1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月十二日(水曜日)
午前十時四十二分開議
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出席委員
外務委員会
委員長 仲内 憲治君
理事 近藤 鶴代君 理事 佐々木盛雄君
理事 戸叶 里子君
菊池 義郎君 北澤 直吉君
栗山長次郎君 飛嶋 繁君
守島 伍郎君 小川 半次君
並木 芳雄君 山本 利壽君
林 百郎君 武藤運十郎君
黒田 寿男君
人事委員会
委員長 田中不破三君
理事 田中伊三次君 理事 藤枝 泉介君
理事 平川 篤雄君
塩田賀四郎君
出席政府委員
外務政務次官 石原幹市郎君
外務事務官
(大臣官房長) 大江 晃君
委員外の出席者
外務委員会專門
員 佐藤 敏人君
外務委員会專門
員 村瀬 忠雄君
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本日の会議に付した事件
外務公務員法案(内閣提出第四五号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/0
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001・仲内憲治
○仲内委員長 これより外務委員会人事委員会連合審査会を開会いたします。
慣例によりまして私が委員長を勤めますから、さよう御了承願います。
外務公務員法案を議題といたします。まず政府側より提案理由の説明を求めます。石原外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/1
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002・石原幹市郎
○石原(幹)政府委員 外務公務員法案の提案理由を御説明いたします。
昨年九月八日にサンフランシスコにおいて、大多数の連合国とわが国との間に署名調印されました平和條約は、いよいよ近い将来において効力を生ずる見込みでありますが、この平和條約の効力発生に伴いまして、わが国と諸外国との間には正常なる外交関係が回復いたし、国内におきましては、各外国ミツシヨンとの間に自主的な外交的活動が行われるようになり、また国外におきましては、従来設置されております在外事務所にかわつて大公使館や領事館が設置されて、各所在国との問に外交領事事務を開始するようになり、外務省は国の内外を通じてその本来の機能を発揮することとなるのであります。
御承知のように、外務省に勤務する国家公務員のほとんどすべては、他の国内行政官庁において勤務する国家公務員と異なり、国際的な、対外的な性格を持つておりまして、その人事行政は本省勤務と在外勤務とを通じて一本にまとめた特殊なものとすることが、外交活動を民主的に、かつ能率的に行うために、ぜひとも必要なのであります。従いまして、国家公務員の中で外務省に勤務するものの特殊性を加味した身分関係法規の必要を痛感いたし、政府はここに外務公務員法を制定し、国家公務員法の特例その他を規定し、もつて外交再開後における外交領事事務の民主的な、かつ能率的な運営を保障しようとするものであります。
以上がこの法律案を提案いたします理由であります。何とぞ愼重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/2
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003・仲内憲治
○仲内委員長 次いで本案に関する逐條説明を求めます。大江政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/3
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004・大江晃
○大江政府委員 ただいまから外務公務員法案の内容について御説明申し上げます。ただいまの提案理由の説明で申し上げました通り、外務公務員の職務と責任の特殊性に基きまして、国家公務員法の中に特例を設けることが必要となりましたので、まずその特例を定めるということが第一点でございます。
次に大使、公使あるいは全権委員というような、外務大臣のもとで外交事務に従事いたします特別職の身分につきまして定めるということが第二点でございます。次に名誉総領事あるいは名誉領事というようなものは、これは外務公務員ではないのでありますが、雇用関係あるいは契約関係として外務大臣の管理のもとにあるというような意味におきまして、また領事事務とも関連があります関係上、この法律の中に規定をいたしたようなわけであります。
