1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十七日(火曜日)
議事日程 第十九号
午後一時開議
第一 図書館運営委員長の国立国会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告
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本日の会議に付した事件
繭糸価格安定法案(内閣提出、参議院回付)
財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
社会保障制度促進に関する緊急質問(福出昌子君提出)
午後二時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/0
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001・林讓治
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/1
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002・林讓治
○議長(林讓治君) 参議院から、内閣提出、繭糸価格安定法案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/2
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003・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
繭糸価格安定法案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/3
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004・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/4
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005・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/5
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006・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、財政法、会計法等の助政関係法律の一部を改正する等の法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/6
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007・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/7
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008・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。
〔小山長規君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/8
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009・小山長規
○小山長規君 ただいま議題となりました財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。この法律案は、国の行政事務の簡素化の一環といたしまして、財政会計制度の簡素化をはかるため、支出負担行為その他の会計上の制度及び手続を簡素にするとともに、会計職員及び繰越しに関する制度を整備し、あわせて継続事業の円滑な遂行に資するため、新たに継続費の制度を創設しようとするものであります。
本委員会におきましては、政府より提案理由の説明を聽取した後、愼重審議の結果、本日討論を省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/9
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010・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/10
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011・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/11
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012・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、福田昌子君提出、社会保障制度促進に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/12
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013・林讓治
○議長(林讓治君) 稲永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/13
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014・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。社会保障制度促進に関する緊急質問を許可いたします。福田昌子君。
〔福田昌子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/14
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015・福田昌子
○福田昌子君 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、社会保障制度促進に関して政府にお尋ね申し上げたいのであります。
