1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十二日(木曜日)
午前十一時二十三分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君
理事 三宅 則義君 理事 内藤 友明君
理事 松尾トシ子君
有田 二郎君 島村 一郎君
苫米地英俊君 夏堀源三郎君
宮幡 靖君 早稻田柳右エ門君
高田 富之君 深澤 義守君
久保田鶴松君 中野 四郎君
出席政府委員
大蔵事務官
(日本専売公社
監理官) 久米 武文君
大蔵事務官
(主計局給與課
長) 岸本 晋君
大蔵事務官
(理財局長) 石田 正君
大蔵事務官
(銀行局銀行課
長) 大月 高君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局総務課
長) 宮川新一郎君
大蔵事務官
(理財局管理課
長) 横山 正臣君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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五月二十二日
理事奧村又十郎君の補欠として三宅則義君が理
事に当選した。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
長期信用銀行法案(内閣提出第一一三号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四三号)
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
伴う措置に関する法律案(内閣提出第一九〇
号)
昭和二十七年度における行政機構の改革等に伴
う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に
関する法律の特例に関する法律案(内閣提出第
一九七号)
接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案(
内閣提出第二三一号)
貴金属管理法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二九号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
議案の審査に入ります前にちよつとお諮りいたします。それは理事補欠選任に関する件についてでありますが、理事奧村又十郎君が請暇のため理事を辞任せられましたので、これを許可
し、その補欠として三宅則義君を理事に指名いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/1
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002・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようでありますから、三宅則義君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 次に長期信用銀行法案、貴金属管理法の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案、昭和二十七年度における行政機構の改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の特例に関する法律案、接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案の六法案を一括議題といたします。
質疑に入ります前に、政府当局より国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案について、内容説明のため発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。説明員、理財局総務課長宮川新一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/3
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004・宮川新一郎
○宮川説明員 法律案の内容の御説明の前に、簡単に加盟いたします経緯について申し上げます。
昨年八月九日加盟の申請をいたしまして、八月三十日基金及び銀行におきまして理事会に日本の加入申請を付議いたしました。九月十八日基金に日本の加盟を検討するため委員会が設立されました。本年一月二十三日委員会といたしまして日本の割当額二億五千万ドル、金拂込額六千二百五十万ドルと一応内定をいたされまして、委員長よりこの旨内示がありました。政府といたしましてはこの條件を検討いたしました結果、四月十八日右の條件で加盟することを閣議決定いたしまして、四月二十三日ワシントン在外事務所から、基金委員会に右の趣旨を伝達いたしました。ただいま基金の理事会においてこの加入條件で決定されまして、各国の表決を求めている段階にございます。
次に法律案の内容につきまして簡単に御説明申し上げます。この法律案の制定の目的は、わが国が基金協定及び銀行協定へ加盟するに伴いまして、出資の拂込みその他各種の義務を履行することになるのでありますが、そのうち国内的に法的措置を講ずる必要があるものにつきまして、所要の規定を設けまして、協定の円滑なる履行を確保することを目的としたものであります。次に内容でございますが、まず第一に第二條に規定いたしておりますところの出資額の点であります。わが国は基金に総額二億五千万ドル、邦貨に換算いたしまして九百億円、銀行に対しまして同じく二億五千万ドル、邦貨に換算いたしまして九百億円を、それぞれ出資することといたしたわけであります。この割当額によりますと、わが国は出資額におきまして、加盟国五十二箇国中第八番目となる見込みでございます。第二に出資の方法ございます。この点は第三條に規定いたしているところでございますが、第一に国際通貨基金に対しましては、支拂い方法は次の二つの部分にわかれます。第一に割当額二億五千万ドルの二五%に当る六千二百五十万ドル相当分、これは邦貨に換算いたしまして二百二十五億円相当に相なりまするが、この分は金で加入前に支拂うことになつております。次に残額七十五%に当る一億八千七百五十万ドル相当額、邦貨に換算いたしまして六百七十五億円相当は、円で加入後に支拂うわけであります。この円で支拂う部分のうち、円貨でキヤツシユで支拂いを要しまするのは、割当額二億五千万ドルのほぼ一%に当る十億八千万円でございまして、残りは政府の発行する無利子かつ譲渡禁止の一覧拂いの証券で出資いたしております。第二に国際復興開発銀行に対しましては、その拂込み方法は基金の場合と異なりまして、三つの部分にわかれますが、第一に総額二億五千万ドルの二%に当る五百万ドル相当額、邦貨に換算いたしまして十八億円は、金または米ドルで加入前に支拂うものであります。次に総額の一八%に当る四千五百万ドル相当額、百六十二億円相当でありますが、この分は円で同じく加入前に支拂うものであります。この場合円で現金で支拂いを要しまするのは、この四千五百万ドルの一%に当ります一億六千二百万円でありまして、残額は基金の場合と同様の一覧拂いの証券で出資いたすわけであります。最後に総額の八〇%に当る額は、加入後銀行から催告のありましたときに、金または米ドルその他の通貨で支拂うものであります。次にさきの国会におきまして御協賛を経ました予算措置と出資額の関係について、御説明申し上げます。本加入に伴う予算措置につきましては、昭和二十六年度補正予算におきまして二百億円を計上済みでございます。二百億円の使用区分につきましては、まず百八十億円で外為会計保有のドル五千万ドルを買いまして、うち五百万ドルはドルで復興開発銀行の出資に充て、残額四千五百万ドルで金地金をアメリカで購入しまして、国際通貨基金の出資に充てるものであります。次に金または米ドルで出資を要しまする六千七百五十万ドルから、ただいま申し上げました五千万ドルを差引きました一千七百五十万ドルに相当する金、約一五・六トンに相なりますが、これは日本銀行保有金から買い入れるための規定を第四條に設けているのであります。その金額は約五千四百万円となる見込みであります。次に基金に対しまして十億八千万円、銀行に対しまして一億六千二百万円を円貨で支拂う。残額約七億四百万円は金地金の輸送費、改鑄費その他の諸経費に充てる見込みであります。
次に右のうち日本銀行の所有金地金を買い入れまして、これを基金に対しまして金による出資の一部に充てるのは、財政の現状にかんがみまして、二百億円の予算の範囲内で出資を完了することが適当と認めたことによるものであります。その買入れ価格は、現在の日本銀行の帳簿価格二百九十ミリグラムにつき一円、一グラム当り三円四十五銭で買い入れることを規定いたしたのであります。なおこの買入れ価格と、現在政府が貴金属特別会計で金地金を買い入れる場合の価格、すなわち一グラムにつきまして四百一円との差額につきましては、別に法律でその処理を定めることにいたしてあるのであります。次に国債の発行に関する規定を第五條において設けているのでありますが、これは基金及び銀行に対しまして本邦通貨で出資を要する金額のうち、ただちに本邦通貨をもつて拂い込む額を差引きました差額に相当する部分、すなわち基金に対しまして六百六十四億二千万円、銀行に対しまして百六十億三千八百万円、合計八百二十四億五千八百万円は、基金協定第三條第五項及び銀行協定第五條第十二項によりまして、国債を交付して出資にかえることにいたし、これに必要な国債を発行することにいたしたのであります。この国債は無利子でございまして、日本銀行が政府の命令で買い取るのほかは譲渡を禁止いたしたものであります。
次に第六條以下におきまして、国債の償還について規定いたしておるのでございます。第一に基金及び銀行に出資にかえて交付した国債は、要求拂いであることが必要でございまして、基金または銀行から償還の請求を受けましたときには、二十四時間以内に本邦通貨で支拂わなければならないものなのであります。従いまして償還財源が不足する場合等も考慮いたしまして、かかる場合には日本銀行にこの国債を買い取らせて、基金または銀行の要請に応ずることといたしまして、日本銀行が買い取つた国債につきましては、利子その他償還期限等を一般の国債の発行條件に準じて定めることといたしますが、この国債の特殊な性格にかんがみまして、政府としては極力すみやかに日本銀行の買い取つた分について償還する考えであります。
