1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月六日(金曜日)
午後一時三十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬與兵衞君
理事
赤木 正雄君
田中 一君
小川 久義君
委員
楠瀬 常猪君
深水 六郎君
門田 定藏君
三輪 貞治君
東 隆君
衆議院議員
淺利 三朗君
政府委員
建設省管理局長 澁江 操一君
事務局側
常任委員会專門
員 菊池 璋三君
常任委員会專門
員 武井 篤君
説明員
建設省管理局建
設業課長 水野 岑君
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本日の会議に付した事件
○公共土木施設災害復旧事業費国庫負
担法の一部を改正する法律案(内閣
送付)
○公共工事の前拂金保証事業に関する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/0
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001・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題に供します。提案者の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/1
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002・淺利三朗
○衆議院議員(淺利三朗君) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して提案の理由を説明申上げます。
昨年、第十国会におきまして、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」が制定され、災害復旧事業に対する国庫負担の一応の原則はきまつたのでありますが、本法施行の状況に鑑みまして、これを更に合理化するため、今回この改正案を提出いたした次第であります。即ち改正の第一点は、災害復旧事業費に対する国の負担方法を合理化するという点であります。
現行法におきましては、災害復旧事業費の三分の二から全額まで、地方公共団体の標準税収入に応じてスライドして国が負担することになつておりますが、原形復旧事業費のみを対象にしておりまして、原形復旧に要する金額をこえる金額即ち超過事業費につきましては、本法による国庫負担率計算の基準である災害復旧事業費の中より除いており、「それぞれの施設に関する改良工事について、国が他の法令又は予算の定めるところにより、その費用の一部を負担し又は補助する場合の例により、その費用を負担する」ことと相成つております。近時災害復旧事業の激増によりまして、熱い超過工事も増加し、災害激甚な幾多の地方公共団体におきましては、貧弱な弾力性に乏しい地方財政を以てしては、その負担に応ずることが困難な事態が考慮せられ、復旧工事の円滑な施工が不可能な状態に立至らんとしております。更に、理論的に考えましても、法第二條第二項におきましては、災害復旧事業の定義に、「原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすることを含む」とし、第三項においては、「災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするものは、この法律の適用については、災害復旧事業とみなす。」としてあるにもかかわらず、第四條で、スライド制による国庫負担率計算の際にこれを除外しておりますことは、無理に費用の上から原形復旧と超過工事と二つに分けたものでありまして、合理的なものとは申せないのであります。災害復旧事業費について、超過事業などという観念がおかしいのでありまして、原形に復旧することが不適当な場合、これに代る施設をすることは災害復旧事業なのであります。従いまして今回、超過事業費という言葉を削りまして、第四條第一項の災害復旧事業費には、公共土木施設に関する災害復旧事業の事業費すべてを含むように改正せんとするものであります。
改正の第二点は、現行法におきましては、第六條の一号において、一個所の工事の費用が十五万円に満たないものについては、本法の適用を除外しておりますが、これを改正して都道府県と地方自治法第百五十五條第二項の市を除きまして、市町村に係るものにあては、十万円に満たないものを適用除外にする。即ち本法の対象となる災害復旧事業の最低線を市町村については、一カ所当りの工事の費用を十五万円から十万円に引下げたのであります。これは、近時の災害の状態を見まするに、災害が局地に累積し、而も十五万円未満の工事が相当多く、貧弱なる市町村財政を以てしては、その復旧が不可能な場合が多く、災害を誘発する結果となる虞れがあるからであります。従いまして比較的財政の融通可能な都道府県及び五大市につきましては、このままとし、市町村についての最低採択限度を十万円と改めようとするものであります。
以上、説明いたしました二点が、本改正案の趣旨でありますが、先に申上げました第四條の改正規定につきましては、その取扱の公平を期するため、過年度に発生した災害で、昭和二十七年三月三十一日現在において、国の負担金の交付を受けていないものについても適用させるよういたす所存でありますし、後に述べました第六條の改正規定につきましては、過年災に遡ぼつて査定をし直すことは不可能でありますので、二十七年災害から適用することといたしたいと思います。
以上簡単でございますが、提案の理由の概要を申上げました。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/2
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003・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) それでは本案につきまして御質疑のおありのかたは、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/3
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004・田中一
○田中一君 私はこの法案が、改正法案が出ることは非常に嬉しく思います。曾つて全額負担の法案が改正されましたときにも、自分の意見を相当述べたのでありますが、大体原則としては、地方公共団体の負担率を、補助率を高めるということに対しては結構と思いますが、ただ問題になりますのは、平衡交付金又は補助金が、地方においてどのような使途に使われておるかということの実態を存じません。この点はあらゆる立法の面、殊に行政面において、国が地方自治団体を補助するということの問題点だと思うのです。従いましてこの法案を審議するに当りまして、是非地方行政委員会にお働きかけ願いまして、実際に国の補助金がどういう形で使用されておるかという実態を把握いたしましてから、この法案の審議に入りたいと思うのです。従いましてそのように委員長からお取計らい願えれば結構と思います。事実この法案をゆつくり審議しようというつもりはございません。ただ実態を把握せずしてそのまま通すということに対しては、私自身としても、又同僚議員としても納得の行かないものがあるのじやなかろうかと、こう考えますので、そのようにお取計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/4
