1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月三十一日(月曜日)
午前十一時五十七分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君
島村 一郎君 清水 逸平君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮原幸三郎君
武藤 嘉一君 宮腰 喜助君
早稻田柳右エ門君 松尾トシ子君
高田 富之君 深澤 義守君
中野 四郎君
出席政府委員
大蔵政務次官 西村 直己君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
大蔵事務官
(銀行局総務課
長) 福田 久男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(銀行局銀行課
長) 大月 高君
大蔵事務官
(銀行局資金運
用課長) 高橋 英俊君
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 原 純夫君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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三月三十一日
委員有田二郎君、庄司一郎君及び尾崎末吉君辞
任につき、その補欠として門脇勝太郎君、夏堀
源三郎君及び武藤嘉一君が議長の指名で委員に
選任された。
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三月二十九日
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
未復員者給與法特例者の療養保障に関する陳情
書
(第一〇七一号)
朝鮮銀行預金拂戻しに関する陳情書
(第一〇七二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員及び小委員長選任に関する件
長期信用銀行法案(内閣提出第一一三号)
国民貯蓄債券法案(内閣提出第一二一号)
貸付信託法案(内閣提出第一三〇号)(予)
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三八号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
本日は金融関係諸法案の審査に入る予定でありましたが、たびたびの出席要求にもかかわらず、政府当局の出席がありませんので、議案審査をこれ以上進めるわけに行きませんので、本日は午後一時まで休憩といたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後三時二十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/1
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002・佐藤重遠
○佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
議案の審査に入ります前に、ちよつと小委員会設置に関する件につきお諮りいたします。本委員会におきましては、ただいま請願が百六十五件付託され、また陳情書が三十九件送付されておりますので、請願及び陳情書の審査の慎重を期するために、小委員会を設置いたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようでありまするから、請願及び陳情書審査のための小委員会を設置することに決定いたしました。
なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/3
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004・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようでありますから、委員長において指名することといたします。
なお小委員の指名につきましては、十名の小委員といたしたいと存じますが、十名の小委員の比率は、自由党六名、改進党二名、社会党一名、共産党一名ということになりますので、この際各党の御協力を得るという意味におきまして、特にこれに社会党第二十三控室から一名を加えまして、合計十一名の小委員を指名いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/4
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005・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたし、指名いたすことにいたします。
請願及び陳情書審査小委員会小委員
淺香 忠雄君 島村 一郎君
清水 逸平君 三宅 則義君
宮原幸三郎君 武藤 嘉一君
宮腰 喜助君 早稲田柳石エ門君
松尾トシ子君 深澤 義守君
久保田鶴松君
小委員長に宮原幸三郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/5
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006・佐藤重遠
○佐藤委員長 次に去る二十六日本委員会に付託に相なりました長期信用銀行法案、国民貯蓄債券法案、また去る二十七日予備審査のため付託に相なりました貸付信託法案、及び昨二十九日付託に相なりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案の四法案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。政府委員西村大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/6
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007・西村直己
