1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十六日(金曜日)
午後一時四十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
伊藤 修君
一松 定吉君
委員
加藤 武徳君
左藤 義詮君
玉柳 實君
長谷山行毅君
岡部 常君
吉田 法晴君
羽仁 五郎君
委員外議員 栗栖 赳夫君
政府委員
法務政務次官 龍野喜一郎君
法制意見長官 佐藤 達夫君
法務府法制意見
第四局長 野木 新一君
法務府法制意見
参事官 位野木益雄君
法務府民事局長 村上 朝一君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 眞道君
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○小委員の選任の件
○小委員長の選任に関する件
○小委員長の報告
○会社更生法案(内閣提出、衆議院送
付)(第十二回国会継続)
○破産法及び和議法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
(第十二回国会継続)
○工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/0
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001・小野義夫
○委員長(小野義夫君) これより委員会を開きます。
先ず連合委員会についてお諮りいたします。法務府設置法等の一部を改正する法律案について内閣委員と、集団示威運動等の秩序保持に関する法律案について地方行政委員と、それぞれ連合委員会を開きたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/1
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002・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/2
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003・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それじや速記をつけて下さい。なお警察法の一部を改正上る法律案につきましても連合委員会を申込むことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/3
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004・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/4
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005・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に小委員選定の件につきまして、前回の委員会におきまして集団暴力に関する調査の小委員の人選は委員長に御一任を願つたのでありますが、委員長におきましては委員各位の御希望を参酌の上、次の諸君を小委員に指名いたしました。伊藤修君、一松定吉君、加藤武徳君、左藤義詮君、長谷山行毅君、岡部常君、中山福藏君、内村清次君、吉田法晴君、片岡文重君、羽仁五郎君、及び委員長の私と以上十二名でございます。なお小委員会におきまする証人喚問その他の事項中にはその手続を委員会で決定せねばならぬこともございますが、これらのことは便宜委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/5
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006・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めましてさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/6
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007・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に会社更生法案及び破産法及び和議法の一部を改正する法律案、以上二法案を便宜一括して議題に供します。両案は第十国会以来会社更生法案等に関する小委員会において継続審議を行なつて参つたのでございます。先ず小委員長の御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/7
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008・伊藤修
○伊藤修君 只今議題になりました両法案につきまして、小委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
先ず会社更生法案についての概略の内容を御説明申上げます。会社更生法案は窮境にあるか、又は再建のできる見込みのある株式会社についてその債務を減額し、又は支払期日を延期する等関係人の協議によつてその権利を調整しながら、会社の事業を継続させ、その更生を図ることを目的としておるのであります。この法律は株式会社が弁済期日にある債務を弁済すれば、事業の継続に著しい支障を来たすとき、会社に破産の原因となる事実の生ずる慮れがあるときに、漫然と放置して会社を破産に陥らしむることなく、債権者の譲歩により、又は第三者が会社の債務を引受ける等の解決方法を講じ、強力な法律の保護によつて会社の存立を図り、既存の和議法、会社の整理規定等に欠けていた会社の更生を図ろうとすることが主眼であるのであります。会社の経営が困難となつた場合において債権者はその会社を破産に陥れることは必ずしも利益とはならない。このために通例は債権者及び債務者間の協議によつてその会社の経営を債権者の管理下に置き、その債務の整理と会社の復活を図つていることが通例である。この管理の性質は法律的には債権者と債務者間の裁判外の示談であつて、債務の一部の免除又は弁済の猶予等をその内容としておるのであります。従つてこの示談の成立のためには、全債権者の協議が完全に致した場合でなければ実現が困難であり、会社の更生の方法におきましても、全債権者の合意を必要とする。これは従つて利害関係人の多い大資本の会社であればあるほど、極めてその更生が困難であることは免れないのであります。これは当事者間の示談を基礎とするからであつて、この不便を除去して真に会社の更生を図るためには、これを債権者の多数決によつて定め、且つ公正のために裁判所の認可を必要とし、会社更生の手続に法律上の保護を与えるならば、極めて会社の更生は図りやすいものとなるであろうと思うのであります。会社更生法は右の債権者管理の方式に法律上の力を加えると共に、整理計画即ち更生計画の遂行に幾多の法律上の特例を認めて、
〔委員長退席、理事岡部常君委員長席に着く〕
更生に対する障害を排除し、会社の再建を容易ならしめるように図ろうということがその概略的な内容であるのであります。