第二に、国債の償還及び利子の支拂いは、一般の国債と同様に国債整理基金特別会計を通じて行うことといたしたのであります。なおこの国債はその性質が特殊のものでございますので、償還財源は別途一般会計から国債整理基金特別会計へ繰入れることといたしまして、同会計法第二條の規定による償還財源の繰入れを行わないことといたしたのであります。
次に第十一條におきまして、基金との取引について規定いたしておるのでありますが、基金とわが国との間におきましては、必要な他の基金加盟国通貨の本邦通貨または金による買入れ、あるいは基金の保有いたしまする本邦通貨の買いもどし等、通貨の売買取引が行われることになるのでありますが、これらは外国為替資金特別会計を通じて行うことといたしました。取引の性質が財政、国内及び国際金融に関連する問題があるので、あらかじめ大蔵大臣の同意を得ることといたしまして、外為会計の運営に当つている外国為替管理委員会が、基金と実際取引を行うことといたしたのであります。
最後に第十二條は寄託所のことを規定いたしておるのでありますが、基金協定第十三條第二項及び銀行協定第五條第十一項の規定によりまして、政府が本邦通貨の寄託所として中央銀行を指定することになつておりますので、日本銀行をこれに指定することといたしまして、日本銀行法との関係上、特定に明文をもつてこれを規定いたした次第であります。
以上簡單でありますが、内容の御説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/4
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005・佐藤重遠
○佐藤委員長 これよりただいま議題となつております六法案に対する質疑を許可いたします。質疑は通告順によつてこれを行います。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/5
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006・宮幡靖
○宮幡委員 今日は理財局長がお見えになつております。昨日金管理法に関しまする質問をやりかけて、大蔵大臣から産金政策のようなことを聞きました。こまかいことは事務当局から伺うということになりましたので、これらとあわせてただいま御説明いただきました国際通貨基金に関する問題を、二、三お尋ねしてみたいと思います。
ただいま総務課長から御説明を聞いたのでありますが、聞いておつてわかつたと思えば間違いなのでありまして、聞いておつてわからなくなつたのであります。そこでこういう問題につきましては、戰争前の長い年数のたちました前に経験したことでありますし、読んだことも忘れています。また考え方も少しはかわつておるでありましよう。そこで愚問に類することもあろうかと思いますが、わからないところは適切にひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。
まず金の国内価格につきまして、どういうふうな考えを大蔵大臣がお持ちになつておるか。大蔵大臣は前から、国際通貨基金へ加入の関係もあるし、為替レートの堅持という立場から見ても、みだりに補助金政策というようなものをとつたり、あるいは金の価格をつり上げて、産金の保護助成あるいは育成というようなことをすべきでないという方針のようだが、それに相違ないかと言つたら、その通りだという答弁でありました。しからば今後、ただいま四百一円である買上げ価格は、一体どの程度まで幅を持つのか。国際通貨基金協定の中の第五條第六項「金による基金からの通貨の買入れ」という條項のbに、「本項の規定は、加盟国がその領域にある鉱山から新たに生産された金をいかなる市場で売ることも妨げるものとみなしてはならない。」と書いてありまして、この字句の通り解釈いたしますと、産金の価格というものは、大蔵大臣が申しますような、国際通貨基金へ加入の関係とかいうことは、一つの言い訳的な言葉でありまして、むしろ産金を奨励して参る立場におきましては、鉱山の採算のとれます程度まで金の価格をつり上げて行く、あるいは他の物価との関係も見合いまして、適当な価格を設定すべきであると思う。この点につきまして大蔵大臣がお答えになりましたのは、せいぜい通常の為替レートに基く換算円から、二〇%ないし二五%程度の幅を持たせておくべきであるという御答弁でありました。そこでさらにお尋ねいたしま
して、そういう言葉を率直にいえば、現在四百一円——昨日は四百五円という言葉を使いましたが、四百五円以上五百円よりもあまり高くないという程度に価格をきめるつもりかどうかと聞きましたら、まあその通りであるということでありました。これでは私どもは二人で話合つた腹の中ではよくわかるのでありますが、一般的にはわかりにくい。しかも現在におきましては、金鉱山の連中もなかなかこの問題に関心を持つておるのでありますが、今度の新しい金管理法によつて施行いたしました場合においては、いかなる価格で実際お買上げになるつもりか、その点をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/6
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007・石田正
○石田政府委員 御質問の要点は、国際通貨基金との関係において、日本の金の価格をどうするかということであろうと思うのであります。これは今国際通貨基金協定の條文をおあげになりましたが、あそこのところの規定の趣旨は、加盟国が金を売つてよその国の通貨を取得するという場合には、あらかじめ基金を通じてやつてもらいたい、これが原則としてありまして、それに関連して、そういうことをなるたけしてもらいたいのだが、しかし今おあげになりましたようなことで、そういう規則があるからといつて、新しい産金が市場に出ることを妨げる意思はないのだ、こういうことでございます。そこで値段の問題はまた別にございまして、これは第四條の第二項に、「平価を基礎とする金の買入れ」という條項がございまして、ここで、金は加盟国における金の取引のために平価の上下マージンを定めまして、それを越えるような価格で金を買つたり、またはマージンを差引きました未満の価格で金を売つてはならない。要するに国際通貨基金の定めるところの幅を越えて取引することはいけない、こういう規定がございまして、この規定によりますると、やはり平価を基礎といたしまして、そうして大体一%範囲内でやらなければいけない、こういう規定があるわけです。この規定がございまするために、加盟国といたしましては、金の取引価格につきまして制限を受けておつたわけであります。ところが昨年の九月でございまするが、国際通貨基金が、これは通貨用の目的のためのものを主としてあれするのであつて、産業用に使います金については、違つた価格でやつても協定違反にはならないのだ、という解釈を下したわけでございます。それによりまして、ほかの国でも産業用の金につきましては、平価とは違つた価格でやることを行つておる国があるわけでございます。そこで日本は、国際通貨基金の四條の二項に違反するような行為をいたしたならば、国際通貨基金に加入するに支障になるであろうというので、従来は四百一円なり四百五円というものを堅持しておつたわけでございます。ところがそういう解釈が下され、よその国でもそういうことに相なりましたので、まずよその国でもやつており、国際通貨基金から文句をつけられない範囲内においては、例外的な価格を認めるということが、産金業の実態には適するであろうというので、今度の貴金属管理法の改正を御提案申し上げておる次第でございます。そこで、それでは産業用の金についてはこれは違つた価格でやつてよろしいのだから、かつてなことをやつてよろしいかということに相なるわけであります。しかしこれは世界のよその国におきますところの状況というものを、よく見なければならないと思います。それから第二点といたしましては、平価を離れてもよろしいといいましても、それだからめちやくちやに離れる。五割も違うとか、倍もするとかいうことは、これは穏当ではないと思うのであります。そこで私たちの気持といたしましては、日本の産金業というものが非常に経営が苦しいことは事実でありまするので、よその国で行われているものよりもちよつと上目くらいの値段、よその国よりも少し高い値段でやるというところに、大体の標準を置いてやつたらどうであろうか、かように考えておるわけでありまして、そこのところから昨日大臣が話した、五百円というような数字が言われたというようなことに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/7
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008・宮幡靖
○宮幡委員 これは事務的に、昨日より御答弁ははつきりして来たのであります。私は今御説明のあつたように、国際通貨基金協定第四條第二項の平価を基礎とする金の買入れ、平価の上下のマージンを定める、こういう條項において日本の実情に合せてみますると、これのみを当てはめるべきではない。もう少しこれに幅を持たせるべきである。先ほど申しました第六項のbの規定にあります産金に対する売買は、ある程度この協定に反するものではないという例外的な規定もある。それらを思い合せますと、金の価格というものは、できる限り高いところに置いて、そうして産金を奨励する。将来あるいは金本位制が復活するというようなことを期待することは、間違いであるかもしれません。けれども日本が永久に管理通貨でなければならないという理論はありません。やはり日本が国際的に、日本の通貨は硬貨であるとして、国際市場に登場することこそ望ましいわけでありますので、さような裏づけがもし金で足りるといたしますならば、協定に違反するとかあるいは国際信義にもとらない限度におきまして、ある程度産金奨励の意味の高価格政策と申しますか、そういうものをとるべきだと思います。私は五百円が悪いと端的に批評するのではありませんが、もつと考慮して、日本の通貨制度をやがて安定、不動のものにするというような立場から、もう少し進歩的な考えを持てないものであるか。この点は御意見でけつこうでありますから、ちよつと聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/8