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005・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/5
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006・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/6
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007・門田定藏
○門田定藏君 只今田中委員から御要求がありましたが、この地方交付金がどういう状態で消費されておるかということを調査してもらいたいという御意見は、私も同感ですけれども、一体この調査がどのくらいの期間で、今田中委員が言われたような調査ができるか、できないかということをお尋ねしたいと思います。若しやられるといたしましたならば……。、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/7
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008・淺利三朗
○衆議院議員(淺利三朗君) この問題は衆議院においてもしばしば、補助金の交付の行方がどうなつておるか、工事の施行がどうなつておるかということが、しばしば問題になつておることは参議院と同様であります。ただ今日の現状から見ますると、余りに災害の個所が多いので、一々これを調査するということが至難であることから、先般の機構改正におきましても、建設省の監察官の数を殖やして、そうしてまあ抜打的ではあるけれども、主なものを調べて、そうしてその金を有効適切に使つておるかどうかということを調ばるというような方針になつております。それからもう一つは、大蔵省においても最近は、この予算の支出が余りにルーズになりはせんか、ときどき便乗的にやつて来るものがありはせんかというので、災害の復旧の範囲であるか、或いは改良費と並行して行われるものであるかというようなことは、ときどき実地を見るという方針で、大分改善されておると思うのであります。併しこの問題を審議するに当つて、そこで今慌ててやりますというと、なかなか簡単に参らんだろうと思います。私どもがこれを出しましたのは皆さん御承知のごとく、一番最初の規定におきましては今度の改正案と同様で、原形復旧をすることが原則であるが、原形に復することが不適当であるとか、その他改築、増築を必要と認める場合は、これを妨げないという規定であつたものが、御承知のごとく二十五年のあの全額国庫負担の際に、若しこれを従来の通りにしておけば、余りに地方の便乗が多くなる。そこで初めて超過工事というものに対しては三分の二の補助をやるというふうに改正されたことは、御承知の通りであります。然るに二十六年のスライド制の際に、これを更に狭めまして、超過工事については三分の二が三分の一の改良費補助になつております。このため地方は非常に困るのであります。災害費全体については、スライド制によつて非常に多額の金がもらえますけれども、個々の工事については殆んどもらえない。これを実例について見ますと、私の一番よく知つておるのは、岩手県の一関の水害であります。あれは当初は、原形復旧は一千万円くらいであつたのであります。ところがそれではとても防ぎ得ないというので、河幅をその倍にして千八百万円の予算を取つたのでありますが、当時用地費は地元負担三百万円を要する。これができないために延びて遂に政府からそれを補助することになつてやりましたときには二千八百万円である。そのために今度は新たに予算を殖やさなければならん。その交渉中に第二回の洪水が参りまして、その結果二億一千万円の予算を要して復旧工事をした。若しこういう場合に原形復旧一千万円であつて、あとの二億円に対しては半額補助ということになりますと、殆んどこれはできないという実情になるのであります。そういう実例から見まして、この二十六年度の工事の改正というものは殆んど地方が迷惑するということからこれは起つておるのでありますから、どうぞその趣旨をお汲み取り下さいまして御承認願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/8
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009・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 只今の法案は質疑を後刻に廻します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/9
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010・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 次に公共工事の前拂金保証事業に関する法律案を議題に供します。御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/10
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011・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/11
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012・田中一
○田中一君 前回の委員会に引続いて第二十七條の前拂金の使途の監査、この点についてお伺いいたします。
現在政府ではこの條文にありますように適正に当該工事に使用しているかどうか、どういう方法を以て監査をしようとしているか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/12
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013・水野岑
