1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年二月十三日(火曜日)
午後二時八分開議
—————————————
議事日程 第十二号
昭和二十六年二月十三日
午後二時開議
第一 水産業協同組合法等の一部を改正する法律案(木下辰雄君外六名発議)(委員長報告)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/0
-
001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/1
-
002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
内閣総理大臣から外交問題について発言を求められました。この際、発言を許します。吉田内閣総理大臣。
〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/2
-
003・吉田茂
○国務大臣(吉田茂君) 今回のダレス大使一行の日本訪問に際し、私及び政府係官が大使その他と話合つたことの内容につきましてお話いたします。今回の話合いは講和條約の交渉又は下相談というものではなく、講和及びこれに関連する諸般の問題について、互いに隔意なく意見を交換いたした次第でございます。今回の話合いを通じて私が特に感銘を深くいたしましたことは、我が国に対する米国の好意の感銘すべきことであります。それは敗戰の旧敵国として日本を見ていないというだけのことはないのであります。米国は敵国としての旧怨を忘れるばかりでなく、進んで日米両国が民主自由主義諸国の一環として共同防衛の責任を分ち、将来の永きに亘つて友好的関係を結ぶことを希望している熱意を示されたことであります。私は、我が国として新らしき将来の運命を開拓して行くについては、民主主義諸国、殊に米国と緊密に協力して行くべきであると、かねがね信ずるものであります。この点は国民の大多数も同感であろうと確信いたすものであります。従つて米国政府がかような寛大友好的な態度を示さるることは、日本将来のために、はた又東洋平和のために、誠に御同慶の至りであると存ずるのであります。
米国政府が日本との平和條約について抱いている構想は、いわゆる七原則に示されてあるのであります。この七原則は平和條約に取入れらるべき内容の殆んど全般を盡しているものであります。その内容は各位においてすでに御承知のことでありまするから、ここに繰返しません。米国がかような構想を提示しているゆえんも、前述の根本方針に照して考えるとき、初めてよく了解さるるのであります。我々としては、このような米国の対日講和方針が他の関係諸国の容るるところとならんことを念願いたすものであります。
講和に関連して最も問題となるのは我が国の安全保障の点であります。安全保障ということには、国内の治安確保と外部からの侵略の排除という両面があるわけであります。一国の安全は自力で確保するのが根本であることは、私が従来常に申し来たつたところであります。国内の治安は現状において毫も懸念なしと信じまするが、ますます警察保安の機関を充実して、万遺憾なきを期する考えであります。併し対外安全の面については、現在の日本としては独力のみでは確保しがたい場合も想像にかたくないのであります。ただに我が国のみならず、国際の情勢の緊迫せる現状において、いずれの国も共産主義の侵攻に対して共同防衛を以てするのほかなく、独力を以ては安全を保障しがたい現状にあるのであります。今回の話合いに際して、ダレス氏は、差当り若し日本が希望するならば、日本に対する外部からの侵略を排除するために、米国の兵力による援助を與える用意があるとの意向を表明せられました。この米国と協力関係に入るということは、国際の現状において最も適当した方策であり、又国民大多数の心から歓迎するところであろうと信ずるのであります。故に私はその趣意により話合いを進めた次第でございます。我々が、ただ一方的に他国から安全を保障されるだけで、みずからの国土を守るのにみずから何らの犠牲をも拂わないということは、国民としての自尊心がこれを許しません。又世界平和の確保のために協力をするということは、平和愛好国としての我が国民の責務でありますが、日本の果すべき役割の内容、範囲は、日本が独立を回復し、自由諸国の社会に対等の一員として仲間入りをした上で、我が国力の回復の度合に応じて、将来において決定せらるべきものであります。この点はダレス氏の最もよく了解せられたところであります。
その他、七原則に含まれている広汎な事項について米国の構想を聞き、領土、国連加入、民主的改革、賠償、在外資産、戦争犯罪人、通商経済、漁業、文化交流など、我が国民の関心の深い諸事項について十分に話合つたのであります。その結果、十一日発表の双方のステートメントにあります通り、すべての点について双方にとり満足すべき了解に到達いたしましたことを欣快どいたします。
そのうち米国の特に関心を有する東太平洋の漁場については、我がほうにおいて一方的に自発的措置をとることによつて暫定的に解決することにいたしたことを附言いたします。米国は会談の結果を考慮に入れて、平和條約締結のため、他の連合国と更に折衝を重ねらるることになつております。
私は、今回のダレス使節団の日本訪問によつて、講和問題の解決は一段と促進されたと信ずるのであります。又そうあることを希望いたしてやまないのであります。講和問題がかように推進されるに至りましたについては、マッカーサー元帥の日本に対する日頃の深い理解と多年の問の不断の支援によるところ大であることは申すまでもないことであります。特にここに諸君と共に謝意を表したいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/3
-
004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 只今の内閣総理大臣の発言に対し質疑の通告がございますが、これを明日に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/4
-
005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/5
-
006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、水産業協同組合法等の一部を改正する法律案(木下辰雄君外六名発議)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。
〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/6
-
007・木下辰雄
○木下辰雄君 只今議題となりました水産業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びにその結果について御報告いたします。
この法律案は木下辰雄ほか六氏の発議による議員提出の法案であります。その内容について簡單に御説明申上げます。
前国会において水産業協同組合法が改正せられまして、水産業協同組合共済会を設立することができるようになつたのでありまするが、その共済会の理事は、少くともその四分の三は、協同組合を直接又は間接に構成する個人、即ち正会員でなければならんことに相成つております。この点を改正いたしまして、協同組合の理事は正会員同様に共済会の理事となることができるようにいたしたのであります。
この改正の理由といたしましては、共済会は協同組合又はその連合会によつて組織されるのでありまするから、当然、協同組合の理事が共済会の理事に選挙されるのでありますから、協同組合の理事は員外理事でも全部有賓格者としたほうが共済会の運営を円滑にすることができるからであります。
次にこの法案の第二の改正点は、この共済会も協同組合同様に農林中央金庫の出資者となり得るように中央金庫法の一部を改正いたしたのであります。これによりまして、共済会も農林中金に預金をなし、又融資を受け得ることとなり、共済会の運営を円滑ならしめ、経営を強固にいたすことになるのであります。
委員会におきましては、協同組合の実情に鑑み、又組合の要望もありまして、十分に調査研究の結果、委員七名の発議による法案でありまするから、別に質疑もなく、千田正君の動議によりまして、討論を省略し、採決の結果、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定たしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/7
-
008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/8
-
009・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午後三時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十二分散会
—————・—————
○本日の会議に付した事件
一、外交問題に関する内閣総理大臣の報告
一、日程第一 水産業協同組合法等の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015254X01319510213/9
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。