1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十日(火曜日)
午前十一時二十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 吉田 法晴君
理事
杉山 昌作君
千葉 信君
委員
加藤 武徳君
小野 哲君
木下 源吾君
森崎 隆君
紅露 みつ君
政府委員
(内閣総理大臣
官房審議室長事
務代理)
総理府事務官 増子 正宏君
人事院事務総長 佐藤 朝生君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
大蔵政務次官 西川甚五郎君
大蔵省主計局給
与課長 岸本 晋君
事務局側
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
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本日の会議に付した事件
○特別職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○予算委員会へ申入に関する件
○公務員制度に関する一般調査の件
(人事院及び人事行政事務に関する
定員問題に関する件)
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001・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは只今から人事委員会を開会いたします。
特別職の給与法の改正に関します提案理由の説明を西川政務次官にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/1
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002・西川甚五郎
○政府委員(西川甚五郎君) 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
特別職の職員の給与につきましては、從來一般職の職員の給与との権衡において、その職務の内容に応じた給与が定められて参つたのでありますが、今般人事院の勧告に基きまして、一般職の職員の給与が改訂されることとなりましたので、特別職につきましても一般職と同様、特別職の職員の給与に関する法律に所要の改正を加え、給与の改訂を行いたいと存ずるのであります。
次に改正の要点を簡單に御説明申上げます。
第一に、内閣総理大臣等の給与につきましては、一般職の職員の給与改訂と権衡を図り、且つ、その職務内容に応じ俸給月額を現行の二割乃至三割程度増額することといたしました。
第二に、首都建設委員会委員等の給与は、從來日額千八百五十円の範囲内で手当が支給されていたのでありますが、これも一般職の非常勤職員である委員、顧問、参与等と同様、日額二千二百円に改めました。
なお、その他若干の規定の整備を行いました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由並びにその内容の概略でございます。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/2
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003・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 本法案に対します質疑は他日に譲ります。ちよつと速記をとめて下さい。
午前十一時二十八分速記中止
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午後零時三十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/3
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004・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは速記を始めて下さい。
それでは人事院勧告を尊重してもらいたいという予算委員会への申入れを本委員会としていたしたいと存ずるのでございますが、案文は委員長にお委せを願うことにしまして、主要な点は人事委員会は人事院勧告通りの給与改訂が行われるため、今次補正予算に対して別紙の通り増額修正がなされるよう特に貴委員会の御配慮をお願いするという趣旨の申入書を人事委員長名で予算委員長宛に提出することに御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/4
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005・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それではさよう取計らいます。
それでは委員会はこれを以て休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
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午後二時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/5
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006・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それでは休憩前に引続き人事委員会を開会いたします。定員法改正問題に関連いたしまして、人事院及び人事行政事務に関します定員問題について御審議を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/6
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007・木下源吾
