1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十日(火曜日)
午前十時三十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 梅津 錦一君
理事
長島 銀藏君
井上なつゑ君
委員
大谷 瑩潤君
小杉 繁安君
中山 壽彦君
常岡 一郎君
藤森 眞治君
河崎 ナツ君
山下 義信君
谷口弥三郎君
政府委員
厚生省公衆衛生
局長 山口 正義君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
法制局側
参 事
(第一部第一課
長) 中原 武夫君
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本日の会議に付した事件
○栄養改善法案(中山壽彦君外五名発
議)
○外国軍用艦船等に関する検疫法特例
案(内閣提出、衆議院送付)
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001・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) これより厚生委員会を開会いたします。
公報で御承知のように栄養改善法案を議題といたします。最初に提案理由の説明について中山壽彦さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/1
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002・中山壽彦
○中山壽彦君 只今提案になりました栄養改善法案の提案理由を御説明いたします。昭和二十一年以降、緊急食糧対策の基本資料として、又国民栄養の確保改善等を目的として全国的に国民栄養調査を実施して来た結果によりますと、日本国民の栄養状況は、蛋白質及びカルシウムの極度の不足が顕著な特色として現われているのであります。我が国に結核が非常に多いこと、又、トラホーム、消化器系伝染性疾患に対する抵抗力が弱いこと、更に国民の気質として、熱し易くさめ易いこと、神経質であること等の原因の大半はこの栄養上の欠陥に由来するものと言われているのであります。
この栄養的欠陷は、国民が必ずしも量において食べ足らざるが故ではなく、腹一杯食べながらも米、麦、いも等の含水炭素に偏した食事を、反省もなく摂取していることに起因するのでありまして、量においてはむしろ過食であるにかかわらず、質においては食べ足らざる矛盾をくり返しているからにほかならないのであります。
今日、日本の食糧事情は、外国からの補給を合せれば辛じて辻褄を合せ得る状態になつて参りましたことから、食に対する関心は漸く薄れつつあるのでありますが、このような質の面における重大な欠陷に目を注ぐとき、今後は量の確保もさることながら、質の向上に一般の注意を向ける必要が痛感されるでのあります。
栄養食を美食と同義に誤解し、栄養を論ずることは、もつと生活水準が向上した後でいいという誤解は先ず一掃されなければなりません。我々に必要な栄養素は経済的に安価な食品の中に十分に含まれておるのでありまして、これを合理的に配合することによつて新たに経済的な負担を課することなくして国民栄養上の欠陷を補てんすることが可能であります。それは、進歩した栄養学の研究の成果を国民の日常生活の中にとり入れることであります。即ち高価な食品の追加ではなく、我々の周囲に存在する安価な食品の選択及びその調理を合理的に改善すればいいのであります。今日までの幾多の指導実績の例からみまして、この栄養改善の成果は、量の面においては却つて摂取量を減少して食糧事情の解決の一助ともなり、又経済の面においては出費を節約し得て国民生活安定の役割を果して参つております。国民栄養の改善に関する指導行政は、従来から保健所の任務となつておりましたが、部分的にはともかく、全般的には未だ見るべき成果を挙げるに至つておりません。これは国民全体が栄養欠陷がもたらす損失、弊害を十分に認識していないこと従つてそれに対する指導を積極的に行うことが困難であつたことと、更に栄養改善の問題は、生活全般に関連を有するため、技術的な一局部の指導のみでは足らず、関係行政機関の総合体制による施策が必要であるにかかわらず、その体制ができていなかつたことに原因があるかと考えられます。
この法案は、従来生命維持の一線を健康の最低線として、専ら疾病そのものへの対策に全力を注いでいた体制から一歩を進めて、健康とは作業に耐え得る体力の保持である認識の上に立つて、これら栄養改善行政の障害となつていた原因に対してそれぞれの手当を加えんとするものであります。
法案は、四つの部分から構成されております。即ち
第一に、国民栄養調査の実施によつて国民栄養の実態を常に把握すること。国民栄養調査は国が実施の責任を負い、これに要する費用の全額を負担致しますが、執行には都道府県知事が当ることに致しております。この条項は昭和二十一年以降司令部の指示の下に実施されており、又本年度においても予算に計上されておりますものを法律的に基礎ずけたものであります。
第二に、栄養審議会を設置すること。これは国民栄養調査の結果を栄養改善に関する国の施策の中にとり入れるために、関係行政機関の協力体制及び学識経験者の動員体制を図る措置であります。審議会の新設は今日の情勢から避くべきでありますので、従来からあります栄養士試験審議会を改組いたしまして、この任務を附与することといたしました。
第三に、栄養相談所と栄養指導員を設置すること。国民の日常生活と栄養学とを連結し、且つ、栄養審議会において作られた栄養改善の政策を浸透させるための措置として末端機構の整備を図る必要があります。栄養相談所は現在東京に一カ所ございます国立栄養研究所に附置された国立の栄養相談所の機能を各保健所と結びつけて、国民の利用に便ならしめんとするのであり、栄養指道具は現在各保健所に配置されております職員のうち、医師又は栄養士の資格を有する者をして実地について積極的な栄養改善の指導を行うべき任務を課したものであります。
第四は、集団給食施設における栄養確保と特殊栄養食品の品質保持の措置を講ずること。特定多数の他人に対して、継続的に食事を供給する場合及び他人に対して栄養食品を販売する場合は、国民の各自が自己の食事を摂取する場合と趣を異にいたしますので、この二つの場合に限り、この法案は義務ずけの規定をおいております。即ち、一回百食以上一日二百五十食以上の給食能力をもつ集団給食施設であつて、医師又は栄養士が管理しないものにあつては、栄養指導員の指導を定期に受けさせることによつて、栄養的給食の確保を図ることにいたしました。又販売する食品に栄養補給ができる旨の標示、又は乳幼児用、病人用等の特別用途の標示をする場合には許可を必要とすることにしまして、粗悪な栄養食品の販売を防止することにいたしました。
以上がこの法案の提案理由とその内容でございます。
何とぞ御審議の上御賛同を賜わりますようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/2
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003・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 以上提案理由の説明がございましたが、質疑に入る前に法案の概要について内容を法制局の中原課長から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/3
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004・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 法案の各条に亘りまして、御説明を申上げます。
第一条は、只今提案理由でお述べになりましたこの法案の狙うところを目的として掲げてございます。
即ち国民の栄養改善思想を高めることを大前提といたしまして、国民の栄養状態を明らかにするために国民栄養調査を実施する。そのことを二条から七条に亘つて書いてございます。そうして栄養状態を把握いたしまして、これが改善の方途を講ずる方法としましては、国の施策の中に改善方途を織り込む組織といたしまして、栄養審議会を設けることとしてございます。これは十三条から十五条に亘つて規定してあります。国民の日常生活に栄養改善の施策をつぎ込んで行く方法といたしましては、二つに考え方を分けて規定してございます。一つは国民各自の食事に対しまして強制を以て臨むことは栄養指導の本質から考えておかしい。従つて各人の日常生活の繋がりは国民が利用するに便利な組織を設けてやるということと、必要ならばいつでも栄養指導に責任を持つて当る職員を置いておくという二つでございます。これは八条に栄養相談所の規定があり、九条に栄養指導員の規定がございます。国民の日常生活に食事を供給する場合には、各人が自分で調理をしまして自分で食べる場合と、そうでなくて他人から供給してもらう、逆に言いますと、他人へ対して継続的に多くの食事を供給して行くことを業とする施設、又加工食品を栄養補給が可能であると銘打つて売り出すことによつて、他人へ食品を供給しているもの、そういつた二つの他人への働きかけを業としているものに対しましては、もう少し強い義務付けの規定を置くということで十条に集団給食施設に対しましては、栄養指導員の指導を受ける義務を規定しております。
十二条におきまして、特殊栄養食品の標示についての許可制を設けているのであります。これらの内容を要約いたしまして第一条に目的として掲げてございます。