○西村(直)政府委員 ただいま議題となりました長期信用銀行法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国現下の経済事情にかんがみ、長期資金を確保するため、政府は従来とも格段の努力を傾注し、一昨年来政府機関として、日本開発銀行並びに日本輸出銀行を設立する等、政府資金の活用をはかつて参つたのであります。しかしながら政府機関等による長期資金の供給は、民間機関の行う長期金融等に対して、補完的立場に立つべきものであり、民間金融機関の整備強化が証券市場の育成と相並んで、長期資金の確保のための根本義であると考えられます。民間機関による長期資金の供給に関しては、従来銀行等の債券発行等に関する法律により銀行等に対し債券発行の特例を認めまして、その充足をはかつて参つたのでありますが、最近における欧米諸国の事例並びにわが国制度運用の経験等に徴し、銀行の制度としては、その業務の分化により、おのおのその特色とする機能を発揮せしめ、一面長期資金等の円滑な供給を確保するとともに、他面預金者の保護に万全を期し、あわせて普通銀行の融資面における負担の軽減に資することが、適当と認められるに至つたのであります。
以上の理由によりまして、長期金融を専門に行う長期信用銀行を制度として確立することについて、各界有識の士にはかり検討を進めて参つたのでありますが、今般ここに成案を得、法律案として御審議を願う運びとなつたのであります。
以下、簡單に内容の基本となる点を申し上げます。
第一に、長期信用銀行業務を営もうとする者は、大蔵大臣の免許を受けなければならないこととし、かつ資本の最低額を五億円と定めること等によりまして、その規模の適正と内容の堅実をはかることといたしました。
第三に、長期信用銀行の業務は、設備資金または長期運転資金に関する貸出しを主とし、なお不動産担保の長期金融のほか、有価証券の応募、引受、その他の業務を認めた反面、預金の受入れ、短期資金に関する貸出しの制限を行う等、その業務上の特色を明確にし、機能の発揮に遺憾のないようにいたしたのであります。
第三に、資金源といたしましては、預金の受入れにかわるべきものとして、債券発行につき特例を認め、資本及び準備金の二十倍までを限度とし、所要資金の確保をはかることといたしております。
第四に、本法の施行に伴い、銀行等の債券発行等に関する法律を廃止することといたしておりますが、制度切りかえの円滑をはかり、かつ新長期信用銀行の育成をはかる等のため、所要の規定を置いております。
第五に、新制度実施のため、準備に多少の時日を必要といたしますので、この法律の施行は、公布後一年以内において、適当な時期に政令で定めることといたしております。
以上が長期信用銀行法案の趣旨並びにその概要であります。
次に国民貯蓄債券法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
独立後のわが国経済の自立をはかるためには、資本の蓄積がきわめて重要であることは、申すまでもないことであります。これがため、政府におきましては、従来とも国民貯蓄の増強をはかる目的のもとに、各般の施策を講じて参つたのでありますが、その一環として、新たに無記名で簡便な国民大衆の趣向に適した債券として、国民貯蓄債券を政府が発行することにより、浮動購買力を吸収するとともに、これによつて得た資金を、電源の開発を中心とする資源の開発及び経済再建に緊要な産業の建設資金の一部に充てることを目的として、本法案を提出した次第であります。
この法律案の要点を申し上げますならば、第一に、この債券の発行主体及び発行限度につきましては、政府が直接発行することとし、その発行は毎年度純増が百億円を越えない限度にとどめることといたしました。さしあたり二十七年度においては初年度として純増六十億円を予定しております。
第二に、この債券の発行による収入金は、資金運用部資金として管理することとし、発行及び償還に関する経費は、資金運用部特別会計において負担することにしております。
第三に、この債券の発行條件は、無記名式で、割引の方法により売り出すものとし、額面金額は一万円以下となつておりますが、さしあたり実行上は売出し価額が一千円くらいのものを中心にして行きたいと考えております。償還期限は五年といたしますが、発行後一定の期間を経過したるものについては、所持人の請求に応じて買上げ償還ができるようになつております。なおこの債券の応募者平均利回りは、一般金利水準と権衡を失しないように定めることといたしております。
第四に、この債券の売りさばき、償還及び買上げに関する事務並びにこの債券の割増金の支拂いに関する事務は、主として郵便官署で取扱うことといたしておりますが、相互銀行、信用金庫、その他政令で定める金融機関及び証券業者も、大蔵大臣からの委託を受けて、この債券の売りさばきに関する事務を取扱うことができるようにいたしております。
第五に、この債券の発行による収入金相当額は、資金運用部において、資源の開発その他経済の再建に緊要な産業の施設の建設のため必要な資金を供給するため、資金運用部資金法の規定により運用することといたしております。
以上が国民貯蓄債券法案の提案の理由であります。
次に貸付信託法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国現下の経済事情にかんがみ、資本の蓄積をはかり、電源開発資金その他緊要な長期資金の円滑な供給をはかるため、政府は金融制度の整備をはかるとともに、国民貯蓄債券の発行、無記名定期預金の制度の実施等各般の措置を講じて参つたのでありますが、今回新たに貸付信託制度を設け、貸付信託の受益権を受益証券に化体するとともに、受益者の保護をはかることにより、一般投資者による産業投資を容易ならしめ、もつて資本蓄積の目的を達成する一助たらしめるため、この法律案を提出いたした次第であります。
内容の概略を申し上げますと、第一に、貸付信託は、一個の信託約款に基き、多数の委託者が信託した金銭を、信託約款に定められた特定の目的に合同して運用する金銭信託でありまして、その受益権は、受益証券により表示することといたしました。
第二に、受益者の保護をはかり、信託財産の運用の適正を期するとともに、信託財産が予定せられた緊要産業に運用されることを確保するため、信託約款及びその変更については、あらかじめ大蔵大臣の承認を要することといたしております。なお、受益者の保護をはかるため、信託約款変更の場合において、受益証券の権利者が買取り請求をした場合、受託者は固有財産をもつて買い取らなければならないことといたしました。
第三に、受益証券は、受益者の請求により記名式とする場合のほか、無記名式とするとともに、受益証券の譲受者は、委託者の権利及び義務を承継することとして、投資に便ならしめることとしております。なお利益の配当に対しては百分の二十の源泉課税にとどめております。
