1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月五日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事
中川 幸平君
鈴木 直人君
成瀬 幡治君
委員
楠見 義男君
竹下 豐次君
松原 一彦君
三好 始君
地方行政委員
委員長 西郷吉之助君
理事
堀 末治君
中田 吉雄君
岩木 哲夫君
委員
岩沢 忠恭君
石村 幸作君
宮田 重文君
岡本 愛祐君
館 哲二君
若木 勝藏君
原 虎一君
吉川末次郎君
林屋亀次郎君
岩男 仁藏君
国務大臣
建 設 大 臣 野田 卯一君
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
地方財政委員会
委員長 野村 秀雄君
行政管理庁次長 大野木克彦君
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
地方自治庁次長 鈴木 俊一君
地方自治庁連絡
課長 松村 清之君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 武井 群嗣君
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本日の会議に付した事件
○自治庁設置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○自治庁設置法の施行に伴う関係法律
の整理に関する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣・地方行政両委員の連合会を開会いたします。
自治庁設置法案、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を議題といたします。この両案につきまして前回に引続いて質疑を続行します。質疑の通告がありますから、通告順によつて御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/1
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002・吉川末次郎
○吉川末次郎君 暫らく病気をしておりましたので、甚だ十分な勉強いたしておらないのでありますが、二、三この機会にお尋ねいたしたいと思うのであります。
先ず第一にお尋ねいたしたいことは、包括的に政治的な立場から、この法案が世間いわゆる逆コースの線に沿う観念に基いて提案されているものではないかということに対する政治的見解についての御答弁でありまして、それらの点につきましては、その他の行政機構の改革の全般に関連いたしまして、すでに本国会の壁頭の首相の施政方針演説に関する質問にも私はそれを申述べたのでありますが、当局からは十分なる御答弁を得ることができなかつたのであります。終戦後受諾いたしました憲法の民主主義的な精神に基いて地方自治制度等におきましてもその観念に基くところの改正が広汎に行われたのでありますが、すべてを通じましてたびたび私はその他の委員会等にも岡野さんを前にして申述べましたように、憲法の基本的な人民主権の精神というものが、現内閣の立場において、十分に理解したる立場において吉田首相、その他の行政に現われておらないと同じように、又地方自治の面におきましても、人民主権或いはデモクラシーということの観念が十分に発揮されておらないように私には今日もなお深く考えられるのであります。そうしたことは、観念上の問題になり、やや抽象的になりまするから、これは別といたしまして、具体的にこの法案を通じて右のような観念から考えられますることは、政府はそうした逆コースの考え方、新憲法の民主主義精神を味得していないところの、いわゆる旧内務省官僚の依然たる官僚主義的な見解に基いてこの法案を提出いたしておるのではないか、具体的に言うならば首相に対する施政方針演説にも申しましたように、専ら昨今そうした頭の切替えの行われておらないところの旧内務官僚を中心として唱導されておりまするところの旧内務省の機構を復活しようという運動がある。それとの関連性において、こうした既存の諸種の委員会等をば統一した自治庁設置ということを考えてこの法案を出されたのではないかということについての先ず御答弁を壁頭に得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/2
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003・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。只今吉川さんの御説明では、元の内務省でも復活するような方針でおるのじやないか、又そういう形跡があるのじやないかという御質問のように伺いますが、只今提案いたしましたところの自治庁設置は、御承知の通りに、何ら新らしい権限を加えてございませんで、ただ責任の明確化ということと、行政を成るべく簡素にしたい、こういろ意味から三つの機関を一つにまとめて、そうして自治庁でやつて行きたい、こういう考えでございます。内容は十分御検討下さつたことと思いますが、どこにも新らしく地方自治長官並びに自治庁が昔の内務省のような地方を統制するとか、若しくは監督するとかいうようなことで仕事をして行くような方針じやございませんで、できるだけ責任を十分とれるように、同時に一緒にして仕事の簡素化を図ると、こういう趣旨からしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/3
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004・吉川末次郎
○吉川末次郎君 大体そうした仕入れの御答弁になるようなことは十分我々も前以て想像できるのでありますが、併しながら世間に大きく今日取扱われておりまするところの旧官僚によるところの内務省の復活運動、或いは同一の観念に基いて伝えられておりまするところの都道府県知事の公選制の廃止、こういうような要求は私は旧内務省の官僚が今日なお新憲法下におけるところのいわゆる内務行政と言いますか、地方行政というものをば依然として、百%戦前と同じような基本的な観念に基いて私はコントロールいたしておるのが現実であると考えるのでありますが、そういうようなことからいたしまして成るほどレデイメイドの御答弁がありまして、一応は外形上筋道が立つておるようなあり来たりの御答弁でありますが、それはよくわかりますが、併し私が申すような意味におきまして内務省の復活、或いは知事の公選制の廃止というようなたちの見解ば地方行政をコントロールいたしておりまする今日、なお百%コントロールいたしておりまするものは旧内務省の官僚でありまして、その関係が変らない、而もその頭の切替えが新憲法の基本的な人民主権の精神によつて行われておらんのが現実なのでありまするから、これは実際は只今の岡野さんの御答弁の如何にかかわらず現実的には力強く私は動いているところの地方行政における最も注意すべきシアリアスな、又私たちの立場からいたしまするならば極めて排撃すべき悪現象であるということだけを申述べておきたいと思うのであります。
次に委員会の制度のこと、これも本国会の首相に対する施政演説の質問の中にも申したことでありますが、この法案におきましても地方財政委員会というものがこの地方自治庁の中に併合されてしまいまして、そうしてその権限が著しく縮小される法案になつておるのでありますが、そもそも戦後行政機構の一つの新らしい形式として採択されるに至りましたこの委員会制度というものについて岡野さんはどのようにお考えになつておるか。これはアメリカにおきましても三権分立以外の大主権であるというようなことが言われておりまする一つの民主主義的な行政機構上の新らしいフオームであります。ところが依然として日本の行政に関する見解又は行政機構に関する見解というものが旧憲法時代の公法学者の頭の切替えの行われていないところの古いプロシヤ的な観念で今日なお行われておると思うのでありますから、この新らしい委員会制度、三権分立以外の大主権の民主的なフオームであると言われておるコミユニテイ・ガバーメント、或いはコミユニケーシヨン・ガバーメントの建前や或いは基本的の観念が理解されておらない。そうして新らしい委員会制度から来るところの行政上の何らかの破綻、不慣れのために来ますところの欠点が少しでも暴露されますというと、これはアメリカに特に押し付けられた制度だからこれは国情に合わない、だからよくないということで以てすぐにそれを廃して行く、或いは権限を著しく縮小して行こうというような観念に持つて行こうというのがこれがひとり旧内務省官僚のみならず私は現在の頭の切替えの行われていないところの保守政治家の共通の見解であると考えておるのであります。それで全面的にこの委員会制度というものについてどのような見解を持つていらつしやるのであるか。これを育成して行くところの線に沿うた考え方で進めて行こうと言われるのであるか、或いはできるだけこれを廃して行こうという見解に立つて言われるのであるかということ、及びこの法律の中に権限を縮小してしまつて盛られておりますところの地方財政委員会というものがこのように権限が縮小され、地方自治庁設置法の中に包括されるようになるに至つたところの理由と言いますか、権限を縮小するに至つたのはどういう理由に基くか、こういう弊害があつたとか、そういうことについての御見解を一応承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/4
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005・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 只今行政委員会全体に関する御質問がありましたので私から答弁申上げるのでありますが、行政委員会は日本におきましては終戦後アメリカの指導の下に設けられるに至つた制度でありまして、今までの我々の経験に照らしまして今回の行政機構改革に当りましては審判的な性質を有するものを除きまして原則としてこれを廃止いたしまして、その所掌事務は各省の内局等に移してこれを処理するということにいたしたのであります。従いまして今後におきましても審判的機能を営む行政委員会はこれを認めて行く考えでありますが、そうでなく一般的な行政事務を取扱う行政委員会の制度はこれを認めない方向で行きたい、こういうふうに考えておるのであります。只今外国のこともお話がありましたが、アメリカにおいて行政委員会の制度は御承知のように非常に発達して参つております。実は非常に立法的な、或いは準司法的な問題を捌くことを主とし、又一部には行政的の機能を営むものも生じたのであります。その後アメリカにおきましてもいろいろ経験いたしました結果、最近におきましては大変これに対する批判の声が起つておるのであらまして、先般発表されました行政機構に関するフーバーの報告におきましても行政委員会は準司法的なものになつて行く、一般的の行政事務を司る行政委員会というものは成るべくこれをやめたほうがいい、その仕事は各省に分属させたほうがいいというようなことをフーバーの報告にも言つておるようであります。最近においてはアメリカでもそういうような傾向になつておるということを申添えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/5
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006・吉川末次郎
○吉川末次郎君 一応御答弁を承わつておきたいと思うのでありますが、フーバー委員会のことにつきましては先にアメリカに参りましたときにアメリカの下院におきまして、そのことの提唱者であり、或いはその委員会の有力なメンバーであつたかと思いますが、ブラウンという法制委員会の委員長であつた人からもいろいろ話を承わり、又向うでワシントンの連邦政府の特にその問題についてのエキスパートであるという人からのいろいろな講義も聞かされたのでありますが、今それに関連して野田さんにお話を申述べる時間がありませんから省略しておきまして、ただ一応承わつておくことにいたします。ただフーバー委員会は御承知のようにルーズベルトが戦時中戦争遂行をして行くというところの立場から行政機構の規模が非常に拡大され、又諸種の行政機関が新らしく設置されたのを、戦争がやみましたので、それを一応整理するということを動機として作られた委員会であり、又その線に沿うたことが行われたのでありますが、果して委員会に対するところのそうした見解を委員会がオフイシヤリーにきめておるかどうかということにつきましては、更に別個の問題として、我々も野田さんの御答弁に対する質疑をいたしたいと思うのであります。
