1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月二十一日(水曜
日)
午後一時四十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
片柳 眞吉君
山崎 恒君
委員
池田宇右衞門君
白波瀬米吉君
北村 一男君
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
加賀 操君
溝口 三郎君
江田 三郎君
門田 定藏君
小林 孝平君
三橋八次郎君
松浦 定義君
国務大臣
農 林 大 臣 根本龍太郎君
政府委員
農林政務次官 島村 軍次君
農林省蚕糸局長 青柳 確郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
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本日の会議に付した事件
○繭糸価格安定法案(内閣提出、衆議
院送付)
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) これより委員会を開きます。
昨日に引続いて繭糸価格安定法案の審議を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/1
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002・江田三郎
○江田三郎君 昨日事務当局に対してお尋ねをしたわけですが、今日は折角大臣が見えておりますので、大臣にお尋ねしてはつきりとした御返事を頂きたいと思うのです。それはいろいろ問題がありますが、その中で私特に問題にしたい点は、この法案によつて糸の値段の安定ができるかどうかということについてもいろいろ白波瀬委員、その他専門的な立場から悲観的、必ずしもこれで楽観を許さないという御意見があるようでありますが、そういう糸の値段の安定というよりも、その基礎になるところの繭の値段の安定ということがこの法案で果してできるのかどうかということであります。でこれは我々の受けた印象を率直に申しますというと、何かこれは製糸家或いは糸だけのことを考えて、あとから繭だけをちよつぴりと名前だけ附足したというような印象を受けるのでありまして、昨日来の事務当局の質問に対するお答えからいたしますと、現在繭というものは糸に比較して割高に買われておるのだ、糸の安定ができれば繭も自然と安定し得るのだという説明でございましたけれども、併し同時に本委員会へこの法案審議のために蚕糸局のほうから出された資料によりますというと、今まで政府側の説明によつて、比較的繭が高く、割高に買われておるのだと言われながらも、具体的な数字を見ますというと、例えば昭和二十五年における繭の相場が平均して千六十七円であるのに対しまして、生産費は千二百十九円、更に昭和二十四年を見ますというと、もつと大きな開きがありまして、九百円に対して生産費が千五百七十九円というような相場が出ておるわけでありまして、この点やはり農業生産物の一般的な、いつもこの生産農家が買い叩かれるということが、やはり少くともこの出された資料から行きますというとその通りの結果が出ておるわけです。一体これによつて、この法案によりまして糸の最高最低の価格をきめる、而もその価格をきめます場合には糸の加工費或いは繭の生産費等を基準にして、それを保障するような建前できめるということを言われますけれども、一旦そういうものがきまりましたところで、我々の常識から行きますというと、製糸業者がみすみす赤字を覚悟して繭を買入れ、糸を加工するということは考えられないのでありまして、若し相場が窮屈になつて来るというと、どうしてもその犠牲のしわ寄せが繭の生産農家のほうへ偏らざるを得ないと思うのでありまして、そのことは只今私が申しました、政府の提出されました具体的な資料の数字にもはつきりと現われておるわけです。そういう点から私はお尋ねしたいのは、この十條によるところの「繭の価格の異状な低落を防止することができないと認めるときは、」この必要な措置を行うということが書いてありますが、この必要な措置というのは、具体的には如何なることを指すのであるか、或いはこれを更に百尺竿頭一歩を進めまして繭の買入れを行うというような、そういう法案の修正でもなさる御意思はないのか、或いはそういう修正をなさらないとしましても、政府として具体的にどういうような措置を行おうとしているのかということをお聞かせ願いたいと思うのであります。同時にそういうようなことに必要な措置の中に乾繭の買入れ等が含まれておりますれば、片方のこの時別会計のほうにおきましても糸だけでなしに、繭の買入れを行うような修正を行わなければならんと思うのでありまして、要するに私がお尋ねしたいのは、この必要な措置という、この第十條の必要な措置というのは、具体的には何をお考えになつておるのか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/2
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003・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 江田さんから御指摘のように従前から糸価の安定と同時に繭価の安定をすることが必要であるということは強く要請されておつたのでございます。
政府といたしましても糸価、繭価共にこれは安定するのでなければ日本の養蚕業並びに製糸葉は安定しない、かように思つておりますが、御承知のように繭価を安定せしめるためには生繭若くは乾繭を買入れるというようなことは非常に厖大な予算と施設が要るのでございまして、そこでいろいろ研究の結果、次善の策ともいうべき糸価を安定せしめることによつて繭価の安定措置ができるという見解をとりまして、この案になつたのでございます。その意味におきまして具体的に問題になりますのは、御指摘のように第十條の適当な措置というのはどういうことですかということであらうと存じます。これにつきましても、これはいろいろその繭の暴落の状態は、そのときどきにおいて相当のまあ事情が違うと思いまして、過去におけるいろいろやつた政策を考えてみまして、大体過去にとつたところの措置がやはりとらるべきではないかと考えております。その措置は、御承知のように委託加工をいたさせまして、委託加工をやつた場合における金融の措置をしてやる、或いは又養蚕組合が乾繭倉庫を持ち、これを利用して暴落した場合にはその持ちこたえができるようなための金融措置、こういうもので一番大きな効果を挙げておるわけでございます。
そこで我々もそうした暴落のようなときに当りましては融資の斡旋をいたし、又必要な場合におきましては融資のまあ利子に対する低減とかこういうものを考えるべきではないかと考えております。
従いまして現在のところ生繭を政府がこの時別会計において買つて繭価の安定を期するという立場をとつていないのであります。それをやるとしますれば、この僅かな三十億かそこらでは、到底この目的を達し得ないのであります。又一面におきまして糸価の安定に基く繭価の安定というようなことは、実は寸足らずのやり方になつてしまいまして、実質上あぶ蜂取らずになりますので、現在のところ糸価の安定に基いて、その糸価の決定における最低値段の保障という形において繭価の安定を期するという構想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/3
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004・江田三郎
○江田三郎君 昨日来いつもお答えになるのは、糸価が安定すれば繭価は安定するのだということ、そうして今まで現在の情勢で行くというと繭価は比較的割高に買われているのだ、従つてそう大して心配は要らないのだということを事務当局のほうでは繰返しておつしやるわけです。ところが同時に事務当局のほうから配られた資料で行きますというと、先ほど私が数字を申上げましたように、この生産費を割つた繭価で取引が行われておるわけです。そして常識で考えて見ましても加工業者はやつぱり自分がペイできるだけの建前からでなければ原料繭を買わないということは、これも一つ常識的に言えることなんです。今まで割高に買われておると言いながら、今までのように生産費を割つたところで取引しなければならないのに、将来もつと條件が悪くなる、もつと悪くなるということははつきりしておる。それを必要な措置というのが今おつしやつた程度では、到底私はこの繭の生産農家の立場を保護し、生産農家の経営を安定させることはできないと思うので、この乾繭保管などをいたします場合の融資のこともございましたけれども、これもやはり今までだつて一応建前としてはある。併しそういうことはなかなかうまく行かない。やつぱりここで政府のほうが生繭を買入れてやるのだ、一定の値段については乾繭を買上げる、丁度糸の買上げをするようなそういう保障があれば、本当には大した金を使わなくても、そういう保障の途があるということだけでこの繭価の安定が図られ、養蚕農家の経営が安定するのではないかと思いまして、そういう点をただ今おつしやつたような程度のことでなしに、もう一歩進められることが適当ではないか、予算措置の問題につきましては、今一応三十億円なら三十億円という金は、糸だけのことを考えましても、突進んで考えて見ますとこれでは足らんという議論が出る。併しこの予算措置の問題は予算措置の問題として、今直ちに買上げを行うわけではないのですから、次の通常国会で考慮するといたしまして、ともかくこの第十條というものをもう少し、ただ必要な措置という漠然たる措置でなしに、もう一歩具体的にこの乾繭の買上げというところまで進めて行くことが私は適当だと思うのでありまして、そういうようなことについて政府のほうではもう一遍お考えをし直して行くわけには行きませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/4
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005・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほども申上げましたように、理想としては私もそれを考えております。但しその乾繭買上げをいたすということになりますと、乾繭倉庫を政府若しくはその他の政府関係機関において持たなければならんということになりますし、それから又これは非常に尨大な資金を必要とするという関係からいたしまして、やはり財政上の方面をも考えて参りますというと、政府としてはそれを希望するけれども、今これを立法化する段階ではない、こういうふうな考え方をいたしておるのであります。それでやはりそれだからといつて全部放置して置くわけにも参りませんので、我々としては先ほど申上げましたように、勿論直接に繭の価格を保障するためには繭そのものの買入れをやつたほうが直接的でありましようけれども、間接的にはやはり糸価が安定いたしますれば、それだけ農業経営者、養蚕家も一つの安定感を持つ、経営に対する見通しがつくことは確かに言えることだと思います。そこで問題は江田さんの御指摘のように生産費を直接保障するわけに行かない、ここに難点がありまして、この点只今御指摘の通りだと思います。それで我々といたしましては、この糸価安定法と同時に実は養蚕の生産費をできるだけ安くするといる点をも考慮して行かなければならないと思いまして、そのために養蚕に関する幾多の助成並びに保護政策をとつて行つて、その点をカバーして行きたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/5
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006・江田三郎