○木下源吾君 この行政整理の首切りをやろうというのですが、一体人事院ではそういうことを今までやつたのですか。またそうでなかつたならばどういう理由でそういう減員するということになるのか。それが一点と、もう一つは、これが政府対人事院において今日まで如何なる交渉経過があつたのか。こういう点について、なおできるならば今日の人事院の事務実態について一つ定員とからんで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/7
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008・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 只今の御質問に対してお答えいたします。今回の人員の減員につきましての政府対人事院の交渉経過ということでありますが、私の承知しておりますところでは、政令諮問委員会で人事院の問題が議題に供せられまして、それによりまして結論が出たものが我々のほうに示されておるのでありますが、その後政府においていろいろ審議されまして、現在の人員の三割二分六厘という減員を私のほうに通告して來ております。人事院といたしましてはこの問題に関しましては、現在の新らしい国家公務員法ができまして、現在までの間、まだ国家公務員法が全部施行されておりません今日であります。でありますが、いろいろ研究いたしまして、研究し又現在も研究しておるのでありますが、いろいろな事務の簡素化と申しますか、各省にお願いしておる、各省の人事部局にお願いしておる事務につきまして、簡素化すべきところは簡素化したいと思つております。併しながらこの三割二分六厘の数字、この三割二分六厘の減らした陣容で人事院のこれらの新らしい公務員法を運用して行けるかどうかということについて目下検討中でございまして、まだこれの結論は出ておらないのが現状であります。現在事務の実態というお話がありましたが、人事院の現在の段階におきましては、国家公務員法の根本になります職階制の実施がまだ全部行われておりませんで、現在職階制は実施されていない実情であります。これに伴います任用制度或いは給与準則の問題につきましては現在人事院として検討中でございまして、まだ結論を得てない状態であります。ただいろいろな事務につきまして、先ほど申上げました事務の簡素化につきましては、或いは給与簿等の制度につきまして、各省に対して非常な負担をかけている部分については、我々のほうでももう一度この制度を見直して簡單にいたしたいと思つております。その他任用制度の問題、或いは給与制度の問題につきまして、人事院の承認受くべきいろいろな範囲がありますが、こういう範囲につきまして、その受くべき範囲を狹ばめるというような方向について研究しております段階であります。その一部につきましては、大体結論を得まして、給与簿等につきましては來年の一月からこれを実施いたしたいと思つております。又承認を受くべき範囲の縮少につきましても、或る程度の結論を得まして、近く給与関係におきましては、目下国会で審議中の給与法が通過いたしましたあとの人事院規則の改正の機会等にこれを実施いたしたいと思つております次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/8
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009・木下源吾
○木下源吾君 今政令諮問委員会に出た案を示されたというのだが、政令諮問委員会というものは公式の機関じやないことは御承知であろうし、そうしてそれらが一体人事院の内容について深く専門的知識があるとも考えられないので、むしろ問題は人事院それ自身にあるのだと思うのだが、今のお話では、内閣のほうできめて來たのであつて、そうして三割二分というものをまあ押付けられたのだ。併しながらこれでやつて行けるかどうかは、今折角検中だと、こういうのですが、折角検討中なんでは我々としては納得が行かないので、一体結論がいつになつたら出るのか。又その結論が出たとしても早急に、まだいろいろの事務の簡素化というものを実現するにはまだ余日があると思うのだが、そういうことについて人事院のやらなければならない仕事が蹉跌を來すというようなことが起きないのか。或いは又そのことを強行することにおいて労働強化になるというような面がないのか。そういう点について一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/9
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010・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 只今の御質問にお答えいたしますが、政府諮問委員会のいろいろ意見を示されたのでございますが、これにつきましては、いろいろ私どもといたしまして意見を持つておりまして、その意見は申上げたこともありますが、政令諮問委員会の中のいろいろの人事行政の、何と申しますか、簡素化と申しますか、簡素化につきましては、国家公務員法の線を外れていることもございますし、そういう簡素化では我々としては国家公務員法そのものが円滑にできないのでありまして、その通りにはやつて行けないという我々意見を持つております。
又三二%六につきましてのいつごろ結論が出るかというお話でございますが、私どもの三二%六という減員につきましては、御承知の通り定員法の中には人事院は入つておりません、通常国会の際にこれが問題になると思つておりまして、通常国会の予算折衝等の際までに結論をつければよろしいだろうと考えて、目下検討中でございます。
それからいろいろな事務の簡素化の時期等について御質問がございましたが、人事院といたしましては初め何と申しますか、この人事行政をやつて行きますにつきまして、中央集権的にずつとやつて参りましたのですが、漸次今年の春ごろから各省に委任する部門を多くいたしまして來たわけでございます。この各省に委任して行く分を多くして行くことについて又考えまして、或る程度各省に委任する部門を多くいたしたいと考えてやつているのでありますが、この簡素化につきましては、結論が出たものから一つ一つ実施して行きたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/10