○説明員(水野岑君) 使途の監査につきましてはこれを厳正にしなくてはなりませんことはもう当然のことでありまして、これにはいろいろな方法が考えられると思いますが、勿論保証事業会社として絶えず保証契約者のほうと密接な連絡をとりまして、よくこの使途を監査して行く、こういう方法と並びまして使途を監査する一つの方法として金融機関を利用して行く、こういうことも一つの方法ではなかろうかということが問題になつております。これは開発銀行が只今こういう方法を用いまして非常に好成績を挙げているというふうに聞いておりますが、即ち保証事業会社が金融機関を指定いたしまして、その指定されました金融機関におきましては特別に口座を設けて、そうして前拂金は一応その指定金融機関の預金にしてもらう。そうしてこの指定金融機関が本当に当該公共工事に使用されるかどうかということを確認いたしまして、その拂戻しをして行く。こういう方法をとるのも一つの方法ではないかというふうに考えておるのでございまして、この方法をとりますと、保証契約者即ち請負業者と金融機関と密接な連携が生じて参りますし、又保証事業会社と金融機関とも密接な関係が生じて参ります。又金融機関のほうといたしましても暫定期間でありますが、それだけ預金が増加して行く。こういう裏面が考えられるのでございまして、いわば一石三鳥と申しますか、いろいろな点で利便があるように考えられます。そういうような方法を只今のところ考究いたしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/13
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014・田中一
○田中一君 私は小さな業者が、例えば一ヵ月のうち或いは半年のうちまあ一決算期間のうちに三つとか四つとかの仕事しかしない、これは五十万円以上に保証するということになつておりますから、五十万円以上の工事を三つか四つしかしない、或いは十くらいしかしないというものに対しては、それができると思うのです。又それが適正な紐付金融ですね、一遍預金をさせまして、預金によるところの紐付金融ということになりますが、少くとも一億円未満の資本を持つて、百倍、二百倍の仕事をする、何百億の仕事をしておる業者の監査は到底できない。又できないのが正しい。できないのが当り前だというように考えられる。そういう会社は結局紐付金融と言いましても、会社全体の経理が完全に循環することによつて全体の経営をやつておるので、これはその工事一つが仮に一千万円の工事をして、五百万円の損をしても、損が完全にカバーできる。資金運転ができれば従つてそういう場合、かずかずの例をとりますと、清水建設なら清水建設というものは、口数にして恐らく数十の工事を持つておる、数千の工事によつて数百億円の仕事をやつておる、その場合に、仮に一億や二億の金が入つた、それも紐付金融で使わなければならないとなりますと、全体の回転率減つて来るのが一つ、従つて全体の金が清水建設の金として資金のうちに投入されて初めて回転率が一回転するか、或いは二回転するか、或いは月のうちに五回転するかというところに大きな組織の魅力があるのです。又利潤も大体一昨年の清水建設の決算を聞きますと、二分の利率になつておる、二百億やつて二分の利率、あそこはたしか七千五百万円の会社ですが、それでもなし得られる。普通小さな会社は年に五十万円の仕事を年に五回で二百五十万円の仕事をやつておる会社は、到底それではいかん、どうあつても一割以上のものがなければ、株式会社の場合にはいいが、個人の場合は、なければやつて行けない。そういう点から言つて、今建設業課長の言つたようなことを厳密にそれのみをやれば、これは大きな業者は借りんことになる、却つて邪魔になる。それからもう一つの問題は、大体大業者は一応各銀行に借金を持つております。新規工事に対しては、金は出してよこします、回転させるために循環策として。それで場合によれば大企業は使わないという結論になるのじやなかろうかと考えるのです、その点については、ただ今言つた沖縄のBドル拂いの工事については、御説のような金融機関を経由しまして紐付金融、その工事以外のものに使わないというような途を以てやつておるように聞いておりますけれども、内地の場合には、それは不可能なんじやないか、と思いますが、その点の見解如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/14
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015・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) この業界の事情に非常に詳しくあられる田中委員の御説でございますので、私ども十分まだ研究の足らざる点もあろうかと存じます。要するに使途の監査、この権限がこの保証事業会社に必要であるという理由は、実は非常に問題になりました点でございまして、一面には前渡金制度そのものが、この業者の経営を非常にスポイルするということも言われております。で根本的な考えは、やはり只今お話になりましたような紐付金融式な監査によつて、これはこの角を矯めて牛を殺すの類いになつては、これは目的を達しないことは当然でございます。従いまして私どもの考えておるところでは、余り厳格に過ぎてこれが紐付金融の形をとれば、勿論とれればそれは結構なことでありますけれども、併しこれは漸次業界側のやはり経営のやり方、これもこの前渡金の今度新らしく出されるに応じて今考えられる点もあろうと存じますが、そういう経営面からの改善と併せつつやつて行くというようなことで、漸進主義的にこの監査を強化して行くと言いますか、そういうことも考えらるるのじやないか。おつしやるような点につきましては十分注意をしつつ目的は飽くまでこの業者の堅実な運営ということを、この前渡金のために経営が損われるというようなことのないようにということが狙いでございますから、その目的を外さんようにやるべきではないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/15
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016・田中一
○田中一君 どうも希望的観測と、まだ業者の経営実態というものを本当に各層に亘つて……、御承知のように、誰でも一人の専門学校出の人を雇つて、看板を上げますと建設業者として登録できる。或いは清水とか、大林のように年に三千人、四千人という人間を使用しておるところの業者も同じ業者なんです。そこに難点があると思う。問題はそういう業態そのものがそういうものであつて、これを二つの枠できめるということの危険性ですね。おつしやつたように角を矯めて牛を殺すという類いにならなければ結構ですが、事実そういう点が一番懸念されることであります。前回から申上げておるように、私が一番心配するのは、この法案の中で心配するのは、前拂金を支拂をするかしないかという問題と、それが適正に使用されておるかどうか、この二点がこの法律の根本になると思うのです。従いまして今お話のような実際はまだその業態を、相当に建設業を約五階級ぐらいに分けて発注しておるように聞いております。地方などもそういうようにクラスを分けまして、指名入札するようなことになつておるように聞いておりますが、ここらは相当慎重におやりにならないと、会社が直ちに潰れてしまうような結果になつたり、それは二十倍の保証力があるのですが、悪意を以てやる場合は、幾らでもできるというのがこの法律の一番の大きな欠陷だと思う。例えば内地の場合でも成るほどB工事のために鉄材を買う、それを買います、それを買うけれども、その鉄材はC工事に持つて行つて使つてもかまわない、成るほど注文の伝票はB工事として来て、注文して来たから、金融機関はB工事として拂つた、併し現物がそこにあるのですからC工事に現物を持つて行こうと上工事に持つて行こうと、その点は監査することができるかどうか困難だろうと思います。内地の小さい業者はいいが、大きな業者のものも監査をするつもりか、帳面だけの監査は……帳面だけでは何もならん。実際の監査はどこまでなら、どこまでするつもりか、その限界というか、程度というか、御説明願えますか、構想は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/16
