1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月十八日(金曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
大蔵委員会
委員長 佐藤 重遠君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 佐久間 徹君
清水 逸平君 苫米地英俊君
三宅 則義君 宮幡 靖君
宮原幸三郎君 高田 富之君
久保田鶴松君
地方行政委員会
理事 河原伊三郎君 理事 床次 徳二君
理事 門司 亮君
八百板 正君
通商産業委員会
理事 中村 幸八君
今泉 貞雄君 小川 平二君
小金 義照君 永井 要造君
福田 一君 高橋清治郎君
加藤 鐐造君
決算委員会
理事 三宅 則義君
高橋 權六君
出席政府委員
大蔵政務次官 西村 直己君
大蔵事務官
(管財局長) 内田 常雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(管財局総務課
長) 小林 英三君
大蔵事務官
(管財局国有財
産第一課長) 木村 三男君
大蔵委員会専門
員 椎木 文也君
大蔵委員会専門
員 黒田 久太君
通商産業委員会
専門員 谷崎 明君
通商産業委員会
専門員 越田 清七君
決算委員会専門
員 岡林 清英君
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本日の会議に付した事件
国有財産特別措置法案(内閣提出第五九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより国有財産特別措置法案に関する大蔵委員会、地方行政委員会、通商産業委員会及び決算委員会の連合審査会を開会いたします。
まず政府当局より、本案について提案趣旨の説明を聴取いたします。政府委員西村大蔵政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/1
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002・西村直己
○西村(直)政府委員 ただいま議題となりました国有財産特別措置法案の提案の理由を御説明申し上げます。
終戰以来旧軍用財産の引継ぎなどにより、普通財産である国有財産はにわかに増加したのでありますが、さらに近く平和條約の発効に伴つて、賠償指定の解除、連合国軍接收財産の返還などが予想されます。このような事態に対処して厖大な国有財産の処理を適切に行うとともに、他面これらの国有財産の処理にあたりましては、公共の福祉の増進、民生の安定、産業経済の振興等国の各般の政策に寄與するために、国有財産の管理及び処分について国有財産法の特例を設けることが適当と考え、この法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案の内容の大綱について申し上げます。
まず第一に、旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の規定によりますと、国有財産の無償貸付は、従来公共団体において水道施設及び臨港施設の用に供する場合に、旧軍用財産に限つて認められておりましたが、今回これを拡張して、普通財産一般についても認めることといたしました。
第二に、固有財産を地方公共団体等に減額譲渡または減額貸付することができる場合を拡張して、医療施設、社会福祉事業施設または学校などの用に供する場合のほか、公民館、図書館、博物館、公共職業補導所、公営住宅などの用に供する場合にも、減額を行い得ることとするとともに、その減額率を五割に引上げる等の措置を講ずることといたしました。なお戰災、風水害等の災害を受けた地方公共団体につきましては、小学校、中学校など法律上その設置義務のある学校の用に供する場合には、特に七割を減額することができるようにいたしました。
第三に、国有財産を無償讓與することができる場合を拡張いたしまして、地方公共団体から寄付を受けた財産、地方自治法施行の際都道府県が使用していた財産、戰災者、引揚者等の收容施設として現に使用されている財産についても、これを地方公共団体に讓與することができるようにいたしました。
第四には、新たに、電源開発その他緊要な天然資源の開発事業の用に供するため必要な国有財産については、その事業の成功を條件として売拂いまたは貸付の契約をした上で、一定期間無償で使用を許すことができることとし、なお電源開発事業の事業主体が地方公共団体である場合には、五割を減額して国有財産の讓渡または貸付をすることができることといたしました。
第五に、賠償指定の解除を予想される国有の機械器具については、中小企業等の合理化を推進するために、事業者が従前から所有する老朽機械と交換することができる道を開くことといたしました。
第六に、旧軍用財産のうち特別のものにつきましては、将来における国の需要などをも考え、適当と認める者に対して当分の間管理を委託し、その範囲において無償使用を認めることができる制度を定めました。
第七に、従来旧軍用財産及び物納財産に限つて認められていた讓り受け代金の延納の制度を、国有財産一般について認めるよう拡張いたし、またその延納期限を延長することといたしました。
以上がこの法律案を提案いたしました理由並びにその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。今泉貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/3
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004・今泉貞雄
○今泉委員 まず第三條の関係についてお尋ねをいたします。公益法人、たとえば商工会議所を新たに設立する場合、あるいはすでに設立されておる商工会議所において中小企業相談所を設置する場合等は、この規定を適用するようにはならないかどうか。また地方公共団体または法人が、五割の減額讓渡あるいは貸付では困る場合が往々にしてあると思われるが、もつと減額の率を上げるように考慮することができないか。この二点についてまずお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/4
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005・小林英三
○小林説明員 お答え申し上げます。第一点でございますが、商工会議所につきまして、この法律の第三條の規定の適用がないかどうかという御質問でございますが、この法律といたしてございますように、地方公共団体とそれから法人となつておりますが、この地方公共団体の中には、もちろん商工会議所は含めてございません。それから法人につきましては、特に社会事業とかあるいは学校関係につきまして、いろいろ困難な事情もある、こういうような点を見まして、この二つだけに限るということにしておるわけでございます。
それから第二点につきまして、地方公共団体その他に、こうした恩典と申しますか、こういう場合におきまして、その讓渡の減額率を引上げてはどうか、こういうような御意見もありましたが、この点につきましては、実はいろいろ私の方でも研究したのでございます。現行法におきましては、大体貸付の場合においては四割、売拂いのときは五割ということになつておりまするが、これをいずれも五割ということにした次第でございまして、なおいろいろな国の補助金その他の点を考えまして、金で補助する場合、あるいはこういう国有財産の処分として考える場合も、同じように考えた方がいいのではないか、こういうような考え方をもちまして、この第三條といたしましては、五割以内ということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/5
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006・今泉貞雄
○今泉委員 次に第四條関係についてお尋ねいたしますが、地震その他の災害によつて著しい損害を受けたところの地方公共団体に対して、一定期間無償で貸付を行うとか、あるいは讓り渡すようにするというようなことができないか。この点についてもひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/6
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007・小林英三
○小林説明員 ただいま御質問の四條関係でございますが、この四條関係につきましては、いろいろな考え方がありまして、この学校一般につきましては、第三條におきまして、五割以内で減額して讓渡するなり、貸し付けるということにしたのでございまするが、四條におきましては、特にいろいろな戰争、たとえば原子爆弾で非常な災害を受けたとか、そういうような非常に災害を受けた地方公共団体に対して、特にこの六・三の関係でいろいろ経費も相当かかるであろうと、こういうような心をもちまして、義務教育のところまでにつきまして、特に七割ということを見たわけでございまして、一般的にそうした災害を受けた場合において、七割なりあるいは相当そういうことを考えるということについては、これはむしろいろいろな財政の補助というようなところで、研究といいますか、そういうことで考えた方がいいじやないか、国有財産の方の立場からは、それは少し無理ではないかということで、こういうような四條の限定と申しますか、範囲を定めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/7
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008・今泉貞雄
○今泉委員 次に第五條についてお伺いいたします。たとえば、先般問題になりました京都の陶磁器試験所が、国がその用途を廃止して、京都市に公共用として利用せしむる場合のごとき、第五條第二項の規定によれば、市は国が出した有益費の増加によつて増加した価額を、あらかじめ国に納付しなければならないことになつておりますが、市の財政状態に徴して、この価額の延納を認めるとか、あるいはまた特殊の場合として無償とすることが妥当だと思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/8
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009・小林英三
○小林説明員 ただいまの御質問の点でございまするが、御指摘のありましたように、京都におきましてこの工業試験所を総合するというような関係で、京都の国立の試験所を京都市に讓與するというような話を聞いておりますが、この問題につきましては、別途目下通産省の方でいろいろ研究中とのことであります。一般的に申しまして、国でいろいろなし仕事をやつておつて、その仕事を地方公共団体の方で引継いでやるというような場合におきまして、その仕事を援助するというような考え方をもちまして、讓與することをしたわけでございます。ただこの場合におきまして、この第二項にございますように、有益費を著しく多く出しておる、こういう問題になるわけでございまして、要は著しくなつておるかどうかということに問題があるかと思います。嚴密にいいますと、有益費が現に存する限りにおきましては、これを免除するということについては、法律の規定を要するようなことになつておりますが、ここにございますように、著しく多く出しておるというところで——ほとんどと申しますか、その有益費があるけれども、その量か少いという場合においては、それは無償、こういうふうな考え方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/9
