1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十一日(水曜日)
午後二時十一分開会
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委員の異動
本日委員森田豊壽君、鈴木強平君及び
小林亦治君辞任につき、その補欠とし
て北村一男君、駒井藤平君及び松浦清
一君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
岡村文四郎君
委員
池田宇右衞門君
白波瀬米吉君
瀧井治三郎君
北村 一男君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
三橋八次郎君
松浦 清一君
松永 義雄君
駒井 藤平君
政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
食糧庁長官 東畑 四郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○食糧管理法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
本日は食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対してなお質疑のおありのかたはこの際御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/1
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002・飯島連次郎
○飯島連次郎君 私は本問題について、極めて微細な点について二、三質問をいたしたいと思います。その一つはこれは食糧庁長官にお尋ねしたいと思います。集荷の際の政府指定倉庫の件であります。これは現在政府が指定しておる倉庫は統制撤廃後も従前通りそのまま指定をされるかどうか、この点を明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/2
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003・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 食糧庁といたしましては、統制撤廃後も麦を無制限に買入れるという趣旨に副いまして、麦の管理場は燻蒸可能な倉庫であるということを原則といたしておるのでありますが、差当り農業倉庫等が一応整備いたしておりますので、本年は指定倉庫をそのまま指定いたしたい、こういう考えでございます。将来は燻蒸可能な倉庫にだんだん整備いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/3
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004・飯島連次郎
○飯島連次郎君 次に只今長官の、将来の問題に関連してお尋ねしたいと思いますが、それは農業倉庫を建設することに関しましては、先般、前の根本農林大臣が全国の販連会長会議で農業倉庫建設に関する補助金を出すということを曾つて言明したことがありますが、これは倉庫を完全にして保管をする、つまり現在は倉庫が極めて不完全であるが故に、大体概算をして見ますというと、少くとも国産の大小麦の保管において政府が指摘しておいでになるように、欠減が一・一九%と踏んで計算をいたしますと、約二十五億の矢減が見込まれるわけでありますが、こういう減損耗を未然に防ぐためにはどうしても倉庫を完備しなくちやならん、今長官のおつしやつたように、燻蒸可能な倉庫にまでこれをしなければならない、その必要が存在しておるわけでありますが、このためには現在の協同組合等の実情から考えますと、なかなか速急にそこまで倉庫を完備することが困難でありますので、その倉庫を政府が指定するがごとく燻蒸可能に整備するためにはどうしても政府の助成を必要とすると考えるのでありますが、この点に関してそういう用意をお持ちになるかどうか、農林大臣のこういうかねての言明に対して、現在の大臣並びに当局はこの言質を実行する用意が勿論おありのことと考えますが、これを改めて念を押しておきたいと思います。政務次官に一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/4
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005・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 農業倉庫に関しましては、昭和二十七年度の予算におきまして、農林漁業資金融通法におきまして十二億円を予定しておりまして、そのうち二億円は補修の分、十億円は新らしく農業倉庫を建設するという分として実は予定をしておるわけであります。それに対する利子はすでに御承知の通り四分という非常に低利の資金でやるわけでありますが、これに対しましては、各方面から二十七年度に限るということではどらも十分でない、何とかしてこの二十七年度に限るという点についてはもう少し一つ考えて欲しいという非常に強い要望があるのであります。当初の予定といたしましては、一応二十七年度に限定はしておりますけれども、今日の食糧事情、或いは又協同組合等の集荷機関における倉庫に対する要望の事情というふうなものを総合いたしますと、これを二十七年度だけでよろしいという結論には相成らんじやないか、その辺は十分慎重に今後の推移を検討いたしまして、若し必要があるとするならば、二十八年度以降においてもその問題は考慮いたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/5
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006・飯島連次郎
○飯島連次郎君 只今の次官の御答弁は私が次に聞かんとすることを先にお答え頂いて、大変先見の明には敬服いたします。実は私が只今質問を申上げたことは融資ではなくて、つまり現在でも約二十五億に相当する欠減が出ておるのだから、その欠減を仮に倉庫を整備することによつて半分に減らし得ると仮定すれば、この二十五億が新たに増産と申しますか、国庫並びに生産者の収入増になつて来るわけでありますから、これは急を要する問題だと考えるわけでありますので、そういう見地からいたしまして、農業倉庫の整備に対して助成をして欲しい、このことに関しては前農林大臣はすでに全国の販売連合会長会議において責任がある言明をしておられる事実があるのでありますから、この言明に対して実行する用意がおありのことと思いますが、準備如何ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/6
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007・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) お答えが前後いたしましたが、農業倉庫に対しましては、従来補助金制度がございましたのですが、これが補助金の形でなく融資の形で行うようになりました。実は融資としてこれを農業倉庫を作るという政府案の確定までの段階におきましては、家はこれに対しては相当額の補助を出すべきであるという極めて有力且つ熱心なる意見があつたことは事実であります。我々としましても、日本農業の特性から考えましても、軍に融資ということのみならず、或る程度の補助金を出すということも、これはできるならば実現をしたいという考え方を当初より持つておるわけであります。今日といえどもその問題に関しましては、将来の問題として一つ是非或る程度の補助金も出せるように努力して行きたいと考えておるのでありまして、ただ補助金の率等につきましては、いろいろと検討の余地があろうと思いますが、或るものは二分の一の補助を絶対必要とするものがあるのでありますが、三分の一程度の補助でもいいから補助を出すべきであるというふうにいろいろな議論があります。その辺を十分検討いたしまして、そういう倉庫に対する補助金の問題は、将来その実現に向つて十分努力をすることをこの際申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/7
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008・飯島連次郎
○飯島連次郎君 それでは次に農業倉庫の融資の件についてでありますが、先ほどお答え頂いておるので、大体了解はいたしましたが、昭和二十七年打切りということではこれは極めて結果が不満足に行きますので、これは引続いて明年度の予算においても是非少くとも同額程度は計上して欲しいということを強く要望いたしますが、これは予算措置としてはそういう準備を進めておいでになることと考えますが、この点をもう一度一つ食糧庁長官からも併せてお答えを頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/8