○江田三郎君 繰返して申しますけれども、糸価が安定すれば直接的ではないけれども繭価は安定するのだということを何遍繰返して言われましたところで、ここに出て来ているこの統計数字からして生産費を割つているということははつきりしている。これは私が作つた統計ではなくて、政府のほうがお配りになつた統計数字ではつきりしている。そこで政府としては、私がそういうふうに申すようなことがいいのだ、ただ問題は乾繭倉庫等に莫大な経費が要るのだ、こういうことを言われますけれども、それならばやつぱりそういう罠上げの途をとらないで、農民に自治的に乾繭倉庫に保管せしめて、それの融資の途を開くとしても、やつぱり乾繭倉庫は要るのだ。それでもう五十歩百歩だ。そういう乾繭倉庫を作るのに金が要るからこれができないということなら、それならば片方の融資ということも実質的にできないことになるので、養蚕農家の立場を何ら考えていないということになつてしまう。勿論特別会計の予算の限度というものはあるわけでありまして、例えば三十億円といるものが、これは将来殖やして行きたいと思いますけれども、仮に動かんとした場合に、それだけでは大して買えんじやないかと言われましても、これは糸だけを考えても三十億円でいいかどうかということは大きな疑問がある。併し一応政府のきまつた予算の範囲内においてさような操作をする。将来この増額のために努力をするということであれば、私は大体そういう保障制度ということだけで、精神的な大きな支えをするということだけで或る程度の目的を達し得るのじやないかと思うのでありまして、そうでなしに今出たよるなこの法案の内容で行くというと、全国の養蚕農家のほうは……。これはただ政治家のための法律であつて、生産農民を忘れた法律だということを声を大にして叫んでいるわけでありますから、さような点から若し農林大臣が先ほど言われましたようにこの趣旨に賛成でありますならば、我々のほうもそういう趣旨に副うた修正案を作りたいと思いますので、そういうときには余りお邪魔をなさらんように一つよろしくお願いしたいと思います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/6
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007・小林孝平
○小林孝平君 今の質問に関連いたしまして、私はこの第十條というのは実体がさつぱりない、こういうようなただ必要な措置を行うものとするというようなことで養蚕農家をごまかしてしまうというやり方は非常におかしいと思うのでありまして、繰返し政府は糸価を安定すれば養蚕農家も……、それで繭の価格が安定するという御説明ならば、むしろこの際この繭糸価路安定法というのを名前を変えて糸価安定法とする。第十條などは実体がないのだからこれを削除して、糸価安定法ということで行つたほうが正直でもあり、又誤解を免れる。こんなもので繭の値段を安定する、だから養蚕農家納得せいというようなごまかしはやめたほうがいいと思うのですが、農林大臣どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/7
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008・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 大変どうも政治的な話なんで、私もどうも答弁に困るのであります。先ほど御説明申上げたように、我々はこの糸価の安定によつて繭価も或る程度安定する、こういう確信は持つております。なお十條の問題につきましては、先ほど御説明申上げましたごとくに、繭価の変動というものはいろいろの條件によつて、そのときどきによつて又様子を異にするだろうと思います。で先ほども申上げましたように、これについてはやはり委託加工というようなことは過去にやつたことがありますから、そうした場合においては直接生産者であるところの養蚕組合が製糸家に委託をして、そうして自分たちが直接糸価についても発言権を持つのだ、そうして自分たちの経済的な擁護を図る、ただその場合に非常に困ることは、資金の裏付けかないために持ちこたえができない、そういうことが予想されるのであります。そうした場合に融資斡旋ということは、私は繭価安定のために大きな役割を演ずる。従つて第十條は決してごまかしではなく、そういうところの措置も講ぜられるであろうと存じます。或いは養蚕組合が他面におきましては自己資金或いは又農林漁業融資特別会計における共同施設において乾繭倉庫を充実し、そこにおいて今度は繭相場の状況を見つつ売渡しをするといる場合における融資の問題も当然これは出て来る。そういうことによつて私は繭価の安定をするということも当然あり得ることでありまして、必ずしも政府自身が直接乾繭を買入れるとか或いは生繭を買入れなければ絶対に繭価の安定ができないということではなかろうと存じます。政府はできるだけ財政負担なくして、而も立法の目的を達成するということは国家経済上当然のことだと思いまするので、理想といたしましては先ほど江田さんから御指摘の通り繭は繭として買上げてそうして保障するということもこれは考えられる点でございますけれども、そういたす場合においては非常に多くの経費を持ちまして、国家全体の財政規模からそれはちよつとむずかしい。それじややめちまえという議論にむしろなりがちであります。それで我々としては現在の予算の範囲内において両者の目的を達成するためには、やはり糸価安定によつてそうして間接ではあるが繭価の安定を図るということが現在我々としてとり得る最善の方法である。こう考えているのでございまして、従いまして我々は何も農民をごまかし、そうして形式だけであとは何もしないということはございませんで、我々も誠意を以てこの多年に亘る両院の御要望ありました点をこの法案において先ず緒を固めて、漸次この財政の状況等を見合せつつ充実して参る、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/8
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009・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつと申上げますが、間もなく予算委員会から農林大臣に出席要求があるようでありますので、御質問は重複を避けてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/9
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010・小林孝平
○小林孝平君 昨日もお尋ねいたしたのでありますが、この法律の運用の最も大事な点は、価格の決定をどういうようにするかということで、第三條の価格の決定方法についてお尋ねしておるのでありますけれども、これに関連いたしましてこの審議会の構成でございますが、その審議会は国会議員を中に入れてそうして審議会が構成されるような御答弁でございますが、私はこういうような重要な価格の決定に当つては国会議員をこの審議会の中に数名入れて、そうして国会の意思を代表したというのでは困るのでありまして、国会議員を委員にすることでなく、この審議会の案を国会に諮つて国会において最終的価格の決定をするのが至当だと思うのでありますが、この点について農林大臣のお考えをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/10
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011・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘の通りこの価格決定に関する委員会の構成は非常に大事な問題だと思います。そこで政府といたしましては、関係各省並びに学識経験者或いは利害関係者の代表者をその構成メンバーといたしているのでございますが、これはまだ私事務当局からはつきりとこの点は聞いておりませんが、恐らく御指摘の点は、この学識経験者のうちに国会議員の人がたまたま入るという場合があり得るということではないかと思います。従つてこれは国会議員の資格において入れるという前提ではなくして、学識経験者の中にたまたま国会議員があつても差支えないのじやないかと、こういう考えだと私は承知しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/11
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012・小林孝平
○小林孝平君 そうじやないのだ…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/12
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013・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) その第二の点につきましては、米価の問題、その他いわゆる物価庁の問題にはいつも出て来る問題でございます。私はこれは価格の決定ということは一つの行政行為だと思います。従いましてそういうところまで国会に一々諮るということになりますと、すべての問題についてそういう問題が出まして、むしろ立法機関と行政機関との間の粉更を来たすという意味において、現在私はそう考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/13
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014・飯島連次郎
○飯島連次郎君 農林大臣に只今の問題で三、四お伺いしたい。先ほど江田委員がお尋ねをされましたので重複を避けますが、細かい問題は局長にお尋ねをすることにいたしまして、特別会計の三十億、これの運用計画について大臣の所見を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/14
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015・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) これはまあ詳しいことは局長から申上げますが、大体この三十億の算定の基礎でございますが、これは大体二万俵程度、これはまあ指示価格をきめようということできまりますが、大体二万俵程度を買上げる。これの操作によつて過去の経験から見て安定ができる、こういうような構想の下にこの三十億にいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/15
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016・飯島連次郎
○飯島連次郎君 そうすると二万俵というと、大体単価十五万程度、十四万五千ですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/16
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017・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 大体そういう十四万五千程度を目標にしているのでありますが、併しこれは先ほど申しましたような価格の決定のあれによつておのずから数量が違うのでありまして、この運用の方法は今の構成委員であるところの委員のかたがたの意見を十分に忖度して買取り時期、それからいつ発動していつ売り出すというところの問題が、非常にこれは普通の行政行為と違いまして半分商売みたいなことになりますので、その運営の妙は尽さなければならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/17
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018・飯島連次郎
○飯島連次郎君 単価の問題については大臣には余り詳しくないようですから、あえて追及をいたしませんが、過去十三カ月の最低最高の平均単価を農林省から配付された資料によつて計算をしてみると、横浜取引で最低が二十万三千円になつて最高が二十二万九千円、それを折角大臣が養蚕家の安定といることもかね狙つて買上げようとする価格が十四万五千円或いは十五万というのは、実にこれは恐しく幅がある。こういう価格で安定をなさるということについては私は江田委員と同様に少し承服しがたい点がありますが、これはさておきまして、この資金を運用することによつて当然そこに益金が生ずるはずであります。この益金についてはどういうふうにお考えになつているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/18
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019・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 局長から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/19
