1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十日(土曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 岡村利右衞門君
理事 黒澤富次郎君
大澤嘉平治君 岡田 五郎君
尾崎 末吉君 關谷 勝利君
玉置 信一君 坪内 八郎君
畠山 鶴吉君 山本 猛夫君
飯田 義茂君 江崎 一治君
木村 俊夫君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 村上 義一君
出席政府委員
航空庁長官 大庭 哲夫君
委員外の出席者
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
五月九日
港湾法の一部を改正する法律案(岡田五郎君外
四名提出、衆法第三九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
航空法案(内閣提出第一七九号)
港湾法の一部を改正する法律案(岡田五郎君外
四名提出、衆法第三九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/0
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001・黒澤富次郎
○黒澤委員長代理 これより会議を開きます。
委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。
港湾法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提案者より提案理由の説明を求めます。岡田五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/1
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002・岡田五郎
○岡田(五)委員 ただいま提案になりました港湾法の一部を改正す法律案につきまして、提出者を代表いたしまして提案理由を御説明いたします。
港湾法制定以来ほぼ二箇年になりますが、この過去二箇年にわたる港湾法の施行の状況を検討いたしますと、港湾管理者の設立を円滑ならしめ、その事務の遂行を十全ならしめるためには、港務局の委員の定数を増加し、またその欠格條件を緩和したり、あるいはまた港湾工事によつて利益を受ける者に対して負担金を課し得ることとし、その他現行法の不備を補修するため所要の改正をする必要があります。これがこの法律案を提案いたしました理由であります。
次に、この法律案の概略を御説明いたします。第一に、現行法では港務局の委員は、一名を限り地方公共団体の議会の議員をもつて充てることができることになつておりますが、わが国港湾の現状では、いまだ建設に多くの資金を要しまするので、港務局の事業を円滑に遂行するには、その設立の母等でありまする地方公共団体からの援助を仰がねばならない状態にあります。従つて港務局と地方議会との連絡を密にするため、その各地方公共団体から少くとも一名の議会の議員が港務局の委員になることができることとといたしました。
次に港務局の委員の定数についてでありますが、現行法では七人以内となつており、港務局を組織する地方公共団体の数が七を越える場合には、その地方公共団体の数に達するまで増員できることになつております。しかしながらたとえば関門港の場合のごとく、二県三市が共同して港務局を設立する場合は、現行法による七人以内の委員数では運営上重大な支障があるのであります。すなわち前に述べましたように、地方議会との連絡を密にするために、地方議会の議員より港務局の委員を選出するとともに、政治にとらわれない学識試験者からも委員を選出する必要があります。従つて関門港の場合を想定して港務局を組織する地方公共団体が、三を越えるものに置かれる委定会にあつては、港務局の委員を十一人に達するまで増員することができることといたしました。
第三に、この法律案におきましては、港湾工事によつて著しく利益を受ける者があるときは、港湾管理者は、その者にその工事費用一の部を受益の限度において負担させ得ることといたしました。
第四に、港湾法施行後の経験にかんがみ、港湾区域の設定に際し必要やむを得ない場合は、港域法の港の区域を越えることを得ることとし、また港湾区域内の工事規制その他の事項に関し、疑義の存するところを明らかにするための規定を設けました。
最後に、現行法によれば、昭和二十六年度途中で港湾管理者が定まつた場合、昭和二十六年度中は港湾管理者の工事に対する補助率は、昭和二十六年度初めに定まつた率で補助することになつておりますが、港湾管理者の設立が昭和二十七年度途中となるものが多く予想されますので、昭和二十七年度中に港湾管理者が設立された場合は、昭和二十七年度中は、二十七年度当初に定まつた率によつて補助することといたしました。
以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/2
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003・黒澤富次郎
○黒澤委員長代理 本案に対する質疑は次会より行います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/3
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004・黒澤富次郎
○黒澤委員長代理 次に航空法案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、通告順にこれを許します。尾崎末吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/4
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005・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 運輸大臣に本法案に対する総括的な質問をまず申し上げたいのであります。
講和発効の日からわが国に対する占領政策が解けることとなり、従つて諸外国が一方的にわが領土に航空機を飛行させて来るのを拒むこともできるはずでありますし、またわが国としても、相手国の承認を求めれば外国を飛行することもできるはずでありますし、わが国の空を飛ぶことも自由となつたわけでありますが、わが国が被占領中に変則的形態を規定しておつた国内航空運送事業会と、外国航空会社が日本へ乗り入れするのを片務的に認めた外国人の国際航空運送事業に関する政令、この二つのポツダム政令があるだけでありまして、航空に関する独立した完全な法規がいまだできておらない。ようやく最近ここに提出せられました航空法が現われて参つたばかりでありますのは、私どものまことに遺憾とするところでありますが、このことに関しましてまず三つの事柄をお伺いいたしたいのであります。
その第一は、わが国が独立国となつた後、航空に関する法規が一種の空白となつにいるのが現在の状態であります。この一種の空白状態となつてから今日までの間におきまして、日本の領土内に航空に関しての何らかの支障を生じたことはなかつたかどうか、また現在この完全な航空法がないために、不便と支障を生じておらないかということがその一つであります。時間の関係上あと二つついでにやります。
第二の点におきましては、航空法を講和発効までに間に合わせるように、なぜ早くその法案を本国会に提出しなかつたか、これが第二であります。
第三には、航空法の成立はそう急がぬでもよいという事情であるのか、また一時間でも半時間でも早く成立をさせなければならぬという事情であるのか、まずこの三つについてお伺いをいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/5
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006・村上義一