この三つの点から大体この法律案はなつております。従いましてただいま申し上げましたように、外務公務員法の特例以外のことも規定いたしておりますので、外務公務員特例法とは言わずに、單に外務公務員法案と名づけまして、大体国家公務員法の規定の順序によつて配列してある次第でございます。以下逐條的に御説明を申し上げます。まず第一章の総則、第一條におきまして、この法律の目的を定めておるのでございますが、これはただいま申し上げましたように、第一は外務公務員につきまして、国家公務員法の特例その他必要な事項――その他必要な事項と申しますのは、大使、公使等の特別職に関するものでございます。次に、名誉総領事及び名誉領事並びに外務省に勤務する外国人の任用について規定をいたしておりますが、ここで外務公務員とは、第二條で定義しておるのでございまして、これは後ほど御説明申し上げます。また国家公務員法の特例その他の必要な事項と申しますのは、一般職の国家公務員である外務公務員につきましては、特例を定めると同時に、特別職の国家公務員である外務公務員につきましては、必要な事項を定めるという意味でございます。
第二條は、外務公務員の定義を定める規定でございますが、大体ここにあげております項目について申し上げますと、特命全権大使、特命全権公使、政府代表、全権委員、政府代表または全権委員の代理、顧問及び随員、外務職員、こういうふうになつておりますが、最初の特命全権大使、特命全権公使は問題ないと思いますが、政府代表、全権委員につきまして、第二項、及び第三項においてその権限の差を説明しております。すなわち政府代表は、特定の目的をもちまして日本政府を代表して外国政府と交渉する、または国際会議もしくは国際機関に参加して、いろいろ政府を袋して行動する権限を付與せられております。全権委員に至りますと、同じような職務を途行いたすと同時に、條約に署名調印する権限を付與されたもの、これを全権委員というふうにはつきり規定しておるのであります。次に外務職員というものを明白にいたします規定が第四項にございます。これは一般職の国家公務員の中で、在外公館に勤務いたします者は全部でございます。本省に勤務いたす者につきましては、外交領事事務及び一般的の補助事務に従事する者の中で、外務省令で定める者、これを外務公務員といたしましてそのほかの純然たるいわゆる普通の国家公務員と同じ仕事をいたす者は、これは外務公務員とはいたさないということを規定しているわけでございます。その結果、本省の中には外務公務員と外務公務員でない国家公務員とが勤務しておるということになります。そうしてこの区別は人事院で定めます職種その他の等級を検討いたしまして、外務省令で明らかにいたしたいというふうに考えております。
第三條は、外務職員に対しまして、国家公務員法その他の法律、命令を適用するについての規定でございますが、これはこの法律が外務職員に対します特例法であります関係上、特例を定めてない点につきましては、当然一般職の国家公務員法の規定が適用されるということをうたつたものであります。
第四條は特別職の外務公務員、すなわち大使、公使あるいは政府代表、全検、こういう外務職員以外のいわゆる特別職の外務公務員に対しまして、国家公務員法中の特定の條項を準用する規定を定めたものでございます。本條によりまして、特別職の外務公務員に準用されます規定は、国家公務員法第九十六條第一項、すなわち国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するというような点、あるいは第九十八條第一項、すなわち法令及び上司の職務上の命令に忠実に従う義務、あるいは第九十九條の官職の信用を傷つけない、あるいは官職全体の不名誉になるような行為をしないという義務、また第百條第一項及び第二項の秘密を守る義務、こういう事項につきまして、特別職の者にも適用があるということを定めたものでございます。
次に第二章の職階制の説明に入りますが、第五條におきまして、外務職員の官職の格付をするということを規定したのでございます。これは外務職員につきましては、外務大臣が最もよく事情がわかつておる外務職員が、海外に勤務をいたします関係上、他の国家公務員法と同様な格付ということはなかなか困難でございまして、これにつきましては、外務大臣がこれをやるということになつております。外務職員の官職の実際の格付につきましては、十分人事院規則その他の点を勘考いたしまして、将来政令で定めるということになつております。
第六條の外務職員の公の名称の規定に移ります。この規定は実際国内的の問題より、むしろ国際慣習上必要といたしまして定めたものでございまして、公の便宜のために国際慣習として認められております参事官、一等書記官、二等書記官、こういう名称を用いることができるということになつております。従来はただ外務事務官何々課長というようなことでございましたが、将来は正確に申しますと、何級外務職何々課長何等書記官と、こういうように呼ぶことができる。これは国内におきましても、在外大使館、公使館との折衝、その他の上におきまして必要であるという見地から、こういうふうにいたした次第でございます。第二項は、外務大臣は公の便宜のために国際慣行に従い、特必要と認める場合には前項に掲げる名称以外の公の名称を用いさせることができる。これは電信あるいは財務あるいは通訳というような特殊の専門事項に関しまして、電信官あるいは財務官、こういうような名称を與えることができるということをうたつたものでございます。