第二条は先ほど申しました国民栄養調査に関する条項の方途でございますが、第一項は栄養調査の目的と内容を規定してあります。第二項は実施責任者が厚生大臣であり、厚生大臣が毎年行うということを規定してございます。三項はその執行事務を都道府県知事が委任事務として行うということを規定いたしました。第二条はいずれも国民栄養調査を実施する立場からの規定でございます。
第三条は、これを受けまして調査をするものの協力義務の規定でございます。三条の一項では、その協力義務を負うべき被調査者が如何にして選定せられるかという方法を規定いたしました。この国民栄養調査は国勢調査と違いまして、国民の一部の者が調査をされるということになりますので、その選定は作意があつてはならないというために、無作意抽出法によるということを一項で書いてございます。それから二項、三項はいずれも被調査者として選定された者は国民栄養調査の実施に協力しなければならないという義務規定でございますが、国勢調査におきましては、その調査に協力をしなかつた場合には六カ月以下の体刑と五千円以下の罰金が科せられております。で、この栄養調査におきましては、一部の者がその義務を負うということ、それから又栄養調査の本質から考えまして、これらの罰則を科することなく、道徳的な義務規定にいたしております。
四条は、その国民栄養調査の事務に従事するために、国民栄養調査員を都道府県に置くという設置規定でございます。
五条は、栄養調査に要する費用は国庫が全額を負担するという規定でございますが、二十七年度の予算におきましては三千百二十四万六千円の予算が計上してございます。
六条は、調査票の使用制限に関する規定でございます。国民栄養調査の調査項目は国民の日常生活の非常に細かい部分、何を食べているかということまで立入りますので、それらの調査票を直接国民の福祉の向上を図る目的以外の目的に利用される、即ち課税の資料になされる、或いは供米の資料になされるということになりますと、真実を知ることができなくなりますので、使用制限の規定をそこに置いたのでございます。又国民栄養調査を実施する公務員は地方公務員法の三十四条によりまして、秘密保持の義務を負うことは当然でございます。
七条は、細目の省令委任でございます。
八条は、栄養相談所の設置に関する規定でございますが、この栄養相談所を保健所に附置するということにつきましては、現在保健所が持つております栄養指導行政との二元化が行われるではないかという議論がございます。併し栄養相談所の狙うところは、保健所が本来持つております積極的な栄養指導行政の面を細分するということではなくて、国民が利用するに極めて便宜な機構を保健所の中にも附属機関として設けるということでございます。
三項は、特にその栄養相談所は常に懇切に相談に応じなければならないという規定を設けることによりまして栄養相談所の今後あるべき姿をはつきりと描き出したのでございます。
九条に規定してございます栄養指導員は、これは本来保健所が従前から持つております栄養指導行政をやる義務化の規定でございます。栄養指導員は実地について指導をいたしますので、その資格は医師又は栄養士の資格を有する者に限ることにいたしました。但し当分の間は附則の二項によりまして、所要の栄養に関する科目を修めて専門学校以上を卒業した者につきましては、これらの資格がなくても暫定的に栄養指導員として任命することができるということにいたしております。
十条に参りまして、十条は集団給食施設における栄養管理の規定でございます。特定の多数人に対しまして、継続的に食事を供給しているその施設で一回百食以上、一日二百五十食以上の食事を供給することを通例としているものは、これは集団給食施設として或る程度の義務付けをすることにいたしたのでございます。それは特定多数人がそこで食事の供給を継続的に受けることになりますと、その食事に栄養上の欠陥がありますならば、直ちにそこで食事をとつている者の健康、作業能率に影響して来るわけでございます。従つてそこで供給される食事が栄養上完全なものであるように、栄養指導員の指導を定期的に受けるということにいたしました。但し栄養士を置いているもの、医師が管理をしているものは除くことにいたしました。特定多数人に関するものだけに限定いたしておりますので、一般料理店のようにたまたま多数の不特定の人が立寄つて食事をするようなものはこの対象になりません。それから又農繁期の共同炊事、共同託児所は一応この規定の適用を受けることになります。但し暫定的な施設でございますので、運用としては直接共同炊事、共同託児所の経営管理をやつている農民にこの規定をぶつけることなくして、農業改良事務所と保健所とが連絡することによつて、この規定の適用について運用上の考慮をしてもらいたいという要望が農林当局から出ておりますことを申添えておきます。これは運用上の問題でございます。
それら十一条は、これは必要があるときには報告を徴し、その必要があるときには又栄養指導員に必要な指導をさせることができるという規定で、十条に漏れたところ、それから十条では更に足らないところを十一条の調査、指導によつて補完して行くという意味で設けてございます。
次に十二条は、特殊栄養食品の標示の許可でございます。これは現在食品衛生法十三条に関するものもこちらに移し変えたのでございます。この十二条は製造制限を規定しているのではございません。作ることは自由である、売ることも自由である、但しその食品について栄養成分の補給ができる旨の標示又は幼児用、妊産婦用、病人用等の特別の用途を標示する場合には許可を受ける。いわば逆に申しますと、これはこの食品は栄養的に見て完全なものであるという推薦制度でございます。
それから十三条から十四条、十五条の三条に亘りましては、栄養審議会の設置、組織、権限を規定してございます。これは先ほど提案理由にありましたように、栄養士試験審議会を振替えまして、栄養士の試験事務をやると同時に、国民栄養改善に関する根本施策をここで論議し、関係行政機関に対して意見を具申することができるということにいたしたのであります。この栄養審議会の活動が、今後国の栄養改善に関する施策の上に大きな役割を果すことを期待せざるを得ないのであります。
それから十六条は、十二条によりまして、特殊栄養食品につきましては標示の許可制度が設けられております。で、これは標示と内容とが齟齬いたしますと、許可制度をとつた意味がございませんので、適時抜取り検査をやる。試験のために必要な收去をするという規定を置きました。但しこれは食品衛生法に規定されている食品衛生監視員をして当らしめて、栄養指導員にこの取締権限を持たせませんでしたのは、栄養指導員は専ら積極的な栄養指導に全力を注ぎ、その栄養指導は飽くまでも国民の協力と納得の下に行うべきであり、その本質をできるだけ守つて行くためにはとかく安易な遂に着き易い、強力な権限は成るべく与えないほうがいいのではないかというので、食品衛生監視員の職権にいたしたのであります。
十七条は、十二条の標示の許可を受けた者がこの法律で要求されている標示をせず、又は虚偽の標示をした場合にはその許可を取消すということにいたしたのであります。
十八条は、これは教育委員会が所管しております集団給食施設、即ち学校給食施設に対しまして、この法律を被せる場合には、教育委員会の線を通して被して行くという規定でございます。これは現在教育委員会が指導を続けておりますので、又教育委員会は一応都道府県知事とは別個の系統になつておりますので、栄養指導について二元的な指導が行われることは困りますので、こういう規定を置いたのでございます。
十九条は、特殊栄養食品の標示の許可に関する規定の違反者に対する罰則でございます。これは食品衛生法にあります現在の罰則のうち罰金刑だけをここにとつて参りました。食品衛生法ではこの違反については全般的な営業停止、営業の禁止まで規定しておりますが、そういう条項は栄養改善法の建前から考えまして、全般的な営業に関する干渉はいたさないことにしたのでございます。
二十条は、報告義務違反の罰則でございます。
それから附則に参りまして、附則の一項は施行期日でございますが、この法律は全般的には公布の日から施行いたします。但し栄養審議会に関する規定及びこれに伴つて現在の栄養士試験審議会に関する条項を削ります部分だけは十二月一日から施行するといたしましたのは、栄養士の試験が間もなく行われますので、現在栄養士試験審議会において準備中でございます。でその試験事務が全部終了するまでは現在任命されております委員のかたを動かすことは支障を来たしますので、その事務が完了する日を大体十一月一ぱいととらえまして、十二月一日からの施行にいたしたのでございます。附則の二項は、先ほど関連して申上げました栄養指導員に関する経過規定として資格を緩和した規定でございます。
三項、四項、五項、六項、七項はいずれもこの法律制定に伴いまする関係法律の整理でございます。
以上説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/4
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005・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 概要の法案の説明が終りましたので質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/5
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006・藤森眞治
○藤森眞治君 政府のほうへお尋ねするのですが、国民の栄養調査をやりまして、そうして栄養調査の結果、或る欠陷が発見されたという場合には、その結果はいずれ審議会のほうで審議されると思いますが、今これに対しまして政府のほうでこれを改善する、或いは栄養をどういうふうに持つて行くということについての裏付がこれにできるかという問題があるのですが、これについての御所見を先ず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/6