それで次にお尋ねいたしたいことは、この第八条に地方自治庁に参与を置くということが書いてありますが、これは私よく今日調べて参りませんが、同様の例はほかの行政機構においても相当あるのじやないかと思うのでありますが、お教えを願う意味におきまして現在の政府の行政機構のうちにおいて同様なものを置いておりまするところの例を挙げて一つ御説明を願いたいということが第一、御答弁によりまして更に質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/6
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007・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 現在では外務省と安定本部に参与という制度が設けられておりますが、機構改革をされたあとにおきましては今回の自治庁の参与だけになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/7
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008・吉川末次郎
○吉川末次郎君 これもよく旧法をいろいろ参照して勉強して来なくちやならないのでありますが、しておりませんが、岡野さんに一つ御答弁を頂きたいと思うのであります。今御答弁になりましたところの本法案第八条の規定の参与でありますが、これと地方自治法に規定されておつたものとして私記憶いたしておるのでありますが、地方自治委員会というようなものがあつて、同様にあなたの顧問機関のような役割をしている委員会があつたと思うのでありますが、それとの関連性はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/8
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009・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。只今まで地方自治委員会というものがございまして、そうしてその構成といたしましては各地方公共団体六団体の代表者並びに学識経験者を合せまして、そうして委員会を作り、同時に自治庁長官が地方行政を担当いたしておりますので、今までの自治庁といたしましては地方制度の企画とか立案とかいうことをやつておりますが、いろいろ御意見を承わり、又私から諮問いたしまして、そうして広汎なる、又十分なる知識を得て地方行政を完璧にして行きたい、こういう機関として審議会があつたわけでございます。今回その地方自治委員会と同じ内容並びに性質のものを参うという名前で地方自治庁に置く、こういうことにしまして、私は過去二年ほどの間自治委員会でいろいろ協議をしたりなんかしました関係におきまして、無論それも残して差支えないものでございますけれども、成るべくならば余り形は大げさでなくて実質をとる方面に重きを置いたほうがいい、今までの自治委員会というのは、何か応接間でかしこまつて話をするという会議のような感じがしましたので、参与にいたしまして、そうして参与の名の現わすごとく私の書齊へ入つて来て、いろいろ人には見せられない書類もたくさんあるが、併しあなたはうちのものだから一つこれでざつくばらんに話をしてくれ、こういうような意味でもう少し地方公共団体並びに地方公共団体に学識経験を持つていられるかたから、打ち解けてそうして十分なる忌憚な意見を言つてもらうというような意味におきまして、私は今度地方自治委員会というものをやの参与を構成はやはりもとと同じような構成にして行きたい、こういう考えに従いまして機構を変えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/9
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010・吉川末次郎
○吉川末次郎君 御答弁承わりましたが、たしか自治委員会というのは職制上でありましたか、法文の中にあつたかと思いますが、委員は五名であつたかと思います。これが今度は十名に増員になるようであります。それでその五名の自治委員の中には、私個人としても当局に推薦して御採用を願つた私の友人もおるのでありますが、平素どういう待遇を受けておつたのか、又その委員会は月に何度くらい開かれたのか、又実際上どういう効果を与えておつたかというようなことを一つお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/10
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011・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。自治委員会は只今までの構成といたしまして地方公共団体の六団体ありますが、六人出ております。それから学識経験者を二人……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/11
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012・吉川末次郎
○吉川末次郎君 ああそうですが、私の間違いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/12
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013・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) それから今度参与にいたしましたが、御承知の通り選挙管理委員を別にして選挙事務を入れましたものですから、六団体の代表者並びに学識経験者、又選挙関係のかた二人、そういうことで人を増したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/13
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014・吉川末次郎
○吉川末次郎君 そうしてどういう待遇をして、会合等は何度くらい持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/14
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015・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 会合は定期的にはきめておりません。自治委員会も今まで定期的にはやつておりません。今後はできるだけ多くの機会を得ましてそうして会合をしたいと考えております。それから無論これは自治委員会の委員と同じように非常勤の公務員であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/15
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016・吉川末次郎
○吉川末次郎君 それから今の御答弁に関連して極めて小さいことでありますが、今の参与のことを規定いたしました案文の中に「参与は、重要な庁務に関して、自治庁長官に対し意見を申し述べる。」「申し述べる」という言葉が使つてあります。申述べるというのは英語で言うならばステートとでもいう言葉かと思いますが、ところが第十八条の地方財政審議会の委員の権限を規定いたしましたものの中に「地方財政審議会は、毎年度国の予算に計上される地方財政平衡交付金に関して、自治庁長官に意見を申し出ることができる。」「申し出ることができる」というのでさつきと違う。申出るというのはプロポーズという意味かと思いますが、その相違、それからこれも旧法等を調べて来ることが必要なのでありますが、私その準備はして参りませんでしたが、考え違いがありましたらお正しを願いたいと思うのでありますが、この「申し出ることができる。」ということは戦後できました立法例に人事委員会その他の権限といたしまして、よく勧告するという言葉が使われておつたと思うのであります。その勧告は英語のレコメンデーシヨンを訳しておるのでありますが、訳語が不正確でありますためにいろいろな誤解が私は今日まで起つて来たと思うのであります。それで「申し述べる」ということと「申し出ることができる」ということとの相違、この申し出るという言葉と勧告という言葉との相違について岡野さん或いは野田さん、どちらからでも結構ですが、御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/16
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017・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。大分言葉の何がむずかしいのでございまするが、参与のほうの申述べると言いますのは、先ほども申上げましたように、できるだけ内輪の仕事、即ち自治庁は地方公共団体と一心同体とまでは行きませんが、少くとも地方公共団体と全く血の通つた官庁になりたいと、こういう考えでございまして、そうして何でも自由自在にお互いに話合う、こういうことにしたい、そうして申述べるということにしたと思いますが、それを財政審議会のほうに言葉が少しきついようになつておりますのは、これは御承知のように今まで独立の機関としまして、政府に対して対抗的な立場におるいろいろな力を持つておつた地方財政委員会のその権限をできるだけ保持して自治庁の中に包含したい、こういう考えで意見を出すと、そこでその意見にはほかの条文を御覧になればおわかりになると思いますが、自治庁長官はこの審議会の議決に対しましては、自治庁長官は十分これを尊重しなければならんと、併し参与のほうに行きまするとまあ無論尊重はいたします、非常に肯綮に値いすることなら、これは時によればお互いに議論し合つて、向うがそう思召しておるときでなくても尊重しなければならんという義務が私は自治庁長官として持たした。併しながら財政審議会のほうではその意見を十分これを尊重して行かなければならん、そういうわけで言葉の使い分けをしておるわけであります。ただいわゆる勧告と、いわゆる意見を申述べることができるという意見の差はちよつと私よくわかりませんが、旧法ではこれは地方財政委員会設置法ですか、これはどうなつておるのですか、それを私調べて来ていないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/17
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018・松村清之
○政府委員(松村清之君) 現在の地方財政委員会はこれは独立の機関でございますので勧告という言葉が使つてあります。勧告という言葉は独立の機関の場合に使われるのだろうと思います。今度の場合は地方財政審議会が地方自治庁の中にありますので意見を申述べることができると、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/18
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019・吉川末次郎
○吉川末次郎君 説明員である松村君の意見で結構ですが、今私が問題にした勧告と、申出ることができるということの相違をもう一度はつきりおつしやつて頂きたい。それは附加えて言いますと、勧告という言葉は今まで非常に国会でも問題になつて来たと思うのです。労働争議や何かについても人事院の勧告があるにかかわらず云々というようなことを言われて来たのです。ところがこれは浮田和民さんが昔翻訳したグツドノーの比較行政法の本を見ますと、レコメンデーシトンという言葉は薦告と訳しておるわけなんですね。推薦の薦という字に告げる。それのほうが私はレコメンデーシヨンの訳語としてはいいんじやないかと曾つてこの委員会で言つたことがあるのですが、要するにレコメンデーシヨンと言えば普通勧告と言われておる。日本語から日本人が共通的に考えている観念と、レコメンデーシヨンと勧告とが違うということを私は非常に考えるのですがね。例えばあなたの自治庁に対して、自分の友人で非常にそうした行政事務に堪能な男があるからといつてこれを推薦するような意味のときにレコメンデーシヨンという言葉を使うわけなんです。私が岡野さんにレコメンドするわけです。ところが労働争議等において人事院の勧告という言葉を非常に盾にとつて言うておるときには、そういう意味に必ずしも解釈されておらんように思うので、それでこれを問題にしているわけなんですが、そういうことに触れて岡野さんからもう一度御意見を承われば結構ですが、それに先立つて松村連絡課長、政府委員でないと言いましたが、あなた政府委員だそうで大変失言いたしましたが、あなたから承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/19
