1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月九日(金曜日)
午前十時五十四分開会
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五月九日委員寺尾豊君・齋武雄君及び
堀木鎌三君辞任につき、その補欠とし
て玉柳實君・片岡文重君及び鬼丸義齊
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
伊藤 修君
委員
加藤 武徳君
玉柳 實君
長谷山行毅君
中山 福藏君
内村 清次君
吉田 法晴君
政府委員
法務府法制意見
第四局長 野木 新一君
法務府民事局長 村上 朝一君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局長) 鈴木 忠一君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局刑事
課長) 岸 盛一君
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本日の会議に付した事件
○裁判所職員定員法等の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(名古屋地方裁判所判事の汚職容疑
事件に関する件)
(メーデー事件その他委員会の調査
に関する件)
○議員派遣要求の件
○工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を
改正する法律案(内閣提出・衆議院
送付)
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001・伊藤修
○理事(伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。
裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案並びに工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題に供します。昨日に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/1
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002・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 昨日伊藤委員から御質問がありました裁判所職員の行政整理人員の内訳をということでございますが、その内訳は官吏退職者として二百二十八名、それから雇傭人の退職者が六百六十九名、こういうことになつております。官吏で退職した者が二百二十八名、雇傭人の退職者が六百六十九名、そのうち官吏の退職者の男子が百八十三名、女子が四十八名、それから雇傭人の六百六十九名のうち三百二十名が男子、それから三百四十九名が女子、そういうことになつております。それから官吏の退職者というのはこれは事務官でございます。この中には若干書記官、書記官補等も混つておるはずでございます。それから雇傭人の内訳は雇とか、タイピストとか、それから庁婦とか、守衛、営繕の技師、交換手、それから廷吏等が一部ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/2
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003・伊藤修
○理事(伊藤修君) この官吏の退職者の中の級別はわからないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/3
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004・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 申上げます。四級職が二十四名、官吏の部です。五級職が七十一名、六級職が四十三名、七級職が二十三名、八級職が十五名、九級職が十六名、十級職が二十九名、十一級職が六名、十三級が一名であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/4
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005・伊藤修
○理事(伊藤修君) いま言つたように検察審査会のほうを御報告願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/5
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006・岸盛一
○説明員(岸盛一君) 検察審査会の運営状況と普及宣伝について御質問だつたのでございますが、その点について御説明いたします。この検察審査会が活動を始めましたのは昭和二十四年の二月からであります。それで今日まで審査の申立のあつた事件、それから職権によつて審査を開始しました事件を全部合せますと千九百八十一件でございます。そのうち検察官の不起訴処分が不相当であるという理由で起訴相当の意見を附けた件数が合計二百七十三件、まあ約一三%でございます。この起訴相当の意見があつた事件について検察官が起訴しました件数、これが現在のところでは八十五件だと思います。そのうち有罪の判決のあつたのが三十六件、無罪の判決のあつたのが十件、あとは未済、そこでこの起訴相当の意見があつたにもかかわらず検察官のほうで不起訴を維持した事件、これはこれまでで合計五十四件しかありません。それで現在では起訴不起訴が未決定のまま留保されておる件数が全部で百三十四件と、そういうことになつております。
その運営状況の概略を申上げますと、この制度が日本に布かれて果してこれがうまく行くかどうかということは、非常に各方面から危惧の念を持たれておりましたが、初年度の二十四年度は非常にその活動が不活溌でありましたが、年を逐うてだんだんと活撥になつて参りまして、例えば昭和二十四年度には申立が全部で百六十七件しかなかつた、ところが二十六年度では九百七十件というふうに、非常に飛躍的に殖えて来ておりまして、丁度往年の陪審制度が年を逐うて廃れていつたのとは反対に、この制度は年を逐うて活撥になつて来ておるということが言えると思います。そして例えばどういうような事件について起訴相当の意見を附したか、これはいろいろたくさんございますが、そのうちの極く一つ二つを御説明いたしますと、これは高知の検察審査会の事例であります。この事件は被疑者が警察署の巡査でありまして、窃盗被疑者の十三歳の少年を取調べる際に、その被疑者が容易に自白しないということに憤慨して、被疑者を警察署のどこかの疊の上に投げ飛ばして、全治五週間の傷を与えたという傷害事件であります。特別公務員暴行凌虐罪、検察官は、被疑者が事実を否認しておる、つまり警察の巡査が事実を否認しておる、本件の犯行の目撃者がない、それから被害者側においても、被害者の言うところと被害者の父の言うところとが食い違つておる。この被害者の傷は被害者が溝に落ちてこうむつた傷であるというような理由で、これを不起訴相当の処分にいたしましたが、高知の検察審査会は会議を開くこと十一回、係の検察官の意見は無論聞きました。証人十二人を尋問して、その結果この不起訴処分を不相当として起訴相当の意見を附しまして、検事正もそれを容れまして起訴の処置を取つた、かような事件でございます。又これは熊谷の検察審査会であつた事件でありますが、この事件の被疑者というのは殺人罪で懲役七年に処せられて上告中のもので、保釈中の身でありながら暴力団の親分として配下を百人ぐらい擁して、埼玉県の大里地方を繩張として、各地の神社の祭礼などに子分を連れて脅迫恐喝等をして、その地方の一般の人々からはこわがられておつたのであります。ところが或る日その地方の自動車運転手が格納操作中にたまたまそこを自転車で通りかかつた被疑者に触れた。そして被疑者が軽微な擦過傷を受けて、自転車が少し壊れたということに因縁を付けまして、運転手を撲りつけて、そこで直ちに一万円を出さし、なお運転手の主人に、自分たちの子分に三万円出せと強要して、応じなければ危害を加えるというようなことを暗示して威した上、現金一万円を恐喝したという事件があります。この事件についてその係の検察官は、被疑者が自動車に触れた際に傷害を受け、且つ自分の乗つていた自転車が壊れた、その診断書及び自転車修理の支払証明書を提出しておるから、要求金額はこれは普通のものだと言つて、この事件を不起訴にいたした。この事件についても審査会は審査会議を開くこと六回、十一人の証人を尋問したり、現場の実地検分をしたりしました結果、この医者の診断書、それから自転車の修理の代金の支払証明書は皆でたらめを書いておつたということがわかりまして、これを起訴相当の処分意見を附した、こういつたような事例、その他たくさんありますが、これはほんの一、二の例であります。