1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月十五日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 松本 一郎君
理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君
淺利 三朗君 衞藤 速君
上林山榮吉君 瀬戸山三男君
西村 英一君 河口 陽一君
増田 連也君 池田 峯雄君
佐々木更三君 玉井 祐吉君
出席国務大臣
建 設 大 臣 野田 卯一君
出席政府委員
特別調達庁長官 根道 広吉君
総理府事務官
(特別調達庁財
務部長) 川田 三郎君
総理府事務官
(特別調達庁管
理部長) 長岡 伊八君
委員外の出席者
総理府事務官
(特別調達庁官
房企画課長) 沼尻 元一君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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四月三日
委員逢澤寛君及び小平久雄君辞任につき、その
補欠として堀川恭平君及び新井京太君が議長の
指名で委員に選任された。
同月十日
委員堀川恭平君及び新井京太君辞任につき、そ
の補欠として逢澤寛君及び小平久雄君が議長の
指名で委員に選任された。
―――――――――――――
四月三日
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四九号)
公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内
閣提出第一五〇号)
同月十日
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使
用等に関する特別措置法案(内閣提出第一六四
号)
同月十四日
道路法案(田中角榮君外二名提出、衆法第二七
号)
道路法施行法案(田中角榮君外二名提出、衆法
第二八号)
同月二日
府県道新改停車場線拡張工事施行の請願(長野
長廣君紹介)(第一八五四号)
県道新宮本宮停車場線開設促進の請願(世耕弘
一君紹介)(第一八五号)
高速自動車道路の山梨、長野及び岐阜県通過等
に関する請願(小峯柳多君紹介)(第一八五六
号)
利根川下流河底しゆんせつ工事施行の請願(竹
尾弌君外一名紹介)(第一八五七号)
須崎、安和間道路開設の請願(長野長廣君紹
介)(第一八八九号)
片地川改修工事促進の請願(長野長廣君紹介)
(第一八九〇号)
道路法改正等に関する請願(神田博君紹介)(
第一八九一号)
宝木地内河内川に砂防工事施行等の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九四二号)
日野村地内小川尻川に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九四三号)
米沢村地内本谷川等に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九四四号)
山上村地内小原川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九四五号)
大宮村地内印賀川及び宝谷川に砂防工事施行の
請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九四六号)
江尾町地内船谷川及び小江尾川に砂防工事施行
の請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九四七号)
同月四日
蒲生村地内蒲生川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九六二号)
池田村地内落折川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九六三号)
河内川上流に砂防工事施行の請願(門脇勝太郎
君紹介)(第一九六四号)
成器村地内上地川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九六五号)
神奈川村地内俣野川に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九六六号)
石見村地内石見川等に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九六七号)
荒金地内岩美川に砂防工事施行の請願(門脇勝
太郎君紹介)(第一九六八号)
社村地内安蔵川に砂防工事施行の請願(門脇勝
太郎君紹介)(第一九六九号)
八東村地内小畑川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七〇号)
若桜町地内春米川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七一号)
隼村地内見槻川に砂防工事施行の請願(門脇勝
太郎君紹介)(第一九七二号)
丹比村地内細見川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七三号)
東郷村地内有富川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七四号)
明治村地内野坂川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七五号)
神戸村地内妙見川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九七六号)
勝部村地内勝部川上流に砂防工事施行の請願(
門脇勝太郎君紹介)(第一九七七号)
坂本地内三徳川に砂防工事施行の請願(門脇勝
太郎君紹介)(第一九七八号)
以西村地内勝田川等に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九七九号)
北谷村地内枠谷川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九八〇号)
上中山村及び下中山村地内甲川に砂防工事施行
の請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九八一号)
三朝村地内三徳川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九八二号)
鹿野町地内末用川及び水谷川に砂防工事施行の
請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九八三号)
県村地内佐陀川に砂防工事施行の請願(門脇勝
太郎君紹介)(第一九八四号)
大山、所子及び庄内三箇村地内阿弥陀川に砂防
工事施行の請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九
八五号)
東長田村地内東長田川に砂防工事施行の請願(
門脇勝太郎君紹介)(第一九八六号)
二部村地内間地川及び藤屋川に砂防工事施行の
請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九八七号)
阿毘縁村地内砥波川に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九八八号)
日野上村地内木谷川に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九八九号)
日野上村地内日野川に砂防工事施行の請願(門
脇勝太郎君紹介)(第一九九〇号)
黒坂町地内天郷川に砂防工事施行の請願(門脇
勝太郎君紹介)(第一九九一号)
日光村地内小江尾川等に砂防工事施行の請願(
門脇勝太郎君紹介)(第一九九二号)
横路川等に砂防工事施行の請願(門脇勝太郎君
紹介)(第一九九三号)
多里村地内湯河川及び野組川に砂防工事施行の
請願(門脇勝太郎君紹介)(第一九九四号)
日向神ダム建設反対の請願(高橋權六君紹介)
(第二〇一九号)
同(高橋權六君紹介)(第二〇四五号)
六本杉、諏訪間の阿武隈川左岸改修工事促進の
請願(庄司一郎君紹介)(第二〇二〇号)
大島地内小田川に逆水門設置の請願(庄司一郎
君紹介)(第二〇二一号)
丸森橋、野田間の阿武隈川左岸堤防修築の請願
(内海安吉君紹介)(第二〇四六号)
道路法改正案中特別負担金の條項削除の請願(
小坂善太郎君紹介)(第二〇四八号)
府県道彦根桑名線改修工事促進の請願(河原伊
三郎君紹介)(第二〇四九号)
同月十日
道路法改正案中特別負担金の條項削除の請願(
松木弘君紹介)(第二〇七一号)
同(玉置信一君紹介)(第二〇七二号)
同(大西禎夫君紹介)(第二一一三号)
道路整備特別措置法制定反対に関する請願(滿
尾君亮君紹介)(第二〇九〇号)
道路法改正案中特別負担金の條項削除等に関す
る請願(滿尾君亮君紹介)(第二〇九一号)
平和條約発効に伴う連合国関係労務者の退職手
当支給に関する請願(久保田鶴松君紹介)(第
二一一二号)
兒島湾沿岸農業水利改良事業実施に伴う倉敷川
改修工事施行等の請願(橋本龍伍君紹介)(第
一二四二号)
県道新田中村線改修工事施行の請願(長野長廣
君紹介)(第一二四三号)
家地川、弘瀬間に沈下橋架設の請願(長野長廣
君紹介)(第二一四四号)
の審査を本委員会に付託された。
四月二日
岡山県御津郡佐山開拓地の拂下げに関する陳情
書
(第一一七三号)
同月十日
県道豊橋、新潟線を二級国道に編入の陳情書