○村上国務大臣 占領治下において、御承知の通りわが国の航空活動は、ほとんど全面的に禁制を受けておつたのであります。二十六年から一部この営業のみを許されたのであります。この期間に不都合がなかつたかというお尋ねでありますが、もとより日本国として拘束を受けて制約をこうむつていたという点から受けた不都合は相当あつたと思うのであります。これは不都合があつても、遺憾ながら占領治下やむを得なかつた次第であります。実は法案提出をなるべく急ぎまして、講和発効と同時に今回御審議を願つておりまする航空法が施行せられるように念願いたして参つたのであります。従いまして運輸省としましては、すでに三月末航空法案を準備いたしまして、関係の向きに交渉をしておつたのであります。しかしながらこの航空機の生産、またこれに関連する特に検査、試験等の面において、協議をまとめるのは意、外に長い期間を要したのであります。ようやく今日御審議願えるように相なつた次第であります。この航空法案を政府としてすみやかにとりまとめて、国会の御審議をお願いするということがすこぶる遅延いたしましたことは、まことに遺憾に思つておる次第であります。そういう次第でありますので、この航空法案をなるべくすみやかに成立させていただきたいとお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/6
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007・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 講和発効の日である去る四月二十八日からきようまでの間において、この間の遭難をしましたもく星号は別といたしまして、その他に航空法というものができていなかつたがために、何か支障となり不便となるような問題は起らなかつたか、この点について重ねてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/7
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008・村上義一
○村上国務大臣 もく星号の遭難につきまして、法案が成立していなかつたために特にこの事故について、また事故の処理について悪影響があつたということはないと思うのであります。ただ成立が遅れておりまするために不都合な具体的な例を申しますと、民間において、特に通信機関、新聞社等におきまして、みずから飛行機を持つてその使命を果して行くという御計画があつても、これができないというようなことは、明瞭に支障であつたと申すべきだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/8
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009・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そういたしますと、講和発効後今日までのわずかの期間においても相当の不便があり、航空法ができてないために支障を来しておつたくらいであるから、この航空法の成立は一日でも、一時間でも早く成立をさせなければならない緊迫した事情にあると、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/9
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010・村上義一
○村上国務大臣 御趣旨の通りであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/10
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011・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこでこの審議に先だつて特に伺つておきたいと思いますことは、現在提出せられておる航空法案は、大臣のお考えでは、これで満足すべき法案であると思つておられるのであるか。あるいはまた相当不備の点もあると思つておられるのであるか、これは大臣としてははなはだお話しにくいことであろうとは思うのでありますが、私どもとしてはこの法案を審議するための心構えとして、伺つておかなければならない点でありますので、この点をあらためて伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/11
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012・村上義一
○村上国務大臣 前刻も申し述べます通り、三月末に運輸省としては航空法案を完全なるものとして仕上げておつたのであります。その後今日まで荏苒提案が遅れて、御審議を願うことができなかつたということは、その間に種々の事情で当初の案の通り進めることができなかつたということを意味しておる次第であります。元来航空事業は、一般の交通事業としましても、事故の絶滅、また保安度の向上ということはきわめて必要なことでありまするが、特に航空事業のごときは、申し上げるまでもなく飛行機の製作また部品の整備にしましても、最も的確な試験をし、また検査をして、乗務員につきましても、公正的確な試験を行つて、教養を施して、そうして初めてその保安度を確め得る次第でありますことは、申し上げるまでもないのであります。従いましてこの製作につきましては、飛行機の事業につきましては、運航のみならず飛行機の製作についても、一貫した一元的な監督、指導、検査を要するものであると信じておるのであります。現に鉄道輸送にいたしましても、また船舶運航にいたしましても、ひとり運営のみならず、その車両なりまた船舶の生産につきましても、一元的な責任のもとに検査その他を今日処理しておる次第であります。ただ自動車につきましては、御承知の通りマス・プロをやるべき性質のものでありますので、これは運営者が選択して責任をもつて購入し得るのでありますが、鉄道車両、また船舶のごときいずれも注文生産に属するものであります。従いまして鉄道車両及び船舶は、運輸省がその生産について責任を持つておるような次第であります。いわんや航空機につきましては、一層注文生産の性質が高度にあるものであります。また前刻申し述べます通り、その安全性を保持するということの一層緊要なものでありまして一元的に、運営生産につきまして一貫した一元的な責任のもとに、遂行するということが望ましいと思うのであります。しかしながら航空機の生産材料には、かなり希少物資が多く用いられるというような観点から見れば、またこの角度から生産を処理する必要があるという議論も立ち得る次第でありまして、要するにそういう両面の必要性から種々の論議が生じまして提案が遅れたのでありますし、またそういう趣旨から生産は通産省において担当をせられる、ただ安全性を確保するための検査、試験等を、大体において運輸省において担当して行くということに相なつた次第であります。この法案において、運輸大臣としまして満足しておるかというお尋ねでありますると、遺憾ながら不満な点がないことはないというお答えをせざるを得ないのであります。御了承を願いたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/12
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013・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 大臣の強い御所信を伺いまして、非常に力強く思うのであります。ただいまの御答弁のように、交通に関して一番大事なことは、その交通機関についての安全性ということであつつて、そのゆえに、例をとつてみると、汽車や電車の製造行政を管理したり、船の製造行政を管理したりして、みずからの行政、みずからの検査によつてできた汽車や汽船を、運輸省がみずから主管するところの汽船会社によつて走らせているのだ、こういうようなものであるが、まして早いスピードを持つて、しかも長距離を飛ばなければならぬという飛行機、單に国内航空だけでなくして、海外の諸国との間にも往復するのであるから、この飛行機の交通機関は国際性を持つ点においても非常に強いものである、こういう点から考えてみても、この航空行政というものは一元化しなければならぬものである。であるが、本法案を立案する当時における事情や、あるいはまた航空機を生産する資材、原料というものなどの関係から、通産省の方でもこれにタッチしなければならぬという議論も出たわけであります。