第四に、貸付信託の信託の期間は二年以上といたしておりますが、受益証券の消化を容易にし、この制度の普及をはかるため、この法律施行後一年を限り、その期間を一年以上とすることといたしました。
第五に、受益証券の消化を容易にするとともに、長期資金の融資先の資金の安定をはかるため、信託契約の解除にかえて、信託会社が一年のすえ置き期間を置き、その固有財産をもつて受益証券を買い取り得る道を開いております。
第六に、信託会社の経営の安定を確保し、同時に信託財産の保全をはかるため、元本に損失を生じた場合にこれを補填する契約をしたときは、その補填に充てるため、その収益のうちから、特別留保金を積み立てることを義務づけるとともに、元本に損失を生じた場合に限り、これをとりくずすことができることといたしております。
最後に、受益金の有価証券化に伴い、必要とする信託法の規定の特例など、必要な規定を設けようとするものでございます。
以上が貸付信託法案の提案理由であります。
次に日本開発銀行法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
日本開発銀行は、長期産業資金の供給により、わが国経済の再建及び産業の開発を促進することを目的として、昨年四月二十日米国対日援助見返資金特別会計からの出資金百億円をもつてつくられましたが、その後における融資状況等にかんがみまして、一般会計からの出資金七十億円を加えましたほか、去る一月十六日には復興金融金庫の権利義務を承継し、その元利回収金を再投資し得る道を開いたのであります。
しかしながら、わが国経済の現状をつ考えますときは、日本開発銀行の業務は、今後なお一層その重要性を増すものと認められますので、このたびその資本金を増加するとともに、これに資金の借入れの機能を與えるほか、事務活動全般につきこれを擴充する措置を講ずることとしたのであります。
以下その要点を申し上げますれば
第一に、資力の充実及び資本構成の適正化をはかるため、その資本金を三百億円に増加するととも、復興金融金庫から承継した資産に見合う政府借入金八百五十二億二千万円を出資金に振りかえることとしたのであります。
第二は、従来の融資肩がわり業務に改善を加えたほか、新たに開発資金に関する債務保証業務を行い得るようにした点でありまして、将来これにより開発資金に関する外資の受入れが促進されるものと期待しております。
第三に、業務の擴充に即応し、その資力の充実に資するため、政府からの資金の借入れ及び外国からの外貨資金の借入れを認めることとした点であります。明年度におきましては、米国対日援助見返資金特別会計から四十億円の借入れをすることといたしております。
第四に、政府資金の統一的、効率的運用を期するため、将来適当な時期に、米国対日援助見返資金特別会計から、その私企業に対する貸付債権及びこれに付随する権利義務を承継することとした点であります。しかしてその際右の承継債権に相当する金額が、同特別会計から日本開発銀行に対して貸し付けられ、将来さらに適当な時期にこれを出資金に振りかえることができることとしたのであります。
第五に、その利益金の一定割合を国庫に納付させることとし、これに伴い法人税等の非課税の取扱いをすることといたしました。
以上が日本開発銀行法の法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由ございます。
以上四案につき何とぞ御審議の上、御賛成くださらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/7
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008・佐藤重遠
○佐藤委員長 なおこの際西村大蔵政務次官の御説明を補足して、右四案についての詳細なる説明を行うため、銀行局より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵省銀行局銀行誤長大月高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/8
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009・大月高
○大月説明員 最初に長期信用銀行法案につきまして、條文を追いまして簡單に御説明を申し上げます。
第一條はこの法案の目的でございまして、おもな点は二つございます。一つは、長期金融の円滑をはかるということでございまして、現在債券発行法に基きまして、一部の銀行は債券資金により長期の金融を行つておるわけでありますが、この制度の運用の実態からいたしまして、新しく長期信用銀行という制度を設けまして、この長期金融の円消化をはかる方が適当であるとい結論に達しましたので、この制度を立てたというわけでございます。それから第二点といたしましては、銀行業務の分化により金融制度の整備に資するということでございまして、一つは、長期金融を専門に実行いたします長期信用銀行というものを、普通銀行から分離することによりまして、この新しい銀行が長期金融に専念する。他面長期の分野の責任を軽減されました普通銀行といたしましては、主として商業金融、短期の運転資金をまかなうというように、機能を分化いたしたわけであります。その結果といたしまして、普通銀行の側におきましては資産の流動性をはかることができる。この結果短資の預金を持つております銀行といたしまして、預金者の保護という点において、一歩の前進を示すことになるわけであります。現在一般の銀行がオーバー・ローンということで、いろいろ非難を受けておるわけでありますが、これも一つの原因は、普通銀行が長期の金融をやらなくてはならないというところにあるわけでございますので、その負担をできるだけ軽くしたいという意味も入つておるわけであります。そうして銀行の制度といたしまして、長期に専念する銀行と、主として短期の金融をやる銀行と、こういうふうに機能を分化いたしたいというのが、この制度の目的でございます。
第二條は長期信用銀行定義でございまして、第四條の規定によつて大蔵大臣の免許を受けたものを長期信用銀行という、こういうことでございます。
第四條に参りますと、第一項におきましてこの銀行の性格を明瞭にいたしておるわけであります。現在の銀行法によりますと、第一條におきまして、預金の受入れとあわせて貸付及び手形の割引をなすものを、銀行というというようになつておりますが、それに対しましてこの長期信用銀行は、預金の受入れでなくして、債券の発行によりまして資金を得て、そうしてその金を設備資金または長期運転資金に関する貸付にまわすということが、特質でございまして、その特徴を第四條に明らかにいたしたわけであります。そういう特別の任務を持つております銀行は、この法律によりまして大蔵大臣の免許を受ける。その免許を受けた結果、第二條の規定によりまして長期信用銀行というレッテルを張る、こういうことでございます。