(第一二二七号)
住宅金融公庫の融資、賃貸住宅の賃貸料等に関
する陳情書(第一二二
八号)
耐火建築助成法の運用拡大に関する陳情書
(第一二二九号)
開拓に関する予算増額の陳情書
(第一二三〇号)
風水害特殊常例地特別助成法制定に関する陳情
書(第一二三一号)
同月十二日
農地、開拓地の接收並びにその使用に関する陳
情書(第一二九二
号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四九号)
公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内
閣提出第一五〇号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使
用等に関する特別措置法案(内閣提出第一六四
号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/0
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001・松本一郎
○松本委員長 ただいまから建設委員会を開会いたします。
本日の日程に入ります前に小委員の補欠選任についてお諮りいたします。すなわち逢澤寛君、小平久雄君は去る三日委員を辞任されましたが、十日再び本委員となられたのであります。逢澤君は道路及び水道に関する小委員、小平君は河川に関する小委員でありましたので、これら各小委員が一名ずつ欠員になつております。つきましてはこの補欠選任をせねばなりませんが、その補欠は前例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/1
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002・松本一郎
○松本委員長 御異議ないものと認めますので、道路及び水道に関する各小委員に逢澤寛君、河川に関する小委員に小平久雄君をそれぞれ指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/2
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003・松本一郎
○松本委員長 次に本日の日程に基きまして住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、内閣提出第一四九号を議題といたします。まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。建設大臣野田卯一君。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/3
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004・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま議題になりました、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その理由と法案の概要を御説明申し上げます。
御承知のごとく住宅金融公庫は、昭和二十五年五月設立され、翌六月より業務を開始して参つたのでございますが、その後業務の実績を検討し、国民各位の要望と批判に基きまして、極力その業務の改善を行い、第十国会におきましても、公庫法の一部改正が行われ、その円滑なる業務の運営が企図されて参つたのでございます。
さて、公庫は、当初貸付資金の全額を政府出資金及び米国対日援助見返資金特別会計よりの交付に仰いでおりましたが、昭和二十六年度より資金運用部資金を借り入れることとなり、このための支拂い利子と公庫経営の健全性を保持するため、若干の貸付利率の引上げを余儀なくされるに至りました。同時に公庫利用者の負担をでき得る限り最小限にとどめるとともにさらに業務運営につき改善を加えるため、早急に住宅金融公庫法の一部について改正をはかる必要が認められるに至つたのであります。
第一に、住宅金融公庫の貸付金の財源は、右に述べましたごとく、当初政府出資金と対日援助見返資金特別会計よりの交付とによつたのでありますが、昭和二十七年度におきましては、国家財政の都合上、政府出資金五十億円と資金運用部資金よりの借入金百億円によることになつております。しかして資金運用部よりの借入金の利率は、昭和二十六年度当初は、年五分五厘でありましたが、その後年六分五厘に引上げられましたので、公庫の経営上、貸付金の利率を現状のままにすえ置くことが不可能となり、五厘だけ引上げるのはやむを得ない次第に相なつたのであります。
これに伴う公庫利用者の負担の増加を極力軽減し、かつ、都市における耐火構造の住宅の建設を助成いたすため、耐火構造の住宅及び簡易耐火構造の住宅につきましては、償還期間の延長を行いたいと考えるのであります。
第二、公庫業務の経験によりますと、公庫から貸付を受けて住宅を建設しようとする者は、住宅の建設に関しては、ほとんど知識に乏しく、かつ、経験の少い者でありまして、適当な土地の入手や、住宅の建設に関する手続、交渉等にきわめて難澁いたしており、ときに悪徳業者の巧言に惑わされて、思わざる損害をこうむつている実例も少くないのであります。この点にかんがみまして、確実な事業者に直接公庫の資金を融資して、優良な住宅を建て売りさせる道を開きますことは、住宅困窮者の利便と貸付金の使途の適正をはかるゆえんと存ずるのであります。
第三に、公庫はその債権を保全するため、従来公庫の貸付にかかる住宅について、火災保險をつけさせる扱いをして参つているのでありますが、火災以外の災害に対しましても、債権保全の万全を期する必要があり、かつ、これとともに債務者の負担をできるだけ軽減するために、公庫みずから災害補償契約を締結する道を開きたいと考えております。
なお、公庫の申込者は、実際貸付を受けることができる者の数倍に及びその費用も相当高額となりますので、申込者全員につきまして必要最小限度の申込み審査手数料を徴收いたしまして、その業務費の一部に繰入れたいと考えております。
以上住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に関しまして、そのおもなる点を申し上げましたが、愼重に御審議の上すみやかに御可決あらんことを願つてやみません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/4
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005・松本一郎
○松本委員長 本案に関する質疑は次会に讓りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/5
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006・松本一郎
○松本委員長 次いで本日の議案第二、公共工事の前拂金保証事業に関する法律案、内閣提出第一五〇号を議題といたします。政府側より提案理由の説明を聴取いたします。建設大臣野田卯一君。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/6
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007・野田卯一
○野田国務大臣 国、公共企業体または地方公共団体等の発注する公共工事は、国土の再建その他公共の福祉を増進するためにきわめて重要であつてその年間工事量は、全建設工事量の半ば以上を占める状況でありますが、最近これらの公共工事の着工資金の調達が請負業者にとつてきわめて困難な問題となつております。
その原因を考えますに、民間の建設工事にありましては、発注者は請負業者に前拂金を支拂うことが通例であり、ほとんど商慣習となつておりますが、公共工事につきましては、一部の例外を除いて、従来前金拂いをしないことが原則となつているため、請負業者は着工資金の調達について全面的に金融機関に依存せざるを得ないのであります。しかるに建設業者は一般に自己資本が薄弱であり、その企業の性質上担保となるような資産に乏しく、またその経営状態の判断が困難であること等の理由によりまして、他の産業に比して金融機関からの融資が円滑を期しがたく、その金融難はきわめて深刻であります。この結果、公共工事全般にわたりまして、工期の遅延、工事費の増大等を招来し、ひいて公共工事の適正な遂行を阻害することが憂慮せられるのみではなく、公共工事に関して前金拂いの道を開きますことは、諸資材が廉価にかつ確実迅速に手配され、その他着工準備が迅速になされ、あるいは金融機関に対する利子が不要になる等の利便がありまして、積極的に建設工事の適正な施工に寄與するのでありまして、この際すみやかに公共工事に関する前拂金制度を確立することが緊要と考えられるのであります。しかして、この前拂金制度の適正かつ円滑な運営を期しますためには、前拂金を支出する発注機関の危險負担を除去するとともに、前拂金が当該公共工事にのみ使用されることを保証し、発注者が安心して前拂金の支出ができるような公共工事の前拂金に対する保証事業を営む会社の制度の確立が必要でありまして、現に民間において、かかる会社の設立が企図されつつある状況であります。この前拂金保証事業を営む会社は、その業務がはなはだ公共性が強く、建設業者の経営または信用に重大な関連を有すること等にかんがみまして、その事業の公共にしてかつ堅実な営業を確保するため、政府において事業適格者の基準を設け、事業の運営について、最小限度の指導、監督を加えることが必要と認められるのであります。
