との均衡を図りますならば、三級の法制局主事までも含めてはどうかという拡張論も一応あつたのでございますが、できるだけ謙抑的な意味で法制局参事ということに一応決定いたしました。将来あらゆる同僚並びに関係の人々の実績が、先生方のお目にとまつて、まさしく弁護士の事務修習と相当な程度の仕事をやつているということをお認め下さいますならば、やがてその方向に改正を進めて頂くならば、非常に光栄に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/34
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035・伊藤修
○伊藤修君 今御説明にありますごとく、私はこの法務府事務官というものに比較いたしますれば、当然職責の実態から申しましても、両院の調査員というものは、含めてあえて遜色のないものと思います。国会が始まつてからすでに相当の日数を費やし、専門調査員の機能というものも十分認識されており、それから携わるところの仕事の面から申しましても、あえて法務府の事務官と遜色のあるべきものじやないと確信して疑わないのであります。今度の場合はともかくといたしまして、次に改正せられる場合はその点は十分考慮して差加えるように、私は今から御注文申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/35
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036・山口好一
○衆議院議員(山口好一君) 只今の伊藤先生の御希望になつておられます調査員を加えるということにつきましては、我々といたしましても、衆議院の法務委員会としましても、この次あたりには相成るべくこれを差加えたいというような話になつております。伊藤先生の御希望に副うように、我々も努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/36
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037・中山福藏
○中山福藏君 私一つ確かめて置きたいのですが、この三十条の末行に、特定の事項を委嘱されるというのは、これは特定の事項というのは、その事項の性質によつて非常に重大なものと、又重大でないものとあると思うのです。又その性質によつて、よほど私の考え方で行くと違つて来るわけなんですが、大体特定の事項を予見して書かれたのですか、その種類を一つ示して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/37
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038・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の御指摘の点は、これは旧弁護士法以来こういう言葉がございますので、これを踏襲してここに書いてあります。現行法にも入つておるのであります。このたびの改正もこれはそうなつておりますが、これは全くこの部分については改正いたしていないところでございます。なおついででございますのでその点につきましての御質問にお答えいたします。この「官公署より特定の事項について委嘱された職務を行う」というのは、法の明文から申しましても、これが弁護士が報酬ある公職を兼ねることができないということは、但書に直接には読めないように私は思うのでございますが、さつき申しましたように、大正八年の弁護士法の中に入つておる言葉でございますので、当時の速記録を見ますと、その点弁護士が官公署の依頼を受けて、例えば鑑定を受けるとか鑑定してくれとか、その他相談にあずかるというようなことがあつた場合に、それを排斥するように読めてはならないから、注意規定として掲げたというような趣旨のことがございますので、法律的に正確に申しますと、多少の但書としては逸脱したものがあると思いますが、その点を明瞭にしたものと思います。従いまして現行法もこれを踏襲し、このたびここには改正法律案の建前上、三十条ですか直しましたから、以下その点について改正したように見えますが、それは従前通り少しも変えていないということを附加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/38
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039・中山福藏
○中山福藏君 大正八年に用いられておる字であるということは、私もうすうす知つておりますが、併しながらこの時世の変遷と共にすべて世の中というものは非常な変化を来たして来ますが、大正八年と昭和二十六年と同一なこの字を用いて、その内容というものを又同一に規定するというようなことは、非常に私どもとして一応考えて見なければならんと思うのです。ただ昔こういう字を用いておつたからそのまま踏襲したんだ、それでは私は済むまいと思います。一応立法、或いはこれを創案せられたかたにおいはは、その内容とかその種類とかについては吟味してお出しにならんと、あまりに軽はずみになりはしないかと思つたのでお伺いしているのです。ただ、今言われたことだけでは承服いたしかねると思うのですが、如何なものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/39
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040・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 少しく説明に窮することでございますが、成るほど従来の言葉をそのまま踏襲した点については多少……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/40
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041・中山福藏
○中山福藏君 世の中の状態はすつかり違つておりますからね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/41
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042・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) でございますが、この第三十条の一項の後段というものは、弁護士の職務に関する事項につきまして、官公署から取扱事項を特定されまして委嘱があつた場合、これを報酬ある公職と見ないでやることができるというだけでございまして、その事項の内容を限定するという意味ではないと、こういうふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/42
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043・中山福藏
○中山福藏君 拡大された意味に解しておつていいんですね。内容は多少大正八年くらいとは随分違うということを一つあなたのほうも認めて置いて頂きたいと、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/43