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020・松村清之
○政府委員(松村清之君) これは私からお答えするよりも法制局等が適当だと思いますが、現在の設置法の関係から考えますると、独立の機関の場合に、まあ勧告というような言葉を使つておりまして、只今の財政審議会のこの自治庁の内部の機関の場合には、内部の機関というのが自治庁の長官に対して勧告するということでなくて意見を申出でるというふうな使い分けをしておるのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/20
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021・吉川末次郎
○吉川末次郎君 岡野さん如何でしようか。レコンメンデーシヨン、勧告を尊重しなければならないというこの条文との関連性においてこれには入つておりませんが、よくあるわけなんだが、尊重しなければならんということは勿論その通り尊重されなければならんのだが、勧告という言葉の原語がレコメンデーシヨンだけであるならば、これはその人を推薦して来たのと同じなんだから採用しようとしまいと、それは義務付けが余りないわけですけれども、それが非常に義務付けられておるものであるかのような観念に、多少今日は強い観念になつておるのじやないかと思うので、特にこの行政機構を取扱う上において一つの課題として御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/21
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022・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私は勧告は吉川さんのお説のように考えております。勧告というのは義務付けるということではなくて、やはり意見を出して、そうして反省を促すというわけでもございませんが、こういう意見でいるぞということを通告する意味だろうと思います。ほかの自治法の改正案なんかでもいろいろ使つておりますが、御承知の通り今までは認可とか許可とか承認とかいろいろ権力的の形において旧内務省は地方の公共団体に臨んでおつたのでございますが、それを成るべくそういう形にならないように自治法の改正法案あたりでも勧告という言葉を私は使わしております。と申しますのは、勧告はこうするほうがベターであるぞということを知らせてやるけれども、併しその勧告に対して従おうが従うまいが、それは受入れるほうが勝手である、こう私は解釈して勧告という言葉を使つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/22
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023・吉川末次郎
○吉川末次郎君 これも又法案の全体から言うと余り大きな問題でもないかも知れませんが、地方財政審議会の会長及び委員の問題でありますが、先に申しましたように、現在までの地方財政委員会は本法案によつて著しくその権限が縮小せられておるのでありますが、現行法によりますというと、地方財政委員会の委員長には野村秀雄さんがなつておられるのでありますが、極く通俗の言葉で言えば、委員長は大臣級、こういうことになつて委員もまあ次官よりは決して下のものではない、次官と同格或いはそれ以上のもの、こういうようなまあ待遇をされて来たと思うのでありますが、今度はこれが非常勤になるということになつておるのでありますが、それで非常勤というと、やはり週に一回とか何とかいうふうに必ず出なければならんというような義務付けをせられるようなことになるのか、そういうことについての大体考えていらつしやること及び会長、現在の大臣級と言われておる会長及び次官級或いはそれ以上と言われておる委員の待遇、或いは行政官でありますが、行政、アドミニストレーターとしての順列というようなものは、ランクというようなものは大体どういうものになるのでありますか。つまらんことでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/23
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024・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。只今までは御承知の通りに委員長が大臣級、委員が次官クラスの待遇を受けてそうして常勤の委員会であつたのでありますが、併し今回財政審議会としまして自治庁に併置する審議会の委員はこれは無論非常勤でございますが、併しこれにつきまして勤務状況といたしまして今までは執行機関であつたのでございます。併し今度はいわば諮問機関でございますから或いは法に規定されました通りの事務を遂行して行きますにつきましては、毎日常勤して出て来てこの仕事をするということは必要はないわけであります。無論我々としましてはできるだけ識見の高いおかたの御意見をしよつちゆう聞く機会を欲しいと思いますので、一週間に一度くらいは出てもらいたいと思います。同時に法に規定されております。ところの平衡交付金の総額を配分するとか、起債の許可をするとか、こういう仕事が立て込んで参りますときには毎日出勤を願つて諮問に応じて頂く、こういうことになるのでございます。それから待遇といたしましては、これは独立した機関でなくて普通の諮問機関でございますから、その各省における諮問機関と同じような委員の待遇をして行きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/24
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025・岡本愛祐
○岡本愛祐君 この前の連合委員会で事務的のことをお尋ねしたんですが、このときは岡野国務大臣、野田国務大臣おいでにならなかつたのですが、今日はそのほうの質問をいたしたいと思います。先ず野田さんにお尋ねをするんですが、先ほど同僚吉川委員の御質問にお答えになりまして、行政委員会は今までの経験に基いて余り役に立たぬから今度はこれを廃止するんだ、アメリカ側でも批判があつて廃止の傾向にあるというふうなお話なんですが、今までの経験に基いてどういう弊害が委員会にあつたか、又このたび弊害なしとして残される委員会はどんなものがあるか、それから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/25
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026・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 先ほど御説明申上げましたように、行政委員会は終戦後に我が国に新らしく始められた制度でございましたが、これの運営につきましてはいろいろな問題がありまして、委員会の数も現在二十三あるのでございますが、それぞれの働きをいたしておるのでありまして、それぞれにいろいろな問題があるようであります。これにつきまして一々その具体的内容に入ることを避けますが、全体的に申しましてかなりいろいろな批判の対象になつておる問題もありますので、この制度自体がまあ会議体であるというようなこと、それからそれが政府から独立のような形になつておるというような点からいたしまして政策的な食い違いが来る、或いは決定等に迅速を欠くようなこともありますし、いろいろな点が問題となりまして、再検討をされた結果この種の行政機関は審判的機能を営むものに限つて残そう、こういうことになつておるのでありまして、その結果残ることになりましたものは、公正取引委員会、土地調整委員会、船員労働委員会、中央労働委員会、公共企業体仲裁委員会、公共企業体中央調停委員会、公共企業体地方調停委員会というものを残すというようなふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/26
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027・岡本愛祐
○岡本愛祐君 委員会は全部廃止でなくて、調停委員会とかそういうまあ性質上なくてはならんというようなものだけをきめる、こういう御意味であろうと思います。併しこの従来あります地方財政委員会、これは特殊中の特殊のものとお思いになりませんか。普通の御廃止になる一般の委員会と同様にお取扱いになつておるのですが、これは特殊のものとお思いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/27
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028・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 委員会にはそれぞれの性質がありますが、我々の見解といたしまして、審判的機能を営むごときものとして特殊にこれだけ残さなければならんものとして考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/28
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029・岡本愛祐
○岡本愛祐君 これは釈迦に説法ですから申上げるまでもないことでありますが、地方財政委員会のできた沿革を考えて御覧になりますと、ここに丁度その当時の提案理由の説明があります。それを読んで見ますと、「長年の懸案であつた地方税財政制度の全般に亙つて画期的な大改革を行いますと共に、特に地方自治における最弱点である地方財政関係の確立に強い力を持つ機関設置の必要を痛感し、ここに現存の地方自治庁とは別個の機関として新たに地方財政に関する地方団体の強力な利益擁護機関として、国、都道府県及び市町村相互の間における財政の調整をはかり、地方自治の本旨を推進する機関として」置くんだ。こういうふうに述べて、丁度本多国務大臣のときでありましたが、述べられて、そうして、地方自治の擁護機関、こういうので地方自治庁のほうとは別に置かれたのであります。それでまあいろいろ批評もありますが、ともかくも私どもは地方財政確立の上に非常な貢献をして来られた委員会だと思うのであります。併し残念ながらまだ地方のは政は確立してないのでありまして、今その途中であります。今にわかにこれを廃止して只今だんだんと御説明のありましたような地方自治庁の附属機関、隷属機関として、根本的の地方財政の調査もさせないで、一週間に一度くらい引出して自治庁長官の御意見を拝聴するというような機関では、これは地方自治の擁護機関とは遠く離れた存在にこの地方財政審議会というものはなつてしまう。私は地方財政の確立こそこの民主政治の推進力でありますから、これはどうしても特別なものに扱わなければならん。こう思うのでありますが、その点について野田さんはどういうふうな御認識でこれをやられたか、又岡野国務大臣はどういうふうに、そのことを考えておられるか、これを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/29
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030・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 地方財政委員会の設置につきましては、只今御紹介がありましたような企図を以てされたことと存じます。併しながらその後におきまるいろいろな運営の状況、或いはこれを取囲む日本の現在の行政組織の態様、その動き等から考えまして、今後の政策として、政府の方針といたしましては、従来の形を改めまして只今提案をいたしておりますような形のほうがより緊密に、より実情に即して地方財政も運営ができるし、又地方財政の擁護もできるのじやないか、こういうふうな考えに立至つておるわけであります。(「官僚主義の見地からでしよう、それは」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/30