ここにおいて公共工事の前拂金保証事業を営む者について登録の実施、前拂金保証事業の運営の準則等を内容とする公共工事の前拂金保証事業に関する法律案を提案し、この事業の健全な発達をはかり、もつて公共工事の前金拂いの適正かつ円滑な実施の確保、ひいては公共工事の適正な施工に寄與せんとするものであります。
以下本法律案の大綱を御説明申し上げます。
第一にこの法律案の適用ある公共工事は、国、日本国有鉄道、日本専売公社または地方公共団体その他の公共団体の発注する土木建築に関する工事のほかに、資源の開発等についての重要な土木建築に関する工事であつて、政府の指定する公益性の強い工事を考えております。
第二に前拂金保証事業を営もうとするときは登録を必要とすることとし、一定の要件を欠く能力、信用の乏しい事業者を排除し、あるいは不正な事業の運営に対して監督手段を発動する根拠としたいと考えております。
第三に保証事業会社の公正な運営と健全な経営を確保するために、保証約款の承認、保証金の支拂いに関する規定、責任準備金の計上、保証基金及び支拂い備金の積立てに関する規定、常務役員の専業主義に関する規定等を設けたのであります。なお、保証事業会社は前拂金保証事業のほか、公共工事に関する運転資金について請負者の金融機関に対する債務を保証する事業を営むことができることとし、その他の事業は兼業できないことになつております。
第四に保証事業会社の事業が発注者または請負者の利便を阻害している場合に、事業改善の命令をすることができることとし、また保証事業会社に一定の不正な事実がある場合に指示あるいは勧告を行うとともに、悪質な場合においては、営業の停止または登録の取消し等をなし得る等必要な監督の規定を設けたいと考えております。最後に、この保証事業会社の公正な運営を期しますために審査の請求に関する規定を置き、土木建築に関する工事の請負を業とする者が保証事業会社の事業について不当にその利便を阻害されていると認める等の場合においては、審査を請求する道を開き、また請負業者が保証を受けた前拂金を当該公共工事に使用しているかいなかを保証事業会社が厳正に監査すべきことを定め、前拂金制度の運営について適正を期しているのであります。
以上が公共工事の前拂金保証事業に関する法律案の大綱でありますが、なおこの法律案と並し行て、予算、決算及び会計令臨時特例、地方自治法施行令等を改正して、この法律案によつて登録を受けた保証事業会社の保証を得た場合においては、建設工事について前金拂いをすることができるようにそれぞれ措置いたすことにしております。何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/7
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008・松本一郎
○松本委員長 本案に関する質疑は次会に讓りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/8
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009・松本一郎
○松本委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/9
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010・松本一郎
○松本委員長 次いで議題第三、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案、内閣提出第一六四号を議題といたします。政府側より説明を求めます。特別調達庁長官根道政府委員。
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/10
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011・根道広吉
○根道政府委員 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基いて締結された行政協定により、日本国はアメリカ合衆国に対し、安全保障條約第一條に掲げる目的の遂行に必要な施設及び区域を提供することとなりました。この義務を履行するためアメリカ合衆国軍隊の必要とする土地等の使用または收用手続について必要な規定をし、もつて條約の遵守と私有の財産権との調整をはかることが、この法律案の目的であります。
アメリカ合衆国軍隊の必要とする土地等が、民有のものである場合は、日本政府はこれらの所有者または権利者と相互の自由意思に基く賃貸借もしくは売買等の契約に基いて土地等の使用権または所有権を取得し、これをアメリカ合衆国軍隊に提供するのが本来の建前でございまして、このため日本政府としては所有者または権利者との自由意思に基く契約の締結のためあらゆる努力をいたす考えでございますが、これらの努力にもかかわらず相互の含意に基く契約の締結が不可能である場合には、やむを得ずこの法律によりまして目的物を使用または收用し得ることとし、條約上の義務を履行いたしたいと存ずるのであります。
この法律を適用して、やむを得ず土地等の使用、または收用手続を進める必要がある場合におきましては、その使用または收用の手続の過程におきまして、所有者等に不安を與えまたは財産上の損失を與える等のことがないよう十分留意することといたしましてこのためこれらの点についての詳細な規定をしている土地收用法を駐留軍の必要とする土地等を使用しまたは收用する場合にも適用することを原則といたしました。
しかしながら駐留軍の必要とする土地等の使用または收用についても、若干の特例を規定することが必要かつ適切であると思われますので、これらの点を特に規定することといたしました。
その主要な点を申し述べますと、第一に、土地收用法におきましては土地等の收用を主とし、使用を従として規定しておりますことに対応しまして、この法律においては駐留軍の存在が臨時的、一時的なものであるとの前提のもとに、使用を主とし、收用を従とする建前をとつております。
第二に、土地收用法の規定する事業の認定手続につきましては、他の多くの特別法におきましても例外手続が規定されておるのでありますが、駐留軍の必要とする土地等の使用または收用の認定手続についても特例を規定することといたしました。
第三に、駐留軍の引揚げ、移転等に伴う土地等の使用廃止等の結果、従来使用中の土地等を、これらの所有者または権利者に返還する場合におきまして、使用中形質を変更したような場合には、これを原状に復して相手方に返還するを建前といたしますが、原状に復することが著しく困難であるとか、または客観的に見て原状に復することが適正かつ合理的でないと認められる場合には、原状に復さないで返還することができることとし、原状に復さないことによつて所有者等に損害を與えた場合は、これを補償することといたしました。
また建物の返還に際し、建物の使用中その改良のため有益費が費されたことによりまして、その建物の所有者等に利得が生じているときは、利得の存する限度におきまして、利得金を国に納付させることができることといたしました。
なお以上の点について、政府の決定に不服がある者は、内閣総理大臣に不服の申立てをすることができる道を開いております。
第四條に、その他引渡調書の作成について特例を規定いたしましたが、その趣旨は、建物等を所有者または権利者に返還するに際しまして、返還時の建物の状態につき双方立会いの上、引渡調書を作成しておきまして、原状回復等について後日紛争が起ることを防止しようとする趣旨であります。
最後に附則といたしまして、従来連合国軍の調達要求に基いて使用中の土地等を、平和條約の発効後九十日を経過した後なお駐留軍が継続して使用する必要のあるものにつきましては、六ヶ月を限度として一時使用をなし得ることといたしましたのは、この法律の本則の規定によりまして、土地等の使用、收用をなすためには相当期間にわたる準備が必要でございますので、その経過的措置として必要な規定をするとともに、損失補償等については、土地收用法による旨を規定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/11
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012・松本一郎
○松本委員長 ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/12
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013・松本一郎
○松本委員長 速記を始めて。
本案に関する質疑の通告があります。順次これを許します。上林山榮吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/13
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014・上林山榮吉
○上林山委員 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案について、若干質疑を試みたいと思います。
まず第一にお尋ねをいたしたいことは、本法案を臨時措置法案とせずに特別措置法案とした根本の理由について伺いたいのであります。あくまでもわれわれは、これは臨時措置法案の性質が適当である、こういうふうに考えておるのであるが、何がゆえに特別措置法案というふうな性格を持つて来たか、この点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/14
