1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十七日(土曜日)
午前十一時三十三分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 小山 長規君 理事 松尾トシ子君
有田 二郎君 大上 司君
島村 一郎君 苫米地英俊君
夏堀源三郎君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮原幸三郎君
高田 富之君 深澤 義守君
出席政府委員
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
大蔵事務官
(銀行局銀行課
長) 大月 高君
委員外の出席者
大蔵事務官
(管財局閉鎖機
関課長) 堀口 定義君
日本開発銀行調
査部事業調査課
長 網野 貞雄君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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五月十六日
委員門脇勝太郎君辞任につき、その補欠として
有田二郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十六日
煙火類に対する物品税撤廃の請願(田中重彌君
紹介)(第二七三四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
長期信用銀行法案(内閣提出第一一三号)
日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三八号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四三号)
高金利等の取締に関する法律案(内閣提出第一
八四号)
貸付信託法案(内閣提出第一三〇号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
前会に引続き長期信用銀行法案、貸付信託法案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、及び高金利等の取締に関する法律案の五法案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 私はただいま議題となりましたうち、主として長期信用銀行法案につきまして、質疑を行いたいと存じます。
長期信用銀行につきましては、政府といたしましては、勧銀とかあるいは興銀とかいうような大銀行を中心に考えておられると聞いておりまするが、私どもはなるべく地方の方にも分散いたしたいという気持もありまするから、長期信用銀行は大銀行のみならず、地方にもひとつ設けたらどうであろうか。道州制を考えられ、また大府県ということを考えますると、あながち東京のみの大銀行に依存する必要はない、こう考えておりまするが、政府といたしましてはどういうお考えでありましようか、承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/2
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003・河野通一
○河野(通)政府委員 長期信用銀行につきましては、今お話もございましたが、私どもは地方の産業に対する長期資金の供給について、新しい長期信用銀行が大いに積極的にバツクして行くということは、本来の使命として当然やるべきものであろうと考えております。ただたびたび当委員会でもお答え申し上げておりますように、長期信用銀行というものの性格からいたしまして、これは預金銀行、普通の銀行のようにたくさんの数ができるということは、その採算性から見ても資金コストの点から見ても、能力、経験、技術等の面から見ましても、なかなか困難であります。私どもはできるだけ多数を望むよりも、むしろ数は少くてもそれが強力なものである、信用の基礎が非常に強力であつて、技術、能力が十分備わつたものであるといつたような銀行を考えて参りたいと思つておるのであります、これらの銀行につきまして、今勧業銀行等のお話が出ましたが、これらの問題については、まだ公式にも非公式にも、法案も通つておりませんことでもありますし、私からここで御発言申し上げる筋ではないと思いますが、いずれにいたしましても、できるだけ地方の産業、ことにそれが必要とする長期資金の供給について支障を起さないように、新しい長期信用銀行の運営については十分に考えて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 今の局長のお話によりますと、東京において二、三の銀行
というふうに考えられるわけでありますが、そういたしますと、地方の方にはその分店といいますか、支店といいますか、そういうものが働きかけて、地方の金融状況を勘案いたしましてやるものでございましようが、私どもはむしろこういう長期信用銀行は、東京とか大阪というような大都会のみならず、中小の都市——大都市に次ぎまする中小都市においても、これを利用いたしたい、こう考えておりますから、何か分店、支店等を利用せられまして、円滑に地方の実情にも応ずるように、地方産業の振興に伴いまして、こういうことをやつていただきたい、こう思いまするが、今の予定ではどのくらいの数の分店または支店を置くような御予定でありましようか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/4
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005・河野通一
