1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月八日(木曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 奧村又十郎君 理事 佐久間 徹君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
淺香 忠雄君 大上 司君
川野 芳滿君 島村 一郎君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮原幸三郎君
高田 富之君 深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
大蔵事務官
(銀行局総務課
長) 福田 久男君
大蔵事務官
(銀行局銀行課
長) 大月 高君
委員外の出席者
検 事
(検務局総務課
長) 津田 實君
大蔵事務官
(銀行局特殊金
融課長) 有吉 正君
日本開発銀行理
事 中山 素平君
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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五月七日
委員風早八十二君辞任につき、その補欠として
横田甚太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員横田甚太郎君辞任につき、その補欠として
高田富之君が議長の指名で委員に選任された。
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五月八日
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
伴う措置に関する法律案(内閣提出第一九〇
号)
同月七日
在外資産の補償及び在外公館等借入金返還促進
に関する請願(大村清一君外六名紹介)(第二
五三六号)
運動具に対する物品税撤廃及び免税点の設定に
関する請願(大野伴睦君紹介)(第二五七五
号)
陶磁器に対する物品税撤廃の請願(田中伊三次
君紹介)(第二五七六号)
球遊器に対する物品税撤廃等に関する請願(田
嶋好文君紹介)(第二六一一号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
配当金領收書印紙課税廃止に関する陳情書
(第一六三九号)
を本委員に送付された。
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本日の会議に付した事件
長期信用銀行法案(内閣提出第一一三号)
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三八号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一八三号)
高金利等の取締に関する法律案(内閣提出第一
八四号)
信用金庫法施行法の一部を改正する法律案(佐
藤重遠君外二十二名提出衆法第三七号)
貸付信託法案(内閣提出第一三〇号)(予)
請願
一 銀行従業員の給與に対する大蔵省の干渉及
び統制の排除に関する請願(小山長規君外
一名紹介)(第一六一三号)
二 銀行従業員の給與に対する大蔵省の干渉及
び統制の排除に関する請願(深澤義守君紹
介)(第二一五六号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
まず本日の日程中小山長編君外一名紹介及び深澤義守君紹介の銀行従業員の給與に対する大蔵省の干渉及び統制の排除に関する請願二件を議題といたします。本請願三件につきましては、それぞれ紹介議員から四月二十二日付で坂下願が提出せられておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/1
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002・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようですから、右両請願の取下げを許可することに決定いたしました。
なおただいま取り下げを許可いたしました両請願を除いた残余の請願二百件及び陳情書五十件の審査は、去る三月三十一日設置いたしました請願及び陳情書審査小委員会において、審査していただくことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 次に、前会に引続き長期信用銀行法案、貸付信託法案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案、及び高金利等の取締に関する法律案の金融関係五法案を一括議題として、質疑身続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許したいと存じますがその前に、昨日の委員会におきまして宮幡委員の質疑に対する政府当局の答弁が保留になつておりますので、この際政府当局の答弁を求めた、と存じます。河野銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/3
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004・河野通一
○河野(通)政府委員 昨日宮幡委員からの御質問に対して、ちようど私席におりませんで答えできませんでしたので、本日お答え申し上げたいと思います。
お尋ねの点はおおむね三点になつておるかと思うのであります。第一点はいわゆる株主相互金融というものは一体合法的なものであるか、非合法的なものであるかという点が一つ。これに関連して、貸金業法を廃止して後に、行政措置としては一体どういうことをやるつもりであるかというお尋ねのように承つております。貸金業法を廃止いたしまして、このたび御提案申し上げておりますような法的措置を美行いたしていただくことになりますと、いわゆる預かり金禁止ということにつきましては、今後におきましては、銀行法あるいは相互銀行法、貯蓄銀行法これらの規定によつて預かり金禁止の実体的な取締りが行われることに相なるわけであります。現在貸金業法にやはり預かり金の禁止の規定がございますが、これは銀行法なりその他金融関係法令における預かり金等の禁止と、実は同じ趣旨によつてできておるわけでありますから、貸金業法を廃止いたしましたからといつて、預かり金禁止に対する取締りの規定が実はないわけではないのであります。この点は法律的に何らギヤツプと申しますか、抜けたところはないわけであります。なおこれに関連いたしまして、貸金業法を廃止するに伴い、これら銀行法とかあるいは貯蓄銀行法等におきます預かり金禁止の取締りに関する罰則の規定が従来非常に低かつたのを、貸金業法における罰則と同じ程度まで引上げることによりまして、実体的にも支障のないようにとりはからうことに相なつておるわけであります。
お尋ねのいわゆる株主相互金融というものでありますが、御承知のように実はいろいろな態様があるわけでありまして、一概に申し上げることはなかなか困難でありますが、株主から相互に出資の形で金を集めて、その株主に相互に金融をして行くという仕組みの法律的な解釈、あるいは取扱い方につきましては、実はいろいろ問題がございます。現在のところこの問題につきましては、一件だけたしか千葉であろうかと思いますが、起訴になつておりまして、刑事事件として今問題になつておるようであります。これがはたして、貸金業法でありますとか、あるいに銀行法でありますとか、貯蓄銀行法等の預かり金を禁止する規定に反する行為であるかどうか。この点につきましては、実は結局終局的には裁判所の判定によつてきまることに相なるかと思うのであります。今日は法務府の校務局からは総務課長が見えておりますが、現在のところ法律的な解釈、違反であるかどうかの問題につきましては少くとも金融行政を担当いたしております私といたしましては、この点についてなかなかはつきりした結論を申し上げかねる。むしろこの方の担当者であり責任の官庁である法務府の方の御見解をお聞き取り願つたら、その方がはつきりするのではないかと考えております。
次に御質問の第二は、現在できておりまする社団法人全国金融業団体連合会というのがありますが、貸金業法が廃止になつた後はこれをやめるつもりであるかどうかというお尋ねであります。全国金融業団体連合会は、昨年の六月に大蔵省から設立認可をいたしたものでありますが、民法によるいわゆる社団法人として設立の許可をいたしたものであります。今般貸金業法の廃止に伴いまして、この連合会をどういうふうに取扱うかという問題でありますか、本法案が成立し貸金業法がなくなりましても、実質的なステータスについてはそう別にかわりはないわけであります。具体的に申し上げますと、かわるところは要するに貸金業を営む者が届出をする制度がなくなるという点が、おもなる点であろうと思います。民法第七十一条にいろいろ解散あるいは許可を取消す規定がございますが、これらの規定の建前から考えましても、貸金業法の廃止に伴いまして、大蔵省においてこの設立の許可を取消すということは、法律上もなかなか困難でありますし、今のところはそういう処置をとることは実は考えておらないのであります。しかしながら貸金業法を廃止いたすに伴いまして、貸金業者自体のステータスというものも相当かわつて参りますので、その新しい事態に応じまして、連合会において、その存立の理由がないということで、これを自発的に解散せられるということでありますれば、これについては私どもは別に異論はないわけでありますが今後これがかりに存続されることになりましても、別段著しい弊害が起るということはないように考えております。貸金業法々やめましても、これはやはり一種の金融業ではありますので所管から申しますと、やはり金融に関することを大蔵省において担当いたすことになりますので、この連合会の仕事から見まして、主務官庁はどこかということになりますれば、やはりどうも大蔵省が主務官庁ということにもなるかと思うのであります。これらの点から考えまして、私どもといたしましては、今ただちにこの連合会の設立許可の取消しということは、法律上からいいましてもなかなか困難でありますし、またその必要もないのではないかと考えておる次第であります。
第三点のお尋ねは、貸金業法をやめて行くということは、いろいろな点で金融行政の一元化ということを大蔵省は盛んにやつておるようだが、この点についてこの方針と相反する結果になるのではないかというお話であります。この点につきましては、金融行政はできるだけ一元的に運営して行くことが適当であろうという点につきましては、私どももお尋ねのように考えておるわけでありますが、貸金業法を廃止いたしましたからといつて、金融行政の一元化ということに対して、特別非常に悪い影響を及ぼすといつたようなことではないように考えております。実際問題といたしましても、これらの貸金業者の扱つております資金量は、金融全体の行政の立場から見ますと、金融の調節でありますとか、あるいは金融の調整あるいは規制等の立場から見まして、そう大きなウエートを持つているわけではありません。ただ問題は社会問題としていろいろ問題のあることは承知いたしておりますが、金融行政の一元化という観点から、貸金業法を廃止するということは、さまで大きな影響はないと私どもは考えておるわけであります。
直接私御質問をお聞き取りいたしませんでしたので、あるいは御質問の点と少し見当がはずれておるようなお答えになつたかと存じますが、なお御質問によつてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/4
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005・津田實
