1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月一日(木曜日)
午後二時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
結城 安次君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
加藤 正人君
山川 良一君
小林 孝平君
島 清君
境野 清雄君
西田 隆男君
委員外議員
油井賢太郎君
政府委員
外国為替管理委
員会委員長 木内 信胤君
外国為替管理委
員会事務局長 稻垣 一吉君
通商産業省通商
局長 牛場 信彦君
通商産業省通商
振興局長 井上 尚一君
事務局側
常任委員会專門
員 山本友太郎君
常任委員会專門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した事件
○通商及び産業一般に関する調査の件
(貿易及び為替対策に関する件)
○議員派遣要求の件
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。
公報でお知らせ申上げました通り、本日は貿易及び為替に関する諸問題を議題といたします。御承知のように、国際経済においては我が国は幾多の困難な問題に直面しているのであります。政治的には冷たい戦争のお蔭で中共とソ連とが日本の貿易相手国の中に入つて来ないばかりでなく、自由世界の仲間でありながらポンドの劣勢は経済的にポンド圏とドル圏とをはつきりと区分し、日本の立場を非常に困難にしているのであります。この局面を如何に打開するかについては、政府当局でも種々苦心されていることはかねがね承知いたしておるのでありますが、その具体的方策について当局の御説明を願いたいと思うのであります。その方策の中には勿論まだ研究中のものが多いでしようが、差支えない限りその構想を示されるようにお願いいたしたいと思います。その後におきまして委員各位より御質問その他をお願いいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/1
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002・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) お手許に資料がお配りしてございますので、それで御覧願いたいのでありますが、一番初めの昭和二十六年輸出認証統計表というのがございます。これは昨年一ヵ年の輸出を統計したものでございますが、ドル地域、スターリング地域、それからオープン・アカウント地域と分けて書いてあります。一月から十二月まで分けてございまして、計というところがございますが、そこを御覧願いますと、ドル地域が三億一千四百万ドル、それからスターリング地域が六億一千百万ドルで、これはスターリング地域はドルに換算した額でございます。それからオープン・アカウント地域が四億八千三百万ドル、合せまして十四億八百万ドルということになつております。その次の次の欄に二十六年度計画というのがございます。これは昨年の四月から本年の三月までの計画でございますが、それが十三億四千四百万ドルとなつております。従つてこの割合で行きますれば、勿論この計画は達成できるということになつております。その点だけ申しますと、非常に輸出が順調に行つたということなんでございますが、問題はこの輸出の内容でございましてこの比率というところを御覧になりますと、ドル地域の輸出が全体の二二%、スターリング地域が四四%、オープン・アカウント地域が三四%となつております。これを一九五〇年、即ち昭和二十五年でございますが、これに比べますと、同年においてはドル地域への輸出が四四%、スターリング地域への輸出が二八・五%、オープン・アカウント地域への輸出が二七・五%となつておりまして額で申しますと、ドル地域が三億四千三百万ドル、スターリング地域が二億二千三百万ドル、オープン・アカウント地域が二億一千五百万ドル、合せて七億八千三百万ドルとなつておりまして昨年は、これに比べて総額におきましては、正に倍近いような伸張を見せたのでございますが、ドル地域だけは、むしろ一昨年より昨年のほうが減つておる状況でありまして、この点は我々として非常に重大視せざるを得ないような状況でございます。これに反しまして、輸入の面を見ますと、五枚目の、昭和三十六年輸入実績表というのがございます。これは、十一月までしか実は統計ができておりませんので、十一月までにして締めてございますが、一番上の通貨地域別という項を御覧になりますと、「米国及びその属領」、「その他ドル地域」、それを合せまして、一月——十一月を合計いたしまして約十億一千五百万ドル程度となつております。差当りドル地域だけ申上げますと、十億一千五百万ドル、更に十二月の輸入がどうしても一億近くあるわけであります。この十一億一千五百万ドルぐらいの輸入に対しまして、輸出のほうは僅かに三億しかない、こういう状況でございまして、この差額というものは、御承知の通り、特需並びにそのほかの貿易外收入によつて補つておるわけであります。これは後ほど為替管理委員会のほうから御説明があると思います。従いまして昨年度のドルのバランスというものは、年初に比べますと、年末においてはやや増加しておるのであります。併し、この特需その他の貿易外收入の中には、非常に臨時的であるというように見ざるを得ないものもあるのでございます。どうしてもこれは、このギャップ、いわゆるドルのギヤツプを埋めますためには、正常輸出を伸ばして行くことが第一の手段で第二には、できるだけドルからの輸入を削減いたしましてポンドに切替える、或いはオープン・アカウント地域に切替えるということが第二の手段として考えられなければならないわけでございます。そのドル輸出促進の手段でございます、これは、戰前のごとく、例えば生糸でありますとか、そういうふうに、この品目だけやれば非常に効果が挙る、或いはそれがもう日本の輸出の大宗としてドル稼ぎの非常に大きな役割を果しているのだというような商品がなくなつて参りまして、現在陶磁器でありますとか、まぐろの罐詰、冷凍まぐろ、そういうようなものが一二を争つてドル地域へ出ておる状況であります。従つて、これはメーカーの点から申しましても、非常に力が弱い、金融力も少いというような状況でありますために、広告その他十分にできない、乃至は、まあ向う側のバイヤーの力が強いために非常に叩かれるというような状況でありまして、何としてもこれは国家の力を或る程度動員しまして、財政的、金融的な援助を與えなければならないと思う次第であります。これは、後ほど振興局長のほうから御説明申上げると思いますが、振興、つまり輸出振興外貨、これも一時いろいろな関係で中止されておりましたが、昨年の九月頃から又復活いたしましてこれにつきまして、ドル地域への輸出については特に優遇して比率を高くしておるというようなことをいたしております。それから又輸出信用保險につきましては、これは又今次国会に提案されるはずでございますが、従来もやつておりましたところを拡張いたしまして、予算も多く取つて大いにやりたいというように考えております。それから、もう一つ考えられますのは、いわゆる輸出入のリンク制でございまして、これはドル地域への輸出の実績に対してその相当パーセンテージの為替を自由に使わせてやる、それによつてその欲する物を輸入するようにして行くという考え方でございますが、これにつきましては、総合的なリンク制と個別的なリンク制とが考えられるわけでございます。総合リンク制と申しますのは、ドル地域に対してどういう品物を輸出しても、それに一定比率を掛けた外貨というものを自由に使わせることにして、それによつて、自由にどんな品物でも輸入できるようにするという考え方であります。これは一番徹底的なリンク制でございますが、これを余りやりますというと、一種の二重為替レートをきめたようなことになりまして、殊にそのリンク制によつて取得した、獲得したところの外貨の転売を認めるということになりますと、どうしてもそこに一ドル三百六十円レートを紊るようなこともございます。それから又、そのほかの点におきましても、日本の本当に必要とするような原料品の輸入ができなくなつて来る虞れもあるわけであります。総合リンク制のみによることはとてもできないのじやないか。従つて、今度は個別リンク制ということになるのでありますが、これにつきましては、例えば、日本の今のアメリカからの輸入の非常に大きな部分を占めております綿花でありますが、これはその製品が殆んど全部スターリング、オープンアカウントのほうへ出てしまう。従つて、若し個別リンク制を厳重にやりますと、綿花の輸入に差障りがありはせんかということも考えられます。この両方をどういうふうにうまくコンバイン、結合しましてやつて行くかという点は目下研究中でございまして、これは、通産省のみならず、更に大蔵省、乃至は為替管理委員会のほうとも話合いを必要とするわけでございますが、まだ内部において研究中であるという状況でございます。大体ドル対策といたしましては以上申上げたところで一応打切らして頂きます。
その次に例のスターリング地域の問題でございます。これは新聞紙上等にもしばしば報連れおるところでございますが、昨年の九月に例のイギリスとの支拂協定を改訂いたしまして、ドルクローズというものを差当り一年間棚上げにするということで以て、お互いにそれでできるだけ貿易に対する障害を少くして行こうということでスタートしたのでございますが、ところが、これは丁度又運惡くイギリスの非常な危機、丁度その時期を同じくして、イギリスが非常な危機に陷つたということになりまして、ドル準備が激減し、それから再軍備の負担によつて国内的にもインフレの進行が始まるというような状況のために、非常に日本からの輸出は伸びたのでございますが、片一方輸入のほうは余り思う通り行かない、これはスターリング地域の物価が上るに連れましてそういう現象が起つて来るのは誠にこれは止むを得ないところなんでございますが、その結果として、我々は、大体において一番たくさん溜まつたときに七千万ポンドぐらい、それから更にこれがだんだん減つて行つて、大体正常な状況に戻つたときには三千万ポンドぐらいの手持でやつて行きたいと思つておりましたのが、非常な勢いで殖えまして、現在すでに八千万ポンドをやや突破したような状況でございますし、又先行きを見ておりますと、これがむしろ減るどころか、更に殖えて来るというような虞れがあるということであります。これも後ほど為替管理委員会のほうから御説明があると思いますが、そこで、何とかしてポンドの累積を防がなければならんじやないかというように考えられるのは当然のことでございます。日本の手持ポンドの累積ということにつきましては、イギリス側でも非常に大きな関心を持つておりまして、この前の交渉のときにも、できるだけそのポンドの累積を来たさないように、日本と協力してやろうということを向うもはつきり約束しておるわけであります。でありますから、現状のようなことになりましたときには、我我としては、イギリスに対して、お前さんのほうは一体どうするつもりかということを聞いて見ることが適当ではないかと思う次第でありますが、それと同時に、日本側でも、何とかして溜まつたポンドを使う方法を考えなければならん。これにつきまして、それならば、すぐに輸出の制限をやつたらいいじやないかという議論が出て来るわけでありますが、これは日本の産業全体に対しまする非常な大きな影響があるという点から見ましても、我々としましては成るべく避けたい、非常に好ましくないことであるからしてできるだけ避けて行きたいというふうに考えております。従つて、ポンド過剩累積に対する対策としては、どうしても輸入促進を図つて行きたいというふうに考えておる次第であります。