○河野(通)政府委員 銀行の数は、今的確に私どもは自分の腹づもりを持つておりませんが、大体さしあたりのところとしては、今お示しのように二つないし三つぐらいのところから出発して参りたい。今後の実情によりまして、これをさらにふやすことが適当であるという事態がありますれば、もちろん考えないではありませんが、さしあたりの問題としては、その程度から出発するということで参りたいと思つております。なお支店の数でありますが、これも今ここで一行について幾つくらいの支店を予定いたしてるかということは、まだ申し上げる段階に至つておりません。実はまどの銀行がどういうような形で設立の申請があるのかもわかりませんので、申し上げられませんが、支店の制度及び代理店の制度、代理貸しの制度等を十分に活用することによりまして、地方産業に対する長期資金の供給に遺憾のないように、十分なる行政上の指導はいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 不動産担保等を勘案いたしまして、有価証券の発行ということを考えられることだろうと思うわけであります。これにつきましては、多少割引いたしまして債券を売り出すということもあるわけでありますが、現今の場合におきましては、どのくらの期間の債券を、お売出しになる御予定でございましようか。これもひとつ参考のために伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/6
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007・河野通一
○河野(通)政府委員 債券と言われますのは、おそらく金融債、長期信用銀行の発行する債券のことだと思います。この点は先般来もお答え申し上げておつたのでありますが、私どもとしては、できるだけ安定した資金を債券の形で調達することが望ましい。しかもそのコストはできるだけ低いことが望まし。しかし一般に申し上げまして、長い資金というものは現在のような金融情勢からなかなか調達できにくい。戰争前におきまして、正常な経済のもとにおきましても、大体金融債券等でも十年、十五年といつたような長いものがございましたが、現在では大体三年、特別なもので五年程度のものしか、金融債として発行ができないと思います。現在勧業銀行、興業銀行等が発行いたしておりまする債券の期限等とにらみ合せながら、今後の経済が正常化にだんだん進んで参りますのに応じまして、できるだけ安定した資金を確保するという上に、債券の期限は長いことが望ましいと思います。ただ一方で消化の関係も考えなければなりませんので、これらの点をよくにらみ合せて、債券の条件、利率等の条件、期限等につきましては、十分その点を勘案して考えて行きたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 もちろん銀行局長が査定をいたし、これを許可することになると思いますが、結局長い間の信用を保持するわけでありますからして、政府の強力な指示あるいは監督等が必要であろうと考えるわけであります。つきましては、それらに対します金利等については、私は本心ではございませんが、地方の実情にも即応するように、あまり高くてもいけませんし、低過ぎてもいかぬ、こういう点がありますので、こういう点をひとつ地方の銀行等ともよく勘案いたしまして、適当な線を引くということが必要だと思いますが、政府といたしましてはどういう考えを持つておりまするか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/8
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009・河野通一
○河野(通)政府委員 御質問の通りに考えて参おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 この資金を入れまして、資本及び準備金の二十倍までを限度といたして債券を発行する、こういうふうに考えておりますが、二十倍というのは大体今までの経験から見まして、どんなふうでありましようか。適当な発行があり、また引受が必要であると考えておりますが、どういう状況でありまして、売り出しましてから割合簡單に引受けられるものでありましようか。あるいは年々歳々これを区分いたして発行いたして行くものであるか。その辺はどう考えておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/10
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011・大月高
○大月政府委員 この限度の二十倍は、従来の債券発行銀行の限度と同様でございまして、これは昔の長期金融をやつております特別銀行の債券限度とも同様であります。各国におきましても——この限度は特に多くなりますと、結局銀行の債務になるわけでございまして、自己資本に対していわば危險性がふえる、そういう意味において
一定の限度をきめる慣例になつておりまして、大体五、六倍程度から十倍、三十倍というような例が多いようでございますが、最大限大体二十倍というのが例かと存じます。それで発行いたしますにつきましては、毎期の消化の見込みを考えながら、現在、たとえば日本興業銀行、日本勧業銀行において実行いたしておるのと同様に、消化のできる範囲におきまして毎月五億とか十億とか、そういう計算をもつて発行して行くことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/11
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012・三宅則義
○三宅(則)委員 銀行局長にお尋ねいたしますが、先般銀行等の債券発行に関しまする法律を通したと思つておりますが、その後どういうような傾向によりましてその債券が発行せられたか、せられなかつたか。これもひとつ参考にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/12
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013・河野通一
