1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十日(土曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 中村 純一君
理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
理事 中村 幸八君 理事 今澄 勇君
江田斗米吉君 神田 博君
小金 義照君 福田 一君
淵上房太郎君 高橋清治郎君
加藤 鐐造君 田代 文久君
青野 武一君
出席政府委員
通商産業事務官
(資源庁次長) 山地 八郎君
通商産業事務官
(資源庁炭政局
長) 中島 征帆君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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本日の会議に付した事件
臨時石炭鉱害復旧法案(内閣提出第一五九号)
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001・中村幸八
○中村委員長 これより会議を開きます。
臨時石炭鉱害復旧法案を議題とし、前会に引続き質疑を続行いたします。本日より逐条審査に入りたいと存じますが、もちろん御質疑において一般問題に触れられることもさしつかえないことであります。それからたいへん長い法律でありますから、まず最初は第一章総則及び第二章復旧事業団の範囲において御質疑を願う、大体そういうことにしたらどうかと思いますので、御了承願いたいと思います。
質疑の通告がありますから、これを許します。淵上房太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/1
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002・淵上房太郎
○淵上委員 昨日各派から総括的質問がありまして、私は最後に二点お伺いしたのですが、逐条審議に先だつてもう一度伺つて書きたいのであります。
これは以下各条項に関係を持つて来る重大問題であります。憲法の第十一条には、日本国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない。第十二条には、国民の自由権が保障されております。第十三条には、また同様に国民は自由を妨げられない。第二十二条には、居住の自由が保障されております。第二十九条には財産権の保護が規定されております。きのうの炭政局長の御答弁によりますと、この法案がかりに成立しても、憲法違反のおそれはないということでありましたが、もう一ぺん再確認をしておきたいのですが、この点に関する御所見をまず冒頭に伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/2
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003・中島征帆
○中島政府委員 法律案の内容につきましては、十分法制意見局でも検討いたしまして、憲法問題に関しては、全然心配いらないという自信をもつて提案いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/3
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004・淵上房太郎
○淵上委員 昨日青野委員からも質問があつたのでありますが、第二条の第六項第十一号に、公共施設が学校と限定されておるのであります。市町村役場、公会堂、警察署、公立病院等は学校同様に鉱害を受けておる事例があるのでありますが、政府の御答弁によりますれば、従来公共施設の補助対象となるものは学校のみに限つておる。それゆえにこの法文には学校だけをあげたという御説明があつたのであります。本来、この法律は鉱業法の特別法だと私は解釈しておるのであります。さらにさかのぼつて考えまするならば、民法の原状回復が根本原則でおります。それから鉱業法は、金銭賠償という特例を設けた特別法であるのでありますが、その鉱業法に対して、ある程度事業団をつくつて原状回復をやろうというこの復旧法案は、さらに鉱業法の特別法、すなわち根本的の金銭賠償でない原状回復の本則に立ち返つた建前を大部分とつておるのであります。ドイツにおきましては、鉱害につきましては民法の原則を活用しまして原状回復を本則としておるのであります。これは炭政局長御承知の通りであります。そういう趣旨の法案でありまするので、かりに学校のみが従来公共施設の補助対象になつており、それゆえに市町村役場、警察署、公会堂、公立病院等についてはのけたと言われるのでありますが、本法案の特殊の性格にかんがみまして、この際そういう公共施設をも、さらに加える必要がある、私はかように思うのであります。従いまして学校その他の公共建物なら建物というふうに改正する御意思が当局にはないかどうか、この機会にちよつとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/4
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005・中島征帆
○中島政府委員 昨日も申し上げました通りに、学校以外の公共建物は現在公共事業の対象となつておりません。本法案で公共事業の対象を公共施設だけに限りましたのは、公共施設に対する措置としては復旧契約の中に入れて、それに対して一応国の補助が出るという意味でありまして、その処理につきましては結局この建物は全部が加害者の方の責任に属するわけでありますので、終局的にはその復旧費はすべて加護者が負担することになるわけであります。従つて取扱い上の差異といたしましては、学校以外の建物は復旧契約に乘らないということと、一時的に補助が出ないということでありまして、それ以外の建物は一般の私有の家屋と同じように裁定の方に持つて行かれるわけであります。従つて復旧を要望する場合には第四章で協議、裁定という道が開かれており、その方に行くわけでありまして、補助金の出ないものにつきましてはやはりほかのものと同様の取扱いをすることがむしろ適当であると考えておりますので、ここに入れましても公共事業の対象をかえない限りは意味がございませんから、ただいまのところはここに追加する意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/5
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006・淵上房太郎
○淵上委員 次に進みます。第二十三条で、これは小さい法文の書き方の問題でありますが、一号から七号まで列記されておりまして、定款の変更のみが第二項として認可の必要がしるされております。三十二条、三十三条、三十四条、四十八条それぞれ認可事項である。二十三条においては特に第二項にこれだけあげられた何か特別の趣旨がおありになるのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/6
