1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月六日(火曜日)
午後一時四十八分開議
出席委員
委員長 松本 一郎君
理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君
理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君
逢澤 寛君 淺利 三朗君
小平 久雄君 内藤 隆君
西村 英一君 中島 茂喜君
増田 連也君 池田 峯雄君
出席政府委員
建 設 技 官
(道路局長) 菊池 明君
委員外の出席者
建設事務官
(道路局庶務課
長) 淺村 廉君
專 門 員 西畑 正倫君
專 門 員 田中 義一君
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五月一日
木曽川下流水利権確保に関する請願(江崎真澄
君紹介)(第二四六三号)
下田より南中、南上を経て岩科、松崎に至る間
の道路幅員拡張の請願(畠山鶴吉君紹介)(第
二四六四号)
能登島、七尾市間道路開設の請願(南好雄君紹
介)(第二四九四号)
公営住宅建設費の国庫補助基本額引上げ等に関
する請願(苫米地英俊君紹介)(第二四九六
号)
府県道水津松ヶ崎線改修工事施行の請願(風間
啓吉君紹介)(第二五二二号)
五十嵐川の治水事業等に関する請願(亘四郎君
紹介)(第二五二三号)
高田馬場地区区画整理に伴う都電通り幅員拡張
反対の請願(野村專太郎君紹介)(第二五二四
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
道路法案(田中角榮君外二名提出、衆法第二七
号)
道路法施行法案(田中角榮君外二名提出、衆法
第二八号)
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001・松本一郎
○松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。
道路法案、田中角榮君外二名提出、衆法第二七号、及び道路法施行法案、田中角榮君外二名提出、衆法第二八号を一括して議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。西村英一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/1
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002・西村英一
○西村(英)委員 私は前会の質問におきましては、道路法を改正いたしまするにつきましての、きわめて概括的な大きい問題について提案者に御質問を申し上げたのでありますが、この法案が非常に大部の法案であるし、またいろいろ複雑をきわめておりまするので、多少条文のことをはつきりいたしておきまするために、さらにこの際二、三こまかい点について御質問を申し上げます。
第一番には法の第十四条と第十五条の関連性の問題であります。一級国道及び二級国道の管理は、法の第十四条によりますると都道府県知事の管理になつている。第十五条におきましては、都道府県道は、その管理は都道府県になつておるのであります。すなわち、都道府県知事の管理であるということと都道府県の管理であるということが法律的にどういうような違いがあるのか、また実質的にどういうような違いがあるのか、この点を明らかにいたしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/2
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003・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。十四条と十五条の都道府県知事と都道府県に区別いたしましたのは、都道府県知事は知事に委託するのでありますから、都道府県議会の議決を経なくてもいいわけであります。都道府県は都道府県の議会の議決に基くものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/3
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004・西村英一
○西村(英)委員 もう一つ、法律の第二十条の兼用工作物の点と、条文の第三十一条の道路と鉄道との交叉の条文のかかり合いであります。第二十条の兼用工作物の条文におきましては、軌道法による軌道は、いわゆる地方鉄道法の地方鉄道と同様に取扱われておつて、兼用工作物の条文に軌道という文句が入つておるのでありまするが、三十一条の道路と鉄道との交叉の点におきましては、軌道は入つておらないのであります。その違いはどういうわけであるか、私は軌道法は建設、運輸両大臣の共管であるからして、第三十一条のような交叉する場合に当然両大臣の共管になるものについては、軌道は入つていなくてもいいというような御解釈じやないかと思うのでありまするが、二十条に軌道が入つており、三十一条に軌道という文句が見えないのはどういう違いであろうかということをお尋ねしてみたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/4
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005・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。二十条に書いてありますのは、新設の軌道が交叉する場合でありますので、これはもちろん本法が基準になるわけでありますが、三十一条の場合は、建設、運輸両省共管であるところの軌道法によるべきものでありますので、二十条に書いてあるから三十一条に書かないでいいというような軽い気持でなく、かえつて三十一条は、このような重要なものに対しては本法を基準としないで、軌道法の精神を生かして、建設、運輸両大臣の協定に上つて決定をした方がよろしい、こういうふうな意味で三十一条には除いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/5
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006・西村英一
○西村(英)委員 三十一条の道路と鉄道が交叉する場合においては、当然地方鉄道と交叉する場合において協議が行われるように、軌道の場合は、当然協議が行われなければならぬものだ、それは軌道法によつて両者の共管であるからはつきりしておるのだ、かように私は解しておきます。
第三番目の問題は、第三十二条におきまして、いろいろ道路を占用する場合の届出の問題であります。道路を占用する場合の道路管理者の許可を受ける条項の中に、第一項の第三号に、「鉄道、軌道その他これらに類する施設」ということになつておるのでありまするが、私の見解によれば、現在の軌道法によりますれば、軌道は常業の免許を受けます場合におきまして、主務大臣すなわち運輸大臣の許可をとりますれば、当然それは道路管理者の許可をとつたものとみなすということになつておりまするから、しいてこの第一項第三号の中に軌道という文句は私はいらないと思うのであります。もしかりにここに軌道という字句が入りましても、それはやはり軌道法の許可を得たときに道路管理者の許可を得たものとみなすというのでありまして、この法律による許可その他の手続は私はいらないものだろう、かように解しておるのでありまするが、さような解釈でいいかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/6
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007・田中角榮
○田中(角)委員 御承知の通り、道路法は基準法でありまして、軌道法は道路法に対する特別法であります。特別法がある場合は、特別法が基準法よりも強い条文の場合、この特別法が適用せられるのでありまして、もちろん軌道法によつて許可を受けた者は本法によつて許可を受ける必要はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/7
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008・西村英一
○西村(英)委員 もう一点、条文の第五十九条の附帯工事の問題であります。提案者は今までの委員の質問に対しまして、この道路法の全般につきまして、先般改正されました河川法の場合にも問題が起りましたように、この附帯工事は原則としては原因者負担である、また現在の社会情勢から見ますれば、原因者負担にしなければならぬ。提案者も、原則としては、附帯工事というものは、原因者負担であるということをたびたび申しておるのでありまして、私たちもそういうような意味において五十九条は適当であろうと思うのでありまして、ただ五十九条におきまして私が非常に不安に思うことは、この条文をちよつと読み上げますと、「道路に関する工事に因り必要を生じた他の工事又は道路に関する工事を施行するために必要を生じた他の工事に要する費用は、」、それから第三十二条云々というところの但書に似たところの条項が入つておるのであります。すなわち「第三十二条第一項及び第三項の規定による許可に附した条件に特別の定がある場合」、つまり原因者負担にするといえば、道路の費用が非常にかかることになるから、行政をやられる人は許可をするときに特別の条件を付しようという、きわめて用心深いところの条項を入れておるように私は見受けるのであります。従いまして原因者負担でやることはいいけれども、そうすれば道路費がかかるから、初め許可のときにいろいろむずかしい条件を付しておこう、こちらの道路の希望するときにはやはり金を出すような条件もつけておこうということで、むずかしい条件をつけるのじやないかと私は思うのでありますが、もしかりに許可認可のときにむずかしい条件を付するということになれば、原因者負担というところの精神が非常にゆがめられるわけであります。こういう場合があるかもしれませんが、特別な条件を付する場合においては、第八十八条にも特別な条件を付する場合がある、これはあたりまえのことです。交通の妨害をしようとかなんとかいうような特別の事情のときには、許可のときにお前はこうしなければならぬ、将来はこうしてくれというような特別な条件を付することはあたりまえでありますが、一般許可、認可のときに、特別な条件を付する、しかしてこの原因者負担の精神を阻害するというような挙に出るのじやないかという心配が私はここにあるのであります。かような心配はないのだ、かくのごとき例もあり得るから、こういうふうな文句を入れたのだという御説明であるか、またはそうでないか。「第三十二条第一項及び第三項の規定による許可に附した条件に特別の定がある場合並びに第三十五条の規定による協議による場合を除く外、」、これだけの文句は多少原因者負担の精神に反する行政のやり方をするのじやないかという心配がありまするために、あえてお聞きしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/8