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011・木下源吾
○木下源吾君 そうすると諮問委員会の決定事項によつては、定員法の一部を改正しなければならんというような結果も現れるようなことになる。そういう場合について具体的にやはり定員法を改正したほうが、いいというように考えているのか。それからもう一つは、各省に人事行政の事務を委任するというか。移したならばそのほうで却つて仕事が殖えて、人が余計要るという結果になるのではないかということについてはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/11
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012・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 第一点の問題は、これは私ちよつて申し間違えたかも知れませんが、定員法ではございませんで、国家公務員法を改正しなくちやならなくなるだろうということを申上げたのでありまして、私どもといたしましては、国家公務員法或いは職階法というようなものは、新らしい人事行政の根本になる法律でございますので、これを改正するのがよいというような結論は決して持つておりません。その主要の精神とするところを改正されることについては、我々賛成することができないと思つております。それからそのただいろいろな手続の問題だつたら、又問題は別だと思いますが、第二点の各省に人事行政の事務を委任したら、各省のほうの事務が殖えて各省のほうの人を殖やさなければならないのではないかというお尋ねでございますが、これはすらつと考えますと、おつしやる通りでございまして、ただ各省の人事行政の事務をただ委したのでは、各省の人事行政が殖えるだけであると思いますが、任せるにつきましてその内容的に検討いたしまして、簡素化するところがなければ、各省の事務がこれは殖えるばかりであろうと思います。人事行政の事務の簡素化と申しますか、内容を簡單にいたしますれば、その点はおつしやつた通りにも行かないだろうと思います。両方いろいろの問題が起るだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/12
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013・千葉信
○千葉信君 事務総長にお尋ねいたしますが、あなたは事務総局の責任者として、現在の人事院の仕事自体の中に簡素化できる仕事があるというふうに今お考えになつておられますか、どうですか、この点を先ず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/13
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014・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 私事務総局の責任者といたしましては、その国家公務員法の主眼といたしておりまする、いろいろな精神による諸施策はこれは簡素化することができないと思います。ただいろいろな手続でございます手続的のものは、これは簡素化することができる点が相当あるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/14
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015・千葉信
○千葉信君 あなたのお話のように、手続等については或る程度簡素化できる部分が仮にあるとしましても、私どもの見ているところでは、日本の本当の公務員制度を確立するためのこの公務員法が、今の段階では、殆んどもう制限規定に関する部分だけは実施に移されておるけれども、公務員の福祉を擁護する点においては、現在の段階ではまだ公務員法が完全に実施させておらないということは、これは事務総長もお認めですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/15
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016・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 千葉委員にお答えいたしますが、福祉方面の事務がまだ完全に行われてないということは私も認めます。これは恩給でありますとか、その他いろいろな、私どものほうの事務総局で申上げますれば能率局関係の事務等におきまして、福祉増進の部面が相当ございます。その部面の我々の今の仕事が少し遅れておりまして、そのためにまだこれは完全に行われてないということは、勿論そうであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/16
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017・千葉信
○千葉信君 そういうことになりますと、これはまあ事務総長から先に御答弁を頂いたような形になりますけれども、大体今の段階で、私ども從來の人事院のやつて來ました業績はとにかくとして、職階法の法律が通つてから、もうすでに一年半になる。而もその職階法の命ずるいろいろな措置もとられていないし、職種、職級の分類もまだ確立しておらない。それから又本格的な給与の決定を急がなければならないのにかかわらず、給与準則はいつになるのかわからない。おまけに恩給制度のごときは、これ又今度の通常国会にも出るか出ないかわからないという、こういう段階で、これは作業の進行という問題になるかも知れませんけれども、結局はいろいろな人事院の機構の中にまだ不備のあつたり、不足があつたりするために、こういうふうに作業が遅れて、而もそれによつて蒙る公務員諸君の不利益というものは非常に大きなものがあると思います。從つてこれは、人事院としてできるだけ早急にこれらの保障規定、保護規定を早く整備して、そうして立体的な公務員制度を完全に実施する方向へ一日も早く持つて行かなければならんはずです。