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009・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 先ほど政務次官の申上げましたように、補助金と融資との問題が関係いたしまして我々としましては農業倉庫の整備のためには最大の努力をいたしておるのであります。目下事務的な調査を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/9
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010・飯島連次郎
○飯島連次郎君 それから次に、集荷資金に対する質問でありますが、政府では集荷に関して農業協同組合という系統組織が全面的にこれに協力をするという態勢を整えて着々この推進をしておることは御承知の通りでありますが、この農協の集荷に対する実情は、九州地区で申せばもうすでに来月の下旬、この関東地区にいたしましても、すでに七月に入れば着々農業倉庫を目指して協同組合の窓口、倉庫等に殺到して参るわけでありますが、その場合にこれは政府だ、これはビール会社、こういつて必ずしもああいう煩雑な業務のうちに経理上明確に区分することも至難な実情にありますので、少くとも協同組合に関する限りはその取扱の全量に対して政府が集荷資金を融通して欲しいというのは一致した強い要望でありますので、是非そういうふうにして欲しいと考えるのでありますが、この点に関する資金の手当等を大体お伺いをしたいとこう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/10
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011・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 現在は食糧管理法政年前でございますので、資金は食糧庁が持つております財政資金だけでございますが、供出がなくなりました場合のり用意といたしまして、大蔵省と話合いをしてすでに完了いたしておりまして、それは国庫余裕金を農林中央金庫を通しまして系統機関を通して末端の農協に流す、末端では日歩二銭七厘でございますが、サイト六十日の見通しをつけております。従いまして、国庫余裕金は相当量ございますので、政府の証券の発行がそれだけ減るわけでありますが、彼此融通できる仕組でございますので、政府に集まりますもの以外は農協の系統機関が系統販売ができます限りにおいて末端に財政資金が下りる、こういう話合いをいたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/11
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012・飯島連次郎
○飯島連次郎君 次にこれは極めて細かな問題でありますが、検査手数料についてお伺いをしておきたいと思うのであります。これ現在一俵について三十円ということになつておりますが、私の県の一つの事例を以て比較をいたしますと、昭和九年の当時に一俵二銭でありましたのが、現在では千倍に飛躍して二十円というのが現行の料率であります。これは農家の極めて零細な経済からいたしますと、高過ぎるという声が強いのであります。それで今回の麦類の統制の解除に伴つてこの検査料は挙げてこれは国の負担にしてもらいたいという要望が起つておりますので、これを全部生産者の負担から外すという考え方、それからもう一つは若しこれが一歩譲つて、どうしても金額を国庫の負担にできないといたしました場合には、どういうことを考えておいでになるか、これらについてはすでに昨日、今日の問題でなしに、中央に輿論が反映しておる問題でありますので、これらについての政府、特に長官のお考えを伺つておきたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/12
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013・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 麦類の検査手数料の問題は農産物検査手数料令で一俵二十円ということに決定いたしておりますが、従来は統制中でございましたので、手数料はとらなかつたのでございます。統制撤廃後は手数料をとるという方針で予算的措置も考えておるのであります。政府といたしましては二十円の検査手数料を農家の負担にいたしますけれども、価格として二十円高く買うということによつて農民の負担を実質的に上げない、而も消費者のほうにはこれを一般会計から繰入れてもらいまして負担をかけないという形で農家負担の問題を解決いたしたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/13
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014・飯島連次郎
○飯島連次郎君 只今のお答えは極めてはつきりしておるお答えで、私は満足をいたすのでありますが、ただ数量的に見てこれは必ずしも多い数量ではないと考えるわけでありますが、政府以外にこれを売渡したという場合には、検査手数料というものはまるまる生産者、農家の負担になるわけであります。そのことも考えると、今の手数料の免除なり軽減という問題がまだ残されておると思います。そのことも考えてのお答えをもう一度煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/14
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015・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) この法案は最低価格を保障するという建前でございますので、政府に売りますものを二十円高で買いますれば、その地方における麦類の価格は、政府が底値を入れたことになりますので、集荷農産物は必ずそれ以上に売るということになりますので、二十円という負担は政府が買上げることによつてこれは農民の負担にならないで農民の手取になるという価格現象を起したいというのが狙いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/15
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016・飯島連次郎
○飯島連次郎君 極めて具体的な御答弁で……私は満足はいたしませんが、一応この問題はこの程度にとどめておきます。
最後に、この価格の点に関して最近起つて参りました事例から、麦価の基礎になる米価の算定に関して全面的な非常に強い要望が出て参つておるのであります。それを一つこの際取上げて是非これはお尋ねもしたいし、米価決定の場合の重要な資料にして頂きたい。こういう一前提においてお尋ねをすることは、実は今回電気料金が二割二分ほど値上になつたことは御承知の通りでありますが、この電気料金の二割二分の値上の中には電気事業における従業員の賞典二カ月分二十九億が含まれております。これはもう文句なしにきめて押付けられる料金でありますが、こういう措置はこれを押してやれば、只今正規の手続で算定をしておるパリテイのほかに少くとも米価決定に対してはこういうり電気の場合の二カ月の賞典に匹敵をする価格、これも算定の中に織込むべきであろう、こういう要求であります。これは例えば小麦一俵に例をとればまさに三百八十円高くなる、三百八十円も更にプラスしろ、こういうことになるわけですが、こういうことを価格決定の際に農民は、電気に関しては一方的に押つけられて、そうして甘んじておるが、自分たちの生産物を売る、農産物の価格を決定する場合には、そういうことに関しては全然考慮の外に置かれていいものであるか。これは農林省の当局においてはこういう要求に対してどういうふうにお考えになつておるか。それを一つ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/16