問題は、前からよく言われておりましたが、審査員の資格が余り低いのじやないかということが、これはたえず問題になつておりますので、その点は私どももたえず注意いたしておりますが、これまでのなんによりますと、審査会に選ばれる人の職業ですが、例えばこれは東京の例でありますが、東京では東京の第一検察審査会で昭和二十四年度のものを見ましても、全体で五十六人のうち公務員が五名、それから教員が二名、会社員が七名、宗教家が一名、農業が二名、工業が一名、商業が七名、工員が四名、それから無職その他が二十七名ということになつております。これはまあ都会ですから割合に公務員とか会社員とか教員という人たちが多いだろうと思いますが、田舎のほうに行きますと本当に農とか漁とかいう人たちが非常に多いということは聞いております。が奇妙なことには審査会長になる人は、とにかくそう学歴がなくてもそこの地方では相当の人として信望を受けておるような人がなつておるようであります。我我よく審査会の仕事は検察事務官がリードするのじやないかということを疑いを持たれますが、これはこの仕事が始まる前から私どものほうで堅くその点を警告いたしまして、この仕事の内容には絶対タツチしちやあいかんということは、もう常々繰返して戒しめております。ただ議決書を書きますときに、議決書を書くのは審査会の職員が書いておりますので、その文章等から見ますと、これは到底素人が書いたものじやないというふうに思われますが、そういう点からの誤解が大分あるのじやなかろうかと思います。議決書を書くときには、それは職員が書いてもいいけれども、その趣旨は審査員の議決の範囲を一歩も出てはならんというようなことも常々警告を発しておりまして、ちよつとでも職員が仕事の内容をリードしちやあならんということは十分注意いたしております。併し先ほど申しましたように、審査員の資格を上げるかどうかということは、これは相当考えていい問題じやなかろうかと思います。ただそれを余り高い資格にしますると、この制度を置いた趣旨というものも又没却される虞れがあるのじやなかろうか、その辺が相当むずかしい問題だと思いまして、まあ暫くこの運営状況を只今のところではいろいろ観察をいたしております。ただこれは法律にあります通り、議決は秘密でありまして、余り立入つて内容を審査するということはできません関係から、そう露骨な調査というのができないということになつております。大体活動状況はこういう状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/6
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007・伊藤修
○理事(伊藤修君) 今の東京の例の委員の男女別はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/7
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008・岸盛一
○説明員(岸盛一君) 男女別はこれには出ておりませんが、大体どこでも約三分の二以上は男のほうが占めておる。例外的には、どこでしたか十一人のうち八人女であつたという例があります。普及宣伝のことについてお尋ねがありましたが、その点につきましては、この制度なかなか一般に知られておりませんので、当初から普及宣伝のことについては相当腐心をいたしておりますので、何しろ宣伝費というのが一つの審査会について年に約一万円の割合であります。まあその範囲でその他いろいろ工夫をしてもらつてやつております。先ずこの制度ができましたときに、最高裁判所で宣伝用のポスターとか、或いは普及用のパンフレツトを作りまして各地の検察審査会にこれを配つて、これを街頭その他適当な場所に展示する、又は地方の新聞にこの制度の内容を説明した記事を掲載してもらつたり、或いはその地方のラジオを通じて国民にこの制度を紹介する、それから又劇を催してこの劇を裁判所の職員が自腹を切つてやつております。或いは講演会を催す。そうして聴衆との間で質疑応答の形式をとつてこの制度の普及に努めておる、こういうような状態であります。次いで昨年度あたりからは、幻燈なんかを利用しまして、そうして講演会等を開いてそれをアトラクシヨンに用いて、この制度の普及を図る。演劇は昨年一年間約全国で百二十一回開いております。この申立件数等を見ましても、非常に普及宣伝の活溌な地方が事件数が多いという関係にあるようでありまして、又その地方の特色によつて余りこういうことに乗つて来ないといつたような所もあるようでありますが、大体において宣伝活動と並行して制度が盛んに用いられておるように見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/8
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009・伊藤修
○理事(伊藤修君) この検察審査会の運営について、検察方面からの何か意見が出ておりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/9
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010・岸盛一
○説明員(岸盛一君) 検察方面からはときどきトラブルがありました。審査会は少し行き過ぎだというような非難を受けたこともありますし、又場合によつてはその審査会長が検事から告訴されたという例もあります。併しそれは大部分は検察官のほうの誤解に基く場合が非常に多い。今まで事件になつたことは一件もありません。ただ最近佐賀の検察審査会が作つたポスターがどうも下手なことを書きまして、それで九州の検察官から非難を受けましたですが、これも本当のまあ手違いからのことで、事情がすつかりわかりまして、その点も円満に解決いたしておりますが、たびたびこれまで検察官との間の小さなトラブルはときどきありました。併し結局まあ都会あたりの大きな所ですと、理解のある人たちはこの制度は非常にいい、それから検察官としてもできるだけこれを健全に発達さして行くことは賛成だという御意見のかたがあり、最高検察庁のこの関係の仕事をやつておられるかたがたもそう言つておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/10
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011・伊藤修
○理事(伊藤修君) 何か委員に選定されたかたに、委員会を開く前にその人の大体の常識程度を簡単にテストするというようなことはお考えになつていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/11
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012・岸盛一
○説明員(岸盛一君) それは現在ではそういうことはできませんですが、これは元の陪審法ですと、専断忌避権というもの、つまり理由なしに陪審員になることを忌避するという制度がありましたが、まあそういうことでも若しこれに取入れられれば、そういう方法で相当審査員のレベルを揃えることができるのではなかろうかということを考えておりますので、先ほど申しましたように、これをどの程度にするかということが、又非常にむずかしい問題だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/12
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013・伊藤修
○理事(伊藤修君) 中山さん、只今最高裁から、検察審査会の運営の状態を簡単に御報告ありましたですが、何か御質問ありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/13
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014・中山福藏
○中山福藏君 昨日お願いしておきました検察審査会のお取扱いになつた全国的な何はありますか、統計か何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/14
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015・伊藤修
○理事(伊藤修君) 今伺いましたですが、数字は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/15
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016・中山福藏