○津田説明員 それでは私から今の河野政府委員のお話を若干補足して御説明を申し上げますが、いわゆる株主相互金融と申しましても、いろいろ形態がございまして、その法律構成も非常に複雑であります。一概に株主相互金融が合法であるとか、非合法であるとかいうことは申せないという実情であります。従いまして、検察当局におきましては、個々の事件につきまして、法規に違反する部面があるかどうか、つまり法規に違反した部面は取締りをする、こういう態度をもつて臨んでおります。関係法規といたしまして一応考えられますものは、商法の四百八十九条以下の、いわゆる自己株式の取得でありますとか、あるいは法令、定款によらない利益の配当であるとか、あるいは預け合いというようなものに該当する場合が、ときどき見受けられるわけであります。そのほかに典型的なものといたしまして、やはり預かり金の禁止に違反するというような場合もあるわけであります。従いまして、相互金融そのものが、何らかの合法を仮装してやつておるということであればその合法を仮装しての裏面には違法な点がありますので、その面について取締りをするということは、むろん実際の問題としてやつておるわけでありますが、なかなか表面的な合法であるとか、真の合法であるとかいうことの証拠問題になりますと、今日非常に検討が困難であるというのが実情でございます。
それからもう一つは、やはりこういう金融関係の事業になりますと、関係者が非常にたくさんになつて参りますので、たやすくこれに——たやすくと申しまするか、通常の程度の嫌疑でただちに手をつけるということが、実際問題として困難になつて参ります。と申しますのは、多くの迷惑がかかるということも考慮に入れなければなりませんので、非常に証拠の確実なものについてのみ、逐次手をつけておるというような実情になつております。先ほど河野政府委員から申し述べましたが千葉に一件ございます。この事件は、やはり単なる預かり金の違反でありまして、これは株券を作成してもおりませず、検挙の手が延びてから株券を仮装したというような事実のようでございまして、これはまつたく合法を仮装しておるわけでありまして、本来の相互金融というものとは離れて、まつたく非合法であるというようなことからただいま公判係属中に相なつております。そのほかに、福島県あるいは大阪、東京に三件ばかり事件がただいまあります。福島県の事件につきましては、やはりこれは合法を仮装しておるが、事実株券の作成等があまりはつきりしていないというような実情でありますので、これも典型的な株主相互金融とは申せないと思います。その他東京、大阪の事件につきましては、一応預け合いあるいは公正証書原本不実記載登記、つまり原本に不実を記載をしたとか、あるいは印章偽造というような嫌疑がありまして、ただいま取調べ中に相なつております。従いまして、すでに申し上げました通り、個々の事件につきまして、違法な部面があれば取締るというふうな態度をもつて臨んでおるというのが、現在の実情でありますし、大体将来におきましても、さような態度をもつて臨むよりほかに——株主相互金融を、直接典型的なものをきめまして、合法、非合法をきめて行くというようなことは困難であり、またそういうふうにはすべきでないのではないか。別に立法ができますればこれまた別問題でありますが、現在の状況においてはさようなことであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/5
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006・宮幡靖
○宮幡委員 河野銀行局長さんと法務府の方の説明員の御答弁を伺つたわけでありますが、聞いておりますと、まことにごもつとものように聞えるのであります。ところが、言葉は不適当かもしれませんが、帰つて事務テーブルにでも向いましてこの法律を読んでみますと、どうも答弁がぴつたり来ないのであります。要は、いわゆる株主相互金融というものの実体が確定しておりません。これは預金というものを取扱うことのできる金融機関として指定されておるその法令に基いての違反行為であるということも、はつきりとは言えない。だがどうもそういうにおいがある、こういう程度にしか御答弁の要旨が聞えないのでありますが、おそらくこれは現行の法制下におきまするところの、少くとも金融制度の法制下の中におきまして、一つの欠陥であろうと思う。しかし欠陥は今ただちに是正するというわけにも参りませんのでこの点については将来の研究に魔するものであろうと了承いたしたいのでありますが、それについても、本件に関しましては、さらに金融行政を直接担当せられますところの大蔵省においても、熱意を持つていただきたい。これが私の質問いたしまするほんとうのねらいであります。わからないからというので、どつちとも判断しにくいからというので、荏苒日を送つておられましたら、これはいつになつて解決するか。ぜひ解決を與えなければならない。特に法務府の御答弁の中にもありましたが、言葉じりをとるのではありませんが、本来の株主相互金融という言葉をお用いになつている。それでは本来の株主相互金融という形はどういう形でありますか。もし本来の株主相互金融があるならば、そのわくにはずれるものは、法令の解釈といたしまして、少くとも非合法としてこれを摘発する、しかるべく公正なる裁判を受くべきであろうと思いますが、将来誤解があつてはいけませんので、法務府の説明から伺いました本来の株主相互金融というものの、定義とまでは申しませんが、どういう構想でそういうお言葉を使われておりますか。これを参考に聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/6
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007・津田實
○津田説明員 本来のと申しましたのは、多少言葉が足りなかつたかとも思いますが、私の申しましたのはつまり株主となつた人に優先的に金融をするという形をとつておるものというようなことを基準にして考える。でありますから、千葉県に起りましたような事件は、株主でも何でもない、ただ株券を仮装しようと思つたんだが、間に合わなかつたとか、あるいは株券をつくることにしておいてほしいとかなんとかいうようなことで、本来、真に株主となつた人でないというようなことにおける金融関係であるという意味におきまして、遣うと申し上げたわけでありまして、本来のというのは、結局株主となつた人に金融をする、あるいはそれに限つてするか、優先的にするか、そういうような形態をとつておる人、形を、一応株主相互金融という範疇だという意味で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/7
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008・宮幡靖
○宮幡委員 その点はそれで了解をいたしますが、なお商法の規定等を引用された御説明もあつたわけでありますが、單に株主と申しましても、かつての、戰時中から引続いて起つて参りました全額払込み主義の株主制度ばかりではありません。いわゆる授権資本、オーソライズド・キャピタル、払込みが完成しておらないが、株主の資格を構成しておる、そういうものと関係を結びました場合には、これは法務府の御意見として——これも今まで使つた本来のという言葉は取消してもいいのでありますが、お話の中にありました正常なる株主相互金融、こういう御見解のもとにあるのか。これを参考までに聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/8
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009・津田實
○津田説明員 その点につきましては一応検察の対象といたしまして株主相互金融というものの概念をはつきりきめるわけには行きませんが、大体俗に言つているものは何かという点で先ほど申し上げたわけであります。ですから必ずしも、この分ははつきり概念に入つている、これからはずれたものは概念に入つておらぬというふうに、申し上げられるわけのものではありませんので、ただいまおつしやいましたような点につきましては、なお一般的な実情——要するにわれわれの概念としては、社会的に使われている概念というものがやはり基礎になつて参りますので、そういうものも社会的に株主相互金融というふうに使われておるといたしますれば、そういうものも入る概念として了解しなければならぬかと考えますが、私どもはまだそこまで認識をいたしておりませんので、はつきり申し上げることは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/9
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010・宮幡靖
○宮幡委員 長い時間をこの法律の質疑のために使いたくないので簡潔に伺いますが、どうも銀行局長さんや法務府の方の御説明を聞いてみましても、どつちにもならぬという事態であるということに、俗な言葉で申せばなるだろうと思います。しかもかような事態におきまして、現在の取締り法規を廃しまして、法務府の取締りの管轄下と申しますか、その下に移そうということにはずいぶん危険を伴う。処罰することができるように法律はなつていても、実態はこれを処罰することができない、こういうことでありまして、大蔵省においても一万有余にわたります届出金融業者を、現在の人員の配置あるいはその他の機構と照し合せまして法の効果を上げることができないというところに、この廃止を提案せられた一つのねらいが潜在しておるんだと思う。そういう事態におきましてこれを法務府に移したならば、しかも貸金業等の取締法律におきまする預金の受入れの禁止ということは、他の金融法令と同一の意味があるという意味におきましては、やはり同一の取締りが継続されるのでありますから、法務府におきましてこれを行政的に移管せられまして、その場合において従来よりまさつた取締りができるだろうか。大蔵省に預けておくよりも法務府が直接監督してもらつた方が、法的な効果が上るんだという点において、何か一つか二つ確信を得たいのでありますが、この点につきまして法務府の方から伺うことができるならば仕合せだと思う。たださつきも御意見の中にありましたように、法律は事実に遅れて存在するものであります。従つて法の不備のために処罰することができないという実情にあるならば、これも了としなければなりません。しかもこのあとからできました法律というものは、私は弁護士でも何でもありませんが、やはり法律には不遡及の原則があろうと思う。今まで犯した罪は処罰されるものではなくして、将来はこの範疇に沿つて、この例の上に乘つてこういうことをやれということを指導して行くのが、行政的な眼目であると思います。さらに足りなかつたならば、重ねて適切なる立法措置をいたすように思いをいたしますれば、この際法務府に移管したことによつて、若干でも、たとい一つでもたとえば百分の一でも何か取締りの効果が上るんだという確信を得ない上におきましては、この法律案にみだりに賛成はできないということが、われわれ議員の立場として必然的に申さるべきことだと思います。そこでこの点法務府としての御意見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/10
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011・河野通一
○河野(通)政府委員 足りませんところは、あと法務府の方からお聞き願いたいと思います。いわゆる貸金業というものが、一般の方々との取引上社会にいろんな影響を及ぼすということはお話の通りだと思うのであります。この点につきましては従来とも健全なる運営ができて、かりにも社会の大衆に対して迷惑を及ぼすことのないように努めて参つたつもりであります。今後貸金業取締に関する法律が廃止されましたあかつきにおきましても、その点は当然そういうことになると考えております。現在と今後におきまする状態の違いは、結局具体的に申しますと、今お話のありましたように従来は大蔵省で届出を受理いたしまして、六千数百という届出の業者がおる。ところが今お話のように、これはまありくつにも何にもならないのですが、その実体を一々私どもの持つておりまする人員で詳細に取調べることは、事実問題としてなかなかむずかしい問題であります。従つてこの届出制度は、従来からも実は本来の目的に従つて、そう十分なる活用ができておらなかつた。従いまして実質的にはこの届出制度をやめたからといつて、そう大きな変更はないと思います。いやしくも他の法律に違反するような事態がありますならば今後におきましても法務府を中心として、取締りは相当厳重に励行されることと私どもは期待いたしております。なおこの点につきましては法務府の所管の問題でありますので、その方からお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/11