新聞の三面には、生活苦による一家心中、また病気を苦にしましての自殺、あるいは年老いて寄るべのない老人が圧世自殺をしております記事が、ひんぴんとして報ぜられておるのであります。ことに東北の農村では、生活苦のために娘を売るというような悲劇が続発いたしておるのであります。また一方医療保險の運営難に対しまして、少くとも給付金の国庫補助を必要とするということは、久しい間国民大衆から叫ばれておる問題でありまするが、最近は、この緊迫した事態のために、方々で保險医が保險契約を解約するという、ゆゆしい事態が起つておるのであります。こういうようなことは、すべて社会保障制度を国民大衆が求めておるいかにも如実な姿の現われでありまして、良心ある政府でありまするならば、一刻も社会保障制度の確立をゆるがせにすることはできないはずであります。少くとも文化国家、平和国家の特質というものは、国民の生活から新聞の三面記事に出るような生活苦、病気によるところの悲劇をなくすることでなければならぬと思うのであります。
ところが、最近社会保障制度審議会から第二回目の勧告案が出されたのでありまするが、この勧告に対しましても、政府は、昨年出されました第一回の勧告と同様に、これをまつたく無視しようといたしておるのであります。昨年の第一回勧告案が出されましたときも十月の中旬でありまして、そのときにおきましては、政府の御答弁は、二十六年度予算もほぼ確定いたした後であるから、時期的に非常に遺憾である、しかし二十七年度においては社会保障制度前進のために極力努力することをお約束するということであつたのであります。このように政府は答弁いたしておりながら、二十六年度の補正予算におきましても、社会保障制度前進のためには何ら見るべきものが現われていないのであります。しかし、政府に社会保障制度に関する対策を尋ねますると、おくめんもなく、二十六年度においてさえも社会福祉事業法を制定し、結核対策のためには三十一億の予算増をやり、また生活保護法のためにも五十八億の予算増を実施いたした、こういうような多方面の促進によつて大いに社会保障制度を前進したと言われるのであります。しかし、こういつた予算面の増加というものは、実は政府の長いこれまでにわたりまするところの失政の結果、町に多くの失業者を出し、国民の多くに貧困階級をつくり出し、そのためにやむなく対策として打立てなければならなかつた面の予算的措置でありまして、いわば貧困な政策の跡始末のためにとられた政策といわなければならないのであります。決して社会保障制度の積極的な前進のためにとられた考慮ではなかつたのであります。政府は、二十六年度におきましても、このように社会保障制度に対してはきわめて冷淡でありました。ところが、二十七年度においては、政府自体も社会保障制度に何らかの前進政策をとるということを昨年言明いたしておりまするが、二十七年度の予算といいますものは、私ども野党から考えましても、講和に関係いたしました予算増等のために、昨年よりも二千億近い大幅の予算的措置を必要とする事態が考えられるのであります。こういうような国家財政の非常に困難な事態に備えて、政府は一体どのような社会保障制度をお考えであるかということを、詳細に承りたいのでございます。
社会保障制度審議会の勧告案なるものは審議会の委員の中には、御承知のように、日本の国家経済に対してきわめて明るい経済学者をも含んでおりまして、この学者の御意見といたしまして、今日の国家経済の貧困な政府においても当然やり得る社会保障制度であるという配意をもつて勧告されたものであります。これを数字的に見ますと、従来の社会保障制度関係経費として計上されておりました分に、さらに初年度におきましては四百五十億の追加を必要とする程度の勧告であつたのでありますが、この程度の勧告さえも、政府はまつたく馬耳東風に聞き流して、これをあえて考えてみようともしなかつたのであります。このように、相かわらず審議会を無規し、第二回の勧告案が出されましても何ら考慮を拂おうとしないような政府のお考えからいたしますと、審議会そのものをまつたく無視したもので、政府の立場に立てば、審議会というものはあつてもなくてもいい存在だと考えているといわなければならないのでありまするが、そういうような、むだな審議会でありましたならば、さつそくこれをつぶしてしまわれた方がいいと思うのであります。政府は、一昨々年の選挙のときにおきましては、社会保障制度確立というスローガンを一つの大きな公約といたしまして、善良なる国民はこの公約を信じ、社会保障制度確立への願いも込めて自由党を支持したのであります。それにもかかわりませず、選挙が終りますと、さつそくこの社会保障制度確立の看板はたな上げいたしまして、再び顧みようともしないのであります。ことに池田大蔵大臣のごときは、国家財政の貧困の折においては、このような方面に使うお金はないということを、はつきりと言明されております。まつたく驚くべきお考えといわなければならないのであります。(拍手)先進諸外国の文化国家では、社会保障制度は政府のやるべき当然の義務だということになつております。ところが、日本の池田蔵相は、社会保障制度を、相かわらずお気の毒論から出発したところの慈善事業か何かのように考えておられるのであります。このような封建的な考えを持つておられる大蔵大臣が末長く日本の財政を握つておるということは、日本の国民にとりまして、まつたく、一大悲劇といわなければならないのであります。(拍手)
今日、社会保障制度の隘路というものは、国家財政の貧困もありましようが、それよりも何よりも、大蔵当局にまつたく社会保障制度をやる熱意がないということが最も大きな隘路となつておるのであります。政府は、やろうと思いますれば、国民の意思を無視いたしまして、警察予備隊の増強あるいは講和関係諸経費の増額のために、事もありましように主食の統制撤廃を計画いたし、あるいはまた失業対策に何らの考慮を拂わずして無鉄砲な行政整理を断行し、さらにはまたかわいい学童の給食までも削りまして、再軍備への方向に、その予算捻出のために非常に熱心な考慮を拂つておるのであります。私どもは、この熱意の百分の一でも社会保障制度に政府が拂つてくれたら、ということをこいねがうのであります。(拍手)政府が今日国民生活の窮乏の実態にかんがみまして、社会保障制度に対しまして少しでも予算的に考えてくれまするならば、今日多くの悲劇を生み出しておりまするところの、全国百八十万にわたりまする母子家庭の悲劇も救われるでありましようし、また失業者も救われましよう。社会保障制度は二歩も三歩も前進できるのであります。英国では、御承知のように、うらやましい限りの社会保障制度がしかれておりますが、この制度の基礎となりましたビヴアリツジ案は、第二次世界大戰の最中において立案されたのでありまして、これをまた取上げて検討いたしましたのは、実にチヤーチル保守党内閣であつたのであります。さすがは英国と、尊敬の念を新たにしなければなりません。日本の大蔵大臣や自由党内閣とは大分わけが違うのであります。大いに政府及び大蔵大臣の猛省を求めたいのであります。(拍手)