○河野(通)政府委員 銀行等の債券の発行に関する法律は昭和二十五年に成立いたしたわけであります。この法律に基いて、現在日本興業銀行、日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及び農林中金、商工中金が債券を発行いたしておるわけであります。この法律は、御案内のように発行しようと思います場合には、大蔵大臣に届出をすることによつて発行ができることに相なつておるわけであります。この制度によりまして現在まで発行いたして参りましたものは、詳細の数字は他の政府委員からお答え申し上げますが、まずその大部分と申してもよろしゆうございますが、これが資金運用部資金によつて引受けられ、そのほかの部分につきましては——各銀行の債券によつて違いますが、他の相当部分が金融機関——これは普通の銀行及び農業協同組合でありますとか、あるいは信用組合、信用金庫、相互銀行等によつて引受けられております。純粋の意味の個人のこれらの金融債の引受ということは、現在の資金の状況から見まして、さほどに金額は多くに上つておらない、こういうふうな情勢に相なつておるわけであります。この債券発行法の制度——現在の日本の情勢、日本の現状及び今後の見通しから見まして、ただどの銀行でも届出一本で債券が発行できるという制度は、日本の制度として適当でないということが、この長期信用銀行の制度を御提案申し上げておる趣旨の一つであります。そういう意味で、この法案が通過せられましたあかつきにおきましては、この附則によりまして、債券発行法は当然廃止して参る。その債券発行法にかわつてこの長期信用銀
行の新しい制度ができる、かように御了承願いたいと思います。
なおもし数字が必要でありますれば、数字をお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/13
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014・大月高
○大月政府委員 現在日本勧業銀行、日本興業銀行、北海道拓殖銀行、この三行において発行いたしております債券の三月末の残高は、勧業銀行が三百二十五億、興業銀行が六百七十億、北海道拓殖銀行が三十四億、合計一千三十億でございます。それから農林中央金庫が九十一億、商工中金が九十二億、全体合せまして約一千二百億見当になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/14
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015・三宅則義
○三宅(則)委員 これは私は根本のことをお伺いするのでありますけれども、資本金を五億ときめられたその根拠であります。こういうような大銀行でありまするから、相当資本金も多くなければいかぬと思いますし、またこれに対しては政府も相当出資すべきものであろうと思うのでありますが、あるいは一般の人からも出資を仰ぐようになりましようか。その辺をひとつはつきりとお示しを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/15
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016・河野通一
○河野(通)政府委員 最低の資本金を五億ときめましたのは、御案内のように一般の預金銀行等と比較いたしまして、やはり信用の基礎を強固にしなければならぬ、そういう意味から、現在の普通銀行に比べまして、最低資本金を非常に高くいたしております。現在の銀行法に基きますると、普通銀行は、大都市におきますものが二百万、その他の地域におきますものが百万円というのが、最低資本金に押えられております。これはもちろん戰争前からの法律でありますから、現在の貨幣価値から言うと適当でないのでありまして、この点はいずれ銀行法を改正いたしますときに、全面的に改正はいたしたいと思いますが、それにいたしましても、普通銀行の資本金よりもやはり資本金は相当強固なものにしなければならぬ、こういう意味で五億という数字を出したわけであります。これの引受の方法でありますが、現在常識的に考えられますことは、日本興業銀行あたりはそのままおそらく新しい長期信用銀行になると思います。これはそのままその資本金を持つて参るわけであります。これらの資本金の中には、御案内のように見返り資金からある程度優先株の出資をいたしておるわけであります。今後新しい長期信用銀行が新設される場合におきましては、できるだけ民間の資本によつてその資本金を充実して行くことが望ましいのであります。これらの機関を育成いたして参りますために、必要がありますならば、この法案の附則の十項に、当分の間、国は、長期信用銀行が発行いたしまする議決権のない株、いわゆる優先株でありますが、これを引受けることができるという規定ができておるわけであります。そのあとの規定もずつとこれに関連した規定でありますが、こういう特別の規定を長期信用銀行については適用して参りたい。それによりまして、もちろん財政上予算上の拘束もございますが必要があれば国が優先株の引受をやつて参るという道を開いてあるわけであります。今後どの程度それでは国が優先株を引受けるかという点でありますが、これらは今後長期信用銀行がどこに設立されるか、そうしてその資本の充実がどういう形でできるかという具体的な見通しをつけた上でないと、なかなかここでは申し上げるわけに参りません。法案が御通過願えますならば、その上で十分考えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/16
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017・三宅則義
○三宅(則)委員 非常にこまかいことでありますが、長期信用銀行というのは特別の銀行でありまして、従来いわれておる銀行法でやる銀行ではない、こうなつておりまするが、一般の人は混同するおそれがあると思います。これは一般の銀行と違うのだというために、長期信用銀行ということをうたわれたのだと思うのでありますが、この点についてもちろん疑惑を起す人はないと思いますし、別段銀行法を改正する必要はないと思いますが、どういう意味合いで別にされたか。その辺をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/17