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009・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。五十九条の精神はしばしば申し上げました通り、河川法の原因者負担が原則であります。もちろん現行法の四十一条とおおむね同趣旨の規定でありまして、特に改正法案によりましては原因者負担ということをはつきりと明記し、占用物件の移転工事等の費用は附帯工事とみなす、こういうふうに考えておりますので、占用の場合、無理な条件等を付して本法の精神に逆行するようなことは全然考えておりません。なお占用の場合いろいろな条件を付されて、実際の場合には原因者負担にはならないのじやないかというお考えもあるようでありますが。本法第八十八条において、許可の条件は許可を受け得る者に不当な義務を課することとならないものでなければならないと規定した精神通りでありますので、実際的には特殊な場合を除いて不当な条件を課するようなことは断じてありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/9
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010・西村英一
○西村(英)委員 提案者の趣旨はよくわかりました。第八十八条においてはこれは道路の構造を保全し、交通の危險を防止し、その他円滑な交通を確保するために必要な条件を付することはあるでしようが、一般の許可、認可の場合にも原因者負担でやられると、これは金がかかつてしようがないから、初めの認可、許可のときにむずかしい条件を付しておこうというようなことをやられると非常に困るのでありまして、ややもするとやりがちなのでありますが、行政をやられる道路局長がおいでになつておりますから、道路局長から一応話を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/10
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011・田中角榮
○田中(角)委員 もう一言だけ申しておきますが、全条を通じて、いわゆる八十八条に明記せられておる精神を行うことにはかわりはありません。ただ五十九条を簡単に申し上げますと、交通量の増加その他やむを得ない事情により、占用物件の移転を必要とする旨を道路管理当局が認めた場合には、一部無償で撤去を命ずることがあるという軽い意味でありまして、この表現は少しきつい規定かもしれませんが、法の精神は八十八条と同断であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/11
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012・菊池明
○菊池政府委員 今までやや苛酷と思われるようなこともあつたかと思いまするが、今度は当然将来工事が行われる予定になつているような箇所で、やはり占用したいというような場合、これはもうすぐ工事がありますよと言つても、しかしいろいろの関係でどうしてもやりたいというような場合、当然工事にかかることがきまつておりまても、まだ占用したいというような場合には、やはりやります際にそちらで負担してのけてくださいというような条件はつける場合があると思います。それがどうなるかわからぬというような契約であるのは、これは苛酷であろといわれておりますが、そうでなくてもう数年すればやるにきまつているという場合はしばしばあるわけでありますから、そういう場合のことでありますと、やはりそういう条件は付する場合があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/12
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013・西村英一
○西村(英)委員 これは当然将来において変更があることはわかつておりますから、いろいろ条件を付しなければならぬという場合が多々あると思いますが、ややもすると苛酷な条件を付したがるのであります。そうすると原因者負担ということは何もならないわけであります。認可、許可をするときに条件を付しておけば、変更のある場合もその全費用は出願者の負担だ、許可のときに条件を付しておけばその条件に従わなければならぬ。しかしそういう無理なことをやつておつたのでは原因者負担の精神にならぬから、これは行政の面において常識的にやつてもらいたいということを言うにすぎないのでありますから、その辺を御留意願いたいと思います。私の質問は大体これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/13
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014・松本一郎
○松本委員長 池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/14
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015・池田峯雄
○池田(峯)委員 この法律では政令にまかせてある部分が非常に多いので、道路局長に質問したいと思うのでありますが、たとえば第四条、第五条、第六条の一級国道あるいは二級国道、こういうものは具体的に日本のどことどこが一級国道になり二級国道になるのか、これを答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/15
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016・菊池明
○菊池政府委員 これはこの法案が通りましてから政令を出すわけでありまして、ただいま研究いたしておりますが、お目にかける程度にはまだなつておりません。われわれの気持は現在とあまりかわらないじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/16
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017・池田峯雄
○池田(峯)委員 提案者が一級国道と二級国道にわけた、その理由を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/17
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018・田中角榮
○田中(角)委員 道路を整備しようというのがわれわれの目的でありますので、もちろんできれば一、二級国道等とわけなくて、全部一級国道として工事を行いたいという考えもあるのでありますが、財政的な立場から、重点的にこれを行わなければならない。現行道路法では御承知の通り国道ということで、一、二級にわけておりませんが本法によりましては現在の国道が大体一級国道になり、従来都道府県道であつたもののうちから相当数を二級国道に格上げしたい、こういうのであります。これを一挙に現在の国道式に全部採用できればいいのでありますが、財政の都合上、重点的に一級国道、二級国道、都道府県道、市町村道と、おのずから、道路の価値判断の上からわかれる通り、国道も一、二級の二つにわけたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/18
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019・池田峯雄
○池田(峯)委員 法律をつくる場合には、実在する道路網を全然頭の中に入れないで、観念的に頭の中で法律をつくるというようなことは絶対にあり得ないことだろうと思います。やはり具体的に、日本の道路網はどういうふうにすべきかというような観点から法律案がつくられたのではないかと思う。とすれば道路局長を呼ぶなり何なりして、たとえばどういうところを一級国道にするか、どういうところを二級国道にすべきかというような点を相当詳細に具体的に論議されて、そうしてこの法律案ができて来たのではないかと思うわけです。従いまして、道路局長はまつたく白紙で、これから審議会にかけて決定するものだという答弁でありますが、これははなはだ当を得ない答弁ではないかと思う。実はもう道路局長の頭の中には、あそことあそこを一級国道にすべきであるという、ちやんとした概念があつて、そうしてこういうふうにひとつつくつていただきたいというくらいのことは、提案者の方に希望が申し出てあつたはずだと思う。そういうことがないとすれば、これは道路局長としての資格が実際はないはずだ。法律が出て、これから研究して、どことどことを一級国道にしようというようなことを考えておるようでは、これは道路局長としての資格はないはずだ。だからこれは頭の中にもうちやんと具体案があると見なければならない。その具体案をここにはつきり示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/19