第三條は、この長期信用銀行は、仕事の性質といたしまして相当の自己資本を必要といたしますので、普通の銀行以上に、最低資本金を五億円ということに規定いたしてあるわけでございます。
第五條におきましては、商号の規定といたしまして必ず銀行という名前をつけるように、こういうことであります。
それから第六條はこの法律のもとになる規定でございまして、長期信用銀行の業務に関する規定でございます。長期信用銀行は、最初に申し上げましたように、主として設備資金または長期運転資金に関する貸付をなす銀行でございますので、第六條の條一号にその意味を掲げたわけでございまして、これが本来の仕事でございます。ただこの銀行の性格といたしまして、片一方は短期の金融市場にまたがり、片一方は証券市場につながるのでありまして、その中間に位して長期資金を保管して行く、こういう意義がございますので、ある限度におきましては広い意味の証券業も行わせる方が、仕事の性質上適当である。そういう意味からこの二号が掲げてあるわけでございます。ただ趣旨といたしましては、現在ございます証券業者と競争をするというのが趣旨ではございませんので、お互いに相提携して補完作用をなすという意味におきまして、証券業者の本来の仕事でございます有価証券の売買、あるいはいわゆるアンダーライテイングと言われております引受の業務等はしない。しかし必要の限度において証券業務に關與するということを、現わしておるわけでございます。それから資金源といたしましては、債券の発行の特権が認めてあります半面、一般の銀行と競争を避けますために、預金の受入れに関しまして制限が設けてあるわけでありまして、国もしくは地方公共団体からの預かり金は別であります。それから現に融資をいたしております先、あるいは第五号にございますように、社債の募集の受託を受けます場合の相手の会社、そういうような取引先から受けます預金だけは例外といたす、こういう意味であります。預金の受入れの制限といたしまして、一般銀行と競争しないという意味と、もう一つはこの銀行の性格といたしまして、長期の貸出しに重点を置きますので、短期の資金源である預金は、なるべくとらさない方が適当である、こういう配慮が含まれてあるわけであります。第四号、第五号、第六号は、一般の銀行もなし得る取引でありまして、銀行としての性格からこれが加えてあるわけであります。第一項は主として産業資金の供給ということを考えておるわけでありますが、そのほか一般の長期信用でありまして、不動産を担保とするもの、これもなし得ること。それから短期の金融は普通銀行と競争にならない限度におきまして、預金を受入れた限度において、短期金融をなし得るという補充的な業務を、規定いたしたわけであります。
第七條は、この銀行の性質にかんがみまして、債権を確保いたしますために、一つは確実な担保を徴する必要があるということ、それから一つは、分割弁済ということを考えて、債権の確保及び弁済の確保を十分にするようにということを書きました精神的な規定であります。
第八條以下は、この銀行の資金源に関する規定でございまして、債券の発行に関する條項でございます。これは現在あります銀行等の債券発行等に関する法律の規定を、ほとんど内容において同じものを持つて来たわけでありまして、若干異なつております点は、一つは現行法におきましては、この発行いたします債券に割増金をつけ得ることになつておるのでありますが、最近の射倖心をそらないようにという方針からいたしまし、割増金はつけないということになつております。その他登記の方法等におきまして、若干の條文上の変更がございますが、実体的な問題はございません。このうち債券発行に関する事項は、第八條から第十三條まででございます。
第十四條以下は、現在銀行法にございます各種の合併等の場合、あるいは目的を変更いたしまして、ほかの会社になる場合、そういうような場合の特例に準じたものでございまして、特に御説明するところはございません。
第十八條は、長期信用銀行は、銀行法にいう銀行ではないわけでございますが、しかしほかの法律におきまして、税法その他に銀行と書いてあるところ、同じ取扱いを受けるのだということを明らかにいたしまして、十七條におきましてはその性格上、銀行法の規定で準用し得るものを、準用してあるわけであります。おもなる規定は主として監督の規定でございまして、検査をする、あるいは報告をとる、そういう規定が全部準用になるわけであります。
附則の中で重要な問題は、一つはこの法律の施行が、公布の日から一年以内で政令で定める日ということであります。これはこの法律の施行の準備をするための必要期間を、規定いたしておるわけであります。
第二項は、現在債券を発行いたしております銀行、御存じのように日本興業銀行と日本勧業銀行、北海道拓殖銀行の三行でございますが、この三行の中のいずれかが、この法律に基く長期信用銀行になりたいという希望を持つておりました場合には、特にむずかしい手続をとらないで、希望があれば簡單に免許するということを、規定いたしたわけであります。
第四項は、この法律の施行と同時に、債券発行法を廃止するという趣旨でございます。ただ御存じのように、現在債券発行法に基きまして、見返り資金から優先株が出ておりますので、その優先株が最後に償却になりますまでは、なおその規定を生かしておくという趣旨であります。
それから第七項及び八項は今後、現在債券を発行いたしております銀行が、長期信用銀行になりますにつきまして、あるいは新銀行が旧銀行から債券を承継するというような場合も、考えられるわけであります。あるいは新たに銀行が設立される場合もあるわけでありまして、そういう場合に初期の間、あるいは債券を譲り受けた当分の間、資金源において不円滑ということがないように、経過規定を置いたわけであります。第十項以下は、長期信用銀行と優先株との関係でございまして、当分の間、国が優先株を引受けることができるということを規定いたしたわけであります。ただ、その引受けますのは、このたびは商法上の優先株にいたしたいわけでありますが、その内容につきましては、現在出ております優先株と同じ内容を有するものを引受けたい、そういう趣旨の規定でございます。第十四項、十五項は、現在農林中央金庫と商工組合中央金庫は、債券発行法によつて、債券を発行いたしておりますが、それがなくなりますので、再び現在の農林中央金庫法、商工組合中央金庫法が復活いたします。その場合に、債券の発行限度が自己資本の十倍となつておりますので、これをこの長期信用銀行と同様に、自己資本の二十倍ということに改めたいというわけであります。第十八項は、租税特別措置法で、現在銀行等の債券発行等に関する法律によりまして、見返り資金の持つております優先株の配当につきまして、免税措置が講ぜられておりますのを、そのままこの新長期信用銀行にも適用したいというわけであります。それから資産再評価法の関係において、債券発行法が廃止になりますので、それに関する條文を削つたというのが第十九項であります。
