1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年一月二十九日(火曜日)
午前十一時十四分開議
出席委員
委員長 金光 義邦君
理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君
理事 龍野喜一郎君 理事 床次 徳二君
理事 門司 亮君
大泉 寛三君 門脇勝太郎君
川本 末治君 前尾繁三郎君
吉田吉太郎君 藤田 義光君
大矢 省三君
出席国務大臣
国 務 大 臣 大橋 武夫君
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
内閣官房長官 保利 茂君
総理府事務官
(全国選挙管理
委員会事務局
長) 吉岡 惠一君
国家地方警察本
部次長 谷口 寛君
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局長) 荻田 保君
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
総理府事務官
(地方自治庁次
長) 鈴木 俊一君
委員外の出席者
総理府事務官
(全国選挙管理
委員会事務局選
挙課長) 金丸 三郎君
專 門 員 有松 昇君
專 門 員 長橋 茂男君
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昭和二十六年十二月十五日
委員河野金昇君辞任につき、その補欠として竹
山祐太郎君が議長の指名で委員に選任された。
昭和二十六年十二月二十日
自家用自動車の課税に関する請願(北川定務君
紹介)(第四号)
同外五件(小澤佐重喜君紹介)(第七五号)
同外四件(滿尾君亮君紹介)(第九一号)
同(福永健司君紹介)(第九二号)
同(飯塚定輔君紹介)(第九三号)
営業用トラツクに対する自動車税軽減の請願(
田口長治郎君紹介)(第五号)
同(宮原幸三郎君紹介)(第六号)
同(岡西明貞君紹介)(第三三号)
同(宮幡靖君紹介)(第三四号)
同(千葉三郎君紹介)(第三五号)
同(橋本金一君紹介)(第九〇号)
地方自治法の一部改正に関する請願(神田博君
紹介)(第三七号)
入場税及び遊興飲食税の市町村委譲に関する請
願(神田博君紹介)(第三八号)
同(塩田賀四郎君紹介)(第九四号)
遊興飲食税に関する請願(塩田賀四郎君紹介)
(第七六号)
地方財政確立に関する請願(宇野秀次郎君紹
介)(第八七号)
地方議会制度改革反対に関する請願(宇野秀次
郎君紹介)(第八八号)
地方財政平衡交付金増額並びに起債額拡大に関
する請願(早稻田柳右エ門君紹介)(第八九
号)
地方自治体公営事業の特別免許に関する請願(
神田博君紹介)(第三六号)
昭和二十七年一月二十一日
入場税及び遊興飲食税の市町村委譲に関する請
願(塩田賀四郎君紹介)(第一四〇号)
消防水利施設に対する国庫補助増額等に関する
請願(大泉寛三君紹介)(第一四一号)
地方税法の一部改正に関する請願(逢澤寛君紹
介)(第一五二号)
自家用自動車の課税に関する請願(河野謙三君
紹介)(第一五三号)
大阪の特別市制反対に関する請願(大石ヨシエ
君紹介)(第一五四号)
同(久保田鶴松君紹介)(第二二二号)
営業用トラツクに対する自動車税軽減の請願(
衞藤速君紹介)(第二一二号)
の審査を本委員会に付託された。
昭和二十六年十二月二十六日
地方行政事務再配分の強力実施に関する陳情書
(第五号)
地方財政平衡交付金制度に関する陳情書
(第七号)
地方税制改正に関する陳情書
(第八号)
地方税法第三百九十一条廃止に関する陳情書
(第九号)
平衡交付金の算定基礎に関する陳情書
(第一〇号)
地方財政確立強化に関する陳情書
(第一一号)
公共事業による道路補修事業の起債認可に関す
る陳情書(
第一二号)
地方財政の安定確立並びに教員の定員不足充当
に関する陳情書
(第一三号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止
に関する法律案(内閣提出第七号)
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
件に基く警察関係命令の措置に関する法律案(
内閣提出第八号)
地方自治に関する件
地方財政に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/0
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001・金光義邦
○金光委員長 これより会議を開きます。
この際前尾繁三郎君より発言を求められておりますので、これを許します。前尾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/1
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002・前尾繁三郎
○前尾委員 けさの新聞紙で御承知かと思いますが、長らく御病気でありました本委員会の元委員長であります中島守利先生が、昨夜ついに逝去されたのであります。まつたく超党派的に、先生に対しては皆さんとともに慈父のような敬愛の念をもつて考えておりましたし、先生も御承知のように第五国会以来、第六国会、第七国会、三国会にわたりまして、地方行政委員会の委員長として、いろいろお骨折りをわずらわしました。またその後におきましても、常に当委員会のために心から御心配をわずらわしたのでありまして、地方制度大改革の折から、まつたく種々の御心配をわずらわしまして、今回の訃報も実はそういうようなことが積り積つて先生の死期を早めたのではないかというふうにも考えておる次第であります。私としましても、先生に対して心から悲痛な思いをいたしておるような次第であります。おそらく皆さん同様のお考えかと存じます。従いまして、当委員会としましても、中島先生に対して哀悼の意を表したらいかがかと思いますので、この点をお諮り願いまして、適当に御処置を願えましたならばけつこうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/2
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003・金光義邦
○金光委員長 ただいま前尾君より故中島守利君の長逝をいたみ、本委員会として哀悼の意を表されんことを望む御発言がありましたが、もちろん各委員とも御同感であろうと存じますので、本委員会として謹んで哀悼の意を表します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/3
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004・金光義邦