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020・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。どうも池田君の御意見とも思われない御意見を拝聴して、いささか驚いておるのでありますが、一級国道は、しばしば申し上げます通り、全国的幹線道路網の枢要部分を構成する道路がすなわち一級国道であります。二級国道は、一級国道とあわせて全国幹線道路網を構成する、すなわち二級国道であります。もちろん現行法によりまして、明治憲法の、これも池田君のおきらいであるところの師団司令部と師団司令部をつなぐ道路を国道となすというのが、現行憲法のもとでは非常にふとどきである、こういう考えから新法を立案したわけでございます。もちろんこれは一級国道、二級国道をすでに道路局では立案し、道路局長の頭の中にはあるであろうということのお話でありましたが、私の頭の中にはあります。ありますが、道路局長にあえて意見を聞かなかつたわけであります。それはなぜなれば、本法の精神は、今までは、現行法の通り、建設大臣が国道を單独で指定しておつたのでありますが、このようなフアツシヨ的なるやり方は、現行憲法下まずいという観点に立ちまして、衆知を入れ、日本の新しい経済的道路の価値判断をつけてから、十分愼重審議の結果、一、二級国道を決定したいというのが、本法制定の根本理念であるわけであります。よつて、現行道路法によりましては、建設大臣が單独に指定できるものを政令に讓り、しかもこれが状況調査等につきましては、審議会を設けて、十分調査を重ね、万遺漏なきを期した上で政令で定めようと思つておるのでありまして、道路局長が今までの道路局長としての観念においてつくられるところの一、二級国道の案そのものをうのみにするわけには参らないわけであります。本法施行後は、十分各種の機関を動員し、審議会で十分練つたあかつきに、本法の精神を十分生かせる意味における一、二級国道を愼重審議の結果確定をしたい、しかもそれは、現行道路法において指定せられた国道よりも退歩するものではなく、全国約九千キロに及ぶもののほとんど全部が一級国道になり、現在の重要地方道として指定せられておるものの中から、一万キロに近いものを二級国道に格上げしたいというのでありますから、観念的に申しても、現行道路法よりも相当の進歩であるという確信を持つて曲るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/20
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021・池田峯雄
○池田(峯)委員 それでお尋ねしたいのですが、第六条の特定重要港湾とか、あるいは重要飛行場とか、あるいは国際観光上重要な土地とか、これは具体的に、一体どういう箇所を指すのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/21
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022・田中角榮
○田中(角)委員 これもいろいろ本法施行後、特に今までの、ただ観念的に考えられる港や、都市を言うのではありませんで、新しい角度から、多角度から研究した上で、重要港湾として指定せられるもの、重要都市と認められるものと言うのでありまして、今から言えば、東京、大阪、神戸、横浜、名古屋等は、あなたが今言われた都市に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/22
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023・池田峯雄
○池田(峯)委員 私は、この特定重要港湾といい、あるいは重要な飛行場といい、国際観光上重要な都市というのは、これはもうまつたく、駐留軍の、占領軍が形をかえたアメリカ軍の軍事基地、こういうものがここに法律にはつきりうたわれているのではないか、こういうふうに考えられるわけです。重要港湾といえば、これはアメリカがアジアにおいて作戦する上の軍港である。重要な飛行場といえば、アメリカの軍の飛行場であり、国際観光上重要な土地といえば、これはやはりアメリカの飛行場の近くの慰安所であるとか、こういうところである、こういうふうに考えられる。まつたくアメリカ駐留軍の作戦にのつとつて、これを便ならしめるための、そういう道路をつくつて行く、これが第六条の三項に該当するのではないだろうか、こういうふうに考えられるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/23
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024・田中角榮
○田中(角)委員 このごろ講和会議が済みましてから、ポツダム政令を法律に直したり、それから行政協定第三条に基く云々という法律がたくさん出て来ますので、池田君はそういう意味からどうもあつものに懲りてなますを吹いておるような御議論ではないかと思います。本法の精神は、新憲法にのつとつた道路法をつくろうというのでありますから、まつたく逆行するものでありまして、駐留軍のために特別な便宜を供與したいという考えは毛頭ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/24
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025・池田峯雄
○池田(峯)委員 道路局長にちよつと質問しますが、重要な飛行場というと、どこを指定するつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/25
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026・菊池明
○菊池政府委員 重要な飛行場といえば、東京とか、伊丹のある大阪とか、博多とか、そういう所になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/26
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027・池田峯雄
○池田(峯)委員 そうすると、立川とか横田とかは全然この重要な飛行場の中に含まれませんか。そういうふうに断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/27
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028・菊池明
○菊池政府委員 それはまだ——おしかりを受けるかもしれませんが、研究しなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/28
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029・池田峯雄
○池田(峯)委員 それだからわからないと言うのだ。提案者のごとき趣旨ならば、道路局長は本席において断然、立川や横田の軍用飛行場はこの重要な飛行場には含みませんと断言ができるはずだ。それができないというのはおかしいじやないか。重要な飛行場といつても、日本の飛行場ではない。従つてアメリカの軍用飛行場である。そういう軍用飛行場はこの重要な飛行場に含みませんと断言できないところを見ますと、これはもうアメリカの軍用飛行場等を結ぶ道路が、これが二級国道となつて新設されて行く、こういうふうに考えざるを得ないのでありますが、この点、もう一ぺんお尋ねをしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/29
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030・田中角榮
○田中(角)委員 池田君は特に軍事基地だけを言つておられるようでありますが、本法は道路の基本法でありまして、そのような特定なものを全然考慮に入れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/30
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031・池田峯雄
○池田(峯)委員 法律というものは、提案者が考慮に入れなくても、執行者がどういう執行をするかということはこれは考えてみなければならぬはずなんであります。たとえば消防法のときなども、「災害等」という、「等」という文字を入れましたために、京都の警察署長ですかが、この「等」という文字があるから、労働者のデモなどもこの「等」の中に入るのだと言つて、消防を動員して水をぶつかけたという事件が出ておるわけであります。これはおそらく提案者としては、この「等」という文字に労働者のデモが含まれているということは考えておらなかつただろうと思います。この議会の議事録を見ても、そういうものは含まれておりません。にもかかわらず法の執行者はそういうことをやるわけでありますからして、そこでお聞きしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/31
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032・田中角榮
○田中(角)委員 法の執行者は立法の精神を十分くんで、それを施行することが当然であります。もちろんこれが法律の施行者は内閣であります。内閣の責任において行うのであり、しかも本法は議員立法であり、議員の信任の上に立つ内閣が行うのでありますから、立法者の趣旨が十分くみとられ、これに逆行するがごとき施行は行われないと確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/32
