1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十日(火曜日)
午前十時四十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山縣 勝見君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
小泉 秀吉君
委員
植竹 春彦君
仁田 竹一君
高木 正夫君
小野 哲君
小酒井義男君
齋 武雄君
前之園喜一郎君
衆議院議員
岡田 五郎君
政府委員
運輸省港湾局長 黒田 靜夫君
航空庁長官 大庭 哲夫君
航空庁次長 粟澤 一男君
事務局側
常任委員会專門
員 岡本 忠雄君
常任委員会專門
員 古谷 善亮君
法制局側
参 事
(第二部長) 岸田 實君
説明員
運輸大臣官房文
書課長 谷 ご平君
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本日の会議に付した事件
○道路運送事業抵当法案(植竹春彦君
外十三名発議)
○航空法案(内閣送付)
○港湾法の一部を改正する法律案(衆
議院送付)
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001・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) それでは只今より運輸委員会を開会いたします。
先ず道路交通事業抵当法案を議題といたします。発議者植竹議員より提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/1
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002・植竹春彦
○植竹春彦君 それでは只今より道路交通事業抵当法案提出の理由を御説明申上げます。
最近におきまする道路運送事業及び通運事業の発達は、極めて顯著でございます。これに伴いまして、企業経営の維持及び拡充を図りますため、金融の円滑化に対する業界の要望も強く、このため個々の自動車に対しては、昨年六月、当時当委員会の御審議も経まして、自動車抵当法が制定せられまして、短期資金調達の途が開かれた次第でありますが、更に設備資金等の長期資金調達の円滑化を図るため、企業を一体として担保に供する財団抵当制度を確立する必要がありますので、この法律を制定いたしたいと存じて提案した次第であります。
さて道路運送事業に対しましては、すでに旧自動車交通事業法において、その財団抵当制度が設けられていたのでありまして、旧法は昭和二十三年一月一日に廃止せられました次第ですが、本法案におきましても、大体旧法の線を辿つておるのでありますが、本法案が旧法と異ります点は、
第一に、財団を設定し得る事業の中に、新たに通運事業を加えることにいたしました。
第二には、旧法では財団を一個の物とみなして鉄道抵当法にならつて制度が構成されておりましたが、本法案では、登記その他の手続上の簡便を図りますために、財団を一個の不動産とみなして、工場抵当法にならつた法体系をとつております。従つて、財団の登記に関しましては、不動産登記法の規定が適用せられておりますが、財団の抵当権に関しましては、民法上の抵当権の規定が適用され、更に又財団の抵当権の実行に関しては、民事訴訟法及び競売法の規定が、それぞれ適用されることになりますが、そのほかに、事業財団の特殊性及び事業に対する監督行政上の必要から若干の特則が加えられておるのであります。
なお、財団の担保価値を高め、且つ又事業監督行政の必要から、財団に属する事業の一体性を確保することは是非とも必要でありまして、この点に関して、第一に事業用の物件が財団に当然所属すること、第二には原則として財団組成物件の個々的な処分を禁止すること、第三に競落人は、免許に属する権利義務を当然承継すること等の規定は、旧法とおおむね同様に設けておるのであります。
長期金融の円滑化を確保し、道路運送事業及び通運事業の健全な発達を図りますためには、是非とも、この法律の制定を必要と存じます。何とぞ十分御審議の上、可決頂きますように御願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/2
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003・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 引続いて本案の大綱の御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/3
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004・植竹春彦
○植竹春彦君 この大綱につきましては、この法律案作成の途上に非常なる御盡力を賜わりました法制局から御説明をさして頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/4
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005・岸田實
○法制局参事(岸田實君) 只今植竹議員から御説明のありました道路交通事業抵当法案につきまして、私から主として法制的立場から若干の補足説明をいたしたいと存じます。
道路交通事業につきましては、御承知のようにすでに昭和六年に制定されました旧自動車交通事業法によつてその財団抵当制度が確立されたのであります。当初年間三十件の財団設定を数えましたこの旧制度も、その後の客観情勢として自動車交通事業に対し企業統合の政策がとられ、車輌の増加が行われず、従つて資金の需要が減少いたしましたために、その利用率も年々低下いたしまして、遂に旧道路運送法制定に当りまして、一応この財団制度が廃止されたのでございます。その後道路運送事業及び通運事業に対する根本的政策といたしまして、免許の複数制がとられ、戰後経済の復興と軌を一にいたしまして、これらの事業が著しい発達を遂げ、それに伴いまして一応廃止されました旧財団抵当制度を復活いたし、資金調達の途を開くということに対する業者の要望が強く起るに至つたのでございます。これらの要望に応えまして、昨年六月自動車抵当法が制定されたのでありますが、この法律は個々の自動車の抵当権を目的といたしまして、短期資金調達の途を開くことを主眼として制定されたのでございます。そこで企業の新設や拡張に伴う多額の長期資金を賄うというのにはやや不十分でございます。ここに事業を一体的にいたしまして財団を作り、これを担保に供することができる制度を設けますときは、その担保価値は單に物的な財産的な価値以上に企業の收益力乃至は免許に関する権利が一体となることによりまして一層高められ、多額の長期資金を得ることができるわけでございます。このように自動車抵当法とこの財団抵当法とはそれぞれ短期及び長期資金の途を開くものといたしまして両々相待ち、おのおのの効用を発揮することによりまして、我が国の自動車界の発達に資するというようにいたしたいというのがこの法律の根本的な構想でございます。
以下法案の内容につきまして御説明いたします。