○金光委員長 次に去る十二月十四日本委員会に付託されたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止に関する法律案、内閣提出第七号、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令の措置に関する法律案、内閣提出第八号の両案を一括して議題といたします。まず政府より提案理由の説明をそれぞれ聽取することといたします。大橋国務大臣。
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ポツダム宣言の受諾に伴い発する
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/4
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005・大橋武夫
○大橋国務大臣 今回政府より提出いたしましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令の措置に関する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。
銃砲刀剣類等の取締りについては、連合国軍最高司令官から発せられました昭和二十年九月二日付一般命令第一号、同年九月七日付覚書、同年九月二十四日付覚書民間人所有の拳銃、小銃、刀剣類の回収に関する件、同年十月二十三日付覚書日本民間人武器の引渡しに関する指令、昭和二十一年一月十日付覚書美術品に値する刀剣類の民間人所有に関する件などによりまして、民間武器の回収、引渡し等についての措置を命ぜられ、政府は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第三百号をもつて銃砲等所持禁止令を制定して、これが措置に当つて来たのであります。これをざらに昭和二十五年五月二十九日付の政府に対する総司令部覚書日本民間人所有の武器引渡しに関する件によりまして、昭和二十五年政令第三百三十四号をもつて、全面的に改正し、銃砲刀剣類等所持取締令として、今日に至つている次第であります。
この現在の銃砲刀剣類等所持取締令は、本則三十一箇条よりなつておりまして、銃砲及び刀剣類は、法令に基き職務のために所持するとき、狩猟等の用途に供するものとして公安委員会の許可を得たとき、美術品として価値あるものとして文化財保護委員会の登録を受けたものを所持するとき、国または地方公共団体の職員が、試験もしくは研究のため、または公衆の観覧に供するため、所持するときの各場合を除いては、これが所持を禁ずることを骨子といたしたものであります。そしてこのための必要な諸手続等を規定いたしております。
第二、に今回政府より別途提案せられております。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案によりますと、この銃砲刀剣類等所持取締令は、別に法律で廃止またはその存続に関する措置がなされない場合においては、同法施行の日から起算して百八十日間に限り、法律としての効力を有するものとせられることになつております。しかしながら前述しましたごとき内容のこの政令は、日本国憲法のもとにおいて、社会公共の秩序を維持する上から申しまして必要であると認められますので、平和条約の最初の効力発生の日以後も、法律としてそのままの内容で、存続させることといたしたいと存じまして、本法律案を提出した次第であります。
本法律案は、本則一項と附則一項からなつております。本則におきましては、銃砲刀剣類等所持取締令は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日以後も、法律としての効力を有すると定め、附則といたしましては、この法律は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から施行することと規定しているのであります。
何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/5
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006・金光義邦
○金光委員長 保利官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/6
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007・保利茂
○保利政府委員 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く全国選挙管理委員会関係諸命令の廃止に関する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概略を御説明申し上げたいと存じます。今般講和条約の締結に伴いまして、政府は、ポツダム宣言の受諾に件い発する命令に関する件に基いて制定されましたもろもろの命令を整理することとなつたのでありますが、全国選挙管理委員会の関係といたしましては、この種の命令が三つあります。
第一は、昭和二十年勅令第七百三十一号であります。これは、同年勅令第七百三十号をもつて釈放された政治犯人が、選挙権を回復したのに伴いまして、これらの者に選挙権を行使させるため、臨時に選挙人名簿を調製することにいたしたものであります。
第二は、昭和二十一年内務省令第二十三号であります。これは昭和二十年法律第四十二号をもつて衆議院議員選挙法が改正され、選挙権に関する年令要件が満二十五年から満二十年に引下げられ、女子に対しても選挙権が付與される等、著しく選挙権を有する者の範囲が拡張され、従来の約二倍以上となりましたので、同年勅令第七百八号をもつて、特にこれらのものを登載するため、十一月、臨時に選挙人名簿を調製したのでありますが、何分にも新たに選挙権を有するに至りました者の数が非常に多かつたため、昭和二十一年十二月十九日までの間に、衆議院議員の選挙を行います際、さらに臨時に選挙人名簿を調製して、有権者を漏れなく登載することを期したのであります。
第三は、昭和二十二年内務省令等二十五号であります。これは、同年四月国会議員選挙並びに地方公共団体の長及び議会の議員の選挙が、一斉に行われたのでありますが、同年勅令第六十五号による覚書該当者の指定の解除が、この選挙の立候補届出の締切期日の直前またはその後に行われましたため、これらの者に対して、立候補の届出締切期日後においても、その届出をすることができるように措置したものであります。