第一に会社更生法案の内容について申上げます。会社の更生を図るためには、裁判所、会社、債権者及び株主等の幾多の行為が順次に相次ぎ相接して遂行されることを要するが、この連続した一団の行為を更生手続というておるのであります。この更生手続は、利害関係人又は会社自体から裁判所に対し、更生手続の開始申立をすることによつて始まつて、裁判所はこの申立を理由があると認めた場合において更生手続の開始決定をし、これと同時に管財人を選任することになります。この管財人はその会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分権を把握して会社の再起に努め、且つ更生手続の遂行のために、裁判所の監督の下に各種の手続を行えるのであります。更生手続の開始決定があれば、裁判所は直ちにその旨を公告いたしますが、債権者及び株主は、この手続に参加するためには裁判所の指定する期日までにその権利を届出なければならないことといたし、裁判所は届出のあつた権利につき調査をしてこれを確定させるが、他面においては届出のあつた関係人を集めて関係人集会を開いて、会社更生の方法を樹立するため更生計画案を決議させなければならないのであります。この更生計画から除外された権利は、更生計画がその効力を有するに至れば自然債務となり、会社は弁済の責任を免れるものでありまして、関係人集会において可決された更生計画を裁判所が認可の決定をすれば、更生計画はそのときから効力を発生するに至るのであります。更生計画が認可されれば、その内容において定めている條項に従つて権利関係は確定し、管財人はその計画の定めに従つて事業を継続し、その収益を以て債務の弁済に充てる等計画を遂行しなければならないことになつております。従つて管財人の職務は非常に困難なものでありますが、その計画遂行の努力によつて会社の債務が計画に従つて順次整理されるに至れば、裁判所は更生手続の必要がないので、更生手続の終結決定をしなければならないのであります。この終結決定があるときには更生手続はこれによつて終了するものであります。で、会社は更生手続開始以前の状態に回復するものとなつております。
第二に株式会社の事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき、又は破産の原因となる事実の生ずる虞れがあるときは、この更生手続を開始する原因となるものであります。この更生手続開始の原因があるときは、会社は裁判所に対して更生手続開始の申立てをすることができるが、会社に破産の原因となる事実の生ずる虞れのある場合には、資本の十分の一に当る債権を有する債権者、又は発行済株式の総数の十分の一以上に当る株式を有する株主も、又裁判所に対して更生手続の開始の申立てをすることができる。原案におきましてはこのいわゆる資本の十分の一の債権者という点につきましては、金額において制約いたしまして百万円以上のものということになつておる次第であります。申立をするには会社又は債権者若しくは株主がするときの区別なく、裁判所に更生手続開始の申立書を提出することを要し、且つその開始原因となる事実を疏明し、更生手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならないことになつております。
第三に、開始決定につきましては、裁判所は更生手続開始決定の申立があつた場合において、その理由の有無につき調査し、申立の理由があると認めるときには更生手続の開始決定をしなければならないことになつております。裁判所がこの決定をする場合には、同時に管財人を選任し、且つ債権の届出期間、第一回の関係人集会の期日及び債権調査の期日を定めて公告することを要することになつております。裁判所がこの更生手続の開始決定をしたときは、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権限は管財人に専属することになり、会社の代表取締役はこれらについてその権限を喪失することになつております。開始決定の効力については、更生手続の開始決定があると、会社は更生手続の開始によつて財産の処分、取引等各種の行為に制限を受け、従前のように自由に法律上の行為をすることができなくなつております。例えば会社は更生手続にようなければ資本減少、新株又は社債の発行、利益又は利息の配当等をすることができないし、又定款の変更には裁判所の許可を要し、会社がその財産に関してした行為は更生手続の関係においては効力を主張できなくなります。更に会社の相手方が会社に対してする弁済等についても制限を受けるに至ることになつております。
第四には、更生債権、更生担保権、株式の届出及び確定についてでありますが、更生手続の開始前の原因によつて生じたもので会社に対する債権を更生債権といい、会社に対する担保権を更生担保権という。これらの権利者は、更生手続の開始決定があつた場合に会社の株主と共に更生手続に参加しなければその権利の行使ができないものであつて、参加した場合にはその債権額に応じ、株主は株式の数に応じて、関係人集会において議決権を行使することができるのであります。更生債権者、更生担保権者、又は株主が手続に参加するためには、その権利の届出期間内にその権利を裁判所に届出することを要し、裁判所は届出のあつた更生債権及び更生担保権につき調査期日に調査をしなければならないことになり、この場合に関係人に異議がなければその権利及び議決権の額等は確定し、若し異議があればその関係人は訴によつてその権利を確定させなければならないのであります。
第五に関係人集会についてでありますが、届出をした更生債権者、更生担保権者及び株主等の利害関係人で関係人集会を構成する、これは裁判所の招集によつて開かれる、この関係人集会には第一回から第三回までの集会があつて、第一回の関係人集会は会社の業務及び財産の管理、管財人の選任等に関し裁判所に意見を述べることを目的としており、第二回の関係人集会は第一回の集会後に作成された会社更生計画案の審理を目的としており、第三回の関係人集会は更生計画案の議決を目的としておるのであります。第三回の関係人集会においては更生債権者、更生担保権者、株主はそれぞれの組に分類され、その権利の確定額、又は株式の届出数に応じて議決権を行使することができ、更生計画案を可決するのであります。更生債権者の組では議決権の総数の三分の二、更生担保権者のほうの組では、担保権の期限の猶予を定めるときには議決権の四分の三、減免その他権利に影響を及ぼす定めをするときにはその全員となつておるのであります。原案においてはこの点は、すべて担保権者の権利を制約するのにこういう区別をいたしていないのでありまして、委員会におきましてはこの点に対するところの区別をすべきだというように考えまして、こういうような内容に改めたいというふうに考えておつたのであります。株主の組では、議決権を行使することのできる株主の議決権の総数の過半数のそれぞれの議決権を有する者の同意を得なければならないこととされておるのであります。