第一は本法の目的でございます。第一條に規定されております通り、この法律は通路運送事業及び通運事業を対象として財団抵当制度を確立し、これらの事業に対する資金調達の途を開くことによりまして、事業のより一層の健全な発達を図ることをその目的とするものでございます。第二に事業財団の設定でございます。財団抵当制度を作るにはどのような事業を対象として、その事業の如何なる範囲に対して財団設定を認めるかということが第一に問題でございます。これにつきまして第三條で事業者は一又は二以上の事業單位について財団を設定することができると規定いたしました。この事業者及び事業單位につきましては第二條にそれらの定義を明示してあります。即ち事業者とは道路運送法による一般自動車運送事業若しくは通運事業法による通運事業を営む者を指しております。従つて特定自動事運送事業と免許限定を受けた通運事業とは設定の対象から除外されておるわけであります。
次に第二條の定義でございます。事業單位という言葉について御説明申上げます。財団を設定することにより事業の全部のみでなく、一部についても設定を認めることは金融の上から是非とも必要でございます。併しながら無制限にこれを認めますときは、免許事業の細分化を招来するという好ましくない結果をもたらすのでございます。又後に御説明申上げます通り本法では財団組成物件について当然所属主義という建前をとつておりますが、この趣旨を貫く上で財団の組成物件の所属が不明確となる虞れがございます。又本法では競落がありました際に、競落人は事業の免許を当然承継することになつておりますが、このためには財団に属する事業が独立性、一体性を持つ必要があります。これらの理由によりまして、事業財団を設定するに当つては、財団設定の最小の單位を定める必要があるわけでございます。ところでこのような事業單位は事業財団の設定者によつて客観的に判断されることは困難であり、又形式的書面審査主義の建前をとつておりまする登記管理に委ねることも無理でございますので、そこでこの事業單位をきめますのに事業の監督官庁たる主務大臣の認定に待つということにいたしておるのでございます。そこで事業單位の認定を受けますと、この認定書を添えまして登記所に事業財団の登記の申請をいたし、登記をすることになるのでございます。本法第六條第一項に規定いたします通り、事業財団の設定は登記所に備え付けられた道路交通事業財団登記簿に所有権保存の登記をすることによつて行われます。これは事業財団の所有権の成立要件が登記にあるということを示しておるのでございます。この事業財団の設定に当りましては、本法の趣旨を一貫させるために手続上若干の制限或いは條件が附けられておるのでございます。即ち第五條に規定されます通り、自動車道事業については一般自動車道の敷地又はその他の事業につきましては不動産と事業用自動車が存しないときは事業者は事業財団を設定することができないことになつております。これらの物件が存しないような事業はおおむねその経営規模、従つて又その担保価値が小さくて、事業財団の設定を認める必要がないからであります。なお不動産が存することを要するのは、事業財団の不動産の登記は不動産所在地を管轄する登記所といたしましたので、不動産がないことはこの点においても支障を生ずるのでございます。
次に第七條では事業單位に属する土地、建物又は自動車は、事業財団の所有権保存の登記申請前にそれぞれ個々のものにつきまして、登記又は登録を受けなければならないということにいたしております。これは登記又は登録制度がある物件については、事業財団設定の際あらかじめそれぞれの登記簿又は登録原簿を照合することによりまして、それらが他人の権利の目的となつているかどうかを確かめる必要がございます。又事業財団が設定されますと、事業財団にそのものが所属したということをそれぞれの登記簿又は登録原簿に記載することによりまして、第二者にこれを公示し、事業財団の組成物件について個々的な処分が行われないようにするために便宜があるからであります。
第三は事業財団の組成物件についてであります。組成物件の要件といたしましては、先ず第一に第四條の各号に掲げられておるものであること、第二にそれが同一の事業者に属し、且つ財団に含まれておる事業單位に関するものであるということ、第三に第六條第二項の但書によりまして、現に他人の権利の目的などになつていないものであることがこれであります。第四條各号には事業経営に必要な不動産、動産、地上権、地役権、賃借権というような物件及び債権を包含させております。但し事業の免許に関する権利或いは俗に営業権といわれておりまするものは、元来これは物件ではないのでございまして、これを單独に取引の対象とするということはできないようなものでありますので、事業財団の組成物件の中には含ませておりません。併しながら免許に関する権利は、後に述べますごとく財団の競落人に当然承継させることにいたしておりますし、又かくすることによりまして、いわゆる営業権的な要素も実質的には財団の価値の中に含まれることになりますから、事業財団としての担保価値を落す心配は全くないわけであります。
次に本法では法律構成上組成物件につきまして当然所属主義といわれる建前をとつておりますが、この点について御説明申上げます。第六條の第二項で、事業財団登記簿に所有権保存の登記をいたしましたときは、第四條で規定した物件は当然事業財団に所属すると規定しておるのがこれであります。この意味は、事業財団の登記が行われますと、事業財団目録の記載があるなしにかかわらず、前に述べました組成物件としての要件を充たしておるものは当然事業財団に所属するということでございます。なぜこのような建前をとるかと申しますと、工場抵当法のように財団の設定者が事業を構成いたしております個々の物件を任意に取捨選択いたしまして財団を作るという建前をとりますと、財団が競落されましたときに事業が細分化される傾向を生じ、又事業が将来道路運送事業としての公共的機能を果すのには不完全な状態で競落人に移されるというような不都合な結果を招来することが起り得ましよう。従つて又財団の競落人に免許を当然承継させる建前もとれなくなり、これは財団の担保価値を著しく減少させる結果になるのであります。なお道路運送事業は日々発展向上をいたして変遷して参るものでありますので、その発展に応じてその実態が自動的に財団の中に取入れられるような建前をとることが適当と認められるのであります。このような意味におきまして組成物件の当然所属主義ということをこの法案ではとつておるのであります。但しこの当然所属主義につきましても、一般の取引の安全を図る見地から次のような例外を設けてあります。即ち第一に第六條第二項の但書によりまして、現に他人の権利の目的などになつておるものは組成物件となることができません。これは権利関係を明確にいたしまして、第三者の権利に対する不当の侵害がないようにするためであります。又第六條第二項の規定の解決といたしまして、事業財団の組成物件たることの対抗力を事業財団目録に記載されることを必要とする。記載された場合に、対抗力があるというふうに解釈されなければならないことであります。これは物件の公示制度の原則を尊重したものでございます。右の事情からこのような例外を設けますことによつて、抵当権者がこうむる虞れのある権利侵害に対しましては、その権利確保の手段として、若し債務者が故意に物件について目録に記載しないという場合がございますときは、抵当権者は債権者代理によつてみずから目録に記載することができることになつております。又原則として組成物件を個々的に処分することを禁止し、殊に動産の処分につきましては罰則を設けてこれを禁止しておるのであります。