○中山福藏君 そうですが、何件くらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/16
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017・岸盛一
○説明員(岸盛一君) これは二十四年の二月から始まりましたが、申立て又は職権によつて取上げた件数は昭和二十六年度までに千九百八十一件、約二千件に及んでおります。そのうち起訴相当という意見が附いたものが約一三%、約三百件足らずであります。起訴相当の意見のあつたうちで検察官が起訴したのが八十五件になつております。その他は不起訴を維持したのは五十四件だけで、残りの百三十四件というのは目下検察庁で保留中ということになつております。こういう状況から見ましても、当初考えられた以上にこの制度は適切であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/17
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018・中山福藏
○中山福藏君 そうするとその起訴相当という……、私うつかりしてその法律関係、この点まだ読んでおりませんので、或いはぴつたりしたお答えを願うことはできないかも知れませんが、大体この検事の事件の取扱いが、弁護士なんかが代理人になりて告訴の手続をいたしますると、非常にその取扱いが、起訴不起訴が決定せられるまで相当の時間を要するというということが、一般に弁護士会であちらこちらで聞かされる言葉なんですが、そうするとそういうことで告訴しておる事件が不起訴となつた場合に、時間の余裕がなくて時効にかかつたというときに、もう検察審査会で取上げる余地がない、こういうことがままあるのですが、そうすると当然起訴されるべき性質のものが時間の経過によつて検察審査会にもかけることができずに、そのままに泣寝入りをしなければならんという結果に陥ることもあるように私自身も考えておるのです。この検事の起訴不起訴というものをもう少し、せめて六カ月以内ぐらいに……、二年ぐらいそのままになつて、起訴不起訴の決定をしないものがたくさんあるのですが、せめて六カ月以内ぐらいにこの時効関係と見合わせて一つお取扱いを願うというふうに検察庁で何とかお取計らいを願うことはできないものか、その点どういうふうにお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/18
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019・野木新一
○政府委員(野木新一君) 只今御質問の点は一応御尤もな点もあると存じます。即ち事件が検事の手許にあるうちに、若しくは検事が不起訴にした直後に時効にかかる、そしてあとの始末が、例えば検察審査会のほうに申立てしたとか、そういうことをしても時効完成によつて効果が挙らなくなるということがあるということは、余り喜ばしいことではないものと存ずるわけであります。従つて私直接の所管ではありませんが、曽つて検務局におつたこともありまして、法務府といたしましてはそういうことのないように、検察官に事件の処理は迅速にするように常常申しておる次第であります。まあ大体そういうことはないと思いますが、ただ非常に複雑な事件とか、或いは発覚が非常に遅れたというような事件について起る場合があり得るかと思いますが、そういう点は特に注意して処理するよう主管の局長にも申伝えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/19
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020・中山福藏
○中山福藏君 その点は特に全国の在野法曹のために私はお願いしておきたいのですが、せめていわゆる起訴不起訴が決定してから検察審査会に申立てて、その審査を受ける期間ぐらい時効にかからない余裕をおいて一つお取計らい願いたい、こういうことを特に私お願いしておきたいのです。このお取扱い上非常にやはりこれは一種の権利に関係することでありますから、特にお願いしておきたい。もう一つこういうことを一つお考えおき願いたいのです。現在法廷で例えば弁護士が被告のために証人を申請いたしますとか、或いは又検事が起訴事件に対して自己の主張を明確にするがために証人を申請した場合に、その証人が法廷で調書と違つた申立をしますというと、或る検事はこれは現行犯だからお前帰るのを待つておれ、一応取調べて現行犯として告訴、起訴するというようなことを法廷でまま言う検事があるのです。そうするとこれを傍聴しておるか或いは被告人本人が検事を、逆にお前さんの言うことは強迫だということになりまして、そのために逆に検事を被告が告訴した場合に、やはり被告からみれば一種の現行犯みたように検事の言うことがなるわけなんですが、そういう時にやはり検察審査会というようなものの利用といつちやおかしいのですが、それを審査会にかけて被告がやろうとするような場合があり得ると私ども考えるのです。検事の立場を逆に考えてみますというと、これは私もそれを実際二回ばかりやられたのです。同じことを現行犯として検事が起訴すると、こう言うのですね。そういたしますと大概の気の弱い日本人の性格というものは奴隷根性がまだ抜け切れませんから、大抵参つちやうのです。調書と違うからお前の言うことは嘘じやないかと法廷でおどしつけられると大抵参つてしまいます。そうしてそれをそのまま残つておれといつて検事室に引込んで調書をとるのです。こういうことは非常に悪い私は検事局の態度だと実際は考えるのでございますがね、これは検察審査会とはちよつと縁の遠い話でございますけれども、こういう場合においても私は検察審査会を利用することが将来はあり得ると、こう思うわけです。今のままで検事が証人の証言を現行犯だ、お前は偽証だとどなりつけてやるということになれば、検事としてはそういう職権の上からそういう行動をとり得るが、被告の立場からも逆にそういうことを一つやり得るということを考える私は余地がそこに生れて来ると思うのです。こういうことは将来法廷で若し偽証の疑いがあればその公判が一応閉じられてから偽証の取扱いをおとりなすつてもこれは結構なんです。ところが公判最中にそれをやるのです。私は二回ばかりそれをやられたのです。こういうことは徳川幕府時代でもないことだ、極論すれば今どきの裁判制度に仮りにそういうことができ得るとしても、公判の手続の進歩の上においてそういうことは一応考えるべき問題じやないかと思うのですけれどもね。そういうことがあるという現実を私知つておりますからお尋ねして置くのですが、将来そういうことを矯正して行かれる気持があるか、又そういうことは一つ法務府としてどういうふうにお考えになるのか、若しそういうことが将来あり得るとすれば、やはり検察審査会というようなものを利用して被告の立場から自己の権利を擁護するという立場に立たなければならん、併しもう検事のほうでそういうことは公判廷でできるだけやらないという言質が得られるということになりますれば、この点は私は余り追及する必要はないと、こう思つておるのですけれどもね。これは非常に御参考になると思うものですから一応申上げておくわけです。これは大抵の者は参るです、お前は偽証だ、現行犯だと……。これは非常に悪い弊害だと思うのですがね、こういう点についてはどういう御意見でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/20
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021・野木新一
○政府委員(野木新一君) お話のことはよく分りました。ただ只今のような運用はいろいろなトラブルをかもすというようなことでありますと、大分考えなければならんと思いますが、これは検察権の運用に関することでありまして、直接私の所管に属しませんので、御質疑のお言葉は所管の検務局長にお伝えいたしまして、必要があれば検務局長に来てもらつて答弁いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/21
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022・中山福藏