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007・中島征帆
○中島政府委員 議決事項の中で、重要事項はいずれも主務大臣の許可にかけております。ただ特に定款の変更に関しましては効力要件としての認可をここでうたつたわけでありまして、認可がなければその効力が生じない。ほかのものは許可によつて実施できるということで、効力は議決でもつて一応出て来るわけであります。この法律効果的な違いをはつきりさせるために、定款の変更だけは二項に大きなものとしてあげてあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/7
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008・淵上房太郎
○淵上委員 第二十八条におきまして、第一項が設立の負担金、第二項が工事負担金というような規定が出ております。第二項については昨日、九州につきましては大体三千九百万円、宇部につきましては五百万円ばかりだというような説明がありましたが、私がお伺いしたいのは、第一項にトン五円以内の賦課徴収ができるとあるのは、三千九百万円程度にするためにトン五円とされたのか、トン五円の算出の根拠はどういう点にあるがということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/8
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009・中島征帆
○中島政府委員 第一項の規定は、第一に事業団設立当時におきましては、経費の賦課徴収の基準となる復旧工事というものがまだ全然実施されておりませんので、本来の原則に基く経費の賦課徴収ができないのであります。そこでやむを得ませんので、地区内の鉱業権者に一トン幾らという一律の賦課をいたしまして、それで一時事業が行われて、ある期間がたつまでの間の経費を支弁するということにしております。従つてこの際賦課したトン五円以内の金額というものは、原則からいいますと均衡を失する場合もありますので、これはその後において実施した計画に従つて清算をして返す、従つてこの当初の賦課徴収の五円以内の金額というのはいわば仮払いでありまして、その後全然復旧工事の施工されなかつた炭鉱につきましては全額が返還されますし、またその年度ないしはその次の年度において復旧工事が施工された場合には、それに応じた本来の原則に基く徴収金だけを差引きまして返還するということになつておりまして、かりに別の方法でやるとすれば一時借入れてもいいわけでありますが、まず事務経費は鉱業権者に負担していただくという趣旨のもとに、こういう便法を講じたわけであります。トン五円というのは、一年なり一年半の推定経費として三千九百万円という数字が出ておりますが、その金額をまかなうためにトン五円以内であれば大体行けるだろうというところから、上の方の限度をきめたわけであります。五円になるか三円になるか、それは事業団の設立の時期その他に基きまして、そのときにきめるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/9
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010・淵上房太郎
○淵上委員 あとずつと負担金の問題にひつかかつて来ますが、現在資源庁でごらんになつておる生産費は、一カロリー平均幾らというお見込みであるか、この機会にちよつと伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/10
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011・中島征帆
○中島政府委員 最近の生産費は私どももちろんまだわかりませんが、大体昨年の上期くらいの実績によつて推定してみますと、およそ四千円見当と考えております。なおカロリー当りの生産費はまだ計算しておりませんが、実際売られておりますのが現在カロリー一円十銭から二十銭くらいであります。それが販売価格としては現在トン当り六千円という数字になつております。その数字に対しましてコストが四千円ということになりますと、カロリー当り七十銭とかなんとかいう数字が出ると思いますが、カロリー当りの数字は計算しておりませんので、そういつたところから類推していただくほかばないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/11
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012・淵上房太郎
○淵上委員 私がこの問題を伺いますのは、あとの負担金の問題にひつかかつて来るのであります。昨日の御当局の説明に負担金の話がありました。賠償費が西ドイツでは三%、日本は一・七六%で割合に高いけれども。西ドイツほど高くはないのであります。そういう関連がありますので、ちよつとこの機会に聞いたのであります。
次に第三十一条の「業務」の六号に貸付の場合が出ております。この貸付方法等については何ら規定がないようですが、これは別に政令か何かでお示しになる御趣旨でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/12
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013・中島征帆
○中島政府委員 費用の貸付については、家屋、墓地等の復旧に関しましては、復旧契約に入れて総合的に復旧を推定しようということがとられておりません。一応自治的な原則にゆだねられておりますが、鉱業権者として、復旧をしたいけれども金融的に余裕がないという場合に、これを助けるために事業団からの金融の道を開いたわけであります。これの財源は、借入金と復旧事業債券を考えておりますが、この辺の資金の調達が円滑に行く場合でなければもちろんこれは行われない、こういうことになります。それから実際に貨付をする場合には、もちろん鉱業権者から相当な担保をとりまして、事業団の経営に支障を来さしめないような方法をとつて貸し付けるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/13
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014・淵上房太郎
○淵上委員 業務の中の一番大事な問題は、申すまでもなく第一号であります。家屋等について生じたる鉱害は事業団の業務から除いている。昨日も切切たる意見の開陳があり、先般七日の公聴会にも公述人から熱心なる公述があつたのであります。家屋等の鉱害を事業団の業務から除いた理由をはつきりこの際まず伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/14