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020・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 益金の操作につきましては別途我々が提案しておりまするが、糸価安定特別会計法案として大蔵委員会に提出しております。その内容で申しますというと、先ず益金が出ますれば積立金の勘定にそれを繰入れることになつて参る。これはどうかと申しますと、この糸価安定特別会計の堅実を図りまする意味について、先ずそういうような方法をとろうということでございます。それから次に、更に政府が必要があると認めまする場合におきましては、これを一般会計に繰入れるという形になつておるのでございます。実はこの問題につきましても、衆議院におきまして、又昨日の参議院の農林委員会の会合におきましても、それを何らか紐付きの蚕糸関係の方面にこれを使用したらどうか、そういう利益があつた場合に当然還元すべきものではないかというお話があつたわけでございます。それにつきましては、我々といたしましてはできるだけそうして頂きたいという希望は持つておりまするが、そのときどきの国家財政の全体の面から考えて参りまして善処して参りたいと、こういうような御答弁をして置いたはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/20
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021・飯島連次郎
○飯島連次郎君 そのときの国家財政によつて成るべくと、そういう蚕糸局長の御答弁は、私は甚だこれは頼りないと思います。大体この三十億という資金の設定された……それでは改めて経過と内容を伺いたい。どういう根拠から三十億が弾き出されておるか、それを一つ蚕糸局長に内容と経過を……それでは大臣に……概要だけは大臣は御承知のはずであるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/21
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022・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど申しましたように、これは我々は大体二万俵弱程度の買上げをいたしますれば糸価の操作ができると、而もその場合におけるところの糸価については十万程度で大体これはやれると、こういうふうに安定を目的でやつたのであります。なおそのとき実はこれは御承知のように、最初我々は資金のほかに借入金で、相当限度まで借入金の限度を高めることによつて、こういうことを実は考えたのでありますが、そういう方面においてはいろいろ関係方面においても意見の相違を来たしまして、そういう場合においては限りなくこれが膨脹するという可能性が出て来る。政府自身が非常に商売するというような形になるということで、今回は実は一般会計からの繰入れをむしろ多くして、そうして三十億というような形になつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/22
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023・飯島連次郎
○飯島連次郎君 大臣の御答弁は折角だが疝気筋のほうへ行つているのでして、私の質問はそうではなくて、つまり三十億というものが、何からどういう因縁でここに浮び上つて来たかということなんです。もう少しはつきり智慧をつけると、つまり三十億という中には日本蚕糸業会の清算配分金、而もこの清算配分金の中には養蚕農家の指定寄附が入つているはずだ。これは何も政府が全然養蚕家に無関係にこれだけの資金を弾き出したのではない。そういう因縁のついている金を、三十億を全部とは言わないが、出しておきながら、而もそういういきさつのある金で安く買つて高く売つたその差益金を一般会計に繰入れるなんということでは、どう考えたつて養蚕家並びに製糸家が承知するはずはないと思う。その運用によつて生じた益金というものは、もう当然これは蚕糸業の振興のために使うべき性質の金であると私は考える。その点に関して大臣は明確な考え方をして頂かなければ、これはもう折角画龍点睛を欠くことになる危険がおありなんだ。その点を大臣に私は念を押して置きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/23
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024・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) これは今飯島さんから御指摘の点は、考えようによつていろいろあると思います。併しすべての会計が独立採算であるという場合においてはそういう観点もありまするけれども、一般会計に繰入れられたものが又再び養蚕振興に、これは一般会計から当然出してもいいということであります。その意味におきまして、何もここで糸価安定法においてすべての養蚕行政をこれでやるということではないのでございますので、その点は飯島さんの御意見はわかりまするけれども、我々はやはり他の政策におきましては、一般会計においてぐんぐん実は養蚕関係にも経費を出しているのであります。その点は一般会計に繰入れたから養蚕家には全部還つて来ないという……よその国に入る金でない、日本政府で使う金ですから、その点は調整できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/24
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025・飯島連次郎
○飯島連次郎君 それでは改めてお尋ねをいたしますが、三十億程度の枠で糸価の安定ができるとは我々はどうも承認できない。それを先般来の局長のお話では、目下の情勢ではこれで十分であるという断定をしておられるが、そういう断定をされながら三十億では足りない、足りないのをどうするかというと、どうせ貧乏財政で、今から農林大臣が努力奮闘されてもなかなか三十億を今度の補正予算で急に五十億にするということは非常にむずかしいように考えられるので、我々が助け舟を出して、折角運用資金を半永久的にこれは養蚕業振興のために廻転して、そうして苦しい政府の財政を助けたいという、そういう老婆心から言つているわけなんで、もう少し大蔵当局に対しては、少くとも農林業を代表する大臣なり局長としてはこの点を強調して頂きたい。勿論一般会計からする蚕糸局の予算が若干あることは私も承知をしております。そういう点を一つ明確に、押すところは十分押して頂きたい。予算委員会なり大蔵委員会等においては、我々同僚の議員をして十分この点は強調して頂くつもりでおりますけれども、この点は一つ手を緩められることは蚕糸業振興のために誠に頼りないと私は考えます。故にそういうことを特に念を押しておきたいと思います。それでまあ答弁は終りましたから、あえて質問いたしません。
次に先ほど小林委員から問題にされた審議会の構成についてでありますが、これは大臣が審議会の会長になるという構想のようでありますが、なかなかここらにも問題があると思うので、まあ折角民主化された時代でありますから、自問自答は成るべく大臣はなされないほうがいいのではないか。会長はやはり大臣が諮問をしておいでになるわけでありますから、大臣以外のかた、そうして成るべく学識経験者ということでありますから……、この原案によると政府職員も中に入ることになつているようでありますが、これも成るべく……成るべくではない、これは遠慮されるほうがいいのではないかと私は思います。この点についての大臣の考え方を先ず伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/25
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026・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) この構成は、現在同様な委員会の構成の例に則つたのでございまして、農林大臣が同時に審議会会長というものに諮問するのは甚だおかしい、又人格は一体でありながら、どうもその点がおかしいといる点は、物価庁においてもその他においてもいつも起る問題でありますが、実質上は会長がきめるのではなくて、会の運営の座長という程度でありますから、実質上は委員のかたがたがそれをきめるということであります。それからもう一つは行政官庁の者がこの中に入るといることはおかしいじやないかというようなお考え、そういう考え方もありまするけれども、現在各般の物価その他の問題を審議する場合においても、常にやはり関係の職員でやりましてそれで支障はない、かように考えております。学識経験者を特に重視することについては同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/26
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027・飯島連次郎
○飯島連次郎君 それでは大臣に対する質問はもう一つで私は終えます。それはこの問題が議案になつてから終始一貫して各委員から論議されておつた問題でありますが、結局この法案によると最後の皺が養蚕農家に寄せられてしまう。その皺を何によつて伸ばすか、そこに最後の問題が私は伏在していると思うのでありますが、つまりこの原案によると、糸価から優先的に生糸の加工費を差引いて、そして繭価を算出するという建前をとつておりますから、現在のような糸価を維持すればいざ知らず、この糸価がだんだん低落をして参つた場合に原料繭価も低落するのであるが、これが維持安定等を何らこれは保障してもおらないし、制度化してもおらない、そこのところに我々養蚕、生産農家の一番大きな不安が伏在しておるわけでありまして、この原案ではその最後の一点において私どもは何としてもこれは納得できない。ですからこの点は飽くまでこの原案については我々は大きな修正を加えざる限りこれに対しては賛成はできないということを私は表明しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/27
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028・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 只今飯島、江田、小林の各委員からも申されたが、政府の見解はよくわかつておるのだが、生糸の価格低落の場合に買上げるというので繭価もそれに伴つて安定する、こういうのでありますが、実際において繭だけが非常な低落を来して、これを何とか処理しなければならない、現在におけるところのすべての所にそういう実証がされておるので、この点が非常な問題だと思いますが、大臣には先ほど特別なる処置を講ずると言つたが、特別なるところの処置というのは繭価下落の場合には今の養蚕協同組合に農林中金か何かを通じまして特別な乾繭に対する融資の途をお開きになる決意がありますかどうか、これが一つ。
それから次に協同組合は今、養蚕協同組合には乾繭倉庫を持つておるものもないとは言えないが、割合に少いのだが、若し乾繭倉庫を設置するというときにおいてはこれに対するところの補助、助成を考えておるかどうか、これらの二つの問題。それから更についででございますから聞いておきますが、普通の改良助長員は国費で以てすべてを賄つておりますが、養蚕技術員は三分の一だというが、これを三分の二乃至全額国庫負担とする考えがあるかどうか、これが三点。
次には稚蚕共同飼育に対する助成をもつといたしまして、各村、できれば大きな部落までも共同飼育所の設置の助成をなすところの考えがあるかどうか、この四つだけについて大臣の所見を一つ明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/28
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029・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。乾繭倉庫並びに共同保管、こういう問題について協同組合がこれをやろうとした場合に政府は補助、助成をする意図があるかどうか、これは今検討しておりまするが、なかなかこれはむずかしいのであります。やはりそれと同じような目的を達成するのが例の長期資金の供与、一番これが具体的な問題になり得ると考えます。従いまして農林漁業資金融通特別会計のうちこの養蚕関係の共同施設に幾分取るようにさせて参りたい。これは御承知のように普通一般の金利よりは相当安いのであります。特に農林中金から借りる金よりも安いのであります。寄付金によつてそれが補助されておる、こう考えます。
その次には技術員の問題でございますが、これは従来殆んど皆養蚕組合なり製糸家が負担しておりまして、非常に冷遇されておつたということで、今回の補正予算で初めて二千名に対して三分の一の政府の補助金を出したというような状態であります。明年度我々が要求しているのは、これの倍額四千名程度は是非補助の対象にいたしたい、かように考えておる次第であります。