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009・石田正
○石田政府委員 私、先ほどの説明で足りなかつたと感じました点をまず補足さしていただきまして、それから今の御質問に答弁させていただきたいと思います。
先ほど申しましたように、産業用の金について特例を認めるということに相なりましたが、これはある意味から申しますると暫定的な処置でありまして、あるいは状況によりまして違つた、また元の政策へもどることも予想せられる。これも考えておかなければならぬかと思います。それから、なぜそれでは例外的といいながらそういう処置を認めたかという問題でございますが、これをあまりきゆうくつなことをやつておると、金の生産が減るということにもなるであろうという点が配慮された。それからもう一つは、やみの金の価格とオフイシヤルな価格というものが非常に違つておる。それは望ましいことではないではないか。それである意味から申しますると、そういう産業用の特別価格というものを認めることは、産業用においては金のやみ価格が下る傾向もあるのではないか、かようないろいろな配属からなされたものと思うのであります。そうしてまた実際のあれを見ますると、産業用の金について例外価格をとることを認めまして以来、産業用の金の価格は、一番初めから見ますと下つて来ている、こういう傾向にありますことは明らかでございます。もちろんその反面におきまして、産業用の金についてそういう特別な価格を設定することは、通貨準備としての金をふやす意味においてもいい効果があるであろう、こういうふうな見方も加わつておつたわけでございまして、この点は、その国の通貨政策と非常に関連するのでありまして、たとえばフランスのような国におきますと、インフレーシヨンが起りますと、マーケットにおける金の価格がぐつと上るのであります。最近、金の価格が産業用におきましては、世界的にマーケツトにおきまして下つておりますが、これは一面から申しますと、例外価格を認めたということのほかに、フランならフランの価値が安定して参りまして、そうして死蔵用の金に対する需要が減つて来た、こういうふうな面もあるわけであります。
それでは日本の現実に即して、産金価格についてはどうかという意見でも言つてみろというお話でございますが、これは私非常にむずかしい問題であろうと思うのです。これから金が非常に大切である、重要であるということは明らかな事実であると同時に、その大切な金をつくるところの日本の産金業というものが、世界的なレベルからいうと経営が非常に困難であり、その産出量も非常に少い。ある意味から申しまするならば、二律背反という現実のもとにこれを解いて行かなければならない。そこでこの産金業の方に重点を置いて参りました場合には、これは片一方の通貨の面が非常にそこなわれるという問題、通貨の方に重点を置けば産金業がうまく行かない、こういう根本的な問題にどうして行くかという問題であろうかと思います。われわれといたしましては、国際通貨基金に加入するということのみならず、また日本の通貨を、先ほどお話がありましたように、ハード・カレンシーにして行く、これについて全力を盡さなければならぬ。これが通貨制度の根本であろうと思うのでありますが、それをやればやるほど産金業というものは苦しくならざるを得ない、こういう実情でございます。そこで産金業の方の問題でございますが、これは金の問題になりますと、産金業の問題と消費の方とあるわけであります。法案にも書いてございますが、生産者の立場と同時に消費者の立場があるわけであります。消費者の立場から申しますと、これは金の値段が安ければ安いほど、ここでまた非常な問題がある。たとえてみますと陶器に非常に金粉を使つております。アメリカあたりに出します精巧な陶器にはみな金を使つておるわけであります。これを輸出してドルをかせいで来るのであるから、そういう意味におきまして、少い金でありましても現在割当をしておるわけでありますが、こういう陶器業者の方から言わせると、われわれの方はドルをかせいで来るのだ、従つてもし金の値段を上げるというならば、金をドルで輸入さしてくれ、金を輸入して、そしてそれを外国へ出す、こういうことにしてもらわなければ、これは輸出産業として成り立たない。ということはどういうことかと申しますと、金の移動を自由にする、金の輸出入をある程度まで自由にするというような方向が、まずここで考えられて来るわけであります。そういうことに相なりますと、日本の産金業というものはまた苦しくなる。要するに、よその国の価格というものがただちに日本に及んで来るということになりますと、日本の産金業はまた苦しい。今貴金属管理法のもとにおきまして、ある意味からいえば中途半端なようなことをやつておるのではないか、という御意見もあろうかと思うのでありますが、右に行つて非常に管理を強化して、通貨的見地から強行いたしますと苦しいことになる。逆に今度は金についてはきわめて自由に、輸出入まで含めて自由な政策をやるということになりますと、今度はまたこれでも苦しい。そこで両方の間を、通貨の価値にも影響なく、また産金業もある程度までやつて行くというようなことで考えるのが、最も実際的であろうというのが、この法律案の今の段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/9
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010・宮幡靖
○宮幡委員 御説明は微に入り細に入つてよくわかつたのでありますが、そこで現在国際通貨基金の協定の中に、産業用の金を一応別に考えたということは暫定措置である、こういうお話があつた。あるいは上下のマージンについても余裕を持たしたということも、同様に暫定措置であろうと思う。やがて元へ返るということを予想しなければならないというようなお話でありましたが、そういう事態であればこそ、現在におきましては通貨本位ではなく、あるいは産業用の金本位を考えるということになるかもしれませんが、産金を奨励して行くことだと思います。これが一般的な協定にもどるということが予想されればされるほど、そのもどる時期までには相当の金の保有が必要であるということを、私どもは痛感いたしております。御説の通りいかにもむずかしく、右せんとすれば左しなければならない事情が生れて参りまして、容易ならざることでありますが、この金の価格政策につきましては、十分この面を検討していただきまして、われわれの通貨がやはりハード・カレンシーとして登場できるということも、ぜひやらなければならぬことだと思います以上、その準備という段階におきましては、過渡的にはあるいは崎型兒的な措置でありましても、通貨本位の考えだけではなく、国内の産金奨励の面に思いをいたしまして、ぜひ今後とも御考究いただきたいことをこの際お願いいたしておきます。それで、あとは法律の小さな問題を一つ二つ伺いますが、こうなりますと、今度の金管理法の第十條で、金地金を政府が売りさばく価格はどうなるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/10
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011・石田正
○石田政府委員 この十條で申しますと、政府が金地金を売却する場合といいますの、端的に申しますと産金業者にもどす場合でございます。これは今までの四百一円の値で買いましたものと、ほとんど違いないところのものを返す。そうすると、今度それを産業用に売ります場合に、産金業者の方がその差額を收得する、こういうことに相なるわけであります。これが十條の一番初めにあります九條の二の第二項の規定による金地金を売却すること、それから今度は今申しましたようなぐあいに、売りもどしを受けましたところの金納入者が、その次の項にありますが、加工用の金売りさばき業者、あるいは直接需要者に売ります場合の値段でございますが、この値段というのは、今宮幡先生からお話がございましたような、慎重な考慮を加えた値段で売る、こういうことに相なります。なおその場合におきまして、金納入者が直接需要者に売ります場合と、それから金納入者が需要者に近接しておりませんために、加工用の売りさばき業者に売つて、売りさばき業者から需要者に売るという場合もあるのであります。そのあとの場合におきましては、金加工用の金売りさばき業者に、ある程度の手数料的なものを與えなければならぬということであります。このマージンというものは、できるだけ狭いところできめたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/11
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012・宮幡靖
○宮幡委員 そこで改正後における売りもどしの価格、売りさばき業者への、あるいはもう一段階言えば、需要者への価格というようなものは、数字的にはきまつておらぬが、今御説明の段階において、元がきまればきまる、こういうことに考えてよろしいですか。
〔委員長退席、佐久間委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/12
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013・石田正
○石田政府委員 お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/13
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014・宮幡靖
○宮幡委員 きのう資料につきまして、接收解除の金と大蔵省の発表に食い違いがあるという問題を、他の委員からお話がありました。これは確かにあるべきものだと思つておりますが、あるいはなければないで、理由をはつきりしたいと思いますので、資料を次長に要求しておきましたが、まだ御準備はできないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/14