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015・中島征帆
○中島政府委員 一般の家屋の復旧に関しましては、特別鉱害の先例に徴しましても、また現在の各種の条件から申しましても、補助金に期待することが不可能であるという点が一つであります。それから他の農地あるいは道路、橋梁といつた公共施設というものと比べまして、総合的に、計画的に復旧計画を立てるという必要度が少いのであります。この二つの理由からいたしまして、事業団の復旧基本計画の中に取入れる必要性というものが少い、またその実益もないということで、ここから除いたわけであります。もし家屋に対しまして補助金も出る、しかも本来鉱業権者がやるべき復旧なり、賠償なりといつた業務を半公共的機関で取上げる必要性があれば、もちろんこの中へ入れてさしつかえないわけでありますけれども、実際の性格というものはそこまで来ていない。そのために復旧事業団の事業から除き、取扱いは全然別個の別の条をもつて規定した、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/15
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016・淵上房太郎
○淵上委員 私は憲法の問題をお伺いしておるのでありまして、基本的人権の問題をまず尊重すべきである。またわが憲法は尊重されておるのであります。なるほど一般の利用のために、あるいは福祉のために設定されたものはもちろん大事でありますが、今日の憲法はまず基本的人権を尊重する、これが第一の建前であります。その人民の甲乙丙丁各人間の基本的人権を尊重する限り、共通なる事項がすなわち公共の問題になつて来るのでありまして、東条内閣時代のような滅私奉公の時代ではないのであります。どうも政府のお考え方は公のものは取上げるが、個人はどれだけ自由及び生命財産を蹂躙されても放つておくのだ、根本においてこういう誤つた考えから出発されているのではないかという懸念がありますので、昨日から憲法論を私はまずいたしておるのであります。ただいま家屋等の鉱害の事業を復旧事業団から除いたのは、補助金が足りないから、あるいは計画的に非常に困難だということでありますが、補助金が足りないことはないのです。今伺いますと、石炭の生産費は大体四千円で、西ドイツの実例によりますれば、二%までは原状回復のために賠償金として出しておる。それですと、八十円まで出せる。昨日の説明によりますと、四十五、六円の負担になるというような御説明でありましたが、国家の補助もできるだけくめんして大蔵省は出すべきであり、鉱業権者もまだ負担金の余力がある、こう断ぜざるを得ないのであります。私が昨日憲法論とともにもう一つ伺つたのは、一昨年五月二日衆議院の院議として決議いたました中に、国庫の負担において原状に回復しろというはつきりした意思表示がせられておるのでありまして、この院議を御尊重なさるかということをまず聞いておいたのでありますが、今の御説明によりますれば、家屋の鉱害を事業団の事業から除くという理由はきわめて薄弱だ。もう少し納得の行くようなはつきりした理由がなければ、われわれは断じて承認できないのであります。ただいまの御説明の通り了承してよろしゆうございますか、もう一ぺんこれを伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/16
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017・中島征帆
○中島政府委員 家屋の賠償につきましては、これは全般にそうでありますが、鉱業法上当然の損害につきましては、加害者としては賠償しなければならぬ義務がある、これは明らかに規定されております。もしもこれが確実に実行されておるのであれば、今日のような問題は起らないということも事実でございますが、実際上そういうふうな関係が十分円滑に行われておらなかつたというところに問題があるわけでありまして、それを解決するためにこの法律案が立案されたという事情があるわけでありますが、そういう意味におきましては家屋を放任しておくことははなはだ行き届かぬというような感じが確かにあるわけであります。ただこの法律案の事業団の対象となつております農地及び公共施設につきましては補助金が出ておりまして、これによつて補助金を運用し、かつ総合的な見地から計画を立てるということが、施設そのものの及ぼす影響並びにその広がつておる地域というものを考えたときにどうしても必要があるので、事業団の事業の対象としておるわけでありますが、しかしその場合におきましても公共施設の復旧費というものは、理論上鉱業権者の責任に属する範囲内においてはすべて全額を鉱業権者が負担するのであつて、一時的に補助金は出ますけれども、これはあとで償還するということでありまして、本来の意味の補助金ではないのであります。それから農地関係につきまして補助金は出ますが、半面におきまして農地に対する鉱業権者の賠償の限度というものは、限度一ぱいに支払わせることを前提といたしております。賠償の限度一ぱい支払つて、なおかつ復旧費に足りないという場合には、鉱業権者としてはすでに責任を果しても、いつまでも農地がもう少し残る、それを国家的に救済するためにさらに追加的に補助金を出す、これはほんとうの意味の補助金でありまして、それ以外の分につきましては、実は補助金は出ておらぬと考えてもさしつかえない。その際にたとえば公共施設あるいは家屋に対しましても補助金を出す方がいいのではないかという考え方は、原則論は別といたしまして、現在のこの問題を片づけるためには必要ではないかという見地から一応考えられるわけでありますけれども、しかしこれをあまりに甘くいたしますと、鉱業権者そのものが自己の果すべき責任を果さないで、いたずらに問題を累積して、結局において国にそれを助けてもらうというような風潮を助長することになりますので、そういう考え方自体をとることが適当でないということは、言わざるを得ないと思うのであります。しかしこれを放置できないために、一般の公共施設につきましては、ただいまのような方法をもつて取扱つております。また家屋等につきましては、本来の鉱業法ないしは民法その他の諸法上保護されております公益というものが、現実にそれだけ実現しておらないのを助けるために、通産局長の裁定という制度を開きまして、被害者の方がいま少し容易にこの点を主張できるようにいたしたい。これ以上に家屋等に対しまして国が干渉することは、むしろ鉱業権者を不必要に助けるような結果にもなりますので、それらのことを考えまして適当でないと考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/17
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018・淵上房太郎