次が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/29
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030・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 稚蚕共同飼育所の設置。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/30
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031・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) これはいろいろと予算関係のあれがありますので、局長から一つ説明させたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/31
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032・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 第一の一番肝腎の問題を落しましたが、繭価下落の場合には養蚕協同組合に三十億或いはそれ以外の特別会計を通じて、農林中金を通じて協同組合に融資をして幹繭保管をさせるという希望の組合には融資の途を開くお考えがあるかどうか、こういうことをお聞きしましたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/32
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033・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) これは先ほど私は含めて言つたつもりでありますが、そういうふうに事を分けて申すならば、農林漁業資金融通特別会計で……止むを得ずして養蚕組合が農林中金から資金を借りたい、そうした場合政府は資金を斡旋するかということだつたのですが、それについては資金を斡旋いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/33
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034・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 今ちよつと大臣が見えておりますからお尋ねしたいのですが、この第十條の問題が非常に問題になつておるのでありますが、第十條の問題に対しましては、これは非常にむずかしい問題で、融資という以外に現在の段階ではないのじやないかと思いますが、それよりも私はこれを本当に養蚕家のほうに対して適当な価格で、繭の価格を下げないようにするということに対しては、審議会で最低最高となつておりますけれども、それよりも制高制低というほうが当つておるのじやないかと思いますが、その価格は審議会できめることになつておるのでありますが、これはこのきめ方によつて結局繭の価格というものがどの辺に落着くかということがきまるのです。江田委員からたびたび御質問になつておる生産費価格というものは、国内において一定の農作物においても非常に希望することではあるけれども、今日まで採用されていない。それで殊に生糸というものに対して、繭を生産費価格できめるということは、これは非常にむずかしい問題だと思うのでありますけれども、そうかというて余りにこの問題を簡単に考えることは、結局繭の増産をしないということになるのです。そこで一体政府は審議会で基準価格並びに制低価格をきめたときに、そのときこれこれの価格でやれば繭の掛目はなんぼであるということを公表されるつもりであるかどうかということであります。若しこれをはつきり審議会で基準価格を仮に二十万円ときめて、そうしてそれを若し一割上下ということになれば結局十八万円ということになるわけです。下値は十八万円、これを審議会できめて十八万円の場合には繭の掛目というものはなんぼだということを公表されれば、最近の国内の繭の取引の市場は団体契約になつておつて、そう製糸家が勝手にはきめられないことになつておりまするから、これははつきり確保ができて行くのじやないか。又繭の実質に対しては検定取引でありますから、この掛目さえはつきりきまれば検定取引によつてはつきりした価格が出て来る。そこで苦しいわゆる十條に書いてある異常な繭の安値といることに対しては、これはもう政府の手特資金で全部買取つてもなおこれが維持しないという場合になつて来たらこれはもう大変な問題になるのでありますが、政府の買入資金の続く限りの範囲内においては審議会で基準価格をきめ、或いは制低制高の価格に対するいわゆる繭の掛目はなんぼなんだということを公表されて行くということになれば、私は繭の価格というものは維持できる。こういうふうに実は思うのでありますが、そこで若し基準価格二十万円となつて上下一〇%ということになると十八万円の二十二万円、これは非常に巾の狭いものであつて、海外は非常に希望しておるけれども、国内においては余りに巾が狭いのじやないかという感じも持つのでありますが、この中を広くすると、いわゆる繭の価格は下になつて来る、そこに非常な一つの悩みがあるのですが、今日の蚕糸業の段階において、養蚕家にこれ以下の繭の掛目はいかんのだ、それ以下の繭の掛目になつては養蚕の維持はできないという価格ははつきりあるのであります。これに対して政府としては大体最低の繭の価格はこれ以下にしてはならないという価格はどれくらいな掛目であるとお考えになつておるか、併せて審議会においていわゆる基準価格をきめられたら同時に繭の掛目はこの価格であればなんぼだということを発表される意思があるかどうか、それを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/34
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035・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。只今白波瀬さんから非常に専門的に而も実際に即した御意見がございまして、この点は深く敬意を以て拝聴いたしました。但しこの現在においてすぐに掛目をきめてそうしてそれを発表するかどうかという場合、非常に農民にとつて有利な場合と不利な場合もあるらしく感ぜられるのでありまして、この点は十分に検討いたしまして、できるだけ私は御趣旨に副うほうがいいじやないか、かように思つておりますが、いま少しくこの点は事務当局をして検討せしめたいと考えております。なお今の最低の掛目はどう思つておるかということでありまするが、これは相当専門的なあれが必要でありまするから、局長から説明させて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/35
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036・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 私の希望としましては、この第十條の問題が非常に問題になつておる。これは私は皆さん方のお考えとは多少違つておる点は、政府が手持資金のある限り、要するにそういうふうに全体が不利であるかないか、それは別といたしまして、私は少くもいわゆる最低の繭の安値のときのことを皆さん方御心配になつておるのだから、つまり最低値に対しては繭の掛目はこれでなければいかんということを公表されれば、私は必ずそれで糸価を維持すると同時に繭の価格は維持できる。苦し団体契約を抜けている人は必ずそれよりも高く売る、いわゆる他の製糸家の人が繭を抜き買いするときには、団体契約から離れるのであるから、それは高くなるけれども、団体契約でやつている養蚕家と製糸家との間にはいわゆる適当なる話合いによつて取引がされるのであるから、今日の検定取引の上においては、いわゆる繭の掛目がはつきり公表されれば私は価格は維持できる、こういうふうに実は考えるのであります。
その次にもう一つ大臣にお聞きしたいのは、昨日伺つたのでありますが、重複すると何んでありますけれども、大臣が見えておるからお伺いしますが、この糸価安定法なるものはこれは待望の安定法であるし、業者としても大きい問題であるし、又海外もこれは非常に熱望している問題である。最近の情勢によると、要するに糸価さえ安定すれば生糸はもつともつと輸出ができるということは海外の情報ははつきりしている。そこでそれほど熱望されておつて漸くにしてでき上つた案であるけれども、私はどうもこの案では糸価安定はないとは言いえませんけれども、安定ということは言えない。それはなぜかというと、昨日申した通りこれは無制限買入れ、無制限売出しかできて初めて制低と制高の間に価格は落着くけれども、政府の手持資金には限度があるのと、又この法が通過して出発いたしましても、若し高値が先に来たときに何とするか、それは傍観するより仕方がないじやないか。これはこの糸価安定法が実際に実施されておつても、政府の手持ちのない限りは糸価が幾ら上つたつてこの法律案では何ともすることができないのじやないか。いま一つは、若し安値が先に来て政府が或る程度買取つても、今度高値に転じたときにその手持糸をどんどん売出してしまつたら、そしてそのあと若しそれで価格がとまればいい。なお高まつて行く場合には何ともすることができないのじやないか。過去数十年の歴史によると、いわゆる糸相場に限つて青天井ということがよく言われている。政府手持が余すところなくなるのだというときには、必ずそのときに思惑というものが入つて買煽りをやる、思惑をやるのだ。それは今年の一月、二月の実例によつてはつきりしておる。そうしてそのあと急激なる暴落をするのが過去数十年、いわゆる生糸相場の辿つて来た歴史なのだ。それでこの法案だけで糸価が安定するのだ或いは輸出が増進できるのだということは、私は余りにも簡単な考え方じやないかと思うが、大臣においてはこれでいいのだということが言えるか、一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/36
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037・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 非常に本質的な問題でございまして、御承知のように理想からするならば無制限買入、無制限放出といるものが望ましいことでありまするが、現在の状況におきましては、私は海外の情勢においてもそれほど大きなスペキュレーシヨンはなくなつて来ておる。だんだん国際会議が持たれておりまして、日本の生糸の安定を求めておる。こういう状況からいたしまして、私は相当程度海外も自粛した形においてなされると思うのでありまして、そういう点ともう一つは、現在理想的ではありませんけれども、このような措置を以て一応の安定の基礎は固めることができる、私はこう感じているのであります。完全に無制限買入れをするまでおつ放して置いたほうがいいというほど極端なことは避くべきではないかと思います。これが万全にしてどこからでも突いて来い、どこにも欠点がないというほどの私は心臓を持つておるわけには行きません。併し多年待望の糸価安定がこれによつて第一歩を踏み出すことによつて、業界に対し或いは又貿易に対しても安定感を与えることによつて、日本の産業振興に資することができると、かように信ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/37
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038・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 今のお答えに対してでありますが、これは生糸の過去の歴史を見ましても、海外からついて来るならばなんぼ高まつても私はいいと思う。それは実勢であるからいいと思う。併し生糸の過去における実例というものは、国内の一部の業者がいわゆる青天井であるとか或いは糸はないのだというようなことを考えて、国内において、買煽りをするという、極く少数の人間において蚕糸業の基礎を非常に危くするような行動を従来とり来つている。実勢ならばそれは価格を改訂したらいい、海外からどんどん高く買付けて来るならば、これは実勢だからなんぼでもついて行つたらいい。そうでなしに国内にはつきりと二、三の業者のいわゆる一つの買煽りによつて……だからこれは考えようによると政府の放出する手持というものの数量がはつきりしているのだから、それだからそれを見てさあもう政府糸はないのだということによつて、いわゆる一部の業者が買煽りをして非常に蚕糸業の一つの禍根を今日まで作つて来た。今年の一月の終りから二月の初めにかけてのあの三十万五千にもなつたその実例を見てもそれははつきりしている。現実に今年の一月にそういう状態を来している。それはどういうことかというと、結局二月から端境期にかけての日本国内の生産する生糸というものは二万俵よりない。そうしたらこれはどつちしても三十五万にはなるのだ。こういうことを一部の者が言い伝え又行動するがためにああいう非常な不自然な相場ができる、その後はどうなるかというと、去年よりも今年は非常に輸出が激減している。それはそういうことが禍いしている。これは海外の問題と違うのであるからなお御考慮を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/38