そういう点から言いますと、仮に現在の段階の中で手続規定等を簡素化する余地は仮にあつても、総体の人事院の事務総局の人員をその手続規定の簡素化だけによつて減らすことができるということにはならないと思うのです。つまりそういうふうな事務簡素化を一方で手続規定の分等に関してはやりながら、一方においては早く公務員制度の完全な実施という方向へ、人事院としては進まなければならないと思うが、そういう点から申しますと、一体早くこの公務員法を完全に実施するために、事務総長としては、現在の人事院の事務局の機構というものをもう少し整備しなければならん立場に今の段階で置かれているのではないか。こういう点については、一つ客観情勢等によつて徒らに右顧左眄されるという態度をとらずに、この際はつきりと、一体どういう程度に事務総局を確立したい希望をお持ちであるか、又それによつてどういうような構想をお持ちであるか。こういう点についてこの際一つ事務総長からはつきりした御意見を承わつて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/17
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018・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 只今、千葉委員からお話がございましたが、お話の通り職種、職級の分類、又本格的の給与準則或いは恩給の問題等につきましては、この一両年我々といたしまして実力を挙げましていろいろ研究をして参つたのでございますが、まだ完成の域まで達しておりません。その点につきましては、千葉委員からお話の通り目下作業の進行中でございまして、これがまあ只今のお話によりますると、機構の不備から來ておるのではないかというようなお話もございましたが、我々といたしましては、こういう仕事をやつて行くにつきまして、一応最初の機構を考えてやつておるつもりでありまして、現在機構が今申上げましたような仕事に対して不適当であるとは思つておりません。ただ、先ほど申上げました事務の簡素化でありまするとか、そういう点は職種、職級の分類等が一応終りましたときの、我々の給与局職階部の姿等を又考えまして、それから我々のほうの事務総局の機構が、各省と違つておる点がいろいろございます。そういう点を考えまして行きますと、私といたしましては、この事務総局の機構が現在通りでなくて、これをもう少し改編する余地があるということは、私としても認めざるを得ないと思います。これにつきまして、或いは現在の機構を、私が申上げましたのは機構を殖やすという意味ではなくて、或いは一、二の部局は各省のいろいろな省と睨み合わせまして、減らさなくてはならないところもあるのではないか。又力を入れなければならないところは、ほかの部局から廻すなり、いろいろなことによつて強化して行く部局もこれは考えられるというふうに考えております。お話の通り、人事院の新らしい国家公務員法を完成して行きますのに最上の措置をとらなくてはならないだろうと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/18
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019・千葉信
○千葉信君 大体私ども公務員法の第三條から見ましても、人事院のやらなければならない仕事、これは研究調査等も含んで相当広汎に亘つていると思うのですが、そういう人事院の仕事が完全に行われた場合と、それからいつでも遅延がちであつたり、或いは又相当、これはまあ人員の点ばかりに関係ないかも知れないけれども、所詮は陣容が整備されていないという関係から、なかなか第三條に規定されてあるような人事院本來の仕事が完全に行われない場合が起つて來る不利や不便というものは相当あると思うし、例えばそういう問題と関連しては、今度の定員法による首切りの問題についても、政府のほうとして、御承知の通り、行政管理庁のほうでやるべき仕事というのは、行政管理庁の設置法にもあるように、政府の機構の整備改廃の問題、それから又定員等の問題については、行政管理庁のほうでその所掌する仕事としてやることになるけれども、今度はその定員法によるところの定員の減少に対しては、退職する公務員に対してどういうやり方をするかとか、それから又第三條第三項の第一号にもあるように、人員の縮少という問題、それから退職自体の問題、こういう問題なんかについても、これはこういう問題に関する限りは人事院の仕事ということになつている限りは、御承知のような形で全部こういう問題については人事院が圏外に置かれて、人員の縮少の問題であるとか、或いはこの條項にある退職とか免職とかいうような問題も、殆んど一方的に取扱われていて、殆んど人事院はこれに関与する立場をとつておらない、そういう恰好に現在なつて來ておりますが、こういうことになると、折角国家公務員法というものを制定されて、そうしてこの国家公務員法を守るという、法律の実施に任ずるという人事院の責任が十分に果されていないということになるし、そうして又例えば退職させるにしても、その退職させる基準であるとか、或いは退職するについてそれに伴うところの給与の問題であるとか、こういう問題から起る公務員諸君の不利益を考えると、折角公務員諸君が公務員法があるからという立場で、政府と相互契約の理念に基いて仕事をしているところへ、いつまでも一方的に政治的な理由や或いは又政治的な要請に基いて国家公務員法の精神が蹂躪されて、而も公務員諸君の利益は少しも擁護されない。こういうところに私は人事院の機構のあり方が影響を持つて來るのじやないかと思うのですが、こういう点について人事院としては、もう少し人事院の仕事を完全に行うために、むしろ減員よりも増員しなければならないという状態に現在の状態が置かれているのじやないかと思うのです。事務総長の立場から、一体国家公務員法のこの三條に要請される人事院の仕事が完全に行われているとお考えになつておられるかどうか。その点もこの際併せて伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/19