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018・大月高
○大月政府委員 この長期信用銀行も、お尋ねのごとく広い意味の銀行であることはもちろんでございます。預金につきましても制限はございますけれども、やはり受入れをするということになつております。それから貸出しにつきましても、短期の貸出しについて制限をはつきり設けておるのでございますけれども、しかしやはり貸出しをする。そういたしますと、預金をとつて貸出しをするという行為、それからこの第六条の業務にもございますように、為替取引を実行いたすわけでございますので、それだけの要素がございますと、普通銀行とその点だけでは全然同じでございます。ただ違いますところは、第四条がその性格を明瞭にいたしておるかと存ずるのでございますが、資金源といたしまして一般の銀行では債券が発行できない。それに対しまして債券を発行して、その資金を得るという点が一つの特色であります。それから逆に融資の面におきましては、金は貸すわけでございますけれども、設備資金または長期運転資金に関する貸付を主たる業とする、そういう点におきまして普通の銀行と異なつておるわけでございまして、異なつておる面から申しますと、いわゆる普通銀行法にいう銀行ではないという性格が明瞭になるわけでございます。これを外部から見ました場合に、はたして混同のおそれがないかどうかという問題でございますが、現在ございます日本興業銀行は多分長期信用銀行になるだろうと思うのでございまして、その場合に一般の人はやはり興業銀行の性格というものを旧来からよく認識いたしておりまして、間違う心配もないかと思います。それから新しく何らかの銀行が——かりに長期信用銀行ができるといたしますれば、この法律によりまして銀行という名前をつける必要があるというのが最小限度の要請でございますが、認可事項になつておりますので、一般の銀行とまぎらわしくないように、特性かはつきりするような商号を認可いたして参りたい。それからこの長期信用銀行は、数が十も二十もというわけでございませんので、一般から見ましても二つないし三つの銀行を、ほかの銀行と識別するということは困難ではなかろう、そういう意味におきまして、一般の人が誤認いたしまして迷惑をするということもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/18
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019・三宅則義
○三宅(則)委員 今もお話になりました四条の規定では「設備資金又は長期運転資金」となつておりますが、今の状況では何年くらいを中心に考えておられますか。私どもには設備資金等には十年くらいということも考えられるし、また運転資金のごときは二年もしくは三年くらいとも考えられますが、一応のめどといたしましてはどのくらいのめどを持つておられますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/19
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020・大月高
○大月政府委員 設備資金といたしましては、経済の状況に応じましてそのときどきで考えられると思います。現に戰前におきましては、この貸出しが十年以上にわたつておるものが多数あつたわけでございまして、一般の長期の貸出しというものは、長期の設備資金というものは、そういうものを意味しておつたわけでございます。現在設備資金として出ておりますものは最長が五年でございます。これは長いほど希望されるわけでございますが、まだ経済が十分に安定いたしておりませんので、五年以上の貸出しは現在ございません。ただ行政の指導におきましても、銀行側の希望、産業側の希望のいずれにしましても、情勢が許せば逐次これを長くするように努力いたして参りたいと考えております。それから長期運転資金に関しましても、この長期は一体どのくらいかということは、やはりそのときどきの情勢によつてかわるべきものでございますが、常識的に申しますと、短期と申しますと大体六箇月未満のものを一般に言つております。それから一年以上となりますと、これは確実に長期の概念に現在では入るかと思います。結局六箇月ないし一年程度のところが中期とでも言い得るものかとも思うのでございますが、法律的に申しますと、短期にあらさるもの、つまり中期及び長期、これを含めまして長期運転資金の概念に入れるべきものかと考えております。従つて必ずしも六箇月というわけではございませんが、その辺のところがめどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/20
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021・三宅則義
○三宅(則)委員 あまり長くなるといけませんから、もう一点だけ銀行局長にお尋ねしたいと思うのであります。今政府委員から御説明がありましたように、債券を発行して設備資金もしくは長期運転資金を融通するということになつておりますが、その鑑別、識別等をよく勘案するとともに、また借りかえといいまするか、場合によりますると五年なら五年で長期資金、設備資金の借りかえということもあるかと思います。そういう面についてはどういうふうに銀行局長はこれを指導し、監督する意思でありまするか、ひとつ承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/21
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022・河野通一