次に貸付信託法について御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/9
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010・佐藤重遠
○佐藤委員長 ちよつとお待ちください。——ただいま金融関係諸法案について銀行局から説明を聴取いたしておりますが、時間の都合で、この際佐久間委員からの発言を許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/10
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011・佐久間徹
○佐久間委員 私は、給與所得者に対する年末調整のことで、ちよつとお尋ね申したいと思います。昨年末の給與所得者に対する年末調整で、確定申告の現額より高額の税金を徴収しておる事実があるのであります。これに対しましては、関係当局の説明によると、手違いは税額表の作成の際に、所得額の段階を細分しなかつたためで、中には確定申告より税額の低い人もあることだから、特に過納になつておる人は、各個人で確定申告すれば、過納額は還付するから問題はない、こういうような回答を與えているそうであります。しかしこれは、確定申告の提出を要しないということにきめたそのねらいというものは、納税者の便宜と徴収事務の簡素化をねらつたところでありますが、依然としてそういう手続をとらなければ還付しない、こういうようなぐあいになつておるとすると、ここに非常に矛盾が見られるのでありまして、今後これに対して当局はどういう考えを持つて対処せられて行くのであるか。この点をひとつ御説明いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/11
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012・原純夫
○原説明員 やびたびお話が出たことと思うので、ただいま御指摘になりましたような事柄が起るに至りました事情については、あらためて申し上げることを避けたいと思います。私国税庁で執行面の仕事に当つておりまするので、その立場におきましては、年末調整によつて調整せられました免税額というものが、確定申告をすれば安くなるという場合には、確定申告をしていただけばお返しできるということしか、申し上げられないのでございますが、さらにこれを、主税局の問題になるわけでありますが、立法面に移して考えますならば、ただいまの税法の別表にありますようなそういう事態は、相当多数の人について起るごくわずかな差額であります。それが多数の人について起つて、一々確定申告しなければ返せないというような現在の法律構成というものは、いかがなものであるかということを考えまするならば、その面において調整を要する向きがあるのではないかというふうに、考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/12
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013・佐久間徹
○佐久間委員 これに対する非難の焦点は、税務署におきましては、不足額に対しては非常に強硬にこの徴収をせられる。ところが反面において過納の場合には、いろいろの煩雑な手続をしなければ還付されない、こういうところにあるのだと思うのであります。黙つておつても過納になつておることがわかれば、どしどしそれは還付する方法を立てて行くのが親切なやり方ではないか、こういうことを申しておるのであります。この点をひとつお考え願いたい。それともう一つは、還付がうまく行われておらないために、その結果が地方税の側に不公正な課税がしわ寄せになつて来る、こういうことを言つておるのであります。しわ寄せというのは語弊がありますが、とにかく地方税がその間違つた税の比率に対してかけられるわけでありますから、自然地方税が高くなつて来る、こういう事実なのであります。それに対しましてはここに陳情書が提出されておるのでありますが、これは單なる一町村の統計によるものでありますけれども、相当の開きがここに出ておるわけです。そこでこれは非常に政治面の暗いところである。やがてこれは純情な国民がこの真相を知つたときには、税に対する危惧の念を持つに至るであろう。そのためにせつかくの政府のとられておる税に対する根本の精神を、国民が誤解するような結果を招致する重大問題ではないかということであります。陳情書の内容を検討してみますると、そういつたような危惧が盛られておるのでありまして、ただ單に一町村の問題ではなくて、大きく政治的にこれは考えられなければならない問題だ、こういうぐあいに思うのでありまして、関係当局におきまして、十分これを御研究になられて、早急に善処せられるような方途を講ぜられるように、強く要望申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/13
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014・原純夫
○原説明員 先ほど問題になりました年末調整関係のは、そういう次第でございますから、何か立法的にでも御処置を願いたいというふうに考えておるのでありますが、還付の問題一般につきまして御要望のありました点、つまり早く正確にお返しするということにつきましては、年来そのつもりで努力をいたしておるつもりでありますが、まだまだただいまのような御非難をこうむる実情にありますことを、重ねて恐縮に存じておわび申し上げます。なおこれがもととなりまして、地方税の面におきまして、納税者が間違つた去年の課税をもとにして、ことしの住民税なり何なりを課税されるという点の救済につきましては、できる限り御要望に沿うように善処いたしたいと思つております。もちろん納税者から申出がありました場合に、すぐ右から左にその通りというわけには参りません。やはり一応の調べをして、複雑なケースの場合には、相当の時間がかかるというような場合もございますし、一方地方税の賦課というものは時期の制約がございますので、ある時期で踏切りをつけねばならぬというようなことがございますけれども、御要望の点はまことにごもつともと思いますので、自治庁、財政委員会の方とも十分連絡をとりまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/14