第四は、事業財団の性質についてであります。第八條の規定によつて事業財団は一個の不動産とみなすといたしております。これは工場抵当法による工場財団と同様であります。従つて民法、民事訴訟法、競売法、不動産登記法等の法律の不動産に関する規定は当然この事業財団に適用されます。又事業財団の抵当権につきましても民法の抵当権に関する優先弁済権、不可分性、物上代位等の諸規定の適用があるわけであります。
第五は、事業財団の登記についてであります。第十條におきまして管轄登記所を定め、第十二條、第十三條で登記の申請書と道路交通事業財団目録について規定をいたしましたほかは、登記に関する細かい規定は第十九條で工場抵当法を準用いたしております。その手続の細目につきましては登記取扱手続規程というようなものが制定されることになつております。
第六は抵当権の実行についてであります。民法の一般抵当権の実行の要件は、債務不履行、債務者の利益の喪失、破産等でございますが、本法では事業財団を免許事業中核として作ることにいたしておりますので、第十四條によりまして免許の取消又は失効の場合にも抵当権の実行ができることといたしております。この実行は原則として競売法による任意競売によるのでありますが、判決その他の債務名義であれば民事訴訟法に基く強制執行も可能であります。なお事業財団に対しましてはこの抵当権の実行のほかに、一般裁判に基く強制執行や租税滞納処分も法律上行われることがあり得るわけであります。そこでこの抵当権の実行に際しましてこの関連事業の免許を如何に処理するかが問題になるわけでございます。本法では十八條におきまして、原則として競落人に免許を当然承継させることにいたしております。これは主として事業財団の担保価値を高めることを目的といたしておるのでございますが、行政上の見地から、或いは公共的の見地からいたしましても、このような建前をとりましても、前に申述べました財団設定の際の事業單位の認定制度、それから財団組成物件に関する当然所属主義というような制度をとることによりまして、免許基準の客観的條件におきましては問題が余り生じないのであります。そしてむしろ事業を中絶させることなく、これを競落人に継続的に経営させることが運送の需要及び供給のバランスを維持する意味におきまして必要であるわけでございますので、このような意味におきまして競落人には免許を当然承継させるということにいたしたのでございますが、ただ併し競落人が免許基準の属人的な欠格條件、例えば一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられて、執行を終つた後二年を経過していない者であるとか或いは前に事業の免許の取消を受けて間のない者であるとか、そういうものに該当いたしますときは、これに免許を與えることは事業法の建前上不都合がありますので、この十八條の但書によりまして、このような競落人の承継した事業の免許を主務大臣は取消すことができるという建前をとつておるわけでございます。
次に本法で特別に規定いたしましたのは競売に関係のかかる免許の取消し又は実行に関する措置でございます。即ち第十四條では免許の取消又は失効があつたときは、抵当権は実行できると規定いたしておりますが、競落人に元のままの免許を只今申上げましたように当然承継させるということにいたしますために、実行の原因となつたその免許の取消又は失効はもとより、一旦競売の開始決定になつた後におきまして、手続が完了するまでの間に又別の免許が取消又は失効になるというような場合がありましても、これらの免許を引続き存続させる、競落代金の全額が支払われました際に元の形に復活させるという規定を設けておるわけでございます。この措置は抵当権の実行のときばかりでなく、一般裁判に基く強制執行のときも必要でありますから、同様の取扱いをいたすことにいたしております。これが十四條の第四項、第五項及び十五條の規定であります。
次に事業財団の消滅についてでありますが、事業財団の消滅につきましては、第十九條により工場抵当法を準用いたしております。この準用の規定によつて工場抵当法と同様の消滅の事由が働いて来るわけでございます。即ち事業財団はその所有権の保存の登記があつた後三カ月以内に抵当権設定の登記がなされないときはその効力を失いますが、又一旦設定された抵当権及び消滅した後やはり三カ月以内に新たに抵当権が設定されないときも消滅することになつております。この三カ月という期間は只今国会に提出されておりまする工場抵当法の一部改正法律案におきまして、参議院でこの期間について若干の修正をするということがあるかも知れない状態にあるのでございます。
第八は罰則についてであります。事業財団に属する動産につきましては、財団組成物件としての登記、即ち財産目録への記載に対抗力がありませんので、抵当権者の権利を保護するために、事業者が讓渡又は質入の目的で動産を第三者に引き渡したときは罰則を適用することといたしております。第二十一條の規定がこれでございますが、同條第二項で科罰規定を設けましたのも、法人又は人の代理人、従業員等が違反行為をいたしました場合に、これによつて法人又は人は不当の利益を受けるわけでございますので、抵当権者保護のために法人又は人をも罰することに規定いたしておるのでございます。
最後に附則について申上げます。この本法の施行に当りましては、法律の内容の周知徹底と登記手続上の準備を必要といたしますので、公布の日以後二カ月を準備期間といたすことにいたしました。
次に旧自動車交通事業法に基く関係自動車交通事業財団は本法に基く財団を並列して存続させることにいたしておりますが、その際自動車交通事業法に若干の不備の点がありますので、附則第二項でこれを改めておるのでございます。又本法の施行に伴いまして、当然登録税法及び担保附社債信託法の改正をしなければならない点がございますので、これも同様附則でその改正をいたしておるのでございます。
以上で概略ながら補足説明を終ることにいたしまして、なお御質疑に応じて改めてお答えすることにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/5
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006・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 今の御説明一つ印刷して御配布願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/6
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007・谷ご平
○説明員(谷ご平君) 至急にこしらえまして……今お配りするつもりでございましたけれども、若干適当でないところがございますので、それを訂正してお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/7