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012・津田實
○津田説明員 今後貸金業法が廃止になりましたあかつきにおきましては、もちろん高金利等の取締に関する法律案、それから預かり金については銀行法等によつて受継がれて行くわけであります。従来の違反は従来の法律、今後の違反はこの銀行法等によつて、預かり金の面はカバーされて行くことになるわけであります。従来銀行法の無免許営業犯は法律に規定はございますか、これを発動することが非常に困難であつた実情を申し上げますると実は非常に低額の罰金——今日の貨幣価値から申しますと、ほとんど問題になりないような低額の罰金しか定められておらないのでありまして、これを活用いたしまして厖大な事件々取締ることは、社会の耳目を引いた割合に処罰がほとんど問題にならない実情にあつたわけであります。銀行法等がこの法案によつて改正されますと、その点の問題はなくなります。従来は貸金業者の預かり金のみが、かなりの限度において処罰されるという形になりまして、若干片手落ちと見られる点もあつたのであります。今後は普遍的に参るわけでありますから、その面におきましては取締りと申しますか、検察の面では非常に取扱いが公平になると考えられる次第でございます。貸金業法が廃止されましたから、行政面でただちに検察あるいは警察の面にかかつて来るということではないと、私どもは理解しておるのでありまして、悪質なものの取締りという面におきましては、今後とも一向に違いはないわけであります。しばしば金融関係等について、多数の国民大衆に迷惑をかけておるものについては、厳重な態度をもつて臨むということは、しばしばこの委員会でも法務府当局から申し上げておる次第であります。その点は今後ともまつたくかわらない次第であります。それにつきましては、今度の銀行法の改正は非常に役立つというふうに考えておる次第であります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/12
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013・宮幡靖
○宮幡委員 今の法務府のお話によりますと、銀行法の三十三条の改正によつて罰則の強化、体刑もでき、罰金も三十万円以下、ここにおいて一罰百戒の効果を上げるであろうという意味のお話がございましたが、これはごもつともであります。私どももそう信じたいのであります。ところがこの反面から解釈いたしますと、こういうものをかざしましても、実際に不正金融業者を取締ることをいたさなかつたならばそれこそまつたく空文でありましておどかしの法律でありまして、いわゆる法律的効果というものはゼロになるわけであります。そこで従来と取締りの方法がほとんどかわらない、重点的にひとつやつて行くのだ、こういうこともわかりますが、銀行局長のお話と照し合せてみますと、それでは今後におきましては、大蔵省といたしまして、少くとも株主相互金融というものの仮面のもとに不正金融の事実を発見したとき、それが法に触れるか触れないかまでの解釈はいたさないで、これを進んで摘発、もしくは告発等をいたしまして、検察権の発動を促すという措置をとられるかどうか。この点について、これならはつきりお答え願えると思いますので、はつきりしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/13
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014・河野通一
○河野(通)政府委員 お尋ねの点は、銀行法違反、あるいは貯蓄銀行法違反いわゆる無免許金融業につきましては私ども行政当局といたしまして、それに対する違反の嫌疑がありますれば、私どもとしては告発するということは従来からもやつております。今後におきましても、そういうことがございましたら、十分にやつて参りたい、かように考えております。なお御参考のために申し上げておきたいのでありますが、一応法律違反の疑いのある問題につきましては、実は内部的に法務府とも従来から長い間かかつていろいろ御相談もし、検討を加えたこともあるのであります。この問題につきましては表面には出ておりませんが、私どもは常に関心を持つております。そうしていやしくも立法の趣旨に反することのないように、金融全体がうまく動いて大衆に迷惑を及ぼすことのないように常に配慮いたしておるつもりであります。ただ、たまたまこの問題につきまして、先ほど申し上げましたように、法律関係が非常にむずかしいので、私どもまだ結論まで到達しておりませんので、これをたとえば株主相互金融につきましてこれは預かり金をしておるのだという結論まで出すことは、私としても職務上そういう権限もございませんし、結論が出ておりませんけれども、いろいろ常に関心を持つて、法務府その他と御相談申し上げておるということだけは御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/14
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015・宮幡靖
○宮幡委員 そこでこれは将来にわたることでありますが、いわゆる株主相互金融なるものの範疇がはつきりしないという現段階を認めざるを得ないでありましよう。しかしながら弊害ということが事実累積しておるということも、これは顯著な事実であろうと思う。そこで法的解釈はしばらくおきまして、大蔵省の行政監督の面におきまして、金融法令の禁止規定の違反となるかどうかということは別といたしまして、これは社会的に見て、広い道徳観念から見ましてよくないことだと思われるような事実を、統計的にこれを集約いたしまして、やがて株主相互金融の弊害なき部面は、そこが限界だというような決定をいたしたいという意欲を、大蔵当局は持たれているかどうか。そうしてそれが正しい線に集約されるといたしますならば、さらに取締りに関する立法をする意欲を持つておられるか。大蔵省にその意欲がなければ、われわれがもしこの法律案に賛成するとすれば、われわれは当然その種の附帶要求ぐらいはいたさなければならぬ。そこでまず大蔵当局の意欲の点をひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/15
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016・河野通一
○河野(通)政府委員 どうもなかなかむずかしい問題であります。今後におきましても、私どもは金融行政の円滑なる運営、そうしてそれが国民大衆に対していやしくも迷惑を及ぼすことのないようにという配慮から、今後といえども研究は続けます。しかしその点について、具体的に株主相互金融がどこまでがいいのであつて、どこから先はいけないのであるというような、行政上の何か線を引くといつたような措置が一体できるかできないか。この点につきましては私は今この機会において明言すると申しますか、お答えを申し上げることは困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/16
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017・宮幡靖
○宮幡委員 答えることが困難であつても、研究をするという言葉でありますので、私はその程度で了承いたします。しかし大蔵省の実際の銀行等の監督を見ますと、かりに株金の払込み証明書を、手形をとつて割引いた形で会社について証明書を出したということが発覚いたしました場合、これはその行員の人事の点まで大蔵省は干渉なさつておるとするなら、株主相互金融に対しまして、なかなかむずかしいから答えられない、單に研究するだけでは御懇意の間柄ではありますが、私は答弁として満足はできません。私の満足のできないことは、国民大衆が満足できないことであります。弊害は枚挙にいとまがないのであります。もつと私は勇敢にあつてほしい、こう思うのであります。さもなければ、この問題は永久に答弁のできない法律になつてしまうというおそれがあるのであります。そういう法律は私はつくりたくありません。少くとも占領下におきまして指令のもとに政治していた時代と違いまして、自主独立の法制をつくつて行こうという立場から、もう少し新しい面が出ていいのじやないかと、私は欲をかくのかもしれませんが、これは当然の希望であるとひとつ御了承願いまして、ぜひひとつ御研究を続けていただきたいのであります。幸いに本日は法務府の方もおりますので、一、二法律案に直接触れましたことを簡単に質問いたしましてこの問題は煩わしいのでなるべくやめようと思います。
そこで昨日もちよつと伺いましたが法案の第一条の第三項で、ずいぶん古い問題であります、明治十年の太政官布告というような古い法律がひつぱり出されまして、「利息制限法の規定の適用を妨げない。」とある。私は第一条第一項の精神なるものは、利息制限法の特別法であると認めたいのであります。しかるに利息制限法の適用を妨げないという趣旨はどうか。日歩五十銭の限度は年利十八割、こういうようなものでありまして、それは利息制限法の一割五分、一割二分という限界からいいますと、はるかにこれは悪辣といつてもいい金利でありましよう。そういうようなことも約定上できた、しかし利息制限法によつてこれを不当だと要求するのは、裁判上無効であるといたしますれば、一体この法律で五十銭と書く意味は何でありましようか。これは銀行局長と法務府と双方から御意見をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/17
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018・河野通一
○河野(通)政府委員 利息制限法の適用を妨げないという規定は、これも皆さん一番よく御承知なんで、私が御説明申し上げることもないのですが、民事法上それが裁判になれば、裁判上無効だ、こういうことであります。しかしこれは、別にそれを越えたからといつて、利息制限法には罰則はないわけであります。今度の場合は、社会通念上そういう高金利をとることは、はなはだ適当でないという建前から、これを処罰をもつて取締つて行こう、こういう問題であります。従いまして、同じ法律の書き方といたしまして、これ以上の利息をとつてはならぬという意味が、利息制限法の場合には、それ以上とると裁判上無効だということであり、つまりこれは訴訟にならなければいいわけであります。こちらの場合には処罰の対象になる。こういう意味におきまして両者はおのずからそれぞれの趣旨を貫徹いたしておるものだというふうに私は考えております。この規定がかりになくても、あるいは法律上当然のことであつて利息制限法は当然動くのだというふうな解釈もつくかとも思いますが、やはりこの際こういうような両者がおのおのその目的に従つて運用されて行くのだということを、はつきり法律案の中に書いておいた方がいいのではないかと、私ども各関係省の間の打合せでそういう結論になりましたので、念のためにと申せば念のためでありますが、はつきりしておく。利息制限法とこの法律とは両立して行くものであるという建前をはつきり出したものと、御了承いただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/18
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019・宮幡靖