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007・山口正義
○政府委員(山口正義君) 栄養調査の結果現われて参りますいろいろの欠陷に対処いたしますために、その後の行政をどういうふうにやつて行くかということ、栄養指導方面に関しましては、私どものほうで、厚生省におきまして、いろいろ案を立てて、そうしてそれを指導して行くようにいたします。又実際に食糧その他が足りないために欠陷が起つて来るというような状況に対しましては、それぞれ生産省にこちらから資料を出しまして要求を出す、そうしてそちらの方面の欠陷を補つてもらうように今まで折衝して参りました。今後も只今藤森先生のおつしやいましたように、結果は栄養審議会のほうに出していろいろ具申をして頂く。その栄養審議会の御意見に基いて私どものほうは私どもとしてやつて行こう、或いは生産省に対していろいろ折衝するというようなことをやつて行きたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/7
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008・藤森眞治
○藤森眞治君 今提案理由にもありましたように、いろいろの国民栄養上の欠陷があるということが明らかなんで、然るが故にこういう法律もできたわけです。ところがその欠陥がわかつた場合に、これは指導だけではいけない、又関係各省ともいろいろ話合いができるにしても、相当に大きな予算の裏付がなければこれも実行できんではないかという気がするのでありますが、そういう予算的な面についても御考慮なさつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/8
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009・山口正義
○政府委員(山口正義君) 欠陥の現われております部面、いろいろございますが、只今御指摘になりました予算を伴うというような部分も考えられます。例えば栄養調査の結果、無機塩類のうちにカルシウムが足りないというようなものにつきましては、カルシウムを加えた許可食品を作るというようなことを農林省、つまり生産省と一緒になつてそれを推進するというようなことをやつております。現実に今後予算をどういうふうにどのくらい必要であるか、どういうふうに持つて行くかというようなことにつきましては、只今のところ具体的には申上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/9
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010・藤森眞治
○藤森眞治君 次にお伺いしたいのは、栄養調査の実施者は厚生大臣で、執行者は都道府県知事と、こういうふうに相成つておりますが、これにつきまして、第五条で、栄養調査の費用は国庫が負担すると、こう明記されておりますが、この執行者との関係で地方財政のほうへ負担をかけるというようなことの起る様子はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/10
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011・山口正義
○政府委員(山口正義君) 国民栄養の調査につきましては、その費用は全額国庫が負担いたしまして、昭和二十七年度は約三千万円計上されております。これはその枠を一応きめまして各府県にそれを伝達してやります。国民栄養の調査につきましては、府県に負担をかけるということはないようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/11
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012・藤森眞治
○藤森眞治君 次に特殊栄養食品の標示、第十二条ですが、これについてお伺いしたいのでありますが、これは食品衛生法のほうから来ておりますので、一応私どもも現在ではこれを認めておりますが、併しこの国民栄養改善思想を普及するというような考え方から持つて行きますと、この乳幼児或いは妊産婦等、こういうようなものに対する栄養品というものは、むしろ製造業者等に自由に作らせる。自由競争の下に作らせる。そうしておいてその内容を標示する。で若し内容の標示されていないものがあれば、これは栄養品としてとるに足らないものになつて来ますので、一般公衆もこれを買ううようなことはないと思います。栄養品の内容を標示したものに用紙をつけて、そうしてそれが果して内容と標示され、ておるものとが一致しておるかどうかということについて、絶えず検査をするということのほうが、本当の栄養食品をよくするということになるのではないかということが考えられますのと同時に、各必要者が、一般公衆が必要とする折に、標示されておるものを見て、自分の子供はカルシウムが足らないからカルシウムが幾ら入つておるものを買うべきだという判断をさす、こういう思想を国民一般に植えつけるということが、栄養改善の一つの大きな趣旨ではないかと、こういうふうに私は考えるのでありますが、現在におきましては、これは標示すると、そうしてそれの標示をするためには許可を経るということなのですが、ややもすると標示された標示と内容とに若干の食い違いができたり、或いは内容と一致しておらないようなことがあるというそしりをよく我々は聞きますので、それよりもむしろ当事者に自由競争で製品を作らせて、そうしておいて内容はそれについて皆標示させる。そうして国民は、自分の栄養改善といいますか、適当な栄養食品を選ぶという線から自由に選擇さす、これが即ち栄養思想を国民に植え付けるようになるのだというふうに考えられるのでありますが、そういう点につきましては、政府のほうではどういうふうにお考えになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/12
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013・山口正義
○政府委員(山口正義君) 藤森先生のおつしやつたことは私どもにもわかりますが、ただ考え方によるのではないかと思うのですが、私どもとしましては、そういう特殊用途の標示をいたします場合に、一応こちらで許可をしてそうしてどういうものを許可したかということをはつきりつかんでおいてそうして今度は看板に偽りがあつては困りますので、それをときどきチエツクしまして、そうして若し許可をしたときの条件と違つておるというような場合にはそれを取消すというようなことにして、標示が正しくされるように持つて行こうと、そういう考え方でやつております。自由に標示をさせまして、それを国民の選擇に任せるというのも一つの方法じやないかと思いますけれども、私どもは標示を正しくするという意味で、それを許可制にしたいというふうに、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/13
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014・藤森眞治
○藤森眞治君 まあ御趣旨の通りで、これまでいろいろ薬品にしろ何にしろこの方法がとられておるのですけれども、殊に栄養改善ということから考えると、国民に栄養改善の思想を注ぎ込むということが、非常に大眼目なのでありまして、むしろ絶えず国民が栄養についての内容、その他について関心を持つておるということが、一般公衆の栄養改善思想を高めるのに役立つのじやないかというふうに考えられますので、これは現在の方法としてはこれでよろしいのでありますが、今後においてこれは研究する余地があるところではないかというふうに考えますので、若し政府のほうにおいても、なおそういうところで考えなければならないところがあるならば、そういうような方向に進めるように努力されたいという私は希望があるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/14
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015・長島銀藏
○長島銀藏君 この法案は本委員会におきまして、保健衛生、栄養その他のエキスパートが御提案者になりまして、事前に十分検討されておるものでございますからして、私の考え方から申しますると、御質疑或いは討論の省略をお願いいたしまして、直ちに採決に入つてもらいたい動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/15
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016・河崎ナツ
○河崎ナツ君 委員長、その前にちよつと質問があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/16
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017・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それでは長島さんの御動議は、暫時御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/17
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018・河崎ナツ