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033・池田峯雄
○池田(峯)委員 そうでありますれば、本委員会の議事録にとどめていただきたいと思います。この重要な飛行場というものの中には、アメリカの駐留軍の飛行場というようなものは一切、絶対に含まれないものである、こういうふうに提案者の方ではつきり明言していただいて、政府がそういうことをもしやつたとすれば、提案者は責任をもつて、それに対して断固たる措置をとる、こういうふうにひとつ議事録の上に明言していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/33
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034・田中角榮
○田中(角)委員 軍事的に必要なる飛行場等に対しましては、行政協定に基く駐留軍と日本との両方から出す、ところの分担金があります。この中で道路の補修、橋梁のかけかえ、その他の費用が見積られておることは御承知の通りであります。この費用で行うのでありまして、本法によつてそのような特定な地域をさして、ただそれのみの理由によつて重要であるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/34
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035・池田峯雄
○池田(峯)委員 そこでまた新しく質問したいのでありますが、しからば防衛分担金あるいは安全保障諸費というようなものから、道路をつくる費用を出して新たに駐留軍のための道路をつくつて行くという場合は、この道路法は全然関係のない、この道路法とは全然別個の道路になるわけですか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/35
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036・田中角榮
○田中(角)委員 この新しく生れる道路法の規定よりも、大体駐留軍の、特に駐留のために必要な道路は、構造の上においても強度のものが要求されるだろうと思います。もちろんこれよりも以上の高度なものを要求せられたものは、でき上つた後は、この法律によつて維持せられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/36
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037・池田峯雄
○池田(峯)委員 この法律によつて管理とか維持とかいうものが、やはり律せられるとすれば、そういつたような道路は、やはり一級国道とか、二級国道とか、あるいは都道府県道とか、こういう種類の中のどれかに入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/37
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038・田中角榮
○田中(角)委員 本法で指定するところの一、二級国道、都道府県道及び市町村道に行政協定に基く費用の中から出されて改修が行われる等の場合は、当然本法に規定せられておるところの一、二級国道であり、都道府県道でありますが、新しく駐留軍の分担費用の中からつくられるというような問題は、これからお互いが協議をしてきめらるべきでありまして、軍専用のもの——まつたく一般の交通にも供せず、軍事用のためにつくられるものが、本法にただちに編入せられるとは思つておりません。しかし将来は徐々に本法に組み込まれて、本法によつて制約を受けて行くということを考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/38
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039・池田峯雄
○池田(峯)委員 行政協定に基いていろいろな国内法が出ております。土地収用法にしても、やはり行政協定に基く土地収用の特別法が出ております。従つて道路についても、そういうものを将来つくられるお考えなのであるか、それともこの法律で一本にしてやつて行くつもりなのであるか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/39
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040・田中角榮
○田中(角)委員 特別法をつくろうとは考えておりません。できるならば本法によつて律して行きたいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/40
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041・池田峯雄
○池田(峯)委員 そういたしますと、やはり第六条の三号の重要な飛行場、あるいは特定重要港湾というものの中には、やはりアメリカの軍港あるいはアメリカの飛行場というようなものも含まれる可能性はあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/41
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042・田中角榮
○田中(角)委員 どうも落ちがそういうところへ行くようでありまして、答えにくいのでありますが、本法は日本の道路の基準法であります。だから行政協定によつて分担金の中からつくられる道路も本法によつて律したいけれども、それだからといつて逆論的に、では行政協定による分担金の中からつくられる道路が道路法の適用を将来受けるから、そこも重要港湾であり、重要飛行場であるかという議論は成り立たない、こう私は考えております。もちろん行政協定の場合は、池田君もいろいろ反対されて十分おわかりである通り、これからその道路をどういうふうにするかという問題は、まだ将来に相当残つているのでありまして、これから日本政府と駐留軍との間に合同委員会を設けて研究して行くのでありまして、実際日本の国内につくられた道路や橋梁や隧道いうものは、将来は一切が日本のものになり、日本の法律によつて律せられることは当然でありますが、過渡的な現象としては、そうも言い切れない面が多分にあると思います。もちろん行政協定によつてなぜそういうところをはつきりしないかという御意見が次に出て来るだろうと思います。私は当時の大臣でもありませんし、折衝者でもありませんので、岡崎君でもお呼びになつて、お聞きになつていただけば一番よくわかるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/42
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043・池田峯雄
○池田(峯)委員 どうも提案者はその問題をなるべくそらそうそうという答弁をしております。しかしやはりこれは非常に重要な問題だと思います。そういう軍用の専用道路というものが当然行政協定に基いてできて来る。一体その維持管理というものはどこがやるのか。新設の費用は安全保障諸費というようなところから出るにいたしましても、しからば維持管理の費用はどつちで持つのか。あるいはまた一般の人も交通をする。しかし大体半分以上はアメリカの軍用自動車が通る道路であろ。従つて準軍用道路である。準軍用道路に対しては、どれだけの費用を分担するのか、維持管理はどつちがやるのか、こういう点がこの法律の中で非常にぼやかされておるわけです。しかしながらこれはそういつた軍用道路まで含まれるということは、この法律の条文の中でわかるわけです。含まれるのであるけれども、その分担はどちらがどういうふうにやるのかという点が、きわめてあいまいになつておるわけです。ですから、この点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/43
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044・田中角榮
○田中(角)委員 池田君はある点に引きずつて行こうという御質問でありますが、私はそれようというのではありません。私はこの法律の趣旨そのままをすなおに申し述べておるわけであります。駐留軍が分担費用の中から道路をつくる場合、これが全然新しく軍用道路として專用せられておる場合と、それから先ほど申し上げましたように、一、二級国道及び都道府県道の上を舗装したり、橋を修繕したりという問題が起きて参りますが、現行道路法によつて、日本政府が管理をしている道路の上に工事を進められる場合には、当然この道路法は適用せられておるわけであります。その場合の維持補修費はどうなるかという問題でありますが、これは当然先方が特殊な条件によつて使う場合、特殊な舗装、特殊な工事を要求する場合等の維持管理費は、日本政府として要求し、分担金の中からこれをもらえばいいわけであります。またもらうことが当然であります。また先方も出すことにやぶさかでないと思います。
それから專用的なものは、はたして道路法による道路と言い得るかというと、私は言えないと思います。これは日本に移管せられた場合道路法による道路と言い得るのでありまして、向うが專用している場合には、自分が自分の力でつくつて、全然軍以外の者は通らないという道路については、本法の適用はありません。ただ将来これを移管し、また維持管理を依頼して来たというような場合はありますが、この道路法でもつて律せられない駐留軍の専用道路については、もちろん維持管理費、補修費等も、日本政府が負う必要はありませんし、また負うこともありません。これは全部防衛分担金の中から支出せらるべきであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/44
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045・池田峯雄