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010・今泉貞雄
○今泉委員 第九條の第一項にある機械、器具の交換制度の適用を受ける事業者を、政令で定めると明記されてありますが、政府はいかなる事業者を予定しておるのか、その点を承りたい。先般本院において立法化せられたところの企業合理化促進法の免税措置は大企業の助成措置を講じたものであるが、これに対応して第九條第一項の事業者は、中小企業に対する助成措置として、中小企業及び中小企業等協同組合を、第一に取扱うべきものと考えられるが、これらの点を政令で定める考えは、政府当局において考慮せられておるかどうか。それも承りたい。また適用を受ける事業者を中小企業者と考えた場合に、業種を機械器具製造業、繊維製品製造業等々と制限して列挙する考えがあるかどうか。ことに中小企業は、その業種において多種多様にわたつておるので、特に地方的な産業も多いので、業種を制限的に列挙することは、中小企業の実態に即さないものであり、むしろ輸出振興に寄與するもの、重要産業またはその関連部門、生活必要物資供給部門といつたように、広い概念を掲げる程度にとどめるべきであると考えるが、政府の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/10
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011・小林英三
○小林説明員 法律第九條の政令で定める事業者の範囲でございますが、これにつきましては目下通産省方面といろいろ相談しておりますが、ここで政令で定める事業者といたしましては、中小企業ということで話合いをつけております。この中小企業の定義をどうするかというようなお尋ねでございますが、たとえば中小企業信用保險法における中小企業の定義の場合とか、あるいは見返り資金の融資の場合のいろいろな定義の問題がございますが、ただいま御質問のありましたような中小企業というようなことで、その中にはもちろん中小企業等の協同組合を入れる考えでございます。
それから第二の、しからばどういう事業者かということになりますが、一応中小企業でありましても、こういうような事業に該当するものというような形で、政令を定めようということで相談いたしておりますが、この場合にどういうような範囲にするかということで、ただいま御指摘のありましたような輸出産業、あるいは生活必需物資産業、重要基礎産業及びその関連産業というようなやり方、あるいはまたいろいろな、たとえば企業合理化促進法にいうような業種を、ずつとこまかくやるやり方、いろいろな方法があるかと思いますが、私の方といたしましては、要はこの法律にございますように、設備改善による企業の合理化を促進するということをねらいといたしまして、できるだけその範囲も制限しないで、この目的に沿うように適切にやりたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/11
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012・今泉貞雄
○今泉委員 また第九條第一項の交換の対象となる機械、器具は、どういう種類のものがどのくらいあるのか。詳細な数量を明記したものが用意されておるかどうか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/12
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013・小林英三
○小林説明員 この交換の対象になりまする機械でございまするが、現在国有の機械としていろいろな器具も入りまして、大体まあ三十何万点というようなことになつておりまして、このうちすでに賠償指定になつておりまするけれども、一時使用というような形で転貸しをしておるものもございます。それから目下この法律施行前におきましても、いろいろ旧来賠償指定施設の一時使用に関して、相当申請も出て来ておりまするが、ただいまのところその数字が、どの程度この中小企業の交換の対象となるかということについては、明確に今数字的に現在まではじいておりませんが、相当大量にあるかと思つております。ただこの中小企業としてどういう機種——機械の種類でございますが、それがどの程度になるか、まだ通産省の方としてもいろいろ研究中のようでございますので、通産省の方の、そうした中小企業としてどういう機械種類をほしいのか、その御要望なり、また私の方といたしまして、実際にすでにどの程度転貸しをし、現在においてその御要望がどの程度あるかというようなことを見まして、数字を算出いたしたいと思いますが、私の方としては相当この対象になるものは多いのじやないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/13
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014・今泉貞雄
○今泉委員 ただいまのお話の中に、一時使用として転貸ししておる機械というお話がありましたが、現在までに一時使用として各工場に転貸ししておるところの機械を、今後この交換の対象として考えるか、あるいはまたどういう取扱いをしようとしておるか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/14
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015・小林英三
○小林説明員 ただいまの御質問でございますが、現在一時使用中の機械と申しますのは、これはこの賠償指定という制限があるために、一種の行政処分でこれの使用を許可するというような形式をとつておるわけでございます。これも私の方といたしましては、平和條約効力発効後におきまして、賠償指定という形はなくなるのじやないかというように考えております。その後の処理といたしましては、私の方としてはこれを大体売拂いということで考えておりますが、御指摘のように、この法律が施行されるあかつきにおきましては、やはり現在一時使用という形になつておりますが、これも交換の対象になるということでございます。
なおこの場合におきまして、現在一時使用しておるものはどうなるかということでございますが、私の方といたしまして、少くともこの予算決算会計令と申しますか、その規定によりまして、いわゆる随意契約、相対で売るなり、貸すということが認められるような、それに該当するような場合でございますれば、これを現在使つている人に——一時使用を受けている人にこれを売る。場合によつては貸すというようなこともございますが、大体売る。形式論的にはただいま申したようなことでございますが、しからば実際の場合としてはどうなるかということでございますが、私の方としては、異例のものを除きまして、この随意契約の規定に該当するのが大体大部分じやないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/15
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016・今泉貞雄
○今泉委員 現在一時使用のために転貸しをしている機械がかなりあることを、私もよく承知しておるのでありますが、その転貸しをする際に、価格等もある程度明示してそれを借り受けておるというようにも聞いておるのですけれども、その一時使用の転貸しをした機械をそのまま讓渡する場合、かつて明示しておいたところの価格というものをそのままの形で讓渡するのか、あるいはまた交換の対象となる機械器具の取扱いと同様な立場で、あらためて価格その他を相談するようになるのか、その点について一応お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/16
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017・小林英三
○小林説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、実は現在の機械の使用料につきましては、賠償指定という関係におきまして、いろいろ制限を受けておりますので、使用料としては相当実際に即さないというようなことも言われておりますし、また逆にこれは相当高過ぎるというような話も聞いておるわけでございますが、実際に今後これを売り拂つたり何かする場合におきましては、やはりこの関係の会計法の原則に従いまして、時価ということでこれを売り拂うということになるかと思つております。現在価格として明記されておるというようなお話もございましたが、価格につきましても、実は私の方の台帳といたしまして価格は幾ら、それからまたいろいろな評価をした場合におきましての価格もついております。また貸す場合におきましても、価格は幾らということになつておりますけれども、それは貸したときの事情なりいろいろな点においてつくつたものでありまして、やはり実際に売り拂うような時期におきまする適正な価格を算定して売る、こういうことになるかと思つております。なおこの場合におきまして、代金の納付方法につきましては、この特例によりまして、通常の場合におきましては五年の延納を認められるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/17
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018・今泉貞雄
○今泉委員 第九條第二項で、交換する物の価額がひとしくないときは、その差額を金銭で補足するように規定されておりますが、企業合理化促進法案の審議の過程において、中小企業の合理化を促進するために、国有の機械器具を中小企業者に無償で交換するという話もあつたのでありまして、この際本法施行の際は無償交換の形で行くべきであろうと私は考えておるのでありますが、政府の考え方はどうでありましようか。
現下の金融状況では、私が申すまでもなくすでに御承知の通り、中小企業の設備金融はきわめて逼迫しておるのでありまして、加うるに中小企業者は機械器具の交換のために、現物を調査に行く際の旅費の負担、交換した機械のすえつけ費、修理手入費、機械の運搬等、相当の出費が予想せられるのでありまして、中には機械のとりかえのために、工場の一部または全部を休止するようなことも起り得ると思うのであります。そこで第二項の差金を徴收する規定はこれを削除して、無償交換の規定を明文化すべきであると思うのでありますが、政府は私の言うように考えておるかどうか、この点も承りたい。
また機械交換の場合も、すでに交換が決定した際に、交換機械の修理、手入れ等の準備を中小企業者に行わしめるために、一定期間を設けて交換機械を前渡しするような便宜の措置を講ずることが、適当であると考えるのでありますが、この点について政府はいかなる考えを持つておるか。この三点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/18
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019・小林英三