○河崎ナツ君 今の長島さんのお言葉でございましたが、私どもも提案者の一人になつておりますので、もう一つ念をここに押したいと思います。先ほどの中原さんの御説明のところをもうちよつとお伺いしたいと思うのですが、十四頁の附則の第二でございますが、こういう人たちも指導員になる。指導員はお医者さんと保健婦、栄養士さんがなつておりましたが、こういう人たちもなれる。当分の間こういうものを置きますということは、保健婦さん、栄養士さん、お医者さんのほかに、こういうものを置く必要というものはどういうことを意味するかということについて、もう少し……、私どもの考えておることと違つてはいけないと思いますので、あなたの解釈を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/18
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019・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 只今の御質問は、この附則二項の経過規定がどうして必要かという御質問でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/19
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020・河崎ナツ
○河崎ナツ君 保健婦さん、栄養士さん、お医者さんが指導員になるというのでは、数が足らないからですか、それともこういうような資格に適当しておる人たちで、そういう仕事をしておる人もそれを含ませるという意味なんですか、その辺のところを、これを置く必要ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/20
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021・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) これは大体全国的に、本則に書いてございますように、医師又は栄養士の資格を持つた者が得られるかと思います。全般的な数字を拾いますと得られる予定でございます。ただ地域的にたまたまそういつた人が得られない場合の手当としまして、同じような、知識を持つておる者については一応暫定的に認めて行こうということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/21
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022・河崎ナツ
○河崎ナツ君 そうしますと、丁度こういうような資格を持つた人たちが、農林関係のほうの改良普及課の生活指導員、あの人たちの資格でこういう資格を、丁度ここできめられております資格を持つた人たちは試験なしで指導員になれるという、丁度この資格が適当して、而も仕事が農村におきまして生活指導員の一般的なものがありますけれども、殊に栄養の問題もよくやれる関係につきまして、どう解釈したらいいでしようか、ああいう人たちがなれるか、そこまでは含まれておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/22
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023・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 生活改良員のかたがたが、この附則の二項に書いてございますような経歴を持つておられる場合には当然なれます。で、その資格を持つておられないかたがたは栄養指導員という肩書を以て指導に当ることはできません。但しこの法律では栄養指導員でなければ栄養指導をやつたらいかんということは書いてありませんので、生活改良事務の一端として、農村における食生活の改善に従来通り仕事をお続けになることには、何ら影響はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/23
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024・河崎ナツ
○河崎ナツ君 私はそう解釈していたんですが、はつきりいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/24
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025・井上なつゑ
○井上なつゑ君 政府のほうに伺いたいんでございますが、この目的でございますが、国民の栄養思想を高めるということでございますが、この栄養調査は、国民調査票は大変制限ずけられておるのですが、ほかの栄養調査以外に使つてはならないという制限をつけられております。これまで厚生省で国民の栄養調査をしておられました例から見まして、どうも国民の栄養調査そのものが秘密調査というわけじやございませんけれども、私ども過去一、二回栄養の成績表を見せて頂きたいと思つたことがございますけれども、これは余り部外に持出さないとか何とかで、なかなか見せて頂くのがこれまでむずかしかつたと思うのでございます。そういうように栄養調査の結果が審議会だけということになつて参りまして、いろんな他の方面に使われては困るという心配の下に余り広く出さないということがありましたが、この栄養改善の思想の普及ということになりますと、非常に私はそこにいろんな大きな誤解、間違いができるんじやないかと思うんでございますけれども、これはどういうふうに調査の結果を発表なさいますか。ここに書いてある指導者だけに、その結果を発表なさいますか。もつと広く国民の目に知られるようになさいますか、ちよつとその点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/25
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026・山口正義
○政府委員(山口正義君) 本法の中にございます調査票の使用制限を、先ほど中原課長から説明もございましたが、ほかの目的、例えば税金関係とか或いは米の供出というようなことに使われては困るので制限を設けてあるわけでございまして、栄養調査の結果、総合結果を秘密にするというようなことは、私ども現在全然考えておりません。ただ昭和二十一年以来、栄養調査を実施しておりました経過の中で、或る時期において関係方面から発表を一時制限されたことはございましたけれども、そういう事態が解消されました以後は、その栄養調査の結果につきましては、いろんな方法を用いてこれを発表するということを実施いたしておりますので、この栄養調査の結果を世の中に知らせるということについては、何ら制限を設けるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/26
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027・井上なつゑ
○井上なつゑ君 それではもう一つ伺いたいのですが、それではその発表なさいます方法、何か具体的な方法をお考えになつておられましたら承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/27
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028・山口正義
○政府委員(山口正義君) いろんな印刷物にして発表いたしましたり、或いは講習会その他の会合の場合に発表いたします。そういうふうなことをやつて行きたいと思つております。今までも厚生省の印刷物といたしまして、国民栄養の現状というのを、国民栄養調査の成績をまとめて今まで定期的に出しております。今後もそういう方法を続けて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/28
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029・井上なつゑ
○井上なつゑ君 もう一つ伺いたいんでございますが、この栄養改善法というのは非常に結構でありますが、これは指導をされるかたの面が非常に強くこの法律案の中に出されておりますと思います。指導なさるかたの法律でございますが、指導される一般国民の側に立つて見ますときに、これは非常に有難い、これもしなさい、あれもしなさいと指導をして頂くということは非常にいいと思うんでございますけれども、国民の側に立ちまして、日本の今日の国民の厚生、生活、こういう面を考えましたときに、なかなかこの法律案に示される通りに、この法律の目的が、直接に、早くに効果を奏するかどうかということは、非常に私は疑問だと思います。何となれば、この家庭の構造にいたしましても、それから台所の設備にいたしましても、これは非常に大きな而も日本の国民の生活に欠陷を持つておりますのでございますが、そうした台所の改善とか、それからあの主婦の生活の中の調理の方法とかいう面も指導なさるのでございましようけれども、これらに対しまして、厚生省当局としてはどういうふうにお考えになつておられましようか、ちよつと承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/29
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030・山口正義