○池田(峯)委員 今、本会議をやつているのですが、一時休憩されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/45
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046・松本一郎
○松本委員長 それではしばらく休憩いたします。
午後二時三十二分休憩
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午後四時二十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/46
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047・内海安吉
○内海委員長代理 休憩前に引続きまして会議を開きます。
道路法案及び道路法施行法案について質疑を続行いたします。池田峯雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/47
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048・池田峯雄
○池田(峯)委員 第十二条ですが、「建設大臣が当該一級国道の路線の存する都道府県の知事がその工事を施行することが困難又は不適当と認みる場合においては建設大臣が自ら行い、」こういう規定があります。「困難」であるということはわかりますが、「不適当と認める場合」というのは一体どういう場合でありましようか。たとえば都道府県知事に将来共産党の人でも出たとき、一級国道は軍用道路だから、これを共産党の知事にやらせるのは不適当である、こういうことを含んでいるのでありますかどうか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/48
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049・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。そういう意味ではありません。これは工事が高度の技術を要する場合、高度の機械力を利用して実施する必要がある場合等でありまして、都道府県において行うのは不適当である、こういうふうな場合に限つて行うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/49
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050・池田峯雄
○池田(峯)委員 それならば困難でいいわけなんです。高度の機械力を使用する、あるいは高度の技術を必要とする。従つて当該都道府県が持つている設備、機械力をもつてしてはその工事を施行することが困難である、こういうことで、十分ではないかと考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/50
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051・田中角榮
○田中(角)委員 二つの都道府県にまたがる箇所を行う場合、そのいずれかの知事が、協定がなつてやる場合はいいのでありますが、各府県知事とも自分が行いたいという場合があるのでありまして、在来の例から言ますと、この両県知事の協議はまとまらないのでありまして、こういうときは大体直轄で施工しておるのであります。現行でやつておる通り、都道府県の境界等の工事で協議まとまらざる場合等は、不適当なものとして建設大臣が行うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/51
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052・池田峯雄
○池田(峯)委員 その問題は別に重要なことじやないですからいいと思います。
第十三条に「工事が高度の技術を要する場合」ということが書いてありますが、この「高度の技術」というのはどの程度の技術をいつているのでありましようか、具体的に説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/52
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053・田中角榮
○田中(角)委員 高度の技術とは、御承知の通り高度の技術でありまして、隧道、橋梁等で特に新しい工法をとる場合、国が厳密なデータを残したり、いろいろな統計をとつたり、またテスト・ピア、試験台をとつて研究の材料にしたり、貴重なる統計資料をとりたいというような新しい意味の工事等がありますので、今まで全然行われないいわゆる関門隧道とか、非常に長い隧道とか、日本の技術者の中でも長い間その施工法に異論がある、海中にかかる橋梁とか、いろいろなものがありますので、そのようなものをさしていつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/53
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054・池田峯雄
○池田(峯)委員 建設省に質問したいのです。建設省の、たとえば橋梁とか、あるいはトンネルなどの技術、建設省が持つている工作技術と、日本における民間の技術と比べて、建設省の持つている技術の方がより高度である、あるいは高度の機械力を持つておる、こういうことが言い得るかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/54
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055・内海安吉
○内海委員長代理 局長はちよつと今席をはずしておりますから、局長が来てから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/55
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056・田中角榮
○田中(角)委員 私は建設省の道路局長ではありませんので、現在の建設省がどの程度の技術であるかという実態を把握しておりませんが、ただ御承知の通り、一つの形態と長い歴史を持つてやつております旧内務省当時からの建設省の土木技術というものは、相当高度なものであると私は考えております。ただ民間のものよりも建設省の技術が高度であるとは考えておりません。在野にはもつともつと高度の技術を有する者があるわけでありまして、これは比較対照論からいいますと、在野の方が建設省の一機関よりもある部面には相当すぐれた技術を保有しておるであろう、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/56
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057・池田峯雄
○池田(峯)委員 たとえば都道府県知事が橋梁あるいは隧道の工事を施工する場合におきましても、民間の技術を入れますならば、建設大臣がみずから施工したと同じような高度の技術、高度の機械力を使用して実施することが可能ではなかろうか、都道府県知事にやらせることが困難または不適当であるというような結論を軽々に下すことはできないのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。従つて本条に述べられておる「高度の技術を要する場合」、これはアメリカの技術を日本に持つて来てやる場合を言つておるのではなかろうか。たとえば本年度の予算に二千万円の調査費を置いて、そして弾丸道路をつくるために米国の技術団を招聘する、こういう費用が計上されております。道路工事施工の上に今後続々アメリカの技術団を呼んで来るようなことをここで意味しておるのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/57
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058・田中角榮
○田中(角)委員 そのようにアメリカと局限して考えているわけではありません。ただ府県が民間の力を入れて設計し、管理をし、監督するということが理論的に考えられるのでありますが、大体府県というものは財政が小さく、また限られたものでやつておりますので、府県と国ということから考えますと、機械力、人的資源、技術者の配分、配置転換という意味から考えても、都道府県単位よりも、国家的な大きな事業でかつ高度の技術を要するものは、国でやる方が確かに技術では万全を期し得る。しかも建設省には土木技術研究所もありますし、いろいろな施設がありますので、これはただ建設省の道路局だけでやるものではなく、特に建設大臣の諮問機関として本法に規定する審議会を設けてありまして、この審議会の委員には学識経験者が多数任命せられておりますので、都道府県が行うよりも比較的直轄で行う方が至当である。しかも現在もそのような措置をとつておりますので、現行法踏襲という考えも一応言い得るのであります。
いま一つは、大きな直轄工事には国の負担する部面が非常に多いので、これが責任を明確にする、国民の血税でまかなう大事業の予算執行にあたつて万遺憾なきを期す、いわゆる建設大臣の責任を明確にするという意味からも、直轄工事を行うことが至当であると認められるものに対しては、直轄工事を現行通り行う、こう考えているわけであります。なお技術面に対する問題は、アメリカのみでなく、新しい企画によつて始められる大工事に対し、また高度の技術を要するものは世界の衆知を集めなければならないと思います。アメリカだけではなくソ連からも技術者を大いに招聘し、日本土木技術の全きを期したい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/58
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059・池田峯雄