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015・根道広吉
○根道政府委員 性質的には仰せのごとく臨時的の性質であると私も考えております。ただこれは特例を設けた特別の措置法案という意味において特別というふうにつけられたものだと私は了解して提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/15
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016・上林山榮吉
○上林山委員 私の質問の趣旨の通りであるとするならば、これは特別臨時措置法案とでも改めるのが私は最も妥当である、こういうふうに考えるが、政府においてはこれを改める意思はあるのか、ないのか。なければこちらの方で訂正をいたしたいと考えるが、それに対してどう思うか。これを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/16
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017・根道広吉
○根道政府委員 その名称につきまして特別に拘泥する必要も私はないものと存じますが、いろいろなほかの法案の場合に比較いたしましてそれを入れることが適当であるとお考えに相なるならば、私といたしまして別段の異存はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/17
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018・上林山榮吉
○上林山委員 法案の内容と法案の名目とはできるだけ一致する方が立法の技術の上においてわれわれは適当である、こういうふうに考えるのでありますから、われわれの意思表示(拍手)後刻適当な時期にいたしたいと思いまするので、この点についてはこの程度にとどめまするが、さらに第二にお尋ねをいたしたいことは、本法案の趣旨は、説明にあつた通り條約の遵守と私有の財産権との調整をはかるための特別立法である、こういうことでありますが、ただいまの説明を承りましてわれわれはその必要はないものである、こういうふうに考えたのでありますが、そのおもなる要点を申し上げますと、第一にりつぱに土地收用法があるんだ、だから土地收用法を原則として政府においてもこの場合にも適用するんだというふうにはつきりと言つておられる。してみればただいま土地收用法で原則としてやるが、特別の例があるからこれを妥当に解決するために必要である、こういうふうに説明されたのでありますけれども、一、二、三とあげられた理由は必ずしもそれに合つておらない。もしそれについてなお不便であるとするならば、何がゆえに土地收用法の改正を試みなかつたのであるか。原則として大部分のものが土地收用法を適用できるのだと政府も言明しておるのだから、そのわずかばかりの特例のために特別の立法をするということは本則ではない。してみれば土地收用法の一部を改正して、その特例を解決し得る立法措置をなぜ政府としてとらなかつたのであるか、私はこの根本の理由が、先ほどの政府委員の説明ではまだまだ納得できないのでありますが、この根本的な立法の方針についてまず伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/18
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019・長岡伊八
○長岡政府委員 土地收用法におきましては收用が原則になつておりまして、使用がいわば例外のようになつておりますので、本法律案におきましては使用を原則にいたしましたことと、それから土地の收用法におきましては建物につきまして收用の規定がございませんので、本件の場合におきましては、土地並びに建物が双方使用なり收用の目的になりますので、土地收用法の規定を適用いたしましても、この点につきまして別に規定を設けた方が適当であろうと考えます。
なお先ほどお話のございました通り、土地收用法を訂正したらという考量あるのありまするが、われわれといたしましてもこの規定が臨時的に早く解消することを希望しておりまするので、根本法たる土地收用法に手をつけずに別な法律案を出した方が適当であろうと考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/19
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020・上林山榮吉
○上林山委員 ただいまのお答えの中に、土地收用法は土地の收用を主としているのであつて、使用を従としているのだ、こういうふうなお話でありますが、必ずしも私はその答弁は正確でないと思う。土地を收用する目的の前提は、あくまでも使用するということが前提になつている。ただ單に土地を收用するのではない。こういう見地から考えますと、ただいまの答弁は私は納得できないのでありまして、これは私は改正の理由にはならぬと考えます。またただいまの御説明で建物の場合があるから、この点は確かに御説の通り私は理由があると思う。してみれば土地收用に関する問題は一部改正して特例的なものを措置できる手段をとつて、あくまでもこれは建物等に関する臨時的な措置法案である方が私は最もりくつも通つた考え方である、こういうように思うのであります。あくまでも土地の收用法による收用は、收用が主であつて使用が従であると、駐留軍の関係のものは使用が主であつて收用は従だ、こういうふうに言われるが、駐留軍の場合でもはたして日本にこれが何年いるか、今のところはつきりわかつていないのでありますから、そういう点等から考えてみても、私は收用が主であるとかあるいは従であるとかいう議論は、これはあまりにも観念的な議論に過ぎておる、実際問題としては私は適切でない、こういうふうに考えるのでありますが、あくまでも先ほどの議論を推進されるつもりか、そういう考えであるとするならば、具体的な例をもつてこれから順次質疑を試みてみなければならぬのでありますが、その辺をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/20
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021・長岡伊八
○長岡政府委員 收用が主で使用が従と申し上げましたのは、土地收用の場合におきましても、土地使用が前提であることはもちろんでございまして、ただ駐留軍に土地建物を提供いたします場合には、これは従来の例から見ましても、用が済んだら返すということが大体原則になつておりまするので、この点を、本法におきましては使用が主であつて收用がいわば従であるという意味に申し上げたのであります。
なおただいま御指摘に相なりましたことまことにその通りなのでありますが、土地收用法の場合におきましては、土地の利用者と企業者が同じ法人なり団体でございまするが、本法の場合におきましては、使用者は駐留軍であります。いわば企業者にあたりますものは日本政府になつておりまするので、かような関係も根本的に違うところがございますので、土地收用法の改正ということを避けまして、この特別の立法をした方が至当であろうと考えました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/21
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022・上林山榮吉
○上林山委員 それならば少し裏の方からお尋ねをしてみますが、土地收用法を原則として、この臨時処置の場合に適用するというのは、具体的にどういう場合があるのか、このおもな具体例を二、三示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/22
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023・長岡伊八
○長岡政府委員 現に進駐軍に提供いたしておりまするが、たとえば土地につきましては、演習地であるとかあるいはその他軍の施設をする土地を提供する場合がございます。この場合に、先ほど長官から提案理由を説明申し上げました際に申し上げました通り、今後でき得る限り所有者との話をつけまして、円満な無理のないことで行きたいと考えておるのでありまするが、その際に何らかの理由で、どうしてもその土地を話合いで借り上げられない、買い取ることができないという場合が起るであろうという想像をいたしておるのであります。それは建物につきましても同じことでございます。軍の駐留の関係で現在軍が使つておりますものを返すことが相当手間取りましてそれがために契約を結んで行かなければならぬ場合に、その建物の所有者がこれを拒む、しかもそれがために條約上の義務の履行ができない。しかも公平に見てこの建物なり土地を駐留軍に提供することが至当である。こういう判断に立ちました場合に、やむなくこの法律によりまして強制したいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/23
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024・上林山榮吉