○小林説明員 御質問の第一点でございますが、われわれの方の考えといたしましては、交換につきまして同じような物、すなわち国としてそれを使うというような場合におきましては、その評価といたしまして、すなわち限界効用的に申しますと、同じような物ということで等価的なことができるかと思いますが、一応私の方といたしましては、大体能率の低いものと、それから国で持つているそれと同じようなものでも、能率の高いものと交換しようという考え方を持つているわけでございますが、無償交換というようなことにいたしますと、個々の人に対して非常にアンバランスが出て来るのではないか。たまたまそういう機械を持つている人に、そういう特別の恩典を與えるのはいかがと思いまして、全体を貫く会計と申しますか、全体の国の会計の原則からいたしまして、等価交換ということはどうしてもこれはとらざるを得ないのじやないかということで、この交換につきましては等価で交換する。たまたまその差金があつた場合におきまして、この差金につきましては現金でということで、代替物でお拂い願うというのではなくて、その交換のために、先ほど申しました低能率の機械につきまして、これは交換でございますから代物弁償になるのでございますが、その差金につきましては現金ということにしたわけでございます。この差金をなくするということにつきましては、ただいま一例を申しましたような点で、御了解を願いたいと思います。
それから交換を受けた機械をうまく活用するというようなことで、機械の前渡しができないかというような御質問でございますが、この点につきましては目下通産省といろいろ話合いをしておりまして、できる限りこの機械を有効に、しかも現在操業しておる機械をとりかえるために、操業に支障を受けることが非常に少い方法で、何かいい方法はないかということで、目下通産省と事務的に打合せております。できるだけそういう支障のないように、ただ御質問のような機械の前渡しということが技術的に可能かどうか、これも研究して行きたいと思いますが、できるだけ操業に支障のないように、早く交換した機械が十分活動できるようにということを念頭に置きまして、研究して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/19
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020・今泉貞雄
○今泉委員 現在の国有機械を交換するという場合の、その交換の対象がただちに各工場に持ち帰つて、使用に耐えるという機械はきわめて少いのでありまして、長い間放置せられておりましたために、いろいろな支障が機械の上に起つておる。あるいはまた終戰のどさくさまぎれに、そのまま放置されておつたために、部分品その他が非常に足らなくなつておる。それらの機械を完全に手入れをして、そうして付属部品を整えて十分なる使用に供するという形にするまでには、おそらくものによつては数箇月を要するものもあるであろうと思うのであります。しかしながらこの交換の対象となつております機械は、現に工場にすえつけて作業をいたしておる機械でありますので、その作業しておる機械をとりはずして、そうして十分手入れしをて、完全に使うためには、ものによつては数箇月もかかる機械を交換するというような事態が起りましたならば、一時的にもせよ、工場の生産が減退するという問題を惹起することは明らかな事実でありまして、この問題につきましては、私が先ほども申しましたように、一定期間を設けて機械を前渡しして、その前渡しした機械が十分な手入れを終了して、そうしてとりかえてただちに作業をすることができるような状態になるように、助成する意味において、この点だけは政府当局においても、十分お考えを願いたいと思います。
また私が先ほど御質問いたしました無償交換ではどうか。しかしいろいろな事情で無償交換がどうしても不可能な場合は、交換を行うところの中小企業者の所有にかかる老朽機械と、国有機械との評価を検討して、国有機械の評価をできる限り低くするとか、あるいは交換の対象となる中小企業者の持つておる機械の評価を高くするとか、そうして交換の差をきわめて少くなるようにして、中小企業者が交換機械を取得することが容易にできるように考えてもらうということが、必要な問題ではないかと思うのであります。ことに先般企業合理化促進法の立法化にあたつては、いわゆる大企業を援助する意味において、免税措置を講じておるのでありまして、中小企業に対する今回の交換の問題は、中小企業の助成措置とも考えられるのでありますから、この点を十分にお考えを願つて、この法案の趣旨を十分に徹底せしむるようにしていただきたいと思うのであります。ことに十一條の延納の特約の規定の中には、交換の差金というものが含まれておらないように考えられるのでありますけれども、この交換の差金も含めるように條文を修正していただきたい、こういう点を政府はどういうふうに考えておるか、お伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/20
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021・小林英三
○小林説明員 先ほども御答弁申し上げました前渡しの問題でございますが、これにつきましては、できるだけ操業に支障のないようにしたいという考えをもちまして、実行に当つて行きたい。もちろんその方に非常に詳しい中小企業庁の方とも、目下毎日のように打合せておりますので、できるだけ事実として御要望に沿えるように、考えて参りたいと思つております。
第二点の交換の評価の問題でございますが、私どもとしましてはできる限りこの法律の趣旨に沿いまして、また同時に会計法で許される範囲内におきまして、いろいろな変換——それから同時にもう一つ申し上げたいのでございますが、このやり方につきましても相当簡易なといいますか、できる限り目的に沿うように、しかもまた末端と申しますか、私の方で実際にこの交換の仕事をやる者も、すぐわかるような方法で交換の事務をやつて行く。従つてその評価につきましても、できる限りはつきりした形でやりたいというので、実はこの法律にございますように、交換に必要な事項は政令で定めるというようなことでございますので、この評価の方法等につきましては、やはり政令で実施するということで目下研究しておる次第であります。
第三点の延納の問題でございますが、十一條におきまして、「普通財産を讓渡した場合において」ということで、実を申しますと、この中にこの交換の差金の支拂いについては、入つておらないようなことになつておりますが、私どもといたしましては、もし国会の方で御修正でございますれば、別段異存ないという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/21
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022・今泉貞雄
○今泉委員 第九條第三項において、国が取得したところの老朽機械は遅滞なくくず化するというのでございますが、この交換機械の中にも使用に耐え得るものが相当数あると思うのであります。現在の日本の機械工業の不足機械の現状にかんがみましても、これらを希望に応じて販売するような措置を講ずる必要があると思うのでありますが、それらの点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/22
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023・小林英三
○小林説明員 私の方でも、いろいろ事務的に、またほかの各方面の御意見を聞いたりいたしまして、ただいまの御意見のように、そうした場合において、国が交換して取得したものでも、さらにまた交換なりあるいは売拂いをしたらどうかというような意見も出たのでありますが、こうした機械につきましては、低能船と申しますか、非常に能率の悪い船につきましてくず化したと同じように、やはりこれはくず化して、新しい機械でやつてもらつた方がかえつていいのじやないかというようなことで、国としてはそうしたものは全部くず化します。そしてこれを必要なくず鉄として、必要な部面に再製できるように考えた方がいいのじやないかという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/23
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024・今泉貞雄
○今泉委員 この法案を実際に運用するにあたつては、交換の相手方の選定、機械器具の具体的な割当の事務手続等については、都道府県の中小企業の係の者が、中小企業の実態を一番把握しておると考えるのでありまして、これらの機械器具の交換の相手方の選定、割当等については、都道府県の中小企業の担当者におまかせを願うということが、妥当であると考えるのでありますけれども、これについて政府はどういう形で取扱わせようとして考えておるか。この点について一応お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/24
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025・小林英三
○小林説明員 これにつきましては、実は楽屋話的になりますが、昨日も通産省の方と夜おそくまで議論した点でありますが、大体この交換は国とそれから交換を受けようという方との双方になるわけであります。私の方といたしましては、ただいま御意見のございましたように、この中小企業の育成ということにつきましては、国有財産の面から見ましても、十分御援助申し上げるというような立場でございますので、この実際の衝に当られております都道府県というものにつきまして、国の機関としての仕事をお願いするようなことは適当でない。しかしこの中小企業の育成の仕事をやられております都道府県の御意見は十分拝聴する。たとえば今御指摘のありましたように、割当と申しますか、どういうような機械をだれが希望するかというとりまとめのようなこととか、このものは確かにこういうような交換に必要である、確かにこれは機械を取りかえて合理化しなければならぬということにつきまして、十分その当該の都道府県の御意見を聞いて参る。場合によりましては証明書なり副申書と申しますか、そういうものをつけてもらうようなことにいたしまして、府県の御意見を十分承る、またこれを尊重して参るというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/25
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026・今泉貞雄
○今泉委員 これらの事務が時宜に適するために、取扱いを迅速的確に処理するということは非常に必要なことでありまして、これがためには、ただいまお話がありましたように、都道府県の各方面、あるいは通産省その他にいろいろ調査その他を願う必要が生ずると思うのでありまして、中央及び地方を通じて新たに予算的な措置を講ずる必要があると思つておるのですが、これについてどういうふうにお考えになつておるか。また交換の申請が競争になる場合には、でき得る限り中小企業の中でも、特に零細企業者が優先的に取得するように考慮せられたいと思うが、政府はこの申請の取扱い順位をどんな方法によつて決定しようとしておるか。それらの具体的な方法についてひとつ御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/26
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027・小林英三