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039・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘の点は非常に慎重に考慮しなければならん問題だと思います。そういう極端の場合においては、現在におきまして物価統制令及び暴利取締令というようなそうした面の発動がなければ困難かと思います。なお御趣旨の意に沿いまして十分にその運用に当りましては実情に即するように考慮したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/39
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040・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 時間もないので大臣に対する質問はこの程度で打切りたいと思いますが、最後に私一つだけ大臣にお尋ねして置きたいと思います。それは糸価安定法のみを以て満足とせず繭の字を加えて繭糸価安定法にした政府の趣旨はいろいろな経緯で若干わかつて来ておりますが、それではそういうことを確認されたとしたならば、それに基いて何らかの方法を講ぜられて大蔵当局に御折衝になつたことがあるかどうか、或いはGHQに対して同様のことがあるかどうか、この点だけ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/40
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041・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) この点は十分折衝いたしまして、当初は大蔵省はどうしても繭という字を入れては困る、特に予算関係においては糸価安定特別会計となつておるのでありますが、その点非常に抵抗があつたのでありますが、よく内容について説明したところわかりまして、この繭糸価安定法にいたし、なお会計法におきましては国会に殆んど上程されるというときこれを変更するのは非常に困難なんで、表題は糸価安定特別会計法であるけれどもその内容は繭糸価安定法に基くというふうに修正いたしたのであります。総司令部におきましてもその点は最初いろいろ異論がありましたが、再三の折衝の結果よくその点について了解を得たわけでありまして、その結果第十條の挿入ということになり、又名前についても繭糸価安定法というようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/41
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042・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それじやそれについてもう一つその点だけ重ねてお尋ねしますが、そうすると大蔵省もアイデアとしては第十條の特別措置ということを認めるが、当面二十六年度補正予算ではそれに対する経費の計上は困難である、そういうことからこういうことになつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/42
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043・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど御説明いたしましたように繭そのものの買取りを法律によつてやるといることについては大蔵省は賛成いたしておりません。ただ融資その他ですが、いろいろ状況に応じて特別なる措置を講じなければならんということについては了承しておると申上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/43
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044・山崎恒
○山崎恒君 この法案の一番の疑問とする問題は十條の問題で、これは一昨日からの委員会で一番問題になつているのが十條の問題なんですが、この條文全部を通じまして繭の問題が現われておるのは十條なんです。十條は大臣の答弁でも適当な措置を講ずるとか或いは融資の方法を講ずるというような御意見ですが、これは昨日も私は局長等に御質問申上げたのですが、適当の措置で漫然としては養蚕農家は非常に安心はできない。そこでこれに対するがつちりした裏付の方法が必要だ。現在先ほど池田委員から話されましたいわゆる乾繭に対する融資というような問題もありまするが、乾繭に関しましても、これは一定の期間を保管しておかなければならん。それには金利がかかる、倉敷がかかるというような相当の費用がかかつて来る、そうした問題に対して例えば政府は特別会計の中から、積立金の中から保管料或いは融資の利子というものを助成する方法を考えているかどうか、こうした具体的の問題が私は必要だと思うのです。そうした具体的の問題を一つ十分蚕糸局のほうで練つて、一つこの委員会に発表を願いたい、かように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/44
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045・根本龍太郎
○国務大臣(根本龍太郎君) 本法におきましては助成の方法は考えておりません。これは別個に考うべき必要が或いは出て来た場合には考えなければならんと思います。それは農林漁業資金融通特別会計の問題もありますし、或いは一般の助成費において農業協同組合、養蚕協同組合に対する助成という面から考えらるべきだと思いますが、これは十分に慎重に考慮したいと思いますが、本法においてはそれを直接考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/45
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046・江田三郎
○江田三郎君 先ほどの委員長に対する大臣の答弁を聞いておりますと、結局GHQなり大蔵省と了解したというだけで、名前を了解しただけであつて、十條というものは書いてあるけれども何もしないのだから、名前だけだから了解した、こういう了解のように問えるのですが、若しそうでないとするならば、今山崎委員或いはほかの委員からも質問されたように、補助、助成等ができないというなら、例えばこの農林漁業資金のほうからはどのくらいは融資する、或いは中金からどのくらいの枠は見込んでおる、そういうことについてはつきりとした資料が出て来ないと、ただそういうことも考慮しているという漠然とした抽象的な言葉では、ただ名前を了解して、何もしないから大蔵省もあちらも同意したような感じを受けるのですから、一つそれを至急に出して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/46
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047・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは大臣に対する質問はこの程度で、今政府から配つた資料に基いて蚕糸局長から説明があるそうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/47
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048・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 一番初めのものが、これが小林委員から御請求になりました繭糸価格安定審議会に関する政令規定事項というような御質問でございましたので用意いたしました。それから次のものは、これは江田委員からの御質問で一応作りましたのですが、二十四年から二十六年まで、繭の出廻り時期におきます生糸の相場から見まして、実際きまりましたその当時の掛目から判断してどの程度の損得があるかという点をその下の一番最後の欄に書いてあります。大体この程度ぐらい高く繭が出廻つたのではないかという点でございます。それからその次の表でございまするが、大正十二年以降の繭生産費と繭価との比較ということでございます。この生産費はこれは各団体なり或いは農林省の年々の調べを掲げたわけでございます。繭価はこれはその時の相場をとつたわけでございます。それでやつて見まして、ここに掲げられております期間は、これは統制をやらない全くの自由でありました時分の関係を見ておるわけでございます。一体生産費とその当時自由な経済でできました繭価との間の関係がどういう工合になつているかという点をここに掲げております。それでこの期間の比率を見ますというと一・〇七という形になるわけでございます。
それからその次にこれは片柳委員からの御請求に基きまして、実際一反歩の桑園がここにあるものならば、これで養蚕をやりまして生糸にして輸出しました場合と、それから食糧を作つた場合とどつちが経済的に見てよろしいか、その点を調べてもらいたいというお話でございました。実はやはりこれは国会の御要求に基きまして、二十二年に出しましたものからやりますというと、大体大麦と甘藷それから小麦と甘藷を表作及び裏作に作りました場合に、大体桑を一〇〇にいたしますと六一乃至六〇くらいであつたわけでございます。この前のお話では約倍ぐらいでよかろうということを申上げましたが、この資料に基いて申上げたわけでございまするが、今度のこの資料は非常にお急ぎになつておる関係から取りあえず出したわけでございまするが、大体この一のあれを見まするというと、一反歩当りから出まする収量は四石七斗四升程度ぐらいのものになるのじやないか、この場合に考えましたことは、FOBの価格を四ドル五十セント、大体現在の価格から見まして換算いたしますというと、大体麦に直しますというと、そんなら麦はどのくらいかところ申しますと、小麦でCIFで換算いたしますと、トン当り百ドルと、こう計算いたしたわけでございます。それでやりますというと四石七斗四升ぐらいに相当するのではないかと、こう思われます。一方又その畑を小麦とそれから甘藷両方作つておると、こう仮定いたしまして、而も甘藷のほうはこれは最近の関係はわかりませんが、この二十二年頃におきまする例の食糧庁におきまする主食代替配給基準率に基きまして甘藷の部分を麦に換算したわけでございます。そういたしますと三石九斗八升という形になります。従いましてこの数字からだけ見まするというと約二割ぐらい有利になる、糸に作りまして出した場合に有利になるという形になろうかと思います。併し二十二年に出しました場合のものは、これを更に補正したわけでございます。その補正の方法といたしましては、日本全国的に実際二毛作がどの程度行われておるか、これは完全に二毛作をやつておるという見解からすればこの程度になるわけでありまして、日本全体の二毛作の率がどの程度であるか、而も現在桑園になつておりますものはとにかくあの戦争中の経済を脱却して参つておりまするだけに、食糧に非常に不向きな地帯が桑園として残つておるわけでございます。例えば常習旱魃地帯であるとか或いは積雪の地帯であるとかいうような地帯があるのでございまして、それらのものをこの中では最近の事実はわかりませんので補正はいたしませんでしたが、補正をいたしまするならば、約倍ぐらい程度になるのではないか、こう考えておるのでございます。而もこれは生糸として出しました場合における数字でございまするから、更に現在の輸出の面を見まするといると、約二、三割の生糸というものは国内で絹製品として出まする点を見まするならばなお有利になるのではないか、こう想像されるわけでございます。大体資料の説明は…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/48