次に第三章の任免の説明に移ります。第七條は外務公務員の欠格事由を定めた規定でございまして、国籍を有しない者または外国の国籍を有する者あるいはこれを配偶者とする者は、外務公務員になることができないという規定でございます。これは配偶者の場合につきましては、外国人を配偶者にすることができないというわけではないのでありまして、その外国人が日本の国籍を得まして、外国の国籍を廃除いたしましたならば、結婚はできるのでございます。第二項はただいま申し上げましたようなことに関しまして、いろいろなこまかい点におきまして、政令をもつて特定の場合を規定するということになつております。
次に第八條の任免の規定でございます。第八條におきましては、大使及び公使の任免は、外務大臣の申出によりまして内閣がこれを行い、天皇が認証するということを定めております。外務大臣が申し出るということは、外務大臣が特定の人を大使または公使に任命することにつきまして、内閣に対して意思表示をいたすということでございます。この外務大臣の申出によりまして、内閣が大公使を任免いたしましたときは、天皇がこれを認証するということになつております。また第二項の規定におきまして、政府代表、全権委員あるいはこれらの代理、顧問の任免も、同じく外務大臣の申出によつて内閣が行うということに規定いたしたのでございます。
第九條は信任状、解任状、全権委任状及びその認証について定めてございます。日本の憲法におきましては、第七條の第五号におきまして、全権委任状及び信任状は天皇が認証することを規定しております。また第八号におきまして、法律で定めるその他の外交文書を認証することを規定しておるのでありますが、ここに憲法と重複いたしますけれども、これを書きましてその均衡をとります関係上、全権委任状及び大公使の信任状について認証を認めますと同時に、解任の方までここに列記した次第でございます。
次に第十條の外務職員の選考による任命の規定を御説明いたします。外務職員の任命は、原則といたしましては、国家公務員法の規定によりまし託て、試験を行つてやるというのが原則でございますが、財務、商務あるいは農務、こういう特殊の専門的な知識を要する場合、または電信とか通訳とかいうような特殊の技術を要する場合はこの試験によらずに、選考で任用ができるということを定める必要がある。また特別職の大使、全便が再び本省の幹部にもどつて来るというような場合もございます。そういう場合に選考の任用ができることを定めた規定でございます。これらの選考基準を定めるものは外務省令でいたすのでございますが、これは後に申し上げます外務人事審議会の議に付して、その意見に基いて定めて行くということになつておるのでございます。
次に第十一條は外務職員の昇任についての規定でございます。国家公務員法の規定によりますと、一般職員の昇任は競争試験によるということになつております。また選考によります場合は、人事院の定める基準によるということになつておりますが、外務公務員につきましては、在勤地が外国でもございますし、あるいは本省というふうにわかれておりますので、一斉に昇任の試験をするというようなこともなかなか困難でございます。こういうような観点から、別に外務省令を定めることによりまして、試験または選考によつてこれを行うということにいたした次第でございます。
第十二條は大使及び公使の待命の制度を規定したものでございます。従来の待命制度と申しますのは三年でございまして、これはある種の恩恵的の意味が含まつておつたようでございますが、今回の待命制度はそういう趣旨ではないのでございまして、これは大使及び公使の人事異動を円滑に操作するという目的のためにいたした次第でございます。御承知のように、大公使の任命にアグレマンを必要といたしますので、甲乙丙の三国の大公使を一斉に更迭するというような場合におきまして、アグレマンを求める時期がいろいろずれて、食い違いを来すことがございます。今回の規定によりますと、大公使が在外勤務を免ぜられますと、職を失うといことが原則になつておりますので、その場合待命制度がありませんと、このアグレマンの遅れておる大使は職を失うというような結果を来しますので、これを円滑にいたしますために、一年の待命の期間を設けたのでございます。またこれは同時に、特別の必要のある場合に臨時に本省の事務に従事させる必要が予見せられますので、このためにも一年間の待命を認めておるわけでございます。第四項におきまして待命期間中の給與に関して規定をいたしております。本省で臨時に勤務いたします場合は俸給の全部、またそれ以外の場合は、待命の期間中は俸給及び勤務地手当の百分の八十を支給するということになつております。
次に第四章の給與の説明に移ります。第十三條は、在外公館に勤務する外務公務員の給與は、在外公館に勤務する外務公務員の給與に関する法律に基いて支給するということになつております。これはただいま大蔵省と細目について詳細打合せておりますが、いずれまた本国会に提出して、御審議を願うというふうに考えております。
次に第五章の能率の説明に移ります。第十四條におきまして、勤務成績の評定について定めておりますが、これも外務公務員が本省と在外公館とわかれて勤務しておりますような特殊性からかんがみまして、外務省令で必要な事項を定めるということにいたしております。