○宮幡委員 これはまことに残念な法律案だと申さなければなりません。私は第一条第一項が、利息制限法に対する特別法であるならば、何をか言わんやであります。しかるにその場合、約定上貸しても五十一銭で貸せば罰則の適用がある。五十銭で貸しておいてその方はよかつたが、借りた方が裁判をいたすならば、利息制限法の利率に返るのだ、こういう法律案、そうなりますと、この法律の趣旨というものはどこかで消えて行つてしまう。また実際こういう庶民金融の面を見ますれば、広い意味におきましては金融することを閉塞せしむる一つの法律である。またその証文の書き方をみだりにかえさせる。証文を二枚とつたり三枚とつたりいたしまして、そうして煩わしい利率を避ける。たとえば一割五分しかとれなければ——一割五分の制限だといたしますと、証文を幾つにもわけまして、みな一割五分に書いて有効にするというように、事実上の救済策にはならぬのでありまして、こういう面を勘案いたしますと、どうも一条の三項を設くることは妥当でない。かりにこういう三項がなくても、利息制限法の特別法の適用を妨げないという解釈であるならば、やはり利息制限法でその人の選択によつて裁判所に申し出ることができる。申し出ることについては、法務府の方に伺えばわかるわけであります。さらにこの問題につきまして、私はそういう点を裏から返してみますと、この法律は永久でもありますまいが、日本の経済が正常となり、低金利の時代となつて参りますれば格別でありましようけれども、現在の一年や二年の見通しとしては、これを改めるような情勢にはなりにくいという見通しも持つております。そうしますと、年十八割という利息に換算される日歩五十銭を、法律の表に書かなければならないというような、一つの皮肉な感じを私は持つわけであります。しかしながらこの対象といたします罰則は、体刑の三年以下、三十万円以下の罰金、これの併科もできるという重罰であります。従いまして、法に何らかの根拠がなければその発動が困難だということもありますが、その事情さえないといたしますならば、これは時の経済事情によつて、金融行政を預かる大蔵省が適当と認むる利率を度々指定する、あるいは告示する、あるいは政令で定むるという方式によつて、せめてこの法律の表だけは、五十銭などという悪徳高金利をやらせないようにいたしたいと私は思う。これがもしこの法の表に五十銭というものがなく、政令にまち、委任立法といたしたような場合には、罰則の適用上困難であるかどうか。これは銀行局長と法務府の方両方から明確に御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/19
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020・河野通一
○河野(通)政府委員 これは法務府当局からお答え願つた方が実はいいと思いますが、やはり今お尋ねのように、非常に重罰をもつて臨んでおるものでありますから、これについて一体幾らにきめられるのかということが、法律上はつきりしていないことには、法の運用上から行つても、立法府のお立場から行つても適当でないじやないか。やはりこういう重罰を科するという場合には、法律にはつきり書いておかなければならないのであります。それでは一体五十銭というのは理論的根拠があるのかということになると、これはなかなかむずかしい問題であります。五十一銭が悪くて、四十九銭がいいのかという問題になると、それもなかなかむずかしい問題でありますが、しかしどこかに線を引かなければならぬ以上は、必ずそういう境に問題が起つて来るわけであります。非常に高い処罰の規定でもありますから、私どもはやはり立法府の御承認を得たはつきりした具体的な数を表に出して、法律にはつきり書くことが、むしろ立憲的であろうというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/20
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021・津田實
○津田説明員 ただいまの政府委員の説明の通りでありまして、五十銭ということを表に表わすことがいいか悪いかという問題は、もちろん考えられるわけでありますけれども、貸金業を廃止いたしますという前提に立ちますと、貸金業を設けましたところの最初の趣旨は、高金利の抑制が一大眼目であることはすでに御承知の通りでございます。それを受継ぎまする以上、現在の程度に従つて立法するのがよろしかろう。ところが現在の程度と申しますと、すでに御承知のように、行政的にはやはり日歩五十銭というのを限度にして、業務方法書の処理が行われております。地方によりましては若干それより下つておるところもございますが、最高は五十銭ということが、内面的ではありますが、もはやこれは公知の事実と申してよろしいと思う。そういう点を法律に受継ぎまして、法律として立法していただく、こういうことが国民には一番はつきりするわけです。しかも今日におきましても、私どもの取締り当局から見ますると、やはりト一というような利率が間々行われる場合も、いろいろな事態のときにはあるわけであります。そういうものは排斥すべきものであるという趣旨におきまして、かような限度を設けることになつたわけであります。画一的に限度を設ける方が、一般的に非常にはつきりするという意味におきまして、その額を法律に表わすことは当然、あるいはやむを得ないというふうに了解しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/21
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022・宮幡靖
○宮幡委員 五十銭を表わさなければならないというお話でありますが、情ない五十銭だと私は思つております。かような法律の精神には少くとも宮幡個人は賛成するわけには行かない。賛成するのがほんとうかもしれませんが賛成する勇気がありません。
そこでさらに法律の内容で伺いますが、第一条にあります「金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為を業として行う者」——先ほど法務府からお話があつたト一金融というようなものは、これは反復行うものではありません。これは危急存亡のときで、それは反復して行つておる業者から受ける金融じやないのであります。従つて偶発的に、きよう百万円の金がなかつたならば全部破産してしまうから、これは百万円の利息でも借りなければならないという事態があつたら借りるでありましよう。こういうものはこの罰則の適用として大いに取締るべきであるが反復業とする者とこれとを混同してやられますととんでもない取締り上の錯誤を生ずると思う。少くとも御説明を聞いていると、そのおそれはなかなか顕著であります。従いまして、この法案第一条にあります行為を業とするという定義を、ひとつ明確にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/22
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023・河野通一
○河野(通)政府委員 業とするというのは、御承知のように商法上の観念であります。反復して同一の商行為をやることであろうと思います。ただしかし現実には一体どこから先が業であつて、どこまでが業でないかという点につきましては、実は程度問題だと思います。二回人に金を貸したら業になるかという問題になりますと、実際問題としてなかなかむずかしい問題だと思いますが、これはやはりそのときそれの社会情勢なりあるいは社会通念等によつて、その個々の場合を業と見るべきかどうかということは、おのずからそこに出て来るのじやないか。従いまして、非常に極端な場合ははつきりいたしますけれども、境のところになりますと、それが業か業でないかということは、やはりそのときの通念によつて判断せざるを得ません。非常に失礼な申し分でありますけれども、それは最初具体的に法律に書けといわれてもこれはなかなか書けないのでありまして、十回以上反復したら業であるというわけにも参りませんし、そこらあたりはやはり通念で判断して行くよりしかたがないのじやないか。法律としては、お話のように濫用されるおそれがあるといえば、これはおしかりを甘受しなければなりませんが、この点は取締り当局といたしましても、十分良識のある判断でもつて処置されることと思います。行政当局なりあるいは検察当局の良識ある判断に、ひとつおまかせ願いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/23
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024・宮幡靖
○宮幡委員 そのお答えは私は結論においては了承するのであります。業とするのは継続して反復行う、こういう範囲である。それがどこへ線が引かれるかといえば、これは神ならぬことでとても判断できません。しかしながら具体的なことは、継続的に反復して行う者であるというように——これは税法上でも常にそういう言葉を用いているのであつて、反復これを行う者というのは、大蔵省の書き方で実は私それを覚えたわけであります。そういうふうに解釈してよろしいかどうか、はつきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/24
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025・河野通一
○河野(通)政府委員 そういうふうに御解釈願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/25
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026・宮幡靖
○宮幡委員 他に関連質問があるようですから、この点で私はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/26
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027・佐藤重遠
○佐藤委員長 三宅委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/27
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028・三宅則義
○三宅(則)委員 私は数点だけごく簡略にお伺いいたします。ただいま同僚宮幡委員から御質問になりましたように、日歩五十銭という線を出されたわけでありますが、実際の面におきましては、その取締りをいたします上におきまして、一円もとつておる者もあるわけで、ずいぶん相対でやる者もあろうと思いますから、これを取締るには、なかなか困難を感ずるように考えるわけですがこれは借りた人が訴えを起して取締られるものでありましようか。仄聞するところによりますと、新聞もしくは投書等によつてこれを取締るということですが、その辺について明確にお答え願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/28
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029・津田實
○津田説明員 従来の貸金業法の場合でも同じでありますが、検挙の端緒というものは、やはりいろいろございまして、借主が申し出る場合もあります。それからそういう聞込みがあつて捜査を始めたという場合もございます。またほかの事件に関連して現われて来たという場合もございます。いろいろでございまして、別にその捜査の端緒は何ら制限をいたしておりませんので、あらゆる機会に捜査当局に知れたもので、嫌疑がありと思われるものについては、捜査を継続して行く、かように相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/29
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030・三宅則義
○三宅(則)委員 では銀行局長にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、実はこういうような高金利をいたしますことによりまして、利益を受ける人もございますが、昔から言われておりますように高利貸の悪徳観念が深くなりますと、ややもいたしますれば、高利貸から金を借りたものは、半年か一年のうちにつぶれてしまう、こういうおそれがありますから、危急存亡のときのみこれを貸しまして、あとは何かほかの金融とかけかえをしてやる、あるいは国民金融公庫であるとか、その他の政府機関の金と借りかえをしてやるというような便法、手段を講ずる御用意等がありますか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/30