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049・江田三郎
○江田三郎君 私が質問した点に対して資料を出して頂きましたが、この資料を見ても何も解決はついておらんのです。これは今まで局長のほうがおつしやつた、糸は割高に買われておる、その証明として製糸家はこうやつて欠損をしておるのだ。そうして次の表で見ますというと、別の配られた数字よりも生産費は安く弾かれ、繭価は高く弾かれておるけれども、なお〇・九四ということで生産費を割つているわけであります。あなたのおつしやつたように繭価が糸に比べて割高に買われておるとしながら、而もなお生産費を償つていないという、こういう数字が出ているわけです。これを一体どうやつたら生産費が償つて行けるのか。少くとも一年、二年のことならともかくといたしまして、将来養蚕の発展を図ろうというのならば、生産費を償なわん形で発展は図れるわけはないのでございまして、この泰を見ましても平均にして過去においては一・〇七というふうに先ず大体において生産費を償つておる数字が多いわけであります。而もこれを現在割つておる。繭が割高に買われておると言いながらなお割つている。そういう形でただ糸だけを安定さしたところで、一体日本の養蚕業はどこに行くかということになるのであります。昨日来私の質問している点に対しては、これは私の主張を裏付けるだけであつて、何ら私が得たいところの回答になつていない。その点は一体どうやつたら養蚕業というものはこれから経営の安定が図られるのか。ただ経営を合理化しろ、合理化しろと言つてもそう簡単にできるものではない。なお又こうした製糸家の立場というものは、成るほど浜糸相場というものがそういう相場であるとしたところで、それからあとの値上りというものがある。大体農産物というものは出盛り期には叩かれるということはきまつたことですが、それだけのものを以てそうして製糸家は損をしているのだ、繭は割高に買われていると言うことではちよつと説明にならんと思う。どうやつたら一体養蚕農家の経営は安定するのか、何をこの法律で具体的にお考えになつているのか、一つもこれでは答えになつておらない。その説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/49
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050・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 今の御質問は結局蚕繭処理をどうやつて行けば一番業者の辻褄の合うようなところに価格がきまるかというような御質問のように思われるのであります。これにつきましては御承知でもございましようが、農協法に基きまして、養蚕家が自分のできました繭を販売いたしまする場合に、団体的な行動ができ得るような独占禁止法の除外例が設けられております。現在その規定に基きまして養蚕家がいろいろ繭を処理いたしまする場合に、団体の力で自分たちの利益を擁護しようという面の線を強く出しまして、そして現在繭価の協定を結ばしておるわけでございます。なお一方先ほども大臣がお話になりましたように、若しそれでもなお且つ自分たちの納得の行く価格で繭が処理できません場合におきましては、我々といたしましては繭の出廻り期前に大体製糸家に融通いたしまする例のスタンプ手形の制度と同様な率におきまして乾繭保管に対する農業系統金融機関を通じての融資を図つております。又一方我々として考えておりますることは、若し生産資材を買うとか、或いは又肥料代が要るとかいうことで、過去のように製糸家から資金の関係でがんじがらめになるような事態ができますると、やはり繭価の協定の際に相当大きな負担になりやせんかということを恐れまして、御承知でもございましようが、生産資材に対する金融につきましては実は農業手形に準じまする養蚕手形という制度を設けまして、これについては農業系統の金融機関から資金の融通を図つてもらつておるような次第でございます。従いましてそれらを通じてやりますれば相当繭の販売につきましては養蚕家としては強い立場で交渉ができるのではないか。その面で解決をして参りたいと、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/50
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051・江田三郎
○江田三郎君 団体契約でやつたらそういうような弱味にはならんと言うけれども、団体契約でやつてこういう数字が出ておるのだからして、そういうことは何ら答えにはならない。乾繭の場合にこの手形で融通すると言つたつてその際には単価は幾らまで融通するかといることが問題になつて来るので、そういう点になつて来ると先ほど白波瀬さんが言われたように、最低値をきめた際にその際の繭の掛目は幾らであるとか、そういうことが保障されて、そういうような基準までは融通するのかどうか。ただ漠然と融通すると言うだけでは何ら保障にはならん。それは一体どういう単価まで融通されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/51
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052・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 現在製糸家並びに農協系統の製糸をやつております、いわゆる過去の組合製糸でございます。これらの人たちに対する購繭資金の融通方法といたしましては、実はスタンプ手形の制度を設けておるのでございまして、若し金融をやります金融機関に資金がありません場合におきましては、そういう面で金融いたしまする手形を担保に入れさえすれば、日本銀行といたしましては資金の融資をやつてくれるような態勢を現在整えております。而もその金額の限度でございまするが、大体日銀と本年度の金融の面におきまする打合せは実際的にはどうなつておるかわかりませんが、大体繭の売買をやりました場合におきまする価格の八五%を限度として貸付けるというような話合いになつておるわけでございます。従いまして、考えますれば製糸家に対しまする一応の融資といたしましては、現在の制度ではその程度のものが融通されると思います。その場合に乾繭を養蚕家がやるという場合にも、その程度のものが融資できるような形を現在とつておるわけでございます。それといま一つは、実はこの表を御覧になりまする場合に、実は昨年度などのいわゆる繭の値段というものは、ここに掲げております繭代は、これは現実に繭価の協定をやりましたものの計数をそのまま出しておるのでございまするが、実際はそれならどの程度かということでございまするが、実際の面になりますというと、これは各製糸家、製糸家でなかなか祕密にしておるのでわかりませんが、相当の追加払いを更にやつておるのではないか。成績がいいときには追加払いというようなことをやつておるそうでございまして、その面の価格はこの中に入つていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/52
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053・江田三郎
○江田三郎君 実際にはこれより高く売れておるというような、そういうようなふうに逃げ口上みたいなことを言われるのなら又ほかのことをこちらも言わなければならん。一体繭価と生産費とここに出ている数字とは違つているのではないかということが言える。更に生産費の中の労働賃金の弾き方はどうだ。百姓にいつまでも農村の生活水準を維持しろというようなことを言われるのか。そういうことを言うならこちらにも言い分はある。一応政府から出された数字なら数字で行かなければならない。そういうことはよろしいけれども、要するに市場相場の八割五分を融資するというようなことでは問題は解決できない。依然としてそういうようなことでは生産費を割つておるということは割つておるわけなんで、いつまでもそういう形で養蚕業というものが発達するわけには行かない。そもそも糸価安定法でなしに繭糸価格安定法というふうに繭の字が入つた以上は、ただ価格を安定するだけが目的ではなくて、ここに書いてありますように、第一條にありますように、経営の安定ということを書いてあるわけなんです。単に価格の安定ではなく、経営の安定ということをやるのに生産費を割つておることが歴然としておるのに、これを続けてやつて経営の安定ができるかどうか。これについての根本的な方策というものがはつきりしなければ、こういうものはただ羊頭狗肉ということになつてしまう。あなたの答えはそういうことには何も触れておらんのです。ただ顧みて他を言つておるだけで非常に不満だということを申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/53
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054・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私の要求しました資料について御説明がありましたが、併しこれはこういうことが言えると思うのですが、生産された生糸の全部が輸出に行く場合においてはこういうことになるかも知れないが、併し生産された生糸の半分くらいが輸出であつて、半分くらいは国内需要に廻るということでありますれば、外貨獲得という点から見れば、四石七斗四升はこれは半分くらいで、外貨の獲得という点からは比較にならんのではないかという説明がなければならない。そういう意味においてやはりなお桑園を殖やしたほうがいいか、麦を作つたほうがいいかという問題はこれは十分研究を願いたいと思います。
それから小さいことでありまするが、一トンの換算量は七石三斗ということは、これは公定レートでありますかどうか。その点が第一点と、それから第九條の関係で、先ほどこれは生糸だけであるが、更に絹製品等で輸出されるものもある、こういうお話があつたので関連して御質問をいたしたいのでありまするが、九條の、「生糸の輸出を確保するため」とありまするのは、これは生糸でできた絹織物なり絹製品を出すというところまで入つておりますかどうか、まあできればロー・シルクで出さないで、加工賃を獲得する意味で、生糸の製品の輸出のほうができれば望ましいと思うのでありまするが、そうなつて来ますと、第九條の解釈は、生糸だけでなくして、生糸で作つた絹製品の輸出を確保するためというふうにまで解し得るかどうか、以上の二点につきまして御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/54
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055・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 外貨獲得の面から申しまして、国内で更に加工を加えた絹製品までも入れるのが一番私はよい、こう考えておるのでございますが、とにかくこういう場合に、輸出優先の措置さえも講じなければならんと言います場合におきましては、国内の需要は相当多かろうと思うのであります。国内と海外とで競り合うという場合に、国内をとめておいて海外に出すという事態に、こういう規定が実際は適用されるのではないか、こう思われます。従いましてそういう場合に一応輸出するという仮面を被つて、而もそれを国内に流す、本当に輸出されたかどうか、販売いたしました生糸が、本当にそれが絹製品になつて、そして輸出されたかどうかという部面の確認がなかなか困難でございまするので、取りあえずこの法案におきましては、その確認が割合にできやすい生糸だけに限定しようか、こう考えております。併し通産省ともこの面は相談をいたしておるのでございまするが、輸出絹織物の面につきましても、そういう確認がはつきりでき得るような方途が編み出されるものならば、御趣旨のような形で参つて行きたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/55
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056・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうすると、この現在の九條の條項の解釈では、政府の所有生糸を売渡して、それで必らず絹製品にして出す、こういう條件を附けても、そいつが取締りができないという点からですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/56