第十五條は、外務職員の研修について規定をいたした次第でございまして、すでに外務省には研修所を設けて、外務職員の新しく入つた者の教育あるいは再教育ということをやつておりますけれども、今回の外務公務員法の中に、外務職員に外務研修所あるい一は外国を含むその他の場所で研修を受けることができるということをはつきり規定した次第でございます。
第十六條は、査察の規定でございます。これも従来からすでに査察制度は行われておつたのでございます。これは国家公務員法にはこういう規定がありませんが、外務省はやはり遠く海外に在外公館がございますので、どうしてもこの査察をはつきりやるということを定める必要がございますので、今回の外務公務員法の中にこれを入れて制度化いたした次第でございます。
第六章は、保障の規定でございます。第十七條におきまして、勤務條件に関する行政措置の要求についての特例を定めてございます。国家公務員法によりますと、公務員は、俸給、給料その他の勤務條件に関しまして、人事院に要求する権利を持つているのであります。ところが、外務職員につきましては、今回この公務員法の規定によりまして、人事院に要求する前に、まず外務大臣に行政措置を要求することが適切であるというふうに考えまして、まず外務大臣に対する前審を認めるという規定を書いたものでございます。
第十八條は、ただいまの規定を受けまして、外務人事審議会の判定に不服であつた場合に、人事院に対して再審査の要求ができるということを規定したものでございます。それでありますから、外務職員が第十七條の規定で、まず外務人事審議会に対しまして、外務大臣によつて適切な行政上の措置がとられることを要求することができると同時、その要求に基きました外務人事審議会の判定に不服な場合には、国家公務員法と同じく、人事院への要求ができるということになつております。
第十九條は懲戒処分の規定でございます。外務職員の一般の懲戒に関しましては、もちろん国家公務員法の適用によつて処罰を受けるのでございますが、外務職員の外交機密の漏洩という点につきましては、外交の機密保持あるいは国際関係というような面を考慮いたしまして、この外交機密の漏洩によつて、国家の重大な利益を毀損したという理由で懲戒処分を受けた場合は、この処分に関する審査の請求は外務大臣に対してやるということに規定いたしたのが第十九條でございます。この規定は、前に述べました行政上の措置の人事院に対する前審規定とは違いまして、これは外務大臣が最終的に決定する。そのいろいろな手続は第二十條の第二、第三、第四項に書いてございまして、これは口頭審理では非公開ということによつて機密を保持する建前をとつております。
第二十一條は、この処分の結果に対しまして、外務大臣がこれを修正したような場合に、当該外務職員に対して弁済をするというような規定でございます。
第二十二條は、この懲戒処分の審査の手続に関しまして、政令で定めることをうたつております。
次に第七章の服務の説明に移りますが、第二十三條におきまして休暇帰国の制度を定めてございます。従前は外務省におきましては、賜暇帰朝というような制度がございましたが、今回は休暇帰国という制度にいたしまして、同一の在外公館に引続いて四年勤務した者は二箇月これを認めております。また不健康地その他外務大臣の指定する在外公館につきましては、二年間引続いて勤務しておりますと、二箇月というふうな、休暇帰国の規定を設けた次第でございます。第三項におきまして、この休暇は有給休暇ということになつておりまして、この二箇月の間は在勤俸の支給も行われるということになつております。これは結局在外公館に本拠と申しますか、住居を残して来たという関係もございますし、またその場合、家族を置いて来るというような場合もありまして、在勤俸も支給できるということになつておるのでございます。第四項におきまして、これらの休暇帰国に関しまして必要な事項は、外務省令で定めるというふうに規定しております。
次に第八章の名誉総領事及び名誉領事並びに外国人の任用の点でございますが、これは先ほども申しました通り、名誉総領事、名誉領事は外務公務員ではないのでありまして、一種の雇用関係でございますけれども、外務大臣の管理下にあるというような観点から、また仕事も領事事務と関連もございますので、この法律の中に加えたのでございます。これに書いてございますように、外務人事審議会の意見を聞いて、外務大臣が任命するということになつております。
第二十五條は外国人の採用でございますが、本省あるいは在外公館におきまして、外国人が勤務するということはしばしばあるところでございます。将来もそういうことが予想せられますので、ここにこの規定を置きまして、本省に勤務いたします場合には、外務大臣が外務人事審議会の意見を聞いて採用する。在外公館に勤務する場合には、第二項で規定しておりますように、外務大臣の許可を得て在外公館長が外国人を採用することができるということにしておる次第でございます。
次に第九章の雑則でございますが、第二十六條におきましては、先ほどから御説明いたしました政令案の立案、外務省令の制定または改廃、こういうものは審議会の議に付して、その意見に基いて行う必要があるということを定める規定でございまして、身分関係に関しまする重要な事項を定めておるところの、ここに列挙しました各條の政令あるいは省令は、あらかじめ外務人事審議会の議に付して意見を求め、そうしてこれをしなければならぬということになつております。採用であるとか、教育であるとか、あるいは昇進であるとか、こういうふうな身分関係の規定につきまして、政令または省令をつくる場合に、外務人事審議会の議に付するということになつておるのでございます。