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015・石田正
○石田政府委員 この食い違いということが新聞に出ておりますが、その食い違いという新聞記事が出ましたもとは、お手元に配付いたしました資料から起つて来ているわけで、この資料の見方について新聞記事は誤解があるだろうと私は思います。これはあるいはきのう御説明申し上げたかとも思いますが、われわれが接收されたものを受取りましたときにおいて、向うからリストが来たわけであります。リストに従いまして出された資料で一の方が書いてある。二の方は、われわれの手元にあります資料によりまして、政府と日本銀行の所有しておつた金の額をあげてあるわけであります。ところが、この一の数字におきましては、金と合金と銀と白金とダイヤモンドというわけ方をいたしているわけであります。そこでその中の金だけとつて二の方の金と比較してみて、食い違いがあるではないかというお話なのでありますが、この合金というのはいろいろな種類があるわけであります。金を主とするところの合金もございますし、それから銀を主とする合金もあり、白金を主とする合金もありますので、この合金の中には当然金を含んでいるわけであります。今お話のありましたのは、この合金の中で金の分量がどれだけあるか、こういうことを申し上げますれば一番はつきりする、こういうことではないかと思います。私たちの大体の計算ではこれは金として特定されているものは百二トンばかりでありますが、この合金の二十六トンという中には、大体金といたしまして八トンくらいはあるのではないかと思つております。そうしますと、これは百十トンという数字に相なるのであります。この数字と二の百八トンとを比べますと、受取つた金の方がこの調べより多い、こういう計算に相なるわけであります。しかしながら政府が持つておりました以外のものにおきまして、接收せられたものがどのくらいあるかということは、われわれの方ではわからないのでありまして、これは報告をとりました結果、及びこの合金をさらにリフアインいたしまして、金分と銀分と白金分とをわけてみた場合における実際の数字とを照し合せてみませんと、どういう食い違いがあるかということは言いがたいというのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/15
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016・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの問題は、他の委員から昨日御質疑はあつたのでありますが、私はあるべきが原則であるから、その説明のつく資料を出してもらいたいということでありまして、ただいまのように、実際に調べてみなければわからないということなら、これは他日でけつこうであります。しかもこの法律案の審議がかりに済んで、国会を通過いたしました後ででもなければ、正確なところがもしわからぬといたしますれば、これもやむを得ませんので、これを條件といたすものであります。まあいろいろな意味におきまして、新聞の書き方も悪かつたのでありましようが、私の見た新聞ではそう刺激されませんでしたが、何かこう占領軍にこみやられたというような感じが強いと思いますので、こういう点は御如才もないでありましようが、はつきりしていただく方がよろしいと思うのであります。そこで次に移ります。これは通貨基金関係の措置法でありますが、その中で先ほど法第七條の御説明がありました。七條の御説明で、政府はその償還できない金額に相当する国債の買取りを日本銀行に対して命令することができる、こういう問題であります。これは言葉で言えばきわめて簡單であります。ところが私がこれをしばらく読んでおりますと、どうも対遮的に財政法第五條との関係が頭の中に浮んで来るわけであります。もちろん財政法第五條には但書として「特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」こういう規定もありまして、これは特別の事由にぶつかるかどうか。これは政府はそれだけの償還をする資金を持つておらない、償還不足のために、結局これを日本銀行に買わしめるということは、端的に申せば赤字公債で、財政法第五條の規定上から見ると、あるいはこれに背反するものであると申しても、観念的には間違いでなかろうと思うのであります。しかる場合においては、七條は財政法の但書に該当するのか、あるいは財政法第五條の本條の除外例として考えておるのか。この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/16
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017・石田正
○石田政府委員 私はこういうことが実行されますことは、あまり実例はないのではないかと思つておりますが、もし起りますれば、特別の場合であろうかと考えております。これは一番初めに先ほども内容説明として申し上げたのでありますが、現金部分は一%置いてあるわけであります。そういたしますと、これは国際通貨基金か何かの関係において日本の円を必要とする経費、電信料その他がいります場合にそれを使つて行くわけであります。それを使つて行つて足りない場合に、国債の部分を円でほしい、こういう問題でございまして、従いまして、その額が大きな額になるということは予想いたしておりません。それからまた実際問題としてそういうことが起りますならば、大体国際整理基金特別会計におきまして、国債償還の予算というものを毎年々々必ず乘つけておるわけであります。これは実際から申しますと、非常に几帳面に行くのではありませんで、実際上どうしても償還しなければならぬものに対しましては、若干のゆとりがあるというのが通常でございます。従いまして、本件に関する問題が起りました場合には、まず国際通貨基金の既定予算の範囲内においてまかない得る少額のものであろうと、われわれは考えておるのであります。またそれができませなんだ場合におきましては、もし予備費に余裕がございますならば、当然常識的に考えられるところの予備費のごく一部分に当る金額であろうと思いますので、その方でやるのではないか、かように考えておるわけであります。しかしながらこの国際通貨基金当局との話合いにおきましては、実際問題ではありませんが、協定なりあるいは話合いから行きますと、要求があつたら、すぐそれは円にかえなければならぬということに相なつておるわけであります。これは大体二十四時間以内とか、四十八時間以内とか、非常に短かい時間にやることでありまして、もしそういう場合において万一の場合がありましらたというので、この規定を設けております。それからまた向うに対して説明をいたします場合に、これは円にかえることは、そのときにまた立法をしなければできないような規定に相なつておるのだというのでは、まずいのでありますから、その点にもまた重点がありまして、こういう規定を設けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/17
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018・宮幡靖
○宮幡委員 規定を設けたことと、ほとんどいらないであろうということは、私の質問の要旨ではないのであります。これが財政法第五條にぶつかつておるかおらないかということをお尋ねしている。それでありますから、あるいは但書の特例であるか、こういうことをはつきりしておきたいのであります。あるいは一般財政余裕金をもつて、一時その公債を引当てに円を拂うということも運用ではできる。けれどもそれを許すという事態が起らないということも、これは常識的でありましよう。それは私も少しも否定するものではありませんけれども、起ることがあつた場合に、あとからでは間に合わないからつくつておく立法であつたならば、これは財政法第五條にぶつからぬものでなければならぬ、こういう点で、そのことを明らかにしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/18
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019・石田正
○石田政府委員 一番初めに簡單に申し上げましたので、御理解が行かなかつたかと思いますが、第五條の但書に当る特別の事由に該当するものというように、われわれは考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/19
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020・宮幡靖
○宮幡委員 それではこの法律のその点はよろしいであろうと考えます。こういうことは非常に神経質なお尋ねでありますが、ただいま質問いたしました国債の価格の点で、買い取る場合には必ず額面であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/20
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021・石田正
○石田政府委員 必ず額面でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/21
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022・宮幡靖
○宮幡委員 次に今度は措置法の第四條三項について、第一項に基きますさつき御説明のありました差額の処置、これは金管理法の第六條によつて、大蔵大臣の指示する価格ということと関連を持つのでありますが、具体的に言えば、三円四十五銭、五円、四百一円というこの差額は、特別会計の中でどういうふうに御処理なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/22
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023・石田正