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017・水野岑
○説明員(水野岑君) 田中委員の御質問御尤もだと存じますが、御指摘になりましたように、大業者につきましては、確かに前拂金の使途の監査は確かに限界はあると思います。ただ今お話もございましたように、中小企業につきましてはそういう使途の監査方法も可能なことも考えられておるところでございまして、これはもう一つできるだけ厳正に監査をするという建前で漸次努力して行く。私どももそういう大業者に対しまして嚴正な、適正ないい監査方法にどういう方法があるかというようなことは実はなかなか名案を持つておりません。これは一つ会社側も運営いたしまして漸次いい方法を見付け出し、努力をして行く、そういうことで進んで行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/17
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018・田中一
○田中一君 どうも御答弁が満足行かないのですが、土木事業の場合には架設機械、その他のものは相当はつきりした前拠金の有効な使途を明らかにしなければならんと思うのです。無論建築工事につきましても昇仙峡事件が起つたように今鉄骨にして手を打てばこれは工事の竣工の上には安心したことになるので結構なんですが、平素の場合はなかなかこれが思うようにならんだろうと思う。そこで若しもそういう場合にこの会社が限界を示してありませんからこの会社が土木工事にこれでよろしいとか、或いは工事の実態について保証するか、保証しないか、或いはこれは一割だ、これは二割だというような制限を付けるようなことになるかもわからんのです、会社自体が……。その点については若しそういうことを会社がする場合、無論会社自体は自分の会社の公共性があると言いながら自分の会社に大きな欠損があつては困りますから、一応自分の会社の健全性を持たなければならんからどうしてもこの法律を作つて立法の精神のような、単なる大勢のためにという公共性のみでは運営されないと思うのです。従つて今の工事の個々について前拂金の限定ですね。何かお考えになつていらつしやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/18
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019・水野岑
○説明員(水野岑君) 建設工事につきまして保証事業会社の保証があれば前渡金を出すことができるという途を開いて行きたいのでございまして、従いまして発注者がこの前渡金を出さない、この工事に出すことは不適当であつて出さない、こういう意向を持ちますれば、前渡金は支拂わないというような事態も起ると思いますが、ただ発注者といたしましてはこういう前渡金を支出する途が開かれますというと、前渡金を出すということが御承知の通り建設工事を敏速にやり、適正に施行するゆえんでございますので、建設工事全般につきましてやはり保証事業会社を利用して前渡金を出す。こういうふうな方向になるだろうと私どもは推測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/19
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020・小川久義
○小川久義君 この辺で質疑を打切つたらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/20
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021・田中一
○田中一君 まだこの点が非常に重要なんです。ここではつきり速記に取つてこの法の精神というものを生かさなければ会社ができても会社はばらばらの運営をします。この法にはたくさんの抜道があります。そういう点は一応政府の構想を伺わないといかんと思つて聞いておるのです。まだ速記がもう少し時間があるようですから一、二点聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/21
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022・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/22
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023・田中一
○田中一君 今の紐付が、例えば今の契約保証約款には第十六條で、前項の場合当該金融機関はその預託金を銀行に一遍入れるということになつておりますが、これらを本当にどこまでも持つて行くつもりか、今私が質問したように一本の監査方式というものを相手の業者によつては緩和するというような考えですか。どこまでもこれで押付けるというような考え方なんですか、これだけをはつきり伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/23
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024・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) この保証約款の十六條、これは一応の試案の程度でございますから、いろいろ検討される余地はあろうと思います。そこでこの十六條で特定の金融機関に預託する條件を附することができるという建前になつておりますが、これは保証の対象になる工事、更には請負業者の意向を斟酌しつつ特定の金融機関を指定する仕組に持つて行きたいというふうに考えております。そこで只今御質問の点は特定の金融機関に必ず預託するという方式を採用しませんでも、或る信用のおける業者にでも一任したらというふうにも承わつたのでありますが、できるだけこの方法を、只今申上げましたような業者側の意向も参酌するわけですが、預託金融機関の指定を併せて採用するという方向に持つて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/24