そこで輸入促進につきましてどういう手段をとるかと申しますと、第一に外貨予算でございますが、これは本年の一—三の予算から初めてそういう輸出を入れて、思い切つてポンドからの買付を促進する予算を組んだわけでございます。従つてそれで本当にこれが成功するかどうかということは、実はもう暫らくたつて見ないとわからないことでありまして、現在はなかなかうまく行かないじやないかということを言われると、我我としても甚だつらい立場にあるわけでございますが、ともかく昨年の予算におきましてドルからの買付よりもポンドからの買付のほうをうんと殖やしたような予算を作りました。数字を申上げますと、ドルからの輸入が二億八千五百万ドル、ポンドからは三億六百万ドル、オープン・アカウントからは一億七千四百万ドルという予算を作りまして、これを先年の十—十二月からのドルからの二億六千七百万ドル、ポンドからの一億二千九百万ポンド、オープン・アカウントからの一億五千五百万ドルから比べますと、常な割合でポンドヘの集中を図つたということがおわかりだろうと思うのであります。ただこのポンド地域からの物資の供給力そのものに限界のあるということは確かに考えられるのでありまして、例えばまあ濠洲の小麦でございますが、これは平年並みならば日本に対して二十万トンくらいの供給力があるだろうと我々は計算しておりました。是非十五万トンくらいは買いたいと思つておつたのでございますが、これは非常に向うが不作であつたということで、五万トンもなかなか出て来ない。目下できるだけ極力交渉中でございますが、まあ三万トン乃至五万トンというようなことを言つておるというような状況でございます。それからパキスタンあたりからの米にいたしましても、乃至はビルマの米にいたしましても、そういう大きな品物において今年は非常に出来が惡かつたというような不幸な事態があつたわけでございます。それからその次には値段の問題でございまして例えばパキスタンの綿を買いますというと、米綿よりも約三割くらい高いということがあるのでございまして、純粋な採算的な面から見ればポンド地域から買うほうが損だという品物が割合に多いのでございます、そうでないものもあるのでございますが、大体平均して一割から一割五分くらいポンドのほうが高いのではないかということがございまして、これは非常に我々は業者のかたにとつては苦痛だと思つておりますが、国家的見地から、無理してポンド地域から買つてもらうというように持つて行きたいと思つておるわけでございます。ただ輸入促進と関連しまして問題があるのでございますが、いつも問題になりますが、金融のことでございまして先年のまあ一—三の非常な買い過ぎと申しますか、その結果としまして現在輸入業者が乃至はメーカーも共に非常なまあ金融財政的に不利な立場に立つておる、銀行のほうでも又先年の暴落に懲りまして、まああつものに懲りてなますを吹くというような状況で、なかなか正当な商売に対しても金を出してくれないというような状況でございます。これにつきましては先年の秋以来大蔵省、日銀の方面と折衝を続けまして、結局日銀のほうにおきまして融資斡旋に一段の努力を拂うということに只今なつておる次第でございます。更にこれを一歩進めて何らかの形で現在の金融状況をもう一段緩和するような手はないかということを考えておるところでございます。
それから最後のオープン・アカウントでございますが、これについてもポンドと同じような状況になつて来ております。元来オープン・アカウントというのは日本側から申しますと、先ず向うの物を買つてマイナスのバランスを作つておいて、それを利用する、日本の物を向うへ売ろうというのがオープン・アカウントを作つたときの考えであつたのですが、それが最近実は逆になつておつて、日本からの物は売れるが、向うからの物は買えないということになりました。そのバランスが積り積つて全体で一億ドルを突破するというようなことになつて参りました。これは日本のような貧乏国が各国に対して一億ドル以上の貸金をしておるということになるのでありまして、甚だ以て余り面白くないという状況であります。これもやはり全力を挙げて輸入の促進を図つて行くということを目下極力やつておるわけであります。更に貿易計画を超えて非常にたくさん或る種のものが出るという場合には非常措置としてこれを一時止めるということも考えております。現にスエーデン向きの鋼材、それからフランス及びドイツ向けの銅製品等は昨年暮以来一時これをストップしておる次第でございます。これによつてオープン・アカウントのこちら側からの輸出を一時抑制しておきまして、それに向うからの買付を促進したいというふうに考えております。勿論これは、そのバランスは一定の條件の下にドルで決済するという約束にはなつておりますが、何分いずれの国においてもドルが少い状況でありますので、なかなか拂わない、殊に極端な例を申しますと、インドネシヤでありますが、四千万ドル以上の借金をしておるにかかわらずドルでは拂わんということを言つておるという状態でございますから、勿論これは外交的交渉によつて打開して行かなければならないのでありますが、差当りそれよりも、乃至はそれと並行して買付促進によつてバランスを決して行くということが必要であると考える次第であります。一通り簡單に申述べまして、後ほど御質問に答えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/2
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003・井上尚一
○政府委員(井上尚一君) 通商の現状、貿易の現状につきましては通商局長のほうから報告のあつた通りでありますが、ダラー・ドライヴの一環としての方策として輸出振興外貨資金の問題等輸出の信用保險の問題につきまして今言及がありました関係上、簡單に申上げて見たいと思います。
輸出振興資金外貨の制度につきましては、従来優先外貨という名称を以て二十四年の七月以降これを続けて参りました一種の輸出の補償制度でありますが、これが運用の、結局まあ二年間運用の結果としまして昨年六月末を以て一応廃止に相成つたのでありますが、この廃止の事情としましてほそれがポツダム政令に根拠を有するものであるという関係で、いわゆるポツダム政令の整備の一環としまして従来の旧優先外貨制度は一応廃止に相成りましたが、今日の現状としまして、輸出振興の方法としましてこういう一種のボーナス制度を使うことが極めて必要であるという点を通産省としましては強く従前通り継続する必要があるということを考慮しました結果、昨年十二月十日になりまして名称を輸出振興外貨資金制度というふうに名前を変え、従来の外国為替及び外国貿易為替管理法の運用としまして、実質的には従来の制度に多少の改善を加えまして、これを継続することに相成りました。今度の輸出振興外貨資金制度が、従来の優先外貨制度と比べましていわゆるダラー・ドライヴという点においてどういうような改善が加えられたかという点を簡單に申しますと、この輸出振興外貨資金と言いますものは、言うまでもなく或る商品の輸出をいたしました場合に、その輸出金額の何%かというそのパーセンテージをきめまして、そのパーセンテージに相当する金額の外貨をそのエキスポーターに対しまして、褒賞としましてこれが優先的に使用を認めて行こうという方法でありまするが、で、この優先外貨の算定のパーセンテージにつきましては、商品の種類に応じまして、〇%、一%、三%、六%というふうに相成つております。言い換えれば、輸出を積極的に奬励する必要がないような商品は、このパーセンテージの率を〇%とします。そうして又その加工度の段階に応じまして、言い換えれば原材料に近いほど一%、〇%と率を小さくし、加工度に応じて三%乃至は六%というふうに外貨の獲得の功績に応じまして優先外貨の率をきめて行くという方法でありまするが、こういうふうに一般的にこの輸出振興外貨資金の計算のパーセンテージを一%、三%、六%と商品別に分けつつ同一商品につきましてこれをダラー地域に出しました場合には、このおのおのに二%、三%、四%をこれに加えるわけであります。言い換えれば同一商品についてAならAというような商品につきましてこれをスターリング地域、或いはオープン・アカウント地域に輸出をやるという場合に、この振興外貨資金が一%であるという同一商品を米国、ダラー地域に出しました場合には、優先外貨の算定の率が三%になり、同様に一般地域に対しまして三%のこの当該物資を、これを米国にエキスポートしたという場合には、これは三プラス三%、結局六%になる。又一般地域に対しまして六%の分につきましては、四%追加になつて一〇%になるというような点は、今般の輸出振興外貨資金が従来の旧優先外貨制度の運用の経験に徴しましての改正の大体要点であります。
次に輸出信用保險制度の問題につきましては、只今お手許にお配りしてあるかと存じまするが、これは非常に詳しく書いてありまするので、国会にはまだ正式の提案には相成つておりませんが、一応今般の改正の要点のみについて申上げますと、従来輸出信用保險制度は、いわゆる甲種保險と乙種保險というのがありまして、従来甲種保險と言いますのは、戦争とか、暴動とか、内乱とか、或いは外国での輸入の禁止、日本側での輸出の制限禁止というような、いわゆる非常危險の結果としまして、輸出契約の履行が不可能に相成つたという場合は、そのよつて生ずるような損失の填補を考えるというのが甲種保險であります。次に乙種保險と申しますのは、先般の臨時国会でいろいろ御審議に相成りましたいわゆるプラント輸出を対象としました保險であります。今般はこの乙種保險につきましては、何らの改正を加えないのでありますが、甲種保險につきましては、従来の運用の経験に徴しまして被保險者の範囲とか、或いは損失填補の範囲を拡大しようという点と、それからなお従来はいわゆる比例填補制度をとつておるのでありまするが、これを運用の経験に徴しましてこれと並行しまして実損填補の方法をこれと併用しようということ、或いは又従来は政府の保險金支拂限度というものをきめておつたのでありまするが、今度はこれを保險契約の引受限度というふうに改正したいというのが甲種保險につきましての改正の要点であります。それで甲乙両種保險制度のほかに新たに丙種保險と丁種保險というものをこの際これに追加拡充したいというのが今般の改正の大きな狙いでありまするが、お手許にお配りしました資料の第二頁にもございますが、これの詳細は五頁以下にありまするが、簡單にその内容を申しますれば、輸出契約によりまして商品の生産、加工、集荷をしようという場合に、エキスポーター又は生産者に対しましてこれに必要とする資金を銀行から融資をする、この場合におきまして銀行の貸付けた金額につきましては一定の決済期に代金の回收がないと、輸出が不能に相成りました結果として、これの融資の回收がないという場合に、これにつきまして政府が当該銀行に対しまして当該貸付金額の七割五分を限度としまして、これを保險金としてこれに支拂おうという内容でございますが、一応原則としましては輸出契約の成立がありました場合を原則とするのでございますが、農水産物等の輸出契約の成立の時期と当該商品の生産、加工、集荷の時期との間に数カ月間の時間的ギヤツプが通常あるというような場合には、いわゆるそういいますような見込生産の問題につきましての金融も、この保險の対象としてこれを考えて行こうというのが今般の丙種保險制度と言つてもいいかと存じます。それから次に最後の丁種保險といいますのは、簡單に言いますれば、或る商品につきまして一定の地域に対して宣伝費、広告費、調査費等を費す、投下するという場合に、当該商品をこの地域に現に売りました場合に、その投下した広告費、宣伝費の回收が十分行かないという場合に、よつて以て生ずる損失につきましてこれの半額程度をこの際保險金として政府が拂うというのがその大体の内容でございます。