○池田(峯)委員 どうも田中委員の答弁ははなはだ政治的な発言をしておりますが、日本の政府がソビエトから技術者を呼んで来るなどということは共産党が政府をとつてからであります。そのときになつたらこういう道路法案じやない、もつと画期的な道路法をつくりたい。
次に第二十二条の工事原因者に対する工事施行命令というのがあります。これはどの程度の施行命令を出すのであるか。具体的にどういう工事原因者というものを考えてられるか。その点を御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/59
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060・田中角榮
○田中(角)委員 これは現行法の二十一条と同じ規定でありまして、河川法にも同様な規定がございます。これは道路を損傷した——ガス、水道等を、鋪装したところをまた掘り返して埋没する、そのあとを修復する、こういうふうないろいろな工事をさしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/60
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061・池田峯雄
○池田(峯)委員 その点はこの前の委員会でも提案者に質問したと思うのですが、こういう条項があります。「道路を損傷した行為若しくは道路の補強、拡幅その他道路の構造の現状を変更する必要を生じさせた行為に因り必要を生じた道路に関する工事を当該工事の執行者又は行為者に施行させることができる。」、たとえば工場ができた、その工場にいろいろなものを運搬する必要ができてはなはだしく道路を損傷するようなことになるという場合には、そういう工場主に対して道路の工事の施行命令を出す、こういうことになるのでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/61
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062・田中角榮
○田中(角)委員 原因が非常に濃厚であれば、そのような場合があると思います。これはもちろん本法の精神が原因者負担という新憲法の精神をそのまま取入れてありますので、道路側がほかの人に迷惑をかけた場合は、道路工事を行う者が全部費用を負担する。もちろん道路に対して他の人が迷惑をかけた場合は、その人が原因負担をなすということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/62
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063・池田峯雄
○池田(峯)委員 先ほどの質問をむし返すようになるのですが、たとえばアメリカがいろいろな軍用自動車を走らせてはなはだしく道路を損傷する、あるいは道路の補強や拡幅や構造の現状を変更する必要を生じさせた、こういうような場合にはアメリカがその道路の工事をやる、それを許す、こういうことにもなるのでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/63
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064・田中角榮
○田中(角)委員 その場合は当然行政協定による分担金から支出をせられるべきであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/64
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065・池田峯雄
○池田(峯)委員 分担金から支出するというのは費用の問題でありますが、工事の執行もアメリカの駐留軍の工作隊というようなものがそれをやるのか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/65
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066・田中角榮
○田中(角)委員 その場合は日本政府が行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/66
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067・池田峯雄
○池田(峯)委員 日本政府かやるとすれば、建設省でなくて特別調達庁のような官庁が施工する、こういうことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/67
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068・田中角榮
○田中(角)委員 建設省が負担金を要求し、これをもらえばいいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/68
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069・池田峯雄
○池田(峯)委員 第二十一条の他の工作物の管理者に対する工事施行命令、この条項で「道路と他の工作物とが相互に効用を兼ねる場合において、他の工作物の管理者に当該道路の道路に関する工事を施行させ、又は維持をさせることが適当であると認められるときは、前条及び第三十一条の規定によつて協議をした場合を除く外、道路管理者は、他の工作物の管理者に」云々という条項がありますが、「他の工作物」というのは、前にもあります通り提防であるとか、あるいは護岸であるとか、ダム、鉄道、そういつたような部分をいうのでありますけれども、この場合にアメリカの施設が非常に近接しておる、たとえば横浜のごとき、あの港湾の付近はほとんどアメリカの建物が全部といつていいくらい建つておるわけであります。ほとんど日本の建物はない。従つてある一角はほとんど全部アメリカの工作物が建つておるのでありますが、そういう中を縦横に走つている道路は、やはりアメリカが施行し、アメリカにその道路の維持をさせる、こういうことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/69
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070・田中角榮
○田中(角)委員 先ほどの御質問にも申し上げました通り、現行道路法及び新しい道路法案によつて律せられる道路の維持管理は当然日本政府が行うわけであります。先ほども御質問がありました通り、行政協定の分担金において軍用道路をつくるとか、その他の場合を除いては日本政府が行うことが適当であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/70
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071・中島茂喜
○中島(茂)委員 道路法案第三十三条の中に、「政令で定める基準」という文句があるのでありますが、これはどういうことを考えておられるのか。それと同じようなことで、第三十六条の第一項の終りの方に「政令で定める軽易な工事」とありますが、この両条にあります事柄を定める場合には、関係行政官庁と十分協議をして定められると思うのですが、大体どういうことを考えておられるのか、簡單に承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/71
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072・田中角榮
○田中(角)委員 第三十三条中「政令で定める基準」というのがありますが、これは現行道路法の道路占用につきましては、その判定当時内務省から訓令または通牒として発せられたものが基準となつております。しかしこれは新しい時代感覚に照して再検討し、新しい政令でまとめ上げることが新しい道路法案のねらいでもありますので、このように規定したのでありまして、政令で定める基準案に対しては十分時間をかけて検討しなければならないという観点から、いまだ成案を得ておらないわけであります。しかしこの政令につきましては、あなたの御意見通り、関係行政機関の意見が交換されなければならない。こう考えております。
それから第三十六条の第一項但書中に、「政令で定める軽易な工事」こういう字句がありますが、これは水道、ガス、電気、電話等の各戸引込み、漏水、ガス漏れの修繕、マンホール内の工事等が政令で定める簡易なる工事、こういうふうに考えておりますが、まだ全面的な成案は得ておりません。もちろんこの政令で定めるにあたりましては、関係行政機関の十分なる協議が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/72
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073・中島茂喜
○中島(茂)委員 次は第三十九条の第二項の中に、「全国にわたる事業で政令で定めるもの」とありますが、たとえば電気事業のような企業形態が九地区の電力会社にわかれておる、こういうようなものは機能上全国的な性格を有するものと思うのでありますが、こういうものはこれに該当するかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/73
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074・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。電気事業のごとく、経営は別々でありましても、その施設、機能等が全国的な性格を有するものは「全国にわたる事業で政令で定めるもの」に該当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/74