○淵上委員 大体その補助金を返還させるという、先の方の規定になりますが、これについてもおそらく委員諸君には大分問題があるだろうと思うのでありますが、先ほどから繰返して申しますように、政府が国庫の負担においてやつてくれという——これは衆議院のれつきとした院議で決定された意思表示であります。これを尊重なさるかなさらぬかということを昨日から聞いておるのであつて補助金々心々と言いますが、もう少し金を出させたらよい。大蔵省に対してあまり弱過ぎるのではないか。最後には大蔵大臣もここにひつぱり出すことになるだろうと思うのでありますが、通産当局の金のとり方が下手か弱いかじやないかと思うのです。これは重要な問題でありましてあとまでずつと残つて来る問題になりますが、これについてある程度しつかりした方法を考究しないと、昨日もどなたかの発言にありましたが、これは治安問題になつて憂慮すべき事態が起きるかもしれないと思うのであります。第一条には民生の安定をはかるということが書いてありますが、私は治安の維持をはかるという文句を入れなければならぬと思うのであります。鉱害のあの悲惨なる状態を局長その他はよく御存じでおりますが、これは事態によつてはおそらく不詳事件が頻発する時期があるのではないかということを私は憂慮しておるのであります。補助金がもらえぬからとか、あるいは結局返させなければならぬからというような小さい小乘的な考えではなしに、しつかりした考えでこの問題を御考究願いたいと思うのであります。ただいまの御説明によりますと、鉱業法では賠償金が規定されておるが、それが遵守されないという。またこの法案がそういうことになるのならわれわれは審議をする必要がないと思うのであります。この問題はおそらく他の委員からも出ましよう。あとにずつと出て来ましようが、これは根本的の重大問題の一つであるということをこの機会にちやんと申し上げておきたいと思います。
続いて条文について聞きたいのですが、解散の場合が第四十一条にあります。この間も小野田の市長がちよつと指摘しておりましたが、破産による解散、これはあり得るでしよう。事業団が解散した場合残つた鉱害はどうなるか。この措置が何ら予想されていないようでありますが、どういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/18
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019・中島征帆
○中島政府委員 破産による解散ということは理論的に一応考えざるを得ませんのでここに書いてございます。また場合によつてはそういうことも起き得ないとは限らないわけであります。本来事業団が正当にまた堅実に運用される限りはこういうことは起り得ないわけでありますが、もしもそういうふうなことになつた場合には、その事業団は解散いたしますけれども、鉱害が残つております限り、またこの法律が効力のあります限りは、新しく事業団を結成させましてその事業を継続させるということが必ずあることと思つております。ただその解散後の措置あるいは清算の方法等につきましては、この法律には詳しい規定はございませんけれども、それはいずれ必要なるときに法律なりあるいは政令でもつて規定する予定でございまして、現在そこまで手が行き届いていないということを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/19
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020・淵上房太郎
○淵上委員 私がお伺いしたいのは、その事業団の解散手続やあとの手続の問題ではなくて、残つた鉱害をどうされるかということを聞いておるのです。悲惨なるあの実情をそのままほつたらかしておくのか。何らかの理由で事業団が解散したあとの鉱害はどう処理される見込みか。そういう場合を予想されておるかということを今伺つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/20
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021・中島征帆
○中島政府委員 それはただいま申しました通りに、鉱害が残つており、またこの法律が有効であれば、新しいもつと堅実な事業団をつくり直しまして、それにやらせることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/21
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022・高橋清治郎
○高橋(清)委員 私はこの法案にとらわられずに一般論で少しお尋ねしたいと思うのであります。大体大臣にお尋ね申したいのですが、見えませんから中島炭政局長にお尋ねいたします。鉱害と申しますが、前の特別鉱害は全部原状回復したのですかどうですか。その残りを一般鉱害の方へ持ち込んで来るようなことがあるのですかないのですか、その点を前提としてお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/22
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023・中島征帆
○中島政府委員 いわゆる特別鉱害はあの法律にあります定義に基きまして明確に特別鉱害であるという認定をいたしております。その総額が復旧費推定七十九億というふうになつておりますが、特別鉱害としてはそれ以外に範囲的には入り得ない。それ以外のものが一般鉱害でありまして、特別鉱害は特別鉱害で別の法律でもつで復旧されております。現在までに約三分の一は復旧されております。まだ相当残つておりますけれども、これはなお別法でもつて継続する。もしも特別鉱害がこの特別鉱害復旧臨時措置法の有効期限内に処理できない場合には、またそちらの方の法律の延長なり何なりということが問題になるかもしれませんが、そこで残つたものがこの一般鉱害の法律に入つて来るということは一応考えられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/23
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024・高橋清治郎
○高橋(清)委員 そうすると、だめを押しますが、特別鉱害の復旧に属しておるものは今回の一般鉱害の分に入つていないと断言できるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/24
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025・中島征帆
○中島政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/25
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026・高橋清治郎