それから次に、ついでに為替保証と申しますか、いわゆる長期の為替の契約の結果によつて生じまするいわゆる為替上の損失の保証の問題につきましては、ポンド地域、スターリング地域を対象としまして、大蔵省としまして国庫負担契約としまして五十億程度の限度を設けまして、この為替保証の方法を講じようという案で、現在まだ大蔵省、通産省外国為替管理委員会等とその運用の実際の方法についてはなお研究中でございまするが、一応そういう今後のスターリング地域に対しましての、輸出に関連する長期の為替の予約によつて生ずる損失のカバーについても、一応そういうような方法を講じようという方針で以て今いろいろ準備中であります。
極めて簡單ではありまするが、この輸出信用保險の問題につきましては、この配付の資料につきまして、又別の機会になお詳しくいろいろ御説明申上げたいと考えております。一応簡單でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/3
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004・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では外国為替委員会の木内委員長が来られましたので、現状を御説明願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/4
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005・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) それでは現在日本が持つております外貨の状況から先にお話申上げます。これは資料を差上げたはずでありますが、一昨年来末米ドルで四億六千二百万ドル、それが三月末には減りまして四億百万ドル、六月末には大分減りまして三億二千二百万ドル、それから又殖えることになりまして年末には五億八千三百万ドルまで殖えました。ポンドはその次に書いてあります千九百万ポンドから始まりまして、これも少し減りましたが、再び増加し、年末には七千五百万ポンド、ドルにいたしまして一億一千百万ドル、これが米英両貨幣がいわゆる現金、キヤツシユでありますが、合せまして五億一千六百万ドルから七億九千四百万ドル、八億近いものになつております。そのほかに特剔抉済勘定、いわゆるオープン・アカウントというものの、これはプラスもマイナスもありますが、合せまして、プラスの尻が二千八百万ドルから始まりまして、年末には一億二千万ドル、これもドルになるはずのものです。一定の度を超えますれば……。併しいきなりドルにはなりません。両者を合せますれば相当大きな金額になります。従つて例の非常な輸入をこの春いたしました結果、一度減ることになりましたが、再び増勢に向つてこうなつて来たわけであります。これは我が国としまして非常に結構なことではありますが、相当予想よりも大きい数字である、一概に喜んでばかりもいられない。これによつて第一にそれだけ殖えるならば今後どうするか、ただ殖えるばかりがいいかというような問題に答えなければならないと思いますが、一応数字としてはそうであります。その中に殊に問題を含むのはポンドでありまして、ポンドは七千五百万ポンドということに相成りましたが、実は日英協定にサインしましたのが八月三十一日でありますが、その協定をいたしましたときに了解事項として今後日本国は英国に対して随時日本が持つていてもいいと思う、持つているのが当り前と考える金額を通告する、それによつて先方も然るべく善処する、言い換えれば余り多額のポンドは持つことがないようにということを目当にそういう了解を遂げておるのであります。それに関連してこちらが通告いたしました数字は七千万、三千万という二本の数字を通告しました。七千万というのは二月末が七千万であつてもいいというその時を示してした通告でありますが、それは輸入シーズンの一番支拂の嵩みますシーズンの直前、二月末は少し直前よりずれておると思うが、その輸入シーズンの前というのを狙つて大きい数字。輸入シーズンが済んでその支拂がほぼ完了したという時を六月末と考えてそれを三千万、こういう二本の数字を通告した、それを一応の目安に向うも考えているということでありますが、その数字はすでに超過したのでありますが、その後のことはよく数字を以て申上げるまでにまだ参りませんが、この増加の勢は必ずしもとまつていないと判定されます。そうすると、通告は、そのくらい持つてもいいと思つたものを早くも超えてはいないかという事実がありますので、これはいわゆるポンド過剩問題として考えられる、論ぜられるところであります。今後減る見込についても遺憾ながら三千万に減るとは到底考えられない状況であります。併しながらこれに対して、ではどうするのだという対策はこれは私それを申上げる適当なる資格を持つたものではないと思いますし、実はこれはなかなかむずかしい問題でありますので、手分けをいたしまして溜まる理由は何であるかというところから始めまして、今研究中であります。その点から申しましてもまだ対策も申上げるわけに参りませんが、そういう問題がこの中に含まれておるということは申上げていいかと思います。
大体の外貨の保有状況は、その通りでありまして、概計すれば予期したよりも非常にいい状態を現出したということでありますが、さればといつて今後この状態は真に喜ぶべきといつていいかというと必ずしもそう言えないのは、ポンドについては今の通り問題があります。米ドルのほうについてはこれも幸いに増加はいたしましたが、その中に一時的なものと思われるいわゆる特需であるとか、そういうものがありまして、永続的にドルの收入源があるとは考えられない。これはポンドとの関係にもなつて複雑な問題ではありますが、大体において日本は現在こそドルも増加しているが、将来においてはドルは非常に不足するはずの国であるということが言えるのでありまして、それが常にドル不足という言葉で以て伝えられる事実であります。併しながら現状においては米ドルは相当たくさんあります。ありますから、日本としてなすべき手段はその現在あるドルを使つて将来その不足が起らんように、将来ドル收入を得る源を培うことが現在のドルを使うことによつてできるならばそれをやるべしといつたようなことが言えるわけでありまして、大体従来まではとかくドルはないものという、非常に足りないものという認識のほうが勝つていたようでありますが、今後は目先はあるのだ、足りないのは先の話だという認識に変えまして、いろいろな政策を多少適当なる範囲に修正すべきものと考えられます。大体外貨の状況に関して申上げることは、そのようなことが主な点だと思いますが、なお御質問がありましたら、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/5
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006・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) では委員各位から質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/6
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007・境野清雄
○境野清雄君 木内委員長は先般来大阪へ行かれたようでありまして、新聞紙上聞くところによると、大阪の経済界の模様を相当突つこんでお調べのようでありますから、お差えなかつたら大阪方面における財界の模様もちよつとお聞かせ願いだいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/7
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008・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 私大阪へ参りましたのですが、新聞では御質問のようなふうに伝わつたかも知れませんが、私参りました主たる目的は欧米を旅行いたしまして得た感想といつたようなものを東京では数回財界のかたに申上げる機会を持ちましたが、大阪ではまだ持つておりませんので、実はその報告をして懇談をするということを主たる目的で参りましたので、別にあちらを調べるという気持は余りありませんでした。殊に短い、大阪で二日、神戸で半日、名古屋で一日といつた程度でありますので、それで大した調べるという程度のものではありません。ただまあ目に映りましたことは相当金融状態は苦しいのであつて、金融をつけんがために値段を犠牲にして輸出をするというな状況も起つておるやに聞きましたので、これは相当考えるべき問題だ、大事なポイントだと考えて帰つて来ました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/8
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009・加藤正人
○加藤正人君 あの日英支拂協定というのは改訂時期というのはいつになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/9
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010・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) あれは一ヶ年の協定であります。八月三十一日にサインいたしましたから、たしか即日発効したと思いますから、八月三十日を以て協定は終るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/10
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011・加藤正人
○加藤正人君 そうすると、今年の九月一日頃から、又その前から話合いが始まるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/11
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012・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/12
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013・加藤正人
○加藤正人君 そうすると、今問題になつておりますドルクローズ廃止というような面について、その後日本に対する影響が惡かつたとすれば、それらの点について改訂というか、事実が証明しているというような意味で交渉が再開されるような機会もあり得るのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/13
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014・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 実は内情を申しますと、協定を少くとも二年の協定にしたいと先方は主張したのであります。然るにこちらでは、どうも先方のいろいろの説明にもかかわらず現在起つてしまいましたように、ポンドというものは溜まり過ぎになるのではないかというふうに考えられました。とにかく試験的に一年を限つてやるのだというわけで、先方の希望を斥けて一年に縮めたわけであります。でありますから、当然おつしやいますように、それまでに改訂交渉ということがあります。一年を待たないでも改訂交渉をして惡いということもないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/14
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015・加藤正人