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075・中島茂喜
○中島(茂)委員 次に第五十九条の第一項中に「第三十二条第一項及び第三項の規定による許可に附した条件に特別の定がある場合」という定めがあるのですが、これは具体的にどういうことをさしておるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/75
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076・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。ただいまの御質問の条項等は、道路管理者が道路占用の許可を與える場合、または道路占用の変更の許可を與える場合に、附帯条件として将来における占用物件の移転の費用について、その全部または一部をその道路を占用する者が負担すべきものであることを条件として付記する場合を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/76
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077・淺村廉
○淺村説明員 ただいま御説明がありました通りでございますが、道路の占用を許可いたすのがこの道路法の三十二条の一項でございます。その占用を一度許可いたしましたものを何かの都合で許可された占用を変更いたしたいという場合に、変更許可するのが三十二条第三項でございます。いずれにいたしましても許可をするのでありますが、その際に条件をつけるということが一応許されております。その条件にもいろいろありましようが、ここで申します特別の定めがある場合というのは、将来必要があつて占用物件の移転をしなければならないという問題が起つた場合、たとえば道路の交通が非常に輻湊して参りまして、現在では占用を許可することができたのでありますが、将来輻湊して来た場合には当然その占用物件をどけてもらわなければならぬという場合、その費用全部を占用しておる者に負わせる、あるいはその中の移転費用の大部分を占用者に負わせる、あるいは一部を負わせるというようなことを念のために条件としてこれにつける場合があるのでございます。これを「許可に附した条件に特別の定がある場合」ということで現わしております。
〔内海委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/77
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078・中島茂喜
○中島(茂)委員 同じく第五十九条の一項中に、「その全部又は一部を負担しなければならない。」と規定されておるのでありますが、その河川法第三十二条の二項においては、河川附帯工事の費用は、河川管理者の原因者負担を原則とし、受益者負担分については、当該河川工事によつて受ける利益分だけを負担する旨を規定しておるのでありますが、本条の場合においても、原則としては道路管理者の全題負担であり、ただ例外として受益者負担分に限り道路占用者の一部負担とする趣旨とこれを解釈してさしつかえないか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/78
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079・田中角榮
○田中(角)委員 まつたくあなたの御意見通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/79
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080・松本一郎
○松本委員長 淺利三朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/80
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081・淺利三朗
○淺利委員 本法案については、当初小委員会において私も参加いたしましたので、大体は了承いたしておるのであります。ただ念のためにここにお伺いしておきたい二、三の点について、提案者及び政府当局から一応の御説明を願つておきたいと思います。
第五十六条には資源開発、産業振興、観光その他国策上特に道路を整備する必要ありと認めるときは、特に補助の規定があるのであります。しかしながらこれは府県道、市道その他についてありますけれども、国道はこれがのけておるのであります。ところが一方において第八十九条に、北海道について特例を設けております。北海道については全額負担、またはこの法律の規定する補助率と異なつた法律補助を認めるという規定があるのであります。ひつきようするに、これは北海道は特別の開発地域であるという理由のもとにこの特例は現に行われており、またこの法律によつてこれを認められたもの、こう思うのであります。ところが内地におきましても、あるいは東北地方における三陸の国道とか、あるいは四国における海岸道路、三重県における紀伊方面の海岸の道路とか、あるいはまた北日本と南日本をつなぐところの横断道路というようなものが、もし今回の法律によつて道路の国家的幹線を整備するという建前から見たならば、必ずやこれらの地方を連結して、それによつてその沿道における地下資源なりその他天然資源を開発し、これによつて産業を興し、また人口の分布というものを新たに計画することが必ず起つて来ると思うのであります。ことに国土総合開発法によりましては、今回法律の改正によつてこの開発地域における特別の補助率を考慮するということになつておりますが、この開発地域に即さぬところであつても、日本の道路の幹線を整備するという意味から申しましたならば、ひとり府県道、市道等にかかわらず、国道においても同様の必要を生ずる場合があると思うのであります。こういう場合においては、北海道と同様にやはりこういうものに特別の助成をする、すなわちその府県のあたりまえの負担率ではとうていこの開鑿は至難であると認められる場合においては、国策としてこれに何らかの特別助成をするという必要があると私は信ずるのでありますが、この点については提案者あるいは政府当局はどういうふうにお考えになつておりますか、その点について御所見を念のために伺つておきたいと思います。これは提案者においてもあえて異議がないということは私も察してはおりますが、この際念のために伺つてあきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/81
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082・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。本法第五十六条の規定は、現行法第三十五条及び道路の修繕に関する法律の第一条に規定してあるのでありますが、この新法施行と同時に、「道路の修繕に関する法律は現行法とともに解消するということになつておりますので、修繕に対しては国が補助の対象にしないというふうになつておりますので、多少異論があろうかと思います。しかしこの法律におきましては、国道に関する費用は原則として国がその三分の二を負担するということにしております。場合によつては四分の三まで上げ得るということになつております、ので、修繕に対しては補助をしなくてもいいのではないかというような当初の考えでありましたが、これはいろいろな議論もありますので、御修正願えるならば、現行通り道路の修繕に関する法律は本法施行と同時に廃止をしないようにしてもいい、こういうふうに考えております。
なお八十九条の道の特例の問題でありますが、これは北海道を開拓地としての太政官布告時代からの問題でありまして、現行法でもいろいろの面で北海道は特例を認められております。しかも現在の状態にありまして、北海道だけに特例を認めるということに対しても相当の議論があるところでありますし、北海道のみ道路費が重点的に配分せられるために、一般内地における道路整備が非常に遅れるというような議論もあつたのでありますが、これは既得権でありますので、これを現在早急に改正をし、内地並にすることの当否に関しましては、まだ議論の存するところでありますので、本条においては現行通り全額国庫負担を認めておるわけであります。もちろんそれと同等に、北海道以外にも重要な地点で、北海道より以上に開拓をしなければならないところが往々にしてあります。しかし現在の地方財政の状態では、これが三分の二の補助ないしは四分の三の補助をされても開発道路をつくれないという場合でありますので、かかる問題に対しましても、北海道の現在の既得権を認める場合、特殊な場合、特殊な地域に限つてこれを認めてもいいのではないかという議論もありますし、また提案者も十分その議論には傾聴しておるわけであります。しかしこれはただ北海道と同じようにということになりますと、財政的な負担も非常に大きくなりますし、いろいろな議論もありますので、これが御修正になつていただく場合には、相当しぼつて、北海道より以上の内地地域に対して、この恩典を適用するというふうにしていただきたいと、こう提案者は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/82
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083・淺利三朗