○高橋(清)委員 それからお伺い申したいことは、施業案を許可する際において、家が陥没するとか、あるいは墓地がどうなるというようなことなどに関しては、保安庁なりその他の関係官庁なりと会議の上検討して許可されるのだろうと思いますが、そういうことを検討せず、ただテーブルの上だけでそういうことを許可されるのですか。今までそういうことを十分技術的科学的に研究して、施業案を許可しておるにかかからず、そういう思わざる被害が起つて来たのであるかどうか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/26
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027・中島征帆
○中島政府委員 もちろん施業案を許可いたします場合には、実地の調査もいたしております。ただ利害関係者と必ず協議をするかどうかという点につきましては、必ずしもそういうところまでは行かないものが大多数であろうと思います。特に地元の関係の被害観念が強い場合には、協議もいたしておりますけれども、普通の場合にはそういうふうなこともやらないで、ただ技術的に坑内の採掘方法及びその周囲の状況を考えまして、この程度であれば安全であるという認定のもとに許可いたしておるわけでありますが、その際特に鉱害の予想をいたしまして、この施業案であれば上の方には大した影響がないという認定を下した場合に、初めて許可をするということではなくて、ある程度の被害が出ることは、これはもういかなる方法をもつてしましても予想されますが、ただ現在の採掘方法につきましては、これがまず一番妥当な方法であるということを認定して、そこで許可するわけであります。従つて施業案がいかに十分に研究もし、実際に調査して許可されましても、現在出ておりますような鉱害を非常に大幅に防ぐことは、ちよつと期待できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/27
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028・高橋清治郎
○高橋(清)委員 昨日わが党の山手君からもお尋ねいたしました通り、未然に危険を予知したならば、その予防設備をやつて後採掘をしたならば、被害を最小限にとどめることができるだろうと思いますが、今日まで施業案を出した際にこうしたようなことはいたしましたか。また資源庁としては、今日までこういうような施業案に対して、どういう立場で、どのような認可の方針をとつておりますか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/28
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029・中島征帆
○中島政府委員 今日まで施業案を許可いたしますときには、地方の鉱害の予想が、影響が非常に大きい場合には、掘り方等を十分研究いたしまして、最も安全な方法でこの計画をつくらしております。その一番著しい例は、昨日問題になりました日本炭鉱、日本化成の例でございますが、これは、現在の技術標準からいたしまして、どういう方法でどこを掘れば上が危険であるかないかというふうな確信のある結論が実は非常に出にくいのであります。やりました一応の暫定措置といたしましては、まずこの辺をこういうような掘り方をしてみようというやり方で、第一段的に施業案の許可をいたしております。そういうような状態でありまして、昨日も申しました通りに、遺憾ながら日本の採炭技術ないしは一般の科学の水準というものが、採掘と地方の鉱害というものに対する非常にこまかい因果関係の計数をつかんでおらないという状況であります。そこを基本的にもう少し固めるということをいたさない限りは、一番一般に影響の深い鉱害問題を科学的に片づけることは実はできない状況であります。しかし現状におきましては、知らされておる限りの最善を盡して、できるだけ鉱害を防ぐ方法をもつて掘らしております。
それから保安の問題でありますが、保安法規は先年できまして、それぞれ監督官が実地にすでにまわつております。現在まで特に保安の方で重点を置いておりますのは、坑内保安の方でありまして、坑外保安、つまり、坑外につきましては、どちらかといえば、率直に言つて手がまわりかねておる状況であります。しかしこれも、先般からの国会の審議の経過から申しましても、またこの間の鉱害対策審議会の結論に従いましても、いま少し坑外保安に力を入れなければならぬということが十分認識されまして、今後におきましても、今までより一層坑外に対する保安装置というものを十分考慮して、施業案なり何なりを愼重に検討するというふうに方針がきまつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/29
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030・高橋清治郎
○高橋(清)委員 資源庁にもう少し拡大して質問したいと思います。通産省においては、石炭、亜炭に対しまして、多少偏重した取扱いをしておる傾向があるのであります。たとえて申しますならば、常磐炭鉱の鉱山行政につきましても、仙台通産局の管轄地域であるにかかわらず、登録とかいうような事務は仙台通産局に取扱わせるが、施業案とかいうものは東京通産局に取扱わせる。石炭だけではなくして金属鉱山も取扱わせるというなら別であるけれども、そういうように本省に直結させるようなことをやる。仙台通産局鉱山部においては、この問題について、いわゆるなわ張り争いのようなもので、向うに返還してくれと言つておるけれども、本省においては、さらにこれを受付ける様子がない。こういうことは、われわれから見てはなはだ不公平な現象であります。一体どういうわけであそこだけが半分が東京通産局で、半分が仙台通産局なのか。それをひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/30
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031・山地八郎