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008・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/8
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009・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記を開始して下さい。本件に関する質疑は次回に讓りたいと考えるのでありますが……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/9
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010・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) それではさよういたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/10
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011・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) それでは次に航空法案を議題といたします。
本日は運輸大臣の出席を求めて、二、三運輸大臣から説明を求めたいと思つたのでありますが、運輸大臣は今日余儀ない他に用務があつて出席がありません。併し航空長官が見えておりますから、審議の便宜上現在問題となつておる航空法案、それから航空機製造法案との関係について長官から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/11
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012・大庭哲夫
○政府委員(大庭哲夫君) それでは御説明申上げます。
航空法案につきましては、三月前後から運輸省といたしましてはすべての準備が整いまして閣議に上程、以後国会に提出いたしまして審議をお願いいたす段取りまで進んでいたのでありますが、その後所管の問題につきまして、御承知のようにいろいろ複雑な問題が派生いたしまして、漸次機が遷延いたしまして今日に及んだのでありますが、両省の所管の意見の対立上、閣議におきましてその所管の線を明示されたのでありまして、その閣議決定の線に従いまして航空法案の一部を訂正いたしまして、今日このように提出いたしている次第でありますが、通産省といたしましても、それに従いまして航空機製造法を本国会に提出いたしている次第であります。
その両省の提出の根本となつている線と申しますのは、お手許にお配りいたしてあります「航空機生産の所管等に関する件」というのが閣議の決定線でありまして、第一番に、航空機の型式証明は、運輸大臣の所管とするというように、航空機の型式につきましては運輸大臣の全面的な所管でありまして、必要に応じまして生産関係の重要事項については通産大臣の意見を徴するということとなつていまして、これに従いまして航空法の第十二條の三項の訂正、それから十三條の全面的な訂正というものをいたしたわけであります。
次に二項になつています航空機生産工場の生産施設に関する証明は、通産大臣がこれを行う、いわゆる工場の生産施設というものに関してそれらのいいか悪いか、不適であるか適当しているかという問題についての検査というものは通産大臣がこれをやり、その証明を発行するということになつているわけでありますが、訂正前の航空法には生産施設証明というものを出していたわけでありますが、その生産施設証明と申しますのは、工場が或る程度マスプロ化された段階におきましては過程検査というものを省いて、工場の責任においてそれを施行さす、そういう場合には工場の施設を成る程度検査し、それがよければ生産施設証明というのを発行して、途中の過程検査を省こうというのが運輸省の意見でありましたけれども、その点は訂正いたして全面的に削除いたしたわけであります。ここに書いてあります生産施設証明と申しますのは通産大臣がやるというのは、そういう根本趣旨が少々違いまして、航空機製造事業が届出になつておりまして、その届出に応じましてその工場の施設を検査をして、それに合格すれば証明書を通産省が発行しようというような何であつて、運輸省が計画いたしておりました過程検査の省略というものとは趣旨が違つているわけでありますから、その点は御了承願いたいと思います。
次に三項の生産過程における検査についてはこの生産過程、これが両省の所管問題で論争の中心をなしていたわけであります。生産過程の検査、これを閣議におきましては生産技術検査というものと安全性検査という二つの面に分けたわけでありまして、生産技術検査と申すものは通産大臣の所管、安全性検査というものは運輸大臣の所管だというように検査を二別したわけでありますが、この点におきましては、航空法の中には大体十條の六項、七項、それがこの分けられた安全性検査の次の第四項の「前項(ロ)の検査は、」、(ロ)と申しますのは安全性検査でありますが、(A)としまして「当該工場の従業員(運輸、通産両省共同にて行う検査員試験に合格したる者)、及び(B)としまして、通産省の職員(その任命については運輸大臣に協議することを要する。)に委託して行わしめる。検査は(A)が主としてこれに当り、(B)は極く少数とし極めて緊要なる検査のみをなすこと。検査規則、検査標準等は運輸、通産共同の省令等にて嚴密詳細に規定すること。」というように決定されたのでありまして、この條項に従いまして十條の六項と七項とを特に設けたわけであります。
次に第五の耐空証明というものについては運輸大臣の所管とする。これはり明らかに運輸大臣の全面的な責任において所管するということにきまつたのであります。
次に六項の航空機の修理については二つありまして、一つは、航空運送事業者又は航空機使用事業者の行う自家修理及びこれに準ずるものについては、運輸大臣の所管とする。併し(ロ)のほうで、航空機生産工場において行うものは製造の場合に準ずる、で、(ロ)の項目は、三乃至四項の項目に従つて製造の場合と同じような両省の分野において行うということにきめられたわけでありまして、この項目につきましては第十六條の三項というものに一項を設けたわけであります。
次に七項の予備品証明は、製造の場合に準ずる。併し一度それを使つてその後に又それを修理して予備品とするような場合には運輸大臣の所管とする。従いまして二回以上は運輸大臣の全面的な所管だということになるわけでありまして、この項目は十七條の三項を新しく作つたわけであります。
以上が大体航空法につきまして閣議決定の線に沿いまして最初に作りました航空法案というものの一部訂正をいたしまして上程いたした次第であります。
それでは追加して、今のに対しまして、通産省が現在上程いたしてあります航空機製造法案というものにつきましてどうなつているかにつきましては、一応粟澤政府委員のほうから詳細に御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/12
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013・粟澤一男