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031・河野通一
○河野(通)政府委員 これはなかなかむずかしい問題でありまして、本来経済が正常な状態になりますと、普通の金融機関で、大体金融というものはまかなえるわけです。ところが何分にも経済がなかなか、資本の蓄積にいたしましても不足いたしておる。そういう事態のもとにおきましては、なかなかそこまで一般の金融機関としては、手のまわりかねる場合が多いのであります。結局問題は、一体資金量がそこまで応じ得るかどうかという問題になつて来るわけです。そのうちで非常に金融の対象になるようなものならば、これは国民金融公庫とかその他資金の許す限りにおきましては、そういう方々に安い金利でお貸しするということは非常に適当なことであろうと思いますけれども、それにはおのずから資金量自体の問題もございますし、経済全体がなかなか正常な状態になりませんと一挙にそういう問題を解決することはなかなか困難だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/31
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032・三宅則義
○三宅(則)委員 次に、これは大蔵大臣に聞くことでございますが、本日は御出席がございませんから、銀行局長にお尋ねするわけでございます。地方をまわつてみますと、平和が回復し、条約の効力が発生いたしました関係上何らか金融措置において変革があるのじやないかということを聞かれるわけでありますが、私は池田大蔵大臣の続く限り、現内閣の存続する限り、断じてないと考えておるわけであります。しかし何らか政府当局におきましては予備措置を持つておられまするか。たとえば平価の切下げとか、あるいは貨幣の呼称の変革とかいうことを考えておりますか。この際承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/32
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033・河野通一
○河野(通)政府委員 金融政策のお話と伺つたのでありますが、金融政策全体の問題といたしましては、大きな根本的な転換ということはございません。しかしながら個々の事態に応じて必要なる措置は講じておるわけであります。指定預金の預託とか、あるいはいろいろな個々の金融については、措置はいたしておりますけれども、金融政策全体を転換するということは考えておりません。いわんや今お話のように、通貨の呼称をかえるとか、あるいは平価を切り下げるとか、そういうことは全然考えておりません。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/33
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034・三宅則義
○三宅(則)委員 ただいまの銀行局長の御答弁は了承いたしますが、この際これに関連いたしまして、特に長期金融ということにつきましては、前の法案もあるわけでありまするが、いわゆる家屋であるとか土地であるとか、そういうものの便法によりまして、いわゆる担保によりまして、金融してやるという事柄が、最も必要欠くべからざるものであると考えておるのでありまして、従つて長期信用銀行法案というものも出たわけでありますが、これに何か関係を持ちまして、貸金業等に対しまする悪徳者をなくするために、そういうような長期金融の土地、家屋等につきまして、何らか早く便法を講じてやるという方法を講ずる用意があるかどうか。銀行局長の御答弁を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/34
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035・河野通一
○河野(通)政府委員 土地家屋等の担保金融につきましては、これは不動産担保金融と申しております。これは実は非常に広い観念でありまして、専門的に申し上げますと、狭義の不動産金融から、いわゆる普通の事業金融の一環としての不動産担保金融まで、いろいろございます。広い意味のいわゆる事業金融としての不動産担保金融につきましては、これは現在小さいものにつきましては、国民金融公庫、その他庶民金融機関がこれを取扱つております。
それから今後長期信用銀行が発足いたしますれば、これが一つの大きな仕事の内容を占めることになると思います。ただ問題は事業金融でない不動産担保金融、これはたとえば相続税を納める場合に金融をやる。これは事業金融じやないのですけれども、やはり不動産を担保にして金融を受けるといつた特殊の不動産金融というものがございますが、これらにつきましては、現在のところでは長期信用銀行法が通過いたしまして、これが施行されましたあかつきにおきましては、その法律の第何条でしたか、その六条の二項か三項にございますように、これらの金融につきましても、一般の業務に支障のない限り、極力その疏通に当らせたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/35
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036・三宅則義
○三宅(則)委員 私は最後にもう一点だけ伺いまして、同僚委員にかわりたいと存じます。長期信用銀行法案につきましては、もちろんあとで審議されるわけでありますが、相当各府県にもこれをつくりまして、地方は地方の元の農工というようなことがありますわけですから、なるべく中央だけでなくして、中央地方を通じて一貫した線に上りまして、なるべく一般大衆の便益に供せられたいと思いまするが、これに対しまする答弁を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/36
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037・河野通一
○河野(通)政府委員 長期信用銀行ができましたあかつきにおきましては、中央のいわば大企業だけに偏重して、地方の長期金融について、これをないがしろにするということは絶対にございません。ただ数でありますが、これは御承知のようにたびたびこの委員会でも、実は御答弁申し上げておるのでありますが、債券を発行して資金を集めるということになりますと、なかなかコストも、資金コストが高くなります。そういつた関係から、この銀行が非常にたくさんの数ができても、なかなかこれは経営がむずかしいわけであります。それよりも数の少い銀行を強力につくつて行く、強力な銀行を数少くつくつて行くということが、最も適当であろう。少くともさしあたりの問題として、そう考えておるのであります。しかしこれらの数の少い銀行は決して單数ではありませんが、できるだけ地方の長期金融についても貢献できるように、寄與できるように、極力行政上の指導をして参りたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/37
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038・佐藤重遠
○佐藤委員長 川野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/38
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039・川野芳滿
○川野委員 高金利等の取締法に関する提案理由の説明を問いでおりますると、貸金業法の規定によつてすでに殖産会社の整理は完了いたしたとあたかも好結果をもつて殖産会社の整理が完了いたしたような感じが抱かれるのでありますが、貸金業法によつて殖産会社を整理になりました件は非常に失敗であつた、こういうふうに私は考えまするが、局長はどうお考えになりますか、伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/39
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040・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます前に、その提案理由に整理が完了したと書きました点でありますが、完全に完了したという意味ではございませんで、金融問題としては一応完了したこういう意味で申し上げておるわけです。整理が具体的に済んでおりませんことは、一般の清算会社等について、解散はしたけれども、清算がなかなか済まないということと同じことであります。金融の問題としては一応完了した、こういうふうな意味で御説明申し上げておると、こう御了承願います。
それから一体殖産会社の整理の方法として、貸金業法の規定するようなやり方が成功であつたか、失敗であつたかという点であります。これはいろいろ御批判があると思いますが、私どもは必ずしも失敗ではなかつた。いろいろな方法があつたと思いますけれどもこれも一つの方法であつたというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/40
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041・川野芳滿
○川野委員 貸金業法によつて殖産会社を整理になつたわけでありますが、そういたしますと、実際問題といたしましては、加入者に支払い用不能のために、加入者が非常に迷惑を来しておるという現下の実情であります。営業しつつ加入者に金を支払うということは、これは非常に易々としてできる問題でございまするが、営業を禁止させて、そうして金を支払う、こういうことはほとんど不可能であろうと存じます。かりに一流銀行であるといたしましても、その営業をさしとめまして、そうして預金者に預金を支払う、こういうことは実は金を借りた方面の方々が支払いをしない、こういうような点もできまして、不可能であるかと考えます。こう考えますると、貸金業法に上つて殖産会社の営業をさしとめ、そうして整理させたという結果が、殖産加入の方々に非常な迷惑を来した、こういうようなことになつたかと考えます。しかも殖産会社にかわるべき株主金融会社というものができておりまするが、今日から考えますると、殖産会社をつぶすというような考え方そのものが失敗であつたと、言わざるを得ないのであります。もちろん法的に対しましては、先ほどいろいろ局長並びに法務府の方々から御説明がございましたが、なるほど法的には違反はないといたしましても、実は預金者にかわつて株主相互社ができた、こういう点でございまして、内容に至りましては殖産金融と株主金融というものは、そう隔たりがないのではなかろうか。こういうふうに考えますると、貸金業法によつて殖産金融をお取締りになつたということは、明らかに失敗であつたと断ぜざるを得ないのでありまするが、この点についてどういうふうなお考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/41
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042・河野通一