○山地政府委員 私からお答えを申し上げます。常磐炭田につきまして、仙台通産局の仕事にすべき点を東京通産局の仕事にしている点があつておかしいのではないか、また仙台の通産局から意見があるのに、本省では全然受入れておらないというお話でありましたが、常磐炭田地帯につきましては、御承知のように、福島県、茨城県の両県にまたがつて炭田地帯をなしておりまして、炭坑がまとまつた地帯を形成しておらない。それでずつと昔は、御案内のように、仙台の鉱山監督局、東京の鉱山監督局にわかれておつた時代もございます。しかし一つの炭田地帯が両方の行政官庁にわかれておりますために、その面から非常な不便が多うございました。ああいつた一つの炭田地帯をなしておりますものは、一つの行政官庁がめんどうを見た方が全般的に有利だと考えまして、御承知のように、平に石炭局を設けて以来、平石炭局があそこの総合的な石炭行政に当つて来たわけであります。これを廃止いたしましたときに、やはり同様な趣旨で平に石炭事務所を設けて、現地における第一線の石炭行政を実際上平の石炭事務所でまとめてやつているような次第でございます。お説のように、これにつきましては、鉱業法規の登録とか、そういう問題につきましては、なるほど仙台の通産局と両方に折衝しなければならぬような事情もあつて、仙台の通産局の方からも、これは何とか考えてもらえないかというお話はしばしばございました。われわれ部内でいろいろ検討いたしたのでありますが、現在の状況では、先ほど来申しますように、一つの炭田を二つにわけて両方の通産局の所管にいたしますと、かえつて現在の石炭行政上まずい点が多い、どちらかにするということにいたしますれば、わざわざ仙台の通産局に移管するほどの現在の状況でもない、これは両方ともいろいろ議論もございますが、現状をただちに変更しなければならぬだけの差迫つた理由もない、やはり統一した一炭田地帯として統一した行政機関がある方が何かにつけて石炭行政上便利である、かように考えまして、現在通り平の石炭事務所を現場の第一線に置きまして、東京通産局、資源庁、こういう形で石炭行政をやつているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/31
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032・高橋清治郎
○高橋(清)委員 一本にしているということでありましたが、登録出願は仙台がやつておるのではないですか。そうしたら一本ではないじやないですか。どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/32
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033・山地八郎
○山地政府委員 法規の形におきましては一本ではありません。登録、出願の関係は、仙台の通産局に移してあるのであります。そういう点はございます。私の申しておりますのは、石炭の実際の行政面の点であります。たとえば施業案を認可いたしますとか、技術を指導いたしますとか、あるいは現実のいろいろな業界との共同研究をいたしますとか、あるいは輸送の問題を取扱いますとか、そういうことがたくさんあります。現場の埋蔵炭量を調査するということもございますが、すべての現場の実際の行政面を一本にして、平の石炭事務所を中心として働いているという関係でありまして、出願、登録の関係は仙台通産局に事実上分担してやつていただいている、かような関係になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/33
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034・高橋清治郎
○高橋(清)委員 私は石炭の偏重ということを主眼として今一例を申したのですが、今の問題は、昨年の暮においても、仙台通産局から事務次官あてに、向うに返還してもらいたいという公式文が出ているはずであります。次長はそれを御存じであるかどうかわかりませんが、それは正式に出ております。それからこれは業者の便利でやつたのだという回答でありますが、業者が便利であるならば、常磐炭鉱のみならず通産省関係の者から、こういうように業者が便利だから、こうしてくれという請願、陳情があれば、やはり今のようにいたすのであるか。それをひとつ聞いておきたい。そうであるならばよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/34
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035・山地八郎
○山地政府委員 先ほど来繰返して申し上げましたごとく、石炭がたまたま常磐炭田という一つの地帯をなしております関係上、あすこに総合的な現場の行政機関が一つあつた方が行政上非常に有効であり、合理的である、かように考える次第でありまして、業界の陳情があつたために、さようにきめたわけではございません。もちろん実際の面におきましては、常磐炭田の業界の大多数の方々は、一本の行政機関であることがやはり望ましいと言つておられますが、われわれといたしましては、むしろ石炭行政推進の面から、この方が有利である、かように判断いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/35
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036・高橋清治郎
○高橋(清)委員 どうも大臣と次長の答弁が食い違つておると思うのです。これは業者からの申入れと請願によつて大臣はかくわけたという私に対する答弁ですが、次長はまるつきりそれと違つたような答弁ですから、これはこの次にいたします。
ただいま議題になつております本法案は、鉱業法の賠償規定をカバーするための特別立法であると思うのですが一体この鉱業法の賠償規定につき、本法案の対象となる石炭及び亜炭以外の鉱害の賠償は、何ら支障なく行われておると思つておるのかどうか。その点を次長に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/36
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037・中島征帆
○中島政府委員 私は石炭及び亜炭の関係が主務でありますが、ほかの金属鉱山等につきましても、もし鉱害がありますならば、このような措置の中に含ませるわけでありますけれども、今日までのところは石炭の鉱害ほど大きなものはないという認識のもとに、こういうように石炭及び亜炭だけに限つた法律を出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/37
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038・高橋清治郎
○高橋(清)委員 ぼくは資源庁次長に聞いたので、炭政局長に尋ねたのじやないのです。これは炭政局長としても、石炭の方を重点として力を入れて、そう答えるのが当然であるが、とにかく次長に聞いたところでよくわからぬと見えるから、一切抜きにいたして、次の機会にすることにいたします。
とにかくすべてこういう重要物資の採掘とか何かにおいて、そのために受けたところの鉱害に対して、そこに何らかの再生する道、あるいはこれを解決する道を與えてやるということは、国家的見地から見てもきわめて必要なことではあるけれども、しかしそれは一方に偏して行われてはいかぬ。他の方面にもよく及んで、石炭ばかりじやなくて、他にも同様な、そういつたような鉱業がないかどうかということを調査してみなければならぬと思うのです。金属山の方におきましても、現に私の地元においては、ある小さな会社が毎月三十万円ずつ払つております。こういう金属山があるのに、資源庁ではおかまいなしである。かつてこれとは話が違いますが、松尾鉱山で政府の命令によつて戦時中に三万トンの硫化鉱を無理やり安く出させられた。ところがこれが今度鉄道が運ばないので、火災を起して、三万トン焼けてしまつた。これに対して私はこれは政府の責任であるから、賠償すべきだと言つたのに、一文も出しておらぬ。こういうような措置が一方に行われておる。そういうようなことは今回の一般鉱害賠償の規定をするについてもあつてはならない。すべて各般にわたつて、石炭と亜炭だけでなく、他の金属山に対してもあるかないか、こういう問題を調査して、そういうものを対象としてやらなければならぬということを私は強調したい。