第六は更生計画の内容についてでありますが、更生計画の内容は会社の再建の基本方針であり、且つ利害関係人と会社との和解條項でもありまして、従つて更生計画においては必ず更生債権者、更生担保権者、又は株主の権利を変更する事項、共益債権の弁済に関する事項及び債務の弁済資金の調達方法を定めなければならないことといたしました。なお更生に必要な事項はこれを定めることができるが、営業又は財産の譲渡、出資又は賃貸、事業の経営の委任、定款の変更、取締役、監査役の変更等を定めた場合には、商法の規定による手続を履行しないでも計画の認可によつてその内容に従い効力を発生することにいたしておるのであります。これらの商法の規定にようないで効力を生ずるものとする特例は、会社更生法が特に会社の更生のために障害となる手続を省略して、積極的に会社の更生を図ろうとするためのものであつて、この法律の特色であると言わなくてはならないのであります。
第七は更生計画案の認可についてでありますが、関係人集会で更生計画案を可決したときは、裁判所はその更生計画案の認可又は不認可の決定をしなければならないのであります。裁判所が認可の決定をしたときは、更生計画はその効力を生じ、会社その他の利害関係人はこれによつて拘束せられるのであります。この場合には、租税、罰金等の債務は別として、計画で定めた権利又はこの法律で認められた権利以外のすべての更生債権及び更生担保権は自然債務となつて、会社はその支払の義務を免れ、株主の権利及び会社財産の上に存した担保権は消滅するという強力な効力を生ずるものであります。
第八は更生計画の遂行についてでありますが、更生計画の認可決定があつたときは、管財人は速かにその計画を遂行しなければならないのでありまして、この場合には、裁判所は計画遂行を監督する立場から管財人その他の利害関係人に対し、更生計画の遂行に関して必要な命令をすることができる。この計画遂行に当つては管財人は、商法の規定又は定款の定めにかかわらずこの法律の特別規定によつて創立総会、株主総会、又は取締役会の決議を必要とする手続についても決議を要せずして手続を進めることができ、他面において事業を経営して収益を挙げ、これを更生計画に従つて債務の弁済に当て又は積立てる等会社の更生のために努めなければならないことになつておるのであります。
第九は更生手続の終結についてであります。裁判所は、更生手続が順調に進行し更生計画が完全に遂行されたとき、又は更生計画が遂行されることが確実であると認めるに至つたときは、更生手続は本来の目的を達したものであるので、裁判所は更生手続の終結決定をしなければならないのであります。裁判所のこの決定があるときは、更生手続はここにおいて終了し、従つて管財人の任務は解かれ、会社は完全に管財人の手を離れて更生手続開始前の状態に回復するのであります。
以上が原案に対するところの大体の内容説明であります。
委員会におきましては、本案が昭和二十六年五月七日第十国会に政府より提案せられまして以来、小委員会に付託いたされましてその間第十一国会、第十二国会、第十二国会に至るまで継続審査をいたして参つた次第であります。四国会に亘りまして公式に委員会を開くことは十四回、大阪におきまして財界及び各界の代表者の御参集を求めまして本案に対するところの意見を徴することが一回、中京即ち名古屋においてやはり財界及び各界の代表者の意見を徴することが一回、東京におきましては東京の財界及び各界の代表者の意見を求めることが一回あつたのであります。こうして委員会におきましては本案に対しまして慎重審議いたしまして、本案の持つところの意義というものが今日の日本の財界、企業界に及ぼすところの影響の重大性に鑑み、本案が目的とするところの趣旨を十分生かすべく本案の審議をその面に集中する必要があると考え、各代表者の意見を総合いたしまして、原案がいわゆる整理ということに重点が置かれまして、いわゆる更生法と称せられるにもかかわらず更生手続の面におきまして少しく足らざる点がある、又更生の運営についても欠くるところありと考えられまして、この面に主力を注いで参つたのであります。然るに今日我が国の法制の上におきましては、商法のいわゆる整理規定及び和議法、破産法、こうした三つの、事業の不振によるところのその整理の法律体制というものが整つておるのでありますが、今日この更生法が企図するところのものはそうじやなくして、そうした実情にあるところの会社を如何にして更生せしめて、整理の目的を達成し、そうして完全なるところの会社に生き返らせる、回復せしめるというところに本法の主たる狙いがあり、目的があるのであつて、従つてこの法律において主力を注ぐべきは、如何にして更生手続を図るかという点にあると考えられるのです。かような意味合におきまして、本法におきますところの法律体制の上におきまして、先ずこの点を委員会におきましては重点的に取上げまして、更生手続を遂行するに必要欠くべからざる規定を新らしく設ける、或いは原案を改正する、こういうふうに考えて参りまして、公式の委員会以外におきまして非公式に十数回の会合を政府及び法制局及び委員会において合同して持つて鋭意調査研究いたしました結果、原案につきまして次の十八点について修正し、以て委員会においての審議の経過によつて得たところの目的を達成しようと考えた次第であります。
この修正の第一点はいわゆる原案の三十條の二項におけるところの更生手続開始の申立のできる債権者は、原案におきましては百万円以上となつておるのであります。今日の経済取引の実情から考えまして百万円という数字によりましては、この更生手続の申立が濫用される虞れがあるという点が先ず考えられるのです。従つてこれは原案におけるところの資本の十分の一とやはり睨み合せまして、この資本の十分の一以上に当るところの債権者をして更生手続の申立をなすことができるというふうに修正するほうが実状に適するのではないかというので、この点に対してお手許に差上ばましたようなふうに修正いたしたいと考えた次第であります。
第二点は、更生手続の申立があつた場合におきまして、裁判所は必要と認めたときはいつでも他の手続の中止を命ずることができるということになつて、包括的に中止規定が置かれておるのです。これは原案の整理の目的を強力に遂行するという立法建前からいたしますれば当然でありますが、他面におきましてこうした権利の遂行が他の権利を制約するということは、これは権衡上よろしきを得ないというふうに考えられるのです。従つて他の債権者がすでに強制執行、仮差押、仮処分若しくは競売手続等をなしておる場合におきましては、この中止がこれらの権利者に対しまして不当に損害を与えない場合に限つて中止を命ずることができると、こういうふうに修正いたすことにいたしたのであります。
第三番は、調査委員は裁判所の監督に服しておるのであります。これはひとしくかような重要な事項に携わるところの職務遂行者でありますから、管財人に対するところの責任とを睨み合せまして、やはり調査委員に対しましてもこれらの責任を負わしめる必要があるというふうに考えまして、善良な管理者の注意義務を負わしめ、損害賠償の責任を認めるというふうに修正をいたすことにいたしたのであります。
第四点は、会社の債務が二千万円以下の場合においては、管財人を選任しないことに原案はなつておるのであります。これは破産法の場合におけるところの小破産というような制度から思いついた考え方であると思うのであります。併し本案のような場合におきましては、整理ということでなくして、先ほども申上げましたごとく、会社を更生せしめるということにおいては大きな目的の相違もある。従つて小更生事案といたしましても、やはりこれを遂行する責任者は管財人としてこれを選任するほうが正しいあり方である。又この本案の目的遂行の上においても、やはりそうあつたほうがその目的の遂行の実現を容易に期し得られるのであります。ただ費用というような点を勘案いたしまして、原案はさように管財人を置かないというふうにおとりになつたと思われるのでありますけれども、これはやはりこれらの利害関係人といたしましては、責任あるところの管財人の手によつてこの更生計画が行われることが望ましい。又財界に対するところの一般信用の上からいつても、その更生を容易ならしむる点からいつても、こういうふうに改めたほうが最もふさわしいのではないかというふうに考えまして、原案のこの点に対するところの考え方を改めまして、二千万円以下の場合においてもやはりひとしく管財人を置くということにいたした次第であります。