以上御説明申し上げたように、これら三つの全国選挙管理委員会関係のポツダム命令はすべて必要に応じて臨機の措置を講ずるために、目的が公布当時限りで出されたものでありまして、すでにその目的を達し、現在は適用されることのないものでありますので、平和条約の最初の効力発生とともに、これらの命令を廃止して、形式上整理しようとするものであります。
以上がこの法律案の提案の理由並びにその内容の概略であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/7
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008・金光義邦
○金光委員長 これより質疑を許します。御質疑ございませんか——それでは質疑は次会に行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/8
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009・金光義邦
○金光委員長 それではこれより地方自治に関する件、地方財政に関する件の両件を一括して調査を進めることといたします。ただいま岡野国務大臣が御出席になつておりますので質疑があれば、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/9
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010・床次徳二
○床次委員 明年度予算がすでに提案せられておるのでありますが、地方財政方面におきましては、昨年以来幾多の懸案が残つておりまして、これに対しましては岡野国務大臣は新しい抱負を持ちまして新年度予算の編成に当られておることと思うのであります。過般本第十三国会が開会せられまして、大臣よりも少しずつ地方財政に関しまして、御抱負の一端を承つておつたのありますが、どうも政府の御意見がその後において変更をみたのではないということを感ずるのであります。第一に、地方財政の拡充という点に関しまして、予想いたしましたよりも、平衡交付金がすこぶる少いということにおきましても不満を感じますとともに、第三におきまして、その地方財政の内容をなしております税制におきまして、政府の考えておられましたものが、著しく変更を来したかのように考えるのでありまして、政府においてはいかなる御所信をもつて、今後対処せられまするか、大体の方針につきましてまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/10
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011・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方財政は一昨年以来私が所管しておりまして、いろいろ問題も起きましたし、また非常に窮迫しておるということも事実でございます。それにつきましては、新しくできましたところの地方税法というようなものに、あるいは遺憾の点があるのじやないかとが、またいろいろの御批評もあります。またそのほか地方の行政の実態につましても、いろいろ整理改革をしなければならぬような点もありますしいろいろなことがかさんでおりまして、これに対して抜本塞源的なりつばな地方制度を確立し、同時に地方財政もこれに合して十分なる財源を與えて、財政があまり窮迫にならないようにやつて行きたいと考えておるのでございますが、なにさま事が非常に広汎でございまして、また同時に、御承知の通りまだ被占領下でございまして、われわれが自由奔放に考えて、最もいいと考える抜本塞源的な政策をすぐ実施するのには、いろいろのかかわりがございます。まだその域に達しておりませんけれども、抱負といたしましては、自治の確立のために相当地方制度も改革して行きたい、また税制も十分これを検討しまして、そして地方財政が従来のごとき窮境に陥らないようにやつて行きたいという考えを持ちまして研究を続けておる次第でございますが、先ほど申しましたようないろいろな事情によりまして、その実現をまだ見ずにおるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/11
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012・床次徳二
○床次委員 ただいま御答弁がありましたが、すでに国家予算におきましては平衡交付金の予算を計上しておられるのでございます。本年度の地方財政の様子を見ますと、すでに百八十億の赤字があるということを、全国知事会議等におきましても明瞭にこれを指摘しておるのであります。さらに明年度におきまして計上せられました予算が、はたして地方財政においていかなる状態にあるか。ただいまお話のように、今日のわが国情から申しまして、財政の運用上相当困難があるということにつきましては了解するのでありまするが、しかし国家の財政が窮迫しておるからと申しまして、地方財政がこれを放任しておいてよろしいのか、あるいは努力をいたされたと存じまするが、現在のままでよいかどうかということにつきましては大きな問題があろうと思うのであります。この点に対しまして大臣のお考えを承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/12
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013・岡野清豪
○岡野国務大臣 本年度の予算につきまして、補正予算の当時いろいろ問題が起きまして、各府県市町村の実態調査をしておりますが、その過程でございまして、まだ結論を得ておりません。知事会議あたりで、百八十億くらいの赤字が出るというようなことも話しておられるようでございまするが、しかしこれは地方財政委員会として、これに対して圧力を加えたわけでもありません。まだ検討中であります。
それから明年度予算につきましては、平衡交付金が五十億しかふえないというような状態になつておりますが、しかし明年度の地方財政の規模並びにその情勢におきましては、今までのごときいろいろな紛糾が起きないで、大体地方財政委員会の要望に沿うだけの地方財政の仕組みが打立てられておるということでございますから、明年度予算については、地方財政はこれで御審議願つて、一向皆様方から御批評を受けることはないのではないかというふうな考えを持つて臨んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/13
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014・床次徳二