○加藤正人君 私はこの間大阪で非常に不思議なように感じたことがあるのですが、外国為替のエキスパートだと思つて我々ふだん尊敬しておる人が、ポンドが非常に過剩になつた問題について我々非常に関心を持つておつた折に、その人はこういうことを言つたのですが、今のような両国が改訂について話合うとするならばよいし、僕はそういう途しかないのだとこう思つておつたところが、そのエキスパートの言うところによると、東南アジアの開発というような米国の一連の外交政策に日本が参加してこれに協力するのであるから、それの褒賞としても、過剩になつたポンドは米国に話してドルを交換してもらつたらよいじやないかということを、えらいたやすい問題のように発言された。併し、それは相当為替についてのエキスパートである人が非常に手軽にそういうことを言われたので、そういうものかなあと我々は非常に不思議に思つておるのですが、さような軽々しいものではないと思うのですが、木内さんみたいなかたに一度聞かにやこれは困ると思つておりましたので、一つ聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/15
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016・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) おつしやいます通り、そう簡單には行かないものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/16
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017・加藤正人
○加藤正人君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/17
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018・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) ちよつと委員外で随時発言を今日は特別お許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/18
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019・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今委員外発言がしたいという御希望がありますが、お許しをいたしてもよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/19
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020・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) ちよつと通産当局のほうにお伺いしたいのですが、先ほどお話を承わつておると、このポンド過剩に対しては輸入の促進と輸出の抑制というふうな工合に承わつたのですが、輸出のほうは或る程度チェックできると思います。併し輸入の促進というのはお互いに相手があることなんですが、これは何か政府輸入でもなさるというような意図でもあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/20
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021・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 政府輸入を特にしようという意図は今のところは持つておりませんが、例えばビルマの米などは、昨年も政府輸入で買いましたし、恐らく今年も政府輸入で買うことになると思います。それ以外につきましては、先方の当局ともよく話しまして、成るべく日本に物を売るようにという交渉をして行くつもりでございまして、これはイギリス側でも大いに協力するという意思ははつきりさせておりまして、近く東京におりますスターリング地域の代表との間に正式の会議を開いてそういう問題を討議して、至急実行に移すというふうに持つて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/21
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022・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) そうしますと、スターリング地域から輸入しようという例えば日本の貿易商社があつたとしますと、それは自由に政府では許可するという方針で輸入促進を図ると、こういうことに解釈してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/22
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023・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 品目によりまして割当制になつておるものもございますが、大部分のものはもう自動承認制にいたしましてできるだけ自由に輸入を許して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/23
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024・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) そうしまずと、そこに見込が出ると私は思うのですね。例えば、これは卑近な例ですが、油脂関係等において、アメリカから今大豆油の原料とか亜麻仁油の原料なんかをどんどん輸入しております。ところが、聞くところによると政府としてはインドあたりから原油を輸入することを奬励したいとかいうふうなことも聞いておりますが、その場合に輸入商社はどうせ先のことだからいずれ物価が騰貴すれば相当利益が挙るだろうという見込の下にそういうものの買付をするというようなこともできるのです。そうなつた場合に、アメリカから原料を輸入して日本の加工で安く生産されるものを、高い輸入品を日本がポンドのバランスを合せるためにそういうものを奬励するというような恰好になるのですか、そういう点については政府はどういうふうな見解をとつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/24
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025・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 勿論輸入政策決定に当りましては、国内の需給関係並びに経済の安定の問題、それから価格の問題等を考慮してきめますので、おつしやいますように若しスターリング地域のものが国内の需給が十分に足りており、そしてスターリング地域のものが高いというようなものがございましたならば、これは輸入をしないということになると思います。又もう一つ言いますと、そういうものはたとえ輸入することにしておいても恐らく輸入する人はないというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/25
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026・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) それでよくわかりましたが、政府としてはスターリング地域から輸入促進するという何か目当はあるのですか。それと同時に、輸出の抑制は十分な成算はお立ちになつているのですか。具体的に一つ事例を挙げて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/26
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027・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 先ほどもちよつと申上げたのでありますが、輸出抑制のことはできるだけ避けたいと思つているのでありまして、現在のところスターリング地域に対してどういう品物、乃至はどういう地域に対して輸出抑制をやつているかということは実は考えておらない次第であります。輸入のほうにつきましては一昨年の予算から始めてスターリング地域からの輸入を従来ドル地域に仰いでおつた品物をスターリング地域から買えるように切替えるという考えを非常に強く出しておるのでありますが、一番問題になりますのは食糧、綿花、塩、燐鉱石というようなものについてスターリング地域からの転換を考えております。そのうち綿花につきましては大体予定より少し遅れておりますが、とにかく或る程度買い進んでおりますし、塩や燐鉱石につきましては問題なく転換ができており、それから食糧につきましては先ほども申上げたのでありますが、濠洲の小麦の不作でありますとか、ビルマの米の不作とか、そういうような條件がございましてなかなか転換がむずかしいのでありますが、これは粘り強く交渉して成るべく所期の目的に近いようにいたしたいと思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/27
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028・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) その際に聞くところによると綿花なるものは、アメリカと印綿とは大分価格が違うと言つておりますが、今あなたのおつしやるように買付はアメリカに比較して損のないようなことはできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/28
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029・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 価格のほうはこれはどうも何ともいたし方がないところがあるのでありまして、やはり二割五分くらい現在においても印綿のほうが高いのでありますが、これは米綿と適当に混織することによりまして、現在の国際価格に比べて決して高過ぎないような値段が出せるかというふうに思つております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/29
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030・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 今の点でですね、そういう場合、米綿で買えば二割五分も安いものを印綿を買つて綿製品を作るという特殊な、いわゆる紡績会社などがあるのですか、そういうふうなことはできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/30