第二十七條は罰則を定めたものでございまして、これは国家公務員法と照合いたしまして、罰則を設ける必要があるのでございますが、特別職の外務公務員に対して、国家公務員法の罰則の規定が適用せられる、これは国家公員法第百九條第十二号と対応するものでございまして、国家公務員法第百條第一項及び第二項の規定に違反して秘密を漏らした者、あるいはかかる行為を企てる、あるいはこれを容認する、そういう者につきまして一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処する旨定めてあります。これも国家公務員法と同じような規定でございます。
第二十八條は国外犯罪につきまして定めたものでございまして、外務公務員は在外に勤務する機会が非常に多うございますから、国外犯罪も、当然これは罰しなければならぬというので、この規定を置いてそれを明らかにしたものでございます。
以上が外務公務員法の本則の説明であります。次に附則といたしまして、第一項におきましては、この法律の施行期日応つきまして規定しております。すなわち平和條約の最初の効力発生の日が、この法律施行の時期でありますが、四月一日までに平和條約の効力が発生しないときには、それを待たずに四月一日から施行する。これはもうすでに在外事務所も各地に大分できておりますので、実際上在外公館に近い活動をいたしております関係もあり、もう四月一日からこの外務公務員法の適用を受けてさしつかえないというふうに考える次第であります。但書につきましては、先ほど申しました政令、省令の制定あるいは後に述べます外務人事審議会、こういうようなものは、ただちにいろいろな準備をする関係上やる必要があるというために、これが書かれておるのであります。
第二項は外国機密の漏洩によりまして国家の重大な利益を毀損したという場合、審査の請求について第十九條から第二十二條までの規定を外務公務員以外の外務省職員に準用するのでございます。これは本省におります外務省職員で、先ほども申した通り、外交領事事務あるいはこれに対する補助業務以外の純然たる国家公務員と同じような仕事をする者、これは外務公務員から除くということになつておりますから、そういうような場合に国家公務員が機密漏洩をやつた場合の規定をこの中にうたつたものでございます。
第三項は国家公務員法の一部を改正する規定でございまして、これは大使、公使のほかに政府代表及び全権委員並びに政府代表または全権委員の代理、顧問、随員、こういうものを特別職の中に加えるというふうに国家公務員法を改正する規定でございます。
第四項は国家公務員災害補償法の一部を改正する規定でございまして、外国におきまして、外務公務員が災害を受けました場合に、これが適用されるようにするために設けた規定でございます。但しこれは一般職の外務公務員でございまして、特別職である大使、公使につきましては、国内の国家公務員の特別職の場合におきましてもそういう災害補償の規定はない、別個の法律によりまして補償が與えられるということになつておりますから、この中にはうたつてないのでございます。
第五項は外務省設置法の一部を改正いたしまして、ここに外務人事審議会というものを設けるということを規定いたしたものでございます。
外務人事審議会につきましては次項に規定いたしておりますが、外務人事審議会の大体おもな仕事と申しましては、先ほどから御説明いたしました通り、外務公務員法に基きましていろいろな法令あるいは政令、省令に関して意見を述べる。次にまた勤務條件等に関して必要な事項を外務大臣に答申する、こういう二つの大きな使命がございます。そうして審議会は委員五人で組織せられまして、一名は外務公務員である者の中から、他の一名は人事院の職員の中から他の三名は学識経験者の中から任命いたしまして、合計五人でこれを組織することになつております。なお外務人事審議会に関して必要な事項は政令でもつてこれを定めることができることになつおります。
以上が大体外務公務員法全般の説明でございますが、なお説明につきまして不十分な点、あるいは詳細説明を要します点につきましては、御質問に対してお答えをいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/4
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005・仲内憲治
○仲内委員長 本日の連合審査会はこの程度といたしまして、次回の連合審査会は明後十四日午前十時に開会いたします。
なお外務委員の方々に申し上げますが、外務委員会はただちに再開することといたしますからさよう御承知願います。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101303983X00119520312/5
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