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031・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。財政委員会ができました当時の情勢はそうでございましよう。併しながらこれはいわゆる先の見通しをそういうようにつけてやつて来たのでございましようが、その後諸情勢が大分変つて参りましたことと、それからもう一つ、私過去二年間地方財政を担当しておる国務大臣といたしまして、地方の自治行政を確立し、同時に財政を確立して行きたい、こういうことに実は非常な熱心な努力を続けて参つたのでございますが、不幸にして一般の期待に反して十分地方財政の確立を見ることができなかつた。この点につきまして私はこういう考えを持つております。成るほど財政委員会は独立した機関であつて、内閣に対しても対抗的の立場を持ち、大体その対抗的立場を強力にするために、独自の見解を国会に打付けて、そうして二重予算を国会に出して、そうしてこれを争う、こういうような制度でございました。形の上から見ますと如何にも強力そうに見えますけれども、併し政治情勢並びにいろいろな情勢から考えますというと、これが何らの効果を挙げなかつたのであります。と申しますのは、今の情勢といたしまして、国会を使つて内閣を抑えるということは、これは多数党内閣によつてできているところの政党政治としましては非常に力が薄くなるわけであります。それで私は国務大臣として、地方財政を担当して国会に対して責任を負つているような負わないような形になつております。併しながらあれが若し自分自身が十分な責任を持つているならば、これはもう少し立派な地方財政が確立し得ると私は考えております。と申しますことは、財政委員会は成るほど形式上は内閣に対して対抗的立場にありますけれども、これを内閣に、閣議に反映して、先ず予算でもできるときに、如何に有力に又自分の地方財政の確立のために意見を発表しようと思いましても、一つの機関を持つておりません。ただ私を通じてやるだけのことであります。併しながら私を通じてやられましても、十分責任を持つてやらなければならぬ次第でございますけれども、併しこれが若し私自身の全責任を持つてやり得るとするならば、もつと有力に閣内に意見を反映し得ることができると、こう考えておりますので、私は今後は私が全責任を持つて、そうして閣内でやつて行く、若し閣内で敗れますならば、これは内閣は大体多数党の内閣でございますから、多数党が即ち国会の意思でございますから、国会の意思に対して反撃するようなことはできぬというような、理窟の上でありますとそういう結果になりますから、私は今度の改正のほうが地方財政を擁護して行くには非常に力強い結果になる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/31
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032・岡本愛祐
○岡本愛祐君 その御見解は私は非常に重大な認識の問題で、民主主義の原則に遠いのじやないかという気がするのであります。(「中央集権の復活か」と呼ぶ者あり)それはそういう考えだと、議論は又平行線になると思うのであります。私はやはりこういう民主主義の時代におきましては、地方の声というものを十分に取入れなければならない。その地方の声を取入れる、地方公共団体の声を取入れるその機関として地方財政委員会というものがあるのでありまして、やはりこの自治庁は地方自治の擁護の機関であることは私も認めますが、併しやはりこれは政府の一つの機関に過ぎません。隷属機関に過ぎません。その長官といえどもやはりそうであります。だからまあ多数党の内閣であつて非常に強力な、大蔵大臣でも何でも撥ね飛ばすような自治庁長官がおられれば御指摘の通りかも知れませんが、ともすれば大蔵大臣のほうの力が強いのであります。岡野国務大臣が過去一年何カ月、非常に御健闘なすつたことは我々も認めるにやぶさかではございません。併しその御健闘なすつた背後には、やはり地方財政委員会、つまり直接に地方公共団体の利益を擁護する、又声を反映するその機関の力がプラスをされていたからだと思います。又その力は法律上強力な勧告の権能を持つているのであります。それは直接内閣総理大臣にも勧告ができる、又国会にも内閣を通じて勧告ができる。而も内閣総理大臣も国会も、その勧告を尊重しなければならぬということが法律上明記してあるのでありまして、この強力な力を以て私は岡野国務大臣が背後にそれを背負つて、お苦しいではありましようが、板挾みにはおなりになるでありましようが、健闘なすつたから今までの実績を挙げられた、こういうふうに思うのであります。それはおつしやいますようにまだまだ我々がやつて頂きたい、地方財政の確立のためにもつと隴を得て蜀を望む点はあつたのでありますが、ともかく大体よくやられた、それはやはり地方財政委員会があつたから、こういうふうに我々は思うのでありまして、その点認識は平行線になつております。併し私は民主政治の時代においてはそういうあり方でなければいかん。地方自治は昔のように内務省の指揮監督下にあるのじやありません。総理大臣の指揮監督下に今度入るというわけじやありませんが、ともかく地方自治と国家との関係は、民主政治のあり方の根本であります。それは地方自治も国家の枠内にあります。国家の枠内における地方自治ではありますけれども、併しこれは国家と離れたやはり自治体であります。そこでその自治を擁護するにはどうしても政府と違つた独立の擁護機関というもりのがなければならぬ。これはほかの行政機関と違うのであります。この認識が私は政府に足らない。それを非常に残念に思うのでありまして、又地方自治を担任しておられる岡野国務大臣の御認識が、この点で非常に乏しいということを只今発見しまして、非常に私は残念に思うのであります。併しそれは議論になります。私どもは私どもの信ずるところを行くより仕方がない。併しそういう御認識では根本が違いますから甚だ困るのでありまして、私どもは飽くまで地方財政委員会は置かなければならぬ。節約になると言いますが、どのくらい節約になりますか。簡素化ということはどのくらい簡素化になるか。それを一つ野田国務大臣に地方財政委員会を廃止してどのくらい節約になり、どのくらい簡素化になるか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/32
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033・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) ちよつと数字に亙る問題でありますので政府委員から……(「政府委員はどうした」「簡素化にならぬのだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/33
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034・松村清之
○政府委員(松村清之君) まだよく検討はしておりませんが、大体四百万円くらいの人件費が節約になるのじやないかと思つております。まだはつきり検討はいたしません。(「何だ、そんなの子供の小遣いじやないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/34
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035・吉川末次郎
○吉川末次郎君 ちよつと岡本委員の発言に関連して……。お許しを願つて発言さして頂きたいと思いますが、岡本委員及び私からいたしました質問、委員会制度全般の廃止に関する今の政府の見解、特にこの法案に盛られておりますところの地方財政委員会の廃止に関する政府の見解は極めて私は重大視されなければならないものだと思うのであります。私及び岡本委員に対する野田国務大臣の御答弁のうちで、委員会制度というものは県によつて非常によくない点がたくさんあつたというような理由に基いて、広汎にこれを廃止される見解を持つておられるようでありますが、それは冒頭私が申しましたように、新らしく採択されたるところの米国の制度における委員会制度というものの精神が十分によくわかつていない。従つてその運営もよくわかつていないということから、十分にその持つているところの効用性を発揮するような方途を政府が今日まで講じて来なかつたから、野田さんが考えられるような結果が来るのではないかということが一つ。それから又野田さんのような見解は、やはりこれも先に私は冒頭に言いましたような新憲法に基くところの民主主義的な頭の切替えが行われておらないところの旧態依然たる中央集権的な旧プロシヤ的国家主義に基くところの官僚主義の観念からそういうものができることを排斥したいという見解から私は明らかに言われておるものであると断定しても過ちないと私は考えておるのでありますが、それに対する御意見は、先ほどの御答弁による御意見は、私は間違つておる、岡本さんと同時に、これは間違つておる見解であつて、内閣委員会の諸君がこれを議定されるときに、十分それを大きく取上げて慎重に御考慮願いたいということを、私の立場からも希望いたしておきたいと思いますが、それに附加えて野田さんがアメリカのフーバー委員会でも、こういうものはだんだん廃止したほうがいいというところの見解が盛んになつて来ておるというような御説を述べて頂いたのでありますが、それに対するところの的確なる資料を一つ我々に出して頂きたいと思うのであります。どういうような反対論があつて、どういうことになつておるかということであります。これは米国の行政機構において非常に広く採用されているところの問題であり、又我が国の問題といたしましても、中央の行政機構におきましても、国家公安委員会であるとか、或いは地方財政委員会であるとか、そのほか多数の委員会があります。又地方行政組織の上におきましても、或いは教育委員会であるとか、或いはそのほかいろいろ同様なコミツシヨン・ガバーメントの報告が採用されておるのであります。それに対しまして今のような否定的な見解を政府が持つて臨んでおられるということは、極めて重大なる問題であると思いますので、御引用になりました米国のそれに対するところの見解と実情についての的確なる資料の提出を願うと共に、との席上において野田及び岡野両国務大臣からお述べになりました委員会制度に関するところの見解、地方財政委員会廃止に関する見解に対しましては、私たちは強硬なる反対意見を持ち、又それは全く誤れるところの官僚主義の謬見に基くものであるということを申上げておきます。資料の御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/35
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036・岡本愛祐
○岡本愛祐君 質問を続けますが、実は地方財政審議会については私は反対であります。地方財政委員会を残せという説でありますから、地方財政審議会について質問するのは筋違いでありますが、併し原案として出ておりますから、仮に地方財政審議会を設けるとすれば、どうするか、又どういうつもりであるかということをお尋ねしたいと思うのであります。地方財政審議会は、これをよく読んで見ますと、結局地方財政委員会に代つて少しでも地方自治体の利益を擁護し、その意見を直接に反映させる機関だ、こういうふうに思うのであります。それに間違いはありませんかどうか。岡野国務大臣からお答えを得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/36
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037・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/37
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038・岡本愛祐