○河野(通)政府委員 これは法律問題と実際問題と二つにわけて考えなければならぬと思います。株主相互金融につきましては、先ほど来いろいろ申し上げておるようなことでありまして、私どもはただ形式だけにとらわれて、預金であるとか預金でないとか申しておるわけではありません。名目のいかんを問わず、実体が預金であるかどうかについていろいろ論議をいたしております。しかしその点につきましては先ほど来申し上げておりますように、結論的にまだはつきりしたところまで私としては少くとも申し上げる段階にない、こういうことを申し上げたわけであります。一般の殖産会社につきましては、これはいろいろな関係の金融機関に関する法律に、はつきり違反しておるということを申し上げられると思うのであります。その整理の方法につきましていろいろ御意見もあつたのでありますが、これは行政の実際の問題であります。今お話のように、一般の銀行であつても、今すぐこれに店を締めろと言つたら払えないだろう、預金者に結局迷惑をかけるであろうというお話の点もうなずけないわけではございません。しかし時日をかければ、私は一般の銀行につきましては、必ず預金者に対して相当準備も厚くいたしておりまするし、監督も厳重にいたしておりますし、検査も常に行つておりますので、ただちには払えないかもしれませんけれども、貸金について十分回收の道も開かれます。預金者の方に迷惑をかけるようなことは万ないと考えておりますが、一般の殖産会社につきましては、これは営業を続けておけばあるいは払えたかもしれない。ところが続ければ続けるだけ、さらに内容を悪化させるということもまた考えられるわけであります。これはやはり判断の問題でありますが、これらにつきましては、やはり業法に違反して行われておることではありますし、実際問題として社会の大衆の方々に、いろいろ迷惑を及ぼす度合いを少くするという点からいいましても、つまり弊害をできるだけ小範囲にとどめるという点からいいましても、早い機会に整理を行わなければならないというふうな結論に到達したわけでありまして、そのうちには、あるいは営業を続けて参おれば払えるようになつたものも、絶無だとは申しません。それは神様でないから私もわかりませんが、そのうちの少くとも大部分は、これを続けさしておいたならば、さらに弊害を加重したであろうというふうに私どもは考えております。その意味におきまして、法律面及び行政の実験面の両方から見て、貸金業法に上る殖産会社の整理は、必ずしも失敗でなかつたというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/42
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043・川野芳滿
○川野委員 失敗であつたか、なかつたかということは見解の相違でございまするが、私は明らかに失敗であつたと断ぜざるを得ないのであります。と申しますことは、ただいま申しましたように、株主相互金融という金融機関が生れた点でございます。これは実は現在銀行あるいは相互銀行、こういう金融機関がございまするが、非常に金持階級を対象とした金融をやつておる現下の実情であります。そこで下層階級を中心とした金融機関がほしいというのが、国民大衆の要望であります。この要望に対しまして、株主金融というものが私は生れておるのではなかろうか、こう考えるわけであります。ここに私は大蔵当局の反省を促したい。国民大衆が、こういう金融機関が必要である、こういう考えのもとにたくさんの株主金融機関ができまして、その金融機関が今日営業しつつある。こういう点をひとつよく考えていただいて国民大衆が希望するところの下層階級を中心としたところの金融機関というものをひとつお考えになる、こういうことが私は必要ではなかろうかと考えるわけでございますが、この点について局長のお考えを承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/43
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044・河野通一
○河野(通)政府委員 先ほど三宅さんからの御質問にもお答えいたしたのでありますが、何分にも日本の経済がまだ十分に正常化しておりません現在、なかなか資金難ということは相当強く各方面に現われております。ことにこれが今お話のように、国民大衆の面に非常に多く出て来ておることは、まさに御指摘の通りであります。その点につきましては私どもできるだけいわゆる庶民金融機関、国民金融公庫を初めとした庶民金融機関の資力を拡充することによつて、これらの方々にできるだけ御便宜をおはかりするように、努力いたして参つたつもりでございます。今後におきましても、この点については十分努力いたして参りたいと思います。それにつきましても御指摘のように、まだ十分なる需要に応ずるだけの資金量を確保することは困難であります。その意味におきましては、貸金業を営んでおられる方が、自分の金でもつて貸付をしていただけることにつきましては、この法案にありますように、非常に高い過大な金利をとられることでない限りにおきましては、私どもはこれは自由におやり願つたらよいと思います。ただこの場合に問題になりますのは、先ほど来申し上げておりますように、大衆の零細な資金をいろいろな形で集められて、その資金を高利で貸される。そうしてしかもそれが払えるか、払えないかわからないような事態になることによつて、むしろ借りた人よりも、その業者に零細な資金を預けられた方、預けるというか、出資をされる方等いろいろありましようが、そういう方に御迷惑が及ぶということが、一番大きな問題であります。これは九州を初めとした殖産会社の整理におきましても、加入者に迷惑をかけたということが一番問題であつたのであります。私個人といたしましても加入者に対して非常にお気の毒だと考えておりますが、そういう事態を起さないように、できるだけ処置はいたして参りたいと思いますけれども、大衆から資金を集めてやるいわゆる株主相互金融というやり方が、一体預金を集めると同じような意味において、やつておるのかどうかという点につきましては、これはたびたび申し上げますように、私どもとしてはそれが銀行法なり貸金業法の違反になるかならぬか。この点については一般論として、まだ結論を見出し得ない段階にあるわけであります。お話のようにそういう零細な資金を預けるなり、あるいは出資される方に御迷惑が及ばないように十分考えて参りたいと思いますけれども、この点については今後、先ほど来申し上げておりますように、取締りの面におきまして十分法務府あたりに御盡力をいただきたいと、念願いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/44
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045・川野芳滿
○川野委員 大衆の輿望にこたえまして株主金融というものが、実は現在のごとく多数生れて参つておるわけであります。しかし放任いたしますと、大衆の要望によつて生れましたところの株主金融というものの中には、またいかがわしいものも出て参ると考えるのであります。そこで私はここにおきまして、今日下層階級の金融機関が必要である。こういう点は、ただいまも申しましたように、株主金融があれだけたくさんできるという点から考えましても、想像されるわけでございます。従いまして、下層階級を中心としたところの金融機関をひとつ考えていただきたい。先ほど宮幡委員が取締りの点を強調されたようでありまするが、私はこれは反対に考えております。取締ることも必要でございまするが、取締る以前におきまして、大衆が考えております下層階級を中心としたところの金融機関を強化して、しかる後にこういう機関をどしどし取締る、こういうことになるならばこれは適当であるかと考えまするが、大衆がかつえておりますところの金融機関をつくらずしてそして大衆の要望によつて生れたところのその株主金融機関を、ただ取締りの強化によつてつぶすということは、はなはだ私は今日の大衆の要望を裏切るものでなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますので、私はここで銀行局長と議論いたすものではございませんが、この問題は今日株主金融というものがあれだけたくさん日本にできつつあるという現状等を勘案され、愼重に今後研究されまして、そして下層階級を中心としたところの金融機関というものが現在日本に必要である、こういう点によく思いをいたされまして、そうして下層階級の金融機関の法的裏づけという点に、御考慮を払われんことを希望いたしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/45
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046・佐藤重遠
○佐藤委員長 深澤義守君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/46
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047・深澤義守
○深澤委員 本法案で貸付の利率を日歩五十銭にしたということは、法律で月一割五分、年十八割の利率を認めたことになるわけであります。この理論的な根拠と申しますか、これを制定いたしました大蔵省の見解を、まずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/47
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048・河野通一
○河野(通)政府委員 日歩五十銭というところの理由はどこにあるかというお話でありますが、この点は先ほど津田さんから御説明申し上げましたように、現在の法律によりまする貸金業者に対する業務方法書の行政上の指導といたしまして、大体五十銭を限界として今指導しておる次第であります。先ほど来宮幡さんの御質問にもお答えいたしましたように、これは五十銭がいいか、五十一銭がいいかという点になりますと、なかなかむずかしい問題でありまして、私どもといたしましても的確な数字的根拠というものは持つておりませんが、まず常識的に考えて、五十銭を越えるような金利というものはいかにも高い。これはやはりどうしても禁止しなければいかぬ。禁止するためにはやはり処罰をもつて臨まなければならぬ。こういうようなごく常識的な線として、五十銭ということを考えているわけであります。四十五銭ではいけないか、あるいは五十五銭ではいけないかという問題につきましてもいろいろ議論はあると思いますけれども、そういつたいわば常識的な線として考えておるわけであります。なお金利一般の問題につきましては、今後経済が逐次正常化いたしますに応じまして、金利の水準というものも——金利といいましても、こういう種類の業者の金利でありますが、その水準というものもおのずから下つて来るべきものと思います。従いましてそのときどきの情勢に応じて、この五十銭というものも、あるいは場合によつてはさらに三十銭まで下げていい場合も起つて来るかと思うのであります。これらは今後における金融経済全体の動きに応じて適当なる判断をし、国会の御議決を得まして訂正することもあるかと思いますが、現在のところでは、大体の金利の状態等から考えまして、五十銭程度がやはり限界ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/48
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049・深澤義守
○深澤委員 銀行局長は常識的な立場からも五十銭程度が適当であろう、こう言われるのですが、事業をやる人が金を借りて商売をいたします。そうして利益を一箇月の間に見た場合におきまして、はたして一割五分の金利を払つて、なお自分がその営業を継続し得るような利潤が上るかどうかということは、はなはだ疑問であると思う。たとえて申しますならば政府の関係しておる事業であるタバコの販売をやつたといたしましても、これは政府の認めている利益は一割以下であります。そういうような場合において、一割五分の利息を払つて金を借りて商売したのでは、商売が成立しないのであります。なお最近におきましては、そういう高利な金を借りる人々は、多くは税金が納まらないとか、その他営業の不振の状況の中においてそういう金を借りるのであります。従つて一割五分というのは、まさに今までのやみ金利を法律が認めたということになるので、これは貸す方の立場から考えますれば、あるいは常識的かもしれませんが、借りる方の立場から考えますと、月一割五分、年十八割ということになりますと、これは常識的じやない。どう採算いたしましても、この金を借りて商売をするということになりますれば、私は商売は成立しないと思う。これを法律の上で公認するということは大蔵省はただ貸す方の人のみの立場を考え、借りる人の立場を考えない、そういう一方的な立場に立つているんじやないかというぐあいに考えるわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/49
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050・河野通一