○政府委員(山口正義君) 只今井上先生のおつしやいました指導を強制するようなふうな臭いがあるんじやないかというようなお話でございました。この点につきましては、私ども立案しました立案者のほうから、いろいろ厚生省としての意見を聞かれました場合にも、そういうふうな私どもの意見は申し上げたのでございます。私どもといたしましては、指導いたしますのは、両方ともよく理解をし合つて、強制するということでなしに、よく十分理解をさしてやらなければならない、そういうふうに考えております。この指導の効果を十分現わさせるようにいたしますのは、やはり指導に当る人がその心構えで以て十分指導される人の気持を理解して、その仕事をやつて行なければいけない、そういふうに考えております。家屋の構造とか或いは従来の習慣というようなことを十分考えて、栄養につきましても、食生活につきましても、指導して行かなければならない、そういふうに考えております。只今井上先生の御心配のような点を、私ども今後この法に基いて行政をやつて参ります場合には、指導に当る人が十分指導を受ける人に理解さして、納得さして指導をして行くように、むやみやたらに強制的な態度で当るべきでないということは、これは従来もいろいろな指導行政の場合に、その点を強く考えて参りましたが、今後も特にこの栄養指導、栄養改善というような指導、行政につきましては、その点を指導に当る人に十分徹底さして、そういうことをよく理解さして、そうして指導に当らせたいそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/30
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031・井上なつゑ
○井上なつゑ君 もう一つついでに伺いたいのでございますが、大変只今局長のお言葉で私も安心いたしましたのでございますが、何と申しましても日本の家庭の台所が非常に悪いのでございます。これはもう私どもよりも専門のその道におられます栄養関係のかたは御承知だと思うのでございますが、厚生省としまして、こういうような法律が出ましたからには、今度は台所の改善、これまでも農村に参りますと随分台所の改善をしておられますけれども、この頃は私どもの住宅にいたしましても、便所の改善をしますと、水洗便所にしますと、改善費の何割か国庫補助があるとか、都道府県の補助があるとかいうんですが、そうした台所の改善までお考えになつて、何とか本年度は行かなくとも来年なり、今後に、台所の改善の予算なんか厚生省でおとりになるおつもりは、そうした方面にまで進展して行くおつもりはないのでございましようか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/31
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032・山口正義
○政府委員(山口正義君) 只今井上先生のおつしやりました便所の改善に対します国庫補助、これは数年前あつたのでございますが、その後いろいろ予算折衝の場合に、各家庭のいろんな施設の改善に国が補助することは、個々の家庭の改善に国が補助するというのはおかしいじやないかという線が出て参りまして、現在では国の補助は出しておりません。東京都が補助を出しております。従いまして、来年度台所の改善にすぐ国が補助を出すような動きをするかどうかというふうなことは、私ちよつとここではつきり申上げられません。ただこういう台所の生活に関係いたしまして、私どものほうで今年度予算をお認め頂きました簡易水道の予算がございますが、ああいう簡易水道の助成予算によりまして、台所の生活を少しでも改善さして行きたい。そういうふうなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/32
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033・河崎ナツ
○河崎ナツ君 厚生省に希望でございますが、先ほど栄養指導員の資格につきましてのことで、とつくり肚にはまりましたから、あなたのほうの御意見伺つておきたいのでございますが、医師栄養士という正式なもののほかに、当分の間この附則にありますような人たちを指導員にするということ、これは実施に当りまして、丁度それと同じような資格で現に農村で生活指導を殊にやつております、ああいう農業の改良普及員の中の生活指導員一千人ほど全国にありますが、ああいう人たちを積極的に、丁度農村の保健婦を中心にしての、農村で両方とも指導する立場にある栄養士さん、そういう人たちがあるわけでありますから、できるだけそういう人たちも、適格者の場合には指導員として行くというような、厚生省においての積極的なそういうふうなにはございますか。それともとにかくこういう資格であつたらするというときに、まあいろんな学校の卒業生もありますから、選ぶときにそういうのを考慮して、農業改良普及員の中の生活指導員の人たちを考慮に入れますか、その辺のことにつきまして伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/33
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034・山口正義
○政府委員(山口正義君) この栄養指導員というのは先ほど中原課長からも御説明がございましたが、身分法でなしに職名でございますので、この法律にもございますように、県とか市がそれを設置するということになりますので、やはり予算を伴いますので、予算の範囲内でやはり只今河崎さんのおしやつたようなお話の線に成るべく努力して行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/34
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035・長島銀藏
○長島銀藏君 先ほどの動議を撤回いたしまして、質疑を打切り、直ちに討論に入ることの動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/35
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036・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 只今の長島さんの動議御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/36
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037・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないものと認めまして、質疑を打切り、直ちに討論に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/37
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038・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 今回のこの法律が出ました場合に、先刻の説明にもありましたように費用が僅か三千二百いくらですか、三千二百万そこそこの金でありますし、殊に審議会に対する費用が、聞くところによると三十万円そこそこしかないというような話を聞いておりますのですが、このくらいのことではなかなか今後大いに発展する上において非常に困難だと思いますので、是非ともこの次には何かの機会にできるだけ費用をとつて、折角できた栄養改善法が実際に活用されまするようにやつてもらいたいという希望を持つております。それからなおその上に、この第二十条の所を見ますと、第十一条の第一項に対する罰則がございますが、即ち集団経営者が報告をせいと言うた場合に、報告をせなんだ、又は虚偽の報告をしたという場合に、まあ金額から言うたら僅か五千円でありますけれども、処罰されるということになつておりますが、無論虚偽の場合には処罰をしてもいいけれども、報告が遅れたとか、忘れたとかいうような場合にまでせずに、これは道徳規定にして、報告はせんければならんというふうに、よく示してやられるならば、それで十分ではなかろうかと存じますので、今後は一つ運営の場合においてそういう点を十分に勘案して頂きたいと思います。まあそれだけ私は希望をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/38
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039・山下義信
○山下義信君 私は提案者の一人になつておりますから、討論をする必要もないのでありますが、この機会に一言提案者の一人といたしまして本案に対しまする、何と申しますか、立法意思の一端を申上げておきたいと思うのであります。