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017・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 少し勉強いたしませんと、私的確に電気料金の問題は推定をいたすわけには行かないのでありますが、パリテイといたしまして電気料金も項目として取上げることは可能であります。電気料金自体が上りますことは、農家の経済における電気料のウエイトに応じて反映して来ることになるわけでありますから、電気料金の値上そのものは農業パリテイ指数に入り込む、こういうことで吸収し得るのじやないかと思います。それ以外のボーナス的な問題が果して料金として出て来るのかどうかということの問題については、もう少し検討しませんとお答え申しにくいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/17
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018・飯島連次郎
○飯島連次郎君 若干話が何のほうに行つておりますので、ちよつと話を元へ戻しますが、パリテイの中に上つた電気料金を加えて欲しいという話ではない。つまり一般の物価をきめる場合に、物価構造の中に電気料金に関しては少くとも正規の従業員の給與が一万数千円となつておりまして、国家公務員に比べれば遥かに高い給與で決定されておる。その上に今度決定された電気料金というのは、二ヵ月分の賞典というものがプラスされて、そして電気料金というものの価格形成をされておる。こういうきめ方、こういう考えを以てすれば、米麦価の価格の決定に対しても当然この二割なり、これは二ヵ月分のボーナスということですが、そういう特別考慮がなされて然るべきであろう、こういう主張です。こういう最近の事実を根拠にしてのこういう要求に対しては、今度米価審議会なりが正当の価格決定の機会に、特に農林御当局としてはこういう点は十分参酌をして価格をきめて欲しい。まあこういう要求です。これに対しての御所見を一つここで披瀝をしておいて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/18
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019・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 農家と非農家の結局生活水準と申しますか、所得の均衡の問題だと存じます。具体的には労銀という問題で一応比較をして参る、或いは農家の購入いたします生活用品というものの価格関係においてこれを勘案する、いろいろな考慮が要ると思いますが、具体的には労銀というものをどう見積るかということによつてそれ自体は均衡を得るのじやないか。そういう点につきましては、戰後のパリテイをとるということ自体も、それに対する一つの解決の方法であります。そのほか具体的の項目についての価格なり料金の考慮というものを均衡するような形でとるべきであるというように実は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/19
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020・飯島連次郎
○飯島連次郎君 今の問題について一つ政務次官からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/20
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021・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 農民の生産しました農産物価が適正であるか否かという問題、それについては従来ややもすると、農民の労働力というものが非常に過小に考えられておるという点は、我々も非常に遺憾に考えておるのであります。いわんや農民の労力についてはボーナスなどというようなそういう考え方は何ら考慮されたことを聞かないのであります。然るに今回の電力料金等につきましては、一方的にお手盛りで二ヵ月のボーナスを加算して押しつける。而もこれが公益委員会においてなされるというがごときは、私ども農林省の立場におきましても甚だしくどうも不均衡なように私は考えます。電気料金のような国民生活の上に非常に影響のあるものについて、而もそれが公益委員会の名において二ヵ月のボーナスを盛込んで、お手盛りで以てその料率をきめるというふうなことが一方になされておる半面において、農民の作つておる生産物はボーナスどころではない。現実に労働基準法もなければ何もない。朝から晩まで一生懸命働いて作つておる現実において、私は農産物価というものの今後の他の物価との均衡、或いは又農業と他の産業との均衡という点において、これは十分考えなければならん問題であろうと思うのであります。ただ具体的に麦の問題をきめる際にどういうふうにこれをやるかという問題は、非常に技術的にむずかしい問題でありますが、この法案の中にもいろいろな場合を想定いたしまして、経済事情を参酌し、或いは再生産の確保を旨として決定するというような修正をなされておるのでありまして、この辺の事情を十分考えてきめなければならない。従つて農民の生産に対する勤勉と努力が、十分価格の面においても現われる。そしてまじめに一生懸命やつて生産に努力をした人たちは、それに対する十分な保障がなされるような価格形成のあり方でなければならんと私は考えておるのでありますので、その点は現実の問題、ケースにつきまして十分慎重に考慮いたしまして、米価審議会等に諮りました上で決定をするようなことにいたしたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/21
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022・飯島連次郎
○飯島連次郎君 只今の問題については次官の御答弁で了承いたします。
それからこれはここで即座に御回答を頂く必要は認めませんが、これは食糧庁長官にお願いをしておきます。新らい形式による特に麦価に関する、麦に関するいわゆる中間経費の内訳を一つ資料としてお示しを願いたい。この委員会に成るべく速かなる機会にお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/22
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023・山崎恒
○山崎恒君 先ほど飯島委員からの質問のように、大体統制が解かれたら集荷の資金の問題が一番これは中心になつて来ると思うのですが、その資金は大体政府において六十日のサイトで用意しておるというような点でありまするが、その資金の問題は、これは農林中金を通じて政府資金を出すといたしましても、勿論これは無利子ではないが、ところが今度は自由競争になるので、政府に売渡すものと、例えば先般来から当委員会で質疑しておりますが、生産地で或いは工場等のある所は割り方手数料等が省けるので工場に引渡す、工場に直接売るものが相当に出て来るだろう、そうすると僻陬の地のみのものを政府がさらうというような結果になるというような点等を質疑したのでありますが、勿論この場合にそうした点は万止むを得ないといたしましても、農業協同組合等の組織を活用し、且つ又協同組合等の今後の運用の面から考えましても、又協同組合の維持育成というような面から考えましても、協同組合が十分働けるような態勢に誘導してやるというのが政府の施策でなければならない、かように思いまするが、そういう点から考えまして、やはりこれは自由経済でありますので、潤沢なる資金であつて、而も安い利子でなければ自由経済に太刀打ちができないという結果が、もうこれは当然招来するというよう関係からいたしまして、この利子の問題、それから資金をどのくらい出せるのか、この点を一つはつきりとお伺いいたしたいと思います。
それからいま一つは、先ほどやはり飯島委員の質疑でうなづけない問題があるのでありますが、例えば検査料の問題でありますが、検査料は二十円はこれはもう政府の買上げるものは価格のうちに織り込んであるのだ、こういうことなんですが、然らば政府に売渡さない、例えば生産地にあるところの工場に直接売渡すという場合に、政府以外に売渡すものの検査料はどうなるか、この点を一つはつきりしておかないというと、あとで又いろいろ紛糾の種になると思いますので、その点を一つはつきりとお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/23
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024・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつとお願いしておきますが、本日は出席委員の御都合もそれぞれあつて、間もなく採決をいたしたいと思いますので、若し根本的な御意見でなかつたならば、成るべく時間を割愛とてお願いしたいと思いますから、お含み願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/24