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025・田中一
○田中一君 昨日私がダンピングの点について御質問したときの御答弁とちよつと違つた御答弁のような気がしたのですが、私が昨日申上げたのは工事の入札価格を対象として保証するのが、個人の業者の信用度によつて保証するのかということを昨日伺つた。ダンピングの場合、これはできるだけ工事の入札価格を対象として保証するというような御答弁があつたように思いますが、その点の食い違いはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/25
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026・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) もう一遍恐れ入りますが、おつしやつて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/26
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027・田中一
○田中一君 タンピングじやないかという疑いがあつた場合、その工事の入札価格というものを対象にして、ダンピングの場合は赤字になるのはわかり切つておる。その場合工事を対象にして保証するのか、或いは先ほど言つたように大業者は一千万円の工事をして二、三百万円の損をしても完全に工事を完成する、その場合、その会社の信用度を対象として保証するのかと言つたら、水野君だつたか局長だつたか、それは入札価格を対象として保証するという御答弁があつたように記憶しております、監査の場合になりますと、今度は紐付金融は工事の完成というものを見たところの工事の価格が対象になる。大業者の場合、今の御答弁では今度はその相手の信用を対象としたところの保証、こう区別されるように解釈するのですが、いわゆる併用していいところをとるという御答弁ならば止むを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/27
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028・澁江操一
○政府委員(澁江操一君) 結局御質問の点に対する私たちの考え方としましてはダンピングに対する考え方は前回申上げた通りでございます。それからこの預託の方式と、この使途の監査の取扱について大業者と中小業者との取扱上のあれをどうするという問題でございますが、これは結局使途の監査方法のやり方、これには多少の区別があり得るかも知れないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/28
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029・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) ほかに御質疑ございませんか。御質疑ないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/29
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030・小川久義
○小川久義君 討論もなさそうですから、直ちに採決をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/30
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031・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) それでは討論は省略いたしまして、採決に入つてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/31
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032・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
公共工事の前拂金保証事業に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたは御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/32
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033・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 全会一致と認めます。本法案は原案通り可決することに決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/33
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034・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見着の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
赤木 正雄 田中 一
小川 久義 深水 六郎
門田 定藏 三輪 貞治
東 隆 楠瀬 常猪発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/34
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035・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記をとめて下さい。
午後二時二十二分速記中止
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午後二時四十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/35
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036・廣瀬與兵衞
○委員長(廣瀬與兵衞君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれで散会いたします。
午後二時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314149X05019520606/36
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