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020・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 国家公務員法の第三條に、いろいろの人事院としてなすべき仕事が列挙してございます。ここに書いてありますいろいろな事務につきましては、私ども人事院ができました当時から、これについていろいろ研究して参つておるのでございますが、まあその中で、我々として非常にむずかしい問題もございますし、なかなか今日において結論が出ていない事項もございまして、まだ全般的にこの條項に関する事項についての人事院としてのいろいろな人事院規則等を出していないことについては、只今おつしやいました通りでございますが、私どもといたしまして、ここにあります事務を完全にやつて行きますにつきまして、現在の機構を減らしてもできるかどうかということにつきましては、先ほど申上げました通り、いろいろ目下検討中でございまして、この点につきましてはまだ最後的な結論を得ておりませんから、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/20
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021・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) ほかに御質問もないようでございましたら、私から一、二点伺いたいのですが、先ほど非公式なといいますか、法制上成規の機関でない政令諮問委員会の行政機構改革に関する答申については、国家公務員法にも牴触するところがあり、これを全面的に承認したわけではない云々ということでございましたが、これは政府の正式の意見として出て來たのではないから、私どももこれを取上げて審議をするというわけには参らんと思いますが、この行政諮問委員会の答申案を基礎にして今度の定員法改正問題が出て來ていることは事実でありますし、その限りにおいて一応やつぱり問題にしなければならんと思うのですが、個々の点は論議をしないで、差当り問題になつているところだけお尋ねして参りたいと思いますが、それは新聞に報ぜられました各省庁の人事主任官会議、こういうものが今度の定員法改正の基礎になつておることは、これは事実のようであります。その中で、まあ新聞記事によりますと、人事、会計両事務の整理に伴う人員整理を平均一〇%と見込んでおるということが言われておりますけれども、各省庁によつて一〇%のところもあれば三〇%のところもある、これは率はきまつておらんようでありますが、あの出て参つております各省庁の人事管理行政事務と申しますか、それをあの程度に減して果して仕事がやつて行けるのかどうか。こういうことについては、人事院としてはどういう工合にお考えになつておりますか、第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/21
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022・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) お答えいたします。各省庁の人事行政に携わつておる職員を定員法の定めている通り削つたときに、人事行政がうまく運用できるかどうかというようなお尋ねだと私は拝承いたしましたが、各省庁で人事行政に当つております者が実は現在どういう状態であるかということにつきましては、私ども本省等の関係は割合に承知しておりますが、出先機関、或いは支分部局等におきまするいろいろな人事行政の職員がどういうふうになつているか、その状態を詳らかにまだしておりませんので、早急に結論が出ないと思いますが、各省庁の人事行政事務は、私どもの見ますところによりますと、国家公務員法が布かれます前の古い人事行政と申すしまか、そのときの陣容から増しているところもあるように聞いておりますが、又前と同じような状態の職員でやつていられるところもあるように聞いております。その後国家公務員法が施行されましてから相当増員をやつていられるところもあるようでございますが、現在の職員で国家公務員法が企図いたしますいろいろな施策が完全にできるかどうかというような点につきましては、各省の事情をいろいろ個々に当たつて見まして調べて見ませんとわかりませんので、ここではつきりした答えはできないと思いますが、私どものほうで或る程度人事行政事務を簡素化するということになりますれば、その点につきまして人員が少くて済むという点は多少あると思いますが、全般的に三割減のところでやつて行けるかどうかというような点につきましては、はつきりとしたまだ結論を私として持つておりません。ですからその点だけお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/22
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023・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それではもう一点、人事主任官会議の結論と申しますか、人事行政と、それから或いは会計制度両方にまたがつているようですが、その人事行政の簡素化の面と申しますか新聞のことでありますから正確なことはわかりませんけれども、この人事主任官会議の決定というものについては、人事院としては大体了承しておるというか、或いは賛成しておるというか、それで今までの国家公務員法による人事行政をやつて行けると、こういうことで人事院としては賛成をしておられるところでありましようか、それが一つ。
それから、或いはこの中には人事院規則改廃等も必要になる部分があると思うのですが、それをどういう工合におやりになるつもりか。いわば人事主任官会議といつたような、この人事院外の成規の機関でないところから意見が出て來たものを人事院がいわば押付けられたと言つてはおかしいのですが、人事院がやるべき仕事を、人事行政に関する問題を、政府なり人事主任官会議等から意見を出されて、そうしてこれからやつて行くと、こういう恰好になるように思うのですが、そうすると人事院の権威というものも実質的に問題になつて参るという感じがするのですが、その二点については如何ように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/23