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025・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 金利の問題でございますが、末端は先ほど申上げました数字でございます。信連から單協に二銭六厘、それかと中金から信連へ二銭四厘という一応計算をいたしております。金額でございますが、これは価格との関係におきましてきまつて来る問題でありますので、政府原案にありますように、二十六年を麦価の基準といたしました場合には相当幅がございますので、相当民間のほうの基金が要るというふうに思つておつたのでありますが、米価審議会等のあれの通り実行いたしますと、幅は相当縮まるわけであります。それで相当民間の農協に行く面があると思います。こういうことにつきましては現在八百万石、これは玄米換算でありますが、持つておるのでありますから、その資金がそれだけ余つて来ることによつて国庫余裕金が殖えるという関係で、国庫資金は十分あり得るということになつております。而して政府以外のものにつきまして、農協が必要とするものは全額融資するという方針で話合いをしております。勿論これは回転いたしますので、一応六十日の回転率を考えております。
もう一つの検査手数料の問題でありますが、検査手数料政府のものは二十円高で買つておりますので、農民の負担にはならないわけであります。農家が自由に売りますものについては、二十円の検査手数料を、收入印紙を貼つてもらわなければならんわけであります。この点だけにつきますと、農民の負担でございますが、政府が二十円高で買うわけでありますから、農家は政府に売るより有利でなければ売らなくていいわけでありますから、必ず二十円高く売れるという関係におきまして、農家の負担にならんということを申上げておるのであります。政府さえ二十円高で買えばそれが最低価格を保障する、農家も民間に売るほうも二十円高で売れるのじやないかということで、農家の負担にならないと、こう実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/25
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026・山崎恒
○山崎恒君 只今の答弁でよく了解いたしましたが、希望といたしましては、集荷資金の面について希望を申上げておきます。八百万石の用意があるのでその資金は融通できると、こういうふうな点でありますので、貸出に際しましては、大体各町村の集荷見込とか、期日とかいうようなものは、それぞれ組合系統を通じてわかつて来ると思いますので、その資金は迅速に全額なり或いは一部前渡金なりの資金を一つ流してもらうということを希望として申上げておきます。
それから次は検査手数料の問題でありますが、これははつきりと只今の答弁でわかりますので、組合で政府に売渡すものは二十円高くでなければ売らないのだ。政府以外に売渡すものは、二十円安いのだということをはつきりとこれをさしておきますれば、今後の集荷の情勢から行きまして寸今後の組合活動等が非常にはつきりすると思いますので、その点をはつきりさせれば、私は了解がつくと思うのでこれは答弁要りません。それで了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/26
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027・西山龜七
○西山龜七君 私は三点だけお尋ねしたいと思います。麦の統制が外れました後におきまして、一番問題になりますのは、米食率の向上とその均衡化であります。これに対して政府は農業協同組合系統、商人系統を活用して麦の融通に特段の考慮を拂われて、戦前の自由経済以来麦を多く消費しておりました府県に、麦の融通が円滑に流れるようになかますと、節米を奨励をして米の供出量を増加する、これ以外に私は米食率の向上或いは均衡化の方策はないのじやなかろうか、かように考えますが、これに対して政府はどういうお考えを持つておるか、これが第一点。第二点は食糧の統制以来、長い期間におきまして米食率は差別的でありました。米麦二合七勺というようなことで不満を抑えて今日に至つておるのであります。麦を自由といたしました場合において米のみとなると、現在では……(「簡單、簡單」と呼ぶ者あり)一ヵ月のうちに最高が二十日、最低が十五日間となつておるのであります。その間に各府県ごとに差違が表面化するのであります。現在は米の生産地におきましては、十八日以上二十日間の米を食糧としておるものが十九県あるのであります。十五日以内の部分は外米を四日間配給しておる所が二十県あるのであります。かような次第でありまして、この不均衡を続けて行くことは食糧行政上よろしくないと思います。この不均衡を是正するために緊急にあらゆる対策を講ずる必要があると信ずるのであります。これは対しまして政府はどういうようなお考えを持つておるか、もう一点は麦の統制の廃止を前提といたしまして麦の買取りをやつておるが、これは延納制を認めまして運営が円満に行われておる。併しながら政府の手持ち以外の麦は今後自由になりますので、農協系統のほうは金融には万全が期せられておるようでありますが、商人系統におきましては、農協系統のように行かないのであります。この点におきまして、政府においては麦の流通を円滑化するために、商人系統におきましても組織化しておる系統に対しましては、農協系統と同じような金融措置をとらなければ、円滑に流通ができないと思います。この点につきまして政府の御所見をお願いしたいと思います。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/27
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028・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 今の三点に関しましてお答え申上げますが、米食率の均衡化に対しましては将来意を用いて大いにできるだけ均衡化を図りたいと考えて努力をしたいと思います。それから集荷資金等につきまして、農協、いわゆる協同組合系統以外のものに関しましても、それぞれ御要望に副うよう努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/28
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029・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本案につきましては、大体質問も盡きたように思いますので、これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/29
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030・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、討論に入ります。なおこの際修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/30
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031・小林孝平
○小林孝平君 只今の議題である食糧管理法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党第四控室及び第二控室所属農林委員の共同提案として次のような修正案を提出いたします。先ず修正案を朗読いたします。
食糧管理法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第三條の改正規定中「改める。」左改め、同條第二項中「参酌シテ」を「参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」に改める。』に改める。
第四條の次に二條を加える規定中「二條」を「三條」に改め、同改正規定第四條ノ二第一項中「(大麦、裸麦又ハ小麦ヲ謂フ以下同ジ)」及び「又ハ其ノ生産者ヨリ委託ヲ受ケタル者」を削り、同項の前に第一項として次の一項を加える。
麦(大麦、裸麦又ハ小麦ヲ謂フ以下同ジ)ノ生産者ハ自己ノ生活上又ハ業務上ノ消費其ノ他農林大臣ノ指定スル用途ニ供スルタメ保有スベキモノヲ除クノ外其ノ生産シタル麦ヲ政府ニ売渡スベシ
同改正規定中第四條ノ三を次のように改める。
第四條ノ三 政府ハ毎年麦ノ秋期ノ播付期前二翌年産麦ニ付前條第三項ニ定ムル所ニ準ジテ買入ノ最低価格ヲ定メ之ヲ告示ス
麦ノ生産者ハ前項ノ規定ニ依ル告示アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生産ニ係ル翌年産麦ニシテ前條第一狽ノ規定ニ依リ政府ニ売渡スベキモノノ予定数量ヲ政府ニ申告スベシ