○政府委員(粟澤一男君) 只今の補足説明を申上げます。
先ほど閣議決定の三項につきまして生産過程における検査について生産技術検査は通産省、安全性の検査は運輸大臣という分け方と、その前の第二項に工場の生産施設に関する証明は通産大臣、こういう二つの條項がございますが、大体航空機製造法はその二項に基いてできて来た法律であるというふうに私どもは考えるわけであります。
航空機製造法の内容を簡單に申上げますと、大体航空機及び航空機の機械部品等につきまして製造、改造、或いは修理等の事業を行うものについて規定してあるわけでございますが、それらの事業を行うものが第一点といたしまして通産大臣に届出なければならない。それから第二点としまして、それらの事業を行うものはその設備の検査を受けなければならない。検査を受けませんと飛行機或いは機械部品等を製造してはいけない、こういう制限規定になつております。條文で申上げますと製造法の第六條、製造設備等の検査、第十一條の航空機用機器の製造設備等の検査、それがこの條文に該当するわけでございます。先ほど長官から御説明ありましたように、航空法では大体アメリカその他各国の例にならいまして、生産施設証明というものは耐空性の検査をする場合の一つのマス・プロ段階における検査省略と申しますか、マス・プロに対応するそういう一つの制度として取上げたわけでございます。生産施設証明というものは業者のほうが任意に申請をいたしまして、自分のところの工場が証明を受ける自信があるという場合には運輸省に申請をいたしまして、その設備の証明を受けた場合には一機々々の検査の省略をしてもらえる。こういう狙いであつたわけであります。各国ともそういう例になつております。この航空機製造法におきましてはそれと建前が違いまして、設備については必ず検査を受けなければならない。検査を受けないものでは航空機を造つてはいかんという制限規定になつておるわけでございます。
それからその次のポイントは航空機及び航空機用機器につきまして工場で製造をし修理をし、或いは改造をした場合には必ず通産省の検査を受けなければならん。検査を受けなければその造つたものは人に渡してはいけない、使つてもいけない。航空機用機器の場合は製造修理に用いてもいけない、こういう制限規定が第三点になつております。この点は恐らく先ほど申上げました閣議決定の生産技術検査というものはそういう個々の製品の検査であるという建前から條文として規定されたものと考えるのであります。私どもとしましては航空機というものは安全性の検査がぎりぎりの最後のポイントでありまして、その検査をしますればそれ以上になお技術検査というものがどの程度必要であるかという点は多少疑問に思うのであります。ああいう閣議決定ができましたために却つて通産省のその上にプラス・アルフアーの検査をしなければならんというふうな気持が出て参りまして、この製造法において航空機或いは航空機用機器の製造をし或いは修理をする場合に必ず検査を受ける。検査を受けなければその航空機を人に渡してもいけない、航空機用機器を製造修理してもいけないという規定になつたものであるかと考えます。それらの点は立案省である通産省からお聞き頂いたほうが適当かと思います。私どもも法務府その他につきまして協力いたしましたので、只今御説明申上げましたわけであります。
なお閣議決定の第六項になりますが、航空機の修理につきまして閣議決定の書き方は、一応修理に対する検査の分界をきめたというふうに読めるのでありまして、実はこれで或る程度所管も定められたという結果になつておりまして、航空運送事業者、航空機使用事業者の行う自家修理或いはそれに準ずるものは運輸大臣が定めるということで、これは検査も事業の所管も運輸大臣、それから生産工場で行うものは事業の所管も通産大臣でありまして、その検査を行う場合は当然航空機の製造検査と同じように、通産省の職員或いは工場の従業員に検査をさせるのが建前である。こういうことになつております。ただここで自家修理或いはこれに準ずるものでもなく生産工場で行うものでもない、例えば先日参りましたダグラス調査団が軍の修理工場を至急作つてほしいというふうなものがございます。修理專門工場というふうなものになりますと、このいずれに入るのか疑問でございまして、只今のところでは両省の間でどちらにも確定しておらないのだというふうな解釈になつております。この点は早晩問題になる点じやないかと考えております。大体以上で説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/13
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014・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 本件に関連いたしまして御審議を願う上について必要だと思いまするので、この際当局から航空行政が米軍との関係でどういうふうに運用されておるか、説明を受けておいたほうがいいと思うのですが、それじやその点御説明願います。なお本件に関して御質疑を願いたいと思いまするのでありまするが、その前に一言だけちよつと委員長からお聞きしたいのは、本案については閣議決定は今御説明を願つたのでありますが、今御説明を願つた点でも、例えば生産技術検査とか或いは安全性の検査とか、或いは修理專門工場がどういう所管になるかどうか、これは非常に説明を聞いただけでも、所管の紛訌、手続の煩雑いろろありまするが、この委員会で今後これは慎重に審議して行きたいと思うのです。衆議院の委員会でもいろいろやつておりますが、果して政府の責任当局はこういうふうな閣議決定でやり得る自信があるかどうか、基本的にどういうふうにお考えになつておるか、皆さんの質疑の前に委員長として御質疑しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/14
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015・大庭哲夫
○政府委員(大庭哲夫君) いろいろ両省の意見の対立から閣議の決定の線が今御説明申したように出て来たわけでありまして、運輸省当局といたしまして、又私自身といたしましても、でき得る限りこの線に沿いまして全面的に努力して、航空の安全を図つて行きたいと存じているものでありまするけれども、安全性の検査という面につきましては、これが他省の職員にこれを委託して行わしめる場合に、文章上或いは法規上ではこういうように一部整然とされているようになつていますけれども、実体面としまして、又過去の経験からこれを推察いたしまして、果してその安全性が確保できるかどうか、或いは航空機の安全に対して全面的に運輸省が責任をとつて行けるかどうかということにつきましては、私自身としましても又大臣といたしましても幾多の杞憂を持つているものでありますけれども、できる限り今後これらのきめられた線に従いまして努力して行きたいと現在では存じておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/15