○岡本愛祐君 そういたしますと、これではこういうような十五条以下の組織権限では甚だ足りないのではないか、形だけ利益を擁護し意見を反映させる審議会を作つたというふうに思われますが、中身はそうではありません。非常勤である、それからこの任命する人も政府の勝手に総理大臣が任命する、これはほかの重要な審議会とか、う委員会の委員を任命するとは違つております。重要な審議会であれば必ず国会の同意を経ることになつております。総理大臣が任命するに当つて国会の同意を経る、それがそうなつていない、それはどういうわけであるか、それを先ずお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/38
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039・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。学識経験者はそうでございますが、公共団体から出しますところの委員は、これは地方公共団体に推薦をさして、そうして任命することになりますから、実質において公共団体の代表者というものは、地方公共団体が自分自身で出した、こういうわけでありまして、国会の御意思を容れる容れんは別問題といたしまして、国会において反対しても少くとも地方公共団体がこれを入れたいということ、即ち地方公共団体の代表者というものはその方面から来ますから、考えようによつては力強いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/39
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040・岡本愛祐
○岡本愛祐君 それは私の言葉が足りませんでしたが、地方公共団体が共同推薦したもの、これは問うてないのでありまして残りの二名の委員をなぜ国会の同意を経て総理大臣が任命することにしなかつたか、正確に言えばそういう質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/40
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041・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは主として地方公共団体の利益を擁護するというものは一番大事なわけでございますから、地方公共団体が推薦する委員に強力な人があれば、それで私は十分である、あとは諮問機関でありますから、国会の同意を得る必要もなし、私の諮問機関として総理大臣の適当の者を選べばこれで事足りると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/41
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042・岡本愛祐
○岡本愛祐君 初めから諮問機関ときめておられますから、恐らくそういう答えが出ると思います。自治庁長官の諮問機関は総理大臣が国会の同意を経て委員を任命するというのは大げさだと、こういうようなお心持で出ておるのだろうということは推察しておつたのであります。それが私どもには不満であります。単に自治庁長官の諮問機関、自治庁長官の附属機関というようなことで、地方の利益代表として立派な働きができるかどうかということであります。つまりすべて諮問に応じてでなければ意見が出し得ない。それでは全く地方財政審議会をお作りになつても強力な利益擁護団体にはならない。積極的に意見を出し、又或る事項については必ずそれを自治庁長官が委員の総意に聞いて、その議決に従つて自治庁長官も行動するのだということにならなければならないと思うのでございます。十七条におきましての事項は、自治庁長官が無理をしてやろうと思えばできるでしよう。左の事項については議に付することになりましようが、その意見を尊重しなければならないだけでありまして、それを採用するか採用しないかは自治庁長官の任意である、こういうふうに思うのであります。これでは何もならんとは申しませんが、地方財政審議会の利益擁護機関たる実を発揮することはできないのでありまして、少くともこの中で平衡交付金の配分に関するような事項、又起債の許可に関するような事項、これは地方財政審議会の意見に聞いて、つまり議決をさして、それを自治庁長官が尊重でなくて、必ずそれに従わなければならん、こういうふうにすべきものだと思うのでありますが、その点に関する岡野長官の意見を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/42
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043・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私はこの際私の見解を一つ述べさして頂きますが、どうも地方公共団体と政府というものは相敵対しておる存在のごとき観念が前提に潜在意識としてあるから、いろいろ議論が出て来るのじやないかということを、私はいつも心配しておるのであります。御承知の通りに政府というものは地方自治行政というものにはやはり責任を持つておるのである、これはやはり全体の政府の責任でございます。そこで私は地方公共団体と政府というものは相対立する、敵対行為の独立の個体であるとは認めないで、政府は結局地方自治行政も合せて全般的の行政をしておる存在である、こういたしますならばその閣内において自治庁という一つの庁舎を設けて、同時にそれが地方擁護のために大いに努力するのだ、こういう前提に立ちますならば私は地方自治庁というものが閣内において、そして非常に地方自治のために努力している、その努力するためにはこういう諮問機関を置いて、そして参与も置きまして、地方との連絡を十分密にして、そして地方自治庁というものは地方行政がすつかりよくわかつて、そして主張並びに要求に対して自治庁が代弁して閣内において全般の行政の一部分として我々がその自治の擁護をして行きたい、こういう立場におりますならば、私は財政審議会というものを置いて、そしてその財政審議会の意見を聞いて閣内において全般の行政の一部分としてこれを有力に推進して行く、こういうことで私は割り切れて行くのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/43
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044・岡本愛祐
○岡本愛祐君 只今の岡野国務大臣の御答弁は私は重大な問題が起ると思います。つまり政府は地方自治に対して責任を持つ、これはもう非常に重大な御答弁であります。それは先ほど申しましたように、つまり地方自治といえども国家の枠内にある、国家の枠内における地方自治であります。だからその意味において国は地方自治の発展を希望し、そしてこれの適当な指導に当ること、又適当な助成に当ること、これは必要であります。併し政府が地方自治の責任を持つということになつて来たらこれは大変です。金が足りないと言われたらどんどんやらなくちやなりませんし、そして何か不正が起れば皆政府の責任だということにはならないのでありまして、恐らく言葉の用い方の不正確から来ておるのだと思いますが、そういう意味にはお考えになつていないと思いますが、地方自治の責任を持つのは地方自治体自身であります。これを助成し、これを指導することはこれは国家の枠内にある地方自治体でありますからこれは国家がなすべき当然の責務であります。併し例を自治の一番今の問題になつておる帝都の警察にとつて見ますと、帝都の警察、これは自治体でやつております。政府が責任を以ていながらこれに一文も金は出しておりません、警察には……。全部都民の負担であります。で、この間のようなメーデー事件が起りましたときに、これはラヂオで増田幹事長が、又官房長官もたしか言つておりましたが、あれは実は国家の責任というのじやない、警視庁の責任なんだ、こういうことを言つておるのであります。私はそれは間違つておると思います。間違つておるのはなぜかと申しますと、これは私だけの議論でありますが、治安の維持の責任というものはそれは実は自治体だけのものじやない。自治体だけのものとして実は今の警察法ができているのはそれは実は間違いであると私は思つております。併しともかく今の警察法では大都会、中都会における警察ということは自治体の責任にしてあるのであります。だからその地方自治の責任を政府が持つのだということは言い過ぎであります。何もかも全部地方自治に関して自治庁長官が責任を以てやり切られるということはこれはやはり昔の官僚行政時代の考え方であります。そうでなくて、自治は自治なんでありまして、それを助成するため、助成を請うために地方財政委員会というものがあつて、そうして政府に対して強力な主張をし、つ又自治の擁護のために勧告もする、地方財政委員会がその責任を持つているのであります。だからその考え方がどうもこの法案には取入れてない。すべて自治庁長官が自分の全責任で、つまり過去の官僚の行政時代と同じく自分の全責任でやつて行くというお考え、それに対して地方財政委員会は廃する関係上、又地方自治委員会を廃する必要上、この地方財政審議会を設けたり参与を設けたりせられるのでありまして、それはお坐なりみたいなものであります。私は少なくともそれではいけない、希望は地方財政委員会を存置すべきだという主張であります。百歩譲つて若し地方財政委員会がいろいろの関係でやめになつてこの地方財政審議会というものに変えるということに万一なつても、これは実に私はここの内閣委員会のかたがたにお願いするのでありますが、是非とも地方財政委員会を残して頂きたいのであります。この地方財政審議会では足りないのであります。この問題は地方行政委員会の主たる審議事項でなく内閣委員会の審議事項でありますので、この十五条以下の規定ではいけない、是非とももつと地方財政委員会が本当に地方自治団体の利益の擁護ができる強い機関にしてもらわなければならん、こういうことを希望したいのであります。これ以上岡野国務大臣に御質問申上げても平行線になるように思いますから、これで私は午前中この委員会は終りたいというお話もありますから、この程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/44
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045・若木勝藏
○若木勝藏君 余り時間がないようでありますから……、私はこの提案理由を読みまして疑問に思つたのは、政府は先に講和条約発効後の新情勢に対応するため云々と、こうやつてあるわけでありますが、これまでの地方財政委員会を廃して審議会に振替えた場合に、経済的にどれだけの節約ができるのかというようなことに対する政府委員からの説明では約四百万円ぐらいである。誠にこれは貧弱なものであつて、経済的に考えてもこの新情勢というものは問題にならんのであります。そこでこれは占領の枠が外されたから従来の官僚政治を慕うという立場に返るのか、こういうような疑問も起るのであります。又別の観点に立ちますと非常にこの地方行政の財政方面の行き方を簡素化して、いわゆる戦争が起るというような場合を予想して戦時体制というようなことを考えて、そうして戦時中非常に地方財政の規模を縮小して殆んど国のほうの大きな規模に持込んだ、こういうようなことも考えておるのかどうか、この新情勢に対応するということについていろいろのこういうような疑問が起るのであります。これは一体何を指しておるのか、こういう点を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/45
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046・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 新情勢に対処すると申しますのは、日本の講和条約が発効いたしまして独立した日本といたしましてすべてのことをみずからの責任において処理し、速かに日本の国の今後の復興を図つて行かなければならん、こういう事態を指しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/46
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047・若木勝藏
○若木勝藏君 そうするとみずからのことをみずからの責任においてやつて行くというような場合には、言い換えると先ほどからいろいろ質問があつたように中央集権化して行くことが、みずからかみずからの責任を負つてやつておることに該当することになりはしないか。先ほど来いろいろ地方財政委員会を廃止するというふうなことに対する反対の意見が委員のかたから申上げられておりましたが、私もその点には同感なのでございます。今の御答弁ではどうもそういうふうに受取れますが、如何でございますか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/47