前條第二項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ前項ノ規定ニ依リ申告シタル予定数量ニ連スルマデノモノニ付テハ同條第三項ノ規定ニ拘ラス第一項ノ最低価格ヲ下ルコトヲ得ズ
第四條ノ四 政府ハ其ノ買入レタル麦(麦ヲ加工シ又ハ之ヲ原料トシテ製造シタル製品ヲ含ム)ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ販売業者(第八條ノニ第二項ノ販売業者ヲ謂フ以下本條ニ於テ同ジ)又ハ政府ア指定スル者ニ売渡スモノトス
第四條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス販売業者ヲ除クノ外何ヘモ営業トシテ麦及麦製品ヲ政府以外ノ者ニ売渡スコトヲ得ズ
販売業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府又ハ他ノ販売業者ヨリ買受クル場合ヲ除クノ外売渡又ハ業務上ノ消費ノ目的ヲ以テ麦及麦製品ヲ譲受クルコトヲ得ズ
前二項ノ規定ハ命令ヲ以テ定ムル場合ニハ之ヲ適用セズ
第八條ノ二の改正規定中『同條第二項中「主要食糧」を「米穀類」に』を『同條第二項中「主要食糧ノ配給」を「米穀類ノ配給」に、「主要食糧ノ売渡」を「米穀類、麦又ハ麦製品ノ売渡」に』に改める。
第八條ノ六の改正規定の次に次の改正規定を加える。
第八條ノ六の次に次の一條を加える。
第八條ノ七販売業者が米穀類、麦又ハ麦製品ヲ消費者(麦又ハ麦製品ヲ自己ノ生活上又ハ業務上消費スル者ヲ含ム)又ハ他ノ販売業者ニ売渡ス場合ニ於ケル価格ハ政令ノ定ムル所リ依リ第四條第二項
(第四條ノ四第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル価格ニ必要ナル経費ノ額ヲ加ヘテ得タル額ヲ基準トシテ政府之ヲ定ム販売業者ハ前項ノ価格ヲ超エテ米穀類、麦又ハ麦製品ノ売渡ノ価格ヲ契約シ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第三十條ノ八の改正規定中『「米麦等」を「米穀」に』を『「米麦等」を「米穀及麦」に』に改める。
第三十二條の改正規定を次のように改める。
第三十二條第一項中第三号を第四号とし、第二号中「第八條ノ四第二項」を第八條ノ四第三項」に改め、同号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第四條ノ四第三項又ハ第四項ノ規定ニ違反シタル者
第三十二條第二項中「前項第三号を「前項第四号」に改める。
第三十二條の次に次の一條を加える。第三十二條ノ二 第八條ノ七第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ一年以下の懲役又ハ十万円以下の罰金ニ処ス
附則第四項中第三條の改正規定を削り、第十一條の改正規定中「もみ、玄米」を「米麦」に改め、同順を附則第五項とし、附則第三項を附則第四項とする。
附則第二項中「第四條ノ三第二項」を「第四條ノ四第二項」に、「売渡の予定価格」を「売渡の価格」に改め、同項を附則第三項とし、附則第一項の次に次の一項を加える。
2 改正後の食糧管理法第四條ノ三の規定は、昭和二十七年度の麦については、適用しない。
以上であります。続いて提案の理由についてその骨子となるところを説明いたします。本改正法律案の主なる目的は、従来行われて来ました麦類の供出及び配給制度、即ち麦類の統制を廃止ぜんとするものでありまて、而してその理由として、政府は、我が国の食糧事情は大いに改善せられ、なかんずく麦類については需給及び価格とも顯著に安定を見るに至り、今後も何らの不安なく推移し得るものと見込まれると述べられておるものであります。然るに食糧の需給が緩和せられたと言い、又麦類の需給に心配がないと言つても、これは米について約百万トン余、麦類について玄米換算約二百四十万トンの輸入を前提としてのことでありまして、全く仮想的な安定と言うべきであります。而してこれら外国食糧の輸入に関して政府においては極めて楽観せられているようでありますが、併し輸入食糧の確保は全面講和に対する国民の熾烈なる希望にもかかわらず、これを期待することが困難なような緊迫せる国際情勢において、且つ又輸出貿易が漸く凋落の兆を示さんとしている経済事情において、手放しに楽観することが許されるものでないことは当然であります。政府が米の統制廃止を主張いたしましたのはつい先日のことであります。然るにその後幾ばくもなく今や政府は米食率の維持に苦慮しておることは、この辺の事情を明確に物語つておるものと考えます。仮に幸い輸入食糧が予定の通り確保できるといたしましても、これは無償であがのうわけではないのでありまして、四億ドル以上に上る巨額の国幣を費さなければならないのであります。かようなことは、その基礎の脆弱である我が国経済のためには堪え難い負担と言わなければならないのでありまして、外国食糧の輸入は一粒でもこれを節減するよう心がけなければならないと考えるのであります。而してかかる事態に対処するの途は、一方においては極力国内食糧の確保に努めると共に、他方においては配給の公平を期して、食糧のロスを排除することであります。かように考えて参りますと、かかる仮想的安定を前提として、單に政府手持麦の市場操作に任ぜて麦類の統制を廃止するがごとき政府今回の意図は、実に暴挙と言わなければなりません。併しながら戦時、戦後に亘つて行われた苛酷な供出制度及び窮屈なる配給制度は排除是正されなければならないのであります。かような諸事情を勘案いたしまして、ここにとられるべき方策は、麦類の生産者の自由申告に基く政府に対する供出と、煙草にその例を見るような、麦類及びこれが加工製造品の登録取扱者の一定のルートを通じて公定価格による自由販売であると考えます、かかる観点に立つて麦の管理方式を改正ぜんとするのが本修正案を提出する理由であります。
以上が修正の骨子であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/31
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032・松永義雄
○松永義雄君 只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案について、小林君の提案されました修正案に賛成するものであります。
その理由は、すでに食糧の不足を憂えられておる小林君の意見によつて明らかになつたのでありますが、御承知のように、今年度における貿易収支の去る三月頃案本の提出したる見通しによりましたものが、その後貿易情勢の変化によりまして、非常な貿易金額の減縮を見るというような状態になつているのであります。この点については、当委員会において安本の政府委員でしたか、御答弁があつたようでありまして、すでに十六億ドルの輸出額を見込んでおつたのが今日に至つて見ると十三億ドルぐらいに見通しをしなければならないということであつたのであります。然らば我々常識としまして、輸出額が減りますれば、当然輸入額も減つて来る数字になるのであります。これに対して特需、新特需があるというような、こう言訳がましいような答弁がありましたが、この数字はすでに最初の本年度の貿易収支の見通しの当初に明らかになつているところでありまして、改めてここに変化を生じたものではないのであります。然らば、それではほかの鉱工業品原料を節約すればいいのではないか、こういう議論も出るかと思うのでありますが、そこに外貨の割当について大きな困難を生ずるということだけは、ここに判断し得ると存ずるのであります。而も当委員会で明らかにせられておるように、麦の価格というものが値上りを来たしつつあり、或いは政府原案のごとく、麦の統制が外されるようになると、麦が一体食糧のほうに廻る部分が今まで通りであるかどうかということが、これ又非常に疑わしくなつておるのであります。こういう一体情勢の下において、すでに統制というものは物の不足の場合において行なわれておるのであります。ところがこの物の不足、麦の不足というものが憂えれらておる際に、これを急いで何のために急に統制を外さなければならんかという理由を解釈するに苦しむものであります。更に政府原案によりまして結論を直ちに申上げれは商人が介在するということを認めることになつて行くのであります。即ち曾つての米価の調節のときにも言われたように、麦がこの商品として売買の対象になるということになりまして、先ほど同僚委員の御質問があつたように、中間経費は一体どれくらいになるのか、こういう御質問があつて、まだその答弁は次に譲られておるようでありますが、ともかく商人の手に移れば中間経費が殖えることだけは、これは過去の例に徹して明らかであるのであります。一体それは誰が負担されるかということになると、生産者或いは消費者のいずれかが負担することになるのではないかと思うのであります。更に先ほど来單協に対する金融の措置について御質問がありました。こういう商品を対象として、必ずや民間資本がその商品を目標として暗躍するに至るということも、これも想像されるのであります。