○上林山委員 ただいまの説明は矛盾だらけと申しますか、さつぱり要を得ない答弁だと思います。私は先ほどから申し上げる通り、土地と建物は区別して考えていいのじやないか。建物の場合は確かにお説の通り理由が相当にあると思いますが、土地の場合においては必ずしもそうじやない、こういう立論の上に立つて私はお尋ねしておるわけであります。そこで、それならば土地を收用する場合に、あるいは使用する場合に、できるだけ相互の合意に基く契約で行きたい、万やむを得ないときにのみこの法律を適用するのだ、こういうふうに言われるかと思うと、原則としては土地收用法を適用するのだが、特別の場合のみこの法律を適用するんだと説明されている。お二人ともそうである。そこで私が、それならば、土地收用あるいは使用の場合に原則として土地收用法を適用する具体的な例は何だというふうにお尋ねしたところが、これは、演習地であるとか、現に軍が使つている土地等であるというふうに言われる。よく聞きなさい。その場合に、いわゆるこの特別の法律を相談でできない場合に適用するのだと言つているのとははなはだ矛盾する。だから、原則としていわゆる土地收用法を該問題に適用する場合の大きな具体的の問題は、二、三例示するならばどんなことがあるのか。それ以外の場合は、いわゆる臨時処置法的な本法律によつて適用するのだというふうに説明がつかなければならぬ。どうも矛盾していると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/24
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025・長岡伊八
○長岡政府委員 土地收用法を原則として適用すると申し上げましたことと、契約によるのだと申し上げましたことと矛盾しているという御指摘でございますが、(「違う違う、そうじやないのだ」と呼ぶ者あり)私の申し上げましたのは、この強制……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/25
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026・上林山榮吉
○上林山委員 私の言つたことがわかつていないようだから、もう一度要点を申し上げるから、委員長、ちよつと速記をとめさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/26
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027・松本一郎
○松本委員長 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/27
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028・松本一郎
○松本委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/28
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029・長岡伊八
○長岡政府委員 土地を使います順序を申し上げますならば、まず、この土地が必要であり、これを提供することが至当であるという判断に立ちました場合にまず行いますことは、所有者と話をいたしまして随意契約の形で行きたいということが第一前提でございます。それで、それが行われません場合に收用いたしますときに、その強制收用をいたしますときには土地收用法を原則として適用いたしまして、それだけでは足りない特別な措置がいるから、この立法をして、これをカバーするという意味で申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/29
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030・上林山榮吉
○上林山委員 もう少しあなた方勉強しないとだめです。あるいはもつとまじめに答えていただかなければ困る。ぼくは二へんも三べんも同じことを言つておるのですが、要点は土地收用法を、原則として契約がととのわない場合は適用するんだと言つておる。具体的にはどういう例示があるのか、二、三示してもらいたい。なお本法案を臨時措置的に適用する場合等の土地收用法との区別、その基準を一体どこに置いておるのか、どこでそれをわけることができるのか、こういうわけなんです。ぼくらは実際問題としてわけられぬと思つておるのだが、どうしてわけられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/30
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031・沼尻元一
○沼尻説明員 ちよつと私の方の説明が不十分でありまして、誤解があつたと存じますが、土地收用法を原則として適用するという意味は、この駐留軍のために土地等を使用、收用する場合等におきましては、多くの場合は土地收用法の規定をそのまま準用しておるわけでありますが、その土地收用法だけでは不十分でございますので、特例を設けたわけでございます。従いましてある場合には土地收用法により、ある場合にはこの法律によるという趣旨ではございません。全部この法律によつてやるわけでございます。ただこの法律の規定の建前が、この法律に特別の規定のない場合は、すべて土地收用法によつてやるんだという意味でございます。従いまして損失補償等については規定ございませんが、それらについてはすべて土地收用法によつてやるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/31
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032・上林山榮吉
○上林山委員 ただいまの説明員の説明の通りで政府委員は承服しておるかどうか。説明員の説明では、あくまでも本法案を原則として適用するのである、土地收用法は原則として適用するのではなくて準用するのである。こういう説明であるが、そうであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/32
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033・長岡伊八
○長岡政府委員 私の説明がまことに不十分でまずかつたので、誤解をお招きしたかと思います。(「そうではない、このプリントにも原則として適用すると書いてある」と呼ぶ者あり)それはただいま説明員が申し上げました通り、土地收用法を補充的に適用する意味でございますが、原則的にと説明書にも書きましたのは、大部分の規定が土地收用法の規定を適用いたしておりますために、さような言葉を使いました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/33
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034・上林山榮吉
○上林山委員 ただいま訂正をされたので、その点は一応了といたしまするが、あまりにも私は説明が不親切であるというか、錯覚の上に立つた無理な説明をしようとされておるかのごとく考えましたので、質問申し上げたわけであります。そこでさらに申し上げたいことは、私が申し上げました土地收用法を原則として、そうして土地に関する限り土地收用法を一部改正して、御提案の趣旨のものを解決しようとすればできる、こういうふうにわれわれは考えておるのであるが——建物は別として、そういうふうに考えているのであるが、これに対するあなた方の御研究はどういうふうであるか。
それから第二点は、原則としては御訂正の通りに、本法案を通過徒適用して、土地收用法を準用するんだ、こまかく見て行けばすぐわかるのでありますが、その煩を省くことといたしまして、具体的にはどういう問題だけに、あるいはどういう問題等に準用するのかもう少しその点を詳しく説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/34
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035・長岡伊八
○長岡政府委員 土地につきましては先ほども申し上げました通り——土地と建物と双方同じことでございますが、土地收用法の多くの規定を適用することになるのでございますから、ある意味におきましては、御意見の通り土地だけについて考えますならば、土地收用法だけの改正でも済むのではないかという御意見はごもつともだと思うのであります。その意味におきまして、建物と同様な歩調をとりますためにこれを本法にとりまとめました次第でございます。
それから第二点につきましては、土地收用法の規定を適用いたします一番おもなる点は、使用いたしますにいたしましても、收用いたしますにいたしましても、そのときの補償の問題につきまして、これは土地收用法によりまして、無理のない委員会の利用、こういつたことがこの土地收用法の規定を適用いたしますねらいでございます。この点につきまして、使用なり收用の場合に一番問題の起るものでございます。不平が一番起りやすいのでございますから、この点について無理のないように措置いたしたい、こういう考えで土地收用法の規定を多く準用している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/35
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036・上林山榮吉