○河野(通)政府委員 私どもは、この五十銭というものを公認したつもりはございません。金利として五十銭が高過ぎることは申すまでもないことであつて、そういう高い金利をとることは適当でないと私どもは考えております。しかしながら、処罰をもつてこれに臨むという場合にはその程度であろう、こういうふうに考えているわけであつて、日歩五十銭を公認したとか、そこまではよいということではございません。早い話が、この法案の第一条の第三項にもございますように、利息制限法の規定の適用を妨げていないのでありまして、裁判上の効力の問題等につきましては、利息制限法の規定が当然に動いて来るわけであります。しかしながらその金利は、日歩五十銭というのは非常に高いと思いますが、ただ処罰をもつて臨む限界としては、この程度が常識的に適当であろう、こういうことであります。なお先ほど来申し上げましたように、現在実際上の指導をいたしておりますところも、大体五十銭を越えるというのはあまりに高い金利であつて、処罰をもつて臨まなければならぬというような実際上の指導もいたしております。私どもは先ほど来申し上げましたように、金利全体の情勢がかわつて来るのに応じて、これは極力下げたいと思いますけれどもさしあたり現在のところでは現状をも十分参酌しまして、処罰の対象としては日歩五十銭を越えるもの、こういうことにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/50
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051・深澤義守
○深澤委員 銀行局長はこれを公認するつもりはないのだと言われますが、処罰がない以上は、やはりこれは五十銭が実際において行われるという結果になると私は思う。その点は議論いたしましてもしかたがございませんが、とにかくこれを五十銭までは処罰の対象にならないということに法律がきめたことは、これは先ほど宮幡委員からも言われたように、まつたくわれわれは納得できないと思うわけです。
そこで私がなおお伺いしたいのは、最近における金詰まりの深刻な状態、そうして業界の不振な状態においてますます高金利というものは非常勢いで発展する可能性があると思う。そこで貸金業者に対する取締りというものは厳重にすべきものである。もちろんそういう状態が根本的に解決されるには、この金詰まりの金融政策を根本的にかえることがいいのでありますがなかなかかえそうもない。しかとの貸金業者のために苦しんでいる庶民というものは、非常にたくさんあります。その場合において、この貸金業者の取締の法律を廃止するということは政府自体が実際はやみ金利、高金利というものを取締る力がなくなつてしまつた。なお政府自体があるいは五十銭の高金利を公認するということになりましたので、もうそのくらいの金利はあたりまえだというような考えになつてしまつたことによつて、中小以下の業者その他一般庶民階級は、非常に金のために苦しまなければならぬという結果になると私は思う。従つてそういう状況の中におきましては、貸金業法というものを廃止するのではなくて、この監督をむしろ強化すべき段階である。これはまさに逆コースではないかというぐあいに考えるのですが、銀行局長はどういうぐあいに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/51
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052・河野通一
○河野(通)政府委員 先ほど宮幡さんの御質問にお答え申し上げたのでありますが、この貸金業法を廃止するということは、実はそれほど大きな実質的な意味は持つておらないのであります。具体的に申し上げますれば、要するに現在届出を大蔵省が受理することになつておりますが、この制度をやめたのであつて、いろいろ貸金業を中心としたおもしろからぬ行為を取締る実体的なものにつきましては、今度の新しい法律及びその他の法律で全部カバーできておる。従つて煩わしい届出の制度をやめましても、実体的には——その届出を受けたわれわれといたしましても、十分にその届出制度の結果を効果あらしめる手段を案は持つておりませんので、それよりも実体的な点が十分出されるならば、それによつて取締りの実を上げて行くというふうな運用でいいのではないか、という結論に到達したのであります。貸金業法を廃止したということは、必ずしもこれらについて野放図にほうり出してしまつて、もう政府としては手を引いてしまつたのだというふうに御解釈をいただくことは、私どもとしてははなはだどうも迷惑をいたすわけであります。そういう意味で御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/52
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053・深澤義守
○深澤委員 それを廃止いたしましてたとえば五十銭というものが消えまして、不当な高金利のみを取締るということになるわけでありますが、不当な高金利というその概念は、どういうぐあいに大蔵当局は考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/53
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054・河野通一
○河野(通)政府委員 御質問の点をあるいは私聞き違えておるかもしれませんが、現実に処罰をもつて臨まなければならぬ不当な高金利というのは、現在においては日歩五十銭程度であろうこういうふうに考えておる意味において、今不当な高金利と申しましたが、しかしながら行政上あるいは一般の金融上、金利はどの程度が適当であろうかということになりますれば、金融機関等におきまして、金利調整法によりまして告示をいたしております金利がございます。これが大体二銭五厘から二銭七、八厘ということになつておりますが、この程度が一般の金利としては適当であろうということで、告示をいたしておるわけであります。ただこれらの貸金業者の行つておられまする業態等から考えまして、一般の金融機関と同じように金利を規制するということは、実際問題としては困難でありますし、その性質からいつても、相当そこは相違があると考えますので、この一般の金融機関の金利を基準にして、貸金業者の金利を考えるということは適当でない、かように考えます。しかしながら五十銭までは公認をいたしたということではないのでありまして、五十銭を超えれば厳重な処罰の対象になるという意味におきまして、五十銭ということがそこに出ておるわけであります。私どもは五十銭という金利は現在の情勢から見ても決して低くはない、できるだけ低い金利の方が望ましいと考えておるということは、先ほど申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/54
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055・深澤義守
○深澤委員 金融界の実情は、中小の業者には銀行は貸さない。あるいはまた国民金融公庫へ参りましても、資金量の不足のために十分の需要に応ずることができない、こういう結果になつておりますので、結局民間の貸金業にたよる以外にないということになると思う。額の上から行けば少額でありましても、数の上から申しますれば、日本の経済界の半数以上のものが、こういうものにたよる結果に私はなると思う。これが一つのてことなつて、結局全体が高金利の方向に行く可能性があるのではないか。従つて政府自体が高金利政策を実施せざるを得ないような一つのてこになるのではないかというぐあいに考えるのですが、その点はどういうぐあいに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/55
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056・河野通一
○河野(通)政府委員 私どもはそういうふうには考えておりません。現在におきましても、貸金業者につきましては、現行法に基きまして、大体日歩五十銭程度までは処罰の対象にいたしておらぬわけであります。ただそれがたまたま法律の上にはつきり五十銭ということが出ましたので、先ほど来宮幡委員からも御指摘がありましたように法律の体裁としてはきわめてまずいと私どもは率直に認めますが、さればといつて、これが現在の実情よりも非常に甘くなつたということでは決してございませんので、現在行政上実際に指導いたしておりますところを、そのまま法文の上に条文化した、かように御了承いただきたいのであります。従つて私はこの法律を契機として、全体の金利が高くなるような道を開くおそれがあるという点につきましては、さように考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/56
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057・深澤義守
○深澤委員 それから、この提案理由の中に、殖産会社の整理は完了したということが書いてあるのでありますが、私はこういう方面については明るくないのでありますけれども、この殖産会社の整理ということはどういうことでありますか。殖産会社というものはどういう内容を持つたものであるか。その点についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/57
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058・河野通一
○河野(通)政府委員 これは戰後九州等に非常に多かつたのでありますが、いわゆるみなす無盡と申しておりますもので、無盡の一種の形態が法律的根拠なくして実は行われておつたのであります。これは明らかに法律に反する行為であつたわけであります。これはその後法律的にもそういう問題がありますし、かたがた実体的にも相当国民大衆に御迷惑を及ぼすおそれが、非常に顯著に現われて参りましたので、この貸金業法を制定いたしますときに、附則に規定を加えました。これはあとで詳しく条文について御説明申した方がよろしいかと思いますが、附則にこの殖産会社の整理の規定を挿入いたしたわけであります。この規定によりまして整理が完了とたということについては、川野委員の御質問にお答え申し上げた通りであります。数は数百に上つておつたかと思います。資金量は的確なことはわかりませんが、おそらく数億あるいは千億に近い程度の資金を持つておつたかと思います。これらを放任いたしますと、先ほど申したように、法律的にも問題がありますし、実際の面からいいましても、国民に対して迷惑をかけるおそれが非常に大でありましたので、この法律をつくりましたときに、この整理の規定を挿入いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/58
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059・佐藤重遠
○佐藤委員長 苫米地君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/59
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060・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 ただいまの高金利等の取締に関する法案につきましてはすでに質疑も大体盡されておりますが一点だけお伺いしたいのです。それは第一条の第一項と第三項との関係について、宮幡委員に対して御説明がありましたが、まだ十分納得できませんので、それをはつきり御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/60
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061・河野通一