我々は今日のこの苦しい米麦の統制については意見がありますが、併し手放しに麦の統制を外されるということは、こうした商人の利潤獲得の対象となり、更にその背後にあつては、金融資本が跋扈して来るということを考えなければならんと思うのであります。製粉工場において若し統制が外されるというと、すでに今日においても製粉工場においては大きな商社は資金が豊かであるから、買入が容易であるけれども、中小製粉の工場は非常に金融の点から苦しんでおるということを承知いたしておるのであります。要するに政府の原案といろものは、終戰後物資の不足せる状態に商人たちが一つでも余計に商売の対象を作ろうという魂膽のあるということは、これははつきりいたしております。常々言われておるように、麦にしても或いは米にしても生活の絶対必需品である、これを道具にして取引をしたら、そこに大きな儲けが生ずるということが直ちに想像されるのであります。昔米が幾たびか取引所の投機の対象となつたということは、我々が喋々するまでもないのであります。こうした政府原案に対しては、我々は満腔の不満の意を表せざるを得ないのであります。新らしき管理方式によつて麦を統制をして行こうという小林君の修正案に対して賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/32
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033・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私も小林君の提案いたしました修正案に、枝葉末節の点では若干不満足の点がありまするけれども、大綱といたしましては、私の所見と合致をいたしますので、以下述べる理由によつて賛成をいたすものであります。特にこの麦の統制撤廃の問題は、軍に麦だけの問題ではないと私は理解をしておりまして、やがてこれは米の統制撤廃の問題にも関連をいたす問題でありますので、以下理由をはつきりいたしまして反対をするものであります。
第一は、第十国会でありましたか、勿論今回の案のほうが、大分政府においてもいろいろ勉強された跡は私は認めるわけでありまするが、併し統制を解除するという方向では、第十国会の案と方向は同じでありまして、従いまして、我々はこの前の反対した條件と、今日の條件とが果して改善をされておるかということを先ず見る必要があると思うのであります。私の見るところでは、この前と情勢の変つて参りましたのは、第一には、前のときよりも外貨の蓄積が或る程度殖えておるという点が一つのプラスであると思いまするし、それからもう一つは、ともかく客観情勢としては麦の統制は実際上崩壊をしておる、この事実を私は前と違う点であると思うのであります。併し外貨の蓄積にいたしましても、只今松永さんから述べられましたように、私も今後の外貨の蓄積につきましては、必ずしも楽観をしておらないのでありまして、貿易関係においても、安本の計画も実際上は相当これはむずかしい状況に入つておりまするし、又特需、新特需にいたしましても、これはなかなか思うようには参つておらないのでありまして、そういう点からも私は朝鮮動乱という偶発的な事情によつて或る程度外貨の蓄積はできましたけれども、併し今後は決して楽観を許さない。而も国際小麦協定等の空気では、外麦等の輸入価格も上るというような情勢も見えないこともないと思います。そういう点からも私は外貨蓄積ということが根本的に改善をされたとは見ておらないのであります。特に統制を解きますれば、消費の規制が解けて参りまするから、当然に国内の麦の消費も殖えて参りまするし、又政府の企図する政府の手持麦で国内の需給なり、価格の調整をするということになりますれば、絶対不足量プラス予備量を入れなければ、その操作は困難なわけでありまするから、そういう輸入数量も増大こそすれ減少する見込みがないというような私は段取りになると思うのでありまして、そういう点から関連いたしましても、外貨の蓄積は確かにこの前のときよりも或る程度殖えておりまするけれども、今言つた理由で決して楽観を許さないという点が第一の点であります。
それから第二の点は、情勢の変化は麦の統制が実際上崩壊をしておる。これは私は事実としてこれを認めるわけでありまするが、併し誰がこの麦の統制を崩壊したかという問題に入りますると、これは私はやはり政府の取締が殆んどされておらない。これは過般の予算委員会で、私が直接国警当局に暫しましたところによつてもそれははつきりしておるわけでありまして、而も昨年の麦は非常な豊作だつた。豊作の下において取締が励行されておらぬという二つの事由で、確かに現在の麦の統制は実際上は麻痺しておりますが、併し今言つたような理由でかような情勢が生まれておるわけでありまするから、これをとらえて直ちに統制を解いてもよろしいというわけには私は参らぬと存ずるのであります。
それから第三の理由といたしましては、小林君から説明がありましたように、農村側で最もまあ嫌つておりますると言いまするか、歓迎しておらない従来の供出割当を自主的な割当に改める。こういうことにしますれば、何もこれを自由販売にする必要は私はないと思うのでありまして、政府の買入価格が再生産を保障できる程度の適当か価格で決定されますれば、むしろ安心して政府に一元的に売ることのほうが、却つて私は農家経済の面からも望ましいと思うのであります。而も昨年あたりの麦の供出の実態を見て参りましても一例えばビール麦等は農村から政府の割当以上に買つて欲しいというむしろ運動が昨年は起きたわけでありまして、それに対して政府当局は必ずしも当初から全面的に買うという態度は示しませんで、いろいろ運動の結果むしろ政府に買つてもらつたということになつておりますから、私は政府の買入価格が相当でありますれば、相当の自主供出でも数量が集まつて来ると存じまするし、その意味でこの供出制度を自主的に改める時期が来ている。こうしますれば、管理制度の大きな欠陷は除去されるわけでありまするから、こういう点においても修正案に賛成をいたすものであります。
それからその次に私が修正案に賛成いたしまするこれがむしろ私は一番大きな点でありまするが、それは主として消費者の面から見ました立場であるのであります。と申しまするものは、本年度の三百五一万トンの米麦の輸入には約四億二千万ドルの貴重な外貨を要するわけでありまするが、そのうち麦に対する外貨の割当は約二億三千万ドルであります。かような貴重な外貨を支拂い、又国内的には消費者に対して大体現行通りの消費者価格を維持するという建前から、米麦全体では二百七十億、このうち麦に関しては百三十七億の輸入補給金を出しておるわけでありまするが、併しこれは政府が売却する場合にしかその補償はないのであります。末端の配給は当然にこれはマル公がなくなるわけでありまするから、折角百三十七億の麦の補給金を出しましても、末端の消費者が買う場合においては、補給金を出した建前である現行価格で自由に購入し得るという保障はないのであります。その点からも我々は反対をいたすのであります。ただこの場合におきましても、小麦のほうは国際的な商品でありますから、外貨を惜しまない限りは或いは自由に買付ができまするし、又品質も概して良好でありまするから、小麦については或いは政府の所期するような政府手持小麦の自由なる操作によつて価格調整もできると存じまするが、精麦の原料であるところの大麦と裸麦につきましては、これは遺憾ながら国際的な商品ではないのでありまして、若干大麦を外国から買つておりますけれども、小麦のように自由に買付けることはこれはできないのでございます。そういう点からも、折角補給金を出しながら末端においては現行価格以上に上るという危險性は精麦についてはあるのではないかということを私は心配いたすのであります。そういう点からも修正案に、私どもは配給統制を続けるという立場でありまするから、賛成いたすものであります。
