1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十七日(土曜日)
午後一時五十五分開議
出席委員
委員長 田中伊三次君
理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君
理事 松澤 兼人君
尾関 義一君 小澤佐重喜君
加藤隆太郎君 塩田賀四郎君
西村 久之君 福田 篤泰君
藤井 平治君 松本 善壽君
中曽根康弘君 柄澤登志子君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
委員外の出席者
総理府事務官
(特別調達庁労
務部長) 山田 二郎君
総理府事務官
(特別調達庁労
務部労務管理課
長) 藤本 幹君
専 門 員 安部 三郎君
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十一月十七日
委員大野伴睦君、星島二郎君、渡邊良夫君及び
八百板正君辞任につき、その補欠として松本善
壽君、尾関義一君、福田篤泰君及び上林與市郎
君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四五号)
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001・田中伊三次
○田中委員長 これより人事委員会を開きます。
ただいまより特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)を議題といたし、質疑を続行いたします。柄澤君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/1
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002・柄澤登志子
○柄澤委員 特別調達庁でドル払いになつたということを伺つたのでございますが、七月からドル払いになりました際に、ドル払いに伴う労務提供に関するLR関係の契約書が出たということを承つておるのでございます。それにつきましてその骨だけでよろしゆうございますが、特別調達庁の方からひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/2
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003・山田二郎
○山田説明員 ただいま柄澤先生から御質問がございましたドル払いの基礎になつております特別調達資金の問題につきまして御説明申し上げます。特別調達資金が設けられました根拠は、五月の二十六日スキヤツピンが出まして、それに基きまして設けられたわけであります。その内容は、主として役務を日本政府がアメリカ極東軍に提供して、それの代償としてドルでもつて償還を受けるという決済関係を目的としたものであります。
そこで第一番にその契約の当事者でございますが、これはアメリカ極東軍を代表いたしまして、在日兵站司令部のスポツト大佐が、向うの契約担当官になつております。日本政府側は、日本政府を代表いたしまして特別調達庁長官が契約締結者、かよう応相なつております。
その次はこちらがその契約に基きまして提供しました役務について、どういう償還を受けるかということを規定しております。その内容は、直接提供しました役務、すなわちこの場合労務でございまするが、その労務者の賃金、給与の償還を受けるということ、それからその労務者を管理するに必要な経費の償還を受けるというようなことを規定しております。
それから次には、契約の期間でございますが、契約の期間は、一応七月一日から六箇月、すなわちこの十二月末までと、かような点を規定してございます。
それから次には、労務者の身分及び労働時間というようなものを規定してございますが、労働者の身分は、日本政府の雇用者であるということを規定してございます。それから労働時間は、すべてアメリカ政府側によつて定められまするが、この場合、日本の労働基準法によるところの労働時間外の勤務と考えられるような場合においては、時間外の手当を支給する。
大体以上のような点を規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/3
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004・柄澤登志子
○柄澤委員 お答えになりました点の中で、期間は六箇月ということでございますが、必要あれば米軍はいつでも契約解除ができるというような実態になつておるそうでございますが、その際に、契約解除により労務者に対しましての解雇等の問題が起きましたときには、時間の際に日本の法律に従つて時間外手当が出ますように、解雇の際にもそういうような日本の法律が適用されるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/4
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005・山田二郎
○山田説明員 契約期間が満了いたしますか、あるいは契約が解除になりますると、あろいは一斉解雇というような問題が起きるかとも存じまするが、今まででもLRないし進駐軍の労務者り扱いは同様でございまするが、特別に連合軍関係労務者の解雇退職手当規程というものを設けまして、これによつて支給しております。ドル契約によつて使われている労務者各位につきましても、従前同様その退職手当規程によつて解雇退職手当を支給する、かよりなことに相なります。私解雇手当と申しましたのは、一斉に予告なしにやりたというような場合におきましては、労働基準法による解雇手当を普通り退職手当のほかにつけて支給する、かような意味があつて申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/5
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006・藤枝泉介
○藤枝委員 議事進行に関して動議を提出いたします。本法案に関しましては去る十五日にこの委員会に付託されて以来、熱心な質疑応答が行われたのでありまして十分その審議を尽したと認めますので、この程度で質疑を打切りまして、ただちに討論採決されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/6
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007・田中伊三次
○田中委員長 動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/7
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008・田中伊三次
○田中委員長 起立多数。それでは動議の通り決しました。これにて本法律宋に対する質疑は終了いたしました。ただいまより本案を議題として討論をいたします。討論は通告順によつてこれを許します。藤枝泉介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/8
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009・藤枝泉介
○藤枝委員 ただいま議題となつております特別職の職員の給与に関する法り一部を改正する法律案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成申し上げます。
この給与は大体さきに衆議院を通過いたしました一般職の職員の給与に関する法律の一部改正と歩調を合せまして、その一般職と均衡をとりまして、ここに揚げてありまする特別職の給与を引上げようといたすものでありまして、その内容妥当なものと認めますので賛成をいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/9
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010・田中伊三次