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016・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 航空機の修理專門工場に対してはこれは閣議決定になつていないのですが、どうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/16
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017・大庭哲夫
○政府委員(大庭哲夫君) 修理につきましてはこの閣議できめられた線は大体航空運送事業者或いは航空機使用事業者の行う自家修理、これはおわかりになると思いますが、これに準ずるものというものの範囲といたしまして、現在想定又計画されつつあります、日本航空会社とノース・ウエストの間に航空機の修理事業会社を設立して、航空機の修理をやつて行こうというものはこの(イ)に含まれるという想定になつているわけでありますが、戰前ありました航空機製造事業会社というものが、今後航空機の製造というものは近き将来に起きる可能性が相当薄弱である現段階といたしましては、極東空軍の駐留軍の航空機の修理を引受けて、それによつて先ず工場の整備をいたしまして、その後に日本独自の航空機の製造というものが開始されるではないかというような想定ができているわけでありますが、それらに対しまして、それの所管というものが果してどこに移るかという問題につきましては、現段階として閣議の線では未だに明確になつていない線であります。今後それらにつきまして両者の間、或いは閣議におきまして決定を見た以後その所管が明確になるということになつているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/17
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018・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) これらの点についてはまだ我々納得の行かない点が多いのだが、次回に又大臣に質疑をいたすとして、今日長官が見えておりますから各位から本件に対して御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/18
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019・高木正夫
○高木正夫君 参考までに各国の行政に関する例と言いますか、それを一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/19
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020・大庭哲夫
○政府委員(大庭哲夫君) アメリカにおきましては全面的に航空局が航空機の製造から運航面、製造行政から運航行政、全面的な行政を一貫してやつているわけであります。ただ先ほど申しましたように漸次御承知のようにアメリカの製造事業というものがマスプロ形態に移つて来ていますし、その工場の検査機構というものは確実に政府が検査するまでもなく、工場の検査において十分その安全性が保たれるというような工場の設備になつているものにつきましては、生産施設証明というものを発行しまして、その工場の検査員に検査を委託いたしまして検査を実施しているというような一部面がありますけれども、総体的に航空局で全面的に生産行政、或いは運航行政を一貫してやつておる。生産行政は勿論素材、部品にまで及んでおるわけであります。イギリスにおきましては航空省の中に民間航空局がございまして、そこでやつておるわけでありますが、生産という面につきましてはサプライド・デパートメントというものがありまして、それのほうに検査を委託しておるのでありまして、それぞれの航空機の生産工程において検査というものにつきましては一貫してやはり航空局が実行しておるわけであります。安全性の検査というものにつきましてはどこまでも航空局が一本で、併しその検査はサプライド・デパートメントのほうに委託して実施せしめておる。あそこは一応国営になつておるわけでありますから、そういうような前提を取つておるようであります。
フランスにおきましては運輸建設省の中に民間航空局というものがありましてそこでやつておりますが、耐空証明というものにつきましては商船省所管ということになつておるようであります。ビユーロー・ヴエリタスで耐空証明について実施しておる。従いまして航空局の中には飛行場部門とそれから航空運送部門と国立気象台という三部門になつておるようであります。保安施設、それから運航面、気象面というものを取扱つておりますが、耐空証明につきましては商船省のほうで所管しておるようであります。
次にカナダにおきましては、運輸省の中に航空局がありまして、これが全面的にアメリカと同様に一元的に検査面と運航面と両方の行政をいたしておるような次第であります。
大体現在主だつた各国の状態は以上のような次第になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/20
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021・高木正夫
○高木正夫君 もう一つこの飛行機の生産の監督行政のほうは通産省でやらなければならんという理由が何かあるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/21
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022・大庭哲夫
○政府委員(大庭哲夫君) その件につきましてはむしろ通産省にお聞き下さつたほうが結構じやないかと思いますが、運輸省としましてはそういうことはないと確信を持つて今日まで争つて来た次第であります。生産の面につきましては生産技術検査と安全検査に分けられましたけれども、生産技術検査というものが、安全検査を除いて、製品について果して生産技術検査が安全検査以外のものがあるかどうかということにつきましては甚だ疑問とするところでありまして、生産施設というものにつきまして総体的な検査であれば十分納得が行くわけでありますが、個個の製品につきまして安全検査以外に生産技術検査というものが果してあるかどうか、技術官として甚だ疑問に存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/22
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023・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 これは何と考えてもどうも私は不可解千万な所管の分け方と思います。これは政府内部においていろいろの縄張り争いと言いますか、何とかというようなことでこういうような事態になつておるかと思いますが、それで次の機会にこの閣議決定に至りますまでの経過並びにこの閣議で決定をされた責任者の御出席を求めて、十分なる御説明或いは質疑をいたしたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/23