○小林説明員 中小企業の機械の交換に、地方公共団体でいろいろ経費がかかる、これに対する予算的な措置についてどういう考えを持つておるかという御質問でありますが、実はこれは私の方ではなくて、むしろ通産省の方で、従来と同様に行政上中小企業の育成についていろいろおやりになつておりますので、少くとも国有財産の関係といたしましては、私の方としては予算の問題として別段経費は計上しておらないのでありますが、なおまたよく研究はして参りたいと考えております。
それから第二点でございます。交換を希望する方々が非常に多い、しかも交換をしようとする国の機械が限られておるという場合においては、いろいろ競争的な立場になると考えておりますが、ただいまの御意見は、むしろ中小の方の小に優先させたらどうか。またその順位はどうかということでありますが、これについては私の方としても、国有財産の方の立場からいいますと、相手の方のだれがいいかどうかということについては、なかなか判定しにくい問題でございますので、これまで指導に当られておりました通産省、その行政の末端としての都道府県の御意見を伺つて、それを尊重して参りたい。従つてどういう順位になるかということについては、そのときにおいて具体的にきめられるのじやないかと考えておりますが、なおこの順位とかなんとかにつきまして、さらに通産省の方で御意見がありますれば、私の方でも十分承つて、それに御協力して行きたいというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/27
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028・今泉貞雄
○今泉委員 特に私が零細企業者を優先的に取扱つてくれということを、お話申し上げました根拠なるものは、零細企業者ほど古い形式の設備を有しておるのであります。中小企業者と申しましても、二百人、三百八の大企業の有しておる機械の形式というものは、かなり近代化されておるのでありまして、零細業者ほど古い形式の設備を使つておる。日本のいわゆる機械工業の近代化をはかるという考え方に立脚して、そしてこの古い形式の設備は国内から姿を消す、こういうような考え方からいつても、今の零細企業者の機械交換というものをまず第一義的に取扱つて、この企業の近代化の第一歩を歩み出す。そういう考え方で取扱いを進めていただきたいという希望を有しておるのであります。
第十條の第一項の中で管理の委託というものがありますけれども、具体的に言つて、どういう財産についてどういう場合に行おうとするものであるか。それらの点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/28
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029・小林英三
○小林説明員 第一の問題でございますが、今の零細の方々の問題につきましては、第九條にございますあの法律の趣旨によりまして、最もその設備の改善を急ぐというものについて優先するのが、当然じやないかというように考えておりますが、具体的にはまた具体的な事情によつて、当該の都道府県の指導方針にいろいろなものがあるかと思いますので、具体的にはそういうようなことで、ただいま御指摘にありました零細企業の方で、どうしても設備改善が緊急を要する、その方が優先であるということでございますれば、もちろん今のようなことになるかと考えます。
それから第二の第十條の管理の委託という問題でございますが、旧軍用財産を売り拂うとかいうようなことにつきまして、なかなか売れないようなものであるとか、あるいはまた国がこれを売らないでおいた方が将来いいというような場合があります。こうしたときにおいては、それを売らないで国の所有のままにしておきまして、これを管理といいますか、そうした目的の範囲において使用していただくというような考え方でありまして、この規定によりまして具体的に旧軍用財産の施設について、どこに管理を委託するかどうかということについては、目下具体的にはきめておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/29
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030・今泉貞雄
○今泉委員 第十一條第一項の第一号で「政令で定める重要産業に属する事條を営む者」とあるのでありますが、どういう事業が予定されているか。また十年以内の延納を認めるかどうかは、普通財産の拂下げ価格と拂下げを受ける企業の資力によつて、具体的にきめられる問題でありますから、事業を限定することは不適当だと思うのであります。また讓渡せられる財産が何億という場合もあると考えられるのでありまするけれども、五年または十年以内の延納でも困難な場合、さらに特別の措置を講ずることができるような道を開いておくことが、必要であると思うのでありますが、これらの点について御意見を承つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/30
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031・小林英三
○小林説明員 この延納を認めるような場合におきまして、重要産業ということにつきまして、実はこのねらいが、例の企業合理化促進法に言うところの重要産業のものとか、あるいはまた企業のいろいろな状態によりまして、たとえばこの金額が相当大きく、しかもその事業が重要であるというようなことで判定するというように考えておりますが、具体的には、この点につきましても政令ではつきりした方がいいじやないかというふうに、ただいま考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/31
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032・今泉貞雄
○今泉委員 最後にお尋ねいたしますが、平和條約の発効に伴いまして、賠償指定を受けておつたところの各工場の工作機械が、大量に市場に放出されるということが盛んに流布されておる。また事実上そういうこともあり得ると考えられるのでありますが、この各工場の工作機械が大量に市場に放出されて参りました場合、現在製作を続けておりまするところの工作機械メーカーを、圧迫するようなことになりはしないかということが、懸念されるのでありまするけれども、政府はこれらに対して適当な対策を立てておられるかどうか。この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/32
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033・小林英三
○小林説明員 ただいまの御質問はなかなかむずかしい問題でありますが、全体の問題といたしましては、通産省の方で十分お考え中のことと思つております。ただわれわれの方の立場としての、国有財産の部面として持つておりまする機械の点につきましては、ただいま御指摘のありましたように、この民間の賠償指定の機械の問題とも考え合せまして、それからまた同時に、目下非常に重要でございまする日本の機械工業の育成という点から見まして、十分そういう点を配慮いたしまして、たとえば交換の場合におきましても、これをくず化するというような考えであります。それからなお機械の方につきましても、私の方としては二足三文で売りたたくというような考え方ではなくて、できるだけ必要な部面に、それを転換使用していただくというような考え方を持つておりますので、少くとも私の方のやり方からしますれば、ただいま御懸念のありましたようなことがないように、十分措置して参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/33
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034・佐藤重遠
○佐藤委員長 次は八百板正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/34
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035・八百板正
○八百板委員 国有財産特別措置法についてちよつとお尋ねいたします。大体不動産処分については地方公共団体、動産の場合には民間企業も考えられる、こういう建前になつております。それから貸付の場合には、公共団体の場合も民間企業の場合も両方相手としておる、こんなふうに考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/35
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036・小林英三
○小林説明員 実はこのねらい方といたしましては、国有財産の一般として考えておるのでございまして、地方公共団体だから土地、建物、不動産というふうに特に限定しておるわけではございませんが、実際問題といたしましては、大体ただいま御質問のあつたようなふうになるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/36
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037・八百板正
○八百板委員 そうしますと公共団体以外の場合にも、処分の対象になることがあり得ると考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/37
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038・小林英三
○小林説明員 不動産の場合におきましては、第三條の関係だけで見ますると、これは一般の場合におきましては、五割以内減額してやるということがございませんが、学校法人と申しますか、特に私立学校の経営する学校法人、それからいろいろな社会福祉事業をやつております、社会福祉法人の場合にだけ、できることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/38
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039・八百板正
○八百板委員 そうしますと、処分の相手方は地方公共団体であつて、不動産の処分の場合には相手は公共団体であつて、それは第三條に例示してあるようなものに限る、それ以外に対して讓渡されることはない、こういうふうに解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/39
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040・小林英三
○小林説明員 この第三條関係におきまして、問題はこういうことになるかと思います。一つは会計法では一般的に競争入札をやるわけでございますが、第三條関係におきましては、これに該当する場合におきましては、たとえばある学校、特定の学校にこのものをやる、こういうことになるのが第三條の規定であつて、同時に減額する、割引する、こういう規定でございます。従つてそれ以外の場合におきましては、やはり普通のように、ほかの一般の場合と同じように、これを売るということになるわけでございます。ただこの場合におきまして、一般の場合におきましては、第十一條の場合におきまして、五年以内の延納という、一般的なだれでも競争入札その他の方法によつて、不動産を売るような場合におきましての特典と申しますか、延納だけを認める、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/40