○床次委員 詳細なる説明をまだいただいておりませんので、明年度の見通しにつきましては、追つて検討いたしたいと思うのでありまするが、本年度の不足額につきましては、これはもうそろそろ結論をお出しにならないと、地方は非常に困る状態に入つておるのでありまして、これは一刻も早く結論を出していただきたいと思うのであります。
それからなお明年度の問題につきましては、大体さしつかえないのではないかというような御意見でありまするが、この機会にひとつ承つておきたいのは、明年度は地方税におきまして増税をするかしないか、増税になつているかなつていないかということです。この一点だけとりあえず伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/14
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015・岡野清豪
○岡野国務大臣 明年度は増税にはなりません。むろんいろいろ経済界の情勢によりまして、中央にも増収がありますごとく地方にも増収がありまして、いわゆる増収はありますけれども、増税はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/15
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016・床次徳二
○床次委員 地方税におきまして増収がある、増税をしなくても間に合い得るというようなお話でありますが、現在の地方税の実情から見ますると、その増収の内容は、国民所得がふえたために増収になつたと、単純にそういうことが言えない地方税があるのであります。たとえば附加価値税のごときは、課税標準を非常に高く見たために増収になつているということが言えるのだと思います。いずれさらにこれはこまかい数字で検討いたすのがいいと思うのでありますが、これはむしろ法律の形を抜けながら実際において増税をしておるという結果だと、私には考えられるのでありますが、この点大臣はいかようにお考えになつておりまするか。これは単純な自然増収ではないのでありまして、むしろ手続において収入が増加しておる。納税者の立場から申しますならば、従来よりも重い税金が同じものに対してかけられたという結果になつておると思うのでありますが、この事実をお考えになるかどうか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/16
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017・岡野清豪
○岡野国務大臣 固定資産税は、御承知の通り時価を標準にして、今年度からやるということになつておりますが、時価が相当上つている情勢でもありますから、その点において税率を上げませんけれども、増収になるというようなことになります。しかしながらこれは、全国を通じまして、あまり負担の均衡を破るようなことがあつてはならぬと思いまして、行政運営の点において、あまり過大な収入を得るような情勢にならぬように、地方財政委員会の方で指導して行きたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/17
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018・床次徳二
○床次委員 固定資産税の評価の時価が上るために、収入が多くなるのだとおつしやいますが、時価が増加するという根拠をどこに置いておられるか。時価が従来よりも次第々々に上つて参ります点について、日本経済の実態から見ましていかように御判断になつているか。この点は相当大きな問題だと思いますが、ひとつお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/18
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019・岡野清豪
○岡野国務大臣 御承知の通り、ただいままでは、機械的に過去の賃貸価格の何百倍というようなことにしておつたのでございますが、今回の法律の命ずるところによりまして、時価を算出して、そうしてそれに税率をかけるということにかわつたわけでございまして、時価だんだん上つたのではなくて、時価というものは初めて出て来たわけであります。その初めて出て来ましたところの時価が、元の賃貸価格の何百倍というものと比べますと上つておつたということでございますから、時価がだんだん上つて行つたということではないと御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/19
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020・床次徳二
○床次委員 評価によりまして固定資産の額がふえる、そのために増税になつたという自然の現象のようにお考えのようにとれますが、今日固定資産税の評価というものは、時価によつて評価いたしておりますが、固定資産の税額が予想よりもすこぶる多くなれば、むしろこれは税率を下げて行くべきではないかと思うのであります。税率をそのままにしておいて、評価が予想よりも高かつたからといつて、そのまま税金をとつているという筋合いではないのではないか。固定資産税を当初設定いたしまする場合におきましても、評価の問題が非常に問題となつたことは大臣もよく御承知であつたはずであるが、いかなる倍率をもつてこれに処するかということが、暫定的な際におきましても問題になつたのです。その評価がだんだんとはつきりとつかまえることができましたならば、その新しい評価額によりまして、税率というものはむしろこれを減税して行くのが建前ではないか。大臣はこれを自然の状態だと言つておられますが、納税者の立場からいうと、だんだんと高い税金を納めて行くという形に感ぜられるのであります。しかも評価の手続そのものにつきましては、今年は一応あの評価の手続でもつて行つたのであります。必ずしもこれは完全だとは言えない。やはりだんだん評価の技術が熟練して参りましたならば、もつとこの評価が下ることもあり得るのじやないか、本年度いたしましたところの評価必ずしも絶対的なものではないのでありまして、むしろ是正を要するのではないかと思う点を、私ども多々感じておるのでありますが、この点に関しまして大臣はいかようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/20