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024・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 只今委員長からお尋ねの、新聞に出ております人事主任官会議の意見と申しますか、人事行政事務の簡素化についてのお尋ねであろうと思いますが、ここに書いてありますことの大部分は、先ほど申し上げました、我々として今考えております人事行政事務の簡素化の部面でございまして、この簡素化の部面、新聞に出ておりました任用方面の簡素化の面でございますが、或いは現在各省で職員を任用いたしますにつきまして、十級以上の職員について承認を得ておるわけでありますが、これを十一級以上に改めるとか、或いは国家公務員が兼職をする場合にその承認を外すとか、そういう四、五の点が出ておるのでございますが、この点につきましては、我々といたしましても、今回職階制に基きますいろいろ新任用制度を考えますときに、大体こういうラインでやつて行きたいというふうに考えておりまして、我々の考えとその新聞に出ておりますところとは或る程度一致しております。
先ほど人事主任官会議の性格についてお話がございましたが、実はこの人事主任官会議というものは人事院の中の機関でございまして、人事主任官会議は、各省の人事部門の部課長が集まりまして、事務総長が議長となりまして、毎週一回やつております機関でございますが、そこに書いてありますものの大部分のことは、人事院のほうから提案した問題が大部分でございます。それで各省の意見を聞いたというのが実相でございまして、この人事主任官会議の性格につきましてお話がございましたけれども、人事主任官会議といたしましては、国家公務員法に書いてありまする成規の人事院内の機関と御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/24
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025・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それではこの人事主任官会議の意見が人事院の意見であつたということについては了承いたしますが、この意見に関連いたしまして人事院規則の改廃等も必要でありましようが、こういう考えであると、そうして人事院規則等の改廃を要するものもきめないで定員を先に減すと、こういう僣在的なと申しますか、方向としては、多少の改革の意見がございましようとも、先に人間を減してしまつて、そうしてあとから人事院規則なり何なりを改正して行くと、こういう結果にこれは立至ると思うのでありますが、その点については、人事院としてはそれでよろしいというようにお考えになつておるのでございましようか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/25
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026・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 人事院といたしましては、事務の簡素化と申しますか、いろいろな人事行政事務の簡素化につきましては、先ほど申上げましたような原則によりまして、私の独自の立場から現在いろいろ考えておりますが、うれがそのまますぐ各省の三割減、二割減、一割減にぴつたり当てはまるというふうには、御承知の通り、人事行政事務というものはほかの事務と違いまして、統制事務の撤廃であるから、これだけの人間が減るというようなのとは、少し違うものでありますから、正確にこういう事務をやめたから全部の人が要らなくなると、こういうふうな工合に相成るとは思つておらんわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/26
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027・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 人員の点もですが、今お尋ねしたのは、人事院規則の改廃等をやらないで人間から先に減すと、そうして規則の改廃はあとからやると、こういう点をどう考えられますかというのが一点、それは順序が違つていやしないか。人事院としても、人事行政事務の改廃をするというならば、方針を先にきめて、それから、それではそれに從つてどういう工合に定員を考えるべきかということがあとになるのが当然ではないかということが一つ。それからもう一つは、今もお話がありましたが、きまらない方針で、そうして一律に人間を減して行く。特に三割といつたようなことで率で以てきめられると、仕事は実際に支障を來すというようなことにもなりましようが、細かくそれが幾らになるかというようなことはあとの問題ですが、例えば一律に三割なら三割というようなことでは、仕事が果してできるかどうか、こういう疑問を今提出されましたけれども、概括的に言つて、或いは三割というものはできないのではないかと、こういう疑問が起つて來やせんかと、その二点をお尋ねしたわけですが、その前の点につきましては、重ねて一つお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/27
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028・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) これは行政管理庁の主管かも存じませんが、人員整理が事務の整理によつて行われなくてはならないということにつきましては、私どもとして事務を整理して人員を整理すべきであるという点につきましては、おつしやる通りであろうと思います。事務を整理するにつきまして、これだけの人間が要らなくなるということが人員整理の一つの本則であろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/28