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031・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) これは米綿のほうは割当になつておりまして、今約百十万俵ばかり年間買うことになつております。これは紡績に割当てるのでありますが、あと足りないところはスターリングから買つて参りたいということにしておるわけであります。スターリングのほうはいわゆる自動承認制になつておりまして、買いたいだけ買えるということになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/31
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032・境野清雄
○境野清雄君 今のに関連して質問したいのですが、ポンドが余つていて、そうしてどうしてもそういうような雑綿やなんかを買う気配が強い。二割五分乃至二割高いものでも買わなくちやならぬというようなことがアメリカへ響くからアメリカの今の綿花のクレジット問題も最近非常にやかましくなつているというような点は政府はあれですか、どんなふうなお考えを持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/32
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033・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 綿花のクレジットはちよつとこれは関係ないと思いますが、クレジットのほうははつきり三千万ドルくれることにきまりまして、ただ国内で以て何か十五カ月にするか、十二カ月にするかという問題でまだはつきりしておらない点があると承知しておりますが、米綿については勿論八十万俵は必要であり、勿論買うのでありまして、これに比べましてスターリングのものはせいぜい四、五十万俵ということになつておるわけでありますから、価格の差というものは非常に甚だしく響くということはないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/33
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034・境野清雄
○境野清雄君 それは勿論そうでしようが、大体政府のほうでオープン・アカウントで買うほうがいいというようなことから、昨年度のようなクレジットに対する熱意がなくて、十五ヵ月を十二ヵ月に切れとか、十二ヵ月は九カ月でもいいのだというような機運が政府部内にあることは事実で、そういうようなことがむしろ輸入を、雑綿や何かをたくさん入れるほうが手持外貨の関係上都合がいいというような考えを持つておらないか、こういう意味なんですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/34
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035・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) そういうことはございません。勿論先ほど木内委員長がおつしやつたように、現在ドルは非常にあるのでありますから、必ずしもクレジットをもらわなければ買えないという状況ではないのでありますが、もらつたものは勿論フルに使つて、勿論その利益を業者のほうにできるだけ均霑と言いますか、均霑して行きたい方針でいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/35
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036・境野清雄
○境野清雄君 これは輸入の促進というものに対しても、今政府のほうの方針を聞きますと、輸入に大変熱意を入れてやりたい、これは非常に結構ですが、朝鮮動乱が起つた一昨年ですか、六月、動乱が起つた時期、あのとき外貨をたくさん持つておつたので急いで輸入をすればあんな高い物を買わずに済むのが、十一月になつてぼつぼつ買出して高い物を掴んだ。本年度にしても大統領の教書を見ましても、大体アメリカあたりが二ヵ年間の軍備拡張に相当本腰を入れているということは、やがて下半期は国際物価は或る程度高くなるのじやないかという我々も見通しを立てているのに又輸入の面が今のような形では又時期的にずれはしないか。前轍を踏まないように是非して頂きたいと思うのですが、そういう点は今度前の失敗ということを政府は自分でよく承知していて、今度のやつは失敗しないというような心がまえがあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/36
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037・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) これは勿論そういう失敗を繰返さないようにという方針で今度は早くから輸入促進の声を挙げているわけでありますが、何分金融問題でなかなか思う通りに行かない点があるというのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/37
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038・加藤正人
○加藤正人君 今綿花借款三千万ドルとおつしやいましたが、四千万ドルじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/38
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039・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 失礼しました。四千万ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/39
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040・加藤正人
○加藤正人君 続いて木内さんにお伺いしたいのですが、あれは十五ヵ月という條件を入れたのですか、政府はこれを仮に九ヵ月にするという情報が入つたので、我々は困るというので各社連名を以ていわば抗議を申込んだ。そこで話が十二ヵ月ということになつたのです。向うが十五ヵ月という條件を出してくれたのにそれを九カ月にしようとか……結局十二カ月に端折つたということは、つまり九億ドルも外貨があるのに利息を拂う借款をする必要がないというような政府に意思があつてああいう計らいになつたのでしようか、その点はどういうことでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/40
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041・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) その問題は私の管掌事項外でありまして、管掌外である国内金融のほうから九カ月説もあり、十二ヵ月という案も出たと思つております。外貨のほうから、余つているから足らないということは今度の綿花借款については申せなかつたのであります。その結果最初の申出の通り四千万ドル、而も期間はなぜ十五ヵ月要るのかという先方の質問に対して、十五ヵ月借りたほうがいいのだ、強いて要るとは言わないが、借りたいという希望を披瀝して十五ヵ月で借りた、で外貨面に、九とか十二とかいうふうに操める事情があるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/41
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042・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 木内さんにお伺いしたいのですが、莫大な手持ドルは外国銀行に預金しておると思うのですが、これに対して利子はどの程度に受取勘定になつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/42
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043・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 私はつきり今記憶いたしませんので、御希望でありましたら或いは資料として出してもいいかと思いますが、このうちのかなり大きな部分を今通知預金にしております。それは米国にしては割合に高利であつて、一分五厘、一分五厘をもらつているはずでございます。それは米国としては非常に高利です。これはやり方は何といいますか、英語でスタツガードというのですが、期日が続いて来るように、つまり百万ドルなら百万ドルを切つて、十日ごとにやつて行きますと、十日ごとに必ず期日が来ますから、こちらは不便がない。その代り通知預金といいながら、九十日は縛つてしまうというようなことを工夫しまして、それで今のところやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/43
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044・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) これは日本の金利と比べると、アメリカでは高いかも知らんが、非常に安いものなのですね。そういう安い利子を円貨に換算すると、二十六年十二月は約八億ドル、約三千億円くらいの資金を無駄に遊ばせておくとしか考えなられないのですね。こういう政策が一体いいか惡いかということは、我々は疑問を持つのですが、木内委員長としては何かもつといい案はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/44
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045・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) これは外貨を今のような、世界の決済機構が今のように米ドルの現金を持つのがいいのだ、その現金を持たなければ国際信用を博し得ないということは世界の実情である以上、これは必ずしもそうでないことは理窟としては、私は理論として考えられますが、現在はそうであつて、それを誰しも疑ぐつていないので、日本としては成るべく多額の金額を、又ドルの現金を米国に寝かしておくことが国際信用確保の道でありまして、先刻ドルは比較的余つているような口調を使いましたが、これは日本としてはよくここまで来たものだという印象があるので、そう申したので、米ドルの現金は実は多々益々弁ずで、今も少な過ぎるとは申しません、併しおつしやいますように、その結果それだけの資金が政府の懐ろから外貨に化けて、政府の懐ろから出た金が外貨に化けて寢ていることは事実でありまして、それだけ国民は国際信用を博すために、それだけの資金を寝かしていると言えば寝かしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/45
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046・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) これは我々は素人ですから、まあお伺いするのですが、こういう厖大なドルをですね、例えばアメリカの一流の商社の有価証券等を日本が保有して、必要に応じてそれを売り放すというようなことで行つても、少くとも五分や、六分の配当くらいありそうだと、こんな工合にも考えられるのですが、そういつたような何か方策はとれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/46