第五点は、第一回の関係人集会の期日は、開始決定の日から一ヵ月以内、更生債権及び更生担保権の調査の期日は、届出期日の末日から一週間以上一ヵ月以内の期間を経過した日となつておるのであります。これは、この種の事案の遂行の上におきましては、最も短かい日を以て成し遂げるという原案の考え方から出ておるのであります。併しこれは種々な実情から勘案いたしまして、原案に定むるがごとき短期間においては十分賄い得ないということが考えられましたので、委員会といたしましてはこれを改め年して、いわゆる第一回の集会の期日は決定の日から二ヵ月以内、更生債権及び更生担保権調査の期日は、届出期日の末日から一週間以上二ヵ月以内の期間を経過した日と改めた次第であります。
第六点は、第五十四條各号に掲げる行為をするには、管財人は、裁判所が特に定める金額以上の価額を有しないものを除いて、すべて裁判所の許可を得なければならないと、こういうふうにいたしてあるのであります。併しこれは整理の場合においては最もふさわしい規定であると存ずるのであります。併し生きた事業、現に動きつつある事業、而もその事業は通常の状態にある事業じやなくして、少しくゆすれば倒れるかもわからんという困難な経営状態にある事業会社、これを責任を以て担当し、この事業を遂行し、且つ加うるに整理という難事業を成し遂げなくちやならん、こうした重大な責任者、いわば株式会社におけるところの取締役社長というような責任と、従来の破産法上にいうところの管財人という、責任の二つを遂行しなくちやならないのです。こうした人を選ぶ場合におきましては、最もこれに適するところのふさわしい人格者であり、手腕家であり、そういう人が選ばれるのでありますから、この人に対しまして、一一裁判所の許可をとらなければ事業遂行がなし得ないとするならば、そういう事業を遂行するのに、そういう裁判所の許可をとらなければできないというのでは、例えば仕入れする場合とか、販売する場合とか、金融の操作とか、いろいろあり得るわけです、これらをことごとく裁判所の許可を得るということは、これは事業を遂行するに非常な不均衡を生じ、却つてこれによつてその事業を衰退に導く虞れがある、かように考えられる。で、これは原案が整理ということに主眼を置かれたからこういうことになりますが、
〔理事岡部常君退席、委員長着席〕
いわゆる委員会の考え方のごとく、更生ということに重点をおきますならば、この点は包括的に管財人に対しまして権限を与えるというあり方が最も正しいと考える。その人の手腕の十分発揮し得るように認めることを一番根本的に考えなくてはならん。かように考えまして原案を逆に修正いたしまして、原則として管財人はすべての権限をなし得る、こういうことにいたしまして、特に例外として裁判所が必要とする事項はこれとこれと、というふうに一つ指示いたしまして、これこれの事項は裁判所の許可を得てもらいたいという決定をなさしめて事業の遂行を図ろう、要するに原案とは逆の建前をとることに修正意見が一致したのであります。
第七点は、更生手続開始決定があつた場合の国税徴収法による滞納処分等の排除期間は、決定の日から更生計画認可若しくは更生手続終了までの間、又は決定の日から六ヵ月とし、裁判所は徴収の権限を有する者の意見を聞いてこの六月の期間を三ヵ月間に限り延期することができるものとなつております。この点は本法のいわゆる生命ともいうべきものであつて、今日事業界の現実のあり方といたしましては、すべての債務に優先いたしましていわゆる国税の債務というものが、第一にその事業にかぶさつて参るのです。この債務の解決如何によつてその会社の更生が図られると言つても過言ではないと存じます。先ず以て国税徴収に対するところの債務猶予というものに対しまして、期間を伸長すること僅か六カ月におきましては、到底その更生手続の進行というものがこの点において阻まれるという点、及びこの伸長に対しまして同意を得なければ伸長ができないというのであつたならば、その更生計画というものは到底税務署とは一致しない。というのは税務署のほうでは事業のあり方はどうあろうと徴収ということに主眼をおきまして、却つてその事業全体をつぶすというのが今日のあり方です。これは皆様御承知の通り、日本全体の今日のあり方といたしまして、この苛斂誅求という形においてその会社がその税金をとるこどによつてつぶれるというのにかかわらず取立てるというのが現状です。むしろこれは会社を生かして徐々に取上げて、国家の歳入をそれによつて完全に徴収し得るという態勢を整え、いわゆる根を枯らさずして生かしておいて果実を収得する、国家はそれによつて損害をこうむらない。こういう建前をとりますならば、却つて本法の目的も達し、国家の歳入の完全な収納の目的も達することと存ずる次第でありまして、この点に対しましては原案を修正いたしまして、六ヵ月を一ヵ年といたしまして、又同意を得ることを必要とするのを、これを意見を徴する、いわゆる税務署の考え方に対しまして無視するわけではなくて、十分それらの意見を参酌いたしましてこの手続を遂行して行くということにいたしたのであります。尤もこの点に対しましては、この税金を延ばすがいいか、延ばさぬがいいかということは、いわゆる大蔵省関係の税務官吏の認定に待つことなく、この会社を更生することがいいか、更生させるべきかどうかということを現に取扱つてる裁判所にその権限を委ねるということのほうが最もふさわしいと考えます。この使命を税務官吏に掌握せしめると、若し原案のごとくいたしますれば、この一点においてこの法律の目的というものは挫折してしまつてこれ以後は進行しないという形になつて参るのでありますから、この点は重要に考えまして原案を修正いたしまして、只今申上げましたごとく修正するようにいたしたのであります。
第八点は、否認権の行使の方法は、原案におきましては訴又は否認の請求だけに限られているのでありますが、これは御承知の通り、我が国の破産法におきましても抗弁によつてもこれは否認権を行使することになつているのでありまして、これらの点はやはり破産法と同様に抗弁によつてもこの否認権を行使するようにいたしたほうが、法の原則から申しましても、又事案の処理の迅速その他便宜から考えましてう、同様に取扱うほうが適当と考えて修正することにいたしたのであります。
第九点は、更生手続開始当時、詐害行為取消訴訟又は破産法の規定によるところの否認の訴訟が係属するときは、その訴訟は中止するものとなつているのであります。併しこの中止というあり方は、訴訟経済の上からいたしましても、むしろ中断に改めるほうが適当であろう、こう考えまして、これを中止を中断に改めることにいたしたのであります。