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021・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは御指摘のように地方税が出発早々でございまして、また固定資産税の対象になりますところの固定資産というものを評価しますのは、初めての問題でもございますから、十分とは行かないこともむろんわれわれも承知しております。だんだんと改善して行かなければならないと思いますが、ただいまの情勢におきましては、ただいま出て来たような評価を用いるほかに方法はないと思いますが、いずれまた年々十分実情もわかり、同時にこれらの査定の技術も進歩して行きますならば、是正されることと思います。それからよけい入れば税率を下げたらいいじやないかというようなお説のようでございますが、これも先ほど申し上げましたようにいろいろな関係がございまして、税率を思う通りにすぐ下げるという処置がとりにくいような商売もありましたり何かいたしまして、そしてわれわれといたしましては、もしそれができなければ行政運営の点においてこれを是正して行く、こういうふうにやつて行きたいと思います。ただ問題は地方財政が御承知の通りに窮迫しておるということが、一般の常識になりますものですから、税収を減らせということが建前になりますと、なかなかそれを実行して行くことが困難なあちらこちらのかかわりがございますことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/21
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022・床次徳二
○床次委員 ただいまの御意見によりますと、来年の地方税は増税をせずしてこれをまかない、窮迫の事態に処したいというお考えのように承りますが、これは国民に対して非常に大きな誤解を生ずると思います。現在のような平衡交付金の金額を計上し、しかもただいまのお説によりまして、地方の収入をあげて参りますと、納税者といたしましては、これはやはり増税だ、税金の負担が増加したのだということになると思います。この点は大臣と残念ながら意見を異にするように思うのでありますが、さらに具体的に今後数字をもつて検討いたしたいと思うのであります。
次にお尋ねいたしたいのは、本年度の地方の税制に対しまして、大臣はある程度まで改善を加えるお考えを持つておられるというように承るのであります。過般附加価値税の取扱いに関しまして、暫定措置を講じたのでありますが、最近承るところによると、まつたく意見をかえられたように考えておりまするが、はたして将来の地方税制に対していかようなるお考えを持つておられるか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/22
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023・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方税制につきましては、先ほども申し上げましたように、十分検討いたしましてこれを改革したい、こう考えておりますが、現下のいろいろの情勢上これを至難にする故障がございまして、よう手をつけておりません。ただ附加価値税の問題だけは財界に及ぼす影響とか、あるいは府県の徴税技術面においてまだ遺憾の点が多いとか、いろいろな点もございまして、もう一年延期させていただいたらどうかとこう考えまして、ただいまそれを検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/23
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024・床次徳二
○床次委員 さらに詳細につきましては、後刻政府の御意見のきまつた後に検討いたしたいと思いますが、それ以外に税制に関しまして何か明年度予算において、政府が考慮しておられることがありましたならば、この機会に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/24
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025・岡野清豪
○岡野国務大臣 明年度の税制につきまして、今附加価値税もまだ研究中でございますが、もう一つ二つ、何かもし可能ならばやつてみたいというようなことも考えておりますけれども、ただいまのところまだ附加価値税をとにかく一応一年延期する、こういうことになりましたもので、それにつきまして地方財政全体の税収の数字を検討させておりまして、その数字の出て来ました結果によりまして、あとのことも考えたいと思いますから、もう両三日もしくは一週間考えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/25
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026・床次徳二
○床次委員 一言つけ加えますが、大臣がいろいろ地方財政について御答弁になつておりますが、大体の地方財政のわくは、すでに御決定になつておるのではないか。その基礎の上にお話になつておると思いますが、明年度の地方財政の大綱につきまして、数学的に御説明ができまするならば、その概要をこの機会に御説明いただきたいと思います。あるいは別の機会に、資料をひのつ出していただきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/26
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027・岡野清豪
○岡野国務大臣 事務当局から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/27
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028・金光義邦
○金光委員長 資料を出してから御説明するそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/28
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029・床次徳二
○床次委員 それじやひとつなるべく早く出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/29
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030・金光義邦
○金光委員長 よろしゆうございますか。——門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/30
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031・門司亮