○河野(通)政府委員 この点は実は非常に民事上、刑事上の法律問題になると思います。今日は検務局からは課長が見えておりますが、民事局の方から見えておりませんので、かわつて御説明することになるのであります。この点は宮幡委員に御説明いたしまして、宮幡委員に御了承を得なかつた点でありますが、三項の利息制限法の規定は民事上の効果をねらつておるわけであります。つまりそれを越えた利息については裁判上効力がないということになる。しかしこれはそれを越えても別に処罰の対象にならない。この法案の第一項はここに規定しております利率を越えて利息を收受した場合には、処罰の対象になる。従つてそこには段階が二つあるわけでありまして、一つは処罰の対象にはならないけれども、これ以上とるのは本人が訴えて来れば無効にしなければならぬという段階と裁判が無効とか有効とかの問題ではなくて、そんな高いものをとることは社会正義と申しますか、そういつた点から罰しなければいかぬというものとの二つの程度がある。この二つの程度を両者おのおのの目的に従つて運用されるということを、一項と三項とで書きわけて実は規定したわけであります。そういうふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/61
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062・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 ただいまの御説明は先ほどの御説明と同じでありましてそのねらつておるところは大体わかるのでありますが、先ほどもお話がありましたように、これを利息制限法の特例とするとどういう弊害が起つて来るか。それをひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/62
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063・河野通一
○河野(通)政府委員 御質問の意味がちよつとよく聞きとれませんでしたが一応お答え申し上げまして、違つておりましたら御質問願いたいと思います。利息制限法の現在の規定は、先ほども宮幡さんから御指摘がありましたように、実は太政官布告という明治の初めにできた法律であります。この法律が現在の通貨価値あるいは金融の情勢等から見て、一体現在の情勢に合つているかどうかは、実はいろいろな議論があります。この法律を改正すべきであるというような議論も、実は内部でいろいろ出ておるようであります。しかしこの法律をどう取扱つたらいいかという点については、法務府内部でもまだ結論が出ておらぬようであります。従いまして今御指摘のように、一時私ども部内でいろいろ検討いたしました際にも、利息制限法の附則か何か改正規定をつくつて、利息制限法の中に民事上の効力の問題と、刑事上の処罰の問題と、両方書いたらどうだというような意見も、実は一部には出たのであります。この点は先ほど申し上げましたように、利息制限法自体を十分に、根本的に考え直すべき段階に来ておる。その際にこの利息制限法というものを十分検討し、それと合せてこの高金利等の取締に関する法律の一項の問題もあわせて検討したらどうか。従つてそれまでの間は利息制限法の適用は排除しないという条文を、別の法律の形でこういう單行法を出した方がいいのではないかという結論に、実は到達したわけであります。これはもつばら利息制限法自体をどう規定して行くかという問題でありまして、まだ結論に到達しておりませんので、その関係からこういう規定になつた、こう御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/63
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064・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 今の銀行局長の御説明の通りに、私もこの利息制限法を改正することの必要々認め、むしろその方で来て、こういう法律々出さない方がいいんじやないか、こういう感じを持つております。もしこういう法律を出すとすれば、三項の規定は除いてしまつた方がいいんじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、その点はいかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/64
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065・津田實
○津田説明員 先ほども河野政府委員からお話がありましたが、私は法務府の検務局から参つておりますし、これは民事局がさしあたつての所管でございますので、責任をもつて申し上げるということには、お聞きとり願わないことにいたしまして、私の理解しておる範囲として御説明を申し上げますとこの三項の規定は、利息制限法はそのまま適用があるという意味を現わしておるわけであります。その意味はどういうことかと申しますと、一項だけの規定でありますと、日歩五十銭以上を越えた利息については、裁判上無効というのではなくて、絶対無効ではないかという疑いが生ずる。そういう疑いが生ずるかどうかという点、あるいは絶対無効であると裁判所が解釈する場合もありましようし、裁判上無効であると解釈する場合もあるだろう。そういう疑いを避けますために、従来通り日歩五十銭の段階を越える越えないにかかわらず、全部利息制限法通り裁判上無効ということに法律上きめようというのが、三項を置いた趣旨であるというふうに了解いたしておりますが、一項があるということによつて、利息制限法は何ら解釈上のかかわりを生じないという意味をはつきりさせる意味において、三項が設けられたというふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/65
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066・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 そういたしますと金を貸す方の側からすると、利息制限法を越えたものと、五十銭を越えたものとに対しては、どういうふうに扱われるかわからないという、非常に不安定な感じが強いのでありますが、むしろ利息制限法以下で貸借しろという御趣旨でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/66
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067・津田實
○津田説明員 利息制限法は利息に関する民事上の効力について定めておりますと同時に、これ以下に書き直さしめるという規定があります以上、これ以上の利息は一応法律上はよろしくないということを、明言しておるものというふうに考えるわけであります。しかしながらこれに違反した場合にどうなるかと申しますと、その結果は裁判上そういう利息の定めが無効であるということになるにすぎない。その限度においては処罰という段階までには行つてない。ところが日歩五十銭を越えますと——この効力の問題を利息制限法に讓つておることは、五十銭以下の場合と同じでありますが、五十銭を越えた分については犯罪として処罰するということが、第一項から出て参る趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/67
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068・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 どうもそこのところがはつきり了承できないのです。この法律をこしらえたのは五十銭までは認めようという趣旨だと思うのであります。ところが四十九銭もしくは五十銭で貸したものが、訴訟を起されるとそれは無効になつてしまう。こうなれば貸す方でこの法律が何のためにできたのか、きわめてたよりないことになるのです。そうすれば五十銭という世界にもないようなこういう法案をこしらえて、それが何の意味も持たないということになりはしないか、そこに疑問があるのでありますが、これは第三項をとるということには銀行局は御異議があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/68
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069・河野通一
○河野(通)政府委員 私どもは原案が一番いいと思つて出しておるのであります。直すことについては実は異議があるわけであります。今のお話の点でありますが、私どもは五十銭までは公認したつもりはないのであります。これは先ほど津田君から御質問にお答えしたのであります。それで利息制限法の規定によつて一割とか一割五分とか書いてありますが、これを越えるものはいけないのだけれども、それは別に処罰をしてまでそれを取締らなければならぬのじやないので、裁判上訴えて来れば、それを引下げろということでいいのじやないか、そういう意味で一項と三項とは決して矛盾することでもなし、三項の規定があるために一項が非常に有名無実になるということでもないと思うのであります。おのずからその法の規定の目的に従つて、両立して運用されるということで、何らさしつかえないのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/69
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070・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 私はそういう御趣旨でありますならば、利息制限法を至急に改正されて、この法案を撤回される方をお勧めいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/70
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071・佐藤重遠
○佐藤委員長 次に信用金庫法施行法の一部を改正する法律案を議題といたして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/71
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072・宮原幸三郎
○宮原委員 ただいま議題となりました信用金庫法施行法の一部を改正する法律案につきましては、この際質疑及び討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/72
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073・佐藤重遠
○佐藤委員長 ただいまの宮原君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/73
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074・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようですから、本案につきましては質疑及び討論を省略して、ただちに採決に入ります。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/74
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075・佐藤重遠
○佐藤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
なお報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
本日は午後一時より本会議が開かれますので、これにて散会いたします。次会は明九日午前十時から開会いたします。
午後零時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06119520508/75
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