○田中委員長 中曽根君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/10
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011・中曽根康弘
○中曽根委員 私は国民民主党を代表いたしまして、本案に対して賛成の意を表します。ただ一点つけ加えますが、この法律案は一般職との関係において、今回提出されたと思うのであります。下級職員の給与の増額について、もう少し大幅にこれを引上げるよう、今後の政府の善処を要牽いたしまして、賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/11
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012・田中伊三次
○田中委員長 松澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/12
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013・松澤兼人
○松澤委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法律案に賛成いたしま ただ申し上げたいことは、私どもは一般職の給与改定の法律案に対しましては反対をいたしました。この法律案はその関連において提出されたということは、よくわかるわけでありますが、すでに一般職の給与の改正法律案が提出され、しかもこれは衆議院を通廻しておりますので、その関係におきまして、この特別職の分には賛成して過当であると考えたのであります。ただしかし多くの委員から指摘されましたように、一般職の場合に見られました上に厚く下に薄いということが、やはりこの際にも考えられるのでありまして、この点いろいろ質疑応答の中にありましたように、進駐軍関係の職員の給与の問題、あるいはまた失業対策関係の労務者の問題などに、なおいろいろと問題があるのでありまして、これらの点につきましては、十分に政府として積極的に、現在の物価高の社会的な情勢のもとにおいて、真に安んじてその職を尽すことができるように善処あらんことを、われわれは要望いたしまして、本法律案には賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/13
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014・田中伊三次
○田中委員長 柄澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/14
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015・柄澤登志子
○柄澤委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案に反対するものであります。
本法案は一般職の給与改訂に伴いまして特別職の職員の給与も改訂する必要があるという御趣旨に基いて出ておるのでございますが、検討いたしますれば一般職の給与の際にも指摘されておりましたように、高級官僚と申しますか、内閣の責任者あるいは外交官等の給与の引上げが非常に大幅になつている。これらの生活の保障、体面を保つというようなことは、これは給与のみではなしに、別途のいろいろな方法が講じられるのでありますが、ふしぎなことに一般職の場合以上の高率な給与の引上げが、いかにも合理的な体裁をもつて、ここに規定されているのでございます。しかるにかかわらず、講和を結びます吉田内閣が、駐留軍の日本にいることを規定しているような重大な際に、今まで占領軍と言われておりましたいわゆる連合軍の要請に基くところの労務者の関係の給与、この問題につきましては非常に不公平な取扱いが多く、この際におきましても十分な審議すら尽されず、これがきめられて行くことにつきましては、取扱い上から申しましても、私どもは賛成するわけにいかないのでございます。参考人を呼びましても、接収地が多くなり軍事基地が多くなり軍事基地を提供し、飛行場を提供するというような、現在結ばれておりまする講和條約、安全條約が実施されますことになりますれば、連合軍関係のいわゆる労務を提供する日本人の数というものはまことに厖大なものとなると思うのでございます。これらが行政協定によつてきまるのだということになるのでございますが、それにも事前にやはり日本で実質的な保障というものが、いかになされなければならないかということを、国会は権威をもつて審議し、決定して行くだけの力を私は持つているものだと思うのでございます。それにもかかわらず、この点になりますとなるべく審議を避け、人事委員会として十分な権威をもつての検討もなさずに、まつたく政府の出先機関のような形でもつて、この点の実態調査などの資料の提出なども整わぬうちに、審議が打切られまして、この法案が採決されるというような事態に対しましては、私どもとしては賛成するわけにいかないのであります。なお、これらの関係の労務者は、最近とみに圧迫が強く、労働組合運動の自由というものも剥奪されつつありますし、また一方的な解雇等も随所に見られているのでございまして、その基本的な人権の確立ということも疑われるような事態が、ひんぴんとして起きているのでございます。人事委員会は、従つてこれらの給与その他につきましては、国会の権威をもつて、やはりここで確定すべきが当然であつたと思うのでございますが、その点がまつたくなされなかつたといつても、過言ではないことを遺憾に思う次第でございます。さらにこれらを基準にいたしましたところの失業者の給与の問題につきましては、総理大臣が二十四年に四万円でございましたものが、今度の給与改訂では、八万円になつておるのでございます。ところが失業者は二十四年の春に二百四十円でありましたものが、最近の改訂でも、平均二百七十五円にしか上つておらないのでございます。このような、まつたくどこから申しましても道理の通らない、筋道の通つておらないところの、働く者に対しまして低賃金政策を押しつけるような、矛盾したところの特別職の給与改訂についての法案に対しましては——全日本の労働者が賃金奴隷として、進駐軍労務者として、総理大臣初め失業者に至るまで、まるまるおかかえにされようという、ただいまの状態におきましては、このように矛盾した法案に対しましては、私どもは賛成するわけにはいかないのであります。
以上をもちまして反対の理由を申し述べる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/15
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016・田中伊三次
○田中委員長 これにて討論は終りました。ただちに本案の採決をいたします。この法律案の原案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/16
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017・田中伊三次
○田中委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
この際この法律案に関する委員会の報告書作成についてお諮りをいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/17
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018・田中伊三次
○田中委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたします。
本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204548X00819511117/18
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