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048・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) お答えいたしますが、中央集権化とか何とかいうことを申しているのではなく、自治体の実情に即しまして、日本の国といたしまして、その力が最も有効に発揮いたしまして、日本の国民生活の安定を早く図りたい、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/48
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049・若木勝藏
○若木勝藏君 そうすると、いよいよ私はわからなくなるのでありますが、自分の力によつてやつて行くという場合には、在来占領されているより以上に私は民主主義の形をとらなければならない、こういうふうに考えられますので、それを簡略にして官僚政治化へ行くことが最もそういうふうな日本の現状に合う、こういうふうなお考えなのでありますか、この点が非常に私は疑問に思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/49
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050・野田卯一
○国務大臣(野田卯一君) 地方行政の制度におきまして今度の地方財政委員会を廃止いたしまして、自治庁においてこれを所掌するというふうにいたしましたのは、過去の何年間の経験に照らしまして最も地方財政を擁護し、これを指導し助長して行くという観点からいたしますと、今回の地方自治庁の制度が適当なりと認めて提案をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/50
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051・若木勝藏
○若木勝藏君 大分その辺で意見の開きがあるようでありますが、時間もありませんので次のほうの質問に入りますが、この地方財政委員会に振り替えて地方財政審議会を設けることになつております。これは職員組織も持つておらない、又非常勤である、こういうふうな一つのこの審議会に対して重要な十五項目以上のこの付議事項が示されてある。それから又十八条には交付金の総額の見積りに対する意見の開陳ができるような事項も出ておるのでありますが、一体こういうふうな非常勤であり、或いは職員組織を持たない、僅か五人くらいの委員に対して何を一体、どんな意見を求めるつもりでありますか、私は非常に疑問に思う。こうなりますというと、ただ政府機関の立てたところの意見を拝聴する、そうしてそれもまあいいではないかというような、むしろ顧問のような形になつて参るのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、本気に考えまして一体こういうふうな十五項目以上の重要な事項に対して、これだけの組織では何ら意見を申述べることができない、資料も調査も何も集めることができない、それによつて的確な判断を下すことはできないというふうに考えられるのでありますが、どういうことを求めようとされており、どんな程度のことを求めようとされているのか、これについての御答弁を願いたい。これは岡野国務大臣に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/51
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052・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。至極御尤もの御意見でございますが、で、私といたしましては、実情を申上げますれば、只今の地方財政委員会も実ば徹底を欠いておるわけであります。若しお説のようなことになりますれば、今の地方財政委員会の下に附きます事務当局、即ちよく官僚と言つてはき出すように言われますが、あれは総理府の事務官でございます。そういたしますというと、若し徹底するならば、私は由来こういうことも考えたことがあるのです。地方財政委員会を政府並びに国会に対して独自な立場を持つて、そうして闘つて地方行政の擁護をするというならば、何ら中央政府の役人を使わない、頭から尻まで地方公共団体の紐付の役人がやるべき筋合いのものであろうと私は考えております。併し御承知の通りに、今財政委員会の組織を、地方財政委員会の委員ば国会が推薦して同時に総理大臣が任命する立場になつております。併しその下に働く役人は制度上中央政府の総理府の事務官というものになつております。ここに徹底を欠いておるのではないか。それでございますから、私自身といたしましては、立派な委員が御任命になれば、今の地方財政委員会の委員がお働きになつたと同じような御意見が出、同時にそれに対する資料は同じ中央政府の役人が資料を提出し、御意見にいろいろマツチするようにできると存じます。その点は何ら今までの財政委員会と財政審議会との制度において差はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/52
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053・若木勝藏
○若木勝藏君 そうしますというと、今の御答弁では、この財政審議会においてば、職員組織ばいわゆる自治庁の組織を十分使えるということに了承していいことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/53
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054・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) ちよつと御質問の趣旨がわかりませんのでございましたが、今後地方財政審議会の委員には立派なおかたにお出ましを願い、又これは公共団体からの御推薦を得て、十分地方公共団体の意思を持つたところの委員を選んで行きたい。そうしてそれに対してお助けいたすところの職員は、地方財政委員会に今まで従事しておりました職員を全部こちらへ併合いたしまして、それが又お世話を申上げる、こういうことになりますから、何らその点において遺憾はないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/54
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055・若木勝藏
○若木勝藏君 次にやはり財政審議会の件について御質問申上げたいのでありますが、平衡交付金の総額の見積りというふうなことで、これを配分決定するというふうなこととは表裏一体であつて、分割されるべきところのものじやないように私には考えられるのであります。ところが財政審議会の付議事項の方面には配分に関するところの命令のことが出ておるのでありまするけれども、交付金の総額の見積りのほうはこれが入つておらない。そうして特にこれは十八条によつて「意見を申し出ることができる。」、こういうふうに出ておる。そうしますと、何故に一体この総額を見積るほうを付議事項に入れなかつたか。ここにこういうふうな疑問が起つて参る。この点はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/55
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056・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。総額の見積につきましては各地方公共団体から資料が一種類出るわけでございますから、その見積りに対してそう疑問の余地は出ない。同時に公共団体から選出されましたところの委員が眼を見張つていらつしやいますから、これで一向差支えないと思います。併しそれにつきましても、やはり意見を申出て、それは違つているとか、これは見方が違つているとかというようなことを注意されることは一向差支えありません。ただ配分の点におきましては、御承知の通り中央政府の自治庁長官が勝手なことをしはせんか、又不公平をしはしないか、もう少し穿つて申上げますと、党利党略によつてそういうことをしはせんか、こういう御疑念がありますから、これを公正妥当にするために十分中央審議会の意見を尊重しなければならない、こういうことにしまして、これに疑惑を起させんように、そうして公正妥当に配分して行く、これに特に重点を置いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/56
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057・若木勝藏
○若木勝藏君 その次に伺いたいのは、意見の尊重であるとか、或いは意見の申出ということは、申出のしつ放しであり、或いは意見を尊重したのだというふうな一片の言葉で、何らそこに実効をもたらすものでないように私は思うのであります。併し在来の地方財政委員会でありますというと、やはり意見の尊重というようなことであつたのでありますけれども、非常に重要な勧告権を有しておつた、政府に対して或いは国会に対して……。そうすると、国民はその勧告の模様などについては十分周知することができた。併し今度の審議会においては、そういうふうな国民に周知させるところの意見の申出であるとか、或いは配分の決定の考え方であるとかというようなことは公表される機会はないと私は思うのですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/57
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058・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 意見の公表ということは、やはり財政委員会というものと政府というものが対立しておる、そうして政府はそう考えるけれども、我々はこう考えたということを意思表示しても、これは公表でございます。今度できました審議会でこの公表の点を抜きました。併しこれは同じ自治庁の中にある一つの機関でございまして、これは別のものでございませんからこれは公表を必要としない、こういうわけで私は公表を除いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/58
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059・若木勝藏
○若木勝藏君 それでいよいよ私は今の御答弁で財政委員会を財政審議会に切替えたことに重大な欠陥を発見するのでありますが、これは意見に亙るのでこの辺で終りたいと思います。結局するところ、私は在来のこの地方財政委員会は盲腸的な存在である、無力なものであるということも言われて来たけれども、いよいよこれは盲腸的存在になつたのではないかと思うのであります、この財政審議会に切替えたことによつて、とにかくこれは政府のいわゆる講和後におけるところの諸情勢に対応するためであるか、警察法を改正してそうして殆んど公安委員会あたりの権限を首相の手に収めたり、或いはデモの取締に対するところの都道府県の条例を廃して国の一本の形にこれをせしめたり、或いは又自治体警察をでき得る限り国家警察に集中さしてしまう、或いは破防法によつて団体のそういう方面を規制してしまう、こういうふうなことと並んで如何にもこれは講和いわゆる独立後の諸情勢に応ずるりかも知れないけれども、まあ中央集権化の形にだんだんだんだん直されていくということにつきましては、これほ日本の民主政治の上に重大な問題だと思うのであります。この点から考えまして、本日のこの審議されておる財政委員会を廃して審議会に切替えるなどということも、これは誠に地方行政から見て重大なことだと考えておるのでありまして、その点は非常に遺憾だと思つております。以上要望申上り、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/59