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015・佐藤重遠
○佐藤委員長 それでは引続き銀行局よりの補足説明を聽取いたします。銀行局銀行課長大月説明員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/15
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016・大月高
○大月説明員 それでは引続きまして貸付信託法案について御説明申し上げます。
御存じのように、現在信託会社におきましては、金銭信託を受入れまして、これを主として長期の産業資金として流しまして、利殖をはかつて、そうして信託の受益権者にそれを分配しておるのでありますが、この信託の制度に、有価証券の形態をもつて有価証券の制度を導入しようというのが、全体の目的でございまして、信託の受益権を有価証券に化体するということ、これによりまして投資を容易にする。その結果集まりました金を、電源の開発その他重要な産業の長期資金としてまわしたい。これがこの法案の考え方でございます。
第二條は定義でありまして、大きなポイントが三つございます。一つはこの貸付信託の制度におきまして運用いたしまする金銭は、合同運用の金銭信託の一種であるということであります。第二点は、これを運用する方法といたしましては、現在ございます証券投資信託と異なりまして、株式社債にこれを運用するのではなくして、主として貸付または手形割引の方法で運用するということでありまして、これがこの法案の名称である貸付信託の趣旨でございます。第三点は、受益権を有価証券によつて表示する。これだけのことであります。
第三條は、こういう種類の貸付信託を実行いたしますにつきまして、信託約款について大蔵大臣の承認を要するということにいたしまして、この内容を監督いたしたわけであります。信託会社はこの承認を受けました信託約款に基いて、個々の信託契約を結ぶわけであります。
第五條は、信託会社がその承認を受けました信託約款を変更しようといたします場合に、やはり大蔵大臣の承認を要するということでありまして、最初の約款の承認と同じ精神でございます。ただ途中で信託約款の変更がございます場合には、現在受益証券を持つております人といたしましては最初に予期しなかつた事態が起きるわけでありまして、その場合には約束が違うということで、もし不満足ならば信託会社にその受益証券を買い取つてくれということを、要求することができる。それが第六條の規定でございます。
それから第八條の規定は、その受益証券の性質を表現いたしておるわけでありまして、主として無記名といたしまして、その受益権の譲渡及び行使は、この受益証券をもつてすることを要する。ただもし紛失のおそれ等を心配いたしまして、記名式にしようとする希望がございますならば、これは記名とすることができる、こういうことであります。
それからこの受益証券を持つておる人の地位でございますが、これは第十條に規定いたしてございまして、受益証券を持つておる人は受益者であり、かつ委託者である。そうして受益証券を譲渡いたしますと、委託者としての権利義務も同じく転々をする。こういうことにいたしまして、受益証券を持つておる人の利益の保護をはかつておるわけであります。
第十一條におきましては、もしも受益証券を持つておる人が、何らかの資金の必要がございまして解約をいたしたいという場合に、その解約は認めませんで、そのかわりに信託会社に買い取つてもらえる、そういう規定でございます。
それから第十二條は、信託財産の運用の規定でございまして、一般の合同運用の金銭信託は、現在信託会社ごとに一本となつて運用されておるのでありますが、この貸付信託におきましては、たとえばこれは電源開発のためであるとか、あるいは造船のためであるとか、そういう目的を明示いたして募集するわけでありますので、ほかの信託財産とは別個に運用する必要があるということを、規定いたしておるわけであります。
第十四條は特別留保金の規定でございます。もし信託会社がこの貸付信託につきまして、元本がかりに貸倒れになつた場合に、これを補填いたすという約束をしております場合には、場合によつては信託会社の本来の財産をそこなうおそれがあるわけでありまして、それに備えますために毎期一定の金額を特別留保金として積み立てて、その準備にいたしておきたいというわけであります。従つてこの特別留保金は何らか貸倒れという危險が現実に生じました場合にとりくずせる。それからこの貸付信託の終期が参りました場合にのみとりくずせる。こういうことになつておるのであります。
最後に附則でございますが、この貸付信託の制度は、受益証券の期間として最低二年ということを考えております。当分消化を容易にいたしますために、試験的にこの法律の施行後一年を限りまして、一年の受益証券も出せるということにいたしたわけであります。それからこの貸付信託に基きます受益証券は、現在ございます証券投資信託の受益証券と同様に扱いたいわけでございまして、源泉課税を二〇%といたしますほか、外資の導入の対象ともなし得る、こういう規定を附則に置いたわけでございます。簡單でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/16
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017・佐藤重遠
○佐藤委員長 続いて説明員、資金運用課長高橋俊英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/17
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018・高橋俊英
○高橋説明員 国民貯蓄債券法案につきまして、先ほどの提案理由で述べましたところに補足いたしまして、御説明申し上げたいと思います。