○門司委員 この機会に大臣に聞いておきたいと思いますことは、大臣のお考えになつておる腹案で、今度の十三国会に地方行政に関する法律案は、一体どういう法律案をどのくらいお出しになるかということを、一応見当がついておりますれば、あらかじめこの際御報告願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/31
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032・岡野清豪
○岡野国務大臣 事務当局から、お答えたいさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/32
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033・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 本国会に提案する予定の法律案でございますが、まだいろいろ関係方面との折衝中のもの、また政府部内におきまする協議中のものが大部分でございまして、今これを提案するということを、はつきり申し上げられる段階に達しておりますものは、まだ実は何もないのでありますが、各方面の協議さえつきますならば提案いたしたいという予定のもとに、今用意いたしておりまするものを申し上げたいと思います。
一つは、地方自治法の改正に関するものであります。これは地方行政の簡素化という線から、現在の地方自治制度の建前に、何ら変更を加えない限度におきまして、行政簡素化の趣旨に沿いまする点の改正をしたらどうかということで、今案を考えておるような次第であります。
それから地方公務員法でありますが、これにつきましても、若干実施後の経過等にかんがみまして、ごく軽微なる改正をしたいと考えております。
それから公営企業法と一応仮称で申しております法律案でありますが、これは地方公務員法の制定の際に、国会の御意同等もございまして公営企業法を制定することが、政府の一つの約束事項のように相なつておりますので、これを提案いたしたいと思つておるのでございます。
その内容は地方団体の経営しておりまする公営企業の組織なり、会計経理なり、労働関係を含めました身分取扱いにつきましての規定であります。
それからなお町村に勤務しております町村職員の恩給組合につきましては、現在特に法的な根拠が明確になつておりませんので、これを法制化いたしまして、その根拠を明確にいたし、町村職員の福祉を強化したいという考えで、案を今練つております。
それから地方公務員法の関係におきまして、いわゆる單純労務に従事しております地方公務員につきましての、地方公務員法の適用上の特例につきまして法律を設ける、これもやはり提案いたしたいと考えております。
そのほかに、財政関係におきましては、これは非常に関係方面が多々ございますので、協議等につきましても相当時日を要し、いろいろ問題が起つて来はせぬかと考えておりますが、もしも話合いがつきまするならば、地方財政平衡交付金法、地方財政法等につきましても、若干の規定の改正を行いたいと考えております。
地方財政平衡交付金法につきましては、測定單位あるいは單位費用というものを法制化いたさなければならぬように、現行法上なつておりまするので、特例は二十六年度まで地方財政委員会規則で定められるようになつておりますから、二十七年度になると、どうしても法制化する必要があるのであります。従つてこれらの法制化を内容とする改正案を協議いたしておりまして、今各省並びに大蔵省と協議中でございます。
それから地方財政法につきましては平衡交付金制度の創設に関連をいたしまして、国費と地方費の負担区分に関する各種の規定を、一時停止いたしておりまするが、これらにつきまして大体現状を建前にいたしたようなもものを内容とする、負担区分の規定の調整をした改正案を用意いたしたいと考えます。
それから地方税制につきましては、ただいま大臣が申し上げましたようなことで、ごく一部の改正案を、関係方面の話合いがつきましたならば、提案することになりはしないかと考えております。
なおそのほかに、これはごく一部の問題でございますが、鹿児島県の大島郡の十島村の善後措置に関する問題でありますが、これは大体ポツダム政令で一応の善後措置をいたしておりますけれども、そのポツダム政令の失効後におきましては、やはり何らか法的措置が必要でございますので、その関係の簡單な法案を用意いたしております。
大体以上のようなものでございますが、なお終戦後の地方制度が各方面からばらばらに行われて来たような関係もございまして、行政制度、財政制度あるいは公務員制度といつたような全体の間に、必ずしも調和がとれていないというような点もございますので、地方制度全体を総合的に観察いたしまして調整をする必要があると考えまして、地方制度調査会というような仮の名前の機関を設けまして、地方制度全体についての調査を行い、各方面の叡智を集めて御協議願いたいということから、地方制度調査会の設置に関しまする法律案を提案いたしたい、かように考えております。大体以上のようなものを予定いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/33
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034・門司亮
○門司委員 大体わかりましたが、その中にちよつとお聞きをしておきたいと思いますことは、最初の地方自治法の改正に関する問題になつておりまする、例の行政の簡素化の問題でありますが、これは中央に非常に関連を持つておりますので、簡單には行かないかと思いますが、もしこの機会に簡素化本部としての何らかのお考えがありまするならば、ひとつ主管大臣の方からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/34
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035・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方行政簡素化本部は昨年の九月末ごろだと思いましたが、始めましてその後国会開会中は休まざるを得なくなりました。また国会休会になりまして始めたのでございますが、御承知の通りに地方のプロパーの仕事でございますから、大体おもなる仕事が、戦後中央の所管省から出ました法律によつて、委託されているというような仕事が非常に多うございまして、その仕事を十分研究し、また簡素化しなければ地方の仕事も簡素化できない。こういうことになりまして、ただいま各省の受持つておりますところの法律を一一検討しまして、それについてこういうふうにしたら、地方の行政が簡素化できやせぬか、こういうことで案をつくりまして各省とも交渉し、またいろいろそれに関する手続上のことをいたしたいと思つておりますが、まだ十分成案を得ておりませんので、ただいまのところはまつたく未定の状態でございます。しかし仕事はどんどん進めておりまして、大体八分通りまでは進行しておるような次第でございます。本国会にはぜひこれを御審議願いたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/35