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047・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 五分か六分を稼ぐということは少しむずかしいかと思いますのは、国が外貨を持つというのは、一体いつでも使える金として寝かしておくのが本体でありまして、普通の仕方でありまして、今日本はそれを金で持つとすれば、利息は取れませんし、それをフエデラル・リザーヴ・バンクみたいなああいうふうな銀行に預けてしまつても、これは全く利息を生まないのであります。ところが今は多少も利息を生むように使い、且つ商業銀行に預けております関係上、その商業銀行からいろいろな有形、無形のサービスをもらう、例のクレジット・ラインといつたものもありますし、そういうような方面に、多少とも従来の純粋なオーソドツクスよりは商業的に使つているのであります。それを更に非常に多くのものを稼ぐことは無理でありますが、一分五厘では余り安い、せめて二分五厘でもといつたようなことは私ども常に考えていたのでありますが、従来いろいろな国際関係がありまして、アメリカの占領下に援助を以て立上つて来た日本が、何かこう派手なやり方をするというのはよろしくないのみならず、投資と名の付くことはよくないと思いまして、大蔵証券を買うことも遠慮して参りました。今のは通知預金と申しましたが、これは預金という範囲にとどめておきたい、そうでないと日本が外貨の投資をし出した、アメリカに投資をし出したというようなことが、まあ講和会議、講和條約成立以前に余りにも華々しく伝わるのは誤解の因だという遠慮もあつたのであります。のみならず利益を焦りますればどうしても危險も起きる、株式を買えば値下りの危險を負担しますから、政府会計としてそれをやるということは、よほど御審議を願つたあとでないと私どもとしては決心しかねるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/47
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048・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) もう一点伺つておきたいのは、先ほど通産当局がポンド地域から輸入を促進したいが、金融の面で思うように行かないというお話なんですが、若し巷間伝えられるように、ポンドが切下げでもくつた日には、これは二割や三割はすぐ飛んでしまうと思うのですね。そういう点から考えると、金融の面は日本で、国内で以て何とか面倒を見てこのバランスをもう少し合せる工夫をするのが政府のとるべき態度だと思うのですけれども、通産当局として輸入物資に対する金融制度確立ということをお考えにならなきや、これは机上の空論だと思うのですね。その点について強硬に金融関係方面、大蔵省とか、或いは日銀とか、そういつたようなところと折衝があつて然るべきだと思うのですが、その点はどういうふうになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/48
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049・井上尚一
○政府委員(井上尚一君) ポンド地域からの輸入の推進につきましては、どうしても金融の面からこれに十分なるバツク・アップをやる、援助をするということが必要であることは言うまでもないのでありますが、いろいろ制度としまして、輸入貿手等につきましてのその改善といいますか、そういう方向への改正につきましてもいろいろ研究はやつたのでありまするが、そういう輸入貿手についての制度としての改善といいますか、改正というものは、これは殆んど不可能であるということに、我々関係官庁相互の研究の結果、そういうことに一応相成りましたけれども、スターリング地域からの輸入につきまして、日銀としまして手一ぱいのケースで融資の斡旋をしようという点につきましては、大蔵省のほうからの要請もあつて、そういつた点につきましては相当の了解といいますか、十分の了解はついておるということははつきり申していいかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/49
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050・中川以良
○中川以良君 これは新聞で承知をしたのでありますが、外貨を輸入業者に貸付をするという問題でありますが、この制度、それから輸入の対象品目等が挙げられておつたのでありますが、あれほどういうようなことになつていましようか。一応御説明願いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/50
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051・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 新聞に伝わりましたのは、外貨貸付の制度ができてえらいはつきりしたことのように伝わつたそうで、私その新聞を今朝ちよつと忙しくて見損いましたが、これは為替管理委員会としては迷惑に感じている記事であります。この問題に対してどういうふうに考えておるか、私どもは、為替管理委員会はどう考えているかをはつきりこの席で申上げさして頂きたいのですが、外銀からファイナンスを受けるというなら、これはいわゆる外銀ユーザンスとか、外資導入とかいう範疇に入ることであります。今まあ一見過剩のごとく見えるポンド、ドルを抱えておりますから、殊にポンドは余つておりますから、そこにも問題がありますが、それは別といたしまして現にドルなりポンドなりを持つているのはないか、外為委が持つているドルなりポンドなりをそれなら一時融通したらどうかというのが今の御質問の要点であります。そこでそれに関しましては、これは私どもが外貨そのものを貸さなくても、輸入者が円を調達して外貨を買つて下さればそれで済むことでありますし、そのほうが常道であるのみならず、日銀当局が心配しておられる金融統制というものがはつきりしていいと申せます、従つて私どもは避け得るならば外貨を貸すということは避けたい、そこへ私どもは乗り出して来るべきものではないということをはつきり認めております。併しながら従来の経験によりますと、日銀にはいろいろ規則がありましたり、いろいろな行掛り等があつて、やりたいと思うけれども今すぐ間に合わんというようなケースもあるのであります。そこでそれらを外貨貸という形式をとつたために事が円滑に進行したと思われることもありますから、私どものほうは日銀当局においてこれは都合もあるから円を調達せしめてやらすべきものではあるが、一時の便法として外貨貸を実行して欲しいという意思表示があるならば、喜んでお受けする、こういうことを表明しているのであります。それが少しくもう少し先へ行つて欲しいと思うかたもあつたかどうか存じませんが、それらの案というものが新聞に漏れたのであつて、これは今の私どもの態度でございません。私どもはその限界を引いて行くということが外貨というものを握つております私どもとして、やればできるフアイナンスでありますが、それをやりますと、却つて金融行政が一遂に出ないということがあります。今申しますように日銀からの注文があればやるというところに態度をはつきりとしておくことがいいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/51
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052・中川以良
○中川以良君 新聞に相当詳しくあれは発表されておつたのであります。それじや、あれは一体どこでの作業でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/52
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053・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 私それをつまびらかにしないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/53
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054・中川以良
○中川以良君 通産省関係は何かそういうことで以てやはり御協議になつておるかどうか、御提案になつておるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/54
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055・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) あれに似たようなことを考えたことがございます。それで実際そういうことができれば、非常に現在金融情勢から言つて結構なことであるとは思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/55
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056・中川以良
○中川以良君 日銀から依頼があつて、すでに外貨で以てお貸付になつたものも今まで前例があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/56
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057・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 今申しましたような態度は、実は最近この問題がなかなかデリケートでありますので、はつきりとそれにきめたのであります。従来は必ずしも依頼を待たずにやつたほうがいいと思うものはやつて、あとで通告する程度のものもあつたかと思います。併しながら円で外貨を調達すれば済むものを、外貨貸の形をとつたのはいろいろな場合があつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/57
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058・油井賢太郎
○委員外議員(油井賢太郎君) 今のに関連するのですが、これは私どもは本当の素人ですから明白に一つして頂きたいのですが、今の円でドルを買うということになれば、恐らく日歩二銭四厘とか二銭五厘、大体九分乃至一割の金を日本の輸入業者或いは生産者というものは使わなくてはならんのですね。ところが外貨貸付で行けばさつきお話の一分五厘というものに多少加算したところの、それは桁の違う安い利子の金を使えるということになるのですが、そこらの関連はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/58