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024・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) そうすると運輸大臣の出席を求めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/24
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025・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 目標は総理大臣です。総理大臣が都合が悪ければ官房長官、通産大臣その他の当面の責任者の出席を求めるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/25
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026・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) ちよつと速記をとめて下さい。
午前十一時四十九分速記中止
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午後零時一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/26
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027・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記を始めて下さい。港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のあるかたは御質疑を願います。提案者が見えておりますから……。それでは專門員のほうで調査いたしました疑問のある点の質問を一応專門員から被露いたして、それによつて提案者から御答弁を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/27
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028・岡本忠雄
○專門員(岡本忠雄君) これは先般提案理由の御説明のときに相当詳しく御説明になりましたので、その御説明に基いて港湾法をいろいろ研究しました結果、ここに書きましたように五点について一応明らかにして頂いたならば結構だということでございます。
第一には港湾区域の認可についての改正が四條六項但書でありますが、港域法は港則法の施行範囲、開港の区域等を定めておるのでありまして、この港域法に定める区域は当然経済的に一体として運営せらるべき港湾区域をその中に含むものでなくてはならない。つまり港湾区域が港則法の施行範囲、開港の区域に含まれなくてはならないというように考えられるのでありますが、従いましてこの但書によりまして港湾区域の認可についての例外を認めるというよりは、むしろ港域法を改正したほうが妥当ではないかという一つの疑問でございます。
それから第二には、港務局の委員の定数の規定の改正が十六條に関連してありますが、これは第十国会におきまして衆議院議員提案にかかる港湾法の一部改正におきまして、関門港のごとく二県六市が港務局を組織する場合を予想して、港務局の委員の定数規定の改正をしたのであります。ところが又関門港の場合を予想しましてこの規定を改正しようとしておられるものと解釈するのでありますが、一体関門港についての港務局の設立というものが、果してどうなるかという見通しをやはり検討をしてみて審議をして頂いたほうが便宜かと思いましてここに列記したわけであります。
次には第三点としまして、港湾管理者の工事制限等の規制権と私権との調査、三十七條でありますが、港湾管理者の工事制限等の規制権が港湾区域外百メートル以内の陸域に及ぶこととなるのでありますが、この陸域内に存在する私権との調整は如何に措置されることになるのかという疑問があるわけであります。
第四は港湾工事費用の受益者負担の問題であります。これは四十三條の四でありますが、港湾管理者による本件に関する違法な処分に関する争いについては、行政事件訴訟特例法の適用があることを規定してあります。この行政事件訴訟特例法を改正するほうがむしろ妥当ではないかという一つの疑問があるわけであります。
それから最後に、本年度途中で設立されました港湾管理者に対する港湾工事費用の負担及び補助の問題であります。これは附則8、9でありますが、港湾管理者であるとないとによつて補助負担率に差別を設けてあるのかないのかという問題が一つあるわけであります。
そのほか問題はないようでございますが、以上数点について御研究を願いましたならば、この法案がはつきりして来るだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/28
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029・岡田五郎
○衆議院議員(岡田五郎君) 御質問の第一の港湾区域につきまして、大体御質問の要点は、港則法による港域と同じにしたらいいじやないか、若し必要があれば港域法を改正すればいいじやないか、こういう御質問のようでございますが、御承知のように港域法の区域というのは、大体この立法の趣旨は港則法で規定されておりますがごとく、港内の取締ということが主眼点で、大体港域法の港域というものがきまつておると私は考えておるのであります。勿論港湾関係の各種の法案によつて港湾区域が違うということは誠に好ましからないことなのでございますが、おのずから法律の目的とするところに従つて最小限度に区域をきめなければならないとも又考えられるのであります。殊に港湾法に言うところの港湾区域というものは、将来の港湾の修築計画というものを勘案いたしまして、少くともその港湾が一体として、経済的活動の基地として港湾ができ上るようにこの港湾区域を考えるベきであると私は考えておるのであります。従いまして答弁の要点は、港域法に言ういわゆる港湾区域は港内取締を主としてきめられた区域である。港湾区域法に言うところの港湾区域は経済的一体としての活動をする港湾、又その経済的一体として活動する港湾の将来の改修、修築というものを基礎にして区域というものをきめなければならない、こういうように実は考えたのであります。と申しまして港湾区域を経済的一体として活動するのに便宜だからといつて無制限に港湾区域を拡げることも、これ又非常に支障を来すところでございますので、万止むを得ざるときは港域法に定める港湾区域を超えて港湾区域をきめることができる、こういう條件を附けまして、最小限度経済的一体として活動できるように実はきめたようなわけであります。