○中山福藏君 そういうことは一つよく御研究になつて頂きたい。それはそういうことになりますれば、やはり一種の被告から見れば強迫だということが言い得る。強迫のいわゆる現行犯だ、検事の態度が、そういうふうにおどしつけられると大概調書と合致して、真正な供述ができないようになるのじやないかということを非常に惧れる。それで被告が検事を告訴した場合、不起訴になつたら審査会にかけ得る立場に被告はある。ですからそういうことは一応法廷で偽証だとか現行犯だとかというおどしつけるようなことを根絶するということに関連して一つお願いしておきたいのですが将来私は全国のいわゆる公判中心主義の裁判をやることはやるのですけれども、そういうときに若し偽証の疑いがあれば、一応公判を閉じてからそういう措置をとつて頂きたい。そうしなければ弁護士の立場として、これはやはり被告の側に立つて一つの強硬な措置をとらなければならんということになりますから、特に私はその点一つお願いしておきたいのです。それから伊藤さんの御質問と関連して、もう少しけじめをつけておきたいと思うのですが、成るほど相当の能力、いわゆる相当の能力を持つということが、普通の小学校卒業した程度でいいという判定の下に、検察審査今の委員の任命がされるということにたつておるわけでありますが、これについての査定方法と申しますか、程度を十分に知悉する方法をとるということについての明確な何かそこに尺度をお示しになることが、将来は必要になつて来るのじやないかと思うのですが、今のままでずつと押して行かれるつもりでございましようか、その点を私は伺つておきたいと思うのです。ちよつと私は時間が遅れましたので重複しているかも知れませんが、一応政府の御説明を承わつておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/22
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023・岸盛一
○説明員(岸盛一君) 先ほど私ちよつと触れましたのですが、検察審査員の資格の問題であります。これは検察審査員になつた人からのいろいろな進言なんかも私共のほうへ、裁判所へ来ております。折角この制度をやつて行くためには、資格をもつと高めなければならんと思うというような意見が出ております。そういう点については私共のほうも当初から相当関心を持つております。然らばどういう方法でそういう資格を上げるということを考えたらよかろう、これは英米でもやはり同じように、陪審員についてどうしたらいい陪審員を選定することができるだろうということが問題になつて、甚だしきに至つては陪審員を学校に入れて教育したらいい。そういう極論すらあるのであります。同じような問題であろうと思います。ただこれをあまりに資格を搾りすぎますと、却つてこの制度をおいた趣旨が没却される、と言つてあまり資格の低い人たちで構成されるようであつてもならない。どの辺にそれをおいたものかということは一つの大きな政策の問題として将来考えなければならんと思います。先ほどお話しましたが、この制度が発足して以来今日までの運営状況を見ておりますと、年毎に健全な方向に進んでおりますので、やはりそういう運営を実際とも睨み合せながら将来考えるべき問題ではなかろうか、そういうふうに只今のところでは考えております。ただ余り資格のない人をそれから排除するというような方法を考えてはどうかという、先ほど伊藤委員からお話がありましたが、その点は前の陪審制度のほうでいわゆる専断忌避権というような制度がありまして、そういうような方法によれば余りひどい人は名簿から外すということも、これは技術的に可能だろうと思います。それも併し一体誰がそういう忌避権を行使するかということになりますと、又非常に複雑な、考えなければならん問題が起ります。只今のところでは私どものほうとしても原案は持ち合せておりませんのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/23
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024・中山福藏
○中山福藏君 どうかそういう点は一つ十分御研究になつて頂きたいのです。それに又非公式にでも何かお互いに話合つて、最善の方法が講ぜられるものならばお話合いしても差支えないと、こう思つておりますから、どうぞ一つよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/24
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025・伊藤修
○理事(伊藤修君) 他に御質疑がなければ、本法案につきましては目下予備審査中でありますから、質疑は次回に継続することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/25
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026・伊藤修
○理事(伊藤修君) 次に工場抵当法について質疑に入りたいと存じます。
〔理事伊藤修君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/26
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027・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御質疑のあるかたは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/27
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028・伊藤修
○伊藤修君 ちよつと最高裁判所のかたがおいでになるうちにお伺いをして置きたいんですが、最近新聞で拝見いたしましたのですが、名古屋の地方裁判所か高裁か存じませんが、荒川とか荒木とかいうような判事の人が、その事案の審理に際しまして、訴訟関係人から請託を受けたとか受けないとかいうような事実によりまして、検察庁の活動が開始されておるということを承知したのですが、そういう事案があるにもかかわらず本人が辞職を申し出たので、その辞職を直ちに許可されて退職せられた、こういうことを承知しておるのですが、その間におけるところの事情を一つお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/28
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029・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 只今御質問になつた判事は名古屋地方裁判所の判事であつた荒木辰生、これは実は三月二十何日かに名古屋のほうから家事の都合で本人が辞職をしたい旨申出ておるからというので、退職発令の申請がありましたので、内閣のほうに連絡をしまして四月の三日の決裁になつて退職しておる判事であります。四月の三日に退職の辞令を発送しております。ところが只今の御質問にありましたように、四月の多分二十日か二十一日頃に名古屋のほうから、こういう新聞の記事が掲載をされたからというので、最高裁判所のほうに新聞記事に添えて通知をするという簡単な報告がございました。それで実は私のほうも驚きまして、すぐに詳細を一つ知らせてくれと言つて名古屋のほうにやつたものでありますけれども、事件が現在検察庁のほうで進んでおるので、事件の外貌がわからない、本人はそういうことはないと言つておるんだ、なお事件の内容がはつきりしたら通知をする、暫く待つてくれということになつておりました。それによりますと、問題になつておるのは二千円を事件の関係の者が贈賄をしたということが嫌疑に現在なつておるらしいのでありますけれども、あとからこちらが調査してくれと言つたことに対する名古屋の話だというと、本人は菓子折に添えて二千円を置いて行かれたんだ、それを戻そうとしておる間に戻す機会がなかつた、そう言つておるということだけは報告がありましたけれども、それ以上果して本人が要求したものやら、要求しないで置いて行かれたということになるのか、その点等もはつきりしておらないのであります。ただ発令をする当時はそういう事情が事務局のほうにちつともわかつておりませんものでしたから、普通の退職のつもりで退職の手続を済ませてしまつた。ところが名古屋の地方新聞に、而も大きくトツプに見出しが出ましたので、こちらも驚いて問合せ、調査をしたのでありますが、検察庁のほうの手に渡つておりますので暫く待つてくれ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/29
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030・伊藤修
○伊藤修君 その判事の取扱われた事件は検事控訴がなされておるという話です。従つて今問題になつておる最後の事案以前においても、そういうことがあり得るんじやないかとかいうような想像もたくましくすることができるのであります。検察庁は取つて以て判決に納得できないということは、最後の事案から類推いたしまして、そういうことも疑いをかけられる虞れもありますし、従つてかねがね同判事の審理については疑惑を持たれておつたとかいうことも想像に難くないと思いますが、そういうような人の退職を直ちにそれを認容するということになりますれば、いわゆる弾劾裁判所に対して訴追委員会が起訴することができなくなつてしまう。事実上弾劾裁判所の機構若しくは訴追委員会の機構というものは、その点において阻止されることになる。これはかねがね最高裁判所においてそういうような疑いのある場合においては、訴追委員会において起訴するや否やということを待つて発令されるならわしと承知しておりますが、たまたま本件につきましてはそういう事情が事前におわかりにならなかつたから容易に発令されたとは思いますが、併し同判事の従来の職務執行の関係から推して見れば、容易に発令するということは少し誤まつていなかつたかと思うのですが、そういうような点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/30