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060・中田吉雄
○中田吉雄君 委員長の要請がありますので短い時間に二つばかし御質問いしたいと思います。現行地方制度は仰存じのようにシヤウプの勧告によりますところの一つの地方税の体系と、それから神戸委員会を中心にいたしましてその勧告に基いて国と府県と市町州の事務の再配分をやつて、地方自治の円滑なる発展を期する、それからもう一つは地方財政委員会、この三本足によつて現在の地方制度はなつておると思うわけであります。敗戦以来六ヵ年私、全般の総司令部の政策を見まして、非常に全般におきましては我々は多くの敬意を表すべき改革がなされたと思うわけであります。そういう点で私は先に申しましたような地方税の体系、神戸委員会の勧告に基く行政事務の再配分、それから地方財政委員会によつて一千数百億の平衡交付金が党派的に配分されずに公平に配分されて、必要以上に地方政治に党派的な色彩を付つことを防止する、この三つの地方剛度は我々といたしましては若干の異論のある点があつても、それを是正しながら全体といたしましてはこの体系強く推し進めて、そして地方自治の発展を図るべきだ、こういうふうに考えるわけであります。従つてこのたび出ました自治庁設置の二十四カ条から拠りますところのこの法案の骨子は、相局選挙管理委員会と地方自治庁と財政委員会を一本にして旧内務省、小さい内務省を復活するという観点からいたしまして、最初に先ず地方財政委員下がなくなり、そして神戸委員会の貴重な勧告があるにかかわらずそれも実施されず、そういうふうにいたしますとシヤウプの勧告によりますところの地方税法というものは、大体神戸委員会の勧告を基準にしたようなこの財源の配付をやつているわけであります。代つてその二つが崩れて行きますと、地方税の体系も結局あれではやれなてこういうふうに私はなると思いますし、岡野国務大臣は昨日私が御質問申上げた際に、大体シャウプの勧告に基現行地方税の体系を守つて行きたいしいうことを申されましたが、神戸勧告も実施されず、それから地方財政委員会の廃止、そして審議会に切替えるしいうようなことになると、おのずから地方税の体系も崩れて行かざるを得ないというふうに考えますが、岡野国務大臣はどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/60
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061・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上ります。神戸勧告が実現していないここは甚だ遺憾でございますが、併し事各省に亙ります非常に複雑な仕事でございまして、なかなか各省間の事務のやりとりなんか、又都道府県と市町村との間のやりくりにつきましてもまだ成案を得ておりません。併しながら先日も申上げました通りに、シャウプ勧官によりますところの地方の財政を基礎としたところの自治の強化ということに対しては、信念といたしましては何ら変つておりませんから、この次にできます地方制度調査会にいわゆるシヤウプ勧告というものの体系を崩さずに地方税法を守り、同時に地方財政が立派に確立するような事務の再配分と併せて税法を改正して行きたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/61
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062・中田吉雄
○中田吉雄君 時間がもうありませんので……、私はこの改正は明らかに旧内務省の復活である、若木、吉川委員が申されましたように、中央集権的は、或いは軍事的な機構と極めて深い関連があるということを旧内務省との比較によつて申上げますと、岡野国務大臣はそういうことはないと言われたが果してそうであるかということを御質問いたしまして私の質問を打切りたいと思いますが、御存じのように旧内務省は選挙の事務を一手に握つておりました。それから補助金その他の財の問題を握つて、更に警察を握つて、選挙になりますと内務省の警保局が全国の警察官を動員いたしまして強力選挙干渉をやつております。補助金によりましてその時の内閣の政策、その時の内閣に属する立候補者を強力に進めて行かないならば国の援助をとめるとかいうようなことによつて、私は旧陸海軍と共に日本を誤つた大きなものは内務省であると思うわけであります。そういろ点で総司令部におかれて日本の民主化という点から、そういう多くの過失を犯した内務省を解体いたしまして、日本の平和的な民主的ば機構を作られたというのは誠に私は根本に触れた改革と思うわけであります。若し法案にあるように選挙管理委員会も自治庁の中に包含し、地方財政炎員会を解体して財政審議会に持つて来て、そうして若木委員も申しましたように、警視庁の総監その他を内閣総理大臣が任免するというようなことになりましたならば、殆んど旧内務省の時と同じ恰好に私はなると思うわけであります。一千二百五十億の平衡交付金、成るほど一般交付金につきましては単位費用は法定されておりますが、補正系数或いは特別交付金というものはかなり裁量がある。そういうよりなものが権限のない諮問機関としてり財政審議会に問うて、そうして一応の形式は整えられるが、極めて党派的一千二百五十億の平衡交付金が流されて行くというようなことになりますならば、地方自治体といたしましては、どうしても背に腹は変えられないというようなことで殆んどその時の内閣に、公共団体の選挙があるたびごとに一辺倒せざるを得ないということとなる弊害が私は免かれないと思うわけであります。例えば高知県の知事選挙、或いは広島県の選挙において、野田大臣は言われなかつたと思うが、我一党の推薦している候補者を支持しないならば平衡交付金や災害復旧の問題はちつとも見てやらない、こういうことを言われて、却つて広島と高知県では意識の高い地方住民の反撃を受けまして、そういう党派的なことが必要以上に地方自治体に持込まれるということが防がれたことは私は誠に結構なことだと思いますが、併しながらこの一千二百五十億というものが単位費用だけは法定されていますが、補正系数並びに約一割に及ぶところの特別交付金というものが必ず諮問機関に問うても、その諮問機関の答申の通りにするということがなくて、党派的にこれが流れて行きますならば、私は地方自治体に必要以上に党派的な政党政治の悪い面を持込むものであるという見地からいたしまして、財政委員会を解体いたしまして、地方財政審議会に持つて行くことは岡本委員その他が申されました通り、私も強く反対するものであります。私は地方財政委員会が財政多難の折に当りまして、あの一万数千の各種各様の地方公共団体に対しまして平衡交付金をかなり公正な立場から配付された努力は極めて高く買うべきものであると思うものであります。私は数多くの委員会におきまして、これほど公正に地方公共団体から喜ばれた委員会はないと思います。大体私が全国の自治団体のいろいろな陳情書なんかを見ますると、全国の知事会議というものは最もいけません。このものはいわゆる官選知事のときの色彩が多くて自治庁に一辺倒して、例えば自治庁から頼まれるというと何でもかんでもそういうような陳情書を持つて来ます。そういうような点では全国の市町村会、全国の町村会、全国の市長会は非常に立派な意見を答申したり陳情したりして来ていますが、全国の市長会におきましても是非この地方財政委員会というものを育成強化するような方向に持つて来てもらいたいということを我々の委員会にも持つて来ておられまして、私は全く同感の意を表するものであります。更に若しこれに選挙管理委員会というようなものを持つて来ますならば、その弊害は極まれりと言わなくてはなりません。選挙管理委員会を通じまして選挙干渉が必要以上に行われますならば、これも地方公共団体が余り党派的な色彩のあることは私は好ましくないと思いますが、そういう弊害がずつと惨み込んで来るのではないかというふうに考えるわけであります。現在の選挙管理委員会におきましても、例えば牧野委員長のごときは、先般鳥取県の某自由党の議員と選挙の応援演説をやつていますが、これは明らかに公職選挙法の百三十六条に違反するわけであります。別個のものであっても、だんだんと自由党内閣が強力であると、それにさえ一辺倒して置けばよろしいというようなことから、公正なこの選挙管理委員会の運営がなされないのですが、これが若し自治庁の中に入つて、そうして住民の地方自治を委ねる代表を選ぶ選挙管理関係、そうして地方税の歳入が大体本年度は二千九百億ですが、殆んどその半額に上る平衡交付金というものが党派的に流されて行く、そうして公安委員、警視総監等に対して内閣総理大臣が党派的な人事の任免をやるというようなことになりましたら、これは明らかに往年の内務省の復活であると私は言わざるを得ないと思いますが、岡野国務大臣はそういうことはないと申されましたが、この両者を比較してどういうふうに思われますか。この問題は内閣委員のかたに審議して頂くわけでありますが、私は地方行政委員会に所属いたしまして、二ヵ年間地方財政委員があの国家財政の多難の折に一万数千の非常に規模の変つた地方自治団体に対して、そう非難のない配分をされたことに対しては満腔の敬意を表しまして、これを弱体にすべきではない。例えばこれと同じような米価審議会というもののあの答申が一遍も尊重されたことがあるでしようか。全国の五百万の農家が営々として生産する米価の決定に対して、米価審議会の答申に対しては一遍も内閣はこれを尊重しておりません。私は必ず地方財政審議会というものは、米価審議会と同じような轍を踏むものである、こういうふうに考えまして、旧内務省の今度政府が計画しておられるところの自治庁設置法案とは殆んど同じものであるというふうに、私は若木、吉川委員と同様な見解を持つものですが、両者を比較してそういうことがないということがどうして言えますか。岡野国務大臣にこの点を御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/62
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063・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。旧内務省の復活であるというようなことは私は少し誤解があるんじやないかと、こう考えます。と申しますことは、今例にお挙げになりましたように警察を使つてそうして選挙管理委員会を自治庁に入れて、そうして選挙管理もできるじやないか、こういうようなお話でありますが、これはもうこの設置法を御覧になればよくおわかりの通り、自治庁は警察に何らの権限も持っておりません。
それから又選挙管理委員会の問題でございますが、これはいわゆる選挙管理委員会がやつておりました事務、即ち予算を取るとか、又地方からこういう報告をよこしたときにその報告をどうするとか、衆議院議長とか参議院議長から補欠選挙があるからこうしろとかいう取次仕事だけでありまして、選挙のいわゆる通俗に言う管理というような仕事、即ち選挙違反であるとか、あの選挙はこうしたああしたというようなことは、これは中央選挙管理委員という独自の立場を持つた附設機関がやることでございまして、自治庁といたしましてはそれに対して何ら手を出すことはできないのでございます。それからもう一つ全国選挙管理委員会というものがなくなつたということでございますが、併しあれにつきましては御承知の通りに各地方における選挙には都道府県の選挙管理委員会というものはちやんとニュートラルな性格を持つたものが残つております。同時に今度受持ちますところの選挙管理はどういうふうなものかと申しますれば、参議院における全国的の選出の議員のお世話でございます。ところがそれは中央選挙管理委員が、いわゆるあなたのお恐れになるような仕事はそのほうで、やるのであつて、自治庁はその構想をどうするとか、報告を何回やつたらいい、だろうというようなことを、それを我々のほうで事務的にずるだけでございます。何ら選挙管理委員の仕事を引受けたからといつて、昔の内務省がやつておるような、強力に自分の党派の人間を当選させるべく努力して行過ぎの行動をした、こういうような行動は絶対にできない建前になつておりますから、これは御心配は要りません。
それから地方財政委員会の点につきましては、これは岡本委員並びに吉川委員、若木委員にお答え申上げました通りに、これは私といたしましては過去二年間の経験によりまして、むしろこの新らしい性格のほうがより多くベターに地方財政を擁護し得る一つの改革だと、こう信じております。その点につきましては議論になりますから、信念と議論は違いますから、いつまで行きましても平行だと思いますので、この程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/63