○河野(通)政府委員 借りかえについては別に制限はないわけであります。設備資金として長い利用期間の資金があつて、その設備をつくりましたところが、いろいろな都合で資金が契約の通りの期間に返せないという場合もありますし、そういう場合に借りかえるということは——必ずしも借りかえるということを当然と認めるわけではございませんが、必要に応じて借りかえは当然長期資金として認めて参りたいという点につきましては、現在やつているところと何らかわりはありません。普通地方銀行がやつているところと何らかわりはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/22
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023・三宅則義
○三宅(則)委員 はなはだ長くなりましたから最後にいたしますが、結局長期信用銀行というものは政府の指示いたしまする銀行ことに信用の深い銀行であるというわけであります。ことに地方一般市民もしくは農村あたりの人は、政府を信頼し、政府の力を入れている長期信用銀行については、あるいは株を持ち債権を持つと考えるわけでありますから、この指導監督には銀行局長もよほど熱意を入れまして地方事情を勘案し、特に金融面を考慮に入れまして、その運用に差別のないように円滑にしていただきたいということを、強く希望いたす次第でございまするが、これについてもう一ぺん銀行局長から、確固たる指導精神と方法について御構想を承らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/23
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024・河野通一
○河野(通)政府委員 お尋ねの御趣旨はまことにごもつともだと考えております。先ほども御答弁申し上げましたように、地方の産業の必要といたしまする長期資金につきまして、この長期信用銀行が十分なる活動をいたして参るように、今後行政上の指導はいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/24
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025・佐藤重遠
○佐藤委員長 苫米地英俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/25
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026・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 前にお尋ねいたしたのでありますが、まだはつきりいたしませんので、重ねて高金利等の取締に関する法律案について一、二お伺いしたいと思います。
まず第一にお伺いしたいのは、貸金業等の取締に関する法律の第八条、第十四条というものはどういう意図をもつて挿入されたかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/26
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027・河野通一
○河野(通)政府委員 貸金業法の第八条の趣旨は、臨時金利調整法のこれこれの条文を準用するということであります。この規定を入れました理由は二つあるわけであります。一つは、この前申し上げましたように、臨時金利調整法は、貸出しその他の金利について、預金とをそういうものの金利について規制はいたしておりますが、媒介の手数料については実は規定はないわけであります。貸金業についてはそういう媒介の手数料という問題が非常に多いのでありますから、臨時金利調整法にはそういう規定はないけれども、臨時金利調整法の規定を準用して、それと同じような取扱いができるように、たとえば臨時金利調整審議会にかけて、そうしてそれを告示するというような取扱いが、貸金業についてはできるようにして行きたいというのが、この準用の規定の一つの理由であります。それからもう一つは今のお話のように第十四条に規定がございますが、貸金業者の金利というものは——御承知のように一般の金融機関の金利が二銭五厘から三銭見当、あるいは庶民金融機関で大体四銭から四銭五厘といつたようなものに対して、あるいは三十銭であるとか四十銭であるとか非常に高いものであります。これらにつきましては、臨時金利調整法による規定によつて告示されたものに反するような金利を出しました場合には、罰則に結びつけるということが必要になつて参りますので、これを準用することによつて八条と十四条との関係におきまして、もし告示された場合には、その告示に違反した場合には十四条によつて罰則が来る、こういうことにいたしたい。一般の金融機関については、実は金利調整法には罰則がないわけであります。貸金業者につきましては、その罰則に結びつけるためにこの八条を実は入れたわけであります。その点は特にこの規定がなくても方法はあるのではないかという意見も実はあるわけであります。いろいろ法律その当時議論されたようでありますが、結論としては今私が申しましたようなことで、この八条と十四条という規定が結びついてできた。こういうふうに御了承いただきたいと思います。ただ実際問題としては、現在金利調整法によつて貸金業者の金利についての最高限度を告示いたしておりません。従つて実際にはこれは動いておらぬ、さように御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/27
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028・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 そこに問題があるのでありまして、これは明らかに金利とか媒介手数料とかいうようなものが高過ぎてはいけないから、それを取締るということが起つて挿入された規定であつたのであります。しかるに臨時金利調整法の第五条によつて布告していないがゆえに、この効果というものは全然ゼロになつてしまう、こういうことになります。そこで何ゆえに臨時金利調整法の第五条の布告をしないで、せつかくこういう規定を挿入しておきながら、それの効果をあらしめなかつた理由はどこにあるか、こういうことになるわけですが、その点はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/28