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041・八百板正
○八百板委員 そうしますと、この法律は国有財産を処分したり、貸し付けたりする場合の規定について、特に公共団体を相手とした場合の点について、これを目標にして法律化する。一般の民間に対して国有財産を処分し、あるいは貸し付けるという場合、いわゆる第一條に基くもの、そういう場合については、この規定は特に考慮してない。自由にこの規定にかかわりなく通常の讓渡ができるのだ、こういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/41
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042・小林英三
○小林説明員 その通りでございます。一般の場合におきましては、やはりこの法律の国有財産の一般の売拂いと同じになりますが、これが普通財産ということになりますと、一般の、特に法律で明記してある場合以外におきましては、この五年間の代金についての延納というものを、認めるというところだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/42
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043・八百板正
○八百板委員 そうするとこの法律を出した目的と申しますか、どうも了解できなくなるのですが、そういう地方公共団体などに対して処分する場合にだけ、特にこの際そういういろいろなきびしい法律化の必要があつて、その他の場合については、こういう法制化の考慮が必要でなかつた、こういうお考えに立つての提案ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/43
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044・小林英三
○小林説明員 地方公共団体につきましてはいろいろ問題がございますし、また具体的な場合といたしまして、これまでわれわれの方でいろいろ問題があつたような点を——従来の規定によつては十分救いきれないというような点を取上げまして、公共団体についてはこういうような規定をしたわけでございますが、特にほかの方の場合におきまして、こういうような公共団体と同じような規定を設けることはいかがかということもございまして、公共団体の地方におけるいろいろな行政なり、あるいはまた地方の財政負担というような点を考慮して、一応公共団体。民間といたしましては学校法人、社会福祉法人だけに、地方公共団体に準ずるような特例を認めたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/44
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045・八百板正
○八百板委員 これは説明員から伺つてもお話にならないと思うのですが、今のお話によりますと、従来の規定では救いきれない、こういう前提の上に立つて公共団体を対象とした、こういうお話でありますが、私どもの常識からしますと、従来の規定では救いきれないほど厖大な案件が予想されている際に、むしろ問題の多いと予想される民間の問題について法的の措置を考えずに、公共団体を相手とするものだけを、こういう考慮のもとに法制化されるということは、どうもうなずけないのですが、その点もう一ぺん、管財局長も見えているようですから、ちよつと伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/45
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046・内田常雄
○内田(常)政府委員 国有財産特別措置法の趣旨は、第一條に簡單にうたつてありますけれども、私どもが今回この法律の制定をお願いするゆえんは、率直に申しますと、今まで大蔵省における国有財産の処分のやり方が、国有財産は国の財産である、また従来の国有財産法は、一つの財政法規、会計法規という建前でできておるということのために、非常に嚴格に過ぎておつたんじやなかろうか。今日賠償も解消されるような時代になり、相当大きな国有財産を国民経済のために貢献し得る時期になつて来たから、もう少し国有財産の取扱いなり、あるいは国有財産法のあり方というものを財政法、会計法的見地から、経済法、社会法的のあり方に少しずつかえて行つた方がよかろうじやないか、こういう趣旨でもつばら国の財政的利益を二の家にしまして、国民経済の経済的あるいは社会的利益を、第一義に推し進めまして制定しようとしたものがこの法律で、その趣旨が第一條にも書いてあります。従いまして第三條あたりをごらんくださいますと、たとえば医療施設、保健所とか、社会福祉事業の用に供する施設とか、学校教育法に規定する学校とか、図書館とか博物館とか、あるいは公共職業補導所の施設、いわゆる公営住宅、あるいは公共団体における試験研究所とか、こういうように最近いろいろな社会立法が行われており、また公共団体の活動範囲が広くなつておる。その公共団体、社会立法に沿うように国の財産を利用される場合には、相当思い切つて割引して、国有財産を讓與してもよかろうじやないか、こういう趣旨で、先ほどからお尋ねのように公共団体がまず先に出て来ております。一般に私人に売り拂う場合もないではございません。しかし私人に売り拂う場合は、特に減額讓渡してやるとか、あるいは会計法が一般競争を予想しておるものを、しいて相対の個人契約にしてしまうということについては、先ほど来申し上げますような公共団体の仕事の範囲なり、あるいは社会立法に合せるという趣旨のものではない。ただ今までは非常に大きなものを売りましても、延納の範囲が五年に限られて、しかも延納を認められるものは、一般の財産ではなくて、ある限られた国有財産にだけしか認められてなかつたものを、今回は第十一條におきましては、單に旧軍用財産のみならず、一般の財産につきましても、五年から十年まで延納期限を延ばしてやることができる。しかしこれも何でもかんでも延ばしてやるというのではないので、やはり国がそれだけの財政的援助を——これも消極的な援助ではありますが、財政的な援助を與えてもいいと思われる重要産業を選びまして、それらのものにつきましては長い延納を認めてやろう。この重要産業の範囲につきましては、他の委員の方からお尋ねがありましたように、たとえば企業合理化促進法における重要産業とか、あるいは租税特別措置法における重要産業、免税を認められているような種類のもの、こういうものを選びまして、特に長期の延納を認める。また第七條にございますけれども、土地の改良と申しますか、災害防除あるいは電源開発等のために、これはひとり公共団体だけではなしに、一般の法人あるいはその土地の住民等が、このような事業を計画する場合には特別の取扱いをする。その他最初に申し上げましたように、国有財産の措置というものを、財政法規一点ばりで行かないで、経済政策の面をできるだけ取入れて行こう。しかもあまり大胆に国の財政法の建前ということをはずすことも、第一歩としてはむずかしいから、まず出発といたしまして、きわめて遠慮がちにこのような法案として提案した、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/46
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047・八百板正
○八百板委員 そうしますと、一般の民間企業等を相手とした処分の場合も考えられますし、公共団体を相手とした処分の場合も考えられるのでありまするが、そういうことになりますと、事の勢いは、利用度の高いものは、民間企業に結局において拂い下げられるという結果になり、利用度のあまりないものは、公共団体に押しつけられると申しまするか、ある場合にはそういうような形になる。そういうようなことも予想せられるのですが、そういう点についてはどういう考慮を拂われておるわけですか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/47
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048・内田常雄
○内田(常)政府委員 一般企業が産業的に使わんとする国有財産と、それから公共団体が公共団体の目的遂行のために活用せんとする国有財産とは、ダブるものもございましようけれども、おのずから違うだろうと思います。たとえばこれは工場には向かないけれども、学校には最適だというようなものがありましたならば、工場でたまたま買いたいというものがありましても、むしろ学校の目的のために、この法律によりまして、五割なり三割引で、公共団体に優先的に処分する、かような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/48
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049・八百板正
○八百板委員 そうしますと、大体この法案に規定せられました公共団体に、優先的に処分あるいは貸り付けられるものと理解してようしかろうと思うのであります。大体この法案の説明の中に、厖大という言葉を使つてあるようでありますが、この厖大なる国有財産を処分するにあたつて、まずその厖大なる国有財産はどのくらいあるかということを、はつきり示していただかないと困ると思うのです。この点について、まだ委員会等に資料の提出がないように伺つておりますが、これはひとつはつきりした一応予想される対象となる施設、その所在地、名称、数量、できればその老朽の程度とか、あるいは評価の目標とか、あるいはまた管理の現状、あるいは一時使用のものであつたならば、その一時使用の賃料とか、その收入とか、そういうつ状況、そういうものを一応資料として御提示いただければけつこうだと思うのですが、この点御提示いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/49
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050・内田常雄
○内田(常)政府委員 御承知のように、国有財産全体の現在額あるいはその動きにつきましては、相当大部な書類にいたしまして、別途に決算委員会でございますか、国有財産増減及び現在額報告書というものを毎年お出ししておりまして、今回もたしか昭和二十六年三月末現在、及びそれまでの増減報告が出ておるのでございます。この委員会の審議の御便宜のために、きわめて簡單過ぎて申訳ないかもしれませんが、一応数枚の資料を当初に差上げてございます。もつともただいまお尋ねのように、具体的に学校に向くものがどこにどういうものがあるか、その堅固さの程度、老朽しておるかどうかということになりますと、これはちよつと数字の上にも表わしにくいし、具体的な国有財産の内容を取出さなければなりませんので、ちよつと困難かと思いますが、なおまた御質問に応じて、幾らでもこまかい数字等も御要求に応じたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/50