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059・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) これは非常にむずかしい御質問で、お答えはむずかしいのですが、金利というものはその貸すべき金を持つている人のコストばかりできめるものではないのでありますね。私どもの持つている外貨ならそのコストは何かといいますと、先ほどもちよつとお触れになつた厖大なる円資金を如何にして調達しておるかという問題になりまして、インベントリー・フアイナンスの部分もありますし、これはもらつた金ですからただであります。借入金でやつておるものもあります。それは政府の預託金が余つておるときはそれを融通をしてもらえばただ、日銀から借りれば一銭三厘ですか六厘ですか、そういう金利がかかつております。いずれにしても私どもの持つておる外貨のコストは、その持つに要したところの円のコストですね、その金利というものはそう高いものではないと思います。併しそれが安いからといつて、日本国内でフアイナンスをするのに安い金利で出すことがいいとも限らないのです。若しそれならば日銀から貸すものは幾分安くてもいいはずでありますが、日銀はやはり一種の見地から相当高い、例の高率適用ですか、そういう制度も設けて相当高い金利を強いるほうがいいと考えて、そういう金利体系が日本に成立つておるわけであります。ですから私どもの持つておるコストがたまたま安いにしても、それが安いからといつて外貨は安く貸すべしということは成立たないのであります。ですから私さつき日銀のほうから注文があれば外貨は貸してもいいと申しましたが、それは必ずしも非常に低利で貸すというわけではないのであります。なおその関係で、外貨は非常に金利が安いとお思いになる理由を付度しますと、その外貨を真に外貨の貸付側であるところの外銀なり外商なりから借りれば、これはニユーヨークの金利、ロンドンの金利でありますからこれは安い、そこで外貨の金利は安いということがあります。私どもの持つておる外貨を貸すのも安いはずだという論理が成立つかも知れませんが、これは必ずしもそうではない。それが金利の裏付、金利に関する理論的裏付だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/59
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060・境野清雄
○境野清雄君 世界的にドルが不足しておる、不足しておると言いますけれども、日本の持つておる米ドル五億八千三百万ドルというものは、その順位といいますか、世界各地でドルを持つておるものに比較いたしますればどんなふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/60
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061・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 私それは今そらで覚えておりません。そうひどく貧弱でないことは知つておりますが、イギリスがこの間二十三億に減つた、これは非常な減り方だといつたのがイギリスであります。フランスがこのくらいではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/61
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062・境野清雄
○境野清雄君 通産省のほうに聞きたいのですが、オープン勘定の出超になつておる一億二千万ドルばかりのものは、結局オープン・アカウントのほうから輸入をしなければ決済がつかず、いつまでも帳尻でこれだけのものが残つておるということにオープン・アカウントはなつておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/62
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063・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) これはそうではございませんで、協定によつて違うのでありますが、一定額のいわゆるスウィングというものを設けてございまして、その額までは向うに貸しておくわけでありますが、その額を超えた場合には更に條件がある国もありますが、大体においてドルで以てとれるということになつております。
〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕
ところが実際の状況はなかなか向うが拂わないというのが現在残つておる一つの理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/63
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064・境野清雄
○境野清雄君 今問題になつておる、勿論通産省自体ではお考えになつておるでしようが、香港貿易というようなものに対してはどんなお考えを持つておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/64
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065・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 香港はこの前のイギリスとの例の支拂協定の締結の際に最後に大問題になつた所でありまして、あそこが中継貿易港として非常に特殊な地位を持つておりますために、あれをスターリング地域内に入れてしまいますと、非常に日本の正当な貿易の径路が害されるのではないかということを我々心配しておつたのでありますが、とにかくあのときはどうしても協定を締結させるほうが有利と判断して、香港にこちらの主張を讓つてああいうふうになつたわけであります。それまでは香港は日本との貿易は大体においてバランスしております。オープン・アカウントでやつておつたのでありますが、大体においてバランスしておつたので、まあ大したことはないだろうという気もあつたのでありますが、ところが支拂協定ができましていよいよポンド建になりましてから、香港に対する日本の輸出というものは非常な勢いで伸びたわけであります。或る時期には輸出が輸入の十数倍にも上つたということでありまして香港に行つたもののうち非常に大きなものは繊維品でありますが、これは恐らく相当程度中共へも行つたでありましようし、乃至はスターリング地域へも行つたということも考えられます。それから更にタイ国或いはインドネシアといつたように、ああいうオープン・アカウント地域にも香港を通じて流れているのじやないか。殊に最近闇ポンドが出て来まして、香港を通じて買つたほうが安く買えるというような状況が出ておりますために、なお更この傾更が露わになるのではないか。というのは、香港への出超傾向が弱まつて参りまして、少し見て行かなければこれが果して永続性があるものかどうかはわからないが、何らかの形でややほかのスターリング地域とは別扱いにしたほうがいいんじやないかということは、内々研究しておるところであります。まだどうしたらいいかという成案を得るまでには至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/65
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066・境野清雄
○境野清雄君 大体香港貿易は今のお話の通り二ドル四十セントぐらいでポンドが扱われておるので、逆に我々から見れば、香港貿易をやつているために日本の取り得るドルを香港に取られてしまつて、そして日本のほうからすれば、香港貿易が盛んになるというような結果なると思うので、最近よほど減つておるというものがあるが、決して減つておつても昨年のような状態には私は復しておらないだろうと思う。だから香港貿易というものは相当お考えにならないと、これはなかなか日本の貿易の中では相当欠損をするようなものができるだろうと思うのですが、現在ではあれですか、香港貿易に対して掣肘というようなこと、或いは制限というようなことはお考えになつておらないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/66
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067・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) はつきりまだ制限というところまでは考えておりませんですが、例えばまあ香港を中継してよそへ流れる品物につきまして若し香港側の協力が得られますれば、例えば同じスターリング地域に流れるものならば差支えないけれども、ほかの所へ行くものならば抑えてもらいたい、乃至はそういうものについては日本が輸出許可をしない、そういうことも考えられるが、日本もまあ終戰以来我が国から香港へ行つた人がないので、最近出超があるかどうかよくわからないので、そういう意味で人をやりまして、よく香港と打合して見たいと、そういうように考えております。
〔理事結城安次君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/67
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068・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 牛場局長にちよつとお尋ねしますが、アメリカでケム法に代つてバトル法が施行になつておりますが、その内容と対中共貿易との関係はどんなふうになつておりますか、ちよつとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/68
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069・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 私この資料を今日用意して参ればよかつたのですが、この次の機会に又法案そのものは差上げるごとにいたしまして、簡單に御説明申上げますれば、このバトル法というのは昨年の十月にできまして、今年の一月から施行になつたわけであります。この内容は要するに共産主義国、まあソ連を初めとする共産主義国に重要な資材が行くことを防止するということを狙いにしておりまして、アメリカ自体がそういうものを出さないということが一つ書いてありますが、更に重要な狙いは、要するにアメリカの援助を受けている国が、そういうような物資をソ連圏の国に出した場合には、その国への援助は止めるということであります。それで大体物資の種類を二つに分けまして、第一種は、武器、彈薬、それから原子力関係の資材であります。これにつきましては、こういうものを知りながら、知りつつ共産主義国に出した国に対しては即刻援助を停止する。これは絶対援助を停止するというふうに書いております。それからその次は、いわゆる戰略資材と申しますか、石油、戰略的価値を有する輸送資材、兵器及び戦争用具生産に使用される戦争資材、要するに戰略資材でありますが、これにつきましても原則としてこれを出したときには援助を止めるということになつておりまするが、これにつきましては幾分の余裕がとつてございまして、例えばその資材を出した代りに共産主義国から更に重要な価値のある品物を輸入することができるというようなことが証明された場合、或いはこういう、たまに例外的にこういうものを出した場合にも、他の一般的な場合についてはその国の輸出統制というものは非常にうまくできておつて、無制限にこれが共産主義国に流れることがないということがわかつた場合、或いはアメリカの利益からいつてそういうものを少し出させたほうがいいとわかつた場合、そういう場合には例外的に援助を続けるということになつております。それでこの法律に基きまして、いわゆる戰略物資兵器等の表ができております。これも日本政府にちやんと通報があつたわけでありますが、これを見てみますと、大体において現在の日本の輸出管理令の規定する品目になつておりますものよりはやや範囲が狭いことになつております。従いまして若しこの通りに日本が将来やるとしますれば、現在の輸出管理令を幾分緩和することができるというわけでございますが、併し依然として鋼材でありますとか、スクラツプでありますとか、乃至は機械類、それから浮ドツクのようなもの、これは普通外国に輸出する品目に載つておるわけであります、それから非鉄金属なども大体において載つておるという状況でありまして、今後この法律に基いて日本が行動するとしまして、その場合に中共貿易がどうなるかということは、ちよつと今はつきり申上げることができにくいと思うのであります。なおアメリカが與えておる援助という中には、輸出入銀行からのクレジットも入るものとして向うでは解釈しておるようでございます。甚だ簡單でございますが、資料を整備いたしまして、次の機会に又差上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/69