○石田政府委員 これは特別会計というお話がありましたが、どの特別会計の話でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/23
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024・宮幡靖
○宮幡委員 特別会計へ繰入れなければ繰入れないでよろしい。いきなり国際通貨基金の拂込金に充当するわけで、これは鑄造がえいたしまして、標準貨幣としてこれを拂い込むわけでありますが、その国の財産というものはどういうふうに記入されて基金となつて行くのかどうか。その段階を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/24
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025・石田正
○石田政府委員 先ほど御説明申し上げましたようなぐあいに、一般会計において二百億円というものが、予算として議決をいただいているわけであります。ですから、それを使用するわけでありますので、当然一般会計でこの部分についても支出いたしまして——日本銀行の金を買う場合には、一般会計の支出として二百億円の範囲内で出しまして金を買う。その金をアメリカへ送ります。そしてこれは日本の規格と向うの規格と合いませがん、アメリカの規格によるというのが国際通貨基金の規定でありますので、そこでリフアインいたしまして、それを向うが受取る形にして出資する、かような径路に相なる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/25
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026・宮幡靖
○宮幡委員 事務的の径路はそうでありますが、先般大蔵大臣に、二億五千万ドルるいう拂込みの金額がきまりました場合に、円資金は予算面から見ますと二百億しかない。拂い込むべきものを円で想定いたしますと、二百四十三億くらいになる。この四十三億円はどうして拂い込むかという——わかり切つたことでありますが、そういう質問をいたしましたところ、ただいまのように日銀の手持ちの金を買い、その差金によつて拂い込む、そういうことであります。そういたしますと、これは今のお話では、二百億円予算にありますもので三円四十五銭の金を買う。これはできる。買つて来たものは四百円に通用して行く。この会計は予算に何ら措置を加えないでできるのか。これは理財局に聞くのは無理かもしれませんが、こういうことからときどき予算のめどをはずれて補正の必要があるという議論が生れて来るのでありますが、はつきりそういうことをしないでもよいのか。差金でもうかつた分と二百億円の分とで、結局二百三十四億拂い込めばそれでよいのだ、予算の上ではそれでさしつかえないのだ、こういう考え方でよいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/26
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027・石田正
○石田政府委員 これは何というか、予算のいわゆる目的外使用であるかという点については、目的外使用ではないと思つております。それから今四百一円で云々します場合に、これは実情を申し上げますと、ここに「別に法律で定めるところにより、処理する」というようなことが書いてございます。きのうも大臣からお話があつたかと思うのでありますが、大体三円四十五銭と、それから四百一円との時価の違いというものは、これは私たちは日本銀行に帰属すべきではなくして、国に帰属すべきものだと考えております。これは想定でございますが、普通の常識から言いますれば、再評価いたしました益金は国に納付するということがほんとうかと思つております。ただそういう処置を考えます場合においても、この金というものは接收されておるものであります。そういたしますと、これは例の数量等の報告に関する法案が出ておりますが、全部接收せられたものと残つておるものとの間において、差があるかないかという問題でございます。その場合に、少くなつておる場合と、多くなつておる場合がある。理論的にはこれは少くなつておる場合が多いのであろう、こういうふうに私は考えるのであります。そういたしますと、問題が片づきません限りは、日本銀行は接收せられたものが百八トンであるという帳簿がありましても、そのまま日本銀行に返つて来るかどうかということにつきましては、ほかの接收されたものとの権衡も考えなければならぬ。そういう措置を講ずることは今の段階ではできないということがございますので、これらの処置につきましてはあとで処理するよりいたし方がないのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/27
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028・宮幡靖
○宮幡委員 あとで処理することのさしつかえないことも大体わかるのでありますが、ただこういうことで、国際通貨基金へ加入するための出資拂込みのために、二百億というものを予算に計上しておる。この二百億を使つて——これは日本銀行だとか、政府機関だとかいうように考えるからいかぬのでありますが。俗なことで申せば、その金をちよつと使つて、安い金を買つて、高い評価のものに拂い込む。もつと端的に言えば、二百億の予算しかないもので二百三十四億の出資権利を獲得いたしました場合のその差額というものは、どういうふうに処理されて行くのか。これはただ単に商売をやつてもうかつた。それで拂い込んだのであるから、実際においては二百億しか一般会計から支出されておらないけれども、われわれとしては、この国際通貨基金の拂込金の中においては、含み資産的なものを持つておるといつた場合に、政府としては黙つてよいものであるかどうか。これはきわめて俗つぽい話でありますが、そう言わないとわからぬのでありますから、そういうことでよいのかどうか。その差額ができたならば決算上雑入というようになるのか。あるいはそういう手続をしないで、ただちに拂い込めば二百億円の予算でまかない得るからよいのだ。あるいはその中にいらなくなつたものがあれば不用額として決算するのか。こういうことは理財局に聞いても無理で、主計局でなければわからないかもしれませんが、とにかく一応これをはつきりしておいていただかないと、私が今言つた接收された金属は日本銀行へ返つてみなければわからぬ。この構想というものはすべて何か想定した、描かれた一つの理想の形を説明しておるようでありまして、国の財政運用というか、予算と決算との間のつながりというものに決してスムーズな形は残らぬと思います。そこでこういうようになれば、これがはつきりするのだということを知りたいのでありますが、ここでお答えをいただくことが無理でありましたら、あるいは私の説明が足らなければ、なお懇談的にお伺いしてもよいと思いますが、どうしてそういう運用をするのか。今後も他の問題でそういうことがあろうと思いますが、国有財産の問題についてもいろいろな問題が起ると思います。自然にこれだけのもうけがあつたので、雑入として処理する。こういうことになつて当然国際通貨基金に加入すべき予算は二百億、そうして二百三十四億しか出ない。出すとすればその財源はもうかつたものの雑入との見合いによる予算の補正だ、こういうことも観念的に言えるわけですが、その点はどう考えておるのか。なかなか愚問のようでありますが、予算と決算の関係をつなぐ一つの国会法の規定における観念としては、この点はぜひ明らかにしなければならぬと思つております。そういう意味で言葉の言いまわしは悪いのでありますが、そこをはつきりしておいていただきたい。二百億円が二百三十四億に通用する、こういうことが財政上どうして処理されて行くか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/28
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029・石田正
○石田政府委員 これは主計局から答弁すべき筋合いのことであろうかと思うのでありますが、私たちの考え方を申しますると、二百億の協賛を経ましたところの金額の範囲において、国際通貨基金協定になるべく早く加入いたしたいというふうに考えまして、こういう規定を設けたのであります。これが常例でないということははつきりしておると思います。そうなればこそ法律ではつきり規定いたしまして、大蔵省と日本銀行との話合いだけでやろうということでなしに、国会の御承認を得てやつて行こう、こういうふうに考えております。跡始末がどうなるかという問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように一つの想定でございまして、いわゆる再評価益なら再評価益を国がとるということをいたします場合に、どういうふうな形でとるかという問題との関連において、その措置がきまります場合にはつきりする、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/29
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030・宮幡靖
○宮幡委員 時間もありませんのでその点はまた他日もう少し研究してみたい。事は簡單でありますが、まあ変なことを言うようですが、参議院あたりへ行つて妙なりくつをつけられてもはなはだ衆議院の面目に関しますので、私はこの点をはつきりしておきたいのであります。補正予算がどうこうと、いろいろこれはこじつけられる問題でもありますから、この点はもう少しはつきりいたしたい。きようは時間の関係もありますのでこの点は避けます。
そこで国際通貨基金協定の第一條の(i)、(ii)を少しお尋ねしてみたい。第一條目的の(ii)に「国際貿易の擴大及び均衡のとれた増大を助長し、もつて経済政策の第一義的目標たる全加盟国の高水準の雇用及び実質所得の促進及び維持並びに生産資源の開発に寄與すること。」と書いてあります。これは先ほど私は総務課長の説明のときに聞きたかつたのでありますが、これは実例的にどういうふうになつているか。これに沿う実際の基金の運用はどうなつているか。このことを一、二の例につきまして御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/30