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029・河野通一
○河野(通)政府委員 私どもは臨時金利調整法によつて貸金業者の金利を告示いたさなくても、ほかの道で、適当な方法で取締りができるという観点に立つておるわけであります。具体的には先般も御説明申し上げましたように、各貸金業者はその事業を営みますについて大蔵大臣に届出をいたします。届出をする際に業務方法書にその金利の最高限を書かしておるわけです。その金利の最高限を書いて参りましたものを受理いたしました場合には、それを越えて金利をとりました場合には、当然に貸金業法の取締に関する規定の罰則が来る、こういうふうな仕組みに相なつておるわけであります。制度としてはそういう制度を活用することによつて、必ずしも臨時金利調整法の規定を発動する必要はないというふうに考えたわけであります。もつとも問題は結局業務方法書に書かしておる金利の水準が、五十銭とか三十銭とかありますが、これが高いか安いかの問題についてはいろいろ御議論があると思います。その点は実体論でありますから、いろいろ御意見の点は十分拜承いたしたいと思いますが、私どもとしては今行政上の指導をいたしておりますところが、適当であろうと思
つてやつておるわけであります。それを前提にいたします限り、制度としては必ずしも金利調整法の規定を発動しなくても、今申し上げましたような筋道によつて十分必要なる取締りができる、こういう観点に立つておるわけであります。従いまして臨時金利調整法の告示はいたしておらぬ、こういうふうに御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/29
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030・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 もし局長の御説明のようであるならば、第十四条に何も「臨時金利調整法第五条の規定による禁止を免れる行為をしてはならない。」こういう巖格な法文をさしはさむ必要はなくて、初めから行政指導によつてやつて行く。それが適当であるというならば、この十四条というものはなくても上がつたのではないか。ただ貸金業等の取締に関する法律を通す場合の技術的な一つの形式を整えるために入れたのであつて、実際の効果は初めから考えておらなかつた、こういうふうにも考えられるのですが、その点はいかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/30
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031・河野通一
○河野(通)政府委員 実ははなはだ申訳ないのでありますが、立案当時私関係しておりませんので、的確な御答弁が実はできるかどうかわかりませんが、必ずしも当時こういう規定を発動することを予想しないで、かつこうをつけるためにこういう規定を挿入したものとは考えておりません。当時の人がおりませんので、はなはだ答弁が十分にできませんけれども、私どもはこの臨時金利調整法の規定の適用をあるいは準用をいたす場合もあり得る。しかしながら一方では業務方法時による指導によつて目的を達する方法もある。この際としては業務方法書の記載事項を十分に審査することによつて、その目的を達成し得ると考えたので、臨時金利調整法の規定を発動するという方法によらなかつたわけであります。どちらの方法によつても目的は達し得ると思いますが、さしあたりの問題としては今申しましたような方法で取締りの目的を達成し得るという観点に立つて、こういう行政措置をとつておるわけであります。必ずしも立案当時からこの臨時金利調整法の規定を準用するという規定は、全然発動するつもりはなかつたという意味で立案されたものとは、どうも解しがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/31
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032・苫米地英俊
○苫米地(英)委員 局長の御説はそうであるかもしれないけれども、われわれの方から言いますとどうしてもそうとしか思えない。ただこの取締法によつて、第二十条の第一号の虚偽の申告をした場合にのみ、わずかに現在の金融状況としてはきわめて安い三万円以下の罰金、これだけはこの法律の中の罰則の唯一の効果であつて、ほかの面にはほとんど効果を及ぼさない。すべて行政指導によつて、その行政指導がよかつたか悪かつたかということは別であつて、その行政指導に従わなくて虚偽の申立てをしたときだけに、わずかな罰金刑をつけておつたというのは、これはわれわれがこの法案を審議する場合には、八条、十四条というものに重きを置くがゆえに、二十条のこれを軽過ぎるとも考えず適当であると見ておつたのでありますが、そういうところに、御説明は御説明として、われわれがやはりひつかかつたような気がするのであります。この点はまだもう少し研究して、またお尋ねすることもあると思いますので、きようはこれだけにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/32
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033・佐藤重遠
○佐藤委員長 それでは次会は来る十九日午後一時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X06919520517/33
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