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070・加藤正人
○加藤正人君 その同じ目的のケム法との程度の差ですね、ケム法がそれとどういうふうに違つておるかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/70
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071・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) ケム法との違いでありますが、大体においてケム法よりもやや緩めたのではないかという感じでございます。ケム法のほうが厳格であると考えられておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/71
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072・加藤正人
○加藤正人君 そうですがね。僕は逆に考えておつた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/72
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073・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 但し一部には強化された面もありまして例えばケム法では経済援助だけ停止するということでありますが、この法律では軍事援助も停止するということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/73
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074・加藤正人
○加藤正人君 強くなつているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/74
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075・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 強くなつております。併し交渉の幅を持たせているところはケム法よりも幾分緩和されたというふうに考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/75
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076・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に私から木内委員長にお尋ねいたしますが、木内委員長は欧米をお廻りになりまして日英支拂協定の改訂に関しましてイギリス側その他の考え方を御調査になつて来られただろうと思います。その点お漏らしができる範囲内においてお話を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/76
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077・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 私参りましたのは十月の初めでありまして、そのときはまだ今のように、思つたよりたくさん溜まるということは考えませんでした。かなり溜まるだろうと考えましたから、当時としては比較的大きな金額である七千万ポンドというものを通告したわけであります。今日すでにそれを超えるということは当時考えておりませんでした。むしろ協定を締結したときは随分テーブルを挾さんで争つたものでありますが、喧嘩ばかりするのが能ではないので、よくその心持を話合つて打融けて行きたいというくらいな念願でありました。従つてこの改訂交渉に関して研究するということはいたしませんでした。但しポンドというものが一つの問題でありますので、ポンドというものがどういうものであるということは英国において、欧洲においても、アメリカにおいてもできるだけ知識は深めたいという、こういう努力をして参りましたが、一言に申しますとこれはなかなか難物であるというのが結論であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/77
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078・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 日英支拂協定は今度どうしても改訂せんならんとお考えになつておられますか。今までの一年延期するというようにお考えになつておりますか。そういうところはちよつとお話はできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/78
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079・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) これは今折角研究しつつありまして、まだその結果がまとまりませんので、むしろ申上げないほうがいいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/79
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080・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 他にありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/80
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081・境野清雄
○境野清雄君 さつき木内委員長のお話があつたのですが、前の一九五一年ですか、日英通商協定が八月三十一日かに調印されたと記憶しているのですが、あれは大体八月三十一日になると、一年というのは、そのときが一年の計算になるのですか、年度変りにいつもやるように六月三十日というふうになるのですか、どちらなんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/81
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082・木内信胤
○政府委員(木内信胤君) 発効の日からであります。従つて八月三十一日であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/82
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083・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) ほかに御質問がなければ散会いたしたいと思いますが、その前に派遣議員の件と次回の委員会の件につきましてお諮り申上げたいと思います。派遣議員の件は福井、新潟の両地へ五日間くらい、五名くらいのかたに二月中に行つて頂きたい、それについては委員長に御一任を願いたいと思います。人選については……。
次にこれはまだはつきりいたしませんが、石油採掘の法律案について必要があると思いますが、その方面にも出かけてはどうだろう、この御承認を願いたいと思うのですが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/83
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084・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/84
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085・境野清雄
○境野清雄君 あの新潟、それから福井というコースだと六日ぐらい取らないと困難じやないでしようか、それは御一任はしますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/85
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086・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) その点は委員長に御一任下さいませば日程の範囲において無理のないようにいたしたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/86
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087・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次回は五日火曜日の午後一時から一般事業界安定の方策に関する件を議題にいたしまして委員会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/87
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088・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。本日はこれを以て散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/88
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089・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないとして散会いたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X00519520201/89
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