第十点は、管財人は利害関係のない者のうちから選任しなければならず、又法人は信託会社及び銀行に限つて管財人となることができるものとなつておるのであります。この原案の立て方は、いわゆる先ほども申しましたごとく、整理ということに基本的な考え方をおかれましたので、いわゆる利害関係人を排除するという考え方に立つたのであります。併し今日の日本の経済界、企業界のあり方から考えますれば、この法律の目的を完全に遂行するのに従来の法律家だけ、利害関係のない者だけからこれを選ぶということは誠に至難な業であろうと思うのであります。例えば本法の一番骨子となるのは管財人の選び方です。この管財人をさような狭い範囲において求めようとするならば、到底本法の目的は十分達成し得ることは期待しがたい。むしろこれを広く管財人を求めるという基盤に立つほうが最も本法を活かすことになるわけではないか。かように考えたことと、殊に企業界のあり方といたしましては、むしろ利害関係のある銀行であるとか、親会社であるとか、或いは子会柱の大きな債権者でおるとかこうした者が集まりまして、その企業を継続、移管或いは存続せしめて生かして行こう、建て直して行こうというのが今日の仕事のあり方である。又そうしなければその事業というものは成り立ち得ないことは、実際社会において行われる現実のあり方である。かような意味におきまして、原案におけるところの管財人の選任の制約というものを外しまして、管財人の選任については利害関係の有無を問わないこととし、又法人を管財人に選任する場合にも何らの制限をしないということにいたしまして、広く人材を求めまして、そうして主たる本法の企図するところの会社更生のために最もふさわしいところの者をこれにタツチせしめるというふうに改めたのであります。この点は各財界人の一致したところの強い希望であつたのであります。
第十一点は、租税等の請求権については、徴収の権限を有する者の同意がなければ、更生計画において減免その他の権利に影響を及ぼす定めができないことになつているのであります。これは先ほど申立の場合におきましての説明と同様な趣旨でありまして、もしこの税務官吏の同意がなければ、租税に関する限りにおいては到底更生計画というものは立て得ないということになりますれば、この点において更生計画は先ず大きな障害に突き当ることになりまして、以後の更生手続というものが進行し得ない状態に置かれております。而して今日の税務官吏の、下級官吏のあり方といたしましては、到底、こうした大事業即ち何億何千万円という大事業の生きるか死ぬか、これをどういうふうにして経営して行くかというような高い視野、深い知識によつてこれを遂行し同意するというようなことは、到底考えられないのです。それが現に租税徴収の面において、幾多の会社がこの事実によつてつぶれつつある現情に徴しましても、容易にそういうことが言い得ると思うのです。これはやはり更生計画の真にその目的を達成させるために努力する裁判所、管財人、利害関係人、これらの一致した考え方に副わしむることのほうが、むしろ国家のためにも有益である。国家はそれによつて、先ほども申しましたごとく、少しも税金を取り得ないという状態に置かれるのではなくして、むしろ生かしておいて順次完全に取立て得るという状態に置かしむるような更生計画になるのでありますから、この場合におきましては、やはり税務官吏の意見を聞き、そうして全責任をもつて管財人がこれを遂行するというふうに基本を改めるほうが、最もこの更生計画を遂行する上に便宜であり、又その目的を達成するのに容易にでき得るという考え方からいたしまして、これを、二年以下の徴収の猶予又は滞納処分の執行猶予は、徴収の権限を有する者の意見を聞いて定めることができるというふうに改めた次第であります。
第十二点は、会社財産を、事業が継続するものとして評価して清算したと仮定した場合において、債権の弁済を受けることができない更生債権者を計画から除外することに原案はなつているのであります。これは一応尤ものように聞えるのです。又尤もであるかもわかりません。併しおよそこの会社整理の場合におきまして、整理したならば、それは到底配当を受けられない、分与を受けられないという推定の下に、あらかじめこれらの債権者の権利を除外してしまうというあり方は、公正妥当のものではあり得ないと思います。整理計算の結果においてそれがやられないというならともかくといたしまして、一応そういう推定の下にその権利の行使を制約するということは正しくない。こう考えまして、この点に対するところの修正といたしましては、原案のこの点を削除するということにいたしまして、如何なる債権者といえども平等にこれらの更生計画に発言権を有するものといたした次第であります。そうして更生計画にこれらもあえて参加せしめて、更生計画の遂行のために寄与せしむるというように修正いたした次第であります。
第十三点は、社債権者は原則として個別的にその権利を届出て更生手続に参加するものとし、社債募集の委託を受けた会社又は担保附社債信託法の受託会社は、権利の届出をしない社債権者のために厚生手続に属する一切の行為をすることができる原則になつているのです。これは社債権者の立場から考えまして非常に便利のようではあります、便利のようではありますけれども、およそ社債権者というものは、個別的にその権利を主張上るということはあり得ないし、社債を持つというその人の立場から考えましても、或る一定の金額を社債に替え、その利息を以て自己の財産の安定を期するという消極的な方法が多いのです。こういうような人は、みずから権利行使のために堂々たる社債権者として届出で、そうしてこれらの更生計画に参加せしめるということは、理論的においては便宜のようであつて、実際はこれらの人の権利保護の目的を達成することができない。殊に社債を受託会社が発行した場合において、これらの受託会社にこれらの社債権者を代表してその権利を行使する機会を与えることが、最も社債発行の場合におけるところのあり方として正しいではないか。こういう考え方の下に、社債権者についての届出、議決権の行使又は受託会社又は社債権者の代表者は、社債権者集会の決議によつて総社債権者のために集団的に更生手続に参加することができることといたしたのであります。
第十四点は、更生担保権者の組において更生計画案を可決するには、清算を内容とする計画案を除き、議決権の総額の四分の三以上に当る議決権者の同意を要するものとしているのであります。で更生担保権者、いわゆる担保権者を持つところの更生債権者、これらの者も数によつてその担保権を制約される。例えば担保権者が百万円のものがある場合において、これを五十万円に減額させるということになりますれば、いわゆる物権たるところのこれらの強力な権利を数によつて制約するというあり方は、延いては我が国におけるところの担保権制度の根本的な変革と言わなければならんのです。又これが財界に及ぼすところの影響というものは至大のものと言わなければならん。現に我が国の金融界におきましてほこれらの担保を基本にいたしまして融資いたし(いるのです。然るに一度更生手続が開始されるといたしますれば、この安心して持つているところの担保権が、これ自体が数によつて制約されるということになりますれば、金融界の基本を危くするものと言わなければならん。かようなことによつて現実の整理ができるといたしましても、将来の金融というものはさような不安定な担保権によつては金融しなくなるのです。従つて将来の企業界に及ぼすところの金融の梗塞ということはむしろ大きなマイナスと言わなければならんのです。かようないわゆる担保権というものを脆弱なものにならしむることは、現実の整理には或いはいいかも存じませんが、将来の企業のあり方、企業に対するところの金融というものを考えますれば、マイナスの面のほうがむしろ多いと言わなくてはならんのです。従つて原案のごとき制約規定を置かずいたしまして、修正案におきましては、更生担保権の期限の猶予を定める計画案については四分の三以上、減免その他の変更を加える計画案については全員の同意を要するというふうにいたしまして、この担保権の確実さを企図いたした次第であります。