〔黒澤委員長代理退席、委員長着席〕
そういうようなことで、かれこれの事情が一緒になつて、この法案が十分満足すべきものではないと思つておる、こういう非常に苦しい御答弁ではありますが、その御答弁の中にある強い御所信については、十分にこれを了承することができたのであります。そこで、ここに蛇足でありますが、一つ伺つておきたいことは、このいわゆる航空行政を一元化しなければならぬということは、すでに先般の昭和二十七年度予算案審議の途中におきまして、予算委員会の分科会においても十分論議が闘わされました結果、航空事業一元化はすでに結論づけられたことでありまして、また信用すべき各新聞の論調を見ましても、航空の安全性と航空行政の一元化は一致したところであることは、十分に私どもは承知をいたしておるのでありますが、大臣もこの本国会の予算委員会分科会におけるいわゆる航空一元化の結論、並びに新聞その他におけるところのいわゆる航空は一元化すべきであるという論調、これらのことについては十分に御承知になつておると思うのですが、この点は私が申した通り十分に御承知になつておるかどうか、あらためて伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/13
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014・村上義一
○村上国務大臣 今御指摘になりましたような予算審議にあたつての論議、またその後現われました、新聞雑話等の諸説、ことごとくとは言いかねますが、大体においては了承いたしておるのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/14
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015・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこで次に移りますが、先般航空委員会における公述人の公述等によつてみましても、日本における航空機の製造技術及び飛行技術等は、昭和十四年ごろまでは世界の水準に歩調が合つておつた。また見方によつてはやや世界の水準よりすぐれた点もあつたが、その後次第に低落して特に敗戰後七年間の空白も加わつて結局今では世界の水準に十二年間くらいは遅れておると思う、こう言われておるのでありますが、独立後の今から立ち上つて努力をいたしまして、大体何年間くらいすれば国際水準に近づける技術にまで到達すると思つておられるか、この点を伺つておきたいのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/15
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016・大庭哲夫
○大庭政府委員 大体そのことにつきましては、資本の構成あるいは技術の訓練というものが、おもなる原因をなして発達の過程をたどるとは思いますが、総体的な融資、総体的な努力を続けることによりまして、大体私の見込みでは四年ないし五年後には到達し得るのではないかという観点を持つております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/16
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017・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 ただいまの御答弁は、大体資本その他の要件さえ整えば、四、五年たつたならば国際水準に近づき得る、こういう御答弁でありますが、この点に関しましては、先般の航空小委員会における多くの公述人の御意見と一致するようでありますので、その通り伺つておきます。
次にお伺いいたしますことは、昨年九月サンフランシスコで締結せられ、去る四月二十八日から効力を発生することとなつた平和條約の第十三條(c)項におきまして、日本は国際民間航空條約に加盟する以前においても、同條約の規定並びに同僚約の付属書として採択されておる標準、方式及び手続を同條約の條項に従つて実施せねばならぬ旨を規定されておるのでありますが、今提案されている航空法案を見ますと、さつき大臣から御答弁がありましたように、各種の事情があつたことは了承いたしたのでありますが、イロハ順にこれを並べてみますと、イ、航空機の耐空性に関する基準、ロ、航空従事者の資格、ハ、航空保安施設の設置及び管理の基準、二、航空機の運航の方法等、一応航空機の航行の安全に関することが規定せられているようであります。これに加うるに、ホ、この航空事業その他航空機を運航して営む事業等に必要なる事柄は、大体において盛り盡されているようでありますが、さつき申し述べました航空の安全にきわめて重大な要件である航空機の部品、すなわちモーター、プロペラ等の重要部品並びに航空機の修理、生産等の管理に関する欠くべからざる規定がなくしてただわずかに生産、修理に関する検査の不十分な、しかも一部としか思われぬ規定が置かれてあるにとどまるように思うのであります。その事情は先ほど大臣がお述べになつたのでありますが、この法案全体の中を見まして、今申し述べました航空機の生産、修理等の管理に関する欠くべからざる規定が欠けていることと、それから生産、修理に関する検査についての規定が非常に不十分である、こういうふうに私どもは見ているのでありますが、大体そういうふうに了解いたしてさしつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/17
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018・大庭哲夫
○大庭政府委員 その件につきましては、私自身としてもこの法案によりますと不満足な点が多々あるわけでありますが、これは先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、政府として決定された事項に従つて法案をつくり上げたことであります。この決定された以上、この法案によりまして何らかの方法で、その安全性を確保して行きたいと存じてはいますけれども、はたしてそれが行くかどうか、まだ疑心暗鬼なところがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/18
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019・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 政府御当局といたしまして、政府部内においていわゆる妥協なり何らかの方法によつて、こういう法案ができ上つたということは私どもよく認めるのであります。しかしながら国会におきましてこれを適当に修正、その他満足の行くべきもにすることは私どもの責任でありますので、伺いましたゆえんは、さつさ申し述べますように、二つほどの重要な点において欠けるところがあるようにこの法案を見るのであるが、その通りごらんになつておるかどうか、このことの事実だけを御質問申し上げたわけであります。重ねて航空庁長官の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/19
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020・大庭哲夫
○大庭政府委員 おつしやる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/20