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036・門司亮
○門司委員 もう少し内容に入つて聞いておきたいと思いますが、行政の簡素化本部の骨子としては、もちろん行政の簡素化をするという一つのり建前であることには、私は間違いないと思いますが、それに伴つて行政整理というようなこと、いわゆる人員を減らすというような建前の上で簡素化本部としてはお考えになつておるのか、あるいはそういうことに触れないで、ただ行政をどう簡素化すればいいかということの建前になつておるのか、この点は非常にデリケートの関係を持つておりまして、なかなかむずかしい問題だと私どもは思いますが、しかし地方公務員の立場になつて考えて参りますと、公務員を行政整理することが主眼としての行政改革が行われるということになるのかどうかということは、かなり地方の公務員にとつては大きな問題でありますし、それからまた地方の住民の建前から申し上げましても、簡素化がそういう形で行われて、実際の仕事というものはかえつて不便になつて来るというようなことがないとも限りませんので、従つて行政の簡素化が私どもが考えておりますように、サービス官庁としての地方庁が、そのサービスをいかによくするかということが大体簡素化のねらいになつておるのかという、この二つの問題は私はかなりデリケートの問題であるとは思いますが、しかしどちらかに方針がなければならないと思いますが、一体当局のお考えはどうであるかということ、平たく申し上げますと、人員整理を中心とした行政整理をお考えになつておるのか、サービス官庁としての建前から、住民によりサービスをよくするという建前から、行政の簡素化を行おうというお考えであるか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/36
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037・岡野清豪
○岡野国務大臣 これは私は地方行政簡素化本部をこしらえました最初の考えといたしまして、首切り、すなわち平たく申しますれば人員を整理してしまう、こういうことをやつて行くわけではなくて、われわれといたしましては、地方のサービスをよくし、同時に住民にあまり煩雑な迷惑をかけないで、住民の福祉が保たれて行く、また増進されて行く、こういうふうにひとつ仕事を整理して行こう、その仕事を整理する上においては、あるいは増員しなければならぬ点もありましようが、また人を減らさなければならぬ点も出て来る、こう考えまして、私は事務の整理が第一であつて、その事務の整理に伴つて人員の増減が出て来る、こういうふうな建前から、今までずつと地方行政簡素化本部では仕事をさせておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/37
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038・門司亮
○門司委員 もう一つさらに突込んで聞いておきたいと思いますことは、今の大臣の答弁で一応構想だけはわかりましたが、ただわれわれが懸念いたしすまのは、この前の国会で、国の人員の整理が行われておりますので、従つて今国が地方に委託しております。仕事を整理するということになつて参りますと、これがそのままの姿で、地方におろされて来はしないかというような考え方を私は持つております。国の行政整理は最初から天引きのような形で整理が行われておるが、しかしこれにならつた行政整理が行われるということになりますと、行政簡素化の本旨というものが——その簡素化という非常にきれいな名前のもとに、実際は首切りが行われやしないかということが非常に懸念されるのであります。今の大臣のお話の中にも、あるいは人員をふやすかもしれないというお話があつたのでありますが、私は国の出先の機関が、行政上の事務の再配分と、これが関係して参りまして、地方の人間を減らしても、地方に事務が委譲されて、そうして地方でその事務をやつて行くということになるのであります。従つて私は今度の行政簡素化の趣旨というものは、事務の再配分に伴う勧告を主としたものが一体骨子になつておるかどうかということ、これは非常に重要なことだと私は考えておりますので、ただ国に右へならえするのでないということだけは、今の大臣の答弁でわかりましたが、それなら事務の再配分に伴うことを骨子として、一体行政の簡素化をおはかりになるのかどうか、この点をもう一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/38
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039・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます地方の簡素化のことにつきましては、御承知の通りに管理委員会の勧告もありますし、政令諮問委員会の答申もありますので、そんなものを参考といたしまして、そうして簡素化本部で十分検討しまして、簡素化本部独自の立場から事務をこういうふうに整理したらどうかということになりましたら、事務の再配分も行われましようし、仕事もできるだけ簡素にするという方向に行きますから、そこで私は今申し上げましたように、あるいは一地方団体においては人が増すかもしれませんけれども、ほかの地方団体においては人がうんと減る。そういうことも出て参りましようが、ただいまのところでは検討中でございますので、どこでどういうふうに増減が出て、あるいはどこでどういうふうな事務の簡素化ができるかということは、いまだ成案を得ておりませんから、ただいま申し上げるわけにいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/39
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040・門司亮
○門司委員 今日は法案が出ておりま