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031・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 只今伊藤委員から御質問のありましたような、荒木判事が退職以前に取扱つた刑事事件について検事控訴が非常に多かつたということも、この事件が新聞に載つたあとに名古屋に問合せをしたことによつて、そういうこともあるので、検事局はその点についても疑惑を持つているのだということが初めて判明したわけです。で、最高裁判所の事務局のほうといたしましては勿論、裁判官もなお更のことだと思いますけれども、荒木判事の個人の平生における執務振りはどうか、控訴をたびたびされておる判事だということは、これは全然わからなかつたわけです。それで最高裁判所のほうも退職の手続といたしましては、勿論これはやめてもらいたくないような判事と、どちらでもいいというような判事が、これはやめる場合には率直に申せばあると思うのです。そういう場合に大抵現地の長官なり所長が、やめてもらつては困るという判事には説得してやめさせないようにして頂けるでしようし、それからそういう判事でも、どうしても家事の都合、本人の希望でやめるというなら、説得しても駄目だつたということで上申して来る場合もありましようし、大体そこは現地のほうに全部任せておるわけです。任せておいて、上申があれば本人の希望に副うように取扱つておるわけです。ただ東京とか、たまたま事務局などが知つておる判事でやめるというようなことがあつて、それは惜しいじやないか、もう少しやつていてくれと言つて本人にやめるのをやめさせる、翻意させるというような例もたまにはありますけれども、そういうような、本人の能力とかひととなりとかいうようなものが一般にそう細かくわかつておりませんものですから、大体それは現地の上申をほぼ信用して取扱つておるのですが、今回もその原則的と申しますか、実際の取扱い通りやつたわけで、あとになつてそういうことが問題になつていることがわかつたようなわけで、若し最初からそういう平生の執務振りが今おつしやられたようなことであり、それから現にやめようとする理由が、そういうことが問題になつてやめようとするのだということが事務局のほうにわかつておりますれば、勿論これは弾劾裁判所と訴追委員会との関係から申しましても、上申をすぐに取上げて内閣に伝達するということはなかつたろうと思いますけれども、現に訴追委員会の手にかかつて問題になつておるような事件は、訴追が成立すると否とにかかわらず、最高裁判所では辞令が出たからといつてやめさせるようなことは今までもしておらない。それから場合によつては訴追委員会のほうから現に訴追の問題になつているから調査が済むまで発令をとめてくれというようなことを言つて来る例も一回や二回はあつたようなわけであります。事前にわかつておればかまわず発令するということは、これは絶対になかつたろうと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/31
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032・伊藤修
○伊藤修君 そういたしますと、現在の程度においてはまだ荒木判事の取扱つた事件というものは詳細な御報告はまだないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/32
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033・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 詳細ですか、過去に遡つて同判事の取扱つた事件等について御報告できない状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/33
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034・伊藤修
○伊藤修君 まだ最高裁判所に来ていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/34
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035・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) まだ来ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/35
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036・伊藤修
○伊藤修君 この件につきましては非常な重要な性質を持つておるものと考えられるのです。不幸にいたしまして今お聞きの通り、訴追委員会において訴追し得ない状態におかれてしまつたわけです。従つてただ残されておる問題は、検察庁で調べて、これを起訴するか否かということにかかつておるわけです。恐らく私は今現われておる程度のものでは刑事事犯としてこれが成立するとは考えられないと思います。併し事は我々が信頼して措かないところの、殊に日本の行政官庁、あらゆる官僚制度の中で最も信頼の高い、国民も又司法権の存在に対しては高い評価を以てこれを迎えておるこの司法権のあり方といたしまして、そういうような裁判官がおるといたしますれば、誠に日本の司法史上に大きな汚点を残すものと考えております。従つてこれに対しましては、検察及び裁判の運営といたしまして、一応事実の調査のために一人、二人を二、三日の日にちでよいですから、出張さして調査をされるようにお取計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/36
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037・中山福藏
○中山福藏君 従来判事のかたがたの辞職願というものは、大体その届出によつて認容されておるように承わつておりますが、併しながら只今伊藤委員からいろいろと御質問御意見の陳述があつたこと、並びに二十年ばかり前に起りました事件、いわゆる庄川事件、これについては、大阪弁護士会において取調べましたところ、その裁判長が待合に入りびたりになつておりまして、而もその入りびたりという原因が或る当事者のほうから金を出して、ふとん、衣類に至るまですべてを提供して、その判決というものがその御馳走によつて左右されて、非常なまあ世間の疑惑を招く判決になつて現われたのであります。それが時効にかかつてから大阪弁護士会にわかつて、その当時の検事総長は泉二さんと記憶いたしておりますが、しばしばこれに対して掛け合つて見たのでありますが、如何にせん発覚したときはすでに時効にかかつておつた、そうして裁判官をやめた事件がある。そういうようなことと只今伊藤さんの申上げたことと対照していろいろ考えてみますると、最高裁判所において顕著なる辞職の理由がある場合においては、これはもう簡単に認容して差支えないと思いますけれども、一応疑惑の持たれるような辞職の届出につきましては、何らかそこに適当な措置を講じて内容をお調べになるということは、これは国民が全部挙つて、只今日本において信頼するものは裁判所以外にないという信頼感を持つておる今日において、殊に私は必要だと思うのです。それで只今一人、二人事実の調査のために派遣するというお申出は誠に御尤もだと思います。この事件なんかも、もう少しそういう特別の考慮期間というものを置いて行われたならば、これは辞職の前に訴追委員会にかけて徹底的にこれを剔決して、そうして国民に事実の真相を知らしめるというような方法をとるほうが、この裁判所の威容を保つ上においても又法の神聖を保持する上におきましても、誠に必要だと私考えるのでありますが、将来この辞職の届出につきましては、そういう理由のわからないものにつきましてはお取調べの期間を置くという措置を講じられるようにお願いしたいのですが、如何でございましようか、こういう点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/37