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021・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そこでここに伺つておきたいと思いますことは、また新聞紙で見た程度でありますが、通産省が計画中であるという新聞紙の発表によりますと、航空機製造法案というものが出る、その航空機製造法案というものの中に、さつき私が指摘いたしましたこの航空法案に盛られなければならない重要な規定等が、盛り込まれるようなことになつておるようでありますが、こういうようなやり方と、それから国際民間航空條約のこの趣意とが、相当一致していない点があるじやないか、こういうふうに考えるのであります。国際民間航空條約の加盟国の主要な国であるアメリカ、英国、フランス、イタリア、カナダ等を初めとしまして、ほとんどの主要な国が、航空行政については、生産から修理、運航まで、すべて一元行政をいたしているのでありますが、国際航空から見て、技術その地においてもレベルの落ちておる日本が、この不自由でしかも不完全で不備な、さらにまた煩瑣な通産省と運輸省との二重行政等によつて、さつき御答弁になりましたような世界の国際水準に十二年間も遅れておるという日本の航空技術すべてにかかる問題を、四、五年の間に国際水準まで追いつき得るという確信がおありになるかどうか、この点を伺つてみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/21
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022・大庭哲夫
○大庭政府委員 なかなかむずかしい御質問でありまして、はたして私ども改正された航空法によりまして、何とかして日本の航空の水準を高めたいという決心ではいますけれども、先ほどから申し上げる通りに、一部意思に反したものが出て来たわけであります。これらの事情をもう少し十分に検討いたしまして、できる限りの努力と研鑚とによりまして、一日も早く航空を従来の線、あるいは欧米各国の線に到達するべく、努力をしたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/22
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023・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その御苦心はよく察することができるのでありますが、結論はあとに譲りまして、さらに伺いたいと思いますことは、先に申しました通産省の航空機製造法案なるものによりますれば、航空機の生産及び修理におけるその検査を担当する検査官には通産省の官吏を任命する。法案をまだ見ていないのでありますが、新聞に報道せられたところによりますと、この検査官に通産省の官吏を任命する。こういうことが出ておつたようでありますが、一体通産省には、現在航空機の生産及び操縦等に関する相当練達堪能技術者がおるのであるかどうか、この点ひとつ航空庁長官に伺つてみたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/23
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024・大庭哲夫
○大庭政府委員 今の御質問でございますが、現在通産省にそれらの方がいられるかどうかということにつきましては、私自身もしかと存じておらないわけでありますが、過日法案の最終的な討議の際に、通産省といたしましてはこの製造事業法を施行するまでには、どうしても十月までかかるというようなことで、施行日は十月ということに、私たち打合せをいたしていたのでありますが、一晩中にそれが変更になりまして、閣議の決定をみた次第であります。おそらく想像するところによりますと、それらの準備はまだできていないのではないかと想像いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/24
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025・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 いずれ通産省の方で航空機製造法案が出ますれば、私どもも一ぺんこれに参加しまして、これらの点を十分に質問もし、検討もしてみたいとは思つておるのでありますが、もとより運輸省の大庭航空長官の方から、他の役所の官吏の技術等につついて、いろいろの説明をされることは御遠慮になつておるのであろう、こういうふうに考えるのでありますが、ただそういう技術の練達堪能の人がおるかおらないかということよりも、一体今申しましたような航空機の製造なり、あるいは操縦なり、そうした技術方面に携わつた経験のある人、これは批評でなくて事実のままでありますが、こういう方面に携わつた経験のある人が、もつと言葉をわかりやすく申しますならば、元の逓信省における航空局の中におられた経験のあるような官吏である方、戰時中にいわゆる軍需省というものができました。その軍需省の中におつて、航空機に関するこれらの技術を担当したことがある方、そういう経験の方がおられるかどうか。これは事実のままでありまして批評でないのでありますから、この点ならば御答弁ができると思いますから、そういう人が通産省におるかおらないか、このことを伺つてみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/25
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026・大庭哲夫
○大庭政府委員 一部工業技術庁にはいられるようでありますが、通産省の内部の方にはお見えにならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/26
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027・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 もとより航空庁の中には、先ほど申しましたように相当練達堪能の方々がおられるのでありますが、一体通産省で生産過程における検査をやる検査官を任命するのに、通産省にはそういう方がほとんどおられない。運輸省の航空庁の方には、そういう練達堪能の経験の士がおられる。こうなつた場合に、一体現実の問題としては、どういうふうなはからいになつて行くものであるか。これはむろんはつきりしたことは御答弁できないと思うのでありますが、いわゆるそういう際におけるやり方についての御構想をひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/27
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028・大庭哲夫
○大庭政府委員 実は法案がきまりましたのは、御承知の通り最近のことでありまして、どれについていかように今後最善の方途を講じて行くかということについて検討中でありまして、いずれ航空庁と通産省との間に十分な打合せをいたしまして、きめられたことにつきまして、最善の策を講じて行きたいと考えているわけでありますが、今具体的にどうということは決定していませんので、申し上げかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/28