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051・八百板正
○八百板委員 この全体の運営をいたしますためには、それをまず明確にしなければならないのでありまして、それを前提として処理する公正な機関というものがなければならぬと思います。御承知のように、軍用関係の財産が国有に移りました事情その他をずつと考えて参りますと、非常事態のために接收され、あるいは移動している場合が多いのでございます。従つてこれを処理するための公正なる機関も、また通常の單純なる行政事務として扱うには不適当と思うのでありまして、そういう意味で特別の機関を設置して、そしてこれを公正に処理する、そういう公正を期する特別の機関を設置する必要があるのじやないかと思いますが、そういう点について国有財産特別措置法を立案せられるにあたつて、どのような考慮を携われましたか。この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/51
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052・内田常雄
○内田(常)政府委員 これは今回の国有財産特別措置法案に限らず、従来大蔵省は国有財産の売拂いその他の処分をやつて参つておる際に、いつも問題になることでございまして、ずつと以前には国有財産処理審議会でございますか、そういうものが官制上あつたようであります。しかしその後たびたび行政機構の整備簡素化等に関連いたしまして、他の同種類の委員会と同じように廃止になりましたまま、今日に及んでおります。今回この国有財産特別措置法案の制定に際しまして、この法案だけの目的のために、さような委員会があるいはいるのではなかろうかということも、むろん検討いたしましたけれども、この法案は若干は政令等に讓つてあるところがありますけれども、その政令ができてしまいますと、日常の運営におきましては、必ずしもさような特別の委員会のようなものがなくとも済むのではなかろうか。特に御承知のように政府におきましても、最近また行政機構の簡素化、行政整理等もやつておりますし、また現実に私どもの仕事のあり方といたしましても、大蔵省だけが専断的にきめることをいたさないで、産業部面につきましては通産省、運輸省、農林省等の各省との打合せ会を毎週持ちましてやつておりますから、今のような行政簡素化の考え方の時代におきましては、むしろさような委員会は、特につくらない方がよかろうという結論に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/52
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053・八百板正
○八百板委員 いろいろこれを運用するにあたつての権限が、たとえば第三條に定められました條件の決定であるとか、そういうふうな点についてもそうでありますし、あるいは第四條の災害の程度等を判定する場合の基準も、また問題になるでありましようし、あるいはまた第十一條ですか、困難と認める場合の認定、そういうふうなものは、全部これは大臣、実質的には当該官吏の判定、認定にゆだねられるという結果になるだろうと思うのでありまして、とかく財産の処分というような問題はいろいろ利権ともからまり、いろいろの問題をかもしやすい問題でありますから、そういう裁量権が少数の人の手にゆだねられるというようなことは、国有財産を処分する方法としては、私は適当な方法ではないと考えますので、そういうふうな点について、ぜひさらに考慮をしていただきたいということを、私は考えるのであります。もしそれらの処分なり処置が不当であるという場合、違法な処置をやられたという場合には、その被害者は当然に国民であり、国の財産でありますから、国庫の損失になるわけでありますが、そういう場合の救済と申しますか、そういう点については一般の法規に基く以外に、急速なる措置は考えておられないわけでございますか。この点についてどういう留意を拂われたか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/53
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054・内田常雄
○内田(常)政府委員 この法律の規定いたしておりますところは、いわゆる普通財産の処分について規定いたしております。普通財産というのは御承知のように行政財産とか、公共福祉用財産とか、あるいは企業用財産とか、国難が別に行政目的のために使つている財産ではないのでありまして、昔の言葉で申す雑種財産という種類のものでございます。もつぱら売買の対象となる。従いまして安く売り過ぎた、高く売り過ぎたという問題はございますけれども、処分の過程にあたりまして国民の積極的利益を侵害したという問題は、通常は出て参りません。従いまして政府の契約事項であつたということになりますと、これは民事訴訟において国が被告の立場に立つというような、普通の経済取引と同じように観念される部分が、通常ではなかろうかと思います。それは特に行政的救済の規定はない仕組みで、よかろうじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/54
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055・八百板正
○八百板委員 そうしますと、條件、価格、そういうようなものについて著しく不当に安く売つた場合でも、その責めを負う必要がない、追究せられる何らの法的な準拠法がないということになりますと、これこそほんとうに常軌を逸した処分も可能であるということになるのですが、そういうものを規制する方法というものは、それならばどういう根拠に基いてやることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/55
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056・内田常雄
○内田(常)政府委員 あるいは私の説明が足らなかつたかとも思いますけれども、国が当該売買貸付の相手方になる国民に対して、民事上の責任以外の問題は生じない、相手方の積極的利益を害することはない、こういうことを申し上げたのであります。もちろん国有財産の処分等につきましては、政府は国会、会計検査院に対して大きな責任を背負うということになります。従いまして先ほどもちよつと触れましたように、国有財産の現在額なり、あるいは増減なり等につきましては、詳細なる報告を会計検査院を通じて国会に出すと同時に、常時会計検査院の周密なる検査を受けまして、その結果国有財産の処分が不当に安くて、国家の財政的利益を害したというような事項につきましては、いわゆる会計検査院の批難事項としまして、国会で常に釈明の立場に国が立たされまして、その間いろいろと責任問題を生じておることもありましよう、かように考えて参つたらよかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/56
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057・八百板正
○八百板委員 起つてしまつてから批難事項として取上げられても困るのでありますが、問題はそういうことが起らないような事前の処置が、こういう財産の処分にあたつて十分に考慮せられなければならぬ。そういう点について法律的な処置を十分に考慮してもらいたい。この点について考慮されたかどうか。こういう意味の私のお尋ねなんでありますが、さらに公共団体に対しては五割、あるいは災害の場合においては七割引という形において、七割以内の減額という形で拂い下げられることになるのですが、その場合には五割とか七割ということは、讓渡の価格であると同時に貸付の場合の賃料、こういうようなものにまでかかつて来る割合なのかどうか。これをひとつ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/57
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058・内田常雄
○内田(常)政府委員 お尋ねの通り讓渡価格及び貸付料の両方に五割、七割の減額が適用されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/58
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059・八百板正
○八百板委員 それから財産が公共団体あるいは災害を受けた地方公共団体等において、今お話のように特別の価格あるいは賃料をもつて貸されることになるのでありますが、その後において一旦地方公共団体に対してそういう特権が與えられましても、その地方公共団体が重ねて今度は民間の企業なり個人に対して転貸ししたり、あるいは転売したりするというようなこともあり得るだろうし、そういうことをめぐつて不正な事態も考慮せられるだろうと思うのであります。一旦地方公共団体を通して、個人が間接に讓り受けるというふうな方法も考えられるのでありますから、従つて讓渡いたしました後における処分について、当然に国有財産法の二十九條ですか、そういうふうな條項に基きまして、それぞれのそういう事態を起さないような処置がとられて行くだろうと思うのでありますが、そういう場合に大体何年くらいは押えて行くというふうな方針で考えておられるか。この点お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/59
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060・内田常雄
○内田(常)政府委員 お尋ねの事項につきましては、私どもも配慮いたしております。六條に、国有財産法二十九條を運用いたしまして、條件付と申しますか、用途指定の売拂いをするようにいたすつもりでおります。その場合用途指定でありますが、これも私はただいまこの全部については、お答えいたす資料を持つておりませんけれども、財産の種類によりまして用途指定の例が違うのであります。たとえば学校等の施設につきまして、この建物は少くとも十年、十五年は使えるものであるという認定をして、十年ないし十五年間に用途を変更した場合には契約を解除するという、そのくらいの期限をつけておるものも、他の取扱い上あつたようでございます。対象によりましてあまり非常識にならないように、とりはからいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/60
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061・八百板正
○八百板委員 その点について最低はないのですか。何年以上でなければならないというような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/61
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062・内田常雄
○内田(常)政府委員 法律上あるいは私どもの内規上、最低というものはないそうであります。平均すると十年くらいの契約期間をきめて、讓渡して行くようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/62