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038・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 辞職の申出がありました際は大抵は一身上の都合であるとか、それからそれをもう少しはつきりいたしますと、退職後まあ弁護士になるつもりだとか、公証人になる予定だとか、そういうようなことが大抵書き加えられてある場合でございまして、そして若しそういうようなことが書き加えられてあつても、その本人について何か怪しいことがある、まあ端的に申上げれば、訴追委員会の問題にされるべきようなことがあるということが事前にわかつておりますれば、事務局のほうとしても、訴追委員会の訴追ができなくなるようにわざわざするというつもりはございませんし、十分訴追委員会のほうの権限を尊重してやつておりますから、事前に何かこれは怪しいなという事由がこつちに、事務局のほうにわかつておりますれば、中山委員が只今申されたように処置は十分いたすつもりでおります。今までもそのつもりでやつておりました。今回の事件は、その事前に少しもわかりませんでしたので、発令の手続をしてしまつたという関係にあるわけであります。ただ、戦後に官吏も何もみんな平等、極めて自由な立場に置かれておるわけで、裁判官からやめて弁護士になり、検事をやめて弁護士になつても、又いつでも希望をすれば裁判官、検事になれるというようなまあ建前になつておりますですから、そこを従来に比して若干自由に取扱つているような傾向になつておるのかも知れませんが、私前との比較をはつきりは申上げられませんが、若干自由になつているんじやないかというような感じがするわけであります。ですから、こういうことがありました以上、将来よく注意はいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/38
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039・中山福藏
○中山福藏君 大体弁護士になりまして……、これは弁護士も裁判官も神様じやないのですから、全然過ちがないということは私は考えておりません。併しながらこれは、ここに政府委員がたは大概判事という職責、それから検事という肩書を持つておられるかたが多かつたようでありますが、大体弁護士でありながら一番犯罪をやるというのは、私から率直に言いますと、大体前職をおやめになつたかたが多いのでございます。判検事をおやめになつて弁護士をやられたかたが法律に引つかかるということが多いのです。純粋の弁護士生い立ちの人に比べて非常に多いと私は考えるのであります。それは全然別個の問題でありますが、在職中にどういうことがあつたかということは、只今おつしやつた通り、なかなかこれは知り得ないのです。殊に奥の院におられるというような感じがして、その上に裁判官と言えば非常な尊敬を払われておりますから、世間も当らずさわらず、又立派なかただとこう思つておる。ところが、そういう地位を利用して今のような、伊藤さんのおつしやるようなことがあれば、それは国民として誠に唖然たらざるを得ない次第でありますが、私はこの前の議会だつたと思いますが、巡回判事を置いて、裁判官の素質というものを調べなければいかんということを私は申上げたことを記憶しておるのです。それは、十四人ばかり証人を和歌山の事件で申請して、これを一人も採用せずに、三十分で判決を即座に下した事件がある。そういうふうなことでは、いわゆる憲法の保障する裁判を受くる権利を国民から剥奪することになるのでありますから、こういう点についても立派な、観察力の強い、洞察力の強い司法官なり、或いは当局のかたがお廻りになつて、始終判事の行動、判決の方法というものを一応御審査になる必要があるのじやないかということを私申上げておいたつもりであります。そういうようなあんばいでこの事件につきましても全然報告がないから知らんと、こう言えば誠にその通りで、そうでございますかと言つて聞いておけばそれでいいのですけれども、併しそういうことでは割切れないものが残るのですね。私ども割切れないのです。それは報告がなかつたから知らんとおつしやればそれで済むわけですが、それじやどうもちと行届かないのじやないかという気がするのですがね。やはりそういう点から推して、顯著な事実の現われていない人については、その取調期間、どういうわけでこの人がやめるかという、期間をせめて六カ月なら六カ月置いて、一応認容するかしないかということを御決定になることが事前策として誠に当を得たことじやないかと思いますが、この事件を契機として、何とかそういう御審議をなさつて適当な処置を講じて頂きたいと思うのですが、如何でしようか。弾劾裁判所というものはそのためにあると言つて差支えないと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/39
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040・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 結果的に申上げますと、確かに納得の行かないような感じを懐かせるようなことになる慮れがございますから、将来の実際の取扱としては只今おつしやられたような点について十分考慮いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/40
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041・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 只今伊藤委員より御質問がございました名古屋地方裁判所判事の退職問題につきまして、議員派遣をせられたいとの御要求がございました。本件につきまして議員派遣を行うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/41
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042・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めましてさよう取計らいたいと思います。なお派遣議員の人選、日程等は便宜委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/42
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043・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めてさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/43
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044・内村清次
○内村清次君 この際私は委員長に一つお願いがありまして、委員会に是非一つ諮つてそれをやつて頂きたいのであります。それは先般の五月一日のメーデーの事件であります。講和の発効直後に起りましたこの事件は、一応法務総裁から本会議で報告されて、御質問もやつておられるのですが、この影響というものは相当将来に関連いたしまして重要な要素を含んでおりはしないかと思う。ただ本会議の報告の問題でこれを済まされない事件である。いろいろな角度から今後の状態についてこれは検討せなくてはならない要素が多分に含まれておると私たちは考えておるのです。そこで而も本委員会にも、又最近には破壊活動防止法案というものも出て参りますし、法務総裁の言葉を聞きますと、こういう法案の必要性を説かれて、その通過を望んでおられる。又いろいろの行動自体がこの法案に参考となるべき事態もあるやにも、これは見方によりまして必ず派生して来やしないかとも思うのです。そのようないろいろのやはり要素をこの委員会といたしましても当然取上げて、今少し深く検討する必要があると私は考えるわけです。そこでこの参議院の規則第三十四条にもありまするように、もうすでに議長はこの事件に対しましては政府の報告を承認した問題であり、これは又先ほどのような状態で深く検討すべきところの事件でもございますからして、これを一つ委員会は是非取上げて調査をして頂きたいということが一つであります。
それから又これと関係のあるような事件が昨日から今朝にかけて発生いたしておる。これは早稲田の御承知のごとき事件でありまして、これは聞くところによりますると、メーデーの当日参加の犯人逮捕のために又その学園内に警官が立ち入つたというのが動機のように考えられまするが、この事件は、先般この委員会で取上げました東大の事件とこれは極めて揆を一にしておるというようなことは、又これは調査しなければわかりませんが、やはり学園内の自治の問題と、それから警官の立入りのどの程度の制限の問題というようなことをも含んだ事件であろうかと思うのです。これが調査の対象といたしましては、メーデー事件と関連の調査事項というようなことにして頂きまして、この問題にも触れて一つ調査をやつて行きたい。かような見地から私は委員長がこの事件をこの委員会に調査或いは小委員会というようなものを設けられるとか、その方法については適当にお考え頂きまして、この参議院規則の第三十四条によつて調査をしてもらいたい、こういうことをお取上げ頂けまするように御提案申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/44