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029・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 きわめてわかり切つた事柄でありますが、私どもはこういうふうに考えられるのであります。早く申しますと、検査官を任命するにあたつて、通産省に適当の人がない。そうすれば、結局運輸省の中から通産省の役人に転勤でもさせられ、そういう方が通産省の役人として検査に当る、こういうようなことになるのではなかろうかと思うのでありますが、さようなまわりくどい、しかも航空に全責任を持たなければならない運輸省の中から通産省の役人などにまわして、そこで通産省の役人として検査の責任をとらせる。こういうようなことをやるよりは、やはり話は元にもどるようでありますが、いわゆる航空行政については一元化するという方向に向つて行つた方がよろしい。こういうふうに私ども考えられますので、大庭長官の苦しい御答弁は十分に了承いたしておきますが、これらの点につきましては私どもも法案審議の過程において、相当考慮いたしてみたいと思つておるのであります。
そこで質問をかえますが、現在アメリカの極東空軍は、航空機の修理、整備等に関して、どんな方法で、工場としてどこを主としてやつておられるか。そしてその修理、整備等の仕事の数量は、一体どのくらいに推定せられるものであるか。おさしつかえない程度で御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/29
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030・大庭哲夫
○大庭政府委員 極東空軍としましては、現在の修理箇所は立川が中心でありまして、ただ日常の修理は、各ベースでやつていられると存じますけれども、修理の機数その他につきましては、私何ら存じていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/30
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031・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 それならば、昨年十月以来今日まで、民間航空の、すなわち日本航空会社は、そのチャーターしている航空機の修理、整備等は、どこでやつておられたか。それからこまかい点でおわかりにならないかもしれませんが、昨年の秋以来今日まで、日本航空会社でやつた修理、整備等に要する金額等がわかりましたら、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/31
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032・大庭哲夫
○大庭政府委員 先ほども大臣から御説明申し上げました通りに、日本航空株式会社の飛行機は、その機体、運航その他は、ノースウエストの方の責任にあるので、従つて機体の修理は羽田のノースウエストの修理工場において、修理を完成いたしておる次第であります。日本で修理のできる範囲は機体の修理というくらいでありまして、エンジンのオーバーホールのようなものにつきましては、香港あるいは本国の方へ送り返しているような次第であります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/32
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033・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうすると講和発効になりました今日であり、さらにたしか日航とノースウエストとの契約関係は本年の十月あたりで満了するのだと記憶いたしておりますが、その後におきましては、日本にこれらの修理、整備等の工場をつくらせて、日本でやるということになるような模様でありますかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/33
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034・大庭哲夫
○大庭政府委員 日本航空におきましては、早くノースウエストの手から切り離して、自分の会社として、日本人の手でそれを修理して行くという建前から、自分の航空機を修理するとともに、余力があれば、今後できるであろう他の航空会社の修理をも一手に引受けたいという希望で、最近航空機修理会社というものを設立する段取りになつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/34
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035・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 そうしますとその修理の会社におきましては、日米安全保障條約によつて、日本の治安の任に当つておるいわゆる駐留軍の用いる航空機の修理等も、将来は行われることになるという見込みでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/35
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036・大庭哲夫
○大庭政府委員 この提出法案によりますと、法案決定以後は、航空庁におきましてこれらの検査は当然やることになつているわけであります。あらゆる国内航空機、それがチャーター機であろうが日本の飛行機であろうが、これは適用されるように規定しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/36
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037・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 次に伺いますのは、日本航空の国内航空路を延長する計画があることは先般来承つておるのでありますが、この航空路の延長ということは、具体的にはいつごろ実現する見込みであるのかということが一つと、もう一つは、国際航空路はいつごろになつたら実現する見込があるのかということ、この二つをあわせて伺つておきたいのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/37
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038・大庭哲夫
○大庭政府委員 国内航空路の増便あるいは延長につきましては、増便については飛行機が手に入れば立ちどころにできるわけでありますが、その延長については、保安施設その他の施設と相並行するわけであります。政府において保安施設の予算が通過し、それが完備しない以上は、延長は不可能なわけであります。国際線というものにつきましては、会社の増資あるいは航空機の購入あるいは操縦士の訓練というものを必要とするわけでありましてここ半年あるいは一年の期間はかかるのじやないかと存じているわけであります。もしここに操縦士をチヤーターするということを考えますれば、半年くらいで実行できるのじやないかとは思いますが、何分にも機体の購入ということが現在相当困難な状況のために、見通しというものがまだはつきりついていないわけであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/38
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039・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 政府の予算による航空に関する保安施設等の整備等と並行しなければ、この延長または増便の計画は、具体的にはいつできるかわからない、こういう御答弁でありますし、また一方には航空会社そのものの資本の増加等を必要とする、こういうことであります。本日は法案の総括質問だけに終りまして、各條車についてはあらためて御質問申し上げることにいたしますが、ただ一つ伺つておきたいと思いますことは、この航空事業に要する資本について、外国資本を三分の一以上入れてはならないことになつておる。三分の一以上の資本を入れた場合に日本の方に登録できない、こういうことは昨日の御説明によりますと、世界各国に国外資本は三分の一程度という例があるからということでありますが、日本のごとく外資であつても早くこれを導入いたして、そうしてその事業の立直しをしなければならないところにおいては、過半数というなら別でありますが、三分の一でなければいかぬ、世界各国並に規定しなければならぬという事情はどういうところにあるか、これを伺つておきたいのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/39