これに反しまして、自由党のとつておりまする今日の政策というものは、まつたく庶民生活を無視した対策の連続であります。その反動政策は、講和の呼声とともに一段と強化されようといたしております。公務員の給與ベースは、人事院の勧告さえも無視いたしまして、きわめて低きにすえ置こうとし、これに反しまして、無計画な物価体系のもとに、電気、水道、ガス、鉄道、郵便といつたような国民生活の必需品の値上げを、当然のことであるかのように理由をつけて、おくめんもなく、どんどんいたしておるのであります。(拍手)このような国民生活の不安が、自由党の政策によつて激化いたして参りますると、自由党が最もおきらいでありまするところの共産党が、ひとりでにはびこつて参るのは申すまでもないことであります。政府は、勤労庶民階級をまつたく無視した政策をとりながらも、国民大衆に向いましては、講和が結ばれました今日におきましても、なおーーーの名におきまして、都合の悪いことはすべて責任回避の立場をとつておるのであります。まつたく無責任きわまる政府といわなければならないのであります。こういうような、国民の、ことに庶民生活の実態をわきまえない、しかも欺瞞的な政府でありまするがゆえに、下これにならうたとえにたがわず、公務員が腐敗堕落しておりまするのは論をまたないところであります。予備隊、海上保安庁、特調、あるいはまた学校給食にからまりますところの公務員の汚職事件というものは、次から次へと頻繁に起つて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/15
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016・林讓治
○議長(林讓治君) 時間が経過いたしましたから、結論をお急ぎ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/16
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017・福田昌子
○福田昌子君(続) このような状態にありましても、今日の政府におきましては、この公務員を糾弾いたしまするところの資格もなければ、またやり得る力もないのであります。まつたくかわいそうなのは国民といわなければなりません。
私は、ここに政府の良心に訴えまして善良なる国民が一日の猶予もできなくなつて渇望しておるところの社会保障制度の促進を要望いたし、政府の偽らざる良心的な御答弁をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍伍君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/17
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018・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 福田議員の御質問に答弁を申し上げます。
政府は、社会保障制度審議会の勧告の線に沿いまして、その実現に努力をいたしておるのであります。今日日本の社会保障制度は、御承知の通り健康保險法、国民健康保險法、生活保護法、政府職員の共済組合法、社会福祉事業法、また身体障害者福祉法、兒童福祉法といつたような体系をとつておりまして、大体の仕組みは、イギリスでとつている六つの体系と同じような行き方であります。今、社会保障制度の確立という言葉を使われましたが、確立というのは程度の問題であろうと思います。日本が今日の財政状態におきましてとつておりますところの社会保障の諸制度は相当充実したものであり、今後ますますこれを強化いたして参りたいと考えております。少くとも社会党内閣のやつておつたときに比べまして格段の進歩を示しておりますことは、国民のよく知つているところであります。(拍手)
昨年の勧告がありましてから、社会保險の強化につきましても、結核対策の推進につきましても、社会福祉事業制度の整備につきましても、財政事情の許す限り努力をいたして参つたのであります。社会保障制度審議会は各界の有識者で組織せられておつて、きわめて有益な御意見を出されておりまするので、今後とも社会保障制度の整備充実につきまして活発な活動を望んでおるところであります。
先般、第二回の勧告を受けました。福田議員も御承知の通り、この第二次勧告案の内容は、いろいろなこまかい問題を含んでおりまするが、ほとんど全部今日厚生省が実現に着手し、かつ努力しつつあるものでありまして、はつきり反対の意見を持つておりまするものは、あの勧告の中で、ごくわずかな部分でございます。
二十七年度の予算につきましては今日編成中であり、厚生省としては所要の経費を要求いたしておるところでありまして、内容を申し上げる段階になつておりません。(拍手)
〔政府委員西川甚五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/18
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019・西川甚五郎
○政府委員(西川甚五郎君) 社会保障制度審議会の勧告案によりまして、財政一般の関係を勘案いたしまして、関係各省と十分なる連絡の上、社会保障制度の前進に努力いたしたいと存じます。ただ先ほど社会保障制度を慈善事業と池田大蔵大臣が考えているというようなお言葉でありますが、私一緒に仕事をしておりまして、決してそのような考えでなく、この社会保障制度とは懸命に取組んでおるということを申し上げておきます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/19
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020・福永健司
○福永健司君 日程第一は延期されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/20
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021・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/21
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022・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一は延期するに決しました。
明二十八日は午後一時より本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101205254X02019511127/22
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