もう一つは消費者の米の配給量の点であります。今言つた消費者価格が少くとも精麦については上昇することを防げないという危惧を持つておりまするが、もう一つは配給量の問題であります。これは政府の説明によりましても麦の統制を外しますれば、大体現行通りの米食率の米だけの配給量にこれを切替える、二合七勺のうちで従来米で配給しておりました分だけを、今度は米の配給量として続けるということでありますが、これは一般消費者の配給率も現行通りの米食率を配給量に切替えるというに加えて、労務加配についても大体現行の労務加配のうち米で配給しておる分だけを持続をするというわけでありまして、これは私は消費者の面からしますると極めて大きな問題であると思うのであります。特に今年の米の供出はいろいろ御努力をされておるようでありまするが、二千五百万石僅かしか国内の米の供出はないのでありまして、外米について随分世界各地から二百ドル以上の高い値で買つておるような状況であるのであります。従いまして、このまま米だけの配給量にいたしますれば、私の見るところでは従来の米食率も場合によつては、消費地においては低下をする危険性さえあるのじやないだろうか、特に私が心配いたしまするのは、従来米の生産県に麦を持込んで、それと見返りで消費地へ米を出すという振替操作が困難になるわけでありまするから、むしろ現行の米食率が維持できない。生産地は大体国産米で一合八勺程度の配給が保障され、消費地のほうは外米を含めて二合三勺程度が場合によつては危険である、こういう生産地、消費地の間に配給量にかような差等のつきますることは、国民生活、特に消費地の国民といたしましては非常に私は大きなハンデイキヤツプと見なければならんと思うのであります。従つて私どもは或いは小麦に関しましては、先ほど言つたように外国からも自由に買付け得まするし、又品質もよろしいわけでありまするから、小麦粉関係のものはこれは外すことが、或いはその時期が来ておるかとも存じまするけれども、米と一緒にこれを炊さんいたしまするところの精麦に関しては、これは少くとも消費地の米の配給量の少いところを補完する意味で、いわゆる粒食部分だけは少くとも私どもは当分の間配給制常を続けること、これが私は適当ではないかと思うのであります。これは我々が巷の実際の声を聞きましても、米の販売店へ行つて米と押麦が大体一緒に買えるということが実際の市民の声であることを私は確信をいたしておるのでありまして、以上の理由から、枝葉末節の点では若干私どもも意見がございまするけれども、大綱といたしましては、以上申上げました私の論拠と合致をいたすわけでありますから、小林君の修正案に賛成をいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/33
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034・加賀操
○加賀操君 私は只今議題となつておりまする食糧管理法の一部を改正する法律案に対しまして、緑風会所属委員有志並びに自由党、改進党及び民主クラブ所属委員の共同提案を以て修正案を提出いたします。先ず修正案を朗読いたします。
食糧管理法の一部を改正する法律案に対する修正案
食糧管理法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第三條の改正規定中「改める。」を『改め、同條第二項中「参酌シテ」を「参酌し米穀の再生産を確保スルコトを旨トシテ」に改める』に改める。
第四條の一部を改め同條の次に二條を加える規定中「に改め同條の次に次の二條を加える。」を『に、同條第二項中参酌シテ」を『参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ」に改める。』に改める。
同改正規定中第四條ノニの前に次のように加える。
第四條の次に次の二條を加える。
同改正規定第四條ノニ第一項中「申込に応ジテ」の下に「無制限ニ」
を加え。同條第二項を次のように改める。
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ昭和二十五年産及昭和二十六年産ノ麦ノ政府ノ買入ノ極帯ヲ平均シテ得タル額に農業パリテイ指数(物及役務ニ付農業者ノ支拂フ価格等ノ綜合指数ヲ謂フ)ヲ乗ジテ得タル額ヲ下ラザルモノトシ、其ノ額ヲ基準トシテ麦ノ生産事情其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ麦の再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム
同改正規定中第四條ノ三第一項を次のように改める。
政府ハ其ノ買入レタル麦(麦ヲ加エシ又ハ之ヲ原料トシテ製造シタル製品ヲ含ム)ヲ随意契約ニ依リ売渡スモノトシ農林大臣ニ於テ随意契約ニ依ルコトヲ不適当ト認ムルトキハ入札ノ方法ニ依ル一般競争契約又ハ指名競争契約ノらち農林大臣ノ選択スル競争契約ニ依リ売渡スモノトス
同改正規定第四條ノ三第二項及び第四項中「標準価格」を「標準売渡価格」に改め、同條第三項を次のように改める。
前項ノ標準売渡価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及び米価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム
第八條ノ二の改正規定中「若ハ」を「又ハ」に改める。以下であります。続いて修正の理由を簡單に説明いたします。
麦類の供出配給制度即ち統制を廃止することにつきましては、賛否区々でありまするが、本改正法律案の提案理由の説明に述べられておりまする「麦類については需給において又価格において顯著に安定をみるに至つた次第であつて、今後においても、従来と同様の措置を講ずるならば何らの不安なく推移し得るものと見込まれる」という政府の言明に信頼し、その努力を期待して原則的に政府の提案に賛成するものであります。併しここに懸念せられる問題は、統制廃止後における麦類の生産者価格の低落と逆に消費者価格の騰貴であります。衆議院においてもこの点を心配して、これが防止に関する決議が行われているのであります。従つてかような観点からこの点を骨子として次のように修正する必要を認めているのであります。
第一は、本改正法律案並びにこれに対する衆議院の修正及び決議を通覧いたしますと、今回の改正の主眼が麦類の統制を廃止することにあるため、その点にとらわれた結果のためでありますか、生産者価格についても消費者価格についても関心の重点が麦類に置かれ、生産者にとつても又消費者にとつても、より重要な関係にある米との比較において均衡を失している感がありますので、主食として米麦は同列に取扱うべきであるという米麦一体論を尊重し、その原則に即応して米と麦とは両者を通じ、政府におけるこれが買入価格及び売渡価格を決定するに当つては、大体同じ基本方針を以て行わるべきこといたしたのであります。
第二は、衆議院において行われた決議による政府における麦類の買入価格及び売渡価格の決定方法はその表現において誤解を招き、又明確を欠いているところがあり、且つかような決議が行われて、政府においてもこれを誠実に実行する決意があるのであるから、これを單に決議にとどめず法制化することが当然なことと思われますので、この決議の内容を解明してその趣旨に従つて麦類の政府の買入及び売渡価格の決定及び無制限買入等に関する事項を明確に法制化することといたしたのであります。
第三は、麦の消費者価格の適正安定に資するために麦の輸入補給金の制度が存続せしめられることはこれを諒とするところでありますが、一方において少なからざる額の輸入補給金を支出して麦価を引下げ、然るに一方において競争入札によつて売渡を行なつて、麦の価格の引上げを行うことは政策上矛盾であると思われますから、かかる矛盾を除くため、麦の売渡は原則として随意契約によることとしたのであります。
以上が修正案を提案する理由の大要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/34
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035・小林孝平
○小林孝平君 只今加賀君から本改正法律案に対しまして修正の意見が出ましたのでありまするけれども、只今の御説明を承わりますと、これは政府提案の衆議院で修正されましたこの政府提案の改正法律案に対しまして、何ら本質的な修正を加えるものとは言いがたいのであります。従つて私は先ほど提案いたしました修正案に対する説明並びに松永、片柳両委員の賛成演説の趣旨によりまして、当然私たちはこの微温的な修正案には反対いたすのであります。甚だ簡單でありまするけれども、本案に対して反対いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/35
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036・飯島連次郎
○飯島連次郎君 只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院の送付案に対して、加賀委員を代表として提案せられた修正を加えて賛成するものであります。