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040・村上義一
○村上国務大臣 昨日も申し述べましたごとく、独立国としての事業の自主性という観点から、また外資を獲得する必要があるという観点から考えまして、当初立案に際しましても、実はいろいろの論議を重ねたのであります。その結果三分の一という限界を置いたのであります。当時論議の途中におきましても、過半数にならなければいいじやないか、言いかえれば四割九分まではさしつかえないじやないかという議論も相当あつたのであります。これは外資の導入の関係と、いわゆる事業の自主性という観点と、実はこの両面から考慮して決定すべきものだと思うのであります。心ずしも三分の一を固持しなければならぬという理由はないと思うのであります。四割九分でもさしつかえないというふうにも考えられるのであります。
なお先刻長官からお答え申したのでありますが、本法と通産省で立案して国会に提案しておりまする航空機製造法、この両法が原案のまま成立いたしました場合に、この両法のもとにおいて、生産者としては二重監督を受ける場合が多いのであります。生産業者の立場からいえば、すこぶる不便な点が生じて来ることは間違いないと思うのであります。しかし安全性という見地から申しますれば、両省の当事者が緊密な提携をしまするならば、法案の目的は一応達せられるものと考えておるのであります。
なお航空庁における技術員について先刻お尋ねがありましたが、この件につきましては、二十六年度からすでにその完全なる資格を獲得することに予算措置もして参つたこと、御承知の通りであります。実は先刻も御指摘のように、わが国としては相当長期にわたつて空白な時代がありました。これをどうしても取返さなければならぬので、まずもつて航空庁長官が米国その他に参りまして、つぶさに各方面を視察、検討を重ねましたことは御承知の通りでありますが、なおわずかな経費でありまするが、約百万円をもつて、十六名の検査官要員を三箇月間、立川の極東空軍技術教育部に委託をして訓練をしましたし、さらに二百十九万円の予算をもつて、航空管制官要員十八名を三箇月間訓練をすることに予算上措置をいたして、現に行いつつあるのであります。さらにその他四名を米国のオクラホマの民間航空局訓練所において、三箇月間委託訓練をしておるような次第でありまして、この経費は千八十一万円を計上したのであります。二十六年度の予算措置におきましては、ただいま申したような処置を講じて、その訓練に準備をいたして参つたのでありますが、二十七年度の予算措置については御承知の通りであります。この点ついでながら散衍をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/40
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041・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その点はよく了承いたしました。つきましてはただいま長官から、航空機製造法のやり方でやるとしても、運輸省と通産省と緊密な協力をとつて行くならば、航空機の安全性とういものは得られるだろうという御答弁でありますが、緊密な協力ということは、具体的に申しますとどういうふうなやり方になりますか、この点を伺つておきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/41
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042・村上義一
○村上国務大臣 具体的な御質問でありまするが、とにかく生産事業につきましては通産省の所管として、航空機製造法に基いて製造を処理して行かれる。また運輸省におきましては、航空法に基いて処理をして行く。まずもつて型式証明でありまするが、これにつきましても運輸省において処理をすることになつておりまするが、もともと製造ということと一体不可分の関係にある次第であります。ことに工程中の各段階における検査等に至りましては、先刻もお話のありました試験官の人選等につきましても、また試験そのものにいたしましても、両省の緊密な連絡を保たなければ、完璧を期し得ない部分が少くないと思うのであります。私そういう趣旨で、この両法が成立しましたあかつきは、ぜひとも両省の当事者が緊密な協力を保たなければ、目的を達し得ないということを痛感いたしておりまするがゆえに、申し上げた次第あります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/42
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043・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 大臣の非常に御苦労なさつておる心持、また用意周到なお考えはよく推察ができるのでありますが、大体二重行政というもので物事がうまく行つた例を、私ども寡聞にしてまだ聞かないのでありまして、さような点で非常に心配いたすのでありますが、いまさらこれを繰返すまでもなく、要するに航空機の安全ということは、できれば生産も一元的に運輸省でこれをやるということでなければいけないのはもとよりであります。一歩を譲るといたしましても、各生産の過程における検査も、運航について責任を持つ運輸省が責任をもつてやるのだということでなければ、ほんとうに安心して耐空証明を運輸省の方で出すというわけに行かないだろうと思う。通産省の方で監督して生産して組み立てたものを引取つて、それに運輸省が耐空証明を與える。もとより運輸省は生産の過程において相当検査にタッチするとはいうものの、さつき申しますように、二重行政というものでうまく行つた例はあまりないようでありますから、そこでほんとうのことを言うならば、耐空証明を出す前には、でき上つた航空機は全部ばらばらに解きほぐして、各部品から検査をして、そうして初めて安心が行くということになるのが当然だろうと私どもは思う。こういうことでありますから、結局二重行政によつてうまく行かない。うまく行かないから、せめて検査の過程において全責任を運輸省の航空庁の方で持つてやるというところまで行かなければ、ほんとうに安心した耐空証明は出されないのではないかと私は考えておるのであります。このことが一つと、もう一つはこの法案の取扱いに非常に大事な事柄でありますので、あらためて伺つておきたいのでありますが、一体いつごろになつたら日本に航空機製造の事業が起り得る見込みであるかということであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/43
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044・大庭哲夫
○大庭政府委員 いつ日本で航空機の製造が起るかというお尋ねですが、航空機にもいろいろ種類があるのでありまして、たとえばグライダー、あるいはヘリコプター、あるいは軽飛行機は、今日の段階においても製造でき得る、また製造し始めるという段階にあるわけでありまして、これらに対しましてただちに航空法案の必要性が生じて来ているわけでありますが、その他中型あるいは大型の旅客機につきましては、需要その他の関係から申しても、日本で製造される時期は相当長い将来のことではないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/44