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063・佐藤重遠
○佐藤委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/63
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064・門司亮
○門司委員 さつきの八百板君の質問、その他の方々の質問で大体盡きておりますので、ちよつとふに落ちないところだけ聞いておきたいと思いますが、それは八百板君の今の質問の中で、大体賠償の対象になるのがどのくらいあるか、ということについての資料を出していただきたいということに対して、何か非常に厖大なもので、資料は出しにくいということに聞きとれたのです。ところがこの法律は理由書の中にも、また第一條にもはつきり書いてありますように、大体対象がわからなければならぬはずでありまして、限定されておると思うのです。従つて限定されたものであれば、それがわからぬというりくつは立たぬと思う。従つてこれをぜひ出してもらいたい。私がそういうことを申し上げますのは、これの公示の方法をどうされるかということであります。地方の公共団体に優先的にこれを拂い下げるとか、いろいろなことが言われておりますが、一体どの地方にどういうものがどれだけあるかということは、どういう方法で知らされるかということであります。そういうものが具体的になつて参りますと、勢いこれは全部わからなければならぬはずであります。およそ各府県別くらいにはつきりしなければ、この処分については非常に困難だと思います。大蔵省だけがこういうものがあると知つておつても、地方の公共団体は知つておらぬということができると思いますが、それらの点についても、もう少し明確にひとつ答えていただきたいと思いますし、従つて資料も出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/64
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065・内田常雄
○内田(常)政府委員 賠償指定の数字が出しにくいという意味ではありません。これは現に大蔵省にはあるのでありますが、各省こと、また相手ごとの全部がわかる資料ということになりますと、非常に厖大なものになりまして、それを集計して差上げることはできるのでありますが、何部も複式にとつて、皆様に差上げることができるようなものではございません。また八百板さんのお話のように、どういう程度のもの、どういう内容のものがどうあるかということですと、各イツヴエントリーのナンバーがついておりまして、それを示したものは出しにくいのでありますが、いつでもごらんにいれることはできます。ただそれを現実に各府県にわけるときには、むろんそれから引抜きまして、各府県における中小企業の状況、また中小企業が持つておる老朽機械の台数を通産省系統で調べて行つて、それを分配して、政府の持つておる国有機械を各府県ごと、各機種ごとに分類して、両方を見比べて、長野県に作業機械何台、工作機械何台、山口県に何台という割当を、作業としなければならぬわけでございます。これは今後通産省と打合せの上やつて行きたいと思います。全体の賠償機械の数あるいは建物、土地等の国有財産の集計表につきましては、先ほど申し上げましたように、資料としてお配りしてあります。しかしそれは、たとえば機械につきましても、この通りの簡單なものでありまして、賠償に指定されたものは三十六万二千台、そのうち指定解除になつたものが六万五千台、また中間賠償のために持つて行つたものが四万七千台、差引二十五万台くらいが残つておるという、大体の数字だけを出してある程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/65
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066・門司亮
○門司委員 今の御答弁でありますが、私どもがそういうことを聞いておりますのは、大体の所在地というものがはつきりしておりませんと、公示の方法をどうされるかわかりませんが、こういうことはただ官報だけで知らされて、知つておる者だけは知つておる、知らない者は知らないということになりがちであります。従つてその中でやはり抜けがけの功名という言葉はどうかと思いますが、コネクシヨンのある者だけが結局その恩恵に浴して、それから遠ざかつている人は、割合にそういう恩恵に浴することができないような事態が、私は必ずできると思う。従つてぜひ公示の方法を明確にしていただきたいと思います。同じように地方の公共団体に拂い下げると言つておりますが、この中の規定だけでは、一体所在地の公共団体がこれを受けることができるのか、あるいはこれを解体して移築する場合にも受けることができるのかということが、明確になつておりません。従つてやはり所在地というようなものも明確になつておりませんと、地方公共団体の仲間同士でも、非常に恩恵に浴したところと浴さぬところが出て来る危險性がある、こういうことが考えられますので、これを一般に周知徹底させるために、公示の方法についてお考えがあるなら伺つておきにたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/66
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067・内田常雄
○内田(常)政府委員 これはまだ通産省と最終的の打合せは済んでおりませんが、大蔵省と通産省の協同作業といたしまして、大蔵省、通産省から各県に交換すべき国有機械器具の割当をやる、その範囲を、大蔵省は各財務局に、通産省は各通産局にこれを知らせる、県は国有機械器具のリストを一般県内に公示をして、一定期間内に中小企業者の交換申込みを受付ける、かような考え方でおりますから、必ずこの県には機械何台を割当てて、それはどういう機械であるという公示を一定期間県庁をしてさせる、こういう考えでおります。
それからもう一つのお尋ねの、建物等を地元の所在地の公共団体が受けることができるのか、あるいは解体して移築する場合にもできるのかということでありますが、移築できないということは法律にはございませんから、私どもは移築のための拂下げでも、割当ができると考えております。これは不動産等ですと、長崎県にある建物を他の府県にまで知らせなければならないということですと、公示が困難かもしれませんけれども、県内にある施設等につきましては、各県に現在財務部がございまして、財務部と県庁あるいは市町村とは、起債等の関係におきまして非常に緊密な連絡がありますので、県内にある施設につきましては、容易に知り得る仕組みになつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/67
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068・門司亮
○門司委員 あまり追究するようですが、そうしますと今の御答弁だと、大体府県というものを單位として行われるように拝聴できるのですが、府県を越えた場合もさしつかえないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/68
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069・内田常雄
○内田(常)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/69
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070・佐藤重遠
○佐藤委員長 三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/70
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071・三宅則義
○三宅(則)委員 時間も過ぎておりますし、各委員から質問がありましたから省略いたしまして、簡單に二、三点申し上げます。ただいま同僚委員からお話のありましたように、旧軍用財産並びに普通の国有財産に対する明細につきましては、大綱でけつこうですから、これはぜひ各委員にお配りいただきたいと思います。なぜかと申しますと、先ほどもお話にありました通り、状況をよく承知しておる者もありますが、大部分の者はそういう詳しいことは知つておりませんから、こういうような委員会を通じまして、明確にせられたいと考える次第でございます。同時にまた地方の実情につきましては、地方の財務局が中心になつて、この法の運用の衝に当るかと思いますが、その辺をひとつ伺いたいと同時に、もう一つは、水道施設、防波堤、岸壁というような場合にのみ無償で貸與すると言つておりますが、その他のものにも無償で貸與するものがあるかどうか。この二点をまず第一にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/71
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072・内田常雄
○内田(常)政府委員 三宅委員から御注意のありました資料の全体的に集計してあるもの、これはなお未配付の向きもありましたならば、お手元に届きますように配慮いたしたいと考えます。
第二点の、この法律案第二條の無償貸付として、水道施設、防波堤、岸壁等がございますが、この法律案で無償貸付をきめたものはこれだけでありますが、国有財産法におきまして、公共団体に限り、無償貸付の財産が幾つか計上してございます。たとえば公共団体の公園として活用する国有財産のごとき、あるいは塵埃焼却場であるとか、火葬場であるとか、溜池、緑地、それから保護を要する生活困窮者の收容施設に充てる場合等は、従来の国有財産法において、すでに無償になつておりますから、ここでは港湾法等の関係を除く意味におきまして、これだけを掲げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/72
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073・三宅則義
○三宅(則)委員 三條につきましては、しばしば各委員から御質問があつたのでありますが、大体公共団体を中心に考えておりまして、他の法人、たとえば学校法人、社団法人、あるいは財団法人、こういうものでありましようが、また営利法人、いわゆる商事会社、こういうものまでも含まれておるというふうに、解釈してよろしいのでありましようか。国家といたしましては、なるべく公共性を持ちました公共団体、これが中心に考えられるわけでありますが、一歩進みまして一般法人にもこれを援用する、こういうふうな御解釈のもとにやられておるのでありましようか。これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/73
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074・内田常雄
○内田(常)政府委員 これはまず第一に、公共団体が特定の公共団体活動のために、国有産を利用される場合を対象に置きました。第二に、学校法人と社会福祉法人が、それぞれ私立学校法、社会福祉事業法の規定する事業活動のために、国の施設を活用せんとするものだけに限定してございます。これにごく近いものには、たとえば医療法人というような一般の病院のようなものもございます。また民法三十四條の社団法人、財団法人、さらにはお話の商事会社のようなものもございますが、今回はそこまでは対象にして考えない方が適当として、掲上いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/74