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045・伊藤修
○伊藤修君 只今内村委員から調査の要求がありましたが、私はかように考えるのです。当参議院の法務委員会におきましては、第一国会以来戦後におけるところのあの秩序の繁れた時代におきまして、殊にこれらの問題に対して関心を深めて参りまして、全国に起るところの各暴力団、およそ四千五、六百の暴力団について調査いたして参つたのであります。それは少くとも国民に対しまして暴力は民主々義の敵であるという深い印象を与えて、当時国内に跋扈したところのあの右翼傾向の暴力団に対しまして相当脅威を感ぜしめた。それかあらんか行政官庁といたしましても、幸いにして博徒或いはてき屋、ボス悪、徳新聞こういうような集団的な暴力団に対しましては、少くとも鉄鎚を下したと言つても私は過言ではないと思います。そういう意味におきまして、その後の社会情勢の変化に伴つて、最近は極左傾向の集団行為というものが跋扈して参つたのでございます。これに対しましては、少くとも参議院といたしましては、これに深い関心を持つ必要がある。かような意味合いにおきまして、只今内村委員が参議院規則何条というような御指摘でありましたが、むしろ当委員会において常設されておるところの検察裁判の運営の範疇において十分これは賄い得るものである。まさに当委員会においてはこれに対して徹底的に究明する必要があると思います。従つて今御指摘になりましたようにメーデーとか或いは早稲田の騒擾とかいう個々のものを取上げておつては到底煩に堪えませんので、むしろこの際一括いたしまして集団暴力に対するところの調査のために、そういうことを検察裁判の運営の調査の中において行われんことを私は希望いたして止みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/45
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046・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 内村委員並びに伊藤委員御両委員の御提案至極同感であります。その御趣旨においてすこぶるいいと思うので、これは一つ委員長と理事その他公式非公式はともかくも、理事諸君ともよく相談いたしまして、そうして何かのそういう御希望の方向に向つて進みたいと思うのです。ただ御承知のごとく、大体今議案の予定が大体一応組まれて、なお来月に亘つて相当の予備の時日もございますから、この間法案の審議と相俟つて、或いはそういうような全体的な構想の下にやるほうがまだいいのじやないか。又今後殆んど日々頻発するのじやないかというような気持も毎日の新聞で、毎日何かあるものだからそういう考えを持つのでありまして、これは我々法務委員としては重大なる関心を持たなければならんということを痛感いたしますので、よく理事諸君とも相談いたしまして態度を決定いたしたいと思います。委員長及び理事に一つ任しておいて頂きたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/46
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047・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 抵当法につきまして一つ審議を開始したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/47
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048・伊藤修
○伊藤修君 先ず第一条による修正、改正についてお尋ねいたしたいと思います。この第一条は申すまでもなく旧法におきまして工場及びガス、電気等について、いわゆる工場抵当法が設けられ適用になるという規定でありますが、例えば今問題になつておるところの放送事業とかいうようなものに対しても、やはり加えるべき必要があるのじやないかと考えられるのですが、と言うのは本法が施行されたのは明治三十何年かと存じますが、当時の社会事情、経済事情と今日の事情とは雲泥の相違があるのであつて、その後において新らしい企業形態というものが続々と現われて来ておることは御承知の通りです。従つて最近の経済界における企業状態というものを対象にして、やはりこの法律も考えなくちやならんと思います。して見ますれば、最近企業化して参つたいわゆる放送事業とか或いは水道事業だとか、その他いろいろなものが考えられると思う、そういうものを加えられて行くようなお考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/48
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049・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 工場抵当法ができましてから、この法律は殆んど手を加えられないまま数十年たつておりますので、いろいろ改正を要する点のありますことは只今御指摘の通りに思うのでございます。最近問題になつております民間放送施設につきましても、現行法第一条第二項の解釈といたしまして、これに加えることは解釈上は困難かと存じますけれども、これを工場抵当法にいわゆる工場として取扱うことの実際上の必要がありますことは私どもも同感なのであります。で、この法律案を立案いたしますときにも、この民間放送施設のことも問題になつたのでありますが、この民間放送施設をこれに加えるということになりますと、現在の経済事情の下におきまして他にも同様にこの第一条に加える必要のあるものがあるのではないか、この点についての調査も遂げる必要があると考えたのでありますが、民間放送のことが問題になりました当時はすでにこの法律案を一応かためておりました関係と、相当その調査等で時日を要しますと提案が遅れます関係で、次の機会にその点の調査を遂げまして一緒に改正して然るべきではないかとかように考えたのであります。併しながら民間放送施設につきまして、差当り極めて緊要な事情にありますように承知いたしておりますので、これを第一条の第二項に加えますことにつきましては、私ども適当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/49
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050・伊藤修
○伊藤修君 ひとり民間放送のみでなく、上水道、或いは用排水とか、その他も考えられるのじやないですか。そういう事項についてお考えになつたことはありますか。若しくはお考えになつたとすれば、どのような企業をお考えになつておるか、若しくは御研究の対象にされましたか、その点もお伺いしたいと思います。最近におきまして、自動車事業財団抵当法ですか、そういうものが、いわゆる政府提案ではありますけれども、なお議員提案で運輸委員会に提出しようという機運もありますし、あらゆるそういう企業が考えられると思うのですが、そういうものを一本にここにまとめてするという必要はあるかないか、又別個の法案としてなすべきかどうかという点も伺うておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/50
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051・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 水道につきましては曽て大正年間に、玉川水道株式会社の水道施設につきまして、工場抵当法第一条第二項の類推解釈によりまして、工場財団の設定をした例があるのであります。その他この水道が第一条第二項の類推適用を受けるべきであるという点につきましては、学説等も一般にこれを認めておるようなのでありますが、これを明らかにするということは望ましいとは考えておりますけれども、民間放送施設のごとく、水道その他只今お挙げになりましたような施設につきまして、現在のところ緊要な必要があるということを申出られております例を聞いておりませんので、これは次の機会に考慮したいと、かように考える次第であります。なお、単にいわゆる工場、或いはその工場の観念の拡張によりまして、財団の設定を認めるばかりでなく、いやしくも一つの企業を構成しております物的要素をそのまま一括して担保に供するということが、企業の経営上その途が開かれますことが望ましいことは豈工業のみに限らないのでありまして、あらゆる企業について言えることではないかと考えるのであります。従いましてこの工場抵当法の部分的改正によつてこれを拡げて行くことが適当であるか、或いは別に単行法を以てさような場合の担保制度を考慮すべきであるかというような点につきましては、未だ私ども研究未熟でございまして、結論を得るに至つておりません。併しいずれにいたしましても、そういう点につきましても、担保制度の全般に亘りましての研究の必要なことは痛感いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/51