○上林山委員 そうであればあるほど私の言う意見が最も妥当な意見であるかのように私は考えるのでありますが、この問題については、この次の委員会においてさらに質疑を継続することにいたしまして、最後に一点お伺いいたしたいことは、建物の返還に際し、建物の使用中その改良のための有益費が費されたことによつてその建物の所有者に利得が生じているときは、その利得の生じておる限度によつて利得金を国に納めなければならぬという点でありまするが、これもその認定は土地收用委員会の認定によるのであるか、あるいは別途の政府機関によつて認定するのであるかという点。
それから続いて便宜お尋ねいたしまするが、概して駐留軍が家をかつてに変更した設計は日本人には適しないことが多い。そういう場合でも、たとえば一部の人が非常に利得を生じておる、費用をかけたからというような理由で、その認定によつて利得を国家に返還しなければならぬということであれば、これは国民としてはまことに迷惑しごくの点である。だからそういう点をどういうふうに扱うのであるか。
さらには第三点でありまするがそれによつてかえつて家が損害を受けておる、元の通りにしなければならない、しかし元の通りしようとしても十分にできないから、設計を変更して、相当近代的な日本建築にしよう、こうしたような場合に、政府は金を支拂う意思があるのかどうか。マイナスになつた場合はもちろんであるが、多少そこに原形に復することを改良するというような場合に、政府は金を出すべきものであると私は考えるが、その場合どういうふうに考えておられるか、この点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/36
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037・長岡伊八
○長岡政府委員 御質問まことにごもつともなことでございますが、まず第一点の有益費を回收いたします場合には、土地收用委員会には本法ではかけることになつておりませんが、不服の申立てはできることに相なつております。それからこの有益費と申しますのは、実はそういう規定を設けましたゆえんは、たとえば焼けビルのごときものに非常な金をかけておる。しかもこれを原状回復するということは意味のないことでありまするので、かようなものは有益費として回收する必要があるのでございます。しかしただいま御指摘になりました通り、金をかけましていかにもよくなつておる、こういうふうに見られましても、具体的な場合を見ますと、有益費が有益費になつておらぬ場合がございます。具体的に申し上げますならば、床の間が洋服だんすになつておつたり、はなはだしきに至つては便所になつておる。あるいは五右衛門ぶろがりつぱなバスになつておる。これは客観的に見ましたならば価値増ということが言い得るのかもしれませんけれども、これは当事者としましては非常な迷惑であります。有益費を有益費として見られぬ場合のあることはわれわれもよく承知しております。従いましてそういう場合には有益費として今日までも計上いたしておりません。金はかけましたけれども、実は有益費として回收する性質のものでないという場合がございます。この点はさらに具体的に申し上げますならば、水を引きますために、従来の小さいパイプを大きなパイプにとりかえた。ところが帰つて参りますと、進駐軍当時と違いまして、農地に水をさきます関係上、この水はパイプに一ぱい来なくなつておる。前の小さいパイプと大きいパイプを比較してみましたならば、まさに価値増ということは言えるのでありますけれども、その使用者から見ますならば、かえつて大きいパイプをつけられましたことが迷惑しごくでございます。一ぱい水が通りません関係上、パイプはさびやすい。しかもこれを修理いたしますときには、従来の小さいパイプを持つて行つて直すわけには行かない、こういつた場合がございますので、このパイプが大きくなつたことは実は価値増でありながら価値増と見られぬ場合がございます。この点は回收するといつたような措置を従来とてもとつておりません。
それから第三点の、そのまま使わないで模様がえが行われておりますときに、従来の考え方といたしましては、前の価値と返しますときの価値が、比較いたしまして減少いたしておりますときには、その価値減を補償するのでありますが、ただそれだけでは足らぬ場合がございます。ただいま御指摘になりましたように、これは価値減だけでは足らない、どうしても手入れをしなければならぬという場合がございます。ところが手入れをいたしますためには、価値減として出ました金額よりも金がよけいかかるのであります。所有者にこれだけ迷惑をかけるというときには、その手入れをします。いずれか大きい方を弁償いたしておる次第であります。今後の措置といたしましても、そういう点は十分所有者の利益を考慮いたしまして、迷惑をかけましたことをなるべく補つて行きたい、こういうふうに従来とてもやつておりますし、今後もそのつもりで措置いたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/37
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038・上林山榮吉
○上林山委員 損害をかけた場合、さらに原状に復する場合、多少の改良を含めたものもおつしやるように政府は補償する考えである。この点が明瞭になりましたので、これ以上お尋ねいたしませんが、それをまじめにひとつ実行してもらいたいのでありますが、土地收用の場合については、土地收用委員会の認定というような比較的公平な判断をする機関もありますけれども、建物の場合については、ただいま承つたところではあまりはつきりしないようでありますので、この点について何らか役人だけではなくして、それを認定する機関を正式に設けておるのかどうか。あるいは今後設けようとするのかどうか。この点を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/38
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039・長岡伊八
○長岡政府委員 まことにごもつともな御質問でありますが、従来とても実は不動産審議会なるものを設置いたしております。これは中央に中央不動産審議会というものを設けておりまして、主としてその道の専門家、御経験のある方に入つていただいて、官庁側も入つておりますが、これによりまして組織いたしております。この事務を取扱います各局に、それぞれ審議会がございます。具体的にこのうちの補償額が幾らが至当であるかという場合には、一応計算をいたしまして、この不動産審議会にかけまして決定いたしておる次第でございます。場合によりますと、審議会委員みずから具体的の現場に出向かれまして、この査定が十分であるかどうかということを審査していただいておるような次第でございます。今後とてもこの方法を継続いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/39
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040・上林山榮吉
○上林山委員 本問題に関しては、この次の機会に質問を続行することにいたしまして、この際私は一言申し上げておきたいことは、三月十八日当建設委員会において私が発言した中に、あやまちがありますので、訂正をいたしておきたいと思います。それは健全な民間団体として、殖産住宅相互株式会社があり、それに続いて日本電建会社があるということを申し上げましたが、後段の日本電建は、日本住宅無盡の誤りでありまするから、この際訂正をいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/40
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041・松本一郎
○松本委員長 通告順によりまして、村瀬宣親君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/41
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042・村瀬宣親
○村瀬委員 まずこの法律案のできまする経過についてお尋ねをいたしたいのでありますが、さきにポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係諸命令の廃止に関する法律案が上程されましたときに、第一條の土地工作物使用令を廃止するという條項に対しまして、私は特に岡野国務大臣に質問をいたしました。そういたしますると、岡野国務大臣は、建設委員会の会議録第六号、二月十四日の七ページに、こういう御答弁をなさつておる。「われわれ政府の方針といたしましては、」「ほんとうの独立国家として、いわゆる私的の契約でやつて行きます。それでございますから、両方とも立場は同じもので、向うが貸してくれという、それでは私の方でいわゆる自由意思によつてこれを貸そう、こういうようなことになつて行きまして、この廃止になりました法律のようなことは」、つまり土地工作物使用令でありまするが、「むろんもう絶対に織り込まぬことになるだろう、こう私は考えております。方針といたしましては、普通の独立国家が、また独立の二つの法人格か何かでございましようが、それが対等の契約をして、そうして土地を借りたり、また建物を借りたり、そういうことになる、そうならせる方針で進めて行つておるわけであります。」と、岡野国務大臣ははつきり御答弁になつておる。ところがこの御答弁とは非常に違つたような、ただいま上程になつておる日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案が出て参つたのでありまするが、一体この岡野国務大臣の御答弁とこの法律案とは、方針は一定した線の上につくられたものと当局はお考えになるものであるかこういう岡野国務大臣がお考え違いをしておつたのであるか、行政協定の締結の途上において何らかの間違いがあつたのであるか、まずそれから伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/42