せんので大体腹案だけをお伺いしておきたいと思いますが、次にもう一つ地方財政の面でちよつとお伺いしておきたいと思いますのは、先ほどの床次さんのお尋ねに対しまして大臣の答弁がありましたが、現実の問題として、国の予算のしわ寄せが地方税に来ておるということは、これはもう数字の上から見ても、いなめない一つの事実だと思うのであります。大臣は今たとえば固定資産税のごときは、時価がふえたのだから、当然ふえるはずだというお話であります。これは非常に議論になりますので、私はあまり議論はこの場合いたしたくないと思いますが、しかし時価が去年からどれだけふえておるか。ところが自治庁から出ておりまする規則といいまするか、これを読んで見ますると、やはりこの去年の九百倍
か、ところによつては千三百倍くらいに大体査定されるということになつておるのでございまして、こういう大きな開きが一体あるかどうかということであります。
それからもう一つは、住民税の関係でありますが、市町村民税の関係におきましても、地方の公共団体は、最初の年だけは法律に基いた所得税の百分の十八をとつておりましたが、大体現在の町村の八割以上というものは、私は第二項を適用しておると考える。そういたしますると、税の徴収の方面から申し上げますると、かなり多額のものを徴収するということになつておりまして、これは何も法律的処置に基かないで、地方でかつてにやれることでありますから、これは法律をそのまま適用したのだといえば私はそれで済むと思います。しかし実質上の地方住民の負担というものは、それだけふえておるわけであります。こういうことは私は單なる自然増収とは言い得ない、もしこれが自然増収であるとするならば、百分の十八で、徴収の方法はそのままにすえ置いて、所得がふえたから収入がふえたというのならば話はわかりますけれども、徴収の方法をより以上とろうということにかえておるのでありまして、必然的に私は増徴が行われておると申し上げて一向さしつかえない。そういうことがかなり大幅に今日行われておりますので、決して私は大臣のさつきの御答弁のようなことには承服しがたいのであります。そこでもう一度ここでお伺いしておきたいと思いますことは、平衡交付金の関係であります。この平衡交付金と国の総予算額との割合をずつと考えて参りますると、これが年々減つておるのであります。御存じのように、昭和二十五年度は総予算に対して、地方平衡交付金の総額というものは〇・一六三という数字が出ておりますが、二十六年には〇・一五一になつておる。二十七年、本年度の予算では千二百五十億の平衡交付金を国の予算に見ておりまするが、これを国の総予算から勘案して参りますと〇・一四七という割合の数字が出ております。こういうふうに国の総予算と比較いたしまして、国が地方に配付いたしまする平衡交付金が順次減りつつあるという現状であります。こういう現象がそのまま見逃がされておる。そうして地方で税金をとれるだけ増徴して行くという行き方は、私はあまりいい結果ではないと考えております。今日は大蔵大臣もお出になつておりませんから、あまりお聞きいたしませんが、しかしこういう数字を私どもがずつと当つて見ますると、どう考えても、地方住民税の増徴というものは単なる自然増収でないと思いますので大臣はこういう地方の平衡交付金が年々その率において減りつつあるという現状に対して、どうお考えになつておるかということであります。これはやはり非常に大きな問題になつて来るのでありまして、日本の国全体の予算を、今まで中央と地方との予算の関係を見て参りましても、たとえば昭和何年でありましたか、十年から十一年ごろだと思いまするが、このころは国の予算に対して地方予算は一三〇%ぐらい上つております。地方予算が非常に大きかつた。それが戦争のまつ最中の昭和十九年になりまして、国の予算に対しまして地方の予算は二一%に減つておる。これは戦争のせいで、全部中央に集結された形をとつておりましたが、それが順次回復して参りまして、去年、二十六年の国の予算と地方の予算との比較をいたして見ますると、大体九〇%くらいになつていはしないかと私どもには考えられる。ところが本年度の予算を見てみますると、国の総額の予算が八千五百億を越えておりまするときに、地方の予算は、大体今のはつきりしたものでない、税制がどうなるかわからぬという事態を見てみましても、約七千億くらいになつておりまして、去年よりも相対的にはその総額は減りつつあるのであります。一方においては国から移管された業務がだんだん地方にふえて参つておりまして、財政の面からいいますると、国の予算の方がウエートがだんだん大きくなつて、地方の財政がだんだん減つて来て、きゆうくつになつておる。これでは地方財政がやつて行けないということが当然でありますると同時に、地方の住民というか、地方の公共団体は、国から仕事だけをたくさんちようだいして、住民からはできるだけの増税を徴収して、そしてなおかつ地方の自治体が財政上困るということは、私は当然の帰結として出て来ると思う。もしこういうことが出て参りますると、地方自治体の運営の上に、大きな支障を来して、私どもは必ずしもいい結果は見ないと思います。これは抽象的なことでありまするが、こういう数字上から現われて参りまする国と地方との財政の不均衡について、大臣のお考えはどういうものであるかということを、もしお答えが願えまするならば、ひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/40
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041・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます、先ほど門司さんからお示しの数字は、われわれもその通りと考えております。それあるがために私たちは地方にたくさんの税源を與えて、そうして平衡交付金にたよることはなるべく少くして行きたい。それには平衡交付金並びに地方税制の方をうんと抜本的に改正しなければならぬ。これを改正しますのには関連しまして国家が地方に委託する事務を再配分によつて適当にしまして、同時に税制を確立して、そうして平衡交付金がほんとうに山村、漁村のようなところで困るところだけにやればいいというようなことにして行きたいというような構想を持つて、いろいろ臨んでおるのでありますが、何分仕事が多くございまして、まだただいまのところそこまで参つておりません。しかし御説はその通りと私は承知いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/41
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042・金光義邦
○金光委員長 本日はこれで散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X00319520129/42
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