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057・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/57
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058・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうなつて来ると、これはできれば製品にして輸出したほうが、私はいいのじやないかと思うのですが、単に技術的に不可能になつて来るということだけではちよつと説明としては納得ができないと思いますが、そうなつて来ると、第九條については生糸であればはつきりわかりまするが、これに反した場合には、これは罰則はないようでありますが、それは罰則がなくても励行できるということなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/58
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059・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) この場合には、私たちは輸出する者との売買契約の條項に若し違反いたしました場合に違約金を取るとか、或いはそれに代るべき現物の提供を受けるとかというような規定を売買條項の中に入れて対処して参りたい、こう考えております。それから先ほどのお話でございまするが、この法律の面から見まするというと、絹織物の面も一応すんなり考えれば入り得るのじやないかというようなことも考えられるのですが、今申しましたような技術的な問題、いわゆる輸出されたかどうかの確認が困難なものでございまするので、この技術的の問題が若し検討いたしまして可能だというようなことになりますれば、御趣旨に副うようにして参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/59
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060・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうすると、解釈としては「生糸の輸出を確保するため」という中には、ロー・シルクだけでなくして、その生糸でできた製品まで含むという解釈をとつてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/60
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061・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/61
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062・片柳眞吉
○片柳眞吉君 それからその次に御質問いたしたい点は、現在の貿易業者が非常に力が概して弱いという状況だと思うのでありますが、特に最近の輸出関係から、相当力が更に弱くなつて来ておる状況だと思いますが、そういうことを考えて来ますると、情勢如何では、この條件を附けて輸出をしろというようなことでなくして、貿易業者が非常に力が弱くてなかなか輸出がうまく行かないというような場合においては、政府が直接輸出をするという考えはこれは考えられないでしようか、或いは業者に委託をしての輸出でもいいのですが、そるいうことは三井、三菱のない現状においては、そういう私は必要性が他の物資については私は相当あると思うのですけれども、そういうことは研究された結果、現在ではできないようでありますが、その辺のお考えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/62
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063・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 将来輸出の増進というような面から見まするというと、今輸出業者が非常に難渋する地位に立つておるというような面からいたしまして、たとえこういうような規定を設けましても、なかなかその趣旨に信用上副い得ないというような場合がないとも限らないと思うのでありますが、よしんば政府が委託輸出をするというようなことになりますれば、これにはやはり機構が揃いませんとなかなか厄介でございますし、まあ輸出組合でもできますと、或いは又来年の予算で我々が計上しておるのでございまするが、海外に蚕糸の専門家の派遣ができるというようなことにでもなりますればその監督もできますでございますが、そういうようなことは今後の研究課題としてあるべき姿ではないかと考えられますので、研究して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/63
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064・飯島連次郎
○飯島連次郎君 この第三條に掲げてある標準生糸について、最近の最高価格及び最低価格を一つ具体的に示して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/64
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065・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 飯島委員の御質問は最近におきまする現物市場におきましての最高、最低の価路でございますか……、ちよつと調べがないのでございまするが、後ほど調査して差上げますが、現在現物の値段はたしか二十一万四、五千円のところを低迷しておると思います。
それから飯島さんの実は大臣になさいました御質問でございまするが、蚕糸業者が指定寄附をやる、この三十億と関連があるのかどうかというような御質問でございますが、実はこれは大蔵当局自身の考え方が奈辺にあるかは存じませんが、我々といたしまして、この繭糸価格安定法ができまする際に、これを想定いたしまして、一方的な考えかも知れませんが、措置をして参つた価格の経過をお話申上げてみたいと思います。
それは第一番に閉鎖機関の蚕糸業会が今年の三月のたしか二十七日頃かと記憶しておりまするが、大体十三億七千万円ばかりの価格差益金を政府に納入いたしまする際に、閣議で若し蚕糸業の根本的な施策が行われまする際におきましては、その金額をその方面に出してもらいたいという閣議の了解事項があるわけでございます。それから一方、これも大蔵当局からの要望でございまするが、蚕糸業会が清算に当りまして若し価格差益を全部納めましたりしまして、なお出資者に対して残余財産があつた場合におきましては、或る程度政府に寄附してもらいたいという要望があつたのでございます。これにつきましては我々といたしましても、例の糸価安定法、その当時言われておりましたが、糸価安定の措置ができるものならば、それに対して指定寄附をするというような意向が民間に非常に多かつたわけでありまして、各出資者各個の会合におきましても、政府が若しそういう施策をやりました場合におきましては、自分たちは一つ寄附をやろうというような意向があるわけでございます。従いまして我々といたしましてはその場合に法律案を用意して、そして寄附をいたしまするか、或いはそうでなしに寄附行為をやりまするか、これは目下検討を加えておるのでございまするが、たとえ法律案で指定寄附のような法律案を出すにいたしましても、内容は現在のところ、我々の考えておるところは、出資者の自由意思に基きましてこれはやつて行こうという心組でございまして、何ら強制的な意味合の法律案にはしたくはない、又やるべき筋合のものではなかろう、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/65
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066・江田三郎
○江田三郎君 余り質問するのも気が進まんのでして、大体でたらめなことが多いので、これは私ちよつとぼんやりしておつたのですが、片柳委員からも指摘があつたと思うのですが、こういう食糧輸入の可能量なんかについても……、繭のほうは二十五年における数字だけを出して来る、片方食糧のほうは過去五カ年間を出して来る、小麦が過去五カ年間の数字を出すなら、繭についても過去五カ年間の数字を出さなければ比較にはならない。こういう一つの例ですけれども、一方的なことばかりやられて法案の審議を促進しろと言うのは却つて逆効果になると思う。そういう意味で余り質問したくないのですが、この第三條あ最高、最低をきめるときの値巾というものはどのくらい開きがあるのか。上と下とのパーセンテージというのはどのくらい違うのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/66
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067・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) この値巾の、上下の値巾の問題が非常にこれは大きな問題でございまして、これも昨日お話申上げましたが、海外におきましても非常にこれを重視しております。又国内におきましてもこの値巾の問題が非常に重視されておるわけでございます。現在大体統一されておりまする点は、海外の要望といたしましては、上下一割という要望が強うございまして、実は今年の九月にロンドンで世界各国の蚕糸関係業者が集りましたその決議もそういう形になつております。一方又国内の面を見まするというと、養蚕家は値巾の面は申されておりませんが、成るべく少いほうがよろしいという考えでございます。それから製糸業者の面から申しましても、製糸業者は上下一割ぐらいが至当であるということを申されております。又一方流通関係に携つておいでになるかたたちの要望としましては、上下共に二割ぐらいの率でやつてもらいたいというような意見が非常に強うございます。我々といたしましてはとにかく余り狭くいたしまするというと、現在の日本の蚕糸業が置かれておりまする、日本の経済の実相から申しまして、余りに狭くしますことはこれはなかなか困難なようではありますし、又余りに広くいたしましては糸価安定の目的は達せられないというような面がございますので、これらの業者の意見も十分考えに入れまして、妥当なところできめて行きたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/67
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068・江田三郎
○江田三郎君 誠に慎重な答弁でありまして、聞いておつて何のことかよくわからんのでありますが、仮にまあ一割ぐらいということを解釈したらいいのだと思いますが、そうしますと、この予算で買入れる最低値が十四万五千円程度としますと、大体最高値を十六万円程度ということになると思うのでありますが、そういう十四万五千円乃至十六万円、或いはもつと開くのかわかりませんが、その程度で日本の糸価の上下を政府が括るということは、これは結果においてより以上の価値のあるものを海外により低く売り渡すということになりはしないか、実力以下に海外に日本の生糸を売りつける結果になるではないかということを心配してこれだけ一つお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/68
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069・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 十四万五千円という金額をお話になりましたが、これは恐らく今年度の補正予算を組み立てる場合の基準の金額をお話になつていると思うのでございます。我々といたしましては、あの金額は予算編成の一応の基準金額と見ているのでありまして、この法案に基きます最低価格というもの、いわゆる買入価格と申しまするか、これはあの金額とは別個に考えて参りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/69
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070・江田三郎
○江田三郎君 予算編成の基準になる単価がこれは何でもない、ただ数字だというような御答弁でありましたら何を聞いても仕方がないですからやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/70