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031・石田正
○石田政府委員 これは国際通貨基金が、国際金融というものについて一つの理想目的がある。その場合におきまして、要するに一九二〇年代の終りから三〇年代におきまするように、非常な世界的なデフレーシヨンによつて困る。通貨は健全かもしれぬが、経済はうまく行かぬ。そういうふうな考え方でやつてはいけないのだという理想が、この第一條の(ii)のところに出ております。しかしそれが実際問題としてどういうことになるのかということになるわけでありますが、この点につきましては、これは同じ目的のところの(iv)とか(v)とかいうようなところに書いてありまするところの問題、すなわち二国間取引とかなんとかいうようなきゆうくつなことをされない。なるたけ多角な決済方法を助長して行きたい。これはおそらくこの第二号の目的を達成するところの一つのさらに具体的な方法である、こういうふうに言うことができるかと思います。それからまた為替資金がございませんために、たとえば輸入を制限する。こういうことに相なりますると、輸出国としてはそれだけまた国内経済に影響を及ぼして来る。要するに信用問題等にも関連を起して来る、こういうことがありますので、そういう場合におきまして為替が手に入るようにしてやる、こういうことがありまするならば、これは第二号の目的を達成いたします上の具体的な手段であろうと思います。その今申しました二つの具体的な問題の中で、前者の方は国際通貨基金はそういう気持で各国に勧告をし、そういう零囲気をつくつて行くということでございますが、あとの方の問題になりますると、これが国際通貨基金というもののフアンクシヨン、こう大きなことになるかと思うのであります。要するに各国の割当額というものをきめまして、そうしてその割当額の二五%なら二五%の範囲なら、毎年必要とするところの通貨を、その自己通貨を対価として売るというような便宜を供與する。そういうところに最も具体的なる目的達成の、先ほどお話がありましたところの目的達成の策がある、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/31
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032・宮幡靖
○宮幡委員 その次の、目的の(iv)にあります「加盟国間の経営取引に関する多角的支拂制度」、この「多角的支拂制度」というのは、今の御説明の中にも少々ありましたが、もし日本が加入いたしました場合に、現在において起るべき多角的な支拂い方式は、どういうものが実際に起るという御予想でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/32
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033・石田正
○石田政府委員 日本は多角的な決済制度がありますことが望ましいのでありますが、現実の問題といたしましては、なかなかむずかしいことは御承知の通りでございます。ヨーロッパにおきましては支拂い同盟というのができまして、そうしてやつておりますことは御承知の通りであります。あれは多角的な決済であるということが言えると思います。ああいうふうな制度が世界的に行われるということはけつこうなことであろうと思いますが、遺憾ながらまだそういうところまで行つておらぬ。それから今協定のないような国とは大体ドルで決済をしておりますが、ドルで決済するということは、そういう国との通商協定がない場合には、多角的な決済をやつているということが言えるかと思います。それからポンド地域とわれわれは支拂い協定をやつておりますが、ポンド地域との関係は、ポンド地域に関するところの多角的な決済制度である。制度自体としてはそういうことも言えるかと思うのでありますが、これはあまり好ましからざるものである。しかしそういうふうな現実はすでに進んでおるのでありまして、国際通貨基金に入つたから、特別な多角決済制度に日本が参加する見込みがあるかということになりますると、そういう直接的な結びつきはないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/33
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034・宮幡靖
○宮幡委員 もう時間がございませんから、あと一点だけお伺いいたしまして、あとは次の機会にいたします。協定の第四條の第五項「平価の変更」でありますが、これは非常に観念論になるかもしれませんが、日本は現在の為替レートで満足すべきかどうかということであります。もつと円の価値を上げて行かなければならぬということは、これは国民の漠然たる希望であります。希望でありますが、ところが基金に加盟いたした結果、この五項によりましてなかなか嚴重な制限があるわけでありまして、簡單にいえば平価の変更は容易でない、こういうようなことになると思われるのであります。そうしますと、日本が幸いにいたしまして経済自立の段階が済みまして、国際的な信用も回復し、また実際的の価値の上昇というようなことになつて参りました場合に、平価を切上げたいということが起つて来ることを私どもは期待しておるのですが、その場合には加盟国の賛成等、所要の手続を経まして可能性があるものであるかどうか。当分しばらくの間は三百六十円で押えられていなければならないという制約を受けるのかどうか。その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/34
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035・石田正
○石田政府委員 これは規定の上と、それから国際通貨基金加盟国におけるところの実際の運営と、両方の部面があろうかと思います。この国際通貨基金協定の思想というものは、平価をやたらにかえるのは困る、こういう思想が根本にございます。しかし同時に基礎的な不均衡というような抽象的な言葉も使つてございますが、必要がありました場合には、軽微な程度、一〇%でございますが、その範囲内であるならば相談は受けるけれども、反対は大体しないというのがこの規定の精神になつております。それから今お話がありましたように、たとえば三百六十円を三百円にする、あるいは二百五十円にする、こういうふうな場合でございますれば——この基金協定が特に神経質に考えておるのは、四百円にするとか五百円にするとかいう、そちらの方面について心配しておるわけでありまして、今のお話のような方の点については、これは理論的には同じ問題でありますが、そうそう国際通貨基金として反対すべきいわれもないと思います。それからまたその程度によりましては、先ほど申しましたようなぐあいに、一〇%の範囲内であるならば割合に楽に話合いが進むのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/35
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036・宮幡靖
○宮幡委員 そういうことになれば、これはまことにはつきりした御答弁でよろしいのでありまして、ちようど目的の第一條の(iv)にありますような精神がはつきりして来るわけであります。「不均衡の持続期間を短縮し、且つ、その程度を軽減する」というような目的がありますので、こういうようなものが通貨の実勢に応じて不均衡がもし出て来た場合は、かような機会において直されるということが、基金の中で認められておるとしますれば、非常によいことだと思います。本日は時間もございませんから、これで終了いたしまして、次会に私の質問は譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/36
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037・佐久間徹
○佐久間委員長代理 深澤義守君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/37
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038・深澤義守
○深澤委員 私は接收貴金属等の法案に関連して、少しくお聞きしたいのであります。先般私が要求いたしました資料が出て参つたのでありますが、私が要求いたしました資料とは違つてあまりに簡單であります。提案理由の説明にもございまするように、政府及び日本の公約機関を初め、旧軍需会社等が保有していた金、白金あるいはダイヤモンド等を占領軍自体の手で接收した。従つて日本政府へ引渡す場合には、何をどこから接收したという具体的な資料をつけて来るのが私は当然であるし、また非常に緻密な仕事をやつております占領軍、特にアメリカ合衆国の人々は、そういうことは非常に得意であるとわれわれ信じておるのであります。一体政府にこの引渡しをする場合に、そういう具体的なリストというものは向うから来なかつたのかどうか。来たけれども、政府は大蔵委員会に提出する資料は、この程度の簡單なものでよろしいという判断で出されたのか。その点ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/38
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039・石田正
○石田政府委員 これは私の方は要求したのでありますが、向うもわからないということで、現に管理しておるこまかいものだけをよこしたのであります。従いましてわれわれといたしましては、どこからどう持つて来たということは、的確にわからないというのが実際でございます。軍需会社等という言葉をなぜ入れたかということに相なると思うのであります。これは軍需会社その他において、相手の方はとられたということを、大蔵省へ言つて来ておられる方がおるわけであります。それで受取りをもらつておるというようなお話もあるわけであります。従いまして法案といたしましては、そういうものがあるということを前提として書いてございます。しかしながらその話を大蔵省へ持つて参りますものはごくわずかでございまして、とられた、とられたという話はありまするけれども、正式な報告というものは向うからもしていただいておりませんし、またこちらもとるという措置を法律上とつておらなかつたのであります。従いましてこれから報告をしていただいて、初めて実際受取つたものとつき合せをする。その結果において食い違いがあつたらどうするかということを、その段階において考えなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/39