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045・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 その点はわかりました。そこで次に伺いますが、国際民間航空條約の規定並びに同條約の付属書の中には、航空機の生産と検査と耐空性とに関連する趣旨の規定がないかどうか。実は私もこれは一通り目を通したのでありますが、はつきり記憶をいたしておりませんので、大庭長官に伺います。国際民間航空條約の規定並びに同僚約の付属書の中に、今申しました生産と検査、耐空性に関する趣旨の規定があるかどうか、お伺いいたします発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/45
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046・大庭哲夫
○大庭政府委員 お答えいたします。付属書の中に、それらは全部入つているわけであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/46
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047・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 国際民間航空條約の付属書の中に、私も一通り読んでこれはあつたように記憶をいたしておりますが、今の御答弁によつてはつきりいたしました。そういうことになりますれば、ますますこの問題は慎重に検討しなければならない問題だと思いますので、あとの逐條審議の際にあたつて、これらのことをなお具体的に御質問したいと思いますが、最後に一つ承つておきたいと思うことは、現在の日本航空以外に、新しく航空輸送会社の計画があるように、新聞等によつてしばしば伝えられておるのであります。現在の日本の段階におきまして、航空の新しい会社をつくらせる、新しい航空会社が起る、こういうことは、日本の航空事業というものを順調に発達させる道であるかどうか。むろんこれは将来長い問題をさしておるのでありますが、現在の段階におきまして、新しい競争会社を許すということがよいことであるか、あるいはまた発達を阻害することであるか、そういうことについての見通しを承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/47
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048・村上義一
○村上国務大臣 まだ正式の申請は受理しておるのはないのでありまするが、私もその計画が他にあることは承知いたしておるのであります。しかし御承知の通り現在の日本航空会社は、当初四、五の計画がありまして、そうして政府がこれを一本にとりまとめることを慫慂した。そうして現在の日航というものが成立いたしたのであります。この点が一点、それから現在の日航の需要という点におきまして、航空需要が、一つのコースに競争機関を設けてそうして自然の発達を遂げしめるというだけの需要は、いまだ当分生じて来ないのじやないかと考えられるのであります。この点が一点、さらに現在の日本航空会社が、あるいはガソリン税の免除であるとか、その他政府の間接の諸種の援助、補助がありますることは、御承知の通りであります。なおかつ相当の赤字を今日持つてあります。こういう企業の実態におきましては、健全なる発達は非常にむずかしい。とにかく政府としましても、何らか最近の機会に諸外国が行つておるごとき措置を講じて直接でなくても、あるいは間接でも、会社の経営状態が存立でき得るようにし向けることが必要であると感じておるのであります。こういう点からかんがみまして、第二の会社を申請がありましても、免許すべきやいなやということは、慎重な考慮を要すると思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/48
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049・尾崎末吉
○尾崎(末)委員 この航空法案に関する総括的な質問は、これで一応終りまして、各逐條審議に対する質問を保留いたしておきますが、ただここに総括質問の最後に希望しておきますことは、先ほどの大臣の答弁のように、この法律の成立は一時間でも早いことが望ましい、こういうことでありますので、これは連日熱心に私ども審議に当りたいと考えますが、政府の方におかれましても、これらの答弁その他の御用意を十分に願つておきまして、非常に急ぐ要請にこたえられるようにやつていただきたい、こういうことを強く希望いたしておきます。総括質問を一応これで終ります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/49
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050・村上義一
○村上国務大臣 前刻の御質問に対して、一言敷衍をいたすことをお許し願いたいと思うのであります。前刻はもつばらメーン・ラインの運営についてのみ申したのであります。さらにローカルの航空事業、あるいはまた魚群の発見、あるいは観光、その他各種の目的を持つた事業も予想せられるのであります。もちろんこういう事業には軽飛行機もしくはヘリコプター等、特殊な小型なものを用いるに相違ありませんが、こういつたような事業についはは、これは他の点が適当に処理せられてある計画ならば、許してさしつかえないと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/50
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051・岡村利右衞門
○岡村委員長 玉置君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/51
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052・玉置信一
○玉置(信)委員 ただいま尾崎委員から航空行政の基本的な重要な点につきまして、各般にわたつて質疑がかわされて大体私ども御質問申し上げる要点は盡きておるように思うのでありますが、しかし基本的な問題でなお私ども杞優いたしておる点につきまして一、二大臣にお伺いをしておきたいと思います。
本法案の第十條六順、七項あるいは第十二條、あるいは第十三條等を見ましても、すでに行政機構改革によつて、航空機製造と航空庁で行う面、すなわち通産省と運輸省の二元的行政ということを前提としてつくられておるようでもありますし、またただいま尾崎委員との質疑応答によつても、それが大体明らかになつておるのであります。重ねて大臣にこの点お尋ねいたしますが、本案を出されるにあたりましては、閣議でこうした行政機構改革を前提としてこの法案をつくられたものであるかどうか、これをまず先にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/52
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053・村上義一
○村上国務大臣 行政機構の改革につきましては、本法の立法措置とは別個に進んだのではありますが、しかしとにかく同時に並行して進んでおるのであります。御指摘のように、そういう考慮が裏面において携われておる、内面において拂われておるということは、これは認めなければならぬと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/53
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054・玉置信一
○玉置(信)委員 並行してということになりますと、もちろんこの法案の内面から見まして、運輸省設置法の一部改正がなされない限りにおいては、この法案でやはり行政を行い得ない面が明らかになつておるのでありまして、率直に申し上げまして大臣のお考えは、必然的に行政改革が行われて、二元行政をやらなければならぬという観点からやられたのではないか、こう私は感ずるのですが、もうひとつ明確にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/54