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044・福原忠男
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 御趣旨のように、時世の変遷と共に法の解釈内容が変るということは当然なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/44
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045・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) この本法案に対しましては、更に質疑を続行することにいたしまして、次に商法関係の法案を、衆議院の修正部分について、便宜政府より御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/45
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046・影山勇
○政府委員(影山勇君) 商法の一部を改正する法律施行法案に対する修正案の理由を申上げます。改正商法の実施につきまして、現在御審議を願つておりまする商法の一部を改正する法律施行法案におきましては、定款にきめる事項その他について、成るべく現存の会社が定款変更等の必要なく、新法に適合できるような措置をいたしておるわけでありますが、なお新法の実施につきまして会社によつて定款の変更を便宜とするような事項もございます。そうして実施を控えまして、それらの定款変更の期間にゆとりを設けまして、新法の施行後でも一定の期間は、新法に適合するように定款の変更ができるようにするというのが修正の理由であります。この定款変更を便宜とするという点の主なるものを捉えまして、この施行法案の第十七条と二十条において修正をいたしたわけであります。十七条は総会の決議の要件でありまして、新法によりますと、定款で特別に定足数を排除又は軽減いたしません限り、発行済みの株式総数の過半数を有する株主の出席を要することになるわけでありますが、その点に関して定款を変更して、定足数を排除し或いは軽減するということを、新法施行の最初の定時総会の終結の日まで旧法を適用することによりまして、総会の決議要件について、特にその点定款変更を不用とするというふうにしたわけであります。尤も最初の定時総会が、何らかの理由で新法施行後あまり長く遅れて招集される場合を考えますと、旧法の適用があまりに長くなる慮れがございますので、毎年一回定時総会を招集する会社にあつては、遅くも昭和二十七年六月三十日までというふうに、旧法の適用期間を限つたわけであります。それからその他の会社につきましては、昭和二十六年、今年の十二月三十一日まで、それまでは旧法を適用するということにいたしたわけでございます。但しその前にすでにもう新法に従うように定款の変更をしておる会社につきましては、こういう手当は必要ではございませんので、第二項におきまして、そういう場合には適用しないということを規定したわけであります。十七条の三項は、これはこの一項が「総会の決議の要件については」と、こういつております関係上、或いは新法の二百六十六条の責任の免除、それれから二百六十四条の競業の認可といつたような総会の決議を要する、そういう決議の要件につきましては、旧法によるという原則が適用せられるというふうに解せられる慮れがありますので、責任免除とか競業の認可という点が、旧法によらないということを注意的に規定したものであります。四項五項は、これはこの点については、殊に四項につきましては、現在提案御審議中の施行法案と同趣旨で、ただ字句の点を改めただけでございます。それから会社によつて定款変更を便宜とする最も重要なもう一つの点は、定款による累積投票制度の排除であります。これをやはり新法施行後最初の定時総会において定款変更をして累積投票によらない旨の定めをして置けばいいということにするために、累積投票の規定は新法施行後最初の定時総会の終結の翌日から適用するということにいたしたわけでございます。それが二十条一項であります。二十条二項は、もとの二十条の条文と同じことであります。それから三十八条は、これは社債権者集会につきまして施行法案の修正前の十七条一項の規定を三十八条は準用しておりましたのを、十七条一項が変りましたために、それをやめまして、ここに別に書いたわけであります。以上が商法の一部を改正する法律施行法案に対する修正案の修正の理由でございます。
次に有限会社法の一部を改正する法律案に対する修正案の修正の理由でございますが、これは商法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案によりますと、会社編に規定する訴の担保の規定が形を変えて復活して参りましたので、それに伴う整理でありまして、有限会社におきましても有限会社法の一部を改正する法律案はその担保の規定を削除しておりましたのを、それぞれもとの場所に復活いたしまして整理をいたしたわけであります。
それからその次に商法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に対する修正案、この修正理由も只今有限会社法の一部を改正する法律案に対する修正案について申上げましたと同じように、例えば十一条で商品取引所法におきまして従来株式会社の担保に関する規定を準用しておりましたのを、この整理に関する法律案で削除しておりましたのを、もう一度活かした改正でございます。
それから非訟事件手続法の一部を改正する法律案に対する修正案、これも会社に対する解散命令の請求について改正商法は担保の提供権という規定を削除いたしましたために、非訟事件手続法の一部を改正する法律案においてもこれに伴う改正を加えたわけでありますが、この点が解散命令請求に関する担保の点が復活いたしましたために、非訟事件手続法の一部を改正する法律案に対してもそのための修正を必要とするということになつたわけでございます。
以上がこの四つの案に対する修正案の修正理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/46
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047・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十九分散会
出席者は左の通り。
委員長 鈴木 安孝君
理事
伊藤 修君
宮城タマヨ君
鬼丸 義齊君
委員
左藤 義詮君
齋 武雄君
岡部 常君
羽仁 五郎君
須藤 五郎君
中山 福藏君
衆議院議員
押谷 富三君
山口 好一君
政府委員
法務政務次官 高木 松吉君
法制意見参事官 影山 勇君
法務府法制意見
第四局長 野木 新一君
事務局側
常任委員会専門
員 長谷川 宏君
衆議院法制局側
参 事
(第二部長) 福原 忠男君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01919510525/47
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