本案は率爾として見ますると、栄養改善のことのみをとり上げておる。これは見方によりますと、率直に申上げて何か栄養士をかばうて栄養士の人のために作つた法案のごとくややもすると解する人があるかもわからない。併し私どもはそういう極めて小さい観点からこの法案を作るのじやない。又栄養改善ということだけを狙つてやるのではない。かくのごとき法案を提出をし、国をして栄養改善に意を注がしめようとするゆえんのものは、もつと大所高所から狙うのである。大局的に見まして、国民の生活をもつと改善し、国民の福祉を増進するという大きな観点に立つて、その一端として栄養改善という点に留意をして行こうということにあるのであります。言うまでもなく我が国の、殊にお互いの分野におきまして最も大きな問題は、我が国に社会保障制度を確立せしめるということである。その社会保障制度の確立とは、言うまでもなく国民の生活水準を高め、貧困を防止し生活を保障して行くということにあるのでありまして、帰するところは国民の生活のあり方の問題である。従いまして、先ほど質疑のときに同僚諸君から縷々その生活改善の面につきましても誠に示唆に富んだ御発言がありましたが、私どもはその国民生活のあり方、その中には只今井上委員からもお話のありましたような生活形態の面もありましよう。内容の面もありましよう。いろいろありましようが、そういう国民生活のあり方が今のようなあり方ではいけない。今のようなあり方そのままでは、国民生活の水準を高めるとか、低めるとか、その水準が幾ら回復されたかというようなことを幾ら言つてみたところで殆んどナンセンスである。これはしつかりした国民生活の改善の手を政治の上に打つて行かなければならんということを痛感しておる。我々厚生委員というものはそれが大きな目標であると平素本員は考えておるものであります。その一端として、従いまして社会保障制度審議会におきましても、勧告の中には生活の科学化をこれからやつて行かなければならんということを謳うてある。我々も満腔の賛意を表ずる。そういうことでこの法案が出るのでありますから、本案を執行する上におきまして、行政当局はただ栄養改善、ただ栄養士という小さいところだけにいつも目を奪われておつては相成らん。大きな観点から国民生活を改善させ、その福祉を増進するという大目的に邁進する覚悟を持つてもらわなければならんと私は思う。従いまして、本案を執行いたします厚生当局、殊にその局に当りまする公衆衛生局の責任や誠に重大であると申上げなければならん。公衆衛生局の仕事はこれだけじやない。その他ことごとく然りでございまするが、殊に国民に、而も何と申しますか、法律の内容は直接ではないけれども、印象としましてはその生活に、台所に直結するかのごとき性格を持つておりまするこの種の行政をするに当りましては、極めて民主的に、懇切丁寧に、全く国民にサービスをするという面目を発揮してもらわなければならない。そうして殊に従来も栄養行政をやつておいでになるのでありまするが、法律の裏付を持ち、それを強化して行くという新しい門出に当りましては、気持と言いいろいろこの新角度から今後のやり方を検討して頂いて、そうして何というか、新しい決意を持つて出発して頂かなくちや私はならんと思う。新法律ができ、新しい方向が示されたにかかわらず、それに従事するかたがたが若し古い考えで旧態依然の形で当つてもらつたのでは、法律を作つた甲斐がない。国会が意思を定め、国がこういうふうにやつて行こうという折角の志が水泡に帰する。これを活かすも殺すも私は行政当局関係者各位の新しい決意で進んで行かれるかどうかに私はあると思う。然るに、私は率直に申上げる、この法案の国会におきまする立案の苦心というか、関係者各位がいろいろ御尽力なされる最中に、厚生当局の一部におきましては、甚だ好ましからぬ言動のあつたことを私は指摘せざるを得ない。これは部内においては一つのことについて、それをとるか、とらざるかということにそれは連日連夜激論されてもよろしい、口角泡を飛ばして意見を闘わすもよかろう。併しながら部内の意見不統一をそのまま部外に出して、かれこれするというがごときことは儼として戒しめなければならんと私は思う。これはそれらの事実のあつたことについては、私は政治的にこれは考慮しなくちやならないということをここに申しておきます。併しながら我々の敬服する局長が将来十分御心配下さるならば不問に付するけれども、私どもはこういうことは甚だ好ましくないということを、この際申上げざるを得ないのであります。まあ以上いろいろ申上げましたが、要するところ我々の狙いとするところは、ただに栄養士のために図るのじやない。又栄養改善というそういう小さいところにとどまろうとするのじやない。もつと国民生活の改善、向上、福祉の増進という大局のために図るのであるということを、十分行政当局は玩味せられまして、法の運営について万全を期して頂きまするようにということを要望を申添えまして、私は社会党第二控室を代表しまして、本案に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/39
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040・小杉繁安
○小杉繁安君 昨年渡米いたしまして、向うの食糧事情を視察した際に、一番感じたことは栄養改善でございます。そういう意味において、このたびこういう案が生まれたということについては、満腔の意を表して賛成いたします。つきましては、厚生省としても、この法案を十分効果的に執行なさるように切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/40
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041・井上なつゑ
○井上なつゑ君 先ほどから山下議員その他の皆様方によりまして、すでに言い尽して頂いておりますので、もう申上げることはございませんけれども、とかく日本人の生活の中の衣食住のうち食というものはこれまで私どもの生活で、何と申しましようか、表へ出されないというような傾向がございましたために、今日こうした本当に低いところの食生活をせなくてはならなかつたと思います。それにいたしましても、今回この栄養改善法案ができましたことは、そうした食に対する国民全般の考えが変り行く上におきまして、非常に大切な法案だと私は心得ております。それでございますので、政府におかれましてはこれを運用して頂きますときに、先ほども山下議員からおつしやいましたように、生活全般の向上を図りますために一番大事な食の問題でございますので、そうしたことを十分意にお留め下さいまして、延いては住居の問題でございますとか、衣類の問題にもなりますが、この法案を運営して頂く上におきまして、台所の改善にまで及んで頂きたいということを切に念願して止まないのでございます。と申しますのは、私ども家庭におきまして、家庭料理をいたしますもののための大半は、今日の不完全な台所、その設備に力の大部分が浪費されております。そうした意味におきましても、たとえこの法律ができましても、そうした不完全な設備のところでございますので、この栄養改善法が完全に私は運用できないと思うのでございます。でございますので、この法律の完全な運用に当ります上にもそうした住居の問題と言いましようか、台所の改善ということを先ず何よりも先にお考えを頂きますようにお願い申上げ、要望いたしまして、私もこの本法案に賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/41
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042・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) ほかに御発言はございませんか……御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/42
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043・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) では御異議ないものと認めます。
これより採決に入ります。本法案を原案通り可決することに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/43
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044・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされるかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
長島 銀藏 井上なつゑ
大谷 瑩潤 小杉 繋安
中山 壽彦 藤森 眞治
常岡 一郎 河崎 ナツ
山下 義信 谷口弥三郎発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/44
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045・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 署名漏れはございませんか……署名漏れないものと認めます。
なお、本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/45
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046・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 異議ないものと認めます。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/46
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047・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて、
公報で御報告申上げましたように、外国軍用艦船等に関する検疫法特例案を議題といたします。すでに提案理由の説明が終つておりまするので、直ちに質疑に入りたいと思います。御質疑のあるかたは順次お願いいたします。私から一言お尋ねしたいのですが、この際明瞭にしておきたいことは、衆議院においてこの法律案を審議したその過程で、何かこの法案をめぐつて問題があつたように承わつておりますが、その点を明瞭にするために、山口局長から一応御説明願たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/47