国民食糧の需給は最近著しく緩和せられた感はありますが、併しその実相は決して楽観を許さないのでありまして、従つて国内食糧の確保は須臾もこれをゆるがせにすることができないのであります。併しながら戰時戰後を通じて久しい期間に亘る主食の厳しい供出制度と煩わしい配給制度とは、生産農家をして甚しく萎靡せしめ消費階層をして著しく憂欝ならしめ、社会生活を重苦しく圧迫して、国民の怨嗟の的となつておることも蔽うことのできない事実でありまして、かような重圧から一日も早く脱却いたしたいことは大衆の切なる念願であります。かような時に当りまして、政府は、「我が国の食糧事情は逐年著しく改善をみるに至り、食糧の不足から来る国民食生活の不安定やこれに起因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消し、なかんずく麦類については都市家計において価格は安定するに至り、配給の面においても相当数量の配給辞退がみられ、需給においても価格においても共に顕著な安定を見るに至り、而して今後における麦類の需給についても、これまでと同様に万全の措置を講ずるならば、国内生産の維持と相待つて輸入食糧も十分確保し得ると考えられ、何らの不安なく推移し得るものと見込まれ、かような事情から判断して麦についてはもはや供出配給制度を続ける必要は極めて薄くなり、統制を廃止しても社会経済に不安を與える虞れはない」との見解を以て本法律案を提出するに至つたのでありまして、考えようによつては真に朗報とも言うべきであります。而も今回と同様な趣旨による食糧管理法の改正法律案は遇ぐる昭和二十六年三月第十回国会に政府から提出せられ、未だその時期にあらずとの見解の下に不成立になつたのでありまして、爾来一ヵ年余、恐らく政府は今日あるを期待して研究の上にも研究を承ね、準備の上にも準備を積まれたものであろうと考えられ、政府今回の措置は確固たる決意と万全の準備の下に事を処せられたものと信じておるのであります。
私は、かような見解を以て政府の言明に信頼し、政府の努力を期待して、今回は政府の措置に原則的に賛成するものであります。併しながら、たとえそれが好ましいまのではないといたしましても、長い間馴らされて来た統制を廃止するに当つては幾多の混乱の防止に万善を期さなければならないのでありまして、従つて政府の原案をそのまま鵜呑みにするわけには参らないのでありまして、最小限度の修正は最非ともこれを加えなければならないと考えるのであります。本法律案が可決されますならば、麦類の統制は廃止せられ、シーザーはすでにルビコン河を渡つたわけであります。事、主食に関する限り問題は寸時も待つたなしであります。政府は国内食糧の増産に、外国食糧の輸入に、最善の努力を以て事に当り、農家の再生産確保に、又消費者の生活の充実に、い胸やしくも遺憾なからしめるよう、この際厳重な警告を発しておくものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/36
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037・宮本邦彦
○宮本邦彦君 只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由党を代表して、衆議院送付案に、加賀議員を代表として提案せられました修正を施して賛成するものであります。
終戰後まさに六年有半、その間米国の協力の下に我が国官民一致の努力によつて国内経済は漸次復興いたして参りまして、大方の物資についてはすでに自由市場が回復して、多年の要望に応えて国民生活に安心と明朗を取戻したのであります。然るに食糧につきましては、今日においてもなお戰時戰後におけると殆んど変らないような強力な統制が行われているのでありまして、国民経済に暗影を投じ、速かに統制の不便から解放して、農家に対してはその生産した食糧、農作物を自由に販売することができることとなし、消費者にとつては食糧の消費について質と量との自由な選択の途を開き、明朗闊達な国民生活の復活を希う声は街に満ち溢れているのであります。併しながら事、主食に関する問題でありますので、非常に重大なことであります。従いまして、これは寸刻も停頓が許されないのでありますから、これが取扱については慎重の上にも慎重を期さなければならないことは勿論であります。
政府は先に麦の統制廃止を計画いたしまして、これが必要な法律案を国会に提出したのでありますが、大方の賛成を得るに至らず、その実施を見る運びとならなかつたのでありますが、爾来一年余、その当時の経緯に鑑み、更に検討に検討を重ね、万般の準備を整えて、麦については統制を廃止しても何ら不安、支障がないとの確固たる自信を以て今回本法律案を提案するに至りましたことは、誠に時宜を得た措置と考えなければならないのであります。而も今回の提案によれば、統制を廃止いたしましても、その後における麦類の需給並びに価格の調整に備えて輸入食糧は政府が全部買入れ、而も従前通り補給金を支出することとなつておるのであります。又生産者には麦類を自己の欲するままに自由に販売することができることとなつておるのでありますが、一旦市況が不利になつたような場合には、政府に販売を申込めば、如何に安いときでも再生産の確保を旨としてきめられた価格で無制限に買入れてもらうことができ、販路と最低価格が保障せらるることとなり、更に消費者に対しては政府の手持ちする麦、而もその大量を占める外麦については補給金によつて価格が引下げられている麦の市場操作によつて流通の円滑を期し、その価格は消費者家計の安定を旨として価格を安定せしめらるることとなつておるのであります。又学童給食等に対しましては特別に安い麦が供給せらるることとなり、生産農家に対しましても、消費者に対しても、誠に安定した安心のできる方策と言わなければならないのでありまして、かかる措置に対しては毫も反対する理由を発見できないのであります。併し本法案が成立し、麦の統制が廃止せられました暁においては、政府はその責任をいよいよ痛感して、生産農家の育成に、又消費大衆の保護に、いやしくも遺憾のないように万全の努力を拂われんことを希望するものであります。(「採決、採決」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/37
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038・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて採決を行うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/38
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039・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより採決を行います。
食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず討論中にありました小林君の修正案を議題に供します。小林君提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/39
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040・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 起立少数であります。従つて小林君提出の修正案は否決されました。
次に、加賀君提出の修正案を議題に供します。加賀君提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/40
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041・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 多数であります。従つて加賀君の提出の修正案は可決されました。
次に、只今可決されました加賀君提出の修正にかかわる部分を除いて衆議院送付にかかわる食糧管理法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のおかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/41
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042・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 多数でございます。従つて本案は多数を以て修正可決されました。
なお、本会議における委員長の報告の内容等は従来の慣例によることを御了承願います。
なお、多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西山 龜七 加賀 操
山崎 恒 岡村文四郎
池田宇右衞門 瀧井治三郎
白波瀬米吉 北村 一男
宮本 邦彦 赤澤 與仁
飯島連次郎 三浦 辰雄
駒井 藤平発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/42
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043・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後三時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03819520521/43
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