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052・伊藤修
○伊藤修君 私が先ほど質問申上げましたどういうような企業が研究の対象として考えられておるかという点については如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/52
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053・村上朝一
○政府委員(村上朝君) いわゆる工業に属するものばかりでなく、例えば映画館であるとか百貨店であるとか、そのぽか或る不動産と機械、器具その他の物的施設等を結合して一つの企業の物的施設として担保価値を持つておるものにつきましては、これをいわゆる財団抵当制度の対象として研究する必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/53
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054・伊藤修
○伊藤修君 私は、ここで申上げるまでもなく、企業形態というものは、相当社会事情の変化に伴つてだんだん大きくなりまして、いわゆる動産若しくは不動産個々のものを以て担保の対象とし、以て資本の安定を図るというやり方は、到底今後の企業形態ではできないと思うのです。総合的なものを、すべて企業全体を挙げて以て担保の目的となさしめ、その資本を得るという方法に持つて行かないというと、結局今後におけるところの日本の企業形態の堅実さというものは図れないと思うのです。今御指摘のような例えばデパートの場合においても単に建物のみではいけない、デパートに属するところのいわゆる一切の権利、例えば仕入するところの権利、老舗或いは販売するところの権利、それとその他デパートも一カ所じやなくしてチエーン式に支店を設けておるというような場合におきまして、これが個々の担保価値というだけでは価値が一〇〇のものが五〇になるという慮れがあり得ると思うのです。全体を総合して初めて担保価値が完全になるということになれば、こういうものに対してもやはり考えなければならんと思うのです。そうすることが今後の日本の企業発達の上において大きな基盤を与えるものと思うのですが、してみますれば、この際若し近いうちにおいて工場抵当法というものはいま少し考えなければならんだろう。今お話のようにその必要の都度各企業毎に一々の単行法を持つてするということもこれは便宜上から考えれば或いはいいと思いますが、併し国民は煩に堪えませんですから、やはり基本法規で賄い得る一本の法制体制の下に統轄するということのほうが債権者の立場から言つても、債務者の立場から言つても一番簡便なやり方ではないかと思うのです。その事業毎に一々違つた法律の下に行うということ、特段な必要のない限りにおいてはやはり基本法規で賄つて行く行き方がいいと思うのですがね、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/54
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055・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 御趣旨の通り企業そのものを担保とする金融の上から申しまして財団抵当制度全般に亘りまして検討の必要があることは、私どもも痛感いたしておる次第であります。今後できるだけ早い機会に研究を進めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 一点だけ伺いますが、十条の二カ月を三カ月に改めると、こういう改正案、この抵当権が消滅したら工場財団は消滅する、但し今までは二カ月、今後三カ月内はその効力を有すると、こういうことになるのですが、実際問題として一応抵当権がなくなつた、そうしてその次に再び抵当権を設定しなければならんという事情はあり得るんですし、又あるからこそ二カ月とか三カ月というあとの期間が設けてあるわけですが、二カ月三カ月でそういう事情を賄い得るかというとやや困難じやないか、又新らしく半月なり余り長くはこれは置いてはおけないかと思いますけれども、再び事業が起つたとき、又新らしく初めから工場財団を作る手続を始めなければならん、これは金の問題も伴つて来るかと思うのです。今ちよつと頭をひねつて考えますと興業銀行から今六ヶ月という要望が出ておる、それは実際に取扱つてみて、少くともその程度という話が出ておるんだと思うのですが、同じ直すならば二カ月をそういう実情に照らして六カ月に直す意思はないのか、どうして三カ月にせられたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/56
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057・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 第十条の二カ月の期間をこの改正案におきまして三カ月と改めております趣旨は、この財団の設定に着手いたしましてから所有権保存の登記ができて財団設定が終るまでに早くとも一カ月乃至二カ月かかる。その設定に要する期間を見込みまして財団設定に着手するわけであります。仮りに二カ月後に社債を発行するという予定の下に或る財団の設定に着手いたしたとします。そのときの二カ月後の金融情勢によりまして直ちに社債の発行がでなきい場合があるわけであります。現行法によりますると、所有権保存の登記をしてから二カ月以内に抵当権の設定の登記をしなければならんということになつておりますので、財団設定を終りましてから二カ月以内に社債の発行ができなというと、抵当権の財団所有権保存の登記が効力を失うわけであります。そこで現行法におきましても、その当初予想いたしました社債発行の予定時期と、現実に発行し得る時期との間のズレが二カ月以内であれば、現行法でも賄えるわけでありますけれども、最近の金融事情から申しまして、二カ月ではやや無理である。これをもう一カ月延ばして三カ月にすれば、先ずこれで十分ではないか、かようなことで三カ月に延ばしたのであります。尤も一部には、只今御指摘になりましたように六カ月にしてもらいたいというような希望もあつたのでありますが、これはよく事情を聞いて見ますと、財団の所有権保存登記をいたします場合には、その工場に属する土地、工作物につきましての登記が現状に合つていない場合が多いのであります。そう場合に建物につきましては増築、改築による変更、土地につきましては地目変換による変更等におきまして、各地に散在する工場等について行いますと、それに相当の期間がかかる。従いまして財団の設定の準備に着手いたしましてから財団設定を終るまでの期間が相当長くかかるため、その予定時期と現実に発行し得る時期との間のズレが現実に大きくなる場合があるわけであります。併しながら御承知のように、これは増築改築或いは地目変換等による登記がその都度遅滞なく行われておりますれば、財団設定の際に改めてすべての土地、建物についての変更登記をする必要もないわけでございまして、大体財団設定に要する登記の期間は二カ月内外で足りるわけであります。そういたしますと先ほど申しましたようにこの十条の抵当権設定の登記を受けるべき期間は一カ月延長して三カ月程度で十分である。かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/57
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058・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それじや本日はこの程度で散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03619520509/58
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