第一條には目的が掲げてございますが、今日の情勢におきまして国民貯蓄の増強が非常に必要であるということについては、あらためて申し上げる必要もないと思いますが、他方資金の需要面から考えまして、相当大規模の電源開発等を行う必要がある情勢におきましては、できるだけ多くの資金を吸収しなければならぬという要請がございます。そういう條件も考慮いたしまして、今までの貯蓄手段のほかに、必ずしも目新しいとは申せませんけれども、最近行つていないところの方法でもつて資金の吸収を促進したい。これが国民貯蓄債券というものを考えました理由でございまして、これにつきましてはやはり臨時金融制度懇談会におきまして趣旨を説明いたしまして、大体の御了解を得ておるのでございます。この貯蓄債券と申しますのは、すでに過去において大きくわけまして、三回発行されております。最初は日露戰争当時、それから関東大震災のあとにおいて、復興貯蓄債券というものを発行いたしたことがございます。それから日華事変が始まりましてから、貯蓄債券、それがさらに戰時に及んでおりまして、その間には貯蓄債券ではございませんが、報国債券というもの、あるいは福券というような、これに似たような種類の債券が相当多額に当時としては発行されまして、国民貯蓄の増強に役立つたことがあるのであります。わが国のみでなしに、これは貯蓄債権という名前で、やはり外国にも行われておる例がかなりございます。今回の貯蓄債券は、多少今までのと趣を異にしておる点がございます。その中の一つは第二條に掲げてありますように、政府が直接発行することになつておりまして、従来のものは当時特別銀行でありました勧業銀行いたさせまして、発行によつて得た資金は全部当時の大蔵省預金部に預入する、こういう建前をとつておつたわけであります。これを使う面から申しますと、やはり当時も預金部資金として使つておりましたので、その点においてはかわりはございませんが、発行主体が今度は直接政府になつた点が違つておるのであります。これは勧業銀行もすでに一般の銀行と相なつておりまして、特別銀行ではありませんので、こういうふうにいたしたわけでございます。そこでこの貯蓄債券発行をいたすゆえんは、国民貯蓄の増強でございますが、全部とは申さぬまでも、でき得べくんば他の貯蓄の手段によつてすでに吸収されておる。あるいは今後吸収されるのであろうというようなものに食い込んで、その横流れというような形で集まつたのでは意味が薄うございますので、そういう点を考慮した点が二、三ございまして、まず第一には発行の制限でございまして、発行高をあまり大きくしては、かえつて共食いの形になつて弊害がある、かような考えで、その発行高は毎年度純増百億円にとどまる範囲でなければならぬかように規定したわけでございます。なおその他にも條件を、割引歩合あるいは割増歩合といつた、応募者側から見た條件が、他の一般の金利水準と権衡を失しないように、定めなければならぬという点を規定しておりまして、これは第四條の第六項にその点が規定してございますが、かようなことも、他に対する悪影響を及ぼしてはならないという趣旨でございます。
それからこの債券は国が発行いたしますので、理論的には国債には相違ございませんが、通常の国債にいたしますと、償還の際において国債整理基金特別会計を通す。その発行、償還が、すべて予算に計上されなければならぬというようなことになりまして、運用する場合に、事務上不都合なことがございますので、この債券は法律の性質としては国債ではあるが、通常の国債の扱いはしないということにしたわけでございます。そしてその資金はそのままただちに資金運用部資金となる。ただいまの資金運用部資金は、預託金と資金運用部特別会計自身の積立金、余祐金からなつておりまして、その他にはないわけでございますが、今度発行する貯蓄債券の資金は、ただちにこれも資金運用部資金の中に入る、かようにしておるわけでございます。従つてその発行あるいは償還に要するところの経費は、資金運用部特別会計の負担として、その会計の歳出とするということを、規定しておるわけでございます。
なおこまかいことでございますが、たとえば、千円で発行いたして手数百円で償還をするということになりました場合に、その売上金に相当する千円の部分は、資金運用部資金になりまして、償還の場合には、元の売上げ価格であるところの千円は、資金運用部資金から拂い出すし、額面とその売出し価格との差額は、資金運用部特別会計の歳出となる、かような区わけになるわけであります。
それからこの債券の條件でございますが、額面金額については、零細な資金を吸収の対象とするという意味におきまして、高額なものは避けたいと思いますので、一万円以下ということにしております。実行上は、先ほども提案理由で申し上げましたように、売出し価額千円くらいのものを中心といたしまして、必要があれば売出し価額五千円程度のものを、若干加えるという程度にとどめたいと考えているわけであります。償還期間につきましても、ただいまの金融情勢から申せば、長いほどよいとは言いながら、あまり長ければ売ることが非常に困難になりますので、これらを考慮いたしまして、五年ということにいたしております。利つきの方法ではなくて、割引の方法によつて売り出すということにしております。従いましてその割引の差額——割引較差金と申しますが、それには税が一応かからないということにいたしております。なお状況によつては割増金を付するということもできるように、法律の上では規定いたしてございますが、実行上は、さしあたりのところ割増金を付した債券は発行しないで、確実な割引差額、つまり利回りを得るところの債券だけでやつて行きたいというふうに、考えているわけであります。
それから従来の例によりますと、償還期限が非常に長い場合に、途中でどうしても売らなければならないものも生ずるわけでありまして、その場合に、国が買上げの制度をやらなければ、これを証券業者その他の金融機関等に売ることになる。そういたしますと、非常に価額が安くなりますので、従つて売出しに困難を感ずる。そういうことから、中途で償還満期に至らない前に買上げるという制度を設けたいと思います。これに関しましては、具体的には政令で定めることになつておりますが、最初からただちに買い上げるわけでございませんで、一定の期間を経過したものは、だんだんに償還満期が近づくほど、有利な利回りになるような価額で買い上げる、こういうふうにいたしております。
売りさばきにつきましては郵便官署が中心になりまして、大部分は郵便官署で売ることになると思いますが、なおいわゆる庶民金融機関といわれます相互銀行、信用金庫等には、この売りさばきの事務だけは行わせたいと考えているわけであります。郵便官署におきましては売りさばきとともに、償還も、また中途における買上げも行うことになつております。
次は第七條における国民貯蓄債券収入金の運用、これは第一條の目的と見合つておるのでありますが、資金運用部資金とありますけれども、それに見合う金額は、主として電源の開発を中心とする資源開発、その他の緊要な産業施設に用いることになつております。実際問題といたしましては、当分の間電源開発にほとんど全部がまわることになると思いますが、二十七年度の運用の計画といたしましては、六十億の純増になる売上げを行いまして、