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043・根道広吉
○根道政府委員 ただいま岡野国務大臣が何日にそういう御答弁になつたか存じませんが、大体におきまして私が承知いたしておりまするところは、政府自体といたしましては、できるだけ強制したくない、これだけは常時各国務大臣において言われておつたと私も記憶いたします。また事務を扱うわれわれといたしましても、強制はできるだけ避けるという考え方で、ものを運んで参つておるわけであります。この点につきましては必ずしも首尾一貫せぬわけではございません。ただ一〇〇のうち九九%まで、そのような方法で参ることができましても、そのうちで、ただ一つどうにもならぬ場合ができたときに、このような特別措置が必要である、その現実の面を見まして、この法律案を必要とする、こういうふうに考えるに至つたゆえに、この法律案を提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/43
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044・村瀬宣親
○村瀬委員 一〇〇のうち九九%までは岡野国務大臣のおつしやるように行く予想であるが、なお一%ぐらいはそういうふうに行かないことを予想して、この特別措置法案をつくつたと言われるのでありますが、私はこういう法律ができますると、はたして一%だけに適用することになるかどうかということは、疑問であると思うのであります。岡野さんは自由意思によつて貸してくれ、貸そうということで、すべて処理をして行くのだ、そういうことになる、そうならせる方針だと、こうはつきり勇敢に御答弁になつておるのであります。ところがやはりこの法律案を見ますると、かつての昭和二十年勅令第六百三十六号、土地工作物使用令の変形の形で継続的に出て参つたのではないかという疑いが、非常に濃厚になつて参るのでありますが、土地工作物使用令と、一口に言つてどういうふうにかわつておるか。またこれは運用の精神によつても、非常に住民の受ける利害得失はかわつて来るのでありますが、基本的なこの法律案作成の、当局の思想を伺つておきたい。そうしなければ、せつかく土地工作物使用令を廃止したにもかかわらず、再びそれと同じような結果に国民が苦しまねばならないような結果を見ないとも限らないから、この際はつきりとした基本的な思想を伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/44
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045・沼尻元一
○沼尻説明員 前の土地工作物使用令は、土地收用法とはまつたく別個のものでございましたが、今度の法律は、土地收用法の精神を大部分入れておるのでありまして、土地收用法と違う点を申しますと、この土地收用法による土地立入権とか、立ち入る場合に、市町村長に通知するとか、いろいろそういう点についてはみな土地收用法と同じでございます。それから事業の認定が土地收用法と違います。それから相手方との協議がととのわなかつた場合におきましては、收用委員会にかけるということも、すべて土地收用法と同じでございます。またどの程度に損失を補償するかということにつきましても、すべて土地收用法と同じでございます。その他、訴願あるいは訴訟、そういうここに規定のない点は、全部土地收用法と同じでございます。前の土地工作物使用令におきましては、事業の認定ということもございませんし、それから收用委員会の裁決に付するということもむろんございません。非常に簡単な手続でできたわけでございますが、今度の法律によりますと、ここに規定のある以外のことは、全部土地收用法によつてやるわけでございます。收用委員会にかける、あるいは損失補償も、土地收用法に規定されておる程度の損失は補償しなければならない、そういう点で根本的に違うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/45
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046・村瀬宣親
○村瀬委員 しからばお尋ねをいたしますが、建物の点は第二といたしまして、土地だけについて一応お尋ねいたします。建物を除きました土地に対し、收用法のみで、この法律ができていないとした場合に、どういう不都合を生ずるというお考えでありますか。私は不都合はないと思いますが、土地收用法だけにたよることのできないケースはどういう場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/46
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047・川田三郎
○川田政府委員 ただいま御指摘の点は、先ほど上林山委員からもお尋ねがありました点と同じでございまして、土地を駐留軍のために提供する際、遂に自由契約が行い得なかつたときは、收用という実質をもつてこれを政府が受入れるということであれば、土地收用法がまず現行法として、ただちに使えるものではないか、細部の点においてはその改正を行えばいいではないか、これは一応考えられることでございます。ただ收用という一つの性質から考えますと、一般の都市計画によります收用も、この不動産提供のための收用も、共通性がございます。と同時に別の共通性も考えていただきたい。駐留軍のために提供いたしまする不動産、付属動産、そういうものの共通しました点をまたまとめれば、ある特別の法規によつてそれを一括し、また所管の行政官庁といたしましても、同一のものがそれをまとめる方が、借り上げられまする所有者についても御便宜ではないかという点から、これはお説の通り、土地收用法によりまして土地の部分だけはやる。建物、付属動産等につきましては、他の法律でやるということもまことに正当に考えられますが、その借上げの便宜という点から参りまして、かかる特別法規を臨時的につくりまして、それによつて、そちらの方の共通性から、土地、建物、その他それに必然的に付属する物件を借り入れる、こうしたいと存ずる次第であります。土地收用法を改正してもいいではないかという御意見は、その意味においては部分的に私どもも承服せなければならないところでございますが、そちらの方ばかりをお考えくださらないで、もう一つの属性の方、提供不動産関係といたしまして、土地、建物、その他を通じて、こうした法規によつて、しかも土地收用法は恒久的の法規でありますし、これはこれだけ一まとめにして廃止すれば、簡単に他の時期において廃止をすることができる、そういう便宜もありますので、こういう特別法を御提案申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/47
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048・上林山榮吉
○上林山委員 ただいまの御答弁は、私に対する答弁と幾らか違つた答弁のように聞えますので、私はこの点をもう一ぺん聞いておきたいと思います。土地收用法でやつて行けるじやないかという議論は、私は村瀬委員と同じ意見なんでありますが、一部土地收用法をそういう意味で改正するだけで十分だ、こういうのがぼくの議論なんで、それに対しては、部分的にはおつしやることもわかるけれども、土地收用法でやつて行けないことはないけれども、その他の理由から考えてこの法案を出す方が便宜なんだ、こういう御意見は私はふに落ちない。私に対しては、原則として土地收用法を適用すると同じようにたくさんの準用規定があつて、ほとんど土地に関する限りこれでやつて行けないのじやないのだけれどもというふうに、非常に消極的な取上げ方を措置法案に対してはしておられた。ただいまの議論を聞くと、一部そういう理由にもなるけれども、大部分はこの法案を適用しなければならぬのだ、こういうので、抽象論であるからそういう議論も起つて来るので、具体的に私はいろいろ聞いて来た。この具体的な問題についても、おもなる点は、あるいは大部分は、全部土地收用法を適用するのだ、準用するのだという言葉を使われるけれども、これは適用するのだと言つても同じことだ。いずれにしてもそういうふうに言うておられる。だから村瀬委員と私に対する答弁が食い違つておるように思うので、はつきりと二人に答える意味で答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/48
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049・川田三郎
○川田政府委員 ただいまのは建物を含んでいるという意味でざごいますので、土地だけ切り離せば土地收用法という線でも行けるかもしれないのですが、建物を含む関係上、一括してこの特別法案によつて処理することが適当であろう、こういう意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/49