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040・深澤義守
○深澤委員 接收されたものに返すという前提でありますから、接收した当時の事情というものが明確にならなければ、これはうまく行かないと私は考える。従つて接收をした責任者である占領軍当局が、この具体的なリストを出すべきだが、それがないというはずはないと思う。そこでそれは現在は出す段階でないというのか、それとも全然わからなくてないのか。そういう点を日本政府の大蔵当局としては占領軍と折衝したのかどうか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/40
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041・石田正
○石田政府委員 私は事柄の筋道としてもそういう資料は当然あるべきである、なければおかしいということで折衝いたしまして、要求をいたしたのでありますけれども、ないということでございまするので、どうもいたし方なかつたのです。それからなおこの接收が行われました時期と申しますか、これは御承知の通りに米軍が進駐して参りました直後の、混乱期において行われたのが大部分でございます。そのときにおきまして、とにかく日本人の持つている金銀を集めておけというふうなことでありまして、その使い道とか処分の仕方とか、そういうふうなことはあまりはつきり考えずに行われたのではないだろうか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/41
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042・深澤義守
○深澤委員 こつちは敗戦国でありますから混乱をいたしておりましたが、向うはとにかく日本を占領するということで計画を立てて来たのでありますから、少しも混乱はないと思う。従つて具体的にそういう資料というものはつくられておつたに違いないと思う。この点今の理財局長の答弁によりますと、全然ないということでございますと、まことにわれわれにはその接收して管理して来た期間のやり方が、非常に疑惑に満ちたものになるという考えを持つのであります。そこで昭和二十年十月の一日に日本銀行の金庫を封鎖したということになつておるのでありますが、その封鎖される当時に日本銀行の金庫内に貴金属関係のものがどのくらい存在しておつたかという、日本政府の資料というものはおありになるかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/42
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043・石田正
○石田政府委員 日本政府及び日本銀行が持つていたものにつきましては、資料があるわけでございます。その資料を統計してそのトータルがこうなるという数字を出して、そうしまして差上げました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/43
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044・深澤義守
○深澤委員 それは資料の第二が、つまり日本銀行並びに政府が持つておつた資料が、そのトータルになるということでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/44
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045・石田正
○石田政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/45
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046・深澤義守
○深澤委員 そこでお伺いいたしたいのは、そうすると結局民間その他から接收したものは、まつたく資料なしに今後整理されるということになるのでありますか。一体整理の方針は、接收をされた側からの報告を集めてやる以外に結局ないというようなことに、大蔵当局は考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/46
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047・石田正
○石田政府委員 遺憾ながら結論的に申しまして、そういうふうな方向しかないと考えまして、この法案の御審議をお願いしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/47
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048・深澤義守
○深澤委員 最近の接收解除にあたりまして、大蔵当局はその現状を調査された、四月二十八日に調査されたということが報告されておるのであります。それでは日本政府並びに日銀が持つておつた資料に基く現物と、引渡された現物の間に何か変化が起つているか。前に保有しておつたままその分だけは引渡されているのか。それとも内容に何らかの変更が加えられておつたかどうか。そういう点を確認せられたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/48
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049・石田正
○石田政府委員 これは場所も違つておりまするし、それからいれものもかえております。従いまして原状通りでないということが言えます。私たちはこれは受取りましたけれども、しかし受取つたものについて受取りは向うへ出しておりますが、その受取りについては一応そちらでこれだけあるというから、これだけの受取りを出すので、今これから個数を勘定したり、目方をはかり、純分検定いたしました結果違つて来ることがあり得る。そのときの数字になるであろう。その数量というのはそちらの言つておるところの数量である、こういうふうに言つてわれわれは受取つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/49
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050・深澤義守
○深澤委員 日本銀行並びに政府が持つておつた資料は、その一々の具体的な内容の形状並びに従来からの数量等が、おそらく明確になつておつたと思うのでありますが、そういう内容がはたして接收された当時と現在で変更があつたかどうか、そういう点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/50
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051・石田正
○石田政府委員 完全に原状通りでないということは申し上げたのでありますが、なお具体的に申しますると金の製品のようなもの、こういうふうなものは向うが金のかたまりに鑄直してしまつております。そこで合金などが出て来るわけでありますが、元の形でないというふうな分が相当多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/51
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052・深澤義守
○深澤委員 そうすると接收された当時と接收を解除された現在とにおいては、その形状並びに重量あるいは地金あるいは合金というような形において、形状が変化されたという状態は全数量の何パーセント程度になつているか。そういう点がおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/52
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053・石田正
○石田政府委員 これはこれからの調査にまつわけでありまして、これは紙の上で申しますと金何トン、銀何トンと申しますと、個数から行きますと非常に大きなものでありまして、一々これを数量を調べてみたりするには相当時間がかかる。従いまして何パーセント原状のまま、何パーセント原状のままでないかということは、その結果を見なければ今は申し上げかねる事情にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/53
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054・深澤義守
○深澤委員 政府並びに日銀の資料によりますと、白金並びにダイヤモンド等は存在しなかつた。ところが占領軍からの引渡しの現状から見ますると、ダイヤモンド並びに白金等があつたのでありますが、これはつまり占領軍が民間並びに軍需会社等から接收したものである、こういうふうに理解していいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/54
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055・石田正
○石田政府委員 御説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/55
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056・深澤義守