○淺利委員 それからごく簡單な問題でありますが、八十一条に道路審議会の委員について、「委員は、道路に関し学識経験を有する者」こう書いてあります。これは道路に関しといえば、あるいは非常に狭く解されるおそれがありはせぬか。道路に関係した従来の道路関係の技術者とか、あるいは道路局におつた人とかそういうふうに解する、あるいはまた道路事業をやるような人というふうに狭く解されるおそれがありはせぬか。ところがこれは国道の認定——一級国道の認定、二級国道の認定というような重要なことを審議するということになりますれば、單に道路というようないわゆる狭い意味の道路に関する学識経験にあらずして、国家的に広き視野から見て、この道路は一級国道にすべきか、あるいは二級国道にすべきか、あるいは道路網をいかに整備すべきかという見地から意見を立てられるような人が必要だと思うのでありますが、これは実際の運用に関する問題であつて、そういう人であつても、全然道路に関する学識経験者といえないということはないのでありますが、ややもすればこの法律は、その意味で制定いたしましても、これを実行するところの行政当局が、これを狭く解釈して、單純な道路技術者本位にこれを選定するというようなおそれはないかということを憂えるのでありますが、この点について運用上どういうようになされるおつもりか、念のために伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/83
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084・田中角榮
○田中(角)委員 お答えいたします。この問題につきましては、先般も同僚議員より質問があつたのでありますが、もちろん本法の精神は——現行法は旧憲法時代の法律でありますので、国道の指定等にあたつても建設大臣が独善でこれを行えることになつております。しかるに現行憲法に合致するような趣旨から考えますと、一、二級国道の選定にあたつても、建設大臣独自でこれを決定せず、政令にこれをゆだねる。しかも政令案につきましても、十分経済的また政治的、文化的な面から考慮を払つてこれが認定をいたしたい。しかもこれが運用にあたつては、建設大臣だけでやることに危険がありますので、本法の精神を生かして、特に行政整理に逆行するのではないかという議論があるにもかかわらず、特別な立場から道路審議会を設けたわけでありますので、本法の精神は、ただに道路に関し学識経験者というのは、今までの道路法でいう道路に関する学識経験者ではなく、本法の精神をそのままの広い意味の学識経験者でありまして、当初はこれに国会議員を入れてはどうかということも考えたのでありますが、国会議員は内閣が議会の信任の上に立つ内閣でこれを行うのでありますので、国会議員を入れることは至当ではない。しかしこれが委員は特に関係行政機関及び地方公共団体の委員の数を圧縮いたしまして、広く人材を求め、万遺憾なきを期したいと思いますので、御説とまつたく同趣旨の選考を行い、運営を行うつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/84
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085・松本一郎
○松本委員長 これにて両案に関する通告のありました質疑は全部終了いたしました。
ただいま委員長の手元に、淺利三朗君より両案に関する修正案が提出せられております。提出者よりその趣旨説明を願います。淺利三朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/85
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086・淺利三朗
○淺利委員 私はただいま質疑でも私の趣旨を明らかにいたしております。かつまた道路法の小委員会においてもいろいろ意見を述べておりますので、多数の委員の方々がすでに御承知と思うのであります。よつてきわめて簡潔に、私の修正の点とその要旨を申し上げたいと存じます。
道路法案及び道路法施行法中二、三の点にについて、修正の動議を出したいと存ずるのであります。修正文はただいまお手元に配付申し上げてありますが、その要点を説明いたします。すなわち第一点といたしましては、道路法第六十二条における特別負担金の規定は、その趣旨はよく了解できることでありますが、特定の者より特定の負担金を徴収することは、現段階においては時期尚早の観があるのであります。これは先般運輸委員会と合同審査の際に、運輸委員会の方からこの点について強く力説されておつたのであります。それでこれを受益者負担金の制度と同時に考慮すべきであろうと考えるのであります。従いまして道路法案中第六十二条を削除して、第六十一条の「(修繕に関する工事を除く。)」これを削ることといたしたいと思うのであります。
第二点としては、第八十九条における北海道の道路に関する特例は、その趣旨が資源の開発等の理由のために認められている以上、それと同じ条件を有すると認められた内地の道路についても、当然北海道と同様の特例を認めるべきであろうと思うのでありまして、第八十九条の見出しを、「(道の特例)」とありますのを、「(道等の特例)」とこう改め、同条第一項後段として次のように加えたいと存ずるのであります。「地勢気象等の自然的条件がきわめて悪く、且つ、資源の開発が充分に行われていない地域内の道路で政令で指定するものについても、同様とする。」こういうふうにつけ加えたいと思うのであります。
次に第三点といたしましては、道路法案中におきまして、道路の修繕に関する補助といたしましては、第五十三条におきまして、一級国道及び二級国道について認めているだけであるにもかかわらず、道路法施行法第一条第二項におきまして、道路の修繕に関する法律、すなわち昭和二十三年法律第二百八十二号を廃止いたしておるのであります。しかしながらわが国道路の現況にかんがみまして、府県道以下の道路に対しまして、修繕に関する補助の道をとざすことは現状に即さぬことと存じますので、当分の間これを生かすこととし、国道を除く他の道路の修繕に対する補助の道を講じたいと思うのであります。
最後に、以上に掲げた修正による条文の整理及び関係法律の条文の整理を行うことといたしたいと思うのであります。すなわちお手元に配付いたしました各条項の修正はこの整理であります。
以上きわめて簡單でありますが、修正の意見を申し上げまして皆様方の御賛同を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/86
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087・松本一郎
○松本委員長 これより討論に入ります。内海安吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/87
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088・内海安吉
○内海委員 討論を省略してただちに採決されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/88
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089・松本一郎
○松本委員長 ただいま討論省略の動議が内海委員より提出されました。これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/89
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090・松本一郎
○松本委員長 御異議なしと認めて、討論を省略することに決定いたしました。
これより採決に入ります。念のため採決の順序を申し上げます。採決はまず修正案について行い、次に修正部分を除いた原案について行いますから、さよう御了承を願います。
修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/90
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091・松本一郎
○松本委員長 起立多数。よつて修正案は可決いたされました。
次に修正部分を除いた原案について、賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/91
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092・松本一郎
○松本委員長 起立多数。よつて本案は修正案通り修正議決いたしました。
この際お諮りいたしますが、本案に関しまする委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/92
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093・田中角榮
○田中(角)委員 いろいろ御審議ありがとうございました。最後に条文に対しまして一言申し忘れましたので申し述べさしていただきます。
第六十一条第一項から「(修繕に関する工事を除く。)」を削除することに御修正になられたのでありますが、修繕に関する工事によつて著しい利益を受ける者に対しても受益負担金を課し得ることとなるのであります。第二は、受益負担の具体的事例はいろいろありますが、たとえば道路を通行する者が道路の修繕によつて著しい利益を受ける場合、さらに具体的に言えば、バスの経営者が道路の修繕によりその運転経費を著しく節約することができるような場合等においても、受益者負担金を課し得るわけであります。三には受益負担については、第六十二条と異なり、政令で全国的な定めをしないから、各道路管理者が独自の立場において条例を定めることかできるものであることを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/93
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094・松本一郎
○松本委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時九分散会、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304149X02719520506/94
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