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050・上林山榮吉
○上林山委員 その点は、建物を除外して一応土地に関する限りということは、私の質問の趣旨もそうであつたし、村瀬委員の質問の趣旨もそうであるのであるが、土地收用に関する土地についてのはつきりした答弁を私は聞いておるのであります。その点を明瞭に願いたい。おそらく村瀬委員もそういう趣旨であると思うのであります。その意味においてはつきり願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/50
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051・村瀬宣親
○村瀬委員 この問題は非常に大事な問題でありまするが、政府の方におかれてもいろいろ御研究を要する問題かと思いますので、次会までに十分の御調査を願つて、明確な表現方法も研究なされて、はつきりとした御答弁を煩わしたいと思いますので、この点だけは次会に御答弁を願います。本日必ずしもこの場で御答弁の要求をいたしません。
そこでまつたく観点をかえまして、別の問題を一つ伺つておきたいのでありますが、行政協定の交換公文——ラスク代表から岡崎国務大臣あての書簡を見ますと、一番しまいに書いてあるのでありますが、「日本国が、前記の協定及び取極が成立するまでの間、施設及び区域でそれに関する協定及び取極が日本国との平和條約の効力発生の日の後九十日以内に成立しないものの使用の継続を許されれば、幸であります。」と、デイーン・ラスク氏から岡崎勝男殿あてに書簡を出しておる。それに対し、岡崎国務大臣からラスク代表あての書簡には、それをただちに受けまして、「平和條約の効力発生の日の後九十日以内に成立しないものの使用の継続を合衆国に許すことを、日本国政府に代つて、確認する光栄を有します。」という書簡を出しております。それには期間が全然明記されてありません。ところがこの附則の第二号によりますと、「六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる」と、一応六箇月という期間をはつきりと日本の法律できめようとする。これは書簡でありまして、條約ではないといいますけれども、こういう場合の書簡は、いわゆる條約に付随したものでありまして、相当国際信義上守らねばならない部面があると思うのでありますが、一方では期限が付してない。日本国政府にかわつて確認する光栄を有すると岡崎国務大臣は言つておるのに対し、この法律で六箇月と区切る、こういうことは、将来いかなる場合にも、行政協定の内容にどうあろうと、日本は日本の法律できめて行くのだ、こういう断固たる政府の勇猛心をここに表わされたものであるかどうか。根本的な国際慣行、並びに国内法との関連について明確な御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/51
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052・根道広吉
○根道政府委員 ただいまの書簡に関しまする答弁は、私からすべきではないかもしれませんが、考え方といたしまして、先般他の委員会におきましても、その点私質問にあずかつたのであります。そのときに、書簡は書簡であります。とにかく一種の国際約束でございましよう。しかしながら、国民の権利義務に関係があることを政府が強行するというようなことは、新たなる立法措置なくしてはとうてい行い得ないものであつて、たとえば一事務を扱います特別調達庁といたしまして、その書簡だけでは、民間家屋等の接收に類する行為をいたすことはできませんと、はつきり申し上げた次第でございます。従いまして、もし今後軍のために引続き使用せしむる必要があるという場合に、その事実により、また交換公文の趣旨に基いて具体的の措置をします場合には、必ずや現在提案に相なつております法律案のごとき法律を要する、こういうふうに考えておつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/52
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053・村瀬宣親
○村瀬委員 はたはだ核心を得ない御答弁と思いますが、これは適当な機会に大臣の出席を求めて、明確な政府の方針を聞かねばならぬことにもなると思うのであります。
そこでなお伺つておきますが、この六箇月という期限を設けられたのは、これは日本の関係住民を保護する意味であるか、それとも安全保障條約第三條に基く行政協定の区域、施設等を早くきめるのに便宜のためであるか、どつちの精神からきめられたものであるか、それを伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/53
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054・長岡伊八
○長岡政府委員 実はこの六箇月ときめますことは、考え方といたしましてはいろいろある思うのであります。三箇月でよいじやないかという考え方もございます。一箇月でよいということも考え得ると思うのであります。何しろ現在連合国軍に提供いたしております土地建物が相当件数ございます。建物につきましても二千数百件ある次第であります。これは行政協定ができまして、ただいま予備作業班でも鋭意交渉いたしておる次第でありますが、大分返されるものはあるであろうという予想でございます。しかし今御指摘の交換公文にありますように、続けて使うというものができました場合には、これの話合いをつけますのに相当の手数と日数を要しますので、もしその間に話合いがつきませんで契約の空白の期間ができますと、これは自他ともに非常に迷惑な話でございます。六箇月ありましたならば、さような迷惑をかけることはあるまいかと考えまして、六箇月といたした次第でございます。なおただいま御指摘になりました交換公文の点につきましても、六箇月ありますならば、その間に合同委員会
の話のつかぬというようなことも解消いたしまして、條約上の義務を果すことにも相なると考えましたので、六箇月といたした次第であります。ただわれわれといたしましては、この六箇月の期間中に、新しいべースに立ちまして所有者と新しい契約をいたします。従来の契約條項につきましてもいろいろ改正すべき点もございますので、こういうものを改正いたしまして、早く契約を締結いたしまして、この期間一ぱい必ず使う、かような考えでおるわけではございません。最悪の場合に、ただいま申し上げました空白の時期ができて迷惑をかけるようなことがあつてはならぬ、かように考えました結果、この規定を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/54
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055・村瀬宣親
○村瀬委員 私の質問に対しましての御答弁はそれでは満足でありません。続いてもう少し掘り下げて質問をいたしたのでありますが、いずれいろいろ政府側においても勉強なさつて次の機会に出られるでありましようから、私はこれに関する質問を留保いたしまして、次に進んでおきます。
最初読み上げました岡野国務大臣の二月十四日の御答弁によりますと、ともかくも自由意思で、対等の独立国で、二つの法人格という意味で契約をするのだ、こういうことであつたのであります。今の政府の御答弁の中にも、建物が非常に多いということであります。その建物はこの際当然いわゆる対等の立場で、家主と借主というような形で一応すべてを御破算にして、料金なり家賃その他をきめるべきであると思うのでありますが、そういう手続をおとりになる方針でありまするか。今非常に件数が多いとみずから御答弁になりました。それらの人々はもうここで行政協定もできたし、平和條約も発効すれば一応自分の家はもとしてもらえると考えるのは当然であります。その処置はどういうふうになさつておるのでありますか、またそれをなそうとするのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/55
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056・根道広吉
○根道政府委員 この六箇月の期間におきまして、新たに政府と所有者の間に契約を取結ぶという場合におきましては、従来の契約がはなはだ一方的な書き方がされておつた点もありますので、こういう点はできるだけなくしたいと思いますし、また家賃、地代等の問題につきましても、所有者において不服、不満の面もある関係上、家賃や地代の増額という面もあわせて考慮して、新たなる契約を結びたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/56
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057・松本一郎
○松本委員長 残余の質疑は次会に行うことといたします。
次会は明日午前十時より開くこととし、本日はこの程度で散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X01919520415/57
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