第十五点は、管財人に対する融資等によつて生じた債権が、共益債権であることが原案においては非常に明確を欠いているのです。これは普通の整理の場合におきましては、或いは裁判所に納めてあるところの予納金を以てその整理手続を賄うということもあり得るのでありますけれども、本法の事業遂行の場合におきましては、これらの整理に要する金は微々たる金ではなくしで、むしろその事業を継続、維持するためには資本の融資、或いは現実にその事業を活かして行く面においては、少くとも管財人というものは大きな責任を負わなくちやならん。これらの責任に基くところの債権は、やはり共益債権として明らかにその権利を保護することが、安心して管財人の事業遂行、職務遂行を達成せしむることになり得ると考えるので、こういうふうに修正いたした次第でおります。即ち特にこれを共益債権として明らかにすることにいたしたのであります。
第十六点は、更生計画において予想された以上の収益があつた場合、その収益金の処分については原案においてその明確を欠いているのです。更生計画は、更生計画通りに行く場合と、むしろ更生計画が予想せざるところの余剰利益というものをそこに発生する場合も想像できるのです。その場合において、債権者を痛め、債権者に辛抱をさせておいて、余剰利益はどうするかというようなことを考えるならば、これに対するところの処分のあり方というものをやはり更生計画に明らかにして、以て債権者の希望、明るさをそこに認めさせるほうがよろしいのではないかというので、修正の意見といたしましては、右の収益金の処分を更生計画の必要的記載條項といたしたのであります。
第十七点は、更生計画において、弁済資金の調達方法を明示すべき債務は、期限が五年以上に亘る債務で、且つ更生計画によつて新たに負担され又は期限が猶予されたものに限つているのでありますが、これはすべての債務について弁済資金調達方法を明示すべきものとすることが最もこれはふさわしい、のじやないか。いわゆる五年以上のもののみについてこれを明記させ、その他のものは明記させないということよりは、およそ更生計画が真にこれが遂行できるかどうかということを利害関係人その他の者に知らしむるのには、あらかじめこういう資金をこういう計画によつて調達して、そうしてこの更生計画は遂行できるのだということを更生計画自体によつて明らかにするということが最も適合するのではないかというので、この点に対するところの修正を考えた次第であります。
以上のほか、本法は衆議院において来る七月一日から施行するということになつておりますが、目下の事情から申しまして一ヵ月の猶予においては本法を施行するのにふさわしくないと考えまして、これを来る二十七年の八月一日から施行することに改めた次第であります。
以上をもちまして小委員会におけるところの修正意見が大体において只今指摘いたしました十八点について定められましたので、さような修正点を原案の上においてこれを現実に技術的に表しますと、このほかに目次の修正及び條文の繰上、繰下等が加わりまして、お手許に差上げましたところのいわゆる会社更生法に対するところの修正案、これによりまして條文の内容の修正としては百二十一ヵ條をば修正することに至るのであります。非常な厖大な修正になりますが、これによりまして本法が真にわが国の会社企業に対して大きな裨益を与えることと考えまして、かような更生計画を主として遂行できるような方向に改めた次第であります。小委員会におきましてはこの修正案を取まとめまして、全会一致をもつてお手許に差上げましたごとく修正意見に決定いたした次第であります。
なお和議及び破産に関する法案につきましては原案を相当と認めまして、原案通りこれを了承することに決定いたした次第であります。
なお申落しましたが、和議法及び破産法につきましては、只今の会社更生法と同様な立場からいたしまして、施行期日を同様に来る二十七年八月一日と変更いたした次第であります。
以上御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/8
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009・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 只今の小委員長の御報告に対しまして御質問のおありの方は御発言を願います。なお政府委員に対しても御質疑の方は併せて御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/9
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010・玉柳實
○玉柳實君 第十国会以来一年間に亘りまして慎重審議の上この修正案を作ることになりました小委員会各位の御尽力に対しまして、深く敬意を表する次第でございますが、この際法務府当局に一言お伺いしておきたいと思いますことは、小委員長から御報告になりました十七項目に亘る修正案に対しまして、審議の過程においてそれぞれ御参画の上御協議になつた趣きでございまするが、法務府当局におかれましてはこの修正案に全面的に御同意になつておられるのでございますかどうか、その点を参考に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/10
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011・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今お話にございました通りに、この修正案のできます過程におきましても、我々は逐一御連絡を頂いておりましたのでございます。経過はさようなことでございますが、お尋ねの要点につきましては、私どもといたしましては只今の修正の全般に亘りましてその理由は一々御尤もであると拝承いたします。従いましてこの修正に対して法務府といたしまして別段の異議はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/11
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012・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めまして、両案を一括して直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/12
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013・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお小委員長よのは、先ほど御報告がございましたように、修正案が提出されておりますので、この修正案についても併せて御意見をお述べを願います。……別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、採決に入ります。