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064・中田吉雄
○中田吉雄君 最後に野田大臣にお尋ねいたしますが、先に、一体こういう改革をやればどれくらい審議会で経費の節約になるかという御質問に対して、四百万円くらいということを申されましたが、どういう計算に基いてそういうふうな結果になつたのでしようか。基礎がわかつていましたら一つ政府委員のほうで結構ですからお願いしたいと思います。
それから野村委員長にお尋ねいたしますが、私は財政委員会の労に対しては多くの敬意を表するものでありますが、併しそれが十分なものでなかつたということも又否定することはできないわけでございますが、委員長として一万有余の地方公共団体の台所をお預かりされて、どういうふうな形態であることが最も理想的なものであるかということを、高道な識見を持つて極めて毅然としておられる野村委員長から、遠慮のない卓見を拝聴いたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/64
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065・松村清之
○政府委員(松村清之君) 先ほど四百万円の節約と申しましたのは、地方財政委員会を審議会にすることに関する経費だけでございます。全部の委員会の経費ではございません。これは現在の地方財政委員に要する俸給、旅費その他人に伴う経費から今回法案で予定されておりまする地方財政審議会の委員に給しまする手当その他の経費を差引いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/65
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066・野村秀雄
○政府委員(野村秀雄君) 地方財政委員会は一昨年の六月一日から発足いたしまして丁度丸二年に相成ります。この二年間の浅い経験と経過から見まして、私はこの制度は非常に妙味のある制度だと考えております。若し日を籍して行つたならば、一年は一年よりその機能を発揮し、その権威をますます発揚し得るものと固く信じております。世間ではこの地方財政委員会を無用なものであり、無力なものであるがごとく批評するものがありますが、これは私を差挟んだ批評であつて、決して私はそうは思いません。極めて有意義であり、有力なる、有益なる機関であると信じておるのであります。ただ私としてもこの地方財政委員会が十二分にその機能を発揮し得なかつた憾みは持つております。それと申すのも、先ほどからここでいろいろの御議論があったように、この行政委員会に対する性格、機能というものを十分に認識できないことがあり、又この機能を運営する上において慣熟していなかつたきらいもあつたと思います。又もう一つは、官尊民卑と申しましようか、或いは官僚主義思想と申しましようか、こういうような考えから、やはり中央集権の夢を見ておる者があり、又地方でも中央依存の滓が残つておるきらいがあるのであります。もう一つは、この財政委員会二年の間司令部の制約を受けておりまして、殊に経済科学局のごときはややもすれば国家財政に重きを置いて地方財政を軽視するのきらいがあつた、これがために私ども地方財政の確立の上において大きなる支障があつたように感じておるのであります。更に附加えて、と申すよりもこれは大きいことかも知れませんが、地方財政委員会の委員、事務局は練達堪能の士がおりますけれども、私は地方財政に関して何らの知識経験を有しておりません。至つて生来愚鈍な上に知識経験がないために、この地方財政委員会を軽からしめたということは、私誠に衷心より恥入り、又地方各団体に対しても、又地方財政委員会に対しても、国そのものに対しても相済まんというに感じておるものであります。
こういうようないろいろな事情を以て地方財政委員会が十二分の機能を発揮し得なかつた憾みはありまするけれども、併しこれは漸次改善して行つたならば、必ずや、先ほど申したように一年は一年よりその機能を発揮し、権威を発揚し得るものと私は固く信じておるのであります。ただ占領七カ年の長い間にいろいろの行政機構が生れて来まして、行政機構の根本的改革は国の要請であり、国の輿論として叫ばれておるのであります。私ども国民の一人としてこれに協力するのは当然なことと思いましで、政府は実情に即して必ずや合理的に機構の改革、整理をなさるものと期待しておつたために、この財政委員会が存置せられるか廃止せられるかということについては、積極的に意見を申上げずに、静かにその成り行きを見ておつたのであります。併し率直に申上げますが、政府の大きなる政策として示されたこの行政機構改革は、いわゆる泰山鳴動して鼠一匹の憾みがあるのであります。殊に行政委員会廃止ということは、政府の行政機構改革の大きなる柱であるというこを聞いておりましたけれども、私この行政機構改革案を一瞥するときにおいて、この行政機構の或るもの、この行政委員会も或るものは廃止し、或るものは存置せられる、そこにどういう基準、どういう目標があるのか、私ども素人には十分了解できないのであります。或る人は有力なる行政委員会は廃止せられ、無力なる行政委員会は存置せられるのであるとかように言う者がありますが、これは皮肉なる批評であつて、私ども決してそのまま受取るものでありませんけれども、併し多少その感があるのではないかといろいろな実情に照らし合して私ども感ぜざるを得ないのであります。又地方団体その他からも、行政委員会の或るものは存置し、或るものは廃止せられるということは不徹底である、行政委員会存置のために地方財政委員会としても一つこの際立つてはどうか、かようなる忠告をなす者があつたのでありまするけれども、私は行政整理は国としてどうしてもなさねぱならんことである、政府がそれだけの固い決意と強い方針とを持つてやられるならば、積極的にこれの妨げをなすがごときことはしない。併し必要なるものは必ず生れて来るものである。今日これを廃止せられて、後日必ずこれが再び生れて来るものである。いわゆる「うしとみし世ぞ今は恋しき」ということのごとく、他日ああ地方財政委員会があればよかつたと、いう、かようなる感じを持つて必ず再び生れて来るものであると、かように思うものであります。今の財政委員会は一種の混血児でしかももらい児のごときものであるけれども、今度生れて来るものは日本児であって、腹を痛め、血をわけた自分の児であるから必ずこれを情愛を持って健全に育て得るであろう、自分はそのときを期待するのであるという意味を以て、積極的の存置運動をいたさなかったのであります。併しこの間のギヤップを如何にするか。政府の案によりますると、審議会というものを作られるということであります。この審議会を作られるにつきましては、私は独立した財政委員会はなくなっても、これと同じような性格のものを、圧縮したものでいいからこれと同じような性格の厳正公平なる機関を置いて頂きたい、そうしてそれによって地方財政の確立、地方自治の完成に努めて頂きたい、かように熱望いたしたのであります。或いは世間では今度の審議会は、議に付して、その意見を尊重するというのだから、それは大臣が必ずその意見を奪重して審議会の意見通りになるだろう、だから安心して任していいじやないか、かように言う人があるのでありまするが、私は過去二ヵ年間岡野国務大臣とこの地方財政のことに関して密接なる接触を保って参りました。岡野国務大臣のごとき厳正公平にして達識具眼のおかたが長官としておられるならば、私は心強く、心安く、これをお任せし得ると思います。けれども、岡野大臣といえども、五年、十年の長き間その職におられるとは思いません。必ずやその間に自治庁長官もお代りになると思います。このお代りになる自治庁長官の中には、どういう人が出て来るかも知れません。その人を存すればその政上り、その人を失えぱその政衰うというように、人によつて政が上りもするし、衰えもしましよう。併し人によつて私どもは常に安心、信頼を繋いでおるわけに行きません。どうかいい人、立派な人が大臣としてこの自治庁長官にあられることを欲しますが、同時に制度の上にも安心と信頼とを持ち得るような、立派な制度を作つてもらいたい、これが地方財政を確立し、地方自治を完成する大きなる基だと、かように考えるのであります。若し政府にして思いをここにいたされるならば、今度のような設置法でなくして、審議会を議決機関にしてもらいたい、そうして審議会において決定したものは必ずこれを実行してもらいたい、かように考えておるのであります。或いは大臣を拘束する、こういうような批評があるかも知れませんけれども、私は拘束したい、拘束しなければならん、かように考えるのであります。それから又審議会は審議会における意見を公表して、これを天下に訴えて、国会なんかの審議にも大きなる参考にし、民意のあるところを十分に知ら得るような方法を講じたがいいのじやないか、かように考えるのであります。
又もう一つは委員のことでありますが、委員は選出方法は設置法に示された通りでいいと思いますが、ただこれを自治庁長官が任命するだけでなくして、その任命の段階には国会の承認を要することを必要といたします。と思しますのは、やはり地方団体から推薦はせられておりまするけれども、国会という民意の機関に一遍濾過されたもの、これを任命するということが国民に対して信頼と安心を持たせるゆえんではないかと思います。更にこの委員は常勤にして、日常地方財政をつまびらかに知つておくことが必要であろうと思います。若し国会において御審議下さるならば、最小限度この点を十分御考慮を願いたいと思います。私はこの行政機構改革案が国会へ提出せられて衆議院において審議せられる過程を見るときにおいて、何とかいう局を外局にするとか、内局にするとかいうことについては数日間も論議を戦かわされ、審議を尽されたと、そうして漸く次長を一人をこしらえるとかこしらえんとかで妥結せられたということを聞きました。それだけの熱意がある衆議院ならば、何故にこの地方団体、地方住民に大きなる関係のあるこの地方財政委員会の存廃、若し廃止すればこの善後措置を如何にするかということについて各方面の有識者から意見を徴せられる公聴会くらいは開かれてもよかつたではないかと、かように私はその審議のあとを見て非常に遺憾に思うのであります。幸いに参議院において私のごとき者の意見をも徴せられたことは、私は財政委員会として非常に喜びに堪えないのであります。どうか折角の二院制度であります。この参議院の各位におかれては、地方の実情、又国家の現状から鑑みて二院制度の妙味を十二分に御発揮下さるようにこの機会に切にお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/66
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067・中田吉雄
○中田吉雄君 時間がありませんので、この問題は内閣委員会で御決定になるわけでありますが、一つ、何と言いましても一千二百五十億と、年々膨大になるでしようが、そういう問題の配分というものは、これは地方自治団体の根幹に触れるのです。そうして又単位費用だけを法定して、補正序数その他は法定されておりませんし、必要以上に党派性が入つたりする虞れが極めて大だと思いますので、一つ内閣委員会におかれましては十分御考慮頂けるように熱望いたしまして私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/67
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068・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 連合委員会におきましての発言の通告はこれを以て終りました。つきましてはお諮りいたしますが、連合委員会は本日を以て解くことにいたしますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/68
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069・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。さよういたします。
それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314875X00819520605/69
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