今日は大臣が見えておりませんし、どうも次長さんは資源庁として、地下資源に対して私の考えと違うようですから、きようはこれで私の質問を打切りにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/38
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039・中村幸八
○中村委員長 田代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/39
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040・田代文久
○田代委員 私は第一番に委員長にはつきりお聞きしたいんですが、昨日並びに本日におきましての委員会の審議におきまして、きのうは総括的なわれわれの質問でありますので、当然これは政府の最高責任者が来て答弁しなければならない。ところがこれに対して大臣も来なければ、次官も来ておらない。それに対して委員長は、こうこうこういう理由で、大臣も来られなかつたし、また次官も来ないし、これに対する責任はこういたします、きようはこうやつておるということをはつきりわれわれに釈明してもらいたいと思う。先ほど淵上委員の質問の中にも重要な質問が出ております。では国家予算をどうするとか、これに対して大蔵省はどのくらい予算を組むつもりであるか。そういう重要な問題は局長がいじつたつて解決しない。当然私は少くとも大臣なり次官なりが来なければ、解決しない問題であるにもかかわらず、委員長はそれに対して何らの責任を持つておらぬのか。あるいは政府があまりわれわれをなめておるのか、その点がはつきりしません。ですから私はもちろん、これは言うまでもないことで、要望するわけなんですが、委員長は今後大臣なり次官なりをひつばつて来て、われわれの満足の行く答弁をさせられるかどうか。まずそれを明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/40
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041・中村幸八
○中村委員長 大臣は昨日はよんどころのない所用のため出席が不可能でありました。次会からは御希望に極力沿うように努めるつもりでありますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/41
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042・田代文久
○田代委員 それではぜひ責任を持つてやつていただきたいと思います。
簡単に二点ばかり質問をしたいのですが、第二十条の評議員会の構成の問題です。当然この法案の趣旨といたしましても、また本質から申しましても、これは被害者が一番重要な関係がある立場にあるわけですが、従つて当然評議員会なるものが評議し、決定する場合には、被害者の意見が最も多く尊重され、またその意見が通るような構成にならなければ、非常にこれは危険であるし、また相済まないことです。その場合、第二十条に上りますと、評議員会の構成が大体三つにわけてありましてその資格が出ておるのですが、今申し上げましたように、もつと多く被害者の代表を評議員会に出すべきだというのが、筋の通つた話になるのですが、政府また原案作成者の意向としましては、大体どういう比率でこれを出そうとしておられるのか。もつともその中には、各号の評議員が総数の二分の一を占めることとなつてはならないという漠然たる限界が出ておりますが、大体これを具体的に運ばれる場合にどういう比率で運営されるのであるかというような点を質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/42
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043・中島征帆
○中島政府委員 この一号、二号、三号の比率は、実はまだ明確にはきまつておりません。ことに事業団の地域の広狭等によりましてかわつて来るわけでありますが、大体の基本的な考え方は一号と二号、つまり加害者と被害者の数は同数にする。それから第三号の関係の人員は一号、二号よりも少い、要するに大部分を加害者、被害者で占めまして、第三者が一部を占める。その加害者、被害者の比率は同数にするという原則を一応立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/43
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044・田代文久
○田代委員 私はおそらくそういうことであるだろうと思つておつたのであります。そうなりますとやはりこの法案の基本的趣旨からいつて非常に不公平じやないか。もちろんこれは通念なんですが、鉱業権者、租鉱権者の方がいつも強いので被害者がいつも迷惑し、また弱い。実害から申しましても被害者一方の者でなければならない性格のものであるし、またそういう精神でつくられたものであると思いますが、そういう場合に加害者である鉱業権者、あるいは租鉱権者と被害者の代表が同数であるということは非常に不公平である。また運営上これではいけないと思う。当然これは少くとも被害者の方が鉱業権者、租鉱権者よりも多いという原則を貫かなければならないど思うのですが、これに対する御見解を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/44
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045・中島征帆
○中島政府委員 本来この評議員会なるものは、利害の対立したものを表決できめるという性格ではないと私どもは考えております。鉱業権者は自分の負担の限度というものが法律上基準がきまつておりますので、従つてかりに評議員会でいかなる意見が出ましても、それ以上の義務はないわけでありますから、その点につきましての議論の余地は非常に少い。