○深澤委員 そういたしますとこの整理をする法律が出されましても、結局基準となるべき接收時の接收者の責任あるリストがないということになりますと、これははなはだ困難の状態に私はなると思うのですが、そういたしますと二十七年九月三十日までに報告をいたさなければ、結局そのあとの分については政府が没收する、政府のものになるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/56
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057・石田正
○石田政府委員 これは報告をとつてみないとどういうことになるかわからないのでありまして、結局報告が出て参りましたときに、その報告が出て来たときの数量と、それから現物がありましたものと比べまして、そうして多いか少いかという問題になるのですが、その場合に、どうも報告の方が多くて現物の方が少いという公算も相当大きいのではないか、さように考えておるわけであります。いずれにいたしましても、その場合におけるところの措置というのは、まだ実際の結果がわかつておらないのでございますから、その措置につきましてはまた別に法案を出しまして、そうして御審議を得た上できめるべきである、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/57
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058・深澤義守
○深澤委員 政府のどこかの部内に、臨時金属数量報告会というものが存在しておつたということが、先般の予算委員会においてたしか答弁がなされているのでありますが、この臨時金属数量報告会というものは、これは大蔵省の管轄に属するものであるか、これはどういうものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/58
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059・石田正
○石田政府委員 今のお話のは、臨時金属等数量報告会だろうと思いますが、そういつたポツダム政令が出まして、そうしてそれによつて報告を求めたのであります。この報告を求めるところの趣旨は、接收せられたものについて報告するのではなくして、接收されてないものを報告しろ、こういうことになつておるのでありまして、その意図は、まだ接收未済のものがあればまた接收しよう、そういう意図を多分に含んだものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/59
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060・深澤義守
○深澤委員 そうしますと、新聞によりますと、接收をされておつた金の製品等が、これはインゴツトに鑄直されたという問題もありますし、また当時の金庫を管理しておつたところのマーレー大佐が、ダイヤの一部をアメリカに持ち去つて、それが発覚して有罪になつたというような問題が新聞に報ぜられておるのでありますが、こういう問題については、大蔵当局は何らか、具体的の報告を受けておるのですか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/60
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061・石田正
○石田政府委員 そういう具体的な報告はわれわれは受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/61
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062・深澤義守
○深澤委員 そういう事実があつたということは確認されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/62
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063・石田正
○石田政府委員 確認ということはいたしてございません。ただそういうふうなことがあつたということを、新聞等については知つておりまするけれども、これはわれわれの方で当時聞きましたけれども、明答が得られなかつたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/63
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064・深澤義守
○深澤委員 大蔵当局が接收の具体的な資料というものがないということは、一体何に原因するかということを考えているかという問題でありますが、われわれは、具体的に報告をすると、その接收管理の過程において、非常にいろいろなトラブルがあつたということを明確にされることが、非常に困るというようなことで、この接收の具体的な資料を出さないんじやないかというぐあいに疑うわけでりあますが、大蔵当局は、この体具的な資料の出ない根本原因は一体どこにあるか、こういう問題についてどういう見解を持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/64
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065・石田正
○石田政府委員 この根本原因は接收という事実にあろうと思います。進駐軍が貴金属を接收いたしたということにつきましては、何らの法制的措置を日本政府に命ずるでもなく、自分みずから実力行為としてやつたわけであります。そこに、要するに日本政府がタツチせず、進駐軍独自の実力行為としてやつた、法的措置も何もなしにやつたということに根本原因があります。私たちは決して持つておる資料を隠しておるとかなんとかいうことは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/65
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066・深澤義守
○深澤委員 われわれは大蔵当局が持つているものを出さないというぐあいには、解釈していないのでありますが、問題は、進駐軍が直接やろうとあるいは法律に基いてやろうとも、結局国際間の関係といたしまして、国の重要な財産である貴金属等を接收した場合においては、当然具体的なリストを添えて、接收を解除して引渡すべきであるというのが、国際信義の当然な行為であると考えられるわけであります。それができないという原因が、單に進駐軍が直接にやつたんだからという理由では私は了解できない。従つてこの具体的な資料を出せないという根本原因を十分究明して行く必要がある。また日本政府としては国民に対する責任から申しましても、その当時の具体的な資料を占領軍に提出させまして、そうして接收解除後の処理をス
ムーズにやる責任があると思うのです。今後とも、これは單に大蔵事務当局の問題ではなしに、日本政府として占領軍当局に対して、この具体的なリストの提出を求める必要があるのではないかと考えますが、大蔵事務当局としてはどういうぐあいにこれを考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/66
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067・石田正
○石田政府委員 私たちの方としましては、その実際的なものがほしいということは向うに申し入れたのですが、向うは出せないということで、あれしたわけです。なお報告をとつておりました結果、おそらくその受取りその他が出て参ると思います。しかしそれを確認するかしないかというような場合については、これはやはり米国側と相当照会し合うという問題が多々起つて来るだろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/67
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068・深澤義守
○深澤委員 あまり時間がないようでありますから、具体的な問題はあとまわしにいたしますが、大蔵当局に接收をされたという報告がある程度来ているそうでありますが、この法案の審議過程において、やはりそういう報告がどの程度あるかということを委員会が承知することも、また必要であると考えるのでありますが、そういうものに関する資料を出すことができるかどうか。その点をひとつお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/68
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069・石田正
○石田政府委員 報告と申しましても、私の方は進駐軍にとられてしまいましたので、何とかならぬものであろうかというような意味の場合が多いのでありまして、それからまた今までの法制下におきましては、これはそういう報告を受けましても何ともいたし方がない、こういう実情でありまして、特別、資料的なものになるようなものを集めておるということはいたしてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/69
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070・深澤義守
○深澤委員 本会議の時間も近づいているようでありますから、本日はこの問題については大体その程度で私は打切りまして、後日もつと具体的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/70
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071・佐久間徹
○佐久間委員長代理 次会は明二十三日午後一時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X07319520522/71
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