一方電源の開発資金として六十億の運用を予定しておるわけであります。
以上がおもな点でございますが、その他十一條におきまして、国債に関する法律等を適用しないということになつております点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、国債ではあるけれども資金運用部資金として、歳入歳出外の取扱いをいたします関係上、これらの通常の国債に関する規定は適用しない、かようにいたした次第でございます。実際問題として債券の事務は非常に煩雑な面もありますので、この法律によりまして一部を日本銀行に扱わせるということになつておりますが、現場事務の大部分は日本銀行にやつてもらう、こういうふうに考えておるわけであります。
附則の方は、この債券の取扱いに関連いたしまして、設置法をかえる、あるいは特別会計法の一部を改正する、そういう必要がございますので、つけ加えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/18
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019・佐藤重遠
○佐藤委員長 次は銀行局総務課長福田久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/19
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020・福田久男
○福田政府委員 日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、先ほど政務次官から内容につきましては大体御説明がございましたのですが、若干敷衍いたしましてつけ加えておきたいと思います。
まず改正の第一点は、開発銀行の資本金を改めるという点でございます。これは開発銀行の資本構成を是正いたしまして、今後開発銀行へ外資の導入をする場合等を考えますと、対外的に信用を高めるということの一助にいたしたいということが、おもな点でございまして、現在資本金が百七十億円でございますが、昭和二十七年度におきまして、百三十億円を一般会計から出資することになつておりますので、合計いたしますと三百億円になるのでございます。そのほかに復興金融金庫が開発銀行に承継されました際に、政府からの貸付金となつておりますものが八百五十二億二千万円でございますので、両者を合せますと千百五十二億二千万円ということになる予定でございます。この借入金を出資金に振りかえますのは、法律が通過いたしました後に、なるべく早い機会にこれを行いたいと考えております。これが第四條の改正のおもな点でございます。
なお第二の改正点といたしまして、日本開発銀行の業務に関する点でありますが、業務の内容といたしまして、新たに債務保証を行い得るという規定を設けたのでございます。従来はできなかつたのでありますが、これは一般の債務保証ではなくて、開発資金に関する債務の保証でございます。また同時にこの債務保証の中には、外資導入に関連いたしまして行う債務の保証ということも、含めることに考えておるのでございます。それからこまかな点でありますが、業務のところで肩がわり業務の一つの形といたしまして、従来は返済資金の貸付のみを行つたのでありますが、債権の譲り受けという方法も新たに加えた。非常に技術的な点でありますが、そういうことで業務を充実するということにいたしております。
改正の第三点といたしましては、開発銀行は政府から資金の借入れができ、あるいは外国の銀行その他の金融機関から、外貨資金の借入れを行うことができるということにいたしたのでございます。この改正は、先般御審議をいただきました輸出銀行の改正と同趣旨でございますが、輸出銀行にもちろん輸出銀行の業務の財源に充てるための借入れがなし得る。また開発銀行としては開発銀行の業務の財源として、必要な資金の借入れが行い得るわけでございますが、その目的なりあるいは業務なりによつて、借り入れ得る場合のおのずから異なつた目的なり條件なりがあるわけであります。
なお政府からの借入れといたしましては、昭和二十七年度において、見返り資金から四十億円の借入れを予定いたしております。また借入金と債務保証の合計額は、自己資本を越えてはならないという限度を設けてございます。それが第十八條の二の規定でございます。
改正の第四点といたしましては、従来日本開発銀行は法人税、事業税等を課せられる課税法人であつたのでありますが、これも先般御審議いただきました輸出銀行と同じように、納付金制度に改めることにいたしまして、毎事業年度の利益金の百分の二十に相当する額、あるいは融資残高の千分の七に相当する額のいずれか多い方を準備金として積み立てる。残りを国庫へ納付する。その反面法人税、事業税等は課税しないということに改めたいというのが、第四点でございます。
それから改正の第五点といたしましては、米国対日援助見返資金の私企業に対する貸付財源を、開銀行が承継することができる趣旨の規定を設けてありますが、これは見返り資金と開発銀行とが、たとえば一般産業につきましては、同じ相手方に対して見返り資金も債権を持つ、あるいは開発銀行も融資をしているというような事情もございまするので、国家の財政資金的な面において、同じ目的のために同じ趣旨の融資を異なる機関で管理をし、融資を行うということは必ずしも能率的でない。むしろこれを一元化することが適当であるという趣旨から、こういつた規定を設けたいと思うのでございますが、この実施の時期等につきましては、一応政令に讓つているのでございますが、適当な時期においてこの承継をいたしたい。なお当初の間は見返資金特別会計からの貸付という形をとりまして、適当の時期においてこれを出資に振りかえることができるようにいたしておるのでございます。
改正のおもな要点は以上の諸点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/20
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021・佐藤重遠
○佐藤委員長 次会は明四月一日午前十時より開会することとしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X04319520331/21
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