それからどの地区をどういうふうな復旧をするかというようなことは、技術的に大部分がきまるわけでありまして、従つてこれも加害者と被害者の立場からどちらに動くというような性質のものがむしろ少い。そういうような関係から申しまして、また評議員会そのものが事業団の一つの組織であるということから考えましても、お互いにその中でもつて結論を争うというような性格のものではないと思つております。それにいたしましてもそういうことを一応予想しまして、被害者と加害者の利害が対立する場合は一応同数として、そこで第三者的なものに最終的なキヤスチング・ヴオートを持たせるということを考えておりますので、従つてこれが一番公平だと思います。ことに被害者の立場というものを考えます場合には、むしろ第三号の第三者というものはどちらかといえば被害者的な感情を持つことが多いのでありますから、鉱業権者としてはこれでは非常に不利であるというような意見もあるくらいでありまして、全体的に見てこの比率は公平なものだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/45
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046・田代文久
○田代委員 私はこれは決して公平ではないと思う。この評議員会なるものは非常に軽視されるような発言でありましたが、非常に重要な権限を持つた委員会であるし、それから被害者がいつもいじめられる立場に立つているのでありまして、圧倒的に強くても、実際の金の出し入れとかなんとかいう問題になりますと非常に不利な立場になるし、またこの問題でいろいろ問題が審議される範囲外のものがある場合には、大してここでは問題にならないから心配を要しないということでありますが、評議員会ではいろいろな問題が出る、加害者と被害者とのその利害関係という面が当然出る。そこで出た意見というものがずつといろいろな事業を運営し、あるいはまた復旧する場合に影響を及ぼすことは明らかなんで、そういう意味からどうしても被害者の代表者をできるだけ多数入れるという趣旨が貫かれないと、第三号による学識経験者あるいは長が大体被害者の立場をとられるであろうと言われますが、必ずしもそうではないと思う。この間の公聴会によりましても、大学教授の御発言は決して十分被害者の立場に立つておりません。そういう点からこれはなお修正し、被害者の代表者をできるだけ——しかもその被害者も職業的にやつておられる人よりはむしろなまに被害を感じておられるような代表者を入れろという態度をとるべきであると思います。そういうふうにしてもらいたいということを私は要望しておきます。
それから第三十一条の第六号目の「地域内の家屋等の復旧工事に要する費用の貸付」ということが出ておるが、これは大体どういう意味ですか。これは質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/46
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047・中島征帆
○中島政府委員 これは家屋、墓地等の復旧に関しましては復旧事業計画に入れないし、また補助金も出ておりませんので、それを復旧しようという鉱業権者の意思がありましても、金融的にその余裕のない場合がありますから、それを促進するために事業団が金融をしてやるという道を開いたわけであります。しかしながら事業団そのものが本来的に金を持つておるわけではありませんので、借入金あるいは復旧事業債券の調達によりまして、資金ができました場合には、この規定を運用しまして貸付けをする場合もあります。貸付けをする場合にはもちろん鉱業権者に対しまして、こういう家屋の復旧をするからという点を確認いたしまして、担保をとつて貸付けをするということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/47
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048・田代文久
○田代委員 これは抽象的な意味では非常にありがたいようですが、実際上においてそういう御説明がありましたような形で運営される場合に、こういう金が一体出ますか、集まる可能性がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/48
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049・中島征帆
○中島政府委員 この費用の財源としまして、われわれ一番期待しておりますのは資金運用部の資金の貸付けを期待しておるわけであります。それが相当入ればこれから出せるということになるわけでありますが、これは事業団の成立以後、その内容等によつてまた具体的にきまりますので、現在までそれがどの程度確実であるかということは実は申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/49
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050・中村幸八
○中村委員長 青野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/50
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051・青野武一
○青野委員 第二章四十七条までの今日は質問ですが、本会議があるので各党それぞれ代議士会がありまして、時間に制約せられておりますので、この次の通商産業委員会でずつと三章から質疑が続行されます。非常に重大な問題は三章から先であります。一章二章を軽視するわけではございませんが、一章二章の中で特に委員が質問をしたいと思うことは、三章に入りましても委員長においてしかるべくとりはからつてもらいたい。
それから同僚田代議員からも希望がございましたが、きのうのような各党の代表の総括質問の場合はどんなに用事があつても、もし通商産業大臣が出席できないような用件があつても必ず次官が出て来るように、担当の局長だけに一切をまかせておいてこういう重大な問題に冷淡では困る。議事を進行する上にも、われわれ委員がこの法案を審議する上につきましても、やはり政府側も熱意を示し、万障を排して出て来るようにしてもらいたいと思います。月曜日になるか火曜日になるかしれませんが、次の通産委員会には必ず通産大臣なり次官がぜひ出て来るように、ひとつ委員長の方からおとりはからいを願いたい、こういうことを希望いたしまして、三章から先の質問になりましても、多少私は大臣なり次官なりが出て来たときに直接お尋ねしたい問題が一章二章の中にもありますので、これをひとつ保留してこの点を委員長に希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/51
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052・中村幸八
○中村委員長 ただいまの青野君の御発言の御趣旨は委員長において了承をいたしました。
本日はこの程度といたし、次会は十三日午後一時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X03319520510/52
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