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055・村上義一
○村上国務大臣 両々にらみ合せて並行して進んだのであります。自然新行政機構におきましては、航空行政につきましては二元的に処理されるということが織り込まれた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/55
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056・玉置信一
○玉置(信)委員 行政改革というものは、言うまでもなく行政事務の簡素化をねらつて行われるものでありまして、ものによりましては、すなわち行政事務の面によりましては、機構を改めることによつて事務の簡素化を行い得るということは、これはもう考え得られるところでありますが、しかしそれが單なる机上の事務的処理であるならば、きわめて簡單に簡素化も行い得られるでありましようが、先ほど来尾崎委員の論議をなされた内容等によりましても明らかでありますように、この航空行政というものは、航空機製作という重大な技術上の問題が横わつておるのであります。こうした点から考えますと、私は二元的に行われることによりまして、将来各役所のセクシヨナリズムというものが、さらにいろいろの行政面に現われまして、先ほど来大臣も、また航空庁長官も心配しておられるようにうかがわれましたし、尾崎委員もその点を率直に申されておりましたが、そうしたことからして、将来もしもこの二元行政によりまして、事故等が発生した場合に、どこの役所が一体責任を負うか、負わないかというような問題も起つて参りましようし、迷惑するのはこの飛行機を利用する一般の乗客であろうということに思いをいたしますと、どうしても二元行政ということについては、私ども納得し得ないのであります。そこでお伺いすることは、閣議の席上で行政改革の問題を取扱われる際、大臣はこの点について各閣僚との間にいかような論議をかわされまして、また事務当局といたしまして、通産省の事務当局との間にいかようなる意見の交換をなされたか、しこうしてもしこうした二元行政に改革が行われる場合に対しての不満の点、欠陥の点を率直に申し出でられたかどうか、この点についてお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/56
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057・村上義一
○村上国務大臣 航空行政が二元的になるということは、今回の両法案の内容からお示しの通りであります。従いまして行政の簡素化ということが、行政機構の改革の本旨であらねばならぬが、それがかえつて複雑化するということは、これはもう争われない事実でございます。その点行政機構改革の目的と逆行する次第でありますが、前刻尾崎先生の御質問に対して申し述べましたような事由、その他諸般の事由によりまして、かくおちつかざるを得なかつたので、もちろん閣議の内容については私も一々記憶はいたしておりませんが、私が今日申し述べましたような趣旨は、十分に開陳したと記憶いたしております。いかんせん諸般の情勢上、こういうことに決定いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/57
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058・大庭哲夫
○大庭政府委員 事務当局としましては、初めから航空の一元化、少くとも航空機の安全を確保するためには、検査の一元化ということを今日まで主張して来たのでありますが、今も大臣が仰せられる通りに、こういうようにきまつて、それに従つて行けという御指示に従つて、法案を改訂いたした次第であります。きめられたことに関しましては、私たちできる限りの努力を拂いたいとは存じているわけでありますが、何分にも私たちとしましては、航空の安全の責任を負う以上、また負わねばならない以上は、私たちの主張を通していただきたかつたわけでありますが、今のような諸般の事情によりましてこういうような結末になつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/58
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059・玉置信一
○玉置(信)委員 先ほど尾崎委員の御質問に対して、大臣より本法案を急速に審議を終るようにとの御希望がありましたが、ただ私残念に思うことは、いまだ正式に行政改革の政府の方針に基く運輸省設置法の一部改正法律案が、内閣委員会に出ない先にこの法案を審議し、設置法一部改正法律案がきまらない前に、この法案を本委員会に通してしまうということになりますと、結果的に見てすでに分離された二元の行政をわれわれが是認したということになるので、まことに本旨に沿わないものがあるのでありますが、私どもの希望するような法案の修正が行われるか行われないかは、これは未知数の問題でありますし、もとより内閣委員会との合同審査等を申し込んで、審議を試みたいという私も気持を持つておるのでありますが、運輸省の設置法一部改正法律案が出されることを前提とし、それに並行して本案の審議を進めて行くということを私ども希望するのでありますが、これに対して大臣はいかようにお考えになつておられますか、一応承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/59
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060・村上義一
○村上国務大臣 前刻本法案の提出がいろいろの事情のために遅延したということにつきまして、遺憾の意を表するとともに、従つてなるべく早く御審議を願いたいということをお願い申した次第であります。しかしながらただいまお示しの通り、行政機構の改革、改正法案、それぞれ各省設置法の一部改正法律案の審議にももちろん関係があります。特に通産省から提出されております航空機製造法案と、きめて密接な関係があるのであります。本航空法案は交通事業として最も新しい、従つてまた最もスピーディーな、最も危險を伴う事業であるのであります。利便かつ危険を伴う事業で、この基礎法を生み出していただく次第であります。さらにわが国の過去約十年間の空白を今後埋めて行くように、健全なる発達を庶幾せんければならぬ事業であります。従いましてその基礎法である航空法の御審議は、あくまで慎重な皆さんの御審議をこいねがつてやまない次第であります。慎重な御審議を願つて一日も早くお願いしたい、実はこういう微意にほかならない次第であります。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/60
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061・玉置信一
○玉置(信)委員 大臣の御丁寧な御答弁によりまして、よく内容並びに大臣の真意も了承することができました。
そこでその他法案の内容につきまして、数項にわたつてお伺いすることもありますが、本日は時間がありませんので、この程度で私の質問を保留いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/61
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062・岡村利右衞門
○岡村委員長 本日はこの程度にして、次会に質疑を続けたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303830X02819520510/62
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