それからもう一つは、港務局の委員の定数について、第十国会の港湾法の改正のときに関門港を予想して委員の数を七人にした、なぜ又このたび関門港を予想して十一人に殖やしたのか、こういう御質問のようでございます。その当時関門港を予想して定員をきめたかどうか、私寡聞にして存じておりませんが、このたびの改正の主眼点は、この現行法におきましては七人の委員のうち、一人だけ関係地方公共団体の議会の議員を入れる、こういうことになつておりまして、残りの六人が港湾に関して広く知識と経験を有せらるる中立委員を以て任ずる、こういうことになつておるのであります。ところが提案理由でも御説明申上げましたように、日本の現在の港湾事情からいたしますると、今後相当大規模な港湾修築、拡張計画を進めなければならない。そういたしますと相当多額の費用が嵩むのであります。従いまして多額の費用が嵩みますと、関係地方公共団体との関係も又非常に密接を要するのであります。かような趣旨からいたしまして、関係公共団体の議員をそれぞれの公共団体からおのおの一人ずつ選出でき、そしてこの港務局と関係地方公共団体の関係を密接にいたしまして、港湾の組織の何といいまするか、進捗を期したい、こういうことで実は一部改正をいたしたのでございます。そういたしますると先ほど申されました現在話が進行いたしておりまするいわゆる関門港というのは、山口県と福岡県、下関市と門司市、それから戸畑市、二県三市でございます。即ち二県三市でございまして、五つの関係地方公共団体がございます。そういたしますると一人ずつ出しますと五人になるわけであります。これを七人にしておきますると、七人のうち五人が関係地方公共団体の議会の議員に占められ、たつた二人しか中立的な人が占める余地がないということになるのでございます。御承知のように港務局は成るべくこの政治的色彩を離れて、純然たる経済的見地に立ちまして港湾の修築計画を進めなければならないことは万々御承知の通りであります。かような港務局委員の政治性の優越性を除去するという言葉は悪いのでございますが、排除いたします意味におきまして、而も地方公共団体との連絡を密にすると、こういう考えをも合せまして、中立委員六人ということにいたしまして、実は十一名と、こういうことにいたしたのであります。御質問の二県六市と、こういうお話がありましたが、多分この考えの中には洞海湾、若松市、戸畑市、八幡市、この三市が入つての意味の関門港をお考えになつての御質問ではないかと思うのでありますが、御承知のように八幡、若松、戸畑と洞海湾の港の性質と関門湾の港の性質というものはおのずから経済的に又その意義が異つておるのでありまして、現在関門港といたしまして、これら八幡、若松、戸畑の三市が合併してやろうという話が起つておりませんし、又先ほど申上げました経済的性質も違つておりますので、洞海湾を含めてのいわゆる関門港ということ、関門港としての港務局の設立は、私たちは近き将来においてないと、かように考えておりまして、本法案の改正にはかような洞海湾を含む関門港というものは念頭においてないようなわけであります。
それから先ほど御質問がありました、それではこの二県三市の、挾い意味といいまするか、いわゆる関門港の港務局の場合の進捗の状況はどうかという見通しの問題につきまして御質問がありましたが、これはもう過般来山口県及び福岡県二県におきましてよりより御相談が進められておられまして、殆んどこの法案が通過いたしますると、至急に港務局の設立が取運ばれる順序になつておる次第であります。恐らく今月中に本法案が通過いたしますると、六月早々又は中旬近くに港務局が設立されることと私は固く信じまして、そのような見通しを持つておる次第であります。
それから第三の質問でございましたが、港湾管理者の工事制限、即ち百米以内の陸域内にある私権との調整はどうするかと、こういうことのお話のようでございまするが、先ず百米以内に私権、即ち占有権、或いは所有権とまでは……、言葉はちよつと強いのでありますが、占有権を設定するような場合は、とにかく港湾の公共性を害しないということを眼目にいたしまして私権の設定を認めるわけであります。これは申上げるまでもなく、港湾は公共的、一般的にこれが利益の均霑或いはこれの利用をすべきものであります。一個人の独占的使用、又利益を與えるべきものでたいことはもう万々御承知の通りであります。万止むを得ずかような一私人に占有権、或いはその他の私権を設定せらるる場合には、條件といたしましては港湾の公共性を阻害しないという限度において設定せられるのであります。又或いは御質問の中にも含まれておるのかとも御推察申上げるのでありますが、すでにこの百米以内にある私権と、その権利とこの規定との調整はどうするか、こういうことも或いは質問の中に入つておるのかとも私は御推察申上げるのでありますが、これは御承知のように、今百米以内にある私権をこの法律によつて排除するということはもう予想だにしていないのであります。又現在あることそれ自体が港湾の、港湾として活動するに何ら支障ないという事実を以て反証いたしておるとも私は考えるのであります。かようなすでにある私権との調整の問題は、提案者といたしましては想像、想定はいたしていなかつたのであります。
次に第四の御質問でございまするが、工事費用の受益者負担に関しまして、行政事件訴訟特例法を適用するのが当然ではないかと、こういう御質問のようであります。成るほどさようにも考えられるのでありますが、実は現行法によりまして港湾施設に著しく損傷を與えたものはその損害の一部を負担しなければならないという規定があるのであります。この規定は御承知のように行政事件訴訟特例法を実は適用しないことにしております。その半面の港湾工事によつて非常に利益を受けた場合、その受けたというものから利益の限度において費用の一部徴收すると、こういう半面の受益者負担、この規定につきましても実は行政事件訴訟特例法を適用せざるを得ないということに実はいたしたのであります。
もう一つのお尋ねの港湾管理者に対する工事費の負担及び補助の問題でございまするが、この港湾管理者に対する補助は、御承知のように港湾法にきめられた率によりまして補助を與えておるようなわけであります。港湾管理者のできてない重要港湾、その他指定港湾に対しましては、御承知のように予算措置を以ちまして年度当初にそれぞれ補助をいたしておるのであります。現実の状態といたしましては、港湾法に定められた管理者のある港湾に対する補助率と、予算措置によつて補助いたしておりまする港湾に対する補助とは率は同様でございます。ただ補助を受ける対象が、港湾法に基く補助は港湾管理者であり、予算措置で補助を受けておるものは申すまでもなく市、町、村或いは府県ということになつておりまして、ただ対象が違つておるということで、補助率は全然同様であるということを御承知おき願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/29
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030・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 只今答弁がありましたが、これらに関連いたして御質疑ございましたらどうぞ。その他御質疑ございましたら……。
別に御質疑がなければ、本審査でありませんから、おありでありましたら又次回にお願いすることにして御研究願います。(「次回に願いますか」と呼ぶ者あり)
それでは委員会は本日はこれで閉じます。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02219520520/30
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