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075・三宅則義
○三宅(則)委員 大問題になりますのは、第九條の「交換」ということでありまして、これは国家の財産を讓渡いたしましたり、あるいは賃貸いたしましたりすることによりまして、事が生じて来るわけでございますが、交換等によりまして適正な価格を認めなければならぬというわけでありまして、しばしば他の委員からも質問があつたようでありますが、国損にならないように、正確なる算定のもとに時価を定めまして、その時価を定めます査定委員会——こういうものはなく、これは財務局がやるのかもしれませんが、こうしたような財産を処分する場合におきましては、何らかの的確なる委員会というものを存置する必要がある、かように考えておるわけでありますが、管財局長はどういうふうに今考えておられますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/75
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076・内田常雄
○内田(常)政府委員 一番御心配になられる点だと存じます。そこで評価の問題でありますが、実はこの評価につきましては、評価の基準というものを、この法律案第九條第四項に基く政令、あるいは場合によつてはこの第四項の政令としては、少し無理がかかるかもしれないとは存じますが、とにかく政令で評価の基準をきめて、一般に明らかにしたいと考えております。たとえば工作機械のごときは、大体重量当りの価格というようなものも考えられるようでありますから、国が持つている機械、あるいは相手方が持つている機械一トンについて、レースは幾ら、ミーリング・マシンは幾らというような、ごく簡單な評価の基準を政令できめたらどうかと考えておりますので、それで行く場合には、必ずしも一般の評価委員会等をつくらないで、公正かつ單純に参ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/76
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077・三宅則義
○三宅(則)委員 いやしくも国有財産を処分する場合におきましては、中間にボス的存在があつては断じてならない、かように私どもは考えているのでありまして、このボス的存在を排しますには、公平にして妥当なる価格を算定する。これが基準になるわけであります。今管財局長のお話によりますと、政令でもつて定めるから心配はない、こういうふうに考えられておりますが、ややともいたしますと、一般の人よりも官吏の感覚の方が、どちらかというと低過ぎる、こういう線も出て来るわけでありますから、時価との開きのないように、普通の価格にこれを引直すという線を堅持しなければ、いつまでたちましても、国家というものは、損をするということはございませんが、割合時代に適していない、こう言われるおそれがありますから、これに対しましては、何か適当な委員会なり、あるいは諮問機関なりを設ける用意を持つておりませんか。もう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/77
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078・内田常雄
○内田(常)政府委員 適正に評価の基準をつくりますこと、また同じ適正でありましても、これは中小企業を主として考えます場合に、機械は交換するが、交換差額を非常に高くとるということでは、仏つくつて魂入れずというようなことにもなりますから、ある程度は国の利益と中小企業全体の産業的利益が合致するような線で、政令をもつて評価の基準をつくりたいと考えております。この政令をつくります際には、ただいまのところ、何らかの委員会を設ける考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/78
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079・三宅則義
○三宅(則)委員 交換いたしました老朽な鉄筆につきましては、これをくず鉄にすることになつておりますが、これはたとえば八幡製鉄所などへ持つて行つてくず鉄にするのでございましようか、あるいはその他の市中のものに直接販売するのでございましようか、それは財務部でやるのでありますか、どういうふうになつておりますか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/79
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080・内田常雄
○内田(常)政府委員 交換によつて取得しました機械は国有になりますが、これをくず化する。そのくず化することにつきまして、国はあらかじめ入札制で、包括入札のような制度をとりまして、公正な競争のもとに一般の業者に売り拂います。一般の業者は、それを八幡製鉄所に持つて行こうが、日本鋼管に持つて行こうが、これはくず鉄にする以上は干渉しない。但し通産省なんかが行政的、産業的指導があるかどうかは存じませんが、さような入札の方法をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/80
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081・三宅則義
○三宅(則)委員 時価の算定につきまして、法律におきましては、ことに風水害、地震、洪水には七割減、こういうことでありますが、これは主として地方公共団体のたとえば県庁、地方事務所等々が算定いたしたものを基準にいたしますか。何らかほかの方の基準でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/81
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082・内田常雄
○内田(常)政府委員 これは特定の県庁あるいは県の地方事務所のようなものが算定したものではなしに、大蔵省が大蔵省の基準によつて算定した時価であります。従いまして、縦にも横にも通ずる時価を算定いたしまして、それの七割以内、かようにお考えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/82
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083・三宅則義
○三宅(則)委員 中小企業を生かそう、こういう趣旨についてはまことに賛成する一人でありますけれども、そうかといいまして、あまり幅が行き過ぎたのでは、やはり国家といたしましても国損になるということになりますから、私どもの観点といたしましては、公平妥当なる査定委員会ができないならば、政令につきましては、あらかじめ本委員会には諮問にならないかもしれませんが、大蔵省といたしましては、大蔵委員会等と関係をとつて御決定になるものか。自分自身だけで御決定になるものか。なるべくならば、民間の選出であります議員等にも、そういうことにつきましては一言さしはさむような機会を持つてもらつた方が適当であると思いますが、管財局長はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/83
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084・内田常雄
○内田(常)政府委員 政令でありますから、直接国会法上の国会の委員会等にお諮りすることはございませんが、実際問題といたしましては、委員会なり政調会なり、適当な連絡はおとりしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/84
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085・三宅則義
○三宅(則)委員 今の内田管財局長の御弁明を信じまして、ぜひ当該委員会なり政調会とも適切なる連絡をとられまして、公平にして妥当なる案、時価に適し、また時代に即応するような価格の算定をせられまして、中小企業の発展にも、また一面国家の與隆にも寄與せられたいと考えておりますから、一言その点御注意かたがた希望を申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/85
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086・門司亮
○門司委員 ちよつと聞いておきたいのですが、私の考え違いであれば別でありますが、将来農地となり得るもの、あるいは現在国で使つている農地がありはしないかと思います。そういうものに対する何らの措置が書いてないのですが、こういうものは全然ないのですか。もしありとすれば、それに対する措置はどういうふうになつているのでありますか。農地法との関連がありますので、お聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/86
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087・内田常雄
○内田(常)政府委員 この法律案は、賠償解除に伴つて起り得べき事態のすべてにつきまして、従来の国有財産法を補完しようというものではないのでありまして、理由書にもありますように、相当の国有財産がわが国の自由処分に付されるようになりますから、その際、国民経済の発展のために、先ほども申しましたように、財政的見地から経済的見地に少し足を踏み込んで、いわば善政をしようというおもなる事項について書いたものでございます。ただいまの農地関係のことにつきましては、これは従来も問題がありまして、行政的取扱いといたしまして、大蔵省は一括して農林省に所管がえをいたしまして、自作農創設特別会計の制度の一環としてそれを新農民に売り拂う、こういう仕組みをとつております。従いましてこの法律案が法律化されても、その点にはかわりはございません。飛行場等につきましてはもちろんそういうことはいたしますし、ただ若干滑走路か何かでコンクリートで固まつているところは、大蔵省から農林省に所管がえをしないでそのまま残つておりますが、これらも将来飛行場等として活用できないものは、コンクリートの場合でも農地化すべきものは農地化するのもよろしかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/87
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088・佐藤重遠
○佐藤委員長 ほかに御質疑の通告もありませんから、大蔵委員会、地方行政委員会、通商産業委員会及び決算委員会の連合審査会は、以上をもつてとじることといたします。
これにて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304665X00119520418/88
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