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048・山口正義
○政府委員(山口正義君) 只今お尋ねの衆議院における審議の経過についての何か問題があつたのではないかというふうなお話でございますが、只今御審議頂いております外国軍用艦船等に関する検疫法特例案と申しますのは、昨年五月、国会におきまして御審議頂きまして、可決して頂きました検疫法の中に、軍用艦船、軍用航空機につきましては、別に定めるというのがその検疫法の第二十二条にございます。この今回御審議願つております。この特例は、本来ならば検疫法の第二十二条につきまして、外国の軍用艦船、軍用航空機につきましては、別の法律を作つて行かなければならないわけでございますが、併しながら軍用艦船、軍用航空機とは申しながら、従来の国際慣例によりまして、軍用艦船、軍用航空機につきましては、相当程度の便宜が図られておりますけれども、やはり検疫の原則には合わなければいけないわけでございまするので、若し第二十二条によりまして別に法律を作るといたしますと、昨年御可決頂きました検疫法と同じように、一条からずつと長く各条文に亘つていろいろ法律を作つて行かなければならない、相当部分重複する部面がございますので、その重複を避けますために、外国の軍用艦船、軍用航空機といたしましても、大体検疫法によつて検疫を受ける、但し従来の国際慣例上軍用艦船、軍用航空機につきましては特別に便宜をうえるというふうなことで行つたほうがいいのではないかというので、この検疫法の特例という形でこの法律を提出いたしまして、御審議を願うということにしたのでございます。それがたまたま丁度行政協定に基きますいろいろの取極が取極されました時と殆んど時を同じうして、これを御審議頂きますように提出いたしましたために、恰も行政協定と特別に関係があつて、行政協定に基いて何かこの法律をお願いしておるかのように誤解を受けた点が一部あつたかと、そういうふうにも考えております。そういう点で、この法律案を提出いたしまして、御審議頂きますその当時は、飽くまで従来の、昨年可決して頂きました検疫法の特例として、今回講和が発行いたしまして外国からの軍用艦船に対しましても自主的にいろいろ検疫を行い得る立場になつたというために、この案を提出いたしましたので、その間に少し食い違いが、誤解を招いたような点がございまして、いろいろ問題があつたのでございます。極く概略を申しますと、そういう点が大分問題になつたようでございます。重ねて申上げますと、この只今御審議願つております検疫法特例は、外国から参ります軍用艦船に対しまして適用する法律でございます。国籍の如何を問わずそれに適用する、そういうふうな考えで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/48
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049・井上なつゑ
○井上なつゑ君 ちよつとお伺いいたします。検疫を行う港又は飛行場と、第三条にございますが、その以外の場所においても行うということになつておりますが、これはどこへ船が着いたら検疫しに来いとか、この飛行場に着いたら来い、ということでありますが、それともどこの飛行場へでも検疫官が行くというようになつておるのですか。それともどういうようになつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/49
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050・山口正義
○政府委員(山口正義君) 只今御質問の点も、衆議院の委員会でいろいろ御議論のあつた点でございますが、この第三条だけを見ますと、どこへでも勝手に入つて構わないというふうに考えられるのでございますが、併し従来の国際慣例からいたしますと、大体軍用艦船が入つて参ります場合には、あらかじめ通告をしておいて、そしてそこへ入つて来て検疫を受けるというようなことになつておりまして、現在までの行き方からいたしますと、大体こちらの検疫施設を持つておる所へ入つて来ておるというようなことになつております。ただ元の、元と申しますか、検疫法そのものでございますと、そのきめられました港以外には絶体に入れないというふうになつております。ただ軍用艦船、軍用航空機の行動をそこまで束縛いたしますことは、国際慣例上しないことになつておりますので、入り得るというふうな建前をとつて、きめられた港以外でも入り得るという建前で、第三条があるのでございます。これを積極的にどこへ入つても構わないのだというふうに、非常にルーズにこれをしておるのだというふうに私どもは解釈いたしておりません。国際恒例上もそういうふうには考えておりません。ただ非常に厳重に束縛するのではないという趣旨なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/50
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051・藤森眞治
○藤森眞治君 外国の軍用艦船ですが、これは日本と平和条約の締結されておる外国という意味なんですか、又条約のできておらない国も含むのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/51
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052・山口正義
○政府委員(山口正義君) これはそういう条約の如何にかかわらず、すべての外国の軍用艦船、軍用航空機と、そういうふうに、それに適用する考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/52
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053・藤森眞治
○藤森眞治君 そうしますると、中共であるとか、或いはソ連であるとかの軍用機等が入つて来たというようなときに、果してその検疫ができるかということにも実際上は問題が起きるのではないかと思いますが、その辺の、その国際的の関係は如何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/53
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054・山口正義
○政府委員(山口正義君) 狭く考えまして、検疫という立場から考えますと、それは検疫の対象になるのでございます。そのもう一歩前に、そういうまだ平和条約を結んでいない国からの軍用艦船が日本に入り得るか、入つて来るかどうかということにつきましては、これは検疫のもう一つ前の、いわゆる国際関係がございますので、そういう事態が起つて、その話合いがついて入つて参りまし場合には、これは当然検疫をなし得るものと、そういうふうに私どもは解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/54
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055・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/55
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056・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/56
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057・井上なつゑ
○井上なつゑ君 この第七条に、艦内隔離となつておりますのが、その前に第十三条、十四条の規定が出ておるようでございますが、そこは如何なんでございましようか。あちらの人の伝染病が、外国の人に伝染病がたくさん出て、長浜の検疫所のような所で検疫しなくちやならないような必要性はないのでございましようか。長浜でございますね、外国の人が随分たくさん入つておりまして、そのうち何十人か隔離されて、病院に入つておるのでございますけれども、外国のかたがそんなにたくさん軍艦一つが全部隔離されなければならんという場合はないのでございましようか。その見通しはどうなのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/57
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058・山口正義
○政府委員(山口正義君) 外国の人、これは軍艦だけでなくて、一般商船の場合も同様でございますが、今までではそうたくさんの患者が一遍に来るというふうなことはなかつたのでございます。軍艦につきましては、若しもそういう患者が発生いたしまして、健康者は現在の検疫法によりまして、商船でも軍艦でも同じでございますが、船の中に健康者の隔離と申しますか、停留する施設があれば、それへ停留させてもかまわない、ところが患者のほうは一般の商船でございますと、検疫所の中の隔離施設に隔離しなければならないということになつておるのでございます。併し軍艦につきましては、若しも広い軍艦の中に完全な隔離施設があつて、そうして軍医が責任を持つてそれを監視するという場合には、軍艦の中に隔離しても差支えないというのがこの七条なのでございます。実際に患者が二人か三人出て、たくさんの者が、その同船者を全部一応健康隔離しなければならないというような場合には、普通はその船そのもの、或いは軍艦そのものを健康隔離の場所として使うようになると、そういうふうに考えられます。長浜の施設にそうたくさんの人間を一遍に揚げて、そこで隔離するというふうなことは起らない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/58