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071・片柳眞吉
○片柳眞吉君 三十億の一般会計からの繰入れでありますが、江田さんからのお話のような予算の単価が十四万五千円で行きますと、貯蔵、加工に要する経費等を多少引きまして、二万俵ぐらいの数字が大体出て参りますが、ところが蚕糸局長の答弁のように、それは予算上の単価であるので、審議会できまつたらそれによるのだ、そうなるのだと思いますが、これが大幅に上つた場合においては、来年度の予算ではやはり二万俵ぐらいがなければ操作がつかないということが前提になつていると思うのでありますが、そうなつて来ると単価が相当上つて来た場合においては来年度の予算においては三十億は当然にこれは膨らんで行かんと、この機能は発揚できないというように考えますが、そういう了解に大蔵省となつておりますかどうか、それが第一点であります。それから私は最近の予算の編成の仕方を見て行きますと、一つの意見といいまするか、感じを持ちまするのは、三十億の金を出してその三十億が資本になつておりまするけれども、特別会計を作つても三十億しか仕事ができんということでは資金の効率としては意味かないのではないか。而も昨日までの質疑で明らかになつた点は、米なんかは赤字が出ておりますが、生糸に関しては先ず大体は儲かるのだ、こういう極めて堅実な、堅実かどうか、そういう特別会計だとしますれば、約三十億は基金にしまして、それでむしろ何か蚕糸証券か何か知りませんが、そういうむしろ短期融資をやつてこれ以上にやはり買い得ると、こういう私は考え方が、どうもほかのほうにはそういう考え方があるのであつて、例えば住宅金融公庫についても、五十億出してそれでそれだけしか家ができんというのも、これは併しまあそういう建築でありまするから、これは止むを得ないと思いますが、こういう必ず儲かるという、利益があるということであれば、而もそう長いやつは融資は必要でないと思うのでありまして、どうも三十億で、そのうちからやはり貯蔵、加工に要する経費は若干引かなければいかんから、三十億は全部使えない、買入れには而も今言つたような審議会で相当やはり上がらんと、江田さんの言うように養蚕農家の生産費も割つてしまうというようなそういう価格では非常に困るのであります。ですから非常にシンプル過ぎるという感じが特にこの場合するわけであります。そういうことはお考えになるおつもりがないかどうかですね。その二点につきまして政府の所見を一つお漏し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/71
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072・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 来年度の予算につきましてこの三十億円を更に増額するというような考えがないか、こういうようなお話でございますが、而も現在の糸価から申しますというと、単価が上つて参れば増加しなければならんというような御質問でございました。現在大蔵省との間の了解では、来年度の予算につきましてはこの資金の増額はやつておらないのでございます。そんならそれで可能かどうかというような面につきましては、昨日も御答弁申上げました通りでございます。そして次に長期資金じやなしに短期資金のようなものをこの特別会計で或る程度借り得るよるな規定を設けてはどうかという面でございまするが、これらの面につきましても大蔵省といたしましては、御趣旨のような意味合いで我々は当初交渉して参りましたのですが、財政の膨脹と申しますか、そういうような面から規正を受けまして、とにかく基金だけでこの特別会計をやつたほうがいいのじやないかというような趣旨であつたのでございます。交渉の経過から申しますとそういうような形になつているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/72
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073・片柳眞吉
○片柳眞吉君 単価が上つても三十億が殖えないと、それだけ数量が減ることになります。それではこの機能は発揮できないと思う。当然これは私はやはり十四万五千円で三十億というのは、結局大体二万俵程度押えなければこの機能は発揮できないというところから来ておると思う。これは当然そうならんと、それでなくてもウイークな機能が更に弱まつて、意味をなさない。これは一つ強力に押してもらいたい。それからあとの証券の点は財政上の理由と言いまするが、これが一年度内で買つて売れるということであれば、これはむしろ儲かるくらいで、これはインベントリー・フアイナンスの問題も起らないのであつて、なおおつりが出るくらいであつて、何も財政上の理由ということも、翌年度に相当滞貨が残ればそういう問題が起ると思いますが、大体年度内で終るということならば、むしろおつりが出て、それで何とかしろというのが我々の注文であつて、一般会計からインベントリー・フアイナンスという必要もない。ですから一旦買つたものも、大部分が翌年に持ち越すんだという公算が大であれば、これは財政上の負担問題も起る。どうもそういう、そうでないような気もするのですが、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/73
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074・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 大蔵側の御意見は、その面はとにかく年度を越しては困るというような見解からいたしまして、初めはそういうようなことも考えられるのではないかというように係りの者も言つておりましたが、順次折衝をして参りますにつれまして、こういう工合になつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/74
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075・片柳眞吉
○片柳眞吉君 これ以上は申しませんが、やる以上は機能の発揚できないものをやつても意味がないので、私はむしろ三十億ということでフイツクスされるのでは意味ないのであつて、今言つた蚕糸証券なんかの問題も理窟が通れば何も大蔵省にとやかく言われる義理はない。その辺を強力に折衝して頂くことを希望いたしまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/75
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076・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 ちよつとお尋ねしますが、審議会の委員という者は、これは一遍価格の決定をやれば、それで解任するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/76
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077・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) この規定の考え方といたしましては、大体六カ月というようなことでございまするが、これも交渉いたしまして、二年というようなほかに審議会の例もあるそうでございますから、長くして参りたいと思つております。それはどうかと申しますと、この審議会の重要な事項というようなことにつきましては、例の価格決定だけではないのでございまして、その改訂の問題もございましようし、更に第十條の現在問題になつております特別措置などの問題もございましようし、又輸出確保に対しまして輸出優先というような問題もございましよう。これらの重要な事項は常に皆さんの御意見、審議会の御意見を尊重しながら私たちは運用して参りたいという気持からいたしまして、六カ月とは一応書いてありますが、その延長方を交渉して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/77
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078・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 交渉して行くというのですから何ですけれども、私はこの審議会の価格の決定というものは、これは非常にむずかしいもので、えらい高いところにきめたら妙なことになるし、又きめた価格が非常に低ければそれも非常に及ぼすところが大きい。殊に上下一割なんという値巾になつたら、これは実際価格のきめ方が当を得ていなかつたら動きが取れんことに実はなつて来ると思うのです。又それに関係している養蚕並びに製糸、或いは対外的にも非常に影響を及ぼすところが多い、非常に私はこれは審議会の委員という者は責任があつて、そうきめておいて、すぐに解かれて責任のない立場になるというような考え方だと私は非常にこれはおかしいのだと思うのですが、この点は私は少くとも一般に見られているくらいの任期でないと、責任の感じ方も非常に違うのじやないかというように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/78
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079・青柳確郎
○政府委員(青柳確郎君) 御趣旨の点は十分考慮して、善処して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/79
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080・飯島連次郎
○飯島連次郎君 先ほど江田委員から質問のあつた点でありますが、この十四万五千の単価で、二万俵ということが三十億の計算の基礎になつているようですが、十四万五千ということでこれを押えるということは、明らかに折角海外で十六万だ或いは十九万だ、二十一万だという呼値の出ている生糸に対して、徒らに政府が糸価の安定どころではなく、引下げをあえてしているということの結果を来すことを私は非常に恐れるのでありますし、逆にではこれはもつと上げるのだ、審議会できめるのだからもつと適当な価格に落着けるのだということであれば、片柳委員の指摘されたように二万俵を割つて来るから、これは折角の機能が果し得ないということになつて来るので、どつちから突いても単価並びに数量等についてもこれは具体的に非常な無理を包蔵している。この点について海外に対する影響もありましようし、養蚕、製糸等に与える影響も非常に多いので、私はさつき農林大臣がおられたときに三十億を何とかしてもつと枠を拡げることを積極的にお考えになるか、或いは当面の方針として、然らずんば折角努力して大蔵省と折衝の成立つた三十億を運用して、それから出て来る益金を何とか農林関係の中で特別に早い資金廻転をして、蚕糸業振興のためにお使いになるか、そこらのところを一つ蚕糸局長として、恒久的な問題と当面の問題についてもう一度十分御研究を願つて、我々の農林委員に納得のできるような一つお答えを、私は資料を以てでもいいです。お願いしたいとこう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/80
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081・小林孝平
○小林孝平君 私昨日この審議会令と、価格の決定方法の政令の資料を要求したところ、審議会令のほうは、ここに審議会関係の資料は来たのですけれども、非常に漠然とした資料を御提出になつたのですが、明日多分お出しになる価格決定の制限に関する資料のほうは、こういう漠然としたものではなく、精細な具体的にわかる資料を一つお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/81
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082・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは本日はこの程度で散会をいたします。
午後三時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214988X01119511121/82
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