先ず会社更生法案を議題に供します。小委員長提出の修正案を問題に供します。本修正案を可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/13
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014・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて小委員長提出の修正案は可決されました。
次いで只今決定いたしました修正の部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案全部に賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/14
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015・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/15
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016・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に破産法及び和議法の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず小委員長提出の修正案を問題に供します。本修正案を可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/16
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017・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて小委員長提出の修正案は可決されました。
次に只今決定いたしました修正の部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案全部に賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/17
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018・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました。
なお例によりまして委員長の報告書の内容は委員長に御一任願いたいと思います。両案に賛成者の御署名を願います。
多数意見者署名
伊藤 修 玉柳 實
加藤 武徳 吉田 法晴
岡部 常 長谷山行毅
左藤 義詮 一松 定吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/18
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019・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきまして栗栖赳夫君より委員外議員として発言を求められておりますので、この際許可いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/19
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020・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/20
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021・栗栖赳夫
○委員外議員(栗栖赳夫君) どうも民主クラブから一人の委員も出ておりませんので、一言お願いしようと思つて発つ言を求めましたところ、お許し下さいまして有難うございます。
実はこの工場抵当法でございますが、私ども殊に私は長年工場金融をいたしておりましてこの法律を使つて来たのでございます。そうして今回改正になろうとしておるところのものを見ますると、曾て私どもが不便であると感じたような点が改正になるようでございまして誠に結構だと、むしろ遅いと思う次第でございます。併しその中に二点だけ一つお願いをしてみたらどうか、こう思うのであります。
それは昭和十一、二年に司法省の中に法制審議会ができたのであります。そのときにも私ども実際この法律を運用しております者といたしまして改正をしてほしい点をお願いいたしたのであります。土地の分筆とか或いは建物の分棟と同じように財団の分割ができる、併合ができるということは、そのときにもお願いしたのであります。ところがそのときお願いした点で二点だけがまだ今度の改正で洩れておるように思うのであります。それでその二点について簡単に一つ希望の趣旨を申述べたいと思います。
一つは、工場を担保にいたしましてそうして工場抵当を設定いたしておりましたときに、その債務の不払とかその他によつて抵当権を実行する場合がしばしば起きて参つたのであります。その実行いたしますときに、大きな工場でございますから、個人が簡単に競落をするというようなことは到底できんのでございます。多くは新会社を作つて競落さすというような場合がしばしばあるのであります。そのときには新会社は競落の許可が確定しなければ、新会社の設立というものは一種の不安定なものになつてしまうのであります。許可が確定してしまうまでには、個人としてこの競売に申出をして、そうして競落の許可の決定があり、それが確定いたしまして、初めてその個人の名前で引取つて、それから新たに会社を設立してそうして会社にそれを移す。二度に工場財団を移すというような不便があるのであります。それからその不便を避けようとすれば、或いは初め小さい会社を作つておきまして、そうしてそれが競売に申出をしまして、競落許可に幸いになればよろしうございますけれども、競売でございますから許可にならなくて他人が取つてしまうというような場合もあります。そうするとその会社はそのままもう解散しなければならん、こういうふうな不便があるのであります。そこで新会社が工場を引継いで行く、それは競売の形で引取るというような場合には、発起人総代の名前で競売に申出をいたしまして、そうして発起人総代に競落許可の決定があれば、三月以内とか会社を設立して会社自身が競落したことにして代金を納めて行く。こういうような便法がありますと非常に便利になる。登記手続のごときも三回の移転でなしに一回で済む、こういうようになると思うのであります。それはこの鉄道抵当法とかその他にはそういう規定があるのでございます。鉄道抵当法には七十四條から七十七條までについて立派な規定があるわけであります。それから鉱業抵当法につきましても大体多少は違いますけれども便宜規定があるのであります。四條の一項、二項、三項、四項、五項ですか、これは不備じやありますけれども併しこれによつてそういうこともできることがはつきりしているのであります。然るに工場抵当法ではそれがないのでありますが、これを発起人がこの会社設立を前提とし、発起人を代表して総代どもが競売に申出をし、競落の許可の決定があり、確定した場合には会社を作つて払込む、こういうような便法をついでに認めて頂きましたならば非常に助かるのじやないか。私ども昭和二年から七、八年までのパニツクの場合、それからこの昭和十二年、十三年頃にはこの不備を随分痛感いたしたものでありますが、これを簡単な規定でございますから入れて頂きましたならば、今回の改正がなお光るのじやないかこう思う次第でございます。それが一点でございます。