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059・藤森眞治
○藤森眞治君 もう一つお尋ねしますが、若し外国の軍用、殊に航空機ですが、これは戦略上日本に入つて来て又どつかに行くというような場合に、これは戦略上のために発表されないかも知れない場合があると思いますね、そういうことはありませんか。又そういうように検疫法がありましても、やれないという場合もあるのじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/59
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060・山口正義
○政府委員(山口正義君) その戦略とおつしやいました場合に、一般の外国の軍用艦船、軍用航空機という場合と、それからもう一つは別に、行政協定で駐留軍に対するいろいろな今取極が行われておりますが、そういう場合に戦争状態に入りますと、これは検疫は、やはり軍の手に任さなければならないと存じますが、別の状態におきましては、軍用艦船、軍用航空機は全部この法律に基いてやるというようになります。只今藤森先生のおつしやいました戦略上というふうになりますと、これは戦時状態になりますと、やはり軍に検疫を任せなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/60
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061・藤森眞治
○藤森眞治君 例えばアメリカの航空機が日本に入つて、それがすぐ朝鮮へ出て行くというふうなことも、これはあり得ることじやないかと思うのです。そういうふうな戦略上幾ら飛行機が入つて来たか、いつ入つて来るか、これは発表されない。それは全部戦略上のこれは一方のほうの行政協定その他できめられる、これは平時も軍用機というふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/61
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062・山口正義
○政府委員(山口正義君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/62
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063・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 私から 一点……。まあ戦前であれば別に問題はなかつたと思うのですが、戦後特に日本のこうした貧弱な国力から、完全にその検疫法が施行されるとお考えになりますか、如何でございましよう。今までの経過から見て……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/63
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064・山口正義
○政府委員(山口正義君) 平時でございますと、この外国の軍用艦船、軍用航空機が国内に入つて参りますのは、そう数の多い問題ではございません。これは私どもの手で十分現在の手でやつて行けると思うのでございます。ただ先ほどからお話しておりましたように、駐留軍につきまして非常に出入りが多いというときに、現在私どもの持つている手だけで十分に検疫ができるかどうかというお尋ねでございますが、駐留軍につきましては、先ほどもちよつと申上げましたように、行政協定に基きます取極をいたしておりまして、講和発効前の占領下におきましては、検疫の責任は連合軍総司令部のほうで持つておりまして、日本側がそれに対していろいろ手を貸してやつていたのでございますが、講和発効後におきましては、我々が責任者となつて、日本の検疫当局が責任者となつて、そうして駐留軍の区域内においては駐留軍の軍医、即ち検疫官が我々のやる仕事を一応引受けてやつてくれるというふうな取極をいたしております。それによつて私どもは現在のところでは駐留軍に属します軍用艦船、軍用航空機の出入りの検疫は十分やつて行きたい、そういうふうに考えて、駐留軍の軍医、検疫官のやり方を一応取極いたしておりますので、それに信頼してやにておりますが、万一只今御指摘になりましたように、その検疫のやり方等いて考慮しなければならんというような事態が起りそうでございましたならば、その取極を更に検討いたしまして只今御指摘になりました検疫については私ども十分注意してやつて行きたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/64
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065・井上なつゑ
○井上なつゑ君 それでは公布の日からこの法律を施行するとなつておりますのですけれども、これはいつ公布なさる予定でしようか。それから講和条約が発効しましてから今日までの間、どういうようにこの状態がなつておるのでしようか、ちよつと説明して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/65
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066・山口正義
○政府委員(山口正義君) この法律が今国会で御可決頂きましたならば、直ちに公布したいと、そういうふうに考えております。講和発効からこれまでどういうふうにしてやつておつたかというお尋ねでございますが、これは講和発効後九十日間は占領下におけるやり方をそのままやらざるを得ないという取極がございますので、現在これが御可決頂いて公布になりますまでは、従来占領下においてやつておりましたやり方に基いて検疫を実施しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/66
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067・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 それではこの辺で質疑を打切りまして、討論を省略して直ちに採決されんことの動議を提出します。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/67
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068・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 質疑を打切り、討論省略の動議がございますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/68
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069・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。それでは直ちに採決に入りたいと思いますが、原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手をお願いします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/69
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070・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 全会一致でございます。原案通り可決することに決定いたしました。
それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とするかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
井上なつゑ 大谷 瑩潤
小杉 繁安 中山 壽彦
藤森 眞治 常岡 一郎
河崎 ナツ 谷口弥三郎
山下 義信発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/70
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071・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 署名漏れはございませんか……署名漏れないものと認めます。
なお、本会議における委員長の口頭報告については、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
「異議なし」
と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/71
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072・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X02419520610/72
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