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029・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 從つて例えば事務の整理、それが人事院規則の改廃を要するものは改廃を終つてのちの話ですが、そういう改廃が終らないで、先に幾ら減すということは、それは減す理由がない。或いは減し得るかどうかわからないということは、これは人事院としてはつきり言えるのじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/29
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030・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 事務を整理しないうちに人員を整理してしまうということになりますれば、おつしやる通りであろうと思いますが、人員整理の方針と事務の整理の方針と、これはまあ前後になりましても、ただその行われます時期によりまして、おつしやることが又違うこともあるのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/30
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031・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) それは、水掛け論になりますから、もう質問は続けませんが、もう一つさつき人事院自体の人員のことについて、通常予算の提出されるまでに結論を出せばよろしいと考えているという御答弁でしたが、三割二分六厘という先の目標がきまつておつて、そうしてそれが補正予算の中で一割六分何厘と計算をいたしますが、人数は今手許に持つておりませんが、二百十五名でしたか、人員整理案が出ております。ですから今これを黙つて見過すと一割六分何厘という整理が既定の事実になる。從つて三割二分六厘ですか、これが出て來たときにもう実質的の議論はあのときに済んでおるのじやないか、こういうふうになると思いますが、通常予算の出るまでに結論を出せばよろしいということでは間に合わない、現に問題になつておると思いますが、その点どういう工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/31
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032・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) お話しの通り今回提出されております補正予算の中に、人事院事務当局の減員が、三割二分六厘の半分一割六分三厘、即ち四百二十九人減員になりますので、二百十五人分の退職手当と、それから三月だけが二百十五人の定員を減らしたような予算になつておりますが、この点につきましては、私ども了解しております点につきましては、国会或いは裁判所或いは会計検査院等と同じように、これは通常予算のとき決定したことによりまして、この退職手当の予算が俸給の予算等と彼此融通が利くように了解しております。この点につきましては裁判所の裁判官以外の職員が、たしか政府の案におきましては只今国会に提出されております裁判所職員定員法の減員よりも多かつたのが、少くなつておりますが、補正予算におきましては前の政府の案の通りの数字で、退職手当或いは三月分一月分の俸給が組んであるので、先ほど申上げました通り、人事院の予算についてもそういうふうな了解を私としてはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/32
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033・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) そうすると先ほどの結論は、やつぱり通常予算の提出までに出せばよろしい、こういう工合に考えているのですか。それとももつと実質的な議論はそう遠からず出すというようにお考えになつてはおらんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/33
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034・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 先ほど申上げました通り通常予算の何と申しますか、内閣から提出します時期までに、人事院としての態度をきめればよろしいと人事院としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/34
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035・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 別に御質問ございませんか。ちよつと速記をとめて。
午後三時十五分速記中止
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午後四時一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/35
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036・吉田法晴
○委員長(吉田法晴君) 速記を始めて。
それでは本日の委員会はこれで散会いたします。
午後四時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214548X01019511120/36
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