それからいま一つはこれは今電源開発促進法案にも関連するのでございますが、丁度この委員会と一緒でございましたからこのほうの発言は来週の月曜にいたしたいと思つております。こちらが先になりましたのでございますが、これは水利権と工場財団の問題であります。発電設備を担保といたした工場財団を作りまして担保として金融を受けた場合であります。そのときに勿論水利権というようなものは事実上は金によつて売買されるのでありますが、工場財団には属しちやおりません。私ども実際経験いたしました例によりますと、設備だけを競落しましても或いは譲り受けるとしましても、水利権はないのでありますから魂のない、ただ設備だけになりまして、そのために例えば工場財団が千万円くらいの財団を抵当権を実行しましても、水利権を引取らなければその競落人がこの点はできない。水利権を引取るためには千万くれ、二千万くれと随分すつたもんだ苦い経験を私興銀時代に持つているのであります。そこでこういう種類の水利権というものについては、発電設備の工場財団を競落した者が当然引継ぐということは、これはいささか酷かと思うのでありますが、併し抵当権設定の際に当事者間において特約した場合におきましては、そうして若し発電設備を担保にした場合、他人に渡したような場合には無償で、或いは有償ででもよろしいのでございますが、この水利権をもその発電設備の取得者に譲るという約束をした場合においては、当然この発電設備を持つた人がこの水利権を取得するのだという意味のことを、一、二入れて頂きましたならば……、電源開発がいろいろやかましいのでありますから、今度開発法の中の規定などには相当不備もあつて、実際はなかなかうまく運転しないだろうと思いますが、この水利権の問題は必ずこの外資導入などの場合には水利権をそういう手続をしなければどうしても金は借りられないものです。我々の経験ではそうでございます。それですから何か特約をした場合においては特約を当然認めて、当事者間で交渉するまでもなしに、水利権をその者に対して譲るというような規定を入れて頂いたらばいいのじやないかと、こう思つておるのであります。丁度一例を申し上げますと、電力会社では大同電力と東邦電力の公債が一番早くできたのであります。我々財団を作りましてそうして担保にさあ入れるという場合に、水利権が担保に入らんのであります。これで一頓挫いたしまして大体三月ぐらい空費したと思います。それから水利権を当事者間で約束したらどうかということで約束したのであります。併しそれでもなお約束はいつでも御破算になるから困るということでありまして、そこでこれは法律上の効果はありませんけれども、当事の逓信大臣が、そういう約束のあることを認めて、而も約束があるということに基いて設備を取得した者にはやはり水利権も与え得るのだという逓信大臣の声明を出してもらいまして、ようやくあの電力会社の最初の二つのときはできておるのであります。その後はみなこれにならつておるのであります。この電源開発法はそういう点を落しておりますけれども、いずれそのほうで月曜日でも申上げようと思つております。併し根本的にはこうした抵当法に関連いたしますから、こうした抵当法で何か特約をお考えを願つて、特約がある場合においては当然移るのだ、そのとき入れて移すなどは言わないで移るのだということをはつきりいたしていただいたらばいいのじやないかと、こう思うのであります。それにごく類似した担保の法制の中には一つあります。それは漁業権を以て漁業財団を作つた場合に、漁業権が漁業権者のいろいろ不払いとかその他によつて免許を取消されたという場合に、そうなると抵当権実行になります。抵当権を実行した暁に競落人が抵当物の漁業権を取得した場合には、当然再び免許の取消を更に取消して、免許が復活して、漁業権としてその競落人はそれを使うことができるというような規定があるのであります。多少趣きも違いますけれどもこの種の規定を入れて頂きましたらば非常に役立つのではないか。それで今後電源開発を、或いは自家発電において、或いは電力会社において、その他においていたします場合には、必ず工場抵当法による財団の設定が起つて来ます。そのときに外資導入もありましよう、外資導入のない場合においても水利権の始末がつかないと魂のない財団、生きた力のない設備だけの財団では捨値で誰も担保にとらんと思います。この点を第二の点として何かお考えを願いたい。聞きますればもうここで最後の仕上げをおやりになるというお話でありましたが、もう少し待つてもらつてこの二点だけを是非入れて頂きたいと思う次第であります。
昭和十二年に私興業銀行におりまして、興業銀行から出しました書類の中にもこの二点はみな出ておるわけであります。それで財団の分割などに非常によい規定が入つておりますからついでにこれをやつて頂いたらどうかと、こう思う次第であります。我々の党からは一人の委員も出ておりませんのでまかり出て甚だ失礼いたしました。これで一つお願いをいたしましたから引下ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/21
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022・伊藤修
○伊藤修君 只今栗栖さんがおつしやつた点は自動車抵当法の面においてもやはり問題になつておる点であると思います。本案につきましては多少不備ではありますがその点も勘案して書かれておるわけであります。でありますから、今栗栖さんのお説も出ておりますので、なお本法を研究するために本日はこの程度で散会せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/22
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023・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 只今の伊藤委員からの動議もありましたが、委員外の栗栖議員からの御提案等もあり、審議を重ねるためにこの抵当法は継続することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/23
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024・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に集団暴力に関する調査小委員長の選任についてお諮りいたします。小委員長の選任は便宜委員会において行うこととし、その指名は委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/24
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025・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X03819520516/25
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